平成16(ワ)22440 配転無効確認等請求事件(通称 日本アムウェイ配転)

裁判年月日・裁判所
平成18年1月13日 東京地方裁判所
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判決文本文9,403 文字)

- 1 -主文 原告と被告との間で,原告がクレジット・グループにおいて勤務する労働契約上の義務を負わないことを確認する。 原告が被告に対し,被告の就業規則第2条の2に規定する資格区分における「グレードM13」の雇用契約上の地位を有することを確認する。 被告は原告に対し,別紙未払い賃金一覧表中の未払い賃金額欄記載の各金員及びこれに対する同表支給日欄記載の日の翌日から各支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 被告は原告に対し,平成16年10月以降毎月25日限り,41万3800円を支払え。 訴訟費用は,被告の負担とする。 この判決は,第3項及び第4項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1請求主文と同旨第2事案の概要本件は,当初被告に管理職として待遇され勤務していた原告が,退職勧奨を受けたのを拒否したところ,違法不当な嫌がらせ等を目的とする配転・降格処分を受けたとして,当該配転・降格の無効を前提とした現配属部署に勤務する義務を負わないことの確認,降格前の給与等級にあることの確認及び降格後の給与との差額の支払い等を請求した事案である。 前提事実(争いのない事実以外は証拠を末尾に掲記した)。 (1)被告は,家庭日用品等の輸入,販売等を営業とする株式会社である。 被告は,国内に12の支店等を有し,従業員数511名,年間総売上高約1038億円(いずれも平成15年8月)の企業である。 被告は,米国アムウェイコーポレーションを中心として世界に拠点を有するアルティコアグループの一員である。 (),,, 原告は昭和52年3月に広島大学工学部経営工学科を卒業し同年4月以降第一実業株式会社,ワーナーランバート株式会社,株式会社ユーシン等に勤務した後,平成4年9月,課長として被告に入社 ,, 原告は昭和52年3月に広島大学工学部経営工学科を卒業し同年4月以降第一実業株式会社,ワーナーランバート株式会社,株式会社ユーシン等に勤務した後,平成4年9月,課長として被告に入社した。 (3)原告は被告において流通,営業企画,マーケティング等の業務を担当し,平成16年2月まで,一貫して管理職として処遇されてきた。 原告は,平成16年2月の時点において,被告のニュービジネスディベロップメント本部(NBD本部)に所属し,新商品等の企画等を担当していたが,従業員資格区分上のグレードはM13,月額給与は84万3770円(うち通勤手当1万4770円)であった。なお,被告の就業規則上,M13以上は管理職群とされている。 原告は,平成12年3月に給与が6等級から5等級の上に降格された。 (4)被告は,平成16年3月1日付けで,原告に対し,所属を人事部付き,従業員資格区分のグレードをM11基本給41万5200円とする配転・降格以下本,(「- 2 -件配転・降格処分」という)を発令した(甲4)。 。 その結果,原告は,同日以降,被告から月額給与が42万9970円(うち通勤手当1万4770円)の支払を受けている(甲5の3,4)。 争点及びこれに対する当事者の主張配置転換並びに管理職から非管理職への降格に伴う資格区分M13からM11への降格の有効性について【原告の主張】原告と被告との間の労働契約上,職種が限定されている。 平成16年2月10日,原告は,被告のP1人事部長から,2月末をもってNBD本部は解散となるが,原告が退職しない場合には,会社は原告に新しいポジションを用意することになると言われた。その新しいポジションとは人事部付きで,給料が30万円から40万円ダウンするものだった。P1人事部長は「席は人事部とは別の,と 合には,会社は原告に新しいポジションを用意することになると言われた。その新しいポジションとは人事部付きで,給料が30万円から40万円ダウンするものだった。P1人事部長は「席は人事部とは別の,ところに一人で座ってもらう「業務ははっきり与えられないし,ほぼ無いに等し。」い「解雇されない保証は無い」などと述べ,このまま在職すると迫害を受けること」をほのめかし,退職するよう強く迫った。 被告の新人事制度においては,M10~12は非管理職群,M13以上が管理職群として処遇されている。かかる制度において,管理職から非管理職への降格は予定されておらず,M13からM11への降格をすることは労働契約上許されない。また,原告の職種は,流通,営業企画,マーケティング等に限定されていたものであり,契約上予定されていなかった人事部付きとする本件配転は,労働契約違反である。 仮に,本件配転・降格が使用者の人事権の範囲に含まれるとしても,本件においては業務上必要性のない配転であり,また,原告を退職に追い込むための不当な動機・目的をもってなされたものであるから,人事権の濫用に当たる。 【被告の主張】グレードの降格は認められた範囲内である。被告の新人事制度では社員の果たす役割の大きさによってグレードが決まる。新しいポジションについた場合は,その役割の大きさに応じて場合によってグレードの降格がありうる。かかる取扱いは社員には周知されている。 原告との労働契約において職種は限定されていない。 本件配転命令・降格は,それまでの原告の業務遂行能力及び社内での原告に対する客観的評価からすれば,当然の選択であった。 原告は平成9年5月以降は,管理職とはいっても「担当課長」であった。被告において担当課長とは,課長という名は一応ついているが,部下を1人ももっていない職種である。 からすれば,当然の選択であった。 原告は平成9年5月以降は,管理職とはいっても「担当課長」であった。被告において担当課長とは,課長という名は一応ついているが,部下を1人ももっていない職種である。 原告は,平成12年3月に,財務管理部からマーケティング本部へ異動する際,同年3月1日付で6等級から5等級に降格となっている。 ,,「,平成11年2月15日付の被告の社内文書には原告についてこれまで流通部顧客サービス部,財務管理部と異動してきたが,どの部署でも本人の職能級に見合った力を発揮できていない」という記録が残されている。 NBD本部(ニュービジネスディベロップメント)は平成13年8月1日にP2を- 3 -本部長として新設され,マーケティング部門内での原告の仕事振りへの評価が低かったことから原告が異動の対象となった。同本部は,様々な新製品や新サービスの開発を行うための部署であり,原告は当初新規商品の企画・販売を担当したが,上司の命令や同僚の意向を無視しては自分勝手な判断と思い込みで独走し,周囲の者及び被告に多大な迷惑,混乱,損害をもたらしてきた。原告の上司であるP2本部長は原告には新製品のプロジェクトを任せられないと判断し,原告をこれらの業務からはずし,平成14年4月から同本部内の保険業務を行うよう指示した。原告は保険グループリーダーのP3氏とコミュニケーションをとれず,同人との折り合いが悪く,軋轢が生じたため,平成15年11月,P2本部長は原告をフード部門に移したが,その後も,,同様で原告は他人との必要なコミュニケーションを欠落して自分勝手な行動に走りまたチームワークを省みない行動に終始した。被告からこの点を重ねて指摘されても原告は改善するよう努めなかった。 業績の上がっていなかったNBD本部は,平成16年2月末をもって廃止さ 分勝手な行動に走りまたチームワークを省みない行動に終始した。被告からこの点を重ねて指摘されても原告は改善するよう努めなかった。 業績の上がっていなかったNBD本部は,平成16年2月末をもって廃止されることになり,NBD本部社員5名について職務を変更する必要が生じた。そのうち2名はすぐ異動先が決まったが,原告を含む3名に関しては,受け入れ先部署の希望や必要性に適合せず,被告社内に適切なポジションを見つけることができなかった。そのため,原告を人事部付きとして,人事部長の指示による単発業務を担当させるしかないこととなった。 被告はNBD本部当時に原告が行っていた業務について当該業務後任者への引継ぎ,,を行うよう指示したがマニュアル作成は職務として当然行うべきことであったのになかなか完成させることができず,平成16年6月21日にようやく引継を完了することができた。 被告では,ポジションに空きのある部署がその旨を社員に広く伝えて,異動に意欲のある社員から応募を募集する制度があるところ,平成16年3月1日以降,被告の社内公募制度に原告は1度も応募していない。 本件配転・降格には業務上の必要性があること,原告の適性,能力,実績からして本件配転・降格には合理性があること,不当な動機・目的がないことからして人事権の濫用には当たらない。 第3当裁判所の判断 証拠等によって認定できる事実証拠(甲36,乙14,17,証人P1,同P4及び原告本人尋問の結果のほか各認定事実の末尾に掲記したもの)及び弁論の全趣旨を総合すると以下の事実を認定することができる。 (1)原告は,被告に入社する前は訴外株式会社ユーシンにおいて総合企画部課長職と厚生年金基金事務長職を兼務していた。 その後,原告は被告の管理職その後には副社長と面談の上,平成4年9月に被告の物流部門 )原告は,被告に入社する前は訴外株式会社ユーシンにおいて総合企画部課長職と厚生年金基金事務長職を兼務していた。 その後,原告は被告の管理職その後には副社長と面談の上,平成4年9月に被告の物流部門の管理職として採用された(原告本人【1頁)。 】(2)原告は,被告に入社後,次のような職種を担当した(争いがない)。 ①平成4年9月から平成7年1月まで流通部企画管理室課長②平成7年2月から平成9年4月まで業務管理部課長- 4 -③平成9年5月から同年10月まで顧客サービス部CS企画管理室所属④平成9年11月から平成12年2月まで財務管理部⑥平成12年3月から平成13年9月までマーケティング部門⑦平成13年10月から平成16年2月までNBD本部所属原告は,被告への入社後,平成6年からの被告の旧給与体系における職能給制度上全10等級のうち6等級(5等級以上が管理職待遇)であったところ,平成14年1月以降は5等級の41とされている(甲2の10)。 また,上記③以降は,原告は課長から担当課長なる部下のいない課長職待遇のポストとなり,平成16年2月まで同様であった。 原告が⑦でNBD本部に所属して以降も,同部内で当初は新規商品の企画・販売を担当していたが,その後,保険業務の担当となり,さらにフード部門へと移っている。 この間の原告の給与は,平成5年1月1日以降,月額76万4500円,平成6年1月1日以降80万6600円,平成7年1月1日以降の等級とステップは6-13で月額基本給85万円,平成8年1月1日以降の等級とステップは6-16で月額基本給88万円,平成9年1月1日以降の等級とステップは6-19で月額基本給89万5000円と推移したが,その後,平成14年1月1日以降の等級とステップは5-41で月額基本給75万4000円となり( 基本給88万円,平成9年1月1日以降の等級とステップは6-19で月額基本給89万5000円と推移したが,その後,平成14年1月1日以降の等級とステップは5-41で月額基本給75万4000円となり(以上までが被告における旧給与体系,その後新給与体系に以降したときである平成15年)1月1日以降はグレードがM13,月額基本給が69万7400円,役割手当5万円,調整給8万1600円となった(甲2の2,3,5,6,8,10,1。 1)(3)被告では平成16年2月末をもってNBD本部を解散することとなった。 これに伴い,被告のP1人事部長は,同月17日付けで原告に対し,以下の3案を提示した(甲7)。 ①第1案(会社都合による退職)退職日平成16年2月29日退職金944万5400円有給休暇買取144万1150円再就職支援サポートあり②第2案(会社都合による退職)退職日平成16年4月20日退職金960万7700円有給休暇残日数を全て消化する。 再就職支援サポートあり③第3案(人事部付)グレードM11基本給月額41万5000円(但し,役割定義の結果によって増減される可能性あり)業務内容人事部長の指示による単発的な業務等- 5 -,。 ,原告としては上記3案ともいずれも納得の行かないものであったとりわけ被告側が示唆する退職については拒否するに至っている(原告本人【6頁)。 】(4)被告は,平成16年3月1日,同日付けで,原告を人事部付(以下「第1次配転」という)とし,グレードはM11,基本給41万5200円,調整給なしと。 する辞令を発令した(甲4)。 ,,,ア被告のP1人事部長は原告に対し平成16年7月2日付けの業務指示書で同月5日から,以下の業務(以下「業務指示1」という)を命じた(甲1 調整給なしと。 する辞令を発令した(甲4)。 ,,,ア被告のP1人事部長は原告に対し平成16年7月2日付けの業務指示書で同月5日から,以下の業務(以下「業務指示1」という)を命じた(甲13)。 。 (i)警備業務本社ビルにおいて,ビジネス・スーツ(警備腕章を貸与)を着用のうえ,視認,。 ,によって来客・入館者を監視するとともに非常時の対応に備える配置場所は本社ビル敷地内で人事部長または人事部長が指名するスーパーバイザーからの指示によるものとする。配置時間は,午前9時より午後4時50分(正午より午後1時までは休憩時間)とする。 (ⅱ)安全確認業務人事部長または人事部長が指名するスーパーバイザーからの指示に基づき,オーディトリアムで開催される会議等に先立ちオーディトリアム内および付近の安全点検を行う。 (ⅲ)業務報告の方法日次報告:添付書式により午後5時までに日報を作成のうえ,人事部長が指名するスーパーバイザーへ提出すること臨時報告:非常時発生の場合は,人事部長が指名するスーパーバイザーの指示に従い行動し,事後速やかに人事部長へその内容を口頭にて報告のうえ,日報に詳細を記載することイその後,P1人事部長は,原告に対し,平成16年8月2日付けの業務指示書で,同日より,人事部補助業務,渋谷駅前統一美化デー,クリーンナップ活動協力業務(以下「業務指示2」という)を命じた(甲16)。 。 (5)さらにその後,被告は原告に対し,平成17年7月19日付けで,従業員資格区分のグレードはM11のままにして,従来の人事部付きからクレジットグループに異動(以下「第2次配転」という)となった。 。 争点(配転及び降格)について前記認定事実によれば,原告は被告に管理職として入社し,平成5年から同9年までに被告の旧賃金体系のもと ットグループに異動(以下「第2次配転」という)となった。 。 争点(配転及び降格)について前記認定事実によれば,原告は被告に管理職として入社し,平成5年から同9年までに被告の旧賃金体系のもとで昇給を毎年受けており,その間流通部と業務管理部で課長職として勤務してきたが,平成9年5月以降は顧客サービス部CS企画管理室所属となり,部下のいない担当課長とされ,その後は財務管理部,マーケティング部,そしてNBD本部へ異動している。NBD本部勤務中である平成14年1月以降には給与の等級とステップが5-41に下がっており,原告が徐々に中心業務から外れていっているように受けとめられる。そして,NBD本部が解散する平成16年2月末を転機に,前記認定事実(3)におけるP1人事部長の条件提示内容からすると,被告は暗に原告に対して退職をした方がよいという示唆をしていることが容易に看取できる。これに対して原告が退職を拒否する対応に出ると,前記認定事実(4)のとお- 6 -り,被告は,原告の同意あるいは同人との真摯な話し合いなしに人事部付きとして配置転換し,同時に従業員資格区分を従来のM13から非管理職のM11に降格して給与を大幅に下げている。しかも,原告は人事部長あるいは同人が指名する者の指示管理下に置かれて前記認定事実(4)ア,イのような2度にわたる業務指示を受けている状況からすると,被告は原告に対して退職しないことによる不利益をことさらに課しているものと見ざるを得ない。 これに対して,被告は,それまでの原告の仕事振りについての事実関係や会社の上司あるいは周囲の者の原告に対する評価や評判・意見について主張・立証を展開している。確かに被告提出の書証及び人証(証人P1,同P4)によれば,人事評価は被告における原告に対する社内の評価方式に則って毎年行い,原告 の者の原告に対する評価や評判・意見について主張・立証を展開している。確かに被告提出の書証及び人証(証人P1,同P4)によれば,人事評価は被告における原告に対する社内の評価方式に則って毎年行い,原告については良い評価になっておらず,被告提出の関係者の陳述書による評判もこれに沿うものとなっているものの,たとえ被告が原告についてこのような人事評価を下したとしても,前提事実(2)の原告のそれまでのキャリア・年齢や前記認定事実(1)のように被告が当初は物流に通じた管理職として原告を採用した経緯からすると,これまでの被告における勤務歴に照らしても,NBD本部解散を契機に他に原告の受入部署が見当たらないとして人事部付きにした上で,業務指示1及び2のような指示をすることは行き過ぎであるものと言わざるを得ない。それは取りも直さず,原告に退職を仕向ける不当な動機・目的が被告にあることを強く推認させるものである。これに反する被告のP1人事部長の証言・供述部分は,NBD本部解散後原告を受け入れる職場がなかったとして当時は人事部付きとする選択肢しかなかった旨の供述をしており,説得力に欠けるものであり信用できない。 原告が昭和○年○月○日生れで現在53歳であることからすると,平成4年9月に被告に入社したときには40歳であり,働き盛りの年令であったものと思われる。その間上記のように昇給も毎年重ねてきたところであり,平成9年半ば以降は頭打ちの状態になったように見受けられるものの,原告が業務上あるいは業務を利用した私的行為等で取り立てて大きな損害を被告に与えたり,対外的に被告の評判を大きく低下(()させる行為があった訳ではないのに被告には懲戒制度甲3ー規程集第9章第2節もあるがそのような懲戒歴も証拠上原告には見当たらない,NBD本部の解散を。)契機に,当該本 評判を大きく低下(()させる行為があった訳ではないのに被告には懲戒制度甲3ー規程集第9章第2節もあるがそのような懲戒歴も証拠上原告には見当たらない,NBD本部の解散を。)契機に,当該本部の仕事は縮小されたとはいえP4ほかの者には引き継がれていながら,原告からはその仕事を取り上げて他の担当者に引き継がせた上で人事部付きとして原告のキャリアを生かすような特段の仕事を用意するわけでもなく冷遇するのは,会社の人事権の行使として見て合理性・説得力に欠けるものである。 被告は,これまでの原告の勤務態度や上司・同僚らの原告に対する評価・評判を取り上げて,会社の原告に対する今回の対応は業務上の必要性に基づいたものであること,本件配転・降格が有効であり,むしろ原告の仕事の力量や勤務態度からは当然の結果である旨の主張と立証を縷々試みている。 しかし,被告が本件配転・降格について立証すべき業務上の必要性については,まず,いかに原告の仕事ぶりに問題があったかということについては原告が逐次反論していることとの関係で,当裁判所はこれまでの原告の個々の仕事に立ち入りそれを認定することは立証命題との関係で必要性はないものと考える。また,原告に対する被- 7 -告の評価に関しても,被告の評価制度において原告と被告で認識にずれがあるようだが,被告が認識する原告の独断専行であるとかコミュニケーション不足といった問題点について各年度ごとにどれだけ目標設定させて効果が達成できなかったかなど各年の会社の評価を踏まえて原告といかに話し合い改善・自覚を促したかが明らかではなく,そのため原告の認識との間に食い違いが生じているようにも思われ,被告における一方的な各年度の評価だけで決まるものとも思えないから人事評価の適格性についても上記立証命題との関係でその詳細に立ち入って判断 のため原告の認識との間に食い違いが生じているようにも思われ,被告における一方的な各年度の評価だけで決まるものとも思えないから人事評価の適格性についても上記立証命題との関係でその詳細に立ち入って判断する必要があるとは思われない。加えて,仮にある程度の業務上の必要性があったとしても,前記認定事実のような資格区分におけるグレードをM13とする管理職の待遇給与からM11の非管理職へと降格して大幅な減給を伴う形でなした本件配転・降格は,前記に認定判断したとおり不当な動機・目的に基づくものであることからすると,やはり合理性を基礎付けるのは難しいものといわなければならない。 その他,本件証拠上,被告が人事権に基づいて原告に対してした本件配転・降格処分の有効性,合理性を客観的に裏付けるに足りるものは見当たらない。 そして,上記のように第1次配転が無効である以上,さらにその後に被告が原告に対して行った第2次配転も前記のように被告の不当な動機・目的が依然として存在していると推認される状況下でなされているものと思われ,原告本人の供述によればクレジットカードのデータの集計等の業務のようであるが,証拠上P1人事部長の証言・供述等によっても原告がこれまで積み重ねてきた経験や知識を生かすものとも認められない以上,上記同様人事権の濫用に当たるものとして原告に対する関係でその効力は否定されるべきである。 以上によれば,原告に対する被告の平成16年3月以降の配転命令は無効であり,同様に新給与制度とリンクした従業員資格区分であるグレードを同月以降M13からM11に降格した処分も無効であるから,原告の被告に対する各確認請求には理由があり,かつ,降格後の賃金と降格前の従来賃金との差額(月額41万3800円)の請求及び将来請求である降格前の給与月額の支給も認容することとして,主 効であるから,原告の被告に対する各確認請求には理由があり,かつ,降格後の賃金と降格前の従来賃金との差額(月額41万3800円)の請求及び将来請求である降格前の給与月額の支給も認容することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第36部裁判官福島政幸- 8 -

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