【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 理 由 弁護人滝川三郎上告趣意第一点について。 旧刑訴第六二条はいわゆる訓示的規定であるとの大審院の見解(大審院大正十三 年(
主文 本件上告を棄却する。 理由 弁護人滝川三郎上告趣意第一点について。 旧刑訴第六二条はいわゆる訓示的規定であるとの大審院の見解(大審院大正十三年(れ)第九一二号同年七月四日判決参照)は、当裁判所においてその所見を一にするものである。そこで所論のように原審においてもその判決宣告の際たとえ公判調書が未整理であつたとして何等判決宣告の妨碍となるものではない。何となれば裁判官公判調書に頼ることなく、直接公判廷においてした審理の結果に基ずき評議を為し、次いで判決書を作成しこれによつて判決を宣告し得るものであるからである。しからば苟くもその判決と対照し公判調書中に訴訟手続の違背その他法令違反の廉が存しない限りは、所論のように単に判決宣告の際公判調書の未整理であつたとの一事によつては原判決を破毀する理由とはならないのである。されば論旨は理由がない。 同第二点について。 原審が証拠に採つているのは被告人Aの原審公判廷における供述、即ち原審裁判所が直接公判廷の審理によつて聴取つた被告人の供述それ自体であつて、その供述を録取した公判調書でないことは原判示によつて明らかである。それ故論旨は理由がない。 同第三点について。 所論の原審第二回公判調書を見ると「滝川弁護人は被告Aの為め、本件の被告人の行為は従犯的なものであるから刑法第六十三条の規定により何卒酌量減軽の上今回に限り執行猶予の恩典を賜り度い旨有利な弁論を為した」と記載されてあるのである。そこで右記載の趣旨を勘案すると「被告人Aの所為は共同正犯ではあるけれ- 1 -ども、従犯に近い所為と認められるから、従犯の法定減軽に関する刑法第六三条の趣旨を酌んで酌量減軽をして貰いたい」との主張と解されるのであつて、所論の趣旨にこれを解することは至難であるの - 1 -ども、従犯に近い所為と認められるから、従犯の法定減軽に関する刑法第六三条の趣旨を酌んで酌量減軽をして貰いたい」との主張と解されるのであつて、所論の趣旨にこれを解することは至難であるのである。しかし仮に一歩を譲つて、右原審における最終弁論において所論のとおり先ず従犯の主張がなされ、次いで若し従犯と認められない場合は酌量減軽を得たい旨の主張があつたとし、したがつて前示公判調書の記載を右主張とおりの趣旨と解釈すると仮定しても、要するに原判決は被告人Aの所為をもつて共同正犯であると認定し且つその証拠を挙示していることは、原判示自体に徴し極めて明らかであるから、所論従犯の主張に対してはその判断を示したと同一の結果となるのである。しからば原判決には何れにするも所論のような判断遺脱等の違法はなく、論旨は理由なきに帰するものである。 同第四点について。 しかし、所論の刑法第六三条の法定減軽と酌量減軽とは両者併存可能のものであり、又所論公判調書記載中の刑法第六三条と酌量減軽の記載とは何等矛盾するものでないことは、第三点において説明のとおり(即ち第三点説明の前段後段何れの趣旨としても)であるから、原審には所論の釈明権不行使或いは審理不尽の違法はないのである。論旨は理由がない。 よつて、刑訴施行法第二条並びに旧刑訴第四四六条に従い、主文のとおり判決する。 この判決は裁判官全員一致の意見である。 検察官岡本梅次郎関与昭和二四年七月三〇日最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官霜山精一裁判官栗山茂- 2 -裁判官小谷勝重裁判官藤田八郎 裁判官栗山茂- 2 -裁判官小谷勝重裁判官藤田八郎- 3 -
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