令和1(ワ)30991

裁判年月日・裁判所
令和3年3月30日 東京地方裁判所
ファイル
hanrei-pdf-90392.txt

判決文本文36,625 文字)

令和3年3月30日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 令和元年(ワ)第30991号特許権侵害差止等請求事件 口頭弁論終結日令和3年1月19日判決 原告ザケマーズカンパニーエフシーリミテッドライアビリティカンパニー 同訴訟代理人弁護士大野聖二 同大野浩之 被告AGC株式会社 同訴訟代理人弁護士片山英二 同大月雅博 同黒田薫 同辛川力太 同訴訟代理人弁理士加藤志麻子 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求 1 被告は,別紙被告製品目録記載の製品の生産,使用,譲渡又は譲渡の申出をしてはならない。 2 被告は,別紙被告製品目録記載の製品を廃棄せよ。 3 被告は,原告に対し,1億円及びこれに対する令和元年11月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 原告は,発明の名称を「2,3-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロプロパン,2-クロロ-1,1,1-トリフルオロプロペン,2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンまたは2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含む組成物」 ロロ-1,1,1-トリフルオロプロパン,2-クロロ-1,1,1-トリフルオロプロペン,2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンまたは2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含む組成物」とする特許権の特許権者であるところ,別紙被告製品目録記載の製品(以下「原告主張製品」という。)は,上記特許に係る特許発明 (請求項1,2)の技術的範囲に属すると主張している。そして,本件は,原告が,被告による原告主張製品の生産,使用,譲渡等は,上記特許権を侵害すると主張して,被告に対し,特許法100条1項,2項に基づき,原告主張製品の生産,使用,譲渡等の差止め,廃棄を求めるとともに,民法709条,特許法102条2項に基づき損害賠償金1億円及びこれに対する訴状送達の日の 翌日(令和元年11月28日)から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提事実(証拠等を掲げた事実以外は,当事者間に争いがない。なお,枝番号の記載を省略したものは,枝番号を含む(以下同様)。) (1) 本件特許原告は,発明の名称を「2,3-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロプロパン,2-クロロ-1,1,1-トリフルオロプロペン,2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンまたは2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含む組成物」とする特許権(特許第5701205号。請求項 の数は8である。以下,この特許を「本件特許」という。)の特許権者であ る。 すなわち,本件特許については,(住所省略)に所在するイー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニーにおいて,平成21年5月7日に特許出願をし(優先権主張平成20年5月7日,米国。なお,以下 なわち,本件特許については,(住所省略)に所在するイー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニーにおいて,平成21年5月7日に特許出願をし(優先権主張平成20年5月7日,米国。なお,以下,当該優先主張日の出願との趣旨で,単に「特許出願」と記載することがある。), 平成27年2月27日にその設定登録を受けたものであるところ,同社から原告は,上記特許権の移転を受け,特許権者となるに至っている。(甲1,弁論の全趣旨)(2) 本件発明原告が本件特許に係る特許権侵害を主張する,特許請求の範囲の請求項1, 2の記載は,別紙特許公報の該当部分に記載されたとおりである(以下この記載を「本件特許請求の範囲」といい,そのうち請求項1に係る発明を「本件発明1」といい,また,請求項2に係る発明を「本件発明2」といい,これらを併せて「本件発明」という。また,本件特許の特許出願の願書に最初に添付した明細書を「当初明細書」といい(もっとも,図面を含め,明細書 の記載については,その後,補正や訂正による変更はない。乙14,甲2),その該当部分の記載を【0001】などと表すこととする。)。 (3) 構成要件の分説ア本件発明1を構成要件に分説すると,次のとおりである(以下,分説した構成要件をそれぞれの符号に従い「構成要件A」などのようにいう。)。 AHFO-1234yfと,B ゼロ重量パーセントを超え1重量パーセント未満の,HFO-1243zfおよびHFC-245cbと,を含む,C 熱伝達組成物,冷媒,エアロゾル噴霧剤,または発泡剤に用いられる組成物。 イ本件発明2を構成要件に分説すると,次のとおりである。 DHFO-1234ze,H C 熱伝達組成物,冷媒,エアロゾル噴霧剤,または発泡剤に用いられる組成物。 イ本件発明2を構成要件に分説すると,次のとおりである。 DHFO-1234ze,HCFC-243db,HCFC-244db,HFC-245fa,HCFO-1233xf,HCFO-1233zd,HCFC-253fb,HCFC-234ab,HCFC-243fa,エチレン,HFC-23,CFC-13,HFC-143a,HFC-152a,HFC-236fa,HCO-1130,HCO- 1130a,HFO-1336,HCFC-133a,HCFC-254fb,HCFC-1131,HFO-1141,HCFO-1242zf,HCFO-1223xd,HCFC-233ab,HCFC-226baおよびHFC-227caからなる群から選択される少なくとも1つの追加の化合物をさらに含み, EHFO-1243zfおよびHFC-245cbと前記追加の化合物の合計量が1重量パーセント未満である,請求項1に記載の組成物。 (4) 本件特許の設定登録に至る経緯ア平成21年5月7日に特許出願がされた当初の請求項1及び請求項2の記載は,次のとおりであった。(乙13) 【請求項1】HFO-1234yfと,HFO-1234ze,HFO-1243zf,HCFC-243db,HCFC-244db,HFC-245cb,HFC-245fa,HCFO-1233xf,HCFO-1233zd,HCFC-253fb,HCFC-234ab,HCFC-243fa,エチレン,HFC-23,CFC-13,HFC -143a,HFC-152a,HFC-236fa,HCO-1130,HCO-1130a,HFO-1336,HCFC- b,HCFC-243fa,エチレン,HFC-23,CFC-13,HFC -143a,HFC-152a,HFC-236fa,HCO-1130,HCO-1130a,HFO-1336,HCFC-133a,HCFC-254fb,HCFC-1131,HFO-1141,HCFO-1242zf,HCFO-1223xd,HCFC-233ab,HCFC-226baおよびHFC-227caからなる群から選択さ れる少なくとも1つの追加の化合物とを含む組成物。 【請求項2】約1重量パーセント未満の前記少なくとも1つの追加の化合物を含有する請求項1に記載の組成物。 イその後,上記アの請求項1及び請求項2の記載は,手続補正書により,別紙特許公報の該当部分に記載されたとおりに補正された(以下「本件補正」という。)。そして,前記のとおり,本件特許につき,平成27年 2月27日にその設定登録がされた。 (5) 本件特許の訂正請求ア被告が本件特許について無効審判を請求したところ(無効2020-800064),原告は令和2年11月24日付けで請求項1及び2を次のとおり訂正することなどを含む訂正請求を行った。(甲28,以下,同訂 正請求で求められた訂正を「本件訂正」といい,本件訂正後の請求項1に係る発明を以下「本件訂正発明1」といい,本件訂正後の請求項2に係る発明を「本件訂正発明2」といい,併せて「本件訂正発明」という。 なお,下線部が訂正部分である。)【請求項1】68.8モルパーセント以上のHFO-1234yfと, ゼロ重量パーセントを超え1重量パーセント未満の,HFO-1243zfおよびHFC-245cbと,を含む,熱伝達組成物,冷媒,エアロゾル噴霧剤,または発泡 34yfと, ゼロ重量パーセントを超え1重量パーセント未満の,HFO-1243zfおよびHFC-245cbと,を含む,熱伝達組成物,冷媒,エアロゾル噴霧剤,または発泡剤に用いられる組成物。 【請求項2】82.5モルパーセント以上のHFO-1234yfと, ゼロ重量パーセントを超え1重量パーセント未満の,HFO-1243zfおよびHFC-245cbと,HFO-1234ze,HCFC-243db,HCFC-244db,HFC-245fa,HCFO-1233xf,HCFO-1233zd,HCFC-253fb,HCFC-234ab,HCFC-243 fa,エチレン,HFC-23,CFC-13,HFC-143a,H FC-152a,HFC-236fa,HCO-1130,HCO-1130a,HFO-1336,HCFC-133a,HCFC-254fb,HCFC-1131,HFO-1141,HCFO-1242zf,HCFO-1223xd,HCFC-233ab,HCFC-226baおよびHFC-227caからなる群から選択される少なくとも 1つの追加の化合物と,を含み,HFO-1243zfおよびHFC-245cbと前記追加の化合物の合計量が1重量パーセント未満である,熱伝達組成物,冷媒,エアロゾル噴霧剤,または発泡剤に用いられる組成物。 イしかしながら,本件訂正は新規事項の追加に該当し,その訂正請求は拒 絶されるべきものである旨の職権審理結果通知書が通知された。(乙40)(6) 被告の行為等被告は,業として,製品名を「AMOLEA 1234yf」とする製品を製造し,三井・ケマーズフロロプロダクツを介してケマーズ株式会社な 書が通知された。(乙40)(6) 被告の行為等被告は,業として,製品名を「AMOLEA 1234yf」とする製品を製造し,三井・ケマーズフロロプロダクツを介してケマーズ株式会社ないし原告(以下「ケマーズグループ」という。)に対して譲渡,譲渡の申出を しているほか,ケマーズグループ以外の第三者に対しても譲渡,譲渡の申出をしている(被告による業としての上記製品の使用の有無や,上記製品以外の製品の製造,使用,譲渡及び譲渡の申出の有無については,当事者間で争いがある。)。 2 争点 (1) 被告が業として譲渡等をしている製品が,本件発明の技術的範囲に属するか否か(争点1)(2) 本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものと認められるか否か(特許法104条の3第1項,争点2)ア無効理由1(明確性要件違反,争点2-1) イ無効理由2(実施可能要件違反,争点2-2) ウ無効理由3(サポート要件違反,争点2-3)エ無効理由4(補正に係る新規事項の追加,争点2-4)オ無効理由5(乙24(WO2006/094303)に基づく新規性及び進歩性欠如,争点2-5)カ無効理由6(乙27(特開平4-110388号公報)に基づく新規性 及び進歩性欠如,争点2-6)(3) 本件訂正による訂正の対抗主張の可否(争点3)(4) 原告の損害(争点4) 3 争点に関する当事者の主張(1) 争点1(被告が業として譲渡等をしている製品が,本件発明の技術的範囲 に属するか否か)について[原告の主張]ア特許権侵害を主張する対象製品について被告が業として譲渡等をしている製品は,原告主張製品と 品が,本件発明の技術的範囲 に属するか否か)について[原告の主張]ア特許権侵害を主張する対象製品について被告が業として譲渡等をしている製品は,原告主張製品と特定されるべきであって,被告が主張する製品に限られるものではない。また,これ を,被告が主張するように,ケマーズグループ向けに製造される製品とケマーズグループ以外の第三者向けに製造される製品とに区別する実益もない。 イ構成要件B及びEを充足するか否かについて原告主張製品は,次のとおり,本件発明の構成要件B及びEを充足する。 (ア) 原告主張製品については,原告による試験報告書(甲4,以下,その試験を「甲4試験」といい,その報告書を「甲4試験報告書」という。)記載の測定によれば,構成要件B及びEを充足する旨の結果が出ている。 このことは,測定対象となった製品の出荷報告書(甲21)や,同製品に係る試験報告書(甲10,12)により裏付けられている。 (イ) 被告は,甲4試験報告書記載の測定方法が明細書(【0101】)で 「例示」された方法と相違することを論難するが,何ら問題はない。 すなわち,構成要件Bは,測定方法に関して文言上限定しておらず,特許法70条2項により明細書(【0101】)の記載を参酌しても,「ガスクロマトグラフィーによる測定」に関し,「例示」と明示されているから,構成要件Bについて「ガスクロマトグラフィーによる測定」 という要件を付加して限定解釈される余地はなく,当業者が合理的と考える測定方法で充足性を判断すれば足りる。 そして,原告主張製品は,HFO-1243zf(以下,フロン類の表記については,フロン類の種類を表す冒頭のローマ字(大文字)を省略して記載する 合理的と考える測定方法で充足性を判断すれば足りる。 そして,原告主張製品は,HFO-1243zf(以下,フロン類の表記については,フロン類の種類を表す冒頭のローマ字(大文字)を省略して記載することがある。)に関しては,0.002重量パーセント (20ppm)のオーダー,HFC-245cbに関しては,0.02重量パーセント(200ppm)のオーダーの含有が問題となっており,それに応じて,当業者(その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者。以下も同様。)が技術常識に基づいて,精度の高い分析方法を用いることは当然である。この点,現に被告が提供する分析証明 書(COA,甲11,13)でも,ppmのオーダーで成分の含有量が測定されていることに照らしても,構成要件Bの充足性の有無が明細書に記載された測定方法に限定されることはあり得ない。 (ウ) 構成要件Bの「ゼロ重量パーセントを超え」との文言は,「HFO-1243zfおよびHFC-245cb」を全く含まない態様(「0」 の態様)を除外するためのものであり,ppmのオーダーの「HFO-1243zfおよびHFC-245cb」を含むことを除外するものではない。 すなわち,上記の「ゼロ重量パーセント超え」という文言は,本件特許の審査経過において「請求項1に記載された『約1重量%未満のHF O-1243zfとを含む…組成物』との記載について,かかる数値範 囲は0を含むものであって,その結果としてHFO-1243zfを含有するのかしないのかがあいまいとなるから,特許を受けようとする発明の範囲が不明確である。」と指摘されたことを受けて追加したものであり,「HFO-1243zfおよびHFC-245cb」が含まれることを明確にするために限定 いまいとなるから,特許を受けようとする発明の範囲が不明確である。」と指摘されたことを受けて追加したものであり,「HFO-1243zfおよびHFC-245cb」が含まれることを明確にするために限定されたものである。 そして,当業者であればppmのオーダーで「HFO-1243zfおよびHFC-245cb」が含まれていれば,当該「HFO-1243zfおよびHFC-245cb」は,有意な量で含有されていると判断する。他方,被告が限定解釈の根拠として挙げる【0105】【表2】,【0109】【表4】は,単なる実施例の記載にすぎず,また,被告が 主張する方法は,HFO-1234yfの製造中に反応器からの流出物を分析する際に使用する従来のガスクロマトグラフ(GC)法の一例であり,ppmレベルの1243zf及び245cbの存在を確認するためには当業者が使用しないものであって,当該方法に固執して構成要件Bの文言の充足性を判断することは不適切である。 (エ) 被告は,明細書記載の方法で測定すべきであると主張し,実験報告書(ガスクロマトグラフ分析)(乙1)を提出する。しかし,同報告書に記載された測定方法による測定結果は,1234zeの含有量について,被告自身が提供している分析評価書(COA)の記載(甲11,13)と整合していないなど,正確性・十分性に欠けるものであって,上記測 定方法による測定結果によって,原告主張製品が構成要件B及びEを充足しないということはできない。 [被告の主張]ア対象製品について被告が譲渡等をしている対象製品については,原告主張製品と特定され るべきではない。被告は,①製品名を「AMOLEA1234 yf」 とする製品を製造し,②ケマーズグループに対し 被告が譲渡等をしている対象製品については,原告主張製品と特定され るべきではない。被告は,①製品名を「AMOLEA1234 yf」 とする製品を製造し,②ケマーズグループに対し譲渡,譲渡の申出をしているほか,③ケマーズグループ以外の第三者向けにも譲渡,譲渡の申出をしているのであるから,そのとおり特定されるべきである(以下,ケマーズグループ向けに製造される「AMOLEA1234 yf」を「被告主張製品1」といい,ケマーズグループ以外の第三者向けに製造 される「AMOLEA1234 yf」を「被告主張製品2」といい,被告主張製品1と併せて「被告主張製品」という。)。この点,本件発明に係る組成物の成分であるHFO-1243zfとHFC-245cbは,仮に被告主張製品に含まれていたとしても,単なる不純物という位置づけでしかないが,不純物のような微量成分は,生産設備の具体的な 違いによってその量が変化しうるというのが技術常識であるから,被告主張製品は,被告主張製品1と被告主張製品2というように,製品として区別すべきである。 また,原告が「原告主張製品」として主張する中間製品については,「以後の製造工程を経る」とされており,出荷される製品の構造と異な るものを含みうるにもかかわらず,「熱伝達組成物,冷媒,エアロゾル噴霧剤,または発泡剤に用いられる」と特定されることとなり,不適切である。 イ構成要件B及びEを充足するか否かについて被告主張製品は,次のとおり,本件発明の構成要件B及びEを充足しな い。 (ア) 原告は,甲4試験報告書を根拠として対象製品が構成要件Bを充足すると主張しているが,失当である。すなわち,甲4試験で測定した対象製品が被告主張製品であること 充足しな い。 (ア) 原告は,甲4試験報告書を根拠として対象製品が構成要件Bを充足すると主張しているが,失当である。すなわち,甲4試験で測定した対象製品が被告主張製品であることは,客観的に立証されておらず(原告の提出に係る出荷報告書(甲11)や試験報告書(甲10,12)を見て もこの点において変わりはない。),甲4試験報告書を根拠として,対象 製品が構成要件Bを充足するとはいえない。 (イ) 仮に,甲4試験で測定した対象製品が被告主張製品であると認められたとしても,甲4試験の測定方法は,明細書記載の測定方法とは異なるから,甲4試験の測定結果を根拠として被告主張製品が構成要件Bを充足するとはいえない。 すなわち,構成要件Bにかかる測定方法が,明細書の【0101】で明らかにされている本件発明については,当該測定方法に基づいて,構成要件Bの充足性が判断されるべきであり,少なくとも「固定相が不活性カーボン担持の過フッ素化ポリエーテルである充填カラム」を使用したガスクロマトグラフィーにより測定を行う必要がある。しかしながら, 甲4記載の測定方法は,少なくとも,①固定相が不活性カーボン担持の過フッ素化ポリエーテルではないキャピラリーカラムを使用したガスクロマトグラフィーを用いている点,②成分に応じ2種類のカラムを使用している点で,明細書記載の測定方法とは異なっている。 (ウ) 仮に,甲4試験報告書の測定結果を前提としても,構成要件Bの「ゼ ロ重量パーセントを超え」は,小数点第2位を四捨五入してゼロにならない数値と解釈すべきところ,甲4試験報告書によれば,対象製品の面積%は小数点第2位を四捨五入するとゼロになるから,対象製品は,構成要件Bの「ゼロ重量パーセントを超え 第2位を四捨五入してゼロにならない数値と解釈すべきところ,甲4試験報告書によれば,対象製品の面積%は小数点第2位を四捨五入するとゼロになるから,対象製品は,構成要件Bの「ゼロ重量パーセントを超え」を充足しない。 すなわち,従来から知られている,地球温暖化係数の低いHFO-1 234yf単独の化合物との区別の必要や出願経過(乙8)からすれば,「ゼロ重量パーセントを超え」は,極めてゼロに近い値を含むのではなく,有意な量と理解するのが相当であるところ,明細書では,HFO-1234yfに対するHFO-1243zf,HFC-245cbの量は,ガスクロマトグラフィーによって測定され,その面積%の小数点第 2位を四捨五入して得られる数値を基準として算出されている(【01 05】【表2】,【0109】【表4】)。 このことからすれば,構成要件Bの「ゼロ重量パーセントを超え」の解釈にあたっても,同様に,ガスクロマトグラフィーによって測定し,その面積%の小数点第2位を四捨五入して得られる数値を基準とすべきであって,具体的には,面積%の小数点第2位を四捨五入してゼロにな らない数値,すなわち,0.05面積%を「ゼロ重量パーセントを超え」の要件が定める下限と解釈すべきである。 そして,原告の測定結果を前提としても,甲4試験によるHFO-1243zfとHFC-245cbの面積%は以下のとおりいずれも0. 05面積%未満であり,小数点第2位を四捨五入して得られる値はゼロ である。 (エ) 被告主張製品は,被告が明細書記載の測定方法で測定した結果(実験報告書(ガスクロマトグラフ分析)(乙1)),構成要件Bを充足しないことが判明している。 すなわち,被告が,被告主張製品につき,明細書の【 被告が明細書記載の測定方法で測定した結果(実験報告書(ガスクロマトグラフ分析)(乙1)),構成要件Bを充足しないことが判明している。 すなわち,被告が,被告主張製品につき,明細書の【0101】に記 載の条件及び方法で,カラムも同じものを用いて,ガスクロマトグラフィーによる分析を行ったところ,HFO-1234yfのピークは確認できたが,HFC-245cb標準品単体の場合に検出されるピーク及びHFO-1243zf標準品単体の場合に検出されるピークは観察されず,結果として,被告主張製品においては,HFC-245cb及び HFO-1243zfは検出されなかった。 (2) 争点2-1(無効理由1・明確性要件違反)について[被告の主張]本件特許には,次のとおり,明確性要件違反の無効理由がある。 ア本件発明に係る組成物全体の構成が明確でない。 すなわち,本件発明1は「HFO-1234yfと,ゼロ重量パーセン トを超え1重量パーセント未満の,HFO-1243zfおよびHFC-245cbとを含む・・・組成物」であり,組成物として含まれる化合物については,(a)HFO-1234yfを含むこと,及び,(b)ゼロ重量パーセントを超え1重量パーセント未満の,HFO-1243zfおよびHFC-245cbとを含むこと,しか特定されておらず, 字義通りに解釈すると,他にどのような化合物をどの程度含みうるのか明らかでない。 また,本件発明における上記(a)の要件が,1243zf及び245cbが組成物のゼロ重量パーセント超え1重量パーセント未満で含まれる限り,他の化合物が1234yf,1243zf及び245cbとと もに存在できるものと解釈されるのであれば,請求項1の記載は cbが組成物のゼロ重量パーセント超え1重量パーセント未満で含まれる限り,他の化合物が1234yf,1243zf及び245cbとと もに存在できるものと解釈されるのであれば,請求項1の記載は本件発明を不明確にするものと言わざるを得ない。組成物の発明は,これを構成する成分の組合せによって所与の作用効果を奏するものであるから,その組合せが明確にされなければ,発明として明確とはいえない。 イ 「ゼロ重量パーセントを超え」との文言が明確でない。 請求項1に関しては,上記(b)の要件に係る,数値限定の下限値としての「ゼロ重量パーセントを超え」の点も明確でない。すなわち,「HFO-1243zfおよびHFC-245cb」は,本件発明1の組成物において,積極的に含ませる化合物として規定がされているところ,その下限値を,「ゼロ重量パーセントを超え」,すなわち,ゼロに限りなく 近いものも含むように規定したのでは,結局のところ,下限値を規定していないのと同じである。 ウ測定方法が不明確である。 本件において,仮に「ゼロ重量パーセントを超え1重量パーセント未満」の数値の測定の方法,条件として,当業者が合理的と考えるあらゆる測 定方法,条件が採用されうることとなるとすれば,第三者に対して不測 の不利益を及ぼすこととなるから,その場合の測定方法は不明確であるといわざるを得ない。 [原告の主張]本件特許には,次のとおり,明確性要件違反の無効理由はない。 ア本件発明に係る組成物全体の構成は明確である。 本件発明について,その組成物全体の構成(外縁)は極めて明確である。 被告は,HFO-1234yfの含有量が微量となり得る旨を主張するが,上記を左右するもの 全体の構成は明確である。 本件発明について,その組成物全体の構成(外縁)は極めて明確である。 被告は,HFO-1234yfの含有量が微量となり得る旨を主張するが,上記を左右するものではない。 イ 「ゼロ重量パーセントを超え」との文言は明確である。 すなわち,「ゼロ重量パーセントを超え」との文言は,本件特許の審査 経過において「請求項1に記載された『約1重量%未満のHFO-1234zfとを含む…組成物』との記載について,かかる数値範囲は0を含むものであって,その結果としてHFO-1234zfを含有するのかしないのかがあいまいとなるから,特許を受けようとする発明の範囲が不明確である。」と指摘されたことを受けて追加したものであり,「H FO-1243zfおよびHFC-245cb」が含まれることを明確にし,下限値につき「ゼロ」を超えるものとして規定しているから,その下限値は明確である。 ウ測定方法について,明確性欠如の問題は生じない。 すなわち,当業者であれば,ppmのオーダーの「HFO-1243z fおよびHFC-245cb」を測定するための適切な測定方法を選択するのであり,明確性の問題は生じない。 (3) 争点2-2(無効理由2・実施可能要件違反)について[被告の主張]当業者は,明細書の発明の詳細な説明の記載に基づいて,(a)HFO- 1234yfを含み,かつ,(b)ゼロ重量パーセントを超え1重量パーセ ント未満の,HFO-1243zfおよびHFC-245cbを含む組成物を製造しうるとは理解することはできない。 すなわち,明細書中には,①HFO-1243zfのフルオロ塩素化(【0032】~【0062】,実施例1~6に対応 よびHFC-245cbを含む組成物を製造しうるとは理解することはできない。 すなわち,明細書中には,①HFO-1243zfのフルオロ塩素化(【0032】~【0062】,実施例1~6に対応),②HCFC-243dbのフッ素化(【0063】~【0084】,実施例7~12に対応),H CFO-1233xfのフッ素化(【0085】~【0091】,実施例13,14に対応)及び④HCFC-244bbの脱塩化水素化(【0092】~【0099】,実施例15~17に対応)の4つの反応に係る方法が記載されているところ,これらのいずれの方法においても,「HFO-1234yfと,ゼロ重量パーセントを超え1重量パーセント未満の,HFO-124 3zfおよびHFC-245cb」を含む組成物は得られていない。 [原告の主張]当業者は,明細書の発明の詳細な説明の記載に基づいて,(a)HFO-1234yfを含み,かつ,(b)ゼロ重量パーセントを超え1重量パーセント未満の,HFO-1243zfおよびHFC-245cbを含む組成物 を製造しうると理解することができる。 すなわち,明細書では,HFO-1243zfから複数の工程を経ることでHFO-1234yfの濃度を上げるための手法が開示されている(【0032】,【0049】,図1等)。また,表6の「3時間」の操作においては,0.1モルパーセントのHFC-245cbと68.8モルパーセントのH FO-1234yfを含む組成物が生成されていることが示されている。さらに,明細書では,図1のフローで示されているHCFC-243db等を生成する際に,HFO-1243zfをクロロフッ素化することで,その含有量を減少させることが示されており(実施例の番号1,4),当業者であれ では,図1のフローで示されているHCFC-243db等を生成する際に,HFO-1243zfをクロロフッ素化することで,その含有量を減少させることが示されており(実施例の番号1,4),当業者であれば,温度や時間を適宜調整することで1重量%未満のHFO-1243z fを生成することは十分可能であると理解するものといえる。 なお,HCFC-243dbをフッ素化する過程において,HFO-1243zfを減少させるのとは逆に,0.1GC面積%のHFO-1243zfを生成できることが開示されているから(実施例の番号7参照),当業者は,このように生成したHFO-1243zfを,上記表6の「3時間」に示された態様に追加ブレンドすることでも,前記組成物を製造しうると理解 することができる。 (4) 争点2-3(無効理由3・サポート要件違反)について[被告の主張]本件特許には,次に照らし,サポート要件違反の無効理由がある。 ア本件発明においては,その組成物は,「ゼロ重量パーセントを超え1重 量パーセント未満の,HFO-1243zfおよびHFC-245cb」を含むことが規定されているところ,明細書には,どのような技術的意義を有するのかについては一切記載されておらず,他方,本件発明が単なる発見であるように記載されており(【0003】),明確な解決課題がないようにも理解でき,発明の解決すべき課題が不明である。 イ仮に,本件発明の解決課題を,「新たな組成物」の提供,すなわち,低地球温暖化係数(GWP)の組成物の提供であると理解した場合であっても,当業者は,本件発明の組成物によって当該課題を解決できると理解するとはいえない。なぜなら,本件発明において,組成物として含まれる化合物は,(a)H P)の組成物の提供であると理解した場合であっても,当業者は,本件発明の組成物によって当該課題を解決できると理解するとはいえない。なぜなら,本件発明において,組成物として含まれる化合物は,(a)HFO-1234yfを含むこと,及び,(b)ゼロ重 量パーセントを超え1重量パーセント未満の,HFO-1243zfおよびHFC-245cbとを含むこと,しか特定されておらず,これ以外の化合物をあらゆる比率で含むことを許容するものであり,当該化合物には,GWPの高い物質も多数含まれうるから,その結果,本件発明は,低地球温暖化係数(GWP)の組成物の提供という解決課題を解決 しえない組成物を多々含むことになってしまうからである。 [原告の主張]本件発明について,サポート要件違反の無効理由はない。すなわち,明細書には,当業者において,技術常識も踏まえ,「低地球温暖化係数(低GWP)の組成物」を提供できるであろうとの合理的な期待が得られる程度には十分な記載がなされている。 (5) 争点2-4(無効理由4・補正に係る新規事項の追加)について[被告の主張]本件補正は,次のとおり,当業者によって,当初明細書のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項に対して,新たな技術的事項を導入するものであるから,新規事項の追加に当たる。 ア前記1(4)アのとおり,本件特許の特許出願当初の特許請求の範囲には,「1重量パーセント未満」の化合物を含有する発明は,請求項1を引用する請求項2しかなく,同特許請求の範囲では,HFO-1234yfに対してどの化合物を約1重量パーセント未満含ませるかは,請求項1に列挙された化合物だけでも5億とおり以上の組合せがある。 しかし,本件特許 なく,同特許請求の範囲では,HFO-1234yfに対してどの化合物を約1重量パーセント未満含ませるかは,請求項1に列挙された化合物だけでも5億とおり以上の組合せがある。 しかし,本件特許の特許出願当初の特許請求の範囲及び当初明細書(乙13,14)には,本件発明(補正後の請求項1)に係る「HFO-1243zfおよびHFC-245cb」という特定の化合物の組合せを,HFO-1234yfに対して「ゼロ重量パーセントを超え1重量パーセント未満」含ませることは,実施例を含めて全く記載されていないも のであって,当業者において,当初明細書から,HFO-1234yfを含む組成物に対して,「HFO-1243zfおよびHFC-245cb」という特定の化合物のみを,ゼロ重量パーセントを超え1重量パーセント未満含ませるという技術的事項を読み取ることはできない。 イ上記アについては,特許庁の審査基準等(乙22,乙23)からも裏 付けられる。すなわち,同審査基準等によれば,当初明細書等に化学物 質が多数の選択肢群の組合せの形で記載されている場合に,当初明細書等に記載された多数の選択肢の範囲で特定の選択肢の組合せを請求項に追加する補正は,その選択肢が,実施例によって具体的に裏付けられている場合などの特別な場合を除いて,基本的には新たな技術的事項を導入するものであると判断されるものであり,本件補正の場合も,これと 同様に考えることができる。 ウ原告の主張は,当初明細書において,HFO-1243zfあるいはHFC-245cbが,HFO-1234yfに対して加えることのできる追加の化合物の例示として記載されていたという点に留まるものであり,当業者においては,それのみで,上記の技術的事項が記載されて いたと理解することはで -1234yfに対して加えることのできる追加の化合物の例示として記載されていたという点に留まるものであり,当業者においては,それのみで,上記の技術的事項が記載されて いたと理解することはできない。 [原告の主張]本件補正は,次のとおり,当業者によって,当初明細書のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項に対して,新たな技術的事項を導入するものであるとはいえず,新規事項の追加に当たるとはいえない。 ア新規事項の追加に該当するか否かは,新たな技術的事項を導入しているか否かによって判断されるべきであるところ,次のとおり,本件補正は,当初明細書の記載を根拠としてなされたものであって,新たな技術的事項を導入したものではない。また,第三者に不測の損害を与えるものではない。 (ア) 当初明細書には,「一実施形態において,本開示内容は,HFO-1234yfと,HFO-1234ze,HFO-1243zf,HCFC-243db,HCFC-244db,HFC-245cb,HFC-245fa,HCFO-1233xf,HCFO-1233zd,HCFC-253fb,HCFC-234ab,HCFC-243fa, エチレン,HFC-23,CFC-13,HFC-143a,HFC- 152a,HFC-236fa,HCO-1130,HCO-1130a,HFO-1336,HCFC-133a,HCFC-254fb,HCFC-1131,HFO-1141,HCFO-1242zf,HCFO-1223xd,HCFC-233ab,HCFC-226ba,HFC-227caからなる群から選択される少なくとも1つの追加の 化合物とを含む組成物を提供する。」(【0011】),「一実施形態において,HFO-1234 233ab,HCFC-226ba,HFC-227caからなる群から選択される少なくとも1つの追加の 化合物とを含む組成物を提供する。」(【0011】),「一実施形態において,HFO-1234yfを含む組成物中の追加の化合物の合計量は,ゼロ重量パーセントを超え,1重量パーセント未満までの範囲である。」(【0012】)という明確な記載が存在する。 (イ) 本件明細書では①HFO-1243zfからHCFC-243db, HFO-1234yf及びHFC-245cbを生成する記載,②HCFC-243db(上記①に記載)からHFO-1234yf,HFC-245cb及びHCFO-1233xfを生成する記載,③HCFO-1233xf(上記②に記載)からHCFC-244bb及びHFO-1234yfを生成する記載,④HCFC-244bb(上記③に記 載)からHFO-1234yfを生成する記載がなされ,図1も開示されている。また,これらの記載の各々に対応する内容の実施例も提供され,実施例1~6ではHFO-1234yf,HFO-1243zf及びHFC-245cbを含む態様,実施例7~11ではHFO-1234yf及びHFC-245cbを含む態様,実施例15~17ではHF O-1234yf及びHFC-245cbを含む態様が開示されている。 そして,実施例16に係る表6の「3時間」の操作においては,0. 1モルパーセントの245cbと68.8モルパーセントの1234yfを含む組成物が生成されていることが示されているから,上記態様において明記されていないのはHFO-1243zfやその含有量のみで ある。 しかして,HFO-1243zfについては,表2(実施例の番号1,4)にはその含有量を減少させることが記 において明記されていないのはHFO-1243zfやその含有量のみで ある。 しかして,HFO-1243zfについては,表2(実施例の番号1,4)にはその含有量を減少させることが記載され,表3(実施例の番号7)にはそれを生成できることが開示され,【0032】以降にもHFO-1234yfを製造する反応を示す概略図である図1で最初の物質として示されているHCFC-243dbが,HFO-1243zfか ら生成されることが記載されていることからすれば,当初明細書に接した当業者においては,「HFO-1243zf」についても具体的に開示された成分であると認識し,多数の組合せが考えられる成分のうちの単なる1つとは認識しない。 イ被告は,乙23(特許・実用新案審査ハンドブック附属書A 新規事項 の追加事例集の事例35)を提出するが,乙23で補正が許されないとして記載されている事例と本件とは全く状況が異なっている。そして,被告がその主張の根拠とする審査基準においても,新規事項の追加の有無は,補正の結果,残った発明特定事項で特定されるものが新たな技術的事項を導入するものであるか否かで判断すべきものとされているとこ ろ,本件補正においては,上記アのとおり,新たな技術的事項を導入するものではない。 (6) 争点2-5(無効理由5・乙24に基づく新規性及び進歩性欠如)について[被告の主張] 本件発明1,2は,次のとおり,乙24に記載された発明であるか(新規性欠如),乙24に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである(進歩性欠如)。 ア乙24の記載(ア) 乙24には,「約99重量パーセントのHFO-1234yfおよび 約1重量パーセントのHFO- 易に発明をすることができたものである(進歩性欠如)。 ア乙24の記載(ア) 乙24には,「約99重量パーセントのHFO-1234yfおよび 約1重量パーセントのHFO-1243zf及び約50~1000pp mのHFC-245cbを含む,冷媒,伝熱流体,発泡剤,エアゾール噴射剤等に用いる組成物が記載されている(以下,これを「乙24発明1」という。)。 (イ) また,乙24には,「99重量パーセントのHFO-1234yfおよび1重量パーセントのHFO-1243zfを含む,冷媒,伝熱流体, 発泡剤,エアゾール噴射剤等に用いる組成物」が記載されている(以下,これを「乙24発明2」という。)。 イ本件発明1について(ア) 乙24発明1の組成物には,これに含有させるHFC-245cbの量の下限値が約50ppmとごく微量であることに鑑みれば,HFO- 1243zfとHFC-245cbの総和が1重量%未満の組成物も含まれると理解するのが合理的である。そうすると,本件発明1と乙24発明1とは異なるところはなく,本件発明1は乙24に記載された発明であるというべきである(新規性欠如)。 (イ) また,本件発明1は,乙24発明2に基づいて,当業者が容易に発明 をすることができたものである(進歩性欠如)。 すなわち,本件発明1と乙24発明2とは,本件発明1においては,HFO-1243zfの割合が,ゼロ重量パーセントを超え1重量パーセント未満であるのに対し,乙24発明2においては,1重量パーセントである点(相違点1),及び本件発明1においては,ゼロ重量パーセ ントを超え1重量パーセント未満のHFC-245cbを含むのに対し,乙24発明2においては,この点 においては,1重量パーセントである点(相違点1),及び本件発明1においては,ゼロ重量パーセ ントを超え1重量パーセント未満のHFC-245cbを含むのに対し,乙24発明2においては,この点について記載がない点(相違点2)において相違する。 そして,相違点1については,乙24において,「約1~約99重量%のHFC-1234yf及び約99~約1重量%のHFC-124 3zf」を含むとの記載がされていることから(【請求項23】),乙2 4発明2において,HFO-1243zfの割合を「約1重量パーセント」とほとんど区別できない「1重量パーセント未満」の値とすることは,当業者が容易になしうる。また,本件発明1における要件(b)はそもそも技術的意義が不明であり,本件発明にかかる数値限定については,厳密に理解する必要はないと理解するのが相当であるから,この意味に おいても,「約1重量パーセント」を「1重量パーセント未満」とすることは,当業者が容易に想到することができる。 また,相違点2については,乙24には,HFC-245cbをトレーサーとして約50~1000ppm含ませることができることについても記載されているから(乙25参照),乙24発明2の組成物に対し て,さらに,HFC-245cbを約50~1000ppm程度のごく微量を加えることは,当業者が容易に想到することができる。 ウ本件発明2について本件発明2は,本件発明1を引用し,さらに請求項2に記載された化合物の群から選択される少なくとも1つの追加の化合物をさらに含み,H FO-1243zfおよびHFC-245cbと前記追加の化合物の合計量が1重量パーセント未満であることをさらに限定するものである。 そして,乙 れる少なくとも1つの追加の化合物をさらに含み,H FO-1243zfおよびHFC-245cbと前記追加の化合物の合計量が1重量パーセント未満であることをさらに限定するものである。 そして,乙24には,トレーサー化合物として約50~1000ppm程度のごく微量含ませることのできる化合物として,HFC-23,HFC-152a,HFC-227ca,HFC-236fa,HFC- 245faについても記載されている。したがって,本件発明2についても,本件発明1と同様に,乙24に記載された発明であるか,乙24に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。 [原告の主張]本件発明1,2は,次のとおり,乙24に記載された発明ではなく,当該 発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたということもでき ない。 ア乙24の記載乙24には,「約1重量パーセント~約99重量パーセントのHFC-1234yfおよび約99重量パーセント~約1重量パーセントのHFC-1243zfと,下記表7で示したトレーサーが約50ppm~約 1000ppmで含有される組成物」が記載されていることが認定できるにとどまる。 イ本件発明1について(ア) 乙24に記載された発明では,HFC-1243zf(HFO-1243zf)だけで下限値が1重量%以上となっているのであるから,当 該組成物に50ppm以上のHFC-245cbが加算された場合に,「HFC-1243zfとHFC-245cbの総和が,1重量%未満の組成物も含まれる」はずがない。したがって,本件発明1は,乙24に記載された発明であるとはいえない。 (イ) 本件発明1は,乙24に記載された発明に基づいて, 5cbの総和が,1重量%未満の組成物も含まれる」はずがない。したがって,本件発明1は,乙24に記載された発明であるとはいえない。 (イ) 本件発明1は,乙24に記載された発明に基づいて,当業者が容易に 発明をすることができたとはいえない。 すなわち,本件発明1と乙24に記載された発明との相違点に係る被告の主張のうち,相違点2は,「蒸気漏洩の影響を測定するための実施例である乙24発明2においては,HFC-1234yfとHFC-1243zfの合計値が100重量%となっており,トレーサー化合物が 含有される余地が存在しない点」とされるべきであるし,さらに相違点3として,「乙24発明2は蒸気漏洩の影響を測定するために容器に入れられた組成物であるのに対して,本件発明1は熱伝達組成物,冷媒,エアロゾル噴霧剤,または発泡剤に用いられる組成物である点」が存在している。 そして,相違点1(HFO-1243zfの割合)については,乙2 4においては1重量%~99重量%で変化させることしか開示されていないから,その含有量を下限値として設定されている1重量%未満にする動機付けが全く存在せず,下限値として設定されている1重量%よりも下げることには阻害要因も存在しており,乙24の実施例1の「1重量%」を「1重量%未満」にすることは当業者にとって容易なものでは ないといえる。 また,相違点2については,上記のとおり,「蒸気漏洩の影響」を測定する実施例1では,トレーサー化合物を加える必要がなく,現にHFC-1234yfとHFC-1243zfの合計が100となっており,HFC-245cbが含まれる余地がないものであって,「トレーサー 化合物」を「蒸気漏洩の影響」を測定する実施例1に加える動機 C-1234yfとHFC-1243zfの合計が100となっており,HFC-245cbが含まれる余地がないものであって,「トレーサー 化合物」を「蒸気漏洩の影響」を測定する実施例1に加える動機付け及びその必要性が全く存在していない。 さらに,相違点3については,乙24に記載された発明は,蒸気漏洩の影響を測定するために容器に入れられた組成物であるところ,当該「蒸気漏洩の影響を測定するために容器に入れられた組成物」を,本件 発明1のように「熱伝達組成物,冷媒,エアロゾル噴霧剤,または発泡剤」で用いることは想定されておらず,「蒸気漏洩の影響を測定するために容器に入れられた組成物」を「熱伝達組成物,冷媒,エアロゾル噴霧剤,または発泡剤」として用いる動機付けが存在していない。 ウ本件発明2について 本件発明1をより限定した本件発明2についても,本件発明1と同様に,乙24に記載された発明に対して,新規性・進歩性を有している。 (7) 争点2-6(無効理由6・乙27に基づく新規性及び進歩性欠如)について[被告の主張] 本件発明1,2は,次のとおり,乙27に記載された発明であるか,当該 発明に,乙27及び乙28(英国特許庁GB2439392A号公報)に記載された事項を適用することにより,当業者が容易に発明をすることができたものである。 ア乙27の記載内容乙27には,「HFO-1234yfを含む冷凍機,ヒートポンプなど の熱媒体として用いられる組成物」(以下「乙27発明」という。)が記載されている。 イ本件発明1について(ア) 前記のとおり,本件発明1における「ゼロ重量パーセントを超え1重量パーセント未満の,HFO-1243zf 「乙27発明」という。)が記載されている。 イ本件発明1について(ア) 前記のとおり,本件発明1における「ゼロ重量パーセントを超え1重量パーセント未満の,HFO-1243zfおよびHFC-245cb」 の数値範囲の下限値については明確にされておらず,これを字義どおりに理解すると限りなくゼロに近い数値も含みうる。そして,当該解釈に基づいたならば,本件発明1は,「HFO-1234yf」を含む組成物と実質的に何ら変わりがないことになる。したがって,本件発明1は,乙27に記載された発明である。 (イ) 次のとおり,本件発明1は,乙27発明及び乙27,乙28に記載された事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。 すなわち,仮に,「ゼロ重量パーセントを超え1重量パーセント未満」の数値を有意な数値であると理解すると,本件発明1と乙27発明とは, 本件発明は,「ゼロ重量パーセントを超え1重量パーセント未満の,HFO-1243zfおよびHFC-245cbと,を含む」のに対し,乙27発明においては,この点が記載されていない点で相違する。 もっとも,本件発明1において,「HFO-1243zfおよびHFC-245cb」という特定の化合物を含ませることや,また,その量 を「ゼロ重量パーセントを超え1重量パーセント未満」とする点には, 特段の技術的意義はないから,当業者が,HFO-1234yfに対して,HFO-1243zfおよびHFC-245cbを微量含ませることを適宜なしうると言えるのであれば,上記相違点は,容易に想到しうるというべきである。そして,乙27には,HFO-1234yfと同様に,オゾン層破壊問題を生じる危険性の少ない化合物であって,冷凍 ことを適宜なしうると言えるのであれば,上記相違点は,容易に想到しうるというべきである。そして,乙27には,HFO-1234yfと同様に,オゾン層破壊問題を生じる危険性の少ない化合物であって,冷凍 機,ヒートポンプなどに用いられる熱媒体として用いられる化合物として,HFO-1243zfが記載されているから,当業者であれば,HFO-1234yfに対して,同様の性質を有するHFO-1243zfを微量に加えることは問題ないと理解するところ,乙27発明の組成物に対して,HFO-1243zfを微量添加することは当業者が適宜 なしうる。また,乙28には,R-1234yfを含む熱伝導組成物に対して,HFC-245cbを1~10%程度含ませ得ることが記載されているから,乙27発明の組成物に対して,HFC-245cbを微量含ませることも,当業者であれば適宜なしうる。 したがって,上記相違点は,乙27及び乙28の記載に基づいて当業 者が容易に想到しうるものというべきである。 ウ本件発明2について本件発明2は,本件発明1を引用し,さらに請求項2に記載された化合物の群から選択される少なくとも1つの追加の化合物をさらに含み,HFO-1243zf及びHFC-245cbと前記追加の化合物の合計 量が1重量パーセント未満であることをさらに限定するものである。 もっとも,明細書には,請求項2に記載された化合物をさらに添加することの技術的意義や,その量をHFO-1243zfおよびHFC-245cbと当該追加の化合物の合計量が1重量パーセント未満とする技術的意義については何ら記載がされていないものであるから,これらの 追加の化合物に関しても,これを微量添加することが容易になしうるの であれば,本件発 計量が1重量パーセント未満とする技術的意義については何ら記載がされていないものであるから,これらの 追加の化合物に関しても,これを微量添加することが容易になしうるの であれば,本件発明2も当業者が容易になしうるとされるべきものである。 そして,上記のとおり,乙27には,HFO-1234yfなどのC3HmFnで示される化合物に対して,さらにR-143aあるいはR-152aを含ませることについても記載されているから,乙27発明の 組成物に対してこれらをさらに追加的に微量含ませることも,当業者であれば容易に想到しうることである。そうすると,本件発明2は,乙27発明及び乙27,28に記載された事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものというべきである。 [原告の主張] 本件発明1,2は,次のとおり,乙27に記載された発明であるとはいえず,当該発明に,乙27及び乙28に記載された事項を適用することにより,当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 ア乙27の記載乙27には「実施例5 熱媒体としてF3C-CF=CH2を使用する 以外は実施例1と同様にして,ヒートポンプの運転を行なったところ,実施例1とほぼ同様の結果が得られた。」という一文が記載されているだけであり,被告が主張するような乙27発明を認定することはできない。 イ本件発明1について(ア) 本件発明1は,「ゼロ重量パーセントを超え1重量パーセント未満の, HFO-1243zfおよびHFC-245cb」を含むことも要件とされているのであるから,本件発明1と乙27に記載された発明とは明らかに相違しており,本件発明1は新規性を有する。 (イ) 次のとおり, 43zfおよびHFC-245cb」を含むことも要件とされているのであるから,本件発明1と乙27に記載された発明とは明らかに相違しており,本件発明1は新規性を有する。 (イ) 次のとおり,本件発明1は,乙27に記載された発明に,乙27,乙28に記載された事項を適用することにより,当業者が容易に発明をす ることができたとはいえない。 すなわち,乙27には,「F3C-CF=CH2を使用する」と記載されているところ,これに対してHFO-1243zfを加える動機付けとなり得る記載はない上,被告の言うところの微量がどの程度の量であるかも不明である。 また,被告が乙27との組み合わせとして挙げた乙28については, その翻訳文を見ても,「R-1234yf」たる物質に,「R-134a,R-134,R-125,R-245fa,R-245cb,R-236fa及びR-227ea」から選択される不燃性(ハイドロ)フルオロカーボンが開示され,当該不燃性(ハイドロ)フルオロカーボンが「約1から約10重量%」で含まれることが開示されているにとどまり, 「R-1234yf」と「HFO-1234yf」との関係が不明であるし,「R-245cb」と「HFC-245cb」との関係も不明である。 さらに,乙27には,「F3C-CF=CH2を使用する」と記載されているところ,これに対して乙28に記載された不燃性(ハイドロ)フ ルオロカーボンを加える動機付けとなり得る記載はない上,不燃性(ハイドロ)フルオロカーボンが「約1から約10重量%」で含まれると記載されているのであるから,仮に乙27に乙28を組み合わせても不燃性(ハイドロ)フルオロカーボンが「約1から約10重量%」で含まれることとなり,本件発明1の「ゼロ重量パーセン 重量%」で含まれると記載されているのであるから,仮に乙27に乙28を組み合わせても不燃性(ハイドロ)フルオロカーボンが「約1から約10重量%」で含まれることとなり,本件発明1の「ゼロ重量パーセントを超え1重量パーセ ント未満の,HFO-1243zfおよびHFC-245cb」を含む要件を満たさないこととなる。 ウ本件発明2について本件発明1をより限定した本件発明2もまた,乙27に記載された発明に対し新規性・進歩性を有しているといえる。 (8) 争点3(訂正の対抗主張の可否)について [原告の主張]原告は,前記第2の1(5)アのとおり,特許請求の範囲の請求項1の「HFO-1234yfと,」の記載を「68.8モルパーセント以上のHFO-1234yfと,」に訂正し(以下,「訂正事項1」という。),特許請求の範囲の請求項2を独立形式に改めるとともに,訂正前の請求項2が引用して いた訂正前の請求項1の「HFO-1234yfと,」という記載を「82. 5モルパーセント以上のHFO-1234yfと,」に訂正する(以下「訂正事項2」という。)ことを内容とする訂正(本件訂正)を行った。 そして,本件訂正により無効理由は解消するほか,次のとおり,本件訂正は特許法126条5項及び6項に違反するものではなく,被告製品は,本件 訂正発明1及び2の技術的範囲に属するから,原告による訂正の対抗主張は理由があるとされるべきである。 ア訂正事項1は,特許法126条5項及び6項に違反しない。 すなわち,訂正事項1は,請求項1の内容を減縮するものであり,特許法126条1項1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするもの であって,カテゴリーや対象,目的を変更するものでは すなわち,訂正事項1は,請求項1の内容を減縮するものであり,特許法126条1項1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするもの であって,カテゴリーや対象,目的を変更するものではないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法126条6項に適合する。 また,明細書では,①HFO-1243zfからHCFC-243db,HFO-1234yf及びHFC-245cbを生成する記載,②HC FC-243db(上記①に記載)からHFO-1234yf,HFC-245cb及びHCFO-1233xfを生成する記載,③HCFO-1233xf(上記②に記載)からHCFC-244bb及びHFO-1234yfを生成する記載,④HCFC-244bb(上記③に記載)からHFO-1234yfを生成する記載のほか,図1などHFO -1234yfの含有量を増加させる様々なアプローチを提供しており, 表6では68.8モルパーセントのHFO-1234yfまで含有量を増加させることができたことが開示され,下記表5では77.0モルパーセント以上のHFO-1234yfまで含有量を増加させることができたことが開示されている。 そうすると,訂正事項1は,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又 は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり,特許法126条5項に適合する。 イ訂正事項2は,特許法126条5項及び6項に違反しない。 すなわち,訂正事項2は,請求項2の内容を減縮するものであり,特許法126条1項1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするもの であって,カテゴリーや対象,目的を変更するものではないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法1 26条1項1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするもの であって,カテゴリーや対象,目的を変更するものではないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法126条6項に適合する。 また,訂正事項1で述べたことに加え,明細書の表5では,HFO-1234yfの含有量を82.5モルパーセント及び85.0モルパーセ ントまで増加させることができたことが開示されている。 そうすると,訂正事項2は,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり,特許法第126条5項に適合する。 ウ被告製品は,本件訂正発明1及び2の技術的範囲に属する。 すなわち,本件発明1の内容から本件訂正により追加されたものは「HFO-1234yf」が「68.8モルパーセント以上」で含まれるという点であるところ,被告製品はHFO-1234yfを99.8重量%以上で含有していることから,上記文言を充足する。そして,その他の構成要件についても,前記のとおり,充足することは明らかである。 また,本件発明2の内容から本件訂正により追加されたものは「HFO -1234yf」が「82.5モルパーセント以上」で含まれるという点であるが,上記のとおり,被告製品はHFO-1234yfを99. 8重量%以上で含有していることから,上記文言を充足する。そして,その他の構成要件についても,前記のとおり,充足することは明らかである。 [被告の主張]本件訂正は,少なくとも新規事項の追加に該当するから,不適法な訂正であり,訂正の再抗弁は認められない。 すなわち,数値限定を追加する補正・訂正は,その数値限定が新たな技術的事項を導入する 本件訂正は,少なくとも新規事項の追加に該当するから,不適法な訂正であり,訂正の再抗弁は認められない。 すなわち,数値限定を追加する補正・訂正は,その数値限定が新たな技術的事項を導入するものでない場合には許されるが,新たな技術的事項を導入 するものであるか否かは,単に,補正の根拠となる数値が実施例等に記載されているかどうかではなく,①数値限定の上限値,下限値が,当初明細書において「発明の課題,効果の記載から見た境界値」であると認められるか,②当該数値範囲が,当初明細書において「連続的な数値範囲」として記載されているかにより判断されるべきである。しかして,本件訂正は,次のとお り,上記①,②のいずれの点も満たしていないから,新たな技術的事項を導入するものであるといわざるを得ず,不適法である。 ア 「68.8モルパーセント」及び「82.5モルパーセント」は,「発明の課題,効果の記載から見た境界値」でない。 すなわち,訂正前である本件発明は,「ゼロ重量パーセントを超え1重 量パーセント未満の,HFO-1243zfおよびHFC-245cbと,を含む,」という要件を満たす組成物をもって,何らかの課題を解決しようとしているものであるところ,本件特許の明細書には,上記要件を満たす組成物において,「68.8モルパーセント」あるいは「82. 5モルパーセント」のHFO-1234yfを含むことが,技術的に意 義のある境界値として何ら記載されていない。 イまた,「68.8モルパーセント以上」及び「82.5モルパーセント以上」という連続的な数値範囲は,本件明細書から読み取れない。 すなわち,明細書記載の表5,表6は,それぞれ,異なる条件に基づいてHCFC-244bbを反応させた時に現れた組成物のガス組 パーセント以上」という連続的な数値範囲は,本件明細書から読み取れない。 すなわち,明細書記載の表5,表6は,それぞれ,異なる条件に基づいてHCFC-244bbを反応させた時に現れた組成物のガス組成を示しているにすぎないから,表5と表6の数値を組み合わせて,数値範囲 を導くことはできない。 (9) 争点4(原告の損害)について[原告の主張]特許権者たる原告は,本件発明に対応する製品である「OpteonYF」等を継続して販売しており,原告には,被告による原告主張製品の販売 がなければ原告主張製品の販売に相応する利益を得ることができる事情が存在する。 そして,被告が原告主張製品を顧客に販売することで「OpteonYF」等の原告の本件発明に対応する製品を販売する機会が奪われているところ,被告は平成27年4月から令和元年11月に至るまでに原告主張製品を 販売等することで,少なくとも1億円の利益を得ている。 よって,被告が本件発明の技術的範囲に属する原告主張製品を販売等したことによって原告が被った損害の額は,少なく見積もっても1億円である(特許法102条2項)。 [被告の主張] 原告の上記主張は,全て争う。 なお,被告主張製品1については,そもそも原告に損害は発生していない。 すなわち,被告主張製品1は,ケマーズグループと被告との取り決めに基づき,ケマーズグループが,被告より購入のうえ,「OpteonYF」等の原告のブランドで販売しているものであるから,被告が被告主張製品1を ケマーズグループに販売することに起因して,原告が「OpteonYF」 等を販売する機会が奪われる関係にはない。 第3 当裁判所の判断 1 事案に鑑み,まず,争点2 主張製品1を ケマーズグループに販売することに起因して,原告が「OpteonYF」 等を販売する機会が奪われる関係にはない。 第3 当裁判所の判断 1 事案に鑑み,まず,争点2-4(無効理由4。補正に係る新規事項の追加)について判断する。 (1) 補正要件(新規事項の追加)について 特許法は,特許請求の範囲等の補正については,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしなければならない旨規定する(17条の2第3項)。しかして,上記の「最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項」とは,当業者によって,明細書,特許請求の範囲又は図面の全ての記載を総合することにより導 かれる技術的事項を意味するものというべきところ,第三者に対する不測の損害の発生を防止し,特許権者と第三者との衡平を確保する見地からすれば,当該補正が,上記のようにして導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものであるときは,当該補正は「明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において」するものといえるとい うべきである(知的財産高等裁判所平成18年(行ケ)第10563号同20年5月30日特別部判決参照)。 (2) 特許請求の範囲の記載の補正(本件補正)本件特許に係る特許出願当初の請求項1及び2は,前記第2の1(4)アに記載のとおりであったが,その後の補正(本件補正)により,本件特許請求 の範囲は,「ゼロ重量パーセントを超え1重量パーセント未満の,HFO-1243zf及びHFC-245cbと,を含む,」という文言を有するものとなった。(乙12,弁論の全趣旨)(3) 当初明細書の記載当初明細書には,次の記載 1重量パーセント未満の,HFO-1243zf及びHFC-245cbと,を含む,」という文言を有するものとなった。(乙12,弁論の全趣旨)(3) 当初明細書の記載当初明細書には,次の記載がある。 ア課題を解決するための手段 【0003】出願人は,1234yf等の新たな低地球温暖化係数の化合物を調製する際に,特定の追加の化合物が少量で存在することを見出した。 【0004】従って,本発明によれば,HFO-1234yfと,HFO-1234ze,HFO-1243zf,HCFC-243db,HC FC-244db,HFC-245cb,HFC-245fa,HCFO-1233xf,HCFO-1233zd,HCFC-253fb,HCFC-234ab,HCFC-243fa,エチレン,HFC-23,CFC-13,HFC-143a,HFC-152a,HFO-1243zf,HFC-236fa,HCO-1130,HCO-113 0a,HFO-1336,HCFC-133a,HCFC-254fb,HCFC-1131,HFC-1141,HCFO-1242zf,HCFO-1223xd,HCFC-233ab,HCFC-226baおよびHFC-227caからなる群から選択される少なくとも1つの追加の化合物とを含む組成物が提供される。組成物は,少なくとも1つ の追加の化合物の約1重量パーセント未満を含有する。 【0005】HCFC-243db,HCFO-1233xfおよび/またはHCFC-244db(判決注:図1等の記載からみて,「244bb」の誤記と認める。)を含む組成物が,HFO-1234yfを作製するプロセスにおいて有用である。従って,1234yfを含む組成 物は,ある量のHCFC 決注:図1等の記載からみて,「244bb」の誤記と認める。)を含む組成物が,HFO-1234yfを作製するプロセスにおいて有用である。従って,1234yfを含む組成 物は,ある量のHCFC-243db,HCFO-1233xfおよび/またはHCFC-244db(判決注:図1等の記載からみて,「244bb」の誤記と認める。)を,他の化合物に加えて含有していてもよい。 【0006】従って,本発明によれば,HCFC-243dbと,エチレ ン,HFC-23,CFC-13,HFC-143a,HFC-152 a,HFO-1234yf,HFO-1243zf,HFC-236fa,HCO-1130,HCO-1130a,HFO-1234ze,HFO-1336,HCFC-244bb,HCFC-244db,HFC-245fa,HFC-245cb,HCFC-133a,HCFC-254fb,HCFC-1131,HCFO-1233xf,HC FO-1233zd,HCFO-1242zf,HCFC-253fb,HCFO-1223xd,HCFC-233ab,HCFC-226baおよびHFC-227caからなる群から選択される少なくとも1つの追加の化合物とを含む組成物が提供される。組成物は,ゼロ重量パーセントを超え,約99重量パーセントまでのHCFC-243dbをど こかに含有していてよい。 【0007】さらに,本発明によれば,HCFO-1233xfと,HCFO-1233zd,HCFO-1232xd,HCFO-1223xd,HCFC-253fb,HCFC-233ab,HFO-1234yf,HFO-1234ze,エチレン,HFC-23,CFC-13, HFC-143a,HFC-152a,HFO-1243zf,HFC- C-253fb,HCFC-233ab,HFO-1234yf,HFO-1234ze,エチレン,HFC-23,CFC-13, HFC-143a,HFC-152a,HFO-1243zf,HFC-236fa,HCO-1130,HCO-1130a,HFO-1336,HCFC-244bb,HCFC-244db,HFC-245fa,HFC-245cb,HCFC-133a,HCFC-254fb,HCFC-1131,HCFO-1242zf,HCFO-122 3xd,HCFC-233ab,HCFC-226baおよびHFC-227caからなる群から選択される少なくとも1つの追加の化合物とを含む組成物がさらに提供される。組成物は,ゼロ重量パーセントを超え,約99重量パーセントまでのHCFO-1233xfをどこかに含有していてよい。 【0008】さらに,本発明によれば,HCFC-244bbと,HCF O-1233zd,HCFO-1232xd,HCFO-1223xd,HCFC-253fb,HCFC-233ab,HFO-1234yf,HFO-1234ze,エチレン,HFC-23,CFC-13,HFC-143a,HFC-152a,HFO-1243zf,HFC-236fa,HCO-1130,HCO-1130a,HFO-1336, HCFC-244db,HFC-245fa,HFC-245cb,HFC-245eb,HCFC-133a,HCFC-254fb,HCFC-1131,HCFO-1242zf,HCFO-1223xd,HCFC-233ab,HCFC-226baおよびHFC-227caからなる群から選択される少なくとも1つの追加の化合物とを含む組 成物も提供される。組成物は,ゼロ重量パーセントを超え,約99重量パーセン 3ab,HCFC-226baおよびHFC-227caからなる群から選択される少なくとも1つの追加の化合物とを含む組 成物も提供される。組成物は,ゼロ重量パーセントを超え,約99重量パーセントまでのHCFC-244bbをどこかに含有していてよい。 イ発明を実施するための形態【0016】ある実施形態において,HCFC-243dbに対する特定の前駆体化合物は,HCFC-243dbに現れる不純物を含有する。 他の実施形態において,追加の化合物は,これらの前駆体不純物の反応により形成される。他の実施形態において,HCFC-243dbを生成する反応条件では副生成物も生成され,これは,HCFC-243dbを生成する特定の条件に応じて,別の反応経路で追加の化合物を生成できることを意味する。 【0019】ある実施形態において,HCFO-1233xfに対する特定の前駆体化合物は,HCFO-1233xfに現れる不純物を含有する。他の実施形態において,追加の化合物は,これらの前駆体不純物の反応により形成される。他の実施形態において,HCFO-1233xfを生成する反応条件では副生成物も生成され,これは,HCFO-1 233xfを生成する特定の条件に応じて,別の反応経路で追加の化合 物を生成できることを意味する。 【0022】ある実施形態において,HCFC-244bbに対する特定の前駆体化合物は,HCFC-244bbに現れる不純物を含有する。 他の実施形態において,追加の化合物は,これらの前駆体不純物の反応により形成される。他の実施形態において,HCFC-244bbを生 成する反応条件では副生成物も生成され,HCFC-243dbに現れ,これは,HCFC-244bbを生成する特定の条件 純物の反応により形成される。他の実施形態において,HCFC-244bbを生 成する反応条件では副生成物も生成され,HCFC-243dbに現れ,これは,HCFC-244bbを生成する特定の条件に応じて,別の反応経路で追加の化合物を生成できることを意味する。 【0031】一実施形態において,HFO-1234yfは,HCFC-243dbから単一工程で生成してよい。他の実施形態において,反応 シーケンスは,段階的なやり方で実施してもよい。他の実施形態において,HCFO-1233xfは,HCFC-243dbから生成してから,HCFO-1233xfをHFO-1234yfに直接変換してもよい。さらに他の実施形態において,HCFC-244bbは,HCFC-243dbから生成してから,HCFC-244bbをHFO-1 234yfに変換してもよい。 ウ実施例【0124】実施例16実施例16は,HCFC-244bb(2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン)のHFO-1234yf(2,3,3,3- テトラフルオロプロパン)への触媒なしでの変換を示すものである。 【0125】加熱ゾーンが約12インチの空のInconel(登録商標)管(1/2インチOD)を,575℃まで加熱し,HFC-244bbを,0.35mL/時で,40℃に設定された気化器を通して,3.6sccm(6.0×10-8m3)のN2スイープを用いて供給した。リ アクタを連続で合計19時間操作し,試料を周期的に採取して,分析し, HFC-244bbの%変換率およびHFO-1234yfへの選択性を求めた。リアクタ流出物を,オンラインGCMSを用いて分析した。 以下の表6のデータは,与えられた条件での少な して,分析し, HFC-244bbの%変換率およびHFO-1234yfへの選択性を求めた。リアクタ流出物を,オンラインGCMSを用いて分析した。 以下の表6のデータは,与えられた条件での少なくとも2つのオンライン注入の平均であり,パーセンテージはモルパーセントである。 【0126】 (4) 以上を前提として以下検討する。 前記(2)に説示したとおり,前記第2の1(4)アの出願当初の請求項1及び2の記載からすれば,本件特許に係る特許出願当初の請求項1及び2の記載は,HFO-1234yfに対する「追加の化合物」を多数列挙し,あるいは当該「追加の化合物」に「約1重量パーセント未満」という限定を付すに とどまり,上記のとおり多数列挙された化合物の中から,特定の化合物の組合せ(HFO-1234yfに,HFO-1243zfとHFC-245cbとを組み合わせること)を具体的に記載するものではなかったというべきである。 しかして,上記(3)の当初明細書の各記載について見ても,特許出願の当 初の請求項1と同一の内容が記載され(【0004】),新たな低地球温暖化係数(GWP)の化合物であるHFO-1234yf等を調製する際に,HFO-1234yf又はその原料(HCFC-243db,HCFO-1233xf,及びHCFC-244bb)に含まれる不純物や副生成物が特定の「追加の化合物」として少量存在することが記載されており(【0003】, 【0016】,【0019】,【0022】),具体的には,HFO-1234y fを作製するプロセスにおいて,有用な組成物(原料)がHCFC-243db,HCFO-1233xfおよび/またはHCFC-244bbであることが記載され(【0005】),H FO-1234y fを作製するプロセスにおいて,有用な組成物(原料)がHCFC-243db,HCFO-1233xfおよび/またはHCFC-244bbであることが記載され(【0005】),HCFC-243db,HCFO-1233xf及びHCFC-244bbに追加的に含まれ得る化合物が多数列挙されてはいる(【0006】ないし【0008】)ものの,そのような記載にと どまっているものである。 そして他方,当初明細書においては,そもそもHFO-1234yfに対する「追加の化合物」として,多数列挙された化合物の中から特に,HFO-1243zfとHFC-245cbという特定の組合せを選択することは何ら記載されていない。この点,当初明細書においては,HFO-1234 yf,HFO-1243zf,HFC-245cbは,それぞれ個別に記載されてはいるが,特定の3種類の化合物の組合せとして記載されているものではなく,当該特定の3種類の化合物の組合せが必然である根拠が記載されているものでもない。また,表6(実施例16)については,8種類の化合物及び「未知」の成分が記載されているが,そのうちの「245cb」と 「1234yf」に着目する理由は,当初明細書には記載されていない。さらに,当初明細書には,特許出願当初の請求項1に列記されているように,表6に記載されていない化合物が多数記載されている。それにもかかわらず,その中から特にHFO-1243zfだけを選び出し,HFC-245cb及びHFO-1234yfと組み合わせて,3種類の化合物を組み合わせた 構成とすることについては,当業者においてそのような構成を導き出す動機付けとなる記載が必要と考えられるところ,そのような記載は存するとは認められない(なお,本件特許につき,優先権主張 わせた 構成とすることについては,当業者においてそのような構成を導き出す動機付けとなる記載が必要と考えられるところ,そのような記載は存するとは認められない(なお,本件特許につき,優先権主張がされた日から特許出願時までの間に,上記各説示と異なる趣旨の開示がされていたことを認めるに足りる証拠はない。)。 これらに照らせば,当業者によって,当初明細書,特許請求の範囲又は図 面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項としては,低地球温暖化係数(GWP)の化合物であるHFO-1234yfを調製する際に,HFO-1234yf又はその原料(HCFC-243db,HCFO-1233xf,及びHCFC-244bb)に含まれる不純物や副反応物が特定の「追加の化合物」として少量存在する,という点にとどまるものという ほかなく,その開示は,発明というよりはいわば発見に等しいような性質のものとみざるを得ないものである。そして,当初明細書等の記載から導かれる技術的事項が,このような性質のものにすぎない場合において,多数の化合物が列記されている中から特定の3種類の化合物の組合せに限定した構成に補正(本件補正)することは,前記のとおり,そのような特定の組合せを 導き出す技術的意義を理解するに足りる記載が当初明細書等に一切見当たらないことに鑑み,当初明細書等とは異質の新たな技術的事項を導入するものと評価せざるを得ない。したがって,本件補正は,当初明細書等の記載から導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入したものであるというほかない。 以上によれば,本件補正は「願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内」においてしたものということはできず,特許法17条の2第3項の補正 あるというほかない。 以上によれば,本件補正は「願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内」においてしたものということはできず,特許法17条の2第3項の補正要件に違反してされたものというほかなく,本件特許は,特許無効審判により無効にされるべきものと認められ(特許法123条1項1号),同法104条の3第1項により,特許権者たる原告は, 被告に対しその権利を行使することができないこととなる。 (4) 原告の主張についてこれに対し,原告は,①特許出願当初の特許請求の範囲及び当初明細書の記載からすれば,本件補正は新たな技術的事項を導入するものではなく,また,第三者に不測の損害を与えるものでもないこと,②特許庁の審査基準で 許されない訂正として掲げられている事例と本件とは異なること等を縷々主 張する。 しかしながら,上記(3)の説示に照らし,本件補正は,当初明細書等の記載を慎重に検討した結果,①当初明細書等の記載から導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入したものであると言わざるを得ず,そうである以上,②特許庁の審査基準において,許されない訂正として掲げ られている事例と本件とが異なるか否かにかかわらず,本件補正は補正要件に違反するものといざるを得ない。そして,その他の原告の主張を慎重に検討しても,その内容に照らし,上記の結論を左右するものはない。原告の上記主張は,採用することができない。 2 争点3(訂正の対抗主張の可否)について 前記第2の1(5)のとおり,原告は,本件訂正に係る訂正請求を行っているが,本件訂正によっても,その内容に照らし,当初明細書の記載等に基づく上記1の補正要件違反という無効理由が解消されないことは 前記第2の1(5)のとおり,原告は,本件訂正に係る訂正請求を行っているが,本件訂正によっても,その内容に照らし,当初明細書の記載等に基づく上記1の補正要件違反という無効理由が解消されないことは明らかである。そうすると,その余の点について検討するまでもなく,本件訂正に係る訂正の対抗主張は,理由がないというべきである。 3 原告の査証命令申立てについて(1) 原告は,令和2年10月19日,原告主張製品のうち,被告から原告に対し販売された最終製品以外のものに含まれるHFO-1234yf,HFO-1243zf,HFC-245cb及びHFO1234zeの含有量を立証すべき事項として,査証命令の申立てをした(当庁令和2年(モ)第267 4号)。 (2) しかしながら,前記のとおり,本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものと認められるのであって,原告主張製品であれ,被告主張製品であれ,対象製品が本件発明の技術的範囲に属するか否かを問わず,原告は被告に対し,本件特許権を行使することができないものである。そうすると, 当裁判所としては,本件訴訟において,原告の請求に理由があるかを判断す るために,上記の立証すべき事項たる事実を判断する必要がないものといわざるを得ず,ひいては,同事実を判断するため,上記査証命令申立てにより得られる証拠を取り調べることが必要であるとも認められない。 以上によれば,上記査証命令の申立ては,必要でない証拠の収集を求めるものであり,その必要性を欠くものというべきであるから,原告の上記査証 命令申立ては,これを却下することとする。 4 結論以上のとおり,本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものと認められるから,その余の点について判断するまでもなく,原告 査証 命令申立ては,これを却下することとする。 4 結論以上のとおり,本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものと認められるから,その余の点について判断するまでもなく,原告は,被告に対し,原告主張製品であれ,被告主張製品であれ,対象製品の生産,使用,譲渡,譲 渡の申出の差止めや,同製品の廃棄を請求することができず,特許権侵害による損害賠償請求(遅延損害金請求も含む。)をすることもできない。 よって,原告の請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47部 裁判長裁判官田中孝一 裁判官横山真通 裁判官奥俊彦 (別紙特許公報省略) (別紙)被告製品目録 1 HFO-1234yfと,ゼロ重量パーセントを超え1重量パーセント未満の,HFO-1243zfおよびHFC-245cbと, を含む,熱伝達組成物,冷媒,エアロゾル噴霧剤,または発泡剤に用いられる組成物と, 2 上記組成物であって,HFO-1234ze,HCFC-243db,HCFC-244db,HFC-245fa,HCFO-1233xf,HCFO-1233zd,HC FC-253fb,HCFC-234ab,HCFC-243fa,エチレン,HFC-23,CFC-13,HFC-143a,HFC-152a,HFC-236fa,HCO-1130,HCO-1130a,HFO-1336,HCFC-133a,HCFC-254fb,HCFC-1131,HFO-1141,HCFO-1242zf,HCFO-1223xd -236fa,HCO-1130,HCO-1130a,HFO-1336,HCFC-133a,HCFC-254fb,HCFC-1131,HFO-1141,HCFO-1242zf,HCFO-1223xd,HCFC-2 33ab,HCFC-226baおよびHFC-227caからなる群から選択される少なくとも1つの追加の化合物をさらに含み,HFO-1243zfおよびHFC-245cbと前記追加の化合物の合計量が1重量パーセント未満である組成物。 例えば製品名に「1234yf」を含む製品及びそれらの製品の中間製品(製品の製造の中間過程で造られた上記1,2の構成を備える物であって,以後の製造工程を経ることによって製品となるもの)製品名に「1234yf」を含む製品の一例としては下記製品名の製品(ただし,製品名の一部に下記製品名を有するものを含む。) 記 1 AGCHFO-1234yf 2 AMOLEAHFO-1234yf 3 AGC 1234yf 4 AMOLEA 1234yf 5 アサヒクリン 1234yf 以上

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る