令和3(ワ)5462 損害賠償等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和5年9月29日 名古屋地方裁判所
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判決文本文25,467 文字)

- 1 -令和5年9月29日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和3年(ワ)第5462号損害賠償等請求事件口頭弁論終結日令和5年8月4日判決 主文 1 被告k学園は、原告に対し、10万円及びこれに対する令和4年1月15日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 2 原告の被告k学園に対するその余の請求及び被告愛知県高野連に対する請求を棄却する。 3 訴訟費用は、原告に生じた費用と被告k学園に生じた費用の各20分の1を 被告k学園の負担とし、その余は全て原告の負担とする。 4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 請求 1 被告k学園は、原告に対し、200万円及びこれに対する令和4年1月15 日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 2 被告愛知県高野連は、原告に対し、10万円及び令和4年1月15日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は、被告k学園設置のk高等学校(以下「本件高校」という。)の野球部 に在籍していた原告が、被告k学園に対して、①原告が野球部の部員から受けたいじめに関して重大事態調査組織の設置を怠るなどした安全配慮等義務違反、②原告が転入学する際に転入学に協力する義務を怠った転入学協力義務違反、③いじめの事実を被告愛知県高野連に報告しなかった報告義務違反によって、精神的苦痛を被ったとして、在学契約上の債務不履行に基づき、慰謝料2 00万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である令和4年1月15日から- 2 -支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに、被告愛知県高野連に対して、被告k学園に対する適切 びこれに対する訴状送達の日の翌日である令和4年1月15日から- 2 -支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに、被告愛知県高野連に対して、被告k学園に対する適切な調査をしなかったことによる調査義務違反があるとして、不法行為に基づき、慰謝料10万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である同日から支払済みまで同割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いがない事実並びに掲記の各証拠(特に枝番を付記しない場合は全枝番を含む。以下同様。)及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実)⑴ 原告(平成▲年▲月▲日生)は、小学校2年生の時に野球を始め、令和3年4月、本件高校に部活動奨学生B(AないしCの3段階の中位にあり、特 に優秀な素質と東海大会出場、県大会入賞又はそれに準ずる実績を持ち、人物に優れ、将来性豊かな者とされ、入学金の半額と月額5000円が給付される(甲11)。)として入学し、野球部に在籍し本件高校の野球部の寮で生活していた(争いがない)。 ⑵ 被告k学園は、本件高校を設置した学校法人であり、本件高校の野球部は 被告愛知県高野連に加盟している。本件高校の野球部では、原告の入学当時、監督としてa(以下「a監督」という)、コーチとしてb(以下「bコーチ」という)及びc(以下「cコーチ」という)が務めており、同年7月26日にcコーチが監督に就任した(争いがない)。 ⑶ 被告愛知県高野連は、全国高等学校野球選手権大会の愛知県大会などの大 会を主催し、加盟校の野球部活動に指導・助言を行う組織である(甲4、争いがない)。 ⑷ 原告は、野球部の部員からいじめを受けたとして、同月2日から同月4日まで、同月12日から同月25日までの2回 を主催し、加盟校の野球部活動に指導・助言を行う組織である(甲4、争いがない)。 ⑷ 原告は、野球部の部員からいじめを受けたとして、同月2日から同月4日まで、同月12日から同月25日までの2回、野球部の寮から一時自宅に帰り、同月27日、野球部を辞め、退寮した(争いがない)。 ⑸ 原告は、同年7月29日、被告k学園に対し、転学願を提出した(甲9、- 3 -10)。 ⑹ 被告k学園は、同年8月24日、原告及び野球部の部員に対し、野球部において原告に対して行われた行為に関する聞き取り調査を実施した(甲8)。 ⑺ 原告は、同年9月1日から同月30日まで、学校を欠席した(争いがない)。 ⑻ 原告は、同年9月13日、h高等学校(以下「h高校」という。)の転入学 試験を受け、同日合格した(争いがない)。 ⑼ 原告は、同年10月1日、h高校に転入学した(甲10)。原告は、h高校への転入学後、野球部への入部を許可されなかった(争いがない)。 3 争点及び争点に関する当事者の主張⑴ 争点1 被告k学園の安全配慮義務違反ないし就学環境整備義務違反の有 無(原告の主張)ア被告k高校は、原告が受けたいじめに対する対処を怠り、安全配慮義務ないし就学環境整備義務に違反した。 イ原告は、本件高校の野球部のほとんどの部員が入寮する全寮制の環境に おいて、原告が特別指導を受けた後、cコーチから授業で無視されるなど不適切な指導を受けたことに起因して、令和3年5月下旬から同年7月まで、野球部の同級生や上級生ら複数から、継続的に、野球部のメンバーでないという意味の「バー外」とあだ名をつけられ、「黙れ、殺すぞ。」「死ね。」などと罵倒され、さげすまれたりしたほか、私服や帽子を風呂で濡らされ、 食 ら複数から、継続的に、野球部のメンバーでないという意味の「バー外」とあだ名をつけられ、「黙れ、殺すぞ。」「死ね。」などと罵倒され、さげすまれたりしたほか、私服や帽子を風呂で濡らされ、 食器用洗剤、シャワーの熱湯、バケツの水をかけられるなどのいじめを受け、2度も寮を出て一時帰宅することを余儀なくされたが、本件高校により適切な対処がなされず、原告に何の説明もない状態で、cコーチが同月26日に野球部の監督に就任するに至り、原告は、本件高校の野球部にいることは不可能だと感じ、同月27日、野球部を辞めざるを得なかった。 ウ被告k学園は、本件高校の設置者として、信義則上、学校における教育- 4 -活動及びこれに密接に関連する生活関係における生徒の安全の確保に配慮すべき義務があり、生徒の生命、身体、精神、財産等に悪影響ないし危害が及ぶおそれがあるようなときには、そのような悪影響ないし危害の現実化を未然に防止するため、その事態に応じた適切な措置を講じる一般的な義務があるというべきである。 また、被告k学園において、野球部の寮が安全に運営され、指導者によるいじめのきっかけになりそうな行為を厳に控え、いじめが起きたときは事実関係を正確に調査し、いじめにあった生徒やその保護者に対して、適切な報告・説明を行うといった就学環境を整備する義務がある。 そして、上記イの原告が受けたいじめは、いじめ防止対策推進法2条1 項の「いじめ」に該当するのは明らかなところ、同法23条は、要旨、学校は、いじめの通報を受けたときその他当該学校に在籍する児童等がいじめを受けていると思われるときは、速やかに、当該児童等に係るいじめの事実の有無の確認を行うための措置を講ずるとともに、その結果を当該学校の設置者に報告しなければならず、また、いじめが る児童等がいじめを受けていると思われるときは、速やかに、当該児童等に係るいじめの事実の有無の確認を行うための措置を講ずるとともに、その結果を当該学校の設置者に報告しなければならず、また、いじめがあったことが確認さ れた場合には、いじめをやめさせ、及びその再発を防止するため、当該学校の複数の教職員によって、心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者の協力を得つつ、いじめを受けた児童等又はその保護者に対する支援を継続的に行うものとすると規定し、同法28条は、「学校の設置者又はその設置する学校は、」「いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身 又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。」「いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。」「には、その事態(以下「重大事態」という。)に対処し、及び当該重大事態と同種の事態の発生の防止に資するため、速やかに、当該学校の設置者又はその設置する学校の下に組織を設 け、質問票の使用その他の適切な方法により当該重大事態に係る事実関係- 5 -を明確にするための調査を行うものとする。」と規定し、被告k学園は、安全配慮義務ないし就学環境整備義務の一環として、これらの措置を講ずる義務を負っていたものである。 エ具体的には、被告k学園には、①遅くとも原告が2回目に自宅に帰った同月12日の時点において、同法28条に基づき、「重大事態」に対処する ため、本件高校に重大事態調査組織を設置すべきであり、②仮に「重大事態」でなかったとしても、同日の時点において、同法23条に基づき、被告k学園が定めている「k高等学校いじめ防止基本方針」による「いじめ対策委員会」において、原告及び野球部の部員から情報収集し、いじめ 態」でなかったとしても、同日の時点において、同法23条に基づき、被告k学園が定めている「k高等学校いじめ防止基本方針」による「いじめ対策委員会」において、原告及び野球部の部員から情報収集し、いじめかどうか判断し、指導・支援体制を組むべきであり、③同日から同月19日 頃までの時点において、同条に基づき、原告の保護者がcコーチと面談することを含め、cコーチに対する不信感や不安感を払しょくする措置を講じる義務があった。 オしかるに、被告k学園は、本件高校において、何らの組織も設置せず、漫然と原告に寮へ戻るよう説得するのみであり、野球部以外の教職員が参 加して情報収集や指導・支援体制を組むこともなく、cコーチが監督に就任することによる原告の不安を減らす努力を一切せず、安全配慮義務ないし就学環境整備義務に違反した。 (被告k学園の主張)ア一般論として、被告k学園が、在校生に対して安全配慮義務を負ってい ることは認めるが、原告が主張する具体的な3つの安全配慮義務を負っていたことは争う。就学環境整備義務については具体的な内容が不明であり、争う。 イ原告に生命心身財産上の重大な被害は生じておらず、原告の欠席日数は1日であることから、いじめ防止対策推進法28条の「重大事態」は発生 していない。したがって、被告k学園に重大事態調査組織を設置するべき- 6 -義務はない。 また、被告k学園は、原告からの話を聞いて事実関係を確認の上、生徒らに指導を行っており、現に原告は野球部の部員から謝罪を受けており、被告k学園は適切な対応を行った。 ウ cコーチが原告を無視したことはない。被告k学園は、令和3年7月1 9日に、原告及び原告の母とa監督との面談の機会を設けており、その際、原告から野球部へ k学園は適切な対応を行った。 ウ cコーチが原告を無視したことはない。被告k学園は、令和3年7月1 9日に、原告及び原告の母とa監督との面談の機会を設けており、その際、原告から野球部への在籍を続ける旨の回答がされた。したがって、被告k学園は、同月12日から19日頃までの時点において、原告の不信感・不安感を払しょくするための措置を取るべき義務を負うものではなかった。 ⑵ 争点2 被告k学園の転入学協力義務違反の有無 (原告の主張)ア被告k学園は、原告が本件高校から他校へ転入学する際に協力すべき義務を怠った。 イ転入学は、高等学校に在籍している生徒が他の高等学校へ移ることをいう。転入学の手続は、転入学を希望する生徒が通っている学校(以下「転 学元の学校」という。)が、転入学先の候補となっている学校(以下「転学先の学校」という。)と生徒から連絡を受けながら進めることが多い。 転入学をすることにより、退学をする必要がなく、学歴が継続することもあり、いじめにあった生徒にとっては転入学する重要性は非常に高い一方、転入学のために転学先の学校を確保するには困難が伴う。 転学元の学校は、争点1で主張したとおり生徒に対し一般的な安全配慮義務を負っているものであり、いじめが発生してしまった場合には、その悪影響や危害の現実化を未然に防止するため、その事態に応じた適切な措置を講じる義務を負っており、いじめを受けて転入学を希望している生徒に対しては、その義務の一環として転入学に協力する信義則上の義務を負 っているというべきである。その義務には、生徒の希望と転学先の学校の- 7 -要望に不一致がないか確認し、転学先の学校に生徒の希望を正確に伝えるととともに、生徒やその保護者に転入先が伝えた情報を正確に るというべきである。その義務には、生徒の希望と転学先の学校の- 7 -要望に不一致がないか確認し、転学先の学校に生徒の希望を正確に伝えるととともに、生徒やその保護者に転入先が伝えた情報を正確に説明する義務も含まれる。 ウ原告は、本件学校でいじめを受けたために転入学を検討し、いずれも野球部がある学校法人i高等学校(以下「i学園」という。)、j高等学校(以 下「j高校」という。)、h高校の3校を転学先の学校の候補としていたところ、原告は、部活動奨学生として本件高校に入学しており、転学先の学校を決める際にも、転入学後に野球部に入部できることを重要な点と捉えていた。 被告k学園においても、原告が部活動奨学生であり、転学先の学校を選 んだ際に野球部があることを理由として述べていたことなどから、原告が転学先の学校での野球部への入部を重要視していることを認識していた。 しかるに、被告k学園は、転学先の学校の候補である3校に対して、いじめの事実を認めず、「野球部の指導レベル」として「本人が嫌な思いをしたということは認識しているが、今のところ「いじめ」の重大案件として 扱っていない」と伝え、i学園及びj高校からは転入学を断られた。 また、h高校に対しては、原告及びその保護者に確認をせずに「野球部には入らない。転学を優先したい。」と伝えた上、h高校が野球部への入部を認めるかについて原告及びその保護者に伝えなかった。 その結果、原告は、h高校の転入学試験に合格した直後に、野球部には 入らないと聞いていると告げられ、野球を継続しようと考えていた原告の意向と齟齬していることが判明したが、既に新学期が始まっており、他に野球部に入れる高校を探すことも困難であったため、h高校に転入学し、いまだに野球部に入部することができていない。 と考えていた原告の意向と齟齬していることが判明したが、既に新学期が始まっており、他に野球部に入れる高校を探すことも困難であったため、h高校に転入学し、いまだに野球部に入部することができていない。 エそうすると、転学元の学校である本件高校の設置者たる被告k学園は、 具体的には、①転学先の学校である3校に対していじめの事実を認めて転- 8 -学に協力すべきであったが、いじめの事実を認めないことによりその義務を怠り、②原告が野球部に入りたいと思っていることをh高校に告げる義務があったがその義務を怠り、③h高校は原告が野球を継続しないことを転入学の条件と考えていることを原告に伝える義務があったがその義務を怠り、転入学協力義務に違反したものであり、原告は、転学先の学校の候 補からいじめを理由とした転入学を十分に検討してもらえない不利益を被り、転学先の学校の情報を正確に伝えられないことにより、自分に適した学校であるかを十分に検討できない不利益を被った。 (被告k学園の主張)ア被告k学園が、信義則上の転入学協力義務を負うことは否認する。信義 則を根拠として、そのような義務を負うものではない。 イ被告k学園は、令和3年8月18日、j高校から転入学の断りの連絡を受け、原告の母に連絡したところ、原告の母から「転学を優先したい」との意向を確認した。 ウ被告k学園は、同日、h高校に連絡をした際、h高校の副校長から野球 について尋ねられたことから、原告及び原告の母の意向として、「硬式野球を続けたい気持ちはあるが、まずは転学を優先したい。」と伝えた。また、h高校の副校長から、緊急回避措置の場合受入れは可能であり、学校長がいじめの事実を認め連絡すれば検討すると言われた。そこで本件高校の校長は、いじめという重大事案と 学を優先したい。」と伝えた。また、h高校の副校長から、緊急回避措置の場合受入れは可能であり、学校長がいじめの事実を認め連絡すれば検討すると言われた。そこで本件高校の校長は、いじめという重大事案とは認めないが、本人が精神的ストレスを抱 えていることから、緊急回避措置を適用して転入学試験の実施をお願いしたいと伝えた。また、h高校の校長から、原告は野球優先か転学優先かという点についての確認があったため、原告の意向として、まずは転学を優先したいと伝えた。被告k学園はh高校に対し、原告が野球部に入らないと伝えたことはない。 ⑶ 争点3 被告k学園の被告愛知県高野連に対する報告義務違反の有無- 9 -(原告の主張)アいじめは日本学生野球憲章(甲4、以下「学生野球憲章」という)2条2項、3項の規定に違反する行為である。また、日本高等学校野球連盟(以下「日本高野連」という)の定める「注意・厳重注意および処分申請等に関する規則」(甲5、以下「注意等に関する規則」という)は、第2章6条 1項において、加盟校は、学生野球憲章に違反する事実があると考え、または憲章の理念を実現するため注意・厳重注意が必要と考えるときは、直ちに事実関係を調査して、校長の認定事実、弁明及び措置等について各都道府県の高等学校野球連盟(以下「都道府県高野連」という。)に報告すべきことを定める。 イ本件高校の野球部では、原告に対するいじめの事実があり、被告k学園は、原告がいじめを原因として転学願を提出していることを知りながら、被告愛知県高野連への報告を怠った。また、被告愛知県高野連から、令和3年9月13日、同年10月9日、同月11日にいじめの事実確認があったにもかかわらず、「いじめはなかった」としていじめの事実を否認した 告愛知県高野連への報告を怠った。また、被告愛知県高野連から、令和3年9月13日、同年10月9日、同月11日にいじめの事実確認があったにもかかわらず、「いじめはなかった」としていじめの事実を否認した。 その結果、原告は、野球部の部員からいじめがあったこと及びいじめにより転入学をした事実が外部から明らかとならず、原告のわがままで転入学したように思われる精神的苦痛を被り、h高校から野球部の入部を検討してもらえない不利益を受けた。 ウしたがって、被告k学園には、被告愛知県高野連に対する報告義務違反 があった。 (被告k学園の主張)ア日本高野連の加盟校は、注意等に関する規則6条1項の都道府県高野連に対する報告義務を負うものではない。 イ被告k学園は、被告愛知県高野連から事実確認の連絡を受けたのみで、 報告するように助言されたことも、報告を求められたこともない。 - 10 -⑷ 争点4 被告愛知県高野連の調査確認義務違反の有無(原告の主張)ア学生野球憲章第7章26条は、日本高野連は、野球部、部員、指導者等が憲章に違反する行為をした場合には、注意または厳重注意をすることができると規定する(甲4)。また、注意等に関する規則第2章7条1項は、 都道府県高野連は、憲章に違反する事実があると考え、または憲章の理念を実現するため注意・厳重注意が必要と考えるときは、事実関係を調査し、認定事実、弁明及び措置等を日本高野連に報告するとの規定がある(甲5)。 イ日本高野連は、都道府県高野連の調査・報告を通じてのみ学生野球憲章 違反の事実を認識・把握することとなり、日本高野連が注意等をすべきと判断した場合にこれを実行するのも都道府県高野連である。そうすると、都道府県高野連は 連の調査・報告を通じてのみ学生野球憲章 違反の事実を認識・把握することとなり、日本高野連が注意等をすべきと判断した場合にこれを実行するのも都道府県高野連である。そうすると、都道府県高野連は、注意・厳重注意権限を日本高野連と一体となって行使するものであり、単に加盟校からの報告を受けて指導すれば良いというものではない。また、都道府県加盟校が違反行為を否定し報告書の提出を拒 むときは、加盟校に対し、日本高野連に連絡する旨を説明し、報告書の提出を促すとともに事実関係の調査・報告を行う義務を負う。 ウまた、大会参加者資格規程(甲7)は、転入学生は転入学から満1ヵ年を経過しなければ大会に出場できないことを原則としつつ、「止むを得ず転入学した」もので日本高野連が承認した生徒は1ヵ年を経ずとも大会に 出場できるとしており、いじめの事実は「止むを得ず転入学した」事項に該当し得る以上、大会参加者資格規程に影響する事項であった。そのため、被告愛知県高野連は、早急に本件高校での原告へのいじめの調査を開始する義務を負っていた。 エ被告愛知県高野連の理事は、令和3年10月11日頃、原告代理人に対 し、書面を見る限りいじめがあったように思うと述べており、被告愛知県- 11 -高野連は原告へのいじめの事実を認識していた。しかしながら被告愛知県高野連は、「ささいなトラブルはあったがいじめはなかった」という被告k学園の回答を受け、それ以上の調査をしなかった。したがって、被告愛知県高野連には、原告へのいじめについての調査確認義務違反があったといえる。 (被告愛知県高野連の主張)ア被告愛知県高野連が加盟校に対し調査権限を有することは争わないが、その権限は、加盟校に対して事実の有無を確認しその回答・報告を求め、 たといえる。 (被告愛知県高野連の主張)ア被告愛知県高野連が加盟校に対し調査権限を有することは争わないが、その権限は、加盟校に対して事実の有無を確認しその回答・報告を求め、加盟校からの報告書を受けて不備があれば指導するという範囲にとどまるものである。被告愛知県高野連は、加盟校の意思に反して加盟校に立ち 入り、資料を捜索するといった独自の調査権限を有するものではない。また、注意・厳重注意という指導措置は日本高野連が権限を有しており、都道府県高野連は権限を有していない。 イ被告愛知県高野連は、令和3年9月13日、本件高校野球部の監督であるa監督にいじめの事実の有無を尋ねたところ、「ささいなトラブルはあ ったが、いじめではない」との回答を得た。 また、同年10月9日、本件高校の部長にいじめの事実の有無を尋ねたところ、「学校として正式にいじめではないと判断した。」との回答を得た。 さらに、同月11日、同人に対し、再度いじめの事実の有無を尋ね、原告父から裁判に持ち込むという話があったことを伝えたところ、「学校が 正式にいじめではないと判断したものなので、裁判になってもやむを得ない。」との回答を得た。 ウ被告愛知県高野連は、その権限内において可能な限りの対応を行っており、このことについて原告に責任を負うものではない。 ⑸ 争点5 損害及び因果関係 (原告の主張)- 12 -ア原告は、被告k学園が、本件高校の野球部における原告へのいじめに対し適切な措置を執らなかったことにより、本件高校の野球部を辞めざるを得ないこととなった。また、被告k学園が、原告の転入学にあたり、原告及び原告の母に必要な説明及び確認を怠ったことにより、転学先の学校の 適切な措置を執らなかったことにより、本件高校の野球部を辞めざるを得ないこととなった。また、被告k学園が、原告の転入学にあたり、原告及び原告の母に必要な説明及び確認を怠ったことにより、転学先の学校の選択肢を奪われた。さらに、被告k学園がいじめの事実を認めず、被告愛 知県高野連に対する報告義務違反があったことにより、いじめの事実が明らかにならず、原告は転学先であるh高校において野球部への入部を検討してもらうことができなかった。これらの事情により原告は精神的苦痛を被り、その損害の合計額は200万円を下らない。 イ原告は、被告愛知県高野連が、本件高校の野球部における原告へのいじ めに対し調査を開始せず、被告k学園が処分されなかったことにより、転学先であるh高校において、野球部への入部を検討してもらえず、精神的苦痛を被った。その損害は10万円を下らない。 (被告k学園の主張)被告k学園の行為と、原告が野球部を退部したこととの間には相当因果関 係が認められない。また、h高校への転入学は原告が選択したことであり、被告k学園が原告の転学先の学校の選択肢を奪ったということはない。さらに、h高校において野球部への入部を検討するか否かはh高校の判断にかかるものであり、被告k学園の行為と、原告がh高校において野球部への入部を検討してもらえないことについては、相当因果関係が認められない。 (被告愛知県高野連の主張)大会参加者資格規程は、加盟校の野球部への入部を規制するものではなく、被告愛知県高野連の調査と、h高校が原告の野球部の入部を検討しないことは別の事項である。また、h高校が入部の可否を検討することは、h高校の判断にかかるもので、被告愛知県高野連は、これに関与することはできず、 その と、h高校が原告の野球部の入部を検討しないことは別の事項である。また、h高校が入部の可否を検討することは、h高校の判断にかかるもので、被告愛知県高野連は、これに関与することはできず、 その権限もない。 - 13 -第3 当裁判所の判断 1 認定事実前記前提事実、証拠(文中掲記の証拠、甲17、乙1、2、証人d、証人e、証人c)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 ⑴ 原告は、令和3年4月、本件高校の野球部に入部した。 ⑵ 原告は、同年5月10日頃、夜間にコンビニエンスストアに行き、警察官に深夜徘徊を注意され、パトカーで寮に連れられてきたことから、他の野球部員2人とともに特別指導を受けた。 ⑶ 1度目の帰宅まで(甲8)ア同月24日、原告は、同学年の野球部員(以下「同学年部員」という。) A、同Bから、特別指導の反省ができていないとして、携帯電話の使用禁止を伝えられた。 イ同年6月1日、原告は、同学年部員A、同Bから「バー外」(メンバー外の意味)、「デブ」といったあだ名をつけられ、2年生の野球部員(以下「2年生部員」という。)Cに着替えを寮の湯船の中に入れられた。 ウ同月5日、原告は、寮の同部屋で2年生部員Dから「黙れ、殺すぞ」と言われた。 エ同月15日、原告は、2年生部員Cに私服用の帽子をシャワーで濡らされ、同学年部員Bは、原告に断りなく、原告のクローゼットの服を取り出して自分のクローゼットに入れていた。 オ同月29日、同学年部員Bは、原告がテストでカンニングをしたと他の野球部員に言った。 ⑷ 同年7月2日、原告は自宅に帰り、同月3日、原告の母及びbコーチと話し合いをした。原告は、同月4日、寮に戻った。(争いがない)⑸ 2度目の帰宅まで( をしたと他の野球部員に言った。 ⑷ 同年7月2日、原告は自宅に帰り、同月3日、原告の母及びbコーチと話し合いをした。原告は、同月4日、寮に戻った。(争いがない)⑸ 2度目の帰宅まで(甲8) ア同月4日から10日の間、原告は、2年生部員Cに、お風呂で食器洗剤- 14 -をかけられ、シャワーで火傷をしない程度の熱湯をかけられ、バケツで水をかけられた。 イ同月10日、原告は、同級生部員Aに携帯電話のパスワードをかけられ、使えなくされた。 ウ同月12日、原告は、体育の授業中のグループ分けで同級生部員Aに「あ っちへ行け」と言われた(甲8)。 ⑹ 原告は、同日、自宅に帰り、同月13日、学校を欠席した。bコーチは、同日、原告宅を訪れて原告の父と面談し、同月17日に原告及び原告の母と話し合いをした。また、原告及び原告の母は、同月19日、a監督と話し合いをした。 ⑺ 同月25日、原告は寮に戻り、同月26日、2年生部員C、Dから謝罪を受けたが、原告には両名がしぶしぶ謝罪しているように感じられ、両名を含む2年生部員から避けられているように感じた(甲8)。 ⑻ 同日、野球部の新監督にcコーチが就任することが発表され、翌同月27日、原告は退寮し帰宅した。 ⑼ 原告の母は、同月19日に担任の教諭と個人懇談の機会を持ち、転入学の手続について質問し、転学をしたい生徒が転学先を見つけ、学校に依頼する流れであるとの説明を受けていたところ、原告が野球部を辞めるに至り、同月28日に、複数の私立高校や公立高校に転入学の可否について電話で問い合わせた。ほとんどの私立高校に断られ、公立高校には転入学ではなく1年 生からやり直すことになるといわれ、唯一、i学園からいじめなら受け入れ可能で 校や公立高校に転入学の可否について電話で問い合わせた。ほとんどの私立高校に断られ、公立高校には転入学ではなく1年 生からやり直すことになるといわれ、唯一、i学園からいじめなら受け入れ可能であるとの回答を得た(甲9、弁論の全趣旨)。 ⑽ 原告は、令和3年7月29日、転学願(甲10)を提出した。被告k学園は、原告から転学願が提出されたことを受け、i学園に転入学の申入れを行った。(甲9) ⑾ 原告の母は、同年8月6日頃、i学園が県外の学校であったので、愛知県- 15 -内でも転入学を受け入れてくれる高校を探すため、私学協会に電話をかけ、いじめを理由とした転入学を認めている高校の一覧表の交付を受けた。原告は、一覧表の中から、野球部のあるj高校とh高校を転学先の学校として候補に選び、原告の父母は、両校に転入学の相談をした。原告の母は、同日頃、h高校に電話をかけ、原告がいじめを原因として転学したいこと、いじめが あったのは野球部であったことを伝え、転入学の可否を尋ねると、h高校のd副校長(以下「d副校長」という。)は、原則として愛知県内の全日制高校同士の転入学は認められないが、一家転住かいじめなどで緊急回避措置として受け入れ可能であると話した。原告の母は、h高校が野球強豪校ではなく、また、転入学により野球部に入部できた生徒がいると人づてに聞いたこ とがあったので、h高校に対して原告が野球部に入部希望であることは述べず、また、h高校から原告が入部希望であるかについても聞かれることはなかった。(原告準備書面⑺、弁論の全趣旨)⑿ 被告k学園は、同月10日、i学園からカリキュラムのずれを解消できないという理由で転入学の断りの連絡を受けた。被告k学園は、原告の父母か らj高校及びh高校に転入学の申入れを既に受けてい ⑿ 被告k学園は、同月10日、i学園からカリキュラムのずれを解消できないという理由で転入学の断りの連絡を受けた。被告k学園は、原告の父母か らj高校及びh高校に転入学の申入れを既に受けていたので、同日、両校へ申し入れることの許可を受けた(甲9)。 ⒀ 被告k学園は、同月18日、j高校から総合的に判断し受入れは難しいとして転入学の断りの連絡を受けた(甲9)。 ⒁ 被告k学園のe教頭(以下「e教頭」という。)とh高校のd副校長は、 同日、原告の転入学について電話で連絡を行い、d副校長は、いじめは非常にセンシティブな内容のため、十分に検討して校長間でやり取りしてほしいと伝え、会話の中で、e教頭はd副校長に対して、原告は転学を優先する意向であることを伝えた(甲9)。 ⒂ 同月23日、被告k学園は、原告の両親から、いじめ対策委員会及び生徒 指導部による調査を行うことについての許可を得た(甲9)。 - 16 -⒃ 同月24日、生徒指導部による聞き取り調査が実施され、原告及び他の野球部員らが回答した(甲8)。 ⒄ h高校のf校長(以下「f校長」という。)と被告k学園のg校長(以下「g校長」という。)は、同月25日、電話で話した。g校長はいじめという重大案件とは認めないが、本人の状況に鑑み、転入学を認めてほしいと頼み、原 告の意向として転学優先であることを伝えた(甲9)。h高校として、被告k学園がいじめとは認めていなかったが、g校長が直々に願い出たものであり、また、原告の状況を放置できないとして、転入学の試験を実施することに決めた。 ⒅ 原告は、令和3年9月13日、h高校の転入学試験を受験した。原告は、 面接試験において、髪型を坊主頭にし、「これからは、野球だけでなく、勉強も一生懸命頑張ります」と発言した。d めた。 ⒅ 原告は、令和3年9月13日、h高校の転入学試験を受験した。原告は、 面接試験において、髪型を坊主頭にし、「これからは、野球だけでなく、勉強も一生懸命頑張ります」と発言した。d副校長は、原告が野球部に入部できると認識していることに驚き、原告及び原告の母に対し、被告k学園から野球部には入らないと聞いているとして確認したところ、原告の母は「そんなこと一言も言っていないです」と答え、原告は「野球部に入部して野球を続 けたいです」と答えた。d副校長は、原告と原告の母に対して、h高校は転入学については合格を出しているが、h高校では野球部には入れない、もし、野球を続けたいというのであれば、合格は辞退してもらって、野球のできる学校へ行ってもいいと伝えた。 ⒆ 転入学試験から帰宅後、原告の母は、h学園に電話をかけ、やはり野球部 に入りたいという意向を伝えた。また、原告の母は、被告k学園にも電話をかけ、h高校が野球をやらないと言っていると話した。 ⒇ 転入学試験実施後、同日、h高校のf校長は、被告k学園のg校長に電話をかけ、認識の不一致が生じていることを伝えた。 (21) 原告は、野球部への入部ができなかったが、h高校に転入学をすることに した。 - 17 -(22) 被告愛知県高野連は、同年月13日、同年10月9日、同月11日に本件高校野球部に対し、いじめの確認を行ったが、本件高校からの回答はいずれも「いじめはない」というものであった(弁論の全趣旨)。 2 争点1(被告k学園の安全配慮義務違反ないし就学環境整備義務違反の有無)について ⑴ 被告k学園は、本件高校の設置者として、信義則上、学校における教育活動及びこれに密接に関連する生活関係における生徒の安全の確保に配慮すべき義務があり、生徒の生命 務違反の有無)について ⑴ 被告k学園は、本件高校の設置者として、信義則上、学校における教育活動及びこれに密接に関連する生活関係における生徒の安全の確保に配慮すべき義務があり、生徒の生命、心身、財産等に悪影響ないし危害が及ぶおそれがあるようなときには、そのような悪影響ないし危害の現実化を未然に防止するため、その事態に応じた適切な措置を講じる一般的な義務があるという べきである。 そして、いじめ防止対策推進法は、いじめが、いじめを受けた児童等の教育権の著しい侵害、心身の健全な成長及び人格形成への重大な影響、生命身体への重大な危険を生じさせるおそれがあることに鑑み、いじめの防止等の対策の基本となる事項等を定める法律であり(同条1項)、その内容は、高校 の設置者が負う安全配慮義務が果たすべき機能と目的を共通にし、保護法益も重なるものといえるから、同法が定める内容は、安全配慮義務の具体的な内容を形成する根拠として参照しうるものと解すべきである。 他方、原告は、就学環境整備義務との概念を持ち出しているが、安全配慮義務とは異なり一般的に通用性を有する確立した概念ではなく、いかなる根 拠により、いかなる内実を持つのか明らかでなく、また、安全配慮義務との関係も未整理であるといわざるをえず、安全配慮義務と別途の義務が高校の設置者に課せられると解することはできないというべきであり、あくまで安全配慮義務の範囲内で検討するのが相当である。 ⑵ いじめ防止対策推進法2条、愛知県いじめ防止基本方針(甲2)によれば、 いじめとは、児童生徒と一定の人的関係にある他の児童生徒が行う心理的又- 18 -は物理的な影響を与える行為であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているものをいう。 原告は、生活する野球部 生徒と一定の人的関係にある他の児童生徒が行う心理的又- 18 -は物理的な影響を与える行為であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているものをいう。 原告は、生活する野球部の寮内において、複数の野球部の部員らから自身の携帯電話にパスワードをかけられて使えなくされる、風呂場で身体に食器用洗剤、シャワーによる熱湯及びバケツによる水をかけられる、着替えを湯 船や他人のクローゼットにしまわれる、侮蔑的なあだ名をつけられる等の行為を受けた。 これらの行為には何ら合理的な意味はなく、原告に対する嫌がらせであることは明らかであり、その性質上、原告に心理的・物理的な影響を与える行為といえる。原告は、生活の本拠であった野球部の寮においてこれらの被害 を継続的に受け、2度も野球部の寮から一時的に自宅に帰宅するなどしたが、我慢できず、部活動奨学生として入学したにもかかわらず最終的にはわずか数か月で退寮し転学を決意しており、原告が大きな心身の苦痛を感じたことが推認される。 以上から、原告が野球部の寮内において野球部の部員から受けた行為はい じめに該当する。 ⑶アいじめ防止対策推進法28条1項、平成29年3月に文部科学省が策定した「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」(甲1)によれば、①いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき及び②いじめにより当該学校に 在籍する児童等が相当の期間(目安は年間30日以上)学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるときは、重大事態に該当するものとされている。被告k学園は、これを踏まえ、「k高等学校いじめ防止基本方針」(甲3)を策定し、重大事態への取り組みについて規定している。 また、 あると認めるときは、重大事態に該当するものとされている。被告k学園は、これを踏まえ、「k高等学校いじめ防止基本方針」(甲3)を策定し、重大事態への取り組みについて規定している。 また、上記ガイドラインにおいて、被害児童生徒や保護者から、いじめ- 19 -により重大な被害が生じたという申立てがあったときは、学校の判断にかかわらず、重大事態が発生したものとして報告・調査に当たるべきこととされている。 そして、上記ガイドラインにおいて、重大な被害に関して、各教育委員会等で重大事態と扱った事例としては、児童生徒による自殺の企図、リス トカットなどの自傷行為、骨折、脳震盪、歯牙破折、カッターで刺されそうになる、心的外傷後ストレス障害、嘔吐や腹痛などの心因性身体反応の継続、多くの生徒の前で裸にされる、加工した画像をインターネットで拡散される、金銭を要求され総額1万円を交付、スマートフォン水没による破壊といったものが挙げられている。 イ原告は、被告k学園が「重大事態」として重大事態調査組織を設置しなければならなかったのに、これをしなかったと主張する。 しかし、被告k学園による調査により判明した原告が受けた行為の性質や被害の内容、野球部の指導者による指導、加害者側の謝罪等の諸事情に照らし、被告k学園において、原告の生命、心身又は財産に重大な被害が 生じた疑いがあるとは認めなかったとしても直ちに不合理とまではいえない。また、原告は、令和3年7月13日及び同年9月1日から同月30日まで学校を欠席しているが、同年7月末には転学願を提出し、転入先の学校の調整に入っており、同年9月の間にh高校での転入学試験を受験していること等の事情に鑑みれば、原告がいじめにより相当の期間学校を欠 席することを余儀なくされたとは認 学願を提出し、転入先の学校の調整に入っており、同年9月の間にh高校での転入学試験を受験していること等の事情に鑑みれば、原告がいじめにより相当の期間学校を欠 席することを余儀なくされたとは認められない。したがって、「k高等学校いじめ防止基本方針」(甲3)に即して重大事態調査組織を設置しなかったことが在学契約上の債務不履行に当たるとはいえない。 ⑷ 原告は、被害生徒・保護者から「いじめにより重大な被害が生じた」という申立てがあったときは、学校は、重大事態に至っていないとしても、「いじ め対策委員会」において、原告及び野球部の部員から情報収集し、いじめか- 20 -どうか判断し、指導・支援体制を組むべきであるとも主張する。しかし、いじめ防止対策推進法やいじめの重大事態の調査に関するガイドラインは、個々の場面においていかなる措置を講ずべきかを必ずしも一義的に定めるものではなく、合理的な裁量を否定するものではないと解される。 上記のとおり、原告の受けていたいじめが重大事態にはあたらないとの被 告k学園の判断が直ちに不合理とはいえないこと、いじめ防止対策委員会は常設で設置されており(甲3)、原告が退寮した約1か月以内後には、原告の本件高校における担任の教諭による調査が開始され、いじめ検討委員会・生徒指導部側の対応も、いじめという認定がされていた場合と遜色のないものであったことからすると、この点の義務違反を認めることもできない。 ⑸ 原告は、原告とcコーチの面談を実施する等の措置を講じる義務があったと主張する。 しかし、cコーチが原告を無視したり、嫌っていたことについて否定しているところ、原告が具体的に指摘するのは授業で指名されなかったということであり、野球部の部員による調査において、3名の部員が、1年生のほぼ コーチが原告を無視したり、嫌っていたことについて否定しているところ、原告が具体的に指摘するのは授業で指名されなかったということであり、野球部の部員による調査において、3名の部員が、1年生のほぼ 全員がcコーチが原告を嫌っていると思うとの発言をしている一方、2名の野球部員は、どちらかというとcコーチが原告のことを好きな選手の部類に入ると思う、練習後の片づけの際にはよく声をかけていたとも発言しており(甲8)、客観的にcコーチが原告を嫌った態度を示していたとは断定できない。また、cコーチが監督に就任することが決まったのも発表の前日のこ とである(証人c)。 そして、既述のとおり、原告のいじめの対応については被告k学園に一定の合理的な裁量があり、その裁量を超える場合に原告に対する債務不履行の問題になると解すべきところ、野球部内において、原告が実家に帰宅をした翌日にはコーチとの面談が実施されたほか、原告の2度目の帰宅後は監督と の面談も実施されており、いじめの可能性が露見された時点での対応は不十- 21 -分だったとまではいえない。 ⑹ したがって、被告k学園の安全配慮義務等の違反は認められない。 3 争点2(被告k学園の転入学協力義務違反の有無)について⑴ア原告は、被告k学園が転入学協力義務を負っており、具体的には、①転学先の学校である3校に対していじめの事実を認めて転学に協力すべきで あったが、いじめの事実を認めないことによりその義務を怠り、②原告が野球部に入りたいと思っていることをh高校に告げる義務があったがその義務を怠り、③h高校は原告が野球を継続しないことを転入学の条件と考えていることを原告に伝える義務があったと主張している。 イ愛知県内の全日制高校同士の転入学は原則として認められないものであ 義務を怠り、③h高校は原告が野球を継続しないことを転入学の条件と考えていることを原告に伝える義務があったと主張している。 イ愛知県内の全日制高校同士の転入学は原則として認められないものであ るが、一家転住の場合や、h高校のようにいじめなどによる緊急回避措置として容認する場合など例外的な場合に認められるものであるから(証人d、証人e)、それ自体例外的な事象であり、その手続に伴う高校設置者が負う義務について一般的な規範を導出することは困難であり、在学契約が存することを前提に、個別具体的な事情を考慮して、当該事情に即して いかなる義務が生じうるものか検討すべきである。 そして、本件に現れているとおり、原告の転入学手続にあたっては、原告が転学先の学校の候補を探した後には、転学先の学校と原告との間に転学元の学校である本件高校が入り、転学にあたって必要な事項の確認及び伝達がなされているところ、転学先の学校としては、転入学を希望する生 徒側の主観的な情報のみならず、転学元の学校が同じ教育機関として把握している相対的に客観性の高い情報が、その受入れの可否を判断する上で有益なものとなると考えられるため、双方の学校で連携を取り合っているものと推察され、転入学を希望する生徒としては、直接、転学先の学校と連絡を取ることが否定されているわけではないことを考慮しても、転学先 の学校と転学元の学校において情報交換がなされている場合には、転入学- 22 -の手続においては重要な影響を及ぼすものと解される。 また、転入学が行われるのは、一家転住を除けば、いじめを受けている場合などの緊急回避的な例外的な場合に限られるものであるが、それだけ転入学を希望する生徒にとっては困難かつ切実な状況にあるということができ、当該生徒がおかれた個別的 転住を除けば、いじめを受けている場合などの緊急回避的な例外的な場合に限られるものであるが、それだけ転入学を希望する生徒にとっては困難かつ切実な状況にあるということができ、当該生徒がおかれた個別的な事情を踏まえる必要性が高く、また、 一般論としても入学後の条件は転入学を決めるに当たって重要な情報であるといえる。 そうすると、転学元の学校としては、転入学の手続に関与した以上は、在学契約に伴う付随義務として、信義則上、当該生徒に関して把握している情報や意向について、その重要な部分において正確に伝達する義務を負 うというべきであり、かつ、転学先の学校が提示する条件を把握した場合には、当該生徒及びその保護者に対し、重要な部分において正確に伝達する義務を負うと解すべきである。 ウ原告は、転学先の学校の候補である3校に対していじめを認めなかったと主張するが、いじめ防止対策推進法の定義による「いじめ」の概念はか なり広い概念であり、転入学の可否を判定する際における緊急回避を要するいじめと同義とすべきかについては検討を要するものであり、また、被告k学園においても、いじめに該当することを否定するものの、h高校において転入学試験を実施すると判断してもらえる程度には原告が苦痛を受けていたことは伝えているものであって、表現としては、いじめの重大な 案件としては扱っていないという伝達をしており(甲9)、重大な案件と捉えていないことに力点を置いている(いじめの概念を狭く捉えている)と理解することができないものではなく、既述のとおり、原告の受けていたいじめが重大事態にはあたらないとの被告k学園の判断が直ちに不合理とはいえないことからすると、この点については、重要な部分において正確 に伝達する義務に反したとまでは認められない。 ていたいじめが重大事態にはあたらないとの被告k学園の判断が直ちに不合理とはいえないことからすると、この点については、重要な部分において正確 に伝達する義務に反したとまでは認められない。 - 23 -エそして、原告は、h高校に転入学自体はできているから、次項以下においては、h高校の野球部への入部の可否に関して、上記の義務違反があるか否かについて検討することとする。 ⑵ア転入学試験の面接において、原告は、髪型を坊主頭にし、「これからは、野球だけでなく、勉強も一生懸命頑張ります」と発言している。 また、原告の母は、d副校長から野球は続けないと聞いているとの話を受けた際、即座に「そんなこと一言も言ってないです」と述べ、帰宅後もh高校に電話をかけて野球を続けたい旨を伝えた上、被告k学園にも電話をかけて野球部の入部についての確認を行っている。 そして、h高校の校長は、入学試験の実施日に被告k学園に電話をかけ、 認識の不一致があることを指摘した。 そうすると、h高校の転入学試験日において、原告及び原告の母は、原告がh高校において野球部に入部することが可能であると考えていたのに対し、h高校において入部を認めない方針としており、h高校において原告の転入学後に野球部への入部を許可しないという転入学後の条件に ついて認識の不一致が試験実施日に判明したということになる。 そして、同日に認識の不一致が判明した経緯を踏まえれば、原告及び原告の母とh高校との直接の相談において、原告及び原告の母がh高校に野球部の入部を希望しないと伝え、逆に、h高校が野球部の入部を認めるつもりがないと伝えた事実も存しないはずである。 とすれば、認識の不一致が生じたのは、原告及び原告の母と被告k学園との間か、被告k学園とh高校との間の情 、逆に、h高校が野球部の入部を認めるつもりがないと伝えた事実も存しないはずである。 とすれば、認識の不一致が生じたのは、原告及び原告の母と被告k学園との間か、被告k学園とh高校との間の情報伝達の過程のいずれかであったというべきである。 イそこで、まず、原告及び原告の母と被告k学園との間の意思疎通について検討する。 被告k学園は、令和3年8月18日のe教頭とd副校長との間の電話及- 24 -び同月25日の校長間の電話において、原告の意向が「転学優先」であると被告k学園がh高校に伝えたことを認めており、証人eもこれに沿う証言をしている。 そして、被告k学園は、同月18日に原告の母に対し、j高校から転入学の断りの連絡があったことを電話で知らせた際、転学優先にするか野球 優先にするかを尋ね、原告の母から転学優先にしたいとの意向を確認したと主張し、これに沿う証人eの証言がある。 しかしながら、原告の担任教諭が作成した2枚の書類には、同日の欄に「jより断りの連絡。家庭にはjからしていただける。」(甲9の1)「家庭にはj高校側より入れてもらう。」(甲9の2)との記載がある。また、他 の日において、原告の父母と電話をした日には、「母親からTEL」「父親・母親にTEL」といった記載があるが、同日の欄にはそのような記載は存在しない。このように、証人eの証言は、被告k学園が作成した客観的な証拠と整合しないものである。 また、原告は、小学校2年生の時から野球を始め、野球の強豪校である 被告高校(公知の事実)の部活動奨学生として入学して野球部に所属していたものであり、いじめを受けたのは野球部及びその寮の中であって、本件高校の授業を受けることはできていた上、転学先の学校の候補として選定したのはいずれも野球部のある 生として入学して野球部に所属していたものであり、いじめを受けたのは野球部及びその寮の中であって、本件高校の授業を受けることはできていた上、転学先の学校の候補として選定したのはいずれも野球部のある学校であったことからすれば、原告及び原告の母として、転入学後も野球部への入学を強く希望していたというべ きであり、転学を優先すると答えたとは考え難い。少なくとも、野球部への入部を断念するのであれば、逡巡や葛藤などがあって然るべきであるが、e教頭が原告の母からどのように転学優先と回答を得たのかについて具体的な事実が証言されていない。 さらに、証人eの証言の裏付けとなるべき証拠は他に見当たらない。 そうすると、被告k学園がj高校からの断りの連絡をした際に原告の母- 25 -に電話をかけた事実を認めることはできず、同日原告の母から「転学優先」という意向を確認したとは認められず、他に、原告及び原告の母がh高校の転入学試験前に転学優先の意向を示していたという主張及び証拠は存しない。 ウ次に、被告k学園とh高校との間の意思疎通について検討する。 被告k学園が、同日及び同月25日に転学優先と伝えたことを争っていないのは先に指摘したとおりである。 確かに、d副校長はe教頭に対して、同月18日の電話において、h高校において原告が野球部に入部しないことを転入学の条件として明示した事実はなく(証人d)、同月25日の校長間の電話について、証人dは、 f校長がその条件をg校長に明示したと証言するものの、伝聞であり、また、同日の電話の内容とその後日にどのように確認したかについて曖昧な証言となっていることは否めないので、同日に校長間で条件が明示されたと認めることはできない。 しかしながら、転学優先との意味は必ずしも判然としないもので その後日にどのように確認したかについて曖昧な証言となっていることは否めないので、同日に校長間で条件が明示されたと認めることはできない。 しかしながら、転学優先との意味は必ずしも判然としないものであるが、 わざわざこのような文言を用いて話している以上は、野球部への入部を希望するか否かに関して何らかの話題が出たとみられる上、その文言や文脈に照らし、野球を継続しないということを意味していると理解するのが素直である。野球部に関する転入学に関しては引き抜きを疑われる行為になるものであるし、野球部内の人間関係やその保護者、関係者等を考慮すれ ば、h高校として野球部への入部を求められるものであれば、相当慎重に転入学の受入れを判断せざるを得ないはずであり、その立場からすれば、転学優先と言われれば、野球部への入学は断念しているものと理解するのが自然である。実際、そのような理解があったからこそ、転入学の試験実施日に齟齬が判明したのである。このように理解したh高校のd副校長及 びf校長に責められるべき点はない。 - 26 -したがって、被告k学園は、h高校に対して、転学優先との言葉を用いながら、原告の意向は転入学後の野球部への入部を断念していると伝えたものと評価すべきである。 エ被告k学園が把握していた原告の意向として、上記のとおり、同月18日に原告の母親と電話で「転学優先」との確認を得ていないものであるが、 原告が野球強豪校の本件高校に部活動奨学生として入学していたこと、証人eにおいて、i学園及びj高校に対し野球もお願いしますと申し入れたことを認めていることからすれば、原告の意向が変わったとの事実が認定できない以上は、被告k学園において、原告が引き続き転入学後に野球部に入部を希望していたことを認識していたというべきであ 申し入れたことを認めていることからすれば、原告の意向が変わったとの事実が認定できない以上は、被告k学園において、原告が引き続き転入学後に野球部に入部を希望していたことを認識していたというべきである。 オそうすると、被告k学園は、h高校に対し、原告が野球部の入部を望んでいるにもかかわらず、断念した上で転入学を受け入れてほしいとの意向を誤って伝えたものと認められる。 ⑶ 上記のとおり、被告k学園は、h高校に対して、原告の意向を誤って伝えているが、原告が高校において野球を継続する強い希望を有していたことは 既に説示したところから明らかというべきであるし、野球を断念するつもりであれば、いじめは野球部内にとどまっていたとも見られ、原告において不信感を抱いていたcコーチが監督に就任したことが契機ともなっていることがうかがわれることからすると、そもそも転入学をする必要があったのか自体疑問があるところであり、本件においては野球部に入部する意向があるか 否かは重要な部分であるというべきである。 そうすると、被告k学園には、h高校に対して、原告の意向の重要な部分について正確に伝える義務を怠った責任を免れない。 4 争点3(被告k学園の被告愛知県高野連に対する報告義務違反の有無)について 原告は、被告k学園が被告愛知県高野連に対していじめの事実を報告しなか- 27 -ったことから、報告義務違反があると主張する。 しかし、本件において仮に被告愛知県高野連に対する報告をしなければならない状況が生じ、被告k学園が被告愛知県高野連に対して報告義務を負ったとしても、被告k学園が、原告との関係で義務を負ったとはいい難いし、原告に対して債務不履行責任を負う根拠が明らかではない。 h高校又は原告が被告k学園に対し、いじめの に対して報告義務を負ったとしても、被告k学園が、原告との関係で義務を負ったとはいい難いし、原告に対して債務不履行責任を負う根拠が明らかではない。 h高校又は原告が被告k学園に対し、いじめの事実を報告するよう申し入れていたとしても、それはあくまで事実関係において報告を促していたにすぎず、当該申入れによって原告との間で義務が生じるものとはいえない。 したがって、この点について被告k学園の報告義務違反は認められない。 5 争点4(被告愛知県高野連の調査確認義務違反の有無)について 都道府県高野連は、学生野球憲章に違反する事実があると考え、又は同憲章の理念を実現するために注意・厳重注意が必要な場合には、直ちに事実関係を調査し、日本高野連に認定した事実等を報告することになっている(甲5)。 他方、日本高野連が作成した不祥事件発生以降の業務フローチャート(丙1)によれば、都道府県高野連は、加盟校による連絡及び報告書の提出があった場 合に、日本高野連に対して連絡をすることが定められている。そうすると、都道府県高野連は、加盟校から不祥事件についての報告があった場合に限り、日本高野連に報告する義務があるとともに、必要な範囲で調査を行うべきものいえる。したがって、都道府県高野連は、加盟校からの報告がない段階において、独自の調査権を行使しなければならない義務を負うものではない。 本件において、被告愛知県高野連は、被告k学園からいじめの事実があった等の報告を受けていないのであるから、事実関係について調査・報告をする義務があったとはいえない。 また、仮にそのような義務が発生していたとしても、当該義務は被告k学園と被告愛知県高野連の関係、又は日本高野連と被告愛知県高野連の関係におい て生じる義務であって、原告との関係で不法行 い。 また、仮にそのような義務が発生していたとしても、当該義務は被告k学園と被告愛知県高野連の関係、又は日本高野連と被告愛知県高野連の関係におい て生じる義務であって、原告との関係で不法行為法上の注意義務を負っている- 28 -根拠は明らかではない。 さらに、被告愛知県高野連は、被告k学園から報告を受けてはいなかったものの、令和3年9月から3回にわたって被告k学園への確認を行ったのであるから、被告愛知県高野連として迅速に必要な対応を行ったものであると評価できる。 したがって、被告愛知県高野連による義務違反は認められない。 6 争点5(損害及び因果関係)について原告は、被告k学園がh高校に対し原告の野球部入部を希望するという意向を正確に伝えなかったため、転入学試験後に入部を許可されないことを知り、h高校において野球を継続することを断念せざるを得なかったことが認められ る。 もっとも、h高校は、原告が野球部への入部を希望する旨正確に伝えられていれば、転入学試験自体を実施しなかった蓋然性が高いものであり、原告においても、転入学の可能性がある高校の中で野球部がある3校を選択し、そのうちの2校には転入学を拒否されている。 h高校と具体的な協議に入った令和3年8月18日ないし25日頃に、h高校から転入学を拒否された場合に、その時点から他に野球部への入部可能な転学先の高校を見つけるのは相当困難であったといわざるを得ず、原告において、転学先の高校で野球をすることができなかったことに関する慰謝料を認めることはできない。 また、原告において、h高校への転入学はできており、転入学時には野球部に入れないことは理解した上で、これを受け入れて転入学をすることを決めている。 そうすると、原告の損害としては、h高 また、原告において、h高校への転入学はできており、転入学時には野球部に入れないことは理解した上で、これを受け入れて転入学をすることを決めている。 そうすると、原告の損害としては、h高校の転入学試験が実施された同年9月13日より前に、本件高校に残るとの選択をするか、可能性が低い中で野球 部に入部できる学校を探すか、野球部には入部できないとの前提でh高校以外- 29 -の転入学先を探すといった機会を奪われたことによる精神的苦痛、また、h高校で野球ができないと告げられたことによって直接感じた失望であると観念せざるを得ないものであり、その苦痛に対する慰謝料としては10万円をもって相当と認める。 7 よって、原告の請求は、被告k学園に対しては、10万円の限度で理由があ るからその限度で認容し、その余は理由がないから棄却することとし、被告愛知県高野連に対しては、理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第8部 裁判長裁判官西村修 裁判官藤根康平 裁判官中村憧子

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