外国為替及び外国貿易法(以下「外為法」という)違反、関税法違反被告事件 主文 被告人を懲役1年6月に処する。 この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。 理由 (犯罪事実)被告人は、株式会社Aの代表取締役として、その業務全般を統括していたものであるが、政令により経済産業大臣の承認を受ける義務を課せられた貨物として公表された北朝鮮を原産地とするしじみを不正に本邦に輸入しようと企て、 1 同社の業務に関し、令和2年1月22日大韓民国所在の釜山港において、北朝鮮産しじみ約1万7960キログラム(輸入申告価格343万2467円)を積載した船を出港させ、同月23日、山口県下関市a町b丁目所在のB岸壁に接岸した同船から前記しじみを陸揚げさせ、同市c町d番e号所在の指定保税地域であるC岸壁荷捌地に蔵置した上、同日、経済産業大臣の承認を受けないで、同市東大和町1丁目7番1号所在の門司税関下関税関支署長に対し、情を知らない通関業者であるD株式会社の従業員を介して前記しじみの輸入申告手続を行い、同日、同支署長の輸入許可を得た後、情を知らない運送業者の従業員をして、前記しじみを同保税地域から搬出させ、もって経済産業大臣の承認を受けないで、前記しじみを輸入し、 2 前記株式会社Aの業務に関し、同日、電子情報処理組織により、前記1記載の北朝鮮産しじみの貨物の輸入申告を行うに際し、同市f町g丁目h番i号所在のD株式会社事務所において、情を知らない同社従業員をして、同支署長に対し、電子情報処理組織の電子計算機に備えられたファイルに、前記貨物の原産地が北朝鮮であったにもかかわらず、前記貨物の原産地がロシア連邦である旨の虚偽の事実を入力させるなどして申告し て、同支署長に対し、電子情報処理組織の電子計算機に備えられたファイルに、前記貨物の原産地が北朝鮮であったにもかかわらず、前記貨物の原産地がロシア連邦である旨の虚偽の事実を入力させるなどして申告した上、前記1記載のとおり、前記しじみを同保税地域から搬出させ、もって偽った申告をして貨物を輸入した。 (証拠) 省略(法令の適用)罰条判示行為中無承認輸入の点外為法69条の7第1項5号、52条、10条1項、輸入貿易管理令4条1項2号、3条1項、平成18年経済産業省告示第308号、令和元年法律第60号による改正前の外為法72条1項虚偽申告輸入の点関税法111条1項2号、67条、117条1項科刑上一罪の処理刑法54条1項前段、10条(1個の行為が2個の罪名に触れる場合であるから一罪として犯情の重い無承認輸入罪の刑で処断)刑種の選択懲役刑刑の執行猶予刑法25条1項訴訟費用の不負担刑訴法181条1項ただし書(量刑の理由)本件は、判示のとおりの外為法違反及び関税法違反の事案であるが、北朝鮮に対する経済制裁という国の施策に背くとともに、税関手続の適正を損なう点において、反社会的な行為といえる。犯行態様は、虚偽の原産地証明書を用いるなどして、北朝鮮産しじみをロシア産と偽装して国内に輸入するという巧妙なものであって、輸入に係るしじみの量も多い。被告人は、不正輸入の仕組みの構築に関わってはいないが、経済的利益のためにしじみの不正輸入を続け、本件犯行に至ったものであり、動機や経緯に酌むべき点はなく、常習性も認められる。被告人の刑事責任を軽視することはできない。 しかしながら他方で、被告人が事実を認め、本件会社を第三者に譲渡するなどの反省の態度を示している 、動機や経緯に酌むべき点はなく、常習性も認められる。被告人の刑事責任を軽視することはできない。 しかしながら他方で、被告人が事実を認め、本件会社を第三者に譲渡するなどの反省の態度を示していること、被告人の妻が情状証人として出廷し、監督を誓約し ていること、被告人に前科前歴がないこと等の酌むべき事情もある。 そこで、今回は、主文のとおりの刑を量定してその責任を明確にした上で、その刑の執行を猶予することとした。 (求刑・懲役1年6月)(検察官田邊哲寛国選弁護人山田圭介各出席)令和7年4月18日山口地方裁判所第3部 裁判官安達拓
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