【DRY-RUN】主 文 原判決中被上告人の請求を認容した部分を破棄し、右部分につき本件を 高松高等裁判所に差し戻す。 理 由 上告代理人平沼高明、同服部訓子、同関沢潤の上告理
主 文 原判決中被上告人の請求を認容した部分を破棄し、右部分につき本件を 高松高等裁判所に差し戻す。 理 由 上告代理人平沼高明、同服部訓子、同関沢潤の上告理由第二点について 原審の確定したところによれば、1 訴外亡D(以下「D」という。)と訴外E (以下「E」という。)とは共に訴外F(以下「F」という。)の被用者として本 件事故当時共同して作業をしていたものであり、両者は職制上の上司、部下の関係 にはなかつたが、DがEより約九か月先任で約二年年長であり、経験も豊富であつ た、2 DとEとは、本件事故当日、本件事故現場において、Fのもとで整地作業 に従事したが、Fが作業途中で現場から去つたのちも、Dはブルドーザーを、Eは ダンプカーを使つて右作業を続け、これを完了した、3 Dは、現場を引揚げる際、 同人の運転していたブルドーザーをブルドーザー回送専用車を使用することなく持 ち帰ろうと思い、Eに対して、たまたまEのダンプカーの後部付近にあつた花崗土 の盛土を踏台にして右ダンプカーの後部から自分がブルドーザーを運転してその荷 台に積み込む方法でブルドーザーを持ち帰る考えを話すとともに、かつてこの方法 で成功した経験がある旨をも告げて協力方を求めた、4 Eは、そのような方法に よる積込みは危険であると考えたが、ブルドーザーの運転免許を有し、ブルドーザ ーを運転した経験もあるDが前にもそのような方法で積み込んだことがあるという のであるから大丈夫であろうと思つてDに同調した、5 Dは、Eに対し、(1) ダンプカーの運転席に就き、荷台の後側板を開き荷台前部を約五〇センチメートル 上昇させて荷台を傾斜させること、(2) 自分がブルドーザーを運転して右荷台に 乗り入れる間はダンプカーのフツトブレーキを踏みサイドブレーキを引いているこ と、(3 を開き荷台前部を約五〇センチメートル 上昇させて荷台を傾斜させること、(2) 自分がブルドーザーを運転して右荷台に 乗り入れる間はダンプカーのフツトブレーキを踏みサイドブレーキを引いているこ と、(3) ブルドーザーの積み込みが終つたら荷台前部をもとの位置に降すこと、 - 1 - を指示し、Eは、右Dの指示に従い、右(1)、(2)のとおりダンプカーを操作し、 Dの運転するブルドーザーが右ダンプカーの荷台に乗り込んでくるのを待機する態 勢をとつた、6 Dは、ブルドーザーの運転席に就き、ダンプカー後方付近にあつ た花崗土の盛土の山の上へブルドーザーを運転進行させ、右盛土の山を踏台として ダンプカーの後部からその荷台上にブルドーザーを乗り入れようとしたが、花崗土 の山が柔らかかつたためにうまくいかなかつたので、ブルドーザーで右山を踏み固 めたところ、山は固くなつたが低くなり、しかも花崗土の総量が十分でなかつたた めに山の上部がダンプカーの荷台後部にまで達せず、その間に約四〇センチメート ルの間隔が生じ、ブルドーザーの登はん力をもつてしてもダンプカーの荷台後部に 乗り上げることができなかつた、7 Dは、それにもかかわらず、同じ方法でブル ドーザーを運転進行させたところ、ブルドーザーのキヤタピラが滑り、何回も空転 してダンプカー後方付近の花崗土を掘り下げてしまつたため、ブルドーザーは前部 を上に後部を下にして立ち上つたようになつて運転席のDもろともダンプカーと反 対側に後転し本件事故が発生した、というのである。 右事実関係のもとでは、Eは、Dに全面的に服従する関係になく自己の判断でD の提案に同調したものとはいえ、先任者、年長者であり、経験者でもあるDの具体 的指示に従つてダンプカーを操作したものであり、Dは、Eといわば共同一体的に ダンプカーの運行に関与した者として、少なくとも運 の提案に同調したものとはいえ、先任者、年長者であり、経験者でもあるDの具体 的指示に従つてダンプカーを操作したものであり、Dは、Eといわば共同一体的に ダンプカーの運行に関与した者として、少なくとも運転補助者の役割を果たしたも のと認められる事情が多分にうかがわれる。そして、自動車損害賠償保障法三条本 文にいう「他人」のうちには、当該自動車の運転者及び運転補助者は含まれないと 解すべきであるから、本件においても前記事実によれば、DはEのダンプカーの運 行について他人に当たらないと解される余地がある。ところが、原審は、右の事情 がうかがわれるにもかかわらず、これを十分に顧慮することなく、単にDとEとが 命令服従関係にないことをもつてEのダンプカーに対するDの他人性を肯認したう - 2 - え、右ダンプカーの運行供用者であるFに同条に基づく責任を認めたのであるから、 右の点で、原判決は、法令の解釈、適用を誤り、ひいては審理不尽、理由不備の違 法を犯したものといわざるをえない。論旨はこの点について理由があり、その余の 点について判断するまでもなく、原判決中上告人敗訴部分は破棄を免れない。そし て、本件については、更にDとEの共同運行関係について審理を尽くす必要がある から、これを原審に差し戻すのが相当である。 よつて、民訴法四〇七条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決す る。 最高裁判所第三小法廷 裁判長裁判官 伊 藤 正 己 裁判官 横 井 大 三 裁判官 寺 田 治 郎 裁判官環昌一は、退官につき署名押印することができない。 裁判長裁判官 伊 藤 正 己 - 3 - 寺 田 治 郎 裁判官環昌一は、退官につき署名押印することができない。 裁判長裁判官 伊 藤 正 己 - 3 -
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