平成24(行コ)16 生活保護変更決定取消請求控訴事件(原審・福岡地方裁判所平成18年(行ウ)第12号,平成19年(行ウ)第18号)

裁判年月日・裁判所
平成25年12月16日 福岡高等裁判所 その他
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判決文本文51,004 文字)

平成25年12月16日判決言渡平成24年(行コ)第16号生活保護変更決定取消請求控訴事件 主文 1 別紙2記載の控訴人らの控訴をいずれも棄却する。 2 本件訴訟のうち別紙3記載の控訴人らの請求に関する部分は,同目録記載の各日に同目録記載の控訴人らの死亡により終了した。 3 差戻し前の控訴審以降の訴訟費用は第1項記載の控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 本件控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 別紙5「平成16年処分一覧表」及び別紙6「平成18年処分一覧表」の各「処分行政庁」欄記載の処分行政庁が各「処分の名宛人」欄記載の被保護者に対して各「処分日」欄記載の日にした生活保護法25条2項に基づく保護変更決定のうち,各「金額」欄記載の金額を減額する部分を取り消す。 3 訴訟の総費用は被控訴人の負担とする。 第2 事案の概要 1 保護基準の改定等生活保護法の委任に基づいて厚生労働大臣が定めた「生活保護法による保護の基準」(昭和38年厚生省告示第158号。以下「保護基準」という。)のうち,生活扶助に関する基準(以下「生活扶助基準」という。別表第1)は,基準生活費(第1章)と加算(第2章)とに大別され,居宅で生活する者の基準生活費は,市町村別に1級地-1から3級地-2までの六つに区分して定められる級地(別表第9)及び年齢別に定められる第1類と,級地等及び世帯人員別に定められる第2類とに分けられ,原則として世帯ごとに,当該世帯を構成する個人ごとに算出される第1類の額(以下「第1類費」という。)を合算したものと第2類の額(以下「第2類費」という。)を合算して算出され,第1 類費は,食費,被服費等の個人単位の経費等に,第2類費 個人ごとに算出される第1類の額(以下「第1類費」という。)を合算したものと第2類の額(以下「第2類費」という。)を合算して算出され,第1 類費は,食費,被服費等の個人単位の経費等に,第2類費は,光熱費,家具什器費等の世帯単位の経費に,それぞれ対応するものとされている。平成16年厚生労働省告示第130号により改定される前の保護基準によれば,加算には妊産婦加算,老齢加算,母子加算,障害者加算等があり,老齢加算に関しては,現に生活保護法による保護を受けている者(以下「被保護者」という。)のうち,70歳以上の者並びに68歳及び69歳の病弱者について一定額が基準生活費に加算して支給されていた。 厚生労働大臣は,平成16年度以降,保護基準につき,平成16年厚生労働省告示第130号及び平成17年厚生労働省告示第193号によって老齢加算をそれぞれ減額し,平成18年厚生労働省告示第315号によって老齢加算を廃止する旨の改定をした(以下,これらの保護基準の改定を「本件改定」と総称する。)。 2 本件は,北九州市内に居住して生活保護法に基づく生活扶助の支給を受けていた別紙2及び3記載の控訴人ら(以下「控訴人ら」という。)が,同法の委任に基づいて厚生労働大臣が定めた保護基準の数次の改定により,原則として70歳以上の者を対象とする生活扶助の加算(老齢加算)が段階的に減額,廃止されたことに伴い,控訴人らの住所地を所管する各福祉事務所長からそれぞれ生活扶助の支給額を減額する旨の保護変更決定(以下「本件各決定」と総称する。)を受けたため,保護基準の上記改定は憲法25条1項,生活保護法56条等に反する違憲,違法なものであるから,本件各決定も違法であるとして,その取消しを求めた事案である。 上記のほかの事案の概要(争いのない事実等,争点及び争点に関する当 5条1項,生活保護法56条等に反する違憲,違法なものであるから,本件各決定も違法であるとして,その取消しを求めた事案である。 上記のほかの事案の概要(争いのない事実等,争点及び争点に関する当事者の主張)は,当審における当事者の主張を後記第3のとおり付加するほか,原判決「事実及び理由」欄の第1から第3まで(原判決6頁3行目から同10頁16行目まで)のとおりであるから,これを引用する(ただし,原判決8頁20行目,同24行目,同9頁4行目及び同19行目の各「3760円」をいず れも「7520円」と,同9頁11行目の「3130円」を「6890円」と,同18行目の「P1」を「P2」とそれぞれ改める。)。 3 本件訴訟の経過等(1) 原判決は,本件改定が違憲,違法なものであるということはできない等として,控訴人らの請求をいずれも棄却したので,控訴人らが,これを不服として控訴した(なお,前記第1の2記載の控訴人らの請求の趣旨には,控訴後に補正された部分が含まれている。また,原判決に対して控訴した者の中には,後記の本件上告審判決において死亡に伴う訴訟終了宣言がされた4名も含まれていた。)。 (2) 差戻し前の控訴審判決(福岡高等裁判所平成21年(行コ)第28号)は,生活保護法56条の趣旨に鑑みれば,保護基準の改定に基づいて既に決定された保護を不利益に変更される被保護者との関係においては,単に保護基準が改定されたというだけでは同条にいう「正当な理由」があるものと解することはできず,その保護基準の改定そのものに「正当な理由」がない限り,これに基づく保護の不利益変更は同条に反し違法となるものと解するのが相当であるとし,本件改定は,生活保護制度の在り方に関する専門委員会(以下「専門委員会」という。)の「生活保護制度の在り方についての中間取 基づく保護の不利益変更は同条に反し違法となるものと解するのが相当であるとし,本件改定は,生活保護制度の在り方に関する専門委員会(以下「専門委員会」という。)の「生活保護制度の在り方についての中間取りまとめ」(乙A1。以下「中間取りまとめ」という。)のただし書に係る考慮すべき事項を十分考慮しておらず,又は考慮した事項に対する評価が明らかに合理性を欠き,その結果,社会通年に照らして著しく妥当性を欠いており,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用として,生活保護法56条にいう正当な理由のない保護基準の不利益変更に当たるというべきであるから,これに基づく本件各決定も同条に反し違法となるとして,原判決を取り消し,本件各決定を取り消した。 (3) これに対し,被控訴人が上告したところ,最高裁判所は,次のとおり判断し,上記控訴審判決のうち,控訴人らの請求に関する部分を破棄し,同部 分につき当裁判所に差し戻した(以下「本件上告審判決」という。)。 ア生活保護法56条にいう正当な理由がある場合とは,既に決定された保護の内容に係る不利益な変更が,同法及びこれに基づく保護基準が定めている変更,停止又は廃止の要件に適合する場合を指すものと解するのが相当であり,したがって,保護基準自体が減額改定されることに基づいて保護の内容が減額決定される本件のような場合については,同条が規律するところではないというべきである。 イ生活保護法8条2項によれば,保護基準は,生活保護法による保護を必要とする者(以下「要保護者」という。)の年齢別,性別,世帯構成別,所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであるのみならず,これを超えないものでなければならない。 そうすると,仮に,老齢加算の一部又は全部についてその支給の 保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであるのみならず,これを超えないものでなければならない。 そうすると,仮に,老齢加算の一部又は全部についてその支給の根拠となっていた高齢者の特別な需要が認められないというのであれば,老齢加算の減額又は廃止をすべきことは,同項の規定に基づく要請であるということができる。もっとも,同項にいう最低限度の生活は,抽象的かつ相対的な概念であって,その時々における経済的・社会的条件,一般的な国民生活の状況等との相関関係において判断決定されるべきものであり,これを保護基準において具体化するに当たっては,国の財政事情を含めた多方面にわたる複雑多様な,しかも高度の専門技術的な考察とそれに基づいた政策的判断を必要とするものである(最高裁昭和57年7月7日大法廷判決・民集36巻7号1235頁参照)。したがって,保護基準中の老齢加算に係る部分を改定するに際し,最低限度の生活を維持する上で老齢であることに起因する特別な需要が存在するといえるか否かを判断するに当たっては,厚生労働大臣に上記のような専門技術的かつ政策的な見地からの裁量権が認められるものというべきである。 ウまた,老齢加算の全部についてその支給の根拠となる上記の特別な需要が認められない場合であっても,老齢加算は,一定の年齢に達すれば自動的に受給資格が生じ,老齢のため他に生計の資が得られない高齢者への生活扶助の一部として相当期間にわたり支給される性格のものであることに鑑みると,その加算の廃止は,これを含めた生活扶助が支給されることを前提として現に生活設計を立てていた被保護者に関しては,保護基準によって具体化されていたその期待的利益の喪失を来すものであることも否定し得ないところである。そうすると,上記のような 支給されることを前提として現に生活設計を立てていた被保護者に関しては,保護基準によって具体化されていたその期待的利益の喪失を来すものであることも否定し得ないところである。そうすると,上記のような場合においても,厚生労働大臣は,老齢加算の支給を受けていない者との公平や国の財政事情といった見地に基づく加算の廃止の必要性を踏まえつつ,被保護者のこのような期待的利益についても可及的に配慮する必要があるところ,その廃止の具体的な方法等について,激変緩和措置を講ずることなどを含め,上記のような専門技術的かつ政策的な見地からの裁量権を有しているものというべきである。 エしたがって,本件改定は,①本件改定の時点において70歳以上の高齢者にはもはや老齢加算に見合う特別な需要が認められないとした厚生労働大臣の判断に上記イの見地からの裁量権の範囲の逸脱又はその濫用がある場合,あるいは②老齢加算の廃止に際して採るべき激変緩和措置は3年間の段階的な廃止が相当であるとしつつ生活扶助基準の水準の定期的な検証を行うものとした同大臣の判断に上記ウの見地からの裁量権の範囲の逸脱又はその濫用がある場合に,生活保護法8条2項に違反して違法となり,本件改定に基づく本件各決定も違法となるものというべきである。 そして,老齢加算の減額又は廃止の要否の前提となる最低限度の生活の需要に係る評価が上記イのような専門技術的な考察に基づいた政策的判断であることや,老齢加算の支給根拠及びその額等についてはそれまでも各種の統計や専門家の作成した資料等に基づいて高齢者の特別な需要に係る 推計や加算対象世帯と一般世帯との消費構造の比較検討等がされてきた経緯等に鑑みると,上記①の裁量判断の適否に係る裁判所の審理においては,主として老齢加算の廃止に至る判断の過程及び手続に過誤,欠落があ 推計や加算対象世帯と一般世帯との消費構造の比較検討等がされてきた経緯等に鑑みると,上記①の裁量判断の適否に係る裁判所の審理においては,主として老齢加算の廃止に至る判断の過程及び手続に過誤,欠落があるか否か等の観点から,統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の有無等について審査されるべきものと解される。また,本件改定が老齢加算を一定期間内に廃止するという内容のものであることに鑑みると,上記②の裁量判断の適否に係る裁判所の審理においては,本件改定に基づく生活扶助額の減額が被保護者の上記のような期待的利益の喪失を通じてその生活に看過し難い影響を及ぼすか否か等の観点から,本件改定の被保護者の生活への影響の程度やそれが激変緩和措置等によって緩和される程度等について上記の統計等の客観的な数値等との合理的関連性等を含めて審査されるべきものと解される。 オこれと異なる見解に立って,本件改定を行った厚生労働大臣の判断の適否に関し,上記エの各観点について何ら審理を尽くすことなく,本件改定が裁量権の範囲の逸脱又はその濫用によるものとして違法であるとし,これに基づく本件各決定も違法であるとした原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるので,この点について更に審理を尽くす必要がある。 4 当裁判所の審判の対象したがって,差戻し後の当審における審判の対象は,本件上告審判決が指摘する上記各観点からして,厚生労働大臣がした本件各決定に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるといえるか否かである。 なお,前記引用に係る別紙2記載の控訴人ら(以下,便宜「控訴人ら」ということがある。)の従前の主張のうち,保護基準の改定そのものに生活保護法56条にいう「正当な理由」がない限り,これに基づく保護の不利益変更は同条に る別紙2記載の控訴人ら(以下,便宜「控訴人ら」ということがある。)の従前の主張のうち,保護基準の改定そのものに生活保護法56条にいう「正当な理由」がない限り,これに基づく保護の不利益変更は同条に反し違法となる旨の主張等,本件上告審判決の判断に抵触する主張は採用 することができない。 第3 当事者の主張(控訴人らの主張) 1 老齢加算の廃止自体について本件上告審判決の趣旨に沿って,統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の観点から厚生労働大臣が行った老齢加算の廃止に至る判断の過程及び手続を検討すると,次のとおり,厚生労働大臣の上記判断には過誤,欠落がある。 (1) 厚生労働大臣による十分な検討がされていないことア専門委員会によって中間取りまとめが発表されたのは平成15年12月16日であるところ,同月20日には,老齢加算を翌年度から3年間かけて段階的に廃止することなどを盛り込んだ平成16年度予算の財務省原案が内示されているので,厚生労働大臣は,既に同日までに老齢加算の廃止を決定していたものと考えられる。 そうすると,厚生労働大臣は,中間取りまとめからわずか4日間で老齢加算の廃止を決めたことになるが,これは統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の観点からの検討を行うには短すぎる期間であり,このことは,上記の観点からの検討が行われていないことを示すものである。 イ保護基準の改定において考慮しなければならない要素との関係から見ても,老齢加算の廃止を決めた厚生労働大臣の判断の過程及び手続には過誤,欠落があったといわざるを得ない。 すなわち,生活保護法8条2項によれば,要保護者の①年齢別,②性別,③世帯構成別,④所在地域別,⑤その他保護の種類に応じて必要な事情が, 程及び手続には過誤,欠落があったといわざるを得ない。 すなわち,生活保護法8条2項によれば,要保護者の①年齢別,②性別,③世帯構成別,④所在地域別,⑤その他保護の種類に応じて必要な事情が,また,同法9条によれば,⑥要保護者の個別事情が,保護基準の改定において考慮すべき要素とされているところ,このうち要保護者の個別事情に ついては,専門委員会でも考慮されていないのであって,厚生労働大臣がこれを考慮していないことは明らかである。 また,専門委員会で比較検討がされた生活扶助相当消費支出額についても,単身世帯を中心に60ないし69歳と70歳以上との比較が行われただけで,例えば70ないし74歳といったより細やかな年齢別や男女別の支出額の比較は行われておらず,世帯構成ごとや1級地から3級地までの各地域ごとの特性(例えば,温暖地と寒冷地では生活する上で必要となる作業も異なるし,高齢になればその作業を他人に委託せざるを得ない場合も十分に考えられる。)を考慮した上での特別需要の有無の検討もされておらず,厚生労働大臣がこのような事情に配慮した形跡はない。 老齢加算には「加算」の名がつけられてはいるものの,実質的には,生活扶助費が他の年齢層と比べて低く抑えられ,最低限度の生活以下の水準に陥っていたのを老齢加算分で補っていたのであって,この補完によりようやく最低限度の生活に見合う水準が維持されていたということができる。 この事情は,まさに「健康で文化的な最低限度の生活」の具体化に直結するものであるから,厚生労働大臣においては特に重視すべきであった(中間取りまとめが,老齢加算そのものについては廃止の方向で見直すべきであるとしつつ,「ただし,高齢者世帯の社会生活に必要な費用に配慮して,保護基準の体系の中で高齢者世帯の最低生活水準が維持され た(中間取りまとめが,老齢加算そのものについては廃止の方向で見直すべきであるとしつつ,「ただし,高齢者世帯の社会生活に必要な費用に配慮して,保護基準の体系の中で高齢者世帯の最低生活水準が維持されるよう引き続き検討する必要がある。」と指摘したのも,単純に老齢加算を廃止するだけでは高齢者の最低生活水準が維持されないことから,その問題の解消を求めたものである。)。ところが,厚生労働大臣は,上記事情を考慮せず,代替措置を採ることなく老齢加算の廃止を決めたのである。 (2) 統計等の客観的な数値等との合理的関連性が認められないことア特別集計について専門委員会においては,総務庁統計局が平成11年に実施した全国消 費実態調査によって得られた調査票を用いて,収入階層別及び年齢階層別に単身世帯の生活扶助相当消費支出額(消費支出額の全体から,生活扶助以外の扶助に該当するもの,被保護世帯は免除されているもの,及び家事使用人給料や仕送り金等の最低生活費になじまないものを控除した残額をいう。以下同じ。)等を厚生労働省が集計した結果(乙A10の8説明資料10頁。以下「特別集計」という。)を資料として,議論が重ねられたが,特別集計によれば,①無職単身世帯の生活扶助相当消費支出額を月額で比較した場合,平均して,第Ⅰ-5分位,第Ⅰ-10分位のいずれにおいても,70歳以上の者の需要は60ないし69歳の者のそれより少ないこと(以下「比較1」という。)及び②70歳以上の単身者の生活扶助額(老齢加算を除く。)の平均は第Ⅰ-5分位の70歳以上の単身無職者の生活扶助相当消費支出額より高いこと(以下「比較2」という。)が示されていた。 (ア) しかしながら,比較1及び比較2は,統計に示される客観的数値そのものではなく,統計(平成11年度全国消費実態調査)に示 相当消費支出額より高いこと(以下「比較2」という。)が示されていた。 (ア) しかしながら,比較1及び比較2は,統計に示される客観的数値そのものではなく,統計(平成11年度全国消費実態調査)に示される客観的数値は,65ないし69歳よりも70ないし74歳の方が消費支出が多いなど,比較1及び比較2で示される数値を示していない。 すなわち,比較1について見ると,平成11年度全国消費実態調査の第26表(甲A28)によれば,消費支出の月額(男女平均)は,60ないし64歳が19万4397円,65ないし69歳が15万6981円,70ないし74歳が16万1600円,75歳以上が13万1813円であって,比較1とは異なり,65ないし69歳よりも70ないし74歳の方が多額となっており,これと同じ現象が同調査の第28表にも認められる。 (イ) また,厚生労働省が株式会社P3に委託して行った平成16年度全国消費実態調査の個別調査票情報を基にした集計(平成16年度の 特別集計)に関する中間報告書(甲A180)には,第Ⅰ-5分位の標本平均値を60ないし69歳と70歳以上に区分した場合の数値が示されているところ,これによると,70歳以上の生活扶助相当支出額は7万1963円で,60ないし69歳のそれ(8万0968円)より少なくなっているが,これに対応する70歳以上の年収(月額7万円)を60ないし69歳と同額(月額8万円)と仮定して比例計算すると,70歳以上の生活扶助相当支出額は8万2243円となり,60ないし69歳のそれを上回るほか,平成16年度の生活扶助額(7万2600円)をも上回るため,比較1及び比較2とは矛盾することになる。 (ウ) 以上のとおり,比較1及び比較2は統計等の客観的数値と整合していないものであるが,そもそも,比較1及び比較2の根 (7万2600円)をも上回るため,比較1及び比較2とは矛盾することになる。 (ウ) 以上のとおり,比較1及び比較2は統計等の客観的数値と整合していないものであるが,そもそも,比較1及び比較2の根拠とされる平成11年度全国消費実態調査の特別集計には合理性・信頼性がない。 すなわち,比較1及び比較2の数値は,上記実態調査のデータを厚生労働省が収入階層別に集計し直した上で「生活扶助相当消費支出額」という形に加工したものであるが,その集計や加工の過程は具体的には明らかにされておらず,これが明らかにされ,統計から客観性を保ったまま導き出された数値であることが確認された後でなければ,比較1及び比較2の数値が統計(平成11年度全国消費実態調査)の客観的数値と整合するか否かの判断はできない。 (エ) ちなみに,上記(イ)で述べた集計に関する最終報告書(甲A181)においては,70歳以上の生活扶助相当支出額につき,前記中間報告書では395の集計世帯数で7万1963円と報告されていたのに対して,335の集計世帯数で6万4838円との報告がされている。この変更の理由につき,上記最終報告書は,「引退世代(60歳以上の単身世帯を想定)では,年間収入が減少しても,就労期間中に蓄 えた貯蓄を取り崩すことにより消費の大幅な落ち込みを避けようとすると考えられるため(この考え方は,経済学上「ライフサイクル消費仮説」として確立されている。),60歳以上の単身世帯については,その保有貯蓄残高を世帯主の平均余命で除した金額を毎年消費に充当することができる額と仮定し,これと年間収入を合算した値の低い順に分位を計算することとした」旨説明しているが,そうであれば,最初(中間報告書の段階)からそのような立場が採られたはずである。 そうすると,上記説明は疑わしく,む ,これと年間収入を合算した値の低い順に分位を計算することとした」旨説明しているが,そうであれば,最初(中間報告書の段階)からそのような立場が採られたはずである。 そうすると,上記説明は疑わしく,むしろ,比較1及び比較2と矛盾する数値が示される報告内容を容認できなかった厚生労働省が意図的に上記の変更を指示したものと推測される。 (オ) 比較1及び比較2の数値は,いわば上記最終報告書の内容(階級区分基準変更の理由等)が隠されたまま,その数値的な結果だけを見せられているようなものであって,比較1及び比較2の数値が導き出された過程は検証不可能である。しかし,平成12年の日銀ワーキングペーパー「日本の高齢者の貯蓄行動(ライフサイクル仮説の再検証)」(甲A182)が「米国で観察されるような明確なライフサイクル型の貯蓄パターンは確認できなかった」と述べていることからしても,上記最終報告書の数値をそのまま受け入れることはできず,比較1及び比較2の数値が導き出された過程の開示とその検証が不可欠である。 (カ) さらに,比較1及び比較2における「生活扶助相当消費支出額」は,消費支出額の全体から,生活扶助以外の扶助に該当するもの(家賃,地代=住宅扶助,教育費=教育扶助,医療診療代=医療扶助),生活保護制度で基本的に認められない支出に該当するもの(自動車関連経費),被保護世帯は免除されているもの(NHK受信料),最低生活費の範疇になじまないもの(家事使用人給料,仕送り金)を除いたも のとされているが,例えば,上記の家事使用人給料(全国消費実態調査の収支項目分類表(甲A183)の例示では「炊事,洗濯,室内,庭の掃除など通常の家事を世帯員以外の者に行わせ,そのサービスの対価として支払った賃金及び料金。○家政婦・派出婦・お手伝いさんの給料・交通費 支項目分類表(甲A183)の例示では「炊事,洗濯,室内,庭の掃除など通常の家事を世帯員以外の者に行わせ,そのサービスの対価として支払った賃金及び料金。○家政婦・派出婦・お手伝いさんの給料・交通費・定期代 ○ホームヘルパー・ハウスキーパー・ベビーシッターの料金」を指すものとされている。)について見ると,足腰の痛みなどのために買物等を他人に頼みたい,家の掃除・ゴミ出し・庭の草取り等を他人に頼みたいといったニーズは高齢者になれば当然に生じてくるものである。そうすると,高齢者は何らかのお礼をすることになるが,これを最低生活費になじまないものとして一律に控除するのは,生活保護法8条2項の趣旨に反する。 したがって,「生活扶助相当消費支出額」という形に加工する過程における控除項目と控除金額が全て明らかにされ,それらの一つ一つについて控除の正当性が検証される必要があるところ,本件において,上記のような検証は行われていない。 (キ) 以上によれば,特別集計の結果に基づくものとされる比較1,比較2,及びこれらを根拠とするものと解される「単身無職の一般低所得高齢者世帯の消費支出額について,70歳以上の者と60ないし69歳の者との間で比較すると,前者の消費支出額の方が少なく,70歳以上の高齢者について現行の老齢加算に相当するだけの特別な需要があるとは認められないため,老齢加算そのものについては廃止の方向で見直すべきである。」との中間取りまとめの提言には十分な根拠がないことになる。 よって,上記の提言等に基づいて老齢加算を廃止すべきとした厚生労働大臣の判断には,統計等の客観的な数値との合理的関連性がなく,その判断の過程及び手続には過誤,欠落があるというべきである。 イ 「貯蓄純増」等について第6回の専門委員会で配付,検討され 臣の判断には,統計等の客観的な数値との合理的関連性がなく,その判断の過程及び手続には過誤,欠落があるというべきである。 イ 「貯蓄純増」等について第6回の専門委員会で配付,検討された資料(乙A10の12)によれば,加算のない世帯の貯蓄純増は9407円,平均貯蓄率は8.4%,繰越金は3万6094円であるのに対し,加算のある世帯の貯蓄純増は1万4926円,平均貯蓄率は12.1%,繰越金は4万7071円となっており,いずれの数値も後者が前者より高いとされている。 (ア) しかしながら,上記資料中の「説明資料」掲記(3,4頁)の「2 被保護高齢単身世帯の家計全体の状況」には「貯蓄純増」や「平均貯蓄率」等に該当する記載はなく,上記専門委員会の議事録(乙A10の11)を見ても「貯蓄純増」「平均貯蓄率」に関する質疑や意見は記載されておらず,上記資料から上記の貯蓄純増等の事項を読み取ることが正しい推論であるということはできない。 (イ) また,平成11年度における被保護者生活実態調査にいう「貯金」と「保険掛け金」との合計から「貯金引出」と「保険取金」との合計を差し引いたものとされる上記の「貯蓄純増」という概念自体,極めて曖昧なものである。被控訴人も,「当該値は,貯蓄可能な1か月当たりの平均的な額であるとはいえるが,この額を12倍した額の貯蓄が1年間で形成されるという理解は必ずしも正しくないのであり,原審第2準備書面における主張は,貯蓄純増と翌月への繰越金について,加算有世帯(主に70歳以上)と加算無世帯(主に60歳~69歳)とを比較した場合,前者が後者より高く,その差の合計は1万6千円余に上るということにすぎない。」旨主張していたのである(原審における被控訴人第3準備書面)。 被控訴人も認めていた「貯蓄可能額がありながら貯 場合,前者が後者より高く,その差の合計は1万6千円余に上るということにすぎない。」旨主張していたのである(原審における被控訴人第3準備書面)。 被控訴人も認めていた「貯蓄可能額がありながら貯蓄が形成されていない」という事実からすると,貯蓄可能額が支出されている可能性だけでなく,実際には支出された金額が家計表作成時に漏れてしまっ た可能性もある。このような可能性を考えると,「貯蓄純増」なるものが実際に存在するのかを十分に精査した上でなければ,それを,老齢加算の是非を判断するための資料とすることは許されないのである。 仮に厚生労働大臣が「貯蓄純増」の具体的内容(具体的に毎月幾らが貯蓄されていたのかという点)を捨象して,これを老齢加算廃止の根拠としたのであれば,その判断は,「保護は,要保護者の(中略)実際の必要の相違を考慮して,有効且つ適切に行うものとする。」と定める生活保護法9条に違反するものである。 (ウ) さらに,被控訴人は,「老齢加算が少なからず消費に充てられずに貯蓄等に充てられていると合理的に推認することができる」として,「貯蓄純増」による貯蓄形成を肯定するような主張をしているが,第2回専門委員会において配付された資料(乙A10の4の資料2)のうち「社会生活に関する調査結果社会保障生計調査結果【概要報告書】」によれば(同報告書25頁),一般低所得世帯のどの世帯類型においても25%以上の家計が赤字であり,特に高齢者世帯においては赤字割合が53%を超えているのであって,このような状況に照らすと,被控訴人の上記主張が誤りであることは明らかである。 (エ) 以上のとおり,仮に厚生労働大臣が「貯蓄純増」を理由に老齢加算の廃止を決定したものとすれば,その判断には統計等の客観的な数値との合理的関連性がなく,その判断の過程及 ることは明らかである。 (エ) 以上のとおり,仮に厚生労働大臣が「貯蓄純増」を理由に老齢加算の廃止を決定したものとすれば,その判断には統計等の客観的な数値との合理的関連性がなく,その判断の過程及び手続には過誤,欠落がある。 (3) 専門的知見との不整合ア上記の「社会生活に関する調査結果社会保障生計調査結果【概要報告書】」(乙10の4の資料2)によれば,当該調査の目的に関し,「社会経済情勢が大きく変化する中で,被保護世帯の生活も多様化が進んでおり,その実態把握が難しくなっている。このため,家計と社会生活の両面について,一般低所得世帯及び被保護世帯を調査し,その生活実態を明らかに し,生活保護制度のあり方等を議論する上での基礎資料を得ることを目的とする」旨述べられているところ(上記報告書1頁),この目的からすると,上記調査のデータを分析することにより得られた知見は,本件との関係で専門的知見と評価することができる。 イ上記調査のデータを分析検討した中川清教授(「社会生活に関する調査検討会」の座長)は,「貧困の性格変化と社会生活の困難さ」という論文(甲A185)において,①被保護世帯は低所得世帯に比べ社会生活の困難さの度合いが高い,②被保護世帯の消費の実態は同じような所得,世帯構成の低所得世帯に比べて大きく異なっており,両世帯の間には異なった生活枠組みを想定せざるを得ないのではなかろうか。」と述べており,また,上記調査のデータを用いて分析検討した阿部彩も,「低所得世帯と被保護世帯の生活実態」という論文(甲A186)において,③被保護世帯においては交通通信費,教養娯楽費,その他経費(交際費を含む。)の支出が,同じ世帯所得や世帯構成の低所得世帯よりも大幅に少なく,これが社会参加や社会関係,生活満足などのウェル・ビーイングが 保護世帯においては交通通信費,教養娯楽費,その他経費(交際費を含む。)の支出が,同じ世帯所得や世帯構成の低所得世帯よりも大幅に少なく,これが社会参加や社会関係,生活満足などのウェル・ビーイングが低く留まっている一因と考えられる。」と述べている。 ウ上記イの各知見によれば,高齢の低所得世帯である第Ⅰ-5分位,第Ⅰ-10分位の「生活扶助相当消費支出額」を比較することで得られる情報を,そのまま被保護世帯に当てはめることはできない。 すなわち,上記の各知見からすれば,第Ⅰ-5分位,第Ⅰ-10分位の世帯に関する比較1及び比較2の情報は,あくまで低所得世帯における情報にすぎず,被保護世帯におけるものではない。この比較1及び比較2の情報を被保護世帯でも使える情報とするためには,上記各知見にいう低所得世帯と被保護世帯との間の消費実態の大きな相違や異なった生活枠組みを想定せざるを得ないほどの生活実態の違いが存在してもこの比較1及び比較2の情報が妥当するという実証的な検証が必要であるが,本件におい て,そのような検証はされていないのである。かえって,上記の各知見の基礎となった社会生活に関する調査・社会保障生計調査は平成13年度と同14年度にそれぞれ実施されたものであり(前記報告書1頁),その調査時点では老齢加算が実施されていたにもかかわらず,上記の各知見が得られたことからすれば,老齢加算を廃止する根拠はなかったと考えざるを得ない(少なくとも,それらの問題を解消する方策が具体的に実施されることとセットでなければ,老齢加算の廃止は許されなかった。)。 エこの点,中間取りまとめでは「老齢加算そのものについては廃止の方向で見直すべきである」とされているが,これは,文字どおり,「廃止の方向で見直すべき」ことを提言しただけであって,老齢加算を )。 エこの点,中間取りまとめでは「老齢加算そのものについては廃止の方向で見直すべきである」とされているが,これは,文字どおり,「廃止の方向で見直すべき」ことを提言しただけであって,老齢加算を直ちに廃止すべきことを提言したものではない。むしろ,上記提言部分における「老齢加算そのものについては」という表現ぶりや,同部分に続くただし書において「高齢者世帯の社会生活に必要な費用に配慮して,保護基準の体系の中で高齢者世帯の最低生活水準が維持されるよう引き続き検討する必要がある」との提言がされていること,併せて「被保護者世帯の生活水準が急に低下することのないよう,激変緩和の措置を講ずべきである」旨の提言もされていることに照らすと,専門委員会としては,老齢加算を廃止の方向で見直すための検討作業として,少なくとも高齢者世帯の社会生活に必要な費用との関係での最低限度の生活水準を維持するための検討と激変緩和措置の検討が行われることを予定して,中間取りまとめを作成したと考えられる。 このことは,専門委員会の委員長であったP4の意見書(甲A136)の中に「老齢加算の廃止は,単身世帯や高齢期への生活扶助基準の「展開」の不合理の是正の後で,あるいは一体的になされるべきであるというのが,専門委員会の結論である。だが,厚生労働省はこの一体的取り扱いを行わず,むしろ加算廃止(中略)をつまみ食い的に先行させ」たとの記 述部分(7頁)や,「委員会の審議途中における老齢加算の先行的廃止は,中間報告の一部のみを委員会の結論として即座に利用し,他の部分は行政判断でペンディングにしておくという,なんとも奇妙なものであった。 (中略)少なくとも中間報告の老齢加算廃止は,「展開」方法の改善とセットで提案したものであ」るとの記述部分(9頁)があることからも明らか でペンディングにしておくという,なんとも奇妙なものであった。 (中略)少なくとも中間報告の老齢加算廃止は,「展開」方法の改善とセットで提案したものであ」るとの記述部分(9頁)があることからも明らかである。 そうすると,老齢加算のない生活扶助基準が「最低限度の生活の需要を満たすに十分なもの」(生活保護法8条2項)である点を確認しないまま老齢加算を廃止することとした厚生労働大臣の判断は,専門委員会の中間取りまとめとの関係でも,その全体としての趣旨に反するものであったというべきである。 オ以上によれば,老齢加算を廃止すべきものとした厚生労働大臣の判断については,専門的知見との整合性の点からしても,判断の過程及び手続に過誤,欠落があるといわざるを得ない。 2 老齢加算の廃止方法(激変緩和措置)について(1) 厚生労働大臣による十分な検討が行われなかったこと上記のとおり,厚生労働大臣は専門委員会による中間取りまとめの発表後わずか4日間で,3年間での老齢加算の段階的廃止を決めたものであるが,この検討期間の短さに照らすと,生活扶助額の減額が被保護者の期待的利益の喪失を通じてその生活に看過し難い影響を及ぼすか否かの観点からの検討は行われていないことが明らかである。 (2) 統計等の客観的な数値等との合理的関連性等がないこと前記のとおり,専門委員会においては,老齢加算を廃止の方向で見直すための検討作業として高齢者世帯の最低限度の生活水準を維持するための検討と激変緩和措置の検討が行われることを予定して,中間取りまとめを作成したものと考えられる。この点,その激変緩和措置は,当然,老齢加算を廃止 する措置の一環として行われるべきものであるが,老齢加算廃止後の高齢者世帯の生活扶助基準が適正なものでない場合は,その基準で生活を えられる。この点,その激変緩和措置は,当然,老齢加算を廃止 する措置の一環として行われるべきものであるが,老齢加算廃止後の高齢者世帯の生活扶助基準が適正なものでない場合は,その基準で生活を営む高齢者世帯は最低生活以下の生活を強いられることとなり,形式的に激変緩和措置が採られても高齢者世帯にとっては何ら激変緩和にはならない。そこで,専門委員会は,中間取りまとめのただし書部分において,特に社会生活に必要な費用との関係で高齢者世帯の最低限度の生活水準を維持するための検討を求めたものと解される。 上記の検討が必要であることは,次のような事情から明らかである。すなわち,①比較1及び比較2の数値は統計等の客観的数値と整合していないため,単純に老齢加算を廃止してしまうと生活扶助相当の消費支出ができなくなり,生活保護法8条2項に定める「最低限度の生活の需要を満たすに十分なもの」でなくなるおそれが高く,②中川清及び阿部彩の上記各分析結果によると,被保護世帯は低所得世帯に比べ社会生活の困難さの度合いが高いとされており,これによると単純に老齢加算を廃止すると被保護世帯の社会生活の困難さの度合いを高めてしまうおそれがある。 したがって,老齢加算を廃止するに当たっては,前記ただし書部分の提言に従い高齢者世帯の最低限度の生活水準を維持するための検討(生活扶助基準の見直し)を行う必要があり,厚生労働大臣が上記のような検討を行うことなく激変緩和措置として3年間の段階的廃止の措置を採ることで足りるものとした厚生労働大臣の判断は,生活扶助額の減額が被保護者の期待的利益の喪失を通じてその生活に看過し難い影響を及ぼすか否か等の観点から見て,裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものといわざるを得ない。 (3) 平成11年度被保護者生活実態調査について 期待的利益の喪失を通じてその生活に看過し難い影響を及ぼすか否か等の観点から見て,裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものといわざるを得ない。 (3) 平成11年度被保護者生活実態調査について本件と同種の事案に関する最高裁平成24年2月28日第三小法廷判決(民集66巻3号1240頁)は,「本件改定が老齢加算を3年間かけて段階的に減額して廃止したことも,専門委員会の(中略)意見に沿ったもの であるところ,平成11年度における老齢加算のある被保護者世帯の貯蓄純増は老齢加算の額に近似した水準に達しており,老齢加算のない被保護者世帯の貯蓄純増との差額も月額で5000円を超えていたというのであるから,3年間かけて段階的に老齢加算を減額して廃止することによって被保護者世帯に対する影響は相当程度緩和されたものと評価することができる」などとして,「本件改定に基づく生活扶助額の減額が被保護者世帯の期待的利益の喪失を通じてその生活に看過し難い影響を及ぼしたものとまで評価することはできないというべきである。」としている。 上記最高裁判決中の「貯蓄純増」に関する部分の基になっている議論(加算のある世帯の方が加算のない世帯より「貯蓄純増」,「平均貯蓄率」及び「繰越金」の数値が相当に高いとするもの)は失当であり,その確認資料とされた平成11年度被保護者生活実態調査そのものについても,次のとおり重大な問題がある。 ア上記調査において高齢単身世帯で調査対象となったのは,加算ありの世帯で91世帯,加算なしの世帯で62世帯と極めて少なく,この程度の調査母数では,統計調査としての有意性は認められない。 イ平成11年度の「被保護者生活実態調査調査必携」(乙A15の2)によれば,その調査の対象として「560世帯を抽出する」とされているので,全部で 数では,統計調査としての有意性は認められない。 イ平成11年度の「被保護者生活実態調査調査必携」(乙A15の2)によれば,その調査の対象として「560世帯を抽出する」とされているので,全部で6720枚(=560世帯×12か月)の家計簿を集めることを目標にしていたことになるが,調査結果の表(乙A15の1)は4頁目と13頁から16頁までしか提出されておらず,上記調査において最終的に何枚の家計簿が集まったのかは明らかでない。しかし,「560世帯を抽出する」とされたのは,その程度の世帯を抽出しなければ統計調査の実効性が確保できないからであり,それを実際に抽出することができたかどうかは,調査結果の信用性に大きく関わる事柄である。 にもかかわらず被控訴人が上記の表(乙A15の1)の全体を開示しな いのは,統計調査の実効性が認められないほどに少ない世帯しか抽出できなかったためであると思われる。 ウ特に「貯蓄純増」や「実収入と実支出の差額」については,各世帯から12か月を通した家計簿の提出を受けて,それらを集約しなければ,統計的に意味のある結果は導き出せないというべきところ,被控訴人は,12か月を通じて家計簿を提出することができた世帯数について釈明を拒否している。これは上記世帯数が極めて少ないことによるものと思われる。 エ高齢者の単身世帯において正確な家計表を作成することが困難であるのは自明の理であるから,高齢者が何とか家計簿に記入したとしても,それがどれほどの正確性を備えているかは大いに疑問であるといわなければならない。 オ上記調査必携(乙A15の2)には老齢加算以外の加算についての記載もあるので(22頁),上記調査は老齢加算に特化した調査ではないことが分かるところ,「加算あり世帯」に老齢加算より多額の障害加算を受給して 査必携(乙A15の2)には老齢加算以外の加算についての記載もあるので(22頁),上記調査は老齢加算に特化した調査ではないことが分かるところ,「加算あり世帯」に老齢加算より多額の障害加算を受給している世帯が混在していることからすれば,仮に上記調査が統計上意味のあるものであったとしても,被控訴人が主張するような「老齢加算は,必ずしも老齢加算が想定する需要を満たすためには消費されず,貯蓄等に回っている」という判断の根拠とはなり得ないのである。 以上によれば,平成11年度被保護者生活実態調査には信頼性がなく,これを基にした貯蓄純増等に係る上記議論を採用するのは困難というべきところ,この点の詳細が明確になっていれば,上記最高裁判決の結論も変わっていたものと考えられる(同判決では,前記引用部分のとおり「平成11年度における老齢加算のある被保護者世帯の貯蓄純増は老齢加算の額に近似した水準に達しており,老齢加算のない被保護者世帯の貯蓄純増との差額も月額で5000円を超えていたというのであるから」とされてい るが,その被保護世帯の中には老齢加算より多額の障害加算を受給していた世帯も含まれているので,少なくとも上記判示部分は誤りである。)。 3 控訴人らの生活実態について本件上告審判決が,老齢加算を廃止した厚生労働大臣の裁量判断(なお,この判断につき,上記の別件の最高裁判決では「70歳以上の高齢者に老齢加算に見合う特別な需要が認められず,高齢者に係る本件改定後の生活扶助基準の内容が健康で文化的な生活水準を維持するに足りない程度にまで低下するものではないとした厚生労働大臣の判断」とされているの対して,本件上告審判決では,「本件改定の時点において70歳以上の高齢者にはもはや老齢加算に見合う特別な需要が認められないとした厚生労働大臣の判 ものではないとした厚生労働大臣の判断」とされているの対して,本件上告審判決では,「本件改定の時点において70歳以上の高齢者にはもはや老齢加算に見合う特別な需要が認められないとした厚生労働大臣の判断」とされている。)の適否に係る裁判所の審理においては老齢加算の廃止に至る判断の過程及び手続に過誤,欠落があるか否か等の観点から,統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の有無等について審査がされるべき旨指摘していることからすると,具体的に述べられていない上記以外のことでも結論に影響を及ぼし得るものは審理の対象になるというべきところ,本件改定に基づく本件各決定がされた後,控訴人らは,慢性疾患が累積し,次第に身体の自由が利かなくなる中,健康を脅かされ,社会的に孤立し,人間としての尊厳を保てない生活を強いられており,健康で文化的な最低限度の生活が破壊された状態にあるのである。このような控訴人らの生活実態を考慮すると,本件改定に基づく本件各決定は憲法25条1項及び生活保護法3条に違反する。 (被控訴人の主張)前記の最高裁平成24年2月28日第三小法廷判決(民集66巻3号1240頁)は,本件改定について,生活扶助の老齢加算の廃止を内容とする生活保護法による保護の基準(昭和38年厚生省告示第158号)の改定が生活保護法3条又は8条2項の規定に違反しないと判断したのであって,本件各決定において,これと異なる判断がされるべき事情はない。本件改訂の時点において,老齢加算 を控除した生活扶助基準額それ自体で「健康で文化的な最低限度の生活」を賄うことができ,経済的な生活条件を著しく下回ることになるような事態を招来するものではない。 控訴人らは,老齢加算廃止後の生活状況等をもって老齢加算廃止が違法である旨主張するもののようで 生活」を賄うことができ,経済的な生活条件を著しく下回ることになるような事態を招来するものではない。 控訴人らは,老齢加算廃止後の生活状況等をもって老齢加算廃止が違法である旨主張するもののようでもあるが,控訴人らの生活状況いかんが被保護者全体の生活状況を的確に反映しているとはいえないし,そもそも,個々の被保護者の具体的生活状況をもって,直ちに本件改訂に係る厚生労働大臣の判断における裁量権の範囲の逸脱又はその濫用を基礎づけることはできない。 また,控訴人らは,平成11年度被保護者生活実態調査に係る特別集計の検証方法等には誤りがある旨主張するが,その資料となった全国消費実態調査の調査票は,旧統計法所定の統計資料であり,国民の消費実態に係る大規模かつ最も信頼度の高いものとされている統計調査に係るものであって,信頼性の高いものである。平成11年度被保護者生活実態調査につき厚生労働省において確認したところによれば,被保護高齢単身の「加算有」世帯から提出された家計簿の延べ数は853冊であり,その内訳は,老齢加算を受給している世帯から提出されたものが743冊,障害者加算を受給している世帯から提出されたものが107冊,その他が3冊であった。このように,障害者加算受給世帯から提出された家計簿の割合は「加算有」世帯全体の1割強にすぎないものであり,その影響も大きなものとは考えられない(「加算有」世帯における老齢加算の額と障害者加算の額が全て1級地の額であると仮定した上で,障害者加算受給世帯が入ることによる影響について加重平均をもって算出しても,「加算有」世帯全体での収入増加額は1139円にすぎない。)のであるから,「老齢加算のある」世帯で見たとしても,貯蓄純増の額(1万4926円)が大幅に減少するということは考え難く,3年間かけて段階的に老齢加算 帯全体での収入増加額は1139円にすぎない。)のであるから,「老齢加算のある」世帯で見たとしても,貯蓄純増の額(1万4926円)が大幅に減少するということは考え難く,3年間かけて段階的に老齢加算を減額して廃止するという方法が採られたことにより被保護世帯に対する影響は相当程度緩和されたものと評価できるのである。 平成11年特別集計の合理性・信頼性に関する控訴人らの指摘はいずれも失当で あり,平成11年度被保護者生活実態調査が信頼性に欠けるということはできない。 控訴人らは,老齢加算を廃止するには併せて中間取りまとめを踏まえた代替策をも併せて講じなければならなかった旨主張するが,中間取りまとめでは,激変緩和の措置として代替措置を講ずることまでは提言されておらず,このことは専門委員会において,P5委員やP6委員らが,何ら条件を付さずに老齢加算廃止に賛成の意見を述べていることからしても明らかである。 また,控訴人らは,老齢加算のある被保護者世帯において貯蓄純増に相当する金額が毎月貯蓄されていたということはできないとして,上記最高裁平成24年2月28日第三小法廷判決が「老齢加算の額に近似した」額が毎月貯蓄されていたとする判示部分は誤りである旨主張するが,同判決も,加算有世帯において,具体的に個々の被保護者世帯における貯蓄純増に相当する金額が毎月貯蓄されていたということを前提に上記判断をしたものではなく,他の事情も総合的に判断した上で,老齢加算が少なからず消費に充てられずに貯蓄等に充てられていることを合理的に推認したにすぎない。 第4 当裁判所の判断 1 生活保護制度の概要及び控訴人らの生活状況等に関する認定等は,原判決第3章第1(原判決10頁18行目から同13頁6行目まで),第4の2から5まで(原判決51頁1行目から同6 当裁判所の判断 1 生活保護制度の概要及び控訴人らの生活状況等に関する認定等は,原判決第3章第1(原判決10頁18行目から同13頁6行目まで),第4の2から5まで(原判決51頁1行目から同68頁3行目までのうち,控訴人ら関係部分)のとおりであるから,これを引用する。 2 老齢加算制度の導入から廃止に至るまでの経緯等証拠(甲A1,甲A2,甲A9,甲A107,甲A119,甲A147の1から3まで,甲A148,甲A173,乙A5,乙A6,乙A9,乙A10の1から12まで,乙A11,乙A19,乙A21,乙A22)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (1) 老齢加算の創設とその後の推移 ア老齢加算は,昭和35年4月,70歳以上の者を対象に前年度に開始された老齢福祉年金(月額1000円)を収入として認定することに対応して,これと同額を生活扶助に加算するものとして創設された。その際,老齢加算は,高齢者の特別な需要,例えば①観劇,雑誌,通信費等の教養費,②下衣,毛布,老眼鏡等の被服・身廻り品費,③炭,湯たんぽ,入浴料等の保健衛生費及び④茶,菓子,果物等のし好品費に充てられるものとして積算されていた。(甲A1)イ老齢加算の額は,その後も老齢福祉年金が増額されるのに伴ってこれと同額が増額されていったが,昭和48年以降,同年金が大幅に増額され,それまでの敬老年金的性格に代わり基礎的生活需要に対応するものという性格が強まり,昭和50年10月には月額7500円から1万2000円にまで引き上げられることになったため,老齢加算として老齢福祉年金と同額を加算する方式が再検討されることになり,厚生省(当時)の審議会である中央社会福祉審議会の生活保護専門分科会(以下「専門分科会」という。)は,同年9月19日,「生活保護制度 として老齢福祉年金と同額を加算する方式が再検討されることになり,厚生省(当時)の審議会である中央社会福祉審議会の生活保護専門分科会(以下「専門分科会」という。)は,同年9月19日,「生活保護制度における加算の取扱いについての意見」(乙A22)を作成して,老齢加算の額は,本来,一般生活費の付加的部分として高齢者の特別の需要に見合うべきものであるから,第1類費基準額との間にある程度の均衡が保たれていることが望ましく,同基準額の一定割合にするという方法が検討に値し,その際,障害者加算,母子加算については,老齢加算との均衡等に配慮し,適切な水準とすべきである旨の意見等を提示した。これを受けて,厚生省(当時)は,老齢加算の額は,昭和51年1月,1級地における65歳以上の者に係る第1類費基準額の男女平均額の50%とすることとした。(甲A1,2,乙A22)厚生省(当時)は,上記加算方式の主な根拠として,老齢者に特有の需要に見合う所要額は1類基準額のおおむね2分の1程度と判断されること, 創設時の老齢加算額が当時の1類基準額の約2分の1であったこと等を挙げ,老齢者に特有の需要として,①食料費(生鮮魚介,野菜等の中でも消化吸収がよく,ビタミン等の豊富な食品を他の年齢層より余分に摂取する必要がある。),②光熱費(老人は少人数世帯の場合が多く,肉体的条件から暖房等のための費用を余分に必要とする。),③被服費(寒気,湿気等に対応できるよう寝具,衣料品等の費用を余分に必要とする。),④保健衛生費(保健医療,理容衛生費としての家庭薬,栄養剤等また入浴関係等の費用を余分に必要とする。),⑤雑費(墓参,親戚知人への訪問関係の費用,交際費また老人クラブ関係費等の教養娯楽費等を余分に必要とする。)がある旨説明していた。(乙A9)ウその後,専門 関係等の費用を余分に必要とする。),⑤雑費(墓参,親戚知人への訪問関係の費用,交際費また老人クラブ関係費等の教養娯楽費等を余分に必要とする。)がある旨説明していた。(乙A9)ウその後,専門委員会は,生活保護の水準,生活扶助基準改定方式の適否等のほか,生活扶助基準における各種加算のあり方について検討を加え,昭和55年12月,「生活保護専門分科会審議状況の中間的とりまとめ」(乙A5)を発表したが,その中で,老齢者の特別需要につき,「老令者は咀しゃく力が弱いため,他の年令層に比し消化吸収がよく良質な食品を必要とするとともに肉体的条件から暖房費,被服費,保健衛生費等に特別な配慮を必要とし,また近隣,知人,親せき等への訪問や墓参などの社会的費用が他の年令層に比し余分に必要となる。」(7頁),「現在利用可能な資料を用いて特別需要額を推計してみると,現行の加算額は,金額的にもそれぞれの特別需要にほぼ見合うものと考えられる。」(8頁)としていた。 (乙A5)エまた,中央社会福祉審議会は,昭和58年12月23日,「生活扶助基準及び加算のあり方について(意見具申)」と題する書面(乙A6)を発表した。 中央社会福祉審議は,上記の意見具申において,近年における国民生活の変化及び保護基準の改善等の結果,加算額の妥当性についての再検討 が必要な事態に立ち至ったとの認識の下,専門分科会において,低所得者世帯の家計に関する各種の資料を基にして,加算対象世帯と一般世帯との消費構造を比較検討した結果,老齢者の特別需要としては,加齢に伴う精神的又は身体的機能の低下に対応する食費,光熱費,保健衛生費,社会的費用,介護関連費などの加算対象経費が認められているところ,その額は,おおむね現行の加算額で満たされているとの所見を得たとするとともに,老齢加算 機能の低下に対応する食費,光熱費,保健衛生費,社会的費用,介護関連費などの加算対象経費が認められているところ,その額は,おおむね現行の加算額で満たされているとの所見を得たとするとともに,老齢加算の実質的水準が今後も維持されるようにすることが必要であるが,その改定に当たっては,生活扶助基準本体の場合とは異なる取扱いをするよう検討すべきであるとした。(乙A6)この意見具申を踏まえ,昭和59年4月以降,老齢加算の額は,第1類費に対応する品目に係る消費者物価指数の伸び率に準拠して改定されることになった。(乙A19)(2) 老齢加算の見直しから廃止に至るまでの経緯等ア一般勤労者世帯の消費支出に対する被保護勤労者世帯の消費支出の割合は,昭和45年度には54.6%であったが,同58年度には66. 4%となり,その後はおおむね,67%から70%弱程度で推移し,平成13年度には71.9%,同14年度には73.0%に達した。(乙A11)この間,平成12年,「社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律案」に係る衆議院厚生委員会及び参議院国民福祉委員会の附帯決議において,「社会福祉基礎構造改革を踏まえた今後の社会福祉の状況変化や規制緩和,地方分権の進展,介護保険の施行状況等を踏まえつつ,介護保険制度の施行後5年後を目途とした同制度全般の見直しの際に,(中略)生活保護の在り方について,十分検討を行うこと」との指摘がされた。(乙A10の2の説明資料7頁)このような中,財務省の審議会である財政制度等審議会財政制度分科会 は,平成15年6月9日,「平成16年度予算編成の基本的考え方について」と題する財務大臣宛ての建議書(甲A20)を提出し,その中で,「我が国財政は,平成15年度末の公債残高が約450兆円にも達する見込 平成15年6月9日,「平成16年度予算編成の基本的考え方について」と題する財務大臣宛ての建議書(甲A20)を提出し,その中で,「我が国財政は,平成15年度末の公債残高が約450兆円にも達する見込みであるなど,主要先進国中最悪の危機的状況に陥っており,それが国民の将来不安につながっている。」革を進めていく必要がある建議した上,生活保護については,「近年,高齢化の進展や経済活動の低迷等を受けて生活保護受給者が急増してきている。生活保護は国民生活の最後のセーフティネットとしての機能を有するものであり,真に困窮した自立不可能な者に最低限度の生活を保障することを目的とするものである。しかしながら,受給者に一定の収入を保障するものであるがゆえに,保障水準やその執行状況によっては,モラルハザードが生じかねず,かえって被保護者の自立を阻害しかねないという面も指摘される。このため,制度・運営面について,しっかりとした点検と見直しが必要である。」と,老齢加算については,「老齢加算は福祉年金創設との関係から昭和35年に創設されたが,年金制度改革の議論と一体的に考えると,70歳未満受給者との公平性,高齢者の消費は加齢に伴い減少する傾向にあること等からみて,廃止に向けた検討が必要であると考えられる。」(13頁)と提言した。(甲A20)また,同月27日,「経済財政運営と構造改革に関する基本方針03」(甲A21)が閣議決定され,その中で,改革のポイントの一つとして,「年金・医療・介護・生活保護などの社会保障サービスを一体的にとらえ,制度の設計を相互に関連づけて行う。」との提言がされ,具体的手段の一つとして,「生活保護においても,物価,賃金動向,社会経済情勢の変化,年金制度改革などとの関係を踏まえ,老齢加算等の扶助基準など制度,運営の両面にわたる見直 て行う。」との提言がされ,具体的手段の一つとして,「生活保護においても,物価,賃金動向,社会経済情勢の変化,年金制度改革などとの関係を踏まえ,老齢加算等の扶助基準など制度,運営の両面にわたる見直しが必要である。」(18頁)との指摘がされた。(甲A21) イこれを受けて,厚生労働省の審議会である社会保障審議会(厚生労働省設置法7条1項に定める厚生労働大臣の諮問機関)は,平成15年7月28日の第6回福祉部会において,専門委員会を同部会内に設置した。 専門委員会は,P4(P7大学人間社会学部教授)を委員長,P6(P8大学学長)を委員長代理とし,P9(東京都立大学学長),P10(横浜市福祉局ソーシャルワーカー),P11(神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部教授),P12(P13大学大学院先端総合科学術研究科教授),P14(P15協議会会長),P5(P16大学教養学部教授),P17(静岡大学人文学部教授)及びP18(全国市長会社会文教委員会委員長)等,社会保障制度や経済学の研究者,生活保護行政の担当者等によって構成されていたが,この委員会においては,同年8月6日から同年12月2日までの間に合計6回の会議が開かれ,生活保護制度の在り方について,次のような検討が重ねられた。(甲A119,乙A10の1から12まで)(ア) 平成15年8月6日,第1回専門委員会が開催され,冒頭,生活保護を取り巻く状況,専門委員会の進め方等について概括的な説明がされた後,出席委員から議論に当たっての視点が提示され,「現在の改定方式の在り方そのものについても問題が出ており,多人数世帯の問題についても現行の一類費を積み上げていく手法に問題があるのではないか。」「老齢加算を始めとする加算のうちの幾つかにはその当時の政策的な配慮の中でできたものもないことはない 出ており,多人数世帯の問題についても現行の一類費を積み上げていく手法に問題があるのではないか。」「老齢加算を始めとする加算のうちの幾つかにはその当時の政策的な配慮の中でできたものもないことはないと言えるかもしれません。そのような一つの矛盾みたいなものがだんだん大きくなってきた状況にあるのかと思うときもあります。」等の意見が述べられた。 そして,同年9月30日に第2回専門委員会が開催され,前回欠席した委員から,「生活保護の場合,租税を原資とした制度であり,一方で国民の最低生活を保障する制度です。つまり受給者の生活保障と納 税者の目の非常に難しいバランスの上に成り立つ制度です。」「今回の生活保護制度の在り方の見直しは,直接は保護基準の問題とか加算の問題を契機にしております。しかし,そういう当面の問題にとどまることなく,イギリスのように社会保障給与と呼んでいる給付として社会保障事務所で年金と補足給付を一緒に出すという方法がよいかどうかはわかりませんが,日本の伝統を踏まえつつも21世紀にふさわしい方向に向けて,21世紀に通用するような新しい公的扶助の根幹システムを議論したいと思っております。」といった意見が述べられた。 (イ) 平成15年10月14日,第3回専門委員会が開催され,生活保護制度の中で最低生活保障をどう考えるかといった点について議論されたが,老齢加算については格別の議論はされなかった。 そして,同年11月18日に第4回専門委員会が開催され,厚生労働省による特別集計や低所得者の生活実態に関する調査結果等が説明資料として配付され,事務局の担当者から上記資料につき説明がされた。その後,委員長のP4(以下「P4委員長」ということがある。)が,予め用意していた「最低生活費の体系と生活保護基準についてのメモ」と題する書面 付され,事務局の担当者から上記資料につき説明がされた。その後,委員長のP4(以下「P4委員長」ということがある。)が,予め用意していた「最低生活費の体系と生活保護基準についてのメモ」と題する書面に基づいて,生活保護基準のあり方等について概括的な説明をし,議論すべき内容等について説明を加えた後,「加算については,これ自体,問題点として投げかけられておりますので,加算も含めた議論を年内にしていただくということをお願いしたいと思います。」「年内は加算の妥当性のところまで議論して中間的な取りまとめをしたい。」と述べた。これを受けて,母子加算について意見が述べられた後,出席委員から,「まず老齢加算は不要ではないかと思います。実際問題として,年をとれば消費額が結構少なくなっているというのが全国消費実態調査で明らかになりました。今までの前提が必ずしも成り立っていなかった以上,長期的には減らしていくべきもので はないかと思います。」,「全国知事会としては,基本的には老齢加算はもう廃止していいのではないかというのが全体的な意見です。」,「高齢者の消費の実態からすれば老齢加算は必要ないかもしれませんが,高齢者の最低生活というふうに考えたときには,例えば高齢者の社会参加などが加算に相当するものか,あるいは生活扶助基準に含まれるのかどうかといった議論をしていただければと思っています。」,「保護施設の立場からは,老齢加算しかない人は老齢加算だけが本人が自由に使える金銭なのです。単に消費水準が下がりましたから扶助基準を下げますという形ではなく,文化生活,人間の尊厳としてのものを考えて加算の在り方などを決定していただきたい。」,「特別需要という加算的な形での需要相当額がないとしても,社会的費用等については第1類費の中に溶け込ませるというふうな手法も 間の尊厳としてのものを考えて加算の在り方などを決定していただきたい。」,「特別需要という加算的な形での需要相当額がないとしても,社会的費用等については第1類費の中に溶け込ませるというふうな手法も大いにあると思います。」「現場で老齢加算を認定するときに,70歳になったから突然需要が増えるという実感は確かにないが,例えば長期の保護を受けていることによって,ストックがないための生活のちょっとした消耗というか,減価償却分が出てくるということなどはあります。」等の意見が出された。その後,P4委員長が,他の委員から加算の議論の進め方について質問されたのを受けて,「私の考えは,まず加算を廃止して,その後の対応を考えるという議論ではないと思います。もし,議論の結果,加算を廃止するとすれば,当然,別のこういうものが必要だという議論になります。」と述べた。 上記の特別集計によると,いずれも無職単身世帯の生活扶助相当消費支出額を月額で比較した場合,①平均では,60ないし69歳が11万8209円,70歳以上が10万7664円,②第Ⅰ-5分位(調査対象者を年間収入額順に5等分した場合に最も収入額の低いグループ)では,60ないし69歳が7万6761円,70歳以上が6万5843円, ③第Ⅰ-10分位(調査対象者を年間収入額順に10等分した場合に最も収入額の低いグループ)では,60ないし69歳が7万9817円,70歳以上が6万2277円となっており,いずれの収入階層でも70歳以上の者の需要は60ないし69歳の者のそれよりも少ないことが示されていた。同じく,特別集計によると,第Ⅰ-5分位の70歳以上の単身無職者の生活扶助相当消費支出額が6万5843円であるのに対し,70歳以上の単身者の生活扶助額(老齢加算を除く。)の平均は,これよりも高い7万1190 別集計によると,第Ⅰ-5分位の70歳以上の単身無職者の生活扶助相当消費支出額が6万5843円であるのに対し,70歳以上の単身者の生活扶助額(老齢加算を除く。)の平均は,これよりも高い7万1190円となっていた。 (ウ) 平成15年11月25日に開催された専門委員会(第5回)においは,生活扶助基準及び加算のあり方等について議論されたが,P4委員長が,加算のあり方について意見を求めたところ,出席委員から,「加算については確かに70歳過ぎてから突然支出がどんと増えるということはあり得ません。現場では,老齢加算がついたら,その旨を被保護者に知らせるが,「その分で来月の初めには美味しいものでも食べてね。」という程度のことで,別に70歳になったら急に支出が増えるわけではない。70歳を過ぎてから加算をつけるという形ではなくて,高齢単身者の世帯の基準をどういうふうに考えるかという視点で加算を考えた方が適切ではないかと思う。」,「最初から加算ありきというのは,やはりこの委員会でやった意味がないのでやめた方がいいと思います。加算イコール特別需要という時代があったかもしれないが,本来は生活扶助というのは一般需要で,各種の他の扶助が特別需要に対応するという体系になっているはずです。年取っただけで上に乗せていいのかという問題がでてくる。他の扶助をうまく組み合わせてできることも十分考えられると思います。それから,その他のいろんな社会保障の制度があります。 介護保険やそもそも老人保健がなかった時代もあったわけですが,今日そういうのが完全に改善されている中で,老齢加算みたいなものが,年 取っただけで上に乗せていいのかという問題が出てくる。」等の意見が述べられた。 (エ) 平成15年12月2日に開催された専門委員会(第6回)においては,「生活保 齢加算みたいなものが,年 取っただけで上に乗せていいのかという問題が出てくる。」等の意見が述べられた。 (エ) 平成15年12月2日に開催された専門委員会(第6回)においては,「生活保護制度の在り方についての中間取りまとめ(案)」(以下「中間取りまとめ案」という。)が資料として配付されたが,これには単身無職の一般低所得高齢者世帯の消費支出額について,①70歳以上の者と60ないし69歳の者との間で比較すると,前者の消費支出額の方が少ないことが認められる旨,したがって,②70歳以上の高齢者について,現行の老齢加算に相当するだけの特別な需要があるとは認められないため,廃止の方向で見直すべきである旨,③見直しに当たっては,高齢者世帯の社会的費用については一定の需要があると認められるので,生活保護基準の体系の中でその点に配慮する必要があること等の意見があった旨記載されていた。また,生活扶助基準の改定率,消費者物価指数,賃金等の推移を比較した資料(乙A10の12説明資料1頁,)が配付され,これに基づいて検討が加えられたが,これによると,昭和59年度を100%とした場合の平成14年度における割合は,生活扶助基準が135.5%,消費者物価指数が116.5%,賃金が131.2%となっており,平成7年度を100%とした場合の同14年度における割合は,生活扶助基準が104. 3%,消費者物価指数が99.9%,賃金が98.7%となっており,昭和55年と平成12年を比較すると,一般勤労者世帯の平均並びに第Ⅰ-10分位及び被保護勤労者世帯の平均のいずれにおいても,消費支出に占める食料費の割合(エンゲル係数)は低下していた(乙A10の6の説明資料12頁から14頁まで)。 上記専門委員会においては,被保護高齢単身世帯の家計消費の実態を示すものとし いても,消費支出に占める食料費の割合(エンゲル係数)は低下していた(乙A10の6の説明資料12頁から14頁まで)。 上記専門委員会においては,被保護高齢単身世帯の家計消費の実態を示すものとして,平成11年度における被保護者生活実態調査を基に した月ごとの貯蓄純増(同調査結果にいう「貯金」と「保険掛金」の合計から「貯金引出」と「保険取金」の合計を差し引いたもの),平均貯蓄率(可処分所得に対する貯蓄純増の割合)及び繰越金(月末における世帯の手持金残高)を比較した資料(乙A10の12説明資料3,4頁)が検討されたが,これによると,老齢加算のない世帯の貯蓄純増は9407円,平均貯蓄率は8.4%,繰越金は3万6094円であるのに対し,老齢加算のある世帯の貯蓄純増は1万4926円,平均貯蓄率は12.1%,繰越金は4万7071円となっており,いずれの数値も後者が前者より高くなっていた。 上記専門委員会においては,出席委員から,「老齢加算額がちょっと高過ぎるというという議論はしたが,廃止を明言する限りは,そこから起きてくる問題をもう少しちゃんと議論して,本当に問題がないという議論の上でないと廃止ということが軽々にいえないのではないか。」,「確かに老齢加算のついている世帯は他の一般低所得世帯と比べて若干基準が高いと言われてきたが,老齢加算そのものを廃止してというところまで意見として集約するだけの議論をしたかどうか。」,「廃止をするならばそれに当たる代替措置をという形で議論を進められたと記憶するので,中間取りまとめ案をそのように表現上変えていただくという形が適当ではないかと考えます。」,「加算という形で一括して,同じ金額をこの特別需要に払うかどうかというところについては,議論の余地があると思いますので,議論してもいいし,見直さなけれ ただくという形が適当ではないかと考えます。」,「加算という形で一括して,同じ金額をこの特別需要に払うかどうかというところについては,議論の余地があると思いますので,議論してもいいし,見直さなければいけないかもしれないとということなんですが,ただ個別の需要が全員にないというわけでもないわけで,それが第1類費の方法で一般化されるかどうかというのはちょっと先の話かと思います。」,「やはり生活扶助費の加算について議論していたわけだから,医療扶助が必要だったら医療扶助を申請するとしてきちっとやらなければいけないんで す。それをすべて加算という従来の考え方がちょっと古くなっているんじゃないかという議論はしていたと思うので,出だしに戻るわけにはいかないと思う。」,「廃止ということがすべてなくなるということではなくて,内容を精査して,それぞれ必要なところに実質的にそれを復元するような制度的な仕組みにやっていくという形の整理でしていただければいいんではないかと思っています。」,「中間取りまとめについては,断定的にしない案で座長にお任せします。」といった意見が出された。また,上記専門委員会において,事務局が作成した説明資料に基づいて議論されたが,P4委員長は,上記資料によれば,被保護世帯の実収入と実支出の差額に着目した上で,高齢単身世帯の場合も,少なくとも多少家計を回せるような余裕を何とか捻出しながら生活できていることがわかるのではないかとして,上記議論をまとめた。 P4委員長は,専門委員会の議論を踏まえて,中間取りまとめ案を修正し,中間の取りまとめを作成したい旨述べて,出席委員の了解を得た。 なお,上記専門委員会において,上記の説明資料や被保護者生活実態調査の信頼性につき疑問がある旨の意見が述べられることはなかった。 ウ上記のよ とめを作成したい旨述べて,出席委員の了解を得た。 なお,上記専門委員会において,上記の説明資料や被保護者生活実態調査の信頼性につき疑問がある旨の意見が述べられることはなかった。 ウ上記のような検討を経て,平成15年12月16日,専門委員会は,の中間取りまとめ(乙A1)を公表し,同日開催された社会保障審議会の第7回福祉部会において,その内容について議論され,老齢加算について廃止という方向で見直す場合には,生活保護基準全体の体系の中でどのように見直すかを考えるべきである等の意見が述べられたが,老齢加算に係る保護基準の改定の在り方等につき具体的な見解の集約はされなかった。(甲A173,乙A1)中間取りまとめは,加算の在り方について,「加算は被保護者の特別の需要に対応する方策の一つであり,必要即応の観点,実質的最低生活の確保の上から検討する必要がある。しかし,歴史的な経緯で設けられてきた 加算には現在の状況に合わないものもある。」とした上,老齢加算につき次のとおり提言した。(乙A1)(ア) 単身無職の一般低所得高齢者世帯の消費支出額について,70歳以上の者と60ないし69歳の者との間で比較すると,前者の消費支出額の方が少なく,70歳以上の高齢者について現行の老齢加算に相当するだけの特別な需要があるとは認められないため,老齢加算そのものについては廃止の方向で見直すべきである。 (イ) ただし,高齢者世帯の社会生活に必要な費用に配慮して,保護基準の体系の中で高齢者世帯の最低生活水準が維持されるよう引き続き検討する必要がある。 (ウ) 被保護者世帯の生活水準が急に低下することのないよう,激変緩和の措置を講ずべきである。 なお,中間取りまとめには,生活扶助基準の改定方式につき,「一般国民生活における消費水準との比較に (ウ) 被保護者世帯の生活水準が急に低下することのないよう,激変緩和の措置を講ずべきである。 なお,中間取りまとめには,生活扶助基準の改定方式につき,「一般国民生活における消費水準との比較において相対的なものとして設定する観点から,当該年度に想定される一般国民の消費動向に対応するよう,毎年度の政府経済見通しの民間最終消費支出の伸びを基礎とする改定方式が採られてきた」が,「最近の経済情勢はこの方式を採用した当時と異なることから,例えば5年間に一度の頻度で,生活扶助基準の水準について定期的に検証を行うことが必要である。」と付記された。 エ平成15年12月20日,財務省は,平成15月12日20日,平成16年度予算の財務省原案を内示したが,これには老齢加算を3年間かけて段階的に減額して廃止することなどが示されていた。そして,同月24日,上記内容を含む平成16年度予算案が閣議決定された。(甲A107)厚生労働大臣は,上記の中間取りまとめを受けて,70歳以上の高齢者にはもはや老齢加算に見合う特別な需要があるとは認められないと判 断して老齢加算を廃止することとし,平成16年度以降,保護基準につき,本件改定を実施した。 なお,平成16年12月,専門委員会は,「生活保護制度の在り方に関する専門委員会報告書」(甲A9)を発表し,生活保護基準の在り方につき,「勤労3人世帯の生活扶助基準について,低所得世帯の消費支出額との比較において検証・評価した結果,その水準は基本的に妥当であったが,今後,生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているか否かを定期的に見極めるため,全国消費実態調査等を基に5年に1度の頻度で検証を行う必要がある。」(2頁)としたが,老齢加算については,加算の在り方に関する部分(3頁)にお 均衡が適切に図られているか否かを定期的に見極めるため,全国消費実態調査等を基に5年に1度の頻度で検証を行う必要がある。」(2頁)としたが,老齢加算については,加算の在り方に関する部分(3頁)において「老齢加算については,既に中間取りまとめにおいてその廃止の方向での見直しを提言したところである」とするにとどまった。(甲A9)(3) 本件各決定について控訴人らは,別紙5「平成16年処分一覧表」及び別紙6「平成18年処分一覧表」の各「処分行政庁」欄記載の福祉事務所長から,本件改定に基づき,各「処分日」欄記載の日に,各「処分の名宛人」欄記載の被保護者(世帯主)を名宛人として,それぞれ老齢加算の減額又は廃止に伴う生活扶助支給額の減額を内容とする保護変更決定(本件各決定)を受けた。 (4) 厚生労働省は,専門委員会が平成16年に発表した上記(2)エの「生活保護制度の在り方に関する専門委員会報告書」(甲A9)において,生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているか否かを定期的に見極めるため全国消費実態調査等を基に5年に一度の頻度で検証を行う必要があるとされているのを受けて,生活扶助基準の定期的な検証を行うこととし,平成19年,級地を含む生活扶助基準の見直しについて専門的な分析・検討を行うため,学識経験者等による「生活扶助基準に関する検討会」を設置した。上記検討会においては,直近の全国消費実態調査の結果等 を用いて,主に統計的な分析をもとに専門的かつ客観的に評価・検証を実施し,平成16年特別集計における単身世帯の生活扶助相当支出額と生活扶助基準額とを比較し,70歳以上で生活扶助相当支出額が5万7553円,生活扶助基準額が6万9628円であり,生活扶助基準額が生活扶助相当支出額を上回っていること等が確認され 活扶助相当支出額と生活扶助基準額とを比較し,70歳以上で生活扶助相当支出額が5万7553円,生活扶助基準額が6万9628円であり,生活扶助基準額が生活扶助相当支出額を上回っていること等が確認された。(甲A147の1から3まで,甲A148) 3 老齢加算の廃止に係る厚生労働大臣の判断について上記2認定のとおり,厚生労働大臣は,専門委員会の中間取りまとめを受けて,70歳以上の高齢者には老齢加算に見合う特別な需要があるとは認められないと判断して老齢加算を廃止することとし,平成16年度以降,本件改定を実施したものである。そこで,厚生労働大臣の上記判断に本件上告審判決が指摘する見地から裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるか否かについて検討する。 (1) 控訴人らは,厚生労働大臣が,統計等の客観的数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の観点からの検討を行っていない旨主張する。しかし,厚生労働大臣は,前記認定の社会保障制度や経済学の研究者等を構成員とする専門委員会による中間取りまとめを受けて,70歳以上の高齢者には老齢加算に見合う特別な需要があるとは認められないと判断したのであるから,中間取りまとめにおける専門委員会の意見に誤謬等があり,しかもそのことを,厚生労働大臣が現に認識していたか,又は不注意により看過したのでない限り,裁量権の濫用等があったということはできない。 また,控訴人らは,厚生労働大臣が,控訴人らの生活状況等の個別事情について考慮していないのは不当である旨主張するが,老齢加算制度を廃止するか否かは,その支給対象者一般に関する問題であって,個々の被保護者の具体的な個別事情に応じて決められるべきものではないから,上記主張は失当である。 (2) 前記認定のとおり,中間取りまとめにおいては,「単身無職の一般低所 る問題であって,個々の被保護者の具体的な個別事情に応じて決められるべきものではないから,上記主張は失当である。 (2) 前記認定のとおり,中間取りまとめにおいては,「単身無職の一般低所得高齢者世帯の消費支出額について,70歳以上の者と60ないし69歳の者との間で比較すると,前者の消費支出額の方が少なく,70歳以上の高齢者について現行の老齢加算に相当するだけの特別な需要があるとは認められないため,老齢加算そのものについては廃止の方向で見直すべきである」とされているが,「老齢加算に相当するだけの特別な需要があるとは認められない」とされているのは,特別集計において,無職単身世帯の生活扶助相当消費支出額を比較した場合,平均,第Ⅰ-5分位,第Ⅰ-10分位のいずれにおいても,70歳以上の者の需要は60ないし69歳の者のそれより少ないこと(比較1)が示されていた点を主な根拠とするものであると解される(なお,比較2の70歳以上の単身者の生活扶助額(老齢加算を除く。)の平均が,第Ⅰ-5分位の70歳以上の単身無職者の生活扶助相当消費支出額を上回っていたとの点も,老齢加算を付加しない保護によっても70歳以上の単身無職者である低所得者層の一般的消費支出を充足し得ることを示すものであるという意味で,70歳以上の高齢者について老齢加算に相当するだけの特別な需要があるとは認められないことの根拠とはなり得る。)。 アこの点,控訴人らは,比較1及び比較2の数値が,統計に示される客観的数値そのものではなく,収入階層別に集計し直した上で生活扶助相当消費支出額という形に加工したものであり,その集計や加工の過程が明らかでないから信頼性に欠けるとして,統計(平成11年度全国消費実態調査)に示される客観的数値は65ないし69歳よりも70ないし74歳の方が消 う形に加工したものであり,その集計や加工の過程が明らかでないから信頼性に欠けるとして,統計(平成11年度全国消費実態調査)に示される客観的数値は65ないし69歳よりも70ないし74歳の方が消費支出が多いことからすると比較1及び比較2の数値は合理性に欠ける旨主張する。なるほど,平成11年度全国消費実態調査の第26表(甲A28)によれば,消費支出の月額(男女平均)は,60ないし64歳が19万4397円,65ないし69歳が15万6981円,70ないし74歳が16万1600円,75歳以上が13万1813円とな っており,65ないし69歳よりも70ないし74歳の方が多額である。 しかしながら,特別集計では60ないし69歳の者と70歳以上の者とを比較しているのであり,5歳刻みになっている統計において,65ないし69歳の者より70ないし74歳の者の方が消費支出が多いとの結果が示されているというだけでは,比較1に疑問があるということはできない。 控訴人らは,より細やかな年代別の比較が必要である旨主張するが,老齢加算は基本的には70歳以上の者に支給されるものであるから,老齢加算の在り方を検討するに際して60ないし69歳の者と70歳以上の者を比較して,後者に生活扶助基準では賄えない特別な需要があるかどうかを検証することをもって不合理な方法ということはできないから,控訴人らの上記主張も採用することができない。なお,老齢加算は,性別には関係なく基本的に70歳以上の者に一律に支給される仕組みになっていたのであるから,性別ごとに特別需要の有無を検証する必要性があったということもできない。 イまた,控訴人らは,平成16年度全国消費実態調査の個別調査票情報を基にした集計につき,70歳以上の者の年収を60ないし69歳の者と同額と仮定して計算すると があったということもできない。 イまた,控訴人らは,平成16年度全国消費実態調査の個別調査票情報を基にした集計につき,70歳以上の者の年収を60ないし69歳の者と同額と仮定して計算すると,比較1及び比較2と矛盾する数値が得られる旨主張するが,控訴人らが主張する上記計算方法をもって比較1及び比較2の数値が不合理であるとすることはできない。 ウそして,控訴人らは,比較1及び比較2の数値が統計(平成11年度全国消費実態調査)の客観的数値と整合するか否かの検証や,消費支出額全体から生活扶助以外の扶助に該当するもの等を控除したとされる「生活扶助相当消費支出額」の算出過程における控除の正当性の検証がされていないので比較1及び比較2には十分な根拠がない旨主張する。しかしながら,P19資本市場調査部作成の「60歳代前半家計の収入・支出構造」と題する平成18年3月31日付け文書(甲A144)によれ ば,同調査部は,資本市場調査に係る各種資料を分析し,上記文書において,高齢無職世帯の消費性向を世帯主年齢別に見たところ,消費性向は60歳代前半で最も高く(よって貯蓄率が最も低く),年齢が上昇するにつれて消費性向が低下(よって貯蓄率のマイナスが縮小)し,60歳ないし64歳世帯,65ないし69歳世帯,70ないし74歳世帯と各年齢区分が高くなるほど消費性向が低くなり,この消費性向は平成12年から同17年までのいずれの年度においても同様であった旨,これは高齢になるほど世帯当たり消費が減少する一方,70歳前半までは高齢になるほど可処分所得が増えているからである旨,高齢になるほど世帯人員は減少するが,世帯人員一人当たりで消費と可処分所得を見ても,消費は徐々に減少しているにもかかわらず可処分所得が大きく増加しており,そのため,高齢になるほど いるからである旨,高齢になるほど世帯人員は減少するが,世帯人員一人当たりで消費と可処分所得を見ても,消費は徐々に減少しているにもかかわらず可処分所得が大きく増加しており,そのため,高齢になるほど貯蓄率のマイナス幅が減少している旨報告し,消費性向は若い高齢者ほど高く,高齢者は高齢化すると貯蓄率が改善するとしていることが認められる。そして,前記認定の専門委員会における議論の内容等によれば,社会保障制度や経済学の専門的知見を有する者によって構成されていた専門委員会においては,高齢の生活保護受給者が社会的に孤立した生活を送っている現状を改善する必要があるとの意見が出されていたものの,平成15年当時,高齢者世帯の60ないし64歳世帯より70歳以上世帯の方がその消費性向が低いという点については,格別異論はなく,専門的知見を有する者には一般的な知見となっていたことがうかがわれる。仮に控訴人らが主張する検証により,老齢加算に見合う特別の需要がないという結論が覆る可能性があったとすれば,当然,専門委員会においてもその旨指摘されるはずであるが,そのような指摘がされた形跡はない。このような諸事情の下,厚生労働大臣において,控訴人ら主張に係る上記各検証を行う必要性があったなどということはできず,平成11年度被保護者生活実態調査に係 る各調査票情報の正確性について格別の検証をしなかったとしてもこれを不当であるということはできず,前記認定の当時の財政事情の下,厚生労働大臣が専門委員会の中間取りまとめを受けて上記のとおり判断したことに裁量権の濫用等があったということはできないから,控訴人らの上記主張も理由がない。 (3) ところで,控訴人らは,仮に厚生労働大臣が「貯蓄純増」を理由に老齢加算の廃止を決定したものとすれば,その判断には統計等の客観的な数 いうことはできないから,控訴人らの上記主張も理由がない。 (3) ところで,控訴人らは,仮に厚生労働大臣が「貯蓄純増」を理由に老齢加算の廃止を決定したものとすれば,その判断には統計等の客観的な数値との合理的関連性がなく,判断の過程及び手続に過誤,欠落がある旨主張する。 アしかしながら,前記のとおり,厚生労働大臣は中間取りまとめを受けて70歳以上の高齢者には老齢加算に見合う特別な需要があるとは認められないと判断して老齢加算を廃止することとしたものと認められるところ,中間取りまとめ(乙A1)においては「貯蓄純増」や「平均貯蓄率」及び「繰越金」について何ら言及されていないことが明らかであるから,厚生労働大臣が「貯蓄純増」を直接的理由として老齢加算を廃止する判断をしたものとは認められない。 イもっとも,前記第4の2(2)の事実と証拠(乙A10の9,11及び12)並びに弁論の全趣旨によれば,①平成15年12月2日に開かれた第6回専門委員会において「2 被保護高齢単身世帯の家計全体の状況」と称する資料(乙A10の12の説明資料3,4頁)が配付されたこと,上記資料は,同年11月25日の第5回専門委員会においてP17委員が「標準世帯について今の基準が妥当であるという立証は十分なされたと思います。ただ,それ以外の加算の必要性,妥当性が見えるかという点については,前回お示しいただいた資料では一般低所得世帯の消費水準と比較してどうかという議論でしたが,それだけでなく実際の保護世帯の消費構造や生活構造から検証してみるということも必要なのではないかと考えます。と言いますのは,この委員会で最初に御報告いただいた社会生活調査 報告(乙A10の4の資料2である「社会生活に関する調査結果社会保障生計調査結果【概要報告書】)を見せていただきま えます。と言いますのは,この委員会で最初に御報告いただいた社会生活調査 報告(乙A10の4の資料2である「社会生活に関する調査結果社会保障生計調査結果【概要報告書】)を見せていただきますと,特に母子世帯や老齢世帯の生活実態が今の状況でも大変であるというのがとても如実に表れていて,そこから加算を引いてしまったら,本当にどうなるのだろうかというイメージを持ちました。そういう意味から立証の仕方としまして,たしかに生活保護世帯に対してこういう金額で暮らしなさいということで,第1類費,第2類費の額が決まって支給されますが,それで実際にどう暮らしているのかというところから見ていかないと,大きな問題を見落としてしまうのではないかという感じがいたします。」等の発言があったのを受けて,事務局において,平成11年度被保護者生活実態調査の結果を用いて作成し,第6回専門委員会の説明資料として配付したものであること,②上記資料については,同委員会において,P4委員長から「この資料の2ページ以降は,仮に加算を取った場合に,最低生活を大幅に割るようなことになるかどうかということを判断するために,(中略)平成11年に行われた詳細な家計調査をお出しいただいています。(中略)一般低所得世帯と比較したときに,必ずしも高齢加算を付ける合理性がないとなったときに,それで最低生活を割ってしまっては困るので,その検証をしようということでお出しいただきました。」との説明がされた上で議論が行われたこと,③そして,第6回専門委員会では,「実収入,実支出の差額で見ていただければ,(中略)もちろん中身の問題があるわけですが,中身はともあれ,一応その中でやって,なおかつ若干の余裕が出ているように家計では示されているというふうになります。」,「ただ総額で言うと,多少家計を回せ (中略)もちろん中身の問題があるわけですが,中身はともあれ,一応その中でやって,なおかつ若干の余裕が出ているように家計では示されているというふうになります。」,「ただ総額で言うと,多少家計を回せるような余裕を何とか捻出しながら回して生活できているという感じが,母子世帯の場合も,単身高齢者の場合も,この調査からは少なくともそういうふうなことが見えるという資料と御理解いただければと思います。」というP4委員長の発言をもって,上記資料に関する議論は 終了したこと,以上の事実が認められる。 上記認定の事実によれば,上記資料からうかがわれる「貯蓄純増」や「平均貯蓄率」等の状況からすると,老齢加算を廃止した後における70歳以上の高齢者の生活扶助基準による生活が最低生活を大幅に割りこむことにはならないことを確認したという意味において,上記の「貯蓄純増」等が老齢加算を廃止の方向で見直すべきであるとする中間取りまとめの一つの根拠にはなっているということができる。 ウこれに対し,控訴人らは,「貯蓄純増」という概念自体が極めて曖昧であって,実際には支出されていたものの家計表作成時に漏れてしまったものが「貯蓄純増」になっている可能性もあるとして,「貯蓄純増」なるものが実際に認められるのか(具体的に毎月幾らが貯蓄されていたのか)を精査した上でなければ,これを老齢加算廃止の根拠とすることは許されない旨主張する。しかしながら,上記資料によれば加算のある世帯の「貯蓄純増」等の方が加算のない世帯のそれよりも相当に多いことは明らかであり,これは前記認定の専門委員会における議論の内容等とも整合し,上記事情を老齢加算廃止後における70歳以上の高齢者の生活が最低生活を大幅に割りこむことにはならないとする判断の根拠とすることは一応の合理性を有するという 専門委員会における議論の内容等とも整合し,上記事情を老齢加算廃止後における70歳以上の高齢者の生活が最低生活を大幅に割りこむことにはならないとする判断の根拠とすることは一応の合理性を有するということができる。したがって,控訴人らの上記主張も理由がない。 エまた,控訴人らは,老齢加算の廃止方法(激変緩和措置)との関係で,上記「貯蓄純増」等の基になっている平成11年度被保護者生活実態調査には信頼性が欠ける旨主張する。しかしながら,証拠(乙A49)及び弁論の全趣旨によれば,被保護者生活実態調査は,昭和26年に当時の「国民生活実態調査」の一環として第1回調査が実施され,その後現在に至るまで行われており(昭和28年に「被保護者生活実態調査」と改称された。),これは被保護世帯における家計収支の内容を把握し,生活保護基準 の改訂等,生活保護制度の運営に必要な資料を得ることを主たる目的として実施され,被保護世帯における家計状況を把握する唯一の公的な統計調査とされていること,平成11年度被保護者生活実態調における調査対象及び客体については,全国の被保護世帯を対象として地域別に10ブロックに分け,各ブロック毎に都道府県1ないし2カ所を調査対象県に選定し,560世帯を抽出するとされていたこと,平成11年度被保護者生活実態調査は,調査設計等の審査を経た上,総務庁長官の承認を受けた承認統計であることが認められ,平成16年当時,統計調査として信頼性を有するものとして一般に受け入れられていたことがうかがわれる。そして,専門委員会が平成16年12月に発表した「生活保護制度の在り方に関する専門委員会報告書」(甲A9)においても,生活保護基準の水準は基本的に妥当と評価しつつ,生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態の均衡が適切に図られているか否かを定期 た「生活保護制度の在り方に関する専門委員会報告書」(甲A9)においても,生活保護基準の水準は基本的に妥当と評価しつつ,生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態の均衡が適切に図られているか否かを定期的に見極めるため,全国消費実態調査等を基に5年に1度の頻度で検証を行う必要がある旨の指摘がされるにとどまっているのであって(前記認定のとおり,上記報告書中の老齢加算に関する記述は「既に中間取りまとめにおいてその廃止の方向での見直しを提言したところであるが」というものにすぎない。),上記生活実態調査が信頼性に欠けることをうかがわせるような事情は認め難い。貯蓄純増に関する控訴人らの上記主張も採用することができない。 なお,控訴人らは,平成11年度被保護者生活実態調査について,調査母数が少ないので有意性がないとか,調査対象として560世帯を抽出できておらず,12か月を通した家計簿の調査ができていない等,他にも上記実態調査に係る集計には問題がある旨主張するが,弁論の全趣旨によれば,家計簿を提出した世帯数は645世帯,うち加算有世帯が91世帯,加算無世帯が62世帯であり,提出された家計簿は,それぞれ6049冊,853冊,520冊であること,調査対象となった世帯の中には調査期間 の途中で協力が得られなくなった世帯もあったため,いわゆる脱落世帯があったことが認められる。これらは統計調査上も想定されているものであり,平成11年度被保護者生活実態調査も総務庁長官の承認を受けた承認統計である。控訴人らの上記主張はいずれも統計調査の実情を踏ま得ない推測にわたるものにすぎず,上記統計調査の有意性に疑問が生じるようなものではないから採用することはできない。 オまた,控訴人らは,上記の専門委員会においては老齢加算の削減・廃止の結論を前提とした検討 わたるものにすぎず,上記統計調査の有意性に疑問が生じるようなものではないから採用することはできない。 オまた,控訴人らは,上記の専門委員会においては老齢加算の削減・廃止の結論を前提とした検討が行われたにすぎず,公正な審議が行われたとはいえない旨主張する。 なるほど,前記認定のとおり,平成12年,「社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律案」に係る衆議院厚生委員会及び参議院国民福祉委員会の附帯決議において,「社会福祉基礎構造改革を踏まえた今後の社会福祉の状況変化や規制緩和,地方分権の進展,介護保険の施行状況等を踏まえつつ,介護保険制度の施行後5年後を目途とした同制度全般の見直しの際に,(中略)生活保護の在り方について,十分検討を行うこと」との指摘がされ,平成15年,財務省の審議会である財政制度等審議会財政制度分科会において,「平成16年度予算編成の基本的考え方について」と題する建議がされ,老齢加算につき「年金制度改革の議論と一体的に考えると,70歳未満受給者との公平性,高齢者の消費は加齢に伴い減少する傾向にあること等からみて,廃止に向けた検討が必要である」との指摘がされていたわけであるが,これらの指摘がされたのは,社会経済情勢の変化等に伴って,生活保護制度のあり方や保護基準の水準の妥当性について,その検討の必要が要請されていたからである。このような状況の中,専門委員会は上記附帯決議等の指摘を受けて制度の見直し等に係る検討を行ったのであって,前記認定の専門委員会の老齢加算に係る検討の経過及び審議内容からしても,専門委員会が老齢加算の削 減・廃止の結論を前提とした不公正な審議を行ったなどということはできない。 (4) 控訴人らは,老齢加算を廃止すべきとした厚生労働大臣の判断について専門的知見 ,専門委員会が老齢加算の削 減・廃止の結論を前提とした不公正な審議を行ったなどということはできない。 (4) 控訴人らは,老齢加算を廃止すべきとした厚生労働大臣の判断について専門的知見との整合性の点からしても,判断の過程及び手続に過誤,欠落がある旨主張する。 しかし,控訴人らが具体的に主張する「社会生活に関する調査結果社会保障生計調査結果【概要報告書】」(乙10の4の資料2)については,上記(3)イのとおり,専門委員会でも考慮されていたものであるし,これを踏まえた専門委員会の中間取りまとめも専門的知見であることが明らかであるから,控訴人らの上記主張も採用することができない。 この点,控訴人らは,老齢加算が,加算の名がつけられてはいるものの,実質的には,生活扶助費が他の年齢層と比べて低く抑えられており最低限度の生活以下の水準に陥っているのを,その不足を補う形でようやく最低限度の生活に見合う水準を維持する役割を果たしていたのであって,中間取りまとめが,老齢加算そのものについては廃止の方向で見直すべきであるとしつつ,「ただし,高齢者世帯の社会生活に必要な費用に配慮して,保護基準の体系の中で高齢者世帯の最低生活水準が維持されるよう引き続き検討する必要がある。」との指摘をしたのも,上記の水準を維持するために老齢加算に代わる代替措置が採られるべきことを提言したものであるから,この代替措置を採ることなく老齢加算を廃止すべきものとした厚生労働大臣の判断は,専門委員会の中間取りまとめとの関係でもその全体としての趣旨に反するものであった旨主張する。 しかしながら,仮に中間取りまとめが老齢加算の廃止に当たって代替措置が採られるべきことを提言したものであったとしても,厚生労働大臣は専門委員会の意見に拘束されるものではなく,厚生 旨主張する。 しかしながら,仮に中間取りまとめが老齢加算の廃止に当たって代替措置が採られるべきことを提言したものであったとしても,厚生労働大臣は専門委員会の意見に拘束されるものではなく,厚生労働大臣が専門委員会の意見を容れなかったというだけで,厚生労働大臣に裁量権の濫用等があ ったことにはならないし,上記のただし書部分に係る指摘も,その文意からして,必ずしも代替措置が採られることを老齢加算廃止の条件として提言したものとまでは言い難い。仮に,控訴人らが主張するように,老齢加算という形の給付があることによって高齢者世帯の最低限度の生活水準がかろうじて維持されていたのであれば,当然,中間取りまとめにおいてもその旨の指摘がされるとともに,もっと明確な形で,老齢加算に代わる代替措置が採られるべきである旨の提言が行われていたはずである。そして,①平成11年度全国消費実態調査に係る特別集計によれば,70歳以上の単身者の生活扶助額(老齢加算を除く。)の平均は,第Ⅰ-5分位の同じく70歳以上の単身無職者の生活扶助相当消費支出額を上回っていたのであり,これによれば,老齢加算を付加しない保護のみによっても70歳以上の単身無職者である低所得者層の一般的消費支出を充足するに足りることになるので,本件改定の際における70歳以上の者の生活扶助費についても,最低生活を下回るものであったとは認め難いし,②上記(3)イ認定のとおり,専門委員会においても老齢加算廃止後における70歳以上の高齢者の生活扶助基準による生活が最低生活を大幅に割りこむことにはならない旨確認されており,③専門委員会が平成16年12月に発表した「生活保護制度の在り方に関する専門委員会報告書」(甲A9)においても,既に3年間での老齢加算の段階的廃止が実行されつつあったにもかかわらず,そ 認されており,③専門委員会が平成16年12月に発表した「生活保護制度の在り方に関する専門委員会報告書」(甲A9)においても,既に3年間での老齢加算の段階的廃止が実行されつつあったにもかかわらず,それとの関係で70歳以上の者に係る生活扶助基準を早急に見直す必要があるといった指摘がされていた形跡もないから,中間取りまとめのただし書部分は,文字どおり,高齢者世帯の社会生活に必要な費用に配慮しつつ,高齢者世帯の最低生活水準が維持されるよう,老齢加算の廃止後も引き続き検討する必要があることを指摘したにすぎないのであって,同部分が代替措置を条件とする旨提言したものであったとは認め難い。 専門委員会の委員長であったP4の意見書(甲A136)中には控訴人 らの主張に沿う記述部分があるが,前記認定の専門委員会における議論の内容等からすると,上記意見書によっても上記の認定判断を覆すに足りないというべきである。 また,厚生労働大臣としては,中間取りまとめにおいて代替措置の提言を伴わない形で老齢加算の廃止に向けた見直しの提言がされていたことから,老齢加算の廃止後における高齢者の生活扶助基準による生活が最低生活を維持するに足りない程度にまで低下するものではないとして,その廃止を決めたものと解されるのであって,中間取りまとめが明確な形では代替措置の提言をしていないことからすると,厚生労働大臣が上記のような判断をしたことを不当とすることはできない。したがって,代替措置に関する控訴人らの主張も理由がない。 (5) 以上に検討してきたところからすると,老齢加算を廃止の方向で見直すべきであるとした中間取りまとめの提言は,比較1及び比較2のほか,①昭和58年度以降,被保護勤労者世帯の消費支出の割合は,一般勤労者世帯の7割前後で推移していたこと,② 老齢加算を廃止の方向で見直すべきであるとした中間取りまとめの提言は,比較1及び比較2のほか,①昭和58年度以降,被保護勤労者世帯の消費支出の割合は,一般勤労者世帯の7割前後で推移していたこと,②昭和59年度から平成14年度までにおける生活扶助基準の改定率は,消費者物価指数及び賃金の各伸び率を上回っており,特に平成7年度以降の比較では後二者がマイナスで推移しているにもかかわらずプラスとなっていたこと,及び③昭和55年と平成12年を比べると,第Ⅰ-10分位と被保護勤労者世帯の平均のいずれにおいても,消費支出に占める食料費の割合(エンゲル係数)は低下していたことなどを考慮したものであって,統計等の客観的数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性において欠けるところはないものと認められる。 そして,70歳以上の高齢者に老齢加算に見合う特別な需要は認められず,老齢加算を廃止した後における高齢者の生活扶助基準による生活が最低生活を維持するに足りない程度にまで低下するものではないとした厚生 労働大臣の判断は,専門委員会の上記提言を考慮して行われたものであって,他にその判断の過程及び手続に過誤,欠落があると解すべき事情も見当たらないから,上記の判断が裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものであるということはできない。 なお,控訴人らの生活実態は前記引用に係る原判決認定の事実のとおりであり,本件各決定後,控訴人らは日々の生活の中で困窮感を抱いて生活していることがうかがわれ,専門委員会の議論にもあるように高齢単身世帯者に対する社会保障の充実という観点からすると検討を要するところではあるが,老齢加算を廃止する理由及びその必要性は前記のとおりであって,上記改訂後に生活保護を受給するようになった70歳以上の高齢者も老齢加算の 会保障の充実という観点からすると検討を要するところではあるが,老齢加算を廃止する理由及びその必要性は前記のとおりであって,上記改訂後に生活保護を受給するようになった70歳以上の高齢者も老齢加算のない生活扶助によって最低限度の生活を維持していることがうかがわれるから,控訴人らに係る上記事情によっても厚生労働大臣の上記判断に裁量権の逸脱,濫用があったと認めることはできない(前記認定の事実によれば,高齢の生活保護受給者の中には社会的に孤立した生活を送っている現状にある者が少なくないことがうかがわれ,「貧困とは何か」,「高齢者の自立とは何か」が問われる中で,高齢の生活保護受給者に対する自立支援を図り,その社会参加を促進する取り組みが必要であることは控訴人ら主張のとおりであって,高齢生活保護受給者を含む貧困高齢者に対する支援策を講じていくべきものと思われるが,経済事情の動向や時々の財政状態の下でどのような施策を図り,その中で生活保護のあり方をどのように位置づけるかは困難な問題である。上記対策についての検討,拡充が望まれるゆえんである。)。 4 老齢加算の廃止方法(激変緩和措置)に係る厚生労働大臣の判断について(1) 控訴人らは,厚生労働大臣が,専門委員会による中間取りまとめの発表後わずか4日間で,3年間での老齢加算の段階的廃止を決めたことからすると,生活扶助額の減額が被保護者の期待的利益の喪失を通じてその生 活に看過し難い影響を及ぼすか否か等の観点からの検討をしていないものというべきである旨主張する。 なるほど,厚生労働大臣が上記決定をしたのが,中間取りまとめが発表された4日後であったのは性急にすぎるとの指摘があり得るが(ただし,前記認定のとおり,中間取りまとめには,被保護者世帯の生活水準が急に低下することのないよう,激変 定をしたのが,中間取りまとめが発表された4日後であったのは性急にすぎるとの指摘があり得るが(ただし,前記認定のとおり,中間取りまとめには,被保護者世帯の生活水準が急に低下することのないよう,激変緩和の措置を講ずべきであるとの意見が付されてはいたものの,具体的な措置についてまでは言及されていない。),前記認定の事実と弁論の全趣旨によれば,一般に激変緩和のための期間としては2年ないし数年の期間が設定されることが多いこと,厚生労働大臣は,従前の検討の結果を踏まえて,老齢加算の廃止が被保護者世帯の生活に及ぼす影響を緩和するために,上記激変緩和の措置として3年の期間を置くこととし,厚生労働省及び財務省間の折衝等を経た後,上記決定をしたことが認められるのであって,この措置により被保護者世帯に対する影響は相当程度緩和されたことがうかがわれる。前記認定の事実によれば,厚生労働大臣は,平成15年の中間取りまとめに沿って検討を重ね,専門委員会の意見を考慮するなどしてして,相当の期間にわたって検討を重ねた結果,老齢加算を廃止することとし,併せて老齢加算の廃止が被保護世帯の生活に及ぼす影響を緩和するために3年間かけて老齢加算を段階的に減額,廃止することとしたのであって,この厚生労働大臣の判断は,いずれも統計等の数値の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性を有する中間取りまとめに沿った合理的なものであったと認められる。 そして,前記のとおり,老齢加算についてはその支給の根拠となっていた高齢者の特別な需要が認められないのであれば,本来的にはこれを可及的速やかに廃止すべきであることは生活保護法8条2項の規定に基づく要請であるということができるから,段階的に減額,廃止することは,その間,上記要請に反する状態が継続することになり,70歳未満受給 及的速やかに廃止すべきであることは生活保護法8条2項の規定に基づく要請であるということができるから,段階的に減額,廃止することは,その間,上記要請に反する状態が継続することになり,70歳未満受給者との 公平性に欠けるとの指摘もあり得るのであって,生活保護が租税を原資とする制度であり,受給者の生活保護との調整を図る必要があることを考慮すると,上記の老齢加算を3年かけて段階的に減額,廃止するという措置は,中間取りまとめの老齢加算に関する提言の趣旨に沿うものであり,老齢加算受給者に対する激変緩和策としてはバランスのとれたものであったということができる。また,上記の措置は,老齢加算受給者の有していた期待的利益にも一定の配慮をした合目的的なものであったと認められ,老齢加算の段階的廃止の措置が採られた後の各年度の保護基準額が期待的利益の喪失を通じてその生活に看過し難い影響を及ぼしているとも認められないから,控訴人らの上記主張は採用することができない。 (2) また,控訴人らは,老齢加算を廃止するに当たっては,中間取りまとめのただし書部分の提言に従って高齢者世帯の最低生活水準を維持するための検討(生活扶助基準の見直し)を行わなければならなかったことが明らかである旨主張するが,この点については,上記3の(4)のとおりであるから,控訴人らの上記主張も理由がない。 (3) 以上検討したところによれば,厚生労働大臣は,本件改訂に当たり,当時の財政事情等の下,老齢加算を廃止する際の激変緩和措置として,3年間にわたる段階的な減額,廃止という方策を採り,併せて生活扶助基準の水準の定期的な検証を行うものとしたのであって(この定期的な検証が行われていることは前記認定のとおりである。この定期的な検証によって,老齢加算廃止後の生活扶助が最低限度の生活の需 せて生活扶助基準の水準の定期的な検証を行うものとしたのであって(この定期的な検証が行われていることは前記認定のとおりである。この定期的な検証によって,老齢加算廃止後の生活扶助が最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであるか否かを確認することとされているのである。),生活扶助額の減額が被保護者の期待的利益の喪失を通じてその生活に看過し難い影響を及ぼすか否か等の観点から見て,上記判断に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があったということはできない。 5 別紙3記載の控訴人らの請求について なお,本件記録によれば,上記控訴人らは同目録記載の各日に死亡していることが明らかであるところ,本件訴訟は,上記控訴人らについてはその死亡と同時に終了したものと解すべきである(最高裁昭和42年5月24日大法廷判決・民集21巻5号1043頁参照)。そこで,本件訴訟のうち,上記控訴人らの請求に関する部分は,上記の各日に終了したことを明確にするため,その旨を宣言することとする。 6 文書提出命令の申立てについて控訴人らは,平成11年度被保護者生活実態調査が「560世帯を対象とし,1年間にわたり,家計簿を記入させる方法により行われたもの」でないこと及び平成11年度被保護者生活実態調査を根拠とする「実収入と実支出の差額」が老齢加算の金額に基づくものでないことを証明するとして,平成11年度被保護者生活実態調査の家計簿・世帯票,または同家計簿・世帯票で電磁的媒体に記録される形式で保管されているもののうち単身世帯の調査票情報の全部につき文書提出命令の申立てをし(平成25年(行タ)第2号),また,平成11年及び同16年の各全国消費実態調査の単身世帯の個票をもとにした厚生労働省の特別集計はその統計上の信頼性が検証されておらず,同所から導き出された比較1及び 平成25年(行タ)第2号),また,平成11年及び同16年の各全国消費実態調査の単身世帯の個票をもとにした厚生労働省の特別集計はその統計上の信頼性が検証されておらず,同所から導き出された比較1及び比較2は老齢加算廃止の根拠となり得ないことを証明するとして,平成11年及び同16年の各全国消費実態調査の調査票の家計簿A及びB,年収・貯蓄等調査票,世帯票で,電磁的媒体に記録される形式で保管されているもののうち単身世帯の調査票情報の全部につき文書提出命令の申立てをしている(平成25年(行タ)第3号。)。 しかしながら,控訴人らは,上記各申立て(以下,併せて「本件各申立て」という。)において,被保護者生活実態調査の家計簿等の情報の信頼性には疑問があるとして,この点を検証するためには上記各生活実態調査の家計簿等の情報が開示される必要があるとするが,本件における争点との関係でどのような具体的な必要性があるのかは明確でなく,いわば模索的な立証 を図ろうとしているものである。そして,証拠(乙A49,同68の1及び2)及び弁論の全趣旨によれば,全国消費実態調査は,統計法に基づいた指定統計調査として実施されているが,同法上,申告の義務,調査票の統計目的外への使用禁止,調査に携わる者の守秘義務等が定められ,その精度を確保するために罰則等の各種措置が講じられていること,上記調査は,全国的な政策を企画立案し,又はこれを実施する上において特に重要な統計に該当する基幹統計の一つである全国消費実態統計を作成することを目的とするものであること,また,調査に当たって,秘密の保護には万全を期することとされ,調査を依頼された世帯主に交付される文書には「調査票に書かれた内容が外部に漏れることは絶対にありません。」と明記されていること,上記調査は信頼性が高いものとして 密の保護には万全を期することとされ,調査を依頼された世帯主に交付される文書には「調査票に書かれた内容が外部に漏れることは絶対にありません。」と明記されていること,上記調査は信頼性が高いものとして一般に受け入れられていることが認められ,また,被保護者生活実態調査も同様に規律されていることは前記認定のとおりである。このような規律の下に実施される上記各調査の信頼性は高く,いずれも,統計調査として信頼性の高いものとして一般に受け入れられているものである。また,本件各申立てに係る各生活実態調査に当たって,恣意的な調査や調査票の処理が行われるなど,その調査結果の信頼性に疑いを抱かせるような具体的な事情は見受けられない。 そして,統計法上,秘密の保護は基本理念の一つであり,上記各調査票情報に係る個人情報を保護する必要性が極めて高いことをも考慮すると,本件における厚生労働大臣の裁量判断の適否の判断に当たって,被保護者の生活実態調査に係る上記各調査票情報が正確であるかどうかを検証する必要性があるということはできない。したがって,本件各申立てに係る上記各調査票情報を取り調べる必要性を認めることはできない。 第5 結論以上の次第で,控訴人らの控訴は理由がないから,これをいずれも棄却するとともに,上記第4の5記載の訴訟終了宣言をすることとし,主文のとおり判 決する。 福岡高等裁判所第4民事部 裁判長裁判官原敏雄 裁判官小田幸生 裁判官佐 々 木信俊 (別紙5) 平成16年処分一覧表 控訴人 小田幸生 裁判官佐 々 木信俊 (別紙5) 平成16年処分一覧表 控訴人処分の名宛人処分行政庁処分日金額(円)P20P20北九州市門司福祉事務所長平成16 年4 月1 日8,260P21P21同上平成16 年4 月1 日8,260P22P22北九州市戸畑福祉事務所長平成16 年3 月10 日8,260P23P23同上平成16 年3 月10 日8,260P24P24同上平成16 年3 月10 日8,260P25P25同上平成16 年3 月10 日8,260P26P26北九州市八幡東福祉事務所長平成16 年3 月26 日16,520P27P27同上平成16 年3 月26 日8,260P28P28同上平成16 年3 月26 日8,260P29P29同上平成16 年3 月26 日8,260P30P30同上平成16 年3 月26 日8,260P31P31同上平成16 年3 月26 日8,260P32P32同上平成16 年3 月26 日8,260P33P34同上平成16 年3 月26 日6,880P35P35同上平成16 年3 月29 日8,260P36P36北九州市八幡西福祉事務所長平成16 年3 月22 日8,260P37P37同上平成16 年4 月1 日8,260P1P2同上平成16 年3 月 P36北九州市八幡西福祉事務所長平成16 年3 月22 日8,260P37P37同上平成16 年4 月1 日8,260P1P2同上平成16 年3 月29 日16,520P38P38同上平成16 年3 月22 日8,260P39P39同上平成16 年3 月22 日8,260P40P40同上平成16 年3 月22 日8,260 (別紙6) 平成18年処分一覧表 控訴人処分の名宛人処分行政庁処分日金額(円)P20P20北九州市門司福祉事務所長平成18 年3 月22 日3,760P21P21同上平成18 年3 月22 日3,760P41P41同上平成18 年3 月22 日3,760P42P42同上平成18 年3 月22 日3,760P43P43北九州市小倉北福祉事務所長平成18 年4 月1 日3,760P44P44同上平成18 年3 月24 日7,520P45P46P46同上平成18 年4 月1 日3,760P47P47北九州市若松福祉事務所長平成18 年3 月27 日3,760P48P49北九州市戸畑福祉事務所長平成18 年4 月1 日7,520P22P22同上平成18 年4 月1 日3,760P23P23同上平成18 年4 月1 日3,760P24P24同上平成18 年4 月1 日3,130P25P25同上平成18 年4 月1 日3,760P50P50 平成18 年4 月1 日3,760P24P24同上平成18 年4 月1 日3,130P25P25同上平成18 年4 月1 日3,760P50P50同上平成18 年4 月1 日3,760P26P26北九州市八幡東福祉事務所長平成18 年3 月20 日7,520P51P27P27同上平成18 年3 月20 日3,760P28P28同上平成18 年3 月20 日3,760P29P29同上平成18 年3 月20 日3,760P30P30同上平成18 年3 月20 日3,760P31P31同上平成18 年3 月20 日3,760P32P32同上平成18 年3 月20 日3,760P33P34同上平成18 年3 月20 日6,890P35P35同上平成18 年3 月20 日3,760P52P52同上平成18 年3 月20 日3,760P53P53同上平成18 年3 月20 日3,760P36P36北九州市八幡西福祉事務所長平成18 年3 月14 日3,760P37P37同上平成18 年3 月14 日3,760P1P2同上平成18 年3 月14 日3,760P38P38同上平成18 年3 月14 日7,520P54P39P39同上平成18 年3 月14 日3,760P40P40同上平成18 年3 月14 日3,760P55P55同上平成18 年3 月14 日3,7 P39同上平成18 年3 月14 日3,760P40P40同上平成18 年3 月14 日3,760P55P55同上平成18 年3 月14 日3,760

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