主文 本件控訴を棄却する。控訴費用は控訴人の負担とする。事実 控訴代理人は、「原判決を取消す。被控訴人が昭和四一年一月一一日に申立人飯島産業労働組合(以下飯島産業労組又はたんに組合という)被申立人控訴人間の昭和三九年(不)第一号事件についてした救済命令(以下本件救済命令という)はこれを取消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」旨の判決を求め、被控訴代理人は主文同旨の判決を求めた。当事者双方の事実に関する主張及び証拠関係は次に附加するほか原判決事実摘示のとおりであるから、ここにこれを引用する。証拠(省略) 理由 一当裁判所もまた結論において原判決と同一に判断するものであり、その理由は次に附加訂正するほか原判決の理由と同一であるから、これをここに引用する。二当事者の追加について控訴人は、本件救済命令手続において、被控訴人がすでに各解雇退職の日から一年以上経過したA、Bをその当事者として追加したのは労働委員会規則(以下労委規則という)三四条一項三号に違反し、したがつて、本件救済命令は取消されるべきであるという。前記引用の原判決認定の事実によると、Aに対する懲戒解雇は昭和三九年三月三一日、Bに対する退職の取扱いは同年二月一六日であり、本件救済命令手続は当初飯島産業労組が申立人となり右各日時より一年以内に申立てられて開始され係属したが、その後昭和四〇年三月三〇日本件組合及びA、B両名から当事者として右両名を追加する申立がなされ、被控訴人が同年九月九日労委規則三二条の二に基づきこれを<要旨>認容し、申立人としてA、Bを追加する旨決定したものである。労委規則三二条の二による当事者の追</要旨>加は、すでに申立によつて開始された救済 が同年九月九日労委規則三二条の二に基づきこれを<要旨>認容し、申立人としてA、Bを追加する旨決定したものである。労委規則三二条の二による当事者の追</要旨>加は、すでに申立によつて開始された救済手続中に、当事者その他の関係者から申立があつたとき又は労働委員会の会長が必要と認めたとき公益委員会議の決定によりなされるものであるが、いずれの場合も当該事件開始後の情況、審理の経過、事情の変更等により事件の解決に予定される救済命令の実効性を期するためその命令の効力を直接に受けてその履行を実現するべき地位にある者を申立人又は被申立人たる当事者として確保するとともに、この者にも当該手続において陳述、立証等の機会を保障する必要があるところから定められたものと解される。 会長が必要と認めたとき公益委員会議の決定によりなされるものであるが、いずれの場合も当該事件開始後の情況、審理の経過、事情の変更等により事件の解決に予定される救済命令の実効性を期するためその命令の効力を直接に受けてその履行を実現するべき地位にある者を申立人又は被申立人たる当事者として確保するとともに、この者にも当該手続において陳述、立証等の機会を保障する必要があるところから定められたものと解される。従つて右当事者の追加があつたとしても、もとよりあらたに別個の救済申立事件が追加開始されるものではなく、当該事件の同一性は前後変らないものというべきであるから、追加されるべき当事者の関係で、労委規則三四条一項三号の救済申立期間すなわち行為の日から一年以内であるかについては、当該事件の当初の申立の時を基準として判断すべきであり、申立又は職権による追加決定の時を基準として判断すべきではないと解するのが相当である。本件において、前記事実によると、本件救済命令申立時は、A、Bともなお解雇、退職取扱の日から一年以内であるから、右説示により、被控訴人のした当事者追加決定に違法はない。この点についての控訴会社主張は失当である。三 Aの本件救済命令申立に関する組合代表資格について控訴会社は、Aには飯島産業労組を代表して本件救済命令申立をする代表資格がないのにそれがあるとしてした本件救済命令は違法で取消を免れないという。原判決理由第二の三1の冒頭証拠摘示のうち「同C」とある部分を「原審及び当審証人 組を代表して本件救済命令申立をする代表資格がないのにそれがあるとしてした本件救済命令は違法で取消を免れないという。原判決理由第二の三1の冒頭証拠摘示のうち「同C」とある部分を「原審及び当審証人C」と、同所及び1末尾から五行目の「証人D」とある部分を「原審及び当審証人E」と、同所及び1末尾から四行目の「原告代表者尋問の結果」を「原審及び当審における控訴会社代表者尋問の結果」と訂正するほか、この点の認定判断は原判決理由と同一である。なお、F、G両課長が控訴会社代表者の失脚を策した事実があつたとしても、飯島産業労組の昭和三八年八月一七日の大会の役員選挙の効果を左右するものではない。もつとも組合は発足したばかりであり、幹部も未熟であつたため右大会の招集、役員の選出手続等において若干不備の点があることは否めないが、当時E執行委員長が組合の役員としての地位を放棄し控訴会社にも出勤せず、Hら四名の執行委員がその任務を怠り事実上その地位から離脱し、その他引用の原判決認定の状況の下でなされた緊急の大会であり、役員の選出であつて、たとえその間組合規約の明文には字義どおりそわない点でかしがあつたとしても実質的に違反するものではなく、その意味でこれが当然無効であるとする理由はなく、その大会は有効に開催され、役員としてA執行委員長ほか執行委員等を選出したこともまた有効であるというのを妨げない。 ら四名の執行委員がその任務を怠り事実上その地位から離脱し、その他引用の原判決認定の状況の下でなされた緊急の大会であり、役員の選出であつて、たとえその間組合規約の明文には字義どおりそわない点でかしがあつたとしても実質的に違反するものではなく、その意味でこれが当然無効であるとする理由はなく、その大会は有効に開催され、役員としてA執行委員長ほか執行委員等を選出したこともまた有効であるというのを妨げない。そして、後述四のように、昭和三八年九月一〇日に開かれた組合の大会は本件組合の組合員の多くが分離して別に事実上いわゆる第二組合として分裂した組合に結集して開かれた大会であるから、それによつてもAは分裂前の本件組合の執行委員長の地位を失わず、本件救済命令申立の当時本件組合につきA以外の者が執行委員長に選任されていないので、任期終了後も引続き本件組合の執行委員長の職務を行な それによつてもAは分裂前の本件組合の執行委員長の地位を失わず、本件救済命令申立の当時本件組合につきA以外の者が執行委員長に選任されていないので、任期終了後も引続き本件組合の執行委員長の職務を行ない、その代表資格を有していたものというべきである。したがつて、Aが飯島産業労組の代表者として本件救済命令申立をしたのは適法であり、前記控訴会社主張は失当である。四本件救済命令手続の通知聴聞について控訴会社は、被控訴人が本件救済命令手続を進めるにつき飯島産業労組の正当な代表者であるEに対し通知をせず聴聞の機会を与えなかつた違法があり、本件救済命令は取消されるべきであるという。この点に関する認定判断は、原判決理由第二の四1冒頭及び末尾記載の証拠関係を前記三と同一に訂正するほか、原判決理由第二の四1ないし3と同一に判断する。五 Aの懲戒解雇、Bの退職取扱について控訴会社は、Aに対しては、昭和三八年一〇月ころから五か月余にわたる無断欠勤をしたことが、就業規則五三条二号の正当な事由がなく引続き一〇日以上欠勤したときは懲戒解雇できる旨の規定に該当するため懲戒解雇したものであり、また、Bは昭和三九年二月一六日自らの意思で任意に退職届出をしたので退職取扱いをしたのにすぎないから、本件救済命令には事実誤認の違法があり取消を免れないという。原判決理由第二の五1冒頭の証拠掲記の部分、同末尾の証拠排斥部分を前記三と同様に訂正し、原判決理由第二の五1の(一)ないし(五)と同一の事実認定をする(但し、(四)の八行目の「I」とある部分を「H」と訂正する。 当するため懲戒解雇したものであり、また、Bは昭和三九年二月一六日自らの意思で任意に退職届出をしたので退職取扱いをしたのにすぎないから、本件救済命令には事実誤認の違法があり取消を免れないという。原判決理由第二の五1冒頭の証拠掲記の部分、同末尾の証拠排斥部分を前記三と同様に訂正し、原判決理由第二の五1の(一)ないし(五)と同一の事実認定をする(但し、(四)の八行目の「I」とある部分を「H」と訂正する。)。当審における証人Jは、F、Bのところには、ビラにJを暴力団員であるかのように書いたのは誰か聞きに行つただけで、同人らまたはその家族を脅迫したことがない旨述べるけれども、この点は成立に争いない乙第四 審における証人Jは、F、Bのところには、ビラにJを暴力団員であるかのように書いたのは誰か聞きに行つただけで、同人らまたはその家族を脅迫したことがない旨述べるけれども、この点は成立に争いない乙第四号証の二、第五号証の二の各記載原審証人Bの証言と対比してとうてい信用できない。当審証人Hは、Bが任意に退職届を提出したもので、同人との電話による応答はその退職届の出されたあとである旨述べるが、同人の証言では何故Bが退職届を作成提出するにいたつたかの経緯について何らふれるところがなく、Bの退職届が同人の意思に基づくとしても、事のそこにいたつた事情はすべて右引用の原判決認定のとおりであり、電話応答の日時の点は原審証人Bの証言と対比してにわかに信用することができない。また、当審証人Eは、同人が昭和三八年一〇月ころAに対し控訴会社に出勤するよう求めたと述べるが、Eがそれで控訴会社の業務命令の伝達をした趣旨ではないから、それは右引用の認定を妨げない。その他、控訴会社の立証をもつてしても、右引用の認定を左右することはできない。右引用の事実によると、控訴会社代表者Kは、Aが飯島産業労組を結成した中心人物で、書記長としてのちには執行委員長として熱心に組合運動をしていたのを嫌悪し、その組合運動を阻止するためたまたま組合結成の当初でまだ十分その組織が固まらず、組合員にも動揺があつたところから「熱をさます」と称して同人ら積極分子を休職とし、休職期間経過後出勤したAを、業務上の組織変更を名目として従前の販売係長見習から年令体力に不相応で激しい肉体労働を要求される配達兼倉庫係に配置転換した上厳しくその作業状況を監視し、Aが休職、配置転換の不当を訴え地域の上部労組機関である地区労の応援を得て団交をしたところ、Aの出勤を妨害しいやがらせを行ない、控訴会社の意を体するE も動揺があつたところから「熱をさます」と称して同人ら積極分子を休職とし、休職期間経過後出勤したAを、業務上の組織変更を名目として従前の販売係長見習から年令体力に不相応で激しい肉体労働を要求される配達兼倉庫係に配置転換した上厳しくその作業状況を監視し、Aが休職、配置転換の不当を訴え地域の上部労組機関である地区労の応援を得て団交をしたところ、Aの出勤を妨害しいやがらせを行ない、控訴会社の意を体するE 係に配置転換した上厳しくその作業状況を監視し、Aが休職、配置転換の不当を訴え地域の上部労組機関である地区労の応援を得て団交をしたところ、Aの出勤を妨害しいやがらせを行ない、控訴会社の意を体するEなどにいわゆる第二組合を作らせてAの従業員に対する発言力を封じ、Aを事実上企業外に排除し、欠勤するほかない状況に追い込んでこれを放置した後、その欠勤を無断欠勤として懲戒解雇したもので、控訴会社側の右のような態度がなければAの欠勤もなかつたであろうことは明らかである。したがつて、右解雇は、結局においてAが正当な労働組合の行為をしたことを理由に不利益差別をしたものであり、労働組合法七条一号の不当労働行為にあたり無効であるといわざるをえない。同旨の判断の下にAに対する関係で本件救済命令を発した被控訴人の処分には何らの違法はなく、この点についての控訴会社主張は理由がない。次に、Bの退職取扱いについてみるのに、控訴会社代表者Kは、Bが昭和三八年八月一七日の臨時大会以来Aとともに組合執行委員として活発な組合活動をし、控訴会社代表者のBに対する組合脱退勧告を同人が拒否したことから同人を嫌悪し、前同様組織変更を名目として販売課主任から業務課配達係に配置転換し、Aと同様、他の者よりも厳しい監視をし、第二組合分裂後は控訴会社内で組合活動をしえなくし、出勤を妨害し事実上企業外に排除し欠勤するほかない状況に追い込み欠勤させ、Jや控訴人の意を体した従業員などを通じ退職を強く求め、家族に強迫的言辞を用いて畏怖させ、そのため、Bはやむを得ず退職届書を作成し郵送するにいたつたものであり、本来このようなことがなければ引続き控訴会社に止まるべきところで退職はその本意でなかつたことは明らかである。従業員が正当な労働組合活動をしたことを理由に、使用者から不当な配置転換、出勤妨害 のであり、本来このようなことがなければ引続き控訴会社に止まるべきところで退職はその本意でなかつたことは明らかである。 迫的言辞を用いて畏怖させ、そのため、Bはやむを得ず退職届書を作成し郵送するにいたつたものであり、本来このようなことがなければ引続き控訴会社に止まるべきところで退職はその本意でなかつたことは明らかである。従業員が正当な労働組合活動をしたことを理由に、使用者から不当な配置転換、出勤妨害 のであり、本来このようなことがなければ引続き控訴会社に止まるべきところで退職はその本意でなかつたことは明らかである。従業員が正当な労働組合活動をしたことを理由に、使用者から不当な配置転換、出勤妨害、退職強要などを受けて、事実上企業外に排除され、欠勤のやむなきにいたつた後不本意ながら退職届を提出した場合には、使用者が、従業員の提出した退職届に基づき退職の取扱いをしたとしても、それは労組法七条一号の組合の正当な行為をしたことを理由として不利益な取扱いをしたことにあたり不当労働行為として無効であると解するのが相当である。思うに、右のような場合の退職の申出は使用者の組合活動嫌悪に起因し、それなければなかりし関係にあるものであつて、結果的には使用者の組合運動を理由とする懲戒解雇とほとんど同一の効果を有するものであるからである。本件において、前記事実によると、控訴会社がBの提出した退職届に基づき任意退職の取扱いをしたことは、右説示の点から、労組法七条一号の不当労働行為にあたり無効であるというのを妨げない。これと同旨の判断をして被控訴人がBに関する本件救済命令を発したことは何ら違法もなく、この点の控訴会社主張も理由がない。六結論よつて本件救済命令の取消を求める控訴会社の本訴請求は失当として棄却すべきところ、これと同趣旨の原判決は相当であり、本件控訴は理由がないのでこれを棄却し、控訴費用の負担につき民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。(裁判長裁判官浅沼武裁判官田嶋重徳裁判官高木積夫)
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