主文 1 本件控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実及び理由 (略語は,原判決に準じる。)第1 当事者の求めた裁判 1 控訴人ら(1) 原判決を取り消す。 (2) 本件を名古屋地方裁判所へ差し戻す。 2 被控訴人ら主文同旨第2 事案の概要 1 本件は,(愛知県海部郡)大治町の住民である控訴人らが,同町の町長及び職員である被控訴人らに対し,地方自治法242条の2第1項3号に基づき,同町内の里道(本件土地四),同町所有の宅地である地蔵堂敷地(本件土地三),墓地(本件土地二)及び用悪水路(本件土地一)並びに本件土地四の東に隣接し,町道敷地とされている私有地(本件土地八ないし一〇。以下それぞれを,単に,「里道」,「地蔵堂敷地」,「墓地」,「用悪水路」,「隣接私有道路敷地」ともいう。)につき,財産の管理を違法に怠る事実があるとしてその確認を求めた住民訴訟であるところ,原審が,本件土地四(里道)及びこれに隣接する本件土地八ないし一〇(隣接私有道路敷地)は住民訴訟の対象となる大治町の財産ではなく,本件土地一ないし三(用悪水路,墓地,地蔵堂敷地)については隣接地等との間に境界の争いが生じるおそれがなく,これを確定するなどして管理することはその財産的価値に影響せず,財務会計上の行為とはいえないから,控訴人ら主張の事実は財産の管理を怠る事実に該当しない等との理由で,控訴人らの訴えをいずれも不適法であるとして却下したので,控訴人らがこれを不服として控訴した事案である。控訴人らは,当審において,本件土地八ないし一〇(隣接私有道路敷地)については,その財産管理を怠るとの主張はしないと釈明し(第1回口頭弁論期日において陳述された準備書面(4)の2頁),同各土地の管理を怠ることを理由とする請求部分(請求の趣旨一 (隣接私有道路敷地)については,その財産管理を怠るとの主張はしないと釈明し(第1回口頭弁論期日において陳述された準備書面(4)の2頁),同各土地の管理を怠ることを理由とする請求部分(請求の趣旨一1の一部)を撤回した。 2 控訴人らが,被控訴人らにおいて財産の管理を怠っていると指摘する点は,「56津土第10-60号」(昭和56年3月3日現地調査,昭和60年10月15日境界確認)によって確認された官民境界線のうち,本件土地四(里道)とその東の隣接私有道路敷地(本件土地八ないし一〇。いずれも後記のとおり分筆されている。)との境界(以下「本件境界線①」という。)が,その南端において,本件土地三(地蔵堂敷地)と本件土地四(里道)との境界線(以下「本件境界線②」という。)とほぼ直線で繋がるところ,昭和30年ころに上記里道が拡幅された際に地蔵堂敷地が東へ4mないし5m前後移動されたことから,本件境界線②及びこれに繋がる本件境界線①も4m前後東へ移動したことが明らかだとの主張を前提とし,本件土地二(墓地)とこれを取り囲む本件土地五ないし七の位置関係及び本件土地四(里道)と本件土地三(地蔵堂敷地)あるいは本件土地八ないし一〇(隣接私有道路敷地)との位置関係並びに本件土地一(用悪水路)の東西端が不明になっているとして,被控訴人らにおいて,本件土地一ないし四について正しい境界確認協議等をすること及び原状回復をすることをいずれも違法に怠っているというものである。 3 控訴人らの請求の趣旨は,次のとおり改めるほかは,原判決「事実及び理由」の第一のとおりであるからこれを引用する。 原判決4頁3行目,6行目及び9行目の各「愛知県知事」を「建設省所管国有財産部局長愛知県知事」と,5行目から6行目にかけて及び8行目から9行目にかけての各「建設部長A」を「建設部長B を引用する。 原判決4頁3行目,6行目及び9行目の各「愛知県知事」を「建設省所管国有財産部局長愛知県知事」と,5行目から6行目にかけて及び8行目から9行目にかけての各「建設部長A」を「建設部長B」と,5頁2行目の「福祉部長C」を「福祉部長D」とそれぞれ改める。 4 前提事実(争いのない事実及び証拠により容易に認定できる事実)並びに争点(本案前の抗弁に関する当事者の主張)は,次のとおり改めるほかは,原判決「事実及び理由」の第二の一,二のとおりであるからこれを引用する。 (1) 原判決7頁5行目末尾に次を加える。 「なお,いずれも昭和56年4月3日,本件土地八及び同所在710番1が同所在イ710番から,本件土地九が同所在711番から,本件土地一〇及び同所在712番9が同所在712番1からそれぞれ分筆され,平成元年5月30日,本件土地七が同所在711番1から分筆され,平成5年7月26日,本件土地五及び本件土地六が同所在710番1から分筆されたものである(甲19,20,22ないし25,以下いずれも,分筆の前後を問わず,単に「本件土地五」等として表示する。)。」(2) 原判決7頁11行目の「地積測量作業がなされている。」を「現地において境界の確認作業がなされた(甲58の2)。」と,「10頁6行目の「(二)」を「5(二)」とそれぞれ改め,13頁6行目の「なお、」から9行目までを削り,15頁5行目の「該当するから、」から6行目の「右財産の管理として、」までを「該当する。したがって大治町は,」と,17頁2行目の「決すべき事情である。」を「決すべきものである。」とそれぞれ改める。 第3 当裁判所の判断当裁判所も,控訴人らの本件訴えはいずれも不適法なものであって,却下すべきものと判断する。すなわち,①本件土地四(里道)は国有地で大治町は無償貸与を受 。」とそれぞれ改める。 第3 当裁判所の判断当裁判所も,控訴人らの本件訴えはいずれも不適法なものであって,却下すべきものと判断する。すなわち,①本件土地四(里道)は国有地で大治町は無償貸与を受けているに過ぎず,使用借権は住民訴訟の対象となる「財産」に該当しないから,同土地についての本件境界確認書再審査申入放置違法確認請求にかかる訴え(請求の趣旨一1)及び同土地の原状回復不作為違法確認請求にかかる訴え(同二4)は不適法であり,②控訴人ら主張の各境界(本件境界線①,②,本件土地二と本件土地五ないし七,本件土地一の東西端)については,これらにつき争いがあって町有地の財産的価値が脅かされているわけではなく,その境界確認協議をすることが財務会計上の行為に該当するということはできないから,上記各土地についての境界確認協議不作為違法確認請求にかかる訴え(請求の趣旨一2(一)及び(二),3並びに二1)は不適法であり,③控訴人らが本件土地二及び三の一部として原状回復を求める土地については,特定が不十分であると同時に,同二及び三が不法占拠されているなどその財産的価値が脅かされていることを認めるに至らず,その原状回復を図ることが財務会計上の行為に該当するということはできないから,これらの原状回復不作為違法確認請求にかかる訴え(請求の趣旨二2及び3)も不適法である。その理由は,控訴人らの当審での主張も踏まえ,次のとおり改めるほかは,原判決の「事実及び理由」の「第二当裁判所の判断」(但し,「第二」は「第三」の誤記と思われる。)のとおりであるからこれを引用する。 1 原判決を改める点(1) 原判決30頁8行目から9行目にかけての「請求の趣旨一1」を「請求の趣旨一1の本件土地四にかかる部分」と,31頁1行目の『「地上権』から11行目までを次のとおりそれぞ 1 原判決を改める点(1) 原判決30頁8行目から9行目にかけての「請求の趣旨一1」を「請求の趣旨一1の本件土地四にかかる部分」と,31頁1行目の『「地上権』から11行目までを次のとおりそれぞれ改める。 『「地上権,地役権,鉱業権その他これに準ずる権利」に該当するから境界確定の当事者たり得ると主張する。しかし,控訴人らは,本件土地八ないし一〇についてこれらの財産管理を怠るという主張はしないとするものであるから,その権利者として境界確定を求める地位があるとの主張は失当であるというほかない。この点はさて措き,本件土地八ないし一〇を承役地とする要役地が本件土地二又は三であるとしても,そのような通行地役権を設定したことを窺わせる証拠は全くないうえ,幅約1間,長さ約100mの本件土地八ないし一〇が里道に沿っている形状と本件土地二,三の位置関係(甲1)に鑑みると,控訴人ら主張のように,本件土地八ないし一〇が本件土地二,三を要役地とする承役地であるとは理解しがたい。また,本件土地四を要役地とするとしても,大治町は本件土地四(里道)には使用借権しかなく,これは通路であってこれを要役地とすることも通常考えられないもので,いずれにせよ,本件土地八ないし一〇について通行地役権が設定されたとは認められない。そして,控訴人ら主張の賃借権については,同主張によっても,本件土地八ないし一〇の所有者である自性院及びEに対し賃料を支払っている者は,その周辺に宅地等を所有する控訴人Fら10名ほどの地域住民であるというものであって大治町ではなく(甲66ないし69もこれに沿う。),大治町が同土地に対して賃借権を有するとはいえないうえ,仮に同町が賃借権を有するとしても,土地賃借権者としては隣接する本件土地四との間の境界確定を求める資格がなく,いずれにせよ控訴人らの上 う。),大治町が同土地に対して賃借権を有するとはいえないうえ,仮に同町が賃借権を有するとしても,土地賃借権者としては隣接する本件土地四との間の境界確定を求める資格がなく,いずれにせよ控訴人らの上記主張も失当である。』(2) 原判決36頁7行目の「実測の結果は本件境界確認書の測量結果とほぼ同一であった」を「実測の結果,本件土地二の実測面積において,また同土地と本件土地八との間に4mないし5mの間隔が存在する等の位置関係の点において,本件境界確認書の測量結果とほぼ同一であった」と改める。 (3) 原判決39頁4行目の「里道部分を」を「町道部分を」と,8行目の「そもそも」から10行目までを次のとおり,それぞれ改める。 「本件土地三の西側は,同土地に隣接する里道部分と共に,大治町が町道敷地として一体として占有管理しているものであり,第三者によって不法に占有されているわけではないから,その財産的価値が脅かされるおそれはない。上記のように一体として占有管理している状況を前提とすれば,控訴人らが当審で主張するように,国の占有代理人である同町の占有によって,本件土地三の町道敷地部分が国に時効取得されるおそれなるものは通常考えがたい。したがって,本件土地三の一部について原状回復を求めることは,財務会計上の行為に該当しない。」(4) 原判決40頁6行目の「認められる」を「解される」と,42頁1行目の「土地二の上の墓石を東側に移転し、跡地である」を「土地二が東側であるとして,同土地の一部である」と,3行目の「甲五四」を「甲54,55」と,5行目の「別件訴訟において、裁判所の採用するところではなかったこと」を「別件訴訟の1審判決において採用されず,同2審判決においては同主張に対する判断は示されず,上記1審判決の判断部分が改められることはなかったこと」 おいて、裁判所の採用するところではなかったこと」を「別件訴訟の1審判決において採用されず,同2審判決においては同主張に対する判断は示されず,上記1審判決の判断部分が改められることはなかったこと」と,43頁3行目の「原告らの主張によれば」から6行目の「原告らは何ら主張立証しないし、」までを「本件土地二の位置が町道拡幅に際して東側へ移動されたという事実を認めるに足りる的確な証拠はなく,」と,11行目の「位置であることについて確認されており、」を「位置であるとする測量図が作成されており,」とそれぞれ改める。 2 当審における主張等について(1) 控訴人らは,平成11年7月17日に施行された『地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律』により,機関委任事務制度が廃止され,従前機関委任事務とされていた事務は自治事務と法定受託事務に分けられ,現在,国有財産として取り扱われている赤道,水路等の法定外公共物を申請によって市町村へ譲与することとされたから,本件土地四(里道)も近い将来大治町において譲与の申請をし,同町の所有となるはずであるとして,同土地は住民訴訟の対象財産と解すべきであると主張する。 しかし,近い将来同町の所有に帰する予定であるというだけでは,未だ,同土地が同町の公有財産であるとすることはできないうえに,被控訴人らが反論するとおり,同法113条による改正後の国有財産特別措置法5条1項5号において,地方公共団体へ譲与することができると定める「道路の用に供されている土地」とは,道路法(昭和27年法律第180号)が適用される道路を除いた,いわゆる法定外公共物の赤道であるところ,本件土地四が町道の敷地となっていることは当事者間に争いがなく,道路法の適用を受ける道路であって,いわゆる法定外公共物の赤道でないことが明らかであるか いた,いわゆる法定外公共物の赤道であるところ,本件土地四が町道の敷地となっていることは当事者間に争いがなく,道路法の適用を受ける道路であって,いわゆる法定外公共物の赤道でないことが明らかであるから,同土地が近い将来同町の所有に帰する見込みもない。いずれにせよ,控訴人らのこの点の主張は失当である。 (2) 控訴人らは,昭和30年ころの町道拡幅に際して本件土地三の地蔵堂敷地が東へ4m余も移動し,これに伴って里道西側がその西側民有地により侵食された事実を立証するとして,同年前後の空中写真(甲70ないし72の各1,2)や公図を現地に当て嵌めた図面(甲81)などを提出したが,これらの証拠によっても,地蔵堂敷地の4m前後にも及ぶ移動とこれに伴う里道西側の侵食を認めることはできない。 第4 結論よって,その余について判断するまでもなく,本件訴えをいずれも不適法であるとして却下した原判決は相当であって,控訴人らの本件控訴はいずれも理由がないからこれらを棄却することとし,控訴費用の負担を定めて,主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判所民事第1部裁判長裁判官田村洋三裁判官小林克美裁判官戸田久
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