【DRY-RUN】主 文 原判決を破棄する。 本件を福岡高等裁判所に差し戻す。 理 由 上告代理人国府敏男、同中山茂宣、同国武格の上告理由について 所論のうちには、
主 文 原判決を破棄する。 本件を福岡高等裁判所に差し戻す。 理 由 上告代理人国府敏男、同中山茂宣、同国武格の上告理由について 所論のうちには、本件選挙にあたり福岡県遠賀郡a町選挙管理委員会(以下「町 選管」という。)が公職選挙法(以下「公選法」という。)二二条二項に基づいて 行つた選挙人名簿の登録(以下「本件追加登録」という。)の際の被登録資格の調 査及び登録手続は少くともb町c番d号、e号に関する限り選挙の管理執行の規定 に違反するとした原審の判断は違法である旨の主張を含むものと解されるので、ま ず、この点について判断する。 市町村の選挙管理委員会が公選法二二条二項に基づき選挙を行う場合にする選挙 人名簿の登録は、当該選挙だけを目的とするものではなく、当該選挙が行われる機 会に選挙人名簿を補充する趣旨でされるものであるから、その手続は、当該選挙の 管理執行の手続とは別個のものに属し、したがつて、右登録手続における市町村選 挙管理委員会の行為が公選法に違反するとしても、直ちに同法二〇五条一項所定の 選挙無効の原因である「選挙の規定に違反する」ものとはいえない。もつとも、選 挙人名簿の調製に関する手続につきその全体に通ずる重大な瑕疵があり選挙人名簿 自体が無効な場合において選挙の管理執行にあたる機関が右無効な選挙人名簿によ つて選挙を行つたときには、右選挙は選挙の管理執行につき遵守すべき規定に違反 するものとして無効とされることもありうるが、少なくとも選挙人名簿の個々の登 録内容の誤り、すなわち選挙人名簿の脱漏、誤載に帰する瑕疵は、公選法二四条、 二五条所定の手続によつてのみ争われるべきものであり、たといそれが多数にのぼ る場合であつてもそれだけでは個々の登録の違法をきたすことがあるにとどまり選 - 1 - 挙人名簿 する瑕疵は、公選法二四条、 二五条所定の手続によつてのみ争われるべきものであり、たといそれが多数にのぼ る場合であつてもそれだけでは個々の登録の違法をきたすことがあるにとどまり選 - 1 - 挙人名簿自体を無効とするものではないから、右のような登録の瑕疵があることを もつて選挙の効力を争うことは許されないものといわなければならない。 本件についてこれをみると、原審が選挙の管理執行の規定に違反するとした本件 追加登録の際の町選管の被登録資格の調査及び登録手続に関する瑕疵は、選挙人名 簿の調製手続における瑕疵であつて、本件選挙そのものの管理執行の手続における 瑕疵とはいえないばかりでなく、特定地域における転入者に対する被登録資格の調 査の疎漏により追加登録者の一部につき被登録資格の確認が得られない者があるに もかかわらずこれを選挙人名簿に登録したというものであつて、結局、登録すべき でない者を誤つて登録したことに帰するものである。したがつて、このような瑕疵 は、登録に関する不服として専ら公選法二四条、二五条所定の手続によつて争われ るべきものであることは明らかであつて、選挙人名簿自体の無効をきたすものでな いことはもちろん、公選法二二条二項に基づく新たな登録全部を無効にするもので もないから、右瑕疵があることをもつて選挙無効の原因である選挙の規定に違反す るものということはできない。これと異なる原審の判断は、ひつきよう、公選法二 〇五条一項、二二条二項、同法施行令一〇条の解釈適用を誤つたものであり、右の 違法は判決の結論に影響を及ぼすことが明らかであるから、論旨は理由があり、そ の余の論旨について判断するまでもなく、原判決は破棄を免れない。ところで、本 件裁決においては前述の選挙人名簿の登録に関する違法のほか本件選挙の際の投票 所における選挙人の確認の疎漏についても選挙の管理 の余の論旨について判断するまでもなく、原判決は破棄を免れない。ところで、本 件裁決においては前述の選挙人名簿の登録に関する違法のほか本件選挙の際の投票 所における選挙人の確認の疎漏についても選挙の管理執行の規定に違反するものと 判断されていたことは明らかである(この点の判断を単なる事情を述べたものにす ぎないと解するのは相当ではない。)が、投票所において選挙事務従事者が選挙人 名簿の対照を怠り又はその対照に明白な過誤を犯しあるいは替玉と知つて制止せず これを幇助する等格別の事情がある場合には、投票手続の管理に違法があるものと して選挙無効の原因ともなりうると解されるのであるから(最高裁昭和四一年(行 - 2 - ツ)第四七号第四八号同年一一月二五日第二小法廷判決・民集二〇巻九号一九五六 頁参照)、右の点につき更に審理判断をさせるため、本件を原審に差し戻すのが相 当である。 よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員一致の意 見で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第一小法廷 裁判長裁判官 団 藤 重 光 裁判官 岸 盛 一 裁判官 岸 上 康 夫 裁判官 藤 崎 萬 里 裁判官 本 山 亨 - 3 -
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