平成26年12月1日判決言渡平成26年(ハ)第1727号損害賠償請求事件 主文 1 被告は,原告に対し,11万2000円及びこれに対する平成24年11月26日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 3 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求主文同旨。 第2 事案の概要本件は,原告が運転する四輪車(以下「原告車両」という。)と,被告が運転する単車(以下「被告バイク」という。)が衝突した交通事故(以下「本件事故」という。)に関して,原告車両の所有者である原告が,被告に対し,原告車両の時価相当額及び弁護士費用並びにこれらの遅延損害金について,損害賠償を請求した事案である。 1 前提事実(当事者間で争いがない又は証拠上明らかな事実)(1) 本件事故の発生(甲1)ア日 時平成24年11月26日午前5時17分ころイ場 所愛知県長久手市(以下略)の交差点(以下「本件交差点」という。)ウ原告車両普通乗用自動車(名古屋○○○○○○○○)エ被告バイク普通自動二輪車(名古屋○○○○)(2) 本件事故の態様原告車両が西から東に向かう車道から本件交差点に進入し,被告バイクが南から北に向かう車道から本件交差点に進入し,本件交差点内で衝突した。 (3) 本件事故に基づく損害ア原告車両は全損であり,時価相当額は10万2000円である(甲4)。 イ原告車両のレッカー費用は2万6040円だが,原告が加入する保険会社が支払っている(甲8)。 2 争点(事故態様及び過失割合)(原告の主張)(1) 原告車両が進行する車道の対面信号は青色表示で,被 のレッカー費用は2万6040円だが,原告が加入する保険会社が支払っている(甲8)。 2 争点(事故態様及び過失割合)(原告の主張)(1) 原告車両が進行する車道の対面信号は青色表示で,被告バイクが進行する車道の対面信号は赤色表示であったにもかかわらず,被告バイクは本件交差点に進入したため,本件事故が発生したものであり,被告に一方的な過失がある。 (2) 原告は,本件交差点に至る数十メートル手前の地点で対面信号が青色表示であることを認識し,本件交差点の進入口の停止線の数メートル手前でも同じく青色表示であることを確認している。しかも,本件交差点の北口において,南に向かう車道上で別車両が停止していた。 (3) 本件交差点北東角にあるコンビニエンスストアに設置された防犯カメラによれば,本件事故が発生した日の午前5時5分の49.546秒にガシャーンという硬い物がぶつかる衝突音が確認でき,その直前である45.140秒から48.171秒にかけて北進する二輪車と思しき前照灯が確認でき,54.640秒に南北方向の歩行者用信号機が青色に変わっている。そして,本件交差点の信号サイクルからすると,その5.094秒前は南北方向の車両用信号機は赤色で,東西方向の車両用信号機は青色から黄色に変わった直後となるが,衝突音が確認できた時刻の少し前に両車両が本件交差点に進入したことになるので,被告バイク進入時の南北方向の車両用信号は赤色で,原告車両進入時の東西方向の車両用信号は青色となる。 (4) 本件事故直前の原告車両の速度は時速35キロメートル前後であり,被告が問題とする0.906秒間で8.8メートル進む計算になるが,これは,衝突時における原告車両運転席の位置から本件交差点西口の停止線直前の原告車両運転席の位置までの距離が9メートルであることからすると 問題とする0.906秒間で8.8メートル進む計算になるが,これは,衝突時における原告車両運転席の位置から本件交差点西口の停止線直前の原告車両運転席の位置までの距離が9メートルであることからすると,原告車両が本件交差点の停止線直前を走行した時の対面信号は青色となる。原告車両が時速60キロメートル又は時速50キロメートルで走行していたという被告の主張は仮定にすぎず,仮定に基づく推論から,原告車両が本件交差点に進入する前に対面信号が黄色に変わっていたと断定する立論は成り立たない。 (5) また,早朝だから原告車両の速度が速かったとか,原告が歩行者用信号機の点滅を見て原告車両を加速させたとか,被告バイクが大きく飛ばされたから原告車両の速度が速かったとか,原告車両の損傷が大きいから速度が速かったという被告の推論は極めて乱暴であり,本件交差点進入時における原告車両の速度超過を示すものではない。 (被告の主張)(1) 被告バイクは,本件交差点から約1キロメートル手前のC交差点を青信号で通過し,時速約40キロメートルで本件交差点に向かったが,その間,被告バイクの前方を走行する別車両は存在せず,被告は本件交差点の手前約30メートルで対面信号が青色であることを確認し,被告バイクは時速約40キロメートルのまま本件交差点に進入しており,原告車両の進行する車道の対面信号が赤色であったものであり,本件事故が発生した責任は原告のみにある。 (2) また,本件交差点北東角にあるコンビニエンスストアに設置された防犯カメラによれば,本件事故が発生した日の午前5時17分の39.546秒にガシャーンという衝突音が確認でき,44.640秒に南北方向の歩行者用信号機が青色に変わっていて,信号サイクルからすると南北方向の車両用信号機も同時に青色に変わるため,本件事故発生 39.546秒にガシャーンという衝突音が確認でき,44.640秒に南北方向の歩行者用信号機が青色に変わっていて,信号サイクルからすると南北方向の車両用信号機も同時に青色に変わるため,本件事故発生から5.094秒後に青色に変わったことになるが,南北方向の車両用信号機は,青色に変わる前に,黄色が3秒間,赤色が3秒間点灯するため,東西方向の車両用信号機は,黄色に変わってから衝突するまでに0.906秒経過していたことになる。 衝突時における原告車両運転席の位置から本件交差点西口の停止線直前の原告車両運転席の位置までの距離が9メートルであることからすると,原告車両が仮に時速60キロメートルで走行していた場合,衝突時における原告車両運転席の位置から原告車両は約15メートル西側の地点を走行していたことになる。仮に時速50キロメートルで走行していた場合,約12.5メートル西側の地点となり,原告車両の本件交差点進入時の対面信号は黄色となる。 さらに,原告車両が走行していた東向きの道路の制限速度は時速30キロメートルだが,交通量が閑散としている午前5時17分という早朝に本件事故が発生しているため速度が速くなることが多く,東西方向の歩行者用信号機は車両用信号機が黄色に変わる6秒前から点滅するため,その後に赤色に変わるのを認識した原告が本件交差点を通過するため原告車両を加速させた可能性が高く,被告バイクは原告車両の進行方向に大きく飛ばされガードポールにめり込むように停止し,原告車両の前部の損傷が大きいことなどからすると,原告車両の本件交差点進入時の速度が制限速度を大きく上回るものであったと言える。 そうすると,原告は対面信号が黄色であるのを無視して進入し,制限速度超過も著しいので,少なくとも原告に5割の過失がある。 第3 当裁判所の判断 制限速度を大きく上回るものであったと言える。 そうすると,原告は対面信号が黄色であるのを無視して進入し,制限速度超過も著しいので,少なくとも原告に5割の過失がある。 第3 当裁判所の判断 1 上記第2の1の前提事実,証拠(甲3,4,9~11,乙2,原告本人。ただし,これらの証拠のうち認定した事実に反する部分については採用しない。以下同じ。)及び弁論の全趣旨から,次の事実が認められる。 (1) 本件交差点は,D方面(西)とE方面(東)を結ぶ車道(以下「A道路」という。 )と,F方面(南)とG方面(北)を結ぶ車道(以下「B道路」という。)が交差する場所で,信号機による交通整理がされている。A道路の場合,原告車両が進行してきた本件交差点西側入口付近は,片側1車線で各車線の幅員は約2. 7メートルで,両端に歩道があり車道との間の路肩にガードレールが部分的に設置され,最高速度が時速30キロメートルに制限され,原告車両の進行方向からの見通しは,本件交差点南西角の右側路外に人家があるため,右方向については本件交差点に進入する直前に至るまで見通すことができない。B道路の場合,被告バイクが進行してきた本件交差点南側入口付近は,被告バイクが進行する車道が左折兼直進用の車線と右折専用の2つの車線に分かれ,両車線をあわせた幅員は約5.4メートルであり,はみ出し禁止の中央線を挟んだ対向車線の幅員は約3.3メートルで,両端に幅員約3.5メートルの歩道があり,最高速度は時速50キロメートルに制限されていて,被告バイクの進行方向からの見通しは,上記人家があるため左方はA道路と同様に見通すことができない。(甲3,甲13)(2) 本件事故当時,強めの雨が降っており,11月下旬の早朝であるため周囲は暗い状況であった(原告本人)。原告車両はA道路を西から東に向かって 道路と同様に見通すことができない。(甲3,甲13)(2) 本件事故当時,強めの雨が降っており,11月下旬の早朝であるため周囲は暗い状況であった(原告本人)。原告車両はA道路を西から東に向かって進行し,被告バイクはB道路を南から北に向かって進行し,原告も,被告も,自車が進行する対面信号が青色表示であると認識したまま,自車の進行速度を維持したままの状態で本件交差点に進入し,本件交差点西側入口の停止線から東側に約10.7メートル,本件交差点南側入口の自転車横断帯の北側境界線から北側に約10.5メートルの位置あたりで出会い頭に衝突し,その後,原告車両はやや左方に反れて約8メートル先の本件交差点内の北東角付近まで進行して停止し,被告バイクは原告車両に押されて,すぐそばのガードパイプに衝突した(甲3,13)(3) 本件交差点の北東角のコンビニエンスストアH店に設置された防犯カメラによって確認できる衝突音とその前後の照明による光のほか,警察への通報時刻から,両車両が衝突した時刻は午前5時17分39.546秒(ビデオに画面表示される時刻が11分50秒遅れているため,これを補正した時刻である。 以下同じ)であり,上記防犯カメラによって確認できるB道路の歩行者用信号機に青色が点灯した時刻が午前5時17分44.640秒であり,A・B道路の車両用信号機と歩行者用信号機の信号サイクルは別紙「信号サイクル表」(添付省略)のとおりである(甲9,10)。 (4) 原告車両は,長さが約3.39メートルで,幅が約1.47メートルであるが,正面前部のボンネットとフロントバンパーが大きく凹んで中破し,正面を12時とすると2時の方向から外力が加わっており,I株式会社から一目全損の査定を受けている(甲4,11)。 (5) 被告バイクは,長さが約2.45メートルで,幅が ンパーが大きく凹んで中破し,正面を12時とすると2時の方向から外力が加わっており,I株式会社から一目全損の査定を受けている(甲4,11)。 (5) 被告バイクは,長さが約2.45メートルで,幅が約0.94メートルであるが,左ステップの折損,クランクケースカバーの割損,両側面の擦過傷などにより中破し,Jから全損の査定を受けている(甲11,乙2)。 2 最初に,原告車両が本件交差点に進入した時の速度について検討するに,上記1の(1)のとおり,A道路の車線の幅員が約2.7メートルとかなり狭く,左側路肩にガードレールが設置され,本件交差点の右方向は見通すことができないという道路状況からすると,普通乗用自動車の運転者は速度が出しにくいと考えるのが一般的である。これに加え,上記1の(2)によれば,本件事故当時の周囲は暗く天候は雨であり,しかも,原告は出勤途中であったものの勤務先まで10分程度で到着する距離にあって午前6時までに到着すればよかった(原告本人)ことを踏まえると,制限速度を著しく超過して原告車両を進行させたとは考えにくい。 そうすると,原告車両が本件交差点に進入した際の速度は,原告が主張するとおり制限速度をやや超える時速約35キロメートル(せいぜい時速40キロメートル程度)であったと認めるのが相当である。 これに対し,被告は,車両の通行が閑散となる早朝だったこと,原告車両が本件交差点に進入する直前に歩行者用信号機が青色点滅したこと,衝突後に被告バイクが大きく飛ばされたこと,原告車両の損傷が大きかったことから,本件交差点進入時の原告車両の速度が時速50~60キロメートルであったと主張している。たしかに,上記1の(4)(5)によれば両車両の損傷状況は甚大だが,普通乗用自動車と自動二輪車が出会い頭に衝突すれば,衝突時の速度が時速40キロ 度が時速50~60キロメートルであったと主張している。たしかに,上記1の(4)(5)によれば両車両の損傷状況は甚大だが,普通乗用自動車と自動二輪車が出会い頭に衝突すれば,衝突時の速度が時速40キロメートル程度でも両車両の損傷の程度は小さくない。また,被告バイクとの衝突による制動効果があるにせよ,上記1の(2)のとおり原告車両が衝突後に本件交差点内に停止できたことからすると,原告車両の速度が時速50~60キロメートルであったと認定することはできない。 3 次に,原告車両と被告バイクが本件交差点に進入した際のそれぞれの対面信号の表示について検討するに,上記1の(3)によれば,両車両が衝突した時より5. 094秒あとにB道路の歩行者用信号機に青色が点灯していることが認められ,B道路の車両用信号機が青色表示に変わるのはB道路の歩行者用信号機と同時であることからすると,被告バイクが本件交差点に進入した時の対面信号が赤色表示であったことは明らかである。 これに対し,A道路の車両用信号機の場合,B道路の歩行者用信号機が青色表示に変わる時刻以前に,赤色が3秒間,黄色が3秒間,それぞれ表示がされ,それ以前に青色が20秒間表示される。そのため,被告が主張するとおり,原告車両の対面信号は黄色に変わってから両車両が衝突するまでに0.906秒経過していたことになる。 これについては,上記2で認定したとおり本件交差点進入時の原告車両の進行速度が時速35キロメートル(秒速9.722メートル)だとした場合,0.906秒で約8.81メートル進行し,時速40キロメートル(秒速11.111メートル)だとした場合,約10.07メートル進行することになる。しかし,上記1の(2)のとおり,原告車両が進行してきたA道路の本件交差点西側入口の停止線から衝突地点まで約10.7 秒速11.111メートル)だとした場合,約10.07メートル進行することになる。しかし,上記1の(2)のとおり,原告車両が進行してきたA道路の本件交差点西側入口の停止線から衝突地点まで約10.7メートルの距離があるので,原告車両が本件交差点西側入口の停止線に差し掛かった時の対面信号は青色表示であったと認めるのが相当である。この場合,原告車両が本件交差点に進入した時の対面信号は青色表示であったことになる。 4 上記2,3からすると,本件事故の発生に関し,被告には,対面信号が赤色表示であるにもかかわらず,被告バイクを本件交差点に進入させた過失があるが,原告には何ら注意義務違反は認められない。 原告の損害は,上記第2の1の(3)のとおり,原告車両の時価相当額10万2000円であり,これを踏まえると,弁護士費用は1万円が相当である。 5 以上によれば,原告の請求は理由があるので,これを認容し,訴訟費用の負担につき民訴法61条を,仮執行の宣言につき同法259条1項を,それぞれ適用して,主文のとおり判決する。 名古屋簡易裁判所 裁判官柴田和也
▼ クリックして全文を表示