平成3(あ)602 道路交通法違反

裁判年月日・裁判所
平成5年10月29日 最高裁判所第二小法廷 決定 棄却 大阪高等裁判所
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判決文本文1,725 文字)

主文 本件上告を棄却する。 理由 弁護人川崎伸男の上告趣意は、憲法三九条違反をいうが、実質は単なる法令違反の主張であって、刑訴法四〇五条の上告理由に当たらない。 所論にかんがみ、職権により判断する。 原判決の認定するところによれば、被告人は、平成元年九月二四日、普通乗用自動車を運転して、名神高速自動車国道本線上りを大阪方面から名古屋方面に向かい、(1)同日午後一時二二分ころ、大阪府吹田市ab丁目の同国道五一七・九キロポスト付近を、指定最高速度八〇キロメートル毎時を六五キロメートル超える一四五キロメートル毎時の速度で進行通過した後、制限速度超過の状態で運転を続け、急カーブ、急坂、トンネル等の箇所を経て、(2)同日午後一時三二分ころ、大阪府三島郡c町dの同国道四九八・五キロポスト付近を、指定最高速度七〇キロメートル毎時を九〇キロメートル超える一六〇キロメートル毎時の速度で進行し、本件違反行為に及んだというものである。このように本件においては制限速度を超過した状態で運転を継続した二地点間の距離が約一九・四キロメートルも離れていたというのであり、前記のように道路状況等が変化していることにもかんがみると、その各地点における速度違反の行為は別罪を構成し、両者は併合罪の関係にあるものと解すべきである。したがって、右(1)の違反行為について罰金一〇万円の略式命令が確定していたとしても、右(2)の本件違反行為は、右(1)の罪とは併合罪の関係にある別個独立の罪であるから、右確定裁判の存在を理由として免訴すべきでないとした原判断は、正当である。 よって、刑訴法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官藤島昭の補足意見があるほか、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。 - 1 -裁判官藤島昭の補足意見は した原判断は、正当である。 よって、刑訴法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官藤島昭の補足意見があるほか、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。 - 1 -裁判官藤島昭の補足意見は、次のとおりである。 私は、本件速度違反の罪が確定裁判のあった速度違反の罪と併合罪の関係に立つとした法廷意見に賛同するものであるが、速度違反の罪数について、若干意見を補足しておきたい。 自動車の運転は、ある程度の時間的な経過と場所的な移動を必然的に伴うものである。このような自動車運転本来の性質を念頭におき、道路における危険を防止し、交通の安全と円滑を図り、道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする道路交通法が具体的な道路事情に応じて最高速度を制限し、その違反を処罰するものとしていることにかんがみると、ある二地点間を速度違反の状態で運転を続けた場合に、その間の運転行為が全体として一個の社会事象と観念されるときには、一個の速度違反の罪が成立するにすぎず、その間の運転行為が全体として一個の社会事象と観念されないときには、別個の速度違反の罪が独立して成立するものと考える。そして、ある二地点間の運転行為が全体として一個の社会事象と観念されるかどうかは、その間の距離、道路状況の変化とこれに伴う最高速度の規制、進行速度の変更等の運転態様など、諸般の事情を総合して判断すべきである。 これを本件についてみると、(1)地点と(2)地点とは約一九・四キロメートルも離れており、その間、道路状況が変化し、これに伴う異なった最高速度の規制がされており、被告人も進行速度を変更するなど運転態様に変化が認められるところから、右二地点間の速度違反の行為を全体として一個の社会事象と観念することは到底できず、両地点における速度違反の各行為について別個独立の速度違反の罪 速度を変更するなど運転態様に変化が認められるところから、右二地点間の速度違反の行為を全体として一個の社会事象と観念することは到底できず、両地点における速度違反の各行為について別個独立の速度違反の罪が成立し、両者は併合罪の罪数関係に立つものと考える。 平成五年一〇月二九日最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官中島敏次郎- 2 -裁判官藤島昭裁判官木崎良平裁判官大西勝也- 3 -

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