令和4(わ)334 傷害致死、死体遺棄、暴行、監禁

裁判年月日・裁判所
令和5年9月8日 さいたま地方裁判所
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判決文本文3,263 文字)

主文 被告人Aを懲役10年に、被告人Bを懲役12年に処する。 被告人らに対し、未決勾留日数中各400日を、それぞれその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)第1(令和4年6月16日付け追起訴分の第1)被告人Aは、分離前の相被告人Cと共謀の上、令和3年1月31日午前10時39分頃から同日午前11時2分頃までの間に、埼玉県本庄市(住所省略)所在の被告人ら方(以下「被告人ら方」という。)において、被告人Aの長男であるD(当時4歳)に対し、その顔面を複数回平手で殴り、その襟付近をつかんで引き倒すなどの暴行を加えた。 第2(令和4年6月1日付け追起訴分の第1)被告人A及び被告人Bは、Cと共謀の上、令和3年1月31日午後8時46分頃から同日午後8時55分頃までの間、被告人ら方において、Dに対し、同人をプラスチック製樽の中に入れて蓋を閉めた上、同樽を横に倒して回転させ、同樽を多数回叩く暴行を加えた。 第3(令和4年12月26日付け追起訴分)被告人Bは、令和3年2月28日午後8時25分頃、被告人ら方において、E(当時4歳)に対し、その頭部を平手で2回殴り、その体を担ぎ上げる暴行を加えた。 第4(令和4年6月16日付け追起訴分の第2)被告人Aは、Cと共謀の上、令和3年3月5日午後8時57分頃、被告人ら方において、Dに対し、その両足をつかみ、その身体を持ち上げて逆さづりにした状態で振り回す暴行を加えた。 第5(令和4年6月1日付け追起訴分の第2)被告人A及び被告人Bは、Cと共謀の上、令和3年5月29日午後零時2分頃から同日午後零時9分頃までの間に、被告人ら方において、Dに対し、2回にわたり、被告人Bが、Dの両足をつかみ、その身体を持ち上げて逆さづりにした状態で振 と共謀の上、令和3年5月29日午後零時2分頃から同日午後零時9分頃までの間に、被告人ら方において、Dに対し、2回にわたり、被告人Bが、Dの両足をつかみ、その身体を持ち上げて逆さづりにした状態で振り回すなどの暴行を加えた。 第6(令和4年6月1日付け追起訴分の第3)被告人A及び被告人Bは、Cと共謀の上、令和3年5月29日午後零時22分頃、被告人ら方において、Dを木材及び金網で組み立てられた猫用ケージの中に入れ、その出入口にテーブルを置くなどして同人を同ケージ内に閉じ込め、同日午後2時59分頃までの間、同人を同ケージ内から脱出することを著しく困難にさせ、もって不法に人を監禁した。 第7(令和4年6月1日付け追起訴分の第4)被告人A及び被告人Bは、Cと共謀の上、令和4年1月16日午後9時36分頃から同日午後10時19分頃までの間に、被告人ら方において、D(当時5歳)に対し、複数回、同人を投げ倒すなどの暴行を加えた。 第8(令和4年4月15日付け起訴分の第1)被告人A及び被告人Bは、Cと共謀の上、令和4年1月18日、被告人ら方において、Dに対し、被告人A及び被告人Bが、Dを投げ倒してその後頭部を畳に打ち付けさせるなどの暴行を加え、よって、同人に後頭部打撲による脳幹損傷の傷害を負わせ、同日頃、同所において、同人を同傷害により死亡させた。 第9(令和4年4月15日付け起訴分の第2)被告人A及び被告人Bは、Cと共謀の上、令和4年1月19日頃、被告人ら方1階南側和室において、その床下に穴を掘ってDの死体を入れた上、土砂をかぶせて埋め、もって死体を遺棄した。 (量刑の理由) 1 本件は、被告人らが、被告人Aの実子(以下「被害児」という。)に対し、複数回の暴行や監禁行為を行った末に、同人を暴行死させ、その死体を自宅の床下に 死体を遺棄した。 (量刑の理由) 1 本件は、被告人らが、被告人Aの実子(以下「被害児」という。)に対し、複数回の暴行や監禁行為を行った末に、同人を暴行死させ、その死体を自宅の床下に遺棄したという事件と、被告人Bによる別の児童に対する暴行事件(判示第3)からなる事案である。 2 犯行に至る経緯被告人Aは、暴力を振るう夫の下から逃げ出し、令和2年夏頃から、被害児の保育園で知り合った友人方に居候し始めた。その後、被告人Aは、同友人を介して、C及びその内縁の夫である被告人Bと面識を持つようになった。令和3年1月頃、被告人Aは、前記友人との折り合いが悪くなると、Cの誘いを受けて、被害児を連れてCら方に移り住んだ。その頃から、被告人Aは、自らの通帳やキャッシュカードなどをCに預けて、金銭的な管理を任せ、生活全般でもCらの指示に従うようになった。 そして、被告人A親子がCらと同居するようになって間もなく、Cは、被害児に対して体罰を加えるようになり、被告人B及び被告人Aにも、被害児のしつけのために必要だとして、暴行等を指示するようになっていった。 3 量刑の中心となる判示第8の傷害致死事件についてみると、被告人Aが「相撲」と称し被害児に足を掛けて後方に倒す暴行を複数回加えた後に、被告人Bが手加減なく、二度にわたって被害児を持ち上げ、背面から畳に叩きつけている。無抵抗だった被害児に対し、執拗に行われた一連の暴行は、相当危険なものであって、態様としてかなり悪質である。 わずか5歳で、誰にも助けてもらえずに息絶えていった被害児の肉体的・精神的苦痛は察するに余りあり、結果が重大であることはいうまでもない。そればかりか、被告人らは、犯行が発覚しないようにと、被害児の 遺体に生ゴミ用の防虫脱臭剤を撒くなどして自宅の床下に埋めている 的苦痛は察するに余りあり、結果が重大であることはいうまでもない。そればかりか、被告人らは、犯行が発覚しないようにと、被害児の 遺体に生ゴミ用の防虫脱臭剤を撒くなどして自宅の床下に埋めている。 被害児に対する暴行等が常習化していたことも併せ考えると、犯行全体として、傷害致死の同種事案(児童虐待、凶器等なし、被告人から見た被害者の立場が子又は知人等、前科等なし)の中でも、特に重い部類に属するといえる。 4 その上で、被告人Aについては、本来なら、母親として身を挺してでも我が子を守るべき立場でありながら、むしろ自ら犯行に加担しており、被告人Bに比べ各暴行の程度が強くはないにせよ、事件への関与の度合いは大きいといえる。確かに、本件当時の被告人Aが置かれていた状況に照らして、各犯行の意思決定が共犯者Cの指示や発言を受けた側面もあることは否定できないものの、他に取り得る選択肢もあった中で、結局は自らの判断により虐待に加担し続けたといわざるを得ず、弁護人が強調するCの影響力の大きさが被告人Aの刑事責任を大きく減ずる理由にはならないといえる。 また、被告人Bについては、一連の犯行において率先して強い暴行等に及んでおり、特に、傷害致死事件においては、態様面で死亡結果の発生に大きく関与したといえる。そして、別の児童に対する暴行事件も含め、他人の子へのしつけに名を借りた各犯行は、いずれも身勝手で無責任というほかなく、Cの影響を念頭に置いても、被告人Bの意思決定は強い非難に値する。 5 そうすると、公判廷において被告人両名が全ての事実を認めて反省の言葉を述べていること、被告人Bについては実父が出廷し、出所後の被告人Bの監督を誓約していることなど、被告人らそれぞれに有利に考慮し得る事情を踏まえても、責任の重さに応じた主文の各刑に処するのが 言葉を述べていること、被告人Bについては実父が出廷し、出所後の被告人Bの監督を誓約していることなど、被告人らそれぞれに有利に考慮し得る事情を踏まえても、責任の重さに応じた主文の各刑に処するのが相当である。 (求刑:被告人Aにつき懲役12年、被告人Bにつき懲役15年。 弁護人の科刑意見:被告人Aにつき懲役4年、被告人Bにつき懲役8年)令和5年9月13日さいたま地方裁判所第1刑事部裁判長裁判官北村和裁判官小西安世裁判官秋保春菜

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