判決平成15年1月29日神戸地方裁判所平成14年(わ)第1220号業務上過失傷害被告事件 主文 被告人を禁錮1年2月に処する。 この裁判確定の日から3年間その刑の執行を猶予する。 訴訟費用は被告人の負担とする。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,平成14年1月19日午前5時52分ころ,業務として普通乗用自動車を運転し,神戸市a区b通c丁目d番先の信号機により交通整理の行われている交差点を東から西に向かい直進するにあたり,対面信号機の表示に留意し,その信号機の表示に従うべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り,信号機の表示に留意せず漫然時速約60キロメートルで進行した過失により,同交差点の停止線の手前約16.5メートルの地点に接近するまで対面信号機が赤色を表示しているのに気付かず,同停止位置で停止できないと判断し,そのまま同交差点に向かい進行し,折から青色信号に従って北から南に向かい進行してきたA(当時58歳)運転の自転車を右前方約23.2メートルの地点に発見し,急制動の措置を講じたが間に合わず,同自転車後部に自車左側ドアミラーを衝突させて同人を自転車もろとも路上に転倒させ,よって,同人に対し加療約7か月間を要する第1腰椎圧迫骨折の傷害を負わせたものである。 (証拠の標目)ー括弧内の数字は証拠等関係カード記載の検察官請求証拠番号ー省略(補足説明)被告人は,当公判廷で被告人車両の速度は60キロメートル毎時ではなく50キロメートル毎時程度であったし,交差点の停止線の手前約16.5メートルの地点において対面信号機の表示は赤色ではなく黄色であった,対面信号機の表示が赤色であったのを確認したのは交差点の停止線直前であ ロメートル毎時程度であったし,交差点の停止線の手前約16.5メートルの地点において対面信号機の表示は赤色ではなく黄色であった,対面信号機の表示が赤色であったのを確認したのは交差点の停止線直前であったし,横断歩道に入った辺りで被害者を発見した旨供述をするが,実況見分調書(6)によれば,交差点の東側横断歩道上から西に被告人車両のスリップ痕が,右側19.9メートル,左側19.7メートルにわたり印象されていることが認められるところ,スリップ痕の位置とその形状に照らせば,被告人の前記公判供述は明らかに措信しがたいから,被告人の前記公判供述は採用できない。前掲関係証拠によれば判示事実は優に認められる。 (法令の適用)罰条刑法211条1項前段刑種の選択禁錮刑選択宣告刑禁錮1年2月刑の執行猶予刑法25条1項(3年間猶予)訴訟費用刑事訴訟法181条1項本文(全部負担させる。)(量刑の理由)本件は,判示の過失により,被告人が被害者の乗車する自転車に自車を衝突させて同女を転倒させ,同女に加療約7か月間を要する第1腰椎圧迫骨折の傷害を負わせた業務上過失傷害の事案である。 被告人は信号機により交通整理の行われている交差点に直進進入するにあたり,対面信号機の表示に留意する注意義務があるのにこれを怠るという自動車運転者として基本的な注意義務に違反したものであって,その過失の程度は少なくなく,また,被害者の被った傷害の結果も重傷であるから,被告人の刑事責任は軽視しえず,弁護人が主張するように,本件は罰金刑をもって処断すべき事案とは認められない。 しかしながら,被告人は,事故の直後から被害者の救護に当たり,その後も被害者を見舞うなど,事故後の態度は誠実であり,真摯な反省の態度が認められること, 刑をもって処断すべき事案とは認められない。 しかしながら,被告人は,事故の直後から被害者の救護に当たり,その後も被害者を見舞うなど,事故後の態度は誠実であり,真摯な反省の態度が認められること,そのためもあって,嘆願書を提出するなど被害者は宥恕の意思を明らかにしていること,示談が成立したこと,被告人には前科前歴がないこと等被告人のために酌むべき事情も認められるので,主文のとおり量定した上,その禁錮刑の執行を猶予することとした。 よって,主文のとおり判決する。 平成15年1月29日神戸地方裁判所第11刑事係甲裁判官杉森研二
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