昭和57(行コ)9 違法支出差止等請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
昭和57年8月20日 大阪高等裁判所
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【DRY-RUN】○ 主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 ○ 事実 控訴人は「原判決を取消す。被控訴人洲本市長は、洲本市行政職職員の現に受ける 号給とその一号下位の号給との差額分を支出してはなら

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判決文本文3,689 文字)

○ 主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 ○ 事実 控訴人は「原判決を取消す。被控訴人洲本市長は、洲本市行政職職員の現に受ける 号給とその一号下位の号給との差額分を支出してはならない。被控訴人洲本市長が 昭和五〇年一二月二六日に洲本市行政職職員に対してなした同年一〇月分から一号 給昇給させる旨の処分を取消す。被控訴人Aは洲本市に対し、金三〇〇〇万円及び これに対する昭和五二年二月九日から支払済まで年五分の割合による金員を支払 え。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。」との判決ならびに仮執 行の宣言を求め、被控訴人らは主文同旨の判決を求めた。 当事者双方の主張及び立証は、次に記載するほか原判決事実摘示と同一であるから これを引用する(ただし原判決七枚目表二行目「反する」を「対する」と改め る。)。 (当審における控訴人の主張) 一 改正条例は行政法規不遡及の原則に反し無効である。本件訴訟は公金支出の違 法性を問うものであるから、給与を受ける市職員の利益が害されるか否かのみでな く、違法な公金支出により市財政すなわち市民の一般的利益が害される側面からも 検討されるべきであり、この見地からすると右改正条例は市財政に不利益を与える 遡及効を付与するものであつて、行政法規不遡及の原則に反する。 二 右改正条例は本件訴訟の対策として被控訴人市長が市議会に上程したものであ るが、以下の事由により議会における廃止等の手続を経るまでもなく違法であり無 効である。本件昇給処分が違法であることは原判決認定のとおりであるが、右改正 条例はこの違法行為を追認する内容のものであるから、その内容自体が違法なもの である。 また右改正条例は、本件昇給処分により条例外の経費を支出したうえで、これを糊 塗しようとして制限されたものであるから地方自治法二条一三項に違反する。 地 のであるから、その内容自体が違法なもの である。 また右改正条例は、本件昇給処分により条例外の経費を支出したうえで、これを糊 塗しようとして制限されたものであるから地方自治法二条一三項に違反する。 地方自治法は会計年度独立の原則をとるところ、右改正条例は本件昇給処分に基づ く昭和五〇年一〇月一日から同五四年に至る違法支出を昭和五〇年一〇月一日に遡 つて追認しようとするものであるから、同法二〇八条、同法施行令一四三条一項二 号に違反する。 本件昇給差額分の支出は、同法二三二条の四、五に違反していたことは改正前給与 条例の解釈上明白であり(これは原判決も認めるところである)、右支出の違法性 は改正条例の制定によつて治癒されるものではない。けだし、右法条の趣旨は支出 当時における合法性を要求しているものであるからである。 仮に改正条例が効力を有するとしても、その有効性は改正条例施行後に限定される から、同条例が公布施行された昭和五四年一二月二一日までの違法性は右条例によ つても治癒されない。給与等の増額支給の条例は遡及して適用することができると しても、会計年度独立の原則上当該年度を更に遡及することは許されないから、右 改正条例の属する昭和五四年度に支給された昇給差額分はともかくとして、昭和五 三年度以前の支給分は違法な支出たるを免れない。 (当審における被控訴人らの主張) 一 地方公共団体の職員の給与は条例で定めることになつている。その条例は議会 の議決事項である。条例は、議会の議決に違法があつたり内容が地方自治法その他 の法令に違反しない限り、違法無効をもつて論ずることはできない。本件改正条例 については何等の違法原因は存在しない。 二 昇給に関する条例はすべて遡及して適用しているのが通例である。 三 控訴人の当審におけるその余の主張は争う。 (当審における証拠関係)(省略) 。本件改正条例 については何等の違法原因は存在しない。 二 昇給に関する条例はすべて遡及して適用しているのが通例である。 三 控訴人の当審におけるその余の主張は争う。 (当審における証拠関係)(省略) ○ 理由 一 当裁判所は控訴人の本訴請求をいずれも失当として棄却すべきものと認めるも のであつて、その理由は次に記載するほか原判決理由説示と同一であるからこれを 引用する。 原判決一〇枚目裏八行目「おける」の次に「が」を、同一一枚目表六行目「特例」 の次に「を定めたもの」を加え、同裏四、五行目「に適合するのでないかぎり条例 一三条一項」を削除し、同五行目「規則」の前に「給与」を、同一二枚目表四行目 「被告は」の前に「この点に関し、」を、同七行目「可決され」の前に「洲本市議 会において」を、同裏四行目「改正条例を」の次に「本件昇給処分後の」を、同一 三枚目表三行目「一号昇給」の次に「の差額」を、同五行目「給与」の前に「昇給 差額分の」を各加える。 同一二枚目裏八行目「しかしながら」以下一三枚目裏九行目までを次のとおり改め る。 「そうすると、本件昇給処分は昭和五四年十一月二十一日に改正条例が公布施行さ れるまでは、条例に基づかない処分として違法ではあつたが、右公布施行の結果、 同条例の遡及効により、処分時の条例上の根拠が追完されたことになるから右処分 は条例に適合した処分であつたと評価でき、従つて処分の時に遡つて適法になつた というべきである。また、本件昇給処分による差額分の給与の支給も、右公布施行 の結果、これに相応じて支給の時に遡つて適法な支出になつたとみるべきことはい うまでもない。 五 (結論)ところで、原告の請求はいずれも右認定に反し本件昇給処分が現に違 法であることを前提とするものであるから、結局失当として棄却するほかはな い。」 二 当審における控訴人の主張に対す もない。 五 (結論)ところで、原告の請求はいずれも右認定に反し本件昇給処分が現に違 法であることを前提とするものであるから、結局失当として棄却するほかはな い。」 二 当審における控訴人の主張に対する判断 控訴人は、改正条例の遡及適用に関しては給与を受ける市職員の利益が害されるか 否かのみではなく、違法な公金支出により市財政すなわち市民の一般的利益が害さ れる側面からも検討されるべきである旨主張する。しかし、地方公共団体の職員に 対する給与については給与条例主義が採用され、納税者である市民の一般的利益 は、住民の代表である議会が給与条例の制定を通じて給与をコントロールすること によつて既に保障されているものというべきであるところ、成立に争いのない乙第 一七号証によれば、本件改正条例は洲本市議会総務常任委員会の審査を経たうえで 定例市議会で可決成立したものであることが明らかであるから、その余の点につい て検討するまでもなく控訴人の右主張は理由がない。 次に、控訴人は改正条例は違法な本件昇給処分を追認し、条例外支出を糊塗するた めに制定されたものであるから違法である旨主張するが、本件昇給処分が違法であ り、これに基づく給与の支払が違法とされるのは、前判示のとおりかかる取扱が条 例上の根拠に基づかないからなのであつて、これと給与条例をどのように改正し、 どのように遡及適用するかということは次元を異にする事柄である。後者は給与条 例主義に基づき住民の自治により議会によつて審理決定されるものであつて、提案 者である被控訴人市長の意図が奈辺にあれ、議会で審議されたうえで可決成立した 以上はその内容が地方自治法等の法令に違反しない限り有効なものというべきであ るところ、右改正条例の内容が法令に違反することを認めるに足る証拠はない。従 つて控訴人の右主張は彼此混同するものであつて理由がな はその内容が地方自治法等の法令に違反しない限り有効なものというべきであ るところ、右改正条例の内容が法令に違反することを認めるに足る証拠はない。従 つて控訴人の右主張は彼此混同するものであつて理由がない。 更に、控訴人は改正条例は会計年度独立の原則に反する旨主張する。しかし給与条 例の内容が職員の利益になる場合は遡及適用することが可能であることは前判示の とおりであり、この場合年度を超えて遡及することも、予算上の問題がない限り差 支えないものと解すべきところ、本件改正条例につき予算上の支障があることを認 めるに足る証拠はない。従つて控訴人の右主張は理由がない。 最後に、控訴人は本件昇給差額分の支出の違法性は改正条例の制定によつても治癒 されない旨主張するが、右主張が理由のないことは前判示のとおりである。 三 以上の次第であるから控訴人の本訴請求をいずれも棄却した原判決は相当であ つて、本件控訴は理由がないのでこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき 民訴法九五条、八九条を適用して主文のとおり判決する。 (裁判官 荻田健治郎 井上 清 渡邊雅文)

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