主文 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人らの請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨主文と同旨。 第2 事案の概要 1 本件は,原判決別紙物件目録記載の各土地(いずれも山林)の固定資産税の納税義務者である被控訴人らが,東京都青梅市長によって決定され,土地課税台帳に登録された上記各土地の平成9年度の価格(同目録「価格」欄記載の価格)について,固定資産評価基準によらずに決定された違法があると主張して控訴人に対して審査の申出をしたが,控訴人から平成10年3月31日付けで審査申出を棄却するとの決定を受けたため,その取消しを求めた事案である。 原審は,上記各決定について,状況類似地区の区分,標準山林の選定,標準山林の評点数の付設方法が固定資産評価基準の定める方法によって行われていない点において同基準に適合しない違法があり,また,上記物件目録記載1及び2の各土地に係る決定については,搬出地点の標高を誤った点においても同基準に適合しない違法があると判断した上で,本件において提出された全証拠によっても,上記各土地の具体的な価額は算定することができないといわざるを得ないとして,上記各決定をいずれも取り消すべきものとしたため,控訴人がこれを不服として控訴した。 2 前提となる事実,法令の定め等,当事者の主張及び争点は,次の(1)ないし(3)のとおり原判決に付加訂正をし,後記3及び4のとおり当審における主張を付加するほか,原判決「事実及び理由」の「第2 事案の概要」1ないし4記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決2頁下から3行目の「地方税法」を「平成11年法律第15号による改正(以下「15号改正」という。)前の地方税法」に,3頁4,5行目の「平成1 記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決2頁下から3行目の「地方税法」を「平成11年法律第15号による改正(以下「15号改正」という。)前の地方税法」に,3頁4,5行目の「平成11年法律第160号による改正(以下「160号改正」という。)前の地方税法」を「平成11年法律第87号による改正(以下「87号改正」という。)前の地方税法」に,同9行目の「160号改正前の地方税法」を「平成11年法律第160号による改正(以下「160号改正」という。)前の地方税法」に,同末行の「地方税法」を「平成14年法律第17号による改正前の地方税法」に,同行から4頁1行目にかけての「平成11年法律第15号による改正(以下「15号改正」という。)前の」を「15号改正前の地方税法」に,4頁10行目の「第289号」を「第87号」にそれぞれ改める。 (2) 22頁下から9行目の「琴沢川」を「琴沢入川」に,同下から3行目の「478番地」を「693番地1」に,24頁下から9行目の「本件各山林の評点数」を「これを標準山林の単位地積当たり評点数に乗じて得られる本件各山林の単位地積当たり評点数」に,26頁下から9行目及び8行目を「本件各山林の単位地積当たり評点数に本件各山林の地積(ただし,本件山林16は現況面積33,621平方メートル)を乗じると,本件各山林の評点数(評価額)は,別紙物件目録の各価格欄記載のとおりとなる。」にそれぞれ改める。 (3) 27頁8行目の「状況類似地区分」を「状況類似地区区分」に,30頁4行目の「本件山林3ないし10」を「本件山林3ないし9」に,同7行目の「本件山林11ないし14」を「本件山林10ないし14」に,31頁下から8行目の「各種資料を」を「各種資料の」に,32頁下から4行目の「木馬等の」を「木馬等による」に,36頁4行目の「 ,同7行目の「本件山林11ないし14」を「本件山林10ないし14」に,31頁下から8行目の「各種資料を」を「各種資料の」に,32頁下から4行目の「木馬等の」を「木馬等による」に,36頁4行目の「本件決定」を「本件各決定」にそれぞれ改める。 3 控訴人の当審における主張(1) 違法事由の主張について本件各山林の登録価格は,適正な時価をはるかに下回っていることが明らかであり(被控訴人らも,原審において,固定資産税の評価が適正な時価よりかなり低位にされていることは否定しないとして,このことを認めている。),不利益変更禁止の原則により,これを取り消して上方修正することはできないから,本件各決定が評価基準に違反しているとの被控訴人らの主張は,自己の法律上の利益に関係のない違法を主張するものとして,許されない。 なお,評価基準は,短期間に大量の土地について画一的な評価を行うための方法として,その目的との関係において合理性を有するものであるが,適正な時価を求めるための唯一の方法ではないし,最も適切な方法であるとも限らない。また,固定資産評価審査委員会及び裁判所は,評価基準に拘束されない。したがって,評価基準を形式的に適用することによる均衡の確保や不均衡の解消は絶対的な要請ではなく,登録価格が当該土地の適正な時価を超えているか否かが本質的な問題であるというべきである(そもそも,登録価格は,適正な時価として一義的に決定される建前であって,しかるべき方法による評価が適正に行われれば一定の価格に収斂するはずであるから,評価基準によらなかったとしても,法律上問題とされるような不均衡が生ずることはあり得ないはずである。)。 また,裁判によって明らかになった当該土地の適正な時価が登録価格と大幅に異なることとなった場合には,不服申立てがされなかった土地の価格 とされるような不均衡が生ずることはあり得ないはずである。)。 また,裁判によって明らかになった当該土地の適正な時価が登録価格と大幅に異なることとなった場合には,不服申立てがされなかった土地の価格との間に不均衡が生ずることが考えられるが,固定資産評価審査委員会の決定の取消しを求める訴訟は,個人の権利利益を擁護するための抗告訴訟であり,自らの負担で訴訟を提起した者とそうでない者との間に不均衡が生じたからといって不当ということにはならないから,当該土地の価格と裁判の対象になっていない土地の価格とが均衡しているか否かは考慮の対象外というべきである。 (2) 状況類似地区の区分について状況類似地区の区分は,適法にされている。原判決は,後記(3)以下の点も含め,評価基準を形式的にあてはめて本件各決定が評価基準に適合しないと非難するものであって,不当である。 評価基準は,地勢,土層,林産物の搬出の便等の状況を総合的に考慮し,「おおむね」その状況が類似していると認められる山林の所在する地区ごとに状況類似地区を「区分する」ものとし,小字の区域ごとに状況類似地区を「認定する」ものとしているが,これは,類似性判断の面的な広がりとして,評価の単位である土地の筆ごとではなく,小字の区域を全体的に観察することを求め,また,地勢等の判断要素をそれぞれ個別に比較するのではなく,すべての要素を総合的に考慮することを求めているものである。したがって,原判決のように,小字を単位として状況類似地区を区分することを原則としていると解するのは誤りであり,また,地勢等の判断要素を個別に考慮し,それぞれが厳密な類似性を有する場合に限って一つの状況類似地区とすることができると解するのも誤りである。小字は,江戸時代からの集落が基礎となって住居の表示のために使用されるようになったも 別に考慮し,それぞれが厳密な類似性を有する場合に限って一つの状況類似地区とすることができると解するのも誤りである。小字は,江戸時代からの集落が基礎となって住居の表示のために使用されるようになったものであり,山林の評価に影響を与える諸要素が類似していることに着目したものではないし,現在においては,小字は使用されなくなっており,小字の存在自体やその境界が不明確な地区が急速に増加し,小字を単位に物事を考えることの意味はほとんどなくなっているのが実情である。 なお,青梅市においては,広大な山林地域に狭小な小字が極めて多数存在していたから,そのすべてを別個の状況類似地区として区分し,それぞれに標準山林を選定するとすれば,従来に比して膨大な事務量となり,莫大な費用が必要となるが,評価の基礎とすべき山林の売買実例がほとんど存在しない現状にあっては,多額の経費を費やしても,評価の精度を高めることには寄与せず,経費を負担する一般の納税者にとってはもちろん,山林の所有者にとっても,利益になることはない。 (3) 状況類似地区の区分における考慮要素について林産物の搬出の便について,幹線道路及び支線道路は山林の比準表において定義されているから,それ以上に幹線道路や支線道路を細区分すべき理由はない。また,支線道路を使用しないで幹線道路に直接搬出することができる場合には,支線道路の距離が0となることによって,距離の差1キロメートルにつき0.02が加減されることになるから,この点は,山林の比準表による補正で考慮されている。 したがって,原判決のように,支線道路や幹線道路の粗悪度,支線道路を使用しないで幹線道路に直接搬出することができるか否か等は山林の比準表によって補正することができないとして,これらを林産物の搬出の便として考慮する必要があるとするのは誤りである。 粗悪度,支線道路を使用しないで幹線道路に直接搬出することができるか否か等は山林の比準表によって補正することができないとして,これらを林産物の搬出の便として考慮する必要があるとするのは誤りである。 また,山林の利用は,林産物(本件各山林においては樹木)による収益を目的とするから,そこで生育するものが共通である場合(状況類似地区10,11,23は杉又は檜の人工造林という共通点を有している。)には,その土地利用を可能にする条件としての地勢が類似することが推認されるというべきであり,それにもかかわらず地勢に違いがあるというのであれば,その違いを主張する者(本件では被控訴人ら)が反証をする必要がある。 (4) 各状況類似地区の状況類似性について状況類似地区10,11,23の各地区をそれぞれ全体として総合的に観察すれば,優に類似性が認められるから,これらの各地区をそれぞれ一つの状況類似地区として区分したことに違法性はない。 原判決は,部分的かつわずかな例外的な事情があることを問題にしており,類似性の判断要素を総合的に考慮していない。すなわち,原判決は,状況類似地区10,11,23について,①最高標高地点と最低標高地点の標高差が大きいこと(状況類似地区10,11),②傾斜角度が15度未満の部分から40度以上の部分まで含んでいること,傾斜角度について特徴的な状況を示す小字も存在すること(状況類似地区11,23),③標高が小字ごとに異なる特徴を有していること,④傾斜方向が小字ごとに一定の特徴を有していること,⑤雑木の割合が高い小字は地勢に一定の特徴を有していること(状況類似地区10,11),⑥土層が類似していると認めるに足りる証拠がないこと,⑦支線道路及び幹線道路の粗悪度の程度,昭和39年度以降の道路事情の変化を考慮していないことから,各地区の状 ていること(状況類似地区10,11),⑥土層が類似していると認めるに足りる証拠がないこと,⑦支線道路及び幹線道路の粗悪度の程度,昭和39年度以降の道路事情の変化を考慮していないことから,各地区の状況類似性を否定している。 しかし,①の山林に相当な標高差があることは,当然のことであって,山林の比準表によれば,標高差50メートル以上800メートル未満までは50メートルごとに補正することとされており,評価基準も,一つの状況類似地区においてこの程度の標高差が生ずることは当然のこととしている。②のわずかな傾斜角度の違いを根拠に状況類似地区を区分すべき理由はなく,また,各状況類似地区は,全体として杉や檜を主体とした人工造林地区であり,③の標高や④の傾斜方向によって状況類似地区を異にしなければならないほどの樹種や利用状況の違いも生じていない。 状況類似地区10のように北東方向から時計回りに南西方向への傾斜が多い状況類似地区においては,傾斜方向が南西方向の標準山林を選定しておけば,北又は北東方向に傾斜する山林と比較して林業経営上の不利益を有する(山林としての評価が低くなる)はずであるから,他の傾斜方向を有する山林について評価上の不利益を生じさせることはあり得ない。状況類似地区11,23では,小字単位に状況類似地区を設定したとしても,被控訴人らが所有する本件各山林の傾斜方向が当該小字において大勢を占めている傾斜方向と一致するわけではないから,少なくとも傾斜方向に関する限り,小字単位に状況類似地区を設定することは意味がない。⑤の指摘は,その逆の命題(地勢について原判決が指摘する一定の特徴を有する小字は雑木の割合が高い。)が成立しないことから,何らの根拠を有しないことが明らかであり,たまたま雑木の割合が高い小字について,他の小字と違いのありそうな事柄を思 原判決が指摘する一定の特徴を有する小字は雑木の割合が高い。)が成立しないことから,何らの根拠を有しないことが明らかであり,たまたま雑木の割合が高い小字について,他の小字と違いのありそうな事柄を思いつきで拾ったにすぎない無意味な指摘である。⑥の土層は,通常,地形条件と密接な関係にあるところ,各地区では地勢の類似性が確保されており,また,表土や全土層は,そこに生育する樹木等に栄養を補給するとともに,それを支える基盤でもあるから,そこに生育する樹木等をみれば,表土や全土層を含む土層の状況を推認することができるところ,各地区における土地利用の実態も類似しているから,土層を別個の考慮要素として特に取り上げる必要はない。⑦を考慮する必要がないことは,前記(3)で述べたとおりである。 (5) 標準山林の評点数の付設方法について原判決は,青梅市内の売買実例から各標準山林の適正な時価を評定することは不可能ではないというが,青梅市は,売買実例や精通者(不動産鑑定士)の意見によって各標準山林の適正な時価を評定する努力をしたにもかかわらず,東京都知事から通知のあった青梅市における基準山林(標準山林11)の価格(1,000平方メートル当たり38,700円),近隣自治体における評価額及び従前の評価額とバランスのとれた価格を得ることができなかったものであり,売買実例から現実に適用可能な各標準山林の適正な時価を評定することは不可能であったといわざるを得ない。 なお,原判決は,林道整備が進められてきたことによって,林産物の搬出の便の良否の点で,山林の評価に大きな影響があることは明らかであるというが,山林の評価に大きな影響が生ずるほどの林道の整備がされたという証拠は何もない。林道の状況が従前と大きく異なるというのであれば,それを主張する側(本件では被控訴人ら)に, ことは明らかであるというが,山林の評価に大きな影響が生ずるほどの林道の整備がされたという証拠は何もない。林道の状況が従前と大きく異なるというのであれば,それを主張する側(本件では被控訴人ら)に,その立証責任があるというべきである。 (6) 本件山林1及び2の搬出地点の標高について本件山林1及び2の搬出地点とされている市道沢λ線は,評価基準の定める支線道路に該当し,これに平行する河川も,管流路として利用可能である。したがって,上記道路が支線道路に該当しないとした原判決の認定は,明らかに誤っている。また,被控訴人らは,原審において,上記道路が「木馬」(これは評価基準にいう「そり」又はこれと同様のものを意味する。)の通行できるものであることを自認している。したがって,上記道路が牛馬車又はそりの通行できる道路であると認めるに足りる証拠はないとする原判決は,当事者間に争いのない事実に証拠を要求するものであって,不当である。 4 被控訴人らの当審における主張(1) 違法事由の主張について控訴人は,登録価格が当該土地の適正な時価を超えているか否かが本質的な問題であると主張するが,登録価格が適正な時価以下であっても,不均衡な評価及びそれに基づく不均衡な課税負担は,租税法の大原則である公平課税,均等負担に反する違法なものというべきである。 そして,本件各山林の存する青梅市では,(2)以下で述べるとおり,評価基準の手続を大きく逸脱して,広大な地域を一つの状況類似地区とする区分を行い,これに標準山林比準方式を当てはめて広大な地域を画一的に評価したため,個々の山林について公平妥当な評価が行われず,著しく均衡を欠く評価が行われ,いわゆる悪平等というべき価格決定がされている。このような青梅市における固定資産の評価は,納税者全体に対する信頼と期待を裏切るも 山林について公平妥当な評価が行われず,著しく均衡を欠く評価が行われ,いわゆる悪平等というべき価格決定がされている。このような青梅市における固定資産の評価は,納税者全体に対する信頼と期待を裏切るものであると同時に,納税者に対して不当課税,不均衡課税を強いるものである。 控訴人は,本件各山林の登録価格が適正な時価をはるかに下回っていることは明らかであると主張するが,本件各山林の登録価格が適正な時価以下である保証は全くない。被控訴人らが青梅市近郊における売買実例を調査したところ,実際に,東京地方裁判所八王子支部の平成13年の競売物件の中に10アール当たりの価格が2万6021円の物件があった(この物件の旧所有者と買受人との間に親族関係,交友関係等はなく,買受人は当該物件を山林として所有する目的で買い受けたものであった。)。 (2) 状況類似地区の区分について控訴人は,地勢の区分をすれば土層はこれに随伴するという独自の判断をし,また,林産物の搬出の便は山林の比準表を適用すれば足りるとして,これを状況類似地区区分の際の考慮から除くといった誤った解釈をした上で,多数の小字を合わせた広大な地域を一つの状況類似地区とする区分をした。これは,評価基準が原則とした小字単位による標準山林比準方式(原則として小字を単位として状況類似地区を区分し,その地域を代表する一つの山林を標準山林に選んで,その適正な時価を評定し,当該地域内の他の山林を標準山林に比準して評価するという評価基準の手続)を大きく逸脱したものといわざるを得ない。このような広域状況類似地区を放置したまま,標準山林比準方式を採れば,個々の山林の評価は著しく不当,不均衡なものとなるから,適正妥当な課税を実現するため,これを早急に修正すべきである。 (3) 状況類似地区の区分における考慮要素について ま,標準山林比準方式を採れば,個々の山林の評価は著しく不当,不均衡なものとなるから,適正妥当な課税を実現するため,これを早急に修正すべきである。 (3) 状況類似地区の区分における考慮要素について標高,傾斜方向,傾斜角度等は,いずれも地勢の一要素であり,樹木の生育及び産出量に違いを生じさせるものであるから,状況類似地区の区分において,これらに対する考慮が必要であることはいうまでもない。 控訴人は,山林の比準表を根拠に,評価基準が一つの状況類似地区における標高差を当然のこととしている旨主張するが,山林の比準表は,山林の中央部と搬出地点との標高差を比較して,林産物の搬出の便のうち,山林の伐採材をトラック等による運搬の可能な搬出地点(いわゆる集材場所)まで搬出するいわゆる「小出し費」に相当する部分の格差を比準割合として指数化したものであり,海抜標高を指すものではないから,控訴人の主張は失当である。 (4) 各状況類似地区の状況類似性について状況類似地区10,11,23の各地区について状況類似性が認められないことは,原判決が正当に認定するとおりであり,この点に関する控訴人の主張は,全面的に争う。 (5) 標準山林の評点数の付設方法について原判決が正当に認定するとおり,青梅市は,昭和39年度の評価に際して選定した標準山林10,11,23をそのまま維持し,前基準年度の評価額に一定倍率を乗じたものを当該基準年度の評価額とすることを繰り返してきたものであり,このような標準山林に対する評点数の付設が評価基準の定め(売買山林の売買実例価額から正常売買価格を求め,これから標準山林の適正な時価を評定する。)に従って行われたとは認められず,その手法に合理性があるとも認められないから,標準山林の評点数の付設方法には,評価基準に適合しない違法があるというべ を求め,これから標準山林の適正な時価を評定する。)に従って行われたとは認められず,その手法に合理性があるとも認められないから,標準山林の評点数の付設方法には,評価基準に適合しない違法があるというべきである。 標準山林の適正な時価は,売買実例価額のほか,東京都知事が決定した基準地価格を踏まえて,自然的条件(①海抜高,気温,降雨量,日照等,②土壌の種類及び良否,表土及び全土層の厚さ,③位置(山麓,中部,上部,山頂),傾斜方向,傾斜角度,斜面の型),経済的条件(①小出し距離及び搬出作業の難易度,②搬出距離及び道路状況の良否),その他山林の価格に影響を及ぼす条件の各項目に評点を付設し,その合計点を基として,評価を実施すべきである。 なお,標準山林としては,搬出地点に直接接している山麓で,山林の中央部と搬出地点との標高差が50メートル未満(山林の比準表の起算点)の山林を選ぶべきである。 (6) 本件山林1及び2の搬出地点の標高について本件山林1及び2の搬出地点とされている市道沢λ線は,国土地理院発行の地図では幅員1.5メートル未満の道路として表示されているが,その現況は,東入口から約40メートルの間が幅員1.8メートルの簡易舗装の道路になっているものの,それ以外は人が足場を確かめながら歩行することができる程度であって,牛馬車やそりが通行できる道路ではないから,ここに搬出地点を求めることはできない。 第3 当裁判所の判断 1 土地に対する固定資産税は,土地の資産価値に着目し,その所有という事実に担税力を認めて課する一種の財産税であって,個々の土地の収益性の有無にかかわらず,その所有者に対して課するものであるから,固定資産税の課税標準である土地の価格(適正な時価)とは,正常な条件の下に成立する当該土地の取引価格,すなわち,客観的な交換価値をいう 性の有無にかかわらず,その所有者に対して課するものであるから,固定資産税の課税標準である土地の価格(適正な時価)とは,正常な条件の下に成立する当該土地の取引価格,すなわち,客観的な交換価値をいうと解される。したがって,登録価格が基準年度に係る賦課期日における当該土地の客観的な交換価値を上回れば,当該登録価格の決定は違法となる(最高裁判所平成15年6月26日第一小法廷判決・民集57巻6号723頁参照)。 他方,地方税法は,固定資産の評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続を自治大臣の告示である評価基準にゆだね(87号改正前の地方税法388条1項),市町村長は,評価基準によって,固定資産の価格を決定しなければならないと定めている(160号改正前の地方税法403条1項)が,これは,全国一律の統一的な評価基準による評価によって,各市町村全体の評価の均衡を図り,評価に関与する者の個人差に基づく評価の不均衡を解消するために,固定資産の価格は評価基準によって決定されることを要するものとする趣旨である(上記判決参照)。評価基準は,このような趣旨を踏まえて,大量に存在する固定資産について,それぞれ個別の評価をすることなく,短期間のうちに可及的に適正な時価を算定するための技術的かつ細目的な基準を定めたものであると解される。 上記の適正な時価の意義及び評価基準によって固定資産の評価を決定すべきものとした趣旨からすれば,登録価格が賦課期日における当該土地の客観的な交換価値を上回っている場合には,それだけで,すなわち当該登録価格の算定が評価基準に適合していないときはもとより,これに適合しているときであっても,当該登録価格の決定は違法となり,当該固定資産税の納税義務者の利益を侵害するものとして取り消されるべきものというべきであるが,登録価格が賦課期日における はもとより,これに適合しているときであっても,当該登録価格の決定は違法となり,当該固定資産税の納税義務者の利益を侵害するものとして取り消されるべきものというべきであるが,登録価格が賦課期日における当該土地の客観的な交換価値を上回っていない場合には,当該登録価格の算定が評価基準に適合していないとしても,そのことが直ちに当該固定資産税の納税義務者の利益を侵害することになると解すべきではなく,評価基準を正しく適用すれば,その算定価格が当該登録価格を下回ることになると認められるとき,あるいは,それが認められなくとも,評価基準によって固定資産の価格を決定すべきものとした上記の趣旨を没却するような著しい評価の不均衡が生じていると認められるときに,課税負担の公平の見地から,評価基準に適合していないことが当該固定資産税の納税義務者の利益を侵害することになり,当該登録価格の決定は取り消されるべきものと解すべきであり,また,当該登録価格がおよそ評価基準に基づいて算定されたものと評価し得ないほどに評価基準に著しく違背して算定されたものと解されるときは,重大な手続違背の場合に準じて,上記の評価基準を正しく適用した場合の算定価格との高低や著しい評価の不均衡の有無について判断するまでもなく,当該登録価格の決定は違法となり,直ちに取り消されるべきものと解するのが相当である。 そうであるすると,登録価格が賦課期日における当該土地の客観的な交換価値を上回っていないことが明らかな場合には,当該登録価格がおよそ評価基準に基づいて算定されたものと評価し得ないほどに評価基準に著しく違背して算定されたものと解される場合を除いて,評価基準を正しく適用すればその算定価格が当該登録価格を下回ることになるか,当該登録価格の決定によって上記の趣旨を没却するような著しい評価の不均衡が生じ 背して算定されたものと解される場合を除いて,評価基準を正しく適用すればその算定価格が当該登録価格を下回ることになるか,当該登録価格の決定によって上記の趣旨を没却するような著しい評価の不均衡が生じていない限り,当該固定資産税の納税義務者は,当該登録価格の決定によって不利益を受けるものとはいえないというべきであるから,仮に,当該登録価格の決定に評価基準に適合しない違法があるとしても,当該固定資産税の納税義務者がその違法を理由に当該登録価格の決定の取消しを求めることは,自己の法律上の利益に関係のない違法事由を主張するものであって,許されないものというべきである(行政事件訴訟法10条1項)。 2 以上の見地に立って,まず,本件各決定における登録価格の算定が評価基準に適合しているか否か,及び適合しているといえないときは,その違背の程度について検討する。 (1) 本件各決定は,状況類似地区を区分し,各状況類似地区ごとに標準山林を選定し,標準山林に評点数を付設し,標準山林の評点数に比準して本件各山林の評点数を付設するという方法で,本件各山林の価額を求めており(この点は当事者間に争いがない。),この方法自体は,評価基準の定める山林の評価方法である標準山林比準方式にかなったものということができる。 (2) 証拠等によって認定することができる本件各決定における状況類似地区の区分及び各状況類似地区の状況は,原判決「事実及び理由」の「第3 当裁判所の判断」2(3)記載のとおりであるから,これを引用する。ただし,原判決44頁10行目の「標準山林1」を「標準山林10」に,45頁下から10行目の「標高921メートル」を「標高929メートル」にそれぞれ改め,47頁下から2行目の次に改行して「 標準山林23はμに,本件山林17はνに,それぞれ所在する。」を加え,49頁 45頁下から10行目の「標高921メートル」を「標高929メートル」にそれぞれ改め,47頁下から2行目の次に改行して「 標準山林23はμに,本件山林17はνに,それぞれ所在する。」を加え,49頁7行目の「23の状況類似地区」を「24の状況類似地区」に改め,同9行目の次に改行して「 なお,状況類似地区10,11及び23における平成元年から平成9年までの間の売買実例の有無は,別表2ないし4の各「⑪売買実例の有無」欄記載のとおりであり,状況類似地区10で平成7年に1例,同23で平成元年,平成3年,平成4年,平成8年に各1例(計4例)の実例があるにすぎず,同11では実例がなく,本件各山林が所在する小字における実例は1例も存在しない。」を加える。 また,証拠(乙2,4ないし7,13ないし16,22,25,30の1・3・6)によれば,上記の状況類似地区の区分を前提に各状況類似地区について選定された標準山林10,11及び23の各山林の状況は,控訴人の主張(前記引用に係る原判決第2の3の「(被告の主張)」(3))のとおりであることが認められる。 (3) 上記認定事実によれば,状況類似地区10,11及び23は,いずれも,多数の小字を合わせて一つの状況類似地区としたものである(評価基準のうち,状況類似地区を小字の区域ごとに認定するものとした点が一般的な合理性を有するものかどうかについては,ここでは措くこととする。)が,大きな尾根や河川によって区切られた地域を一つの状況類似地区としたものであり,大きな地形条件に着目して区分されたものということができる(状況類似地区23は,59の小字を合わせたものであり,小字の数は同10及び11に比べて多いが,一小字当たりの面積が小さいため,状況類似地区全体の面積は同10及び11と極端な違いはない。)。また,状況類似地区 区23は,59の小字を合わせたものであり,小字の数は同10及び11に比べて多いが,一小字当たりの面積が小さいため,状況類似地区全体の面積は同10及び11と極端な違いはない。)。また,状況類似地区10は,最高標高地点が751メートル,最低標高地点が190メートルで,標高差は561メートルあり,傾斜方向も様々であるが,全体的に見れば,北西から南東に向かって流れる多摩川の北岸に位置することから,南ないし東の方向に傾斜している山林が多く,傾斜角度も15度以上40度未満のものがほとんどであり,表層地質もほとんどが砂岩・頁岩である。状況類似地区11は,最高標高地点が929メートル,最低標高地点が206メートルで,標高差は723メートルに及び,傾斜方向も様々であり,平均斜度が15度未満の字や雑木の割合が30パーセントを超える字もあるが,全体的に見れば,多摩川の南岸に位置することから,多摩川に向かって北ないし東の方向に傾斜している山林が多く,傾斜角度も15度以上40度未満のものが多く,表層地質もほとんどが砂岩・頁岩である(乙1,6,14及び弁論の全趣旨によれば,雑木の割合の高い字は,ロープウェイの山頂駅や神社,国民宿舎等がある地域という特殊性を有していることも認められる。)。状況類似地区23は,平均斜度が15度未満の字や30度を超える字,雑木の割合の高い字があり,傾斜方向も様々であるが,全体的に見れば,最高標高地点が634メートル,最低標高地点が158メートルで,標高差は476メートルにとどまっており,傾斜角度もほとんどが30度未満の緩やかな山林であり,表層地質も多くの部分が砂岩・頁岩・塩基性火山岩である。 このように見てくると,状況類似地区10,11及び23について,地勢,土層,林産物の搬出の便等の状況を総合的に考慮し,おおむねその状況が類似して 層地質も多くの部分が砂岩・頁岩・塩基性火山岩である。 このように見てくると,状況類似地区10,11及び23について,地勢,土層,林産物の搬出の便等の状況を総合的に考慮し,おおむねその状況が類似していると認められるかどうかには,なお検討すべき点が残されていると見る余地もあるが,上記で説示した点のほか,各状況類似地区とも,その大半が杉・檜を主体とした人工造林であって,標高や傾斜方向・傾斜角度が上記のとおり必ずしも一様でないことに比して,その利用状況には大きな差異が見られないこと,各状況類似地区における売買実例がほとんどなく,各状況類似地区を更に地勢,土層,林産物の搬出の便等の状況に照らして細かく分割し,細かく分割した地区ごとに標準山林を選定したとしても,それが標準山林及び比準山林の適正な評価に資することにつながるかどうかには疑問がある上,宅地や農地の場合と異なり,広大な山林の地域について厳密な調査をし,その結果に基づいて状況類似地区を細かく区分するためには,現実問題として,それによって得られる効果に比して多額の費用がかかることが避けられないことをも併せ考慮すれば,本件各決定に係る状況類似地区の区分は,少なくとも,評価基準の定める考慮要素を全く無視するなどして恣意的に行われたものではなく,評価基準に著しく違背しているとはいえないものというべきである。 また,各状況類似地区の標準山林として選定された標準山林10,11及び23の各山林は,各状況類似地区の中央部付近に位置しており,その標高や傾斜角度は上記の各状況類似地区の平均標高や平均斜度に近いものということができるから,各標準山林の選定についても,比較的多数所在する山林のうちから一の山林を選定するものとするとの評価基準に著しく違背しているとはいえない。 (4) 次に,標準山林の評点数の付設及 いうことができるから,各標準山林の選定についても,比較的多数所在する山林のうちから一の山林を選定するものとするとの評価基準に著しく違背しているとはいえない。 (4) 次に,標準山林の評点数の付設及び本件各山林の評点数の付設について,証拠(甲2,5)及び弁論の全趣旨によれば,青梅市においては,昭和39年度の評価に際して選定した標準山林をそのまま維持し(ただし,標準山林23については,従前の標準山林が採石場となったために,平成3年度の評価以降,現在地の山林を標準山林とした。),立木価格等の推移,東京都知事による指示平均価額及び基準地価格を参酌して求めた一定の倍率を前評価年の評価額に乗じた価格を当該評価年における評価額とし,極度の林業不振という実態を勘案して,平成6年度の評価においては平成3年度の評価額をそのまま据え置き,平成9年度においてもその評価額を据え置くという方法で,標準山林に対する評点数の付設が行われたこと,この結果,平成9年度の単位地積当たり評点数(1000平方メートル当たりの評価額)は,標準山林10が3万6750円,標準山林11が3万8700円,標準山林23が3万2400円とされたこと,そして,山林の比準表による比準割合が,本件山林16につき0.9,その余の本件各山林につき1.0とされた結果,本件各山林の単位地積当たり評点数は,本件山林1ないし14が3万6750円,本件山林15が3万8700円,本件山林16が3万4830円,本件山林17が3万2400円とされたこと(原判決別表5参照),平成9年度の固定資産の評価において,青梅市で参照可能な山林の売買実例としては7例が存在し(乙8),このうちの1例は状況類似地区10に所在するθ地内の山林であったが,同11及び23では売買実例そのものが存在しなかったこと,以上の事実が認められる。 能な山林の売買実例としては7例が存在し(乙8),このうちの1例は状況類似地区10に所在するθ地内の山林であったが,同11及び23では売買実例そのものが存在しなかったこと,以上の事実が認められる。 (5) 上記認定事実によれば,本件各決定における標準山林の評点数の付設は,売買山林の売買実例価額から正常売買価格を求め,これから標準山林の適正な時価を評定したものではないから,評価基準の定めに従って行われたものとはいえない。 しかしながら,各状況類似地区における山林の売買実例そのものが極めて少なく(前記(2)参照),このような数少ない売買実例価額の内容を検討し,これを必要に応じて修正して正常売買価格を求めることには少なからざる困難が伴うと考えられること,評価基準も,売買山林の正常売買価格から標準山林の適正な時価を評定するに際しては,基準山林との評価の均衡及び標準山林相互間の評価の均衡を総合的に考慮するものとしていることからすれば,立木価格等の推移,東京都知事による指示平均価額及び基準地価格を参酌して求めた一定の倍率を前評価年の評価額に乗じるという本件各決定が採用した方法は,売買実例そのものが極めて少ない中で,標準山林の評点数を付設するに当たり,基準山林との評価の均衡を図るという評価基準の要請に応えようとしたものと評することもできるから,このような方法も,一概に合理性を欠くものと断ずることはできないというべきであり,本件各決定における標準山林の評点数の付設も,評価基準に著しく違背しているとまではいえないというべきである。 また,控訴人と被控訴人らとの間には,評価基準の山林の比準表にいう山林の中央部の標高及び搬出地点の各意義をどのように解釈すべきか,また,本件各山林に関し,山林の比準表以外の理由による補正の必要性があるか等について,見解の相違 間には,評価基準の山林の比準表にいう山林の中央部の標高及び搬出地点の各意義をどのように解釈すべきか,また,本件各山林に関し,山林の比準表以外の理由による補正の必要性があるか等について,見解の相違があるが,本件各決定は,上記認定のとおり,評価基準の山林の比準表によって本件各山林の比準割合を求め,標準山林の評点数に比準して本件各山林の評点数を付設しているから,本件各決定における本件各山林の評点数の付設が評価基準に著しく違背しているとはいえない。 (6) 以上で検討したところによれば,本件各決定における登録価格の算定は,およそ評価基準に基づいて算定されたものと評価し得ないほどに評価基準に著しく違背して行われたものとは解されない。 3 そこで,進んで,賦課期日である平成9年1月1日における本件各山林の客観的な交換価値と本件各山林の平成9年度の登録価格(本件各決定に係る登録価格)との関係について検討すると,後掲の各証拠によれば,次の事実が認められる。なお,土地の価格は,別紙1及び2を除き,いずれも1000平方メートル(10アール)単位の価格である。 (1) 基準地価格国土利用計画法施行令9条に基づいて東京都知事が定めた基準地価格のうち,青梅市所在の山林を基準地とするものの平成8年7月1日現在の価格は,次のとおりである。基準地及びその周辺の利用の現況は,いずれも用材林地,杉・檜の人工造林地域であり,地域の特性は,ア,ウ,エが農村林地,イが都市近郊林地,オが山村奥地林地とされている(以上につき,乙1,34,35。ただし,乙35(青梅市全図)に記入された東京(林)-12の位置は不正確である。)。 ア東京(林)-3(δ513番1) 1,160,000円イ東京(林)-4(ξ1632番1) 1,660,000円ウ東京(林)-5(ι1695番) 京(林)-12の位置は不正確である。)。 ア東京(林)-3(δ513番1) 1,160,000円イ東京(林)-4(ξ1632番1) 1,660,000円ウ東京(林)-5(ι1695番) 1,300,000円エ東京(林)-11(ζ731番1) 1,290,000円オ東京(林)-12(π1724番) 777,000円なお,基準地価格は,国土利用計画法の規定に基づいて土地取引の価格規制を行う場合の審査において,地価公示価格とともに,相当な価格を判断する際の基準として使用されるほか,この価格を公表することによって,一般の土地取引の指標として利用されている。基準地価格の性格は,基準地の正常価格,すなわち,市場性を有する不動産について,合理的な自由市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格とされており,建物その他の定着物や土地に関する使用収益を目的とする権利がないものとしての更地価格を求めることになっている。林地の基準地は,国が定めた都道府県地価調査基準地設定方針に基づき,市街化区域以外の区域で,東京都の林地の価格水準を的確に把握し得るように,林地の地域的特性を配慮して配分することになっており,東京都では,28地点に設定されている。また,基準地の具体的な選定は,国が定めた都道府県地価調査事業事務取扱要領運用細則に基づき,代表性の原則(市区町村の区域全体の地価水準をできる限り代表し得るものであること),中庸性の原則(当該近隣地域内において土地の利用状況,環境,地積,形状等が中庸のものであること),安定性の原則(できる限り土地の利用状況が安定した近隣地域内にあって,当該近隣地域の一般的用途に適合したものであること),確定性の原則(明確に他の土地と区別され,かつ,容易に確認できるものであること)に留意し,さらに,公示地との 用状況が安定した近隣地域内にあって,当該近隣地域の一般的用途に適合したものであること),確定性の原則(明確に他の土地と区別され,かつ,容易に確認できるものであること)に留意し,さらに,公示地との位置的均衡及び地価水準等を基礎とする地域的均衡について十分配慮し,両者一体のものとして整合性が保てるように行われている(以上につき,乙34)。 (2) 精通者意見平成9年度の固定資産の評価に際し,平成8年1月ころ,青梅市が聴取した複数の精通者(不動産鑑定士)の基準山林(標準山林11)の価格についての意見は,次のとおりであった。これらのうち,アは,東京(林)-3及び東京(林)-12の基準地価格を,イは,東京(林)-1(西多摩郡σ540番1)及び東京(林)-2(τ567番2外1筆)の基準地価格を,ウは,東京(林)-3及び東京(林)-2の基準地価格を,エは,東京(林)-3の基準地価格のほか,世評価格を,それぞれ価格評定の基礎としたものである(以上につき,乙33の1ないし4,34)。これらの平均は,64万3750円となる。 ア A 1,050,000円イ B 400,000円ウ C 500,000円エ D 625,000円(3) 売買実例平成9年度の固定資産の評価において,青梅市で参照可能な山林の売買実例としては,次の7例が存在した(乙8)。これらを単純平均すると,約57万3000円となり,最高値と最低値を除いたものの平均は,約46万4000円となる。 ア φ地内平成7年2月 907,000円イ θ地内平成7年3月 100,000円ウ ψ地内平成8年3月 179,000円エ ψ地内平成8年3月 370,000円オ ω地内平成7年12月 510,000円カ a地内平成8年3月 352,000円キ ι地内平成8年 地内平成8年3月 179,000円エ ψ地内平成8年3月 370,000円オ ω地内平成7年12月 510,000円カ a地内平成8年3月 352,000円キ ι地内平成8年3月 1,592,000円(4) 山林素地価格及び山元立木価格用材林(針葉樹林)の素地価格(林地として利用する場合の売買価格で,売手及び買手に相応と認められて取引される実測(縄のびがない)10アール当たりの素地価格)は,3月末現在の全国平均で,平成8年が7万2815円,平成9年が7万1868円(これらは,山林の生産力,立地条件等を基にして「上の中」,「普通」,「下の中」の品等に区分した場合の普通品等の価格であり,「上の中」では,平成8年が9万7361円,平成9年が9万6986円,「下の中」では,平成8年が5万1796円,平成9年が5万0323円),関東地方(宅地及び観光開発等への転用が見込まれるために高額の千葉県及び神奈川県を除く。)で,平成8年が13万6265円,平成9年が13万4766円,東京都(関東地方の中では,茨城県,埼玉県に次いで3番目に平均価格が高い。)で,平成8年が13万0667円,平成9年が13万円であり,全国平均で見ると,昭和58年をピークに低下傾向にあり,昭和63年から平成3年にかけて多少持ち直したが,平成4年以降,再び低下が続いている。なお,関東地方の平成9年の最高価格は35万円,最低価格は3万円である。 山元立木価格(利用材積1立方メートル当たり)は,全国平均で,杉が平成8年で1万0810円,平成9年で1万0313円,檜が平成8年で2万5469円,平成9年で2万4603円であり,いずれも,昭和55年をピークに低下傾向にあり,昭和63年から平成2年にかけて多少持ち直したが,平成3年以降,再び低下が続いている(以上に 平成8年で2万5469円,平成9年で2万4603円であり,いずれも,昭和55年をピークに低下傾向にあり,昭和63年から平成2年にかけて多少持ち直したが,平成3年以降,再び低下が続いている(以上につき,甲8の1・2,9の1,13)。 (5) 登録価格前記2(4)のとおり,平成9年度の単位地積当たり評点数(1000平方メートル当たりの評価額)は,標準山林10が3万6750円,標準山林11が3万8700円,標準山林23が3万2400円とされ,これに比準して,本件各山林の単位地積当たり評点数は,本件山林1ないし14が3万6750円,本件山林15が3万8700円,本件山林16が3万4830円,本件山林17が3万2400円とされた。 なお,評価基準(甲3)によれば,都道府県知事は,指定市町村以外の市町村について,市町村の山林の総評価見込額を算出し,これをその総地積で除して当該市町村の山林の指示平均価額を算定し,これをその算定の基礎とともに自治大臣に報告するものとされ,その際,市町村長が評定した基準山林の適正な時価について検討し,その検討の結果に基づき,市町村間の評価の均衡上必要があると認めるときは,市町村長が評定した基準山林の適正な時価について所要の調整を行うものとされており,自治大臣は,都道府県知事が報告した指示平均価額及びその算定の基礎を検討し,市町村間の評価の均衡上必要があるときは,指示平均価額について所要の調整を行うよう関係都道府県知事に指示するものとされ,都道府県知事は,自治大臣の指示があった場合には,その指示に基づき,関係市町村の指示平均価額について所要の修正を行うものとされているところ(評価基準第1章第7節三3),青梅市においては,標準山林11が基準山林に選定されており,東京都知事がこの基準山林の適正な時価について行った平成9 価額について所要の修正を行うものとされているところ(評価基準第1章第7節三3),青梅市においては,標準山林11が基準山林に選定されており,東京都知事がこの基準山林の適正な時価について行った平成9年度の所要の調整の結果は,上記と同額の1000平方メートル当たり3万8700円であり,これは,前基準年度の平成6年度のものと同じであった(乙7,9,弁論の全趣旨)。 (6) 鑑定評価額青梅市長から本件訴訟の証拠として使用するための本件各山林の鑑定評価を依頼された不動産鑑定士Eは,平成15年8月20日,平成9年1月1日現在の本件各山林の正常価格を別紙1(番号は,原判決別紙物件目録の番号に対応する。)の鑑定評価額欄記載のとおり鑑定評価した旨の不動産鑑定評価書(乙38。以下「E鑑定書」という。)を作成した。その内容は,要旨,次のとおりである。 ア本件各山林の登記簿面積と概測面積とが異なっている(本件山林8のみ,登記簿面積が1万1603平方メートルであるのに対し,概測面積が約1万0700平方メートルであり,概測面積が小さいが,その余の本件各山林は,登記簿面積より概測面積が大きく,本件山林5,6,9,10,12は概測面積が登記簿面積の2倍以上ある。)が,地積としては,評価条件に従い,登記簿面積を採用した。 イ地上立木は存在しないものとし,所有権以外の権利又は建物その他の物件が存在するときは,当該権利又は当該物件が存在しないものとする(評価条件)。 ウ価格時点当時の経済状況として,バブル崩壊後低迷してきた景気には価格時点前後でやや明るい兆しが見え始めたこと,不動産等の資産価格や物価の下げ幅はやや縮小傾向にあるが依然下落基調にあること,林地の需要は財産保有目的としての需要も林業経営としての需要も減退している状況にあることがうかがわれる(一般的要因の分析 動産等の資産価格や物価の下げ幅はやや縮小傾向にあるが依然下落基調にあること,林地の需要は財産保有目的としての需要も林業経営としての需要も減退している状況にあることがうかがわれる(一般的要因の分析)。 エ同一需給圏(本件各土地と代替競争関係にある他の不動産の存する地域の範囲)は,東京都青梅市の市街化調整区域内の林地地域であり,需要者は,森林としての財産保有を目的とする者,林業経営者又は公共事業者である。非木質系建築資材の進出や製材品を中心とした輸入木材の増加等による木材製品価格の下落,労賃等の上昇による搬出運搬費等の上昇により,主伐がほとんど行えないような状況になるほど山元立木価格は下落し,場所によっては負価となっており,そのため,林業経営を目的とする需要は減少しており,財産保有目的による需要も低迷している(地域分析)。 オ 6つの近隣地域(①本件山林1ないし4の存する近隣地域,②本件山林5ないし9の存する近隣地域,③本件山林10ないし14の存する近隣地域,④本件山林15の存する近隣地域,⑤本件山林16の存する近隣地域,⑥本件山林17の存する近隣地域。以下「近隣地域①」のように特定する。)について,地価形成に影響を持つ主な地域要因として,交通事情,自然的条件(気象,土壌,地勢(標高,傾斜方向,傾斜角度)),宅地化の影響の程度,公法上の規制,地域的特性,標準的使用,地域要因の変動の予測を検討し(地域分析),同様に,本件各土地について,価格形成に影響を持つ個別的要因として,近隣地域における位置,交通事情,自然的条件,宅地化の影響の程度,公法上の規制,土壌汚染の有無及びその状態,最有効使用を検討した(個別分析)。 カその上で,本件各山林については宅地転用の可能性が低いことから,取引事例比較法による比準価格を標準に,収益還元法による収益価格 制,土壌汚染の有無及びその状態,最有効使用を検討した(個別分析)。 カその上で,本件各山林については宅地転用の可能性が低いことから,取引事例比較法による比準価格を標準に,収益還元法による収益価格を参考にし,基準地価格との均衡にも留意して,鑑定評価額を決定することとした。 キ取引事例比較法においては,本件山林10ないし14の存する近隣地域③(本件各山林の存する地域の同一需給圏内の類似地域にも当たる。)に存在する基準地(前記(1)オの東京(林)-12)の基準地価格の推移から時点修正率を月率-0.2%と査定した。次いで,価格時点以前2年間の青梅市内における15の取引事例(相当過去のものであることから事情補正は行わなかった。)のうち,1平方メートル当たりの単価が5000円以上の6事例は林地の価格水準からやや乖離しているため検討対象から外し,残る9事例(1平方メートル当たりの単価100円以下が3事例,100円超500円以下が2事例,500円超1000円以下が1事例,1000円超2000円以下が2事例,2000円超5000円以下が1事例)と各近隣地域について,宅地化条件(集落への接近性,最寄り駅とそこからの距離等),交通接近条件(街路の状態,街路への接続の有無等),行政条件(自然公園の指定,保安林の指定等)を比較検討して地域要因格差による修正率を算出し,各事例から各近隣地域の価格形成要因を備えた林地(標準的画地)の比準価格を求めた。各事例から求めた比準価格には相当な開差がある(例えば,本件山林10ないし14の存する近隣地域③では,最低が6万9000円,最高が208万円)が,これは,取引数が少なく価格情報が行き渡らないこと,取引当事者の土地上の立木への思惑が様々であること,面積は大きいものの単価が低く,総額ではそれほど大きな金額にならないため, 最高が208万円)が,これは,取引数が少なく価格情報が行き渡らないこと,取引当事者の土地上の立木への思惑が様々であること,面積は大きいものの単価が低く,総額ではそれほど大きな金額にならないため,取引事情による影響が宅地等の不動産取引と比較して大きくなること,総額が小さいため,取引当事者の主な関心が総額に払われ,単価は予備的なものになりがちであること等によるものと考えられ,青梅市における林地市場の不完全な状態を素直に表したものと考えられることから,その中庸値を比準価格とした(ただし,統計的に異常値が潜んでいる可能性もあるので,価格が最も高い事例(1事例)及び価格が最も安い事例で同一当事者間取引であるもの(3事例)から求めた比準価格を除き,その余の5事例から求めた比準価格の中庸値を採用した。)。このようにして求めた各近隣地域の標準的画地の比準価格は,次のとおりである。 (ア) 近隣地域① 760,000円(イ) 近隣地域② 680,000円(ウ) 近隣地域③ 700,000円(エ) 近隣地域④ 600,000円(オ) 近隣地域⑤ 470,000円(カ) 近隣地域⑥ 800,000円そして,本件各山林が存する各近隣地域の標準的画地の比準価格を基に,その位置や林道との接面の有無,林道までの距離等の減価要因があるものについては他の価格形成要因の格差率とのバランスを考慮しながら減価率を定め,本件各山林の比準価格を導いた。 ク収益還元法においては,同一需給圏内で面積1ヘクタールの林地について期望価式による収益価格を求めたが,収益価格は負価(-1,100,000円/1ヘクタール=-110,000円/10アール)となり,これは,多少の差はあるものの,本件各山林に共通する状況であると考えられる。 ケこのほか,基準地価格との均衡を検討するため, 100,000円/1ヘクタール=-110,000円/10アール)となり,これは,多少の差はあるものの,本件各山林に共通する状況であると考えられる。 ケこのほか,基準地価格との均衡を検討するため,前記キと同様の時点修正をした上,基準地(東京(林)-12)と本件各山林の存する各近隣地域について前記キと同様の宅地化条件,交通接近条件,行政条件を比較検討して地域要因格差による修正率を算出し,基準地価格から各近隣地域の標準的画地の規準価格を次のとおり求め,これを基に,減価要因があるものについては前記キと同様の減価率を適用して本件各山林の規準価格を導いた。 (ア) 近隣地域① 880,000円(イ) 近隣地域② 750,000円(ウ) 近隣地域③ 770,000円(エ) 近隣地域④ 650,000円(オ) 近隣地域⑤ 510,000円(カ) 近隣地域⑥ 840,000円コ以上により本件各山林について得た比準価格,収益価格及び規準価格は,別紙2(対象不動産の番号は,原判決別紙物件目録の番号に対応する。)のとおりであり,この比準価格は,林地地域に存する事例の中から規範性の高い9事例を選択して比準しており,実勢を反映しているものと判断される。これに対し,収益価格は,負価となったが,苗の植え付けから主伐に至るまでの60年にも及ぶ長期間について,価格時点の状況(木材市況,労務費,林業利回り等)が全く変化しないという前提の下で成立する価格であり,やや説得力に欠ける価格である上,国内の木材需要のみにとどまらず,海外の市況や為替レートに依存するという不確かな性格のものである。収益価格が負価になるような状況を無視するわけにはいかないが,収益価格が負荷になるような状況に起因する市場価格の下落圧力は,比準価格にも十分反映していると考えられ,林地について環境面 のものである。収益価格が負価になるような状況を無視するわけにはいかないが,収益価格が負荷になるような状況に起因する市場価格の下落圧力は,比準価格にも十分反映していると考えられ,林地について環境面等の別の価値が注目されつつある状況の中で,市場参加者がこのような60年後を予測した収益価格だけで林地の価値を判断するとも考えにくい。したがって,比準価格を中心に本件各山林の単価を決定し,これに面積を乗じて,別紙1の鑑定評価額を決定した。これは,前記ケの本件各山林の規準価格と比較してやや低い価格になっているが,その開差は1割前後であり,均衡はとれていると考えられる。 4(1) 上記認定事実によれば,E鑑定書の本件各山林の評価方法は,一般的要因の分析,地域分析,個別分析,評価手法の選択・適用等,評価の前提となる基礎資料の取捨選択から結論に至るまでの過程に格別不合理な点は認められず,林地の価格の評価方法として合理性を有するものと認められる。また,E鑑定書の近隣地域①の標準的画地の比準価格76万円とそれに対応する地域のδ地内の東京(林)-3(δ513番1)の基準地価格116万円を,近隣地域④の標準的画地の比準価格60万円及び同⑤の標準的画地の比準価格47万円とそれに対応する地域のε所在の基準山林(標準山林11)についての精通者意見(平均64万3750円)を,近隣地域⑥の標準的画地の比準価格80万円とそれに対応する地域のζ所在の東京(林)-11(ζ731番1)の基準地価格129万円を,それぞれ,価格時点の相違に伴う地価の下落を念頭において比較してみても,E鑑定書の比準価格が不当に高額になっているなど,その試算価格の合理性に疑問を抱かせる事情はうかがわれない。したがって,賦課期日(平成9年1月1日)における本件各山林の適正な時価(客観的な交換価値)は,別 の比準価格が不当に高額になっているなど,その試算価格の合理性に疑問を抱かせる事情はうかがわれない。したがって,賦課期日(平成9年1月1日)における本件各山林の適正な時価(客観的な交換価値)は,別紙1のE鑑定書の鑑定評価額のとおりであると認めるのが相当であり,この認定を妨げるに足りる証拠はない。 そうすると,本件各山林の平成9年度の登録価格(本件各決定に係る登録価格)は,別紙3のとおり,いずれも,その賦課期日における適正な時価(客観的な交換価値)の4.76%から7.41%にすぎない(換言すれば,本件各山林の適正な時価は,その登録価格の約13倍から約20倍に上る。)から,本件各山林の平成9年度の登録価格がその賦課期日における適正な時価(客観的な交換価値)以下であることは明らかというべきである。 (2) そして,前記1のとおり,評価基準は,大量に存在する固定資産について,それぞれ個別の評価をすることなく,短期間のうちに可及的に適正な時価を算定するための技術的かつ細目的な基準を定めたものであるから,評価基準の定める山林の評価方法(前記法令の定め等参照)が適正な時価への接近方法として一般的な合理性を有するものであれば,その適用によって算定される本件各山林の評価額は,上記認定の鑑定評価額と近似すべきものである。したがって,仮に,本件各山林の平成9年度の登録価格の決定について評価基準の定める方法によって行われていない違法があったとしても,在るべき評価基準の定める方法を正しく適用して算定した場合の本件各山林の価格は,上記の登録価格を上回ることはあっても,これを下回ることはないものということができる(上記の登録価格を下回る価格になったとすれば,それは,評価基準の定める山林の評価方法が適正な時価への接近方法としての一般的な合理性を有していないか,その適 を下回ることはないものということができる(上記の登録価格を下回る価格になったとすれば,それは,評価基準の定める山林の評価方法が適正な時価への接近方法としての一般的な合理性を有していないか,その適用が誤っている結果であると考えられる。)。 これに対し,被控訴人らは,本件各山林の登録価格が適正な時価以下である保証は全くない旨主張するが,そのようにいうことができないことは,上記(1)の説示のほか,前記3(4)のとおり,山林の価格が高額の千葉県及び神奈川県を除いた関東地方の普通品等の用材林素地価格が,平成8年で13万6265円,平成9年で13万4766円であること,「下の中」品等の用材林素地価格の全国平均が,平成8年で5万1796円,平成9年で5万0323円であることからも,明らかというべきである。したがって,被控訴人らの上記主張は採用することができない。被控訴人らは,東京地方裁判所八王子支部の平成13年の競売物件の中に10アール当たりの価格が2万6021円の物件があった旨主張するが,仮に,そのような事例があったとしても,競売物件の価格には一般の不動産市場とは異なる競売不動産市場の特殊性等が色濃く反映するため,その評価においても大幅な減価がされるのが通例であり(宅地転用の可能性の乏しい山林であれば,なおさらである。),上記事例をそのまま本件各山林の適正な時価を検討する上での売買実例と見るのは相当でないというべきであるから,上記事例の存在は,上記の認定判断を左右するものではない。 (3) また,被控訴人らは,本件各決定に係る登録価格が評価基準に従って決定されていないことにより著しい評価の不均衡が生じている旨主張する。 しかしながら,本件各山林の上記登録価格がその賦課期日における適正な時価(客観的な交換価値)の4.76%から7.41%にすぎな 決定されていないことにより著しい評価の不均衡が生じている旨主張する。 しかしながら,本件各山林の上記登録価格がその賦課期日における適正な時価(客観的な交換価値)の4.76%から7.41%にすぎないことは,上記(1)で説示したとおりであり,また,前記3(5)のとおり,東京都知事は,市町村間の評価の均衡上必要があると認めるときは,市町村長が評定した基準山林の適正な時価について所要の調整を行うものとされている(その前提となる指示平均価額については,自治大臣が,市町村間の評価の均衡上必要があるときは,所要の調整を行うよう東京都知事に指示するものとされている。)ところ,東京都知事が青梅市の基準山林の適正な時価について行った平成9年度の所要の調整の結果は,青梅市長が決定した基準山林の価格と同額であったことからすれば,青梅市を含む東京都における山林の評価額は,青梅市と同程度の水準にあるものと推認することができるから,このような適正な時価(客観的な交換価値)の数パーセントにとどまる登録価格の間に,その決定方法が評価基準に適合しない結果として,何らかの不均衡が生じていたとしても,評価基準によって固定資産の評価を決定すべきものとした趣旨を没却するような著しい不均衡が生じているものと評価することはできないというべきである。 したがって,被控訴人らの上記主張も採用することができない。 5 以上によれば,本件各決定に係る登録価格は,その賦課期日における適正な時価(客観的な交換価値)以下であることが明らかなところ,前記2で指摘したとおり,上記登録価格の算定には,評価基準に適合しないと解する余地のある部分があり,仮に,これを目して,上記登録価格の決定に評価基準に適合しない違法があると解するとしても,前記2で認定判断したとおり,上記登録価格がおよそ評価基準に基づ 準に適合しないと解する余地のある部分があり,仮に,これを目して,上記登録価格の決定に評価基準に適合しない違法があると解するとしても,前記2で認定判断したとおり,上記登録価格がおよそ評価基準に基づいて算定されたものと評価し得ないほどに評価基準に著しく違背して算定されたものということはできず,一方,評価基準を正しく適用すればその算定価格が上記登録価格を下回ることになるとは認められず,また,それにより評価基準によって固定資産の価格を決定すべきものとした趣旨を没却するような著しい評価の不均衡が生じているとも認められないから,本件各山林の固定資産税の納税義務者である被控訴人らは,上記の違法によって不利益を受けるものとはいえず,したがって,被控訴人らがこの違法を主張して本件各決定の取消しを求めることは,自己の法律上の利益に関係のない違法事由を主張するものであって許されないというべきである。 6 このほか,被控訴人らは,本件各決定が地方税法433条1項(15号改正前のもの。以下,同じ。)に違反する違法なものである旨主張し,本件各決定が被控訴人らの本件審査申出の日から30日以内にされていないことは,前記前提となる事実(4)から明らかである。 しかしながら,同法433条1項の規定は,いわゆる訓示規定であり,審査の申出を受けた日から30日を経過した後にされた審査の決定がそれだけで違法となるものではないと解すべきであるから,被控訴人らの上記主張は採用することができない。 7 よって,被控訴人らの請求はいずれも理由がないから,原判決を取り消して,これをいずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第7民事部裁判長裁判官横山匡輝裁判官佐藤公美裁判官萩本修別紙1鑑定評価額(価格時点平成9年1月1日)┌──┬─────────── することとし,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第7民事部裁判長裁判官横山匡輝裁判官佐藤公美裁判官萩本修別紙1鑑定評価額(価格時点平成9年1月1日)┌──┬───────────┬───────┐|番号|鑑定評価額 |単価(円/㎡)|├──┼───────────┼───────┤|1 | 9,410,000円|650 |├──┼───────────┼───────┤|2 |11,300,000円|650 |├──┼───────────┼───────┤|3 |11,300,000円|650 |├──┼───────────┼───────┤|4 | 9,710,000円|680 |├──┼───────────┼───────┤|5 |10,600,000円|610 |├──┼───────────┼───────┤|6 | 7,980,000円|610 |├──┼───────────┼───────┤|7 |10,700,000円|680 |├──┼───────────┼───────┤|8 | 7,080,000円|610 |├──┼───────────┼───────┤|9 |13,800,000円|680 |├──┼───────────┼───────┤|10| 6,550,000円|600 |├──┼───────────┼───────┤|11|16,400,000円|630 |├──┼───────────┼───────┤|12|16,000,000円|700 |├──┼───────────┼───────┤|13|11,400,000円|700 |├──┼─────────── ┼───────┤|12|16,000,000円|700 |├──┼───────────┼───────┤|13|11,400,000円|700 |├──┼───────────┼───────┤|14|11,300,000円|700 |├──┼───────────┼───────┤|15| 6,370,000円|540 |├──┼───────────┼───────┤|16|17,300,000円|470 |├──┼───────────┼───────┤|17| 7,150,000円|680 |└──┴───────────┴───────┘(注意)概測面積と登記簿面積とは異なっているが、後記評価条件により、採用した面積は登記簿面積である。 別紙2┌───────┬──────┬──────┐|対象不動産 |比準価格 |規準価格 |├───────┼──────┼──────┤|対象不動産1 |650円/㎡|750円/㎡|├───────┼──────┼──────┤|対象不動産2 |650円/㎡|750円/㎡|├───────┼──────┼──────┤|対象不動産3 |650円/㎡|750円/㎡|├───────┼──────┼──────┤|対象不動産4 |680円/㎡|790円/㎡|├───────┼──────┼──────┤|対象不動産5 |610円/㎡|680円/㎡|├───────┼──────┼──────┤|対象不動産6 |610円/㎡|680円/㎡|├───────┼──────┼──────┤|対象不動産7 |680円/㎡|750円/㎡|├───────┼──────┼──────┤|対象不動産8 |610円/㎡|680円/㎡|├─ |├───────┼──────┼──────┤|対象不動産7 |680円/㎡|750円/㎡|├───────┼──────┼──────┤|対象不動産8 |610円/㎡|680円/㎡|├───────┼──────┼──────┤|対象不動産9 |680円/㎡|750円/㎡|├───────┼──────┼──────┤|対象不動産10|600円/㎡|650円/㎡|├───────┼──────┼──────┤|対象不動産11|630円/㎡|690円/㎡|├───────┼──────┼──────┤|対象不動産12|700円/㎡|770円/㎡|├───────┼──────┼──────┤|対象不動産13|700円/㎡|770円/㎡|├───────┼──────┼──────┤|対象不動産14|700円/㎡|770円/㎡|├───────┼──────┼──────┤|対象不動産15|540円/㎡|590円/㎡|├───────┼──────┼──────┤|対象不動産16|470円/㎡|510円/㎡|├───────┼──────┼──────┤|対象不動産17|680円/㎡|710円/㎡|└───────┴──────┴──────┘収益価格は、いずれも0円と考えられる。 別紙3┌─────────┬──────┬───────┬────────┬─────┐|所在 |9年度評価額|鑑定価格 |差額 |倍率|├─────────┼──────┼───────┼────────┼─────┤|δ-241-1 |36,750|650,000|-613,250|5. 65%|├─────────┼──────┼───────┼────────┼─────┤|δ-243 ────┤|δ-241-1 |36,750|650,000|-613,250|5. 65%|├─────────┼──────┼───────┼────────┼─────┤|δ-243 |36,750|650,000|-613,250|5. 65%|├─────────┼──────┼───────┼────────┼─────┤|δ-521 |36,750|650,000|-613,250|5. 65%|├─────────┼──────┼───────┼────────┼─────┤|δ-546 |36,750|680,000|-643,250|5. 40%|├─────────┼──────┼───────┼────────┼─────┤|δ-579 |36,750|610,000|-573,250|6. 02%|├─────────┼──────┼───────┼────────┼─────┤|δ-580 |36,750|610,000|-573,250|6. 02%|├─────────┼──────┼───────┼────────┼─────┤|δ-581 |36,750|680,000|-643,250|5. 40%|├─────────┼──────┼───────┼────────┼─────┤|δ-583 |36,750|610,000|-573,250|6. 02%|├─────────┼──────┼───────┼────────┼─────┤|δ-591 |36,750|680,000|-643,250|5. 40%|├─────────┼──────┼───────┼────────┼─────┤|π-15-2 |36,750|6 1 |36,750|680,000|-643,250|5. 40%|├─────────┼──────┼───────┼────────┼─────┤|π-15-2 |36,750|600,000|-563,250|6. 13%|├─────────┼──────┼───────┼────────┼─────┤|π-31 |36,750|630,000|-593,250|5. 83%|├─────────┼──────┼───────┼────────┼─────┤|π-41-1 |36,750|700,000|-663,250|5. 25%|├─────────┼──────┼───────┼────────┼─────┤|π-42 |36,750|700,000|-663,250|5. 25%|├─────────┼──────┼───────┼────────┼─────┤|π-44 |36,750|700,000|-663,250|5. 25%|├─────────┼──────┼───────┼────────┼─────┤|ε-221 |38,700|540,000|-501,300|7. 17%|├─────────┼──────┼───────┼────────┼─────┤|ε-503 |34,830|470,000|-435,170|7. 41%|├─────────┼──────┼───────┼────────┼─────┤|ζ-478 |32,400|680,000|-647,600|4. 76%|└─────────┴──────┴───────┴────────┴─────┘注1:価格は1,000㎡当たりのもの(円)注2:差額=9年度 |680,000|-647,600|4. 76%|└─────────┴──────┴───────┴────────┴─────┘注1:価格は1,000㎡当たりのもの(円)注2:差額=9年度評価額-鑑定価格(円)注3:倍率=評価額/鑑定価格(%)
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