【DRY-RUN】主 文 原判決中上告人敗訴部分を破棄し、本件を東京高等裁判所に差戻す。 理 由 上告代理人高橋巳之助名義、同高橋龍彦の上告理由第一点ないし第三点について。
主文原判決中上告人敗訴部分を破棄し、本件を東京高等裁判所に差戻す。 理由上告代理人高橋巳之助名義、同高橋龍彦の上告理由第一点ないし第三点について。 上告人の本訴は、原判決事実摘示欄記載のように、被上告人は何らの権限がないのに上告人所有の本件建物に居住してこれを使用し上告人主張の家賃相当額を不当に利得しているのでその返還を訴求するというのである。被上告人は、本件建物を自己の所有であると信じて占有して来たものでいわゆる善意の占有者であり、民法一八九条一項に従い本件建物より生ずる果実取得権がある等と主張し、他方上告人は、原判決事実摘示に記載するように、被上告人は上告人を相手として本件建物に対する上告人の所有権取得登記の抹消登記手続を訴求したが、敗訴の判決を受け、その判決は確定したのであつて、民法一八九条二項により被上告人は右訴の提起の時から本件建物に対する悪意の占有者である等主張したものであつて、以上のことは記録並びに原判決事実摘示によつて明らかである。そして原審は証拠上、本件建物はもと訴外Eの所有であり、上告人が昭和二〇年一一月一三日Eから買受け所有権を取得し、即日その登記手続を経たこと、被上告人は昭和二三年一二月一日から同三〇年三月末日まで本件建物全部を無償で使用していた事実を認定し、被上告人が上告人を相手方として本件建物に対する上告人名義の所有権取得登記の抹消登記請求訴訟で敗訴しても右の訴は民法一八九条二項にいう「本権ノ訴」に当るものではなく、民法の右の規定により右の訴提起に遡つて被上告人は悪意の占有者であつたとみなしえないし、また昭和二九年一二月二四日以前において本件建物の所有権がないことを知つてこれを占有したものと認めうる証拠はないとの趣旨の判断をした。そこで検討してみるのに、家賃は 占有者であつたとみなしえないし、また昭和二九年一二月二四日以前において本件建物の所有権がないことを知つてこれを占有したものと認めうる証拠はないとの趣旨の判断をした。そこで検討してみるのに、家賃は建物より生ずる法定果実であつて、建物を善意で占有する者があるときは、その者は民法一八九条に徴し家賃を收取しうべきも- 1 -のであるといわなければならない筋合であつて、本件についてみるに、かりに被上告人が本件建物を善意で占有したものであれば、そのために上告人がその建物を他に賃貸して家賃を取得することができなくても上告人が不当に損失したものといえないであらう。けれども被上告人は本件建物に対する上告人の所有権を否認し、これを自己の所有であるとして昭和二〇年中に上告人を相手方として本件建物に対する上告人の所有権移転登記抹消登記手続を求める訴(宇都宮地方裁判所昭和二〇年(ワ)第四六号)を提起したが、控訴審である東京高等裁判所において敗訴の判決を受け、その判決が昭和二九年一二月二四日最高裁判所における上告棄却の判決言渡により確定したことは被上告人の認めているところであるばかりでなく、原審は証拠によつて、被上告人は本件建物の前主であるEを相手方として本件建物は被上告人の所有であることの確認を訴求(宇都宮地方裁判所昭和二〇年(ワ)第四〇号事件)したけれども、その控訴審である東京高等裁判所において敗訴の判決を受け、その判決に対する上告棄却の判決が最高裁判所において昭和二九年一二月二四日言渡されて確定したとの趣旨の事実を判示しているのであるから、被上告人は本件建物について少くも右各訴が提起された後である昭和二三年一二月一日当時は悪意の占有者とみなされるに至つたものと解すべきである。従つて昭和二九年一二月二四日以前の上告人主張の期間について被上告人は本件建物の ついて少くも右各訴が提起された後である昭和二三年一二月一日当時は悪意の占有者とみなされるに至つたものと解すべきである。従つて昭和二九年一二月二四日以前の上告人主張の期間について被上告人は本件建物の善意占有者であるとして上告人の被上告人に対する本訴不当利得返還請求を排斥した原審の判断は失当であつて原判決は破棄を免れない。 よつて民訴四〇七条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官河村又介裁判官垂水克己裁判官石坂修一- 2 -裁判官五鬼上堅磐- 3 -
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