平成12(わ)1438 監禁,強盗,傷害,強盗致傷

裁判年月日・裁判所
平成14年4月16日 神戸地方裁判所
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判決文本文12,903 文字)

判決平成14年4月16日神戸地方裁判所平成12年(わ)第1438号,第1479号,1548号各監禁,強盗,傷害,強盗致傷被告事件 主文 被告人Aを懲役6年に,被告人B及び同Cをそれぞれ懲役5年に処する。 未決勾留日数中,被告人A及び同Bに対しては各410日を,被告人Cに対しては400日を,それぞれその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人3名は,第1 平成12年11月9日午前4時30分ころ,神戸市D区Ea丁目b番c号先路上において,W運転の普通乗用自動車(以下「ワゴンR」という。)を発見し,被告人Aにおいて,同車助手席にY(当時19歳)が乗車しているのを認め,同人が同被告人と交際中のWと肉体関係を持とうとしていると邪推して激高するや,暗黙のうちに意思を相通じて,Yに対し暴行を加えて痛めつけようと共謀の上,同所において,同人に対し,こもごも同人の顔面,腹部等を手拳で多数回殴打し,あるいは足蹴にする等の暴行を加え,次いで,同所から同市D区Fd番所在のP港第e突堤に向かう被告人C運転の普通乗用自動車(以下「アストロ」という。)内において,被告人Bにおいて,Yの顔面に頭突きする等の暴行を加え,さらに,同日午前4時45分ころから同日午前5時16分ころまでの間,前記第e突堤内資材置場付近において,被告人C及び同Bにおいて,Yの顔面,腹部等を多数回にわたり手拳で殴打し,あるいは足蹴にし,被告人Aにおいて,Yの頭部,顔面等を所携の鉄パイプで多数回殴打する等の暴行を加え,その後,被告人Cにおいて,前記一連の暴行により畏怖したYから金品を強取しようと企て,被告人Bも同Cの意図を察知して,両者間で暗 て,Yの頭部,顔面等を所携の鉄パイプで多数回殴打する等の暴行を加え,その後,被告人Cにおいて,前記一連の暴行により畏怖したYから金品を強取しようと企て,被告人Bも同Cの意図を察知して,両者間で暗黙のうちに意思を相通じて,被告人C及び同Bにおいて,Yに対し,その要求に応じなければその身体に更に危害を加える気勢を示して同人を脅迫し,その反抗を抑圧した上,同人から同人管理の運転免許証1通を強取し,さらに,被告人Cにおいて,Yに対し,「財布出せ。」と申し向けて同人所有の財布を取り上げてその中身を確認するや,被告人Aも同Cらの意図を察知し,ここに被告人3名間で暗黙のうちに意思を相通じて共謀の上,その要求に応じなければYの身体に更に危害を加える気勢を示して同人を脅迫し,その反抗を抑圧した上,同人から同人所有の現金1万9000円及び腕時計等2点(時価合計2万円相当)を強取し,さらに,被告人A及び同Bにおいて,同日午前9時ころ,同市G区HIf番地所在のJ荘の南方約50メートル先林道沿いにおいて,所携の木製バット(平成13年押第44号の5)でこもごも同人の臀部を数回殴打するなどの暴行を加え,よって,前記一連の暴行によりYに対し加療約28日間を要する頭部外傷,左頭頂部挫切創打撲,全身打撲,左眼窩骨折,頚椎捻挫,外傷性顎関節症の傷害を負わせた第2 Z(当時19歳。)から金品を強取することにつき,暗黙のうちに意思を相通じて共謀の上,同日午前5時50分ころから同日午前6時20分ころまでの間,前記第e突堤内資材置場付近において,被告人Aにおいて,所携の鉄パイプでZの頭部,顔面,背部等を多数回殴打し,被告人B及び同Cにおいて,Zの頭部,顔面,腹部,背部等を多数回にわたり手拳で殴打し,あるいは足蹴にする等の暴行を加え,その反抗を抑圧して,同人から現金約8000円及 部,顔面,背部等を多数回殴打し,被告人B及び同Cにおいて,Zの頭部,顔面,腹部,背部等を多数回にわたり手拳で殴打し,あるいは足蹴にする等の暴行を加え,その反抗を抑圧して,同人から現金約8000円及びブレスレット等2点(時価合計2万円相当)を強取し,さらに,被告人A及び同Bにおいて,同日午前9時ころ,前記J荘の南方約50メートル先林道沿いにおいて,Zの臀部を前記木製バットで数回殴打するなどの暴行を加え,よって,前記一連の暴行により同人に対し加療約28日間を要する頭部外傷,左第7肋骨骨折,鼻骨骨折,顔面挫創,頚椎捻挫打撲,全身打撲傷,両手挫創,外傷性顎関節症等の傷害を負わせた第3 同日午前4時40分ころ,前記神戸市D区Ea丁目b番c号先路上において,Yを監禁しようと企て,共謀の上,被告人Bにおいて,Yをアストロ後部座席に乗車させて同人の隣に座り,被告人Cにおいて,同車を発進させて,脱出を不可能な状態にして,同人を前記第e突堤まで連行し,同所資材置場付近において,被告人らの面前に同人を座らせる等して同人を監視し,引き続き,同日午前7時ころ,YとともにZを監禁しようと企て,共謀の上,前記第e突堤において,Y及びZをアストロ後部座席に乗車させ,被告人C及び同BをしてY及びZを監視させてその脱出を不可能な状態にして,被告人Cにおいて同車を発進させ,さらに,同日午前8時ころ,神戸市K区Lg番h号先路上において,被告人A運転の普通乗用自動車(以下「トヨタセレス」という。)にY及びZを乗り換えさせる等し,その間被告人3名においてそれぞれ同人らを監視する等し,その脱出を不可能な状態にして被告人Aにおいて同車を発進させて前記J荘の南方約50メートル先林道沿いまで同人らを連行し,同日午前9時30分ころ,同所においてY及びZを解放するまでの間,Yについては約 の脱出を不可能な状態にして被告人Aにおいて同車を発進させて前記J荘の南方約50メートル先林道沿いまで同人らを連行し,同日午前9時30分ころ,同所においてY及びZを解放するまでの間,Yについては約5時間にわたり,Zについては約2時間半にわたり,同人らが被告人らの支配下から脱出することを不能にし,もって,不法にY及びZをそれぞれ監禁したものである。 (証拠の標目)―括弧内の数字は証拠等関係カード記載の検察官請求証拠番号―省略(補足説明)第1 弁護人の主張等被告人3名の弁護人は,判示第1及び第2につき,それぞれ強盗罪及び強盗致傷罪は成立しない旨主張するほか,判示第1及び第2につき,被告人B及び同Cにおいて各被害者を鉄パイプで殴打していない,被告人3名間に事前共謀も現場共謀もない,被告人らにおいて各被害者に対し反抗を抑圧するに足りる暴行脅迫を加えておらず,客観的にもその反抗を抑圧する状況にはなかったし,不法領得の意思もなかった旨,判示第3につき,Yは神戸市D区Ea丁目b番c号先路上(以下「第1現場」という。)で自らアストロに乗り込んだものであり,判示P港第e突堤から判示J荘の南方約50メートル先林道沿い(以下「第3現場」という。)までの間各被害者は逃走可能な状態にあったからいずれも監禁罪は成立しない旨等主張するところ,前掲関係各証拠によれば,判示のとおり,Yに対する強盗罪・傷害罪の混合的包括一罪,Zに対する強盗致傷罪,Y及びZに対する各監禁罪の共同正犯がそれぞれ成立するものと優に認められるのであるが,所論にかんがみ,以下補足して説明を加える。 第2 当裁判所の判断 1 前掲関係各証拠及びMことNの検察官に対する供述調書(検察官請求証拠番号42)によれば,次の事実が認められる。 (1) 被告人3名は遊び仲間であるが 説明を加える。 第2 当裁判所の判断 1 前掲関係各証拠及びMことNの検察官に対する供述調書(検察官請求証拠番号42)によれば,次の事実が認められる。 (1) 被告人3名は遊び仲間であるが,被告人C運転のアストロに乗車して神戸市内を走行中,平成12年11月9日午前3時ころ,被告人Aにおいて,数日前に喧嘩したまま関係を修復できないでいた交際中のWから携帯電話で,男と一緒にホストスナックにおり,これからその男とホテルに行く等と申し向けられ,激高して,「しばいたる。半殺しにしてやる。」などと大声で叫び,被告人B及び同Cは,同Aに対し,その男に制裁を加える際には加勢するなどと述べた。 (2) 被告人3名は,同日午前4時30分ころ,第1現場において,停車中のワゴンRにWとYが同乗しているのを発見し,被告人Aにおいて,YがWと肉体関係を持とうとしていると邪推して激高の上,同人に暴行を加えて痛めつけようと決意し,アストロから降車するや,ワゴンR運転席側に走り寄り,被告人C及び同Bにおいて,同Aの後を追うようにアストロを降車すると,ワゴンR助手席からYを降車させて,同所付近路上又は歩道上で,Wとの関係を追求し,被告人Aも加わって被告人3名でこもごも,Yの顔面,腹部,背部等を手拳で殴打し,あるいは足蹴にする等の暴行を加えた。 被告人Aは,同日午前4時40分ころ,同人を人目のない場所に拉致して暴行を加えようと,被告人C及び同Bに対し,Yを車に乗せるよう指示し,同Bにおいて,Yをアストロ後部座席に乗車させて自らその隣りに乗車し,被告人Cにおいてアストロを発進させ,他方,被告人AはWとともにワゴンRに乗車して,いずれも第1現場を出発した。 (3) 被告人Cは,被告人Aの指示に従い判示P港第e突堤に向けてアストロを走行させたが いてアストロを発進させ,他方,被告人AはWとともにワゴンRに乗車して,いずれも第1現場を出発した。 (3) 被告人Cは,被告人Aの指示に従い判示P港第e突堤に向けてアストロを走行させたが,その間,被告人Bにおいて,Yが反抗的な態度をとったとして,同人の顔面に頭突きする等の暴行を加え,同日午前4時45分ころ,第e突堤に到着するや,被告人B及び同Cにおいて,直ちにYをアストロから降車させて同所資材置場付近(以下「第2現場」という。)に連行し,同所において,遅れてやってきた被告人Aとともに,同人に対し,こもごもその顔面,腹部等を手拳で殴打し,あるいは足蹴にする等の暴行を加えた。 その後,いったん第2現場を離れ,鉄パイプを見つけて同所に戻ってきた被告人Aは,被告人C及び同Bから,YがWとキスしたことを白状した旨告げられるや,さらに激高し,所携の鉄パイプが折れて短くなるとこれを交換しながら,鉄パイプでYの頭部等を殴打し,同人の背中を付く等の暴行を加え,被告人C及び同Bは,Yの顔面,腹部等を手拳で殴打し,あるいは足蹴にする等の暴行を加えた。 (4) その後,被告人AがワゴンRの方に向かい第2現場を離れると,被告人B及び同CはYに対する暴行を止め,被告人Cにおいて,同所に倒れているYに対し,「免許証を出せ。」等と申し向けて,同人に運転免許証1通を交付させてこれを奪取し,さらに「財布を出せ。」と申し向けながら同人の着衣をまさぐって,財布を取り上げ,同Bにこれを示す等した後,判示のとおり現金を奪取した。第2現場に戻って来た被告人Aは,被告人CがYから財布を取り上げるところを目撃しながらこれに制止しなかった。その後,被告人C及び同Aは,Yに対し,腕時計を交付するよう申し向ける等して,同人から判示腕時計を奪取した。 (5) 被告人CがYから財布を取り上げるところを目撃しながらこれに制止しなかった。その後,被告人C及び同Aは,Yに対し,腕時計を交付するよう申し向ける等して,同人から判示腕時計を奪取した。 (5) 被告人Aは,YやWからZがWと無理矢理キスした等と聞いて激高し,被告人C及び同Bに対し,「Zをしばいたる。」,「Zを呼び出せ。」等と申し向け,同日午前5時16分ころ,YをしてZに携帯電話をかけさせて,Zを前記第e突堤に呼び出させた。 被告人3名は,Zが第e突堤に到着するまでの間,被告人らの面前にYを座らせておいたり,トイレに連行して洗顔させる等して過ごし,同日午前5時47分ころ,ZからYの判示携帯電話機に第e突堤に到着した旨の連絡を受けると,Yからその携帯電話機1個を奪取した。 (6) 被告人C及び同Bにおいて,同日午前5時50分ころ,同Aの指示により,第e突堤に到着したZを第2現場に連行すると,被告人3名は,Yを同所に座らせておくとともにZを取り囲むや,被告人Aにおいて,所携の鉄パイプでZの頭部等を多数回殴打し,さらに被告人C及び同Bにおいて同人の顔面,腹部,背部等を手拳で殴打し,あるいは足蹴にし,その間,被告人Cにおいて,同所路上に落ちたZ所有の財布を発見するや,判示のとおり,その財布に在中した現金を奪取し,さらに,Zに対し,被告人Bにおいて「つけているもん見せてみいや。」等と語気鋭く申し向け,同Aにおいて「はよとれや。」等と申し向けながら所携の鉄パイプで殴打するなどの暴行脅迫を加えて,同人に判示ブレスレットを交付させてこれを奪取した。 その後,被告人Aにおいて,Yに対し,「お前もしばきたいんやったらしばけ。」などと申し向け,被告人C及び同Bが見守る中で,Yをして,鉄パイプでZの背部等を殴打させた。 奪取した。 その後,被告人Aにおいて,Yに対し,「お前もしばきたいんやったらしばけ。」などと申し向け,被告人C及び同Bが見守る中で,Yをして,鉄パイプでZの背部等を殴打させた。 (7) 同日午前6時20分ころ,被告人Aにおいて,第2現場に置いてあったZ所有の携帯電話機1個を拾い上げて奪取すると,被告人3名は,Y及びZを資材置場の奥に連れ込んだ上,「服に血が付いた」などとしてこもごもY及びZに慰謝料等を要求したのであるが,なお腹立ちのおさまらない被告人Aは,さらに場所を変えてYらを痛めつけようと考え,被告人C及び同Bに対し,「六甲山に行こう。六甲おろしや。」等と述べ,同被告人らも同Aの意図を察知して了承した。 そこで,被告人3名は,同日午前7時ころ,被告人C及び同Bにおいて,Y及びZを被告人C運転のアストロ後部座席に乗車させて第2現場から神戸市K区Lg番h号所在の兵庫県立O高等学校に向けて同車を発進させ,同人らをアストロに乗車させたまま前記O高等学校前路上まで連行し,同所において,被告人A運転のトヨタセレスに乗り換えさせる等した上,同車で同人らを第3現場に連行した。 (8) 被告人3名は,同日午前9時ころ,第3現場において,Y及びZをトヨタセレスから降車させると,被告人A及び同Bにおいて,所携の木製バットでY及びZの臀部をそれぞれ数回殴打する等の暴行を加え,同日午前9時30分ころ,口止めをした上,同所に置き去りにして同人らを解放した。 (9) その後,被告人3名は,被害者らから奪った現金を山分けし,奪ったブレスレットと腕時計は,被告人Cが,携帯電話は被告人Aが,それぞれ他の被告人両名の了承を得た上取得した。 (10) Y及びZは,前記一連の暴行によりそれぞれ判示の傷害を負った。 ブレスレットと腕時計は,被告人Cが,携帯電話は被告人Aが,それぞれ他の被告人両名の了承を得た上取得した。 (10) Y及びZは,前記一連の暴行によりそれぞれ判示の傷害を負った。 以上のとおり認められる。 2(1) 検察官は,被告人B及び同Cを含め,被告人3名はこもごも鉄パイプでYやZを殴り付けた旨主張し,証人Yの公判供述(以下「Y証言」という。)中にはこれに沿う供述部分があり,また,Wの前掲検察官調書(検察官請求証拠番号40。以下同じ。)中には,被告人C及び同Bが長い棒を持ってワゴンRの前を通った旨の供述記載部分があるけれども,被告人3名はいずれも捜査段階から一貫して被告人Aのみが鉄パイプでYらを殴打した旨供述し,その各供述内容はZの検察官調書(7)とも符合することに照らすと,Y証言の前掲供述部分及びWの検察官調書の前掲供述記載部分の証明力は乏しいというべきであるから,検察官の主張は採用できない。 (2) 検察官は,Yからの財物奪取の順序につき,被告人Cにおいて,まず,Yからその財布を抜き取ると判示のとおり在中の現金を強取し,次いで,被告人Cにおいて判示腕時計を,最後に運転免許証を順次強取した旨主張し,被告人Cの前掲各供述調書中には,被告人Cにおいて,Yから,判示腕時計を奪取した後,同人から前記財布を取り上げて現金を抜き取り,最後に同人から運転免許証を奪取した旨の記載部分があり,これに沿う被告人Bの公判供述及び前掲各供述調書もあるけれども,被告人Cは,当公判廷において,前記1(4)の認定に沿う具体的かつ詳細な供述をしており,Y証言も,現金と運転免許証の順序が逆である点を除けば概ねこれと符合する上,「被告人Aが駐車中のワゴンRから第2現場に戻ってくると,被告人CがYの着衣をまさぐって前記財布を取り上げており,その中 り,Y証言も,現金と運転免許証の順序が逆である点を除けば概ねこれと符合する上,「被告人Aが駐車中のワゴンRから第2現場に戻ってくると,被告人CがYの着衣をまさぐって前記財布を取り上げており,その中から判示現金を抜き取るのを見たが,被告人Cが運転免許証を奪取したところは見ていない」旨の被告人Aの公判供述及び前掲各供述調書も被告人Cの前記公判供述の信用性を支える内容であること等に照らすと,Yからの金品奪取の順序に関しては,被告人Cの前記公判供述が最も信用できるというべきであるから,検察官の主張は採用できない。 (3) YがZに加えた暴行について,被告人3名の公判供述中には,Yが自らの意思でZに暴行に及んだものであって,被告人らによって強制されたものではない旨の供述部分があるが,数十分前まで被告人らから判示の激しい暴行を受けていたYが積極的かつ自発的にZに暴行を加えるのは不自然であり,前掲関係各証拠に照らし,被告人3名の前記各供述部分は信用性に乏しく採用できない。 3 Yに対する強盗罪について被告人3名の各弁護人は,被告人3名にはいずれも金品強取の意思はなかったし,被告人3名間にその旨の共謀もなかった旨主張するが,前記認定事実によれば,判示のとおり,被告人3名が共謀の上,Yから判示の金品を強取したことを認めるに十分である。弁護人らの主張に沿う被告人3名の各公判供述は,信用性の十分な被告人3名の捜査段階における検察官及び警察官に対する各供述調書その他前掲関係各証拠と対比して検討すると,信用性に乏しいから採用できない。また,弁護人らは,Yが反抗を抑圧された状態にあったとはいえない旨主張するが,事実関係は前記1(2)ないし(4)認定のとおりであって,すでに被告人3名から一方的かつ熾烈な暴行を受け,畏怖状態にあったYは,被告人らから Yが反抗を抑圧された状態にあったとはいえない旨主張するが,事実関係は前記1(2)ないし(4)認定のとおりであって,すでに被告人3名から一方的かつ熾烈な暴行を受け,畏怖状態にあったYは,被告人らからその要求に応じなければ更にその身体に危害を加える気勢を示されて脅迫を受け,その反抗を抑圧された状態にあったものと認めるに十分である。さらに,弁護人らは被告人Cはその記載内容を確認するため運転免許証の交付を要求したものであるなど,Yから取り上げた財物について被告人らには不法領得の意思がなかった旨主張するが,所論の事情は単に金品奪取の経緯,動機に止まるものであって,被告人らに不法領得の意思のあったことは明らかである。 4 Zに対する強盗致傷罪について被告人3名の各弁護人は,被告人3名にはいずれも金品強取の意思はなかったし,被告人3名間にその旨の共謀もなかった旨主張するが,前記認定事実によれば,判示のとおり,被告人3名が共謀の上,Zから判示の金品を強取したことを認めるに十分である。前記1(5)ないし(7),(9)認定のとおり,被告人3名は,Zに暴行を加えることを明示的に確認した上で同人を第2現場に呼び出し,こもごもZに暴行を加えるや,被告人3名において,協力連携しながら,当然のごとくそれぞれZから判示金品を奪取し,本件各犯行の終了後,Zから奪取した現金等を山分けしているのであって,被告人3名が,遅くともZを呼び出したころまでには,Zを痛めつけて金品を強取することにつき,暗黙のうちに意思を通じて共謀したと認めるに十分であり,その旨の自白調書である被告人3名の前掲各供述調書は十分信用できる。弁護人らの主張に沿う被告人3名の前掲各公判供述は,前記のとおり信用性十分な被告人3名の前掲各供述調書と対比して検討すると,いずれもその信用性は乏しいと 被告人3名の前掲各供述調書は十分信用できる。弁護人らの主張に沿う被告人3名の前掲各公判供述は,前記のとおり信用性十分な被告人3名の前掲各供述調書と対比して検討すると,いずれもその信用性は乏しいといわざるを得ず,弁護人らの主張は採用できない。 また,弁護人らは,Zが反抗を抑圧された状態にあったとはいえない旨主張するが,前認定の暴行脅迫の程度に照らし,その主張に理由のないことは明白である。 なお,弁護人らは,被告人A及び同Bの第3現場におけるZに対する暴行は,専ら制裁目的で加えられたもので,財物奪取に向けられたものではないから,第3現場における暴行による傷害を含めて,被告人3名につき,Zに対する強盗致傷罪の成立を認めるべきではない旨主張するが,前記認定事実によれば,被告人3名は,共謀の上,Zに対し,判示第2の各暴行を加え,その反抗を抑圧して判示現金等を強取し,その際,判示一連の暴行によりZに判示傷害を負わせたものであり,しかも,その傷害の大部分が第2現場における暴行により生じたことは明らかであるところ,このような場合,第3現場における被告人A及び同Bの暴行による傷害結果をも包括評価して強盗致傷罪1罪が成立するものと認めるのが相当であるから,弁護人らの主張は採用しない。 5 Y及びZに対する各監禁罪について被告人3名の弁護人らは,Yは,第1現場において,自らの意思でアストロに乗車したのであるから,第1現場から第2現場に向かう車内における監禁罪は成立しない旨主張するが,事実関係は前記1(2)認定のとおりであるから,弁護人らの主張は理由がない。 また,弁護人らは,Yは,第2現場において,被告人らにより直接身体を拘束されていたわけではなく,第2現場が多数の釣り客等のいる開放的な場所であることや,Yに対する暴行終了後には, 理由がない。 また,弁護人らは,Yは,第2現場において,被告人らにより直接身体を拘束されていたわけではなく,第2現場が多数の釣り客等のいる開放的な場所であることや,Yに対する暴行終了後には,被告人らとYとの間で雑談が交わされていたのであるから,第2現場において,Yに対し,一定の区域内からの脱出を不可能若しくは著しく困難にさせておらず,監禁罪は成立しない旨主張するが,前記1(3)(4)認定のとおり,被告人らは,P港第e突堤に到着するやYをアストロから降車させ,第2現場で判示第1の暴行を加えて判示現金等の強取に及んでおり,その後,被告人らは,第2現場を離れるまでの間,Yを被告人3名の目の届く範囲に座らせる等して終始その行動を監視していたのであって,Yは被告人らの暴行により負傷していたことのほか,当時の状況等に照らすと,自力で被告人3名の追跡を振り払って逃走することは不可能ないし著しく困難であったと優に認められるから,被告人3名は第2現場においてもYを監禁していたと認めるに十分である。 次いで,弁護人らは,第2現場から第3現場に向かう車中において,アストロ後部座席に乗車していたY及びZが,音楽を聴いたり,雑談したり,Yにおいては居眠りしていたことに照らすと,Y及びZに対する監禁罪は成立しない旨主張するが,Y及びZは,アストロ等に乗車したまま終始被告人ら2名以上に監視されていたのであって,長時間にわたる前記各暴行を受け,それぞれ負傷し,精神的にも肉体的にも疲労困憊していたY及びZにおいて,逃走を計っても,被告人らにより暴行を加えられて連れ戻されるのは必至であり,自力で被告人3名の追跡を振り払って逃走することは不可能ないし著しく困難であったと認められるから,被告人3名は第2現場から第3現場に向かう車中においてもY及びZをそれぞれ監禁し されるのは必至であり,自力で被告人3名の追跡を振り払って逃走することは不可能ないし著しく困難であったと認められるから,被告人3名は第2現場から第3現場に向かう車中においてもY及びZをそれぞれ監禁していたと認めるに十分である。 さらに,弁護人らは,第3現場では,被告人らが車外でY及びZらに暴行を加えたに過ぎず,Y及びZらを一定の区域内からの脱出を不可能若しくは著しく困難にさせていないから,Y及びZらに対する監禁罪は成立しない旨主張するが,被告人A及び同Bは,第3現場において,Y及びZをトヨタセレスから降車させるや,判示の暴行を加えた上,同所にY及びZを置き去りにしたのであるが,その間,人気のない同所において,Y及びZらは被告人らに取り囲まれていたのであって,被告人3名がY及びZを同所に置き去りにして逃走するまでの間,Y及びZにおいて同所から脱出することは不可能ないし著しく困難であったと優に認められるから,被告人3名は第3現場においてもY及びZをそれぞれ監禁していたと認めるに十分である。 弁護人らの主張はいずれも理由がない。 (法令の適用)被告人3名の判示第1の所為のうち,強盗の点は刑法60条,236条1項に,傷害の点は同法60条,204条に,判示第2の所為は同法60条,240条(236条1項)に,判示第3の各所為はいずれも同法60条,220条にそれぞれ該当するところ,判示第1の強盗と傷害とは混合した包括一罪として評価すべき場合であるから,同法10条により1罪として重い強盗罪の刑で,判示第3は1個の行為が2個の罪名に触れる場合であるから,同法54条1項前段,10条により1罪として犯情の重いYに対する監禁罪の刑でそれぞれ処断することとし,判示第2の罪について所定刑中有期懲役刑を選択し,以上は同法45条前段の併合罪であるから, から,同法54条1項前段,10条により1罪として犯情の重いYに対する監禁罪の刑でそれぞれ処断することとし,判示第2の罪について所定刑中有期懲役刑を選択し,以上は同法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により最も重い判示第2の罪の刑に同法14条の制限内で法定の加重をし,なお犯情を考慮し,同法66条,71条,68条3号を適用して酌量減軽した各刑期の範囲内で,被告人Aを懲役6年,同B及び同Cをいずれも懲役5年にそれぞれ処し,同法21条を適用して,未決勾留日数中,被告人A及び同Bに対しては各410日を,被告人Cに対しては400日をそれぞれ算入し,訴訟費用は,刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人らに負担させないこととする。 (量刑の理由)本件は,被告人3名が,共謀の上,Yに対し,第1現場及び第2現場で一連の暴行を加えた後,金品強取を企て,同人から現金1万9000円等を強取し,その後,第3現場においても暴行を加え,一連の暴行により同人に加療約28日間の傷害を負わせた強盗・傷害の事案(判示第1),Zに対し,第2現場で一連の暴行を加えた後,金品強取を企て,同人から現金8000円等を強取し,その後,第3現場においても暴行を加え,一連の暴行により同人に加療約28日間の傷害を負わせた強盗致傷の事案(判示第2)及び第1現場でYを自動車内に拉致監禁して第2現場に連行し,同所において,YにZを呼び出させた上,Y及びZを自動車内に監禁するなどして第3現場に連行した被害者両名に対する各監禁の事案(判示第3)である。 被告人3名は,第1現場で被告人Aの交際相手と一緒にいるYを発見するや,同人が同女と肉体関係を持とうとしていると邪推し,同人に制裁を加えるため,判示第1及び第3の各犯行に及んだほか,第2現場でYからZが同女に無理矢理キスし 告人Aの交際相手と一緒にいるYを発見するや,同人が同女と肉体関係を持とうとしていると邪推し,同人に制裁を加えるため,判示第1及び第3の各犯行に及んだほか,第2現場でYからZが同女に無理矢理キスした等と聞くや,同人にもY同様の制裁を加えようと企て,判示第2及び第3の各犯行に及んだものであり,その短絡的かつ自己中心的な動機に酌量の余地はない。その犯行態様をみるに,被告人3名は,第1現場において,Yに対し,一方的に暴行を加えた上,第2現場に連行し,同所において,無抵抗の同人に対し,被告人Aにおいて鉄パイプでその頭部等を多数回にわたり殴り付け,こもごもその全身を殴る蹴る等の暴行を加えて同人から現金等を強取し,次いでYを介してZを第2現場に呼び出すや,Zに対しても,同様の暴行を加えて同人から現金等を強取し,さらにY及びZを第3現場に連行すると,同所でも木製バットで同人らを殴り付ける等の暴行を加えて,両名に判示の各傷害を負わせたものであり,執拗かつ熾烈な暴行の態様,程度に照らすと,卑劣,冷酷かつ危険な犯行というべきであり,犯情は極めて悪質である。長時間にわたる暴行脅迫等により,落ち度のないY及びZは,理不尽にも,重傷を負わされたほか,激しい恐怖感や屈辱感を味わったのであり,殊にYは左頬や右目に後遺障害が残存していることをも考え併せると,被害者両名の被った心身の苦痛は甚大であって,両名がいずれも被告人らの厳罰を望んでいること,強奪された金品の被害額が軽微とはいえないことを併せ考慮すると,本件各犯行の結果は重大というべきである。 以上の諸事情に加えて被害者両名が被った心身の被害に対する損害賠償はもとより,強奪した金品の被害額すら弁償されていないことを併せ考慮すると,被告人らの刑事責任は重大である。特に被告人Aは,前認定の経過で邪推してY及びZに対 両名が被った心身の被害に対する損害賠償はもとより,強奪した金品の被害額すら弁償されていないことを併せ考慮すると,被告人らの刑事責任は重大である。特に被告人Aは,前認定の経過で邪推してY及びZに対し憎悪の念を抱き,他の被告人の協力を得て主犯格として本件各犯行に及んだものであり,自ら所携の鉄パイプ等で被害者両名の頭部,顔面等をめった打ちにするなどの執拗かつ危険な暴行を加えていること等に照らすと,他の被告人らよりも重い刑事責任を負担するのは当然である。 そうすると,本件犯行が偶発的犯行であり,被害品の一部がすでに被害者らに還付されたこと,Zの傷害は特に後遺障害もなく完治したこと,被告人らが,いずれも本件犯行当時20歳又は21歳の若年であり,前科はないこと,未決勾留が相当期間に及び,その間,被告人3名は,いまだ十分とはいえないものの反省悔悟の情を深めたこと,被告人らの実母が当公判廷でそれぞれ各被告人の指導監督を誓約し,それぞれ各被告人の更生を願っていること,被告人らが,それぞれ被害者両名に謝罪文を作成して送付したことなど,被告人らのために酌むべき事情を最大限考慮しても,それぞれ主文掲記程度の実刑は免れない。 よって,主文のとおり判決する。 平成14年4月16日神戸地方裁判所第1刑事部裁判長裁判官杉森研二 裁判官林史高 裁判官溝國禎久は転補のため署名押印することができない。 裁判長裁判官杉森研二 い。 裁判長 裁判官杉森研二

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