平成14年(行ケ)第120号特許取消決定取消請求事件平成14年7月16日口頭弁論終結判決原告東洋紡績株式会社訴訟代理人弁理士森治被告特許庁長官及川耕造指定代理人三浦均同森田ひとみ同林栄二 主文 1 特許庁が異議2000-74466号事件について平成14年1月28日にした決定を取り消す。 2 訴訟費用は各自の負担とする。 事実及び理由 第1 原告の求めた裁判主文第1項と同旨の判決。 訴訟費用は被告の負担とする。 第2 前提となる事案 1 特許庁における手続の経緯原告は,発明の名称を「ポリエステルの製造方法」とする特許第3052939号(本件特許)の特許権者である。 本件特許は,平成10年8月27日に特許出願され,平成12年4月7日に設定登録された。 東レ株式会社から特許異議の申立てがされ(異議2000-74466号),原告は,平成13年7月16日に明細書の訂正請求をしたところ,特許庁は,平成14年1月28日,上記訂正を認めた上,「特許第3052939号の請求項1~請求項6に係る特許を取り消す。」とした異議の決定(本件決定)をし,その謄本は同年2月18日に原告に送達された。 2 本件決定の理由の要旨上記訂正は,特許法120条の4第2項及び120条の4第3項において準用する特許法126条2項から4項までの規定に適合するので,訂正を認める。 後記3の請求項1ないし6に係る本件発明は,いずれも甲第4号証の6(特開平7-233248号公報で,決定における において準用する特許法126条2項から4項までの規定に適合するので,訂正を認める。 後記3の請求項1ないし6に係る本件発明は,いずれも甲第4号証の6(特開平7-233248号公報で,決定における刊行物1,甲第1号証)及び甲第4号証の7(特開平10-114819号公報で,決定における刊行物2,甲第2号証)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって,特許法29条2項により特許を受けることができないものであるので,同法113条2号の規定により,取り消されるべきものである。 3 後記5の訂正審決による訂正前の本件発明の要旨【請求項1】ポリエステルチップを処理槽中で,粒径1~25μmの粒子を10~50000個/10cc含む水を系外から導入することにより水処理することを特徴とするポリエステルの製造方法。 【請求項2】 ポリエステルチップを,処理槽に継続的に供給することを特徴とする請求項1記載のポリエステルの製造方法。 【請求項3】 ポリエステルチップを,処理槽に間欠的に供給することを特徴とする請求項1記載のポリエステルの製造方法。 【請求項4】 処理槽からの処理水の排出と,排出した処理水の処理槽への戻りが継続的であることを特徴とする請求項1,2又は3記載のポリエステルの製造方法。 【請求項5】 処理槽からの処理水の排出と,排出した処理水の処理槽への戻りが間欠的であることを特徴とする請求項1,2又は3記載のポリエステルの製造方法。 【請求項6】 ポリエステルが,極限粘度0.55~1.30デシリットル/グラムの主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートから構成されるポリエステルであることを特徴とする請求項1,2,3,4又は5記載のポリエステルの製造方法。 4 後記5の訂正審決による訂正後の本件発明の要旨【請求項1】 位がエチレンテレフタレートから構成されるポリエステルであることを特徴とする請求項1,2,3,4又は5記載のポリエステルの製造方法。 4 後記5の訂正審決による訂正後の本件発明の要旨【請求項1】 系外から天然水を処理槽に供給するまでの間及び処理槽から排水した水を再度処理槽に戻すまでの間に粒子を除去する装置をそれぞれ設置し,ポリエステルチップを処理槽中で,前記粒子を除去する装置を通した粒径1~25μmの粒子を10~50000個/10cc含む水を系外から処理槽に導入するとともに,再度処理槽に戻す水に含まれるファインを除去して水処理を行うことを特徴とするポリエステルの製造方法。 【請求項2】 ポリエステルチップを,処理槽に継続的に供給することを特徴とする請求項1記載のポリエステルの製造方法。 【請求項3】 ポリエステルチップを,処理槽に間欠的に供給することを特徴とする請求項1記載のポリエステルの製造方法。 【請求項4】 処理槽からの処理水の排出と,排出した処理水の処理槽への戻りが継続的であることを特徴とする請求項1,2又は3記載のポリエステルの製造方法。 【請求項5】 処理槽からの処理水の排出と,排出した処理水の処理槽への戻りが間欠的であることを特徴とする請求項1,2又は3記載のポリエステルの製造方法。 【請求項6】 ポリエステルが,極限粘度0.55~1.30デシリットル/グラムの主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートから構成されるポリエステルであることを特徴とする請求項1,2,3,4又は5記載のポリエステルの製造方法。 5 訂正審決の確定原告は,本訴係属中の平成14年4月26日付けで,本件特許につき,特許請求の範囲の減縮を目的として,明細書の訂正をする審判を請求したところ(訂正2002-39105号),同年6月21日,当該訂正を 原告は,本訴係属中の平成14年4月26日付けで,本件特許につき,特許請求の範囲の減縮を目的として,明細書の訂正をする審判を請求したところ(訂正2002-39105号),同年6月21日,当該訂正を認める旨の審決があり,その謄本は同年7月3日に原告に送達され,訂正審決は確定した。 第3 原告主張の決定取消事由本件決定は,第2の3に記載の訂正前の本件発明の要旨を認定し,これに基づき,第2の2のとおり,本件発明は特許法29条2項により特許を受けることができないものであるなどとしているが,第2の5のとおり特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正を認める審決が確定し,本件発明の要旨が第2の4のとおり訂正されたことにより,本件決定は,結果的に本件発明の要旨の認定を誤ったことになり,瑕疵があるものとして取消を免れない。 第4 当裁判所の判断第2に記載の事実関係は,本件証拠及び弁論の全趣旨により認めることができ,これらの事実関係に照らせば,原告主張の事由により本件決定は取り消されるべきものであり,本訴請求は理由がある。 よって,原告の請求は理由があるからこれを認容し,訴訟費用の負担につき行訴法7条,民訴法62条を適用して,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第18民事部裁判長裁判官永井紀昭裁判官古城春実裁判官田中昌利
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