- 1 - 主文1 本件各控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は、一審被告DHCの控訴に係るものは一審被告DHCの、一審被告Aの控訴に係るものは一審被告Aの、一審原告の控訴に係るものは一審原告の各負担とする。 事実及び理由第1 控訴の趣旨1 一審被告DHC⑴ 原判決中一審被告DHC敗訴部分を取り消す。 ⑵ 前項の部分につき、一審原告の請求をいずれも棄却する。 2 一審被告A⑴ 原判決主文第4項を取り消す。 ⑵ 一審原告は、一審被告Aに対し、2200万円及びこれに対する平成30年8月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 一審原告⑴ 原判決中一審被告Aに対する本訴請求に係る部分を取り消す。 ⑵ 一審被告Aは、一審原告に対し、一審被告DHCと連帯して550万円及びこれに対する平成29年1月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑶ 一審被告Aは、一審原告に対し、原判決別紙謝罪文目録2記載の謝罪文(ただし、「謝罪文の内容」欄に「東京地方裁判所」とあるのを「東京高等裁判所」に改める。)を、同目録記載の条件で掲載せよ。 第2 事案の概要1 本件本訴は、一審原告が、一審被告DHCが制作し、一審被告Aが司会を務めた原判決別紙番組目録記載1及び2の各テレビ番組(以下、順に「本件番組1」、「本件番組2」といい、これらを併せて「本件各番組」という。なお、- 2 - これらは放送された番組の一部分であるが、当該番組全体を指して「本件番組1」などということがある。)によって一審原告の名誉が毀損されたとした上、一審被告DHC及び一審被告A(以下「一審被告ら」という。)は上記名誉毀損による損害について共同不法行為責任を負うと主張して、①一審被告らに対し、不 。)によって一審原告の名誉が毀損されたとした上、一審被告DHC及び一審被告A(以下「一審被告ら」という。)は上記名誉毀損による損害について共同不法行為責任を負うと主張して、①一審被告らに対し、不法行為による損害賠償として、慰謝料と弁護士費用の合計1100万円及びこれに対する一連の不法行為が終了した日である平成29年1月9日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めるとともに、②一審被告DHCに対し、人格権に基づく差止請求として本件各番組の公表の禁止及びウェブサイトからの削除を求め、これが認められない場合は、民法723条所定の名誉回復処分として原判決別紙謝罪文目録1記載の謝罪文の掲載を求め、③一審被告Aに対し、上記名誉回復処分として同目録2記載の謝罪文の掲載を求める事案である。 本件反訴は、一審被告Aが、一審原告による本件各番組への抗議等のための記者会見における言動が一審被告Aの名誉を毀損し、また、一審被告Aに対する本訴の提起が違法であり、これらを含む一連の行為が不法行為を構成すると主張して、一審原告に対し、不法行為による損害賠償として、無形損害等の合計2700万円の一部2200万円及びこれに対する一連の不法行為が終了した後の日である平成30年8月24日から支払済みまで上記年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 原審は、一審原告の本訴請求を、一審被告DHCに対し550万円及びこれに対する遅延損害金の支払と謝罪文の掲載を求める限度で認容し、一審被告DHCに対するその余の請求及び一審被告Aに対する請求をいずれも棄却するとともに、一審被告Aの反訴請求を棄却したので、一審被告DHCが敗訴部分を不服として、一審被告Aが反訴請求に係る部分を不服として、 HCに対するその余の請求及び一審被告Aに対する請求をいずれも棄却するとともに、一審被告Aの反訴請求を棄却したので、一審被告DHCが敗訴部分を不服として、一審被告Aが反訴請求に係る部分を不服として、一審原告が一審被告Aに対する本訴請求に係る部分を不服として、それぞれ控訴した。したが- 3 - って、一審被告DHCに対する本訴請求のうち一審原告の敗訴部分は、当審の審理の対象にならない。また、一審原告は、一審被告Aに対する損害賠償請求に係る不服申立ての範囲を550万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める部分に限定した。 3 前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張は、次のとおり補正するほかは、原判決「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の1から3まで(原判決4頁2行目から22頁10行目まで。別紙を含む。ただし、2の⑷及び3の⑷を除く。)に記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑴ 原判決5頁8行目の「本件番組1は、」の次に「「マスコミが報道しない真実」として、」を加え、9行目の「ヘリパッド建設反対運動」の次に「(以下、単に「反対運動」ということもある。)」を加える。 ⑵ 原判決8頁21行目の次に改行して次のとおり加える。 「 VTR部分において、反対運動の参加者が行う有形力の行使たる「暴力」の内容は、主として道路への座り込みを含む道路上の往来妨害という形で行われていることが示されており、「過激(派)」、「襲撃される」といった表現も、至近距離で罵声を浴びせる行為や威嚇行為、道路封鎖を行うことを指し、「テロリスト」という表現も救急車に対する往来妨害を指している。また、テロップで表示された「反対運動を煽動する黒幕」とは、取材によってもその実態が明らかにならない存在を指しており、一般視聴者が、反対運動の前面に姿を現して活動す 車に対する往来妨害を指している。また、テロップで表示された「反対運動を煽動する黒幕」とは、取材によってもその実態が明らかにならない存在を指しており、一般視聴者が、反対運動の前面に姿を現して活動する人物として紹介されている一審原告を「黒幕」と捉えることはあり得ない。」⑶ 原判決8頁24行目の次に改行して次のとおり加える。 「 本件番組2では一審原告の氏名は出ていない。本件番組1を視聴した一般の視聴者が、1週間後の本件番組2においてBの名称が出たことによって、本件番組1で放映された一審原告の氏名及び情報を想起し、これと関連付けて本件番組2を視聴することはおよそ考え難い。」- 4 - ⑷ 原判決9頁8行目の「本件各番組は」を「本件番組1では、一審原告については、特派員への交通費5万円の支給活動を通じて、反対運動を秘密裏に煽動している存在と何らかの関係性を持っている可能性があると摘示するにすぎず、本件番組2は」に改める。 ⑸ 原判決11頁16行目末尾に「一審被告Aは、VTR部分において反対運動の参加者が「後先考えず犯罪行為を繰り返す」「からくり」として5万円で雇われているという構造を描いていることを認識しながら、上記5万円の拠出者を問いかけ、故意又は過失により名誉毀損の結果を招来する質問をしたから、上記質問に対しCが一審原告の名前を挙げて一審原告の名誉を毀損したことにつき責任を負う。」を加える。 ⑹ 原判決11頁22行目の「構成する。」の次に「一審被告Aは、本件番組2において、一審原告に対する名誉毀損の結果を払拭せず、本件番組1の内容を肯定する態度に終始したから、本件番組2による一審原告に対する名誉毀損についても責任を負う。」を加える。 ⑺ 原判決14頁1行目及び2行目を次のとおり改める。 「 本件各番組は、原判決の言渡 容を肯定する態度に終始したから、本件番組2による一審原告に対する名誉毀損についても責任を負う。」を加える。 ⑺ 原判決14頁1行目及び2行目を次のとおり改める。 「 本件各番組は、原判決の言渡し後もインターネット上で公表され続けており、一審原告の損害は拡大し続けている。その内容は、在日韓国人に対する人種差別的な憎悪と敵意を扇動するものであり、一審原告は差別的な表現による非難や罵声を浴びている。」⑻ 原判決14頁8行目末尾に「一審被告DHCは、本件番組1に寄せられた批判や一審原告の主張も含めて、1時間以上に及ぶ検証番組を放映しており、視聴者に判断材料を提供しているから、仮に本件番組1により名誉毀損が認められたとしても、その損害は相当程度軽減されている。」を加える。 ⑼ 原判決17頁13行目の次に改行して次のとおり加える。 「 いわゆる対抗言論の法理を適用して違法性が阻却されるには、自己の正当な利益を擁護するためやむを得ない言動であることが要件であり、少な- 5 - くとも真実を述べることが必要であるが、一審原告の発言等は、虚偽の事実を摘示して一審被告Aを誹謗中傷するものである。そもそも、一審被告Aは一審原告の名誉を毀損する発言を一切していないのであるから、対抗言論の法理の適用の前提を欠く。」⑽ 原判決21頁5行目の次に改行して次のとおり加える。 「 一審原告の一審被告Aに対する言論は、「反対運動の参加者が暴力を振るっている」、「反対運動の参加者が記者を拘束する」という内容を虚偽であると批判して、反対運動における暴力や犯罪行為の存在を前提とする本件各番組における摘示事実を否定するものである。テレビ番組は製作者と出演者の協働によって成り立つから、テレビ番組による名誉毀損に対してその出演者に対する反 における暴力や犯罪行為の存在を前提とする本件各番組における摘示事実を否定するものである。テレビ番組は製作者と出演者の協働によって成り立つから、テレビ番組による名誉毀損に対してその出演者に対する反撃の言論も対抗言論の法理の範疇である。」第3 当裁判所の判断1 当裁判所も、一審原告の一審被告DHCに対する本訴請求のうち、損害賠償として550万円及びこれに対する遅延損害金の支払並びに原判決別紙謝罪文目録3記載の謝罪文の掲載を求める部分は理由があり、一審原告の一審被告Aに対する本訴請求及び一審被告Aの反訴請求はいずれも理由がないものと判断する。その理由は、次のとおり補正するほかは、原判決「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」の1から6まで(原判決22頁12行目から50頁4行目まで。ただし、4を除く。)に記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑴ 原判決23頁17行目の「さらに、」を「そして、04:03から05:50の場面で、普天間基地とキャンプ・シュワブにおける基地反対運動の様子を紹介し、これらの活動家がaのヘリパッド建設現場に集結し、aが緊迫した状態になっているという趣旨のナレーション等を挟んだ上、」に改める。 ⑵ 原判決24頁4行目の「一般の視聴者に」から7行目末尾までを「aのヘリパッド建設現場において、建設阻止のために公道の通行を妨害するほか、- 6 - 警察官や防衛局職員の身体に殊更に危険性の高い暴力や犯罪行為を加えるような過激な反対運動が行われており、地元住民や記者も襲撃を危惧して近づけない状況であるとの事実を摘示するものといえる。」に改める。 ⑶ 原判決26頁4行目の「「B」という組織が」の次に「地元の沖縄以外から」を加える。 ⑷ 原判決26頁10行目の「原告と」から12行目の「印象を与 実を摘示するものといえる。」に改める。 ⑶ 原判決26頁4行目の「「B」という組織が」の次に「地元の沖縄以外から」を加える。 ⑷ 原判決26頁10行目の「原告と」から12行目の「印象を与えた上で」までを「一審原告が中心となって活動する組織であり」に改め、13行目から14行目にかけての「原資となっているとの印象」を「原資となっており、一審原告が中心となって、豊富な資金力を背景にして上記の過激な反対運動の参加者を組織的に雇って動員しているとの印象」に改める。 ⑸ 原判決26頁16行目の「そそのかし」から19行目末尾までを「煽動している人物であり、その人物が一審原告であるとの印象を一般視聴者に与えるものである。」に改める。 ⑹ 原判決26頁20行目から27頁1行目までを次のとおり改める。 「以上のような本件番組1の内容を総合すると、本件番組1は、aのヘリパッド建設現場において、建設阻止のために公道の通行を妨害するほか、警察官や防衛局職員の身体に殊更に危険性の高い暴力や犯罪行為を加えるような過激な反対運動が行われており、地元住民や記者も襲撃を危惧して近づけない状況であるとの事実を摘示した上、一審原告が、そのような暴力や犯罪行為を含む過激な反対運動に関し、「B」を通じて豊富な資金力を背景にして地元の沖縄以外から参加者を組織的に雇って動員し、これを煽動しているとの事実を摘示するものであると認めることができる(以下、これらの摘示事実を「本件摘示事実」という。)。 この点、一審被告らは、本件番組1において、反対運動の参加者が行う暴力や犯罪行為の内容は、主として道路への座り込みを含む道路上の往来妨害という形で行われていることが示されており、「過激(派)」、- 7 - 「襲撃される」といった表現も、至近 の参加者が行う暴力や犯罪行為の内容は、主として道路への座り込みを含む道路上の往来妨害という形で行われていることが示されており、「過激(派)」、- 7 - 「襲撃される」といった表現も、至近距離で罵声を浴びせる行為や威嚇行為、道路封鎖を行うことを指し、「テロリスト」という表現も救急車に対する往来妨害を指すとした上、「反対運動を煽動する黒幕」とは、取材によってもその実態が明らかにならない存在を指しており、一般視聴者が一審原告を「黒幕」と捉えることはあり得ないなどと主張する。 しかし、上記のとおり、VTR部分において、反対運動の参加者が直接警察官や防衛局職員の身体に暴力を加える映像こそ含まれていないとはいえ、Dがインタビューをした地元住民が「防衛局、機動隊の人が暴力を振るわれている」(7:56)と発言している上、その直後にこれをテロリストになぞらえる(08:06、08:07)など、出演者の発言やナレーション、テロップの表示により、aのヘリパッド建設現場における反対運動の過激性、危険性が繰り返し強調されていること、これを受けたスタジオ収録部分でも、Dが「カメラを向けると凶暴化する、襲撃される」(10:57)、「地元の人でもああやって襲撃されて」(12:00)といった発言をしていることに照らすと、本件番組1を通じて一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方を基準とすれば、aのヘリパッド建設現場において行われている過激な反対運動は、建設阻止のために公道の通行を妨害するにとどまらず、警察官や防衛局職員の身体に殊更に危険性の高い暴力や犯罪行為を加えられるおそれがあると認識されるものであり、地元住民や記者も襲撃を危惧して近づけない状況にあるといった事実を摘示するものと認めるのが相当である。 また、上記のとおり、スタジオ収録部分において、Cが れるおそれがあると認識されるものであり、地元住民や記者も襲撃を危惧して近づけない状況にあるといった事実を摘示するものと認めるのが相当である。 また、上記のとおり、スタジオ収録部分において、Cが、Bが交通費5万円を支給してaに特派員を派遣することが記載された本件チラシを話題に挙げ、一審原告について、「BのEさん」と表現して、反原発、反ヘイトスピーチを職業的にやってきて、今は沖縄に行っていると発言し、「『B』“E”は何者?」、「反原発、反ヘイトスピーチ、基地建- 8 - 設反対など…職業的に行っている?」とのテロップが表示されたのに続いて、他の出演者が上記交通費5万円の財源や拠出者を問う発言をした際に、「反対運動を煽動する黒幕の正体は?」とのテロップが表示されていること(15:30~15:35)に照らすと、「反対運動を煽動する黒幕」は上記交通費5万円の拠出者を指すものと理解される。そして、CM等を挟んだ後、一審被告Aが、改めて上記交通費5万円について、「5万円日当出すなんて」として「これは誰が出しているの」と問いかけ、Dが「本当にわからない」としつつ、Bが東京でやっているなどと発言した直後に、Cが再び一審原告の個人名を挙げて「お金がガンガンガンガン集まってくる」と発言し、「『B』“E”は差別と戦うスペシャリスト」とのテロップが表示されていること(19:11~19:39)に照らすと、一審原告が上記交通費5万円の拠出者であると理解される。そうすると、本件番組1を通じて一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方を基準にすれば、一審原告が上記交通費5万円の拠出者であって「反対運動を煽動する黒幕」であると認識されるものというべきであり、一審原告が、上記のような過激な反対運動に関し、「B」を通じて豊富な資金力を背景にして地元の沖縄以外から参 費5万円の拠出者であって「反対運動を煽動する黒幕」であると認識されるものというべきであり、一審原告が、上記のような過激な反対運動に関し、「B」を通じて豊富な資金力を背景にして地元の沖縄以外から参加者を組織的に雇って動員し、これを煽動しているとの事実を摘示するものと認めるのが相当である。 他に一審被告らの主張する事情を踏まえても、上記の認定を覆すに足りるものはない。」⑺ 原判決27頁24行目の「暴力を含む」を「警察官や防衛局職員の身体に対する殊更に危険性の高い暴力や」に改め、25行目の「と一体化した」を「の中心となって活動する」に改める。 ⑻ 原判決28頁5行目の「原告が」から7行目の「事実」までを「本件摘示事実」に改める。 - 9 - ⑼ 原判決28頁19行目の「、原告が」から21行目の「事実」までを「本件摘示事実」に改める。 ⑽ 原判決29頁19行目から20行目にかけての「これを煽っていることは真実であると主張する。」を「これを煽っているのであり、本件摘示事実は真実である旨主張する。」に改める。 ⑾ 原判決32頁16行目から34頁3行目までを次のとおり改める。 「 しかしながら、これらの事実をもってしても、本件摘示事実が真実であると認めることはできない。すなわち、一審被告DHCが真実であると主張する一審原告が煽っているとする反対運動について、本件各番組は、aのヘリパッド建設現場において、建設阻止のために公道の通行を妨害するほか、警察官や防衛局職員の身体に殊更に危険性の高い暴力や犯罪行為を加えるような過激な反対運動が行われており、地元住民や記者も襲撃を危惧して近づけない状況であるとの事実(本件摘示事実)を摘示している。 これに対し、一審原告やBがFやGの起こした傷害事件に関与していたことを認めるに足りる証拠は 行われており、地元住民や記者も襲撃を危惧して近づけない状況であるとの事実(本件摘示事実)を摘示している。 これに対し、一審原告やBがFやGの起こした傷害事件に関与していたことを認めるに足りる証拠はなく、上記集会における「非暴力とは無抵抗ではないんです。知恵を使って戦うということです。」との一審原告の発言からは、一審原告が基本的に非暴力による抵抗運動を志向していることがうかがえる。一審原告は、上記集会において、道路に座り込んで工事車両の通行を妨害する行為を呼び掛けており、その限度では実力行使の抵抗方法をも容認していることは否定し難いが、本件各番組では、「過激(派)」、「襲撃」、「警察でも手に負えない」、「テロリスト」といった表現を用いて、上記のとおり、aのヘリパッド建設現場において、公道の通行を妨害するにとどまらず、警察官や防衛局職員の身体に殊更に危険性の高い暴力や犯罪行為を加えるような過激な反対運動が行われているとの事実を摘示しているのであって、一審原告が上記集会で呼び掛けた抵抗方法は、本件各番組の摘示する暴力や犯罪行為とは異質のものというべきである。 - 10 - また、Bが往復の飛行機代相当額として5万円を支給してaに特派員を派遣したのは、飽くまでaのヘリパッド建設現場における反対運動の現状を発信してもらうことに主たる目的があるものと認められる上、派遣した特派員の人数は16人にとどまっており、その報告内容(丙7)に照らしても、上記特派員の派遣により、一審原告が、豊富な資金力を背景にして地元の沖縄以外から参加者を組織的に雇って動員し、反対運動を煽動している(本件摘示事実)とは認められない。 以上のほか、前記の事実を踏まえて本件全証拠をみても、本件摘示事実の重要な部分の真実性が証明されているとは認め難い。」⑿ 原判 員し、反対運動を煽動している(本件摘示事実)とは認められない。 以上のほか、前記の事実を踏まえて本件全証拠をみても、本件摘示事実の重要な部分の真実性が証明されているとは認め難い。」⑿ 原判決37頁22行目の次に改行して次のとおり加える。 「エ さらに、一審原告は、一審被告AがVTR部分において反対運動の参加者が「後先考えず犯罪行為を繰り返す」「からくり」として5万円で雇われているという構造を描いていることを認識しながら、上記5万円の拠出者を問いかけ、故意又は過失により名誉毀損の結果を招来する質問をしたとして、上記質問に対しCが一審原告の名前を挙げて一審原告の名誉を毀損したことにつき責任を負うと主張する。 しかし、前記イのとおり、一審被告Aは、本件番組1の収録時点で各出演者がどのような発言をするかを具体的に把握しておらず、各出演者の発言に合わせてどのようなテロップが付されるかも知り得ないのであり、VTR部分の内容を踏まえても、本件チラシに記載されたaに派遣する特派員に支給される交通費5万円の拠出者は誰かと問いかけることが、名誉毀損の結果を招来することを認識し得たということは困難であるから、一審原告の上記主張は採用できない。」⒀ 原判決37頁23行目の次に改行して次のとおり加え、24行目冒頭に「しかし、」を加える。 「 一審原告は、一審被告Aが本件番組2についても番組司会者としての上- 11 - 記注意義務に反したとした上、一審原告に対する名誉毀損の結果を払拭せず、本件番組1の内容を肯定する態度に終始したとして、本件番組2による一審原告に対する名誉毀損についても責任を負うと主張する。」⒁ 原判決38頁14行目の「本件各番組の」から18行目の「照らすと、」までを「本件摘示事実は、一審原告が、aのヘリパッド建設現場にお る一審原告に対する名誉毀損についても責任を負うと主張する。」⒁ 原判決38頁14行目の「本件各番組の」から18行目の「照らすと、」までを「本件摘示事実は、一審原告が、aのヘリパッド建設現場における、公道の通行を妨害するほか警察官や防衛局職員の身体に殊更に危険性の高い暴力や犯罪行為が加えられるような過激な反対運動に関し、参加者を組織的に雇って動員し、これを煽動しているというものであり、」に改める。 ⒂ 原判決38頁25行目の「Bすなわち原告」を「一審原告」に改める。 ⒃ 原判決39頁3行目の「(甲4、弁論の全趣旨)」の次に「に加えて、本件番組1では、Cが一審原告について「在日韓国・朝鮮人の差別ということに関して戦ってきた中では、カリスマなんですよ。」(19:39)と発言した直後に、他の出演者が「韓国がそうやって沖縄にこだわるのは何で。」(19:50)、「親北派ですから。韓国の中にも北朝鮮が大好きな人がいる。」(20:00)と発言し、それぞれ「韓国人はなぜ反対運動に参加する?」、「親北派のため、米軍基地の建設を妨害している」とのテロップが表示されており、在日朝鮮人である一審原告の出自に着目した誹謗中傷を招きかねない構成になっていること」を加える。 ⒄ 原判決39頁5行目末尾に「なお、一審被告DHCは、本件番組1について1時間以上に及ぶ検証番組を放映しており、視聴者に判断材料を提供しているから、仮に名誉毀損が認められたとしても、その損害は相当程度軽減されていると主張するが、当該検証番組(甲3の3、乙33の1・2)をみても、全体として本件番組1の内容の正当性を主張する内容であって、一審原告の上記損害を軽減するものとは到底認め難い。」を加える。 ⒅ 原判決41頁25行目から42頁4行目までを削る。 ⒆ 原判決42頁5行目の「この点に鑑 1の内容の正当性を主張する内容であって、一審原告の上記損害を軽減するものとは到底認め難い。」を加える。 ⒅ 原判決41頁25行目から42頁4行目までを削る。 ⒆ 原判決42頁5行目の「この点に鑑みると」を「しかしながら、司会者の- 12 - 実際の役割や番組制作への関わり方は番組によって様々であると考えられるところ、当時東京新聞及び中日新聞の論説副主幹を務めていた一審被告Aの社会的地位(前提事実⑴ウ)や、本件各番組における一審被告Aの進行役としての言動等に照らすと」に改め、7行目の「認識していたものと考え」を「認識していたものと考えたとしても直ちに不合理であると断じることはできず」に改め、9行目の「原告の主張」から12行目の「認められず、」までを削る。 ⒇ 原判決42頁14行目の次に改行して次のとおり加える。 「エ さらに、一審被告Aは、一審原告が一審被告Aの雇用主であった中日新聞社に代わって一審被告Aを処分することを意図して、一審被告Aが同社を円満退社したことへの腹いせ、反ヘイト等の活動に不都合な言論の抑圧、一審被告Aを言論の場から徹底的に排除することなどの目的であえて本訴を提起したとして、裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くというべきであると主張する。 確かに、一審原告は、中日新聞社が一審被告Aを処分すべきであると考えており、一審被告Aが処分を受けることなく同社を退職したことに対する不満を表していたことが認められるが(前提事実⑶オ)、一審原告において、一審被告Aに対する本訴請求が事実的、法律的根拠を欠くものであることを認識し、又はこれを容易に認識し得たにもかかわらず、あえて本訴を提起したものとは認められないことは前記イ及びウで説示したとおりであって、一審被告Aの上記主張は採用できない。」原判 のであることを認識し、又はこれを容易に認識し得たにもかかわらず、あえて本訴を提起したものとは認められないことは前記イ及びウで説示したとおりであって、一審被告Aの上記主張は採用できない。」原判決43頁10行目から44頁4行目までを次のとおり改める。 「中日新聞社宛て抗議文(丙12)についてa 記載Ⅰ-①(Ⅱ-①)について同記載部分は、一審被告Aが「反対運動の参加者が報道機関の記者に暴力を振るっている」との虚偽の情報を流布する発言をしたという- 13 - ものであるが、これは、一審被告Aが東京新聞及び中日新聞の論説副主幹の肩書で本件各番組に出演したことに対する抗議文の中の記載であり、同抗議文の全体の趣旨や文脈に照らすと、一審被告Aが本件各番組において「反対運動の参加者が報道機関の記者に暴力を振るっている」という趣旨の発言をしたことを前提として、これが虚偽の情報を流布したものであるとの一審原告の意見ないし論評をいうものと解するのが相当である。 b 記載Ⅰ-②(Ⅱ-②)について同記載部分は、「aの現場では記者が拘束されてしまうので取材ができない」との一審被告Aの発言によれば「御社の一連の記事は、aの現場に立ち入ることなく、また、反対運動の参加者への取材をすることなく書かれたものと解釈するほかなくなります」などと述べるものであるが、これは、中日新聞社としては、実際にはaの現場に立ち入り、反対運動への参加者への取材をしているはずであるという意味であり、一審被告Aの上記発言が虚偽であることを修辞的に表現したものと解されるから、記載Ⅰ-①と同様に、一審被告Aが本件各番組において「aの現場では記者が拘束されてしまうので取材ができない」という趣旨の発言をしたことを前提として、これが虚偽の情報を流布 現したものと解されるから、記載Ⅰ-①と同様に、一審被告Aが本件各番組において「aの現場では記者が拘束されてしまうので取材ができない」という趣旨の発言をしたことを前提として、これが虚偽の情報を流布したものであるとの一審原告の意見ないし論評をいうものと解するのが相当である。 c この点、一審被告Aは、当該情報が虚偽であるか否かは証拠をもってその存否を決することが可能であるとして、上記各記載部分は一審被告Aが虚偽の情報を流布したとの事実を摘示するものである旨主張するが、上記抗議文の全体の趣旨や文脈に照らせば、上記各記載部分は、沖縄における基地建設反対運動を支援する一審原告の立場から、本件各番組における一審被告Aの言動を非難する趣旨であり、虚偽で- 14 - あるとの点は一審原告の見解であると理解できるから、上記主張は採用できない。」原判決44頁9行目の「示されてはいないものの、」の次に「同日の記者会見は、本件各番組について東京メトロポリタンテレビが一審原告に謝罪したことを受けて開催したものであること(前提事実⑶オ)、」を加える。 原判決44頁13行目の「発言をしたという事実が摘示されて」を「発言をしたと記載されて」に改め、20行目の「そして」から22行目末尾までを「そして、これは、前記の抗議文と同様に、一審被告Aが本件各番組において「反対運動の参加者が報道機関の記者に暴力を振るっている」という趣旨の発言をしたことを前提として、これが「デマ」すなわち虚偽の情報を流布したものであるとの一審原告の意見ないし論評をいうものと解するのが相当である。」に改める。 原判決45頁6行目の「同発言部分は」から8行目末尾までを「同発言部分も、一審被告Aが本件各番組において「反対運動の参加者が報道機関の記者に暴力を振るっている」 るのが相当である。」に改める。 原判決45頁6行目の「同発言部分は」から8行目末尾までを「同発言部分も、一審被告Aが本件各番組において「反対運動の参加者が報道機関の記者に暴力を振るっている」という趣旨の発言をしたことを前提として、これが虚偽の情報を流布したものであるとの一審原告の意見ないし論評をいうものと解するのが相当である。」に改める。 原判決46頁10行目の「との」から11行目の「事実」までを削り、13行目及び18行目の各「事実を摘示したこと」を「意見ないし論評を表明したこと」に改める。 原判決46頁21行目から49頁4行目までを次のとおり改める。 「オ 違法性阻却事由についてある事実を基礎としての意見ないし論評の表明による名誉毀損にあっては、その行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあった場合に、当該意見ないし論評の前提としている事実が重要な部分について真実であることの証明があったと- 15 - きには、人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したものでない限り、同行為は違法性を欠き、仮に上記の証明がないときにも、行為者において同事実を真実と信ずるについて相当の理由がある場合であれば、その故意又は過失は否定されると解するのが相当である(最高裁昭和55年(オ)第1188号同62年4月24日第二小法廷判決・民集41巻3号490頁、最高裁昭和60年(オ)第1274号平成元年12月21日第一小法廷判決・民集43巻12号2252頁、最高裁平成6年(オ)第978号同9年9月9日第三小法廷判決・民集51巻8号3804頁参照)。 前記前提事実⑶ウ及びオによれば、中日新聞社宛て抗議文(丙12)及び平成30年7月20日記者会見は、本件各番組においてジャーナリストである一審被告 小法廷判決・民集51巻8号3804頁参照)。 前記前提事実⑶ウ及びオによれば、中日新聞社宛て抗議文(丙12)及び平成30年7月20日記者会見は、本件各番組においてジャーナリストである一審被告Aが沖縄の米軍基地建設反対運動について事実と異なる情報を流布したとして、その不当性を訴えるものであり、その表現行為は、公共の利害に関する事実に係り、かつ、専ら公益を図る目的があると認めることができる。 一審被告Aは、本件各番組において、東京新聞・中日新聞論説副主幹の肩書を示して司会者を務め(甲3の1・2、乙1、2)、番組を進行させる中心的役割を果たしている上、本件番組2では、本件摘示事実を含む本件番組1の内容を受けて、自ら「是非あのトンネルの向こう側に行って頂いて、もうボカスカ殴られるんであってもなんでもとにかくね、やって、あのトンネルの向こう側を見たかったな。」(07:46)と発言している。その直前のDの「私がbのトンネルの手前で引き返したと。そこから30分ほど行ったところに実はaのヘリパッド基地があるんですけども。なぜそこに行けなかったかというと、やっぱりいろんな人から「やめなさい」と。」との発言や「現地の被害者から『今は危険過ぎるから行くな!』と言われて引き返したあの- 16 - トンネルの向こう側」とのテロップ(06:22)等を踏まえ、一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方を基準とすれば、一審被告Aの上記発言は、bトンネルの向こう側のaのヘリパッド建設現場付近では、反対運動の参加者が暴力を振るうため報道機関の記者も近づけない状況であるとの他人の発言に同調して、これを黙示的な前提事実として、それでも行って取材してきて欲しかったという趣旨の発言であったと理解される。 そうすると、前記イで説示した一審原告の意見ないし論評の前提 あるとの他人の発言に同調して、これを黙示的な前提事実として、それでも行って取材してきて欲しかったという趣旨の発言であったと理解される。 そうすると、前記イで説示した一審原告の意見ないし論評の前提としている事実、すなわち一審被告Aが本件各番組において「反対運動の参加者が報道機関の記者に暴力を振るっている」、「aの現場では記者が拘束されてしまうので取材ができない」という趣旨の発言をしたとの事実は、そのような他人の発言に同調して、これを黙示的な前提事実として自らの発言をしたという意味において、重要な部分で真実であると認めることができるのであり、少なくとも、真実であると信じることにつき相当の理由があると認めることができる。 そして、前記1のとおり本件各番組により一審原告の名誉が毀損されたと認められることを考慮すると、一審被告Aが上記名誉毀損について不法行為責任を負わないことを踏まえても、一審原告において、一審被告Aが虚偽の事実を流布した、デマを広めたと非難したことについては、「社員が毒菓子を出し」という修辞的表現を用いたことが相当であるかについては疑問があり得るものの、そのような表現を含め、意見ないし論評としての域を逸脱したものとはいえない。 カ 以上によれば、前記イの一審原告による抗議文の公表及び記者会見における発言による一審被告Aに対する名誉毀損については、違法性が阻却され、一審原告は不法行為責任を負わないというべきである。」2 その他、各当事者が種々主張する点を考慮しても、以上の認定、判断を左右- 17 - するものはない。 第4 結論よって、原判決は相当であり、本件各控訴はいずれも理由がないから、これらを棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第2民事部 裁判長裁判官 第4 結論よって、原判決は相当であり、本件各控訴はいずれも理由がないから、これらを棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第2民事部 裁判長裁判官 渡部勇次 裁判官 湯川克彦 裁判官 澤田久文
▼ クリックして全文を表示