- 1 -主文 原判決を次のとおり変更する。 ( ) 被控訴人は,自由民主党金沢・市民会議に対し,1172万687 8円及びこれに対する平成17年6月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を金沢市に対し支払うよう請求せよ。 ( ) 被控訴人は,かなざわ議員会に対し,370万2465円及びこれ に対する平成17年6月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を金沢市に対し支払うよう請求せよ。 ( ) 控訴人のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は,第1,2審を通じて,これを5分して,その1を控訴人の負担とし,その余を被控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1当事者の求めた裁判 控訴人( ) 原判決を取り消す。 ( ) 被控訴人は,自由民主党金沢・市民会議に対し,1346万9819円及 びこれに対する平成17年6月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を金沢市に対し支払うよう請求せよ。 ( ) 被控訴人は,かなざわ議員会に対し,642万1506円(控訴状訂正書 には「642万1508円」と記載されているが,これは,本件訴訟の経過に照らして「642万1506円」の誤記であることが明らかである),。 及びこれに対する平成17年6月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を金沢市に対し支払うよう請求せよ。 被控訴人本件控訴を棄却する。 第2事案の概要- 2 - 本件は,金沢市の住民である控訴人が,金沢市から金沢市議会の2会派に交付された政務調査費のうち会議費の項目で食料費及び食糧費として支出された部分は,条例で定められた使途基準に違反するから金沢市に返還されるべきであるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,金沢市の執行機関である被控訴人に対し,不当利得返還請求権に基づき,自由 部分は,条例で定められた使途基準に違反するから金沢市に返還されるべきであるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,金沢市の執行機関である被控訴人に対し,不当利得返還請求権に基づき,自由民主党金沢・市民会議(以下「市民会議」という)に対しては利得金1346万9819円及。 びこれに対する平成17年6月24日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を,かなざわ議員会(以下「議員会」という)に対しては利得金642万1506円及びこれに対する上記同。 日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を,それぞれ金沢市に対し支払うよう請求することの義務付けを求めた住民訴訟の控訴審である。 原審は,控訴人の請求をいずれも棄却したため,これを不服とする控訴人が本件控訴を提起した。控訴人は,当審において,請求原因を追加的に変更し,被控訴人に対し,不法行為による損害賠償請求権に基づき,市民会議に対しては損害賠償金1346万9819円及びこれに対する上記平成17年6月24日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を,議員会に対しては損害賠償金642万1506円及びこれに対する上記同日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を,それぞれ金沢市に対し支払うよう請求することの義務付けを求めた。 なお,略語は,特に断らない限り,原判決に準ずるものとする。 前提事実原判決の事実及び理由の第2の2に記載のとおりであるから,これを引用する。 争点及び当事者の主張次のとおり当審における当事者の追加主張及び補充主張を付加するほかは,- 3 -,。 原判決の事実及び理由の第2の3に記載のとおりであるからこれを引用する(当審における当事者の追加主張及び補充主張)( ) 不法行為 当事者の追加主張及び補充主張を付加するほかは,- 3 -,。 原判決の事実及び理由の第2の3に記載のとおりであるからこれを引用する(当審における当事者の追加主張及び補充主張)( ) 不法行為による損害賠償請求権について 《控訴人の主張》本件両会派は,政務調査費を本件条例で定められた会議費の目的外の支出である食料費及び食糧費として,故意又は過失によって違法に支出したものである。 ,,,,したがって金沢市は本件両会派に対して上記不法行為を原因として上記各支出額相当の損害賠償請求権を有している。 《被控訴人の主張》控訴人の主張は争う。 ( ) 本件両会派の解散について 《被控訴人の主張》ア本件両会派は,平成19年5月1日の経過をもって自然消滅し,被控訴人が支払を請求すべき相手方は存在しなくなった。 イ市議会の会派は権利能力なき社団とされる。その社団員たる議員の任期は平成19年5月1日までであったから,同日の経過をもって社団員たる市議会議員は全員が失職したものである。これは平成18年法律第50号による改正前の民法68条2項2号の「社員の欠亡」に当たり,社団の解散事由に当たる。しかし,市議会の会派は議員の任期中に限って,共通の政策を市議会で実現すること等を目的として結成されたものであって,議,。 員全員が身分を失ってしまえばその清算ということを考える余地がないウ権利能力なき社団の債務は,社団に総有的に帰属し,社団の総有財産だけがその引き当てとなり,社団員個々人が責任を負うことはない。したがって,旧会派の構成員であった市議会議員個人が同人の所属していた旧会派(旧社団)の債務を承継することはない。また,旧会派の構成員であっ- 4 -た市議会議員が改選後,新会派に所属したからといって,それは旧会派とは別の新会派 市議会議員個人が同人の所属していた旧会派(旧社団)の債務を承継することはない。また,旧会派の構成員であっ- 4 -た市議会議員が改選後,新会派に所属したからといって,それは旧会派とは別の新会派の結成(新しい社団の設立)と目されるべきであって,新会派が旧会派の債務を承継することはない。 エ本件両会派に対して,清算について問い合わせたところ,すべて清算が終了したとの回答を受けた。その詳細については,被控訴人は,当事者ではないので知り得ない。 そもそも市議会における会派とは,共通の政策の実現を目的として結成されるものであって,取引行為を主たる目的とするものではなく,財産と考えられるものは政務調査費くらいであり,その支出がすべて終了していれば清算はすべて終了したと考えるべきである。 《控訴人の主張》ア本件条例2条1項は,政務調査費は金沢市議会運営委員会規約(平成3年7月2日議員運営委員会決定。以下「本件規約」という)2条2項に。 より結成された会派に対し交付すると規定し,同規約は,会派とは3人以上の所属議員を有する会派をいうと規定しているところ,本件条例5条以下には会派の代表者に関する規定があり,会派等は代表者を置くことが予定されているほか,同10条では経理責任者を置かなければならないと定めている。しかし,それ以外には,本件条例,本件規約からは,会派が法的にいかなる性質の団体であるのか必ずしも明確ではない。 イ会派の団体的性格が何れであっても,議員の任期満了によって会派が解散することは明らかであるところ,本件条例は,会派が解散した場合の手続について,次のとおり定めている。 (ア) 政務調査費の交付に係る会派等の代表者は,当該会派等が解散したときは,規則で定める会派等解散届を議長を経由して市長に提出しなければならない(5条3項。 ) について,次のとおり定めている。 (ア) 政務調査費の交付に係る会派等の代表者は,当該会派等が解散したときは,規則で定める会派等解散届を議長を経由して市長に提出しなければならない(5条3項。 )(イ) 政務調査費の交付を受けた会派等の代表者は,当該会派等が解散し- 5 -たときは,前項の規定にかかわらず,当該解散した日の翌日から起算()。 して30日以内に収支報告書を提出しなければならない11条3項(ウ) 会派等が解散したときは,当該会派等は,当該解散した日の属する月の翌月分(略)以降の政務調査費を返還しなければならない(4条2項。 )(エ) 経理責任者は,政務調査費に係る会計帳簿を調製し,及び領収書等を整理するとともに,これらの書類を次条の規定による収支報告書を提出すべき期間の末日の翌日から起算して5年を経過する日まで保管しなければならない(10条2項。 )(オ) 第11条の規定により提出された収支報告書は,議長において,これを提出すべき期間の末日の翌日から起算して5年を経過する日まで保存しなければならない(15条。 )ウ上記イの規定によると,会派がいかなる団体であるかにかかわらず,解散後も会派が主体であり,会派が収支報告書を作成・提出する義務を負っており,政務調査費の返還義務を負うと定められているのであるから,法的には,会派(団体)の解散後も清算終了までは団体は残っていると解釈される。議員の任期が切れたからといって,清算義務がなくなることはないものと解される。 エ一般的には団体(会派)の適法な清算がなされた後は,団体(会派)は消滅する。しかし,清算が適法になされていない場合,本件でいえば,違法な支出がなされていたため本件両会派自身が政務調査費を金沢市に返還すべき義務を負っているにもかかわらず,その返還義務を履行し )は消滅する。しかし,清算が適法になされていない場合,本件でいえば,違法な支出がなされていたため本件両会派自身が政務調査費を金沢市に返還すべき義務を負っているにもかかわらず,その返還義務を履行しないまま,単に収支報告書を提出しても法的には清算は終了していないといわざるを得ない。したがって,本件両会派が収支報告書を提出したことをもって会派が消滅することはないし,返還義務も消滅することはない。 - 6 -また,本件両会派は清算終了していて返還すべき金銭もないため被控訴人が支払を請求すべき相手方としての適格を失ったとの被控訴人の主張が失当であることは,本件条例の規定から明らかである。すなわち,政務調査費は,本件両会派所属の議員に分配されて各議員が目的外支出をしているのであるから,本件両会派は,元各議員に対して当該違法支出金の返還請求権を有しており,その債権の回収をして,金沢市に対して返還しなければならないのである。したがって,本件両会派に財産がないとはいえない。 ( ) 会議費における食料費・食糧費の占める金額について 《控訴人の主張》ア民事訴訟法224条の類推適用(ア) 政務調査費は,その支出が適正でなければならず,収支報告書の提出が義務付けられているだけでなく,会計帳簿の調製,領収書等の整理及びそれらの5年間の保管が会派経理責任者に義務付けられている。それ故に,政務調査費の支出が本件使途基準に照らして適正なものか否かについては,公金たる政務調査費を交付する者の審査を受けることが予定されているものといわざるを得ない。本件条例や本件規則には,市長の調査権限を定めた規定はないが,公金を管理する者として,その公金の支出が適正であったか否かを審査し得ることは当然であり,また,会計帳簿の調製や領収書等の整理及びそれらの5年間保管を義 則には,市長の調査権限を定めた規定はないが,公金を管理する者として,その公金の支出が適正であったか否かを審査し得ることは当然であり,また,会計帳簿の調製や領収書等の整理及びそれらの5年間保管を義務付けていることからすると,それらによって支出が適正か否かを調査することは議。 ,,員や議会の自律性を侵害するものとはいえないところが被控訴人は原審及び当審において,市長には調査権がないの一点張りで,市民のために不正を糺す努力を一切しようとしない。 (イ) 調査権を持っている市議会議長の調査も,諸費用を複数列記するのみで,どれが主たる支出であるかを故意に曖昧にして,主たる支出が何か- 7 -を明示することを定める規則に違反している。また,その点に関する監査委員からの照会に対しても不十分な回答内容となっている。 (ウ) 控訴人は,本件訴訟において,文書提出命令の申立て,証人尋問の申出等民事訴訟法上できるあらゆる立証手段を尽くしたが,本件両会派の完全黙秘により,食料費・食糧費の金額を明らかにすることができなかった。 ,。 ,(エ) 民事訴訟法224条は訴訟当事者についての規定であるところで地方自治法242条の2第1項4号は,平成14年の法改正により,直接の利得者ないし不法行為者を被告とできなくなった。しかし,この法改正によって直接の利得者ないし不法行為者に対して,民事訴訟法224条が適用されなくなるのでは住民訴訟が大きく制約される。まして,本件のように控訴人側に立証の方法がなく,利得者である本件両会派が全証拠を所持している場合には本条の適用の必要性が大きい。したがって,本件については,民事訴訟法224条を類推適用して,被控訴人側に前記金額の立証責任を負わせるべきである。 (オ)また,本件のように政務調査費の本件使途基準に合致する部分( 要性が大きい。したがって,本件については,民事訴訟法224条を類推適用して,被控訴人側に前記金額の立証責任を負わせるべきである。 (オ)また,本件のように政務調査費の本件使途基準に合致する部分(議員としての調査研究活動に資する部分)とそうでない部分が混在しており,その合理的な区分が困難な場合には,社会通念上相当な割合による按分をして政務調査活動に資する費用の金額を確定することができると考えるべきである。 (カ) 上記相当額としては,次の計算を参考とすべきである。 すなわち,本件収支報告書(甲3)に記載された平成15年度政務調「」,,査費中の会議費についてみると市民会議の主な支出は食料費等でその支出額は1346万9819円であり,議員会の主な支出は食糧費等で,その支出額は642万1506円である。原判決は食料費・食糧費が本件使途基準に反し違法であると判断しているところ,原判決後に- 8 -提出された平成18年度政務調査費の収支報告書(乙32,33)によ,「」(),ると会議費の備考欄主な支出の内訳には食料費の記載はなくその会議費支出額は市民会議が174万2941円であり,議員会が271万9041円である。したがって,両年度の差額が違法な食料費・食糧費の支出金額であると推認できる。すなわち,本件各支出中,市民会議の違法な食料費支出金額は1172万6878円と推認できるし,議員会の違法な食糧費支出金額は370万2465円と推認できる。 イ民事訴訟法248条の適用(ア) 民事訴訟法248条は,損害が発生していることが明らかである(証明されている)が,その金額が証明できない場合,請求を棄却することが公平に合致せず,また社会の納得を得られない場合に,裁判所が相当な損害額を認定できる規定である。本件の食料費・食 が明らかである(証明されている)が,その金額が証明できない場合,請求を棄却することが公平に合致せず,また社会の納得を得られない場合に,裁判所が相当な損害額を認定できる規定である。本件の食料費・食糧費に充てられた金額の認定問題は,まさにこの法の趣旨に適合する。すなわち,原判決の認定のとおり,食料費・食糧費として違法な支出がなされており,金沢市に損害(損失)が発生していることは立証されている。そして,領収書等の証拠が本件両会派の経理責任者のもとにあるにもかかわらず,同人らの証明妨害によりその金額が立証できず,同人らが証拠を出さない限り金額の立証は極めて困難である。 (イ) ところで,民事訴訟法248条は,金銭債権たる損害賠償請求権についての規定であるといわれている。その例として一般に不法行為債権が。 ,想定されている仮に本訴請求権が不当利得返還請求権であるとしても不当利得による損失と不法行為による損害は法的評価の違いにすぎず,社会的事実は同一であるから,不当利得返還請求権についても本条の適用を認めるべきである。 (ウ) また,控訴人は,当審において,請求原因として不法行為による損害賠償請求権を追加したので,まさに,民事訴訟法248条を適用するこ- 9 -とができる。したがって,同条を適用し,前記ア(カ)の推定金額を認めるべきである。 《被控訴人の主張》ア控訴人の主張は,争う。 イ不当利得の主張立証責任について(ア) 被控訴人は,本件両会派が不当利得をしている故に,本件両会派に対して不当利得の返還請求をせよというのであるから,控訴人が本件両会派の不当利得を基礎づける具体的な事実を主張・立証しなければならないのは当然のことである。すなわち,控訴人は,少なくとも誰が,何時,,,ごろどのように政務調査費を使用したのかその政務調 件両会派の不当利得を基礎づける具体的な事実を主張・立証しなければならないのは当然のことである。すなわち,控訴人は,少なくとも誰が,何時,,,ごろどのように政務調査費を使用したのかその政務調査費の使用はどのような理由によって違法である程度の具体的事実くらいは,主張・立証すべきである。ところが,控訴人は,本件収支報告書の会議費の備考欄に「食料費」等との記載があることから,即,当該支出が違法であったと決めつけている。しかし,これは控訴人が主張・立証すべきことのうち,違法であるとの主張は一応あるものの,誰が,何時ごろ,どのように政務調査費を使用したのかという不当利得返還請求の要件となる具体的事実の主張・立証がない。 (イ) そもそも本件収支報告書に「食料費」等とある記載は,本件両会派が実際にも飲み食いに使ったということを意味しているのではない。 ことの良い悪いは別として,金沢市議会では,食料費とは,飲み食いとは別の,会議に要した諸費用くらいの意味に用いられてきた経緯がある。平成13年4月1日から施行された政務調査費の新設(地方自治法100条13項)以前から,金沢市が独自に定めていた金沢市議会市政調査研究費交付要綱に基づく,市政調査研究費収支決算書の会議費の使,,途の説明欄に食料費とあったことから同決算書の文言をひな形にして本件両会派の事務職員がその記載内容,すなわち,食料費との記載を会- 10 -議費の備考欄にそのまま踏襲してきただけのことであって,備考欄に食料費と記載してあるからといって,何も実際にも飲食代金に支出してきたわけではないのである。まして本件両会派自らが目的外の違法な支出をしたと自認する届出をしているわけではないのである。このような誤解を避けるために平成16年度からの政務調査費収支報告書には,食料費という言葉の いのである。まして本件両会派自らが目的外の違法な支出をしたと自認する届出をしているわけではないのである。このような誤解を避けるために平成16年度からの政務調査費収支報告書には,食料費という言葉の使用をやめている。 (ウ) 本件収支報告書の備考欄に食料費という言葉が使われているからといって,その文言だけで,直ちにその支出が違法となるのではなくて,問題はその中身にあるのである。その中身が分からないのに本件両会派に対して不当利得の返還請求をせよと求められても,被控訴人としては対処のしようがない。住民監査請求は,第一次的には,被控訴人が本件両会派に対して不当利得の返還請求をすべきところ,それを被控訴人が怠っているために住民側が行うものであるが,食料費との文言だけでは,,,。 被控訴人は本件両会派に対して不当利得の返還請求をしようがない(エ) 主張立証責任が誰にあるかについては,特別の規定がない限り,事実を主張しようとする者にあるのは当然の大原則である。住民訴訟の場合であってもこの原則を変えている規定はない。被控訴人は,政務調査費,,を使ったのではなく領収書等も本件両会派が保存しているのであって被控訴人の手元にあるものではなく,また,条例上,被控訴人がその提出を本件両会派に求めることができる立場にない。 ウ民事訴訟法224条の類推適用について民事訴訟法は,文書提出命令において,文書の不提出の場合の制裁について,当事者の場合と第三者の場合とでは取扱いを分けており,第三者が文書提出命令に従わなかったときの制裁は,過料の範囲に止めているのであって,それ以上の制裁を求めることができず,その意味では民事裁判の限界を示しているものである。 - 11 -本件の場合,本件両会派が当事者ではなく第三者に当たることは当然であり,本件両会派が文書提出 て,それ以上の制裁を求めることができず,その意味では民事裁判の限界を示しているものである。 - 11 -本件の場合,本件両会派が当事者ではなく第三者に当たることは当然であり,本件両会派が文書提出命令に従わなかったとしても,過料以上の制。 ,,裁を受けることはないましてや原審裁判所は既に本件両会派に対して過料の制裁を科しているのであるから,同裁判所自ら本件両会派が第三者に該当していることを認めているのであって,今更,それ以上の制裁,すなわち,当該文書の記載に関する相手方である控訴人の主張を真実と認めることができないのは当然である。 第3当裁判所の判断 本件両会派の解散について,,( ) 被控訴人は本件両会派は平成19年5月1日の経過をもって自然消滅し 被控訴人が支払を請求すべき相手方は存在しなくなったものである旨主張する。 ( ) この点,証拠(甲40,41)及び弁論の全趣旨によれば,平成15年4 月27日に行われた金沢市議会議員選挙の結果,金沢市議会は市民会議,議員会等の4会派及び会派外の1会派で構成されたこと,上記選挙によって選出された議員の任期は平成15年5月2日から平成19年5月1日までであったこと,本件両会派は平成19年5月1日に解散したことが認められる。 ( ) 会派に関する本件条例の定めは,概要,次のとおりである。 ア政務調査費は,本件規約2条2項の規定に基づき結成された会派(以下「会派」という)に対し交付する(2条1項。前項の規定にかかわら。 )ず,議員の議会活動のために結成されたもので,会派を結成することができないものについてはこれを会派とみなして同項の規定を適用する2,,(条2項。 )イ会派及び前条2項の規定により会派とみなされたもの(以下「会派等」という)に対する政務調査費は,各 とができないものについてはこれを会派とみなして同項の規定を適用する2,,(条2項。 )イ会派及び前条2項の規定により会派とみなされたもの(以下「会派等」という)に対する政務調査費は,各月の初日(以下「基準日」という)。 。 における当該会派等の所属議員数に月額25万円を乗じて得た額を四半期- 12 -ごとに交付する(3条1項。 )ウ政務調査費の交付を受けた会派等が,一四半期の途中において解散したときは,当該会派等は,当該解散した日の属する月の翌月分(その日が基準日に当たるときは,当月分)以降の政務調査費を返還しなければならない(4条2項。 )エ議員が会派等を結成し,当該会派等について政務調査費の交付を受けようとするときは,当該会派等の代表者は,規則で定める会派等結成届を議長を経由して市長に提出しなければならない(5条1項。政務調査費の)交付に係る会派等の代表者は,当該会派等が解散したときは,規則で定める会派等解散届を議長を経由して市長に提出しなければならない(5条3項。 )オ会派等は,交付を受けた政務調査費の経理を明確に行うため,経理責任者を置かなければならない(10条1項。経理責任者は,政務調査費に)係る会計帳簿を調製し,及び領収書等を整理するとともに,これらの書類を次条の規定による収支報告書を提出すべき期間の末日の翌日から起算して5年を経過する日まで保管しなければならない(10条2項。 )カ政務調査費の交付を受けた会派等の代表者は,規則で定める政務調査費に係る収入及び支出の報告書(以下「収支報告書」という)を作成し,。 議長に提出しなければならない(11条1項。政務調査費の交付を受け)た会派等の代表者は,当該会派等が解散したときは,前項の規定にかかわらず,当該解散した日の翌日から起算して30日以 を作成し,。 議長に提出しなければならない(11条1項。政務調査費の交付を受け)た会派等の代表者は,当該会派等が解散したときは,前項の規定にかかわらず,当該解散した日の翌日から起算して30日以内に収支報告書を提出しなければならない(11条3項。 )キ市長は,政務調査費の交付を受けた会派等が当該年度において交付を受けた政務調査費の総額から,当該会派等が当該年度において本件使途基準に従い支出した総額を控除して残余がある場合は,当該残余の額に相当する額の政務調査費の返還を命ずることができる(14条。 )- 13 -ク11条の規定により提出された収支報告書は,議長において,これを提出すべき期間の末日の翌日から起算して5年を経過する日まで保存しなければならない(15条。 )( ) 以上によれば,会派は,代表者を置くことが予定されているほか(本件条 例5条11条経理責任者を置かなければならないとされているから同,),(),,10条1項法人でない社団で代表者又は管理人の定めがあるものとしてその名において訴え,又は訴えられることができるものと解される(民事訴訟法29条。 )そして,会派は,議員の任期満了等によって解散することが予定されている団体であるけれども(本件条例4条2項,5条3項,11条3項,一四)半期の途中において解散したときは当該解散した日の属する月の翌月分そ,(の日が基準日に当たるときは,当月分)以降の政務調査費を返還しなければならず(同4条2項,会派の代表者は,当該会派が解散したときは,当該)解散した日の翌日から起算して30日以内に収支報告書を提出しなければならず(同11条3項,会派は,市長に対し,当該年度において交付を受け)た政務調査費の総額から当該年度において本件使途基準に従い支出した総 日の翌日から起算して30日以内に収支報告書を提出しなければならず(同11条3項,会派は,市長に対し,当該年度において交付を受け)た政務調査費の総額から当該年度において本件使途基準に従い支出した総額を控除して残余がある場合は,当該残余の額に相当する額の政務調査費の返還義務があるとされている(同14条。したがって,会派は,解散した場)合であっても,本件条例上の一定の義務を負担しており,かかる義務の履行がすべて終了して清算が終了するまでは団体としては存続するものと解される。そして,仮に会派が政務調査費をすべて支出したとして収支報告書を提出するなどしたとしても,本件使途基準に違反して許されざる使途に充てた支出があった場合などには,なお政務調査費の返還義務があるものと解される。かかる趣旨から,本件条例は,会派の経理責任者に対し,会計帳簿及び領収書等の5年間の保管義務を定め(同10条2項,議長に対し,収支報)告書の5年間の保存義務を定めた(同15条)ものと解される。 - 14 -( ) これに対し,被控訴人は,次のとおり,本件両会派は平成19年5月1日 の経過をもって自然消滅し,被控訴人が支払を請求すべき相手方は存在しなくなった旨主張するので,以下検討する。 ア被控訴人は,市議会の会派は議員の任期中に限って,共通の政策を市議会で実現すること等を目的として結成されたものであって,議員全員が身,。 分を失ってしまえばその清算ということを考える余地がない旨主張するしかし,上記( )説示のとおり,会派は,解散した場合であっても,本 件条例上の一定の義務を負担しており,かかる義務の履行がすべて終了して清算が終了するまでは団体としては存続するものと解されるから,清算を考える余地がないとはいえない。したがって,被控訴人の上記主張は,採用できな の義務を負担しており,かかる義務の履行がすべて終了して清算が終了するまでは団体としては存続するものと解されるから,清算を考える余地がないとはいえない。したがって,被控訴人の上記主張は,採用できない。 イ被控訴人は,権利能力なき社団の債務は,社団に総有的に帰属し,社団の総有財産だけがその引き当てとなり,社団員個々人が責任を負うことはないから,旧会派の構成員であった市議会議員個人が同人の所属していた旧会派(旧社団)の債務を承継することはないし,旧会派の構成員であった市議会議員が改選後,新会派に所属したからといって,それは旧会派とは別の新会派の結成(新しい社団の設立)と目されるべきであって,新会派が旧会派の債務を承継することはない旨主張する。 しかし,解散した本件両会派の所属議員個人が会派の債務を承継することはなく,また,新会派が本件両会派の債務を承継することはないとして,,,,も上記( )説示のとおり本件両会派自体が解散した場合であっても 本件条例上の一定の義務を負担するものと解され,同義務は,本件両会派の総有財産を引き当てとして,本件両会派の所属議員全員に一個の義務として総有的に帰属するものと解される。したがって,被控訴人の上記主張のとおりであったとしても,本件において被控訴人が支払を請求すべき相手方が存在しなくなったとはいえない。 - 15 -ウ被控訴人は,本件両会派に対して,清算について問い合わせたところ,すべて清算が終了したとの回答を受けたが,その詳細については,被控訴人は,当事者ではないので知り得ないし,そもそも市議会における会派とは,共通の政策の実現を目的として結成されるものであって,取引行為を主たる目的とするものではなく,財産と考えられるものは政務調査費くらいであり,その支出がすべて終了していれば清算 議会における会派とは,共通の政策の実現を目的として結成されるものであって,取引行為を主たる目的とするものではなく,財産と考えられるものは政務調査費くらいであり,その支出がすべて終了していれば清算はすべて終了したと考えるべきである旨主張する。 しかし,本件両会派が,清算についての問い合わせに対し,すべて清算が終了したとの回答をしたからといって,本件条例に基づく義務を免れるものではない。また,本件両会派に交付された政務調査費の支出がすべて終了していたとしても,本件両会派の議員が,会派から分配を受けた政務調査費につき本件使途基準に違反して許されざる使途に支出していた場合などには,本件両会派は,当該支出に係る各議員に対して,当該支出金の返還請求権を有しているというべきであるから,本件両会派に財産がないとはいえない。したがって,被控訴人の上記主張は採用できない。 ( ) 以上によれば,本件両会派は,解散した後も,清算が終了するまで存続 するものと解され,本件において被控訴人が支払を請求すべき相手方が存在しなくなったとはいえない。 本件各支出の違法性の有無及び不当利得の成否について当裁判所も,本件各支出のうち飲食代金に充てられた部分は,本件使途基準に反し違法であるとともに,本件両会派は,平成15年度政務調査費のうち上記飲食代金支出に充てた部分を,本件使途基準に反して許されざる使途に支出したものであるから,本件両会派は,法律上の原因なく上記部分を不当に利得したものと認めるのが相当であると判断する。その理由は,原判決の事実及び理由の第3の1( )及び( )に記載のとおりであるから,これを引用する。 - 16 - 不当利得額(損失額)について( ) そこで,本件両会派の不当利得額について判断するには,本件各支出のう ちのどの部分 び( )に記載のとおりであるから,これを引用する。 - 16 - 不当利得額(損失額)について( ) そこで,本件両会派の不当利得額について判断するには,本件各支出のう ちのどの部分が飲食代金に充てられたのかを検討すべきところ,本件においては,本件各支出の内訳を明らかにする証拠は一切提出されておらず,本件各支出のうちのどの部分が飲食代金に充てられたかを証拠によって直接認定することは不可能といわざるを得ない。 ( ) もっとも,先に引用した原判決の認定事実(事実及び理由の第3の1( ) ウ記載)のとおり,本件収支報告書の「支出」欄中「会議費」の「備考」欄には「食料費等」及び「食糧費等」と記載されてはいるものの,本件議長,回答によれば,本件各支出の主なものは,会場借上費などの会場費,機材借上費,勉強会等に付随した湯茶,茶菓子及び食事代,講師謝礼金,会議資料や報告書などの資料印刷費のほか研修会等に参加するための出席者負担金であるとされていることが認められ,本件各支出のうちの一部は飲食代金以外に支出されたことがうかがわれる。 しかし,会場費,機材借上費,湯茶,茶菓子,講師謝礼金,資料印刷費及び出席者負担金という費目自体は,通常それ程多額の支出を要するものとは考え難く,平成15年度の本件収支報告書に会議費として計上された支出金額(市民会議1346万9819円,議員会642万1506円)中に同費目が占める割合はそれ程大きいものとは考え難い。現に,乙32,33(本件両会派の平成18年度政務調査費収支報告書)によれば,原判決言渡し後の平成18年度においては,本件両会派の「会議費」の支出額は,市民会議,,が174万2941円議員会が271万9041円であったとされており平成15年度の会議費(本件各支出)と対比して,著しく減少し 成18年度においては,本件両会派の「会議費」の支出額は,市民会議,,が174万2941円議員会が271万9041円であったとされており平成15年度の会議費(本件各支出)と対比して,著しく減少しているが,同年度において,本件両会派に係る会議の開催,出席自体が著しく減少したとか,それに要する会場費,機材借上費,資料印刷費等が低廉になったとかの事情をうかがわせる証拠はない。 - 17 -したがって,本件議長回答(甲7)自体をもっては,本件各支出の一部が飲食代金以外に支出されたことがうかがわれるに止まり,それ以上の事実を認定することは到底できない。 ( ) この点につき,控訴人は,民事訴訟法224条を類推適用して,控訴人の 主張を真実と認めるべきである,あるいは,被控訴人側に立証責任を負わせるべきである旨主張する。そこで,以下,控訴人の上記主張にかんがみ,本件における訴訟経過を検討すると,本件記録上次の事実が明らかである。 ア控訴人は,平成17年6月9日,原審裁判所に対し,本件訴訟を提起した。 イ被控訴人は,同月23日に訴状の送達を受け,同月24日,原審裁判所に対し,本件両会派をそれぞれ被告知人として,本件訴訟の訴訟告知書を提出し,同告知書は,同月25日,本件両会派に送達され,訴訟告知がなされた。 ウ控訴人は,訴状において,本件各支出全額が違法支出であり,本件両会派は同各支出相当の金員を不当利得している旨主張し,平成17年11月14日陳述の同月9日付け準備書面では,本件収支報告書に記載された食料費等及び食糧費等の支出実態が明らかにされていないから,上記食料費等・食糧費等全額が本件使途基準に反する違法支出である旨主張したうえで,同年11月25日,原審裁判所に対し,本件両会派の各経理責任者に対して平成15年度政務調査費の「会議費」項 ないから,上記食料費等・食糧費等全額が本件使途基準に反する違法支出である旨主張したうえで,同年11月25日,原審裁判所に対し,本件両会派の各経理責任者に対して平成15年度政務調査費の「会議費」項目に該当する個々の支出が,。 記載されている会計帳簿等の提出を求めて文書提出命令の申立てをした同申立書には,文書の趣旨として「会議費項目の主な支出である食料,,」費等及び食糧費等の個々の支出が目的外支出であり違法支出であることと記載され,証明すべき事実としても同旨の記載がある。 原審裁判所は,同月30日,本件両会派の各経理責任者に対し,上記文書提出命令の申立てに対する意見等を求める審尋書を送付するなどして,- 18 -本件両会派の各経理責任者を審尋したが,何らの回答もなかったので,平成18年1月23日,本件両会派の各経理責任者に対し,会計帳簿中,本件各支出が記載されている部分及び同支出に関する領収書等(以下「本件」。)(「」領収書等というの提出を命ずる決定をし以下原審文書提出命令という,同決定正本は,同月25日,本件両会派の各経理責任者に送。)達された。しかし,本件両会派の各経理責任者は,本件領収書等を提出しなかった。 エ原審裁判所は,同年4月1日,本件両会派の各経理責任者に対し,原審文書提出命令に応じなかった理由について陳述書を提出するよう催告する陳述書提出催告書を送達したが,陳述書は提出されなかったので,同月20日,本件両会派の各経理責任者をそれぞれ過料金10万円に処する決定をし,同決定正本は,同月21日,本件両会派の各経理責任者に送達された。 オ原判決は,同年6月19日に言い渡されたが,控訴人は,同月20日,これを不服として本件控訴を提起した。 カ控訴人は,同年9月27日の当審第1回口頭弁論期日にお 会派の各経理責任者に送達された。 オ原判決は,同年6月19日に言い渡されたが,控訴人は,同月20日,これを不服として本件控訴を提起した。 カ控訴人は,同年9月27日の当審第1回口頭弁論期日において「本件,各支出の全額を飲食代金と認定すべきである」旨(控訴理由書)及び「会議費の金額の51%以上の金額が食事代金に充てられたと認定するのが相当である」旨(同月26日付け準備書面)主張するとともに,本件両会派の各経理責任者に対して本件領収書等の提出を求めて,文書提出命令の申立てをした。同申立書には,証明すべき事実として「本件収支報告書に,記載されている会議費項目支出のうちの食料費等及び食糧費等の金額」と記載されていた。当裁判所は,同年11月16日,本件両会派の各経理責任者に対し,上記文書提出命令の申立てに対する意見を求める審尋書を送付するなどして,本件両会派の各経理責任者を審尋したが,何らの回答もなかったので,同年12月15日,本件両会派の各経理責任者に対し,本- 19 -(「」。),件領収書等の提出を命ずる決定をし以下当審文書提出命令という同決定正本は,同月16日,本件両会派の各経理責任者に送達された。しかし,本件両会派の各経理責任者は,本件領収書等を提出しなかった。 キまた,控訴人は,上記当審第1回口頭弁論期日において,本件収支報告書記載の使途の細目・主たる出費,原審文書提出命令を拒否した理由等を尋問事項とし,市民会議の経理責任者であるAと議員会の経理責任者であるBを証人として,証人尋問の申出をした。 ,,当裁判所は平成19年1月15日の当審第3回口頭弁論期日において上記証人尋問の申出にかかるAとBを証人として採用した。 ク当裁判所は,同月18日,本件両会派の各経理責任者に対し,当審文書提出命令に応じなかった 成19年1月15日の当審第3回口頭弁論期日において上記証人尋問の申出にかかるAとBを証人として採用した。 ク当裁判所は,同月18日,本件両会派の各経理責任者に対し,当審文書提出命令に応じなかった理由について陳述書を提出するよう催告する陳述書提出催告書を送達したが,陳述書は提出されなかったので,同年2月8日,本件両会派の各経理責任者をそれぞれ過料金20万円に処する決定をし同決定正本は同月9日本件両会派の各経理責任者に送達されたな,,,(お,証人Bは,当審文書提出命令の決定正本を見ていない旨証言するけれども,一方で,過料の制裁を受けたことは知っており,市役所内に会派の事務所があり,会派宛てに郵便があった場合,会派の事務員か市の一定の立場の人など郵便物を受ける担当の人がいると思うとも証言しており,証人Bの上記証言は,上記各送達の効力を左右するものではない。 。)ケ証人Aは,同年4月11日の当審第4回口頭弁論期日において,病気療養を理由として出頭せず,同年9月26日の当審第7回口頭弁論期日において,病気・体調不良を理由として出頭しなかった。 証人Bは,同年4月11日の当審第4回口頭弁論期日において,金沢市議会議員選挙出馬による多忙を理由として出頭せず,同年9月26日の当審第7回口頭弁論期日に出頭し,証人尋問が実施された。同証人尋問において,証人Bは,経理責任者は充て職であり,各議員から渡され- 20 -た書類を事務的に整理して会長に渡しただけで,前任者から引き継いだ書類もなく,政務調査費に関する会計帳簿や領収証が今どこにあるのか分からない旨証言した。 コ結局,当審の口頭弁論終結に至るまで,本件領収書等は提出されず,また,控訴人からも被控訴人からも,本件各支出の内訳を明らかにする証拠は提出されなかった。 ( ) とこ か分からない旨証言した。 コ結局,当審の口頭弁論終結に至るまで,本件領収書等は提出されず,また,控訴人からも被控訴人からも,本件各支出の内訳を明らかにする証拠は提出されなかった。 ( ) ところで,平成14年法律第4号による改正後の地方自治法242条の2 第1項4号において,住民訴訟の相手方が当該普通地方公共団体の執行機関又は職員とされた趣旨は,一般に次のとおりであると解されている。すなわち,住民訴訟制度は地方公共団体の財務会計上の違法行為の予防又は是正を目的とするものであるが,旧地方自治法242条の2第1項4号に基づく訴訟(以下「旧4号訴訟」という)においては,住民が当該地方公共団体に。 代位して,個人としての長や職員等を直接相手方としてその個人責任を追及するという訴訟形態を採用していたのであるが,このような訴訟形態を採りながら,多くの場合,財務会計行為の前提となっている地方公共団体の政策判断や意思決定が争われる実情にあった。そこで,上記改正法においては,地方公共団体が長や職員等に対して有する損害賠償請求権・不当利得返還請求権等について地方公共団体が適切な対応を行っていないとして,当該地方公共団体の執行機関等を住民訴訟の被告として,個人としての長や職員等に対して損害賠償等を請求することを求める訴訟に再構成し,当該執行機関等が敗訴した場合には,当該執行機関等が個人としての長や職員等に対して上記請求をすることとしたものであり,このような制度改正により,地方公共団体が有する証拠や資料の活用が容易になり,審理の充実や真実の追究にも資するものとなり,さらに,このような審理を通じて地方公共団体として将来に向けて違法な行為を抑止していくための適切な対応策が講じやすくなると考えられ,それとともに,長や職員個人にとっては,裁判で直接被告とな となり,さらに,このような審理を通じて地方公共団体として将来に向けて違法な行為を抑止していくための適切な対応策が講じやすくなると考えられ,それとともに,長や職員個人にとっては,裁判で直接被告とな- 21 -ることに伴う各種負担を回避できることになるというのである。 しかしながら,本件は,財務会計行為の前提となっている金沢市の政策判断や意思決定が争われる事例ではないし,金沢市は,本件領収書等を有しておらず,その有する証拠や資料の活用が容易になり,審理の充実や真実の追究にも資するものとはいえない。また,交付された政務調査費を具体的に支出するのは本件両会派ないしその所属議員であるから,本件訴訟を通じて地方公共団体として将来に向けて違法な行為を抑止していくための適切な対応策が講じやすくなるとも直ちにいい難い。したがって,本件訴訟は,上記地方自治法改正の趣旨が適合し難い訴訟類型であるといわざるを得ない。 また,上記改正法の4号訴訟制度においても,当該個人としての長や職員等は,執行機関等が敗訴した場合には,当該執行機関等から請求を受ける立場にあって,潜在的あるいは究極的には相手方たる立場にあり,むしろ,実質的利害関係からすれば,被告と同等の立場にあるものと解するのが相当で。 ,,あるそうであるからこそ上記改正後の地方自治法242条の2第7項は上記4号訴訟が提起された場合には,執行機関等は当該個人としての長や職員等に対して遅滞なく訴訟告知をすべき旨定めていると解される。 ( ) 本件においては,前記( )のとおり,本件両会派は,本件訴訟の初期の段 階に訴訟告知を受けており,したがって,本件訴訟に補助参加人として参加することが可能であったものであり,本件訴訟に参加した上で本件各支出を正当化する主張,証拠等の訴訟資料を提出することが可能であっ 階に訴訟告知を受けており,したがって,本件訴訟に補助参加人として参加することが可能であったものであり,本件訴訟に参加した上で本件各支出を正当化する主張,証拠等の訴訟資料を提出することが可能であったものである。加えて,本件両会派は,上記訴訟告知並びに前記文書提出命令及び証人尋問の手続を通じて,本件各支出の内訳及びその適法性が本件訴訟の最も重要な争点となっていることを十分認識していたはずである。それにもかかわらず,本件両会派は,本件訴訟に参加せず,何らの訴訟資料を提出することもなかった。 また,本件両会派の各経理責任者は,前記のとおり,原審文書提出命令及- 22 -び当審文書提出命令を受けたにもかかわらず,本件領収書等を提出せず,原審及び当審において,過料の制裁を受けた。そして,本件両会派の各経理責任者は,本件訴訟の証人として採用されたが,市民会議の経理責任者は体調不良等を理由として出頭せず,議員会の経理責任者は出頭し,証人尋問が実施されたが,本件条例が本件領収書等の保管義務を定めているにもかかわらず,本件領収書等が今どこにあるのか分からないなどと証言した。 ( ) 以上認定判示してきたところからすれば,本件両会派は,本件訴訟におい て,当事者に準ずべき地位にあり,本件各支出の内訳及びその適法性を明らかにし,領収書等の資料を明示すべき立場にあったものというべきであり,かつ,これに係る領収書等の客観的資料のほとんどは本件両会派が保有し,提出することが容易であったことが明らかであるにもかかわらず,本件両会派は,原審及び当審文書提出命令等を受けながら,これを一切提出しなかったものであって,本件の場合,本件両会派から本件領収書等が提出ないし提示されない限り,控訴人においても被控訴人においても,本件各支出の具体,,,的内容を把握し主張 がら,これを一切提出しなかったものであって,本件の場合,本件両会派から本件領収書等が提出ないし提示されない限り,控訴人においても被控訴人においても,本件各支出の具体,,,的内容を把握し主張立証することは著しく困難であることを考慮すると本件両会派の上記対応は,本件各支出の具体的内訳に関する控訴人の主張・立証を妨害し,本件事案の解明を著しく阻害したものというべきである。 このような場合に,本件各支出の内訳を明らかにする証拠は一切提出されていないから本件各支出のうちのどの部分が飲食代金に充てられたかは不明であるとして,控訴人の本訴請求を排斥する結果となると,地方議会の審議能力を強化してその活性化を図り,地方議員の調査活動の基盤を強化させる観点から,議会における会派又は議員に対する調査研究費等の助成を制度化するとともに,情報公開を促進し,その使途の透明性を確保しようとした地方自治法100条13項及び14項の趣旨を没却することになるし,上記規定の趣旨に照らしても,本件両会派の上記対応は,甚だ不誠実かつ不当なものというべきであり,本件両会派のかかる態度を容認することは,前記住民- 23 -訴訟の本来の趣旨をも没却するもので,到底許されないものといわなければならない。 ( ) 以上( )ないし( )に判示したところを考慮し,民事訴訟法224条1項, 3項の立法趣旨を斟酌すると,本件においては,控訴人が,本件各支出中の飲食代金部分について,一定の客観的根拠に基づいて相応の合理性がある主張・立証をした場合には,被控訴人(又は本件両会派)において,的確な反論・反証を提出しない限り,上記主張・立証額をもって,本件各支出中飲食代金に充てられた部分であると認めるのが相当である。 ( ) これに対し,被控訴人は,本件の場合,本件両会派が当事者で て,的確な反論・反証を提出しない限り,上記主張・立証額をもって,本件各支出中飲食代金に充てられた部分であると認めるのが相当である。 ( ) これに対し,被控訴人は,本件の場合,本件両会派が当事者ではなく第三 者に当たることは当然であり,本件両会派が文書提出命令に従わなかったとしても,過料以上の制裁を受けることはないし,原審裁判所は,既に本件両会派に対して,過料の制裁を科しているのであるから,今更,それ以上の制裁,すなわち,当該文書の記載に関する相手方の主張を真実と認めることはできない旨主張する。 しかしながら,過料の制裁は,文書の所持人による提出義務の履行を確保し,文書提出命令を実効あらしめるための制度であり,これによって間接的に文書の提出を強制しようとするものであるから,本件のように,第三者ではあるものの当事者に準ずる者と解すべき場合にあっては,まずは過料の制裁によって文書の提出を促すのが相当というべきであるが,過料の制裁を課したからといって,上記所持人がなお不提出の場合に,本件の争点に係る事実の認定判断に当たってその不提出の事実・経過等を考慮に入れることが許されなくなるいわれはない。 ( ) しかして,控訴人は,前記第2の3( )《控訴人の主張》ア(カ)において, 本件収支報告書(甲3)における平成15年度政務調査費中の会議費の記載と,本件各支出中飲食代金部分は違法な支出であると判示した原判決後に提出された平成18年度政務調査費の収支報告書(乙32,33)中の- 24 -会議費の記載とに基づき,両者の対比から,本件各支出中,違法な食料費・食糧費部分は,市民会議が1172万6878円であり,議員会が370万2465円であったものと推認できる旨主張している。 控訴人の上記主張は,本件両会派の提出した本件収支報告書及び平成1 な食料費・食糧費部分は,市民会議が1172万6878円であり,議員会が370万2465円であったものと推認できる旨主張している。 控訴人の上記主張は,本件両会派の提出した本件収支報告書及び平成18年度政務調査費収支報告書という客観的資料に基づく推定計算(差額計算)であり,前記( )に説示したところも考慮すると,上記推定計算方法に は相応の合理性があるものということができるところ,被控訴人は,これに対する反論・反証を提出せず,提出の意思も示していない(なお,前記のとおり,本件両会派は,本件各支出中飲食代金部分の金額等に関する控訴人の主張・立証に対して反論・反証等を提出する姿勢は一切示していない)から,上記各金額をもって,本件各支出中飲食代金に充てられた部分。 であると認めるのが相当である。 () そうすると,本件両会派は,平成15年度政務調査費のうち上記( )の各 金額に相当する部分を,本件使途基準に反して許されざる使途に支出したものというべきである。したがって,本件両会派は,上記各部分を,法律上の原因なく不当に利得したものというべきであり,上記各部分と同額の金員を金沢市に返還すべき義務を負い,他方,金沢市は,本件両会派に対し,上記部分と同額の不当利得返還請求権を有するに至ったというべきである。 以上によれば,控訴人の請求は,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,被控訴人に対し,不当利得返還請求権に基づき,市民会議に対しては利得金1172万6878円及びこれに対する平成17年6月24日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を,議員会に対しては利得金370万2465円及びこれに対する上記同日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を,それぞれ金沢市に対し支払うよう 民法所定の年5分の割合による遅延損害金を,議員会に対しては利得金370万2465円及びこれに対する上記同日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を,それぞれ金沢市に対し支払うよう請求することの義務付けを求める限度で理由があるが,その余は理- 25 -由がない(なお,上記のとおり,不当利得返還請求権に基づく請求について判断する以上,追加的に変更された不法行為による損害賠償請求権に基づく請求について判断する必要はない。 。),,。 よってこれと異なる原判決を変更することとして主文のとおり判決する名古屋高等裁判所金沢支部第1部裁判長裁判官渡辺修明裁判官沖中康人裁判官加藤員祥
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