- 1 -主文 1 本件各訴えのうち,別紙主文目録記載の部分をいずれも却下する。 2 本件各訴えのその余の部分に係る各事件原告らの請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は各事件原告らの負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 第1事件及び第2事件国土交通大臣が平成18年4月21日にした別紙事業目録記載の各工事に関する事業認定を取り消す。 2 第3事件東京都収用委員会が,別紙第3事件原告目録1ないし同原告目録3記載の原告らに対し,平成19年12月27日にした別紙裁決目録記載の各明渡裁決及び権利取得裁決をいずれも取り消す(ただし,第3事件原告らが取消しを求める裁決は,別紙取消しを求める裁決一覧表記載のとおりである。)。 第2 事案の概要等1(1) 第1事件及び第2事件は,別紙事業目録記載の各事業につき国土交通大臣が平成18年4月21日にした上記各事業に係る土地収用法20条に定める事業の認定(以下「本件事業認定」という。)について,上記各事業の用に供するため必要とするとして本件事業認定によって起業者が収用又は使用をしようとする土地(以下「本件起業地」という。)の所有者,本件起業地に関して賃貸借による権利(以下「賃借権」という。)を有する者,本件起業地にある立木の所有者,本件事業認定に係る事業により高尾山の自然環境及び自らの生活環境に係る人格権又は環境権を侵害される旨主張する者並びにいわゆる自然保護団体である第1事件原告ら及び第2事件原告らが,上記各事業の起業者らは当該事業を遂行する充分な能力を有しないととも - 2 -に上記各事業には合理性ないし公益性は認められず,かえって,本件事業認定に係る事業を施行することにより,高尾山の歴史的な自然環境や生態系,水脈,景観等を破壊するとと を有しないととも - 2 -に上記各事業には合理性ないし公益性は認められず,かえって,本件事業認定に係る事業を施行することにより,高尾山の歴史的な自然環境や生態系,水脈,景観等を破壊するとともに,重大な大気汚染,騒音,振動,低周波空気振動が発生して周辺住民の健康に重大な影響をもたらし,その生活環境を破壊するなどの不利益を生じさせるものであることなどから,上記各事業は同法20条2号から4号までの要件に該当しておらず,また,本件事業認定に係る手続や上記各事業に係る環境影響評価の手続及び内容に瑕疵があり,更に本件事業認定は都市計画法及び自然公園法にも違反するなどと主張して,本件事業認定の取消しを求める事案である。 (2) 第3事件は,東京都収用委員会がした本件起業地に係る権利取得裁決及び明渡裁決について,上記各裁決の対象となった本件起業地の所有者,当該土地に関して賃借権を有する者,当該土地にある立木の所有者及び当該土地にある立て看板を所有すると主張する者である第3事件原告らが,上記各裁決には上記(1)に述べた本件事業認定の違法性が承継されるとともに,上記各裁決の手続及び内容にも固有の違法がある旨主張して,その取消しを求める事案である。 2 関係する法規の定め(1) 土地収用法ア土地収用法1条は,同法につき,公共の利益となる事業に必要な土地等の収用又は使用に関し,その要件,手続及び効果並びにこれに伴う損失の補償等について規定し,公共の利益の増進と私有財産との調整を図り,もって国土の適正かつ合理的な利用に寄与することを目的とする旨を定める。 イ土地収用法2条は,公共の利益となる事業の用に供するため土地を必要とする場合において,その土地を当該事業の用に供することが土地の利用上適正かつ合理的であるときは,この法律の定めるところ める。 イ土地収用法2条は,公共の利益となる事業の用に供するため土地を必要とする場合において,その土地を当該事業の用に供することが土地の利用上適正かつ合理的であるときは,この法律の定めるところにより,これを収用し,又は使用することができる旨を定める。 - 3 -ウ土地収用法15条の14は,起業者は,同法16条の規定による事業の認定を受けようとするときは,あらかじめ,国土交通省令で定める説明会の開催その他の措置を講じて,事業の目的及び内容について,当該事業の認定について利害関係を有する者に説明しなければならない旨を定める。 エ土地収用法16条は,起業者は,当該事業又は当該事業の施行により必要を生じた同法3条各号の一に該当するものに関する事業のために土地を収用し,又は使用しようとするときは,事業の認定を受けなければならない旨を定める。 オ土地収用法20条は,国土交通大臣は,申請に係る事業が次のすべてに該当するときは,事業の認定をすることができる旨を定める。 (ア) 事業が土地収用法3条各号の一に掲げるものに関するものであること(1号)(イ) 起業者が当該事業を遂行する充分な意思と能力を有する者であること(2号)(ウ) 事業計画が土地の適正かつ合理的な利用に寄与するものであること(3号)(エ) 土地を収用し,又は使用する公益上の必要があるものであること(4号)カ土地収用法23条1項は,国土交通大臣は,事業の認定に関する処分を行おうとする場合において,当該事業の認定について利害関係を有する者から同法24条2項の縦覧期間内に国土交通省令で定めるところにより公聴会を開催すべき旨の請求があったときその他必要があると認めるときは,公聴会を開いて一般の意見を求めなければならない旨を定める。 キ土地収用法25条 縦覧期間内に国土交通省令で定めるところにより公聴会を開催すべき旨の請求があったときその他必要があると認めるときは,公聴会を開いて一般の意見を求めなければならない旨を定める。 キ土地収用法25条1項は,同法24条2項の規定による公告があったときは,事業の認定について利害関係を有する者は,同項の縦覧期間内に,都道府県知事に意見書を提出することができる旨定めるとともに,同法2 - 4 -5条2項は,都道府県知事は,国土交通大臣が認定に関する処分を行おうとする事業について,同条1項の規定による意見書を受け取ったときは,直ちに,これを国土交通大臣に送付し,同法24条2項に規定する期間内に意見書の提出がなかったときは,その旨を国土交通大臣に報告しなければならない旨を定める。 ク土地収用法25条の2第1項本文は,国土交通大臣は,事業の認定に関する処分を行おうとするときは,あらかじめ社会資本整備審議会の意見を聴き,その意見を尊重しなければならない旨を定める。 ケ土地収用法26条1項は,国土交通大臣は,同法20条の規定によって事業の認定をしたときは,遅滞なく,その旨を起業者に文書で通知するとともに,起業者の名称,事業の種類,起業地,事業の認定をした理由及び同法26条の2の規定による図面の縦覧場所を官報で告示しなければならない旨を定める。 コ土地収用法28条の2は,起業者は,同法26条1項の規定による事業の認定の告示があったときは,直ちに,国土交通省令で定めるところにより,土地所有者及び関係人が受けることができる補償その他国土交通省令で定める事項について,土地所有者及び関係人に周知させるため必要な措置を講じなければならない旨を定める。 サ土地収用法28条の3第1項は,同法26条1項の規定による事業の認定の告示があった後においては, 事項について,土地所有者及び関係人に周知させるため必要な措置を講じなければならない旨を定める。 サ土地収用法28条の3第1項は,同法26条1項の規定による事業の認定の告示があった後においては,何人も,都道府県知事の許可を受けなければ,起業地について明らかに事業に支障を及ぼすような形質の変更をしてはならない旨定めるとともに,同法28条の3第2項は,都道府県知事は,土地の形質の変更について起業者の同意がある場合又は土地の形質の変更が災害の防止その他正当な理由に基づき必要があると認められる場合に限り,同条1項の規定による許可をするものとする旨を定める。 シ土地収用法35条1項は,同法26条1項の規定による事業の認定の告 - 5 -示があった後は,起業者又はその命を受けた者若しくは委任を受けた者は,事業の準備のため又は同法36条1項の土地調書及び物件調書の作成のために,その土地又はその土地にある工作物に立ち入って,これを測量し,又はその土地及びその土地若しくは工作物にある物件を調査することができる旨を定める。 ス土地収用法36条1項は,同法26条1項の規定による事業の認定の告示があった後,起業者は,土地調書及び物件調書を作成しなければならない旨を定めるとともに,同法36条2項は,同条1項の規定により土地調書及び物件調書を作成する場合において,起業者は,自ら土地調書及び物件調書に署名押印し,土地所有者及び関係人(起業者が過失がなくて知ることができない者を除く。以下,次のセにおいて同じ。)を立ち会わせた上,土地調書及び物件調書に署名押印させなければならない旨を定める。 セ土地収用法36条の2は,土地調書及び物件調書の作成手続の特例について次のとおり定める。 (ア) 起業者は,aに掲げる場合にあっては同法36条1項の土地調書を, せなければならない旨を定める。 セ土地収用法36条の2は,土地調書及び物件調書の作成手続の特例について次のとおり定める。 (ア) 起業者は,aに掲げる場合にあっては同法36条1項の土地調書を,bに掲げる場合にあっては同項の物件調書を,それぞれ,同条2項から6項までに定める手続に代えて,(イ)から(キ)までに定める手続により作成することができる。(1項)a 収用し,又は使用しようとする一筆の土地の所有者及び当該土地に関して権利を有する関係人(これらの者のうち,起業者が過失がなくて知ることができない者を除き,一人当たりの補償金の見積額が最近3年間の権利取得裁決に係る一人当たりの補償金の平均額に照らして著しく低い額として政令で定める額以下である者に限る。)が,100人を超えると見込まれる場合b 収用し,又は使用しようとする一筆の土地にある物件に関して権利を有する関係人(起業者が過失なくて知ることができない者を除 - 6 -き,一人当たりの補償金の見積額が最近3年間の明渡裁決に係る一人当たりの補償金の平均額に照らして著しく低い額として政令で定める額以下である者に限る。)が,100人を超えると見込まれる場合(イ) (ア)の規定により土地調書又は物件調書を作成する場合において,起業者は,自ら土地調書又は物件調書に署名押印した上で,収用し,又は使用しようとする一筆の土地が所在する市町村の長に対し,国土交通省令で定めるところにより,土地調書又は物件調書の写しを添付した申出書を提出しなければならない。(2項)(ウ) 市町村長は,(イ)の申出書を受け取った場合は,直ちに,起業者の名称,事業の種類及び申出に係る土地又は物件の所在地を公告し,公告の日から1か月間その書類を公衆の縦覧に供しなければならない。 (3項)(エ) 土地収 の申出書を受け取った場合は,直ちに,起業者の名称,事業の種類及び申出に係る土地又は物件の所在地を公告し,公告の日から1か月間その書類を公衆の縦覧に供しなければならない。 (3項)(エ) 土地収用法24条4項から6項までの規定は,(ウ)の規定による公告及び縦覧について準用する。(4項)(オ) 起業者は,(ウ)の規定による公告があったときは,当該公告に係る土地調書又は物件調書に氏名及び住所が記載されている土地所有者及び関係人に対し,(ウ)の規定による公告があった旨の通知をしなければならない。この場合において,当該通知は,(ウ)の規定による公告の日から1週間以内に発しなければならない。(5項)(カ) (ウ)の規定による公告に係る土地調書又は物件調書に記載されている土地所有者及び関係人は,当該土地調書又は物件調書の記載事項が真実でない旨の異議を有するときは,(ウ)の縦覧期間内に,起業者に対し,国土交通省令で定めるところにより,その内容を記載した異議申出書を提出することができる。(6項)(キ) 起業者は,(カ)の異議申出書を受け取ったときは,(ウ)の規定によ - 7 -る公告に係る土地調書又は物件調書に当該異議申出書を添付しなければならない。(7項)ソ土地収用法37条1項は,同法36条1項の土地調書には,収用し,又は使用しようとする土地について,次に掲げる事項を記載し,実測平面図を添付しなければならない旨を定める。 (ア) 土地の所在,地番,地目及び地積並びに土地所有者の氏名及び住所(1号)(イ) 収用し,又は使用しようとする土地の面積(2号)(ウ) 土地に関して権利を有する関係人の氏名及び住所並びにその権利の種類及び内容(3号)(エ) 調書を作成した年月日(4号)(オ) その他必要な事項(5号)タ土 る土地の面積(2号)(ウ) 土地に関して権利を有する関係人の氏名及び住所並びにその権利の種類及び内容(3号)(エ) 調書を作成した年月日(4号)(オ) その他必要な事項(5号)タ土地収用法39条1項は,起業者は,同法26条1項の規定による事業の認定の告示があった日から1年以内に限り,収用し,又は使用しようとする土地が所在する都道府県の収用委員会に収用又は使用の裁決を申請することができる旨を定める。 チ(ア) 土地収用法40条1項は,起業者は,同法39条の規定によって収用委員会の裁決を申請しようとするときは,国土交通省令で定める様式に従い,裁決申請書に次に掲げる書類を添付して,これを収用委員会に提出しなければならない旨を定める。 a 事業計画書並びに起業地及び事業計画を表示する図面(1号)b 市町村別に次に掲げる事項を記載した書類(2号)(a) 収用し,又は使用しようとする土地の所在,地番及び地目(イ)(b) 収用し,又は使用しようとする土地の面積(土地が分割されることになる場合においては,その全部の面積を含む。)(ロ)(c) 土地を使用しようとする場合においては,その方法及び期間(ハ) - 8 -(d) 土地所有者及び土地に関して権利を有する関係人の氏名及び住所(ニ)(e) 土地又は土地に関する所有権以外の権利に対する損失補償の見積り及びその内訳(ホ)(f) 権利を取得し,又は消滅させる時期(ヘ)c 土地収用法36条1項の土地調書又はその写し(3号)(イ) 土地収用法40条2項は,同条1項2号ニ((ア)b(d)参照)に掲げる事項に関して起業者が過失がなくて知ることができないものについては,同項の規定による申請書の添付書類に記載することを要しない旨を定める。 ツ土地収用法46条2 号ニ((ア)b(d)参照)に掲げる事項に関して起業者が過失がなくて知ることができないものについては,同項の規定による申請書の添付書類に記載することを要しない旨を定める。 ツ土地収用法46条2項は,収用委員会は,審理を開始する場合においては,起業者,同法40条1項の規定による裁決申請書の添付書類に記載されている土地所有者及び関係人並びに同法43条又は87条ただし書の規定によって意見書を提出した者に,あらかじめ審理の期日及び場所を通知しなければならない旨を定める。 テ土地収用法47条は,収用又は使用の裁決の申請が次に述べる場合に該当するときその他同法の規定に違反するときは,収用委員会は,裁決をもって申請を却下しなければならない旨を定める。 (ア) 申請に係る事業が土地収用法26条1項の規定によって告示された事業と異なるとき(1号)(イ) 申請に係る事業計画が土地収用法18条2項1号の規定によって事業認定申請書に添付された事業計画書に記載された計画と著しく異なるとき(2号)ト土地収用法47条の2第1項は,収用委員会は,同法47条の規定によって申請を却下する場合を除くの外,収用又は使用の裁決をしなければならない旨を定めるとともに,同法47条の2第2項は,収用又は使用の裁 - 9 -決は,権利取得裁決及び明渡裁決とする旨を定める。 ナ(ア) 土地収用法48条1項1号は,権利取得裁決においては,収用する土地の区域又は使用する土地の区域並びに使用の方法及び期間について裁決しなければならない旨を定めるとともに,同項2号は,権利取得裁決においては,土地又は土地に関する所有権以外の権利に対する損失の補償について裁決しなければならない旨を定める。 (イ) 土地収用法48条4項本文は,収用委員会は,同条1項2号に掲げる事項について 決においては,土地又は土地に関する所有権以外の権利に対する損失の補償について裁決しなければならない旨を定める。 (イ) 土地収用法48条4項本文は,収用委員会は,同条1項2号に掲げる事項については,同条3項の規定によるのほか,当該補償金を受けるべき土地所有者及び関係人の氏名及び住所を明らかにして裁決しなければならない旨定めるとともに,同条4項ただし書は,土地所有者又は関係人の氏名又は住所を確知することができないときは,当該事項については,この限りでない旨を定める。 ニ土地収用法49条2項は,明渡裁決につき,同法48条1項2号に掲げるものを除くその他の損失の補償について,同法48条4項を準用する旨を定める。 ヌ(ア) 土地収用法52条3項は,収用委員会の委員及び予備委員は,法律,経済又は行政に関して優れた経験と知識を有し,公共の福祉に関し公正な判断をすることができる者のうちから,都道府県の議会の同意を得て,都道府県知事が任命する旨を定める。 (イ) 土地収用法52条4項は,収用委員会の委員及び予備委員は,地方公共団体の議会の議員又は地方公共団体の長若しくは常勤の職員若しくは地方公務員法28条の5第1項に規定する短時間勤務の職を占める職員と兼ねることができない旨を定める。 ネ(ア) 土地収用法63条1項は,起業者,土地所有者及び関係人は,同法40条1項の規定によって提出された裁決申請書の添付書類又は同法43条1項の規定によって提出し,若しくは受理された意見書に記載 - 10 -された事項については,同法65条1項1号の規定によって意見書の提出を命ぜられた場合又は同条2項に規定する場合を除いては,これを説明する場合に限り,収用委員会の審理において意見書を提出し,又は口頭で意見を述べることができる旨を定める。 (イ) 土地収 見書の提出を命ぜられた場合又は同条2項に規定する場合を除いては,これを説明する場合に限り,収用委員会の審理において意見書を提出し,又は口頭で意見を述べることができる旨を定める。 (イ) 土地収用法63条2項は,起業者,土地所有者及び関係人は,損失の補償に関する事項については,収用委員会の審理において,新たに意見書を提出し,又は口頭で意見を述べることができる旨を定める。 (ウ) 土地収用法63条3項は,起業者,土地所有者及び関係人は,事業の認定に対する不服に関する事項その他の事項であって,収用委員会の審理と関係がないものを同条1項及び2項の規定による意見書に記載し,又は収用委員会の審理と関係がない事項について口頭で意見を述べることができない旨を定める。 ノ(ア) 土地収用法64条1項は,収用委員会の審理の手続は,会長又は同法60条の2第1項の規定により委任を受けた委員(以下「指名委員」という。)が指揮する旨を定める。 (イ) 土地収用法64条2項は,会長又は指名委員は,起業者,土地所有者及び関係人が述べる意見,申立て,審問その他の行為が既に述べた意見又は申立てと重複するとき,裁決の申請に係る事件と関係がない事項にわたるときその他相当でないと認めるときは,これを制限することができる旨を定める。 ハ土地収用法77条は,収用し,又は使用する土地に物件があるときは,その物件の移転料を補償して,これを移転させなければならない旨及びこの場合において,物件が分割されることとなり,その全部を移転しなければ従来利用していた目的に供することが著しく困難となるときは,その所有者は,その物件の全部の移転料を請求することができる旨を定める。 ヒ土地収用法79条は,同法77条の場合において,移転料が移転しなけ - 11 -ればならない物件に相当 となるときは,その所有者は,その物件の全部の移転料を請求することができる旨を定める。 ヒ土地収用法79条は,同法77条の場合において,移転料が移転しなけ - 11 -ればならない物件に相当するものを取得するのに要する価格を超えるときは,起業者は,その物件の収用を請求することができる旨を定める。 フ土地収用法80条は,同法79条の規定によって物件を収用する場合において,収用する物件に対しては,近傍同種の物件の取引価格等を考慮して,相当な価格をもって補償しなければならない旨を定める。 ヘ土地収用法101条1項本文は,土地を収用するときは,権利取得裁決において定められた権利取得の時期において,起業者は,当該土地の所有権を取得し,当該土地に関するその他の権利並びに当該土地又は当該土地に関する所有権以外の権利に係る仮登記上の権利及び買戻権は消滅し,当該土地又は当該土地に関する所有権以外の権利に係る差押え,仮差押えの執行及び仮処分の執行はその効力を失う旨を定める。 ホ土地収用法102条は,明渡裁決があったときは,当該土地又は当該土地にある物件を占有している者は,明渡裁決において定められた明渡しの期限までに,起業者に土地若しくは物件を引き渡し,又は物件を移転しなければならない旨を定める。 マ土地収用法132条2項は,収用委員会の裁決についての審査請求においては,損失の補償についての不服をその裁決についての不服の理由とすることができない旨を定める。 ミ土地収用法133条2項は,収用委員会の裁決のうち損失の補償に関する訴えは,裁決書の正本の送達を受けた日から6月以内に提起しなければならない旨定めるとともに,同条3項は,前項の規定による訴えは,これを提起した者が起業者であるときは土地所有者又は関係人を,土地所有者又は関係人である 本の送達を受けた日から6月以内に提起しなければならない旨定めるとともに,同条3項は,前項の規定による訴えは,これを提起した者が起業者であるときは土地所有者又は関係人を,土地所有者又は関係人であるときは起業者を,それぞれ被告としなければならない旨定める。 ムなお,土地収用法の一部を改正する法律案(平成13年法律第103号に係るもの)は,衆議院において平成13年6月15日に,参議院におい - 12 -て同月29日にそれぞれ可決され成立したところ,衆議院国土交通委員会の議決に際して,その運用に関する留意事項について,おおむね次の内容の附帯決議が行われた。また,参議院国土交通委員会の議決に際しても同様の附帯決議がされ,その内容として,「事前説明会については,開催期日等の十分な周知を図るとともに,起業者と利害関係人との間の質疑応答を実施するなど,実効性のあるものとするよう努めること」(6項)というものも含まれていた。(甲J37の3及び5,乙I2,乙J30)(ア) 社会資本整備審議会のうち,事業認定の審議に携わる委員については,法学界,法曹界,都市計画,環境,マスコミ,経済界等の分野からバランスよく人選するとともに,事業推進の立場にある中央官庁のOBの任命は原則として行わないこととし,事業認定の中立性,公正性等の確保に努めること(1項)(イ) 事業認定の審議に当たっては,当該事業に利害関係を有する委員は当該審議に関わらないようにするなど厳格な運用を行い,事業認定の中立性,公正性等の確保に努めること(2項)(ウ) 公聴会については,その透明性を高めるため,開催に当たっては,開催期日・場所等について事前に十分な周知を図るとともに,議事録の公開など情報公開の徹底に努めること(3項)(エ) 公聴会が形がい化することのないよう,公聴 透明性を高めるため,開催に当たっては,開催期日・場所等について事前に十分な周知を図るとともに,議事録の公開など情報公開の徹底に努めること(3項)(エ) 公聴会が形がい化することのないよう,公聴会で述べられた住民等の意見は第三者機関に適切に伝えるとともに,公述人相互の間で質疑が行えるような仕組みとするなど,住民意見の吸収の場という公聴会の本来の役割を果たすよう,規則改正を含め必要な措置を講ずること(4項)(オ) 事業認定判断の透明性等の向上を図るという法改正の趣旨を踏まえ,改正法の公布後に事業認定申請された事業については,公聴会の義務的開催など改正法の内容を踏まえた運用を図ること(5項) - 13 -(2) 都市計画法(平成11年法律第87号による改正前のもの。以下,特に付記しない場合は同じ。)ア都市計画法16条1項は,都道府県知事又は市町村は,同条2項の規定による場合を除くのほか,都市計画の案を作成しようとする場合において必要があると認めるときは,公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする旨定める。 イ(ア) 都市計画法17条1項は,都道府県知事又は市町村は,都市計画を決定しようとするときは,あらかじめ,建設省(当時)令で定めるところにより,その旨を公告し,当該都市計画の案を,当該公告の日から2週間公衆の縦覧に供しなければならない旨を定める。 (イ) 都市計画法17条2項は,同条1項の規定による公告があったときは,関係市町村の住民及び利害関係人は,同項の縦覧期間満了の日までに,縦覧に供された都市計画の案について,都道府県知事の作成に係るものにあっては都道府県知事に,市町村の作成に係るものにあっては市町村に,意見書を提出することができる旨を定める。 ウ都市計画法18条1項は,都道府 都市計画の案について,都道府県知事の作成に係るものにあっては都道府県知事に,市町村の作成に係るものにあっては市町村に,意見書を提出することができる旨を定める。 ウ都市計画法18条1項は,都道府県知事は,関係市町村の意見を聴き,かつ,都市計画地方審議会の議を経て,都市計画を決定するものとする旨を定める。 (3) 自然公園法(平成21年法律第47号による改正前のもの。以下同じ。)ア自然公園法13条3項本文は,国定公園の特別地域(当該公園の風致を維持するため,公園計画に基づいて指定された地域)内においては,工作物を新築し,改築し,又は増築すること等の行為は,都道府県知事の許可を受けなければ,してはならない旨を定める。 イ自然公園法56条1項は,国の機関が行う行為については,同法13条3項の規定による許可を受けることを要しない旨定めるとともに,この場合において当該国の機関は,その行為をしようとするときは,あらかじめ, - 14 -国定公園にあっては都道府県知事に協議しなければならない旨を定める。 (4) 生物の多様性に関する条約8条(a)は,同条約の締約国は,可能な限り,かつ,適当な場合には,保護地域又は生物の多様性を保全するために特別の措置をとる必要がある地域に関する制度を確立することを行う旨を定める。 (5) 平成10年条例第107号による改正前の東京都環境影響評価条例(以下「平成10年改正前の東京都環境影響評価条例」という。)(乙3の3)ア平成10年改正前の東京都環境影響評価条例28条は,東京都知事は,平成10年改正前の東京都環境影響評価条例27条1項の規定による変更の届出があった対象事業について当該届出前に平成10年改正前の東京都環境影響評価条例による手続の一部又は全部が完了している場合において,当該変更が環境 京都環境影響評価条例27条1項の規定による変更の届出があった対象事業について当該届出前に平成10年改正前の東京都環境影響評価条例による手続の一部又は全部が完了している場合において,当該変更が環境に著しい影響を及ぼすおそれがあると認めるときは,当該事業者に対し,既に完了している手続の全部又は一部を再度実施するよう求めるものとする旨を定める。 イ平成10年改正前の東京都環境影響評価条例29条は,東京都知事は,事業者が平成10年改正前の東京都環境影響評価条例24条1項の縦覧期間が満了した日から5年を経過した後当該対象事業に係る工事に着手しようとする場合において,関係地域の状況が当該縦覧期間満了のときと比較して著しく異なっていることにより環境の保全上必要があると認めるときは,当該事業者に対し,既に完了している手続の全部又は一部を再度実施するよう求めるものとする旨を定める。 (6) 平成14年条例第127号による改正前の東京都環境影響評価条例(以下「平成14年改正前の東京都環境影響評価条例」という。)(乙3の3)ア平成14年改正前の東京都環境影響評価条例36条は,東京都知事は,平成14年改正前の東京都環境影響評価条例35条1項の規定による変更の届出があった対象事業について,当該変更が環境に著しい影響を及ぼすおそれがあると認めるときは,東京都環境影響評価審議会の意見を聴いた - 15 -上で,当該事業者に対し,既に完了している手続の全部又は一部を再度実施するよう求めるものとする旨を定める。 イ平成14年改正前の東京都環境影響評価条例37条は,東京都知事は,事業者が平成14年改正前の東京都環境影響評価条例32条1項の縦覧期間が満了した日から5年を経過した後当該対象事業に係る工事に着手しようとする場合において,関係地域の状況が当該 条は,東京都知事は,事業者が平成14年改正前の東京都環境影響評価条例32条1項の縦覧期間が満了した日から5年を経過した後当該対象事業に係る工事に着手しようとする場合において,関係地域の状況が当該縦覧期間満了のときと比較して著しく異なっていることにより環境の保全上必要があると認めるときは,当該事業者に対し,既に完了している手続の全部又は一部を再度実施するよう求めるものとする旨を定める。 (7) 東京都環境影響評価条例(乙3の3,乙I5)ア東京都環境影響評価条例1条は,同条例につき,環境影響評価及び事後調査の手続に関し必要な事項を定めることにより,計画の策定及び事業の実施に際し,公害の防止,自然環境及び歴史的環境の保全,景観の保持等について適正な配慮がなされることを期し,もって都民の健康で快適な生活の確保に資することを目的とする旨を定める。 イ東京都環境影響評価条例62条1項本文は,事業者は,同条例40条1項の規定により調査計画書を提出してから(同条例25条及び40条4項の規定の適用を受けた場合にあっては同条例48条の規定により評価書案等を提出してから,同条例33条4項の規定の適用を受けた場合にあっては同条例35条において準用する同条例24条の規定により書面を提出してから)同条例68条1項の規定による工事完了の届出がなされるまでの間に,同条例40条1項1号若しくは2号に掲げる事項を変更しようとするとき,又は対象事業の実施を中止し,若しくは廃止しようとするときは,東京都規則で定めるところにより,その旨を知事に届け出なければならない旨を定める。 ウ東京都環境影響評価条例63条は,東京都知事は,同条例62条1項の - 16 -規定による変更の届出があった対象事業について,当該変更が環境に著しい影響を及ぼすおそれがあると認め 定める。 ウ東京都環境影響評価条例63条は,東京都知事は,同条例62条1項の - 16 -規定による変更の届出があった対象事業について,当該変更が環境に著しい影響を及ぼすおそれがあると認めるときは,東京都環境影響評価審議会の意見を聴いた上で,当該事業者に対し,既に完了している手続の全部又は一部を再度実施するよう求めるものとする旨を定める。 エ東京都環境影響評価条例64条は,東京都知事は,事業者が同条例59条1項の縦覧期間が満了した日から5年を経過した後当該対象事業に係る工事に着手しようとする場合において,関係地域の状況が当該縦覧期間満了のときと比較して著しく異なっていることにより環境の保全上必要があると認めるときは,当該事業者に対し,既に完了している手続の全部又は一部を再度実施するよう求めるものとする旨を定める。 3 前提となる事実(各項の末尾に掲記した証拠若しくは弁論の全趣旨により容易に認定することができる事実又は当裁判所に顕著な事実)(1) 原告らア(ア) 別紙第1事件第1原告目録記載の各原告は,平成19年12月27日当時,本件事業認定によって起業者が収用又は使用をしようとする分筆前の東京都八王子市(以下,市町を表示する際には都県名は省略する。)α1町×番4の土地(以下「旧×番4の土地」という。),分筆前の八王子市α1町×番7の土地(以下「旧×番7の土地」という。),分筆前の八王子市α1町××番の土地(以下「旧××番の土地」という。),分筆前の八王子市α2町×××番の土地(以下「旧×××番の土地」という。)又は八王子市α3町△番の土地(以下「△番の土地」という。)に関して所有権(共有による持分権を含む。以下同じ。)を有していた者である。なお,上記各原告が所有権を有していた土地は,上記目録の「土地所有権のある 市α3町△番の土地(以下「△番の土地」という。)に関して所有権(共有による持分権を含む。以下同じ。)を有していた者である。なお,上記各原告が所有権を有していた土地は,上記目録の「土地所有権のある場所」欄記載のとおりである。(甲A1の1,甲A1の2,甲A1の3,甲A1の7,甲A1の8) - 17 -(イ) 別紙第2事件原告目録1記載の各原告(以下,別紙第1事件第1原告目録記載の各原告と併せて「第1原告ら」と総称する。)は,平成19年12月27日当時,本件事業認定によって起業者が収用又は使用をしようとする旧×××番の土地又は△番の土地に関して所有権を有していた者である。なお,上記各原告が所有権を有していた土地は,別紙第2事件原告目録1の「土地所有権のある場所」欄記載のとおりである。(甲A1の7,甲A1の8)イ別紙第1事件第2原告目録記載の各原告(以下「第2原告ら」と総称する。)は,平成19年12月27日当時,本件事業認定によって起業者が収用又は使用をしようとする旧×番4の土地及び旧×番7の土地に関して賃借権を有していた者である。(甲A2の1ないし3)ウ別紙第1事件第3原告目録記載の各原告(以下「第3原告ら」と総称する。)は,平成19年12月27日当時,本件事業認定によって起業者が収用又は使用をしようとする旧×番7の土地にある立木に関して所有権を有していた者である。(甲A3の1ないし5)エ別紙第1事件第4原告目録及び別紙第2事件原告目録2記載の各原告(以下「第4原告ら」と総称する。)は,本件事業認定に係る事業の施行により破壊される危険のある高尾山の自然環境並びに自らの生活環境に係る人格権及び環境権を有すると主張する者である。 オ別紙第1事件第5原告目録及び別紙第2事件原告目録3記載の各原告(以下「第5原告ら」 破壊される危険のある高尾山の自然環境並びに自らの生活環境に係る人格権及び環境権を有すると主張する者である。 オ別紙第1事件第5原告目録及び別紙第2事件原告目録3記載の各原告(以下「第5原告ら」と総称する。)は,高尾山の自然を保護すること等を目的とする自然保護団体である。(甲A4の1ないし18,甲A5の1ないし9,甲A6の1ないし18,甲A7の1ないし13,甲A8の1ないし9(枝番を含む。),甲A9の1ないし21(枝番を含む。),甲A10の1ないし6,甲A11の1・2)(2)ア一般国道468号(一般有料道路「首都圏中央連絡自動車道」)(以下 - 18 -「圏央道」という。)は,①横浜市,厚木市,八王子市,青梅市,川越市,つくば市,成田市,木更津市等の東京都心から約40キロメートルないし60キロメートル圏に位置する都市を相互に連絡することにより,地域間の交流を拡大し,地域経済及び地域産業の活性化を促すこと,②首都圏から放射状に伸びる高速自動車国道である第一東海自動車道(以下「東名高速道」という。),中央自動車道富士吉田線,関越自動車道新潟線(以下「関越自動車道」という。),東北縦貫自動車道弘前線,常磐自動車道,東関東自動車道水戸線及び同自動車道千葉富津線を相互に連絡することにより,都心部への自動車交通の集中による交通混雑を緩和すること,③都心部への一極依存構造から業務核都市等を中心にした自立性の高い地域を形成し,相互の機能分担と連携,交流を行う分散型ネットワーク構造への再編整備による首都圏全体の調和のとれた発展に貢献すること等を目的に計画された総延長約300キロメートルの環状道路である。 なお,東京圏においては,圏央道,東京外かく環状道路(以下「外かく環状道」という。)及び首都高速道路中央環状線(以下「中央環状線」とい 的に計画された総延長約300キロメートルの環状道路である。 なお,東京圏においては,圏央道,東京外かく環状道路(以下「外かく環状道」という。)及び首都高速道路中央環状線(以下「中央環状線」という。)の3本の環状道路(以下「首都圏3環状道路」という。)と上記各高速自動車国道に東京湾岸道路及び第三京浜道路を加えた9本の放射道路(以下「9放射道路」という。)を結ぶ3環状9放射道路の整備が進められている。(乙1,乙2の1・2,乙H31)イ圏央道が通過する海老名市から八王子市へ至る間の幹線道路としては,一般国道16号(起点:横浜市,経由:八王子市,川越市,木更津市等,終点:横浜市),一般国道129号(起点:平塚市,経由:厚木市等,終点:相模原市),一般国道246号(起点:東京都千代田区,経由:横浜市,厚木市等,終点:沼津市)等があるところ,圏央道に係る事業のうち,海老名市α4地内の東名高速道との接続点である海老名北インターチェンジ(仮称。以下「海老名北インターチェンジ」という。)か - 19 -ら,後記ウで述べる八王子市α1町地内の中央自動車道富士吉田線との接続点(八王子ジャンクション)(以下「八王子ジャンクション」という。)までの間を結ぶ延長約27キロメートルの区間(以下「本件圏央道事業区間」という。)を全体計画区間として,道路構造令に定める第1種第3級又は第1種第2級の規格による4車線の一般有料の自動車専用道路の新設工事(以下「本件圏央道事業」という。)が計画されており,現在,起業者である国土交通大臣及び参加人X1株式会社(以下「起業者ら」という。)により,平成24年度に供用を開始することを目途に整備が進められている。(乙1)ウ中央自動車道富士吉田線(起点:東京都杉並区,終点:富士吉田市)は,現在,高井戸インターチェン 業者ら」という。)により,平成24年度に供用を開始することを目途に整備が進められている。(乙1)ウ中央自動車道富士吉田線(起点:東京都杉並区,終点:富士吉田市)は,現在,高井戸インターチェンジから河口湖インターチェンジまでの全線約94キロメートルが供用されており,既に供用されている中央自動車道西宮線,同長野線及び東名高速道と連絡しているところ,この中央自動車道富士吉田線と圏央道とを連結させ,中央自動車道富士吉田線から都心部へ流入する交通を分散及びう回させることにより,外かく環状道,中央環状線及び中央自動車道富士吉田線以外の9放射道路と一体となって機能させ,都心部の交通混雑の緩和と自動車交通の利便性の向上を図ることを目的として,八王子市α1町地内において,八王子ジャンクションの新設工事(以下「本件八王子ジャンクション事業」という。)が計画され,現在,平成23年度に供用を開始することを目途に参加人X1株式会社により整備が進められている。なお,八王子ジャンクションは,ランプ数8本のループ式であり,地上(現道)からの高さが最大約70メートル,東西の長さが約1800メートル,南北の長さが約900メートル,ランプの総延長が約4800メートルである。(乙1,乙H48)エ一般国道20号は,東京都中央区を起点とし,八王子市,相模原市, - 20 -甲府市などを経て,塩尻市に至る延長約225キロメートルの主要幹線道路であるところ,八王子市における一般国道20号の交通混雑等に対処する目的で,八王子市α5町地内の一般国道16号(八王子バイパス)との接続部から同市α3町地内の一般国道20号との接続部までの間を結ぶ延長9.6キロメートルの区間(以下「本件八王子南バイパス事業区間」という。)を全体計画区間として,道路構造令に定める第4種第1級 の接続部から同市α3町地内の一般国道20号との接続部までの間を結ぶ延長9.6キロメートルの区間(以下「本件八王子南バイパス事業区間」という。)を全体計画区間として,道路構造令に定める第4種第1級の規格による4車線の道路の改築工事(以下「本件八王子南バイパス事業」という。)が計画され,現在,起業者である国土交通大臣により,平成29年3月の完成を目途に整備が進められている(乙1,乙2の3。なお,以下,本件圏央道事業,本件八王子ジャンクション事業及び本件八王子南バイパス事業を併せて「本件各事業」といい,前2者を併せて「本件圏央道事業等」という。また,本件圏央道事業区間,本件八王子ジャンクション事業に係る事業区間及び本件八王子南バイパス事業に係る事業区間を併せて「本件各事業区間」という。)。 (3)ア起業者らは,平成17年9月28日付けで,本件圏央道事業に関し,本件圏央道事業区間のうち海老名市α4地内に設置される海老名北インターチェンジから八王子市α3町地内に設置される八王子南インターチェンジ(仮称。以下「八王子南インターチェンジ」という。)までの区間は用地取得スケジュール及び供用時期に大きな差があるとして,上記区間を除外した八王子南インターチェンジから同市α1町地内に設置される八王子ジャンクションまでの延長約2.1キロメートルの区間について,事業の認定の申請をした。(乙1,乙3の1)イ参加人X1株式会社は,平成17年9月28日付けで,本件八王子ジャンクション事業のうち中央自動車道富士吉田線と圏央道とを連結するための分合流部周辺であり一体的に施行する必要があるとされる八王子市α1町内の区間について,事業の認定の申請をした。(乙1) - 21 -ウ国土交通大臣は,平成17年9月28日付けで,本件八王子南バイパス事業に関し, 的に施行する必要があるとされる八王子市α1町内の区間について,事業の認定の申請をした。(乙1) - 21 -ウ国土交通大臣は,平成17年9月28日付けで,本件八王子南バイパス事業に関し,本件八王子南バイパス事業区間のうち八王子市α5町地内の一般国道16号(八王子バイパス)との接続部から同市α6町地内の主要地方道八王子町田線(町田街道)との交差部までの区間は用地取得スケジュール及び供用時期に大きな差があるとして,上記区間を除外した主要地方道八王子町田線(町田街道)との交差部から同市α3町地内の一般国道20号との接続部までの延長約2.6キロメートルの区間について,事業の認定の申請をした。(乙1,乙3の1)。 (4)ア起業者らは,(3)に記載した事業の認定の申請に先立つ平成17年7月22日,土地収用法15条の14に基づき,本件各事業の目的及び内容について,本件事業認定につき利害関係を有する者に対する説明会(以下「本件事前説明会」という。)を開催した。(乙1,乙4の1の1ないし3,乙4の2の1・2,乙4の3)イ国土交通大臣は,平成17年9月28日,土地収用法24条1項に基づき,本件起業地が所在する市の長である八王子市長に対し,本件各事業に係る事業認定申請書及びその添付書類の各写しを送付し,また,同日,同条3項に基づき,本件起業地を管轄する東京都知事にその旨を通知し,事業認定申請書及びその添付書類の各写しを送付した。(乙5の1・2)ウ八王子市長は,平成17年10月5日,土地収用法24条2項に基づき,本件各事業について,起業者の名称,事業の種類及び起業地等を公告するとともに,公告の日から同月19日までの2週間,八王子市役所で上記の事業認定申請書及びその添付書類の各写しを公衆の縦覧に供した。(乙5の3ないし5)エ東京 称,事業の種類及び起業地等を公告するとともに,公告の日から同月19日までの2週間,八王子市役所で上記の事業認定申請書及びその添付書類の各写しを公衆の縦覧に供した。(乙5の3ないし5)エ東京都知事は,上記縦覧期間内に土地収用法25条1項に基づき同知事に提出された意見書及び同期間満了後に提出された意見書を国土交通大臣に送付した。(乙5の5) - 22 -オ国土交通大臣は,平成17年10月20日,本件各事業につき,土地収用法23条1項に基づく公聴会を開催するため,同条2項及び土地収用法施行規則6条に基づき,起業者の名称,事業の種類及び起業地並びに公聴会の期日及び場所等の公告(新聞紙による公告)をし,同年11月17日に八王子市民会館において,同月19日及び20日に八王子市芸術文化会館において,それぞれ公聴会(以下「本件公聴会」という。)を開催した。 なお,国土交通大臣は,同規則12条に基づき作成した公聴会の記録(速記録)を国土交通省のウェブサイトに掲載し,これを公表した。(乙6の1の1・2,乙6の2,乙6の3)カ国土交通大臣は,本件各事業について,土地収用法20条各号に定める要件のすべてに該当すると認め,事業の認定をすべきであると判断し,平成18年2月13日,同法25条の2第1項に基づき,社会資本整備審議会の意見を求めたところ,同審議会は,同年4月7日,国土交通大臣に対し,本件各事業の事業の認定をすべきであるとする国土交通大臣の判断を相当と認める旨の同審議会公共用地分科会(以下「公共用地分科会」という。)の意見をもって同審議会の意見とすることが相当と認め,その旨を記載した意見書を提出した。なお,国土交通大臣は,公共用地分科会の議事要旨を国土交通省のウェブサイトに掲載し,これを公表した。(乙7の1・2,乙8)キ国土 意見とすることが相当と認め,その旨を記載した意見書を提出した。なお,国土交通大臣は,公共用地分科会の議事要旨を国土交通省のウェブサイトに掲載し,これを公表した。(乙7の1・2,乙8)キ国土交通大臣は,平成18年4月21日,本件事業認定をするとともに,同日,土地収用法26条1項に基づき,本件事業認定につき告示した。(乙8,乙9の1の1・2,乙9の2)ク国土交通大臣は,平成18年4月21日,土地収用法26条3項に基づき,本件事業認定につき告示した旨を東京都知事に通知するとともに,同法26条の2第1項に基づき,本件事業認定をした旨を八王子市長に通知した。上記通知を受けた八王子市長は,同条2項に基づき,起業地を表示 - 23 -する図面を公衆の縦覧に供した。(乙10の1ないし3)(5) 環境影響評価についてア東京都知事は,昭和63年12月,圏央道に係る都市計画の決定の手続をするに当たり,環境影響評価(以下「本件環境影響評価1」という。)を行った。本件環境影響評価1の対象となった事業は,八王子市α3町(一般国道20号)から青梅市α7(埼玉県境)までの約22.5キロメートルの区間であり,その中に高尾山トンネル(仮称。以下「高尾山トンネル」という。)が含まれている。(乙3の3,乙13の11)イ東京都知事は,平成8年12月,圏央道に係る都市計画の決定の手続をするに当たり,環境影響評価(以下「本件環境影響評価2」という。)を行った。本件環境影響評価2の対象となった事業は,八王子市α3町(神奈川県境)から同町(一般国道20号付近)までの約2.5キロメートルの区間であり,その中に八王子南インターチェンジの橋りょう工事が含まれている。(乙3の3,乙13の8)ウ東京都知事は,平成8年12月,本件八王子南バイパス事業に係る都市 での約2.5キロメートルの区間であり,その中に八王子南インターチェンジの橋りょう工事が含まれている。(乙3の3,乙13の8)ウ東京都知事は,平成8年12月,本件八王子南バイパス事業に係る都市計画の決定の手続をするに当たり,環境影響評価(以下「本件環境影響評価3」といい,本件環境影響評価1ないし本件環境影響評価3を併せて「本件各環境影響評価」という。)を行った。(乙3の5,乙13の14)(6) 本件各事業に係る都市計画の変更の決定(以下「本件都市計画変更決定」と総称する。)についてア東京都知事は,本件圏央道事業等のうち八王子市α3町,同α2町及び同α1町地内の区間について,平成元年3月13日,都市計画法21条2項(平成2年法律第61号による改正前のもの),同法18条1項に基づいて都市計画の変更をした。なお,同法17条1項に基づく都市計画の案の公告がされたのは,昭和61年7月である。(乙3の2,乙3の3)イ東京都知事は,本件圏央道事業等のうち八王子市α3町及び同α2町地 - 24 -内の区間について,平成9年2月24日,都市計画法21条2項,同法18条1項に基づいて都市計画の変更をした。なお,同法17条1項に基づく都市計画の案の公告がされたのは,平成7年3月である。(乙3の2,乙3の3,乙3の5)ウ東京都知事は,本件八王子南バイパス事業について,平成9年2月24日,都市計画法21条2項,同法18条1項に基づいて都市計画の変更をした。なお,同法17条1項に基づく都市計画の案の公告がされたのは,平成7年3月である。(乙3の2,乙3の5)(7) 権利取得裁決等についてア(ア) 別紙第3事件原告目録1記載の原告らは,平成19年12月27日当時,別紙物件目録記載4ないし6の土地(以下,別紙物件目録記載1ないし7 の2,乙3の5)(7) 権利取得裁決等についてア(ア) 別紙第3事件原告目録1記載の原告らは,平成19年12月27日当時,別紙物件目録記載4ないし6の土地(以下,別紙物件目録記載1ないし7の土地について「本件土地1」ないし「本件土地7」といい,本件土地1ないし本件土地7を併せて「本件各土地」という。)のうち,別紙第3事件原告目録1の「所有権東京都八王子市」欄記載の土地に関して所有権を有していた。(争いのない事実)(イ) 別紙第3事件原告目録2記載の原告らは,平成19年12月27日当時,本件土地1ないし本件土地3に関して賃借権を有していた。 (争いのない事実)(ウ) 別紙第3事件原告目録3記載の各原告のうち原告X2,原告X3,原告X4,原告X5,原告X6,原告X7,原告X8,原告X9,原告X10及び原告X11は,平成19年12月27日当時,同目録「立木・物件東京都八王子市」欄に記載された本件土地1ないし本件土地3の土地にある立木に関して所有権を有していた。(争いのない事実)イ起業者らは,平成18年12月5日,東京都収用委員会に対し,本件各土地について,土地収用法39条1項及び47条の2第3項に基づき,収 - 25 -用の裁決の申請及び明渡裁決の申立て(以下「本件各申請」という。)をした。(甲J31,丙2の1・2,丙3の1・2,丙4の1・2,丙5の1・2,丙6の1・2)ウ東京都収用委員会は,次のとおり,本件各土地に係る権利取得裁決及び明渡裁決に関する審理(以下「本件審理」という。)をした。(丙13の1ないし5,丙16,丙17,丙18の1ないし5,丙20,丙22,丙23,丙25の1ないし5,丙26ないし丙28)(ア) 第1回期日平成19年4月26日(イ) 第2回期日平成19年5月31日(ウ 16,丙17,丙18の1ないし5,丙20,丙22,丙23,丙25の1ないし5,丙26ないし丙28)(ア) 第1回期日平成19年4月26日(イ) 第2回期日平成19年5月31日(ウ) 第3回期日平成19年7月9日(エ) 第4回期日平成19年8月6日(オ) 第5回期日平成19年9月13日エ東京都収用委員会は,平成19年12月27日,本件各申請について,別紙裁決目録記載のとおり,権利取得裁決及び明渡裁決(以下,事件番号平成▲年第▲号,同号の2に係る権利取得裁決及び明渡裁決を「本件裁決1」,事件番号平成▲年第▲号,同号の2に係る権利取得裁決及び明渡裁決を「本件裁決2」,事件番号平成▲年第▲号,同号の2に係る権利取得裁決及び明渡裁決を「本件裁決3」,事件番号平成▲年第▲号,同号の2に係る権利取得裁決及び明渡裁決を「本件裁決4」,事件番号平成▲年第▲号,同号の2に係る権利取得裁決及び明渡裁決を「本件裁決5」といい,本件裁決1ないし本件裁決5を「本件各裁決」と総称する。)をした。(丙1の1ないし5)(8)ア第1事件原告らは,平成18年5月15日,第1事件の訴えを提起した。 イ第2事件原告らは,平成18年10月19日,第2事件の訴えを提起した。 ウ第3事件原告らは,平成20年3月13日,第3事件の訴えを提起した。 - 26 - 4 本件の争点及び争点に関する当事者の主張別紙「当事者の主張」のとおり(同別紙で定めた略称は,以下で用いる。)第3 当裁判所が認定した事実第2の3に判示した事実に加え,各項の末尾に掲記した各証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 1 本件各事業に係る決定ないし計画等(1)ア平成15年10月10日,社会資本整備重点計画法4条に基づいて, に加え,各項の末尾に掲記した各証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 1 本件各事業に係る決定ないし計画等(1)ア平成15年10月10日,社会資本整備重点計画法4条に基づいて,平成15年度から平成19年度までを計画期間とする社会資本整備重点計画が閣議決定されたところ,同計画においては,「国際的な水準から見て整備の遅れている都市圏環状道路の整備を進めることなどにより国際競争力の強化に努める」とされている。(乙12の1)イ都市再生本部は,平成13年8月28日付けで,都市再生プロジェクト(第二次決定)を決定したところ,同決定においては,「大都市圏において自動車交通の流れを抜本的に変革する環状道路を整備し,都心部の多数の慢性的な渋滞や沿道環境の悪化等を大幅に解消するとともに,その整備により誘導される新たな都市拠点の形成等を通じた都市構造の再編を促す」として,圏央道を含む首都圏3環状道路の整備を推進するとされている。(乙12の2)ウ国土総合開発法(平成17年法律第89号により題名を国土形成計画に改正)7条1項(平成11年法律第160号による改正前のもの)に基づいて平成10年3月に作成された全国総合開発計画である「21世紀の国土のグランドデザイン-地域の自立の促進と美しい国土の創造-」においては,圏央道,外かく環状道等環状方向を中心とする幹線交通網の整備を進めるとともに,東京湾岸道路等の整備により首都高速道路の機能を強化し,交通渋滞の緩和等を図るとされている。(乙H35)エ首都圏整備法22条1項(平成11年法律第87号による改正前のもの) - 27 -に基づいて平成11年3月26日に決定された首都圏基本計画においては,「分散型ネットワーク構造の形成に資する首都圏の交通網の形成,並びに通過交通に対応し渋滞 号による改正前のもの) - 27 -に基づいて平成11年3月26日に決定された首都圏基本計画においては,「分散型ネットワーク構造の形成に資する首都圏の交通網の形成,並びに通過交通に対応し渋滞の緩和等を図る」ために,首都圏3環状道路等「特に重要となっている環状方向の道路の整備を重点的に推進する」とされるとともに,「近郊地域の整備に資する交通体系」として,「首都圏の道路網の骨格を形成し,分散型ネットワーク構造実現に資する環状方向の路線として」首都圏3環状道路等の整備を推進するとされている。また,首都圏整備法22条1項に基づいて平成13年10月26日に決定された首都圏整備計画においても,圏央道,外かく環状道等の整備を推進するとされている。(乙H1,乙H37,乙H38)(2) 圏央道の建設事業については,遅くとも平成5年以降,周辺地域の地方公共団体の首長等で構成される首都圏中央連絡道路促進協議会,地方公共団体の議会並びに議長及び議員,東京都知事等から,早期建設等の要望が内閣総理大臣等に提出されている。(乙3の2)また,本件八王子南バイパス事業については,遅くとも平成5年以降,周辺地域の地方公共団体の首長等で構成される首都圏中央連絡道路促進協議会,地方公共団体の議会の議長及び議員,八王子市長等から,早期建設等の要望が内閣総理大臣等に提出されている。(乙3の2) 2 本件各事業の効果に係る予測について(1) 起業者らは,本件各事業に係る事業の認定の申請に当たり,本件圏央道事業の整備効果を次のとおり予測した。(甲H90,乙3の1)ア幹線道路の混雑緩和圏央道が一般国道16号,129号等が担っている交通を分担することによって,一般国道16号,129号等の交通量が減少し,混雑が緩和されるとともに,生活道路の交通円滑化が図 ア幹線道路の混雑緩和圏央道が一般国道16号,129号等が担っている交通を分担することによって,一般国道16号,129号等の交通量が減少し,混雑が緩和されるとともに,生活道路の交通円滑化が図られる。 圏央道整備後は,一般国道16号の3か所について,平成11年度道路 - 28 -交通センサスの数値を基準として,平成42年には,交通量が最大で約43パーセント減少するとともに,混雑度が1.31ないし1.50から0. 78ないし1.40に減少する。また,一般国道129号の2か所について,同様に,交通量が最大で約24パーセント減少するとともに,混雑度が1.19ないし1.34から0.96ないし1.01に減少する。さらに,一般国道246号の2か所について,同様に,交通量が最大で約39パーセント減少するとともに,混雑度が1.23ないし1.45から0. 89から0.93に減少する。 イ大型車交通の転換圏央道の当該区間が整備されることにより,一般国道16号,129号の大型車交通が減少し,地域住民の現道利用の利便性の向上が期待される。 圏央道整備後は,一般国道129号(相模原市α8)について,平成11年度道路交通センサスの数値を基準として,平成42年には,大型車交通量が1万8800台/日から8500台/日に減少するとともに,一般国道16号(相模原市α9)について,同様に,大型車交通量が1万0400台から4900台/日に減少する。 ウ環境改善圏央道の当該区間の整備により,東京都,神奈川県及び埼玉県において年間約9.7万トンの二酸化炭素の削減が期待される。 エ走行速度の向上(走行時間短縮)現在の東名高速道,中央自動車道,関越自動車道等の放射方向の高速道路相互間の交通は,一般国道16号や首都高速道路を通らざるを得ず,多大な 削減が期待される。 エ走行速度の向上(走行時間短縮)現在の東名高速道,中央自動車道,関越自動車道等の放射方向の高速道路相互間の交通は,一般国道16号や首都高速道路を通らざるを得ず,多大な走行時間を要しているところ,圏央道を整備することにより,東名高速道,中央自動車道,関越自動車道等の放射方向の高速道路相互間の走行時間の大幅な短縮を図ることができる。 関越自動車道から東名高速道までの走行時間につき,圏央道未整備の場 - 29 -合は一般国道16号経由で約174分,環状八号線経由で約124分であるのに対し,圏央道整備後は約49分に短縮される。 (2) 起業者らは,本件各事業に係る事業の認定の申請に当たり,本件八王子南バイパス事業の整備効果を次のとおり予測した。(甲H90,乙3の1)ア幹線道路の混雑緩和八王子市の道路網は,東西方向の幹線道路として中央自動車道と一般国道20号,一般都道上館日野線等があるが,東西方向の幹線道路は不足していることから,八王子南バイパスが完成することにより,東西方向の幹線道路として機能するとともに,一般国道20号線等が担っている交通を八王子南バイパスが分担することによって,交通円滑化が図られる。そして,八王子南インターチェンジへのアクセス道路としての機能を有する道路となる。 八王子南バイパス整備後は,一般国道20号の2か所について,平成11年度道路交通センサスの数値を基準として,平成42年には,交通量が最大で約26パーセント減少するとともに,混雑度が1.03ないし1. 58から0.92ないし1.18に減少する。また,一般都道上館日野線の2か所について,同様に,交通量が最大で約42パーセント減少するとともに,混雑度が1.19ないし1.28から0.69ないし0.94に減少する。 イ大 .18に減少する。また,一般都道上館日野線の2か所について,同様に,交通量が最大で約42パーセント減少するとともに,混雑度が1.19ないし1.28から0.69ないし0.94に減少する。 イ大型車交通の転換八王子南バイパスの当該区間が整備されることにより,一般国道20号,一般都道上館日野線の大型車交通が減少し,地域住民の現道利用の利便性の向上が期待される。 八王子南バイパス整備後は,一般国道20号(八王子市α10町)について,平成11年度道路交通センサスの数値を基準として,平成42年には,大型車交通量が3200台/日から1700台/日に減少するととも - 30 -に,一般都道上館日野線(八王子市α11町)について,同様に,大型車交通量が1300台から700台/日に減少する。 ウ環境改善八王子南バイパスの整備により,八王子市,日野市及び国立市において年間約1.2万トンの二酸化炭素の削減が期待される。 エ走行速度の向上(走行時間短縮)圏央道と接続することにより,行動範囲の拡大と時間短縮などを図ることができるとともに,周辺地域との交流が活発化され,地域の活性化にも貢献する。 α12駅から八王子南インターチェンジまでの走行時間につき,八王子南バイパス未整備の場合は一般国道20号を利用することで約47分,α5街道を利用することで約47分であるのに対し,八王子南バイパス整備後は約26分に短縮される。 3 本件各事業に係る費用便益分析について(1) 道路整備に係る費用便益分析とは,ある年次を基準年とし,道路整備が行われる場合と行われない場合のそれぞれについて,一定期間の便益額及び費用額を算定し,道路整備に伴う費用の増分と便益の増分とを比較することにより分析,評価を行うものである。起業者らは,平成15年8月マ われる場合と行われない場合のそれぞれについて,一定期間の便益額及び費用額を算定し,道路整備に伴う費用の増分と便益の増分とを比較することにより分析,評価を行うものである。起業者らは,平成15年8月マニュアルに基づいて,本件各事業の費用便益分析を行った。 平成15年8月マニュアルにおいては,道路整備に伴う各種の効果のうち,平成15年8月マニュアル策定時点の知見により十分な精度で計測が可能でかつ金銭表現が可能である「走行時間短縮」,「走行経費減少」及び「交通事故減少」の各項目について,社会的余剰を計測することによって総便益を算出するとされている。他方,費用については,道路整備に要する事業費(用地費を含む。)及び維持管理に要する費用を算出して総費用を計上するとされている。なお,平成15年8月マニュアルにおいては,現在価値算出のた - 31 -めの社会的割引率は4パーセント,基準年次は評価時点,検討年数は供用開始後40年とされている。(乙3の1,乙H20,乙H30,X12証人)(2) 費用便益分析の手法について本件各事業に係る平成15年8月マニュアルに基づく費用便益分析の手順は,おおむね次のとおりである。(甲H90,乙3の1,乙H20,乙H30,X12証人)ア費用便益分析を行うためには交通量の推計が必要となる。その推計に当たって,人口,自動車保有台数等の社会経済指標を基に,発生集中交通量,分布交通量及び配分交通量を推計する3段階推定法を採用している。そして,分布交通量の推計までのプロセスにおいては,自動車の出発地と目的地及びその量を網羅的に整理する。なお,自動車の出発地と目的地を網羅的に整理したものを自動車起終点表,又は出発地(Origin)及び目的地(Destination)の頭文字をとって自動車OD表と称する。他方,配 を網羅的に整理する。なお,自動車の出発地と目的地を網羅的に整理したものを自動車起終点表,又は出発地(Origin)及び目的地(Destination)の頭文字をとって自動車OD表と称する。他方,配分交通量の推計においては,実際にどの道路にどの程度の交通量が走行するかを推計する。 イ配分交通量の推計の概要(ア) 配分交通量の推計は,分布交通量の推計で得られた自動車OD表をコンピュータ上に構築した道路ネットワークに配分すること,すなわち,自動車が,どの道路(ルート)を通って出発地から目的地に至るかをコンピュータ上でシミュレーションすることにより行われる。 そして,コンピュータ上に仮装の道路ネットワークを構築するところ,本件各事業に係る費用便益分析の前提となる交通量推計(以下「本件交通量推計」という。)の対象範囲は関東甲信地域(以下「本件対象範囲」という。)とされており,本件対象範囲で考慮した道路網は,道路交通センサスを参考に,すべての国道及び都県道と指定市の一般市道の一部が対象とされている。なお,圏央道周辺については,必要 - 32 -に応じ,より小規模な道路も対象とされている。 (イ) 上記(ア)で構築された道路ネットワークのうち,それぞれのリンク(現実に存在する道路の交差点と交差点の間のこと)に自動車OD表に基づく交通量を配分する際に必要となる道路の走行条件を設定する。 具体的には,道路交通センサスによって与えられる道路の車線数,規制速度その他のデータを参考に,速度と交通量の関係を示すQV(quantity-velocity)式を設定する。このQV式により,道路の車線数,規制速度等に応じ,どの程度の交通量であれば,どの程度の速度で走行することができるのかが決せられる。なお,リンクの延長(交差点間の距離)については,道路 を設定する。このQV式により,道路の車線数,規制速度等に応じ,どの程度の交通量であれば,どの程度の速度で走行することができるのかが決せられる。なお,リンクの延長(交差点間の距離)については,道路交通センサスに基づき設定されている。 (ウ) 上記(ア)及び(イ)により,交通量配分に必要な道路ネットワークが構築され,これに自動車OD表を配分する。本件交通量推計において,自動車OD表は,本件対象範囲を分割したゾーンごとに作成されており,ゾーンの分割は,基本的に市町村を単位とする大きさとし,圏央道周辺については,必要に応じて細分割されている。本件交通量推計においては,総交通量を5回に分けて配分し,コンピュータ上で5回のシミュレーションが行われている。具体的には,自動車OD表上の各ゾーンと各ゾーンのペアごとに道路ネットワーク上の最短時間で目的地に到着できるように経路を選択することを前提条件としてシミュレーションされている。この際,有料道路については,設定された料金を時間価値に変換してシミュレーションに反映する。そして,上記(イ)で設定したリンクデータであるリンク延長(距離),QV式によって与えられた速度に応じてリンクごとの旅行時間が算定され,最短となる経路を選択することで第1回目のリンク交通量が算定される。 第2回目は,第1回目のシミュレーションにより各リンクに配分され - 33 -た交通量に基づいてQV式から第2回目の速度を決定し,その速度を用いてシミュレーションを行う。このような計算を5回繰り返すことによって各リンクの交通量を算定する。 ウ本件交通量推計においては,その妥当性を確認する目的から,①昭和60年,平成2年,平成6年及び平成11年の社会経済指標を用いて交通量発生集中モデル式によって得られた現況発生集中量の計算値と平成 ウ本件交通量推計においては,その妥当性を確認する目的から,①昭和60年,平成2年,平成6年及び平成11年の社会経済指標を用いて交通量発生集中モデル式によって得られた現況発生集中量の計算値と平成11年センサス自動車起終点調査により得られている実際の現況発生集中量との比較,②平成11年自動車OD表及びネットワークを用いて計算された配分交通量と平成11年一般交通量調査の24時間観測地点交通量との比較をそれぞれ行ったところ,推計の妥当性が確認された旨結論付けられている。 エ便益額の算定(ア) 走行時間短縮便益走行時間短縮便益は,道路の整備・改良が行われない場合の総走行時間費用から,道路の整備・改良が行われる場合の総走行時間費用を減じた差として算定する。総走行時間費用は,各トリップ(自動車等のある地点から他の地点への移動のこと)のリンク別車種別の走行時間に時間価値原単位を乗じて得た値をトリップ全体で集計したものである。車種別の時間価値原単位(平成15年価格)は,乗用車が62. 86円/分・台,バスが519.74円/分・台,乗用車類が72. 45円/分・台,小型貨物車が56.81円/分・台,普通貨物車が87.44円/分・台とされている。 (イ) 走行経費減少便益走行経費減少便益は,道路の整備・改良が行われない場合の走行経費から,道路の整備・改良が行われる場合の走行経費を減じた差として算定する。走行経費減少便益は,走行条件が改善されることによる - 34 -費用の低下のうち,走行時間に含まれない項目を対象としている。具体的には,燃料費,油脂(オイル)費,タイヤ・チューブ費,車両整備(維持・修繕)費,車両償却費等の項目について走行距離単位当たりで計測した原単位(円/台・キロメートル)を用いて算定する。 (ウ) 交通事故減 燃料費,油脂(オイル)費,タイヤ・チューブ費,車両整備(維持・修繕)費,車両償却費等の項目について走行距離単位当たりで計測した原単位(円/台・キロメートル)を用いて算定する。 (ウ) 交通事故減少便益交通事故減少便益は,道路の整備・改良が行われない場合の交通事故による社会的損失から,道路の整備・改良が行われる場合の交通事故による社会的損失を減じた差として算定する。道路の整備・改良が行われない場合の総事故損失及び道路の整備・改良が行われる場合の総事故損失は,事故率を基準とした算定式を用いて,リンク別の交通事故の社会的損失を算定し,これを全対象リンクで集計する。なお,交通事故の社会的損失は,運転者,同乗者,歩行者に関する人的損害額,交通事故により損壊を受ける車両や構築物に関する物的損害額及び事故渋滞による損失額から算定する。 (エ) 上記各便益算定結果に基づき,整備路線の供用開始年次を起算点として,検討期間(供用開始後40年間)にわたり,各年次ごとの各便益の値を算定する。その上で,検討期間中の各年次の各便益について,割引率(4パーセント)を用いて,基準年次における現在価値を算定する。そして,上記により算出された各便益の現在価値を合計した額が便益合計額となる。 オ費用額の算定費用としては,道路整備に要する事業費(用地費を含む。)及び供用後に必要となる維持管理に要する費用を算定する。事業費は,事業期間について設定し,維持管理費については,供用開始年次を起算点とし,検討期間(供用開始後40年間)にわたり各年次の維持管理費を設定する。そして,事業費及び維持管理費についても,割引率(4パーセント)を用いて, - 35 -基準年次における現在価値を算定する。 これらを検討年次期間(40年間+基準年次から供用開始年次までの 。そして,事業費及び維持管理費についても,割引率(4パーセント)を用いて, - 35 -基準年次における現在価値を算定する。 これらを検討年次期間(40年間+基準年次から供用開始年次までの年数)で合計したものが,総費用となる。 カ費用便益分析費用便益分析における社会費用便益比(B/C)は,上記のようにして算定した便益の現在価値を費用の現在価値で除することにより算出される。 (3) 本件各事業に係る費用便益分析の結果は,次のとおりである。(甲H90,乙1,乙3の1,乙H30,X12証人)ア本件圏央道事業等(ア) 基準年を平成17年度,供用年を平成24年度とし,検討期間及び割引率は,それぞれ供用開始後40年間及び4パーセントとした。 (イ) 費用便益分析の前提とされた,平成42年における将来交通量の予測は,次のとおりである。予測に当たっては,人口,自動車保有台数等の社会経済指標を前提に同年の発生集中交通量を推計し,次に同年の分布交通量を推計し,更に同年の将来道路網にQV式を用いて交通量を配分し,各区間の将来の交通量を算出した。 なお,上記の前提とされた同年度の人口は1億1758万人,自動車保有台数は8116万台である。 海老名北インターチェンジから圏央厚木インターチェンジ・ジャンクション(仮称) 3万2200台/日圏央厚木インターチェンジ・ジャンクション(仮称)から相模原インターチェンジ(仮称) 4万5700台/日相模原インターチェンジ(仮称)から城山インターチェンジ(仮称)4万3400台/日城山インターチェンジ(仮称)から八王子南インターチェンジ4万2400台 ェンジ(仮称)4万3400台/日城山インターチェンジ(仮称)から八王子南インターチェンジ4万2400台/日 - 36 -八王子南インターチェンジから八王子ジャンクション4万1600台/日(ウ) 便益については,基準年(平成17年度)における走行時間短縮便益の現在価値が1兆3959億円,走行経費減少便益の現在価値が621億円及び交通事故減少便益の現在価値が182億円と算出され,その合計額が1兆4761億円とされた。 上記のうち走行時間短縮便益は,便益算定上の供用開始年次である平成25年度の便益を乗用車,バス,小型貨物及び普通貨物の4車種別に算出し,検討期間である供用開始後40年間の便益の合計を算出している。また,走行経費減少便益については,便益算定上の供用開始年次の便益を乗用車,バス,小型貨物及び普通貨物の4車種別に算出し,検討期間である供用開始後40年間の便益の合計を算出している。さらに,交通事故減少便益については,便益算定上の供用開始年次の便益を算出し,検討期間である供用開始後40年間の便益の合計を算出している。 なお,便益算出の集計対象範囲は,東京都,神奈川県及び埼玉県の1都2県である。 (エ) 費用については,基準年(平成17年度)における事業費の現在価値が5552億円,維持管理費の現在価値が190億円と算出され,その合計額が5741億円とされた。 (オ) 上記の結果,社会費用便益比(B/C)は,2.6と算定された。 イ本件八王子南バイパス事業(ア) 基準年を平成17年度とし,検討期間及び割引率は,それぞれ供用開始後40年間及び4パーセントとした。 (イ) 費 用便益比(B/C)は,2.6と算定された。 イ本件八王子南バイパス事業(ア) 基準年を平成17年度とし,検討期間及び割引率は,それぞれ供用開始後40年間及び4パーセントとした。 (イ) 費用便益分析の前提とされた,平成42年における将来交通量の予測は,次のとおりである。予測に当たっては,本件圏央道事業等に係 - 37 -る費用便益分析と同様の方法が採られている。 一般国道16号バイパスから一般国道16号4万9500台/日一般国道16号から都道上館日野線 3万6400台/日都道上館日野線から都道八王子町田線 3万4100台/日都道八王子町田線から一般国道20号 2万台/日(ウ) 便益については,基準年(平成17年度)における走行時間短縮便益の現在価値が2280億円,走行経費減少便益の現在価値が140億円及び交通事故減少便益の現在価値が40億円と算出され,その合計額が2460億円とされた。 (エ) 費用については,基準年(平成17年度)における事業費の現在価値が1062億円,維持管理費の現在価値が32億円と算出され,その合計額が1094億円とされた。 (オ) 上記の結果,社会費用便益比(B/C)は,2.2と算定された。 4 本件各事業に係る環境影響評価等の実施について(1) 本件圏央道事業等に係る環境影響評価について東京都知事は,東京都環境影響評価条例に基づき,昭和63年12月に本件環境影響評価1を,平成8年12月に本件環境影響評価2を行った。その際,東京都知事は,昭和61年9月24日付けで本件環境影響評価1の評価書案の概要を,平成7年3月14日付けで本件環境影響評価2の評価書案の概要をそれぞれ告示した上で,都民の意見書の提出や公聴 。その際,東京都知事は,昭和61年9月24日付けで本件環境影響評価1の評価書案の概要を,平成7年3月14日付けで本件環境影響評価2の評価書案の概要をそれぞれ告示した上で,都民の意見書の提出や公聴会等の開催,説明会の開催等の手続を経て環境影響評価書を作成し,平成元年2月6日付けで本件環境影響評価1の評価書の概要を,平成9年2月5日付けで本件環境影響評価2の評価書の概要をそれぞれ告示した。本件環境影響評価1においては,大気汚染,水質汚濁,騒音,振動,低周波空気振動,日照阻害,電波障害,陸上植物,陸上動物,水生生物,地形・地質,史跡・文化財及び景観の - 38 -各項目について,圏央道の建設事業が環境に及ぼす影響について予測及び評価がされた。また,本件環境影響評価2においては,大気汚染,騒音,振動,低周波空気振動,水質汚濁,地形・地質,陸上植物,陸上動物,水生生物,日照阻害,電波障害及び景観の各項目について,圏央道の建設事業が環境に及ぼす影響について予測及び評価がされた。なお,平成10年改正前の東京都環境影響評価条例24条1項に基づく評価書の縦覧期間が満了したのは,本件環境影響評価1について平成元年2月21日,本件環境影響評価2について平成9年2月20日である。(乙3の3,乙13の7,乙13の8,乙13の10,乙13の11,乙E1,乙E2)(2) 本件八王子南バイパス事業に係る環境影響評価について東京都知事は,平成8年12月,東京都環境影響評価条例に基づき,本件環境影響評価3を行った。その際,東京都知事は,平成7年3月14日付けで本件環境影響評価3の評価書案の概要を告示した上で,都民の意見書の提出や公聴会等の開催,説明会の開催等の手続を経て環境影響評価書を作成し,平成9年2月5日付けで本件環境影響評価3の評価書の概要を告示した 環境影響評価3の評価書案の概要を告示した上で,都民の意見書の提出や公聴会等の開催,説明会の開催等の手続を経て環境影響評価書を作成し,平成9年2月5日付けで本件環境影響評価3の評価書の概要を告示した。本件環境影響評価3においては,大気汚染,騒音,振動,低周波空気振動,水質汚濁,地形・地質,陸上植物,陸上動物,水生生物,日照阻害,電波障害,景観及び史跡・文化財の各項目について,本件八王子南バイパスの建設事業が環境に及ぼす影響について予測及び評価がされた。なお,平成10年改正前の東京都環境影響評価条例24条1項に基づく本件環境影響評価3の評価書の縦覧期間が満了したのは,平成9年2月20日である。(乙3の5,乙13の13,乙13の14,乙E3)(3) 計画交通量の見直しに伴う環境影響評価の照査について起業者らは,本件各事業に係る事業の認定の申請に当たって,事業の完成の時期を見直したことから,この見直しを踏まえて,建設省(当時)が平成11年度に実施した一般交通量調査及び自動車起終点調査等に基づき,平成 - 39 -42年を推計年次とする圏央道及び八王子南バイパスの計画交通量を算出した。そして,起業者らは,計画交通量を見直した結果,本件各環境影響評価の基礎となった計画交通量と比べて本件各事業区間の計画交通量が増加していることなどから,平成42年の計画交通量を基礎として,本件各事業の施行が環境に及ぼす影響について補足的に照査する目的で,本件各環境影響照査を行った。本件各環境影響照査においては,大気汚染,騒音,振動及び低周波空気振動の4項目が照査の対象項目として選定され,平成42年を予測の対象時点として,東京都技術指針(平成15年1月),平成12年10月及び平成16年4月に建設省土木研究所,国土交通省国土技術政策総合研究所が取りまとめ 査の対象項目として選定され,平成42年を予測の対象時点として,東京都技術指針(平成15年1月),平成12年10月及び平成16年4月に建設省土木研究所,国土交通省国土技術政策総合研究所が取りまとめた「道路環境影響評価の技術手法(その1)」及び「道路環境影響評価の技術手法(その2)」等に基づき,本件各事業の施行が環境に及ぼす影響について,再予測計算及び評価が実施された。 (乙3の1,乙3の3,乙3の5,乙E4) 5 高尾山トンネルの工事等による地下水等への影響について(1) α13城跡トンネルの工事等についてア α13城跡トンネルの工事箇所の地質α13城跡トンネルは,八王子ジャンクションの北側の区間にある圏央道のトンネルであり,その全長は約2400メートルである。起業者らは,α13城跡トンネルの施工の準備のために,平成3年度から平成8年度にかけて,4回にわたりボーリング調査を実施するなどして地質調査を行うとともに,平成2年以降,α13城の築城当時に掘削されたとされる井戸である坎井を主としてその他の表流水に係る水理機構を把握するため,降水量,地下水位,河川流量,水質,土壌水分等を継続して調査した。その結果,起業者らは,α13城跡トンネルの工事箇所の地質及び水文について,次のとおり結論づけた。(甲C1,乙C5)(ア) α13城跡地域の地質は,中生代白亜紀の小仏層群を基盤としてお - 40 -り,砂岩,けつ岩,砂岩及びけつ岩の互層から成る岩盤で構成されている。ボーリング調査の結果からも,トンネルが計画されている深度ではおおむね堅固な地質といえる。 (イ) 降水量は夏期に多く,冬期には少ない。また,降雨に対して河川流量は明りょうな応答を示している。 (ウ) トンネルが計画される岩盤深部の地下水位と地下浅部の地下水とは約50 地質といえる。 (イ) 降水量は夏期に多く,冬期には少ない。また,降雨に対して河川流量は明りょうな応答を示している。 (ウ) トンネルが計画される岩盤深部の地下水位と地下浅部の地下水とは約50メートル以上差があること,また,地下浅部の地下水位が降雨に敏感に反応するのに対し,岩盤深部の地下水位は変化が緩慢で地下浅部のようには降雨の影響を受けていないことから,両者の地下水は直接連続していないと判断される。 (エ) 土壌中の水分は,深度が深くなるにつれ安定しており,4メートル以深では降雨の少ない時期でもほぼ飽和に近い状態になっている。 イ起業者らは,平成11年10月,α13城跡トンネルの工事に着手したところ,平成14年1月22日から同年2月1日にかけて,地下水位の観測に用いられていた観測井戸の一つである観測孔2の水位が約12メートル低下する現象が発生した。(甲C23ないし甲C26,甲C69,乙C6,乙C7)ウ起業者らは,上記水位の低下がみられた平成14年1月22日,α13城跡トンネルの掘削を一時休止し,トンネルのゆう水を抑えるための応急止水注入を実施するととともに,同年2月ころ,止水対策を含むα13城跡トンネルを含めた圏央道事業に係るトンネル施工方法全般に関する指導,助言を受ける目的で,学識経験者等から構成される技術検討委員会を設置した。そして,技術検討委員会は,同月から同年9月までに合計4回にわたり開催され,α13城跡トンネルの施工方法の検討を行い,起業者らは,技術検討委員会の意見を踏まえるなどして,当初の設計位置よりも手前から地山止水工事を施行することとし,同月3日,当面の掘削範囲の止水注 - 41 -入を完了させるとともに,同年10月28日,α13城跡トンネルの掘削を再開した。(甲C15,甲C23ないし甲C26,甲 山止水工事を施行することとし,同月3日,当面の掘削範囲の止水注 - 41 -入を完了させるとともに,同年10月28日,α13城跡トンネルの掘削を再開した。(甲C15,甲C23ないし甲C26,甲C71,甲C72,乙C3,乙C6,乙C7)エ上記α13城跡トンネル掘削再開後,観測孔2の水位は上昇を続け,平成16年11月ころには,約TP(東京湾平均海面)+345メートル(平成14年1月22日の水位低下前に比べて約マイナス3メートルの水位)となった。 その後,起業者らは,先進導坑完了後の拡幅掘削を平成17年10月19日より開始したところ,観測孔2の水位が同月22日ころから低下を始め,本件事業認定がされた平成18年4月当時の観測孔2の水位は,約TP+315メートルであった。 なお,平成17年11月11日に開催された同年度第3回技術検討委員会においては,観測孔2の地下水位は,拡幅掘削の進行に伴い低下傾向を示しているものの,早期に覆工コンクリートが構築されることにより,水位が徐々に上昇すると考えられる旨の意見が述べられていた。また,観測孔2の水位は,平成19年2月8日ころから上昇し,同年4月22日時点では約TP+331メートルとなり,その後,平成22年1月12日時点では約TP+341メートルとなった。(甲C52,甲C60,甲C69,乙C7ないし乙C9)オ起業者らは,平成13年9月,本件圏央道事業区間により北に位置する圏央道α14橋上り線橋脚(P3及びP4)の基礎の掘削工事を開始したところ,掘削箇所から地下水がゆう出したため,P4橋脚については同月25日から54日間,P3橋脚については同年10月4日から82日間,連続して揚水を実施した。また,同月末ころ,八王子市α15町α16地区の住民から井戸の水枯れが発生したとの申出があり, ついては同月25日から54日間,P3橋脚については同年10月4日から82日間,連続して揚水を実施した。また,同月末ころ,八王子市α15町α16地区の住民から井戸の水枯れが発生したとの申出があり,相武国道工事事務所(当時)は,同年11月から周辺住民に対しての聞き取り調査,平成1 - 42 -4年1月から当該地域全域の井戸調査をそれぞれ実施した。これらの調査において,α16地区の292戸(うち井戸を所有するのは146戸)のうち,42戸について井戸の水枯れが発生していることが確認された。 ただし,起業者らは,上記掘削箇所について平成13年12月25日までに埋戻しを実施したところ,平成14年2月19日時点には上記井戸の水枯れが発生したすべての井戸について水位の回復がみられた。(甲C11,甲C12,甲C36,甲C37,乙C10,乙C11)カ平成17年5月14日,α13城跡にあるα17滝の表流水が見られなくなる(滝枯れ)現象が発生した。その後,上記の表流水の流れの回復と滝枯れの現象が交互に発生し,平成19年7月10日までの間に合計311日間,滝枯れの現象が発生した。 これに対し,平成16年5月26日及び同年8月9日に開催された技術検討委員会においては,α17滝の流量は,観測孔2の水位変化とは関連しておらず,α17滝の水の大部分は表層土砂,浅部に蓄えられた雨水がわき出したものと考えられる旨の意見が述べられていた。また,起業者らは,平成17年5月にα17滝の表流水が見られなくなったことを受けて,同月26日及び27日に現地調査を行い,同年6月3日に開催された技術検討委員会において検討した結果,α17滝の河川水が枯れた原因は,同年春季の少雨傾向にあり,α13城跡トンネル掘削の影響ではないことなどを結論付け,同月9日にこれを記者発表した 3日に開催された技術検討委員会において検討した結果,α17滝の河川水が枯れた原因は,同年春季の少雨傾向にあり,α13城跡トンネル掘削の影響ではないことなどを結論付け,同月9日にこれを記者発表した。さらに,同年11月11日に開催された技術検討委員会においても,①観測孔2の水位低下前後で流量の変動の傾向に大きな変化は見られず,トンネル掘削の影響は発生していないと考えられる,②予測解析によると,リーミングTBM工法(平成16年度第3回技術検討委員会において採用されたトンネル拡幅掘削工法)は,トンネルの掘削期間中及び施工完了後を通じてα17滝への影響はほとんどない,③よって,α17滝の流量は,観測孔2の水位低下前後 - 43 -で流量の変動の傾向に大きな変化は見られず,トンネル掘削期間中,施工完了後を通じ,ほとんど影響は発生しないと考えられる旨の意見が述べられた。(甲C38,甲C43の1,甲C73,甲C74,乙C8,乙C16,乙C17)(2) 高尾山に係る地質及び水文調査並びに高尾山トンネルの施工方法等についてア高尾山トンネルは,本件圏央道事業区間のうち八王子南インターチェンジから八王子ジャンクションまでの区間に位置する全長約1300メートルのトンネルであり,高尾山を掘削して施工されるものである。起業者らは,高尾山トンネルの施工の準備のために,昭和62年10月から平成16年3月までの間,高尾山の地質につき,水平ボーリング調査を2箇所,鉛直ボーリング調査を16箇所実施した。また,起業者らは,平成4年以降,高尾山のα18滝及びα19滝の水理機構を把握するため,降水量,地下水位,河川流量,水質,土壌水分等を継続して調査した。そして,起業者らは,技術検討委員会の意見も得た上で,高尾山の地質及び水文について次のとおり結論付けた。(甲 水理機構を把握するため,降水量,地下水位,河川流量,水質,土壌水分等を継続して調査した。そして,起業者らは,技術検討委員会の意見も得た上で,高尾山の地質及び水文について次のとおり結論付けた。(甲C33,甲C35,乙3の3,乙C1,乙C2)(ア) 高尾山の地質についてa 中生代白亜紀の地質が主体となっており,けつ岩,砂岩,けつ岩及び砂岩の互層が主体に構成されているが,なかでもけつ岩優勢(α13城跡周辺の地質は砂岩優勢)の地質となっている。また,トンネルフォーメーション付近の岩盤については,抗口周辺やα20沢の一部で割れ目の褐色化がみられるが,その他については,深部に向かっておおむね新鮮・堅硬であると考えられる。 b 透水係数については,割れ目の褐色化がみられる抗口周辺で10-4~10-3 cm/sec,α20沢付近で10-5~10-4 cm/secとなっ - 44 -ているものの,それ以外のところでは10-6 cm/sec前後以下又は10-5 cm/sec前後となっており,透水性も一部を除き低いと考えられる。 c 弾性波探査において低速度帯は確認されず,破砕帯を伴う大規模な断層はないものと考えられ,北抗口水平ボーリング調査において観測されたゆう水量は非常に少ないことから,この区間において,施工中に多くのゆう水が発生する可能性は低いものと考えられる。 d 水平ボーリング試料の超音波伝ぱ速度と地山弾性波速度の差が小さい(き裂係数が小さい)ことから,地山の割れ目は密着しているものと考えられる。 (イ) 高尾山の水文についてa 河川流量(α20沢,α21沢及びα22沢)は,降雨に対して極めて明りょうに応答し,ピークの出現及び減水が早い傾向にあることから,降雨に大きく依存している。 b 河川水と岩盤地下水は,電気伝 a 河川流量(α20沢,α21沢及びα22沢)は,降雨に対して極めて明りょうに応答し,ピークの出現及び減水が早い傾向にあることから,降雨に大きく依存している。 b 河川水と岩盤地下水は,電気伝導率や硝酸性窒素の含まれる量が異なっていることから,互いの関連性は薄いものと考えられる。 c α18滝は,α20沢とトンネルの交差部より上流側に位置し,その集水域も広いことからも,トンネル施工による影響は少ないと考えられる。また,α19滝は,その集水域がトンネルルートと大きく離れており,トンネル施工による影響は少ないと考えられる。 イ平成16年2月3日及び同年3月16日に開催された技術検討委員会において,上記アの調査結果等に基づいて,高尾山トンネルの構造及び施工方法について,次のとおり意見が述べられた。(乙3の3,乙C1ないし乙C3)(ア) α20沢とトンネルの交差部は比較的土かぶりが薄く,この周辺において一部トンネルフォーメーションまで割れ目の褐色化がみられる - 45 -ことから,トンネル内に水を引き込まず,他流域に水が流出しないよう,この周辺を十分カバーする区間を覆工止水構造とすることが適当である。 (イ) 具体的には,割れ目の褐色化がみられる箇所,透水性が比較的高いと想定される箇所及びα20沢本線の集水域を含み,かつ,慎重を期して,施工中に比較的地山の緩みが生じることが想定される箇所を含む区間(約500メートル)を覆工止水構造とすることが適当である。 (ウ) 高尾山トンネルの具体的な施工法(施工中の止水対策を含む。)については,引き続き,α13城跡トンネルの施工実績を踏まえた検討を進める必要がある。 ウ平成17年6月29日に開催された技術検討委員会においては,α13城跡トンネルの施工実績について,「先進導坑は既に貫 ,引き続き,α13城跡トンネルの施工実績を踏まえた検討を進める必要がある。 ウ平成17年6月29日に開催された技術検討委員会においては,α13城跡トンネルの施工実績について,「先進導坑は既に貫通し,地山止水注入も完了しており,これまでのトンネル技術検討委員会の見解どおり,トンネル掘削による坎井の水位,α17滝の流量,ならびに土壌水分への影響は見られなかった」,「α23川において,α13城跡トンネルを挟んだ流量観測点間(B-D,B-E間)の流量の相関は,トンネル掘削前後で大きな変化は見られなかった」,「覆工止水構造区間の透水係数をチェックボーリングで確認した結果,目標値(5×10-6 cm/sec)以下に改善されていた」とした上で,「先進導坑に用いたシールド工法は水環境の保全に適切な工法であった」との意見が述べられた。また,高尾山トンネルの施工方法について,「高尾山の水環境を保全するため,α13城跡トンネルの施工実績を踏まえ,覆工止水構造区間は「先進導坑(シールド掘削)+NATM(機械掘削)」工法により,通常施工区間はNATMにより施工を行う」との意見が述べられた。(乙C4)エ起業者らは,イ及びウの助言を受けて,高尾山トンネルの施工方法について,全長約1300メートルの工事区間のうち約500メートルについ - 46 -ては覆工止水構造,すなわち,まず,ゆう水に対する止水を目的として先進導坑(シールド掘削)を掘削した後,トンネル周囲に先進導坑から超微粒子セメントによる止水注入を行った上で,NATM(機械掘削)により本坑を掘削し,その後,覆工コンクリートと地山の間に防水シートを施工し,トンネル内に地下水を引き込まない防水構造とすることとした。他方,その余の約800メートルについては,山岳トンネルの標準工法とされるNATM その後,覆工コンクリートと地山の間に防水シートを施工し,トンネル内に地下水を引き込まない防水構造とすることとした。他方,その余の約800メートルについては,山岳トンネルの標準工法とされるNATM(機械掘削)により施工することとした。また,施工に当たっては,別途工場で製作したコンクリートピースを用いて早期に止水構造を構築するなどα13城跡トンネルにおける施工方法に改良を加えたものとしている。(乙3の3,乙C1,乙C19)(3) 本件環境影響評価1における地形・地質の評価について本件環境影響評価1においては,ボーリング調査等を行うなどして検討され,その結果,「トンネル掘削に伴う不圧地下水への影響については,計画路線のトンネルを横断する大規模な破砕帯を伴う断層は存在せず,高尾山周辺部においては,中間層地下水と岩盤地下水の連続性が低いと考えられること,丘陵地においては全般に地下水位が低いと考えられること,また,帯水層の一部が遮断される台地においては十分透水層が残存することから影響が少ないと考える」と評価されている。また,α13城跡トンネル及び高尾山トンネルを施工することによる影響等については個別に検討され,その結果,次のとおり評価されている。(乙13の11,乙13の12)ア影響要因地下水の坑内ゆう出に伴う地下水位の低下イ不圧地下水の状況不圧地下水は主に表土等の被覆層及び表層の風化岩に賦存する。この一部は断層等の割れ目に沿って地下に浸透するが,計画路線を横断する幅広い破砕帯を伴う大きな断層は認められていない。また,岩盤の風化は尾根 - 47 -部で厚く,谷部で薄い一般的な性状を示しており,新鮮な岩盤部では透水性が低く,深部の岩盤地下水と強度の風化帯等に存在する中間層地下水とは連続性が低いと考えられる。地下水の 化は尾根 - 47 -部で厚く,谷部で薄い一般的な性状を示しており,新鮮な岩盤部では透水性が低く,深部の岩盤地下水と強度の風化帯等に存在する中間層地下水とは連続性が低いと考えられる。地下水の供給源は,主に当該山域の降雨である。 ウ影響の程度(工事の施工中)当地域では大きな断層の存在する可能性は低く,新鮮な岩盤部は透水性が低いこと,谷川の水の大半は岩盤地下水とは別の中間層地下水によりかん養されていると考えられること,及び岩盤地下水と中間層地下水との連続性は低いと考えられるため,影響は少ないと予測される。また,付近には,α18滝,α19滝及び一部土かぶりの薄い箇所も存在するが,工事に先立ち詳細な地質・地下水調査を行い,ゆう水の程度を予測し,施工法及び止水対策工の検討を行うとともに,施工中には水平ボーリング等の施工中調査を実施し,ゆう水箇所及び地質性状の確認を行い,最適施工法及び止水対策工へ反映させるため,影響は少ないと予測される。 エ影響の程度(工事の施工後)表流水への恒常的な影響は,計画路線西方約4キロメートルにあるα24地区における類似事例調査によると,特別な止水対策を講じない場合には,渇水期において,若干の影響を生じる可能性がある。しかし,工事の施工中における十分な止水対策工,さらにインバート,ゆう水処理工等を施工し,トンネル覆工内のゆう水を防止する等の特別な止水対策を講じるため,不圧地下水及び表流水への影響は軽微なものにすることができると考える。 (4) 高尾山トンネルの工事等について平成19年5月,高尾山トンネルの掘削工事が開始されたところ,同年10月,高尾山トンネルの南側坑口付近の沢の水枯れの現象が発生するとともに,平成20年3月に,α25沢の水枯れ等の現象が発生した。(甲C53, - 48 - ネルの掘削工事が開始されたところ,同年10月,高尾山トンネルの南側坑口付近の沢の水枯れの現象が発生するとともに,平成20年3月に,α25沢の水枯れ等の現象が発生した。(甲C53, - 48 -甲C54,甲C76,甲C77の1・2,甲I3の1ないし3,甲I9,甲I10の1ないし3,乙C19) 6 本件各事業が高尾山等の景観に及ぼす影響について(1) 本件環境影響評価1においては,圏央道の建設による周辺地域の景観に及ぼす影響につき,現地踏査及び写真撮影によるフォトマップの作成等により地域景観の特性が調査されるとともに,地形図,観光レクリェーション等に関する既存資料に基づいて代表的な眺望地点が選定され,その眺望の状況を写真撮影する方法により調査されている。そして,調査の結果,「事業の実施に伴い,近景域における視野の変化の他,ある程度の人工構造物の付加による現況景観の変化が生じる。しかし,事業実施に当たっては,道路構造型式(換気塔を含む),デザイン,色彩等について各種調査をして,詳細な設計を行うとともに,構造物の設置される箇所の自然的,歴史的,文化的条件を十分検討し,必要に応じて専門家の意見を設計に反映することにより,構造物が本来持つべき機能と,視覚的機能を調和させ,これら構造物が美しい国土の一部を構成するよう十分な景観的配慮を行っていく。また,盛土・切土のり面,環境施設帯等には速やかに樹林による緑の創造を図る。この場合,樹林自身が人々に安らぎと憩いを与える自然景観の一部となる。さらに樹林の高さや位置関係に応じて道路構造物,遮音壁等の人工構造物の全体もしくは一部を視界から覆い隠すことにより,道路と周辺景観との融合を図る。以上のことから,計画路線による景観への影響は少ないと考える。」と評価されている。なお,本件環境影響評価1において 造物の全体もしくは一部を視界から覆い隠すことにより,道路と周辺景観との融合を図る。以上のことから,計画路線による景観への影響は少ないと考える。」と評価されている。なお,本件環境影響評価1においては,高尾山トンネルにつき,「高尾山周辺からα26川にかけての地域は,山と谷筋の集落からなる自然に恵まれた地域であるが,この区間の約7割をトンネル構造で計画しており,自然的景観の主な構成要素である山地の森林は大部分が保全されることから,このトンネル区間では景観の変化は生じない」と評価されている。(乙13の11) - 49 -(2) 本件環境影響評価2においては,圏央道の建設による周辺地域の景観に及ぼす影響につき,計画路線沿いの現地踏査により地域景観の特性が調査され,地形図,観光レクリェーション等に関する既存資料に基づいて代表的な眺望地点が選定され,その眺望の状況を写真撮影する方法により調査されるとともに,現地踏査に基づいて圧迫感の状況が調査されている。そして,調査の結果,「八王子南インターチェンジの建設が予定されている一般国道20号沿いの地域は,市街化が進んでおり人工的景観要素を多く含んでいる。また,インターチェンジを設置しても,周辺に広がる山地景観は維持されることから,切土のり面,環境施設帯等の計画路線区域内の植栽可能な部分に,地域にあった適切な構成種を中心とする植樹等により修景を行い,橋梁の色彩や形状が周辺の景観と調和するように配慮することにより,景観への影響の程度を小さくすることが可能と考えられる。換気塔については,広大な山地部のわずかな部分であり,周辺部から眺望されない位置にあることから影響はないと考えられる。以上のことから,計画路線の設置が周辺の景観に与える影響は少ないものと考えられる」と評価されている。(乙13の8) な部分であり,周辺部から眺望されない位置にあることから影響はないと考えられる。以上のことから,計画路線の設置が周辺の景観に与える影響は少ないものと考えられる」と評価されている。(乙13の8) 7 本件各事業の施行による大気汚染について(1)ア本件各環境影響評価においては,大気汚染につき一酸化炭素,二酸化窒素及び二酸化いおうを対象物質として,現況調査を行った上で,将来の排出量の予測を行っている一方で,SPMについては対象物質とはされていない。他方,本件各環境影響照査においては,大気汚染につき一酸化炭素,二酸化窒素及び二酸化いおうを対象物質として,将来の排出量の再予測を行うとともに,本件環境影響照査3においてSPMの将来の排出量予測を行っている。(乙3の3,乙3の5,乙13の8,乙13の11,乙13の14)イ現況調査について本件各環境影響評価においては,上記に述べたとおり,予測を行う前提 - 50 -として現況調査が行われているところ,大気質については,春,夏,秋及び冬の各季節につき,それぞれ1週間ずつ,一酸化炭素,一酸化窒素及び二酸化窒素並びに二酸化いおうの測定が行われている。そのうち,一酸化窒素及び二酸化窒素の測定に当たっては,ザルツマン試薬を用いる吸光光度法が使用されている。また,上記現況調査においては,春,夏,秋及び冬の各季節につき,それぞれ1か月間ずつ,気象の状況が調査されている。 さらに,本件環境影響評価1においては,接地逆転層の形成状況についても現地調査の対象とされ,予測及び評価の基礎資料とされる一方,本件環境影響評価2及び本件環境影響評価3においては,上記本件環境影響評価1における現地調査の結果と気象庁による調査結果とを比較するなどして検討が行われている。(乙13の8,乙13の9,乙13の11,乙1 影響評価2及び本件環境影響評価3においては,上記本件環境影響評価1における現地調査の結果と気象庁による調査結果とを比較するなどして検討が行われている。(乙13の8,乙13の9,乙13の11,乙13の14,乙13の15)ウ大気汚染に係る環境基準について(ア) 平成5年法律第92号による廃止前の公害対策基本法(以下「旧公害対策基本法」という。)9条及び環境基本法16条1項に基づいて定められた大気汚染に係る環境基準である「大気の汚染に係る環境基準について」(昭和48年環境庁告示第25号)では,次のとおり定められている。(乙E26)a 一酸化炭素1時間値の1日平均値が10ppm以下であり,かつ,1時間値の8時間平均値が20ppm以下であること。 b 二酸化いおう1時間値の1日平均値が0.04ppm以下であり,かつ,1時間値が0.1ppm以下であること。 c SPM1時間値の1日平均値が0.10ミリグラム/立方メートル以下 - 51 -であり,かつ,1時間値が0.20ミリグラム/立方メートル以下であること。 (イ) 旧公害対策基本法9条及び環境基本法16条1項に基づいて定められた大気汚染に係る環境基準のうち,二酸化窒素に係る基準である「二酸化窒素に係る環境基準について」(昭和53年環境庁告示第38号)では,「1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内又はそれ以下であること」を環境基準とする旨定められている。(乙E26)エ本件各環境影響評価及び本件各環境影響照査における予測手法(ア) 本件環境影響評価1においては,一般部及び八王子ジャンクション部の大気汚染の予測手法として,有風時(風速が1メートル/秒を超える場合)にプルームモデル,静穏時(風速1メートル/秒以下)にパフモデル 本件環境影響評価1においては,一般部及び八王子ジャンクション部の大気汚染の予測手法として,有風時(風速が1メートル/秒を超える場合)にプルームモデル,静穏時(風速1メートル/秒以下)にパフモデルを用いており,これらのモデルは,建設省技術指針及び東京都技術指針において採用されている予測手法である。プルームモデル及びパフモデルは,拡散計算による予測方法のうち,風速の鉛直分布をモデル化したり,拡散係数が一定であると仮定するなど条件を単純化した上で,風の流れ及び拡散を考慮した汚染物質の質量保存に関する微分方程式を解き,その解を利用して濃度を求める手法の一種である。そして,本件環境影響評価1においては,後述するα1地域を対象とした風洞実験を実施した上で,「一般的に複雑地形における拡散については,地形等による気流の乱れにより拡散が促進されるとされており,また,接地逆転層の影響についても設定した拡散巾に反映されていると考えられるため,プルームモデル,パフモデルでの予測は適切なものと考える」と結論付けられている。ただし,トンネル坑口部からの排出ガスの拡散予測については,静穏時には噴流モデルが,有風時には噴流モデル及び等価排出強度モデルが用いられている。 - 52 -また,本件環境影響評価2及び本件環境影響評価3における大気汚染の予測についても,トンネル坑口部からの排出ガスの拡散予測以外についてはプルームモデル及びパフモデルが,トンネル坑口部からの排出ガスの拡散予測については噴流モデル及び等価排出強度モデルが用いられている。 (甲E5,甲E6,甲E14の1・2,甲E23の1,乙3の3,乙13の8,乙13の11,乙13の14,乙E5,乙E6)(イ) 本件環境影響評価1においては,複雑地形下での拡散,特に冬季静穏な夜間に形成される接地安 甲E14の1・2,甲E23の1,乙3の3,乙13の8,乙13の11,乙13の14,乙E5,乙E6)(イ) 本件環境影響評価1においては,複雑地形下での拡散,特に冬季静穏な夜間に形成される接地安定層ないし接地逆転層内の拡散現象を把握するため,実際の地形,気流の状態,温度分布等を再現することを目的とした風洞実験が行われた。同実験においては,高尾山トンネルから八王子ジャンクションを経てα13城跡トンネルに至る4.2平方キロメートル四方の地域について縮尺を1500分の1とする地形模型を作成した上で,実験が行われた。この地形模型は,熱伝導性が良いアルミ製とし,模型裏側には銅パイプを配管し,冷却機付き恒温槽から供給される冷却水により十分な冷却が得られるようにすることにより,接地安定層ないし接地逆転層を再現することができる構造とされていた。また,気象条件(風向風速,接地安定層の強さ,接地安定層高度等)については,昭和60年から昭和61年の冬季に行った現地観測における接地安定層出現時の結果を基にして設定し,接地安定層高度,接地安定層の強さについては,「産業公害総合事前調査における大気に係る環境濃度予測手法マニュアル」を参考にして分類した。その上で,本件環境影響評価1は,風洞実験による数値とプルーム・パフモデルによる計算値とを相関分析するなどして補正係数を設定し,これでプルーム・パフモデルによる計算値を補正した場合(接地安定層の影響や地形効果を考慮した場合)と補正しない場合 - 53 -を比較し,「年平均濃度に対する接地安定層の影響や地形の効果は,NO2で0.001ppm以下のレベルであり,濃度分布パターンもほとんど一致している。従って,「評価書案」に基づいたプルーム・パフモデルを当地区における年平均値の予測・評価に適用しても問題はない NO2で0.001ppm以下のレベルであり,濃度分布パターンもほとんど一致している。従って,「評価書案」に基づいたプルーム・パフモデルを当地区における年平均値の予測・評価に適用しても問題はないものと考えられる。」と結論付けている。(乙13の12)(ウ) 本件各環境影響照査においても,大気汚染の予測方法として,上記(ア)に述べたのとおおむね同様の方法が採用されている。(乙3の3,乙3の5)オ本件各環境影響評価及び本件各環境影響照査における予測条件(ア) 日交通量a 本件環境影響評価1においては,予測に用いる日交通量として,平成12年の計画交通量が採用されており,そのうち,八王子南インターチェンジから八王子ジャンクションまでの計画交通量は,3万7000台/日とされている。(乙13の11)b 本件環境影響評価2においては,予測に用いる日交通量として,平成22年の計画日交通量が採用されており,八王子南インターチェンジ以北の計画交通量は4万0300台/日,八王子南インターチェンジ以南の計画交通量は4万0800台/日とされている。 (乙13の8)c 本件環境影響評価3においては,予測に用いる日交通量として,平成22年の計画日交通量が採用されており,10か所について,本線部で2万1100台/日から4万6900台/日まで,街路部で最大1万0500台/日とされている。(乙13の14)d 本件各環境影響照査においては,平成42年における将来交通量の予測値を前提にしているところ,その予測値は,圏央道の城山インターチェンジから八王子南インターチェンジまでが4万240 - 54 -0台/日,八王子南インターチェンジから八王子ジャンクションまでが4万1600台/日とされている。また,本件環境影響評価3に対応する区間の予測 子南インターチェンジまでが4万240 - 54 -0台/日,八王子南インターチェンジから八王子ジャンクションまでが4万1600台/日とされている。また,本件環境影響評価3に対応する区間の予測値は,2万台/日から4万9500台/日とされている。(乙3の1)(イ) 平均走行速度a 本件環境影響評価1においては,平均走行速度について,「通常,道路を走行する車は,設計速度の範囲内で設定される規制速度を遵守する」とした上で,規制速度の上限値と考えられる設計速度である本線80キロメートル/時,ランプ40キロメートル/時とされている。(乙13の11)b 本件環境影響評価2においては,平均走行速度について,「設計速度及び道路交通法施行令に定める最高速度を考慮」した上で,八王子南インターチェンジ以北が小型車,大型車ともに本線80キロメートル/時,八王子南インターチェンジ以南が小型車100キロメートル/時,大型車80キロメートル/時,ランプについては小型車,大型車ともに40キロメートル/時とされている。(乙13の8)c 本件環境影響評価3においては,平均走行速度について,計画路線の本線部については道路交通法施行令に定める全車種60キロメートル/時とし,街路部については全車種設計速度の40キロメートル/時とされている。(乙13の14)(ウ) バックグラウンド濃度本件環境影響評価1においては,計画路線からの影響分を除く大気汚染物質の濃度(バックグラウンド濃度)について,東京都において各種施策が講じられることから低減することが予想されるとした上で,現況調査結果を基に,固定発生源については将来も発生量は変わ - 55 -らないものとし,移動発生源については交通量の伸びと自動車排出ガス規制の効果を考慮して設定されている。 されるとした上で,現況調査結果を基に,固定発生源については将来も発生量は変わ - 55 -らないものとし,移動発生源については交通量の伸びと自動車排出ガス規制の効果を考慮して設定されている。また,本件環境影響評価2及び本件環境影響評価3においても,自動車排出ガス規制の効果を考慮して排出係数が低減するとの前提でバックグラウンド濃度が設定されている。(乙13の8,乙13の11,乙13の14)(2)ア本件環境影響評価1は,工事の施工中の建設機械及び工事用車両による排出ガスの影響は一時的であることなどを理由として影響が少ないとする一方,「工事の完了後の計画路線の利用交通に起因する排出ガスは,一酸化炭素,二酸化窒素及び二酸化硫黄のいずれも評価の指標(環境基準)を下回るため,影響は少ないと考える」と結論付けており,本件環境影響評価2及び本件環境影響評価3においても,同様に工事完了後の計画路線周辺の一酸化炭素,二酸化窒素及び二酸化いおうの濃度が環境基準を下回る旨結論付けられている。また,本件各環境影響照査においても,計画路線周辺の一酸化炭素,二酸化窒素及び二酸化いおうの濃度が環境基準に適合する旨予測されているとともに,SPMの予測を行った本件環境影響照査3において,対象地域のSPMの濃度が環境基準に適合する旨予測されている。(乙3の3,乙3の5,乙13の8,乙13の11,乙13の14)イ二酸化窒素について(ア) 本件環境影響評価1は,12の予測地域における平成12年(ただしα3については平成7年)の二酸化窒素の日平均値(年間98パーセント値)について,一般部が0.033ppmから0.050ppm,トンネル坑口部が0.033ppmから0.048ppm,八王子ジャンクション部が0.033ppmであり,1時間値の1日平均値が0. セント値)について,一般部が0.033ppmから0.050ppm,トンネル坑口部が0.033ppmから0.048ppm,八王子ジャンクション部が0.033ppmであり,1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内又はそれ以下とする環境基準に適合する旨予測しており,上記一般部のうち,α3 - 56 -については,日平均値(年間98パーセント値)が0.033ppmであると予測している。(乙13の11)(イ) 本件環境影響評価2は,八王子南インターチェンジ部周辺における平成22年の二酸化窒素の日平均値(年間98パーセント値)が0. 045ppmであり,1時間値の1日平均値が0.04ppmから0. 06ppmまでのゾーン内又はそれ以下とする環境基準に適合する旨予測している。なお,本件環境影響評価2においては,影響が軽微であること等を理由として,工事の施工中における大気汚染の予測は行われていない。(乙13の8)(ウ) 本件環境影響評価3は,10の予測地点における平成22年の二酸化窒素の日平均値(年間98パーセント値)が0.030ppmから0.054ppmであり,1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内又はそれ以下とする環境基準に適合する旨予測している。なお,本件環境影響評価3においては,影響が軽微であること等を理由として,工事の施工中における大気汚染の予測は行われていない。(乙13の14)(エ) 本件環境影響照査1は,α1地域を予測地域として,平成42年度の二酸化窒素の日平均値(98パーセント値)が0.028ppmであり,1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内又はそれ以下とする環境基準を満足している旨予測している。また,本件環境影響照査2は,八王子 セント値)が0.028ppmであり,1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内又はそれ以下とする環境基準を満足している旨予測している。また,本件環境影響照査2は,八王子市α3町(以下,本件各環境影響調査及び本件各環境影響照査との関係では単に「α3町」という。)を予測地域として,平成42年度の二酸化窒素の日平均値(98パーセント値)が0.032ppmであり,1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内又はそれ以下とする環境基準を満足している旨予測している。さらに,本件環境 - 57 -影響照査3は,10の予測地点における平成42年度の二酸化窒素の日平均値(98パーセント値)が最大で0.050ppmであり,1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内又はそれ以下とする環境基準を満足している旨予測している。 (乙3の3,乙3の5)ウ SPMについて(ア) 本件環境影響評価1においては,SPMにつき,昭和58年3月に被告東京都が策定した「東京地域公害防止計画」が「浮遊粒子状物質は,固定発生源,移動発生源及び自然界に起因するもののほか,二次的に生成されるものなど複雑多岐であるため,現状では,発生源別の実態把握及び発生源と環境濃度との関係などについて未解明な部分が残されている。環境基準の確保のためには,これらの調査研究を進め,汚染予測モデルを開発し,削減手法を確立する必要がある」とする旨が指摘された上で,「自動車の走行に起因して発生する浮遊粒子状物質は,その生成と移流,拡散及び二次生成粒子に係るメカニズムが解明されていない。従って,発生源からの寄与を特定することができない」として,予測の対象とされなかった。また,本件環境影響評価2及び本件環境影響評価3にお 流,拡散及び二次生成粒子に係るメカニズムが解明されていない。従って,発生源からの寄与を特定することができない」として,予測の対象とされなかった。また,本件環境影響評価2及び本件環境影響評価3においても,同様の理由により予測の対象とされなかった。(乙13の8,乙13の11,乙13の12,乙13の14)(イ) 本件各環境影響照査のうち本件環境影響照査3においては,予測地点の一部について,SPMの濃度予測が行われ,いずれも環境基準に適合する旨が予測されている。他方,本件環境影響照査3におけるその余の予測地点並びに本件環境影響照査1及び本件環境影響照査2においては,インターチェンジやジャンクションによる加速車線及び減速車線が含まれる区間であることを理由に,SPMの濃度予測が行 - 58 -われていない。なお,本件環境影響照査3において,SPMのバックグラウンド濃度については,緩やかな減少傾向になっていることから平成42年度においても大きな変化がないとされている。(乙3の3,乙3の5) 8 本件各事業の施行による騒音について(1)ア本件各環境影響評価においては,騒音に係る現況調査を行った上で,工事の施工中及び完了後の騒音の予測を行っている。そのうち本件環境影響評価1においては,α3地域及びα1地域を含む9地域の道路交通騒音及び13地域の環境騒音の現況調査を行うとともに,α3地域及びα1地域を含む13の地域について工事完了後の道路交通騒音の予測を行っている。 また,本件環境影響評価2においては,α3町について一般環境騒音及び道路交通騒音の現況調査が行われるとともに,工事完了後の道路交通騒音の予測が行われている。さらに,本件環境影響評価3においては,α3町を含む3地点の一般環境騒音及び4地点の道路交通騒音の現況調査が行われるとと の現況調査が行われるとともに,工事完了後の道路交通騒音の予測が行われている。さらに,本件環境影響評価3においては,α3町を含む3地点の一般環境騒音及び4地点の道路交通騒音の現況調査が行われるとともに,10の地点において工事完了後の道路交通騒音の予測を行っている。なお,上記予測地域については,いずれもその概要について検討が加えられている。(乙13の8,乙13の11,乙13の14)イ騒音に係る環境基準について(ア) 旧公害対策基本法9条に基づく騒音に係る環境基準である「騒音に係る環境基準について」(昭和46年5月25日閣議決定)(旧騒音環境基準)においては,次のとおり定められている。なお,測定結果の評価については,原則としてパーセント時間率騒音レベルのうち中央値を採用するとされており,計量単位はホン(A)を用いるとされている。また,下記の「昼間」,「朝夕」及び「夜間」の意義については,「騒音に係る環境基準について」(昭和46年9月20日環大特第5号環境庁大気保全局長から各都道府県知事あて)において,昼 - 59 -間は午前7時又は8時から午後6時,7時又は8時まで,朝は午前5時又は6時から午前7時又は8時まで,夕は午後6時,7時又は8時から午後9時,10時又は11時まで,夜間は午後9時,10時又は11時から翌日の午前5時又は6時までの範囲内において都道府県知事の定めた時間をいうものとされている。(甲F15,乙F2,乙F4)a 道路に面する地域を除く環境基準値AA地域(療養施設が集合して設置されている地域など特に静穏を要する地域)昼間 45ホン(A)以下朝夕 40ホン(A)以下夜間 35ホン(A)以下A地域(主として住居の用に供される地域)昼間 50ホン(A)以下朝夕 45ホン(A)以下夜間 る地域)昼間 45ホン(A)以下朝夕 40ホン(A)以下夜間 35ホン(A)以下A地域(主として住居の用に供される地域)昼間 50ホン(A)以下朝夕 45ホン(A)以下夜間 40ホン(A)以下B地域(相当数の住居と併せて商業,工業等の用に供される地域)昼間 60ホン(A)以下朝夕 55ホン(A)以下夜間 50ホン(A)以下b 道路に面する地域の環境基準値A地域のうち2車線を有する道路に面する地域昼間 55ホン(A)以下朝夕 50ホン(A)以下夜間 45ホン(A)以下A地域のうち2車線を超える車線を有する道路に面する地域 - 60 -昼間 60ホン(A)以下朝夕 55ホン(A)以下夜間 50ホン(A)以下B地域のうち2車線以下の車線を有する道路に面する地域昼間 65ホン(A)以下朝夕 60ホン(A)以下夜間 55ホン(A)以下B地域のうち2車線を超える車線を有する道路に面する地域昼間 65ホン(A)以下朝夕 65ホン(A)以下夜間 60ホン(A)以下(イ) 環境基本法16条1項に基づく騒音に係る環境基準である「騒音に係る環境基準について」(平成10年環境庁告示第64号)(現騒音環境基準)においては,次のとおり定められている。なお,騒音の評価手法は,等価騒音レベルによるとされており,下記の昼間は午前6時から午後10時までの間,夜間は午後10時から翌日の午前6時までの間とされている。(乙F1)a 道路に面する地域を除く環境基準値AA地域(療養施設,社会福祉施設等が集合して設置されている地域など特に静穏を要する地域)昼間 50デシベル以下夜間 40デシベル以下A地域(専ら住居の用に供される地域)及びB地域(主として住居の用に供 設,社会福祉施設等が集合して設置されている地域など特に静穏を要する地域)昼間 50デシベル以下夜間 40デシベル以下A地域(専ら住居の用に供される地域)及びB地域(主として住居の用に供される地域)昼間 55デシベル以下夜間 45デシベル以下 - 61 -C地域(相当数の住居と併せて商業,工業等の用に供される地域)昼間 60デシベル以下夜間 50デシベル以下b 道路に面する地域の環境基準値A地域のうち2車線以上の車線を有する道路に面する地域昼間 60デシベル以下夜間 55デシベル以下B地域のうち2車線以上の車線を有する道路に面する地域及びC地域のうち車線を有する道路に面する地域昼間 65デシベル以下夜間 60デシベル以下幹線交通を担う道路に近接する空間昼間 70デシベル以下夜間 65デシベル以下(2)ア本件環境影響評価1においては,工事の完了後とされた平成12年(ただし,α3地域については平成7年)時点の道路交通騒音について,すべての予測地域についてすべての時間区分において旧騒音環境基準に定められた指標に適合する旨予測されている。そのうち,α3地域及びα1地域については,次のとおり予測されている。(乙13の11)(ア) α3地域騒音予測値朝(6時から7時) 44ホン昼間(10時から11時) 44ホン夕(19時から20時) 42ホン夜間(5時から6時) 42ホン考慮した騒音対策 - 62 -東側に遮音壁(高さ3メートル)地域の類型 A(旧騒音環境基準)車線数 4(イ) α1地域騒音予測値朝(6時から7時) 52ホン昼間(10時から11時) 53ホン夕(19 トル)地域の類型 A(旧騒音環境基準)車線数 4(イ) α1地域騒音予測値朝(6時から7時) 52ホン昼間(10時から11時) 53ホン夕(19時から20時) 50ホン夜間(5時から6時) 49ホン考慮した騒音対策本線両側に遮音壁(高さ3メートル),環境施設帯(各20メートル),中央自動車道南側に遮音壁(高さ3メートル)地域の類型 A(旧騒音環境基準)車線数 4イ本件環境影響評価2においては,α3町における,工事の完了後とされた平成22年時点の道路交通騒音について予測が行われ,次のとおり旧騒音環境基準に定められた指標に適合する旨予測されている。(乙13の8)騒音予測値朝(6時から7時) 52dB(A)昼間(10時から11時) 53dB(A)夕(19時から20時) 51dB(A)夜間(5時から6時) 50dB(A)考慮した騒音対策本線部:中央帯側遮音壁(高さ3メートル)路肩側遮音壁(高さ4メートル)ランプ部:路肩側遮音壁(高さ3メートル) - 63 -地域の類型 A(旧騒音環境基準)ウ本件環境影響評価3においては,工事の完了後とされた平成22年時点の道路交通騒音について,すべての予測地点についてすべての時間区分において旧騒音環境基準に定められた指標に適合する旨予測されている。 (乙13の14)エ本件環境影響照査1においては,α1地域における平成42年時点の道路交通騒音について,次のとおり騒音の中央値(L50)及び等価騒音レベルによる予測を行っており,すべての時間区分において旧騒音環境基準及び現騒音環境基準に定められた指標に適合する旨予測 2年時点の道路交通騒音について,次のとおり騒音の中央値(L50)及び等価騒音レベルによる予測を行っており,すべての時間区分において旧騒音環境基準及び現騒音環境基準に定められた指標に適合する旨予測されている。(乙3の3)(ア) 中央値朝 49dB(A)昼間 49dB(A)夕 47dB(A)夜間 49dB(A)考慮した騒音対策本線両側に遮音壁(高さ3メートル,延長約1200メートル),環境施設帯各20メートル,中央自動車道に遮音壁(高さ3メートル,延長約4400メートル)地域分類 A(旧騒音環境基準)(イ) 等価騒音レベル近接空間・昼間(6時から22時) 52dB(A)近接空間・夜間(22時から6時) 54dB(A)背後地・昼間(6時から22時) 52dB(A)背後地・夜間(22時から6時) 53dB(A)考慮した騒音対策 - 64 -本線両側に遮音壁(高さ3メートル,延長約1200メートル),環境施設帯各20メートル,中央自動車道に遮音壁(高さ3メートル,延長約4400メートル)地域分類 A(現騒音環境基準)オ本件環境影響照査2においては,α3町における平成42年時点の道路交通騒音について,次のとおり騒音の中央値(L50)及び等価騒音レベルによる予測を行っており,すべての時間区分において旧環境騒音基準及び現騒音環境基準に定められた指標に適合する旨予測されている。(乙3の3)(ア) 中央値朝 48dB(A)昼間 49dB(A)夕 47dB(A)夜間 ている。(乙3の3)(ア) 中央値朝 48dB(A)昼間 49dB(A)夕 47dB(A)夜間 46dB(A)考慮した騒音対策本線の路肩側に遮音壁(高さ4メートル,延長約400メートル),中央帯側に遮音壁(高さ3メートル,延長約500メートル),上り線路肩の一部に遮音壁(高さ5メートル+1メートル)及び遮音壁(高さ3メートル)(延長約100メートル),ランプの路肩側に遮音壁(高さ3メートル,延長約300メートル),八王子南バイパスの路肩側に遮音壁(高さ4メートル,延長約300メートル),ランプ及び八王子南バイパスに環境施設帯各10メートル地域分類 A(旧騒音環境基準)(イ) 等価騒音レベル近接空間・昼間(6時から22時) 60dB(A) - 65 -近接空間・夜間(22時から6時) 54dB(A)背後地・昼間(6時から22時) 55dB(A)背後地・夜間(22時から6時) 51dB(A)考慮した騒音対策本線の路肩側に遮音壁(高さ4メートル,延長約400メートル),中央帯側に遮音壁(高さ3メートル,延長約500メートル),上り線路肩の一部に遮音壁(高さ5メートル+1メートル)及び遮音壁(高さ3メートル)(延長約100メートル),ランプの路肩側に遮音壁(高さ3メートル,延長約300メートル),八王子南バイパスの路肩側に遮音壁(高さ4メートル,延長約300メートル),ランプ及び八王子南バイパスに環境施設帯各10メートル地域分類 A(現騒音環境基準)カ本件環境影響照査3においては,本件環境影響評価3において予測の対象となった10地点について,平成4 ),ランプ及び八王子南バイパスに環境施設帯各10メートル地域分類 A(現騒音環境基準)カ本件環境影響照査3においては,本件環境影響評価3において予測の対象となった10地点について,平成42年時点の道路交通騒音の予測が行われたところ,一部予測地点について追加の対策を講じることにより,旧騒音環境基準及び現騒音環境基準に定められた指標に適合する旨予測されている。(乙3の5) 9 本件各事業の施行による振動について(1) 本件各環境影響評価においては,振動につき,現況調査を行った上で,工事の施工中及び完了後の振動の予測を行っている。そのうち本件環境影響評価1においては,3地域の環境振動並びにα3地域及びα1地域を含む10地域の道路交通振動について各現況調査を行うとともに,α3地域及びα1地域を含む12の地域について道路交通振動の予測を行っている。また,本件環境影響評価2においては,α3町について一般環境振動,道路交通振動及び地盤卓越振動数の現況調査並びに道路交通振動の予測を行っている。さ - 66 -らに,本件環境影響評価3においては,α3町を含む3地点について一般環境振動の,α3町を含む4地点について道路交通振動の,α3町を含む6地点について地盤卓越振動数の各現況調査を行うとともに,9地点において道路交通振動の予測を行っている。(乙13の8,乙13の11,乙13の14)(2) 道路交通振動に係る要請限度について振動規制法16条1項並びに同法施行規則12条及び別表第2は,都道府県知事(平成11年法律第87号による改正後は市町村長)が,これを超過したときに道路管理者に対し道路交通振動の防止のための措置を執るべきこと等を要請する当該振動の限度(要請限度)を定めており,区域の区分が「第1種区域」とされている区域の値は 市町村長)が,これを超過したときに道路管理者に対し道路交通振動の防止のための措置を執るべきこと等を要請する当該振動の限度(要請限度)を定めており,区域の区分が「第1種区域」とされている区域の値は,昼間で65デシベル,夜間で60デシベルと,「第2種区域」とされている区域の値は,昼間で70デシベル,夜間で65デシベルとされている。なお,昼間は午前5時,6時,7時又は8時から午後7時,8時,9時又は10時までの範囲内で,夜間は午後7時,8時,9時又は10時から翌日の午前5時,6時,7時又は8時までの範囲内で都道府県知事が定めた時間をいうものとされている。 (3)ア本件環境影響評価1においては,工事の完了後とされた平成12年(ただし,α3地域については平成7年)時点の道路交通振動について,すべての予測地域について,要請限度に定められた夜間における値を下回る旨予測されている。(乙13の11)イ本件環境影響評価2においては,α3町における,工事の完了後とされた平成22年時点の道路交通振動について予測が行われ,要請限度の値を下回る旨予測されている。(乙13の8)ウ本件環境影響評価3においては,工事の完了後とされた平成22年時点の道路交通振動について,すべての予測地点についてすべての時間区分において要請限度の値を下回る旨予測されている。(乙13の14) - 67 -エ本件環境影響照査1においては,α1地域における平成42年時点の道路交通振動について予測が行われ,要請限度の値を下回る旨予測されている。(乙3の3)オ本件環境影響照査2においては,α3町における平成42年時点の道路交通振動について予測が行われ,要請限度の値を下回る旨予測されている。 (乙3の3)カ本件環境影響照査3においては,本件環境影響評価3において予測 2においては,α3町における平成42年時点の道路交通振動について予測が行われ,要請限度の値を下回る旨予測されている。 (乙3の3)カ本件環境影響照査3においては,本件環境影響評価3において予測の対象となった9地点について,平成42年時点の道路交通振動の予測が行われ,すべての予測地点についてすべての時間区分において要請限度の値を下回る旨予測されている。(乙3の5) 10 本件各事業の施行による低周波空気振動について(1) 本件環境影響評価1においては,低周波空気振動について「発生源も多岐にわたっており,現在その発生機構等を解明する研究途上にあるため,現時点において低周波空気振動の音圧レベルを定量的に予測する方法が確立されていない。したがって,ここでは現況調査で示した調査事例と本事業の内容を対比することにより定性的に予測した」とした上で,「工事の完了後の低周波空気振動は,既存資料から判断すると,一般環境中に多様に存在している音圧レベルの範囲内にあるため,沿道住民の日常生活に支障のない程度のものと考える」と評価されている。また,本件環境影響評価2及び本件環境影響評価3においても,同様の観点から定性的な予測が行われ,「一般環境中に多様に存在している音圧レベルの範囲内にあるため,沿道住民の日常生活に支障のないものと考える」旨評価されている。(乙13の8,乙13の11,乙13の14)(2) 本件各環境影響照査においては,平成16年4月に国土交通省国土技術政策総合研究所が取りまとめた「道路環境影響評価の技術手法(その2)」に標準外項目として記載された予測方法に基づいて予測がされた。そのうち, - 68 -本件環境影響照査1においては,α1地域における平成42年時点の低周波空気振動について予測が行われ,上記「道路環境影響評価の技術 記載された予測方法に基づいて予測がされた。そのうち, - 68 -本件環境影響照査1においては,α1地域における平成42年時点の低周波空気振動について予測が行われ,上記「道路環境影響評価の技術手法(その2)」に記載された参考指標を下回る旨予測されている。また,本件環境影響照査2においては,α3町における平成42年時点の低周波空気振動について予測が行われ,上記参考指標の値を下回る旨予測されている。さらに,本件環境影響照査3においては,3地点について,平成42年時点の低周波空気振動について予測が行われ,上記参考指標を下回る旨予測されている。 (乙3の3,乙3の5) 11 本件各事業の施行によるオオタカへの影響について(1) オオタカは,北半球の温帯から亜寒帯にかけて広く分布する森林性のタカであり,日本国内においては,主に関西以北で繁殖が多く確認されているが,越冬期には西日本を含め全国的に分布している。日本国内における生息数については必ずしも明らかでないものの,近年,生息環境の変化や密漁によって生息状況が悪化しているとの指摘があり,種の保存法4条3項並びに絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令1条1項及び別表第1に定める国内希少野生動植物種とされている。(甲B12,甲B24)(2) 本件環境影響評価1においては,少なくともその評価の対象となった計画路線の片側500メートル,幅1キロメートルの範囲について現地調査等を行った上で,鳥類への影響について工事の施工中及び工事の完了後おおむね10年の時点を対象時点として予測を行っている。そのうち,α3地域及びα1地域については,当該区域内にその生息地域を限定する固有の種が確認されていないことや,工事施工後も速やかに鳥類の生息環境が復元されることが予測されることなどから影響 いる。そのうち,α3地域及びα1地域については,当該区域内にその生息地域を限定する固有の種が確認されていないことや,工事施工後も速やかに鳥類の生息環境が復元されることが予測されることなどから影響が少ないと考えられる旨予測されている。 (乙13の11)(3) 本件環境影響評価2においては,その評価の対象となった計画路線の片側500メートル,幅1キロメートルの範囲について現地調査等を行った上で, - 69 -鳥類への影響について工事の施工中及び工事の完了後おおむね10年の時点を対象時点として予測を行っている。そして,オオタカについては,「既存資料によると,高尾山で記録がある。本種は,本州や北海道の山地の林で繁殖し,秋冬には全国の平地から山地の林に生息する。現地調査においては,α27橋付近で確認した。本種は,行動範囲の広いワシタカ類であり,現地調査の確認時期が秋季,冬季であること,改変部周辺においては営巣は確認していないことから,調査地域において営巣をしている可能性は低く,主に餌場の一部として利用していると考えられる。また,計画路線は大部分がトンネル構造であり改変部分はトンネル坑口等の一部分であることから,主な生息環境である森林の改変面積は周辺の広がりに比べると小さく,その主な餌であるスズメ,キジバト等の小鳥類の大幅な個体数の減少は考えられないことから,影響は少ないと予測される」とされている。 また,本件環境影響評価3においても,その評価の対象となった計画路線の片側500メートル,幅1キロメートルの範囲について現地調査等を行った上で,鳥類への影響について工事の施工中及び工事の完了後おおむね10年の時点を対象時点として予測を行っている。そして,オオタカについては,上記調査区域のうち主要地方道八王子町田線より西側の地域に係る区域につ 類への影響について工事の施工中及び工事の完了後おおむね10年の時点を対象時点として予測を行っている。そして,オオタカについては,上記調査区域のうち主要地方道八王子町田線より西側の地域に係る区域について,上記の本件環境影響評価2におけるのと同様の予測がされている。(乙13の8,乙13の14)(4) 起業者らは,平成8年に八王子市α15地区周辺においてオオタカの営巣が確認されたことから,同年11月,「X13」を設置して,同地区におけるオオタカの生息状況等を調査するとともに,平成10年1月に「オオタカとの共生をめざして」と題する文書を,同年10月に「オオタカとの共生をめざして・その2」と題する文書をそれぞれ公表した。そして,起業者らは,その後もオオタカの生息状況等の調査を継続するとともに,圏央道に係る工事に当たり,高さを伴うクレーン作業や大きな騒音を伴う工事をオオタカの - 70 -繁殖期に行う場合には,オオタカの行動を監視し,状況によっては作業を中断するなどの措置を講じた。(甲B14,乙B1ないし乙B5) 12 本件事業認定に係る手続について(1) 起業者らは,平成17年7月22日,本件事前説明会を開催した。事前に公告された開催予定時間は同日午後7時から午後9時までであったが,当日は,午後7時から午後9時48分までの間,本件事前説明会が開催された。 本件事前説明会においては,起業者らが資料を配付するなどして本件各事業の目的及び内容等について説明した後,出席者との間で質疑応答が行われた。 なお,起業者らは,本件事前説明会においてされた本件各事業の目的及び内容についての質問を踏まえ,「今後の事業予定について」等の27項目について起業者らの見解を記載した文書を相武国道事務所のウェブサイトに掲載した。(甲J37の1,甲J37の7,乙1, 事業の目的及び内容についての質問を踏まえ,「今後の事業予定について」等の27項目について起業者らの見解を記載した文書を相武国道事務所のウェブサイトに掲載した。(甲J37の1,甲J37の7,乙1,乙4の1の1ないし3,乙4の2の1・2,乙4の3,乙J32,乙J33,原告X14本人)(2) 国土交通大臣は,平成17年11月17日に八王子市民会館において,同月19日及び20日に八王子市芸術文化会館において,それぞれ本件公聴会を開催したところ,同月19日の本件公聴会において,社会資本整備審議会の委員であるX15が意見の陳述を行った。(甲J37の1,甲J37の9,乙6の3,原告X14本人)(3) 国土交通大臣は,平成18年2月13日付けで,土地収用法25条の2第1項に基づき,社会資本整備審議会の意見を求めたところ,同審議会は,同年4月7日付けで,国土交通大臣に対し,本件各事業の事業の認定をすべきであるとする国土交通大臣の判断を相当と認める旨の意見書を提出した。同審議会は,公共用地分科会の意見をもって,同審議会の上記意見としているところ,当該意見が述べられた当時の公共用地分科会の委員の氏名,職業等は,次のとおりである。(甲J37の9,乙7の1・2,乙J1)ア X16(東京都立大学教授(行政法)) - 71 -イ X17(社団法人X18専務理事)ウ X19(横浜国立大学教授(都市計画等))エ X20(X21大学教授(民法等))オ X22(X23株式会社取締役共同会長)カ X24(弁護士)キ X25(都市ジャーナリスト)(4) 国土交通大臣は,平成18年4月21日,土地収用法26条1項に基づき,本件事業認定につき官報により告示するとともに,同日ころ,本件事業認定に係る事業の認定をした理由,公共用地分科会の議事要旨及 4) 国土交通大臣は,平成18年4月21日,土地収用法26条1項に基づき,本件事業認定につき官報により告示するとともに,同日ころ,本件事業認定に係る事業の認定をした理由,公共用地分科会の議事要旨及び「意見書及び公聴会における主な反対意見の要旨と当該意見に対する事業認定庁の見解とを併記した意見対照表」を国土交通省のウェブサイトで公開した。本件事業認定に係る事業の認定をした理由においては,同法20条1号ないし4号の要件への適合性について検討が加えられており,そのうち同条3号の要件への適合性に関しては,本件各事業によって得られる公共の利益,失われる利益,事業計画の合理性について検討が加えられている。(乙8,乙9の1の1・2,乙9の2)13(1) 本件各裁決に係る審理を担当した東京都収用委員会の会長であるX26は,平成12年3月まで特別区人事・厚生事務組合の法務部長の職にあり,特別区の訴訟に係る事務を担当していた。また,同人は,国土交通省総合政策局総務課土地収用管理室が平成19年3月ころに設置した「土地収用制度における事業認定の法的効果の早期確定に向けた検討会」の委員に就任している。(争いのない事実)(2) 本件各裁決に係る審理を担当した東京都収用委員会の会長代理であったX27は,平成12年度に被告東京都の都市計画局長の,平成13年度に被告東京都の建設局長の職にあったとともに,東京都都市計画審議会委員,八王子市都市計画審議会委員,国土交通省が所管する社団法人X28協会の理 - 72 -事に就任するなどの経歴を有している。(争いのない事実) 14 本件各裁決に至る経緯(1) 審理の開始までの経緯ア起業者らは,平成18年12月5日,東京都収用委員会に対し,本件各申請をした。 イ東京都収用委員会は,本件各申請に係る土地の所 14 本件各裁決に至る経緯(1) 審理の開始までの経緯ア起業者らは,平成18年12月5日,東京都収用委員会に対し,本件各申請をした。 イ東京都収用委員会は,本件各申請に係る土地の所有者及び関係人(以下「本件権利者ら」という。)に対し,平成18年12月18日以降,土地収用法42条1項及び47条の4第1項に基づき,本件各申請があった旨を通知するとともに,八王子市長に対し,同月20日付けで,本件各申請に係る裁決申請書及び明渡裁決申立書等の写しを送付した。八王子市長は,同法42条2項及び47条の4第2項に基づき,平成19年1月9日,本件各申請がされたこと等を公告し,公告の日から2週間関係書類を公衆の縦覧に供するとともに,東京都収用委員会に対し,同日付けで,同法42条3項及び47条の4第2項に基づき,上記公告をした日の報告をした。 (丙7の1ないし5,丙8の1ないし5)ウ東京都収用委員会は,土地収用法45条の2に基づき,平成19年2月15日,本件各申請について裁決手続を開始する旨を決定し,同月16日,八王子登記所に対し,本件各土地に係る裁決手続開始の登記を嘱託し,同登記を経るとともに,同年3月7日付け東京都公報においてその旨を公告した。(丙9の1ないし5(枝番を含む。))エ東京都収用委員会は,平成19年3月15日,本件各土地について現地視察を実施した。(弁論の全趣旨)(2) 東京都収用委員会は,本件各申請の審理を併合した上で,次のとおり審理をした(なお,以下,本件裁決1,本件裁決2,本件裁決3,本件裁決4及び本件裁決5に係る収用事件についてそれぞれ「▲号事件」,「▲号事件」,「▲号事件」,「▲号事件」及び「▲号事件」という。)。 - 73 -ア第1回期日について(ア) 本件権利者らの代理人であるX29弁 る収用事件についてそれぞれ「▲号事件」,「▲号事件」,「▲号事件」,「▲号事件」及び「▲号事件」という。)。 - 73 -ア第1回期日について(ア) 本件権利者らの代理人であるX29弁護士,原告X30の当時の代表代行であり本件権利者らの一人でもある原告X31,原告X32事務局であり本件権利者らの一人でもある原告X33らは,平成19年1月22日,「意見書」と題する文書(甲J1)及び「申し入れ」と題する文書(丙10)を東京都収用委員会に提出し,本件各申請の却下,徹底した審理の実施,八王子市内の会場で審理期日を実施すること,審理期日の事前協議等について申入れをした。(甲J1,丙10,丙12の1ないし3)(イ) 東京都収用委員会は,平成19年2月15日ころ,X29弁護士,原告X31及び原告X33に対し,第1回及び第2回期日の場所を八王子市内の会場とすること,第1回期日は同年4月26日午後1時30分からとするが,同月23日を予備日とすることを書面により通知するとともに,予備日における期日の実施を希望する場合には同年2月28日までに書面で申し出ることを文書により要請した。この際,東京都収用委員会は,同年5月31日午後1時30分から第2回期日を予定していること,その予備日として同月24日を予定していることも併せて通知した。 これに対し,X29弁護士らは,同年2月26日ころ,同月23日付けの「進行に関する抗議書及び要求書」と題する文書(丙12の1)等を東京都収用委員会に提出し,審理の期日等について本件権利者らと再度協議することなどを求めた。(丙11,丙12の1ないし3)(ウ) 東京都収用委員会は,本件各申請について起業者らから意見を聴取することを目的として,本件各申請に係る審理の第1回期日を平成19年4月26日に行うことを めた。(丙11,丙12の1ないし3)(ウ) 東京都収用委員会は,本件各申請について起業者らから意見を聴取することを目的として,本件各申請に係る審理の第1回期日を平成19年4月26日に行うことを決定し,同年3月13日ころ,土地収用法46条2項に基づき,本件権利者らに対し,審理の期日及び場所等 - 74 -を通知した。また,東京都収用委員会は,同月23日ころ,第2回期日について,予定を同年5月31日とし,予備日を同月24日として,予備日における期日の実施を希望する場合には同年4月13日までに書面で申し出るよう求めるとともに,本件権利者らのうち第2回期日以降の審理での発言を希望する者は発言内容及び発言時間等を記載した意見書を同日までに提出するよう求める書面を,起業者らからの本件各申請に係る意見書の写しとともに本件権利者ら及び本件権利者らの弁護士代理人に送付した。 これに対し,X29弁護士らは,同日付けの「進行に関する抗議書及び要求書」と題する文書(丙15)を東京都収用委員会に提出し,第1回及び第2回期日の指定を撤回し,今後の審理の進行及び審理内容について事前に本件権利者らと協議することなどを求めた。(丙13の1ないし5,丙14の1,丙14の2の1ないし5,丙15)(エ) 東京都収用委員会は,平成19年4月26日午後1時31分から午後4時32分までの間,本件各申請に係る審理の第1回期日を八王子市芸術文化会館において実施した。 同期日においては,審理の冒頭に,本件権利者らから審理の進行方法等について意見が述べられた後,起業者ら復代理人らから,本件各申請の内容等についての意見が述べられた。 また,起業者ら復代理人らからの説明終了後に,X29弁護士らから,審理の進行方法等について意見が述べられ,その中で,X27の委員として 人らから,本件各申請の内容等についての意見が述べられた。 また,起業者ら復代理人らからの説明終了後に,X29弁護士らから,審理の進行方法等について意見が述べられ,その中で,X27の委員としての適格性について意見が述べられたところ,X26から,X27に委員からの除斥事由に該当する事由はない旨の発言があった。 そして,X26は,審理終了時に,第2回期日について,同年5月31日に八王子市民会館で開催すること,弁護士代理人から意見聴取を行うこと及び審理での陳述について「4月13日までの間に私ども - 75 -のほうにいただいた発言希望のうち,その内容について記載されているものは弁護士代理人に委任された方を含めて数通でありました。内容が記載されていないもの等については,5月18日までに補足した書面を収用委員会事務局まで提出していただくようにお願いいたします。」と発言した。(丙13の1ないし5,丙16)イ第2回期日について(ア) 弁護士代理人らは,平成19年5月11日付けで,「進行に関する抗議書及び要求書」と題する文書(甲J3)を東京都収用委員会の会長であるX26あてに提出し,X27に本件各申請に係る審理に関与させないことなどを求めた。(甲J3)(イ) 東京都収用委員会は,平成19年5月31日午後1時30分から午後5時22分までの間,本件各申請に係る審理の第2回期日を八王子市民会館において実施し,弁護士代理人らから意見聴取をした。 上記期日において,弁護士代理人4名が発言し,X26及びX27の委員としての適格性や本件事業認定の違法性等について意見を述べた。この際,X26は,同人及びX27並びにその他の委員の経歴が理由で審理が公平性を失うことはない旨の発言等をした。 また,弁護士代理人であるX34弁護士は,当初予定さ 違法性等について意見を述べた。この際,X26は,同人及びX27並びにその他の委員の経歴が理由で審理が公平性を失うことはない旨の発言等をした。 また,弁護士代理人であるX34弁護士は,当初予定されていた終了時刻である午後5時の数分前ころから,収用の対象となった土地の区域及び損失の補償等について意見を述べ始めた。これに対し,X26は,審理時間を午後5時40分まで延長して意見を聴取することとしたが,X34弁護士が,発言時間が不十分である等として,次回の期日の冒頭に再度意見を述べることを求めるなどしたため,発言者席のマイクの電源を切るよう指示するなどして発言を中止させた。その上で,第2回期日の残りの時間でX34弁護士の意見を聴取することはできないと考えるとし,弁護士代理人らに対し,追加する意見があ - 76 -る場合には意見書で提出することなどを求め,弁護士代理人からの意見聴取を終了した。 そして,X26は,上記意見聴取終了後,▲号事件,▲号事件及び▲号事件の弁護士代理人に委任していない本件権利者らについて,土地及び物件を共有しており共同の利益を有すると判断されるとして,土地収用法65条の2第7項に基づき同条1項に定める代表当事者を選定すべきことを勧告するとともに,第3回期日を同年7月9日とし,予備日を同月12日とすること,第4回期日を同年8月6日とし,予備日を同月2日とすることを述べ,予備日における期日の実施を希望する場合には同年6月13日までに書面で提出することを求める趣旨の発言をした。(丙16,丙17)ウ第3回期日について(ア) 弁護士代理人らは,平成19年6月1日付けで,「第2回公開審理の進行に関する抗議書及び要求書」と題する文書(甲J4)を東京都収用委員会の会長であるX26あてに提出し,その中でX26及びX (ア) 弁護士代理人らは,平成19年6月1日付けで,「第2回公開審理の進行に関する抗議書及び要求書」と題する文書(甲J4)を東京都収用委員会の会長であるX26あてに提出し,その中でX26及びX27に本件各申請に係る審理に関与させないことなどを求めた。(甲J4)(イ) 東京都収用委員会は,第3回期日を平成19年7月9日午後2時から開始すること,▲号事件,▲号事件及び▲号事件の弁護士代理人に委任していない土地所有者及び関係人のうち発言内容を明らかにして発言を希望した者から意見を聴取することを決定し,同年6月22日ころ,本件権利者らに通知した。(丙18の1ないし5,丙19)(ウ) 東京都収用委員会は,平成19年7月9日午後2時03分から午後5時54分までの間,本件各申請に係る審理の第3回期日を東京都庁第二本庁舎1階二庁ホールにおいて実施した。 上記期日において発言を行った本件権利者ら及び弁護士代理人らは, - 77 -主にX26及びX27の委員としての適格性を問題とし,その辞任を求める発言又は審理の指揮方法等について非難する趣旨の発言をした。 他方,X26は,土地収用法52条3項の趣旨を説明するなどして辞任には応じる意思がない旨発言するとともに,土地の区域及び損失の補償について意見を述べるよう繰り返し求めたが,本件権利者ら及び弁護士代理人は,その点に関する意見を述べなかった。 そして,X26は,第4回期日について同年8月6日午後2時に東京都庁第二本庁舎1階ホールで開催すること並びに▲号事件及び▲号事件の弁護士代理人に委任していない本件権利者らから意見聴取を行うことを伝えるとともに,審理を終えるに当たって,本件権利者らに対し,本日の発言に追加する意見があれば意見書として提出するよう求める趣旨の発言をした。 なお,X ない本件権利者らから意見聴取を行うことを伝えるとともに,審理を終えるに当たって,本件権利者らに対し,本日の発言に追加する意見があれば意見書として提出するよう求める趣旨の発言をした。 なお,X26は,第2回期日において発言することができなかった分としてX34弁護士が発言を求めた際に,これを認めず,発言を制止した。(丙18の1ないし5,丙20)エ第4回期日について(ア) 東京都収用委員会は,本件各申請に係る審理の第4回期日を平成19年8月6日午後2時から開始し,その中で▲号事件及び▲号事件の弁護士代理人に委任していない本件権利者ら等からの意見陳述をさせる旨決定し,平成19年7月13日ころ,本件権利者らに通知した。(甲J6)(イ) 弁護士代理人らは,平成19年7月23日付けで「X26会長の辞任要求及び進行に対する抗議並びに意見陳述の要求書」と題する文書(丙21)を東京都収用委員会に提出し,▲号事件及び▲号事件に係る収用の対象となる土地の区域についての発言内容を明らかにした上で,審理での発言を求めた。これに対し,東京都収用委員会は,第4回期日 - 78 -において1時間程度の発言を認めることとし,平成19年7月27日付けで,その旨の通知を行った。(丙21,丙22)(ウ) 東京都収用委員会は,平成19年8月6日午後2時00分から午後5時25分までの間,本件各申請に係る審理の第4回期日を東京都庁第二本庁舎1階二庁ホールにおいて実施した。 X26は,まず,▲号事件につき,原告X35の代理人であるX36弁護士より発言を求める申出があったのでこれを認め,その後,同代理人X37弁護士から意見を聴取した。次に,▲号事件の権利者からの意見聴取として,原告X33が発言をしたところ,同人は,▲号事件に係る弁護士代理人に発言させるこ があったのでこれを認め,その後,同代理人X37弁護士から意見を聴取した。次に,▲号事件の権利者からの意見聴取として,原告X33が発言をしたところ,同人は,▲号事件に係る弁護士代理人に発言させることを事前に通知しなかったこと等について異議を述べるなど審理の進行についての意見を述べた。その後,X26は,原告X38,原告X39,原告X40の代理人である原告X41に対し発言を求めたものの,いずれも発言がなかったため,▲号事件に係る発言希望者からの意見聴取を終了した。 次に,X26は,弁護士代理人の発言を認めたが,発言を行わなかったため,追加して発言を述べることを希望する者の発言を認めることとしたところ,原告X33,原告X40の代理人である原告X41が収用の対象となる土地の区域や損失の補償等について発言をした。 そして,X26は,上記の審理終了時に,収用委員会としては必要な審理は終わったと考えているものの,なお発言希望もあることから,第5回期日を行うこととするとし,その期日を同年9月13日とし,予備日を同月20日とすると述べ,差し支えがある場合であっても調整して出席するように求めた上,予備日における期日の実施を希望する場合には書面で提出するよう求める趣旨の発言をした。(甲J6,丙23)オ第5回期日について(ア) 弁護士代理人らは,平成19年8月7日付けで,「第5回審理日程 - 79 -に関する要求書」と題する文書(丙24)を東京都収用委員会に提出し,第5回期日を同年10月4日にすることを求めた。これに対し,東京都収用委員会は,本件各申請に係る審理の第5回期日を同年9月13日午後2時から開始することを決定し,同年8月27日ころ,本件権利者らにその旨通知するとともに,同日ころ,X29弁護士に対し,代理人間で調整の上,上記期日 各申請に係る審理の第5回期日を同年9月13日午後2時から開始することを決定し,同年8月27日ころ,本件権利者らにその旨通知するとともに,同日ころ,X29弁護士に対し,代理人間で調整の上,上記期日に出席するよう依頼する旨の文書を送付した。 (丙24,丙25の1ないし5,丙26)(イ) 東京都収用委員会は,平成19年9月13日午後2時00分から午後6時51分までの間,本件各申請に係る審理の第5回期日を東京都庁第二本庁舎1階二庁ホールにおいて実施した。 X26は,審理の冒頭,前回の第4回期日までで東京都収用委員会が予定していた意見の聴取が終了したと述べた上で,なお土地の区域及び損失の補償について発言を希望する者に,3時間の範囲で発言を認める旨述べ,発言を求めたところ,本件権利者らのうち7名並びにX29弁護士及びX34弁護士が発言をした。次に,原告X31が発言を求めたため,X26は,発言を認めたところ,原告X31は,次回の期日に発言することを希望するとして発言を行わなかった。 その後,X26は,「もう一度確認しますけれども,ただいまこの時間から,この場所でご発言をされる,意見を述べたいという方はおられないですね。」,「次回ならば発言をしたいというのが皆さんの意見だということですね。」と発言した上で,東京都収用委員会の他の委員と合議し,その結果,審理を終了する旨述べるとともに,なお追加する意見がある者に対し,同年10月3日までに意見書を提出することを求めた。(甲J9,甲J10,丙25の1ないし5,丙27,丙29)(3) 東京都収用委員会は,平成19年10月9日から同月17日までの間,土地収用法65条1項3号に基づく現地調査を実施し,本件各申請に係る事件 - 80 -について,土地の区域,立木の樹種,胸高直径及び高さ等を調査した ,平成19年10月9日から同月17日までの間,土地収用法65条1項3号に基づく現地調査を実施し,本件各申請に係る事件 - 80 -について,土地の区域,立木の樹種,胸高直径及び高さ等を調査した。(甲J12ないしJ15,丙1の1ないし5,丙27)(4) 東京都収用委員会は,平成19年12月27日,本件各裁決をしたところ,その内容は,次のとおりである。 ア本件裁決1(丙1の1,丙9の1の1ないし3)(ア) 収用する土地及び明け渡すべき土地の区域として,本件土地1ないし本件土地3の所在,地番,地目,登記簿上及び実測による地積並びに収用し,明け渡すべき土地の面積が掲記されている。なお,本件土地2は旧×番4の土地から,本件土地3は旧×番7の土地から,それぞれ平成19年2月16日に分筆されているところ,上記の分筆前の旧×番4の土地及び旧×番7の土地については,所有者である原告X40が境界立会いに協力し,境界の確認がされている。 (イ) 土地に対する損失の補償として,原告X40に313万4196円,土地の賃貸借による権利者にそれぞれ1万2689円,土地の転使用貸借による権利者兼物件所有者には「なし」とされている。また,土地に対する損失の補償以外の損失の補償は,原告X40,土地の賃貸借による権利者,土地の転使用貸借による権利者兼物件所有者のいずれに対しても「なし」とされている。 本件裁決1においては,起業者から収用の請求があった本件土地1ないし本件土地3にある立木について,収用及び損失の補償について検討が加えられており,上記立木の取得価格については,立木の市場価格から伐採及び搬出に係る費用等を差し引いた額により見積もったところ市場価格を伐採及び搬出に係る費用等が上回るとして取得価格を0円とした起業者の見積りと同一の額を算定し,い については,立木の市場価格から伐採及び搬出に係る費用等を差し引いた額により見積もったところ市場価格を伐採及び搬出に係る費用等が上回るとして取得価格を0円とした起業者の見積りと同一の額を算定し,いずれの立木についても移転料が取得価格を超えることになるとして,土地収用法79条に基づく収用の請求を認めるとともに,その補償額を0円としてい - 81 -る。 イ本件裁決2(丙1の2,丙9の2)(ア) 収用する土地及び明け渡すべき土地の区域として,本件土地4の所在,地番,地目,登記簿上及び実測による地積並びに収用し,明け渡すべき土地の面積が掲記されている。なお,本件土地4は,平成19年2月16日に旧××番の土地から分筆されているところ,上記の分筆前の旧××番の土地については,所有者である原告X35が境界立会いに協力し,境界の確認がされている。 (イ) 土地に対する損失の補償として,原告X35に対して88万8668円とされるとともに,土地に対する損失の補償以外の損失の補償として,原告X35に19万5461円とされており,その内訳は,立竹木の移転料が5万1030円,その移転雑費が14万4431円である。 ウ本件裁決3(丙1の3,丙9の3)(ア) 収用する土地及び明け渡すべき土地の区域として,本件土地5の所在,地番,地目,登記簿上及び実測による地積並びに収用し,明け渡すべき土地の面積が掲記されている。なお,旧×××番の土地については隣地所有者との境界が確定されておらず,境界の位置等に争いがあるものの,本件土地5は,平成19年2月16日に旧×××番の土地から分筆されている。 (イ) 本件裁決3は,現地調査及び八王子登記所における調査等から次の事実を認定した。 a 起業者が基本とした南側隣接地の南側境界線については,現地調査 旧×××番の土地から分筆されている。 (イ) 本件裁決3は,現地調査及び八王子登記所における調査等から次の事実を認定した。 a 起業者が基本とした南側隣接地の南側境界線については,現地調査において,尾根とほぼ整合しており,また,旧×××番の土地の北側には水路があることを確認した。なお,起業者が南北方向の水路とした箇所及び土地所有者らが主張する水路の位置についても, - 82 -それぞれ現況を確認した。 b 八王子登記所に備えられている南側隣接地の地積測量図には,旧×××番の土地の東西の位置を示す引き出し線状の記載があることを確認した。 c 八王子登記所における調査によると,南側隣接地は,昭和45年の分筆前の旧△△番の土地の一部であった土地である。旧△△番の土地は,八王子市が所有していた土地であり,昭和45年11月に八王子市α2町△△番3から同番12までに分筆がされ,その後更に同番8から分筆がされ,南側隣接地の各土地となったものである。 d 八王子登記所に備えられている昭和45年の分筆登記の際の地積測量図と南側隣接地とは整合している。 e 起業者が境界特定の根拠とした,旧△△番の土地の地積測量図を基に作成した平成19年7月27日付け起業者意見書の添付資料に記載のある既存の境界くいは,いずれも尾根に沿って設置されており,そのうち,石くい及びコンクリートくいについては,隣接する無地番の土地を所管する林野庁が管理する区域を示す境界くいであった。 f α2町の公図によれば,旧△△番の土地は,北側で無地番の土地と接し,水路を囲むような形状の土地である。 g 旧×××番の土地に関する土地所有者らの主張について,旧×××番の土地とともに旧△△番の土地が30メートルほど東側に移動するとした場合,提出された座標値を基に を囲むような形状の土地である。 g 旧×××番の土地に関する土地所有者らの主張について,旧×××番の土地とともに旧△△番の土地が30メートルほど東側に移動するとした場合,提出された座標値を基に「東京都縮尺2500分の1の地形図」でその位置を確認すると,旧△△番の土地は,尾根から大きくずれた位置に存することになる。 (ウ) 本件裁決3は,本件土地5の区域及び境界について,起業者の基本とした南側隣接地については,(イ)b及びdのとおり,地積測量図が備 - 83 -えられており,また,(イ)a及びeのとおり尾根と整合しているとした上で,これを基本とし,現地の地形,公図等を参考とした起業者の旧×××番の土地の境界特定方法は妥当であると認められるとした。 (エ) 土地に対する損失の補償として,本件裁決3の裁決書に記載された土地所有者それぞれに対し,本件裁決3の裁決書に記載された金額とし,土地に対する損失の補償以外の損失の補償として,土地所有者兼関係人それぞれに対し「なし」とされている。 なお,本件裁決3においては,起業者から収用の請求があった本件土地5にある立木について,収用及び損失の補償について検討が加えられているところ,上記立木の取得価格については本件裁決1と同様に取得価格を0円と算定した上で,いずれの立木についても移転料が取得価格を超えることになるとして,土地収用法79条に基づく収用の請求を認めるとともに,その補償額を0円としている。 エ本件裁決4(乙J29,丙1の4,丙9の4,丙14の2の4)(ア) 収用する土地及び明け渡すべき土地の区域として,本件土地5の土地の地番は「△番又は無地番及び△番」とされており,収用する土地及び明け渡すべき土地の区域は,本件圏央道事業については本件裁決4の裁決書に添付された図面の「Y. べき土地の区域として,本件土地5の土地の地番は「△番又は無地番及び△番」とされており,収用する土地及び明け渡すべき土地の区域は,本件圏央道事業については本件裁決4の裁決書に添付された図面の「Y.1,Y.2,R-110-1,R-110-2及びY.1の各点を順次結んだ線分により囲まれた区域」とされるとともに,本件八王子南バイパス事業については上記図面の「R-110-1,Y.3,Y.4,K520,Y.5,R-110-2及びR-110-1の各点を順次結んだ線分により囲まれた区域」とされている。 (イ) 起業者らは,本件裁決4の申請に当たり,△番の土地を次のとおり特定した。 a △番の土地については,現地にくい等の境界を示すものが存在せず, - 84 -八王子登記所に地積測量図は備えられていなかった。また,△番の土地所有者から境界立会いの協力を得ることができなかった。 b 起業者らは,△番の土地が存在し得ると考えられる範囲を,△番の土地の周囲の境界が確定している5か所を基点に,公図を参考して,次のとおり特定した。基点とした5か所は,①八王子市α3町△△△番2及び同番7の各土地,②α28川,③旧甲州街道である八王子市α3町△△△番5の土地及び△△△番6の土地,④八王子市α3町△△△番4南側部分の土地,⑤八王子市α3町△△△番4北側部分の土地であり,これらの土地の現況をそれぞれ公図と一致させた場合の△番の土地の位置を,別紙図面1の平面図1ないし5のとおり特定し,その上で,これらの図面により特定した範囲内に△番の土地が存在するものと考え,上記図面により特定した△番の土地を1枚にまとめ(別紙図面1の6枚目の平面図(5点復元図)),その外枠のポイントをそれぞれK520,Y.1,Y.2,Y.3,Y.4,Y.5として座標計算を行い,土地調 記図面により特定した△番の土地を1枚にまとめ(別紙図面1の6枚目の平面図(5点復元図)),その外枠のポイントをそれぞれK520,Y.1,Y.2,Y.3,Y.4,Y.5として座標計算を行い,土地調書を作成した。ただし,起業者らは,上記方法により特定した範囲全部が△番の土地である場合も可能性としてはあると考え,全部が△番の土地である場合又は△番の土地と無地番の土地が含まれる場合があることを土地調書に記載した。 (ウ) 本件裁決4は,現地調査及び八王子登記所における調査等から次の事実を認定した。 a △番の土地は,登記簿及び公図によれば,八王子市α3町△△△番4及び同番7の土地の近隣で周囲を無地番の土地に囲まれた登記簿上の面積39平方メートルの土地である。 b 八王子登記所には,△番の土地の地積測量図はないが,周辺の土地である八王子市α3町△△△番2及び同番4ないし同番9までの土地の地積測量図は備えられている。 - 85 -c △番の土地の西側には一級河川であるα28川,東側には旧国道の廃道敷があり,これらの現況は現地で確認することができた。 d 八王子市α3町△△△番4及び同番5の土地は,財務省及び被告東京都の嘱託により保存登記が行われた後,占有者であるX42に所有権移転登記が行われ,その後に同人から起業者に所有権移転登記が行われている。 e 東京都南多摩西部建設事務所に常備されている旧甲州街道の実測図によれば,△番の土地の東側の旧国道の廃道敷が現況とともに表示されており,これによれば,幅員が約8メートルであることが確認することができる。 f 土地所有者らの主張する△番の土地の面積は,提出された図面によれば900平方メートルを超えている。 g 八王子市α3町△△△番2の土地については,平成13年9月1 することができる。 f 土地所有者らの主張する△番の土地の面積は,提出された図面によれば900平方メートルを超えている。 g 八王子市α3町△△△番2の土地については,平成13年9月12日に被告東京都により境界査定がされているが,△番の土地の所有者らから提出された図面によると,その一部を△番の土地の一部としている。 (エ) 本件裁決4は,本件土地6の区域及び境界について,本件土地6に係る公図は,正確な位置及び面積を示すものとはいえないとしても,周辺の土地の配置等からおおむねの位置及び形状については参考にできると認められるとした上で,△番の土地の存する範囲について,公図及び周辺の土地の地積測量図を参考にした起業者の特定方法を妥当であると認め,境界については不明とした。 (オ) 土地に対する損失の補償として,「土地所有者不明」とした上で,本件土地6の区域のすべてが△番の土地に確定した場合には,本件裁決4の裁決書に記載された土地所有者それぞれに対し,本件裁決4の裁決書に記載された金額とし,本件土地6の区域が八王子市α3町無 - 86 -地番の土地及び△番の土地に確定した場合には,国土交通省及び本件裁決4の裁決書に記載された土地所有者に対し一括して442万8864円とされた。 また,土地に対する損失の補償以外の損失の補償として,「土地所有者兼関係人不明」とした上で,本件土地6の区域のすべてが△番の土地に確定した場合には,本件裁決4の裁決書に記載された土地所有者兼関係人それぞれに対し,本件裁決4の裁決書に記載された金額とし,本件土地6の区域が八王子市α3町無地番の土地及び△番の土地に確定した場合には,国土交通省及び本件裁決4の裁決書に記載された土地所有者兼関係人に対し一括して5万6320円とした。なお,関係人であるX4 土地6の区域が八王子市α3町無地番の土地及び△番の土地に確定した場合には,国土交通省及び本件裁決4の裁決書に記載された土地所有者兼関係人に対し一括して5万6320円とした。なお,関係人であるX43株式会社に対しては,いずれの場合であっても「なし」とされている。 さらに,本件裁決4においては,起業者から収用の請求があった本件土地6にある立木について,収用及び損失の補償について検討が加えられているところ,上記立木の取得価格については本件裁決1と同様に取得価格を0円と算定した上で,いずれの立木についても移転料が取得価格を超えることになるとして,土地収用法79条に基づく収用の請求を認めるとともに,その補償額を0円としている。他方,起業者から収用の請求がなかった立木について,その移転料及び移転雑費の合計額を5万6320円としている。 オ本件裁決5(丙1の5,丙9の5)(ア) 収用する土地及び明け渡すべき土地の区域として,本件土地7の所在,地番,地目,登記簿上及び実測による地積並びに収用し,明け渡すべき土地の面積が掲記されている。なお,本件土地7は,平成19年2月16日に△△△番6の土地から分筆されているところ,隣地との境界は確定しているものと認められる。 - 87 -(イ) 土地に対する損失の補償として,土地所有者である被告東京都に295万7095円とされている。また,土地に対する損失の補償以外の損失の補償として,被告東京都に対し「なし」,本件裁決5の裁決書に記載された立て看板を所有する者に対し,同裁決書に記載された金額とされている。 第4 第1事件及び第2事件に係る当裁判所の判断 1 原告適格について(1) 行政事件訴訟法9条は,取消訴訟の原告適格について規定するが,同条1項にいう処分の取消しを求めるにつき「法律上 る。 第4 第1事件及び第2事件に係る当裁判所の判断 1 原告適格について(1) 行政事件訴訟法9条は,取消訴訟の原告適格について規定するが,同条1項にいう処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり,当該処分を定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には,このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たり,当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は,当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。そして,処分の相手方以外の者について上記の法律上保護された利益の有無を判断するに当たっては,当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく,当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮し,この場合において,当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては,当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌し,当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっては,当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案すべきもの(同条2項参照)と解される(最高裁平成16年(行ヒ)第114号同17年12月7日大法廷判決・民集59巻10 - 88 -号2645頁参照)。 以上を前提に,本件事業認定の取消しを求める訴えに関する原告適格について検討を加える。 (2)ア土地収用法は,憲法29条3条を根拠と 決・民集59巻10 - 88 -号2645頁参照)。 以上を前提に,本件事業認定の取消しを求める訴えに関する原告適格について検討を加える。 (2)ア土地収用法は,憲法29条3条を根拠として,公共の利益となる事業に必要な土地等の収用又は使用に関し,その要件,手続及び効果並びにこれに伴う損失の補償等について規定し,公共の利益の増進と私有財産との調整を図り,もって国土の適正かつ合理的な利用に寄与することを目的とするものである(同法1条)。そして,同法26条1項に基づいて事業の認定の告示がされると,起業地について明らかに事業に支障を及ぼすような形質の変更を行うことが制限される(同法28条の3)一方で,起業者は,同法の手続により土地の収用又は使用をすることができ(同法35条以下),そのために,起業者に対し,事業の準備のため又は同法36条1項に定める土地調書及び物件調書の作成のための立入調査権(同法35条1項)が与えられるとともに,収用又は使用の裁決の申請権(同法39条1項)が与えられるなどの法的効果が発生する。 そうすると,起業地内の土地又は当該土地にある立木等に関して所有権その他の権利を有する者は,違法な事業の認定がされれば,それによって自己の権利を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれが生ずることになるのであるから,事業の認定の要件等を定めた同法第3章の規定は,これらの者の利益をも保護することを目的とした規定と解することができる。 したがって,これらの者は,同章に定める事業の認定の取消しを求める訴えの原告適格を有するものと解すべきである。 第2の3(1)に記載した事実によれば,第1原告ら,第2原告ら及び第3原告らは,本件起業地内の土地又は当該土地にある立木等に関して所有権その他の権利を有しているから,本件事業認定の取消 ある。 第2の3(1)に記載した事実によれば,第1原告ら,第2原告ら及び第3原告らは,本件起業地内の土地又は当該土地にある立木等に関して所有権その他の権利を有しているから,本件事業認定の取消しを求める訴えの原告適格を有するというべきである。 - 89 -イところで,原告らは,本件事業認定に係る事業の施行により破壊される危険のある高尾山の自然環境及び自らの生活環境に係る人格権ないし環境権を有する旨主張する者(第4原告ら)並びに高尾山の自然を保護すること等を目的とする自然保護団体(第5原告ら)が原告適格を有する旨主張する。そして,これらの各原告らについては,起業地内の土地又は当該土地にある立木等に関して所有権その他の権利を有するものとは認められないところ,土地収用法の上記の規定に定められた法的効果が及ぶ範囲はいずれも起業地内の土地又は当該土地にある立木等の物件に限られ,したがって,事業の認定によりその法律上の地位の影響を受ける者も起業地内の土地又は当該土地にある立木等に関して所有権その他の権利を有する者のみであるといわざるを得ないから,これらの各原告らについては,上記の規定から,直接,法律上保護された個別的利益があるものと解することはできない。 そこで,同法の趣旨及び目的並びに行政処分としての事業の認定において考慮されるべき利益の内容及び性質を総合的に考慮して,上記の者について原告適格を認めることができるか否かについて更に検討するに,上記に述べたように,同法は,公共の利益と個々人の具体的な私有財産についての権利の調整を図ることを目的とするものであって,起業地内に具体的な財産権を有しない者の権利利益を保護する趣旨及び目的を含むものと解すべき根拠は見当たらず,このことは,同法第3章に定める事業の認定に係る手続についても とを目的とするものであって,起業地内に具体的な財産権を有しない者の権利利益を保護する趣旨及び目的を含むものと解すべき根拠は見当たらず,このことは,同法第3章に定める事業の認定に係る手続についても同様である。 そして,事業の認定をするための要件を定める同法20条のうち1号,2号及び4号は,それぞれ,認定の対象となる事業について定める規定(1号),起業者の事業を遂行する意思と能力について定める規定(2号),土地の収用等をする公益上の必要について定める規定(4号)であって,いずれも公益的見地から定められた要件と解するべきであり,これらの規 - 90 -定を根拠に,同法が,原告らの主張する上記のような者の利益を個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むと解することはできない。また,同条3号は,事業計画が土地の適正かつ合理的な利用に寄与するものであることを事業の認定をするための要件とするところ,その文言及び土地の適正かつ合理的な利用という事柄の性質に照らすと,この要件を満たしているか否かを判断する際に考慮される諸事情の中には,起業地内の土地又は当該土地にある立木等に関する個々人の財産的利益のほか,当該起業地の属する地域や場合によってはその周辺等も含んだ広範な地域の都市環境,居住環境等の種々の社会的な利益も含まれると解するのが相当であり,このような社会的な利益は,当該起業地の属する地域の住民全般,ひいては社会全体が享受する内容及び性質のものであって,既に述べた同法1条の規定の定める同法の目的等を併せ考慮すれば,事業の認定をするに当たり申請に係る事業が満たすべき事項について定める同法20条3号の規定は,公益的見地から一般的にこのような社会的な利益を保護しようとするものと解するのが相当であり,これを根拠に,同法が,原告らが 当たり申請に係る事業が満たすべき事項について定める同法20条3号の規定は,公益的見地から一般的にこのような社会的な利益を保護しようとするものと解するのが相当であり,これを根拠に,同法が,原告らが主張する上記のような者の利益を個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むと解することは,やはりできないものというべきである。 また,同法に定める事業の認定に当たっては,①起業者は,あらかじめ,国土交通省令で定める説明会の開催その他の措置を講じて,事業の目的及び内容について,当該事業の認定について利害関係を有する者に説明しなければならないこと(同法15条の14),②国土交通大臣又は都道府県知事は,事業の認定に関する処分を行おうとする場合において,当該事業の認定について利害関係を有する者から公聴会を開催すべき旨の請求があったときその他必要があると認めるときは,公聴会を開いて一般の意見を求めなければならないこと(23条1項),③事業の認定について利害関 - 91 -係を有する者は,一定の期間内に,都道府県知事に意見書を提出することができること(25条1項)など,事業の認定について利害関係を有する者等の手続への関与につき定めた規定はあるものの,これらの規定は,その定める手続の内容及び効果,手続に関与し得るとされる者の範囲等に照らすと,事業の認定を行うに当たり,起業地内の土地又は当該土地にある立木等に関して所有権その他の権利を有する者にとどまらず,地域住民や事業の認定について何らかの利害関係を有する者等の意見を広く収集して,できる限り公正妥当な事業の認定を行おうという公益的な目的に基づいて定められたものと解するのが相当であり,これらの規定をもって,同法が,原告らが主張する上記のような者の利益を個々人の個別的利益としても保護すべ 正妥当な事業の認定を行おうという公益的な目的に基づいて定められたものと解するのが相当であり,これらの規定をもって,同法が,原告らが主張する上記のような者の利益を個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むと解することは,できないものというべきである。 さらに,環境影響評価法又は東京都環境影響評価条例が,行政事件訴訟法9条2項にいう「当該法令と目的を共通にする関係法令」に当たるか否かを検討するに,環境影響評価法1条は,土地の形状の変更,工作物の新設等の事業を行う事業者がその事業の実施に当たりあらかじめ環境影響評価を行うことが環境の保全上極めて重要であることにかんがみ,環境影響評価が適切かつ円滑に行われるための手続その他所要の事項を定め,その事業に係る環境の保全について適正な配慮がなされることを確保し,もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に資することを同法の目的とする旨を定めるとともに,東京都環境影響評価条例1条は,同条例につき,環境影響評価及び事後調査の手続に関し必要な事項を定めることにより,計画の策定及び事業の実施に際し,公害の防止,自然環境及び歴史的環境の保全,景観の保持等について適正な配慮がなされることを期し,もって都民の健康で快適な生活の確保に資することを目的とする旨を定める。そして,上記規定において「環境の保全」,「公害の防止」,「都民 - 92 -の健康で快適な生活」などの文言が用いられているとともに,環境影響評価法及び東京都環境影響評価条例においては環境影響評価に関する手続の詳細が定められる一方で,土地収用法の目的規定には環境の保全等に関する文言が用いられていないことや,同法において環境の保全等を直接の目的とする手続規定は設けられていないことなどを勘案すれば,環境影響評価法及び東京都 方で,土地収用法の目的規定には環境の保全等に関する文言が用いられていないことや,同法において環境の保全等を直接の目的とする手続規定は設けられていないことなどを勘案すれば,環境影響評価法及び東京都環境影響評価条例と土地収用法とは,目的を大きく異にしているといわざるを得ないから,環境影響評価法及び東京都環境影響評価条例は,土地収用法との関係において,行政事件訴訟法9条2項にいう「当該法令と目的を共通にする関係法令」には該当しないと解すべきである。 そして,他に,土地収用法及びその関係法令において,起業地内の土地又は当該土地にある立木等に関して所有権その他の権利を有していない原告らの主張するような者の利益を個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むと解すべき根拠は見当たらないし,行政事件訴訟法9条2項が,「当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする」と規定している趣旨を考慮するとしても,法令の具体的規定を離れて,およそ生命,身体の安全等にかかわるような利益である限りは,法令により常に個々人の個別的な利益として保護されていると解することもできない。 そうすると,第4原告ら及び第5原告らについては,本件事業認定の取消しを求める訴えの原告適格を有しないというべきである。 (3) なお,いわゆる任意的訴訟担当は,行政事件訴訟法7条によりその例によるとされる民事訴訟法が訴訟代理人を原則として弁護士に限り,また,信託法10条が訴訟行為をさせることを主たる目的とする信託を禁止している趣旨に照らし,一般に無制限にこれを許容することはできないものの,このような制限を回避,潜脱するおそれがなく,かつ,これを認める合理的必要がある場合には,許容されるときがあると解すべきである(最高裁昭和42 - 93 - これを許容することはできないものの,このような制限を回避,潜脱するおそれがなく,かつ,これを認める合理的必要がある場合には,許容されるときがあると解すべきである(最高裁昭和42 - 93 -年(オ)第1032号同45年11月11日大法廷判決・民集24巻12号1854頁参照)。しかしながら,本件においては,第5原告らの構成員個人が本件訴訟の原告として訴訟の提起,追行をしているのであり,第5原告らの構成員において第5原告らに訴訟追行権を授与しなければ訴訟の提起,追行が困難であるなどの事情が存するとは認め難いし,他に,第5原告らの構成員が第5原告らに訴訟追行権を授権することを許容すべき合理的必要が存在することを認めるに足りる証拠もない。よって,第5原告らにその構成員のために本件訴訟の提起,追行を担当させることは,許容されないと解される。 2 本件各事業の施行により原告らに重大な損害が生ずるとしてする違法の主張の取扱いについて原告らは,本件各事業の施行により,①自然環境及び歴史的環境等の破壊,②高尾山の地下水に対する影響,③高尾山の景観への影響,④大気汚染,⑤騒音被害,⑥振動被害,⑦低周波空気振動による被害,⑧サウンドスケープに対する侵害,⑨オオタカへの影響を含む自然環境への影響,⑩α1地域の生活環境への影響等が生じ,原告らの環境権ないし環境利益及び景観権ないし景観利益が侵害されることから,それにより失われる利益を本件事業認定に当たり考慮すべきであると主張した上で,本件各事業がこれらの権利ないし利益に与える影響が甚大かつ深刻なものであることや,本件事業認定及び本件各申請に係る手続においては,いずれも十分な住民参加等が行われず,上記の利益等への影響や失われる利益は全く考慮されていないなどとして,本件事業認定は取り消されるべきであ ことや,本件事業認定及び本件各申請に係る手続においては,いずれも十分な住民参加等が行われず,上記の利益等への影響や失われる利益は全く考慮されていないなどとして,本件事業認定は取り消されるべきである旨主張する。 原告らが指摘する上記の点については,いずれも,本件各事業が土地収用法20条3号の要件に該当すると判断してされた本件事業認定に違法があるか否かを判断するに当たり,収用の対象となった土地が当該事業の用に供されることによって失われる利益として検討の対象になり得るものであるため,同号の - 94 -要件適合性を判断する際に検討を加えることとする。 3 土地収用法に定める事業の認定に係る手続違反の有無について(1) 本件事前説明会について原告らは,本件事業認定に係る本件事前説明会について,単に形式的に行われたものであり,実効性のあるものとするよう努められたとはいえないから,土地収用法15条の14に違反する旨主張する。 しかし,同条は,事業の認定の手続及び収用委員会の審理を含む収用又は裁決の手続の円滑な進行に資するため,起業者が事業の認定について利害関係を有する者等に対して十分に説明を行うことを義務付けたものであって,説明会を通じてこれらの者を含む関係者の理解及び協力が促されることを期するものであるといえるものの,このような関係者との間で当該事業の施行等につき合意等が形成されることまで求めるものと解すべき根拠は見当たらない。そして,第3の12(1)に記載した事実によれば,本件事前説明会の開催に際し,起業者らは,本件各事業の目的及び内容等について,資料を配付するなどして説明をした上で,質疑応答の機会を設けており,終了後に,本件事前説明会においてされた質問を踏まえた起業者らの見解が相武国道事務所のウェブサイトに掲載されてい び内容等について,資料を配付するなどして説明をした上で,質疑応答の機会を設けており,終了後に,本件事前説明会においてされた質問を踏まえた起業者らの見解が相武国道事務所のウェブサイトに掲載されていることなどを併せ考慮すれば,本件事前説明会の開催方法等が同条に違反する違法なものであるということはできない。 そして,他に,本件事前説明会につき,同法及びその関係法令の定めに反する事実があることをうかがわせる証拠はないから,本件事前説明会の開催方法等に関する原告らの主張を採用することはできない。 (2) 本件公聴会について原告らは,本件公聴会において圏央道事業に疑問を有する公述人がした質問に対する起業者らの回答が不十分であり,一部については回答がされなかった旨主張する。しかし,公聴会は,国土交通大臣等が事業の認定に関する処分を行うに当たり考慮すべき事情等を探求する必要があることや,関係す - 95 -る住民の理解を得ること,収用又は使用の裁決の手続の円滑な進行に資することなどの観点から,広く一般の意見を聴く機会を設けるものであり,公聴会に出席した公述人は,所定の手続をとって起業者に対して質問をすることができるものの,あらかじめ定められた公述時間内において答弁を聴くことができるにとどまるものであるから,原告らの主張はその前提を欠くものである。 また,原告らは,本件公聴会で意見を述べた公述人の中に社会資本整備審議会の委員が含まれていたことを問題とする。しかし,同審議会の委員が事業の認定に係る公聴会において公述人となることを禁止する法令の定めは見当たらないし,また,同審議会の委員が本件公聴会において意見の陳述等をしたことをもって,本件事業認定の手続に違法があるというべき根拠も見いだし難い。 そして,他に,本件公聴会につき,土地 めは見当たらないし,また,同審議会の委員が本件公聴会において意見の陳述等をしたことをもって,本件事業認定の手続に違法があるというべき根拠も見いだし難い。 そして,他に,本件公聴会につき,土地収用法及びその関係法令の定めに反する事実があることをうかがわせる証拠はないから,本件公聴会の開催方法等に関する原告らの主張を採用することはできない。 (3) 社会資本整備審議会からの意見聴取について原告らは,本件事業認定に係る社会資本整備審議会からの意見聴取について,同審議会の第三者性に疑問がある旨主張するとともに,同審議会は本件事業認定に係る審議に当たって慎重な審議をしなかったと主張する。 しかし,第3の12(3)に記載したとおり,本件事業認定につき実質的な審議に当たった公共用地分科会の委員は,法学界,法曹界,都市計画,環境,マスメディア,経済界等の分野から選ばれていることに加え,一般に,審議会等の委員は,当該審議会等の目的や取り扱う事項等について専門的知識,識見ないし経験を有している者が任命され,それらの者の合議により意見が決定されることを通じ,中立性,公正性の確保が期待されているものであるところ,公共用地分科会の委員である特定の個人が複数の審議会の委員に過 - 96 -去に任命され,又は兼務していたとしても,そのことをもって,直ちに,合議体である公共用地分科会としての中立性,公平性が損なわれるということはできない。 次に,原告らは,公共用地分科会の庶務を国土交通省の収用認定に当たる部局が担当していたことや認定理由の原案等を国土交通省側で作成していたこと等を指摘するが,かかる事実があるからといって,直ちに,公共用地分科会の意見がその委員の合議により決定されたことが左右されるものではなく,社会資本整備審議会からの意見聴取の 通省側で作成していたこと等を指摘するが,かかる事実があるからといって,直ちに,公共用地分科会の意見がその委員の合議により決定されたことが左右されるものではなく,社会資本整備審議会からの意見聴取の手続に瑕疵があるということはできないのであって,本件事業認定に瑕疵があるということもできない。 また,原告らは,社会資本整備審議会ないし公共用地分科会の議事が公開されなかったことを問題とするが,これらの議事ないし議事録を公開することを事業の認定の要件とする旨の法令の定めは見当たらないことなどからして,上記議事ないし議事録を公開するか否かが本件事業認定の適法性に影響を与えるものということはできない。 さらに,原告らは,社会資本整備審議会ないし公共用地分科会の審議に当たって関係人の事情聴取や現場検証が実施されなかったことを問題とするが,社会資本整備審議会が土地収用法25条の2に定める意見を述べるに当たって関係人の事情聴取や現場検証をすることを求める法令の定めは見当たらず,審議においていかなる資料等を収集するかは社会資本整備審議会ないし公共用地分科会の裁量にゆだねられているというべきであって,本件においてその裁量権の範囲からの逸脱等があった事実を認めるに足りる証拠はない。 そして,他に,上記の意見の聴取について同法及びその関係法令の定めに反する事実があることをうかがわせる証拠はないから,上記の意見の聴取に関する原告らの主張を採用することはできない。 なお,原告らは,本件公聴会に公述人として出席した委員が罷免されなかったことを問題とするが,同委員は,公共用地分科会の構成員ではないこと - 97 -などからすれば,原告らの主張はその前提を欠くというべきである。 (4) 事業の認定をした理由の告示について原告らは,土地収用法26条1 は,公共用地分科会の構成員ではないこと - 97 -などからすれば,原告らの主張はその前提を欠くというべきである。 (4) 事業の認定をした理由の告示について原告らは,土地収用法26条1項に定める「事業の認定をした理由」の告示につき,本件事業認定に係る「事業の認定をした理由」が住民らの疑問に何ら答えようとしておらず,特に,α13城跡トンネル工事により生じた水枯れの問題について,適切な措置を執っていると繰り返すのみで,具体的な根拠等は何ら示していないことから,同項に違反する旨を主張する。 ところで,一般に,法が行政処分に理由を付記すべきものとしているのは,処分庁の判断の慎重,合理性を担保してそのし意を抑制するとともに,処分の理由を相手方に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものであると解されるところ,どの程度の記載をすべきかは,処分の性質と理由付記を命じた各法律の規定の趣旨,目的に照らしてこれを決定すべきであると解される(最高裁昭和36年(オ)第84号同38年5月31日第二小法廷判決・民集17巻4号617頁参照)。そして,土地収用法においては,同法20条各号で事業の認定の要件が定められるとともに,事業の認定に当たっては,説明会及び公聴会の開催,利害関係を有する者の意見書の提出,社会資本整備審議会からの意見の聴取等の手続が定められていることなどを勘案すれば,事業の認定をした理由を告示するに当たっては,上記の意見聴取に係る諸手続において提出された意見で指摘された事項のうち主要なものについて,同条各号に定める要件ごとに,事業の認定をした行政庁としてそのような判断をするに至った枢要な事情を明らかにすべきものと解される。 以上を前提に,本件事業認定に係る「事業の認定をした理由」の告示について検討するに,第3の12(4)に 定をした行政庁としてそのような判断をするに至った枢要な事情を明らかにすべきものと解される。 以上を前提に,本件事業認定に係る「事業の認定をした理由」の告示について検討するに,第3の12(4)に記載したとおり,そこでは,本件各事業につき同条1号ないし4号の要件への適合性について検討が加えられており,証拠(乙8,乙9の1の1・2,乙9の2)によれば,本件各事業に係る意見で指摘された事項のうち主要なものについて検討した上で,同条各号に定 - 98 -める要件ごとに国土交通大臣として本件事業認定をするに至った枢要な事情が記載されていると認められる。そして,上記告示と同時に公開された「意見書及び公聴会における主な反対意見の要旨と当該意見に対する事業認定庁の見解とを併記した意見対照表」(乙8)においては,本件訴訟において原告らが主張する事項も含め,本件各事業に係る様々な意見に対する事業の認定をした行政庁としての見解が詳細に記載されていることをも勘案すれば,本件事業認定に係る「事業の認定をした理由」の告示が理由の付記を欠くものとして同法26条1項に反するものということはできない。したがって,原告らの上記主張を採用することはできない。 4 土地収用法20条2号の要件適合性について(1) 土地収用法20条2号は,事業の認定の要件として,起業者が当該事業を遂行する充分な意思と能力を有する者であることを定めるところ,本件各事業の起業者らのうち,国土交通大臣は道路法12条本文等の規定により,また,参加人X1株式会社は道路整備特別措置法3条1項の規定により独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法13条1項に定める協定に基づき国土交通大臣の許可を受けて,一般国道又は高速自動車国道等の新設又は改築を行うことができるとされており,証拠(乙1,乙11 独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法13条1項に定める協定に基づき国土交通大臣の許可を受けて,一般国道又は高速自動車国道等の新設又は改築を行うことができるとされており,証拠(乙1,乙11の1・2)及び弁論の全趣旨によれば,①本件圏央道事業等について平成18年3月31日付けで参加人X1株式会社が独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構と協定を締結し同日付けで国土交通大臣の許可を受けていること等法令上要求される手続を起業者らが履践していること,②本件各事業について予算上の措置が講じられ,組織,人員等に関する措置も講じられていることがそれぞれ認められる。 よって,起業者らは,本件各事業を遂行する充分な意思と能力を有する者であるといえるから,本件各事業は,土地収用法20条2号の要件に該当するというべきである。 - 99 -(2) 他方,原告らは,我が国の財政赤字について指摘するとともに,いわゆる旧道路関係4公団並びにその業務の引継ぎ並びに権利及び義務の承継を受けた参加人X1株式会社を含む高速道路株式会社が負担する債務の額が巨額であること,圏央道の全面供用の見通しが立っていないことなどを指摘して,圏央道は赤字路線であり,事業効果が上がるとは考え難いなどとして,起業者らが本件各事業を遂行する充分な意思と能力を有する者であるとはいえないと主張する。 しかし,原告らが指摘するような事情があることをもって,直ちに,起業者らに本件各事業を遂行する能力に欠けるということはできないし,上記に述べたとおり,起業者らが一般国道又は高速自動車国道等の新設又は改築を行うための所要の立法措置等が講じられており,本件各事業についても所要の予算上の措置及び組織,人員等に関する措置が講じられているから,原告らの上記主張を採用することはできない。 道等の新設又は改築を行うための所要の立法措置等が講じられており,本件各事業についても所要の予算上の措置及び組織,人員等に関する措置が講じられているから,原告らの上記主張を採用することはできない。 5 土地収用法20条3号の要件適合性について(1) 土地収用法20条3号は,事業の認定の要件として,「事業計画が土地の適正且つ合理的な利用に寄与するものであること」を定めるところ,同法1条が,同法の目的として,公共の利益となる事業に必要な土地等の収用又は使用に関し,その要件,手続及び効果並びにこれに伴う損失の補償等について規定し,公共の利益の増進と私有財産との調整を図り,もって国土の適正かつ合理的な利用に寄与することを定めることなどを勘案すれば,当該土地が当該事業の用に供されることによって得られるべき公共の利益と,その土地が当該事業の用に供されることによって失われる私的な利益及び公共の利益を比較衡量した結果として,前者が後者を優越する場合に,当該事業は上記の要件に該当するものと解するのが相当である。 そして,上記の要件に該当するか否かについての判断は,具体的には,事業の認定に係る事業計画の内容,事業計画が達成されることによってもたら - 100 -されるべき公共の利益,事業計画において収用の対象とされている土地の状況等の諸要素,諸価値の比較衡量に基づく総合判断として行われるべきものであると解される。 その上で,上記の総合判断は,多種,多様であり,同質でないものも少なくない公共の利益と私的な利益の比較衡量を要するものであることなどからして,その性質上,専門技術的,政策的な判断を伴うものであって,事業の認定をする行政庁は,このような意味においてその判断に係る裁量権を有するということができる。そして,かかる判断については,それが裁 して,その性質上,専門技術的,政策的な判断を伴うものであって,事業の認定をする行政庁は,このような意味においてその判断に係る裁量権を有するということができる。そして,かかる判断については,それが裁量権の行使としてされたことを前提として,その基礎とされた重要な事実に誤認があること等により重要な事実の基礎を欠くこととなる場合,又は事実に対する評価が明らかに合理性を欠くことや判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限り,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となると解するのが相当である。 そこで,以上に述べたところを前提に,本件各事業の施行によって得られる公共の利益と本件各事業の施行によって失われる利益についてそれぞれ検討を加えた上で,その比較衡量に係る本件事業認定をした国土交通大臣の判断に違法があるか否かについて検討を加える。 (2) 本件各事業の施行によって得られる公共の利益について以下,本件各事業の施行によって得られる公共の利益について,第2の3及び第3に記載した事実を前提に検討する。 ア本件圏央道事業等について(ア) まず,本件圏央道事業等の完成により,中央自動車道と東名高速道が接続され,既に圏央道により中央自動車道と関越自動車道とが接続されていることと併せて,道路交通における広域的な利便性が向上するとともに,他の環状道路である中央環状線及び外かく環状道と連絡 - 101 -することなどによって,都心部の通過交通の一部を転換することにより都心部の交通混雑を緩和し,首都圏全体の円滑かつ安全な交通の確保が図られるがい然性があるといえる。 そして,この点は,①平成19年6月23日に圏央道八王子ジャンクションからあきる野 ることにより都心部の交通混雑を緩和し,首都圏全体の円滑かつ安全な交通の確保が図られるがい然性があるといえる。 そして,この点は,①平成19年6月23日に圏央道八王子ジャンクションからあきる野インターチェンジまでの区間が開通し,中央自動車道と関越自動車道とが圏央道で接続されたことにより,圏央道を利用する交通量が増大するとともに,圏央道八王子ジャンクションから八王子西インターチェンジまでの区間の利用交通量の約5割である約1万4000台/日が中央自動車道から関越自動車道までを連続的に利用していること(乙H8),②上記区間における同年7月から平成21年6月までの平均交通量を取りまとめた結果においても,上記区間の平均交通量の約4割である約9200台/日が中央自動車道から関越自動車道までを連続的に利用していること(乙H49),③交通事故により首都高速道路が通行止めとなった際に,う回路として圏央道を利用するとの効果が見られた事例があること(乙H22),④圏央道を含めた首都圏3環状道路の整備により,当該道路周辺に商業施設や企業の物流施設が設置され,それにより当該道路がある市町村の雇用者数が増加するなどの効果が発生していること(乙3の1,乙H5,乙H6の1ないし6,乙H8,乙H33,乙H49ないし乙H57)などによって裏付けられているということができる。 (イ) また,平成11年度の道路交通センサスによると,一般国道16号等の平日交通量は,一般国道16号の八王子市α5町地内で5万5483台/日,平日混雑度(設計交通容量を交通量で除した数値(甲H8,甲H18の11))は1.38,一般国道129号の厚木市α29地内においては5万4676台/日,平日混雑度は1.34,一般国道246号の厚木市α30地内で8万2365台/日,平日混雑度 - 甲H18の11))は1.38,一般国道129号の厚木市α29地内においては5万4676台/日,平日混雑度は1.34,一般国道246号の厚木市α30地内で8万2365台/日,平日混雑度 - 102 -は1.45であり(乙1,乙3の1),これらの地点において相当程度の混雑があることが認められる。そして,圏央道が神奈川県央地域及び多摩地域の南北方向の幹線道路として機能し,従前から一般国道16号等が担っている幹線交通を圏央道が分担することにより,一般国道16号等の交通渋滞の緩和が図られ,円滑な交通の確保に寄与するがい然性があるところ,この点は,①平成17年3月に圏央道日の出インターチェンジからあきる野インターチェンジまでの区間が開通した後に,その周辺道路である国道411号等の交通量の減少が見られたこと(乙3の1),②平成19年6月23日に圏央道八王子ジャンクションからあきる野インターチェンジまでの区間が開通した後に,その周辺道路である一般国道16号及び一般国道411号において交通量の減少がみられるとともに,交通渋滞が緩和されたこと(乙H8,乙H33,乙H49),③同様に,圏央道から一般国道16号までの間の生活道路において大型車の交通量が減少していること(乙H33)などによって裏付けられているということができる。 (ウ) 以上によれば,本件圏央道事業等の施行によって得られる相応の公共の利益が存するものと認められる。 (エ) なお,第3の2及び同3に記載したとおり,本件各事業に係る事業の認定の申請に当たり,本件圏央道事業等の施行により,幹線道路の混雑緩和,大型車交通の転換,環境改善及び走行速度の向上(走行時間短縮)等の整備効果があるものと予測されるとともに,本件圏央道事業等の社会費用便益比が2.6と分析されているところ,後に述べると の混雑緩和,大型車交通の転換,環境改善及び走行速度の向上(走行時間短縮)等の整備効果があるものと予測されるとともに,本件圏央道事業等の社会費用便益比が2.6と分析されているところ,後に述べるとおり,これらの分析等を用いて本件圏央道事業等の施行によって得られる公共の利益について検討することが不合理であるとまでいうことはできない。 イ本件八王子南バイパス事業について - 103 -八王子南バイパスは,八王子南インターチェンジと接続されることから,圏央道と連携して,上記に述べた広域的利便性の向上等にも寄与するものであるといえる。 また,平成11年度の道路交通センサスによると,一般国道20号の平日交通量は,八王子市α31町地内で4万0298台/日,平日混雑度は1.58となっており(乙1,乙3の1),当該地点において相当程度の混雑となっていることが認められる。そして,本件八王子南バイパス事業が施行されることにより,現在の一般国道20号の交通が分散され,交通渋滞の緩和が図られることから,円滑な交通の確保に寄与するものといえる。 以上によれば,本件八王子南バイパス事業の施行によって得られる相応の公共の利益が存するといえる。 なお,第3の2及び同3に記載したとおり,本件各事業に係る事業の認定の申請に当たり,本件八王子南バイパス事業の施行により,幹線道路の混雑緩和,大型車交通の転換,環境改善及び走行速度の向上(走行時間短縮)等の整備効果があるものと予測されるとともに,本件八王子南バイパス事業の社会費用便益比が2.2と分析されているところ,後に述べるとおり,これらの分析等を用いて本件八王子南バイパス事業の施行によって得られる公共の利益について検討することが不合理であるとまでいうことはできない。 ウ(ア) これに対し,原告ら ころ,後に述べるとおり,これらの分析等を用いて本件八王子南バイパス事業の施行によって得られる公共の利益について検討することが不合理であるとまでいうことはできない。 ウ(ア) これに対し,原告らは,費用便益分析による費用便益比が1を下回る事業は土地収用法20条3号,4号の要件に適合しないものであり,また,費用便益分析を行うに当たり,費用便益分析マニュアルが定められていることから,本件各事業に係る費用便益分析がこれに沿って行われているか否かについて検討されるべきである等と主張した上で,起業者らが実施した本件各事業に係る費用便益分析の手法や前提とな - 104 -るデータ等に問題点ないし誤りがあり,その結果,本件各事業に係る費用便益分析が費用便益分析マニュアルに従ってされたことについても,また,費用便益比が1を超えることについても立証されていないから,上記費用便益分析の不合理性ないし違法性が推認され,本件各事業に公益性があるとはいえない旨を主張する。 ところで,道路事業の施行に当たり,当該事業に係る適正な費用便益分析が行われることが望ましいことは論をまたないものであり,また,土地収用法に基づく事業の認定をする際に,申請に係る事業が同法20条3号の要件に該当するか否かを判断するに当たり,当該事業において費用便益分析の結果を適切にしんしゃくすることが望ましいことも論をまたないものである。しかし,費用便益分析が実施されていることが同法に基づく事業の認定の要件であると解すべき法令上の根拠は見当たらないし,また,平成15年8月マニュアルによる費用便益分析の結果である費用便益比が一定の数値を下回ることをもって,当該事業が同条3号及び4号の要件に該当しないものであると解すべき法令上の根拠も見当たらない。したがって,原告らが前提とするこれ 用便益分析の結果である費用便益比が一定の数値を下回ることをもって,当該事業が同条3号及び4号の要件に該当しないものであると解すべき法令上の根拠も見当たらない。したがって,原告らが前提とするこれらの主張を直ちに採用することはできない。 (イ) 次に,第3の3に記載した事実に加え,証拠(甲H83ないし甲H91(枝番を含む。),乙H20,乙H30,X12証人)及び弁論の全趣旨によれば,本件各事業に係る費用便益分析は,平成15年8月マニュアルに定められた方法に基づいて実施されているものと認められる。そして,平成15年8月マニュアルにおいて算定の対象とされている便益は,走行時間短縮,走行経費減少及び交通事故減少のみであり,これらは本件各事業の施行による便益の一部であると認められる一方で,費用便益分析においていかなる費用をどのように算定するかについては様々な考え方があり,また,平成15年8月マニュア - 105 -ルにおいて計上される便益が実際の効果に照らし過小であるとの見解もあるところ(乙H20,乙H26,乙H30,乙H40ないし乙H43,X12証人),このような見解については,本件各事業のような環状道路の建設事業については予想される便益が多様であり,かつ,便益が広範囲に及び得ることからして,首肯し得ないものではないことなどを勘案すれば,原告らが平成15年8月マニュアルに基づく費用便益分析の方法等について指摘するところを勘案しても,平成15年8月マニュアルに基づいて本件各事業に係る費用便益分析を実施することや,その結果を本件事業認定における判断資料としてしんしゃくすることがおよそ不合理であるとまで断ずることはできない。 また,証拠(乙1,乙3の1ないし5,乙8,乙H30,X12証人)及び弁論の全趣旨によれば,本件事業認定に当たっ 判断資料としてしんしゃくすることがおよそ不合理であるとまで断ずることはできない。 また,証拠(乙1,乙3の1ないし5,乙8,乙H30,X12証人)及び弁論の全趣旨によれば,本件事業認定に当たっては,本件各事業に係る費用便益分析の結果は,本件各事業が土地収用法20条3号の要件に適合するか否かを判断する際の資料の一つとして用いられていると認められる一方で,それのみに依拠して本件各事業が同号の要件に適合するか否かが判断されたと認めるに足りる証拠はない。その上で,①確かに,本件各事業に係る費用便益分析の前提となる交通量推計のうち配分交通量の推計に係るデータ等の詳細は明らかでないものの,その推計の前提とされた人口,自動車保有台数等の社会経済指標の予測値や将来の発生集中交通量の推計値等は明らかにされており(甲H90,乙3の1),そのような予測ないし推計を前提にしたものとして上記費用便益分析の結果を本件事業認定に当たってしんしゃくすることがおよそ不合理であるとはいえないこと,②本件各事業に係る費用便益分析においては,推計された配分交通量と実測した交通量の相関関係を検討するなどして現況再現性に係る検証が行われていること,③上記に述べたとおり,平成15年8月マニュアルにおい - 106 -て算定の対象とされている便益は,走行時間短縮,走行経費減少及び交通事故減少に関するもののみである一方で,舗装による運転者の走行快適性の向上等の他の直接的な効果や雇用創出等の間接的な効果については算定の対象とされておらず,本件各事業に係る費用便益分析についても同様にその便益の一部のみが算定の対象となっていることなどによれば,本件事業認定に当たり,上記費用便益分析の結果をしんしゃくすること自体がおよそ不合理であり,これをもって国土交通大臣がその裁量権の範囲 にその便益の一部のみが算定の対象となっていることなどによれば,本件事業認定に当たり,上記費用便益分析の結果をしんしゃくすること自体がおよそ不合理であり,これをもって国土交通大臣がその裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものであるということはできない。 (ウ) 他方,原告らは,平成18年12月に開催された関東地方整備局事業評価監視委員会(平成18年第3回)における圏央道相模原インターチェンジ(仮称)から八王子ジャンクションまでの区間に係る費用便益分析の結果について,便益の対象とすべきでない道路の便益が計上されるなどして過大に便益が計上されている旨を主張する。しかし,原告らが指摘する上記費用便益分析は,本件事業認定においてしんしゃくされたものとは異なる時期に,かつ,異なる区間についてされたものである。したがって,仮に上記費用便益分析に原告らが指摘するような問題があるからといって,直ちに本件各事業に係る費用便益分析の結果について,それが事業の認定の判断資料としてしんしゃくし得ない程度に不合理であるということはできない。 また,原告らは,圏央道相模原インターチェンジ(仮称)から八王子ジャンクションまでの区間について独自に費用便益分析を実施したところ,費用便益比が1を下回った旨を主張し,これをもって,本件各事業に公益性が欠ける旨を主張する。しかし,原告らが用いた費用便益分析の方法は費用便益分析マニュアルにおける方法とは異なるものであり,その方法の選択の当否の点はおくとしても,かかる分析方 - 107 -法に基づく費用便益比が1を下回ったからといって,それとは異なる費用便益分析マニュアルによる分析ないし分析結果がおよそ不合理であると断ずることはできないし,本件各事業に係る費用便益分析の結果について,それが事業の認定の判断資料と たからといって,それとは異なる費用便益分析マニュアルによる分析ないし分析結果がおよそ不合理であると断ずることはできないし,本件各事業に係る費用便益分析の結果について,それが事業の認定の判断資料としてしんしゃくし得ない程度に不合理であるということはできない。 (3) 本件各事業の施行によって失われる利益についてア高尾山トンネルによる高尾山の地下水への影響について(ア) 証拠(甲C2ないし甲C6,甲C44,甲C45の1・2,甲C46の1・2,甲C47ないし甲C50,甲C64,X44証人)及び弁論の全趣旨によれば,一般に,山岳を掘削してトンネル工事を行うことについては,当該山岳の地下水に影響を及ぼすことを完全に防止することは困難であるものと認められる。また,第3の5(1)に記載した事実によれば,高尾山と地質が類似すると認められる箇所が掘削されたα13城跡トンネルの工事においては,工事の施工により観測孔2の水位が低下するなどの現象が発生した事実が認められる。 しかし,第3の5に記載した事実によれば,①本件環境影響評価1において,適切な止水対策工事等を行うことが前提とはされているものの,高尾山トンネルの施工による地下水への影響は少ない旨結論付けられていること,②起業者らにおいても高尾山の地質及び水文調査を行っているところ,その調査方法及び調査結果が明らかに不合理であると認めるに足りる証拠はないこと,③起業者らは,②の調査結果を基に,学識経験者等から構成される技術検討委員会の助言等を得た上で,α13城跡トンネルの施工状況等も勘案して,高尾山トンネルの施工方法を検討していること,④上記調査及び検討の結果として,止水対策工事が必要と認められる工事区間については覆工止水構造とするなどの対策を採り,施工に当たってはα13城跡トンネルの施 山トンネルの施工方法を検討していること,④上記調査及び検討の結果として,止水対策工事が必要と認められる工事区間については覆工止水構造とするなどの対策を採り,施工に当たってはα13城跡トンネルの施工方法に改良を加えたも - 108 -のを採用していること,⑤α13城跡トンネルの工事においていったん低下した観測孔2における地下水位が対策を講じた後は再度上昇していることなども認められ,これらの事実も勘案すると,高尾山トンネルの施工により高尾山の地下水に影響が生ずるおそれがあることは否定できないものの,これのみをもって,本件圏央道事業等の施行によって得られる公共の利益が上記の影響によって失われる利益に優越するとの判断につき,それが重要な事実の基礎を欠くか又はその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くと認めるに足りないし,後述する他の本件各事業の施行によって失われる利益と併せ考慮しても,かかる判断が重要な事実の基礎を欠くか又はその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くと認めるに足りない。 (イ) 他方,原告らは,α13城跡トンネルの工事において民家の井戸の水枯れが発生したことやα17滝の水枯れが発生したこと等を挙げて,これにより高尾山トンネルの工事においても地下水に重大な影響が生ずる旨を主張する。しかし,原告らが主張する民家の井戸の水枯れについては,第3の5(1)オに記載したとおり,橋脚工事に伴って掘削した箇所を埋め戻した後に井戸枯れが発生したすべての井戸について水位の回復がみられるなど,α13城跡トンネルの工事との関連を疑わせる事情があることも考慮すれば,上記井戸の水枯れがα13城跡トンネルの影響により生じたと認めるには足りないといわざるを得ない。また,α17滝の水枯れについても,α17滝の下流にあるα23川の流量とα13城 あることも考慮すれば,上記井戸の水枯れがα13城跡トンネルの影響により生じたと認めるには足りないといわざるを得ない。また,α17滝の水枯れについても,α17滝の下流にあるα23川の流量とα13城跡トンネルの工事箇所の近隣にある観測孔2の水位とに関連がみられないことや,α23川の流量が,降雨に対して明りょうに応答し,ピークの出現及び減衰が早い傾向がみられること(乙C17,乙C18)などα13城跡トンネルの工事との関連を疑わせる事情があることも考慮すれば,上記α17滝の水枯れがα13城跡トンネルの影響により - 109 -生じたと認めるには足りないといわざるを得ない。 また,原告らは,α13城跡トンネルの北側に位置するα32トンネルの工事により,沢の水枯れが発生した旨を主張する。しかし,起業者が実施したα32トンネル坑口付近の井戸の水位観測においては,原告らが問題とする沢の直下掘削時の平成13年7月から同年10月にかけて及び工事完了後の平成16年10月時点においても,顕著な水位低下がみられなかったこと(乙C14,乙C15)などα32トンネルの工事との関連を疑わせる事情があることも考慮すれば,上記沢の水枯れがα32トンネルの影響により生じたと認めるには足りないといわざるを得ない。 さらに,原告らは,高尾山トンネルの工事においても水枯れが発生した旨を主張するところ,かかる現象が高尾山トンネルの工事により発生したことを的確に裏付ける客観的な証拠は見当たらないことから,原告らの上記主張を採用することはできない。 イ本件圏央道事業等が高尾山等の景観に及ぼす影響について第3の6において記載したとおり,本件環境影響評価1及び本件環境影響評価2においては,本件圏央道事業等が高尾山を含む周辺地域の景観に及ぼす影響について,現地踏査等 山等の景観に及ぼす影響について第3の6において記載したとおり,本件環境影響評価1及び本件環境影響評価2においては,本件圏央道事業等が高尾山を含む周辺地域の景観に及ぼす影響について,現地踏査等の方法により調査がされているところ,その調査方法に特段不合理な点があるということはできない。 また,本件環境影響評価1及び本件環境影響評価2においては,事業の施行に当たって,構造物の設置される箇所の自然的,歴史的,文化的条件を検討した上で構造物の設計を行うことや,植林等により人工構造物の遮へい措置を講ずることなどの配慮を行うことを前提として,景観に及ぼす影響は少ない旨評価されているところ,この評価が明らかに不合理であるとまでいうことはできない。その上で,本件圏央道事業等により設置される橋りょうやジャンクション,トンネルの坑口等の構造物により高尾山を - 110 -含む周辺地域の景観に影響が生ずるおそれがあることは否定できないものの,当該影響は,本件圏央道事業等のような山間部に環状道路等を設置する事業において完全に防止することは困難な性質のものであることや,景観への影響は,これが直ちに周辺住民の生活妨害や健康被害を生じさせるという性質のものとはいえないことも勘案すれば,これのみをもって,本件圏央道事業等の施行によって得られる公共の利益が上記の影響によって失われる利益に優越するとの判断につき,それが重要な事実の基礎を欠くか又はその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くと認めるに足りないし,(3)の他の項において検討する本件各事業の施行によって失われる諸利益と併せ考慮しても,かかる判断が重要な事実の基礎を欠くか又はその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くと認めるに足りない。 なお,原告らは,高尾山トンネルは高尾山の山体を貫くのであ われる諸利益と併せ考慮しても,かかる判断が重要な事実の基礎を欠くか又はその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くと認めるに足りない。 なお,原告らは,高尾山トンネルは高尾山の山体を貫くのであるから,高尾山の豊かな生態系や歴史的景観を構成している基盤的要素を破壊するなどとして,本件環境影響評価1が高尾山トンネルにより高尾山に対する景観の改変が生じないとしている点を問題とする。しかし,原告らが問題とするところは,本件環境影響評価1において「陸上植物」,「陸上動物」及び「地形・地質」との予測・評価項目により別途評価されているものと認められる(乙13の11)から,原告らの上記主張を採用することはできない。 ウ大気汚染による損害について(ア) 第3の7に記載した事実によれば,本件各事業の施行により,本件各事業の計画路線周辺に大気汚染が発生するおそれがあることを否定することはできない。しかし,①本件各環境影響評価及び本件各環境影響照査において予測の対象とされた一酸化炭素,二酸化窒素及び二酸化いおうについては,工事完了後の計画路線周辺の濃度が,旧公害対策基本法及び環境基本法に基づいて定められた環境基準に適合する - 111 -ことが予測されていること,②本件環境影響照査3において予測の対象とされたSPMについても上記環境基準に適合することが予測されていること,③後述するとおり,上記予測の対象となった時点や地域の選定方法及び予測方法等が特段不合理とまで認めることができないこと,④本件各事業の施行により,本件各事業区間周辺の一般国道等における道路交通の一部を本件各事業区間が分担することになるから,その限度で,従前上記一般国道等を通行していた自動車等による大気汚染が減少する関係にあることなどを勘案すれば,本件各事業の施行によって得 ける道路交通の一部を本件各事業区間が分担することになるから,その限度で,従前上記一般国道等を通行していた自動車等による大気汚染が減少する関係にあることなどを勘案すれば,本件各事業の施行によって得られる公共の利益が上記大気への影響によって失われる利益に優越するとの判断につき,それが重要な事実の基礎を欠くか又はその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くと認めるに足りないし,(3)の他の項において検討する本件各事業の施行によって失われる諸利益と併せ考慮しても,かかる判断が重要な事実の基礎を欠くか又はその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くと認めるに足りない。 (イ)a 他方,原告らは,本件各環境影響評価及び本件各環境影響照査について,プルームモデルを用いてα1地域の大気汚染を行うことは不適切である一方で,原告らが用いた3次元流体モデルによる大気汚染予測がより適切であるところ,これによれば,本件各事業の施行により環境基準を上回る高濃度の二酸化窒素が排出されることが予測される旨主張する。 プルームモデルは,建設省技術指針及び東京都技術指針において採用されている方法であるところ,証拠(甲E6,甲E12,甲E14の1・2,甲E20,甲E23の1・2,甲E24,甲E26,甲F31,乙E23,乙E29,乙E30,X45証人)及び弁論の全趣旨によれば,プルームモデルは,拡散場が平たんであること - 112 -や拡散係数が拡散場で一定であるとの仮定に基づいていることなどから,同モデルを用いて複雑な地形の地域における汚染物質の拡散状況の予測を高い精度で予測することは必ずしも容易ではないことが認められる。しかし,①昭和58年3月に東京都環境保全局が作成した環境影響評価制度の手引(甲E5)においては,予測方法につき,列記された予測手法の 高い精度で予測することは必ずしも容易ではないことが認められる。しかし,①昭和58年3月に東京都環境保全局が作成した環境影響評価制度の手引(甲E5)においては,予測方法につき,列記された予測手法のうちから適切なものを選択し,又は組合せの方法によるとした上で,大気質の変化の予測は,複雑地形の影響等を考慮しなければならない場合等には差分モデルの利用を検討するとされていたものの,大気拡散式(有風時:プルームモデル,無風時:パフモデル)によることが基本とされていたこと,②建設省技術指針等における予測方法は,上記の拡散係数そのものを与えるのではなく,実測や実験データに基づいて拡散幅を定め,これを用いて予測を行うとされていることや,複雑な地形や建物等は拡散を促進させること,拡散式を用いた大気汚染の予測は年平均値を予測するものであって,特定の風向における影響が大きくはないこと(乙E6)などからすれば,プルームモデルを用いて本件各事業の対象地の大気質の予測をすることが不合理であるとまでいうことはできない。 また,本件環境影響評価1においては,現地の地形及び接地逆転層を含む気象条件を再現して行った風洞実験を行い,その結果を用いてプルームモデル及びパフモデルを用いた予測結果を検証し,これらのモデルをα1地域における大気汚染予測に用いても問題はない旨結論付けているところ,この風洞実験の実施方法等につき,検証結果の信頼性を喪失させる程度に不合理な点があるとは認められない。したがって,この観点からも本件各環境影響評価及び本件各環境影響照査においてプルームモデルを用いて大気汚染予測をして - 113 -いることが不合理であるということはできない。 b また,原告らが主張する3次元流体モデルによる大気汚染予測については,ある一定の空間を一定の距離 ルを用いて大気汚染予測をして - 113 -いることが不合理であるということはできない。 b また,原告らが主張する3次元流体モデルによる大気汚染予測については,ある一定の空間を一定の距離ごとに区切って,その一定範囲の空間を多数の直方体(メッシュ)に分割し,それぞれのメッシュごとに風速及び風向を算出する手法であるところ,この手法においても,風速等を隣接するメッシュにおける値を基に順次計算して解いていくことから,拡散係数の与え方やメッシュの分割方法等により得られる数値が異なるという点においてその精度には一定の限界があるものと認められる(乙E6)。 また,原告らが提出する,二酸化窒素に係る大気汚染予測に関する調査報告書等(甲E1,甲E10,甲E18,甲E19)について検討するに,①原告らの主張を前提にしても,3次元流体モデルによる大気汚染予測をするためには,地形の影響を受ける前の風のデータが必要であるところ,計算に用いられている気象データは,構造物や地形の影響を受けていると推認されるα1地域のデータ(甲E19)であるか,又はα1地域と気象条件が必ずしも一致しないと推認されるα6町測定局,α33町一般局及びα34町自排局の気象データ(甲E1,甲E18)が用いられていることから,その予測の精度には限界があるといわざるを得ないこと,②原告らが採用する3次元流体モデルの正確性の検証(甲E10,甲E19)については,検証のために用いられた実測濃度について,道路端における測定値が除外されていることや,6月及び12月の各3日間という短期間の測定結果であり,かつ,その測定方法がカプセルを用いた簡易測定法であることなど,そのデータの精度に疑問がないとはいえないこと,バックグラウンド濃度が14.9ppbとされた根拠が必ずしも明らかでないこ 定結果であり,かつ,その測定方法がカプセルを用いた簡易測定法であることなど,そのデータの精度に疑問がないとはいえないこと,バックグラウンド濃度が14.9ppbとされた根拠が必ずしも明らかでないことなどの問題があることに照らし, - 114 -上記調査報告書等をもって,本件各環境影響評価及び本件各環境影響照査における二酸化窒素の濃度予測の結果が不合理であるということはできない。 (ウ) 原告らは,本件各環境影響評価並びに本件環境影響照査1及び本件環境影響照査2においてSPMの排出予測がされていないことを問題とし,かかる予測をするべきであった旨主張する。しかし,SPMの濃度の予測については,①昭和58年3月に被告東京都が策定した「東京地域公害防止計画」において,SPMが,固定発生源,移動発生源及び自然界に起因するもののほか,二次的に生成されるものなど複数多岐であるため,発生源別の実態把握及び発生源と環境濃度との関係等について未解明な部分が残されている旨指摘されており(乙13の12),平成元年に社団法人X46協会が策定した「道路環境整備マニュアル」にも同旨の指摘がされていること(乙3の5),②原告らが指摘する環境庁(当時)の委託業務結果報告書(甲E16)においても,SPMの予測手法として物理モデルと統計モデルを挙げた上で,物理モデルについては,「予測手法がまだ十分ではなく発生源の把握や二次生成物質の推計等今後の研究に依存するところが大きい」旨が,統計モデルについては,「実測データの蓄積が十分でないこと」などが問題点として指摘されているなど,その予測手法が確立されたものではないことをうかがわせる記載があること,③平成9年6月当時,環境庁(当時)の政府委員が,参議院環境特別委員会において,「SPMの由来や性状等から,予測手法等は十 ど,その予測手法が確立されたものではないことをうかがわせる記載があること,③平成9年6月当時,環境庁(当時)の政府委員が,参議院環境特別委員会において,「SPMの由来や性状等から,予測手法等は十分まだ確立されていないという状況で」ある旨答弁していること(乙E8)などを勘案すれば,本件各環境影響評価が行われた時点においては,環境影響評価を行うのに必要なSPMの汚染予測手法が確立されていなかったものと推認されるから,本件各環境影響評価においてSPMの予測評価が行われ - 115 -なかったことをもって,本件各環境影響評価がその合理性を欠くということはできない。 本件各環境影響照査においても,インターチェンジやジャンクションによる加速車線及び減速車線が含まれる区間については,SPMの濃度予測が行われていないところ,これは,インターチェンジやジャンクションにおける加速車線や減速車線の走行パターンは,本線の走行パターンとは異なり,SPMについてはそのような走行パターンに対応した排出係数の設定方法が解明されていないことによるものと認められる(乙3の5)から,当該区間に係るSPMについての予測評価が行われなかったことをもって,本件各環境影響照査がその合理性を欠くということはできない。 なお,原告らは,本件各環境影響評価及び本件各環境影響照査において,微小粒子状物質についての予測評価が行われていないことを指摘するが,環境基本法16条1項に基づいて微小粒子状物質に係る環境基準が告示されたのは平成21年9月9日付けであること(乙E37の1ないし3)などに照らし,このような予測評価がされていないことをもって本件各環境影響評価及び本件各環境影響照査が合理性を欠くということはできない。 (エ) 原告らは,本件各環境影響評価において,走行車両 3)などに照らし,このような予測評価がされていないことをもって本件各環境影響評価及び本件各環境影響照査が合理性を欠くということはできない。 (エ) 原告らは,本件各環境影響評価において,走行車両が自動車専用道路等における道路交通法施行令で定められた法定速度を遵守することを前提としていることを問題とする。しかし,環境影響評価は,対象事業の実施により生ずる一般的な条件下における環境の状態の変化を明らかにすることにより行うものと認められるところ(乙3の3,乙F7),社会通念上,車両がその法定速度を遵守して走行することは一般的な条件であるということができる。他方,仮に,現実の道路上で走行速度が法定速度を上回る車両が往々にして見られるとしても, - 116 -道路状況等により,車両が法定速度ないしそれ以下の速度で走行する場合もあり得るから,将来の圏央道及び八王子南バイパスにおける車両の平均走行速度が法定速度を常に上回っているとまで断ずることはできない。したがって,本件各環境影響評価において,走行車両が法定速度を遵守することを前提とした上で評価を行っている点に不合理な点はないというべきである。 また,原告らは,本件各環境影響評価において,接地逆転層による影響について精度の低い予測しかされていない旨の主張をする。しかし,第3の7(1)イに記載したとおり,本件環境影響評価1においては,接地逆転層の形成状況について現地調査がされているほか,本件環境影響評価2及び本件環境影響評価3においても,上記現地調査の結果と気象庁による調査結果とが比較されるなどして検討が加えられており,この検討方法等に特段不合理な点があるとは認められないから,原告らの上記主張を採用することはできない。 さらに,原告らは,本件各環境影響評価において,将来の二酸化窒 どして検討が加えられており,この検討方法等に特段不合理な点があるとは認められないから,原告らの上記主張を採用することはできない。 さらに,原告らは,本件各環境影響評価において,将来の二酸化窒素の削減計画が勘案されていることを問題とするところ,第3の7(1)オ(ウ)に記載したとおり,本件各環境影響評価においては,自動車排出ガス規制の効果を考慮してバックグラウンド濃度を設定していることが認められるが,自動車排出ガス規制が逐次強化されていること(乙13の9,乙13の15)などに照らせば,かかる設定が合理性を欠くとはいえない。また,原告らは,本件各環境影響照査におけるSPMの予測についても同旨の主張をするところ,第3の7(2)ウ(イ)に記載したとおり,本件各環境影響照査3においては,SPMのバックグラウンド濃度には大きな変化がないとの前提で予測がされているものの,国及び地方公共団体によりSPMの排出を規制する施策が講じられ,一定の成果が上がっている事実も認められること(乙E9ないし - 117 -乙E21,乙E32ないし乙E36)からすれば,かかる前提が合理性を欠くとはいえない。 そして,原告らは,本件各環境影響評価において既存道路との複合汚染が十分に考慮されていないとの趣旨の主張をする。しかし,本件各環境影響評価においては,バックグラウンド濃度の測定が行われるとともに,将来のバックグラウンド濃度の予測においても将来交通量の伸び等が検討の対象とされているなど,既存道路との複合的な影響について考慮されているものと認められるから,原告らの上記主張を採用することはできない。(乙13の9,乙13の12,乙13の15)エ騒音被害について(ア) 第3の8に記載した事実によれば,本件各事業の施行により,本件各事業の計画路線周辺に 上記主張を採用することはできない。(乙13の9,乙13の12,乙13の15)エ騒音被害について(ア) 第3の8に記載した事実によれば,本件各事業の施行により,本件各事業の計画路線周辺に騒音が発生するおそれがあることを否定することはできない。しかし,①本件各環境影響評価並びに本件環境影響照査1及び本件環境影響照査2において,工事完了後の計画路線周辺の道路交通騒音が,旧公害対策基本法及び環境基本法に基づいて定められた環境基準に適合することが予測されており,本件環境影響照査3においても,一部予測地点について追加の対策を講じることにより上記基準に適合することが予測されていることや,これらの予測の対象となった時点や地域の選定方法及び予測方法等が特段不合理であると認めるに足りる証拠はないことを併せ考慮すれば,本件各事業の施行によって得られる公共の利益が上記騒音の発生による影響によって失われる利益に優越するとの判断につき,それが重要な事実の基礎を欠くか又はその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くと認めるに足りないし,(3)の他の項において検討する本件各事業の施行によって失われる諸利益と併せ考慮しても,かかる判断が重要な事実の基礎 - 118 -を欠くか又はその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くと認めるに足りない。 (イ)a 他方,原告らは,旧騒音環境基準及び現騒音環境基準に定められた基準は受忍限度であり,これを超える騒音は違法であるとの趣旨の主張をするところ,土地収用法第3章の規定に基づく事業の認定をするに当たり,当該事業の施行により上記基準を超える騒音を生ずるがい然性がある場合には,それを同法20条3号の適合性の判断の要素として考慮すべきことは論をまたないものの,そのようながい然性があることをもって直ちに当該事業 施行により上記基準を超える騒音を生ずるがい然性がある場合には,それを同法20条3号の適合性の判断の要素として考慮すべきことは論をまたないものの,そのようながい然性があることをもって直ちに当該事業に係る事業の認定をすることが違法であるとする法令上の根拠を見いだすことはできない。 また,上記基準は旧公害対策基本法9条及び環境基本法16条1項に基づき,騒音に係る環境上の条件について生活環境を保全し人の健康の保護に資する上で維持されることが望ましい基準として定められたものであること(乙F2ないし乙F4)からしても,上記のがい然性があることをもって直ちに当該事業に係る事業の認定をすることが違法であるということはできない。 b 原告らは,旧騒音環境基準及び現騒音環境基準における「道路に面する地域」とは,道路に建物が接しているか又は道路端から最大で20メートルの距離にある地域を指すと解するべきであり,α1地域は「道路に面する地域」に該当しないとした上で,「道路に面する地域」以外に適用される環境基準を適用すると,当該基準値を上回る騒音被害が発生する旨を主張する。 ところで,証拠(甲F15,乙F2,乙F3)及び弁論の全趣旨によれば,①旧騒音環境基準の策定に当たった専門委員会においては,「道路に面する地域」に適用される基準については,別途の検討を要するとされ,その後,「道路に面する地域」以外の地域に適 - 119 -用される基準に5ホン(A)又は10ホン(A)の補正値を加えたものが基準値の案とされ,これを基に旧騒音環境基準が策定されたこと,②旧騒音環境基準について,A地域及びB地域のうち「道路に面する地域」の基準値についてそれ以外のA地域及びB地域の基準を若干緩和した値とされているのは,「道路交通騒音の実態がとくに主要幹線道路などにおいて 環境基準について,A地域及びB地域のうち「道路に面する地域」の基準値についてそれ以外のA地域及びB地域の基準を若干緩和した値とされているのは,「道路交通騒音の実態がとくに主要幹線道路などにおいて著しく悪化していること,一方,道路の公共性がきわめて大きく,かつ道路周辺の地域住民が道路から利益を得ている場合が少なくない,といった条件を考慮して,道路に面する地域について道路に面しない裏側と同じレベルの厳しい基準を適用することは妥当でない」と判断されたものであることや,車線数によって基準値に差が設けられているのも,「一般に車線数の多い道路ほど幹線道路としての性格が強い,すなわち公共性がより大で,このような道路に面する地域は道路交通騒音についてより受忍性が強いと考えられたからである」こと,③現騒音環境基準について,環境庁(当時)大気保全局長が各都道府県知事あてに通知した「騒音に係る環境基準の改正について」(平成10年9月30日環大企第257号)においては,「道路交通騒音の影響が及ぶ範囲は,道路構造,沿道の立地状況等によって大きく異なるため,道路端からの距離によって一律に道路に面する地域の範囲を確定することは適当ではない」とされていること,④上記環境庁(当時)大気保全局長通知において,現騒音環境基準に定められた「幹線交通を担う道路に近接する空間」につき,2車線を超える車線を有する幹線交通を担う道路に係るものについては,道路端から20メートルとされていることがそれぞれ認められる。 このような旧騒音環境基準及び現騒音環境基準の策定経過や内容等にかんがみると,「道路に面する地域」の基準値は,道路からの - 120 -受益性という観点のみから設定されたものではなく,道路の公共性を中心として,道路交通騒音の実態などを総合的に踏まえて設定さ んがみると,「道路に面する地域」の基準値は,道路からの - 120 -受益性という観点のみから設定されたものではなく,道路の公共性を中心として,道路交通騒音の実態などを総合的に踏まえて設定されたものと認められるのであって,基準値の策定に際して道路の公共性が重視されていることにかんがみると,具体的事例において「道路に面する地域」の適用範囲を画する際に,道路からの距離のみを考慮することは想定されておらず,むしろ,道路騒音の影響を受ける地域全体が「道路に面する地域」に当たるものとして,緩和された環境基準の適用を認めることが,旧騒音環境基準及び現騒音環境基準の趣旨に沿うものというべきである。よって,上記原告らの主張を採用することはできない。 c 原告らは,本件各事業の施行により生じる騒音に係る夜間の予測値が,地点予測では最高値がLAeqで59デシベルとなり,面的予測ではLAeqで55デシベルないし60デシベルの地域が多くを占め,最高ではLAeqで60デシベルの地域も予測されることが明らかになっている旨主張する。しかし,原告らが提出する調査業務報告書(甲F14)のうち,「道路に面する地域」の環境基準値を用いず,一般の環境基準値を用いている部分について採用することができないのは,上記に述べたとおりであるし,地点における評価及び面的評価についても,地形による騒音の反射や吸収の有無,地形が騒音の伝ぱに及ぼす影響について,どのような地形のいかなる状態をどのように考慮したのかは必ずしも明らかでないことから,これをもって,本件各環境影響評価及び本件各環境影響照査における騒音に係る評価が合理性を欠くとまでいうことはできない。 d 原告らは,睡眠妨害が出現するレベルがL50で40デシベル(A)といわれ,旧騒音環境基準も,一般住居専用地域では, 環境影響照査における騒音に係る評価が合理性を欠くとまでいうことはできない。 d 原告らは,睡眠妨害が出現するレベルがL50で40デシベル(A)といわれ,旧騒音環境基準も,一般住居専用地域では,睡眠の確保を更に確実にするため,屋外値L50で40デシベル(A) - 121 -以下を目標として定めたものであり,また,等価騒音レベルでは,睡眠妨害を防止するための屋内騒音は,LAeqで30デシベル以内に保つことが重要であるといわれているとした上で,①本件環境影響評価1におけるα1地域の夜間の騒音レベルは,屋外ではL50で49ホンとなっており,睡眠妨害の被害が発生するレベルである,②本件環境影響照査1におけるα1地域における騒音予測値は,屋外ではLAeqで54デシベルであって,これは屋内では44デシベルとなり,明らかに睡眠妨害が生じるレベルであるなどと主張する。 ところで,本件環境影響評価1においては,α1地域の夜間の環境基準として,旧騒音環境基準の「A地域のうち2車線を超える車線を有する道路に面する地域」の基準値(夜間)である50ホン(A)以下が適用されている。この値は,旧騒音環境基準の「道路に面する地域」以外の地域の「B地域」の環境基準値(夜間)と同じであるところ,この環境基準値は,騒音レベルの測定は屋外で行うものであり,建物による遮音効果は約10デシベルと見積もることができるから,屋外で50ホン(A)以下とすれば屋内では40ホン(A)以下となり,ほぼ睡眠妨害を免れ得る水準であるといえるとの観点から定められたものであるところ(乙F2),このような見解がおよそ不合理であるということはできない。 また,本件環境影響照査1においては,α1地域の夜間の環境基準として,現騒音環境基準の「A地域のうち2車線以上の車線を有する道路に ),このような見解がおよそ不合理であるということはできない。 また,本件環境影響照査1においては,α1地域の夜間の環境基準として,現騒音環境基準の「A地域のうち2車線以上の車線を有する道路に面する地域」の基準値(夜間)である55デシベル以下が適用されているところ,現騒音環境基準の指針値の設定に当たっても,旧騒音環境基準と同様,「生活の中心である屋内において睡眠影響及び会話影響を適切に防止する上で維持されることが望まし - 122 -い騒音影響に関する屋内騒音レベルの指針(「騒音影響に関する屋内指針」)を設定し,これが確保できることを基本とするとともに,不快感等に関する知見に照らした評価を併せて行うことが必要である」とされ,道路に面する地域については,睡眠影響に関する科学的知見を踏まえた「夜間[睡眠影響]40デシベル以下」という屋内指針値が示されている(乙F3)。これは,道路に面する地域以外の地域については,音の発生が不規則ないし不安定であり,このような騒音による睡眠影響を生じさせないためには,屋内で35デシベル以下であることが望ましいとされているが,高密度道路交通騒音のように騒音レベルがほぼ連続的ないし安定的である場合には40デシベルが睡眠影響を防止するための上限であるとの知見があることや,連続的な騒音による睡眠への影響に関するその他の科学的知見を総合すると,道路に面する地域については,40デシベル以下であれば,ほぼ睡眠への影響を免れることができ,睡眠への影響を適切に防止することができるものと考えられたからである(乙F3)。その上で,「道路に面する地域」のうち「専ら住居の用に供される地域(現騒音環境基準の「A地域」と同義)のうち,2車線以上の車線を有する道路に面する地域」については,地域補正に関する考え方,道路に面す の上で,「道路に面する地域」のうち「専ら住居の用に供される地域(現騒音環境基準の「A地域」と同義)のうち,2車線以上の車線を有する道路に面する地域」については,地域補正に関する考え方,道路に面する地域の睡眠影響に関する指針値及び建物の防音性能(通常の建物において窓を開けた場合の平均的な内外の騒音レベル差は10デシベル程度,窓を閉めた場合におおむね期待できる平均的な防音性能は25デシベル程度)を踏まえ,夜間55デシベルであれば,ある程度窓を開けた状態においても,騒音影響に関する屋内指針を満たすことが可能であることなどから,上記地域における環境基準の指針値を夜間55デシベル以下とすることが適当であるとされたものであり(乙F3),このような見解につ - 123 -いても,それがおよそ不合理であるということはできない。 以上によれば,α1地域について,本件環境影響評価1において適用された旧騒音環境基準の基準値(夜間50ホン(A)以下)や,本件環境影響照査1において適用された現騒音環境基準の基準値(夜間55デシベル)は,いずれも夜間の睡眠妨害に対する影響が考慮されているものであるから,合理性を欠くものとはいえない。 そして,本件環境影響評価1におけるα1地域の夜間の騒音レベルは,L50で49ホン(A)と予測され,上記基準値である50ホン(A)を下回っており,また,本件環境影響照査1におけるα1地域の夜間の騒音レベルは,LAeqで54デシベルと予測され,上記基準値である55デシベルを下回っているから,原告らが主張するような深刻な睡眠妨害が生ずるとまではいえない。 e 原告らは,高尾山登山道について騒音に係る影響が評価されていないことを問題とする。しかし,①本件各環境影響照査において用いられた「道路環境影響評価の技術手法(その2)」 るとまではいえない。 e 原告らは,高尾山登山道について騒音に係る影響が評価されていないことを問題とする。しかし,①本件各環境影響照査において用いられた「道路環境影響評価の技術手法(その2)」及び東京都技術指針(平成15年1月)において,「調査地域は,騒音の影響範囲内に住居等が存在する,あるいは立地する見込みがある地域とし,調査・予測区間毎に設定する」(乙F6),「調査地域は,対象事業の種類及び規模並びに地域の概況を勘案して,対象事業の実施に伴う騒音・振動が日常生活に影響を及ぼすと予想される地域とする」(乙E4)とされていること,②旧騒音環境基準及び現騒音環境基準のいずれにもおいても,療養施設や住居等の存否に着目して環境基準を適用する地域の類型を定めていることなどに照らし,住居の存在しない高尾山登山道のような地域については,騒音に係る環境影響評価を行うことは想定されていないといわざるを得ず,他に,高尾山登山道について騒音に係る環境影響評価を行うべき法令上の - 124 -根拠も見当たらない。したがって,高尾山登山道について騒音の予測がされていないことをもって,本件各環境影響評価及び本件各環境影響照査が合理性を欠くということはできない。 f 原告らは,本件各環境影響評価において既存道路との合成騒音が十分に考慮されていないとの趣旨の主張をする。しかし,本件各環境影響評価においては,既存道路との複合的な影響については考慮されているものと認められる(乙13の8,乙13の11,乙13の14)から,原告らの上記主張を採用することはできない。 g 原告らは,サウンドスケープとの概念を指摘した上で,本件各事業の施行により,高尾山等のサウンドスケープが侵害される旨を主張する。しかし,本件各環境影響評価及び本件各環境影響照査における 。 g 原告らは,サウンドスケープとの概念を指摘した上で,本件各事業の施行により,高尾山等のサウンドスケープが侵害される旨を主張する。しかし,本件各環境影響評価及び本件各環境影響照査における騒音による影響の評価に当たっては,いずれも予測地域の概要について検討が加えられていることや,上記に述べたとおり,旧騒音環境基準及び現騒音環境基準がいずれも療養施設や住居等の存否に着目して環境基準を適用する地域の類型を定めており,人の生活環境に対する騒音の影響を問題にしていると解されることなどに照らせば,サウンドスケープとの概念の当否はおくとしても,かかる概念を援用するなどして環境影響評価を行わなかったことをもって,本件各環境影響評価及び本件各環境影響照査が合理性を欠くということはできない。 h なお,本件各環境影響評価において,走行車両が法定速度を遵守することを前提とした上で評価を行っていることが合理性を欠くとはいえないことは,ウ(エ)で述べたとおりである。 オ振動について第3の9に記載した事実によれば,本件各事業の施行により,本件各事業の計画路線周辺に振動が発生するおそれがあることを否定することはで - 125 -きない。しかし,本件各環境影響評価及び本件各環境影響照査において,工事完了後の計画路線周辺の道路交通振動が要請限度の値を下回ることが予測されており,この予測の対象となった時点や地域の選定方法及び予測方法等が特段不合理であると認めることはできないことに照らせば,本件各事業の施行によって得られる公共の利益が上記の振動の発生による影響によって失われる利益に優越するとの判断につき,それが重要な事実の基礎を欠くか又はその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くと認めるに足りないし,(3)の他の項において検討する本件各事業 よる影響によって失われる利益に優越するとの判断につき,それが重要な事実の基礎を欠くか又はその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くと認めるに足りないし,(3)の他の項において検討する本件各事業の施行によって失われる諸利益と併せ考慮しても,かかる判断が重要な事実の基礎を欠くか又はその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くと認めるに足りない。 カ低周波空気振動について第3の10に記載した事実によれば,本件各事業の施行により,本件各事業の計画路線周辺に低周波空気振動が発生するおそれがあることを否定することはできない。しかし,本件各環境影響評価及び本件各環境影響照査において,工事完了後の計画路線周辺の低周波空気振動が,沿道周辺の日常生活に支障のない程度のものか又は「道路環境影響評価の技術手法(その2)」に記載された参考指標を下回ることが予測されており,この予測の対象となった時点や地域の選定方法及び予測方法等が特段不合理であると認めることはできないことに照らせば,本件各事業の施行によって得られる公共の利益が上記の低周波空気振動が発生することによる影響によって失われる利益に優越するとの判断につき,それが重要な事実の基礎を欠くか又はその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くと認めるに足りないし,(3)の他の項において検討する本件各事業の施行によって失われる諸利益と併せ考慮しても,かかる判断が重要な事実の基礎を欠くか又はその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くと認めるに足りない。 なお,本件各環境影響評価においては,低周波空気振動について定性的 - 126 -な予測をした上で,沿道周辺の日常生活に支障のない程度のものと考えられる旨結論付けているところ,本件各環境影響評価がされた時点においては,低周波空気振動の発生機構の解 いて定性的 - 126 -な予測をした上で,沿道周辺の日常生活に支障のない程度のものと考えられる旨結論付けているところ,本件各環境影響評価がされた時点においては,低周波空気振動の発生機構の解明の研究途上にあるため,低周波空気振動の音圧レベルを定量的に予測する方法が確立されていなかったことや,平成16年4月時点においても,国又は地方公共団体が実施する環境保全に関する施策による基準又は目標が示されていなかったこと(乙3の5)などに照らし,予測方法につき合理性を欠くとはいえない。 キオオタカへの影響について第3の11に記載した事実によれば,本件各事業の施行により,本件各事業の計画路線周辺におけるオオタカの生息に影響を与えるおそれがあることは否定することができない。しかし,本件各事業区間においてはオオタカの営巣が確認されていないことや,八王子市α15地区において営巣が確認されたオオタカについては,その生育環境に配慮するための方策が検討され,実際にその方策に沿って工事が施行されたことなどを勘案すれば,本件各事業の施行によって得られる公共の利益が上記のオオタカへの影響によって失われる利益に優越するとの判断につき,それが重要な事実の基礎を欠くか又はその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くと認めるに足りないし,(3)の他の項において検討する本件各事業の施行によって失われる諸利益と併せ考慮しても,かかる判断が重要な事実の基礎を欠くか又はその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くと認めるに足りない。 ク α1地域の生活環境等への影響について原告らは,本件各事業の施行により,α1地域の歴史的ないし文化的環境への影響や生活環境に重大な影響を与える旨を主張するところ,既に検討した本件各事業の施行による高尾山の地下水への影響や高尾山等 て原告らは,本件各事業の施行により,α1地域の歴史的ないし文化的環境への影響や生活環境に重大な影響を与える旨を主張するところ,既に検討した本件各事業の施行による高尾山の地下水への影響や高尾山等の景観に及ぼす影響,大気汚染,騒音,震動,低周波空気振動,オオタカへの影 - 127 -響等を考慮すれば,原告らが指摘するα1地域における生活環境等に影響が生ずるおそれがあることを否定することはできない。しかし,本件各事業の施行によって得られる公共の利益が原告らの指摘する上記の各影響によって失われる利益に優越するとの判断につき,それが重要な事実の基礎を欠くか又はその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くと認めるに足りる証拠はない。 (4) 本件各事業の施行によって得られる利益と失われる利益との比較衡量上記に述べたとおり,本件各事業の施行によって得られる利益については,いずれも既に述べたような公共性の存在が認められ,この点に加え,第3の1に記載したとおり,社会資本整備重点計画等において圏央道の整備の促進が重要な政策課題として掲げられていることや,圏央道の建設予定地ないしその周辺の地方公共団体等から圏央道の早期建設等が要望されていることなどを勘案すれば,本件各事業に係る費用便益分析について原告らが指摘するところを踏まえても,本件各事業の施行によって得られる公共の利益が認められるとの国土交通大臣の判断が重要な事実の基礎を欠くか又はその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くと認めるに足りない。 次に,本件各事業の施行によって失われる利益については,①自然環境,特に,高尾山の地下水への影響,高尾山等の景観に及ぼす影響,大気汚染,騒音,振動,低周波空気振動による環境の悪化,オオタカへの影響,②歴史的ないし文化的環境への影響,③α1地域 いては,①自然環境,特に,高尾山の地下水への影響,高尾山等の景観に及ぼす影響,大気汚染,騒音,振動,低周波空気振動による環境の悪化,オオタカへの影響,②歴史的ないし文化的環境への影響,③α1地域等の生活環境への影響等が挙げられ,そのうち①については,本件各事業の施行により本件起業地周辺において上記の事項につき影響が生ずるおそれがあることは否定することはできない一方で,本件各事業の施行によって得られる公共の利益が上記自然環境への影響によって失われる利益に優越するとの判断につき,それが重要な事実の基礎を欠くか又はその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くと認めるに足りないことは,既に述べたとおりである。また,②歴史的ないし文化 - 128 -的環境への影響,③生活環境への影響についても,既に述べたところに加え,埋蔵文化財に係る協議が実施される(乙3の2)などの措置が講じられていることなども併せ考慮すれば,本件各事業の施行によって得られる公共の利益が上記歴史的ないし文化的環境及び生活環境への影響によって失われる利益に優越するとの判断につき,それが重要な事実の基礎を欠くか又はその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くと認めるに足りない。 以上によれば,本件各事業が土地収用法20条3号の要件に該当するとした国土交通大臣の判断につき,裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用した違法があるということはできない。 (5) なお,本件事業認定に当たっては,認定の対象となった事業計画と異なる代替案が検討されたことはうかがわれないところ,土地収用法20条3号の要件適合性の判断に当たっては,代替案が有り得る場合には,これと比較検討することが事業計画の合理性を審査する上で有効であるということができるものの,事業の認定をする行政庁に代替案との比較をす 3号の要件適合性の判断に当たっては,代替案が有り得る場合には,これと比較検討することが事業計画の合理性を審査する上で有効であるということができるものの,事業の認定をする行政庁に代替案との比較をすることを義務付ける法令上の根拠は見当たらないから,起業者の提示した資料等から明らかに他の案が優れていると認められるといった特別の事情がない限り,代替案との比較検討をしないことにより直ちに事業の認定が違法であるとはいえない。 そして,本件各事業に係る事業の認定の申請の当時に,このような代替案があったことをうかがわせる証拠はない。 6 土地収用法20条4号の要件適合性について(1) 土地収用法20条4号は,同条3号によって事業計画の合理性が肯定される場合であっても,当該事業において収用又は使用という取得手続を執ることの必要性があり,かつ,それが公益目的に合致することを求めるものと解される。そして,上記のような同条4号の要件適合性の判断は,その性質上,政策的な判断を伴うものであって,事業の認定をする行政庁は,その判断に係る裁量権を有するというべきである。その上で,かかる判断については, - 129 -それが裁量権の行使としてされたことを前提として,その基礎とされた重要な事実に誤認があること等により重要な事実の基礎を欠くこととなる場合,又は,事実に対する評価が明らかに合理性を欠くこと,判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限り,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となると解するのが相当である。 (2)ア本件において,証拠(乙1)及び弁論の全趣旨によれば,①起業者らは,本件事業認定の直前である平成17年8月末の時点で,本件圏央道事業等について のとして違法となると解するのが相当である。 (2)ア本件において,証拠(乙1)及び弁論の全趣旨によれば,①起業者らは,本件事業認定の直前である平成17年8月末の時点で,本件圏央道事業等についてはその所要面積約15万4439平方メートルのうち約84パーセントに当たる約12万9808平方メートルの用地の取得を完了し,本件八王子南バイパス事業についてはその所要面積約12万1450平方メートルのうち約70パーセントに当たる約8万4887平方メートルの用地の取得を完了するとともに,残る土地についても,土地所有者及び関係人との間で用地取得に係る協議を継続していたこと,②一方,任意による用地取得が困難である場合に一体性を有する本件各事業の計画的な遂行を図るため,あらかじめ本件各事業に係る事業の認定の申請がされたことがそれぞれ認められ,本件各事業につき収用又は使用という取得手続を執ることの必要性は認められる。 イ次に,本件各事業について収用又は使用という取得手続を執ることの必要性が公益目的に合致するか否かを検討するに,まず,本件圏央道事業等については,前記5(2)アに述べたところからすれば,現在,一般国道16号等の交通量が多く,慢性的に交通渋滞が発生していることから,早期に交通渋滞の緩和を図るとともに,広域的な利便性を早期に実現させる必要があるとする事業の認定をした行政庁としての国土交通大臣の判断が重要な事実の基礎を欠くか又はその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くということはできない。そして,この点に加え,第3の1に記載 - 130 -したとおり,圏央道事業につき,首都圏中央連絡道路建設促進協議会等から本件圏央道事業等について早期建設等が要望されていることや,社会資本整備重点計画等においても圏央道の整備の促進が重要な政策課題とし たとおり,圏央道事業につき,首都圏中央連絡道路建設促進協議会等から本件圏央道事業等について早期建設等が要望されていることや,社会資本整備重点計画等においても圏央道の整備の促進が重要な政策課題として掲げられていることなどを勘案すれば,本件圏央道事業等について必要に応じ収用又は使用という取得手続を執ることが公益目的に合致するとの判断が重要な事実の基礎を欠くか又はその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くということはできない。 本件八王子南バイパス事業については,前記5(2)イに述べたところからすれば,一般国道20号の交通量が多く,慢性的に交通渋滞が発生していることから,早期に交通渋滞の緩和を図る必要があるとする事業の認定をした行政庁としての国土交通大臣の判断が重要な事実の基礎を欠くか又はその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くということはできない。そして,この点に加え,第3の1に記載したとおり,首都圏中央連絡道路建設促進協議会等から本件八王子南バイパス事業について早期建設等が要望されていることなどを勘案すれば,本件八王子南バイパス事業について必要に応じ収用又は使用という取得手続を執ることが公益目的に合致するとの判断が重要な事実の基礎を欠くか又はその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くということはできない。 (3) 以上によれば,本件各事業が土地収用法20条4号の要件に該当するとした国土交通大臣の判断につき,裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用した違法があるということはできない。 なお,原告らは,本件各事業の施行により巨額の財政赤字を招くとして,本件各事業が同号の要件に適合しないと主張する。しかし,仮に,本件各事業区間を通行する自動車の通行料金等の収入が本件各事業区間に係る建設費用等を下回るものであるとしても,これをも 赤字を招くとして,本件各事業が同号の要件に適合しないと主張する。しかし,仮に,本件各事業区間を通行する自動車の通行料金等の収入が本件各事業区間に係る建設費用等を下回るものであるとしても,これをもって直ちに本件各事業が同号の要件に該当しないものということはできないし,既に述べたとおり,本件各 - 131 -事業の施行によって得られる相応の公共の利益があると認められるから,上記原告らの主張を踏まえても上記判断は左右されない。 また,原告らは,圏央道事業に関する工事の入札手続においていわゆる談合が行われている疑いがある旨の主張をするところ,同条3号及び4号の要件適合性を判断するに当たり,かかる事実をどのように考慮すべきかについてはおくとしても,本件各事業のうち本件事業認定の対象となった部分について原告らが主張する談合が行われたことを認めるに足りる証拠はないから,原告らの上記主張を採用することはできない。 7 環境影響評価に関する手続違反等について(1) 原告らは,本件各環境影響評価の手続及びその内容に瑕疵があり,これにより本件事業認定が違法になる旨を主張する。しかし,土地収用法その他の関係法令上,事業の認定の申請又は事業の認定に当たり,起業者又は事業の認定をする行政庁に環境影響評価を行うことを義務付ける規定は見当たらず,環境影響評価を行うことが事業の認定をするための要件であるということはできないから,起業者又は事業の認定をする行政庁が事業の認定の対象となった事業に係る環境影響評価を行う義務を負うとする原告らの主張は,その前提を欠くものである。 また,第3の4に記載したとおり,東京都環境影響評価条例に基づいて本件各環境影響評価が行われたところ,その手続に特段の瑕疵があることをうかがわせる証拠はない。 さらに,5(3)で述 である。 また,第3の4に記載したとおり,東京都環境影響評価条例に基づいて本件各環境影響評価が行われたところ,その手続に特段の瑕疵があることをうかがわせる証拠はない。 さらに,5(3)で述べたところによれば,本件各環境影響評価及び本件各環境影響照査の内容は,本件事業認定に当たりおよそしんしゃくし得ない程度に不合理であるとはいえない。 以上によれば,原告らの上記主張を採用することはできない。 (2) 次に,原告らは,本件事業認定に当たって再度の環境影響評価を行い,環境保全の措置についても新たに検討すべきであった旨主張する。 - 132 -しかし,事業の認定の申請ないし事業の認定に当たり,起業者又は事業の認定をする行政庁が事業の認定の対象となった事業に係る環境影響評価を行う義務を負うとする原告らの主張がその前提を欠くものであることは,既に述べたとおりである。 次に,環境影響評価法について検討するに,まず,同法は,その施行時点で実施中の事業については,同法に基づく環境影響評価の対象としていないものと解されるところ(乙I3),本件圏央道事業等のうち本件環境影響評価1の対象となった区間については,平成5年12月に工事に着手しており,同法が施行された平成11年6月当時において施工中であったこと(乙I4)に照らし,そもそも環境影響評価法の対象事業に当たるとはいえない。また,本件圏央道事業等のうち本件環境影響評価2の対象となった区間については,事業区間が約2.5キロメートルであること(乙1,乙3の1,乙3の3,乙13の8)から,環境影響評価法の適用があるとはいえない(環境影響評価法2条2項,3項,同法施行令1条,6条,別表第1参照)。さらに,本件八王子南バイパス事業については,環境影響評価法の施行の日前に都市計画法17条1項 響評価法の適用があるとはいえない(環境影響評価法2条2項,3項,同法施行令1条,6条,別表第1参照)。さらに,本件八王子南バイパス事業については,環境影響評価法の施行の日前に都市計画法17条1項の規定による公告が行われた同法による都市計画に定められた事業については環境影響評価を行うことが求められないところ(環境影響評価法附則3条1項4号参照),第2の3(6)に記載したとおり,本件八王子南バイパス事業は,環境影響評価法の施行の日前に都市計画の案の公告が行われ,都市計画の変更の決定がされているから,環境影響評価法の対象事業に当たるとはいえない。 また,東京都環境影響評価条例について検討するに,同条例63条(平成10年改正前の東京都環境影響評価条例28条,平成14年改正前の東京都環境影響評価条例36条に相当)は,東京都環境影響評価条例62条1項の規定による変更の届出があった対象事業に係る環境影響評価の再実施を定めたものであるところ,本件各事業について同条例62条1項に掲げる事情が - 133 -あったことをうかがわせる証拠はないことから,同条例63条に定める環境影響評価の再実施が必要であるとはいえない。そして,東京都環境影響評価条例64条(平成10年改正前の東京都環境影響評価条例29条,平成14年改正前の東京都環境影響評価条例37条に相当)は,事業者が環境影響評価書の縦覧期間が満了した日から5年を経過した後に当該対象事業に係る工事に着手しようとする場合における事情変更に伴う環境影響評価の再実施を定めた規定であるところ,第3の4に記載した事実及び証拠(乙3の3,乙3の5,乙I4)によれば,①本件環境影響評価1の対象となった区間については,平成元年2月21日に環境影響評価書の縦覧期間が満了し,その後,平成5年11月8日付けで着工届が 実及び証拠(乙3の3,乙3の5,乙I4)によれば,①本件環境影響評価1の対象となった区間については,平成元年2月21日に環境影響評価書の縦覧期間が満了し,その後,平成5年11月8日付けで着工届が提出されていること,②本件環境影響評価2の対象となった区間については,平成9年2月20日に環境影響評価書の縦覧期間が満了し,その後,平成13年10月22日付けで着工届が提出されていること,③本件環境影響評価3の対象となった区間については,平成9年2月20日に環境影響評価書の縦覧期間が満了し,その後,平成13年10月22日付けで着工届が提出されていることがそれぞれ認められることから,本件各事業について東京都環境影響評価条例64条に定める環境影響評価の再実施が必要であるとはいえない。 以上によれば,起業者らには,法令上再度の環境影響評価を行う義務があるとはいえないから,再度の環境影響評価を行っていないことをもって,本件事業認定が違法となるとはいえない。 (3) 原告らは,本件各事業の施行に伴い発生する土砂の処理の方法及び搬出先を明らかにしないで事業の認定の申請をすることは違法である旨を主張する。 しかし,原告らが主張するような事項を土地収用法に基づく事業の認定の申請をする起業者に義務付ける法令上の根拠は見当たらない。したがって,原告らの上記主張を採用することはできない。 8 都市計画法違反について - 134 -(1) 原告らは,本件都市計画変更決定につき,関係住民に対する説明が不十分であり,また,東京都環境影響評価審議会から多くの改善点を指摘する答申がされていたにもかかわらず,住民らの反対を無視する形で強行されたものであったなどと主張するとともに,本件都市計画変更決定に係る八王子都市計画地方審議会の議決及びこれを前提とした東京都都市 する答申がされていたにもかかわらず,住民らの反対を無視する形で強行されたものであったなどと主張するとともに,本件都市計画変更決定に係る八王子都市計画地方審議会の議決及びこれを前提とした東京都都市計画地方審議会の議決に瑕疵があるとして,これらが本件事業認定の違法事由になると主張する。 しかし,都市計画法に基づく都市計画の決定の手続と,土地収用法に基づく事業の認定の手続は,その根拠法令,目的及び効果を異にするものである上,連続した一連の手続ということもできない。そうすると,都市計画の決定の手続の重大かつ明白な瑕疵により当該都市計画の決定が無効な場合は,上記事業の認定の要件につきその適合性の判断に影響し得るとしても,そのような場合を除き,都市計画の決定の手続の瑕疵が当然に上記の事業の認定に承継されるということはできない。したがって,原告らの上記主張はその前提を欠くというべきである。 また,都市計画法は,都道府県知事が都市計画の決定をするに当たって,①都市計画の案を作成しようとする場合において必要があると認めるときは,公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとし(16条1項),②都市計画を決定しようとするときは,あらかじめその旨を公告し,当該都市計画の案を公告の日から2週間公衆の縦覧に供しなければならず(17条1項),③その間,関係市町村の住民及び利害関係人に意見書の提出の機会を与え(17条2項),④関係市町村の意見を聴取の上,都市計画地方審議会の議を経て,都市計画の決定をすることとしている(18条1項)ところ,都市計画の案を作成しようとする場合に住民の意見を反映させるための措置を講ずるか否かは,都道府県知事の裁量にゆだねられており,その必要があると認めるときに限り,公聴会の開催等の措置を講ずるものとされて 計画の案を作成しようとする場合に住民の意見を反映させるための措置を講ずるか否かは,都道府県知事の裁量にゆだねられており,その必要があると認めるときに限り,公聴会の開催等の措置を講ずるものとされている。そして,原告らが問題があるものとして指摘する関係市 - 135 -町における説明会は,都市計画の案の作成に際して,その内容を住民等の関係者に説明し,関係者の理解,協力等を得ようとするものであって,同法16条1項の規定に基づいて行われる措置ではなく,任意に開催されるものにすぎない。したがって,説明会における説明内容等のいかんが,都市計画の決定の違法事由になると解することはできない。 さらに,同法18条1項に基づく関係市町村の意見の聴取についても,関係市町村の意見の形成に際して著しい瑕疵があり,関係市町村の意見を聴取したものとは認めることができないというような特段の事情がある場合は別論として,都道府県知事は,関係市町村の意見に必ずしも拘束されることなく都市計画の決定をすることができると解されるところ,原告らの主張は,八王子市都市計画地方審議会における本件都市計画変更決定に係る議決において,可否同数であること及び同審議会の会長が自らの決するところにより可決としたことを宣言すべきであったのに,自らを賛成に加えて賛成多数と宣言したことを問題とするものである。しかし,上記議決を可決するに当たり賛成多数としたことに瑕疵が認められるとしても,いずれにせよ上記議決の結果は可決であったものであることからすれば,その瑕疵は,関係市町村の意見を聴取したものと認めることができないというべき程度に重大なものとは解されない。したがって,原告らの主張する瑕疵をもって本件都市計画変更決定が違法であるとはいえない。 よって,原告らの上記主張を採用することはでき めることができないというべき程度に重大なものとは解されない。したがって,原告らの主張する瑕疵をもって本件都市計画変更決定が違法であるとはいえない。 よって,原告らの上記主張を採用することはできない。 9 自然公園法違反について(1) 原告らは,東京都知事が,本件圏央道事業による高尾山トンネル工事の影響について,自然公園法施行規則11条1項各号に定められた事項を十分に検討することなく,形式的に同意しており,実質的に自然公園法56条1項に違反する旨主張する。 しかし,本件圏央道事業においては,平成16年6月25日付けで相武国 - 136 -道事務所長及び日本道路公団東京建設局八王子工事事務所長(当時)から東京都知事に対して同項に基づく協議がされ,同年12月28日付けで東京都知事から異存がない旨の回答がされているところ(乙1),同項の協議に際していかなる資料の提出を求めるのか,また,提出された資料についてどのように検討をするのかといった事項は,当該行為を行う被告国の機関及び都道府県知事の判断にゆだねられており,協議の際に全く資料が提出されていなかったり,提出された資料について何らの検討も加えられなかったというような特段の事情がない限り,同項の規定に違反するということはできないものと解される。そして,証拠(甲B44,乙1)及び弁論の全趣旨によれば,相武国道事務所長及び日本道路公団東京建設局八王子工事事務所長(当時)から東京都知事に対して協議がされた際に,本件圏央道事業に係る資料が提出されており,これらの資料を踏まえて検討が行われたものと認めることができるから,原告らの上記主張を採用することはできない。 (2) また,原告らは,X47談話が自然公園内における道路建設に関する生物の多様性に関する条約8条(a)にいう確立された制度 と認めることができるから,原告らの上記主張を採用することはできない。 (2) また,原告らは,X47談話が自然公園内における道路建設に関する生物の多様性に関する条約8条(a)にいう確立された制度の一つであり,本件事業認定がこのX47談話に反する旨を主張する。 しかし,生物の多様性に関する条約8条は,生物の多様性を保全するため,「可能な限り,かつ,適当な場合」に,一定の制度を設けることや,生態系の保護等を促進すること,所要の条件整備のために努力すること等を締約国に対して求めるものであることが明らかであって,その文理に照らし,原告らが主張するような具体的な施策を採ることを義務付けているものと解することはできないし,また,原告らが主張するX47談話については,行政の運営における一般的な指針としての性格を超える法的拘束力まであるものと認めるべき根拠を見いだし難い。したがって,原告らの上記主張を採用することはできない。 第5 第3事件に係る当裁判所の判断 - 137 - 1 原告適格について(1) 権利取得裁決の取消しを求める訴えの原告適格についてア第4の1(1)で述べたとおり,行政事件訴訟法9条1項にいう処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり,当該処分を定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には,このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たり,当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は,当該処分の取消訴訟における原告適 のとする趣旨を含むと解される場合には,このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たり,当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は,当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。そして,土地収用法101条1項本文は,土地を収用するときは,権利取得裁決において定められた権利取得の時期において,起業者は,当該土地の所有権を取得し,当該土地に関するその他の権利等は消滅する旨を規定しており,同条3項は,同条1項本文の規定を同法78条又は79条の規定によって物件を収用する場合に準用している。 したがって,起業地内の土地又は当該土地にある立木等に関して所有権その他の権利を有していた者は,それらの収用に係る権利取得裁決の取消しを求める訴えの原告適格を有するというべきであり,以下,これを前提に,第3事件の各原告の原告適格について検討する。 イ(ア) 第2の3(7)ア(ア)に述べたとおり,別紙第3事件原告目録1記載の原告らは,本件各裁決がされた平成19年12月27日当時,本件土地4ないし本件土地6のうち,同目録1の「所有権東京都八王子市」欄記載の土地に関して所有権を有していたのであるから,それらについて,別紙第3事件原告目録1のうち原告X48,原告X49及び原告X50は本件裁決3及び本件裁決4のうち各権利取得裁決の,原告 - 138 -X35は本件裁決2及び本件裁決4のうち各権利取得裁決の,その余の別紙第3事件原告目録1記載の各原告のうち,「所有権東京都八王子市」欄に「α2町×××番2」と記載されたものは本件裁決3のうち権利取得裁決の,同欄に「α3町△番」と記載されたものは本件裁決4のうち権利取得裁決の各取消しを求める訴えの原告適格を有するというべきである。 (イ) 第2の3(7)ア( たものは本件裁決3のうち権利取得裁決の,同欄に「α3町△番」と記載されたものは本件裁決4のうち権利取得裁決の各取消しを求める訴えの原告適格を有するというべきである。 (イ) 第2の3(7)ア(イ)に述べたとおり,別紙第3事件原告目録2記載の原告らは,本件各裁決がされた平成19年12月27日当時,本件土地1ないし本件土地3に関して賃借権を有していたのであるから,本件裁決1のうちそれらの権利取得裁決の取消しを求める訴えの原告適格を有するというべきである。 (ウ) 第2の3(7)ア(ウ)に述べたとおり,別紙第3事件原告目録3記載の各原告のうち原告X2,原告X3,原告X4,原告X5,原告X6,原告X7,原告X8,原告X9,原告X10及び原告X11は,本件各裁決がされた平成19年12月27日当時,別紙第3事件原告目録3の「立木・物件東京都八王子市」欄に記載された本件土地1ないし本件土地3の土地にある収用の対象となった立木に関して所有権を有していたのであるから,これらの各原告は,本件裁決1のうちそれらの権利取得裁決の取消しを求める訴えの原告適格を有するというべきである。 (エ) 別紙第3事件原告目録3記載の各原告のうち「立木・物件東京都八王子市」欄に「α3町△番内立看板」と記載された各原告についてa 証拠(丙1の4・5,丙5の1・2,丙6の1・2)及び弁論の全趣旨によれば,別紙第3事件原告目録3記載の各原告のうち「立木・物件東京都八王子市」欄に「α3町△番内立看板」と記載された各原告が△番の土地にあると主張する立て看板は,本件土地7に設置さ - 139 -れているものと認められ,本件土地6には設置されていないものと認められる。したがって,上記各原告のうち別紙第3事件原告目録1の「所有権東京都八王子市」欄に「α2町××× 設置さ - 139 -れているものと認められ,本件土地6には設置されていないものと認められる。したがって,上記各原告のうち別紙第3事件原告目録1の「所有権東京都八王子市」欄に「α2町×××番2」と記載された各原告(ただし,第3事件原告X48,第3事件原告X49及び第3事件原告X50を除く。)については,上記立て看板の存在を根拠に本件裁決4により財産上の権利を失う者であるということはできず,他に,これらの各原告が本件土地6に関して所有権その他の権利を有していたことを認めるに足りる証拠はないから,本件裁決4のうちその権利取得裁決の取消しを求める訴えの原告適格を有しない。 b また,証拠(丙1の5,丙6の1・2)及び弁論の全趣旨によれば,本件裁決5の対象となった本件土地7は,平成19年12月27日当時,被告東京都が所有していたものであるとともに,別紙第3事件原告目録3記載の各原告のうち「立木・物件東京都八王子市」欄に「α3町△番内立看板」と記載された各原告は,本件土地7にある物件に関して権利を有するというにとどまり,本件土地7の収用に係る権利取得裁決の名あて人となる者とはいえず,本件裁決5のうち権利取得裁決においても名あて人とはされていないものと認められる。そして,他に,上記の各原告が本件土地7に関して所有権その他の権利を有していたことを認めるに足りる証拠はない。したがって,上記の各原告は,本件裁決5のうちその権利取得裁決により財産上の権利を失う者ではないから,それの取消しを求める訴えの原告適格を有しないものというべきである。 (2) 明渡裁決の取消しを求める訴えについてア明渡裁決があったときは,当該土地又は当該土地にある物件を占有している者は,明渡裁決において定められた明渡しの期限までに,起業者に当該土地若しくは (2) 明渡裁決の取消しを求める訴えについてア明渡裁決があったときは,当該土地又は当該土地にある物件を占有している者は,明渡裁決において定められた明渡しの期限までに,起業者に当該土地若しくは当該物件を引き渡し,又は当該物件を移転しなければなら - 140 -ない義務を負うところ(土地収用法102条),明渡裁決の取消しを求める原告適格を有する者は,当該裁決の対象となった土地又は当該土地にある物件を占有している者と解すべきである。そして,明渡裁決の対象となる土地の明渡し等が完了した場合は,同裁決は既に目的を達して所有者等が同裁決により負担していた義務は消滅し,もはやそれらの者が同裁決により何らかの義務を負い,これを強制されるという関係はなく,明渡裁決の取消しを求める訴えの利益は消滅するというべきであって,本件において,これと異なって解すべき事情は見当たらない。 イそして,証拠(丙1の1ないし5)及び弁論の全趣旨によれば,本件土地1ないし本件土地7の明渡し等はいずれも終了しているものと認められるから,原告らには,本件各明渡裁決の取消しを求める訴えの利益はないといわなければならない。 2 本件事業認定の違法性の承継の有無について第4に述べたとおり,本件事業認定に違法があるとは認められないから,本件事業認定の違法を本件各裁決の違法の理由として主張することができるか否かについて検討するまでもなく,本件事業認定の違法を理由として本件各裁決が違法であるとする原告らの主張を採用することはできない。 3 本件各裁決の手続に係る違法性の有無について(1) 東京都収用委員会の会長及び会長代理の経歴等について土地収用法52条3項は,収用委員会の委員及び予備委員は,法律,経済又は行政に関して優れた経験と知識を有し,公共の福祉に関し公正 いて(1) 東京都収用委員会の会長及び会長代理の経歴等について土地収用法52条3項は,収用委員会の委員及び予備委員は,法律,経済又は行政に関して優れた経験と知識を有し,公共の福祉に関し公正な判断をすることができる者のうちから,都道府県の議会の同意を得て,都道府県知事が任命する旨を定めるところ,その趣旨は,収用委員会が公共の利益の増進と私有財産との調整を図るという公共の福祉に係る目的を実現し,かつ,私有財産に重要な制限を加える準司法的行政処分をするところから,公正かつ妥当な判断を行うことのできる者を委員に任命する趣旨を明らかにしたも - 141 -のと解される。また,同条4項は,収用委員会の委員及び予備委員は,地方公共団体の議会の議員又は地方公共団体の長若しくは常勤の職員若しくは地方公務員法28条の5第1項に規定する短時間勤務の職を占める職員と兼ねることができない旨を定めるところ,その趣旨は,収用委員会の委員及び予備委員が公正かつ中立の立場で職務を遂行することを担保するため,地方公共団体における一定の地位にあってこれや起業者等と相応の利害関係のある可能性がある者等の就任を禁止しているものと解される。 以上を前提に本件について検討するに,本件審理を担当した東京都収用委員会の会長であるX26及び会長代理であったX27は,第3の13に記載したような経歴等を有するものの,これのみをもって,両名が土地収用法52条3項に定める者に該当せず,その任命が違法であるということはできず,他に,両名が同項に定める者に該当しないことをうかがわせる証拠はない。 また,両名が同法52条4項に該当する者であることをうかがわせる証拠はない。 よって,X26及びX27が収用委員会の委員に任命され,本件各裁決の審理に関与したことをもって,本件各裁決が違 ない。 また,両名が同法52条4項に該当する者であることをうかがわせる証拠はない。 よって,X26及びX27が収用委員会の委員に任命され,本件各裁決の審理に関与したことをもって,本件各裁決が違法であるということはできないから,この点に関する原告らの主張を採用することはできない。 (2) 審理の期日等の指定の当否について原告らは,本件審理に当たり,東京都収用委員会が本件権利者らないしその代理人と事前に協議するなどした上で期日を指定しなかったとして,本件審理に違法がある旨を主張する。しかし,審理の期日等の指定は,収用委員会がその権限と職責においてすべきこと(土地収用法46条2項)であり,その際に権利者又は関係人と日程を協議するべきこと等を定めた法令の規定は見当たらない。したがって,収用委員会において権利者又は関係人が現実には立ち会うことのできないような日時を殊更に指定したなどの特段の事情があれば格別,収用委員会が権利者及び関係人と協議をすることなく審理の - 142 -期日等を指定しても,これをもって違法ということはできない。そして,本件においては上記特段の事情があったことをうかがわせる証拠はないから,東京都収用委員会の審理の期日等の指定に違法があったということはできない。 (3) 本件審理の期日における審理の指揮及び本件審理の終了の当否についてアまず,原告らは,東京都収用委員会において審理の期日及び時間を一方的に指定したことを問題とするが,(2)に述べたとおり,審理の期日等の指定は収用委員会がその権限及び職責においてすべきことであるから,これをもって本件審理が違法であるということはできない。そして,第3の14(2)に記載した事実によれば,東京都収用委員会は,期日の指定に当たっては予備日を準備するなど出席を希望する本 とであるから,これをもって本件審理が違法であるということはできない。そして,第3の14(2)に記載した事実によれば,東京都収用委員会は,期日の指定に当たっては予備日を準備するなど出席を希望する本件権利者らに一定の配慮をした事実も認められる。 また,第3の14(2)に記載した事実によれば,本件審理の期日は5回実施されたところ,当初2回の期日については本件権利者らの多くが居住するものと推認される八王子市内でされるなど出席を予定する者にも一定の配慮がされるとともに,各回少なくとも3時間以上の審理が行われ,上記5回の期日のうち4回は本件権利者ら及び弁護士代理人からの意見の聴取に充てられたことや,審理において意見を述べた者らに対し,更に陳述することを希望する意見がある場合には意見書を提出するように促していることなどを併せ考慮すれば,審理に充てられた時間や審理の指揮の在り方等に直ちに問題があったということはできない。 そして,他に,審理の期日における審理の指揮の在り方及び本件審理の終了に関し,土地収用法の規定に反する事由があったことをうかがわせる証拠はないから,これらをもって本件審理に違法があったということはできない。 イ他方,原告らは,本件審理の期日において,一方的に時間の制限をする - 143 -などして,発言を求める者に十分な発言をさせないような審理の指揮がされた旨主張する。しかし,収用委員会の審理は会長又は指名委員が指揮するものとされている(土地収用法64条1項)とともに,会長又は指名委員は,起業者,土地所有者及び関係人が述べる意見,申立て,審問その他の行為が既に述べた意見又は申立てと重複するとき,裁決の申請に係る事件と関係がない事項にわたるときその他相当でないと認めるときは,これを制限することができる旨が定められてい 意見,申立て,審問その他の行為が既に述べた意見又は申立てと重複するとき,裁決の申請に係る事件と関係がない事項にわたるときその他相当でないと認めるときは,これを制限することができる旨が定められている(同条2項)ことや,すべての権利者ら及びその代理人に時間の制限なく審理における発言の機会を保障することは同法の想定するところではないと解されること(同法65条の2参照)などからすれば,審理の指揮については収用委員会の会長等の合理的な裁量にゆだねられていると解するべきであるところ,第3の14(2)に記載した事実及びその他の証拠によっても,東京都収用委員会の会長であるX26が本件審理の指揮において上記裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したとまではうかがわれない。 また,原告らは,本件審理において議論の主題自体が不当に制限された旨主張するが,第3の14(2)に記載した事実及びその他の証拠によっても,そのような事実をうかがうことはできない。むしろ,原告らが問題とするX26及びX27の経歴等については,これが同法63条等に定める審理の議題とすべき事項であるとは直ちには解されないし,本件審理において本件権利者ら及び弁護士代理人が再三にわたってこれを問題とし両名の辞任を求める趣旨の発言をする一方,X26においては同法52条の趣旨を説明するなどして辞任には応じない旨の説明を繰り返しているのであるから,このことをもって,原告らの主張するように釈明の拒絶ないし審理の制限がされたということもできない。 4 本件各裁決の内容に関する違法性について(1) 原告らは,本件裁決3及び本件裁決4に関し,旧×××番の土地及び△番 - 144 -の土地の境界が確定されていないなどと主張して,これにより,本件裁決3及び本件裁決4に違法がある旨を主張する。 (2 は,本件裁決3及び本件裁決4に関し,旧×××番の土地及び△番 - 144 -の土地の境界が確定されていないなどと主張して,これにより,本件裁決3及び本件裁決4に違法がある旨を主張する。 (2)ア収用委員会は,権利取得裁決において収用する土地の区域について裁決しなければならず(土地収用法48条1項1号),その際には,収用する土地の区域を明確に特定しなければならないと解されるところ,その特定の方法として,土地の所在,地番,地目及び地積等を表示するのが一般的であるが,必ずこのような方法によるべきものとする法令の規定は見当たらず,収用する土地の区域を実測図面により特定し,これを裁決書に添付する方法によるのであっても,その区域が客観的に明確になるものであれば,特定として欠けるところはないというべきである。 イ本件においては,第3の14(4)に記載したとおり,本件土地1ないし本件土地5及び本件土地7については,土地の所在,地番,地目及び地積により土地の区域を特定するとともに,本件土地6については収用する土地の区域を実測図面により表示しているところ,まず,本件土地1ないし本件土地4及び本件土地7については,分筆前の旧×番4の土地,旧×番7の土地,旧××番の土地及び△△△番6の土地について,従前の土地所有者の立会いを得るなどしてその境界が確認されていることなどに照らし,その特定に欠けるところはないというべきである。 次に,本件土地5については,第3の14(4)ウに記載した旧×××番の土地の特定方法には特段不合理な点は見当たらないことに加え,原告ら自身が本件土地5のほぼすべての部分が旧×××番の土地に属する旨主張していることをも勘案すれば,その特定に欠けるというところはないというべきである。 また,本件土地6については,第3の14( ら自身が本件土地5のほぼすべての部分が旧×××番の土地に属する旨主張していることをも勘案すれば,その特定に欠けるというところはないというべきである。 また,本件土地6については,第3の14(4)エに記載した△番の土地の特定方法には特段不合理な点は見当たらないことに加え,原告ら自身が本件土地6は△番の土地に属する旨主張していることをも勘案すれば,その - 145 -特定に欠けるというところはないというべきである。 よって,本件各裁決において,収用する土地の区域の特定に欠けるところはないというべきである。 (3)ア次に,収用委員会は,権利取得裁決において損失補償金を受けるべき土地所有者又は関係人の氏名又は住所を明らかにして裁決しなければならないとされていること(土地収用法48条1項2号,4項本文)等からすると,収用等の対象となる土地等の権利関係について審理及び判断することが前提とされているといえる。 しかし,土地等の収用等は公共の利益となる事業を施行するために円滑かつ確実に起業者に必要な土地等を取得させるための制度であって,収用委員会が上記の審理及び判断をするのは,損失補償金を受けるべき土地所有者又は関係人を特定するためであり,私法上の権利関係をめぐる紛争を終局的に解決するためであるとは解されない。また,収用の対象となる土地について権利取得裁決及び明渡裁決までにその境界を確定すべき旨を求める法令の定めはない。そして,同法48条4項ただし書及び49条2項が,損失補償金を受けるべき土地所有者又は関係人の氏名又は住所を確知することができない場合について定めていることも勘案すれば,収用委員会は,収用等の対象となる土地等について権利関係の争いがあった場合には,その権限と職責の範囲内で,事実関係の把握に努め,法律判断を行うベき ができない場合について定めていることも勘案すれば,収用委員会は,収用等の対象となる土地等について権利関係の争いがあった場合には,その権限と職責の範囲内で,事実関係の把握に努め,法律判断を行うベきである一方で,裁決における所有権の帰属等の権利関係の認定は,訴訟によって権利の確定を図る場合に比して簡易なもので足り,収用等の対象となる土地の境界が必ず確定されていなければ権利取得裁決及び明渡裁決をすることができないとはいえないと解される。そして,収用委員会は,権利関係の紛争について判断をすることができない場合には,同法48条4項ただし書及び49条2項に基づいて,損失補償金を受けるべき土地所有者又は関係人の氏名又は住所を確知することができないとして,その氏 - 146 -名等を不明とするいわゆる不明裁決をすることができるというべきである。 そこで,上記を前提に,原告らが問題とする本件裁決3及び本件裁決4について検討を加える。 イ本件裁決3について第3の14(4)に記載した事実に加え,証拠(甲A15,甲J10,甲J38(枝番を含む。),丙1の3,丙14の2の3,原告X31本人,原告X51本人)及び弁論の全趣旨によれば,旧×××番の土地については,隣接する土地の所有者との間で境界の確認等がされておらず,その境界に争いがある事実が認められる。 しかし,アに述べたとおり,旧×××番の土地の境界が確定されない限りは法令上本件土地5に係る権利取得裁決及び明渡裁決をすることが許されないというものではないから,旧×××番の土地の境界に争いがあることのみをもって,本件裁決3に違法があるということはできない。 なお,付言するに,本件裁決3においては,不明裁決はされておらず,旧×××番の土地の共有者が本件土地5の共有者であるとして土地に対す とのみをもって,本件裁決3に違法があるということはできない。 なお,付言するに,本件裁決3においては,不明裁決はされておらず,旧×××番の土地の共有者が本件土地5の共有者であるとして土地に対する損失の補償をする旨の裁決がされているところ,本件土地5のうち,旧×××番の土地の北側に存する被告国所有に係る水路の一部である旨原告らが主張する部分を除き,本件土地5が旧×××番の土地に属することは当事者間に争いがないところである。そして,仮に,原告らの主張するように,本件土地5の一部に上記被告国が所有する水路が含まれるとしても,これをもって,原告らとの関係で本件裁決3が違法であるということはできない。 ウ本件裁決4について第3の14(4)に記載したとおり,本件裁決4においては,△番の土地の境界に争いがあるとして不明裁決がされているところ,第3の14(4)に記載した事実によれば,東京都収用委員会は,現地調査及び八王子登記所に - 147 -おける調査等により事実関係の把握をした上で,△番の土地については地積測量図が存在しないものの,周辺の土地の地積測量図と△番の土地につき表示がある公図とを対照するなどした上,△番の土地が存し得る範囲について特定した上で,△番の土地の境界は不明としたものであり,その検討の内容等については合理的なものということができる。そして,以上の事情を踏まえて本件土地6の所有者等が不明であるとして権利取得裁決及び明渡裁決をした本件裁決6に違法があるということはできない。 エ以上のように,旧×××番の土地及び△番の土地の境界が確定されていないとしても,そのような事情を踏まえてされた本件裁決3及び本件裁決4につき直ちに違法があるということはできない。そして,上記の事情を前提に,これらに係る境界の確認に関す の土地の境界が確定されていないとしても,そのような事情を踏まえてされた本件裁決3及び本件裁決4につき直ちに違法があるということはできない。そして,上記の事情を前提に,これらに係る境界の確認に関する手続等の違法をいう原告らのその他の主張についても,いずれも採用することができないというべきである。 5 立木の取得価格について(1) 原告らは,その所有する立木の取得価格及び補償金額が0円とされていることをもって,本件裁決1,本件裁決3及び本件裁決4が違法である旨を主張するところ,かかる主張は,仮にその論拠が評価方法と評価の過程等にあるとしても,要するに,損失の補償についての違法を述べるものであるといわざるを得ない。 ところで,土地収用法は,収用委員会の裁決に関する訴えについて規定するところ,収用委員会の裁決のうち損失の補償に関する訴えについては,特に出訴期間及び被告適格に関する定めを置いており(133条2項及び3項),これは,収用等に伴う損失の補償に関する争いは収用等そのものの適否にかかわりなく起業者と土地所有者等との間で早期に解決させるのが適当であるとの趣旨に基づくものと解され,収用委員会の裁決についての審査請求においては損失の補償についての不服をその裁決についての不服の理由とするこ - 148 -とができないとされていること(132条2項)をも併せ考慮すると,収用等の裁決の取消訴訟においては,裁決事項のうち損失の補償についての違法を当該収用等の裁決自体の取消事由として主張することはできないというべきである。 したがって,損失の補償についての違法を述べる原告らの主張は,その余の点を判断するまでもなく,失当である。 (2) なお,付言するに,第3の14(4)に記載したとおり,本件裁決1,本件裁決3及び本件裁決4において の補償についての違法を述べる原告らの主張は,その余の点を判断するまでもなく,失当である。 (2) なお,付言するに,第3の14(4)に記載したとおり,本件裁決1,本件裁決3及び本件裁決4においては,立木の取得価格について,立木の市場価格から伐採及び搬出に係る費用等を差し引いた額により見積もったところ市場価格を伐採及び搬出に係る費用等が上回るとして取得価格を0円とした起業者の見積りと同一の額が算定されていることは,上記各裁決の裁決書から明らかであるから,立木の取得価格及び補償金額をいずれも0円とした根拠が示されていないということはできない。 第6 結論以上によれば,①第1事件及び第2事件の訴えのうち,第4原告ら及び第5原告らに係る部分,②第3事件の訴えのうち,イ)別紙第3事件原告目録2記載の各原告並びに別紙第3事件原告目録3記載の各原告のうち原告X2,原告X3,原告X4,原告X5,原告X6,原告X7,原告X8,原告X9,原告X10及び原告X11に係る本件裁決1の取消しを求める訴えのうち明渡裁決の取消しを求める部分,ロ)原告X48,原告X49及び原告X50に係る本件裁決3及び本件裁決4の各取消しを求める訴えのうち明渡裁決の取消しを求める部分,ハ)原告X35に係る本件裁決2及び本件裁決4の各取消しを求める訴えのうち明渡裁決の取消しを求める部分,ニ)別紙第3事件原告目録1記載の各原告(ただし,原告X48,原告X49,原告X50及び原告X35を除く。)のうち,同目録「所有権東京都八王子市」欄に「α2町×××番2」と記載された各原告については本件裁決3の,同欄に「α3町△番」と記載さ - 149 -れた原告については本件裁決4の各取消しを求める訴えのうち明渡裁決の取消しを求める部分,ホ)別紙第3事件原告目録1の各原告のうち同目録「 本件裁決3の,同欄に「α3町△番」と記載さ - 149 -れた原告については本件裁決4の各取消しを求める訴えのうち明渡裁決の取消しを求める部分,ホ)別紙第3事件原告目録1の各原告のうち同目録「所有権東京都八王子市」欄に「α2町×××番2」と記載された各原告(ただし,原告X48,原告X49及び原告X50を除く。)に係る本件裁決4の取消しを求める訴え,ヘ)別紙第3事件原告目録3記載の各原告のうち,同目録「立木・物件東京都八王子市」欄に「α3町△番内立看板」と記載された各原告に係る本件裁決5の取消しを求める訴えはいずれも不適法であるから却下することとし,その余の部分に係る原告らの請求はいずれも理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担について,行政事件訴訟法7条並びに民事訴訟法61条及び65条1項本文を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部 裁判長裁判官八 木 一 洋 裁判官中 島 朋 宏 裁判官衣斐瑞穂は,転補につき署名押印をすることができない。 裁判長裁判官八 木 一 洋 - 150 -(別紙)当事者の主張第1 第1事件及び第2事件 1 被告国の主張(1) 第4原告ら及び第5原告らの当事者能力及び原告適格ア第4原告らは,本件起業地内の不動産や立木等につき権利を有しない八王子市等に居住する者である。また,第5原告らは,本件起業地内の不動産や立木等につき権利を有しない自然保護団体である。 イ処分の相手方以外の第三者の法律上の利益の有無を判断するに当たっては,当該処分の根拠となる法令の規定が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の 木等につき権利を有しない自然保護団体である。 イ処分の相手方以外の第三者の法律上の利益の有無を判断するに当たっては,当該処分の根拠となる法令の規定が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むものか否かを検討すべきである。その場合,規定の文言のみによる解釈を行うことは厳に慎まなければならないものの,個別の行政実体法を解釈するに当たり,立法者の意思に基づいて定められた法文の文理を重視すべきであり,また,当該法令の趣旨及び目的を判断する上でも,下位法令を含めて根拠法令の規定の文言が重視されるべきである。そして,本件において,第4原告ら及び第5原告らに本件事業認定の取消しを求める法律上の利益があるか否か,すなわち,土地収用法が,第4原告ら及び第5原告らが主張する上記不利益の前提をなす自然環境の悪化を受けないという利益を,一般的公益の中に吸収解消させるにとどめずに第4原告ら及び第5原告ら個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むものか否かは,本件事業認定の根拠となった土地収用法の文言,土地収用法の趣旨及び目的を考慮して判断すべきである。 ウ(ア) 土地収用法は,公共の利益となる事業に必要な土地等の収用又は使用に関し,その要件,手続及び効果並びにこれに伴う損失の補償等に - 151 -ついて規定し,公共の利益の増進と私有財産との調整を図り,もって国土の適正かつ合理的な利用に寄与することを目的とする(1条)ところ,土地収用法の趣旨及び目的は,公共の利益と私有財産との調整,収用又は使用に係る土地等の所有者や当該土地等の関係人との利害を調整することであり,かかる同法の趣旨及び目的からすると,保護すべき個々人の個別 収用法の趣旨及び目的は,公共の利益と私有財産との調整,収用又は使用に係る土地等の所有者や当該土地等の関係人との利害を調整することであり,かかる同法の趣旨及び目的からすると,保護すべき個々人の個別的利益として,当該事業の対象となる起業地周辺住民及び自然保護団体の環境上の利益を含んでいると解することはできない。 (イ) 土地収用法20条3号は,事業計画が土地の適正かつ合理的な利用に寄与することを事業認定の要件として定めるところ,これは,土地が適正かつ合理的に利用されることになるか否かという点について,専ら国民経済的,専門技術的な観点に立って,当該土地がその事業の用に供されることによって得られるべき公共の利益と,当該土地がその事業の用に供されることによって失われる私的利益ないし公共の利益とを比較衡量することによって判断すべき義務を行政庁に課したにとどまるものであって,同号が起業地の周辺住民及び自然保護団体の環境上の利益を個別,具体的に保護する趣旨を含むものと解することはできない。 なお,環境に係る利益については,土地収用法20条3号適合性の判断,すなわち,事業計画が国土全体の土地利用の観点からみて適正かつ合理的であるか否かの判断に当たり,比較衡量の対象とされる,得られるべき利益又は失われるべき利益のうちの一つとして考慮され得るものではあるが,土地収用法には,都市計画法と異なり,事業計画が公害防止計画に合致していることを要求する規定はなく,また,そのほかにも環境に係る利益等について具体的に定めた規定はない。 そのため,環境に係る利益が,土地収用法20条3号適合性の判断に - 152 -おいて比較衡量の一要素として考慮される結果として保護されることがあったとしても,それは飽くまでも,事業計画全体の合理性を基礎付ける多数の得られる 収用法20条3号適合性の判断に - 152 -おいて比較衡量の一要素として考慮される結果として保護されることがあったとしても,それは飽くまでも,事業計画全体の合理性を基礎付ける多数の得られるべき利益又は失われるべき利益の一つにすぎない。したがって,環境に係る利益の保護は,個々の事業計画ごとに判断される相対的で抽象的な内容ないし性質のものにとどまり,その規制の中に,都市計画法におけるような個人の健康や生活環境に係る具体的利益保護の趣旨を見いだすことはできない。 (ウ) 土地収用法上の事業認定が告示されると,起業地について明らかに事業に支障を及ぼすような形質の変更を行うことが制限され(同法28条の3),起業者は,同法の手続により土地の収用,使用をすることができ(同法35条以下),そのために起業者に対し,起業地内の土地調書,物件調書作成のための立入調査権(同法35条1項),裁決申請権(同法39条1項)といった権限が与えられている。これらの規定によれば,起業地内の土地等について権利を有する者は,事業認定の取消しを求める法律上の利益を有するということができるが,起業地内の土地等について権利を有しない者は,事業認定によりその権利を侵害される立場にはない。また,土地収用法28条の2は,土地所有者及び関係人が受けることができる補償その他国土交通省令で定める事項について,土地所有者及び関係人に周知させるため必要な措置を講じなければならない旨を定めているにすぎず,そもそも周辺住民はその対象とされていないことからも,土地収用法が周辺住民の個別具体的利益を保護する趣旨を含むものでないといえる。 (エ) 土地収用法には,事業認定に当たって利害関係人への配慮を目的とした規定が設けられているが,次に述べるとおり,事業認定に係る手続規定は,多くの人々の を保護する趣旨を含むものでないといえる。 (エ) 土地収用法には,事業認定に当たって利害関係人への配慮を目的とした規定が設けられているが,次に述べるとおり,事業認定に係る手続規定は,多くの人々の意見を参考とし,できる限り公正妥当な事業認定が行われるための公益目的の規定と解すべきであって,これをも - 153 -って,起業地の周辺住民及び自然保護団体の環境上の利益を個別,具体的に保護する趣旨を含むものと解することはできない。 a 土地収用法23条は,事業認定機関は,事業認定に関する処分を行おうとする場合において利害関係人からの請求があったときその他必要があると認めるときに公聴会を開いて一般の意見を求めなければならない旨規定しているところ,事業の施行による影響が広範囲に及ぶものなどについては,同法20条の要件,特に同条3号の要件の認定をするに当たり,困難かつ微妙な価値判断が必要になる場合があるために設けられた規定である。このような場合には,比較衡量の基準として,社会に支配的な価値判断を探求する必要があることから,事業認定機関が考慮すべき要素としてどのようなものがあり,それぞれの価値にどの程度の重みを与えるのかといった判断に供するべく,十分な情報を収集することを目的に公聴会を開催するものである。 したがって,土地収用法23条による公聴会は,利益の比較衡量に必要な情報の収集を目的とするものであって,同法が周辺住民等の環境上の利益の保護を目的とするような規定を設けていないことに照らしても,起業地の周辺住民等の個々の健康や生活環境に係る具体的な利益を保護するものではない。 b 土地収用法25条は,事業認定に関する処分を行おうとする場合においてその公告があったときは,事業の認定について利害関係を有する者は,都道府県知事に意見書 具体的な利益を保護するものではない。 b 土地収用法25条は,事業認定に関する処分を行おうとする場合においてその公告があったときは,事業の認定について利害関係を有する者は,都道府県知事に意見書を提出することができる旨規定するところ,同条にいう「利害関係を有する者」とは,起業地周辺の住民で,事業の恩恵に浴する者や事業により環境面での影響を受ける者も含まれるものの,同条による意見の収集は,飽くまで事業認定機関が事業認定に関する処分をするに当たって,広く一般から - 154 -の意見を求めることにより,公正妥当な判断をするための資料を得ることを趣旨とするものである。したがって,この意見書の提出についても,利益の比較衡量に必要な情報の収集を目的とするものであり,起業地の周辺住民等の個々の健康や生活環境に係る具体的な利益を保護するためその意向を事業に反映させるためのものではない。 (オ) 原告らが取消しを求めているのは,土地収用法に基づく本件事業認定であるところ,本件各事業に係る事業認定申請に先立って,東京都環境影響評価条例に基づく環境影響評価を行うことは義務付けられていない。東京都環境影響評価条例に基づく環境影響評価は,都市計画法に基づく都市計画決定手続に合わせて行われるものであって,土地収用法に基づく事業認定とは無関係である。また,起業者らは,本件各事業に係る事業認定申請に当たって,本件各環境影響評価以降に得られた新たな知見に基づき,本件各事業の施行が環境に及ぼす影響について補足的に照査を行っているが,これは,上記条例によって義務付けられた事後調査等ではなく,その結果は,土地収用法に基づく事業認定を受けるに当たり参考資料として起業者らから提出されたものにすぎない。上記条例は,原告らが取消しを求める本件事業認定の根拠法令であ けられた事後調査等ではなく,その結果は,土地収用法に基づく事業認定を受けるに当たり参考資料として起業者らから提出されたものにすぎない。上記条例は,原告らが取消しを求める本件事業認定の根拠法令である土地収用法と目的を共通にする関係法令であるということはできない。 エ以上によれば,土地収用法は,起業地の周辺住民等の個々の健康や生活環境に係る利益を保護することを趣旨及び目的としているとは解されず,本件起業地内の不動産について権利を有しない第4原告ら及び第5原告らには,本件事業認定の取消しを求める法律上の利益はなく,本件訴訟における原告適格はないというべきである。また,第5原告らは自然保護団体にすぎないのであるから,そもそも健康や生活環境に係る具体的利益を有 - 155 -するとはいえず,この点からも,本件事業認定の取消しを求める法律上の利益はない。 (2) 本件事業認定により原告らに生ずる重大な損害についての反論ア高尾山トンネルによる高尾山の地下水への影響について(ア) 起業者らは,高尾山トンネルがX70国定公園の下を通過することから,地質調査及び水文調査を実施するとともに,学識経験者等から構成されるトンネル技術検討委員会(以下「技術検討委員会」という。)を設置し,止水対策を始めとしたトンネル施工方法全般にわたる検討を行い,技術検討委員会の指導,助言を仰ぎながら,慎重に工事を進めることとした。そして,起業者らは,技術検討委員会の助言に従い,高尾山トンネルについては,高尾山の水環境を保全するため,施工中に比較的地山の緩みが生じることが想定される約500メートルの区間については,覆工止水構造が完成する前のトンネル掘削時には,ゆう水に対する止水を目的として,先進導坑(シールド掘削)掘削後,トンネル周辺の地山を,超微粒子セメン とが想定される約500メートルの区間については,覆工止水構造が完成する前のトンネル掘削時には,ゆう水に対する止水を目的として,先進導坑(シールド掘削)掘削後,トンネル周辺の地山を,超微粒子セメントによる止水注入を行い,水を通しにくい地山とした上で,覆工コンクリートと地山との間に防水シートを施工し,トンネル内に地下水を引き込まない防水構造である覆工止水構造とすることとした。 国土交通大臣は,上記の点を踏まえ,当該トンネル掘削による地下水の変動が土壌水分に全く影響を与えないと断言することは困難であるものの,上記のとおり,起業者らが水環境の影響を最小限にすべく,技術検討委員会の助言を踏まえて高尾山トンネルの一部を覆工止水構造とする等適切な措置を講じることとしており,引き続き技術検討委員会の助言を受けて工事を進めることとしていたことから,本件事業認定に当たって,本件各事業が高尾山の地下水及び表流水に与える影響は軽微であって,したがって動植物等の環境に与える影響について - 156 -も軽微であると判断したものであり,この判断は合理的である。 なお,原告らが指摘するα18滝については,α20沢とトンネルの交差部より上流に位置しており,その集水域も広いこと,また,α19滝については,その集水域がトンネルルートと大きく離れていることから,両者に対する高尾山トンネル工事の影響は少ないものと考えられる。 (イ) 原告らが指摘するα13城跡トンネル工事等による影響については,本件事業認定の対象となった区間外の事情であり,本件事業認定の適法性とは関係のない事項である。ただし,本件事業認定に係る申請書の縦覧期間中に上記の点に係る意見書の提出があったことから,本件事業認定に当たって,意見書の内容についても慎重に確認し,工事現場周辺の地下水位 関係のない事項である。ただし,本件事業認定に係る申請書の縦覧期間中に上記の点に係る意見書の提出があったことから,本件事業認定に当たって,意見書の内容についても慎重に確認し,工事現場周辺の地下水位を観測するための観測孔2の水位低下や八王子市α15町α16地区における井戸枯れ,α13城跡トンネルの北側に位置する圏央道α32トンネル(現在の名称はα35トンネル。以下「α32トンネル」という。)の工事の際の沢の水枯れ及びα13城跡にあるα17滝の水枯れ等について調査,検討を加えた上で,本件各事業が高尾山の地下水及び表流水に与える影響は軽微であると判断したものであって,この判断は合理的なものというべきである。 イ本件各事業に係る環境影響評価について(ア) 本件圏央道事業等に係る環境影響評価本件圏央道事業等は,環境影響評価法等に基づく環境影響評価の実施対象外の事業であるが,都市計画決定権者である神奈川県知事及び東京都知事により,神奈川県環境影響評価条例,東京都環境影響評価条例及び「建設省所管事業に係る環境影響評価の実施について」(昭和60年4月建設省経環発第10号建設事務次官通知)に基づき,環境影響評価の手続がなされている。そのうち,本件事業認定の対象と - 157 -なった区間については,圏央道(一般国道20号から埼玉県境間)建設事業及び圏央道(神奈川県境から一般国道20号間)建設事業について,それぞれ,東京都環境影響評価条例等に基づき,昭和63年12月に本件環境影響評価1が,平成8年12月に本件環境影響評価2が行われている。 本件環境影響評価1及び本件環境影響評価2では,地域の概況と事業の内容を考慮して,「大気汚染,水質汚濁,騒音,振動,低周波空気振動,日照阻害,電波障害,植物・動物(陸上植物,陸上動物,水生生物), 本件環境影響評価1及び本件環境影響評価2では,地域の概況と事業の内容を考慮して,「大気汚染,水質汚濁,騒音,振動,低周波空気振動,日照阻害,電波障害,植物・動物(陸上植物,陸上動物,水生生物),地形・地質,史跡・文化財,景観」の11項目が予測,評価項目として選定され,各項目ごとに現況調査が行われ,本件圏央道事業等の施行が環境に及ぼす影響について予測,評価がされた。また,予測,評価の対象時点を「工事の施工中」と「工事の完了後」に区分し,「工事の施工中」においては,工事そのものに起因する工事中の環境への影響について,「工事の完了後」においては,「施設の存在」又は「施設の供用」に起因する環境への影響について,それぞれ予測,評価された。 その結果は,適切な環境保全のための措置を講じることにより,環境基準等を満足するものと評価されるものであった。 (イ) 本件八王子南バイパス事業に係る環境影響評価について本件八王子南バイパス事業は,環境影響評価法等に基づく環境影響評価の実施対象外の事業であるが,都市計画決定手続において,都市計画決定権者である東京都知事により,東京都環境影響評価条例等に基づき,平成8年12月に本件環境影響評価3が行われている。 本件環境影響評価3では,地域の概況と事業の内容を考慮して,「大気汚染,水質汚濁,騒音,振動,低周波空気振動,日照阻害,電波障害,植物・動物(陸上植物,陸上動物,水生生物),地形・地質, - 158 -史跡・文化財,景観」の11項目が予測,評価項目として選定され,各項目ごとに現況調査が行われ,本件八王子南バイパス事業の施行が環境に及ぼす影響について予測,評価がされた。また,予測,評価の対象時点を「工事の施工中」と「工事の完了後」に区分し,「工事の施工中」においては,工事そのものに起因す 件八王子南バイパス事業の施行が環境に及ぼす影響について予測,評価がされた。また,予測,評価の対象時点を「工事の施工中」と「工事の完了後」に区分し,「工事の施工中」においては,工事そのものに起因する工事中の環境への影響について,「工事の完了後」においては,「施設の存在」又は「施設の供用」に起因する環境への影響について,それぞれ予測,評価がされた。 その結果は,適切な環境保全のための措置を講じることにより,環境基準等を満足するものと評価されたものであった。 (ウ) 計画交通量の見直しに伴う環境影響評価の照査起業者らは,本件各事業に係る事業認定申請に当たって,圏央道及び八王子南バイパスに係る事業の完成の時期を見直したことから,当該見直しを踏まえて,事業認定申請時の最新のデータである建設省(当時)が平成11年度に全国的規模で実施した一般交通量調査及び自動車起終点調査等に基づき,将来交通量の推計手法として一般的に用いられている,①発生集中交通量の推計,②分布交通量の推計,③路線配分の順序で行う方法により,平成42年を推計年次とする圏央道及び八王子南バイパスの計画交通量を算出した。 そして,起業者らが計画交通量を見直した結果,本件各環境影響評価の基礎となった計画交通量(推計年次は平成12年及び平成22年)と比べて本件各事業区間の計画交通量が増加していることなどから,平成42年の計画交通量を基礎として,本件各環境影響評価以降に得られた新たな知見に基づき,本件各事業の施行が環境に及ぼす影響について補足的に照査を行った(以下,本件環境影響評価1に関するものを「本件環境影響照査1」,本件環境影響評価2に関するもの - 159 -を「本件環境影響照査2」,本件環境影響評価3に関するものを「本件環境影響照査3」といい,本件環境影響照査 1に関するものを「本件環境影響照査1」,本件環境影響評価2に関するもの - 159 -を「本件環境影響照査2」,本件環境影響評価3に関するものを「本件環境影響照査3」といい,本件環境影響照査1ないし本件環境影響照査3を併せて「本件各環境影響照査」という。)。 すなわち,起業者らは,本件各環境影響評価において計画交通量を基礎として予測,評価が行われた項目のうち,自動車の走行が要因となって環境への影響が想定される予測項目で計画交通量の変更により評価が変わる可能性のあるものとして,工事の完了後の施設の供用に伴う「大気汚染」,「騒音」,「振動」及び「低周波空気振動」の4項目を照査の対象項目として選定し,平成42年を予測の対象時点として,東京都環境影響評価条例に基づく「東京都環境影響評価技術指針」(以下「東京都技術指針」という。)(平成15年1月)並びに平成12年10月及び平成16年4月に建設省土木研究所及び国土交通省国土技術政策総合研究所が取りまとめた「道路環境影響評価の技術手法(その1)」,「道路環境影響評価の技術手法(その2)」等に基づき,本件各事業の施行が環境に及ぼす影響について,再予測計算及び評価を行った。 そして,再予測計算をした各項目の予測値は,評価の指標(環境基準等)を下回る,あるいは,適切な環境保全のための措置を講ずることにより評価の指標(環境基準等)を下回るというものであった。 (エ) 以上のとおり,本件各事業については,東京都環境影響評価条例に基づく環境影響評価が行われ,また,本件各事業に係る事業認定申請に当たっても,起業者らによる再予測及び評価がなされており,国土交通大臣は,そのいずれにおいても,評価の指標(環境基準等)を下回るなどのため,又は適切な環境保全のための措置を講ずることにより,環境への影響 ても,起業者らによる再予測及び評価がなされており,国土交通大臣は,そのいずれにおいても,評価の指標(環境基準等)を下回るなどのため,又は適切な環境保全のための措置を講ずることにより,環境への影響は少ないと評価されたことを確認した上で,本件事業認定を行ったものである。 - 160 -ウ本件各事業が高尾山等の景観に及ぼす影響について(ア) 本件環境影響評価1においては,本件各事業の周辺地域に,X70国定公園,X71自然公園等の山地景観が存在することから,高尾山からの眺望,α1地域における眺望など,地域景観の特性等を考慮して代表的眺望地点を選定し,現地踏査及び写真撮影によるフォトマップの作成等により調査した上で,景観の変化についての予測を行っている。その際,本件圏央道事業等により建設される人工構造物の付加による現況景観の変化は確かに生じるが,道路構造形式,デザイン,色彩等について各種調査をし,詳細な設計を行うとともに,構造物の設置される箇所の自然的,歴史的,文化的条件を十分検討し,必要に応じて専門家の意見を設計に反映させることにより,構造物が本来持つべき機能と視覚的機能を調和させ,景観的配慮を行っていくこととし,盛土・切土のり面,環境施設帯等には速やかに樹林による緑の創造を図ることにより,人工構造物の全体若しくは一部を視界から覆い隠すこと等により,道路と周辺景観との融合を図ることにより,本件圏央道事業等による景観への影響は少ないものと考えるとの評価を適切に行っている。したがって,ジャンクション及び高架橋が高尾山の景観を破壊するとの理由をもって本件事業認定が違法であるとはいえない。 また,八王子ジャンクションについては,施設の大半を中央自動車道北側に配置しているため,八王子市α1町の多くの住宅が存在している都道浅川相模 理由をもって本件事業認定が違法であるとはいえない。 また,八王子ジャンクションについては,施設の大半を中央自動車道北側に配置しているため,八王子市α1町の多くの住宅が存在している都道浅川相模原線(通称旧甲州街道)からは見えにくい位置に配置されており,景観への配慮がされているといえる。 (イ) 原告らは,高尾山トンネルの建設により高尾山の豊かな生態系や歴史的景観を構成している基盤的構成要素を破壊する旨を主張する。しかし,原告らが景観要素として掲げる事項は,本件環境影響評価1に - 161 -おいて,「地形・地質」,「植物・動物」などの「景観」とは別の評価項目として選定されており,それらの評価項目においても環境影響評価は適正に行われている。この中で,「自然的景観の主な構成要素である山地の森林の大部分は保全されることからトンネル区間では景観の変化は生じない。」とされている。また,高尾山トンネルについては,山中に単独の換気塔を設けることなく,高架橋を通じて八王子ジャンクションの地下に設けた換気室でダクトにより処理している。 (ウ) 原告らは,八王子南インターチェンジに係る環境影響評価につき,インターチェンジによる人工構造物自体が高尾山を中心とする自然景観を破壊していることを全く考慮していない旨主張するところ,本件環境影響評価2においては,調査対象地域のうち計画路線が通過する八王子市の関係町村及びその周辺には,高尾山を中心とした山地景観が広がっており,代表的な景観資源としてはX70国定公園,X71自然公園が挙げられることから,高尾山からの眺望など,地域景観の特性等を考慮して代表的眺望地点を選定し,現地踏査及び写真撮影によるフォトマップの作成等により調査した上で,景観の変化についての予測を行った。そして,その評価としては,八王子南 眺望など,地域景観の特性等を考慮して代表的眺望地点を選定し,現地踏査及び写真撮影によるフォトマップの作成等により調査した上で,景観の変化についての予測を行った。そして,その評価としては,八王子南インターチェンジの建設が予定されている一般国道20号沿いの地域は,市街化が進んでおり人工的景観要素を多く含んでいることに加え,インターチェンジを設置しても周辺に広がる山地景観は維持されることから,切土のり面,環境施設帯等の計画路線区域内の植栽可能な部分に,地域にあった適切な構成種を中心とする植樹等により修景を行い,橋りょうの色彩や形状が周辺の景観と調和するように配慮することにより,景観への影響の程度を小さくすることが可能と考えられ,計画路線の設置が周辺の景観に与える影響は少ないものと考えられるとの評価を適切に行っている。したがって,八王子南インターチェンジによる景 - 162 -観破壊を理由として本件事業認定が違法であるとはいえない。 エ大気汚染について(ア) 二酸化窒素等による大気汚染の予測方法についてa 本件環境影響評価1の大気汚染の予測については,気象の現地調査の結果,谷部においては谷沿いの風が卓越しており,その流れを阻害する地形・地質も特に見られないことなどから,一般部及び八王子ジャンクション部の予測は有風時(風速が1メートル/秒を超える場合)にプルームモデル,静穏時(風速1メートル/秒以下)にパフモデルを用いている。これは,「建設省所管ダム,放水路及び道路事業環境影響評価技術指針について」(昭和60年9月26日付け建設事務次官通知)の別添「建設省所管道路事業環境影響評価技術指針」(以下「建設省技術指針」という。)及び東京都技術指針において採用されている予測手法である。上記予測手法は,有風時には正規型プルーム式, 務次官通知)の別添「建設省所管道路事業環境影響評価技術指針」(以下「建設省技術指針」という。)及び東京都技術指針において採用されている予測手法である。上記予測手法は,有風時には正規型プルーム式,弱風時には無風時におけるパフ式を拡散幅が拡散時間の一次関数であると仮定して時間積分を行った簡易パフ式を基本としている。 このうち,拡散幅については,既存の実測や実験データから設定することになっていることから,上記拡散式は,プルーム・パフ型の統計モデルの性格を有するものといえる。もともとのプルーム式及びパフ式は,拡散場が平たんであること,拡散係数が拡散場で一定であることなどを仮定して導かれたものであるが,これは,理論式を構築する際の単純化のために,平たんな場としているにすぎず,およそ平たんな場でなければ適用できないというものではない。また,ここでいう「平たん」とは,必ずしも平たんな地形であることを意味しているわけではなく,α1地域のように谷底にある程度の平たんな幅がある地形で,風の流れが地面に沿った流れになっている場合は,谷地形であっても,理論上平たんな拡散場と同じことになるというべきである。 - 163 -しかも,建設省技術指針等に示された予測方法は,拡散係数そのものを与えるのではなく,実測や実験データに基づいて拡散幅を定めるものとなっており,様々な条件におけるデータに基づいて拡散幅を定めることにより予測に適用できる手法となっている。そして,複雑な地形や建物等は拡散を促進させることや,拡散式を用いた大気汚染の予測は,年平均値を予測するものであって,特定の風向における影響が大きくないことなどを考慮すると,技術指針に示された予測方法は相当程度広い範囲で適用することができる。 このように,本件環境影響評価1におけるプルーム式及びパフ式の て,特定の風向における影響が大きくないことなどを考慮すると,技術指針に示された予測方法は相当程度広い範囲で適用することができる。 このように,本件環境影響評価1におけるプルーム式及びパフ式の拡散幅は,理論値に加え,道路沿道における様々な気象条件等における実測値も考慮されているものであり,接地逆転層の影響についても,設定した拡散幅に反映されていることから,上記拡散モデルによる予測は適切なものである。そして,このことは,α1地域を対象とした風洞模型実験においても確認しているところである。 また,本件各環境影響照査においても,東京都技術指針(平成15年1月),平成12年10月及び平成15年12月に建設省土木研究所及び国土交通省国土技術政策総合研究所が取りまとめた「道路環境影響評価の技術手法(その1)」及び「自動車排出係数の算定根拠」と題する資料等に記載された手法が用いられている。 b 本件環境影響評価1においては,現地の地形及び接地逆転層を含む気象条件を再現して風洞模型実験を行っており,これによりプルーム式及びパフ式の予測結果を検証している。そして,上記風洞模型実験の結果によると,「風洞実験では,安定層と複雑地形の両者の斜面流(冷気流)のため,主風向と平行な中央自動車道から谷部方向へ汚染物質が移流し,谷部で風上側からの汚染物質と重合しつつ谷部風下側に移流拡散されていく形態となっている。そのため,谷部では計算値 - 164 -の方が濃度が低くなっていると考えられる。」とされており,地形及び接地逆転層等による影響が十分に反映されている。また,接地逆転層の影響や地形効果を考慮しない場合とこれらを考慮した場合の比較を行い,「その結果,年平均濃度に対する接地安定層の影響や地形の効果は,NO2で0.001ppm以下のレベルであり,濃 。また,接地逆転層の影響や地形効果を考慮しない場合とこれらを考慮した場合の比較を行い,「その結果,年平均濃度に対する接地安定層の影響や地形の効果は,NO2で0.001ppm以下のレベルであり,濃度分布パターンもほとんど一致している」との結論を得た。 c 以上のとおり,α1地域についてプルーム式及びパフ式を適用したことは適切かつ妥当であり,このことは,風洞模型実験によって確かめられている。 (イ) 大気汚染の予測方法に関する原告らの主張への反論a 原告らが大気汚染の予測方法として適切であると主張する3次元流体モデルとは,ある一定範囲の空間を一定の距離ごとに区切って,上記一定範囲の空間を多数の直方体(メッシュ)に分割し,それぞれのメッシュごとに風速,風向を算出する手法である。この手法は,乱流の方程式について,風速等を,隣接するメッシュにおける値を基に順次計算して解いていくことから,計算量が膨大になる上,メッシュの定め方等により,得られる数値が異なる点に問題があると指摘されている。3次元流体モデルの計算量が膨大な点は,計算機の性能が向上してきたことにより解決される傾向にあるものの,現地実測濃度や風洞実験結果に適合した拡散係数等のパラメータを設定することは容易ではないため,3次元流体モデルを環境影響評価へ適用するのは,現在のところ一般的ではない。 また,原告らが3次元流体モデルを用いて行った予測には,①3次元流体モデルに用いられている数値解析の手法においては,気流の再現性が非常に重要であり,予測範囲における現地調査の実施が必要であるとされ,原告ら自身においても3次元流体モデルを用いた予測に - 165 -必要な構造物及び地形の影響を受ける前の気象データが必要であるとするにもかかわらず,そのようなデータを用いておらず,風向 とされ,原告ら自身においても3次元流体モデルを用いた予測に - 165 -必要な構造物及び地形の影響を受ける前の気象データが必要であるとするにもかかわらず,そのようなデータを用いておらず,風向,風速,大気の安定度といった気象条件の時間による変化等を適切に考慮していないこと,②拡散モデルにおける発生源となる有効煙突高の推定において,実煙突高から排ガスが排出されるとの不適切な前提を採用したケースや,本件で問題となる自動車トンネル換気塔から排出される排ガスは浮力のない常温ガスであるにもかかわらず,熱量があり,浮力効果がある排ガスについて排ガス上昇高を算出する際に適用するMoses&Carson式を適用したケース,α1地域にはダウンウォッシュを生じるような風速が生じることはほとんどないにもかかわらずこれが生じるとの前提を採用するとともに,適用する根拠の乏しいBriggs式(ダウンウォッシュ)や八王子ジャンクションの換気塔に適用することができないHuber式を適用したケースが含まれていること,③3次元流体モデルは,高さの異なる建物が密集する市街地の道路沿道における調査研究を基に開発されたモデルであり,検証に用いられる風洞模型実験は,市街地模型を用いて行われ,様々な道路構造や建物構造について実施されるものであるから,検証や風洞模型実験等による慎重な検討なくして,そこで用いられるパラメータが山間部に位置し,住宅密集地でもないα1地域に適合したものであると断定することができないこと,④原告らの予測には,地形及び建物のデータとしてどのような資料を用いたのか,拡散係数等のパラメータをどのように設定したのかについて記載がなく,設定されたすべてのメッシュごとに風向及び風速がどのように変化するのか,煙源から排出された物質がどのように拡散していくかに たのか,拡散係数等のパラメータをどのように設定したのかについて記載がなく,設定されたすべてのメッシュごとに風向及び風速がどのように変化するのか,煙源から排出された物質がどのように拡散していくかについて,設定された具体的なパラメータが明らかでないこと,⑤NOX濃度から二酸化窒素濃度を求める際に,α1地域とは条件の異なる,道路の - 166 -影響が少ない地域におけるNOXと二酸化窒素の関係を用いており,その結果,正確な予測値より高く算出されていることや,一般的ではないNOXから二酸化窒素への変換方法を用いており,対象とする特定の道路の二酸化窒素寄与濃度を正確に求めることができないこと,⑥二酸化窒素の測定に当たり,精度の劣る簡易測定法を用いていることなどの問題点があり,その検証も十分にされていないから,信用性に欠けるものである。 b なお,原告らが指摘する昭和58年東京都環境保全局「環境影響評価制度の手引き」(以下「昭和58年手引き」という。)は,無風時にパフモデルを,有風時にプルームモデルを用いることを基本とするものであり,気象条件や複雑地形の影響等を考慮しなければならない場合,すなわち,気象条件や複雑地形等の影響がプルーム・パフモデルの適用を排除する程度にまで大きい場合に差分モデルの使用を検討する必要があるというものであって,およそ複雑地形であれば差分モデルを用いなければならないということを意味するものでない。本件において,起業者らは,風洞模型実験により,α1地域の大気汚染予測において,プルーム・パフモデルを用いることが妥当であることを検証し,α1地域においては,「年平均濃度に対する接地安定層の影響や地形の効果は,NO2で0.001ppm以下のレベルであり,濃度分布パターンもほとんど一致している。したがって,「評価書案 ることを検証し,α1地域においては,「年平均濃度に対する接地安定層の影響や地形の効果は,NO2で0.001ppm以下のレベルであり,濃度分布パターンもほとんど一致している。したがって,「評価書案」に基づいたプルーム・パフモデルを当地区における年平均値の予測・評価に適用しても問題はないものと考えられる」との結論を得ているものであるから,α1地域については,昭和58年手引きが掲げる「複雑地形の影響等を考慮すべき場合」には該当せず,差分モデルを検討すべき場合には当たらない。 また,「大気汚染の予測手法の適用性に関する調査業務報告書」は, - 167 -作成を依頼した建設省土木研究所(現国土交通省国土技術政策総合研究所)が,昭和54年及び55年に拡散係数を設定するために全国で濃度分布等の調査を行った場所の道路構造や地形の実測値の最大値あるいは範囲を取りまとめたものにすぎず,これらの最大値は,理論的に拡散幅の限界を示したものではないから,取りまとめられた調査範囲を超えた予測の妥当性が失われるというものではない。 (ウ) 浮遊粒子状物質(以下「SPM」という。)についてa 本件各環境影響評価においては,SPMを予測評価の対象とはしなかったところ,本件環境影響評価1が行われた昭和61年当時,自動車の走行に起因して発生するSPMについては,発生源データの集積が十分ではなく,またSPMの生成と移流,拡散及び二次生成粒子に係る十分な知見が得られていないことから,発生源からの寄与を特定することができなかった。また,平成9年の時点においても,SPMの予測手法が十分に確立していなかった。したがって,本件各環境影響評価においてSPMの予測,評価が行われていなかったことをもって,本件各環境影響評価が適正に行われなかったということはできない。 の予測手法が十分に確立していなかった。したがって,本件各環境影響評価においてSPMの予測,評価が行われていなかったことをもって,本件各環境影響評価が適正に行われなかったということはできない。 b 起業者らは,本件各環境影響照査において,加速車線や減速車線のインターチェンジ部などの加減速部車線が含まれる区間を除き,SPMの予測評価を行っており,その結果は環境基準を下回る予測結果となっている。他方,本件起業地等のジャンクション,インターチェンジ部分に関しては,本件各環境影響照査においても予測,評価が行われていないが,これは,ジャンクション及びインターチェンジの加減速の走行パターンに対応した排出係数の設定が困難であったことによるものである。 以上のとおり,国土交通大臣は,SPMの予測結果をも確認の上で - 168 -本件事業認定を行ったものであって,SPMについても可能な限り考慮要素としているものである。 c 本件事業認定当時における東京都内のSPM濃度に関しては,減少あるいは横ばいである旨の分析がなされるとともに,国や地方自治体によりSPMに関する改善施策が積極的に進められており,国土交通大臣は,本件事業認定の際,SPMに関する環境改善が大いに期待できることを確認していた。また,本件事業認定後も,SPM濃度の改善は着実に進んでいる。なお,原告らが指摘する微小粒子状物質については,平成21年9月9日に環境基準として告示されたものであり,本件事業認定後の事情である。 オ騒音被害について(ア) 本件各環境影響評価及び本件各環境影響照査においては,本件各事業により設置される道路の沿道地域について,騒音に係る評価の指標として,環境基準のうち「A地域のうち2車線を超える車線を有する道路に面する地域」の基準が採用されているが 影響照査においては,本件各事業により設置される道路の沿道地域について,騒音に係る評価の指標として,環境基準のうち「A地域のうち2車線を超える車線を有する道路に面する地域」の基準が採用されているが,次に述べるとおり,かかる基準を採用したことは適切である。 a 騒音に係る環境基準における「道路に面する地域」とは,「道路交通騒音が支配的な音源である地域」又は「当該道路より発する道路交通騒音の影響を受ける地域」を意味するものとされている。また,「道路に面する地域」の範囲は,単に物理的に道路に面しているか否か,道路端からの距離がどれだけかといった点から定められるものでないとともに,その定義や範囲の考え方は明確に規定されている。 そもそも,道路騒音に係る環境影響評価は,道路の新設により発生する騒音について,その騒音が及ぶ範囲についてその程度を予測し,これを評価するものであるから,その対象地域は,本来「道路 - 169 -に面する地域」と一致するものでなければならない。そして,昭和46年に閣議決定された「騒音に係る環境基準について」(以下「旧騒音環境基準」という。)においては,道路の新設に際しては,道路に面する地域の環境基準の達成に資するよう,道路計画,その他道路周辺の土地利用計画の策定と実施に十分配慮するものとするとして,道路の新設の場合において「道路に面する地域」の環境基準値が適用されることが明らかにされている。被告東京都は,本件各環境影響評価における騒音の予測評価に当たって,「道路に面する地域」の適用範囲を適切に判断して環境基準を適用したものである。 また,「騒音に係る環境基準について」(平成10年環境庁告示第64号。以下「現騒音環境基準」という。)に関して,「騒音の評価手法等の在り方について(答申)」(平成10年5月2 用したものである。 また,「騒音に係る環境基準について」(平成10年環境庁告示第64号。以下「現騒音環境基準」という。)に関して,「騒音の評価手法等の在り方について(答申)」(平成10年5月22日中央環境審議会)において,「新たに設置する道路においては,道路に面する地域の環境基準の指針値が供用後直ちに達成されるよう努めることとすることが適当である」とされており,道路の新設において「道路に面する地域」の環境基準値が適用されることが明らかにされている。起業者らは,本件各環境影響照査における等価騒音レベルの予測評価に当たっても,このような「道路に面する地域」についての環境庁(当時)の解釈を踏まえ,その適用範囲を適切に判断し,環境基準を適用し,本件各環境影響評価及び本件各環境影響照査を行ったものであり,原告らが主張するようにその範囲を拡大解釈したなどの事実はない。 b 原告らは,道路からの受益性の有無の観点から,「道路に面する地域」が道路端から最大20メートルの距離に限定されるべきであると主張するが,「道路に面する地域」の環境基準の指針値は,単に道路からの受益性という観点のみから設定されたものではなく, - 170 -道路の公共性,当該地域の道路による受益性,道路交通騒音の実態等を総合的に踏まえて検討されているものであるから,原告らの上記主張は相当でない。また,「道路に面する地域」は,「幹線交通を担う道路に近接する空間」よりも広い概念であるから,「幹線交通を担う道路に近接する空間」のうち,「2車線を超える車線を有する幹線交通を担う道路」の範囲が道路端から20メートルの距離であると規定されているからといって,「道路に面する地域」について,道路端から20メートルの距離に限定すべきであるとはいえない。 (イ) 「道路に面する地 路」の範囲が道路端から20メートルの距離であると規定されているからといって,「道路に面する地域」について,道路端から20メートルの距離に限定すべきであるとはいえない。 (イ) 「道路に面する地域」に係る旧騒音環境基準及び現騒音環境基準は,次に述べるように,夜間における睡眠影響に関する知見を踏まえ,建物の防音性能や地域補正の考え方も取り入れて設定されているものであって,適切妥当な値というべきであるし,本件環境影響評価1及び本件環境影響照査1におけるα1地域における夜間の予測値については,「道路に面する地域」の夜間の環境基準を下回るものであるから,深刻な睡眠妨害が生じるものではない。 a 本件環境影響評価1において,α1地域の夜間の環境基準として,「A地域(主として住居の用に供される地域)のうち2車線を超える車線を有する道路に面する地域」の夜間の環境基準値である50ホン(A)以下が適用されている。この値は,旧騒音環境基準の「道路に面する地域」以外の地域(一般地域)のB地域(相当数の住居と併せて商業,工業等の用に供される地域)の夜間の環境基準値と同一であるところ,騒音レベルが40ホン(A)になると,就眠時間,覚せい時間,脳波又は血液所見などからみた睡眠深度への影響が出現するとされているが,騒音レベルの測定は屋外で行われるものであり,建物による遮音効果を約10デシベルと見積もることが - 171 -できるから,屋外で50ホン(A)以下であれば,屋内では40ホン(A)以下となり,ほぼ睡眠妨害を免れ得る水準に当たるとされている。 b また,本件環境影響照査1においては,α1地域の夜間の環境基準として,現騒音環境基準の「A地域(専ら住居の用に供される地域)のうち2車線以上の車線を有する道路に面する地域」の基準値(夜間)である5 また,本件環境影響照査1においては,α1地域の夜間の環境基準として,現騒音環境基準の「A地域(専ら住居の用に供される地域)のうち2車線以上の車線を有する道路に面する地域」の基準値(夜間)である55デシベル以下が適用されている。現騒音環境基準の指針値の設定に当たっても,旧騒音環境基準と同様,生活の中心である屋内において睡眠影響及び会話影響を適切に防止する上で維持されることが望ましい騒音影響に関する屋内騒音レベルの指針を設定し,これが確保できることを基本とするとともに,不快感等に関する知見に照らした評価が必要であるとされ,道路に面する地域については,睡眠影響に関する科学的知見を踏まえた,「夜間〔睡眠影響〕40デシベル以下」という屋内指針値が示されている。 これは,一般地域については,音の発生が不規則,不安定であり,このような騒音による睡眠影響を生じさせないためには,屋内で35デシベル以下であることが望ましいとされているが,高密度道路交通騒音のように騒音レベルがほぼ連続的ないし安定的である場合には40デシベルが睡眠影響を防止するための上限であるとの知見があることや,連続的な騒音の睡眠影響に関するその他の科学的知見を総合すると,道路に面する地域については,40デシベル以下であれば,ほぼ睡眠影響を免れることができ,睡眠影響を適切に防止できるものと考えられたからである。 そして,「道路に面する地域」のうち「専ら住居の用に供される地域(C地域:現騒音環境基準に係る環境庁告示の「A地域のうち,二車線以上の車線を有する道路に面する地域」と同義)については, - 172 -地域補正に関する考え方,道路に面する地域の睡眠影響に関する指針値及び建物の防音性能(通常の建物において窓を開けた場合の平均的な内外の騒音レベル差は,10デシベル程度で いては, - 172 -地域補正に関する考え方,道路に面する地域の睡眠影響に関する指針値及び建物の防音性能(通常の建物において窓を開けた場合の平均的な内外の騒音レベル差は,10デシベル程度であり,窓を閉めた場合におおむね期待できる平均的な防音性能は,25デシベル程度である。)を踏まえ,55デシベルであれば,ある程度窓を開けた状態(防音効果が15デシベルとなる状態)においても,騒音影響に関する屋内指針を満たすことが可能であることなどから,C地域における環境基準値を夜間55デシベル以下とすることが適当であるとされたものである。 c このように,上記夜間の環境基準は,いずれも夜間の睡眠妨害に対する影響が考慮され,その根拠も明確にされている。そして,上記検討を踏まえて定められた環境基準は,人の健康を保護し,及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準とされているのであって,人間の環境の最低限を示すものではなく,原告らが主張するような最大許容限度又は受忍限度といったものと概念上異なるものである。 d 本件環境影響評価1におけるα1地域の夜間の騒音レベルは,L50(測定値の中央値)で49ホン(A)と予測され,旧騒音環境基準の「A地域(主として住居の用に供される地域)のうち2車線を超える車線を有する道路に面する地域」の夜間の環境基準値である50ホン(A)を下回っていることから,深刻な睡眠妨害が生じるものではない。また,本件環境影響照査1におけるα1地域の夜間の騒音レベルは,LAeq(等価騒音レベル)で53デシベルと予測され,「A地域(専ら住居の用に供される地域)のうち2車線以上の車線を有する道路に面する地域」の夜間の環境基準値である55デシベルを下回っているから,同じく,睡眠妨害が生じるもの - 173 -ではない 地域(専ら住居の用に供される地域)のうち2車線以上の車線を有する道路に面する地域」の夜間の環境基準値である55デシベルを下回っているから,同じく,睡眠妨害が生じるもの - 173 -ではない。 (ウ) 原告らが3次元流体モデルを用いて行った予測においては,道路端から20メートル以遠は一般のA地域及びB地域の騒音に係る環境基準を用いるべきであるとして,これを前提にした評価がされているところ,環境影響評価においては,「道路に面する地域」以外の地域について評価が行われることはあり得ないのであり,環境影響評価そのものに対する誤った理解を前提としたものである。 また,原告らの上記予測は,シミュレーションの計算範囲の設定について,「対象とする地域は非常に急峻である。そのため,騒音の伝播における地表面効果,評価高さなどについては地形を考慮する必要がある。ここでは2,500分の1の地図を参照し東西方向2,100m,南北方向1,300mの範囲の地形を考慮した」とするだけで,実際に使用した地形データや各予測地点の予測高さについて何ら具体的な記載がなく,地点における評価及び面的評価のいずれにおいても,地形による騒音の反射や吸収の有無,そのほか地形が騒音の伝ぱに及ぼす影響について,どのような地形の,どのような状態を,どのように考慮したのかが明らかではない。したがって,原告らの上記予測は信用性を欠くものである。 (エ) 本件環境影響評価1及び本件環境影響評価2において設定した平均走行速度は,本件環境影響評価1については,規制速度の上限値と考えられる設計速度とし,本件環境影響評価2については,設計速度及び道路交通法施行令に定める最高速度を考慮して設定している。そして,「環境影響評価に係る調査,予測及び評価のための基本的事項について」においては, 速度とし,本件環境影響評価2については,設計速度及び道路交通法施行令に定める最高速度を考慮して設定している。そして,「環境影響評価に係る調査,予測及び評価のための基本的事項について」においては,「予測は,調査結果の整理,解析により予測が必要と認められる項目について,対象事業の実施により生じる一般的な条件下における環境の状態の変化を明らかにすることにより行うも - 174 -のとし,その技術的方法は指針において定めるものとする」とされ,建設省技術指針においては,予測は,「一般的な条件下における環境の状態の変化を明らかにすることにより行うものと」されており,道路の新設に際しては,道路を走行する車が設計速度の範囲内で設定される規制速度を遵守し,通常その速度において走行することができることを予定している。したがって,設計速度及び道路交通法施行令に定める最高速度を考慮して考えられる設計速度をもって平均走行速度とすることは合理的である。 (オ)a 原告らは,高尾山登山道について,東京都知事の指定を受けていなくても環境アセスメントにおいては特に静穏を要するAA類型の地域の環境基準を守る視点で環境影響評価を行うべきであると主張する。 しかし,本件環境影響評価1における騒音の予測は,建設省技術指針及び東京都技術指針に基づき,本件環境影響照査1は,「道路環境影響評価の技術手法(その2)」及び東京都技術指針に基づき,それぞれ実施されているところ,建設省技術指針では,騒音の予測の対象区域について,「施設の供用に伴い環境の状態が一定程度以上変化する範囲(原則として式の適用できる範囲)」とされており,予測式は,原則として,比較的平たんな地形に平面,盛土,高架道路の各構造が連続しており,自動車が毎時30ないし100キロメートル程度の速度で定常的 囲(原則として式の適用できる範囲)」とされており,予測式は,原則として,比較的平たんな地形に平面,盛土,高架道路の各構造が連続しており,自動車が毎時30ないし100キロメートル程度の速度で定常的に走行している道路について,路肩端から160メートル(一般道路の場合)又は80メートル(自動車専用道路の場合)までの地点の騒音レベル中央値(L50)を求める場合に適用することができるとされている。 また,「道路環境影響評価の技術手法(その2)」では,騒音の予測地域について「騒音の影響範囲内に住居等が存在する,あるい - 175 -は立地する見込みがある地域とし,調査・予測区間ごとに設定する。」とされており,「道路交通騒音の予測モデル“ASJModel003”」が適用することができる予測範囲については,道路からの水平距離200メートルとされている。 さらに,東京都技術指針では,騒音の予測地域について,「対象事業の種類及び規模並びに地域の概況を勘案して,対象事業の実施による騒音が環境に影響を及ぼすと予想される地域」,「対象事業の種類及び規模並びに地域の概況を勘案して,対象事業の実施に伴う騒音が日常生活に影響を及ぼすと予想される地域」とされているところ,調査地域は,対象事業の実施による騒音の音源の位置,発生の態様,騒音の減衰状況,周辺の地形及び土地利用状況等を勘案し,道路交通騒音については,道路端から100メートル程度の範囲とする(ただし,平たん開放及び高架の道路では,200メートル程度の範囲とする。)とされている。 これらの点に照らし,本件環境影響評価1においては,上記各技術指針に基づき,原則として,官民境界から80メートルないし150メートルまでの範囲について予測がされ,八王子ジャンクションが位置するα1地域においては らし,本件環境影響評価1においては,上記各技術指針に基づき,原則として,官民境界から80メートルないし150メートルまでの範囲について予測がされ,八王子ジャンクションが位置するα1地域においては,本件圏央道事業等の計画及び地形の状況等にもかんがみ,最大でおおよそ200メートルの範囲における平面予測が行われている。そして,このような予測地域の設定は,上記各技術指針に照らし適切かつ妥当といえる。 したがって,住居等のない高尾山登山道については,そもそも環境影響評価を行うことは必要とされていないのであって,本件環境影響評価1及び本件環境影響照査1において,かかる地域まで騒音の予測地域としていないとしても,不合理ではない。 b 旧騒音環境基準は,地域の類型及び時間の区分ごとに基準値を設 - 176 -け,地域の類型をAA,A及びBと分類しているところ,高尾山登山道は上記のいずれにも該当しない。また,現騒音環境基準においても,AA,A,B及びCと分類されている環境基準を当てはめる地域の類型について定義されており,環境影響の評価は「個別の住居等が影響を受ける騒音レベルによることを基本とし,住居等の用に供される建物の騒音の影響を受けやすい面における騒音レベルによって評価するものとする。」とされているところ,高尾山登山道は上記のいずれにも該当しない。このように,高尾山登山道は,騒音に係る環境基準を適用する対象とならないことから,これを適用する余地はない。 カ振動被害について本件環境影響評価1において,工事完了後における道路交通振動について予測しているが,この場合,振動規制法16条1項(平成11年法律第87号による改正前のもの),同施行規則12条(平成12年総理府令第25号による改正前のもの)に基づき,都道府県知事(現在は市長 いて予測しているが,この場合,振動規制法16条1項(平成11年法律第87号による改正前のもの),同施行規則12条(平成12年総理府令第25号による改正前のもの)に基づき,都道府県知事(現在は市長村長)が道路管理者に対し道路交通振動の防止のための必要な措置を要請する限度(以下「要請限度」という。)をもって「評価の指標」としている。そして,本件環境影響評価1の評価の対象となる道路の沿道については,区域区分第1種の地域に該当することから,その要請限度のうち,環境上で最も厳しくなる夜間の時間の区分(午後7時から午前8時)の60デシベルを「評価の指標」としている。そして,その予測及び評価結果によれば,予測地域であるα1地域において,評価の指標である要請限度を下回っていることから,道路交通振動による影響は少ないと考えられる。また,本件環境影響照査1においても,α1地域の予測結果についてやはり要請限度を下回ることが確認されている。したがって,原告らが主張する振動による被害は,合理的な根拠に基づくものとはいえない。 - 177 -キ低周波空気振動(低周波音)による被害について本件環境影響評価1において,低周波空気振動について予測評価を行っているところ,低周波空気振動については,発生源も多岐にわたり,本件環境影響評価1の予測評価の時点においては,低周波空気振動の音圧レベルを定量的に測定する手法が確立されていないため,現況調査の調査事例と本件環境影響評価1の評価の対象となる道路の内容とを対比することによる定性的な予測を行っている。このように,本件環境影響評価1の評価時点における低周波空気振動についての評価の指標は,未解明の部分が多く,いまだ確立されていないものの,上記予測及び評価の結果,上記道路の低周波空気振動は,一般環境中に多様に存 件環境影響評価1の評価時点における低周波空気振動についての評価の指標は,未解明の部分が多く,いまだ確立されていないものの,上記予測及び評価の結果,上記道路の低周波空気振動は,一般環境中に多様に存在している音圧レベルの範囲内にあるため,沿道住民の日常生活に支障のない程度のものと考えられると評価されている。また,本件環境影響照査1においても,低周波空気振動について,α1地域の予測結果について,参考評価指標を下回ることが確認されている。したがって,原告らが主張する低周波被害は,合理的な根拠に基づくものとはいえない。 クサウンドスケープ論についてサウンドスケープなるものの概念は不明確であり,このような不明確な概念により,事業認定の違法性の有無に影響を及ぼすとは解し難い。また,本件各環境影響評価及び本件各環境影響照査において,騒音について適切に検討がなされ,環境に与える影響は軽微であると認められているのであるから,それ以外に,サウンドスケープなるものを本件事業認定において独立に考慮すべき事項と解すべき余地はない。 ケオオタカへの影響について(ア) 本件環境影響評価1及び本件環境影響評価2によると,本件圏央道事業区間において,絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(以下「種の保存法」という。)における「国内希少野生動植 - 178 -物種」であるオオタカの飛しょうは確認されているが,営巣が確認されていないこと,また,計画路線は大部分がトンネル構造であり,主な生息環境である森林の改変面積は周辺の広がりに比べると小さく,その主なえさであるスズメ,キジバト等の大幅な個体数の減少は考えられないことから,影響は少ないと予測されており,本件圏央道事業等の施行によるオオタカへの影響は少ないものと認められる。 (イ) 本件環 の主なえさであるスズメ,キジバト等の大幅な個体数の減少は考えられないことから,影響は少ないと予測されており,本件圏央道事業等の施行によるオオタカへの影響は少ないものと認められる。 (イ) 本件環境影響評価3によると,本件八王子南バイパス事業区間内において,オオタカの飛しょうは確認されているが,営巣が確認されていないこと,また,計画路線は大部分がトンネル構造であり,主な生息環境である森林の改変面積は周辺の広がりに比べると小さく,その主要なえさであるスズメ,キジバト等の大幅な個体数の減少は考えられないと予測されており,影響は少ないと予測されており,本件八王子南バイパス事業の施行によるオオタカへの影響は少ないものと認められる。 (ウ) なお,原告らが問題とするα15地区のオオタカの営巣について,同地区は本件起業地には含まれていないから,原告らの上記主張は,そもそも本件事業認定の適法性に直接かかわらない事項に係るものである。 また,起業者らが設置している「X13」より提案されたオオタカとの共生を目指す方策は,環境庁(当時)の「猛禽類保護の進め方」を踏まえた適切なものであって,起業者らは,α15地区においてオオタカの繁殖を確認し続けており,圏央道に係る工事がオオタカの営巣に深刻な影響を与えているといった事実は存在しないし,同地区においては,オオタカが繁殖することができる生息環境が維持されている。 (3) 本件事業認定の手続的違法性等について - 179 -ア本件事業認定に係る事前説明会及び公聴会等について(ア) 土地収用法に基づく公聴会の開催は,事業認定に当たり,事業認定庁が事業認定の考慮すべき要素やその価値の判断に供するため広く一般の意見を聴くものであり,公述人から意見を聴取するための手続であって,公述人の質問に対して 公聴会の開催は,事業認定に当たり,事業認定庁が事業認定の考慮すべき要素やその価値の判断に供するため広く一般の意見を聴くものであり,公述人から意見を聴取するための手続であって,公述人の質問に対して起業者又は事業認定庁が回答する義務を課すものではないし,公聴会において公述人との合意や同意を得ることを求めるものでもない。 (イ) 原告らは,公共用地分科会の委員の中立性,公正性を問題とするが,審議会等の委員は,当該審議会等の目的,内容について専門的知識,識見,経験を有している者が任命され,同時に中立性,公正性についても期待されている。また,公共用地分科会は,事業認定庁が行う事業認定の判断の参考に資するため,多様な専門分野の学識経験者による議論を通じて,専門的かつ総合的な意見を形成させ,合議体としての意見を聴取し,これを尊重することにより,事業認定の中立性,信頼性を向上させることを目的として設けられた機関であり,収用等に伴う土地等に対する補償額等を確定することを目的とする収用委員会や,公共事業の効率性及びその実施過程の透明性の一層の向上を目的とする事業再評価の実施に際して,意見聴取を行うことにより当該事業再評価の客観性,透明性を確保することを目的とする事業評価監視委員会とは,審議の目的,内容等が異なっており,本件各事業に関連して上記の機関においてそれぞれ審議が行われていた場合であっても同様である。 公共用地分科会の委員の選定及び運営に当たっては,原告らが指摘する衆議院国土交通委員会附帯決議の1項及び2項を遵守し,平成13年法律第103号による改正後の土地収用法等に基づいて適切な運営等を行っている。また,ある個人が複数の機関の委員を兼ねている - 180 -ことをもって公共用地分科会の中立性,公平性が損なわれるものではない。 る改正後の土地収用法等に基づいて適切な運営等を行っている。また,ある個人が複数の機関の委員を兼ねている - 180 -ことをもって公共用地分科会の中立性,公平性が損なわれるものではない。 (4) 土地収用法20条2号の要件適合性についてア土地収用法20条2号は,事業認定の要件として,起業者が当該事業を遂行する充分な意思と能力とを有することを定めるところ,同号の要件を具備するか否かは,①事業の施行について免許,許可,認可等の処分を要する場合に,この処分を受けているかどうか,事業の施行前に法律上要求されている手続を履践しているかどうか,といった法的な観点,②予算上の措置が講じられているか否かといった資金面,③起業者の擁する組織,人員から見て起業者には申請に係る事業を遂行する能力があるか否かといった組織,人員の観点等から客観的に判断されるべきものである。 イ本件各事業についてみると,起業者である国土交通大臣は,道路法12条本文の規定により,また,起業者である参加人X1株式会社は,道路整備特別措置法3条1項の規定により,独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法13条1項に規定する協定に基づき国土交通大臣の許可を受けて行うことができるとされているところ,平成18年3月31日付けで参加人X1株式会社が独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構と協定を締結し,同日付けで国土交通大臣の許可を受けていることから,それぞれ本件各事業の施行に当たり必要とされる施行権限を有しており,法律上要求される手続も履践している。また,本件各事業を行うことについては,予算上の措置が講じられ,組織,人員の措置がなされている。 したがって,起業者らは,アに述べたいずれの点からも,本件各事業を遂行する充分な意思と能力を有する者であるから,本件各事業は, ついては,予算上の措置が講じられ,組織,人員の措置がなされている。 したがって,起業者らは,アに述べたいずれの点からも,本件各事業を遂行する充分な意思と能力を有する者であるから,本件各事業は,土地収用法20条2号の要件に適合しているというべきである。 (5) 土地収用法20条3号の要件適合性についてア土地収用法20条3号は,その文言及び同法1条に定められた土地収用 - 181 -法の目的に照らすと,事業計画が国土全体の土地利用の観点から見て適正かつ合理的であることを要する旨を規定したものであり,いわば事業計画全体の合理性に関する要件を定めたものと解される。それゆえ,土地がその事業の用に供されることによって得られる公共の利益と,土地がその事業の用に供されることによって失われる利益とを比較衡量した結果,前者が後者に優越すると認められる場合に,上記要件に適合すると解すべきである。そして,事業認定庁である国土交通大臣の上記要件適合性についての判断は,事業認定に係る事業計画の内容,事業計画が達成されることによってもたらされるべき公共の利益,事業計画策定及び事業認定に至るまでの経緯,事業計画において収用の対象とされている土地の状況等諸要素の比較衡量に基づく総合判断として行われるべきもので,その性質上,行政庁に広範な裁量が認められるべきであり,原告らが主張する政策と異なる政策を選択したからといって,そのことから直ちに本件事業認定が違法となるものではない。このことは,上記判断が,諸要素の比較衡量に基づく総合判断であることのほか,上記判断には将来の予測に係る事項が含まれており,また,経済的,開発的利益と文化的,環境的価値という相対立する価値の軽重を総合考慮して当該事業計画の合理性を判定しようとするものであるから,その性質上,必然的に政 来の予測に係る事項が含まれており,また,経済的,開発的利益と文化的,環境的価値という相対立する価値の軽重を総合考慮して当該事業計画の合理性を判定しようとするものであるから,その性質上,必然的に政策的又は専門技術的判断を伴うものであることからも裏付けられる。 本件において,国土交通大臣は,イないしエに述べるとおり,本件起業地が本件各事業の用に供されることにより得られる公共の利益と失われる利益を比較衡量し,得られる公共の利益が相当程度存する一方,失われる利益が軽微なものと考えられることから,本件起業地が本件各事業の用に供されることによって得られる利益が失われる利益に優越するというべきであり,土地収用法20条3号にいう「土地の適正且つ合理的な利用に寄与するものであること」との要件に適合すると判断したものであり,その - 182 -判断をもって,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したということはできない。 イ本件各事業の施行によって得られる公共の利益について(ア) 本件圏央道事業等についてa (a) 広域的な視点による利益について圏央道は,都心部から半径約40キロメートルないし60キロメートルに位置する横浜市,厚木市,八王子市,青梅市,川越市,つくば市,成田市,木更津市等の業務核都市を環状に結び,更に首都圏から放射状に伸びる9本の高速自動車国道等と相互に連絡することにより,都心部への交通の集中による交通渋滞の緩和,都心部への一極依存から業務核都市等の拠点的な都市を中心とした自立性の高い地域の形成,環状で結ばれる都市相互の機能分担と連携,交流を行う分散型ネットワーク構造への再編整備による首都圏全体の調和のとれた発展などを目的とする延長約300キロメートルの自動車専用道路である。そして,本件圏央道事業等の完成により中 分担と連携,交流を行う分散型ネットワーク構造への再編整備による首都圏全体の調和のとれた発展などを目的とする延長約300キロメートルの自動車専用道路である。そして,本件圏央道事業等の完成により中央自動車道と東名高速道が連絡されることになり,既に開通した中央自動車道と関越自動車道とを連絡する区間と併せて,広域的な利便性が向上するとともに,他の環状道路である外かく環状道及び中央環状線と有機的に連絡することによって,都心部への流入交通の分散導入,地域間交流の拡大などが図られるものである。 また,圏央道事業は,社会資本整備重点計画法4条1項に基づいて作成された社会資本整備重点計画,都市再生特別措置法3条により内閣に設置された都市再生本部が平成13年8月28日に決定した「都市再生プロジェクト」,国土形成計画法9条に基づいて定められた首都圏広域地方計画,首都圏整備法に基づく首 - 183 -都圏整備計画に認められている重要な路線である。 そして,上記に述べた圏央道の供用による広域的な視点からの公益性については,①起業者らが,圏央道により中央自動車道と関越自動車道との間が接続された効果を把握するために調査した開通2か月後における八王子ジャンクションから八王子西インターチェンジ間の交通量及び上記区間における開通2年後の交通量から,圏央道の環状道路機能が発現していることが明らかになったこと,②中央自動車道と関越自動車道が圏央道で直結されたことにより山梨県方面と群馬県方面のアクセスが向上していること,③首都圏3環状道路の整備により企業誘致や集積が加速していることからも裏付けられている。 (b) 地域的な視点による利益について現在,神奈川県央地域(相模原市等)と多摩地域(八王子市等)を結ぶ幹線道路として一般国道16号等があるが,相 が加速していることからも裏付けられている。 (b) 地域的な視点による利益について現在,神奈川県央地域(相模原市等)と多摩地域(八王子市等)を結ぶ幹線道路として一般国道16号等があるが,相模原市,八王子市等の既成市街地を通過し,また,神奈川県央地域及び多摩地域相互の交通に広く利用され,域内交通と通過交通がふくそうしていることから,自動車交通量が多く,円滑な交通が確保されていない状況にある。そこで,圏央道が神奈川県央地域及び多摩地域の南北方向の幹線道路として機能し,従前から一般国道16号等が担っている幹線交通を分担することにより,一般国道16号等の交通渋滞の緩和が図られ,円滑な交通の確保に寄与するものである。 上記に述べた圏央道の開通による地域的な視点からの公益性については,①平成19年6月23日に圏央道八王子ジャンクションからあきる野インターチェンジまでの区間が開通したことから,起業者らが,開通2か月後及び1年後に圏央道に平行する - 184 -一般国道16号や一般国道411号の交通量を調査したところ,交通量が減少していたこと,②圏央道から一般国道16号までの間の小学校周辺の生活道路では,上記開通後に比べ,大型車の交通量が減少していることからも裏付けられる。 なお,圏央道と一般国道16号八王子バイパスは,共に現在の一般国道16号の渋滞緩和を図ることを目的とした道路であるが,料金体系が異なる上,移動する際の時間短縮効果などの利用者にもたらされる利便性も異なることから両道路の利用者のコストパフォーマンスには差異があり,一般国道16号八王子バイパスの利用者の多寡,すなわち交通量をもって圏央道の利用交通量を推し量ることはできない。また,本件圏央道事業の平成42年時点の計画交通量は4万1600台/日であるが,これは将 般国道16号八王子バイパスの利用者の多寡,すなわち交通量をもって圏央道の利用交通量を推し量ることはできない。また,本件圏央道事業の平成42年時点の計画交通量は4万1600台/日であるが,これは将来GDPを考慮した就業者数や自動車保有台数等の社会経済指標等を参考に平成11年度道路交通センサスの実績から道路事業で一般的に用いられている手法で推計されたものであり,かつ,この推計には一般有料道路通行料金の抵抗による交通量の減少も加味されている。さらに,本件圏央道事業は,交通事故を減少させる目的のみで行われるものではない。 b 本件圏央道事業等により生活環境等に及ぼす影響については,(2)イで述べたとおり環境影響評価が行われ,その結果,適切な環境保全のための措置を講ずることにより,環境基準等を満足するものと評価されている。また,本件環境影響照査1及び本件環境影響照査2においても,適切な環境保全のための措置を講ずることにより環境基準等を満足するものと確認されている。さらに,起業者らは,本件圏央道事業等の施行に当たって,上記環境影響評価等の結果に基づき,専門家の意見を聞きながら必要なモニタリング調査等を実 - 185 -施し,地域の環境保全に努めることとしている。 c 以上によれば,本件圏央道事業等の施行により得られる公共の利益は,相当程度存すると認められる。 (イ) 本件八王子南バイパス事業についてa 一般国道20号は,東京都中央区を起点とし,八王子市,相模原市,甲府市等を経て,塩尻市を終点とする延長約225キロメートルの主要幹線道路であり,古くから甲州街道として存在し,東京都と甲信地方を結ぶ社会的,経済的,文化的に重要な路線である。本路線が通過する八王子市は,都心近郊という地理的条件等から,首都圏のベットタウンとしての性 路であり,古くから甲州街道として存在し,東京都と甲信地方を結ぶ社会的,経済的,文化的に重要な路線である。本路線が通過する八王子市は,都心近郊という地理的条件等から,首都圏のベットタウンとしての性格を有し,α41ニュータウンやα42ニュータウンなどの大規模住宅団地建設事業に伴う計画的な住宅供給が行われ,市街化が進み,近年では大学や企業,アミューズメント施設などが集積し,人々が交流する複合拠点の形成を目指した地域づくりが展開されている。八王子市α5町地内から同市α3町地内までにおける一般国道20号は,現在,都心部,多摩地域及び甲信地方を結ぶ幹線交通,八王子市街地を通過していることによる生活交通,α43駅及びα44駅に集中するバス交通などがふくそうしていることから,慢性的な交通渋滞が発生しており,円滑な交通が確保されていない状況にある。本件八王子南バイパス事業が完成することにより,現在の一般国道20号の交通が分散され,交通渋滞の緩和が図られることから円滑な交通の確保に寄与するものと認められる。また,八王子南インターチェンジと接続されることから,八王子南バイパスは,圏央道と連携して,広域的利便性の向上等にも寄与するものである。 b 本件八王子南バイパス事業による生活環境等に及ぼす影響については,(2)イで述べたとおり,本件環境影響評価3及び本件環境影響 - 186 -照査3が行われており,適切な環境保全のための措置を講ずることにより,環境基準等を満足するものと評価されている。また,起業者である国土交通大臣は,本件八王子南バイパス事業の施行に当たって,環境影響評価等の結果に基づき専門家の意見を聞きながら必要なモニタリング調査等を実施し,地域の環境保全に努めることとしている。 c 以上によれば,本件八王子南バイパス事業の施行に 行に当たって,環境影響評価等の結果に基づき専門家の意見を聞きながら必要なモニタリング調査等を実施し,地域の環境保全に努めることとしている。 c 以上によれば,本件八王子南バイパス事業の施行により得られる公共の利益は,相当程度存すると認められる。 (ウ) 費用便益分析についてa 土地収用法20条3号の要件適合性に係る判断は,事業認定に係る事業計画の内容,事業計画が達成されることによってもたらされるべき公共の利益,事業計画策定及び事業認定に至るまでの経緯,事業計画において収用の対象とされている土地の状況等諸要素の比較衡量に基づく総合判断として行われるべきもので,その性質上裁量が認められており,事業認定申請時の費用便益分析は,同号の要件適合性についての判断の一資料にすぎない。 b 費用便益分析は,道路事業の効率的かつ効果的な遂行のため,各事業の評価に当たり,社会・経済的な側面から事業の妥当性を評価するものであり,道路事業に伴う費用の増分と便益の増分を金銭に換算して比較することにより,事業の評価を行う手法である。 費用便益分析の実施に当たっては,国土交通省道路局及び同都市・地域整備局が作成した「費用便益分析マニュアル」(以下「費用便益分析マニュアル」という。)に基づいて行われる。費用便益分析マニュアルは,学識経験者から構成される検討委員会において,パブリックコメントの結果や海外事例等を踏まえて審議されるものであり,作成時点における最新のデータと知見に基づいて作成され - 187 -たものである。 費用便益分析は,ある年次を基準年とし,一定期間の便益額及び費用額を算定する。このうち,便益については,道路整備が行われた場合と行われない場合との交通量を推計し,多岐多様にわたる効果のうち,最新の知見により,十分な精度で を基準年とし,一定期間の便益額及び費用額を算定する。このうち,便益については,道路整備が行われた場合と行われない場合との交通量を推計し,多岐多様にわたる効果のうち,最新の知見により,十分な精度で計測が可能でかつ金銭表現が可能である「走行時間短縮」,「走行経費減少」,「交通事故減少」の各項目について便益を計測することによって,総便益を算出する。また,費用については,道路整備に要する事業費及び供用後に必要となる維持管理費を算出して,それらの合計を総費用として算出する。そして,算出した各年次の費用及び便益の値を割引率を用いて現在価値に換算し,総便益の現在価値を総費用の現在価値で除して,費用便益比を求めるものである。 なお,本件各事業に係る事業認定申請時点において最新のものであった平成15年8月に改訂が行われた費用便益分析マニュアル(以下「平成15年8月マニュアル」という。)においては,現在価値算出のための割引率は4パーセント,基準年次は評価時点,検討年数は供用開始後40年とされている。 c 起業者らは,本件各事業に係る事業認定申請時及びその後の事業再評価の際,その当時の最新のマニュアルである平成15年8月マニュアルに基づいて費用便益分析を実施したものであり,その点は妥当である。 費用便益分析を行う上で必要となる交通量の推計については,上記マニュアルに基づき,①発生集中交通量の推計,②分布交通量の推計,③路線配分の順序で行う「三段階推定法」により行っている。 また,その際にも,将来(本件においては平成42年)の自動車OD表による交通量配分のシミュレーションに先だって,当該道路ネ - 188 -ットワークの配分結果の精度を高めるため,現況(本件においては平成11年度)の自動車OD表による交通量配分の結果と,平成11年の道路 配分のシミュレーションに先だって,当該道路ネ - 188 -ットワークの配分結果の精度を高めるため,現況(本件においては平成11年度)の自動車OD表による交通量配分の結果と,平成11年の道路交通センサスで実測した交通量との比較を行い,配分交通量と実測交通量との関係性を相関係数により把握し,相関関係が高く,したがって,現況再現性が高いことを確認した上で,将来交通量の推計を行っている。このようにして求められた将来交通量から,上記マニュアルに基づいて便益及び費用の算定を行い,その結果は,便益が1兆4761億円,費用が5741億円となり,費用便益比(B/C)は,2.6と見込まれている。 d 他方,原告らは,本件事業認定時における費用便益分析について,対象となる道路網を極端に拡大している旨主張するが,仮に,道路網を広く設定した場合であっても,当該道路の整備の有無により交通の流れに影響がない区間であれば,その区間については時間短縮便益等が算出されないため,過大な評価になることがない。 また,原告らは,本件において費用便益分析に係るデータの開示を求めるところ,費用便益分析における将来交通量配分と費用便益分析に至る作業は,構築した道路ネットワーク,設定したQV式など,コンピュータ上に,道路交通センサスによって与えられる値を基に入力することにより設定されるもの,すなわち,交通量推計から費用便益に至るプログラミングされたプロセスの中で自動的に算定される一連の作業であり,費用便益計算に係る各リンクの延長(距離),交通量,速度及び旅行時間等のデータは,そもそもコンピュータ上に当初設定しただけのデータであったり,便益算定の過程で,理論上,一時的に必要になるデータにすぎず,費用便益計算やその前提となる交通量推計において網羅的に整理,保存する必要 ,そもそもコンピュータ上に当初設定しただけのデータであったり,便益算定の過程で,理論上,一時的に必要になるデータにすぎず,費用便益計算やその前提となる交通量推計において網羅的に整理,保存する必要がない。 したがって,それらを確認しながら作業を進めることやそれらのデ - 189 -ータを整理,保存することは不要であり,実際にも行っていない。 他方,原告らの求めるデータは,交通量推計及び費用便益分析の算定プロセスにおいて,いずれも必要であれば把握することが可能なデータであることは否定しないものの,費用便益分析においては,推計対象道路である圏央道の有無によるリンク別の交通量及び旅行時間が必要となるが,費用便益分析の観点からは,それらの交通量がいかなるものになるかは要求されていない。例えば,各リンクの交通量や旅行時間は便益を算定するためのデータにすぎず,これらを網羅的に整理したとしても数値の羅列であって特段の意味を持つものでない。 なお,原告らが指摘する平成18年12月に開催された関東地方整備局事業評価監視委員会(平成18年第3回)における圏央道八王子ジャンクションからα36間に係る費用便益分析については,本件各事業に係る事業認定申請及び本件事業認定の根拠資料とはされていない。 ウ本件起業地が本件各事業の用に供されることによって失われる利益について(ア) 本件起業地は,面積約27.6ヘクタールであり,移転を要する主な物件は住家35戸及び非住家24戸であるところ,本件起業地が本件各事業の用に供されることにより失われる利益としては,環境面及び文化面に与える影響が考えられる。しかるに,以下に述べるとおり,起業者らは,適正に予測及び評価を実施するなどし,この点について適切に対策を講じており,国土交通大臣は,本件各事業が環境面及び 面及び文化面に与える影響が考えられる。しかるに,以下に述べるとおり,起業者らは,適正に予測及び評価を実施するなどし,この点について適切に対策を講じており,国土交通大臣は,本件各事業が環境面及び文化面に与える影響の程度は軽微であると判断した。 a 本件圏央道事業等について(2)イで述べたとおり,本件圏央道事業等については,東京都環境影 - 190 -響評価条例に基づく環境影響評価が行われ,また,本件各事業に係る事業認定申請に当たっても,起業者らによる再予測及び評価がなされているところ,本件圏央道事業等の施行による環境への影響は軽微であるといえる。また,本件圏央道事業区間内には,「環境省レッドデータブック」等に掲載されているアキノハハコグサ等が生息しているが,起業者らは移植等の適切な措置を講じることとしている。さらに,本件圏央道事業区間内には,文化財保護法により起業者らが保護のため特別の措置を講ずべき文化財は見受けられない。したがって,本件圏央道事業等の施行により失われる利益は軽微であるといえる。 b 本件八王子南バイパス事業について(2)イで述べたとおり,本件八王子南バイパス事業については,東京都環境影響評価条例に基づく環境影響評価が行われ,また,本件各事業に係る事業認定申請に当たっても,起業者らによる再予測及び評価がなされているところ,本件南八王子バイパス事業の施行による環境への影響は軽微であるといえる。また,本件八王子南バイパス事業区間には,「環境省レッドデータブック」等に掲載されているエビネ等が生息しているが,起業者である国土交通大臣は移植等の適切な措置を講じることとしている。さらに,本件八王子南バイパス事業区間内には,文化財保護法により起業者である国土交通大臣が保護のため特別の措置を講ずべき文化財は見受け である国土交通大臣は移植等の適切な措置を講じることとしている。さらに,本件八王子南バイパス事業区間内には,文化財保護法により起業者である国土交通大臣が保護のため特別の措置を講ずべき文化財は見受けられない。したがって,本件八王子南バイパス事業の施行により失われる利益は軽微であるといえる。 (イ) なお,事業認定の際に起業者に対して環境影響評価を行うことを義務付ける法令上の規定は存在しないから,環境影響評価を行うことが事業認定を行うための法的義務又は要件であると解することはできない。 エ事業計画の合理性について - 191 -国土交通大臣は,以下に述べるとおり,本件各事業の事業計画は,道路構造令等に定める規格に適合していることなどから,合理性があると判断した。 (ア) 本件圏央道事業等について本件圏央道事業等は,東名高速道と中央自動車道が連絡することによる広域的な利便性の向上及び一般国道16号等の交通の分散による交通渋滞の緩和を主な目的とし,道路構造令に定める第1種第3級の規格に基づく4車線の自動車専用道路を建設する事業であり,本件圏央道事業等の事業計画は,道路構造令等に定める規格に適合している。 また,本件圏央道事業等の事業計画は,平成元年3月13日以降順次都市計画決定されており,事業計画の基本的内容は,これらの都市計画と整合している。したがって,本件圏央道事業等の事業計画は合理的であるといえる。 (イ) 本件八王子南バイパス事業について本件八王子南バイパス事業は,一般国道20号の交通の分散による交通渋滞の緩和を主な目的とし,道路構造令に定める第4種第1級の規格に基づく4車線の道路を建設する事業であり,本件八王子南バイパス事業の事業計画は,道路構造令等に定める規格に適合していると認められる。また,本件八王 な目的とし,道路構造令に定める第4種第1級の規格に基づく4車線の道路を建設する事業であり,本件八王子南バイパス事業の事業計画は,道路構造令等に定める規格に適合していると認められる。また,本件八王子南バイパス事業の事業計画は,平成9年2月24日に都市計画決定されており,事業計画の基本的内容は当該都市計画と整合している。したがって,本件八王子南バイパス事業の事業計画は合理的であると認められる。 (6) 土地収用法20条4号の要件適合性についてア土地収用法20条4号は,事業認定の要件として,当該事業が,土地を収用し,又は使用する公益上の必要性があることを規定しているところ,この要件は,土地収用法20条3号に規定される要件によって事業計画自 - 192 -体の合理性が肯定される場合であっても,当該土地を取得するのに強制的な土地収用という手段を用いるだけの「公益上の必要性」があることを要する旨規定したものであり,①収用ないし使用という取得手続をとることの必要性が認められるか否か,②その必要性が公益目的に合致しているか否か,との観点から判断されるべきである。 イ申請事業を早期に施行する必要性(ア) 本件圏央道事業等について国土交通大臣は,申請事業を早期に施行する必要性について,以下のように判断した。 すなわち,(5)イ(ア)a(b)に述べたとおり,現在,一般国道16号等の交通量が多く,慢性的に交通渋滞が発生していることから,できる限り早期に交通渋滞の緩和を図るとともに,広域的利便性についても,早期に実現させる必要があると認められる。また,首都圏中央連絡道路建設促進協議会等より,本件圏央道事業等の早期完成に関する強い要望もある。さらに,都市再生本部が平成13年8月28日に決定した「都市再生プロジェクト(第二次決定)」に れる。また,首都圏中央連絡道路建設促進協議会等より,本件圏央道事業等の早期完成に関する強い要望もある。さらに,都市再生本部が平成13年8月28日に決定した「都市再生プロジェクト(第二次決定)」においても本件圏央道事業区間の早急な整備が求められている。以上のことから,本件圏央道事業等を早期に施行する必要性は高いと認められる。 (イ) 本件八王子南バイパス事業について(5)イ(イ)aに述べたとおり,一般国道20号の交通量が多く,慢性的に交通渋滞が発生していることから,できる限り早期に交通渋滞の緩和を図る必要があると認められる。また,首都圏中央連絡道路建設促進協議会等より,本件八王子南バイパス事業の早期完成に関する強い要望がある。したがって,本件八王子南バイパス事業を早期に施行する必要性は高いと認められる。 ウ本件起業地の範囲及び収用又は使用の別の合理性について - 193 -国土交通大臣は,本件各事業に係る起業地の範囲は,本件各事業の事業計画に必要な範囲であると認めた。また,収用の範囲は,すべて本件各事業の用に恒久的に供される範囲にとどめられ,それ以外の範囲は使用としていることから,収用又は使用の範囲の別についても合理的であると認めた。 エ以上のことから,国土交通大臣は,本件各事業には,土地を収用し,又は使用する公益上の必要があると認め,土地収用法20条4号の要件に適合すると判断したものであり,その判断内容にも不合理な点はない。 (7) 環境影響評価に係る手続違反について本件各事業は,平成5年12月に工事着手し,環境影響評価法が施行された平成11年6月12日時点において既に工事の実施中であったことから,環境影響評価法の対象事業とはならないし,環境影響評価法には,事業の実施後において環境影響評価を再度行うことを 響評価法が施行された平成11年6月12日時点において既に工事の実施中であったことから,環境影響評価法の対象事業とはならないし,環境影響評価法には,事業の実施後において環境影響評価を再度行うことを義務付ける規定はない。 また,現行の東京都環境影響評価条例63条及び64条に定める環境影響評価の再実施について,同条例63条は,同条例62条に基づく事業内容の変更に伴い変更届があった対象事業についての環境影響評価の手続の再実施に係る規定であるところ,本件各事業は,同条例62条に掲げる事項の変更に該当しないため,当該変更届を提出していない。また,同条例64条は,環境影響評価書の縦覧期間の満了後5年を経過した後に工事に着手しようとする場合に,かかる事情変更に伴う環境影響評価の手続の再実施に係る規定であるところ,本件各事業は平成元年2月21日に環境影響評価書の縦覧を終了し,平成5年11月8日付けで着工届を提出しており,5年を経過していないことから,当該規定に該当せず,環境影響評価の手続の再実施は要しない。 さらに,既に述べたとおり,環境影響評価を行うことは,土地収用法に基づく事業認定を行うための法的義務又は要件ではない。 - 194 -そして,本件各環境影響照査は,本件各環境影響評価以降に得られた新たな知見に基づき,本件各事業の施行が環境に及ぼす影響について補足的に照査を行っているものであり,これは,東京都環境影響評価条例によって義務付けられた事後調査ではなく,その結果は,土地収用法に基づく事業認定を受けるに当たり,参考資料として起業者らから提出されたものにすぎない。 以上のとおりであるから,原告らが指摘するような環境影響評価に係る手続違反は存在しない。 (8) 本件における都市計画決定手続について都市計画法に基づく都市計 ら提出されたものにすぎない。 以上のとおりであるから,原告らが指摘するような環境影響評価に係る手続違反は存在しない。 (8) 本件における都市計画決定手続について都市計画法に基づく都市計画決定手続と土地収用法に基づく事業認定の手続は,その根拠法令,目的,効果を全く異にするものである上,連続した一連の手続となっているものでもない。したがって,都市計画決定手続の重大かつ明白な瑕疵により当該都市計画決定が無効な場合は,事業認定の要件に影響を与える可能性があるとしても,そのような場合を除き,都市計画決定手続の瑕疵が当然に事業認定に承継されるということはできない。 また,都市計画の案を作成するに当たって住民の意見を反映させるための措置を講ずるか否は,都市計画決定権者である都道府県知事(ただし,平成11年法律第87号による改正後は都道府県)の裁量にゆだねられており,原告らが主張する関係市町村での説明会は任意で開催されるものにすぎないから,同説明会における説明内容いかんは都市計画決定の違法事由にはならない。 さらに,都市計画法18条1項の規定に基づく関係市町村の意見聴取についても,都道府県知事は,特段の事情がある場合を除き,関係市町村の意見に拘束されることなく,都市計画決定をすることができるというべきである。 (9) 自然公園法違反についてア原告らは,起業者らの,自然公園法に定める国定公園の特別地域内に工作物を設置するための協議に関する一連の手続が,同法56条1項に実質 - 195 -的に反しているなどと主張するが,原告らの上記主張においては,自然公園法に定める国定公園の特別地域内に工作物を設置するための協議に関する手続が,本件事業認定の適法性にどのように関係するのかが明らかでない。 また,起業者らは,本件圏央道事業 張においては,自然公園法に定める国定公園の特別地域内に工作物を設置するための協議に関する手続が,本件事業認定の適法性にどのように関係するのかが明らかでない。 また,起業者らは,本件圏央道事業がX70国定公園の特別地域内で施行されることから,自然公園法56条1項に基づき東京都知事に対して協議を行っており,東京都知事より異存ないとの回答を受けているのであって,自然公園法に違反しているという事実はない。 さらに,自然公園法56条1項の協議に際してどのような資料の提出を求めるのか,また,提出された資料についてどのように検討をするのかといった事柄は,原則として,当該行為を行う国の機関及び都道府県知事の判断にゆだねられており,協議の際に全く資料が提出されていなかったり,提出された資料について全く何の検討も加えられなかったというような特段の事情がない限り,同項の規定に違反するということはできないし,本件において上記のような特段の事情はない。 イ原告らは,本件各事業がX47談話に反している旨を主張するが,X47談話に反することと本件事業認定の適法性判断との関係が明らかでない。 また,本件各事業については,上記のとおり自然公園法に基づく協議を適切に行うとともに,上記(2)イに述べたとおり,環境影響評価を適切に行っていることに加え,地下水への影響についても,(2)アに述べたとおり,十分な調査を行った上で,学識経験者等から構成される技術検討委員会を設置して,その施工方法等について慎重に検討してきたものであって,本件各事業がX47談話に反するとはいえない。 2 原告らの主張(1) 第4原告ら及び第5原告らの当事者能力及び原告適格等ア第4原告らについて - 196 -(ア) 第4原告らは,本件事業認定によって建設される圏央道事業に い。 2 原告らの主張(1) 第4原告ら及び第5原告らの当事者能力及び原告適格等ア第4原告らについて - 196 -(ア) 第4原告らは,本件事業認定によって建設される圏央道事業により破壊される危険のある高尾山の自然環境及び自らの生活環境に対する人格権ないし環境権を有する者である。 (イ) 土地収用制度は,公共の利益となる事業に必要な場合に,正当な補償を前提として土地等を収用又は使用するものであり(土地収用法1条),土地収用に当たっては,その土地を当該事業の用に供することが土地の利用上適正かつ合理的であることが要求されている(同法2条)。また,土地利用については起業地及び周辺環境に影響を及ぼすことが必然であるところ,土地収用法は,このような起業地及び周辺環境への影響が土地の利用上適正かつ合理的であることをも要求しているものであり,このことは事業認定について,事業計画が土地の適正かつ合理的な利用に寄与するものであることが要求されていること(同法20条3号)からも明らかである。そして,土地収用法20条3号適合性の判断に当たっては,事業認定により失われる自然環境,歴史環境,文化環境や道路供用によって生じるおそれのある騒音や大気汚染についても考慮されるように,土地収用により不必要に自然環境,歴史環境,文化環境を破壊し,周辺住民の生活環境を劣化させることのないようにすることが法の求めているところであるから,そのような自然環境,歴史環境,文化環境を享受する利益や周辺住民が生活環境を維持する利益も土地収用法の保護範囲に含まれるというべきである。その上で,原告適格を判断するに当たり勘案すべき利益の内容及び性質,害される態様及び程度として,①当該自然環境,歴史環境,文化環境自体がどのような価値を有しているか,②当該原告が当該自 きである。その上で,原告適格を判断するに当たり勘案すべき利益の内容及び性質,害される態様及び程度として,①当該自然環境,歴史環境,文化環境自体がどのような価値を有しているか,②当該原告が当該自然環境等との間でどのようなかかわり合いを有し,又は有してきたか,③当該開発行為により自然環境等がどのように改変されるかなどの個別具体的事情を総合的に考慮すべきである。 - 197 -本件において,高尾山は貴重な生態系を有するなどの価値を有し,本件起業地及びその周辺は貴重な自然環境,歴史環境,文化環境を有している。また,原告らは,これまでα13城跡や高尾山及びその周辺の貴重な自然環境,歴史環境,文化環境に親しみ,余暇活動や研究の対象とするなどしてこれを享受してきた。さらに,本件各事業により,従来の生態系等を維持することができないほどに自然環境が改変されるおそれが否定できず,巨大なジャンクションにより歴史環境,文化環境が半永久的に棄損される。 以上に述べた,処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するならば,第4原告らについて原告適格が認められるべきである。 なお,本件各事業については,目的を共通にする法令である東京都環境影響評価条例に基づく環境影響評価が行われているところ,環境影響評価が事業による環境への影響を考慮して,環境への配慮を求める制度である以上,当該事業により環境上の影響を受けると主張する者の原告適格は,関係法令である東京都環境影響評価条例により基礎付けられるというべきである。 イ第5原告らについて第5原告らは,本件事業認定によってその自然環境が破壊される危険のある高尾山の自然を保護する活動をしている自然保護団体であり,高尾山 り基礎付けられるというべきである。 イ第5原告らについて第5原告らは,本件事業認定によってその自然環境が破壊される危険のある高尾山の自然を保護する活動をしている自然保護団体であり,高尾山の自然環境を本件各事業から守ろうとする団体であるところ,これらの団体は,いずれも,団体としての組織が備えられており,団体が構成員から独立していることに加え,団体としての運営方法が確定していることなどから当事者能力を有する。また,第5原告らの原告適格を基礎付ける事実は次のとおりである。 - 198 -(ア) 原告X52は,平成12年1月に結成され,国史跡であるα13城跡全体を無傷のまま後世に残すための保存運動を進めることやα13城跡をはじめとする八王子地域で生息するオオタカの保護運動を進めることを目的とし,代表者は,原告X39である。 原告X52は,α13城跡及び高尾山周辺の自然環境,歴史環境,文化環境を保護しようとする目的で設立されており,これらを享受し保護しようとする利益は土地収用法の保護範囲に含まれると解されることに加え,同原告の構成員約180名のうち102名が高尾山及びα13城跡周辺に居住していること,同原告の構成員から環境利益保護のために裁判上,裁判外の手段を執ることが授権されていること,同原告が訴訟追行について十分な知識経験を有すること,同原告の構成員のすべてが訴訟を提起することは煩さであり,同原告が担当者となって訴訟を追行することが合理的であることなどからすれば,同原告は原告適格を有すると解するべきである。 (イ) 原告X53は,昭和60年に結成され,圏央道開発計画からα2・α40地区の自然を保護し,安全で美しい生活環境を育成することを目的に活動しており,代表者は,X54である。 原告X53は,α13城跡及び高 53は,昭和60年に結成され,圏央道開発計画からα2・α40地区の自然を保護し,安全で美しい生活環境を育成することを目的に活動しており,代表者は,X54である。 原告X53は,α13城跡及び高尾山周辺の自然環境,歴史環境,文化環境を保護しようとする目的で設立されており,これらを享受し保護しようとする利益は土地収用法の保護範囲に含まれると解されることに加え,同原告の構成員191名のうち189名が高尾山及びα13城跡周辺に居住していること,同原告の構成員から環境利益保護のために裁判上,裁判外の手段を執ることが授権されていること,同原告が訴訟追行について十分な知識経験を有すること,同原告の構成員のすべてが訴訟を提起することは煩さであり,同原告が担当者となって訴訟を追行することが合理的であることなどからすれば,同原告 - 199 -は原告適格を有すると解するべきである。 (ウ) 原告X55は,昭和60年6月に結成され,圏央道から高尾山とその周辺の自然を守ることを目的に昭和61年には圏央道計画の白紙撤回を求める13万名余の署名を東京都議会に提出し,その後も継続的に圏央道計画に反対する活動をしている団体であり,代表者は,原告X38である。 原告X55は,α13城跡及び高尾山周辺の自然環境,歴史環境,文化環境を保護しようとする目的で設立されており,これらを享受し保護しようとする利益は土地収用法の保護範囲に含まれると解されることに加え,同原告の構成員80名のうち25名が高尾山及びα13城跡周辺の八王子市内に居住していること,同原告の構成員から環境利益保護のために裁判上,裁判外の手段を執ることが授権されていること,訴訟追行について十分な知識経験を有すること,同原告の構成員のすべてが訴訟を提起することは煩さであり,同原告が担当者となっ 環境利益保護のために裁判上,裁判外の手段を執ることが授権されていること,訴訟追行について十分な知識経験を有すること,同原告の構成員のすべてが訴訟を提起することは煩さであり,同原告が担当者となって訴訟を追行することが合理的であることなどからすれば,同原告は原告適格を有すると解するべきである。 (エ) 原告X56は,昭和63年6月に結成され,高尾山の自然を守り,緑の街づくりをすすめることなどを目的に活動しており,代表者は,原告X57である。 原告X56は,α13城跡及び高尾山周辺の自然環境,歴史環境,文化環境を保護しようとする目的で設立されており,これらを享受し保護しようとする利益は土地収用法の保護範囲に含まれると解されることに加え,約1000名を超える同原告の構成員のうち375名が高尾山及びα13城跡周辺の八王子市内に居住していること,同原告の構成員から環境利益保護のために裁判上,裁判外の手段を執ることが授権されていること,訴訟追行について十分な知識経験を有するこ - 200 -と,同原告の構成員のすべてが訴訟を提起することは煩さであり,同原告が担当者となって訴訟を追行することが合理的であることなどからすれば,同原告は原告適格を有すると解するべきである。 (オ) 原告X32は,平成元年10月に設立され,八王子市α1の圏央道工事予定地の地主の協力を得て,土地の借地権を設定し,立木を保存するために2千数百本の立木を購入し圏央道から自然を保護する運動に共鳴する個人に立木を販売し,自然観察会や自然保護の学習会など継続的な活動を続けている構成員数約180名の団体で,代表者は,原告X38である。 原告X32は,α13城跡及び高尾山周辺の自然環境,歴史環境,文化環境を保護しようとする目的で設立されており,これらを享受し保護しよう 構成員数約180名の団体で,代表者は,原告X38である。 原告X32は,α13城跡及び高尾山周辺の自然環境,歴史環境,文化環境を保護しようとする目的で設立されており,これらを享受し保護しようとする利益は土地収用法の保護範囲に含まれると解されることに加え,同原告の構成員約180名のうち103名が高尾山及びα13城跡周辺の八王子市内に居住していること,同原告の構成員から環境利益保護のために裁判上,裁判外の手段を執ることが授権されていること,訴訟追行について十分な知識経験を有すること,同原告の構成員のすべてが訴訟を提起することは煩さであり,同原告が担当者となって訴訟を追行することが合理的であることなどからすれば,同原告は原告適格を有すると解するべきである。 (カ) 原告X30は,平成7年9月に結成され,高尾山の自然及び関連地域の住環境を守ることを目的に,圏央道及びそのアクセス道路関連の土地を取得してトラスト運動を行うため,旧×××番の土地及び△番の土地を構成員が購入して圏央道の工事に反対しているものである。 代表は,原告X58である。 原告X30は,α13城跡及び高尾山周辺の自然環境,歴史環境,文化環境を保護しようとする目的で設立されており,これらを享受し - 201 -保護しようとする利益は土地収用法の保護範囲に含まれると解されることに加え,同原告の構成員約89名のうち75名が高尾山及びα13城跡周辺の八王子市内に居住していること,同原告の構成員から環境利益保護のために裁判上,裁判外の手段を執ることが授権されていること,訴訟追行について十分な知識経験を有すること,同原告の構成員のすべてが訴訟を提起することは煩さであり,同原告が担当者となって訴訟を追行することが合理的であることなどからすれば,同原告は原告適格を有すると解す ついて十分な知識経験を有すること,同原告の構成員のすべてが訴訟を提起することは煩さであり,同原告が担当者となって訴訟を追行することが合理的であることなどからすれば,同原告は原告適格を有すると解するべきである。 (キ) 原告X59は,平成元年に設立され,登山,ハイキングを健康で文化的な活動として位置づけ,都民の間で普及,向上を図ることを目的に設立された団体で,その目的のために都民の要求に応じる活動や山岳自然保護を活動の柱とし,東京都近郊でハイキングに最適な山である高尾山,α13城跡の自然環境を守ることもその目的に合致する重要な活動と位置づけて高尾山,α13城跡の自然保護運動に積極的に取り組んでいる。構成員数は平成17年11月末現在で2918名で,代表者はX60である。 同原告の活動に係るα13城跡及び高尾山周辺の自然環境,歴史環境,文化環境を享受し保護しようとする利益は土地収用法の保護範囲に含まれると解されることに加え,同原告は,構成員が高尾山及びα13城跡周辺に居住している者を中心としているわけではないものの,一定の広域的な自然環境の保全を目的とする団体においては,その性質上,保全すべき環境の周辺住民が構成員に含まれることを厳格に要求すべきでないことや,同原告には,高尾山及びα13城跡の周辺地域である八王子市及び近隣市町村の団体によるX61があり,高尾山及びα13城跡の環境の有する歴史的,文化的,自然的,環境的及び景観的価値に愛着を持ち,これを保全しようとする活動を行っている - 202 -こと,同原告の構成員から環境利益保護のために裁判上,裁判外の手段を執ることが授権されていること,訴訟追行について十分な知識経験を有すること,同原告の構成員のすべてが訴訟を提起することは煩さであり,同団体が担当者となって訴訟を追行する ために裁判上,裁判外の手段を執ることが授権されていること,訴訟追行について十分な知識経験を有すること,同原告の構成員のすべてが訴訟を提起することは煩さであり,同団体が担当者となって訴訟を追行することが合理的であること,同原告の構成員のうち本件訴訟の原告となった者の比率が他の第5原告らに比べて低いことからも団体の任意的訴訟担当を認める合理性がより強く認められることなどからすれば,同原告が担当者となって訴訟を追行することが合理的であることなどからすれば,同原告は原告適格を有すると解するべきである。 (ク) 原告X62は,本件事業認定によってその自然環境が破壊される危険のある高尾山の自然を保護する活動をしている自然保護団体で高尾山の自然環境を本件各事業から守ろうとする団体であり,平成12年4月に発足し,都会における自然保護を目的に結成された。構成員数は35名であり,代表者は,原告X63である。上記に述べたのと同様の理由で,原告X62についても当事者能力及び原告適格を有するというべきである。 (2) 本件各事業の施行により原告らに生ずる重大な損害について本件各事業の施行により,次に述べるとおり,貴重な植物相を有し,多様な動物が生息するとともに,宗教的,歴史的価値を有する高尾山における自然環境や歴史的環境に被害が発生し,又は今後発生することが予想されるところ,これにより,上記環境を利用する多くの人々にとって重大な利用行為を阻害し,又は侵害することになる。 上記の環境利益又は共同利用行為による利益の享受は,環境権ないし環境利益及び景観権ないし景観利益として構成されるところ,十分な住民参加と情報公開の手続を経た合理的な意思決定によって変更された場合にのみその変更が認められるという意味で,法的保護に値するものであるから,上記被 - いし景観利益として構成されるところ,十分な住民参加と情報公開の手続を経た合理的な意思決定によって変更された場合にのみその変更が認められるという意味で,法的保護に値するものであるから,上記被 - 203 -害により失われる利益は本件事業認定に当たり,考慮されるべきである。そして,本件各事業がこの環境利益ないし景観利益に与える影響が甚大かつ深刻なものであることや,本件事業認定に係る手続及び本件各事業に係る収用手続においては,いずれも十分な住民参加等が行われず,かつ,上記に述べた共同利益への影響や失われる利益については全く考慮されていないことなどからすれば,本件各事業の施行は許容されず,本件事業認定は取り消されるべきである。 ア高尾山トンネルによる高尾山の地下水への影響について(ア) トンネル工事は,地下水の流れや水位に影響を与えるものであり,その結果,井戸の枯渇や植生への影響等の環境問題が生じる場合がある。そして,高尾山を構成するのは,中生界白亜系の小仏層群盆堀川層に属する砂岩,粘板岩の互層であり,西南西から東南東方向の一般走向を示し,同方向のしゅう曲軸に沿って激しくしゅう曲しており,これらの断層運動やしゅう曲活動に際しては,固化した岩盤の耐力を上回る力がかかったために,岩盤には大小様々な規模と形状の割れ目を生じている。風化作用も地表近くだけではなく,この岩盤の割れ目に沿って地下深所にまで達するため,岩質の劣化も著しい。そのため,高尾山の岩盤は,良好な岩質とされるA・B級(電研式岩盤分類法)の岩盤はほとんどなく,もろく,水を通しやすいC・D級の岩盤が主体を占めており,このような高尾山にトンネルを掘ることは,地下水に影響を与える可能性が極めて大きいものであり,ひいては,高尾山全体の水環境に影響を与え,高尾山にあるα18滝やα いC・D級の岩盤が主体を占めており,このような高尾山にトンネルを掘ることは,地下水に影響を与える可能性が極めて大きいものであり,ひいては,高尾山全体の水環境に影響を与え,高尾山にあるα18滝やα19滝にも影響が生じるとともに,高尾山の自然環境に重大な影響を及ぼす可能性がある。 (イ) 豊かな自然の水に支えられた環境が存在すること自体が人々の快適な環境にとって不可欠な要素であり,地下水は景観の維持にとって不 - 204 -可欠である。また,自然水は,安全な社会生活を支えるものであり,飲料や食品として享受されている。さらに,高尾山においては,地下水はゆう水となって登山する者ののどを潤しているとともに,高尾山には市民が自然を感じる場,修験道場として広く知られるα18滝及びα19滝があるなど,高尾山の自然水の恵みは,周辺住民及び高尾山を訪問する人々に多大な利益をもたらしている。 上記に述べた自然の水を享受する権利は憲法13条により保障されていることに加え,上記の高尾山の自然水について,①かつての高尾山の表参道であるα19滝道の入口付近に建築されたX64に付随する水飲み場を所有する原告X40は,慣行による引水の利用権を,②X64に付随する水飲み場を利用する高尾山への登山者は,高尾山の自然の水に接し,これでのどを潤す権利としての自由権を,③X65の清水の利用を認められた高尾山への登山者は,慣行による清水の利用権又は高尾山の自然の水に接し,これによりのどを潤す権利としての自由権を,③α18滝及びα19滝を訪問する者は,高尾山の重要な水の名所としてのα18滝及びα19滝の水を利用,鑑賞する権利としての自由権をそれぞれ有している。 しかし,本件各事業の施行により地下水脈が破壊され,井戸やゆう水等の枯渇が生じることにより,上記の各権利 としてのα18滝及びα19滝の水を利用,鑑賞する権利としての自由権をそれぞれ有している。 しかし,本件各事業の施行により地下水脈が破壊され,井戸やゆう水等の枯渇が生じることにより,上記の各権利が侵害される危険性が高い。 (ウ) 高尾山トンネル工事に先立つα13城跡トンネル等の工事においては,トンネル工事により,観測孔2の水位低下,八王子市α15町α16地区における井戸枯れ,α13城跡トンネルの北側2600メートルの位置にあるα32トンネル工事における沢の水枯れ,α17滝の水枯れ等の現象が発生しているが,起業者らは,かかる事態の発生を防止することはできなかった。高尾山トンネルの工事箇所の地層は, - 205 -α13城跡トンネルの工事箇所の地層と同様か,又はよりもろいものであるから,α13城跡トンネルと同様の工法で高尾山トンネルの工事が施行されれば,必ず水環境への影響が生ずるといえる。現に,平成19年5月に開始された高尾山トンネルの工事により,高尾山トンネル南側坑口付近の沢の水枯れや「X69跡」の由緒ある石塔が建つα25沢の水枯れ,ゆう水枯れ等が発生するとともに,高尾山トンネルの直上にある稲荷山尾根における土壌成分データに異常値が観測されるようになるなどの現象が発生した。 他方,起業者らが実施した地質調査及び水文調査における評価は正確なものとはいえないし,高尾山トンネル工事において,被告国が主張するような覆工止水構造を採用したとしても,完全な止水をすることは不可能であり,高尾山の地下水に与える影響を防止することはできない。 イ本件各事業が高尾山等の景観に及ぼす影響について(ア) 本件各事業によりα1地域に設置される八王子ジャンクション及び高架橋りょうの存在は,高尾山からの眺望景観を大きく損ね,その景観価値を破壊 イ本件各事業が高尾山等の景観に及ぼす影響について(ア) 本件各事業によりα1地域に設置される八王子ジャンクション及び高架橋りょうの存在は,高尾山からの眺望景観を大きく損ね,その景観価値を破壊するものである。 また,上記のとおり,高尾山トンネルの建設により水脈の破壊を起こすことは避けられない。特に,高尾山の北西側斜面は,凍結破砕作用による岩石の風化が活発で,表土が不安定な場所であるところ,ジャンクション付近からの自動車排ガスの汚染と気温上昇の影響を直接受けるとともに,アで述べたトンネル工事による水脈破壊が加速するおそれが高い。そのような事態が生じた場合,当該斜面に生育するブナ類への影響は必至であり,α18滝やα19滝の水枯れが十分に考えられる。 さらに,高尾山の南山麓である八王子市α3町には八王子南インタ - 206 -ーチェンジが設置されるところ,同町の幅約200メートルの狭い谷あいに,高さ約17メートル,南北約300メートル,東西約200メートルのインターチェンジが設置されるのであり,これにより高尾山の景観が大きく損なわれる。 (イ) 他方,本件環境影響評価1においては,本件圏央道事業等による景観の影響が少ない旨評価されているところ,本件環境影響評価1における代表的眺望地点の選定は適切でないし,景観変化の予測についても科学的合理性を欠いている。すなわち,東京都技術指針は,景観に関する環境アセスメントの対象範囲について,「対象事業の実施に伴う地形の改変,施設の設置等が景観に影響を及ぼすと予想される地域並びにその影響の内容及び程度とする。その場合,地域が一体として有している景観の特性に対する影響を含む。」と定めるところ,「景観への影響」としては,①主要な景観構成要素の改変の程度及びその地点からの眺望の変化の程度, 及び程度とする。その場合,地域が一体として有している景観の特性に対する影響を含む。」と定めるところ,「景観への影響」としては,①主要な景観構成要素の改変の程度及びその地点からの眺望の変化の程度,②代表的な眺望地点の改変の程度及びその地点からの眺望の変化の程度,③貴重な景勝地の消滅の有無又は改変の程度及び④圧迫感の変化の程度の4点が挙げられる。しかし,本件環境影響評価1は,次に述べるとおり,上記の点について誤った判断をしている。 また,本件環境影響評価2において,八王子南インターチェンジによる景観の影響が少ない旨評価し,その前提として,八王子南インターチェンジの建設が予定されている一般国道20号沿いの地域の市街地化が進んでおり,人工的景観要素が多く含んでいるとされているが,市街地化が進んでいるのは上記インターチェンジとは離れた地域であるから,このような評価は誤りである。 a トンネルによる景観破壊本件環境影響評価1においては,「高尾山周辺からα26川にかけ - 207 -ての地域は,山と谷筋の集落からなる自然に恵まれた地域であるが,この区間の約7割をトンネル構造で計画しており,自然的景観の主要な構成要素である山地の森林は大部分が保全されることから,このトンネル区間では景観の変化は生じない」として,高尾山トンネルによる高尾山に対する景観構成要素の改変がないと断定している。 しかし,高尾山トンネルは,高尾山の山体を貫くのであるから,高尾山の豊かな生態系や歴史的景観を構成している基盤的要素を破壊するものである。すなわち,高尾山の景観を構成するα19滝やα18滝などが地下水脈破壊により減水ないし枯渇等の影響を受けるおそれが大きいことに加え,山体にトンネルを通すことは地層や地下水脈など高尾山の基盤的構成要素を改変するもので 景観を構成するα19滝やα18滝などが地下水脈破壊により減水ないし枯渇等の影響を受けるおそれが大きいことに加え,山体にトンネルを通すことは地層や地下水脈など高尾山の基盤的構成要素を改変するものであり,山体を構成する地層,地下水脈は史跡や生態系への累積的影響にかんがみれば,高尾山トンネルの建設による景観価値の破壊は回復し難い重大な損失となる。 また,景観は,生態系的な価値に加えて,高尾山の完全性といった山体自体の価値を含むものであるが,山体を貫くトンネルは,この完全性を破壊するものである。したがって,本件環境影響評価1が高尾山トンネルによる景観の改変がないとした点は,著しい誤りである。 b 本件環境影響評価1は,α1地域の景観について,「人工構造物が出現することにより景観の変化が生じる」としつつ,結論として「地域景観の特性が大きく変化することはないと予測される」とする。当該人工物は,八王子ジャンクションや高架橋(α37橋)であるが,これらを設置することは,α1地域の自然と古くからの低層住宅地とが織りなす景観とは全く相いれない景観破壊であることからすれば,上記結論は常識に反するものであり,評価の信頼性を大いに損なうものである。 また, 本件環境影響評価1は, 「計画路線を中景域で望む眺望地 - 208 -点」を取り上げ,「切土盛土のり面に樹林の創造を行い,周辺景観上の一体化を図るほか,環境施設帯にも樹林の創造により橋りょう下部の遮へいを行うなどの対策を講じることにより,違和感,圧迫感,煩雑さは軽減され」るとして,上記人工物による景観の改変が大きくないとするところ,のり面での樹林の創造自体,自然林と調和するかどうか疑問であることをおくとしても,のり面を作ること自体が問題であり,植林によりその形態上の不調和をぬぐい去ることは困難 改変が大きくないとするところ,のり面での樹林の創造自体,自然林と調和するかどうか疑問であることをおくとしても,のり面を作ること自体が問題であり,植林によりその形態上の不調和をぬぐい去ることは困難である。 さらに,近景域で望む眺望地点についても,「橋りょう下部が大きく開放されていることから,構造物による圧迫感は比較的少ない」と予測するところ,通常人の視点で見たとき,このような予測ができるかは疑問であり,自然豊かな景観が長大な橋りょうに遮へいされ,巨大コンクリートが頭上高くから覆いかぶさる圧倒的な恐怖感が先に立つのが自然であるから,かかる予測ないし評価には客観性がなく,何ら合理的裏付けがない。 そして,本件のような巨大な人工構造物については,本来,第1に立地や配置,第2に規模や構造などにおいて,順次,その影響回避,低減措置が検討されるべきであるが,このような検討が一切されていない。 c 本件環境影響評価1は,ジャンクションによる高尾山からの眺望景観の変化において,現況景観の遠景について「自然豊かな雄大な景観」としつつ,「視野の中央に位置する中央自動車道のコンクリート吹付面が,人工構造物として目立っている。」と指摘する。しかし,中景の高尾山のイヌブナ林や遠景のα45山は,自然豊かな雄大な景観として高い景観価値を有する一方で,中央自動車道とのり面のコンクリート吹き付け面は,人工構造物として豊かな景観構成要素の一部を破壊し,景観価値を損ねているものの,この吹き付け面とは異なり,中 - 209 -央自動車道自体は,景観全体から見るとそれほど大きな占有領域を占めず,それほど大きな違和感がないとはいい得ることからすれば,上記現況景観の認識自体,適切な景観評価を欠いているものである。 次に,本件環境影響評価1は,本件圏央道事業等の ほど大きな占有領域を占めず,それほど大きな違和感がないとはいい得ることからすれば,上記現況景観の認識自体,適切な景観評価を欠いているものである。 次に,本件環境影響評価1は,本件圏央道事業等の完成後について,これらに代わって,「橋りょう主体のジャンクションに置き換えられる」とし,その評価を「新たに生じる切土・盛土のり面には樹林の創造を行うことにより,周辺の既存林との一体化をはかることができ」ることから,現在の「景観上の異物感はかなり減少すると予測される」とする。しかし,新規のり面の樹林創造では景観上の違和感が解消することができないことは上記のとおりであるし,既存のり面の植栽自体は別に評価されるべきである。また,既存景観では,中央自動車道の存在自体はそれ程顕著なものではないが,本件圏央道事業等により設置されるジャンクションの存在は異様であり,強い圧迫感を与えるものであり,明らかに豊かな自然景観を分断し,違和感を生み出すものである。 d 高架橋りょうによるα1地域の眺望景観の変化について,本件環境影響評価1は,現況景観について,「豊かな樹木に覆われたα46山とα45山を背景に,民家と梅林が落ち着いた,山間集落のたたずまいを見せている」と的確な指摘をしている。ところが,眺望景観の変化については,八王子ジャンクションや高架橋りょうにより現況景観が大きく変化するにもかかわらず,先述したとおり,橋りょう下部の空間やのり面等の樹林創造等により,圧迫感等が比較的小さいとする。 しかし,上記に述べたとおり,このような予測は合理性を有しない。 e ジャンクションや高架橋りょうによる住宅地からの眺望景観の変化について,本件環境影響評価1は,α1地域の住宅地として,「新興住宅地」を選び,眺望視点を駒木野公園として,そこからの眺望景観 - ジャンクションや高架橋りょうによる住宅地からの眺望景観の変化について,本件環境影響評価1は,α1地域の住宅地として,「新興住宅地」を選び,眺望視点を駒木野公園として,そこからの眺望景観 - 210 -について,「圧迫感が少ない」,「特性の変化が少ない」と予測している。しかし,α1地域は,旧甲州街道の沿道に古くからの民家を中心として形成された集落であり,山間集落的なまちなみ景観が中心である。その点で,少なくとも旧甲州街道沿いにある,α19滝口等を眺望視点として選択していない本件環境影響評価1は,その選択を誤ったものである。 また,眺望景観の予測において不可欠である,圧迫感の状況の調査地点として,圧迫感の影響が考えられる住宅地についても調査する必要があり,近接する住宅地付近の予測及び評価をすることが必要であるが,本件環境影響評価1はこれを欠いている。現実には,旧甲州街道沿いの北側の住居では,ジャンクションの構造物がその敷地の北側に迫り,居住者に堪え難い圧迫感をもたらしている。この近景の改変は住居の敷地に覆いかぶさるような印象を居住者に与えている。また,住居内の部屋で座るという通常の姿勢で窓の外をのぞくと,ジャンクションという巨大構造物により空がほとんど覆われている状態となる。 敷地及び住居内の室内からも見た極近景のこのような変化は,住居内における居住方法にも重大な影響を及ぼし,居住し続けることが困難となるものである。 f 八王子南インターチェンジが建設される八王子市α3町は自然豊かな地域である。本件環境影響評価1においてもその点は認めていながら,「計画路線を中景域で望む眺望地点」を取り上げ,「切土盛土のり面に樹林の創造を行い,周辺景観上の一体化を図るほか,環境施設帯にも樹林の創造により橋りょう下部の遮へいを行うなどの対策を講 ていながら,「計画路線を中景域で望む眺望地点」を取り上げ,「切土盛土のり面に樹林の創造を行い,周辺景観上の一体化を図るほか,環境施設帯にも樹林の創造により橋りょう下部の遮へいを行うなどの対策を講じることにより,違和感,圧迫感,煩雑さは軽減され」るとして,上記人工物による景観の改変が大きくないとする。そもそものり面での樹林の創造自体,自然林と調和するかどうか疑問であるが,その点は - 211 -おくとしても,のり面を作ること自体が問題であり,植林してもその形態上の不調和をぬぐい去ることは困難である。しかも,本件環境影響評価1においては,八王子南インターチェンジによる人工構造物自体が高尾山を中心とする自然景観を破壊していることを全く考慮していない。 ウ大気汚染による損害(ア) 本件環境影響評価1においては,圏央道の建設により,1日平均4万3800台の車が流入することが予想されている。今日,東京の大気汚染状況は深刻さを増しており,1日5万台近い交通量の増加により,付近住民の健康被害をもたらす危険性は極めて高い。特にα1地域は古くからの住宅地であり,豊かな自然に囲まれた良好な住環境を保ってきたにもかかわらず,1日5万台近い交通量が増えれば,α1地域の大気汚染による住民の健康被害が生じる。 (イ) 本件各環境影響評価及び本件各環境影響照査における大気汚染予測の前提条件に関する問題点a 本件環境影響評価1においては,交通量予測の重要な前提条件である自動車保有台数(全国)について平成12年には約5800万台となると予測したが,平成12年7月の実数は約7526万台であり,30パーセント近くものかい離がみられる。かかる大きなかい離は圏央道の交通量予測にも大きく影響することは必至であり,再予測が必要であった。 b 本件環境影 12年7月の実数は約7526万台であり,30パーセント近くものかい離がみられる。かかる大きなかい離は圏央道の交通量予測にも大きく影響することは必至であり,再予測が必要であった。 b 本件環境影響評価1においては,走行車両が自動車専用道路の法定速度である80キロメートル/時を遵守することを前提とし,本件環境影響評価2及び本件環境影響評価3においても同様の前提とされているが,渋滞等がない限り80キロメートル/時を維持する車は皆無であり,100キロメートル/時から120キロメートル/ - 212 -時で走行する車両がほとんどであることは常識である。原告らが,平成14年3月に中央自動車道を通行する自動車の走行速度について調査をしたところ,昼間及び夜間の双方で,平均速度は80キロメートル/時を超えていた。 速度と窒素酸化物,SPM,二酸化炭素等の大気汚染物質の濃度との関係については,走行速度が60キロメートル/時となるときに排出係数ないし排出量が最低となり,走行速度が上昇すれば排出係数ないし排出量も上昇する。したがって,その観点からも,実態と異なる80キロメートル/時を前提にすることは不相当である。 c 本件各環境影響評価においては,二酸化窒素の将来予測につき,将来の削減計画が勘案されているが,この削減計画は達成されていない。例えば,被告東京都の削減計画も平成9年策定の環境基本計画では平成12年までにおおむね環境基準を達成し,平成17年までに全測定局で環境基準を達成するという目標を設定していたが,この目標は実現することができなかった。環境影響評価においては,実現可能な到達率を前提として予測を行うべきであり,そのような前提に立って予測をしていれば,本件各環境影響評価の結果が大きく異なるものとなったことは明らかである。 本件 環境影響評価においては,実現可能な到達率を前提として予測を行うべきであり,そのような前提に立って予測をしていれば,本件各環境影響評価の結果が大きく異なるものとなったことは明らかである。 本件各環境影響照査において予測がされているSPMについても,将来の削減計画を勘案して予測がされているところ,大気汚染物質の削減計画等については,当該基準の達成状況,環境基本計画等の目標又は計画の内容等と調査及び予測の結果との整合性が図られているかについて検討されるべきであり,未達成の計画を勘案することは許されない。そして,SPMについては,平成14年の時点ではすべての自動車排出ガス測定局(以下「自排局」という。)で環境基準を達成することができなかったところ,現実の到達率や実現 - 213 -可能な到達率を前提として予測を行ったならば本件各環境影響照査における予測結果と大きくかい離したものとなったのは明らかであり,起業者らは上記未達成の事実を認識していたにもかかわらず,かかる削減計画を勘案する不公正な予測を行ったものである。 (ウ) 二酸化窒素に係る大気汚染予測の問題点a 本件各環境影響評価においては,圏央道の建設によりα1地域の二酸化窒素の濃度は,八王子ジャンクション部分で年平均値で約0. 018ppmになると予測されており,環境基準である年平均値0. 03ppm以下を下回ると結論付けられている。 b しかし,α1地域の八王子ジャンクション部分の単に1地点だけでは,地域における面的汚染状況については判然としない。 原告らが実施した調査によれば,現状でも中央自動車道の影響による高濃度の二酸化窒素汚染があり,環境基準を超過する場所が二,三か所認められる上,圏央道が完成すると,α1地域では広範な二酸化窒素の汚染が発生する。原告らの調査にお ,現状でも中央自動車道の影響による高濃度の二酸化窒素汚染があり,環境基準を超過する場所が二,三か所認められる上,圏央道が完成すると,α1地域では広範な二酸化窒素の汚染が発生する。原告らの調査においては,①換気塔からの排出を考慮しない場合,②換気塔の影響を考慮しながらも,換気塔の高さからそのまま排ガスが拡散していくこと(実煙突高から拡散)を前提にした場合,③換気塔の影響を考慮し,しかも有効煙突高,つまり煙突からの通常の大気の拡散を前提に,Moses&Carson方式(熱のある排ガスの拡散で用いられる方法)で予測した場合,④換気塔の影響を考慮し,かつ,有効煙突高を前提に,Brigss・ダウンウオッシュ式(熱のないガスの吹き上げ方式)で予測した場合の4種類の予測をしたが,いずれの場合にも,α1地域の広範な地域に環境基準以上の汚染が広がることが判明した。 c(a) 他方,本件各環境影響評価における調査結果と原告らの調査結果においては,二酸化窒素の汚染レベルは全く異なっているとこ - 214 -ろ,その原因は拡散モデルとして,本件各環境影響評価がプルーム・パフモデルで予測したのに対し,原告らは3次元流体モデルで予測をしたことにある。 (b) プルームモデルは有風時の予測であり,パフモデルは無風時(弱風)の予測モデルであるところ,プルームモデルは,構造物や地形等が調査対象地域の中で均一であることが前提とされている。 しかし,α1地域は長さ約4.5キロメートル,尾根の高さでの谷幅500ないし800メートルのV字谷の峡谷で,そこに多くの沢が流入している。また,北側山腹に中央自動車道が走り,その上に巨大なジャンクションが建設され,地上30メートルには換気塔も建設される。風向も風速も高さや地域によって複雑に変わり,強い接地逆転層があることも ている。また,北側山腹に中央自動車道が走り,その上に巨大なジャンクションが建設され,地上30メートルには換気塔も建設される。風向も風速も高さや地域によって複雑に変わり,強い接地逆転層があることも確認されている。このような複雑な地形であるα1地域でプルームモデルを適用することは誤りであるし,原告らの調査によると,α1地域でプルーム・パフモデルを適用して予測を行うと,実測値より過小な計算値が算出されることが判明している。かかるプルームモデルの限界については,様々な文献で指摘されており,例えば昭和58年手引きにおいては,「気象条件及び物質の排出条件の時間的変化,臨海部における海陸風の循環,複雑地形の影響等を考慮しなければならない場合には,(プルーム・パフモデルではなく)差分モデルの利用を検討する」としている。 また,被告国は,風洞実験によってプルーム・パフモデルによる予測の妥当性を確認していると主張するが,強い接地逆転層が発生するα1地域で,接地逆転層の把握のために風洞実験を行うことは適切ではない。 さらに,本件各環境影響評価で用いられた拡散幅は,「道路環 - 215 -境整備マニュアル(平成元年1月)」どおりの拡散幅であるところ,「大気汚染の予測手法の適用性に関する調査業務報告」(平成9年3月)においては,上記マニュアルの予測手法が適用できるのは,拡散幅設定条件からみた適用範囲を高架で13メートル以下,予測範囲は横断面で150メートル,鉛直高さで18メートルの範囲とされており,八王子ジャンクションは,これより格段に大きく,予測範囲も格段に広いのであり,拡散幅の限界を超えている。 そして,起業者らは,上記プルームモデルについて,現状の交通量,排出係数によってシミュレーションを実施し,現実に観測されている大気汚染濃度 範囲も格段に広いのであり,拡散幅の限界を超えている。 そして,起業者らは,上記プルームモデルについて,現状の交通量,排出係数によってシミュレーションを実施し,現実に観測されている大気汚染濃度を再現するという現況再現シミュレーションを実施していない。 (c) 他方,原告らは,拡散モデルとして,3次元流体モデルを用い,地形や構造物の影響を考慮したモデルにより予測を行い,その結果高濃度の汚染状況が広がることが予測したものである。 なお,3次元流体モデルで必要なのは,構造物及び地形の影響を受ける前の風のデータであり,本来であればα1地域の上空で,一定の高度で区切って観測したデータを使うのが理想的な方法である。しかし,α1地域ではこのような観測が行われていないため,本来必要なデータが存在しない。そのため,原告らの当初の予測では,年間データがあり,しかもα1地域に最も近く,かつ,地形的影響のより少ないα6町測定局のデータを使用した。また,原告らの当初の予測では,計算量の限界の観点から,日交通量を使用したところ,上記モデルで算出するのは年平均値であり,年平均値で換算すれば,日交通量で計算しても時間交通量で計算しても,それほど大きな違いは生じない。 - 216 -ただし,原告らは,被告国の指摘を踏まえ,①気象モデルについては,α1地域並びに八王子市内のα6町測定局以外のデータ(α33町及びα34町)のデータを用いる,②日交通量ではなく時間交通量を用いる,③換気塔からの影響は考慮しないとの各前提に立った追加調査を行ったところ,いずれの気象データを用いた予測を行っても,環境基準以上の汚染がα1地域に現れるとの結果となった。 d 本件各事業の建設予定地には接地逆転層が生じ,それが発生したときには大気汚染による重大な被害が発生す 象データを用いた予測を行っても,環境基準以上の汚染がα1地域に現れるとの結果となった。 d 本件各事業の建設予定地には接地逆転層が生じ,それが発生したときには大気汚染による重大な被害が発生するおそれがあることから,本件各環境影響評価においては,他の地域における実験結果から類推するという確度の低い予測ではなく,個別に現地調査及び実験を行った上で予測をすべきであったにもかかわらず,そのような調査がされていないとの問題がある。 (エ) SPMに係る大気汚染予測の問題点a 近年,SPMについては人体への健康被害,特に呼吸器疾患を起こす原因物質としてその危険性が指摘されている。しかし,本件各環境影響評価においてはSPMの予測がされていない。しかし,本件環境影響評価1が公表されたのは昭和63年12月であるところ,昭和63年3月に,既に環境庁(当時)は「浮遊粒子状物質予測解析調査」を発表し,SPMの予測手法を紹介しているから,限定された手法であったとはいえ予測は可能であり,その後策定されたマニュアル等の存在も勘案すれば,遅くとも,本件各環境影響照査が行われた時点では予測が可能であった。 b 原告らは,SPMについて,二酸化窒素と同様に,地形構造物の影響を考慮することができる3次元流体モデルでの予測を行った。 この予測では,自動車排ガス管から直接排出される固体の粒子状物 - 217 -質である1次粒子に限定して調査を実施しているが,実際にはガス状物質として排出され,化学変化を受けて粒子物質になる2次生成粒子も存在する。自動車排ガス由来の1次粒子と2次生成粒子の比率はおおむね1対1とされているため,予測結果以上の汚染が実際には広がるものである。そして,実煙突高で想定した場合,有効煙突高をMoses&Carson式で予測した場合 の1次粒子と2次生成粒子の比率はおおむね1対1とされているため,予測結果以上の汚染が実際には広がるものである。そして,実煙突高で想定した場合,有効煙突高をMoses&Carson式で予測した場合及び有効煙突高をBriggs・ダウンウォッシュ式及びHuber式で予測した場合のいずれについても,広範囲にわたって環境基準以上の汚染が予測された。 c 被告国は,近年の規制等により,東京都内のSPM濃度が安定してきている旨を主張するが,従前は,東京都内の自排局で100パーセント環境基準を達成することができないという異常な状態であったものが,規制の開始により効果が劇的に現れているものにすぎず,今後同様にSPMの濃度の改善が進むかどうかは全く予測することができない。また,SPMの中でも特に深刻な健康被害をもたらすおそれがある微小粒子状物質(いわゆるPM2.5)の濃度については必ずしも改善していない。工事の完成していない本件各事業区間については,早急にPM2.5についての調査と工事完成後の予測を行うべきである。 (オ) 本件八王子南バイパス事業についてa 本件八王子南バイパス事業により八王子南バイパスが建設されるところ,同バイパスは八王子市α5までの住宅街や医療施設,教育施設のすぐ近くに建設されるのであり,大気汚染の影響を否定することはできない。 b 本件環境影響評価3においてもSPMについて調査が行われていない。他方,二酸化窒素,二酸化いおう及び一酸化炭素につい - 218 -ては調査が行われており,人間の呼吸器に悪影響を及ぼすとされる二酸化窒素の日平均値について,いずれも環境基準である0. 06ppmを下回るとされているが,その前提とされた交通量が過少に評価されている。 (カ) 以上のとおり,本件各事業により,二酸化窒素及 る二酸化窒素の日平均値について,いずれも環境基準である0. 06ppmを下回るとされているが,その前提とされた交通量が過少に評価されている。 (カ) 以上のとおり,本件各事業により,二酸化窒素及びSPMにつき,環境基準を上回る高濃度の大気汚染が生じることが予測され,これにより,付近住民,特にα1地域の住民について,環境基準以上の高濃度汚染が生じる結果,健康被害が生じる危険性が高い。 エ騒音被害について(ア) 本件環境影響評価1において前提とされている自動車保有台数(全国)の予測値が過少であるとの問題点があることは大気汚染に係る環境影響評価の場合と同様である。また,走行車両の速度が上昇すれば騒音の値が上昇することを勘案すれば,本件各環境影響評価において走行車両が自動車専用道路の法定速度を遵守することを前提とされていることは,大気汚染に係る環境影響評価の場合と同様に,騒音被害の実態を反映しないものであるといえる。 (イ) 本件環境影響評価1及び本件環境影響照査1においては,α1地域の圏央道による騒音予測につき,緩和された「道路に面する地域」の環境基準を適用して,環境基準以下であるから問題がない旨結論付けられている。すなわち,上記結論の前提として,α1地域の原告らの住宅地を「道路に面する地域」であるとして,旧騒音環境基準においては夜間につきL50で50ホン(A),現騒音環境基準においては夜間につきLAeqで55デシベルを適用している。 しかし,旧騒音環境基準において「道路に面する地域」に関する環境基準に係る数値が定められた根拠は必ずしも明確ではなく,望ましい基準というよりは規制基準に近い数値であることなど基準策定時の - 219 -経過などからして,「道路に面する地域」の環境基準の適用範囲は,限定して考えるべきである。 しも明確ではなく,望ましい基準というよりは規制基準に近い数値であることなど基準策定時の - 219 -経過などからして,「道路に面する地域」の環境基準の適用範囲は,限定して考えるべきである。その上で,①評価の対象となる地域が「道路に面する地域」である場合に緩やかな環境基準が適用されることになったのは,当該道路周辺の地域住民が道路から利益を得ているためであるから,このような利益を受けていることが,上記緩和された環境基準が適用される必要条件というべきであること,②道路交通騒音の影響を受ける地域がすべて「道路に面する地域」であると解するとすると,A類型の住宅専用地域のほとんどが「道路に面する地域」に該当することになりかねないが,かかる解釈がされることを環境基準は想定していないこと,③現騒音環境基準は,「道路に面する地域」のうち「幹線交通を担う道路に近接する空間」における基準を更に緩和しているところ,その定義は,2車線以下の車線を有する道路の場合は道路端から15メートル,2車線を超える車線を有する道路の場合は道路端から20メートルと限定していることなどからすれば,「道路に面する地域」とは,道路に建物が接しているか又は面している地域,すなわち道路端から20メートル以内の地域を指すと解するべきである。そして,α1地域の民家はいずれも中央自動車道や圏央道の道路端から20メートル以上離れており,20メートル以内には原告らを含めて住民の住居は存在しないし,α1地域が中央自動車道や圏央道から利益を受けることはないから,α1地域のうち原告ら住民が居住する地域は,すべて,「幹線交通を担う道路に近接する空間」の背後地であり,少なくとも,現騒音環境基準におけるA地域の一般地域の基準値である,昼間(午前6時から午後10時まで)はLAeqで55デシベル る地域は,すべて,「幹線交通を担う道路に近接する空間」の背後地であり,少なくとも,現騒音環境基準におけるA地域の一般地域の基準値である,昼間(午前6時から午後10時まで)はLAeqで55デシベル以下,夜間(午後10時から翌日午前6時まで)はLAeqで45デシベル以下を適用すべきである。 そして,道路騒音に関する環境基準は,生理的,心理的,生活的影 - 220 -響も苦情もなく,生理的影響,聴取妨害,作業妨害はいまだ出現せず,睡眠影響は無視できるレベルであるとして決定されたものである以上,これらの被害を出さないためにも,上記環境基準を受忍限度として,これを超える騒音は違法なものと判断すべきである。 (ウ) 起業者らは,平成14年3月に「圏央道技術資料作成業務13G8報告書」を作成し,平成32年の試算交通量を基にした騒音に関する環境影響照査を行っているところ,α1地域における圏央道開通後の夜間の予測として,中央自動車道の遮音壁を3メートルにかさ上げする前提で,L50で49dB(A),LAeqで54デシベルと予測している。これらの結果は,旧騒音環境基準におけるA地域の住居専用地域の夜間の環境基準であるL50で40ホン(A)及び現騒音環境基準における同地域の夜間の環境基準であるLAeqで45デシベルをいずれも大幅に超える数値となっており,かつ,上記数値は,屋内の数値に換算するとLAeqで44デシベルとなり明らかに睡眠妨害が発生するレベルである。すなわち, 諸外国,国際機関の指針や近時の研究成果等を踏まえれば,騒音による睡眠妨害を防止するためには,屋内ではLAeqで30デシベル,LMaxで45デシベル以下とすべきであり,そのための屋外値は家屋の遮音効果を15デシベルと考えたとしてもLAeqで45デシベル,LMaxで60デシベル ためには,屋内ではLAeqで30デシベル,LMaxで45デシベル以下とすべきであり,そのための屋外値は家屋の遮音効果を15デシベルと考えたとしてもLAeqで45デシベル,LMaxで60デシベル以下とすべきであり,このような観点からは,上記数値は睡眠妨害の被害が発生するレベルである。他方,現騒音環境基準は,「道路に面する地域」について,合理的な理由もなく政治的配慮から家屋の遮音効果を15デシベルとして,屋外における夜間の環境基準を55デシベルとしているところ,この数値は,屋内では45デシベルに相当し,仮に,被告国が主張するように,α1地域に「道路に面する地域」の基準を適用するとしても,睡眠影響が生ずる水準にある。 - 221 -(エ) 平成17年11月1日午後10時から翌2日午前6時における原告X35宅の現況の騒音調査の結果によると,屋外はLAeqで61デシベル,室内はLAeqで47デシベルとの結果であり,原告らが主張するA又はB類型の住宅地の夜間の現騒音環境基準の基準値である45デシベルを16デシベルも超過する。その後,中央自動車道南側に高さ3メートルの遮音壁が設置されたものの,平成18年6月28日午後10時から翌29日午前6時における原告X35宅の屋外の騒音は,LAeqで59.2デシベル,LMaxで69.9デシベルであった。八王子ジャンクションの開通後は,原告X35宅の騒音の状況はほとんど変化していないものの,今後,高尾山トンネルの開通等により圏央道の交通量が増加すれば,現在以上の騒音の状況になることが予想される。また,平成21年11月13日から同月18日の夜間における原告X66宅の現況の騒音は,屋外でLAeqで48デシベルないし49デシベルであった。 また,原告らの予測によれば,地点予測では,夜間の騒音がLAe 1年11月13日から同月18日の夜間における原告X66宅の現況の騒音は,屋外でLAeqで48デシベルないし49デシベルであった。 また,原告らの予測によれば,地点予測では,夜間の騒音がLAeqで52デシベルから最高でLAeqで59デシベルの数値が予測され,A類型の地域夜間の一般環境基準であるLAeqで45デシベルを大幅に上回り,睡眠妨害が発生する危険な状況になることが予測されている。面的予測では,夜間の騒音レベルが昼間の騒音レベルより高くなり,原告らを含むα1地域の居住地全域はA類型の地域における一般環境基準であるLAeqで45デシベルを大幅に超え,すべてがLAeqで50デシベル以上の地域となり,LAeqで55デシベルから60デシベルの地域が多くを占め,最高ではLAeqで60デシベルの地域も予測されることが明らかになっている。夜間騒音であるLAeqで55デシベルから60デシベルを屋内値に換算するとLAeqで45デシベルからLAeqで50デシベルとなり,受忍限度 - 222 -を超える深刻な被害が発生する状況である。 (オ) 本件環境影響評価2によると,八王子南インターチェンジ付近の八王子市α3町□-3の地点は2車線の一般国道20号があり,道路沿道の騒音状況は,平成4年の調査であるが,夜間の騒音レベルがL50で59デシベルから夕方の騒音レベルがL50で67デシベルの間の騒音状況であり,すべての時間帯において旧騒音環境基準を超える騒音状況であることが明らかになっている。このL50の数値をLAeqに換算すると64デシベルから72デシベルとなり,既に八王子市α3町の一般国道20号の道路沿道の騒音被害の状況は,受忍限度を超える睡眠妨害の影響を受ける被害状況である。 (カ) 高尾山は,年間260万人もの人々が自然を楽しむために訪れ ルとなり,既に八王子市α3町の一般国道20号の道路沿道の騒音被害の状況は,受忍限度を超える睡眠妨害の影響を受ける被害状況である。 (カ) 高尾山は,年間260万人もの人々が自然を楽しむために訪れるとともに,薬王院という宗教施設もあり,歴史も古く,自然環境,宗教施設及び歴史環境が豊かである。また,α1地域には特別養護老人ホームや児童福祉施設もあるなど,α1地域及び高尾山の地域は自動車騒音から自然環境を守り人々の生活を守る必要がある地域であるから,住居のない高尾山登山道等についても,道路騒音に係る環境影響評価をすべきであり,かつ,東京都知事の指定を受けていなくても「特に静穏を要する地域」に適用される環境基準が適用されるべきである。 原告らの調査によれば,高尾山登山道においては,昼間は56デシベル,夜間は59デシベルの騒音が発生し,面的予測では昼間は50デシベルを超える騒音地域が登山道を含めて高尾山の北側斜面全体に広がることが予測されている。 オ振動被害について本件環境影響評価1においては,振動予測地点20地点中14地点においてがL10で45デシベル以上であるところ,本件各事業により設置される八王子ジャンクションは,8本のループ式で都道から地上約60メー - 223 -トルの高さに東西約800メートル,南北約300メートル,総延長約8キロメートルに及ぶ巨大なものであり,更にα13城跡トンネル南側坑口から高尾山トンネル北側坑口を結ぶ高架橋りょうは地上約60メートルの高さを通過することになるから,大きな振動被害の発生が予測される。 カ低周波空気振動による被害について起業者らは,α1地域において低周波空気振動に係る現況調査をせずに,都内の高架道路から発生する低周波空気振動の調査事例を参考にして,自動車専用道路の音圧レベル 低周波空気振動による被害について起業者らは,α1地域において低周波空気振動に係る現況調査をせずに,都内の高架道路から発生する低周波空気振動の調査事例を参考にして,自動車専用道路の音圧レベルの中央値70デシベルないし90デシベルと同程度と考えられるとして,低周波空気振動に係る評価の指標は未解明の部分が多くいまだ確立されていないとし,沿道住民の日常生活に支障のない程度のものと考えるとしているのみであるが,環境影響調査としては不十分である。α1地域においては,既に中央自動車道による低周波空気振動の被害が発生している。 本件各事業により設置される八王子ジャンクションは,8本のループ式で都道から地上約60メートルの高さに東西約800メートル,南北約300メートル,総延長約8キロメートルに及ぶ巨大なものであり,更にα13城跡トンネル南側坑口から高尾山トンネル北側坑口を結ぶ高架橋りょうは地上約60メートルの高さを通過する。このような高架橋りょうの自動車通行により,周辺住民に低周波空気振動による被害をもたらす。 キサウンドスケープに対する重大な侵害本件においては,サウンドスケープ,すなわち「個人又は社会によってどのように知覚され,理解されるかに強調点の置かれた音の環境」の観点からの環境影響評価がされていない。しかし,本件各事業の施行により,高尾山におけるサウンドスケープ,すなわち高尾山の有する「しずけさ」等が大きく損なわれ,これを希求して高尾山を訪問する者の利益を侵害する。 - 224 -また,本件各事業により,レクレーション・ノイズの問題,すなわち,屋外でのレクレーション活動によって発生する騒音の問題又は自然の恵沢を享受する場所においてその場に本来あるべきサウンドスケープを破壊するような音響が発生又は侵入する問題が発 ノイズの問題,すなわち,屋外でのレクレーション活動によって発生する騒音の問題又は自然の恵沢を享受する場所においてその場に本来あるべきサウンドスケープを破壊するような音響が発生又は侵入する問題が発生するところ,高尾山の平穏はこのようなレクレーション・ノイズからも保護される必要がある。 ク本件各事業によるオオタカへの影響を含む自然環境への影響について本件各事業により,自動車排ガスや騒音,光害等の影響が高尾山の特筆すべき豊かな生物多様性に深刻な影響を及ぼし,到底回復し難いものとなるおそれが大きい。また,アで述べたとおり,高尾山トンネルの工事により地下水への影響が生じ,高尾山の森林に深刻な影響が生ずる。さらに,平成8年4月の原告らの調査により,種の保存法により絶滅のおそれのある「国内希少野生動植物種」に指定されているオオタカが圏央道α13城跡トンネル北側坑口付近に営巣している事実が発見されたところ,平成10年9月(繁殖期後)から,圏央道α14橋の工事が始まるや,α13城跡のオオタカのふ化の数,巣立ちの数が漸減し,ついに,平成14年以降,オオタカは同地域での営巣を放棄してしまった。 ケ α1地域の生活環境への影響についてα1地域は,古い歴史を有し,集落として独自の文化を形成してきた地域であるとともに,自然が豊かな地域であり,その自然を求めて同地域に転居した者も多く,そのような地域であることから,児童福祉施設や老人保養施設が設けられている。本件各事業は,そのような地区にジャンクション,橋脚及び高尾山トンネルを建設しようとするものであり,これらの建造物によりα1地域の景観は変わり果て,文化・情操教育としての場も失われるとともに,住民に与え得る健康被害の不安は大きい。α1地域の住民は,既に中央自動車道を走行する自動車によってもたらされ らの建造物によりα1地域の景観は変わり果て,文化・情操教育としての場も失われるとともに,住民に与え得る健康被害の不安は大きい。α1地域の住民は,既に中央自動車道を走行する自動車によってもたらされる振動や騒音にも悩まされており,圏央道が建設されれば,それらが一層激化する。 - 225 -α1地域の風土は,視覚的な景観のみならず,きゅう覚,触覚,聴覚等総合的な意味で重大な危機にひんしている。さらに,住民は,先祖伝来の土地を守るか,手放すかの態度決定を迫られる状況にあり,本件各事業を受け入れる住民と反対する住民との間で深刻な対立が生じるなどα1地域における共同体そのものが分断されようとしている。 (3) 土地収用法に定める事業認定手続違反ア起業者らは,本件各事業に係る事業認定申請をする前段階として,土地収用法15条の14に基づく本件事前説明会を開催した。上記規定に基づく事前説明会については,平成13年の土地収用法の改正の際の参議院国土交通委員会における附帯決議の趣旨に照らし,起業者と利害関係人との間の質疑応答を実施するなど,実効性のあるものとするよう努めるべきであるが,本件事前説明会は,多数の参加者が質問をしようとしたのに,そのうちの一部の者しか質問することができず,しかも質問に対する回答の内容が不足しており,本件各事業に対する説明が不十分のまま打ち切られた。また,後日,再度の説明会を開催するよう要求があったにもかかわらず,再度の説明会は開催されなかった。したがって,本件事前説明会は,単に形式的に行われたものであり,実効性のあるものとするよう努められたとは到底いえないから,上記規定に違反するものである。 イ土地収用法23条は,当該事業の認定について利害関係を有する者から公聴会の開催の請求があったときは,公聴会を開催すること するよう努められたとは到底いえないから,上記規定に違反するものである。 イ土地収用法23条は,当該事業の認定について利害関係を有する者から公聴会の開催の請求があったときは,公聴会を開催することが義務付けられているところ,それが形がい化することのないよう,公聴会で述べられた住民等の意見を第三者機関に適切に伝えるとともに,公述人相互の間で質疑が行うことのできるような仕組みとするなど住民意見の吸収の場という公聴会の本来の役割を果たすような措置が講じられるべきであり,平成13年の土地収用法の改正の際の衆議院国土交通委員会及び参議院国土交通委員会においても同旨の附帯決議がされた。 - 226 -しかし,本件公聴会において,公述人相互の一問一答は拒否されるとともに,起業者らは,圏央道事業に疑問を有する公述人がした質問に真しに回答せず,後日文書で回答するとした質問に対してもいまだ回答をしていない。また,本件公聴会において起業者らが用意した公述人の中には,国土交通省の各種審議委員のみならず第三者機関とされる社会資本整備審議会の委員を務め,本件各事業につき第三者として公正な立場であるべき者がいた。 このような本件公聴会は,形式的に公聴会を開いたというのみであり,上記述べた公聴会の本来の役割を果たすような在り方とはほど遠いものであり,土地収用法の上記規定に反するものである。 ウ土地収用法25条の2は,国土交通大臣が事業認定に関する処分を行おうとするときには,あらかじめ社会資本整備審議会の意見を聴き,その意見を尊重しなければならない旨定め,第三者機関の意見聴取を義務付けている。その第三者機関は公平,中立であるべきであり,平成13年の土地収用法の改正の際の衆議院国土交通委員会及び参議院国土交通委員会の附帯決議においても「事業認定の中立 三者機関の意見聴取を義務付けている。その第三者機関は公平,中立であるべきであり,平成13年の土地収用法の改正の際の衆議院国土交通委員会及び参議院国土交通委員会の附帯決議においても「事業認定の中立性,公正性等の確保を図るため,社会資本整備審議会で事業認定に関する審議に関与する委員については,法学会,法曹界,都市計画,環境,マスコミ,経済界等の分野からバランスのとれた人選を行うとともに,事業認定の立場にある中央省庁のOBの任命は原則として行わないこと」,「同審議会における事業認定に関する審議には当該事業に利害関係を有する委員は加わらないようにするなど,運用の中立性,公正性等を確保するとともに,議事要旨の公開に努めること」とされている。 しかし,公共用地分科会の委員は,そのほとんどが国土交通省等の審議会の委員を歴任しており,その中立性に問題があるし,また,委員の構成についても,公共事業である道路建設の積極的推進者である経済界の有力 - 227 -委員は配置されている一方で,自然保護団体に関係する者はいないし,高尾山の自然に関連する環境問題,生態学,地質学等の専門家もいないとの問題がある。 また,公共用地分科会の庶務は国土交通省の収用認定に当たる部局が担当し,認定理由の原案を国土交通省側で作成し,公聴会の住民の発言に対する反論まで添付して委員に提出されるなどしており,第三者機関からの意見聴取の実効性を欠くものとなっている。 さらに,イに述べたとおり,本件公聴会で,起業者側の公述人として社会資本整備審議会の委員が公述するなど,同審議会の第三者性に疑問が持たれるようなことが行われたため,第5原告らは,同審議会の審議に当たり,審議の公正さと中立性の確保のために,当該委員の罷免や審議の公開,公共用地分科会の公開を求め,審議に当たっ の第三者性に疑問が持たれるようなことが行われたため,第5原告らは,同審議会の審議に当たり,審議の公正さと中立性の確保のために,当該委員の罷免や審議の公開,公共用地分科会の公開を求め,審議に当たって関係人の事情聴取や現場検証を実施するなどの慎重な審議を求めた。しかし,社会資本整備審議会は,これらの要請を考慮することなく,慎重な審議をすることなく本件事業認定が相当である旨の意見を述べた。 このような審議は,土地収用法の上記規定に反するものである。 エ土地収用法26条1項は,事業認定に当たり「事業の認定をした理由」を告示する旨を定める。これは,事業認定の判断の過程を公表することが,事業認定の公正の確保と透明性の向上を図ることになるとともに,事業認定が土地所有者等の権利をはく奪し又は制限する処分の重要な前段階という実質的不利益処分であることから,その理由を公表することが不利益処分について理由の付記を義務付けている行政手続法の趣旨に沿うことになるからである。しかし,本件事業認定の際に告示された「事業の認定をした理由」は,起業者らの意見をそのまま繰り返したもので,住民らの疑問には何ら答えようとしておらず,特に,α13城跡トンネル工事により生じた水枯れの問題等について,適切な措置を採っていると繰り返すのみで, - 228 -具体的な根拠等は何ら示していない。事業認定は,起業地内の関係人に一定の行為制限を課す不利益処分としての性格を有するのであるから,認定理由の公表に当たっては,いかなる事実関係を認定し,当該根拠規定に該当すると判断したのかについて具体的に記載することが必要であるが,かかる事項は一切記載されていない。したがって,このような告示は,土地収用法の上記規定に反する。 (4) 土地収用法20条2号適合性について被告国と日 いて具体的に記載することが必要であるが,かかる事項は一切記載されていない。したがって,このような告示は,土地収用法の上記規定に反する。 (4) 土地収用法20条2号適合性について被告国と日本道路公団(現在の参加人X1株式会社)は巨額な赤字を抱えることからすれば,起業者らは,土地収用法20条2号の事業を遂行する能力を有しておらず,また,次に述べるとおり,本件各事業を施行することは更なる巨額の財政赤字を招くものであるから,本件各事業は同条4号の要件を欠いているというべきである。 ア圏央道は総延長300キロメートルに及ぶ高速道路であるところ,本件事業認定の申請書によると,八王子ジャンクションと海老名北インターチェンジ間の全体計画27キロメートルに要する費用は工事費及び用地補償等の合計で6247億6000万円とされている。1キロメートル当たり231億円強を要する計算であり,これを総延長300キロメートルの圏央道の工事費に換算すると約7兆円の費用を要することになる。また,工事費が高額になるトンネル工事部分や今後の物価上昇等を考慮すると,総工事費は約10兆円に上る可能性がある。 他方で,被告国は,巨額の財政赤字を抱えており,その原因は道路事業等の不必要な公共事業への巨額な支出にある。また,日本道路公団は第4次全国総合開発計画に基づいて全国の高速道路や有料道路を建設し,既に巨額な負債を生み出しており,その道路建設による負債の償還が現実的には困難になっている。被告国や日本道路公団による高速道路や有料道路の建設をこのまま進め,巨額な負債をこれ以上国民に負担させることを防ぐ - 229 -には,現在ある高速道路計画及び有料道路計画をすべて凍結する必要がある。さらに,日本道路公団など旧道路4公団(日本道路公団,首都高速道路公団,阪神高 上国民に負担させることを防ぐ - 229 -には,現在ある高速道路計画及び有料道路計画をすべて凍結する必要がある。さらに,日本道路公団など旧道路4公団(日本道路公団,首都高速道路公団,阪神高速道路公団,本州四国連絡橋公団)は平成10年度時点で約43兆3500億円もの巨額な負債を抱えており,その約8割を占める約34兆9800億円が日本道路公団等による高速道路建設に伴う借入金である。しかも,上記旧道路4公団の事業は現在でも赤字が累積する構造となっており,更に巨額の投資をして高速道路整備を実行することは重大な誤りである。 イ本件環境影響評価1が行われたのは昭和63年12月であるところ,それ以降,圏央道の全体計画300キロメートルのうち開通したのは一部にすぎず,圏央道の全面供用の見通しは全く立っていない。そして,既に開通した圏央道の交通量は開通前の予測を下回り,赤字となっているとともに,上記開通した区間に平行する一般国道16号の1日当たりの交通量は,圏央道供用開始前に比べ目立った減少は見られていない。すなわち,圏央道はいわゆる赤字路線であり,今後もその事業効果が上がるとは考え難い。 (5) 土地収用法20条3号及び4号の要件適合性についてア広域的視点による利益について起業者らは,広域的な視点による利益として,①都心部の慢性的交通混雑の緩和及び首都圏全体の交通円滑化,②近郊都市の発展への貢献(地域間交流の拡大,産業活動の活性化)及び③首都圏全体の調和の取れた発展(一極集中型から多極型へ)の3点を主張しているが,これらの主張は,いずれも抽象的なものであり,かつ,次のとおり理由がない。 (ア) 都心部の慢性的交通混雑の緩和及び首都圏全体の交通円滑化について起業者らは,圏央道が都心から約40ないし60キロメートル圏に位置 れも抽象的なものであり,かつ,次のとおり理由がない。 (ア) 都心部の慢性的交通混雑の緩和及び首都圏全体の交通円滑化について起業者らは,圏央道が都心から約40ないし60キロメートル圏に位置する都市を相互に連絡することにより,都心部への交通の集中を - 230 -緩和すると主張している。しかし,単に東京に集中する交通をバイパスして東京都心に乗り入れる交通量を減少させるための目的であるならば,東京都心から約40ないし60キロメートルにあるのでは余り役に立たず,むしろ外かく環状道の方がより効果を上げることができるし,圏央道は,放射的性格を持つ道路と位置付けられるものであり,そのバイパス効果は限りなく小さい。 また,平成6年度道路交通センサスを前提とすれば,東京都区部の交通における通過交通の占める比重は5パーセントであったとされるが,圏央道建設による交通の分散効果に関係する都心部を起点又は終点としない交通量についての具体的な数値が示されたことはなく,抽象的な説明にとどまっている。道路交通センサスによれば,平成6年度の東京都区部内の交通量は459万7000台/日であったが,平成11年度には495万5000台/日となった。これは東京都区部における開発の結果であるが,その後も都心部では都市再生事業として大規模な開発が続いている。都心部の慢性的交通混雑の緩和を図るのであれば,道路建設によるのではなく,一極集中を促進するような開発の抑制又は開発によって生ずる交通需要を自動車交通に依存させないような方策をとらねばならない。他方で,平成32年の東京都区部内の交通量予測を見ると,平成6年道路交通センサスに基づくものが541万台/日とされていたものが,平成11年道路交通センサスに基づくものは506万台/日となっており,35万台/日も下方修 京都区部内の交通量予測を見ると,平成6年道路交通センサスに基づくものが541万台/日とされていたものが,平成11年道路交通センサスに基づくものは506万台/日となっており,35万台/日も下方修正されている。道路建設をするために交通量の過大予測がされていたことは歴史的事実であるが,絶対量としては,圏央道による転換効果(理論上の最大値は,圏央道以遠に起終点を持つ東京都区部通過交通量である4万台/日)を帳消しにする下方修正となっている。 都心部の慢性的交通混雑の緩和と首都圏全体の交通円滑化は,①地 - 231 -域内,広域のバス,LRT(軽量軌道交通)を含む路線電車,環状鉄道等の公共交通の整備,②パークアンドライド,ロードプライシング,貨物共同配送,駐停車禁止区域の設定と厳格な執行,住宅地内への進入禁止等によるTDM(交通需要管理),③過剰地域への局地的対策,④自動車の共同利用(カーシェアリング),⑤歩道,自転車専用路線の設定,バスベイの設定,交差点拡幅等の一般幹線の道路構造,交通流の改善,⑥一般主要環状幹線の交差点の立体化,踏切りの立体化等の様々な手法によって総合的にかつ費用効率的に対処すべき問題である。 (イ) 近郊都市の発展への貢献(地域間交流の拡大・産業活動の活性化)について本来,圏央道は,その沿道にX67,X68等の大規模な開発計画があり,そのための道路として位置づけられていた。しかし,これらの開発計画がいわゆるバブル崩壊後に実施されなくなったため,道路計画を維持するために新たな理由とされたのが地域経済の活性化という説明である。しかし,これらはいずれも抽象的な期待を述べるものにすぎず,圏央道によって具体的にどのように地域の産業活動の活性化がなされ得るのかが具体的に説明されたことはない。地域間交流を図るために 説明である。しかし,これらはいずれも抽象的な期待を述べるものにすぎず,圏央道によって具体的にどのように地域の産業活動の活性化がなされ得るのかが具体的に説明されたことはない。地域間交流を図るためには一般道路の方が優れており,自動車が通過するのみの自動車専用道路はむしろ都市を分断し,破壊してしまうおそれが高い。 (ウ) 首都圏全体の調和の取れた発展(一極集中型から多極型へ)について圏央道の建設により,首都圏全体が具体的にどのように調和の取れた発展がなされていくのか,その具体像は全く明らかになっておらず,極めて抽象的な説明にとどまっている。かえって,一極集中を促進することが明白な「都市再生プロジェクト」(第二次決定)の中に多極 - 232 -分散型の発展を志向するとされる圏央道の建設計画が位置付けられている矛盾があることからも,首都圏全体の調和の取れた発展との説明が具体性を欠いた建設のためのスローガンにすぎないことは明らかである。そもそも,道路建設により自動車交通を促進すること自体が,大気汚染,気候変動,ヒートアイランド現象等の問題を悪化させているのであり,鉄道とバスを中心とした公共交通機関の整備と交通需要管理こそが首都圏全体の調和の取れた発展に寄与するといえる。 イ地域的な視点による利益について起業者らは,地域的な視点による利益として,①慢性的な交通渋滞の緩和,②交通事故の減少,③自動車保有台数の増加への対処,④市街地生活道路の通過車両の減少,⑤地域の活性化と雇用の創出を挙げる。しかし,これらの主張は,いずれも抽象的なものであり,かつ,次のとおり理由がない。 (ア) 起業者らは,一般国道16号及び129号の慢性的な交通渋滞を緩和するために,バイパスとして圏央道が有用であると主張するようである。しかし,既に存在する あり,かつ,次のとおり理由がない。 (ア) 起業者らは,一般国道16号及び129号の慢性的な交通渋滞を緩和するために,バイパスとして圏央道が有用であると主張するようである。しかし,既に存在する一般国道16号八王子バイパスは有料であるために交通量が少ない。すなわち,一般国道16号八王子バイパス開通前後の一般国道16号(又は同バイパス無料部分)の交通量は,有料道路と既存無料道路で大きく異なっており,無料道路部分が比較的混雑しており,混雑度2以上の地点が2か所ある(多くは1.5前後からそれ以下となっている。)のに対し,有料部分へう回しない自動車が多いため,有料部分の混雑度はわずか0.4ないし0.6にとどまっている。中央自動車道と圏央道が接続された後も一般国道16号の大型車交通量はかえって増加しており,圏央道への転換効果は認められない。 次に,起業者らは,本件八王子南バイパスの効果として,中央自動 - 233 -車道へのアクセスが容易になることを挙げるところ,八王子市内から中央自動車道を利用する際に,さらに料金が必要な圏央道が経由される可能性は少ない。 また,起業者らは,α41ニュータウン及びα42ニュータウンの発展で市街化が進んで一般国道20号が更に機能を果たせなくなるために,本件八王子南バイパスが必要であるとしているが,一般国道20号沿線と上記ニュータウン地区は離れており,関連付けることはできないし,α41ニュータウン及びα42ニュータウンにおいては野猿街道,α41ニュータウン通り,尾根幹線及び一般国道16号が地域の幹線道路となっているため,一般国道20号の渋滞には寄与していない。一般国道20号には,既に八王子中心部にバイパスがあり,一般国道20号とほぼ同じ交通量を分担している。 さらに,一般国道16号については, なっているため,一般国道20号の渋滞には寄与していない。一般国道20号には,既に八王子中心部にバイパスがあり,一般国道20号とほぼ同じ交通量を分担している。 さらに,一般国道16号については,交通渋滞への対処からこれまで順次拡幅工事が行われ,2車線を4ないし6車線にする事業が進められており,更に巨費を投じて圏央道を建設する必要はない。 なお,被告国は,圏央道八王子ジャンクションからあきる野インターチェンジまでの区間が開通した後に一般国道16号等の交通量が減少し,渋滞が緩和されたと主張するが,これは,一般道路全体の交通量が減少したためであり,圏央道の上記区間の開通の効果とはいえない。 (イ) 多発する交通事故対策論について一般論として,交通事故対策として道路建設を行うことは費用対効果が著しく悪い。交通事故は,様々な手法を通じて総合的に対処されるべき問題であり,圏央道の建設によって解消される種類の問題ではないし,環状道路を整備することにより交通事故を減少する旨の被告国の主張は実際の交通事故件数のデータからも実証されていない。ま - 234 -た,一般国道16号における交通事故は,仮に道路整備による対処があり得るとしても,車線の拡幅等一般国道16号自体の道路整備により対処されるべき事柄であり,現にそのための整備がなされつつある。 さらに,現在問題となっている高齢者の事故の増加については,免許制度を改善することの方が有効である。 (ウ) 自動車保有台数の増加について起業者らは,本件各事業に係る事業認定申請の際,平成11年の時点で7146万台の自動車保有台数が平成42年には8116万台に増加することを前提にしている。しかし,現実には,平成12年ころから,東京都,神奈川県及び大阪府では自動車保有台数が横ばいか減少傾向で 点で7146万台の自動車保有台数が平成42年には8116万台に増加することを前提にしている。しかし,現実には,平成12年ころから,東京都,神奈川県及び大阪府では自動車保有台数が横ばいか減少傾向で推移しており,更に全国の自動車保有台数は,平成19年の7923万6095台をピークに,平成20年には7908万0762台,平成21年には7880万0542台に減少している。したがって,今後,巨費を投じて圏央道を開通させる必要はない。 (エ) 市街地生活道路の通過車両について(安全な道路交通環境の確保の必要性)圏央道の建設によって,例えば八王子市内においてどの道路の交通量が減少するのかが具体的に示されたことはない。その意味で,道路建設による通過車両の排除は抽象的な説明にとどまっている。仮に,一般国道16号の渋滞解消によりいずれかの生活道路の通過車両が減少するとしても,上記のとおり,一般国道16号の渋滞が圏央道建設以外の方法で解消され得ることから,圏央道を建設する必要性はない。 そもそも通過車両の減少には圏央道建設といった大掛かりな方法ではなく,例えば住宅地域内の速度制限,一方通行,右左折禁止等の通行制限,バンプ(車道の隆起),シケイン(車道の蛇行)等の物理的障害の設置といった対策による方が効果的かつ費用効率的である。 - 235 -(オ) 道路整備と地方経済との関係について道路を整備すると,その道路によって接続された経済的競争力が高い地域が競争力が低い地域の活力を吸い上げるという,いわゆるストロー効果が発生する。これにより,競争力の低い地域の商店が閉店するなどの影響が生じ,地域経済の衰退につながる可能性が高い。したがって,圏央道の建設により地域経済が活性化されるということはできない。 ウ圏央道建設による渋滞緩和効果につい い地域の商店が閉店するなどの影響が生じ,地域経済の衰退につながる可能性が高い。したがって,圏央道の建設により地域経済が活性化されるということはできない。 ウ圏央道建設による渋滞緩和効果について被告国は,圏央道の建設により,都心部通過交通の一部が圏央道に転換し,都心部の慢性的交通混雑の緩和と首都圏全体の交通円滑化に資すると主張するが,その具体的内容は主張立証されていない。 東京都区内の通過交通は約29万台/日であり,そのうち圏央道の外側に起終点を持つ交通は約4万台/日である。そして,約4万台/日のうち圏央道にう回する割合について,起業者らは具体的数値を示していないものの,最大でも当面圏央道の効果のない千葉県関連の交通を除いた1万数千台/日であると考えられる。そして,東京都区部交通量は705万台/日であるから,台数レベルでは圏央道の外側同士の交通は東京都区部交通量全体の約0.6パーセント(4万台/日÷705万台/日×100)にすぎず,仮に,圏央道が上記約4万台/日をすべてう回させる効果を持つとしても,約0.6パーセントという数値は,統計上の誤差の範囲内にとどまるものである。現に,圏央道八王子ジャンクションからあきる野インターチェンジまでの区間が開通した後も,首都高速道路の交通集中渋滞量の減少や周辺地域における国道の交通量の変化等は見られない。 また,3環状9放射道路の1つを構成する中央環状線は間もなく全面開通するところ,約16万5000台の交通を吸収し,首都高速道路の渋滞の60パーセントを解消するとされており,これまで開通した区間によっ - 236 -ても,首都高速道路の渋滞解消効果が現れたとされている。また,中央環状線の外側には外かく環状道が建設されるとともに,多摩地域には数多くの都市計画道路の整備計画があり,圏 間によっ - 236 -ても,首都高速道路の渋滞解消効果が現れたとされている。また,中央環状線の外側には外かく環状道が建設されるとともに,多摩地域には数多くの都市計画道路の整備計画があり,圏央道よりも内側にあるこれらの都市計画道路は圏央道よりも具体的な都心部の交通渋滞緩和効果を有している。 中央環状線や外かく環状道の環状線,南北の都市計画道路が整備されることを考えれば,圏央道建設が持つ都心部の交通渋滞緩和効果は皆無に等しい。 さらに,首都高速道路の交通量は,圏央道を建設するまでもなく,既に減少している。すなわち,首都高速道路(東京線)の交通量は,1日平均で平成8年度の約88万4000台/日から,平成11年度は約85万6000台/日,平成17年度は約83万台に減少している。また,首都高速道路の走行量(24時間交通量に区間距離を乗じたものの合計)は,平成11年には約1551万台キロメートルであったのに対し,平成17年には約1422万台キロメートルに減少している。しかし,上記交通量の減少にもかかわらず首都高速道路の渋滞は改善されていない状況にある。 この点からも圏央道の建設が交通渋滞の緩和効果に乏しいといえる。 なお,交通渋滞の緩和効果を検討するに当たっては,交通量を問題とすべきであり,走行量を問題とすべきではない。 エ本件各事業における費用便益計算の問題点(ア) 土地収用法に基づく収用の対象となる事業については,費用便益分析による費用便益比が1を下回る事業についてはこれを実施しないというのが被告国及び国土交通省の基本方針であることなどから,かかる事業については土地収用法20条3号,4号の要件に適合しないというべきであるとともに,国土交通省は,費用便益分析を行うに当たり,費用便益分析マニュアルを定めていることから,本件各事 などから,かかる事業については土地収用法20条3号,4号の要件に適合しないというべきであるとともに,国土交通省は,費用便益分析を行うに当たり,費用便益分析マニュアルを定めていることから,本件各事業に係る費用便益分析がこれに沿って行われているか否かについて検討され - 237 -るべきである。 また,立証責任の公平な分配の見地に加え,憲法の人権規定が国民の基本権の享有を保障するとともに,あるべき権利状態を想定しているものと考え,それと異なる権利状態を作出するような立証責任論は採り得ないと考えるべきことなどからすれば,市民である原告らが損害の発生の可能性ないしがい然性を一応立証した場合には,被告国が損害発生の可能性ないしがい然性がないことを立証すべきである。これを本件についていえば,原告らは,(イ)ないし(オ)に述べるとおり,本件各事業に関する費用便益比が1を超えておらず,かつ,費用便益分析が費用便益分析マニュアルに沿って行われたともいえないことについて一応の立証をしているから,被告国において,本件各事業の費用便益分析が費用便益分析マニュアルに沿って行われ,かつ,費用便益比が1を超えることについて立証すべきである。 (イ) 本件事業認定においては,圏央道の整備効果として,八王子ジャンクションから海老名北インターチェンジ間の費用便益分析による費用便益比は2.6とされており,起業者らからは,費用便益分析マニュアルに基づく計算方法と計算結果のみが示されている。その結果が1を超えることが真実か否か,また,この費用便益分析が費用便益分析マニュアルに従って行われたか否かを検討するためには,分析に用いたデータや分析過程が明らかにされる必要がある。 しかし,被告国は,費用便益分析に用いた道路網(ネットワーク),リンク(路線)ごとの交通 ュアルに従って行われたか否かを検討するためには,分析に用いたデータや分析過程が明らかにされる必要がある。 しかし,被告国は,費用便益分析に用いた道路網(ネットワーク),リンク(路線)ごとの交通量等のデータを保存しているにもかかわらずその開示を拒否している。そして,上記費用便益分析に係るデータが開示されないことにより,①費用便益分析の前提となる交通事故発生件数に誤りがあること,②費用便益分析における走行時間短縮便益と深く関連する時間価値原単位が費用便益分析マニュアルに定められ - 238 -た値と比較して過小になっているところ,道路整備による節約時間の計算結果が過大になったことを調整するためにかかる処理がされたことが疑われること,③費用便益分析の前提作業である交通量推計における交通量の配分の手法としてQV式を採用したとするのみで,その理由やQV式により適正に配分がされたことを示すデータを開示していないこと,④便益が過大に見積もられていること等の疑いが解消されていない。 また,国土交通省ないしその地方支分部局は,費用便益分析をコンサルタント会社にいわゆる丸投げ的に業務委託をしており,その分析作業が費用便益分析マニュアルに沿って適切に行われているか否かを確認しておらず,国土交通省ないしその地方支分部局が主体となって費用便益分析を行ったとはいえない。 (ウ) 本件各事業について行われた費用便益分析には次に述べる問題点があり,その結果,便益が過大に算出されるか又は費用が過小に算出されている。 a 将来交通量の需要予測が過大に見積もられている。 b 費用便益マニュアルにおいては,走行時間短縮便益は,短縮時間に車種別の時間価値を乗じて便益を計算しているところ,その計算の基礎になる車種別の時間価値原単位が欧米の同種基準に比べて著し ている。 b 費用便益マニュアルにおいては,走行時間短縮便益は,短縮時間に車種別の時間価値を乗じて便益を計算しているところ,その計算の基礎になる車種別の時間価値原単位が欧米の同種基準に比べて著しく高額に設定されている。 c 建設費は計画段階の費用で計算されるところ,一般に,建設費は現実には計画段階よりも増大することが指摘されており,圏央道八王子ジャンクションから青梅インターチェンジ間においても,国土交通省の費用便益計算時の工事費に比べ,工事費が増大している。国土交通省の費用便益計算ではこの事業費の増大を全く考慮していない点で費用を過小評価している。 - 239 -d 上記費用便益分析では,費用便益分析の前提となる交通量推計の対象範囲は関東甲信越地域とされ,その対象範囲で考慮した道路網は道路交通センサスを参考にすべての国道及び都県道と指定市の一般市道の一部とされている。 被告国ないし国土交通省は,上記道路網の内容や交通量配分も明らかにしていないものの,本件事業認定後に公表された,圏央道八王子ジャンクションからα36までの区間の事業再評価における費用便益分析を参照すると,その対象となる地域を著しく広範囲に設定し,本来は費用便益分析の対象とすべきでない道路(「その他道路合計11883.1キロメートル」)における便益を算出し,便益を過大に算出していることから,本件各事業に係る事業認定申請時の費用便益分析においても同様の問題があるものと推測される。なお,原告らにおいて,上記事業再評価における費用便益分析について,対象とすべきでない道路における便益を除外して再計算をすると,費用便益比は0. 36となった。 (エ) 本件各事業における費用便益分析マニュアルに基づく費用便益分析には,(ウ)に述べたところに加え,次のような問題点ない 路における便益を除外して再計算をすると,費用便益比は0. 36となった。 (エ) 本件各事業における費用便益分析マニュアルに基づく費用便益分析には,(ウ)に述べたところに加え,次のような問題点ないし誤りがある。厳密な社会的費用便益分析による評価,測定を行えば,圏央道は建設を中止すべき道路事業に分類される可能性が大きいと考えられる。 a 公開されているデータが不完全であるため,再評価ないし再測定が不可能であり,第三者による検証可能性ないし再現可能性がない。 b 道路プロジェクトにおいては,通行料金,ガソリン代等の表面化した価格のみならず,安全性,環境汚染等の市場機構において評価されない価値も評価の対象としなければ正しい価値評価をすることはできない。この価値評価をShadowPrice(潜在価格)というところ,この潜在価格は,①走行費用(有料道路の通行料金+ガソリン代+ - 240 -減価償却費等),②時間の経済価値費用,③安全の社会的費用(外部不経済費用),④環境汚染の社会的費用(外部不経済費用)の和から構成される。そして,本件事業認定に当たって行われた費用便益分析においては,①及び②については考慮されているが,②については,時間の限界的経済価値,すなわち単位時間の経済価値が過大評価されているとの問題がある。また,③については,交通事故の減少のみが考慮されており,④については全く考慮されていない。 c 上記費用便益分析の報告書においては,「整備なし」,「整備あり」との用語を用いており,あたかもWithandWithoutComparisonMethod(プロジェクトを実施した場合と実施しなかった場合との比較方法)を用いているかのようであるが,実際には「整備あり」の場合に,外かく環状道の完成や首都圏の交通ネットワー mparisonMethod(プロジェクトを実施した場合と実施しなかった場合との比較方法)を用いているかのようであるが,実際には「整備あり」の場合に,外かく環状道の完成や首都圏の交通ネットワーク整備を前提としており,BeforeandAfterComparisonMethod(プロジェクトの前と後との比較方法)を用いている。プロジェクト評価においては,経済成長や他のプロジェクト等の影響を捨象したWithandWithoutComparisonMethodを用いるべきであり,圏央道の区間ごとのプロジェクト評価を行う場合,その区間ごとのプロジェクトが完成した場合のみの影響を評価,測定するよう修正する必要がある。 d プロジェクト評価においては,ModifiedOriginStateEvaluationApproach(修正オリジン法),すなわち,あるプロジェクトの評価を実施する場合に,基本的には直接的な影響を評価,測定し,間接的な影響は直接的な影響では考慮することができないもののみを修正するという考え方を採用するべきであるが,上記費用便益分析においてはこの手法が採用されていない。間接的な影響を受ける外かく環状道や首都圏の交通網まで含めているのは過大 - 241 -評価であるし,そもそも間接的に影響を受けるにすぎない既存の道路は原則として評価,測定の対象に含めるべきではない。 e 上記費用便益分析においては,純便益の評価ないし測定法として,消費者余剰の増大分を評価,測定するという方法論を選択しておらず,これにより便益の過大評価を行っている。 f 上記費用便益分析の前提となる将来交通量の推計には,①発生集中交通量の推計,②分布交通量の推計,③手段別交通量の推計,④配分交通量の推計という4段階推計が用 より便益の過大評価を行っている。 f 上記費用便益分析の前提となる将来交通量の推計には,①発生集中交通量の推計,②分布交通量の推計,③手段別交通量の推計,④配分交通量の推計という4段階推計が用いられるべきであるが,費用便益分析マニュアルにおいては,イ)本来の交通需要予測は,道路交通のみならず,鉄道や船,歩行,自転車等すべての交通手段による交通需要予測から道路配分交通量を予測して分析するものであるところ,上記費用便益分析の前提である交通需要予測について自動車OD表という,道路にかかわる指標しか考慮していないこと,ロ)①及び②の推計が抽象的で内容が不明確であることとの問題点がある。 g 上記費用便益分析の前提は,道路整備前と道路整備後を比較する際に総トリップ数を同一としているが,誘発交通を考慮に入れれば,整備によって車両の移動(トリップ)が増大する可能性があることから,かかる前提は非科学的である。 h 上記費用便益分析においては,平成42年を推計年次としているが,かかる推計には高速道路の無料化や値下げ等の近時の動向が織り込まれておらず,また,平成42年時点で,現在計画中の道路がすべて完成するとの前提に立っている点でも問題がある。したがって,仮に将来の予測をするとしても,現在から最大でも5年後,10年後,15年後と具体的に予測可能な期間で将来を予測すべきである。 (オ) 国土交通省が用いる費用便益分析マニュアルを含めた従来の交通計 - 242 -画分析の問題点を克服するために開発された分析手法であるミープランを用いて,(ウ)dで述べた圏央道八王子ジャンクションからα36までの区間について,国土交通省が設定した前提条件により分析を行ったところ,当該区間の圏央道建設前後で関東圏全体で見ると走行時間便益は1日当たり約1264万円 た圏央道八王子ジャンクションからα36までの区間について,国土交通省が設定した前提条件により分析を行ったところ,当該区間の圏央道建設前後で関東圏全体で見ると走行時間便益は1日当たり約1264万円(年間で約46億1360万円)の便益増加との結果となるものの,走行経費については圏央道の建設後で1日当たり約3090万円(年間約112億7850万円)増大するため,走行時間便益と走行経費便益とを総合すると1日当たり約1826万円(年間で約66億6490万円)の便益減少との結果となる。しかしながら,あえて上記の走行時間便益以外の数値については国土交通省が用いた数値をそのまま利用して上記区間における費用便益分析を行ったところ,費用便益比は0.38となる。かかる分析結果は,本件圏央道事業の費用便益比が1を下回ることを推認させるものである。 (カ) 以上によれば,被告国は,本件各事業に係る費用便益分析が費用便益分析マニュアルに従ってされたことについても,また,費用便益比が1を超えることについても立証していないから,上記費用便益分析及び本件事業認定については,その不合理性ないし違法性が推認され,本件各事業に公益性があるとはいえない。 オ本件各事業の施行により失われる利益について被告国は,環境影響評価などの予測に基づいて「失われる利益」が軽微であると主張する。しかし,(2)で述べたとおり,本件各事業の施行により重大な損害が発生するのであり,本件各事業の施行により失われる利益については全く検討がされていないに等しい。 カ圏央道事業に関する工事の入札手続においては,予定価格に極めて近い価格で落札がされており,談合が行われている疑いがある。本件各事業に - 243 -含まれる高尾山トンネル工事についても予定価格に極めて近い価格で落札がされ 手続においては,予定価格に極めて近い価格で落札がされており,談合が行われている疑いがある。本件各事業に - 243 -含まれる高尾山トンネル工事についても予定価格に極めて近い価格で落札がされており,談合が行われている疑いがある。このように,本件各事業は,起業者や工事業者に私的な利益を与えることを目的とするものであり,公共性があるとはいえない。 キ以上によれば,本件各事業の事業計画は,土地の適正かつ合理的な利用に寄与するものであるとはいえないし,また,土地を収用し,又は使用する公益上の必要があるものとはいえないから,土地収用法20条3号及び4号の要件に適合しない。 (6) 環境影響評価に関する手続違反等本件各事業における環境影響評価は,次に述べる理由により東京都環境影響評価条例に違反する。 ア環境影響評価は科学的な分析であるとともに,その本質は環境に配慮した社会的意思決定であるから,この意思決定に住民が参画することが不可欠であり,また,住民参加が確立するためには,十分な情報公開が必要である。そして,東京都環境影響評価条例では,計画書(方法書)に対する意見書,評価書案(準備書)の説明会や意見書提出,公聴会,見解書の作成,説明会,意見書提出等の住民側の意見を十分反映させる手続を設けているところ,これらの手続を形式的に行えば足りるというものではなく,その手続の中で十分に住民の意見を反映することが求められる。 しかし,上記各手続は,公聴会を除いてすべて起業者らが主催し,処理する仕組みであることから,本件各環境影響評価においても住民参加の形式を整えるためのみの手続が行われ,例えば,①説明会は1回限り,2時間のみ実施し,そのうち1時間程度は事業者の説明を行い,参加した住民等の質疑は1回のみで一問一答方式の質疑は認められず,終了 加の形式を整えるためのみの手続が行われ,例えば,①説明会は1回限り,2時間のみ実施し,そのうち1時間程度は事業者の説明を行い,参加した住民等の質疑は1回のみで一問一答方式の質疑は認められず,終了時間になると多数の質問,意見が打ち切られた,②見解書の見解は評価書案(準備書)の記載を繰り返すことが多く,質問や意見に対する適切な見解が述べられ - 244 -なかった,③住民等が要求した資料等の公開を拒み,住民側の厳しい追及の結果,やむを得ず公開したことも度々であったなど,その運営は非民主的であり,住民参加を実現したものとはいえないものであった。 イ本件各環境影響評価の内容には,大気汚染や騒音,景観,水質,地形ないし地質に関する部分について,既に述べたとおり数多くの問題点があり,有効な環境影響評価をしたとはいえない。その結果,α13城跡トンネルにおける沢の水枯れ,観測孔の地下水位の低下,α13城跡(高尾山)トンネル換気所の壁面のひび割れ,高尾山トンネル工事現場(南側坑口)の沢の岩盤のひび割れ,沢の水枯れ,α38トンネルにおける崩落事故,α39川の水枯れ等の多数の想定外の事態が発生している。 ウ新たな科学的知見に基づく再評価の必要性(ア) 本件環境影響評価1は,昭和61年,東京都環境影響評価条例及び東京都技術指針に基づいて行われた。しかし,平成11年に環境影響評価法が施行され,それに伴って東京都環境影響評価条例が改正されるとともに,東京都技術指針も改正された。国土交通大臣は,本件事業認定の時点で環境影響評価法の施行に伴い,東京都条例及び技術指針が改正され,最新の科学的知見が変更されたことを熟知しており,次に述べるような本件環境影響評価1の制度的及び技術的欠陥についても熟知していたものであるから,国土交通大臣は,新たな技術指針 技術指針が改正され,最新の科学的知見が変更されたことを熟知しており,次に述べるような本件環境影響評価1の制度的及び技術的欠陥についても熟知していたものであるから,国土交通大臣は,新たな技術指針や最新の科学的知見に従って必要な再調査を行い,それに基づいて騒音の発生予測も含めた予測及び評価を行い,環境保全の措置についても新たな検討を行うべきである。 a α1地域等には圏央道のみならず,中央自動車道,一般国道20号等2車線の地区幹線道路が近接して存在し,圏央道と交差あるいは並行することになるので,これらの沿道について大気の複合汚染及び合成騒音の予測及び評価が必要である。 - 245 -b 東京都技術指針においてSPMについても予測手法が提示されているにもかかわらず,その予測及び評価がなされていない。また,(2)ウ(エ)に述べたとおり,昭和63年3月の時点で環境庁によりSPMの予測手法が示されていたことなどから,遅くとも平成14年3月の時点では予測が可能であったというべきであり,SPMについては予測及び評価をすべきであった。 c 評価の指標について平成15年の東京都技術指針においては,評価の指標として,①環境基準及び法令等による基準,②東京都又は区市町村が定めた計画,要綱等の中で当該地域について設定している環境の目標,③大部分の地域住民が日常生活において支障を感じないとされる程度,④現況環境値,⑤類似事例,⑥低周波音に関する科学的知見及び⑦その他の客観性を有する指標が挙げられているところ,平成11年の東京都技術指針において挙げられていたのは,上記のうち①,②及び⑦に相当する部分のみであった。 上記基準のうち,③の「大部分の地域住民が日常生活において支障を感じないとされる程度」との指標は特に重要であり,環境基準自体 げられていたのは,上記のうち①,②及び⑦に相当する部分のみであった。 上記基準のうち,③の「大部分の地域住民が日常生活において支障を感じないとされる程度」との指標は特に重要であり,環境基準自体は満たしていても生活に支障を来すようなことがあるため,「地域住民が日常生活において支障を感じるか否か」という視点が加えられることになったものである。本件においては,自動車保有台数の増加に伴う交通量の増大,走行速度の実態に即した騒音値,大気汚染を勘案すれば,本件各事業の施行により地域住民が日常生活において支障を感じることは容易に想像される。すなわち,圏央道の建設予定地の沿道,特に中央自動車道沿道の住民は,中央自動車道による大気汚染,騒音,振動等の被害を既に受けており,これに加え,圏央道が建設されれば,当該住民の健康,生活被害は更に - 246 -悪化し,その日常生活において支障を感じることは明らかである。 (イ) 再度の環境影響評価実施義務の不履行平成10年改正前の東京都環境影響評価条例29条は,事情変更による手続の再実施を定めるところ,上記(ア)に述べた点に加え,既に述べたとおり,本件各環境影響評価の内容に数多くの問題点があることを勘案すれば,本件各事業について,上記規定に基づいて再度の環境影響評価を行うべきである。 他方,被告国は,本件環境影響評価1の評価書の縦覧は平成元年2月21日に終了し,平成5年12月に工事着手がなされていることから,本件各事業が同条の適用を受けることはない旨主張しているが,本件環境影響評価1は,本件各事業の東京都分である埼玉県境の青梅市α7から高尾山南ろくの八王子市α3町の一般国道20号線までの間の,22.5キロメートルの広範な区域に係る都市計画についてなされたものであり,上記区間には多様な地域特性 京都分である埼玉県境の青梅市α7から高尾山南ろくの八王子市α3町の一般国道20号線までの間の,22.5キロメートルの広範な区域に係る都市計画についてなされたものであり,上記区間には多様な地域特性があり,自然環境や歴史的,文化的環境の特に豊かなα13城跡及び高尾山と他の地域とを同視することはできない。また,工事期間も当初,平成5年12月1日から平成13年3月31日までの7年余を要する長期間を予定し,工事区間も細かく区分して順次着工している。このような長期間にわたる工事については,公示後5年以内に着工された場合でも,ある区間が着工される前に,当該地域の状況が当該縦覧期間満了のときと比較して著しく異なっていることにより環境の保全上必要があると認めるときは,上記規定の趣旨に照らして,再度の環境影響評価を行うべきである。 また,東京都環境影響評価条例63条及び平成14年改正前の東京都環境影響評価条例36条は,変更の届出があった事業について,当該変更が環境に著しい影響を及ぼすおそれがあると認めるときは,東 - 247 -京都環境影響評価審議会の意見を聴いた上で,手続の全部又は一部の再実施を義務付けているところ,本件各事業においては,上記の工事期間について,工事完了の予定時期を平成16年3月31日に変更し,その後再び平成18年3月31日に変更し,いずれも変更の届出がなされている。この工事期間の変更は,専らトンネル工事による水脈破壊の結果各所に発現した地下水位の低下によるものであるが,これは環境影響評価が不十分であったことを示すものであるから,そのまま工事を延長したのでは環境に著しい影響を及ぼすおそれがあることが明白であり,新たに慎重かつ適切な環境影響評価を再実施する義務があるというべきである。 よって,起業者らが環境影響評価を再 そのまま工事を延長したのでは環境に著しい影響を及ぼすおそれがあることが明白であり,新たに慎重かつ適切な環境影響評価を再実施する義務があるというべきである。 よって,起業者らが環境影響評価を再度実施しなかったのは,平成10年改正前の東京都環境影響評価条例29条,平成14年改正前の東京都環境影響評価条例36条及び東京都環境影響評価条例63条に反するものである。 (ウ) 起業者らは,本件各事業に係る事業認定申請に当たり,計画交通量を見直した結果,本件各環境影響評価の基礎となった計画交通量と比べて本件各事業区間の計画交通量が増加していることから,本件各環境影響評価以降に新たに得られた知見に基づき,本件各事業が環境に及ぼす影響について補足的に照査を行ったとして,計画交通量の変更により評価が変更される可能性のあるとされた4項目に限定して本件各環境影響照査を行っている。 しかし,上記再予測の結果は,既に述べたとおり誤っている上に,本件各環境影響照査における4つの選定項目についてすら,環境影響評価として全く不十分である。起業者らは,計画交通量を見直した結果,本件各環境影響評価の基礎となった数量より増加したことから,本件各環境影響照査を行ったにすぎないし,本件各環境影響評価の基 - 248 -礎となった関係事実ないし状況のうち,地下水脈の分断も重大な変化であるが,その点は考慮されていない。 (エ) 平成5年11月に成立した環境基本法は,実質的に環境に対する個人の権利を認め,社会経済活動その他の活動による環境への負荷をできる限り低減することを目指している。次に,平成9年6月に成立した環境影響評価法においては,従前のような環境基準追求(達成)型から,環境への負荷の実行可能な低減を目指すベターディシジョン型への転換が求められるようになり 目指している。次に,平成9年6月に成立した環境影響評価法においては,従前のような環境基準追求(達成)型から,環境への負荷の実行可能な低減を目指すベターディシジョン型への転換が求められるようになり,代替案の検討も必すのものとなった。また,環境基本法14条は,①環境の自然的構成要素の良好な状態の保持,②生物の多様性の確保及び自然環境の体系的保全並びに③人と自然との豊かな触れ合いの3点の事項を確保すべきことを明言し,これを受けて,環境影響評価法11条3項(平成11年法律第160号による改正前のもの)及び12条2項等に基づき定められた,「環境影響評価法第四条第九項の規定により主務大臣及び国土交通大臣が定めるべき基準並びに同法第十一条第三項及び第十二条第二項の規定により主務大臣が定めるべき指針に関する基本的事項」(平成9年環境庁告示第87号)は,上記3点を確保すべく,環境影響評価の在り方を明確に規定する。すなわち,上記告示の第2「環境影響評価項目等選定指針に関する基本的事項」の中で,ベターディシジョン型への転換として,「評価は,調査及び予測の結果を踏まえ,対象事業の実施により選定項目に係る環境要素に及ぶおそれのある影響が,事業者により実行可能な範囲内で回避され,又は低減されているものであるか否かについての事業者の見解を明らかにすることにより行うものとする」旨定められ,影響回避ないし低減を評価基準として,影響の最小化を目的としており,環境基準や目標は,整合性の検討としてのみ位置づけられているのである。また,上記告示の第2の2「環境要素 - 249 -の区分ごとの調査,予測及び評価の基本的な方針」として,上記①ないし③をいずれも選定項目として明記している。 上記に述べたような環境影響評価の評価基準の変更等に照らせば,従前の環境影響評 9 -の区分ごとの調査,予測及び評価の基本的な方針」として,上記①ないし③をいずれも選定項目として明記している。 上記に述べたような環境影響評価の評価基準の変更等に照らせば,従前の環境影響評価が仮にその時点で適切になされていたとしても,新たな環境影響評価制度の下では,新たな見直しを求めることこそ,環境基本法の精神にもかなうものである。そして,本件各事業のように,本件事業認定時点において実際の工事区間がいまだ着工されていなかった場合は,当然,新たな環境影響評価制度に基づき,新選定項目となった,②生物の多様性の確保及び自然環境の体系的保全並びに③人と自然との豊かな触れ合いについて新たに環境影響評価を行う必要がある。また,従前実施された①環境の自然的構成要素の良好な状態の保持についても,ベターディシジョン型の評価を行う必要があった。 以上のとおり,新しい環境保護の立法の流れは,単なる計画交通量の相違といったものにとどまらない重大な変更であるから,新たな環境影響評価制度に基づき,環境影響評価の再実施が必要であったのに,起業者らはこれを怠り,限定された項目の照査にとどまったのであるから,違法といわなければならない。 エ本件各環境影響評価においては,切土,トンネル等の工事に伴い発生する土砂について本件各事業内の利用及び他の公共事業への利用に努めるとし,それ以外の土砂の処理については,環境への影響を十分に考慮し,関連法規に従い適切に対処するとしている。そして,それらの評価書案に対する見解書では,「残土の処理及び工事用車両に関して,「首都圏中央連絡自動車道建設残土対策連絡協議会」において適切な処理を検討すること」などとしている。 しかし,昭和63年に設立されたとされる首都圏中央連絡自動車道建設 - 250 -残土対策連絡協議 央連絡自動車道建設残土対策連絡協議会」において適切な処理を検討すること」などとしている。 しかし,昭和63年に設立されたとされる首都圏中央連絡自動車道建設 - 250 -残土対策連絡協議会は,その設立趣意書が残存しているのみで,協議会の開催記録,協議内容等は残存しておらず,また,平成11年以降は開催されていない。したがって,本件各事業により発生する土砂が本件各環境影響評価の評価書に記載されているように適正に処理されていると考えることはできない。これらの土砂の処理について処理方法,搬出先及び搬出量を明らかにしないままに事業認定を申請することは違法である。 (7) 都市計画法違反本件においては,都市計画法に基づく都市計画施設に関する都市計画決定がなされ,この都市計画決定を前提として土地収用法に基づく本件事業認定がなされたところ,本件の都市計画決定の手続には,次に述べるような違法がある。したがって,その後続手続である本件事業認定も当然に違法となるというべきである。 ア(ア) 都道府県知事が都市計画決定を行うに当たっては,①都市計画の案を作成するに当たり必要があると認められる場合には公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置を講じた上(都市計画法16条),②都市計画案を作成し(同),③都市計画決定につき公告の上,この都市計画案を公告の日から2週間公衆への縦覧に供し,その間関係市町村の住民及び利害関係人からの意見書の提出の機会を与え(都市計画法17条),④関係市町村の意見を聴取の上,都市計画地方審議会の議を経て(都市計画法18条),都市計画決定を行うこととされている。 ここで,都市計画法16条1項において公聴会の開催等住民の意見を反映させるための必要な措置について定められているのは,都市計画を決定しようとする 18条),都市計画決定を行うこととされている。 ここで,都市計画法16条1項において公聴会の開催等住民の意見を反映させるための必要な措置について定められているのは,都市計画を決定しようとする場合に住民の意見を反映させるための必すの手続としては都市計画法17条の公衆の縦覧及び意見書の提出の手続があるが,都市計画の案を作成する段階で更に住民の意思を反映させる - 251 -ことが望ましいためである。また,都市計画法第16条1項にいう「必要があると認めるとき」とは,この規定が都市計画に住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるためのものであり,民主主義の理念に立脚する以上,その必要性を判断するのが都市計画決定権限を有する都道府県知事であるとしても,その必要性は,定める都市計画の内容に従ってある程度客観的に判断すべきものであり,圏央道建設が,上記の「必要があると認めるとき」に当たることは明らかである。また,必要があるとの判断の下に説明会を開催することとした以上は,その説明会が形式的なものであってはならないと考えられる。 また,都市計画法18条は,都市計画を決定するに当たり,関係市町村の意見を聴くことと定めているところ,その趣旨は,都市計画は,都市の機能,環境及び発展の動向に大きな影響を与えるものであり,都市の在り方を決定する重要な行政行為であることから,その策定に当たっては基礎的な行政単位である市町村の立場が十分に尊重されなければならないためである。したがって,関係市町村の意見を聞くことは都市計画の決定手続上極めて重要な手続であり,その意見は十分尊重されなければならないことに照らせば,同条の規定上は,関係市町村の意見を聴いたものの同意を得られなかった場合であっても都市計画決定をすることが直ちに妨げられるものではないとして ,その意見は十分尊重されなければならないことに照らせば,同条の規定上は,関係市町村の意見を聴いたものの同意を得られなかった場合であっても都市計画決定をすることが直ちに妨げられるものではないとしても,少なくとも,例えば関係市町村の意見形成につき著しい瑕疵があり,関係市町村の意見を聴いたとはいえないことが明らかな場合には,以後の手続を漫然と進めることは許されないというべきである。 (イ) 被告東京都は,昭和55年に東京都環境影響評価条例を制定し,被告東京都が,同条例2条3号(ただし,平成14年条例第127号による改正後は同条5号)別表に掲げる事業でその実施が環境に著しい影響を及ぼすおそれがあるものとして東京都規則に定める要件に該当 - 252 -する事業を実施しようとする場合には,東京都知事があらかじめ定める環境影響評価に係る技術上の指針に基づき,当該対象事業の実施が環境に影響を及ぼす影響について調査等を行い,規則で定めるところにより,所定の事項を記載した環境影響評価書案及びその概要を作成し,規則で定める時期までに東京都知事に提出しなければならない(平成10年改正前の東京都環境影響評価条例9条1項)。東京都知事は,提出された評価書案を,「環境に影響を及ぼす地域」を管轄する市町村長等に送付するとともに許認可権者に通知し,市町村長等の意見を聴いた上,当該対象事業に係る関係地域を定めて評価書案の概要を公示するとともに評価書案を縦覧に供し,審査意見書を東京都環境影響評価審議会に諮問することとされている。事業者は,関係地域に対する説明会を行い,東京都知事は,都民から意見書の提出を受けるほか,関係区市町村の意見を求め,公聴会を開催し,事業者に各意見に対する見解書を提出させた後,審査意見書を作成し,これを受けて事業者が環境影響評価書を作成 東京都知事は,都民から意見書の提出を受けるほか,関係区市町村の意見を求め,公聴会を開催し,事業者に各意見に対する見解書を提出させた後,審査意見書を作成し,これを受けて事業者が環境影響評価書を作成して東京都知事に提出する。このような市町村長の意見聴取や説明会,公聴会の開催が設けられたのは事業の関係住民に対する環境上の影響を重視した結果であり,これも行政計画に対する民主的統制と位置づけることができる。 イしかし,本件における都市計画決定手続において住民の意見を反映させる手続は,次のとおり極めて不適切かつ不十分なものであった。 (ア) 被告東京都は,昭和61年,「都市計画案及び環境影響評価書案」を公告し,その後関係市町において説明会を行った。しかし,上記の「都市計画案及び環境影響評価書案」は,環境への影響についての十分な検討を経ることなく,大部分において「環境に与える影響は少ないと考える」との記述に終始しており,また関係市町での説明会においても住民に対して十分な説明はなされず,説明会は紛糾した。 - 253 -(イ) 昭和63年2月,東京都環境影響評価条例に定める環境影響評価書案に係る見解書が公示されたが,この見解書の内容は環境影響評価書案と何ら相違のないものであり,やはり住民の意見が反映されたものではなかった。上記見解書の公示後,各市町においてその説明会が開催されたが,この説明会も紛糾し,説明会は深夜にまで及び,更に継続となることもあった。 (ウ) 東京都環境影響評価審議会は,昭和63年11月1日,上記「都市計画案及び環境影響評価書案」に対し,計画に疑問を有する住民の提起した疑問点をほぼ受け入れ,大気汚染,植物及び動物への影響,地形及び地質,残土等57項目の改善点を指摘した答申を提出した。 (エ) 八王子都市計画地方審議 書案」に対し,計画に疑問を有する住民の提起した疑問点をほぼ受け入れ,大気汚染,植物及び動物への影響,地形及び地質,残土等57項目の改善点を指摘した答申を提出した。 (エ) 八王子都市計画地方審議会は,昭和63年12月20日,本件各事業について審議を行ったところ,審議の途中で委員の一人から質疑打切りの動議が提出され,同動議が可決された。そこで,同審議会長は質疑を終了させ,八王子市都市計画道路の変更の採決を行った。そして,採決は賛成6,反対6の可否同数であったところ,審議会長は賛成票,反対票を議場で数えることなく,あらかじめ用意したメモを読み上げ,賛成多数で可決された旨宣言して閉会した。同審議会長は,その後の記者会見で可否同数であったことを認めた上,自らの票を賛成票に加えたために可決されたなどと述べた。 (オ) 八王子市長は,昭和63年12月22日に東京都知事に意見を提出し,同月23日,環境影響評価書が提出されて東京都都市計画地方審議会が開催された。しかし,同審議会は,八王子都市計画地方審議会の議決の瑕疵を勘案せずに審議を行い,議決をした。 ウ上記に述べたとおり,本件の都市計画決定は,関係住民に対する説明が不十分なまま,また東京都環境影響評価審議会から多くの改善点を指摘する答申がされていたにもかかわらず,住民らの反対を無視する形で強行さ - 254 -れたものであった。都市計画の案を作成するに当たって住民の意見を反映させるための必要な措置を講ずることは必すの手続ではないとしても,都市計画に住民の意見を反映させるために都市計画決定の権限を有する都道府県知事が,必要であると認めてあえて説明会を開催した以上,およそ説明会を行えばよいものと考えるべきではなく,住民がその内容を十分把握した上で,公開の場での意見陳述を行うための場となる を有する都道府県知事が,必要であると認めてあえて説明会を開催した以上,およそ説明会を行えばよいものと考えるべきではなく,住民がその内容を十分把握した上で,公開の場での意見陳述を行うための場となるよう十分留意すべきである。しかし,そのような留意は何らなされておらず,制度の趣旨に沿った説明会の開催はなかった。かかる説明会の開催状況は,都市計画法16条の趣旨に反する。 また,昭和63年12月の八王子都市計画地方審議会は,審議途中で半ば強引に審議が打ち切られた上,その採決の結果は可否同数であり,会長が議場で可否を決していないことが明らかであるから,同審議会の採決は成立していない。そして,都市計画法18条は,都市計画決定に当たっての関係市町村の意見聴取については市の都市計画地方審議会の議を経るべきこととはしていないものの,関係市町村の意見を聴くことは都市計画の決定手続のうち極めて重要な手続であり,その意見は十分尊重されなければならない。八王子市都市計画地方審議会は,市長の諮問に応じ,都市計画について市が提出する意見に関することについて審議するものとされていることからすれば,八王子市長が都市計画決定について東京都知事に意見を提出するに当たっては,八王子市都市計画地方審議会の議を経ることが当然に予定されていた。その観点からも,昭和63年12月21日の段階では,本件の都市計画についての八王子市の意見は形成されていなかったものというべきである。この点,都市計画法18条には「関係市町村の意見を聞き」と定められている以上,関係市町村の意見が都市計画決定そのものの要件ではないとしても,都市計画地方審議会は,少なくとも関係市町村の意見の有無及び内容について正確に把握した上で審議しなければ - 255 -ならないと解される。 都市計画法上,都市 のものの要件ではないとしても,都市計画地方審議会は,少なくとも関係市町村の意見の有無及び内容について正確に把握した上で審議しなければ - 255 -ならないと解される。 都市計画法上,都市計画地方審議会の議を経ることは,都市計画決定の要件とされているところ,上記の経過に照らせば,八王子市長が賛成の意見を提出したことを前提として審議された東京都都市計画地方審議会の意思形成の過程には重大な瑕疵があったというべきであり,その瑕疵を帯びた東京都都市計画地方審議会の賛成の答申を受けた東京都知事による都市計画決定は,都市計画法18条に反するものであり,違法である。 (8) 自然公園法違反等ア高尾山は昭和42年12月にX70国定公園に指定されたが,この指定の趣旨は「明治100年を記念し,主として自然環境に恵まれない大都市住民に対し森林の保護育成を図りながら,自然と親しめる野外レクリエーションの場を造成し,提供するもの」というところにある。 イ(ア) 生物の多様性に関する条約8条(a)は,保護地域における多様性保全のための制度の確立を要求している。そして,従前,環境省(庁)の実務において行われていたことで,生物多様性保全のために有効な行為,慣行などは,確立された制度として,同条約8条(a)によって条約上の義務履行の一つとして直接に条約の目的を実現する手段,制度と認められなければならないところ,その一つとして,いわゆるX47談話がある。 (イ) X47談話は,昭和48年10月19日,X72国立公園を縦断する「X73線」の公園計画の決定について,環境庁長官から諮問を受けて協議していた環境庁自然環境保全審議会が環境庁長官に答申しようとした前日に,上記道路建設の事業主体であった北海道開発局が道路計画を断念し,環境庁に対する協議を取り下げた ,環境庁長官から諮問を受けて協議していた環境庁自然環境保全審議会が環境庁長官に答申しようとした前日に,上記道路建設の事業主体であった北海道開発局が道路計画を断念し,環境庁に対する協議を取り下げたため,同審議会が準備していた答申が公表されないことを考慮し,同審議会会長が,答申の内容を談話の形式で発表したものであり,その内容は次のとおり - 256 -である。 「今後国立公園等における道路の新設については,慎重でなければならないばかりでなく,過剰利用の抑制と健全な利用の促進の見地から,場合によっては既存の道路においても自動車交通の規制を検討する必要もあると考えられる現在において,原則として公園利用の観点とか経済的,社会的観点等から,その道路が是非必要であり,他にこれに代わる適切な手段が見いだせないことが前提とされなければならない。 さらに,その場合においても,事前に当該地域の自然環境について,地形,地質,気象,動植物等の科学的調査を行い,①原始的自然環境を保持している地域②亜高山帯,高山帯,急傾斜地,崩壊しやすい地形・地質の地域等緑化復元の困難な地域③希少な野生動植物,昆虫等の生息,生息又は繁殖している地域④優れた景観を保持している地域など道路建設に伴う人為的要因が,大きな自然環境の破壊の誘因となるおそれのある地域は,あらかじめ慎重に避けるよう配慮されるべきであるとともに計画,設計,施行等の各段階を通じて,自然環境に対する影響が最小限度にとどまるような,あらゆる考慮を払うべきである。」X47談話は,単なる談話としてではなく,公園内の道路建設を拘束してきたものであり,自然公園内における道路建設に関する,生物の多様性に関する条約8条(a)にいう確立された制度の一つといえる。 したがって,X47談話は,法 話としてではなく,公園内の道路建設を拘束してきたものであり,自然公園内における道路建設に関する,生物の多様性に関する条約8条(a)にいう確立された制度の一つといえる。 したがって,X47談話は,法規そのものではないが,事業認定権者である国土交通大臣の裁量の幅を実質的に制限するものである。 (ウ) 高尾山にはイヌブナ,ブナ,イロハモミジ,オオモミジ,アサダ, - 257 -ヨグソミネバリ,ウワミズザクラ,フサザクラ等の樹木が存在するところ,このような森は本来なら海抜800メートルから1600メートルの山地帯に現れる森林であり,高尾山のような海抜600メートルに満たない山に存在すること自体まれである。このような森林の形成には16世紀から19世紀の小氷期が関係していたと考えられているのであって,現在では復元不可能であるから,X47談話にいう「②亜高山帯,高山帯,急傾斜地,崩壊しやすい地形・地質の地域等緑化復元の困難な地域」に当たる。なお,X47談話の②は「緑化復元の困難な地域」とのみ記載しているが,国及び地方公共団体の責務として,自然公園における生物の多様性の確保を旨として,自然公園の風景の保護に関する施策を講ずることを定める自然公園法3条2項の趣旨からするならば,「緑化復元」とは,植物であれば「従来生育していた種と同種による緑化復元」と解するべきである。 また,X70国定公園において,自然公園法の指定植物のうち希少種を指定理由とするものは65種存在するのであり,高尾山がX47談話の「③希少な野生動植物,昆虫等の生息,生息又は繁殖している地域」に該当することは明らかである。 さらに,高尾山には日本の植物の垂直分布帯が凝縮された形で存在しており,このことは自然景観の点でも極めて優れた景観を保持しているから,X47談話の「④優 る地域」に該当することは明らかである。 さらに,高尾山には日本の植物の垂直分布帯が凝縮された形で存在しており,このことは自然景観の点でも極めて優れた景観を保持しているから,X47談話の「④優れた景観を保持している地域」に該当する。 したがって,本件事業認定は,国定公園の緑化復元の困難さ,希少な植物の保護,優れた景観についての配慮を欠いた点で裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものであるから,取り消されるべきである。 ウ自然公園法13条3項は,同法に定める国定公園の特別地域に工作物を - 258 -設置するには許可を受けることを要する旨定めるとともに,同条4項は,上記行為が環境省令で定める基準に適合しない行為は許可してはならない旨を定め,これを受けた同法施行規則11条1項(平成17年環境省令8号による改正前のもの。以下同じ。)は,その基準を定めている。また,同法施行規則10条3項は,本件のような道路建設に当たっては,許可申請書に①当該行為の場所及びその周辺の植生,動物相その他の風致又は景観の状況並びに特質,②当該行為により得られる自然的,社会経済的な効用,③当該行為が風致又は景観に及ぼす影響の予測及び当該影響を軽減するための措置,④当該行為の施行方法に代替する施行方法により当該行為の目的を達成し得る場合にあっては,当該行為の施行方法及び当該方法に代替する施行方法を風致又は景観の保護の観点から比較した結果を記載するものと定めている。 ところで,被告国が行う行為については,例外的に上記許可は必要とせず都道府県知事と協議しなければならないと定めている(自然公園法56条1項)。自然公園法がかかる協議を要求している趣旨は,これにより自然公園の中でも特に重要な地域(コア地域)の自然環境,景観を保全することにあるのであっ なければならないと定めている(自然公園法56条1項)。自然公園法がかかる協議を要求している趣旨は,これにより自然公園の中でも特に重要な地域(コア地域)の自然環境,景観を保全することにあるのであって,国定公園の自然環境に悪影響が出るおそれについて検討するためである。したがって,事業者である被告国の機関に対し,その判断に必要な資料等の提出を求め,上記自然公園法施行規則10条3項に記載された各項目について十分に議論した上で慎重に判断すべきことが要求されている。さらに上記判断をするに当たっては国定公園指定の際の「高尾国定公園(仮称)公園区域案及び公園計画案」の趣旨等を考慮すべきである。 しかし,東京都知事は,高尾山トンネル工事の影響について次のとおり,自然公園法施行規則11条1項各号に定められた事項を十分に検討することなく,形式的に同意しており,この一連の手続は実質的に自然公園法5 - 259 -6条1項に違反する。 (ア) 国土交通省から提出された協議の図面に不整合な部分があるにもかかわらず被告東京都はこれを見落としたままであったこと(イ) 高尾山トンネル掘削に当たって国土交通省が行った水平ボーリングコアが提出されないままで影響がない旨判断していること(ウ) 高尾山トンネル工事を施工するに当たって,α13城跡トンネルの実績を踏まえて行うとしているところ,国土交通省は,α13城跡トンネル関係の資料を全く提出していないこと(エ) 被告東京都は「当該車道の設置以外の方法による代替はない」と結論付けているところ,代替案の検討がなされた形跡もなければ資料添付もないこと(オ) 本件各事業により設置される巨大な人工物であるトンネルやジャンクションが高尾山の景観ないし自然風景と親和性を認めることができないことは明らかであるにもかか 跡もなければ資料添付もないこと(オ) 本件各事業により設置される巨大な人工物であるトンネルやジャンクションが高尾山の景観ないし自然風景と親和性を認めることができないことは明らかであるにもかかわらず,景観破壊について形式的な判断がされていること第2 収用裁決取消しについて 1 被告東京都の主張(1) 本案前の主張1ア明渡裁決があったときは,当該土地又は当該土地にある物件を占有している者は,明渡裁決において定められた明渡しの期限までに,起業者に土地若しくは物件を引き渡し,又は物件を移転しなければならない義務を負うところ(土地収用法102条),明渡裁決の取消しを求める原告適格を有する者は,当該裁決の対象となった土地又は当該土地にある物件を占有している者と解すべきである。そして,明渡裁決の対象となる土地の明渡しが完了した場合は,明渡裁決はその目的を達し,もはや所有者等がその裁決により何らかの義務を負うことはなく,所有者等が明渡しにつ - 260 -いての原状回復を求めるためには,権利取得裁決を争い,その取消しを求めれば足りるから,明渡裁決の取消しを求める訴えの利益は消滅するというべきである。なお,明渡裁決が取り消されても当然に占有ないし占有権原が回復するものではない。 イ本件各土地についての明渡状況は下記のとおりである。 (ア) 本件裁決1に係る明渡裁決(以下「本件明渡裁決1」といい,本件裁決2ないし本件裁決5のうち各明渡裁決を「本件明渡裁決2」ないし「本件明渡裁決5」といい,本件明渡裁決1ないし本件明渡裁決5を併せて「本件各明渡裁決」という。)の明渡しの期限は,平成20年3月25日であったところ,本件土地1ないし本件土地3については,既に起業者らがさくを設置するなどして,必要な明渡しは終了している。 し 「本件各明渡裁決」という。)の明渡しの期限は,平成20年3月25日であったところ,本件土地1ないし本件土地3については,既に起業者らがさくを設置するなどして,必要な明渡しは終了している。 したがって,別紙第3事件原告目録2記載の各原告並びに同原告目録3の各原告のうち原告X2,原告X3,原告X4,原告X5,原告X6,原告X7,原告X8,原告X9,原告X10及び原告X11には,本件明渡裁決1の取消しを求める訴えの利益がない。 (イ) 本件明渡裁決2の明渡しの期限は,平成20年2月25日であったところ,本件土地4については,既に起業者らがさくを設置するなどして,必要な明渡しは終了している。 したがって,原告X35には,本件明渡裁決2の取消しを求める訴えの利益がない。 (ウ) 本件明渡裁決3の明渡しの期限は,平成20年3月25日であったところ,本件土地5については,既に起業者らがさくを設置するなどして,必要な明渡しは終了している。 したがって,別紙第3事件原告目録1記載の各原告のうち同目録「所有権東京都八王子市」欄に「α2町×××番2」と記載された各原 - 261 -告には,本件明渡裁決3の取消しを求める訴えの利益がない。 (エ) 本件明渡裁決4に係る物件(立木)は,平成20年11月9日に撤去され,明渡しが終了しているから,別紙第3事件原告目録1のうち同目録「所有権東京都八王子市」欄に「α3町△番」と記載された各原告には,本件明渡裁決4の取消しを求める訴えの利益がない。 (2) 本案前の主張2ア別紙第3事件原告目録1記載の各原告のうち同目録「所有権東京都八王子市」欄に「α2町×××番2」と記載された各原告(ただし,原告X48,原告X49及び原告X50を除く。)は,本件裁決4の対象土地に含まれる△番の土地の共有 の各原告のうち同目録「所有権東京都八王子市」欄に「α2町×××番2」と記載された各原告(ただし,原告X48,原告X49及び原告X50を除く。)は,本件裁決4の対象土地に含まれる△番の土地の共有者ではなく,同裁決の名あて人ではないものの,同土地上の立て看板の共有者であったと主張して,本件裁決4の取消しを主張している者らである。しかし,上記原告らが本件裁決4の取消しを求める根拠とする立て看板は,△番の土地上には存在せず,本件裁決5によって収用された土地の区域内に設置されていた。また,本件裁決4は,△番の土地の境界については不明としたことから,土地の区域について図面を添付の上明示しているところ,この区域内に上記原告らの立て看板は設置されていないから,本件裁決4により上記原告らの立て看板が撤去を求められることはない。よって,上記原告らは,本件裁決4によって,何ら法律上の利益を侵害されておらず,本件裁決4の取消しを求める法律上の利益がないから,本件裁決4の取消しを求める訴えについて原告適格を欠く。 イ別紙第3事件原告目録3記載の各原告のうち,同目録「立木・物件東京都八王子市」欄に「α3町△番内立看板」と記載された各原告は,本件裁決5の対象土地である本件土地7の所有者ではなく,本件裁決5の権利取得裁決の名あて人ではないものの,本件裁決5の対象土地である本件土地7上の立て看板を共有していた者である。上記原告らは,本件裁決5の - 262 -うち権利取得裁決の取消しを求める根拠として,上記立て看板が存在する土地は,本来△番の土地に含まれており,△番の土地の土地の所有者の同意の下に権限に基づいて立て看板を設置している旨主張している。しかし,上記立て看板は,△番の土地上にはなく,本件土地7上にあるから,上記原告らの主張は前提を欠く。また ,△番の土地の土地の所有者の同意の下に権限に基づいて立て看板を設置している旨主張している。しかし,上記立て看板は,△番の土地上にはなく,本件土地7上にあるから,上記原告らの主張は前提を欠く。また,本件裁決5は,上記原告らの立て看板を権利取得裁決の対象としておらず,上記原告らは,本件裁決5のうちの権利取得裁決の名あて人となっていないことから,本件裁決5のうちの権利取得裁決によって,何ら法律上の利益を侵害されておらず,本件裁決5のうち権利取得裁決の取消しを求める法律上の利益がないから,本件裁決5のうち権利取得裁決の取消しを求める訴えについて原告適格を欠く。 また,本件明渡裁決5については,平成20年11月9日に上記立て看板の撤去が終了しているから,(1)アで述べたとおり,上記原告らは,本件明渡裁決5の取消しを求める訴えの利益がない。 なお,本件土地7については,八王子市α3町△△△番6の土地(以下「△△△番6の土地」という。)の一部として,被告東京都を土地所有者,上記原告らを物件所有者として裁決申請及び明渡裁決の申立てがされ,その後に収用部分である本件土地7が分筆されたものである。△△△番6の土地は,東京法務局八王子支局(以下「八王子登記所」という。)に備え付けられた地図に準ずる図面(以下「公図」という。)によれば,旧国道の廃道敷部分に地番が付され,地目は公衆用道路となっている。△△△番6の土地は,平成17年9月12日に保存登記がされ,地積測量図も八王子登記所に備えられている。 (3) 本件事業認定の違法性の承継についてア起業者は,事業認定の告示があった日から1年以内に限り,収用裁決の申請をすることができるとされ(土地収用法39条1項),起業者が提出すべき裁決申請書には,事業計画書並びに起業地及び事業計画を表示する - ,事業認定の告示があった日から1年以内に限り,収用裁決の申請をすることができるとされ(土地収用法39条1項),起業者が提出すべき裁決申請書には,事業計画書並びに起業地及び事業計画を表示する - 263 -図面の添付が義務付けられ(土地収用法40条1項1号),収用委員会は,申請に係る事業が告示された事業と異なるか,又は申請に係る事業計画が事業認定申請書に添付された事業計画書に記載された計画と著しく異なるかについて審査する権限を有するが,事業認定についての審査はその限度に限られており(土地収用法47条),収用委員会は,裁決に当たって事業認定の適法性について審理する権限がなく,事業の認定に瑕疵があると判断した場合でも,土地収用法47条に該当する場合以外は収用又は使用の裁決をしなければならない(土地収用法47条の2第1項)。このような規定にかんがみれば,収用裁決は,事業認定の有効な存在がその適法要件とされているのであって,事業認定の適法な存在までは求められていないと解される。 イ事業認定は,それによって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められる行政処分であるから,行政不服審査法による不服申立てができるとともに,これに対する抗告訴訟を提起し,先行する事業認定について,取消訴訟においてその違法性を争うことができ,かつ,土地収用法上,事業認定がされたときはその旨の告示がされる上,起業地表示図の縦覧,補償等の周知措置等の諸制度が設けられているため,土地所有者及び関係人は,事業認定について迅速かつ確実にその事実を知り得る機会を与えられており,事業認定に違法がある場合には,取消訴訟を提起することが容易である。 また,平成13年法律第103号による土地収用法の改正においては,起業者が事業の認定を受けようとするとき 機会を与えられており,事業認定に違法がある場合には,取消訴訟を提起することが容易である。 また,平成13年法律第103号による土地収用法の改正においては,起業者が事業の認定を受けようとするときは事前の事業説明会を土地所有者等に通知した上でこれを開催することを義務付け(土地収用法15条の14,土地収用法施行規則1条の2),事業認定について利害関係を有する者からの請求があったときには事業認定庁に公聴会の開催を義務付け(土地収用法23条),事業について反対の意見書があったとき等の場合 - 264 -に事業認定庁に第三者機関からの意見聴取を義務付け(土地収用法25条の2),事業認定の理由の公表を義務付ける(土地収用法26条)などの改正が行われ,事業認定に関する手続の整備がされている。 さらに,上記改正では,収用裁決手続においては事業認定に対する不服に関する事項等収用委員会の審理と関係がないことを主張できないことが法律上明確に定められた(土地収用法63条3項)ことから,土地所有者等にとって,事業認定についての争いは当該認定手続の段階で争うべきことがより一層明確になったといえる。 以上のとおり,事業認定に関する争訟手段としては,これに対する取消訴訟を提起することができるのであって,上記改正の内容に照らしても,違法性の承継を認めなければ土地所有者及び関係人の権利の保護に不十分であるとはいえない。むしろ,違法性の承継を当然に認めることは,出訴期間の制限の下で行政処分の違法性を争うことを認めた行政事件訴訟法の趣旨に反するものである。 ウよって,本件事業認定についての瑕疵の有無は,それが重大かつ明白な瑕疵があって当然に無効と解されない限り,事業認定の取消訴訟において審理判断されるべき事柄であって,収用裁決の取消訴訟においてこれを審理 て,本件事業認定についての瑕疵の有無は,それが重大かつ明白な瑕疵があって当然に無効と解されない限り,事業認定の取消訴訟において審理判断されるべき事柄であって,収用裁決の取消訴訟においてこれを審理判断することは許されないというべきである。 (4) 本件各裁決の手続に係る違法性についてア土地収用法は,収用委員会の判断には多様な知識と経験を必要とすることを踏まえて,衆知を集めて公平,妥当,確実な判断を行うことのできる合議制の機関として収用委員会を構成するとともに,土地収用法52条3項は,委員及び予備委員は,法律,経済又は行政に関して優れた経験と知識を有する者のうちから選任するとしており,法律及び行政等の職歴を有する者の収用委員への任命を予定している。その上で,土地収用法は,都道府県知事による収用委員会の委員の公正な選任を担保するため,住民代 - 265 -表である都道府県議会の同意を要件としているところ(土地収用法52条3項),東京都収用委員会の会長及び同会長代理は,東京都議会の同意の上で選任されており,その選任手続は土地収用法52条3項に違反しない。 また,土地収用法52条4項は,過去の職歴について規定したものではなく,地方公共団体の議員及び長のほか,現職の常勤職員及び短時間勤務職員との兼職の禁止を定めるものである。収用委員会の委員については,同条3項に規定するように,むしろ行政等の経験知識を前提にしており,東京都収用委員会の会長及び同会長代理の両名とも土地収用法52条4項の規定に該当しない。 なお,原告らは,東京都収用委員会の会長が国土交通省が設置した検討会に参加したことを問題とするが,国土交通省が,法律の所管官庁としての立場で,その所管する法律について検討するために設置した上記検討会に,収用手続の実務を担う者として 会長が国土交通省が設置した検討会に参加したことを問題とするが,国土交通省が,法律の所管官庁としての立場で,その所管する法律について検討するために設置した上記検討会に,収用手続の実務を担う者として参加し,意見を述べることはより良い法律が制定される上で望ましいことであり,かかる検討会に参加したことのみをもって,土地収用法52条3項に違反することにはならない。また,原告らは,東京都収用委員会の会長代理が圏央道の都市計画に関与しているとして,公正な審理が期待できない旨主張するが,収用委員会は,損失補償に関する専門機関であり,事業認定について判断権限を有するものではない。 イ(ア) 収用委員会は,土地収用法46条2項の規定によって審理の期日を指定する権限を与えられており,本件においても,遅滞なく審理を進めるために,出席人数を想定するとともに,審理の進行状況,審問の内容などを総合的に勘案して,適切に審理期日を指定したものである。 そもそも,収用委員会が審理期日を指定するに当たって,権利者,関係人等と日程を協議すべき旨を定めた法令はなく,期日を指定するに際してあらかじめ土地所有者らとの間で協議をすることを義務付けら - 266 -れているものでもないと解されており,本件のように権利者が実数で500人を超える多人数の事件では,そのすべての権利者と協議の上で審理期日を決定することは極めて困難である。東京都収用委員会は,そのような状況においても,権利者の利便を考慮し,第1回及び第2回審理を八王子市芸術文化会館及び八王子市民会館において開催するとともに,各回の審理において今後行う審理期日を複数日提示の上,期日を選択できる機会を与えるなどし,原告らを含む本件権利者らの利便について,十分な配慮をしている。以上のように,東京都収用委員会は,適法かつ適 各回の審理において今後行う審理期日を複数日提示の上,期日を選択できる機会を与えるなどし,原告らを含む本件権利者らの利便について,十分な配慮をしている。以上のように,東京都収用委員会は,適法かつ適正に審理期日を設定したものである。 (イ) 原告らは,審理日程の一方的設定は,土地収用法136条及び弁護士法3条に反する旨主張するが,弁護士法3条は,弁護士の職務を規定するものであり,土地収用法136条は,代理人の指定又は代理人としての資格に関するものにとどまるのであって,審理期日の指定とは関連がない。また,原告らは,代理人である弁護士(以下「弁護士代理人」という。)の本件審理期日への出席,意見陳述の機会が奪われた旨主張するが,本件の権利者らにおいては,弁護士代理人に委任をしていない者も多数あり,弁護士代理人との協議により審理期日を指定し得るものでもなく,かつ,弁護士代理人は複数選任されており,弁護士代理人間で審理期日に出頭する者を調整することによって,その出席は可能であると認められ,現に本件審理の各期日において,複数の弁護士代理人が出席していた。したがって,東京都収用委員会が行った審理の期日指定により,弁護士代理人の出席又は意見陳述の機会が奪われたことにはならない。 ウ本件審理において本件事業認定の違法性等に関する意見陳述は認められない(土地収用法63条3項)のであるから,この点についての意見陳述をすることができなかったとしても,本件各裁決の違法事由とはならない。 - 267 -また,東京都収用委員会は,本件各裁決の対象となる権利者らのうち,発言内容を明らかにした上で発言を希望するすべての権利者に対し発言の機会を与えており,各回の審理においては審理時間を延長するなど,可能な限り意見聴取に努めており,原告らの損失補償に関する事 のうち,発言内容を明らかにした上で発言を希望するすべての権利者に対し発言の機会を与えており,各回の審理においては審理時間を延長するなど,可能な限り意見聴取に努めており,原告らの損失補償に関する事項に係る意見陳述の機会は与えられていたから,本件審理を一方的に終結したということはできないし,終結後も更に追加する意見がある者について意見書の提出を認めている。他方,原告ら権利者は,本件審理において,意見陳述の機会が与えられたにもかかわらず,法的に何らの根拠のない事由に基づき東京都収用委員会の会長及び会長代理の辞任を求める発言を続け,あるいは,事業についての不服について意見を述べ,損失の補償について発言をせず,発言の先延ばしを図って当日の発言を拒否するなど,東京都収用委員会の会長の指揮に従わなかった。そのため,自ら損失の補償等に関する発言の機会を放棄したとみなさざるを得ない事態も生じていた。このように,原告らが自らの意思で上記の機会を適正に活用しなかったのであるから,本件審理の終結に違法性はない。原告らは,本件審理において原告ら権利者の発言を打ち切った旨主張するが,これは,原告らが,上記のとおり,原告ら権利者が東京都収用委員会の会長及び会長代理に辞任を求めるなど本件審理の対象でない事項に係る発言や同会長の許可を受けないで発言をした場合に,審理進行のために発言を制止し,それにもかかわらず原告ら権利者がその指示に従わず発言を続けようとしたため,やむを得ずマイクの電源を切るなどの措置を採ったにすぎないのであって,適正な審理指揮である。 なお,審理は,収用委員会が当事者の意見を聴取するためのものであり,会長が釈明を行うためのものではないし,本件において,東京都収用委員会の会長を含む委員の構成に違法性はないから,同会長や同会長代理の適格性に係 ,収用委員会が当事者の意見を聴取するためのものであり,会長が釈明を行うためのものではないし,本件において,東京都収用委員会の会長を含む委員の構成に違法性はないから,同会長や同会長代理の適格性に係る原告らの意見に対して説明をしないことをもって,本件審理の - 268 -手続に違法があるということはできない。 (5) 本件各裁決の内容に関する違法性についてア本件においては,土地収用法47条に定める事由はないから,本件各裁決は実体的要件に適合している。 イ収用の対象となる土地についてその境界に争いがあり,境界が特定できないときには,争いのある部分について,その所有者を確定できないことになるところ,土地収用法48条4項ただし書に定める「土地所有者又は関係人の氏名又は住所を確知することができない」場合に該当するものと解され,いわゆる不明裁決をすることが予定されている。そして,収用する土地の区域内の各土地の境界を明示することも,区域の特定のためには必要ないと解されている。 また,収用委員会は,争いのある私法上の権利関係を確定する権限を有する司法機関ではないし,収用手続はこのような権利関係を確定することを目的としたものでもないから,権利関係の究明にいたずらに時間と手数をかけ,裁決の遅延を来すようなことは適当でないと解される一方で,収用委員会は,裁決の対象となる土地等について権利関係の争いがあるからといって直ちに不明裁決をしてよいものではなく,収用委員会は,自己の責任において,事実関係の把握をした上で,法令及び確立された判例,通説に基づく法律判断を行わなければならないと解される。 ウ本件裁決3について(ア) 起業者は,土地収用法26条1項に基づく事業の認定の告示があった後,土地調書及び物件調書(以下,両者を併せて「調書」と総称 律判断を行わなければならないと解される。 ウ本件裁決3について(ア) 起業者は,土地収用法26条1項に基づく事業の認定の告示があった後,土地調書及び物件調書(以下,両者を併せて「調書」と総称することもある。)を作成することとされ(土地収用法36条1項),その作成のために,土地収用法35条1項は,起業者に,土地に立ち入り,これを測量することを認めている。この調書の作成に当たっては,同条2項で占有者へ通知しなくてはならないとの定めはあるが, - 269 -権利者の立会いは必ずしも必要ではなく,起業者が独自に所要の測量調査をすれば足りるものである。 また,土地収用法36条2項に定める立会いは,起業者において調書をあらかじめ用意し,これを権利者に現実に提示し,記載事項の内容を周知させれば足りるのであって,上記調書を作成する過程そのものに立ち会わせることが求められているものではない。 さらに,本件土地5に係る収用について,起業者らは,土地収用法36条の2により土地調書の作成を行っているところ,この場合,土地収用法36条2項ないし6項までの手続に代えて,起業者らは,自ら土地調書に署名押印した上で,収用しようとする土地が所在する市町村の長に対し,土地調書の写しを添付した申出書を提出し,市町村長は,このことを公告した後,1か月間その書類を縦覧に供する。公告に係る土地調書に記載のある土地所有者は,その調書の記載事項が真実でない旨の異議があるときは,縦覧期間内に起業者に対し異議申出書を提出することができる旨定められている。したがって,本件土地5に係る調書の作成においては土地収用法36条2項の適用がない。 そして,原告らが問題とする,本件土地5の北側に隣接する水路の境界確定手続は,土地収用法に定める手続ではないから,その手続いかん 地5に係る調書の作成においては土地収用法36条2項の適用がない。 そして,原告らが問題とする,本件土地5の北側に隣接する水路の境界確定手続は,土地収用法に定める手続ではないから,その手続いかんによって,本件収用裁決の手続が違法となるものではない。 (イ) 原告らは,本件土地5の収用に係る土地調書において特定された本件土地5の北側境界線の北側に,本件土地5の一部であるはずの土地がはみ出している旨主張するが,当該区域は本件裁決3に係る申請の範囲外の区域であり,本件土地5の周辺に旧×××番の土地が存在していることをもって,本件裁決3が違法であるとはいえない。 また,原告らは,本来水路である部分が本件土地5の範囲に含まれている旨主張する。しかし,原告らの主張は,要するに本件裁決3の - 270 -対象となった区域の土地の所有者として,原告ら以外にも,水路の所有者である被告国も含まれていたとするものであって,仮に,原告らの主張を前提としても,本件裁決3により,原告らは何らの不利益も受けない。したがって,かかる事実を本件裁決3の違法事由の根拠として主張することはできない。 (ウ) 東京都収用委員会は,本件土地5の境界について,次の理由に照らし,起業者らの本件土地5の土地の境界の特定は妥当であると判断したものである。その上で,起業者らから申請のあった土地の区域について,原告らの所有であることを原告らの代理人である弁護士から提出のあった意見書において確認した上で裁決をしたものであるから,裁決の対象となった土地所有者に誤りはない。 a 公図によれば旧×××番の土地の北側には水路が存在し,これは現地において確認することができた。 b 八王子登記所には,旧×××番の土地の地積測量図はなかったものの,同登記所に備えられている八王子市α2町△ れば旧×××番の土地の北側には水路が存在し,これは現地において確認することができた。 b 八王子登記所には,旧×××番の土地の地積測量図はなかったものの,同登記所に備えられている八王子市α2町△△番19,同番20及び同番21の土地(以下「△△番19の土地」,「△△番20の土地」及び「△△番21の土地」といい,これら3筆の土地を併せて「南側隣接地」という。)の地積測量図の北側境界線には,旧×××番の土地の東西の位置を示す引き出し線状の記載があることを確認した。南側隣接地の地積測量図には座標値の記載はないものの,その南側境界線の形状は,尾根の形状とほぼ整合している。 c 八王子登記所における調査によると,南側隣接地は,昭和45年の分筆前の八王子市α2町△△番の土地(以下「旧△△番の土地」という。)の一部であった土地である。旧△△番の土地は,八王子市が所有していた土地であり,昭和45年11月に八王子市α2町△△番3から同番12までに分筆がされ,その後更に同番8から分筆 - 271 -がされ,南側隣接地の各土地となったものである。 d 起業者らが境界特定の根拠とした既存の境界くいは,いずれも尾根に沿って設置されており,そのうち,石くい及びコンクリートくいについては,隣接する無地番の土地を所管する林野庁が管理する区域を示す境界くいであった。 e α2町の公図によれば,旧△△番の土地は,北側で無地番の土地と接し,水路を囲むような形状の土地である。 f 起業者らの特定した旧×××番の土地の境界を前提に,本件土地5について分筆登記が行われ,座標値が記載された地積測量図が八王子登記所に備えられている。 エ本件裁決4について(ア) 起業者らは,後記2(2)ウのとおり△番の土地が存在し得ると考えられる範囲を特定した上,土地の区域として 値が記載された地積測量図が八王子登記所に備えられている。 エ本件裁決4について(ア) 起業者らは,後記2(2)ウのとおり△番の土地が存在し得ると考えられる範囲を特定した上,土地の区域として申請した。これに対し,東京都収用委員会は,△番の土地の特定について次のとおり認定した。 a △番の土地は,登記簿及び公図によれば,八王子市α3町△△△番4及び同番7の土地の近隣で周囲を無番地の土地に囲まれた登記簿上の面積39平方メートルの土地である。 b 八王子登記所には,△番の土地の地積測量図はないが,周辺の土地である八王子市α3町△△△番2及び同番4ないし同番9までの土地の地積測量図が備えられている。 c △番の土地の西側には一級河川であるα28川,東側には旧国道の廃道敷があり,これらの現況は現地で確認することができた。 d 八王子市α3町△△△番4及び同番5の土地は,財務省及び被告東京都の嘱託により保存登記が行われた後,占有者であるX42に所有権移転登記が行われ,その後に同人から起業者に所有権移転登記が行われている。 - 272 -e 東京都南多摩西部建設事務所に常備されている旧甲州街道の実測図によれば,△番の土地の東側の旧国道の廃道敷が現況とともに表示されており,これによれば,幅員が約8メートルであることが確認することができた。 f 土地所有者らの主張する△番の土地の面積は,提出された図面によれば900平方メートルを超えている。 g 八王子市α3町△△△番2の土地については,平成13年9月12日に被告東京都により境界査定がされているが,△番の土地所有者らから提出された図面によると,その一部を△番の土地の一部としている。 (イ) 東京都収用委員会は,(ア)を前提に,△番の土地に係る公図は,正確な位置,面積を示すものと ているが,△番の土地所有者らから提出された図面によると,その一部を△番の土地の一部としている。 (イ) 東京都収用委員会は,(ア)を前提に,△番の土地に係る公図は,正確な位置,面積を示すものとはいえないとしても,周辺の土地の配置等から,おおむねの位置及び形状については参考にできると認められ,他に資料もないことから,公図及び周辺の土地の地積測量図等を参考とし,△番の土地の存在し得る範囲について申請を行った起業者らの特定方法を妥当と判断し,△番の土地の境界については不明としたものである。 他方,△番の土地の権利者らからは,△番の土地は,本件土地7も含め更に広い土地であるとの主張がされた。しかし,△番の土地の登記簿面積との比較や,本件土地7の土地については,△△△番6の土地について,八王子登記所において保存登記が行われ,地積測量図も備えられていることから,その主張を裏付ける事実は認められないと判断したものである。 オ立木の取得価格等について(ア) 収用委員会の裁決事項のうち損失の補償についての不服については,行政不服審査法による不服申立てが許されず,被収用者は,起業者を - 273 -被告として出訴すべきものとされているから,かかる事由を収用裁決の違法事由として主張することは許されない。 (イ) 土地収用法80条は,物件を収用する場合において,収用する物件に対しては,近傍同種の物件の取引価格等を考慮して,相当な価格をもって補償しなければならない旨と規定するところ,「相当な価格」とは,移転しなければならない物件に相当するものを取得するのに要する価格(土地収用法79条)に一致するものであり,市場における客観的な取引価格を意味するものである。また,ここでいう「相当な価格」とは,明渡裁決の時の価格(土地収用法73条)を意味す 得するのに要する価格(土地収用法79条)に一致するものであり,市場における客観的な取引価格を意味するものである。また,ここでいう「相当な価格」とは,明渡裁決の時の価格(土地収用法73条)を意味する。 本件のような山林等に生育している状態の立木の市場における客観的な取引価格とは,最寄り市場の価格から,当該立木を伐採して市場まで搬出する経費を控除して算定した価格をいう(このような算定方法を以下「市場価逆算方式」という。)のであり,この算定方式は一般的に採用されている合理的な相当価格算定方式である。その上で,東京都収用委員会は,本件裁決1,本件裁決3及び本件裁決4において,立木の取得価格とは,上記明渡裁決時の立木の客観的な取引価格を意味するものであり,当該立木の搬出路もないことなどの現況に照らせば,伐採して市場に搬出しても搬出費用が最寄り市場の価格を上回ることが明らかであることから,市場価逆算方式に従って取得価格を0円としたものである。 したがって,東京都収用委員会が上記各裁決において立木の「取得価格」を0円として裁決したことは適正であり,違法性はない。 (ウ) 原告らは,起業者らも収用裁決も上記価格の算定根拠を示していないと主張するが,東京都収用委員会は,起業者らから提出された立木補償について意見を述べている平成19年3月16日付け意見書の写しを原告らにも送付している。また,東京都収用委員会は,起業者ら - 274 -及び本件権利者らの申立てを検討の上,土地収用法65条1項に基づき現地を調査し,鑑定人に調査のための鑑定をさせた結果,立木の種類,胸高・根元直径及び樹高を認定し,また,立木の取得価格及び移転料を算定した上,補償額を算定したものであって,土地収用法73条,79条及び80条の規定を踏まえ,適正に算定した結果に基づ ,立木の種類,胸高・根元直径及び樹高を認定し,また,立木の取得価格及び移転料を算定した上,補償額を算定したものであって,土地収用法73条,79条及び80条の規定を踏まえ,適正に算定した結果に基づき裁決を行い,その判断の理由を裁決書で示している。 (6) 被告東京都は,本件事業認定の適法性並びに本件土地5及び△番の土地等の本件各裁決の対象物件に関する被告国,参加人関東地方整備局長及び参加人X1株式会社の主張及び立証を援用する。 2 被告国,参加人関東地方整備局長及び参加人X1株式会社の主張(1) 本件裁決3についてア旧×××番の土地の土地調書は,起業者らが,本件事業認定を受けた後,平成18年7月26日及び27日に土地収用法35条1項による土地物件調査を実施し,同法36条1項及び36条の2に基づいて作成したものである。具体的には,起業者らは,同年9月22日に同法36条の2第2項に定める申出を八王子市長あて実施した。申出を受けた八王子市長は,同年10月2日から同年11月2日まで八王子市役所で公告縦覧するとともに,同年10月2日付けでその旨を国土交通省関東地方整備局相武国道事務所(以下「相武国道事務所」という。)長あてに通知した。この通知を受けて,相武国道事務所長は,同日付けで,旧×××番の土地所有者あてに公告があった旨の通知を行っている。 他方,原告らは,境界確定に当たり土地所有者の立会いを求め土地調書に署名押印を求めることが必要なのに,立会いさえ求めなかったなどと主張するところ,土地収用法36条2項の規定は,調書を作成する過程そのものにまで立ち会わせることを求めているものではない。また,旧×××番の土地の土地調書は,土地収用法36条の2に定める手続により作成さ - 275 -れており,土地収用法36条2項の適用は そのものにまで立ち会わせることを求めているものではない。また,旧×××番の土地の土地調書は,土地収用法36条の2に定める手続により作成さ - 275 -れており,土地収用法36条2項の適用はない。 イ原告らは,相武国道事務所長が申請し,八王子市長が平成17年3月31日付け○道財市収第○号(以下「○年確定通知」という。)により確定通知を行った境界確定について,旧×××番の土地の所有者に通知されることなく境界確定作業が行われた旨を主張する。しかし,○年確定通知は,相武国道事務所が,圏央道事業に必要な土地の買収等を進めるため申請を行って作成したものを八王子市が認めたものであるが,旧×××番の土地以外の周辺土地権利者3名と公共用財産管理者間の境界確定であり,旧×××番の土地と公共用財産との間の境界は確定されていない。そして,官民境界確定は隣接地所有者同士の所有権の範囲を定める私的契約であるところ,対側地や両側の土地の所有者と現地での立会い等の境界確定の協議をしないか又は不調となった場合でも,申請者である土地所有者と境界確定の協議が成立すれば,申請地と里道の境界は,申請者と被告国の間では確定したことになる。したがって,旧×××番の土地の所有者を除く土地所有者との間で境界立会いが実施されたからといって○年確定通知自体が無効になるものではない。 なお,原告らは,○年確定通知に基づいて旧×××番の土地の土地調書が作成されているところ,○年確定通知における境界確定に誤りがあるから,上記土地調書の記載内容は真実でない旨の主張をするが,○年確定通知と旧×××番の土地の土地調書には,共通して表示されている箇所はない。 ウ相武国道事務所は,平成12年以降,旧×××番の土地を含む関係土地所有者に境界立会いの依頼をしてきたが,旧×××番の土地所 と旧×××番の土地の土地調書には,共通して表示されている箇所はない。 ウ相武国道事務所は,平成12年以降,旧×××番の土地を含む関係土地所有者に境界立会いの依頼をしてきたが,旧×××番の土地所有者からは境界立会い参加の同意が得られなかったため,先行して従前から境界立会い参加の同意を得られていた土地所有者との立会いを実施することとし,境界についての認識確認を平成16年8月2日に実施した。 - 276 -次に,関係土地所有者及び公共用財産管理者としての八王子市,申請者である相武国道事務所の立会いにより,境界確認及び測量作業を実施するために平成16年12月10日付けで関係土地所有者あてに境界立会いへの依頼書を送付した。 旧×××番の土地の所有者を含む圏央道事業反対者が組織する原告X30は,この境界立会い依頼に対して立ち会わないことを組織として決定し,相武国道事務所に対しては境界立会い拒否と測量中止の申入れを行い,平成17年1月18日の境界立会い実施日には,現地に赴きながら立会いを行わなかった。そのため,相武国道事務所は,やむを得ず平成16年8月2日に行った旧×××番の土地所有者を除く土地所有者との立会いを確定立会いの日とし,本来境界立会いを実施する予定であった日以降に図面を作成し,旧×××番の土地所有者を除く各土地所有者の同意を得たものである。 以上のとおりであるから,旧×××番の土地と公共用財産との境界確定に当たって,旧×××番の土地の所有者を無視した事実はない。 エ本件土地5の収用に係る土地調書は,旧×××番の土地の実測図を表示し,その隣接地である八王子市α2町□□番の土地(以下「□□番の土地」という。),水路(現八王子市α2町□□□番3土地),同町◎番の土地,△△番19の土地,△△番20の土地及び△△番21の 図を表示し,その隣接地である八王子市α2町□□番の土地(以下「□□番の土地」という。),水路(現八王子市α2町□□□番3土地),同町◎番の土地,△△番19の土地,△△番20の土地及び△△番21の土地の位置関係を表示しているにすぎず,旧×××番の土地の位置ないし境界等について原告らが主張することを本件土地5の収用に係る土地調書からうかがい知ることはできない。仮に,原告らの主張が○年確定通知について指摘するものであるとしても,○年確定通知は,当時の現況流水地及び通路の位置を定めているのではなく,八王子登記所が保管する旧土地台帳附属地図(以下「旧公図」という。)及び公図等に基づき公共用財産の位置を定めているのであり,自然地形は,古い時代からの風化,浸食,たい積等による変 - 277 -遷の可能性があり,また人工構造物等により変更されることもあり,現況と必ずしも一致しないこともあり得るから,自然地形と一致しないことのみをもって○年確定通知が誤っているということはできない。 オ原告らは,本件土地5の収用に係る土地調書における本件土地5の北側境界線の北側に,本件土地5の一部であるはずの土地がはみ出しているとともに,本来水路である部分が本件土地5の範囲に含まれている旨主張するが,一筆の区画については,旧公図作成時点で決められているものであり,他方,自然地形は,風化,浸食,たい積等の作用により経年変化し得るものであるから,仮に,現地の地形等が原告らの主張のとおりであったとしても,その現況が直ちに境界と認められるものではなく,境界を特定するための相応の根拠が必要である。 (2) 本件裁決4についてア △番の土地付近の旧甲州街道用地の幅員について,東京都南多摩西部建設事務所に常備されている旧甲州街道の実測図によれば約8メートルとされてお 応の根拠が必要である。 (2) 本件裁決4についてア △番の土地付近の旧甲州街道用地の幅員について,東京都南多摩西部建設事務所に常備されている旧甲州街道の実測図によれば約8メートルとされており,上記幅員が3メートルないし4メートルであるとする原告らの主張は根拠がない。 また,△番の土地に係る公図について,その信ぴょう性を疑わせる事情はなく,これを参考として土地の区画の決定をすることが相当でないとはいえない。 イ △番の土地付近の無番地の土地等に居住していたX42に対する土地の払下げ及び払い下げられた土地に係る起業者との間の売買契約は適正に行われており,起業者らが同人を脅迫するなどした事実はない。 ウ △番の土地については,所有者が耕作等実質的な手入れをしていないことや周囲が無番地に囲まれていることから,位置を特定する上で参考となる資料としては公図しか存在し得なかった。 起業者らは,この公図に基づき,①八王子市α3町△△△番2及び同番 - 278 -7の各土地,②α28川,③旧甲州街道である八王子α3町△△△番5の土地及び△△△番6の土地,④八王子市α3町△△△番4南側部分の土地,⑤八王子市α3町△△△番4北側部分の土地の現況をそれぞれ公図と一致させた場合の△番の土地の位置を各々図面にして,△番の土地の存在し得る範囲を認定した。具体的には,八王子市α3町△△△番2及び同番7の各土地(別紙図面1の1枚目平面図1黄色着色部)を全体として公図と合致させた場合の△番の土地は黄色囲み部分に特定されることになる。同様に,α28川(別紙図面1の2枚目・平面図2赤色着色部)を公図と一致させた場合には赤色囲み部分,旧甲州街道である八王子市α3町△△△番5の土地及び△△△番6の土地(別紙図面1の3枚目・平面図3橙色着色部)を一致させた場 1の2枚目・平面図2赤色着色部)を公図と一致させた場合には赤色囲み部分,旧甲州街道である八王子市α3町△△△番5の土地及び△△△番6の土地(別紙図面1の3枚目・平面図3橙色着色部)を一致させた場合には橙色囲み部分,八王子市α3町△△△番4南側部分の土地(別紙図面1の4枚目・平面図4緑色着色部)を一致させた場合には緑色囲み部分,八王子市α3町△△△番4北側部分の土地(別紙図面1の5枚目・平面図5藍色着色部)を一致させた場合には,藍色囲み部分に特定されることとなる。別紙図面1の平面図1ないし5は,いずれも公図を基本としているため,その信ぴょう性に優劣はなく,起業者らとしては,これら図面により特定した範囲内に△番の土地が存在するものと考え,上記図面により特定した△番の土地を1枚にまとめ(別紙図面1の6枚目・平面図(5点復元図)),その外枠のポイントをそれぞれK520,Y.1,Y.2,Y.3,Y.4,Y.5として座標計算を行い,土地調書を作成した。起業者らは,上記方法により特定した範囲全部が△番の土地である場合も可能性としてはあると考え,全部が△番の土地である場合又は△番の土地と無番地が含まれる場合とがあることを土地調書に記載した。 以上のように,起業者らとしては,現存する資料により△番の土地が存在すると考えられる最大限の範囲を△番の土地である可能性があるとして土地調書を作成したものであり,その方法は適正である。 - 279 - 3 原告らの主張(1) 本案前の主張についてア行政処分を取り消す旨の判決は遡及的に効力が生じるものと解すべきところ,明渡裁決が取り消されれば,原告らの占有権原が復活し,原状回復を求め得る法的地位を獲得するのであるから,明渡裁決の対象となる土地の明渡しが完了しても,訴えの利益があるというべきである すべきところ,明渡裁決が取り消されれば,原告らの占有権原が復活し,原状回復を求め得る法的地位を獲得するのであるから,明渡裁決の対象となる土地の明渡しが完了しても,訴えの利益があるというべきである。また,原告らが権利取得裁決を争うことができるとしても,請求権が競合する場合には,そのいずれによる請求をも認めるべきである。 イ別紙第3事件原告目録1記載の各原告のうち同目録「所有権東京都八王子市」欄に「α2町×××番2」と記載された各原告は,本件裁決4の対象物件である立て看板の共有者である。そして,上記原告らは,上記立て看板を△番の土地の所有者に同意を得て設置したものであるが,△番の土地が収用されれば,上記看板を設置する権原を失うことにつながるから,本件裁決4の取消しを求める法律上の利益を有する。 ウ別紙第3事件原告目録3記載の各原告のうち,同目録「立木・物件東京都八王子市」欄に「α3町△番内立看板」と記載された各原告について,本件裁決5の対象土地は本件土地7とされているが,これは△番の土地の一部である。そして,上記原告らは,いずれも,△番の土地上に設置された立て看板を共有する者であり,上記立て看板を△番の土地の所有者に同意を得て設置したものであるが,本件土地7が収用されれば,上記看板を設置する権原を失うことにつながるから,本件裁決5の取消しを求める法律上の利益を有する。 (2) 本件事業認定の違法性の承継について先行する行政行為と後行する行政行為が同一の目的を追求する手段と結果との関係をなし,これらが相結合して一つの効果を完成する一連の行為となっている場合には違法性の承継が認められるべきである。そして,土地収用 - 280 -法における事業認定と収用裁決とは,その主体は異なっていても,土地収用という一つの目的に向け る一連の行為となっている場合には違法性の承継が認められるべきである。そして,土地収用 - 280 -法における事業認定と収用裁決とは,その主体は異なっていても,土地収用という一つの目的に向けた一連の行為であることに加え,収用委員会が事業認定の審査権限を有しないこと,土地収用が私人の所有権をはく奪するものであり,当該私人の権利保護が図られる必要があるところ,事業認定の段階では収用される区域等が明確でなく,事業の公益性の点について事業認定の段階で争わなければ救済手段を失うとするのは当該私人に酷であることなども併せ考慮すれば,土地収用法に基づく事業認定の違法性は収用裁決にも承継されるというべきである。そして,本件事業認定には,第1の2で述べたとおりの違法事由があるから,本件各裁決は,その違法性を承継する。 (3) 本件各裁決の手続に係る違法性ア土地収用法52条3項は,収用委員会の委員につき,公共の福祉に関し公正な判断をすることができる者のうちから,都道府県の議会の同意を得て,都道府県知事が任命する旨を定める。また,土地収用法52条4項は,収用委員会の委員が地方公共団体の議員又は地方公共団体の長若しくは職員と兼職することを禁止するところ,その趣旨は,収用委員会の委員がその職務の遂行に当たって不偏不党,公正中立である必要があり,地元の利害にとらわれたり,起業者の立場に偏することがあってはならないためである。したがって,収用委員会の委員は,第三者機関として公正かつ公平な立場で審理することが期待されている。さらに,土地収用法61条は,委員が当事者又は当事者の関係人である場合などは当然に除斥される旨を定めるところ,収用委員会の判断の公正さを保障するためには,単に除斥事由に該当する場合に限らず,判断の公平さに懸念が持たれる委員は審理に携 事者又は当事者の関係人である場合などは当然に除斥される旨を定めるところ,収用委員会の判断の公正さを保障するためには,単に除斥事由に該当する場合に限らず,判断の公平さに懸念が持たれる委員は審理に携わるべきではなく,また,委員として任命すべきではないのであり,法的にもこれを排除すべきである。 しかし,東京都収用委員会の会長であるX26は,平成12年3月まで東京都の特別区人事・厚生事務組合の法務部長を務め,昭和54年以降長 - 281 -年にわたって,住民と特別区との間の訴訟の特別区側の代理人をするとともに,国土交通省総合政策局総務課土地収用管理室が平成19年3月ころに設置した「土地収用制度における事業認定の法的効果の早期確定に向けた検討会」に学識経験者として検討委員に就任するなどの経歴を有する者である。また,本件各裁決当時東京都収用委員会の会長代行であったX27は,東京都職員として建設局や都市計画局で長期間勤務して局長等の要職を務め,本件事業認定の前提となる圏央道事業の都市計画決定等においても関与するとともに,東京都職員を退職後も被告東京都の外郭団体である東京都公園協会の理事長や東京都都市計画審議会委員等を務め,国土交通省とも関係の深い者である。そして,上記のような経歴を有する者は,本件審理において公正な判断をすることができないおそれがあるか又は公正な判断をすることを疑わせる立場にある者であるから,これらの者が東京都収用委員会の会長及び会長代行に就任し,本件事業認定の瑕疵の有無が審理されるべき本件審理に関与することは,上記土地収用法の各規定に反する。 イ審理期日の一方的指定収用委員会による審理期日の指定に当たっては,関係者が可能な限り出席しやすく,かつ十分な準備の上に意見を述べる期日を指定することは,公平な審理の前提 規定に反する。 イ審理期日の一方的指定収用委員会による審理期日の指定に当たっては,関係者が可能な限り出席しやすく,かつ十分な準備の上に意見を述べる期日を指定することは,公平な審理の前提であり,そのような期日指定をするためには,関係者の意見を十分に聴取し,関係者と協議することが必要である。しかし,本件審理の各期日は,原告らの再三の申入れにもかかわらず,すべて東京都収用委員会が一方的に指定した。このような期日の一方的指定は,関係住民の意見陳述の機会を不当に制約する不公正なものであり,その権限を濫用するものであるとともに,代理人弁護士が出席して意見を陳述する機会を奪うものであり,弁護士による代理を認める土地収用法136条及び弁護士法3条に反する。 - 282 -ウ審理期日における不当な審理指揮及び審理の一方的打切り土地収用法63条は,土地の区域や補償に関して口頭で意見を述べることができる旨を定めるところ,東京都収用委員会が,審理期日と時間を一方的に指定したものであったため,発言を希望する意思を示したにもかかわらず意見陳述をすることができない多数の権利者及び関係人を残したまま審理が打ち切られた。 また,本件審理の各期日においては,東京都収用委員会の会長及び会長代行の経歴等に関する釈明を拒絶されるなど,議論の主題自体が不当に制約された。 さらに,本件審理の各期日においては,一方的に時間制限をするなどして,発言を求める者に十分に発言させないような審理の指揮がされた。 したがって,本件審理においては,権利者及び関係人からの意見聴取が不十分であり,これは本件各裁決の違法事由を構成する。 エ後記(4)エで述べるとおり,本件各裁決には収用対象地の立竹木の取得価格及び補償額をいずれも0円としているものがあるところ,そ の意見聴取が不十分であり,これは本件各裁決の違法事由を構成する。 エ後記(4)エで述べるとおり,本件各裁決には収用対象地の立竹木の取得価格及び補償額をいずれも0円としているものがあるところ,その算定根拠が何ら示されていない。すなわち,例えば近傍の市場の同種物件(立木)の取引価格等が示されることが必要なはずであるが,このような資料が提示されていない。この点は当該裁決の違法事由を構成する。 (4) 本件各裁決の内容に関する違法性ア憲法29条1項に定める財産権の不可侵の原則からすれば,土地収用は例外的措置であるから,その適用は,慎重かつ厳格に適用されねばならない。そのような観点から,土地収用法37条1項は,起業者において,収用する対象土地の所在,地番,地目,地積並びに土地所有者の氏名及び住所を記載し,実測平面図を添付した土地調書を作成しなければならないと定めているところ,収用する土地の形状や位置を特定する必要からすれば,収用する対象土地の属する筆については,隣接する土地との境界を明確に - 283 -し,その位置及び形状を特定しなければならない。また,土地収用法40条は,起業者が収用委員会の裁決を申請しようとするときは,収用又は使用しようとする土地の所在,地番,地目,面積,使用の方法並びに権利を有する関係人の氏名及び住所等を特定することを求めているところ,収用の対象となる土地の境界を確定することは,土地を特定する重要な要素であり,土地収用においては,これが適正な手続で行われる必要がある。 したがって,仮に,いわゆる不明裁決があり得たとしても,それは,権利者ら関係人の意見を十分に聴取し,境界画定の努力が十分になされた上でされる必要があり,争いがあるからといって直ちに不明裁決をしてよいものではなく,収用委員会は,自己の責任に たとしても,それは,権利者ら関係人の意見を十分に聴取し,境界画定の努力が十分になされた上でされる必要があり,争いがあるからといって直ちに不明裁決をしてよいものではなく,収用委員会は,自己の責任において,事実関係の把握をした上で,法令及び確立された判例,通説に基づく法律判断を行わなければならないのであって,このような手順を経て,なお,権利者不明と判断せざるを得ないときに,初めて不明裁決を行うことができるのである。 しかし,本件各裁決は,上記のとおり権利者らの意見を十分に聴取することなく,かつ,次に述べるとおり境界があいまいなままされたものであるから,違法である。 イ本件裁決3について本件裁決3により起業者らが収用しようとした本件土地5は,旧×××番の土地の東側部分の651.42平方メートルであり,土地調書上,その北側には水路及び里道があり,水路との境界は,別紙図面2のKY15-16,KY15-20,KY15-23及びKY15-24をそれぞれ結んだ線で画されている。そして,東京都収用委員会は,本件裁決3において,起業者らの主張するとおりの境界を認定しているが,かかる認定は次の理由により違法である。 (ア) 相武国道事務所は,圏央道新設工事に伴う用地買収のため,八王子市に対して,旧×××番の土地及びその周辺土地と市有地である水路 - 284 -及び里道の境界確定を申請し,その申請を受けて,八王子市が,国土交通省が作成した現況実測平面図を基に水路及び里道を確定して隣接土地所有者との間で土地境界図を作成した。そして,本件土地5の収用に係る土地調書は,上記八王子市が作成した土地境界図を基に作成されている。 しかし,上記境界確定作業の過程で,旧×××番の土地の所有者に対して境界立会いの呼び掛け又は案内をせずに,一方的に境界 用に係る土地調書は,上記八王子市が作成した土地境界図を基に作成されている。 しかし,上記境界確定作業の過程で,旧×××番の土地の所有者に対して境界立会いの呼び掛け又は案内をせずに,一方的に境界確定の作業が行われたものであるから,そのような境界確定は無効である。 また,収用の対象となる土地の境界確定に当たっては,土地所有者の立会いを求め,土地調書に署名押印を求めることが必要である(土地収用法36条2項)ところ,境界確定に当たり土地所有者の立会いを求められていないままに本件土地5の収用に係る土地調書が作成されており,その作成手続に瑕疵があるから,土地収用法47条に基づいて裁決を却下すべきであり,それがされなかった本件裁決3には違法がある。 (イ) (ア)に述べた八王子市が作成した土地境界図及びこれを基に作成された本件土地5の収用に係る土地調書は,次のとおり記載内容が誤っている。このような誤りが生じたのは,八王子市α3町の公図や測量図面を参照せず,八王子市α2町の公図や測量図面のみを参照して土地調書を作成するなどしたためである。そして,東京都収用委員会は,十分な調査をせずに,かかる内容に誤りがある土地調書に依拠して本件裁決3をしたのであるから,本件裁決3には違法がある。 a 旧×××番の土地,□□番の土地,八王子市α2町◎◎番の土地,同町□□□番の土地及び同町◎◎◎番の土地(以下,これらの土地を「◎◎番の土地」,「□□□番の土地」及び「◎◎◎番の土地」という。)の間にある水路と里道の位置が誤っている。 - 285 -特に,□□番の土地と□□□番の土地の境界部分の位置には水路及び里道はないし,◎◎◎番の土地と□□番の境界部分にあるとされた里道の位置は異なっている。旧×××番の土地に隣接する水路の位置は,別紙図面3の赤点線の 土地と□□□番の土地の境界部分の位置には水路及び里道はないし,◎◎◎番の土地と□□番の境界部分にあるとされた里道の位置は異なっている。旧×××番の土地に隣接する水路の位置は,別紙図面3の赤点線のとおりである。 b 本件土地5の収用に係る土地調書は,八王子市が,旧α40町の町有林であった旧△△番の土地を払下げした際の分筆図面を基に作成された△△番20の土地及び△△番21の土地の地積測量図を基に作成されているが,上記地積測量図によれば,△△番21の土地と八王子市α3町●番の土地(以下「●番の土地」という。)は境界が接している。それにもかかわらず,本件土地5の収用に係る土地調書においては,△△番21の土地と●番の土地が離れた位置にあるものとされている。このような誤りが生じたのは,□□番の土地と八王子市α3町●●番の1の土地の面積と範囲を異常に大きくとったため,他の土地,特に△△番21の土地の位置が西側にずれたためである。 c 土地調書における本件土地5とその北側に接する水路の境界線は,別紙図面4のKY15-16,L43,KY15-20を順次結んだ線であるが,現実の水路の位置は,同図面の青色線に囲まれた水色部分であり,実際の里道は,茶色線に囲まれた茶色部分である。 同図によれば,実際は水路である部分が本件土地5の範囲に入っている箇所がある一方で,実際は本件土地5の一部であるはずの土地が上記線の北側にはみ出している箇所があり,現実の土地の形状と一致していない。 (ウ) 八王子市α3町●●●番の土地(以下「●●●番の土地」という。)には稲荷神社があり,この土地の区域は神社であるため変化はないと考えられる。そこで,●●●番の土地を基準として,旧△△番の土地 - 286 -が払い下げられた際の測量図面,△△番21の地積測量図を根拠とし があり,この土地の区域は神社であるため変化はないと考えられる。そこで,●●●番の土地を基準として,旧△△番の土地 - 286 -が払い下げられた際の測量図面,△△番21の地積測量図を根拠として,図面を作成すると,別紙図面5のとおりである。これによれば,本件裁決3により収用裁決及び明渡裁決がされた本件土地5は,×××番の土地の一部であるKY15-16,H15-781-1,H15-782,L-32-1,L-43等の各点で結ばれた「収用裁決された区画」と表示された土地にすぎず,別紙図面5のうち,L-32-1,M-84,M-83,M-82,M-81,M-41,M-42,M-43,KY15-16,H15-781-1,H15-782,L-32-1等の各点で結ばれた「収用裁決されていないα2町×××番地の区画」と表示された土地は,いまだ原告ら土地所有者が所有する八王子市α2町×××番1の土地である。 ウ本件裁決4について東京都収用委員会は,本件裁決4において,△番の土地の境界は不明である旨の不明裁決をしているところ,不明裁決は,土地所有権の権利関係に争いがあり,土地所有者の氏名及び住所が確知できない場合に例外として行われるものである。土地の境界に争いがあり,その結果,収用対象の土地の権利者の氏名及び住所が確定できない場合にも不明裁決が許されるとしても,土地収用は財産権を所有者から奪う例外的措置なのであるから,当事者にはどの範囲の土地が収用対象であるのか,その関係で当事者の土地がどの位置に,どの程度の広さであるのかは最低限明示すべきであり,安易な不明裁決は避けるべきである。したがって,少なくとも,当事者の意見を十分に聴き,収用委員会として十分な調査をしても,土地境界についての争いが最終的に不明である場合に不明裁決が許されるというべき 安易な不明裁決は避けるべきである。したがって,少なくとも,当事者の意見を十分に聴き,収用委員会として十分な調査をしても,土地境界についての争いが最終的に不明である場合に不明裁決が許されるというべきである。 しかし,次に述べるとおり,起業者ら及び東京都収用委員会は,△番の土地の境界を確定する作業を不誠実に行っているから,本件裁決4は違法 - 287 -である。 (ア) 起業者らは,△番の土地について,公図や登記簿謄本を参考にしたと説明するのみで,土地の形状や位置等を特定するための具体的な根拠を示していない。また,△番の土地の境界について,権利者らの意見を十分に聴取することなく,境界が確定されないままに収用裁決がされている。 (イ) △番の土地の特定の方法には次のとおり問題がある。 a 明治21年ころに八王子市α3地区に旧甲州街道が開設される際に,△番の土地の一部が提供されていることから,△番の土地と旧甲州街道とは接して存在していたにもかかわらず,公図上は,旧甲州街道と△番の土地とは接していないため,この公図は不正確である。また,△番の土地上にかつて居住していたX42は,同人宅が旧甲州街道に接して製材業を営んでいた旨説明しており,その点からも,△番の土地と旧甲州街道が接していたといえる。 b 起業者らは,八王子市α3町△△△番2,同番4,同番6及び同番7の各土地を基点にするなどして△番の土地の範囲を特定したと主張するが,その方法が不明確であり,かつ,上記八王子市α3町△△△番2,同番4,同番6及び同番7の各土地は,旧甲州街道と△番の土地との間に無番地の土地があるとの誤った前提の下で,被告国がその無番地の土地上に勝手に地番を作り出したものにすぎない。 c △番の土地の範囲を特定する際に,起業者ら及び東京都収用委員会は,△ の土地との間に無番地の土地があるとの誤った前提の下で,被告国がその無番地の土地上に勝手に地番を作り出したものにすぎない。 c △番の土地の範囲を特定する際に,起業者ら及び東京都収用委員会は,△番の土地に接する旧甲州街道の幅員が8メートルであったことを前提にしているところ,実際は,上記旧甲州街道の幅員は3メートルないし4メートルである。また,相武国道事務所の職員らは,本来は△番の土地上に居住していたX42に対して,同人が旧甲州街道と△番の土地との間にある無番地の土地に居住しているなどと説明をし - 288 -たところ,同人が居住していた場所が無番地の土地上にあるという主張も,旧甲州街道の幅員が8メートルであったことを前提に初めて成り立つものであり,事実に反するものである。そして,上記職員らは,X42を△番の土地から立ち退かせるため,上記虚偽の説明をするなどして,同人が△番の土地ではなく旧甲州街道の廃道部分である都有地及び国有地に長年にわたり無断で居住しており,土地を使用する権限がないから立ち退きをするほかないなどと申し向けて脅迫した上で,本来は△番の土地の一部である場所に八王子市α3町△△△番4及び同番5の各土地を生み出し,いったん同人に八王子市α3町△△△番4及び同番5の各土地を財務省及び被告東京都から購入させ,これを国土交通省に売却させたものである。したがって,このような経緯で作り上げられた八王子市α3町△△△番4及び同番5の各土地の存在を前提にして△番の土地の範囲を確定することは誤りである。 エ本件裁決1,本件裁決3及び本件裁決4においては,原告らが所有する立竹木の取得価格及び補償額をいずれも0円としているところ,関係人らは,立木が生えている山の自然環境及びその山と一体となった高尾山やα1地域の自然環境の価値を評価 裁決4においては,原告らが所有する立竹木の取得価格及び補償額をいずれも0円としているところ,関係人らは,立木が生えている山の自然環境及びその山と一体となった高尾山やα1地域の自然環境の価値を評価し,それを保全するために立木を取得したものである。本件各裁決により土地の収用がされれば上記立木を失うとともに,立木が生えている自然環境も破壊されるのであり,その自然環境が失われるのであれば,自然環境の価値を財産的に評価して補償されるべきである。したがって,起業者らは,上記立木の所有者に金銭により補償するとするならば,本件各裁決による収用の対象となっている立木全体に対して,同様の自然環境の条件が確保される用地を他の場所で確保し,その場所で上記立木が生息することができる状況を作り出すのに必要な価格を基準にすべきであり,高尾山やα1地域と同様の環境で,同様の立木を取得する費用は莫大なものであるから,1本0円と換算することは不公正で - 289 -ある。 また,被告東京都が主張する市場価逆算方式を適用したからといって,直ちに相当な補償が算定されたということはできない。 なお,原告らは,単に補償金額に対する不服を述べるものではなく,その評価方法と評価の過程等についての問題を指摘するものであるから,これらは収用裁決の違法事由となるものである。 - 290 -(別紙)主文目録 1 第1事件及び第2事件の訴えのうち,別紙第1事件第4原告目録,別紙第1事件第5原告目録,別紙第2事件原告目録2及び別紙第2事件原告目録3に記載の各原告に係る部分 2 第3事件の訴えのうち,次の請求に係る部分(1) 別紙第3事件原告目録2記載の各原告並びに別紙第3事件原告目録3記載の各原告のうち原告X2,原告X3,原告X4,原告X5, 各原告に係る部分 2 第3事件の訴えのうち,次の請求に係る部分(1) 別紙第3事件原告目録2記載の各原告並びに別紙第3事件原告目録3記載の各原告のうち原告X2,原告X3,原告X4,原告X5,原告X6,原告X7,原告X8,原告X9,原告X10及び原告X11に係る別紙裁決目録1記載の各裁決の取消しを求める訴えのうち明渡裁決の取消しを求める部分(2) 別紙第3事件原告目録1記載の各原告のうち原告X48,原告X49及び原告X50に係る別紙裁決目録3及び4記載の各裁決の取消しを求める訴えのうち明渡裁決の取消しを求める部分(3) 原告X35に係る別紙裁決目録2及び4の各裁決の取消しを求める訴えのうち明渡裁決の取消しを求める部分(4) 別紙第3事件原告目録1記載の各原告(ただし,原告X48,原告X49,原告X50及び原告X35を除く。)のうち,同目録「所有権東京都八王子市」欄に「α2町×××番2」と記載された原告については別紙裁決目録3記載の各裁決の,同欄に「α3町△番」と記載された原告については別紙裁決目録4記載の各裁決の各取消しを求める訴えのうち明渡裁決の取消しを求める部分(5) 別紙第3事件原告目録1の各原告のうち同目録「所有権東京都八王子市」欄に「α2町×××番2」と記載された各原告(ただし,原告X48,原告X49及び原告X50を除く。)に係る別紙裁決目録4の各裁決の取消しを求める訴え(6) 別紙第3事件原告目録3記載の各原告のうち,同目録「立木・物件東京都 - 291 -八王子市」欄に「α3町△番内立看板」と記載された各原告に係る別紙裁決目録5の各裁決の取消しを求める訴え れた各原告に係る別紙裁決目録5の各裁決の取消しを求める訴え
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