平成11(行コ)15 解散命令取消等請求控訴事件(原審 広島地方裁判所平成9年(行ウ)第32号)

裁判年月日・裁判所
平成13年3月7日 広島高等裁判所 その他
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判決文本文25,639 文字)

主文 一原判決中、控訴人らの敗訴部分を取り消す。 二被控訴人の控訴人らに対する請求をいずれも棄却する。 三訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。 事実及び理由 第一当事者の求めた裁判一控訴の趣旨主文と同旨二控訴の趣旨に対する答弁 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 第二事案の概要次に原判決を補正し、当事者の主張を付加するほか、原判決「第二事案の概要」、「第三本件の争点」、「第四争点に対する当事者の主張」の各欄に記載のとおりであるから、これを引用する。 一原判決の補正 1 原判決五頁末行の「者であり、」を「者である。」と改め、「被告N」から六頁一行目の「であった者である。」までを削除する。 2 原判決七頁一行目の「被告らに対し、国家賠償法一条一項あるいは民法七〇九条、七一九条に基づき、」を「控訴人県に対し、国家賠償法一条一項に基づき、」と改め、同頁八行目から九行目までを削除し、同頁一〇行目の「五損害額」を「四損害額」と改める。 3 原判決四一頁七行目の「、因島福祉サービス」を削除する。 4 原判決四四頁末行から四五頁八行目までを削除し、同頁九行目の「四争点五について」を「三争点四について」と改める。 二当事者の主張(控訴人ら) 1 控訴人県知事が改善命令においてなした、使途不明金・不当支出の返還命令は、使途不明金・不当支出を生じた法人の責任により原状回復をすることを命ずるものであり、理事やAに返還を求めるものではなく、その責任が経済前、実質的に誰の負担に帰するかという問題とは無関係である。また、使途不明金の使途は被控訴人自身が一番よく把握しているものであるから、被控訴人は監督権者である控訴人県知事に対し使途を明らかにできるはずであり、当然明らかにすべ るかという問題とは無関係である。また、使途不明金の使途は被控訴人自身が一番よく把握しているものであるから、被控訴人は監督権者である控訴人県知事に対し使途を明らかにできるはずであり、当然明らかにすべきである。にもかかわらず、使途を明らかにしない場合は正当な目的のために右金員が支出されたとは考え難く、控訴人県知事は、右態度そのものに照らして不当な支出と推認し是正を求めることができるのであり、使途不明金や不当支出金の返還を命ずることができるのは、理事等が右金員を私的に流用した場合に限られない。 平成九年三月三一日の三八四五万二二七八円の仮払金についていえば、控訴人県知事は、平成九年五月七日に実施した特別監査において、本部会計の累積仕訳一覧表及び平成八年度の貸借対照表の記載から借入金及び右仮払金の計上を認知し、被控訴人が自ら借入金として計上しそのように認めるべき一応の根拠があったことから、右借入金及び仮払金が被控訴人に帰属すると認定し、改善命令等を発したものである。被控訴人は、このうちかもめ信用金庫及び株式会社広島総合銀行からの借入金について、BやCに対する被控訴人の借入金債務の弁済に充てたと主張するが、被控訴人の会計帳簿にはそのような痕跡はなく、この点について被控訴人は合理的な説明をしていないのであるから、右Bらからの借入金の借主は被控訴人ではなくA個人である疑いが強いというべきであり、右かもめ信用金庫及び広島総合銀行からの借入金が右Bらに対する債務の返済資金として利用されたことを理由として、当該支出が使途不明金であることを否定することはできない。 2 社会福祉法人事業及びその運営管理の実情に最も精通している者は国や県知事であるから、国や県知事の社会福祉事業法五四条の指導監督権限の行使については、原則としてその判断は尊重されるべきであり、 。 2 社会福祉法人事業及びその運営管理の実情に最も精通している者は国や県知事であるから、国や県知事の社会福祉事業法五四条の指導監督権限の行使については、原則としてその判断は尊重されるべきであり、その司法的抑制は社会観念上著しく妥当を欠き裁量権を逸脱したと認められる場合に限るべきである。そして、被控訴人の法人運営、施設運営、会計処理は著しく不適切なものであったから、解散命令の方法によるほか監督の目的を達することはできないとした控訴人県知事の判断に裁量権の踰越・濫用は認められない。 (被控訴人) 1 平成九年三月三一日仮払金(因島福祉サービス、かもめ、ヒロソー、Dからの経常資金借入分)は、海幸苑事務員のEが控訴人県職員の指示に従って勝手に帳簿記載したものであり、因島福祉サービスからの借入金五〇〇万円、Dからの借入金一〇〇〇万円は存在しないし、広島総合銀行(ヒロソー)、かもめ信用金庫からの借入金は未返済であるから、使途不明金は存在しない。 2 不利益処分の処分理由については、当該処分をする側が立証責任を負うものであるところ、本件においては個人的流用等の証拠がなく、被控訴人に使途不明金があったとの立証はなされていないから、右使途不明金の存在を前提とする返還命令は違法である。また、解散命令のように重い不利益処分をする場合には、少なくともいわゆる使途不明金、不当支出金が明白に被控訴人の目的外に使用され被控訴人が損害を被ったとか、個人的に流用され背任、横領に該当するような事例であることを処分者において立証しなければならない。 3 社会福祉法人に支払われた措置費は老人の介護を委託されたことに対する対価であり、法人に入金された後は法人の金であるから、これが老人介護のために全額使用されなければならないわけではなく、適切な介護がなされている限り法人が剰余金 費は老人の介護を委託されたことに対する対価であり、法人に入金された後は法人の金であるから、これが老人介護のために全額使用されなければならないわけではなく、適切な介護がなされている限り法人が剰余金を他の支出に充てることは法人の自治の範囲で許されるべきである。そして、措置費を他の支出に充てることにより現実に施設の運営に支障が生じたり、支障が生じる危険が切迫するような状態を招来しなければ不当な支出とはいえない。 仮に不当支出と目すべきものがあったとしても、被控訴人は改善命令後はその指摘された支出をほとんど中止し、返還についても拒否しているわけではなく時間的猶予を求めていたのであるから、即時返還を命じることが妥当であったかは極めて疑問である。 第三証拠原審及び当審の証拠関係目録に記載のとおりであるから、これを引用する。 第四当裁判所の判断一事実経過次に訂正、付加するほか、原判決四六頁一〇行目の「事実経過」から七六頁三行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 1 原判決四七頁一行目の「四〇、」の後に「四五、四七、」を加える。 2 原判決五一頁九行月の「過大である。」の後に、「近隣の同種の社会福祉施設や」を加え、同頁一〇行目の後に行を改めて「(4) 平成六年度に理事長に四〇万円が支給されているが、平成六年度の本部会計は赤字であり、本部会計の主たる収入源が施設会計からの繰入金であるから、この報酬の支払は不適切であり、今後この報酬の支給はしないこと。」を加える。 3 原判決五九頁一行目の「二四日」を「二五日」と訂正する。 4 原判決六三頁四行目の「一七日」を「一八日」と訂正する。 5 原判決六七頁一〇行目の「広島総合銀行」の後に「、因島福祉サービス」を加える。 二本件解散命令の理由及び改善命令等の内容原判決七六頁五行目から八○頁 行目の「一七日」を「一八日」と訂正する。 5 原判決六七頁一〇行目の「広島総合銀行」の後に「、因島福祉サービス」を加える。 二本件解散命令の理由及び改善命令等の内容原判決七六頁五行目から八○頁末行までに記載のとおりであるから、これを引用する。 三改善命令等の相当性について 1 理事会について乙一四、三七、五一ないし五三、五六、五八ないし六〇、六二、六四、七〇及び弁論の全趣旨によれば、被控訴人の理事会の開催が平成六年度は年二回、平成七年度が年三回と低調であったこと、平成六年ないし八年度の議事録の内容に不明確な部分があったことが認められる。 したがって、控訴人県知事が被控訴人に対して、右の点について適正化を図るように改善命令を発することには理由がある。 2 役員について甲四九、乙三七、四二、五一ないし五三、五六、五八ないし六〇、六二、六四、七〇、七九によれば、被控訴人の理事に地元地域の代表が加わっていないこと、監事に被控訴人の定款上欠員が生じていること、監事に理事長らと親族関係のあるFが加わっていることなど、「社会福祉法人の認可について」(昭和三九年一月一〇日厚生省社会局長・児童局長通知)の別紙第一「社会福祉法人審査基準」の第三「法人の組織運営」に規定する事項に抵触する事項が本件監査等の時点に存在したこと、平成五年一二月一三日の指導監査において、被控訴人は欠員となっている理事を速やかに選任し、次回改選時には地元から理事を選任する等理事構成について配慮すべきことを指摘され、監事の欠員の状態は平成五年二月から続いており、平成六年一〇月一七日、平成七年七月一三日及び平成八年八月五日、二八日の指導監査においてその点が指摘されていたことが認められる。 したがって、控訴人県知事が被控訴人に対して、右の点について適正化を図るように改善命 七日、平成七年七月一三日及び平成八年八月五日、二八日の指導監査においてその点が指摘されていたことが認められる。 したがって、控訴人県知事が被控訴人に対して、右の点について適正化を図るように改善命令を発することには理由がある。 3 使途不明金の返済について(一) 乙五、九三、一〇三ないし一〇五及び弁論の全趣旨によれば、特別養護老人ホームを経営する社会福祉法人は、その施設の運営について老人福祉法二一条に基づき「措置に要する費用」として、国、県及び市町村から委託費として措置費を受領することから、措置費等公的資金の収支を明瞭にし、その受託責任を明らかにすることを基本的な目的として、昭和五一年一月三一日付け社施第二五号厚生省社会局長・児童家庭局長通知により社会福祉施設を経営する社会福祉法人の経理規程準則が制定され、被控訴人も右準則に基づき経理規程を定めていることが認められる。そして、被控訴人は、社会福祉事業法四二条二項、八七条四号により毎会計年度終了後二月以内に正確な財産目録、貸借対照表、収支計算書等を作成し、常にこれを事務所に備え置くことが義務づけられ、そのために、右準則及び経理規程に基づき会計帳簿を備えるとともに、すべての取引を伝票によって記帳し、それを裏付ける請求書、領収書等の証拠書類は一○年間保存することとされ、ほぼ年一回控訴人県の監査を受けていたのであるから、被控訴人がある支出等について記帳せず、あるいは記帳していてもその支出に該当する領収書等の証拠書類を保存していないため、その使途が不明であり、この点について、その支出は被控訴人の運営のために使用したという被控訴人の説明が不合理で不自然なため信用できないとき、あるいは説明を全くしないときは、右支出金は被控訴人がその運営の目的外に使用したものと推認するのが相当である。そして、このよ めに使用したという被控訴人の説明が不合理で不自然なため信用できないとき、あるいは説明を全くしないときは、右支出金は被控訴人がその運営の目的外に使用したものと推認するのが相当である。そして、このような場合、控訴人県知事は社会福祉事業法五四条二項に基づき右不当な支出をした被控訴人に対しその適正な運営のため右金員を被控訴人に返還することを命じ原状回復を求めることができると解すべきである。なお、法人に対する金員返還の改善命令は当該理事らが法人の財産を私的に流用したなど当該理事に対して返還を求め得る場合に限ってすることができるという考えは、独自の見解であって採用できない。 (二) そこで、控訴人らが使途不明金であると主張するものにつき、使途不明金であるか否か、またこれについての被控訴人の説明が信用できるかどうかについて判断する。 (1) 平成七年度本部会計雑費①平成七年六月二九日一〇〇万円(元帳摘要欄の記載 B理事へ理事長借入金返済)被控訴人は、被控訴人の施設の建築費及び設備費の一部に充てるため、昭和六二年一一月二九日Bから借り受けた二五〇〇万円の借入金に対する弁済金であると主張し、同日付けB宛ての預り証(甲二〇)を提出する。しかし、被控訴人の会計帳簿上右借入金の記載はなく、昭和六二年度決算書にも、被控訴人の債務としてはAからの借入金五〇〇〇万円が記載されているのみで、Bからの借入金二五〇〇万円の記載はなく(乙一、四)、平成八年八月五日の定例監査及び同月二八日の特別監査の際、被控訴人は前記一〇〇万円の返済について証拠書類を示して説明するように求められたが、右預り証等の証拠書類を監査担当者に呈示して説明したりすることはなかった(乙三九、四〇、四七)(この認定に反する甲四一ないし四三、五九は右乙号証に照らし信用できない。)。また、被控訴人が められたが、右預り証等の証拠書類を監査担当者に呈示して説明したりすることはなかった(乙三九、四〇、四七)(この認定に反する甲四一ないし四三、五九は右乙号証に照らし信用できない。)。また、被控訴人が右Bからの借入金に対する一部弁済の原資としたと主張する平成四年二月二九日のGからの一〇〇〇万円の借入も被控訴人の会計帳簿上その記載はなく、甲一八の借用書も右監査の際呈示されていない(甲七五、乙三九、四〇、四七)。さらに、被控訴人が右B及びGからの借入金の弁済に充てるため、平成七年九月一三日借り入れたと主張するかもめ信用金庫からの二〇〇〇万円の借入も被控訴人の会計帳簿に記載されていない(記載されたのは平成九年三月三一日になってからである。乙一、三九)。この点につきAは、かもめ信用金庫からの借入債務について記帳しなかったのは、かもめ信用金庫が帳簿に計上しないことを融資の条件にしたからである旨別件訴訟で供述し、同旨の陳述書を作成しているが(甲四三、五九、六二)、かもめ信用金庫がそのような不正な会計処理を求めた理由についてAは何ら説明しておらず、また会計処理を厳格にすべきかもめ信用金庫が貸付け先の会計帳簿に貸付金が計上されることによって困る事情は考え難いから、右供述部分及び陳述書の記載はたやすく信用できず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。 また、被控訴人はBに対し前記借入金に対し分割弁済をしたというのに、その都度同人から領収書を受け取っていない(甲二〇)し、内二二〇万円はA個人が立替払いしたというのに(甲一五)、右の支払も被控訴人が弁済したとする他の支払と何ら区別されていない。そして、被控訴人がBからの借入金二五〇〇万円で購入したとする設備什器備品等の具体的な品名及びその金額も明らかにしておらず、また、Aは施設開設に当たって自転車振興会から受領 と何ら区別されていない。そして、被控訴人がBからの借入金二五〇〇万円で購入したとする設備什器備品等の具体的な品名及びその金額も明らかにしておらず、また、Aは施設開設に当たって自転車振興会から受領した一億九〇〇〇万円以外はA個人の資産、資金によって施設を完成させたと陳述している(甲五九)が、これとBからの借入金を建築費の一部に充てたとする被控訴人の主張が矛盾しているようにみられ、さらに、後記平成七年度施設会計雑費①の一〇〇万円及び③の八○万円については、平成八年九月二七日、平成六年時点の混乱時に生じた債務の返済や対策費用であると弁明している(乙五二)。 以上の事実に照らせば、被控訴人が昭和六二年一一月二九日Bから二五〇〇万円を借り受け、それに対する弁済金であるとする被控訴人の説明は不自然、不合理であって到底信用することはできず、他にこれを認めるに足りる証拠はない(甲八三のBの陳述書も平成一一年四月になって作成されており、直ちには信用できない。)。そして、右事実関係に前記総勘定元帳の「理事長借入金返済」の記載は借主がA個人であることを示唆していることをも併せ考えれば、仮にBが二五〇〇万円をAに渡しているとすれば、同人はA個人に貸したものと考えるのが自然である。したがって、前記一〇〇万円は使途が不明であり、被控訴人運営の目的外に使用されたものと推認される。 ②平成七年八月二二日二四万円(元帳摘要欄の記載空欄)被控訴人は、平成六年上半期ころCから施設運営資金として借り受けた一〇〇〇万円の返済のために、平成七年七月七日広島総合銀行から借り受けた一〇〇〇万円に対する分割弁済金であると主張する。確かに甲一三の1、2、二一によれば、右帳簿記載の二四万円は、被控訴人がCに支払うため平成七年七月七日広島総合銀行から一〇〇〇万円を借り入れた借入 た一〇〇〇万円に対する分割弁済金であると主張する。確かに甲一三の1、2、二一によれば、右帳簿記載の二四万円は、被控訴人がCに支払うため平成七年七月七日広島総合銀行から一〇〇〇万円を借り入れた借入債務に対し同年八月二二日分割弁済した金(ただし、正確な金額は二二万八一二九円)であることが認められるので、使途不明金ではない。しかしながら、被控訴人が平成六年上半期ころCから一〇〇〇万円を借り受けたことを裏付ける借用証書は存在せず、被控訴人の会計帳簿にも右借入金の記載はなく、広島総合銀行からの右借入金についても同じく記載がない(記載されたのは平成九年三月三一日になってからである。乙一、六、三九)。この点につき、Aは、広島総合銀行からの借入債務について記帳しなかった理由について別件訴訟で右①と同内容の供述をし、同旨の陳述書を作成しているが(甲四一ないし四三、五九、六二)、右①において説示したのと同様の理由により、たやすく信用できす、他にこれを認めるに足りる証拠はなく、また、Aは、Cからの借入金については被控訴人の職員EがAの指示に反して記載しなかった旨供述するが(甲六二)、それ自体不自然であり信用できない。また、分割弁済金の返済について、被控訴人は平成八年九月二七日付け弁明書(乙九)、同年一一月六日付け報告書(乙一〇)、平成九年一月二二日付け報告書(乙一一)において、東京方面での啓蒙活動及び協力者獲得活動に伴い支出したものであると説明し、被控訴人は控訴人県の監査の際にも右各借入の事実を隠し続けていた(乙三九、四七。この認定に反する甲四三、五九のAの陳述書の記載及び甲六二の同人の供述部分は乙三九、四七に照らして信用できない。)。そして、総勘定元帳(後記平成七年度施設会計雑費④)の「苑長借入金返済」の記載は借主がA個人であることを示唆しており、以上 書の記載及び甲六二の同人の供述部分は乙三九、四七に照らして信用できない。)。そして、総勘定元帳(後記平成七年度施設会計雑費④)の「苑長借入金返済」の記載は借主がA個人であることを示唆しており、以上の事実に照らせば、被控訴人がその施設運営費としてCから一〇〇〇万円を借り受けたとの説明は信用できず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。そうすると、被控訴人が債務を負っていないのに右Cに対して支払うために広島総合銀行から借り入れた行為は、被控訴人運営の目的外の事項に支出するために被控訴人の理事長Hがその権限を濫用して被控訴人名義で借り入れたものといわざるを得ず、被控訴人との関係においてはH個人が広島総合銀行に対して弁済する責任があるというべきであるから、この弁済金を被控訴人の資産から支出するのは不当な支出に当たる。これにより被控訴人の資産が減少したから、右弁済金二二万八一二九円の返還を被控訴人に命じるのは相当である。なお、甲一三の1、2、二一及び弁論の全趣旨によれば、Aは平成七年七月七日右Cに対し一〇〇〇万円を広島総合銀行からの右借入金から支払っていることが認められる。 (2) 平成七年度施設会計雑費①平成七年四月二七日一〇〇万円(元帳摘要欄の記載 B理事へ現金届ける)前記(平成七年度本部会計雑費①)説示のとおりであり、右債務の弁済は被控訴人運営の目的外の支出であると認められる。 ②平成七年五月二九日三〇〇万円(元帳摘要欄の記載 I氏に二年前借入金返済)被控訴人は、平成五年ころ、被控訴人は施設・法人を売却するため買手を探していたところ、Iという人物から売却先を紹介されたが、結局法人を売却しないこととなり、Iが被控訴人に替わり費用の立替払いをしたので、これを支払った旨主張し、これに沿う文書を提出するが(甲一五、六二、乙一一)、右支払 という人物から売却先を紹介されたが、結局法人を売却しないこととなり、Iが被控訴人に替わり費用の立替払いをしたので、これを支払った旨主張し、これに沿う文書を提出するが(甲一五、六二、乙一一)、右支払を証する領収書等の文書はなく、被控訴人やA等の説明によってもIが右売却先とされる者に支払った金員の性質は不明確であり(被控訴人は違約賠償と主張しているが、平成九年一月二二日付け報告書(乙一一)には手数料と記載されている。)、また、右金員は大阪にある駅のコーナーで授受されたなど内容的にも不自然さを否めず(甲六二、乙四七、四八)、たやすく信用できない。したがって、右支出は使途不明金であり、被控訴人の運営の目的外の支出であると推認される。 さらに、仮に右金員が被控訴人主張のとおり支払われたとしても、乙八七、八八及び弁論の全趣旨によれば、被控訴人法人ないし施設の譲渡は理事の交代という形式で行われ、その対価や費用等も理事ないし理事長個人が取得し、あるいは負担するものであることが認められるから、Iへの金員支払も取引に関与した理事ないし理事長個人が負担すべきものであると考えられるから、被控訴人が負担すべきでない金員を不当に支出したものということができる。 したがって、いずれにせよ右支出は被控訴人の運営の目的外の支出であると推認される。 ③平成七年九月四日八○万円(元帳摘要欄の記載かもめ信用関係、B氏へ)前記(平成七年度本部会計雑費①)説示のとおりであり、右債務の弁済は被控訴人運営の目的外の支出であると認められる。なお、右「かもめ信用関係」との記載も趣旨不明である。 ④平成七年七月一七日三〇六万円(元帳摘要欄の記載 C氏へ苑長借入金返済)前記(平成七年度本部会計雑費②)説示のとおりであり、右債務の弁済は被控訴人運営の目的外の支出であると認めら 明である。 ④平成七年七月一七日三〇六万円(元帳摘要欄の記載 C氏へ苑長借入金返済)前記(平成七年度本部会計雑費②)説示のとおりであり、右債務の弁済は被控訴人運営の目的外の支出であると認められる。なお、右金額は甲一六の領収証記載の金額三〇六万三七四五円と金額が一致しないし、甲二一の領収証の金額と甲一六の領収証の金額との関係が不明である。 ⑤平成七年一〇月二六日一〇〇万円(元帳摘要欄の記載弁護士、税理士来苑、交通費他)被控訴人は、尾道税務署との源泉徴収税問題及びその他の問題についての弁護士・税理士費用であり、領収書も存在すると主張するが、右領収書の提出はなく、主張にかかる委任事務の内容及びそれぞれの費用の額も不明確であり、被控訴人は右支払について具体的な説明ができていないから、元帳摘要欄の右記載は信用できず、右金員は使途が不明であり、目的外に使用されたものと推認される。 ⑥平成七年八月四日四五万円(元帳摘要欄の記載空欄)被控訴人は、前記かもめ信用金庫からの借入債務の分割弁済金として右金員を支出したものであると主張するが、元帳摘要欄の記載を空欄とし、その領収書も存在しないうえ、かもめ信用金庫の被控訴人への貸付は平成七年九月一三日の手形貸付(甲一七の1)と平成八年九月一一日の証書貸付(甲一七の2ないし5、二九)があるのみで、右貸付以前に同金庫から貸付がなされたことを認めるに足りる証拠はないから、被控訴人が右金員を右使途に支出したとの弁解は到底信用できるものではなく、右支出は使途が不明であり被控訴人運営の目的外に使用されたものと推認される。 ⑦平成七年八月二三日二四万円(元帳摘要欄の記載空欄)被控訴人は、Aの立替払い交通費として右金員を支出したものであると主張するが、元帳摘要欄の記載を空欄にし、その領収書等の文書は される。 ⑦平成七年八月二三日二四万円(元帳摘要欄の記載空欄)被控訴人は、Aの立替払い交通費として右金員を支出したものであると主張するが、元帳摘要欄の記載を空欄にし、その領収書等の文書は存在しないうえ、具体的な使途も明らかにしていないこと、被控訴人は平成八年八月二八日の特別監査の際右主張のとおり説明したと主張するが、同年九月二七日付けの弁明書(乙五二)においては平成六年時点の混乱期に生じた債務の返済や対策費用であると説明し、平成九年一一月六日付けの内容証明郵便(甲一五)においては広島総合銀行に対する借入債務の分割返済金であると説明していることに照らせば、被控訴人の説明は変遷を重ねる不合理・不自然なものであって信用できず、右支出は使途が不明であり被控訴人の運営の目的外の事項に使用されたものと推認される。 ⑧平成七年九月一九日二四万円⑨平成七年一〇月二三日二〇万円⑩平成七年一一月二二日二三万円⑪平成七年一二月二〇日二二万円⑫平成八年一月二二日二三万円⑬平成八年二月二一日二一万円⑭平成八年三月二二日二二万円(元帳摘要欄の記載いずれも空欄)前記(平成七年度本部会計雑費②)説示のとおりであり、甲一三の1、2によれば、右記載の金額合計一五五万円に一万三七六三円を加えた一五六万三七三六円が広島総合銀行に対する弁済に充てられていることが認められるが、右弁済に充てられた一五五万円は不当な支出であると認められる。 (3) 平成七年度施設会計旅費①平成八年一月二九日三〇万円(元帳摘要欄の記載沖縄研修旅費、苑長)②平成八年二月二六日三〇万円(元帳摘要欄の記載旅費、苑長交際費)被控訴人は、右①はAと被控訴人監事Jとで沖縄県における高齢者施設等の見学を含めて研修旅行に行った際の費用で 旅費、苑長)②平成八年二月二六日三〇万円(元帳摘要欄の記載旅費、苑長交際費)被控訴人は、右①はAと被控訴人監事Jとで沖縄県における高齢者施設等の見学を含めて研修旅行に行った際の費用であり、右②はAが青森県に開設された老人施設を見学・研修した際の費用であって、いずれも被控訴人の理事会の承認を得ていると主張するが、具体的な旅行日程や費用の内訳等については明らかでなく、宿泊費や旅費等の容易に証拠資料を残せる費目についてもそれが存在しないし、理事会での議事内容を示す議事録も存在せず、苑長交際費という元帳の記載も右主張と一致しない。しかも、①については、Jが被控訴人監事に就任したのは平成八年一〇月一四日のことであり(乙一〇)、それ以前の被控訴人との関係は本件証拠上明らかではなく(控訴人県職員にはAの友人と自称していた。乙八五)、②についてもAに同行したとされるKという人物(乙一一)と被控訴人との関係は不明であり、これらに照らすと、被控訴人の右説明は不自然・不合理で信用できず、右支出は使途が不明であり被控訴人の運営の目的外の事項に使用されたものと推認される。 (4) 平成八年度本部会計仮払金平成九年三月三一日三八四五万二二七八円(元帳摘要欄の記載因島福祉サービスからの借入金五〇〇万円、かもめ信用金庫からの借入金一七六五万二二七八円、ヒロソーからの借入金五八○万円、Dからの借入金一〇〇〇万円)被控訴人の本部会計の累積仕訳一覧表(控訴人らの平成一二年九月二〇日付け準備書面の別紙2として添付されているもの)の平成九年三月三一日の記載によれば、右各借入金が同日普通預金とされ、同日その普通預金の合計三八四五万二二七八円が仮払金として全額支出したように記載されている。控訴人県は平成九年五月七日実施の特別監査により右記載を知り、被控訴 れば、右各借入金が同日普通預金とされ、同日その普通預金の合計三八四五万二二七八円が仮払金として全額支出したように記載されている。控訴人県は平成九年五月七日実施の特別監査により右記載を知り、被控訴人の理事長らに右仮払金の使途の説明を求めたが、その使途を示す証拠書類の提出がなく、使途を明確にできなかったため、控訴人県知事は右仮払金を使途不明金と認定し、平成九年度に仮払金が減額となった五六五万円を右三八四五万二二七八円から差し引いた三二八○万二二七八円の返還を命じた(乙三九、六五)。 ところで、被控訴人に使途不明金があるとして被控訴人にその返還を命じるためには、使途不明金によって被控訴人の資産が減少したことがいえなければならず、そのためには被控訴人が前記借入金を真実借り入れたことが認定されなければならない。そこで、被控訴人が右各借入をしたか否か、したとした場合その使途についての被控訴人の説明が合理的なものとして信用できるかについて検討する。 ア①因島福祉サービスからの借入金五〇〇万円被控訴人の帳簿には、平成九年四月三〇日右五〇〇万円が返済されているように記載され、控訴人県も仮払金が右金額分減少したとして使途不明金をその金額だけ減額しているから、因島福祉サービスからの右借入金五〇〇万円が実際にあったか否かの判断は必要がない。 ②かもめ信用金庫からの借入金一七六五万二二七八円甲一七の1ないし5、二九によれば、被控訴人は平成七年九月一三日借入金返済のためかもめ信用金庫から二〇〇〇万円の手形貸付を受けていたのを平成八年九月一一日証書貸付に切り替え、右かもめ信用金庫から二〇〇〇万円を、同年一〇月六日から毎月六日に四五万一五八一円を四八回にわたって返済する条件で借り受け、平成九年三月三一日当時残債務が一七六五万二二七八円であったことが認められる かもめ信用金庫から二〇〇〇万円を、同年一〇月六日から毎月六日に四五万一五八一円を四八回にわたって返済する条件で借り受け、平成九年三月三一日当時残債務が一七六五万二二七八円であったことが認められる。 ③ヒロソーからの借入金五八○万円甲一三の2によれば、被控訴人は平成七年七月広島総合銀行から一〇〇〇万円を借り受け、同年七月から分割返済をし、平成九年三月三一日当時残債務が五八○万円であったことが認められる。 ④Dからの借入金一〇〇〇万円被控訴人理事長H名義と受け取れなくもない借用書(その中身は領収書と同じ。 乙八二)が存在するが、現在被控訴人とDとの間で、右借入金は被控訴人の借入金かそれとも被控訴人を譲渡する契約の手付金としてH個人が受領したものかが裁判で争われており、右手付金であるとする主張も直ちに理由がないと断定できないので、右のようなあいまいな借用書だけから被控訴人がDから一〇〇〇万円を借入したと認めることはできず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。 イ右アによれば、右④に対応する仮払金一〇〇〇万円は単に収支のバランスをとるだけのものとなって被控訴人の資産を減少させないが、②、③に対応する仮払金二三四五万二二七八円から平成九年四月一〇日に仮払金が減少したかもめ分四五万円とヒロソー分二〇万円を差し引いた二二八○万二二七八円の仮払が被控訴人の資産を減少させることになる。そこで、その使途について検討する。 広島総合銀行からの借入金は全額前記認定のとおり被控訴人の債務でないCに対する借入金債務の返還に充てられ、かもめ信用金庫からの借入金のうち一八四〇万円は前記B及びGに対し被控訴人の債務でない借入金債務の弁済に充てられており(甲一八、一九の1ないし8、二九。なお、右Gが被控訴人に対し金員を貸し付けた事実を認めることができない理由は前記 八四〇万円は前記B及びGに対し被控訴人の債務でない借入金債務の弁済に充てられており(甲一八、一九の1ないし8、二九。なお、右Gが被控訴人に対し金員を貸し付けた事実を認めることができない理由は前記(1)の①のBの場合と同じである。)、そして被控訴人はかもめ信用金庫からの借入金二〇〇〇万円は右B及びGからの借入金の返済のために借り入れたと主張しているが、二〇〇〇万円から右弁済金一八四〇万円を控除した残額一六〇万円の使途を示す証拠はない。したがって、広島総合銀行からの借入金の使途は右Cからの借入金に対する支払であり、かもめ信用金庫からの借入金のうち一八四〇万円は右B及びGからの借入金に対する支払であるが、残金一六〇万円については使途が不明であり被控訴人の運営の目的外に使用されたものと推認される。 ウしかし、先に認定のとおり被控訴人はC、B及びGに対し借入債務を負っていなかったから、これらに対する支払は不当支出になる。したがって、前記二二八○万二二七八円を仮払金として支出したことは被控訴人に債務だけを負担させて被控訴人の資産を減少させたことになるから、A又はHが個人的に右債務の支払をしようとしない限り、右金員の返還を被控訴人に命じることは相当である。なお、右②の借入金も前記(1)②で説示した広島総合銀行からの借入金の場合と同様に被控訴人の債務でない債務の返済のために被控訴人理事長Hが理事長の権限を濫用して被控訴人名義でかもめ信用金庫から借入したものと認められるから、被控訴人との関係においてはHが個人として返済すべきものである。しかし、H及びAは右各借入金は被控訴人のために借入したものであるとして被控訴人の会計から平成九年五月以降も毎月分割弁済金として合計六五万円程度を支払っていくことを予定していた(甲一七の2ないし5、乙一)。 (5) 各借入金は被控訴人のために借入したものであるとして被控訴人の会計から平成九年五月以降も毎月分割弁済金として合計六五万円程度を支払っていくことを予定していた(甲一七の2ないし5、乙一)。 (5) 平成八年度施設会計雑費①平成八年四月一一日五〇万円(元帳摘要欄の記載 L親子、B氏に対する対策費、苑長交際費)被控訴人は、右支出はL親子及びBから不当な要求を受けたため、これらに対応するための弁護士費用等であり、苑長交際費の記載は被控訴人の職員Eが勝手に記載したと主張する。しかしながら、被控訴人は右支出を証明する領収書等を当然に保存しておかなければならないのにそれが存在しないこと、被控訴人主張のとおりの支出であれば総勘定元帳に苑長交際費とは記載されないこと、被控訴人は平成八年八月二八日の特別監査の際前記のとおり説明したと主張するが、平成九年一月二二日付け報告書(乙一一)ではL親子、B氏に対する対策費は苑の行事に対するL親子の妨害を回避するために雇ったアルバイト費用であり、苑長交際費はAの交通費の負担を軽減するために計上したものである旨説明していることに照らせば、被控訴人の説明は大きく変遷する不合理なものであって信用できず、右支出は使途が不明であり被控訴人の運営の目的外の事項に使用されたものと推認される。 ②平成八年五月八日六二万〇七二一円(元帳摘要欄の記載苑長交際費)被控訴人は、右支出はかもめ信用金庫に対する分割金の返済と交際費の合計であり、平成八年八月二八日の特別監査時にはその旨詳細に説明したと主張する。しかしながら、被控訴人主張の分割弁済金や交際費が支払われたことを示す証拠はないばかりか、甲一七の1ないし5、二九によれば、被控訴人は平成七年九月一三日かもめ信用金庫から二〇〇〇万円の手形貸付を受けたところ、右借入金は平成八年九 弁済金や交際費が支払われたことを示す証拠はないばかりか、甲一七の1ないし5、二九によれば、被控訴人は平成七年九月一三日かもめ信用金庫から二〇〇〇万円の手形貸付を受けたところ、右借入金は平成八年九月一一日かもめ信用金庫からの二〇〇〇万円の証書貸付に切り替えた借入金によって一括弁済されたことが認められ、右期日以前の平成八年五月八日に手形貸付について分割弁済が行われたとは認め難いこと(なお、甲二九には、融資利息支払の記載はあるが、その支払金額と右②及び後記平成八年度施設会計雑費④の支出とは一致しない。)、被控訴人は平成八年九月二七日付け弁明書(乙五二)において、右支出は被控訴人の啓蒙活動、協力者獲得活動の費用であると説明し、平成九年一月二二日付けの報告書ではAが東京都と因島市を往復することによる交通費の負担を軽減するために計上したものである旨説明していることに照らせば、被控訴人の説明は不合理、不自然なものであって信用できず、右支出は使途が不明であって被控訴人の運営の目的外の事項に使用されたものと推認される。 ③平成八年六月二六日四〇万円(元帳摘要欄の記載諸対策費)被控訴人は、この当時海幸苑における短期入所制度(ショートステイ)の増床が認められたことに伴い広島県内外の施設を見学した際の旅費であり、平成八年八月二八日の特別監査時にはその旨詳細に説明したと主張する。しかしながら、被控訴人主張の見学の具体的な旅行日程や訪問先の施設は明らかでなく、当該支出に対応する領収書等も存在しないばかりか、被控訴人は平成八年九月二七日付け弁明書(乙五二)において、右支出は平成六年時点の混乱期に生じた債務の返済や対策費用であると説明し、平成九年一月二二日付け報告書(乙一一)ではM弁護士に対する報酬であると説明していることに照らせば、被控訴人の説明は変遷を て、右支出は平成六年時点の混乱期に生じた債務の返済や対策費用であると説明し、平成九年一月二二日付け報告書(乙一一)ではM弁護士に対する報酬であると説明していることに照らせば、被控訴人の説明は変遷を重ねる不合理なものであって信用できず、右支出は使途が不明であって被控訴人の運営の目的外の事項に使用されたものと推認される。 ④平成八年六月三日六〇万円(元帳摘要欄の記載苑長交際費)被控訴人は、右支出はかもめ信用金庫からの借入金の分割弁済金とAの立替え交通費であると主張する。しかしながら、かもめ信用金庫からの手形貸付について平成八年九月一一日以前に分割弁済金の支払がなされたとは認め難いことは前記②で説示したとおりであり、しかも、交通費については領収書等も存在しないばかりか、被控訴人は平成八年九月二七日付け弁明書(乙五二)において、右支出は被控訴人の啓蒙活動、協力者獲得活動の費用であると説明し、平成九年一月二二日付け報告書ではAの交通費の負担を軽減するために計上したと説明しているもののかもめ信用金庫に対する分割弁済については全く触れていないことに照らせば、被控訴人の説明は不合理・不自然なものであって信用できず、右支出は被控訴人の運営の目的外の事項に使用されたものと推認される。 ⑤平成八年四月一九日二二万円⑥平成八年五月二一日二二万円⑦平成八年六月二〇日二二万円⑧平成八年七月一七日二二万円⑨平成八年八月二〇日二二万円⑩平成八年一一月二二日二二万円⑪平成八年一二月一九日二一万円⑫平成九年一月二〇日二一万円⑬平成九年二月二四日二二万円⑭平成九年三月二四日二二万円(元帳摘要欄の記載いずれも空欄)前記(平成七年度本部会計雑費②)説示のとおりであり、右記載の金額合計二一八万円のうち二一七万六八一二円が広島総合銀行 二二万円⑭平成九年三月二四日二二万円(元帳摘要欄の記載いずれも空欄)前記(平成七年度本部会計雑費②)説示のとおりであり、右記載の金額合計二一八万円のうち二一七万六八一二円が広島総合銀行に対する弁済に充てられている(甲一三の1、2)が、右弁済は不当な支出であると認められる。 (三) 以上によれば、控訴人県知事が使途不明金であると判断した五〇〇四万二九九九円のうち、一六九九万七五三三円が使途不明金であり、二三〇三万〇四〇七円が不当支出(ただし、かもめ信用金庫に対し残債務となっている一七六五万二二七八円に対応する同額の仮払金については全額不当支出として計算)であり、合計四〇〇二万七九四〇円が被控訴人の運営の目的外の用途に支出されたものである。 そして、被控訴人が右のような支出をすることは被控訴人の運営が著しく適正を欠いていると認められるから、右支出によって減少した被控訴人の資産の回復を図るため、右金額の返還を被控訴人に命ずるのは相当である。したがって、控訴人県知事のなした五〇〇四万二九九九円の返還命令は右の限度で適法なものであったと認められる。 4 不当支出金の返済について(一) 乙五、二七、四七、八○及び弁論の全趣旨によれば、被控訴人における会計は、法人本部の経理を行う本部会計、海幸苑の経理を行う施設会計、海幸苑診療所の経理を行う診療所会計に区分されていること、右の施設会計の大部分は公費である措置費によって賄われていることが認められる。 (二) 施設会計借入金の返済について既に認定した事実及び乙五、二七、四七、四八、五一、五八、六五、八○、一〇四、一〇五によれば、被控訴人の施設会計の大部分は公費である措置費により賄われているところ、措置費は、委託事務の内容に従い入所者の援護を行うのに必要な経費として算定されているものであり、そ ○、一〇四、一〇五によれば、被控訴人の施設会計の大部分は公費である措置費により賄われているところ、措置費は、委託事務の内容に従い入所者の援護を行うのに必要な経費として算定されているものであり、そのため「社会福祉施設を経営する社会福祉法人の経理規程準則の制定について」(昭和五一年一月三一日社施第二五号厚生省社会局長・児童家庭局長通知)の別紙1法人社会福祉法人経理規程準則一〇条には、各会計単位間において資金の一時繰替使用をした場合、その資金は当該年度内に補てんしなければならないものとされ、被控訴人の経理規程一〇条にも同旨の規程が存在するところ、被控訴人の平成七年度の決算時において一六五三万円の、平成八年度の決算時において二一二〇万三〇二八円の未返還の施設会計借入金が存在すること、さらに平成九年度においても措置命令に反し控訴人県の事前の承認を得ないまま施設会計から五六六万〇七三五円の借入を行ったことが認められる。そして、右によれば被控訴人の運営が著しく適正を欠くといえるから、控訴人県知事が被控訴人に対しすみやかに施設会計借入金を施設会計に返還すべきことを命ずることは相当であると認められる。 (三) 施設会計からの不当な支出(1) 乙一、一二、一七、一九、四七、四八によれば、被控訴人の施設会計から次のような支出(ただし、ケについては未払金であるが、支払義務が既に発生しているから、支出と同等に取り扱う。)がされていることが認められる。 ア平成七年度借料損料官舎借料(平成七年一一月分から平成八年三月分の自宅家賃、月額三九万円、合計一九五万円)車両リース料(平成八年三月一二日、月額一七万九二二〇円)イ平成七年度施設会計雑費お歳暮、服代(平成七年一二月四日、三〇万円)サザエ購入代金(平成七年五月三一日、同年六月三〇日、同年七月三一日、平 ース料(平成八年三月一二日、月額一七万九二二〇円)イ平成七年度施設会計雑費お歳暮、服代(平成七年一二月四日、三〇万円)サザエ購入代金(平成七年五月三一日、同年六月三〇日、同年七月三一日、平成八年一月三一日、同年二月二九日の計五回、合計五八万四五二五円)ウ平成七年度施設会計厚生経費苑長服代(平成七年一〇月一二日、同年一二月二〇日の計二回、合計四〇万円)エ平成七年度施設会計修繕費公用車修理代(平成七年一一月一六日、一三万五〇〇〇円)オ平成八年度施設会計損料官舎借料(平成八年四月分から同年一一月分、月額各三九万円(一一月分は一九万円)、合計二九二万円)車両リース料(平成八年四月から平成九年二月まで、月額一七万九二二〇円、合計一九七万一四二〇円)カ平成八年度施設会計雑費サザエ購入代金(平成八年五月三一日、同年七月五日、同年七月三一日、同年一〇月八日の計四回、合計四一万八五三〇円)リース車両違約金(平成九年三月二一日、一七万九二二〇円)キ平成八年度施設会計厚生経費苑長服代(クロダ洋服店、平成八年七月三一日、四五万円)ク平成八年度施設会計役務費リース車両返却査定料(平成九年二月二八日、二万一六九八円)ケ平成八年度施設会計未払金車両リース契約による違約金(平成九年三月三一日、二四七万二七七八円)右違約金は、被控訴人が車両をリースする必要がないのにリースしため解約せざるを得なくなって発生したものである。 以上に掲げた施設会計における支出は、いずれも海幸苑の施設入所者又は施設職員の処遇に関する支出ではないと認められ、金額も不相当に高額なものであって、これらを公費で賄われている施設会計から支出することは不当であるから、控訴人県知事がこれらの出費について返還命令を発したことは相当である。 (2) ないと認められ、金額も不相当に高額なものであって、これらを公費で賄われている施設会計から支出することは不当であるから、控訴人県知事がこれらの出費について返還命令を発したことは相当である。 (2) 被控訴人は、理事長・施設長が東京において支援者の獲得、確保のための活動をするために東京事務所を兼ねる官舎及び車両が必要であるから家賃及び車両のリース料の支払は不当ではないと主張し、Aは別件訴訟において同旨の供述をし、あるいは陳述書を作成している(甲六二、四三)。しかしながら、右官舎はそもそもAの自宅であり、Aが破産したため賃借が不可能となり被控訴人が借り上げたものであること、車両も東京においてAが利用していたものであると認められ(甲六二、乙一〇、三九、四七、五二、六七、弁論の全趣旨)、東京における活動の内容及びその必要性についての被控訴人の主張は具体的ではなく、広島総合銀行に対する分割弁済金の支払(平成七年度本部会計雑費②)について、当初被控訴人は東京地区における啓蒙活動、協力者獲得活動の費用であると説明していたこと(乙五二)からみても理事長・施設長が東京において活動していたことは疑わしいというほかなく、結局右支出は海幸苑の施設入所者又は施設職員の処遇に関する支出でないし、被控訴人にとって必要な費用であるとも認められない。 被控訴人は、他の職員に制服を支給していることから苑長服代の支出を認めたものであり、不当な支出ではないと主張する。しかしながら、購入された苑長服は背広であり(乙五二)、右支出額に照らせば社会通念上職員に対する制服の支給と同視できるものではなく、海幸苑の施設職員の処遇に関する支出とはいえない。 被控訴人は、お歳暮等の交際費は支援者の獲得・確保、医療関係者の支援の獲得・確保のため必要であったと主張するが、右支出は海幸苑の施設入 のではなく、海幸苑の施設職員の処遇に関する支出とはいえない。 被控訴人は、お歳暮等の交際費は支援者の獲得・確保、医療関係者の支援の獲得・確保のため必要であったと主張するが、右支出は海幸苑の施設入所者又は施設職員の処遇に関する支出でないことは明らかであり、その必要性も明らかではない。 被控訴人は、右支出は控訴人県の職員と相談の上、右職員の了解を得て支出したものであると主張し、これに沿うAの陳述書を提出するが(甲四〇、四二、五四、五九)、措置費を右各支出に充てることが目的外の使用に当たることは明らかであり、以前から監査の度に前記一の事実経過で認定したような問題点の指摘を行っていた控訴人県の職員がその大部分を措置費に依存する施設会計から右のような支出をすることを容認していたとは考え難いから、右陳述書の記載はたやすく信用できない。 (四) 理事長報酬について乙六、一二、三二によれば、被控訴人の理事長報酬は、本部会計から支出が行われていること、平成七年度の理事長報酬の支給日より以前の近接した日に施設会計から本部会計に借入が行われていることがいずれも認められる。このことからすれば、被控訴人の理事長報酬は本部会計から支出されているものの、その財源は施設会計からの借入金であると推認できる。また、理事長報酬は、本部会計の負担とされるべきものであるところ、被控訴人においてはその収入の柱となるべき寄付金収入がほとんど存在せず、本部会計は慢性的な赤字状態にあり、被控訴人の理事長はAが破産宣告を受けたこともあって就任したものであり、被控訴人を実質的に運営していたのは施設長であるAであって、理事長は名目的存在に過ぎなかった(甲六二、弁論の全趣旨)。さらに、平成七年七月一三日の監査の結果本部会計が赤字で施設会計からの繰入金を財源として理事長報酬を支払うことは のは施設長であるAであって、理事長は名目的存在に過ぎなかった(甲六二、弁論の全趣旨)。さらに、平成七年七月一三日の監査の結果本部会計が赤字で施設会計からの繰入金を財源として理事長報酬を支払うことは不適切であるから今後支給しないよう指摘されていた(乙三七)。以上の事実関係からすると、控訴人県知事がこのような会計処理を不当として被控訴人に対して改善を求めることには理由があり、その方法として平成八年度中に支払われた理事長報酬のうち平成八年一〇月三一日に返還された一〇〇万円を除く二〇九万六〇〇〇円の返還を被控訴人に対して命ずることは相当であったというべきである。 (五) 施設長給与について既に認定した事実、甲六二、乙二一、二二、二七、三七、五一ないし五三及び弁論の全趣旨によれば、Aの基本給が平成六年四月に四三万八五〇〇円であったものが平成七年四月に一〇六万円に増額され、同年七月一三日の監査の結果右給与額を改めるよう指摘されたため平成八年四月には一旦基本給の額を七〇万円に引き下げたが、同年五月からは月額一一八万円に再度引き上げたこと、平成七年度の被控訴人における施設会計は支出が収入を一三七万円四〇一〇円上回っていること、さらにAは平成五年度以降月平均二、三回程度しか海幸苑に来なかったことが認められる。これらのことからすれば、平成七年度の施設会計が赤字であるにもかかわらず、しかも右のような勤務実態であったのに施設長の基本給が約二・六倍になるほど大幅に増額されているといえるから、控訴人県知事が施設長の基本給の増額分の支出を不当と判断したことには合理性があり、被控訴人に対し施設長給与の現行給与を平成八年四月にさかのぼって引き下げ、平成八年四月から九月までの間に支給した過払分相当額四六一万三四〇〇円(月額六一万円の基本給支給の場合との差額。管理職 あり、被控訴人に対し施設長給与の現行給与を平成八年四月にさかのぼって引き下げ、平成八年四月から九月までの間に支給した過払分相当額四六一万三四〇〇円(月額六一万円の基本給支給の場合との差額。管理職手当及び六月分賞与の差額を含む。)の返還を命じたことも違法とはいえない。 被控訴人は、施設長の給与は労働者の賃金であるから、決定した以上は労働条件であり、使用者側で勝手に減額という不利益変更はできないと主張する。しかし、右命令はあくまで被控訴人に対し、不当に増額した施設長であるAの給与の是正を求めているところ、被控訴人を実質的に運営していたのはAであり、右増額決定も理事会決議がなくA自身が実質的に決定したものとみられるから、被控訴人に右是正をしようとする意思さえあればその実行は極めて容易なことであり、被控訴人の右主張は理由がない。 また、被控訴人は、Aの通勤交通費が多額であるから、その点を考慮すべきであると主張するが、これは施設の存在する因島市から極端な遠隔地である東京都内に居住するAをあえて施設長としている被控訴人の側で考慮すべき問題であり、しかもAは被控訴人設立申請に当たって、地元に生活本拠を移すことを確約していたのであるから(乙八九の1)、被控訴人の主張は理由がない。 (六) 被控訴人は、措置費は老人の介護を委託されたことに対する対価であり、法人に入金された後は法人の金であるから、適切な介護がなされている限り法人が剰余金を他の支出に充てることは法人の自治の範囲で許される旨主張するが、措置費はその性質上、施設の運営のため適正に使用されなければならないことは当然であるところ、前記認定の施設運営と関係しない多額の金員が措置費から費消されれば、入所者の処遇等に必要とされる費用を圧迫する可能性は高いし、被控訴人の施設会計は平成七年度は支出が収入 ないことは当然であるところ、前記認定の施設運営と関係しない多額の金員が措置費から費消されれば、入所者の処遇等に必要とされる費用を圧迫する可能性は高いし、被控訴人の施設会計は平成七年度は支出が収入を上回っており、平成八年度は返還を受けることが困難である本部会計貸付金(本部会計は慢性的な赤字の状態にあり、その収入の大部分を占める寄付金収入がほとんど存在していない。)を除いた流動資産は二八九万七〇〇〇円で負債額の九六〇万七〇〇〇円を下回っているのであるから(乙二七、八○)、右施設会計からの支出は剰余金を他の支出に充てるというような場合であるとはいえず、右主張は採用できない。 四本件解散命令の適法性 1 違反事実の主な内容(一) 控訴人県知事が被控訴人に対して返還を命じた九二五〇万二五五三円(理事長報酬二〇九万六〇〇〇円は本部会計から施設会計への返還を命じられた金額と重なるから計算上加えない。)のうち、当裁判所が返還命令を相当とした金額合計八二四八万七四九四円(同じく理事長報酬二〇九万六〇〇〇円は加えない。)の内訳は次のとおりとなる。 被控訴人がその運営の目的外の事項に支出したものと認められる使途不明金及び不当支出(この不当支出は当然に支出が許されない違法な支出である。)は合計四〇〇二万七九四〇円である。そのうち一七二二万五六六二円は被控訴人の措置費等の収入から支出されたものであり、二二八○万二二七八円はかもめ信用金庫及び広島総合銀行から被控訴人の運営の目的外の用途に使用するために借り入れた借入金から支出されたものであるが、同金額が右借入金の平成九年四月末現在の残債務となっており、同年五月からも引き続き被控訴人の措置費等による収入から分割弁済金として毎月六五万円程度が支出されることになっていたものである。 平成七年度及び平成八年度におい 九年四月末現在の残債務となっており、同年五月からも引き続き被控訴人の措置費等による収入から分割弁済金として毎月六五万円程度が支出されることになっていたものである。 平成七年度及び平成八年度において海幸苑の施設入所者又は施設職員の処遇に欄する支出でないため不当な支出とされた金額は弁済金一〇〇万円を控除して一〇九八万二三九一円であり、不当な理事長報酬二〇九万六〇〇〇円(平成八年度中に支払われた金額から返還された一〇〇万円を控除)及び施設長給与の過払相当額四六一万三四〇〇円の合計額が六七〇万九四〇〇円であり、前記経理規程準則及び経理規程上及び措置命令違反により本部会計から施設会計に返還しなければならない金額が二六八六万三七六三円である。そして、被控訴人は前記八二四八万七四九四円の返還をしなかった。 (二) その他の違反事実は、理事会の議事録の記述が具体的でなく審議の内容が不明確であること、地元地域代表の理事及び欠員となっている監事が選任されていないこと等である。 2 そこで、次に他の方法により監督の目的を達することができなかったかどうかについて判断する。 (一) 被控訴人は、公的資金である措置費等によって施設を運営していたのであるから、支払を受ける措置費等はその目的に従って適正に使用し、施設の運営に支障が生じることのないようにすべきところ、右(一)のように被控訴人の運営の目的外の用途に使用された支出が約一七二三万円あり、目的外の用途に使用するため銀行等から借入した借入金の残債務が約二二八○万円あって、それが措置費等から分割弁済されることになっており、さらに前記不当支出が約一五六〇万円あり、以上合計約五五六三万円中約三二八三万円の支出は措置費等による被控訴人の資金を現実に不当に減少させ、右約二二八○万円の残債務に対する弁済は三年以内に現実に 、さらに前記不当支出が約一五六〇万円あり、以上合計約五五六三万円中約三二八三万円の支出は措置費等による被控訴人の資金を現実に不当に減少させ、右約二二八○万円の残債務に対する弁済は三年以内に現実に右資金を減少させるものであった。そして、被控訴人の本部会計は慢性的な赤字状態にあり、施設会計からの借入金が年々増加し、平成八年度末には約二一二〇万円になりその返還ができない状態であったから、被控訴人の減少した資金の回復ないしはその減少を阻止し被控訴人の施設の適正な運営を図るために少なくとも右五五六三万円は早期に返還させる必要があったといえる。 (二) これに対し被控訴人は、控訴人県知事に対し、平成九年一月二二日付け報告書(乙一一)において、使途不明金のうち領収書のない支出や不当支出とされた支出、既払の理事長報酬や施設長給与の四五万円を超える部分、施設会計借入金等についてできる限り返還することを表明し、さらに、同年二月一二日、返還金額四〇〇〇万円を今週中に返済する等の申入れをした(乙四〇、八八)。しかし、その後、返還期限は具体的な償還計画のないまま延期され、さらに被控訴人は、右報告書(乙一一)を作成した弁護士を解任し、施設会計借入金は施設運営のための借入金であるから返済しない、使途不明金は存在せず、不当支出とされるものも控訴人県の担当者が容認していたから不当支出とされるべきではないし、施設長給与の減額返還は労働基準法上不可能である等と主張するようになった。そして、平成八年一一月以降は控訴人県の担当者が繰り返してした説明のための来庁要請を解散命令に向けてのセレモニーに過ぎないとしていずれの要請も拒否した(甲四二、五九、六二)。 なお、被控訴人は、二〇〇万円以外にも約八○○万円を返還していると主張し、それに沿う陳述書(甲五四、五六)を提出しているが セレモニーに過ぎないとしていずれの要請も拒否した(甲四二、五九、六二)。 なお、被控訴人は、二〇〇万円以外にも約八○○万円を返還していると主張し、それに沿う陳述書(甲五四、五六)を提出しているが、その内容が抽象的で裏付ける証拠がないので同陳述書の記載を直ちに信用できず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。 控訴人県知事は平成八年八月五日以降監査を重ね、その監査結果に基づき被控訴人に対し改善事項を指摘して改善を求めた上で、三度にわたって社会福祉事業法五四条二項に基づく措置命令を発し、あるいは業務の一部及び全部停止命令を発したが、被控訴人はその大部分について具体的な改善を行わず(乙四一)、使途不明金については証拠資料を示すことなく抽象的で一貫しない説明、報告を繰り返し、使途不明金や不当支出金は存在しないと主張するに至ったものである。 (三) 被控訴人がした本件措置費等の目的外使用や不当支出の原因は、Aの公私を混同した姿勢だけでなく、理事会や内部監査がその機能を有効に果たしていなかったことにもあると考えられる(乙三七、三九、五三)が、被控訴人は、控訴人県の監査担当者から、理事に地元地域の代表が加わっていないこと、監事について被控訴人の定款上一名欠員があり、理事らと親族関係のある者が加わっていることなどについて前記三の2のとおり繰り返し是正を求められ、理事長の義兄である監事Fが平成八年八月六日辞任し、同年一〇月一四日、Jを監事に選任したものの、地元地域の代表の理事及び欠員の監事の選任については是正がなされなかった。 (四) 解散命令は被控訴人に対し致命的な打撃を与えるものではあるが、被控訴人の運営の目的外や不当な事項に支出された金額が多額にのぼること及びその支出内容、被控訴人の本部会計の慢性的な赤字状態、このような事態に至ったことに対する理 命的な打撃を与えるものではあるが、被控訴人の運営の目的外や不当な事項に支出された金額が多額にのぼること及びその支出内容、被控訴人の本部会計の慢性的な赤字状態、このような事態に至ったことに対する理事長やAの社会福祉法人経営者としての責任感の欠如、前記理事や監事の選任ができないことにより理事会運営や内部監査の充実が期待し難いこと、控訴人県知事の発した三度にわたる措置命令ではその大部分について改善が図られなかったこと、これらに鑑みれば、控訴人県知事が被控訴人について平成九年一二月一日解散命令以外に監督の目的を達することができないと判断したことには相当な理由があったというべきである。もつとも、被控訴人県知事が平成九年六月二日にした第三回目の措置命令中、前記のとおり一〇〇一万五〇五九円ほど多く使途不明金があるとしてその金額の返還を命じた点は違法であるが、この金額(右返還を命じた金額の約九分の一)を除いても返還を要する金額は多額であって、被控訴人県知事がした右判断の相当性には影響を及ぼさないというべきである。したがって、本件解散命令に控訴人県知事がその裁量権の範囲を逸脱したり濫用した違法はなく、本件解散命令は適法である。 五国家賠償について以上のとおり、控訴人県知事の行った本件解散命令は適法であるから、これが違法であることを前提とする被控訴人の国家賠償法一条一項に基づく損害賠償請求はその余の点について判断するまでもなく理由がない。 六以上によれば、被控訴人の請求はいずれも理由がないから棄却すべきであり、これと異なる原判決は不相当として取り消すこととし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民訴法六七条二項、六一条を適用して主文のとおり判決する。 広島高等裁判所第三部裁判長裁判官吉岡浩裁判官野々上友之裁判官檜皮高弘 とし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民訴法六七条二項、六一条を適用して主文のとおり判決する。 広島高等裁判所第三部裁判長裁判官吉岡浩裁判官野々上友之裁判官檜皮高弘

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