令和6(ネ)10004 差止等請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和7年6月30日 知的財産高等裁判所 3部 判決 控訴棄却 東京地方裁判所 令和5(ワ)70056
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判決文本文16,871 文字)

令和7年6月30日判決言渡令和6年(ネ)第10004号差止等請求控訴事件(原審東京地方裁判所令和5年(ワ)第70056号差止等請求事件)口頭弁論終結日令和7年4月23日判決 旧商号株式会社エンリケ空間控訴人株式会社ブタリケ空間(原判決の表示は旧商号。以下「控訴人空間」という。) 旧商号株式会社エンリケスタイル控訴人株式会社ブタリケスタイル (原判決の表示は旧商号。以下「控訴人スタイル」という。) 旧商号株式会社エンリケスタッフ 控訴人株式会社Bサービス(原判決の表示は旧商号。以下「控訴人スタッフ」という。) 控訴人ら訴訟代理人弁護士小川恵司同鳥居江美 被控訴人 X同訴訟代理人弁護士榎木智浩 主文 1 本件各控訴をいずれも棄却する。 2 原判決主文第1項ないし第7項は、請求の減縮により次のとおり 変更された。 ⑴ 控訴人らは、その営業上の施設又は活動に、別紙の被控訴人の肖像を使用してはならない。 ⑵ 控訴人らは、その営業上の施設又は活動に、「エンリケ」、「ENRIKE」及び「enrike」を含む商号、標章を使用しては ならない。 ⑶ 控訴人らは、「https://www.instagram. com/enrikekukan/」をトップページとするウェブページから、別紙の被控訴人の肖像、「エンリケ」、「ENRIKE」及び「enrike」の文字をいずれも削除せよ。 ⑷ 控訴人ら com/enrikekukan/」をトップページとするウェブページから、別紙の被控訴人の肖像、「エンリケ」、「ENRIKE」及び「enrike」の文字をいずれも削除せよ。 ⑷ 控訴人らは、「instagram.com/enrikekukan」のドメイン名を削除せよ。 3 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は、第1、2審とも被控訴人の負担とする。 第2 事案の概要(略語は、特に断らない限り、原判決のそれに従う。なお、「原告」とあるのを「被控訴人」と、「被告エンリケ空間」とあるのを「控訴人空間」と、 「被告エンリケスタイル」とあるのを「控訴人スタイル」と、「被告エンリケス タッフ」とあるのを「控訴人スタッフ」と、とそれぞれ読み替える。) 1 被控訴人は、「エンリケ」(アルファベット表記「ENRIKE」)という芸名のいわゆるキャバクラ嬢であった者であり、他方、控訴人らは、いずれも訴外Aが経営に関与する株式会社である。 被控訴人と訴外Aは、平成31年3月10日から婚姻関係にあったものの、 令和4年10月26日に離婚し、また、被控訴人は、控訴人空間が設立された令和元年6月6日、控訴人空間の代表取締役に就任したものの、令和4年10月14日に辞任し、訴外Aが代表取締役に就任した。 本件は、被控訴人が、控訴人らに対し、原判決別紙被控訴人の肖像(被控訴人肖像)のほか、「エンリケ」、「ENRIKE」及び「enrike」との名称 (併せて「被控訴人名称」)を控訴人らにおいて使用する行為が、被控訴人のパブリシティ権を侵害すると主張し、パブリシティ権に基づき、①被控訴人肖像の使用の差止め、 及び「enrike」との名称 (併せて「被控訴人名称」)を控訴人らにおいて使用する行為が、被控訴人のパブリシティ権を侵害すると主張し、パブリシティ権に基づき、①被控訴人肖像の使用の差止め、②被控訴人名称を含む商号、標章及びドメイン名の使用の差止め、③ウェブページからの被控訴人名称及び被控訴人肖像の削除、④被控訴人名称を含むドメイン名の削除、⑤被控訴人名称を含む商号登記の抹消登記手 続を、それぞれ求めた事案である。 原審が、被控訴人の請求をいずれも認容したところ、控訴人らがその取り消しを求めて本件各控訴を提起した。 当審における審理係属中の令和6年7月11日(同月25日登記)に、控訴人空間は、それまでの商号「株式会社エンリケ空間」から「株式会社ブタリケ 空間」に、同年9月30日(同年10月11日登記)に、控訴人スタイルは、それまでの商号「株式会社エンリケスタイル」から「株式会社ブタリケスタイル」に、同年2月8日(同年3月1日登記)に、控訴人スタッフは、それまでの商号「株式会社エンリケスタッフ」から「株式会社Bサービス」に、それぞれ商号を変更し、控訴人空間は、原審における審理係属中の令和5年4月30 日(同年6月5日登記)に、控訴人スタイルは同年6月8日(令和6年3月5 日登記)に、控訴人スタッフは同年2月8日(同年3月15日登記)に、それぞれ本店を移転した(商号変更の前後を通じ、それぞれ「控訴人空間」、「控訴人スタイル」及び「控訴人スタッフ」の略称を用いる。)。 被控訴人は、当審において、控訴人らによる上記商号変更や、控訴人らが一部ウェブページを削除したこと等に伴い、訴えの一部を取り下げる訴えの変更 をした。 2 前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張は、次のとおり補正し、後記3のとおり当 号変更や、控訴人らが一部ウェブページを削除したこと等に伴い、訴えの一部を取り下げる訴えの変更 をした。 2 前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張は、次のとおり補正し、後記3のとおり当審における当事者の主な補充主張を付加するほかは、原判決の「事実及び理由」中、第2の3、4及び第3(原判決3頁25行目から11頁7行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑴ 原判決4頁2行目の「商号は」を「変更前の商号は」と改める。 ⑵ 原判決4頁4行目の末尾に次のとおり加える。 「被控訴人は、控訴人空間の代表取締役を令和4年10月14日に辞任した後、控訴人空間の役員にもなっておらず、その運営に関与もしていない。また、控訴人スタイルは、令和2年7月22日に、控訴人スタッフは令和3年 2月22日にそれぞれ設立されたが、被控訴人はいずれの役員にもなっていない。」⑶ 原判決5頁20行目から21行目にかけての「エンンリケブランド」を「エンリケブランド」と改める。 3 当審における当事者の主な補充主張 〔控訴人らの主張〕⑴ 争点2(被控訴人の同意の有無)について、以下のとおり主張を補充する。 ア控訴人らの設立経緯控訴人空間は、令和元年6月6日に、被控訴人と訴外Aとの協議により、エステティックサロンの経営、ネイルサロンの経営、化粧品・サプリメン ト・美容機器等の開発及びプロデュース・販売及び輸出入、飲食店の経営、 人材派遣業、接客業受託営業、インターネット・カタログ等を利用した通信販売、各種メディアを利用したセールスプロモーション事業等のほか、これらに関連するコンサルティング業務を行うことを目的として設立された会社であり、その株主は、被控訴人の個人会社(被控訴人が一人株主)であるOGAWA を利用したセールスプロモーション事業等のほか、これらに関連するコンサルティング業務を行うことを目的として設立された会社であり、その株主は、被控訴人の個人会社(被控訴人が一人株主)であるOGAWA株式会社と、訴外Aの弟である。 もとは訴外Aがエステサロン事業に関係していたことから、訴外Aと被控訴人とで協議し、エステサロン事業等と「エンリケ」の知名度を活用したブランド展開を行っていく予定で設立したため、その会社の顔となるべく、設立当初から代表取締役には被控訴人が就任した(乙5)。 一方、控訴人スタイルは、エステサロン、ヘアサロン、化粧品等の企画・ 製造・販売等の事業を行う目的で設立された会社、控訴人スタッフについても同じく、労働者派遣事業、美容室・エステサロンの経営等の事業を行う目的で設立された会社であるところ、いずれも被控訴人及び訴外Aが株主又は役員になっていたわけではないものの、予め被控訴人及び控訴人空間と、控訴人スタイル、控訴人スタッフの代表者との間で、法人の商号に 「エンリケ」の名称を使用して、控訴人空間と事実上のグループ会社として協働していくことを合意した上で法人設立が行われている(甲2の2・3)。 上記3社のうち、被控訴人が代表取締役を務めていたのは控訴人空間のみであったが、控訴人スタイル及び控訴人スタッフは上述の経緯で設立さ れた会社であるため、控訴人空間の会社行事には控訴人スタイル及び控訴人スタッフの代表者らもスタッフとして参加するなど、協働して事業を行っていた。 イ被控訴人と控訴人らとの間にはパブリシティ使用の合意があること控訴人空間は、令和2年3月24日、被控訴人の芸名である「エンリケ」 の名称を被控訴人空間の事業において使用していくため、「エンリケ」、「E NRIK ブリシティ使用の合意があること控訴人空間は、令和2年3月24日、被控訴人の芸名である「エンリケ」 の名称を被控訴人空間の事業において使用していくため、「エンリケ」、「E NRIKE」、「エンリケ空間」の標章について商標登録出願し、同年10月12日付けで商標登録を受けた(指定商品・指定役務の区分は、3類(化粧品、香水類等)、9類(インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル等)、43類(飲食物の提供等)、44類(美容、マッサージ等))(乙6~8)。 また、控訴人空間は、同年11月以降も引き続き商標登録申請を行い、「マツエクサロンエンリケ」、「ネイルサロンエンリケ」、「リラクサロンエンリケ」、「BeautySalonENRIKE」、「EPISALONENRIKE」、「FACIALSALONENRIKE」、「セルフエステエンリケ」など、「エンリケ」と業態名を合わせた各種名称の標章につい て商標登録を受けている(乙9~23)。 これらの控訴人空間が登録した各商標権の存続期間は、各登録日から10年である(商標法19条1項)。 そして、控訴人空間は、令和2年から、同社がフランチャイザーとなり、セルフエステ店、脱毛サロン、飲食業その他様々な業態の事業を営むフラ ンチャイジーに対して、被控訴人空間の商号や保有商標やブランド名を使用して営業活動を行う権限等をライセンスするフランチャイズ事業を開始し、多数のフランチャイジーとの間でフランチャイズ契約(乙24)を締結するようになった。また、同事業の宣伝のため、被控訴人の肖像写真を使用したホームページ、インスタグラム等を作成した。同事業において 控訴人空間が締結したフランチャイズ契約の契約件数は、令和2年(2020年)9月から令 事業の宣伝のため、被控訴人の肖像写真を使用したホームページ、インスタグラム等を作成した。同事業において 控訴人空間が締結したフランチャイズ契約の契約件数は、令和2年(2020年)9月から令和4年(2022年)6月までの間で合計119件である(乙3の1から4)。 このフランチャイズ事業において控訴人空間が定型的に使用しているフランチャイズ契約書(乙24)では、契約期間を3年間としており、期間 満了日の6か月前までに更新拒絶の通知をしない限りは、更に3年間自動 更新されることになっている(第15条1項)。そして、119件のフランチャイズ契約における当初の契約期間は、乙3の1から4に記載のとおりである。 この119件とは別に、控訴人空間は、控訴人スタイルともフランチャイズ契約を締結しており(乙25)、同フランチャイズ契約に基づき、他の フランチャイジーに対するのと同様、保有商標及び商号、ブランド名等の使用を許諾している。 これらの商標登録及び多数のフランチャイジーとのフランチャイズ契約の締結は、すべて被控訴人が控訴人空間の代表取締役であった当時に行ったものであるところ、これらはすべて被控訴人と訴外Aとが協議して行っ ていたものであり、被控訴人は控訴人らが「エンリケ」の名称及び肖像を使用することに同意し、肖像写真の撮影等にも積極的に協力していた。 また、被控訴人は、その知名度、発信力を生かして控訴人空間のフランチャイズ事業を広く宣伝するため、被控訴人個人のインスタグラムアカウントからも同フランチャイズ事業の宣伝を投稿して広報宣伝活動を行っ たり、控訴人空間の代表者として、フランチャイジーが店舗を新規オープンする際には全国どこでも訪問するなど、積極的にフランチャイズ事業を推進していた。 以上の事実 投稿して広報宣伝活動を行っ たり、控訴人空間の代表者として、フランチャイジーが店舗を新規オープンする際には全国どこでも訪問するなど、積極的にフランチャイズ事業を推進していた。 以上の事実からして、被控訴人が、「エンリケ」の名称を含む商号を使用した上、「エンリケ」、「ENRIKE」、「エンリケ空間」等の標章を被控訴 人個人ではなく控訴人空間の登録商標として、控訴人らがこれらを使用したフランチャイズ事業等を展開していくこと、それに当たり被控訴人の肖像も併せて使用することを当然に許容していたことは明らかである。 ウ被控訴人との合意は被控訴人と訴外Aの離婚後も引き続き有効であること 原判決は、被控訴人と控訴人ら間の名称使用の合意に関し、「仮に、少な くとも原告と訴外Aが婚姻中においては、原告名称の使用の合意をしていたとしても、被告らは、原告と訴外Aが離婚し、原告が被告エンリケ空間の代表取締役を辞任した後でも、なお原告名称に係る使用の同意が継続する事実を具体的に主張立証するものではない。かえって、被告らの主張によっても、訴外Aが原告と離婚した際に、原告名称を使用しない旨述べた ことがうかがわれることからすれば、被告らの主張を前提としても、現在まで上記同意が継続している事実を認めるに足りないことは明らかである。」(原判決第4の2)と判示している。 しかし、控訴人空間の各登録商標の存続期間は10年であること、契約期間を3年(さらにその後も自動更新)とするフランチャイズ契約が多数 存在していること、これらは被控訴人と訴外Aの婚姻関係の有無に関わらず所定の存続期間又は契約期間中は継続するものであること等を前提として、被控訴人は控訴人らによる自らのパブリシティの使用に同意し、代表者としてパブリシティを使用 訴人と訴外Aの婚姻関係の有無に関わらず所定の存続期間又は契約期間中は継続するものであること等を前提として、被控訴人は控訴人らによる自らのパブリシティの使用に同意し、代表者としてパブリシティを使用したフランチャイズ事業を積極的に推進していたのであるから、被控訴人と訴外Aの離婚は、被控訴人のパブリシ ティ使用の合意の効力に影響を与えるものではない。 また、原審において、被控訴人は、被控訴人と訴外Aが控訴人空間の代表者を交代する際に、被控訴人の名前を使わないことを話した旨主張しているところ、両者間で社名変更の話が出たことは事実であるものの、訴外Aは常に、フランチャイジーらとのフランチャイズ契約がすべて終了しフ ランチャイズ事業を終了する際には変更するとの意思を表明していたのであり、即時に社名変更する旨の合意をしたことはない。原審において被控訴人が証拠提出した甲13の訴外Aのインスタグラムにおいて、訴外Aは、「元々社長変わったし社名変更はするつもりなんだけどさ FCオーナーさんもお店やってるし名前変えるだけでも金かかるからどう考 えても今ではないんだよね」として、FCオーナー(フランチャイジー) との関係があるためすぐには変更できないと表明しており、即時社名変更を行うとはしていない。また、被控訴人と訴外Aの離婚届が提出された直後である令和4年10月29日に、訴外Aが被控訴人に対して送ったLINEにおいて、訴外Aは、「エンリケ空間はセルフエステエンリケの契約が終わると同時に社名変える」、「今エンリケで作っちゃった物売り切るまで はしばらくエンリケ使うけど売り終わり次第商品からもエンリケは消す」と伝えていた(乙26)。これに対して被控訴人も、「エンリケモールに出店するやつ引き続き協力したくて会社に郵送した 切るまで はしばらくエンリケ使うけど売り終わり次第商品からもエンリケは消す」と伝えていた(乙26)。これに対して被控訴人も、「エンリケモールに出店するやつ引き続き協力したくて会社に郵送したち」と返信しており、名称の継続使用に異議を述べるどころか、むしろ控訴人空間の事業に協力する意思を表明していた。これらの事実からも、被控訴人は離婚後も被控 訴人の名称等が控訴人らの事業に使用されることを認識し、承諾していたことは明らかである。 以上のとおり、控訴人らは被控訴人との間で、被控訴人の芸名及び肖像等のパブリシティを使用することを合意してこれらを商号、ホームページ、ドメイン名等に使用しているのであり、何ら被控訴人のパブリシティ権を 侵害するものではないから、原判決は取消しを免れず、合意の存在を認定して被控訴人の請求を棄却すべきである。 ⑵ 争点2(被控訴人の同意)についての被控訴人の当審における補充主張に対する反論は、以下のとおりである。 ア時機に後れた攻撃防御方法の却下について 被控訴人は、控訴人らに対する送達が速やかに完了しなかったこと、原審の審理の過程で控訴人らが訴訟代理人を選任するタイミングが遅かったこと等を縷々述べる。 しかしながら、控訴人らは、原審においても、控訴人空間の代表者であった被控訴人から商号や事業活動における名称使用の同意を得ていた旨 を主張している。この控訴人らの主張に関し、原判決は、控訴人らの主張 は抽象的であるとか、被控訴人と訴外Aが離婚し被控訴人が被控訴人空間の代表取締役を辞任後もなお同意が継続する事実を具体的に主張していない旨の判断をしたことから、原判決を踏まえて、控訴人らは控訴審においてこの点の主張と立証を補充するものであって、時機に後れた主張立証であると 役を辞任後もなお同意が継続する事実を具体的に主張していない旨の判断をしたことから、原判決を踏まえて、控訴人らは控訴審においてこの点の主張と立証を補充するものであって、時機に後れた主張立証であるとの評価を受けるべきものではない。また、控訴人らの証拠提出に より訴訟遅延が生じることもない。 よって、控訴人らの主張は時機に後れた攻撃防御方法として却下されるべきとの被控訴人の主張は失当である。 イ控訴人らの商号及び事業活動における被控訴人名称及び被控訴人肖像の使用については、控訴人空間についてはその法人設立の時点で訴外Aと被 控訴人間で合意されたものである。また、控訴人スタイルと控訴人スタッフに関しては、各控訴人の法人設立の時点で各代表者と被控訴人との間で合意されたものである。 名称等の使用期間については、上述の合意時点においては、各控訴人が「エンリケ」の名称等を使用した事業を行っている期間中、との合意に止 まり、控訴人らと被控訴人との間で明確な使用期限は定められていなかった。しかし、訴外Aと被控訴人との離婚後、令和4年10月29日の時点における両者間のLINEのやり取りの中でこの点の協議を行い、使用期限は、控訴人空間とフランチャイジーとのフランチャイズ契約が終了するまでの期間、及び、「エンリケ」の名称等を使用して製造した商品等の販売 が完了するまでの期間とする旨の合意が成立している。 すなわち、同日、訴外Aは被控訴人に対して、前記⑴ウのとおりLINEで連絡し、「セルフエステエンリケの契約が終わると同時に社名変える」、「今エンリケで作っちゃった物売り切るまではしばらくエンリケ使うけど売り終わり次第商品からもエンリケは消す」として、控訴人空間とフ ランチャイジーとのフランチャイズ契約が終了するまでの期間、 「今エンリケで作っちゃった物売り切るまではしばらくエンリケ使うけど売り終わり次第商品からもエンリケは消す」として、控訴人空間とフ ランチャイジーとのフランチャイズ契約が終了するまでの期間、及び、「エ ンリケ」の名称等を使用して製造してしまった商品等の販売が完了するまでの期間中は引き続き名称等を使用することを申し出た。これに対し、被控訴人は一切異議を述べず、むしろその事業に協力する旨の連絡を行っていたのであり(乙26)、この時点において名称等の使用期限の明確な合意が成立している。そして、そもそも「エンリケ」の名称等を使用した事業 を考案し、控訴人空間を設立したのも、フランチャイジーとの間で名称等の使用を許諾する内容のフランチャイズ契約の締結を行っていたのも被控訴人自身であったことからすると、かかる使用期限の合意は極めて常識的であり、合理性が認められることは明らかである。 したがって、控訴人らと被控訴人間の名称等の使用に関する合意の成立 及び内容は明らかであるし、また、この合意が公序良俗違反に該当することもあり得ない。 被控訴人は、離婚届の提出直後に訴外Aが激高して離婚を認めない等の言動をしたため多大な恐怖心を抱き、そのやり取りの中で乙26のLINEの投稿をしたのであり、この投稿の一事をもって同意したことにはなら ない旨主張する。 この点、そもそも被控訴人が訴外Aに対して恐怖感を抱いていたとの主張自体虚偽であるが、かかる被控訴人の主張を前提とするとしても、乙26のLINEの時点では、被控訴人はすでに控訴人空間の代表取締役を辞任済みであり、離婚届の提出も転居も完了していたのであり、訴外Aに対 してエンリケの名称使用に関して協力するとの返答をせざるを得ない状況があったとは考えられない。被控訴人は 間の代表取締役を辞任済みであり、離婚届の提出も転居も完了していたのであり、訴外Aに対 してエンリケの名称使用に関して協力するとの返答をせざるを得ない状況があったとは考えられない。被控訴人はこの時点で、訴外Aの申出に真に同意したからこそ協力する旨の返答まで行ったというべきであり、このやり取りにおいて使用期限に関する合意が成立している。 なお、離婚届の提出について、被控訴人は、過去に夫婦喧嘩をした際に 二人で記入したものの仲直りし提出を中止した離婚届を、訴外Aに無断で 保管しており、この時その離婚届を訴外Aに無断で提出するという暴挙に出た。訴外Aは提出後にそれを知らされたため怒ったのであり、ごく当然の反応に過ぎない上、被控訴人を脅すような言動をした事実もない。 ⑶ 被控訴人の当審における権利濫用の再抗弁の主張に対する反論は、以下のとおりである。 被控訴人は、控訴人らに関し、訴外Aの過去の経歴や、他の訴訟に関する情報、ウェブ記事などを根拠として、控訴人らが詐欺又はこれに準じる行為をしているなどと断定し、仮に被控訴人による使用許諾があるとしても権利濫用である旨主張する。 しかし、訴外Aの過去の経歴や他に民事訴訟の当事者となっているか否か は、本件における被控訴人との間の名称等の使用許諾に関する判断において無関係の事実であり、認否の要を認めないし、控訴人らが詐欺行為又はこれに準じる行為をしている事実はない。 したがって、控訴人らが被控訴人の同意(使用許諾)に基づき「エンリケ」の名称等を使用したとしても、それが権利濫用とされるべき事情は存在しな い。 ⑷ 本件のインスタグラムアカウントに登録されているメールアドレス(「e*******2@gmail.co」というメールアドレスであるが、「*」の伏字 利濫用とされるべき事情は存在しな い。 ⑷ 本件のインスタグラムアカウントに登録されているメールアドレス(「e*******2@gmail.co」というメールアドレスであるが、「*」の伏字部分の文字は不明)は、控訴人らが管理しているメールアドレスではなく、控訴人らとしてはこれが誰の名義のメールアドレスであり、現在は誰が管理してい るのかも不明である。インスタグラムについて、ログインしてアカウントを管理する(アカウントの削除を含む)ためには、登録しているメールアドレスとパスワードの情報が必須であるところ、現在、控訴人らにおいてはこの登録メールアドレスを保有したり管理したりしているわけではなく、特定することもできていないため、控訴人らが本件で問題となっているインスタグ ラムアカウントを削除することはできない。 〔被控訴人の主張〕⑴ 争点2(被控訴人の同意の有無)についての当審における控訴人らの補充主張に対し、以下のとおり主張ないし反論する。 ア控訴人らの新証拠及びこれに基づく主張の提出は、時機に後れた攻撃防御方法として却下されるべきこと 控訴人らは、原審において、送達書類を受領しないことに始まり、口頭弁論が終結され判決言渡しの直前になって、突然、訴訟代理人を選任して審理を引き延ばすなどした。控訴人らの訴訟追行の態度は、極めて不誠実なものであり、このような訴訟追行をしておきながら、今度は、原審において主張立証することができるはずの証拠を大量に提出するに至ってお り、これらは時機に後れた攻撃防御方法として却下されるべきである。 控訴人らが新たに提出した証拠及びこれらの証拠に基づく主張は、原審でも提出することができたものであり、時機に後れている。控訴人らは、上記のとおり度重なる遅延行為をし 法として却下されるべきである。 控訴人らが新たに提出した証拠及びこれらの証拠に基づく主張は、原審でも提出することができたものであり、時機に後れている。控訴人らは、上記のとおり度重なる遅延行為をしていたのであるから、時機に後れたことについて重過失があるし、故意すらあるものである。 イ控訴人らの、被控訴人の同意(使用許諾)の抗弁は成立しないこと確かに、被控訴人が控訴人空間の代表者であったときに、被控訴人が、控訴人空間について「エンリケ」の名称を使わせていた事実はある。しかしながら、被控訴人と控訴人空間との間で、被控訴人名称及び被控訴人肖像の使用について、何らの契約を交わしていない。そして、被控訴人は、 控訴人空間の代表を被控訴人から訴外Aに交代する際に、後任である控訴人空間の代表者となった訴外Aとの間で「エンリケ」等の名称を使用しないことを話している(甲12、13)。 そもそも、被控訴人の同意は抗弁であるところ、控訴人らは、いつの時点で、誰と誰との間で、どのような合意(期間、使用方法等)を合意した かも明らかにしていない。 また、控訴人らは、訴外Aと被控訴人のLINEを提出するが、その直前の経緯を全く説明していない。すなわち、令和4年9月7日、同月19日の報道で本件に関連するトラブルが発覚したところ(甲7)、被控訴人は直ちに弁護士を選任してトラブルの詳細を把握するよう努めた。実際に、弁護士Bが、令和4年9月13日には従業員に接触して資料の開示を求め ている(甲33)。 しかしながら、訴外A又は訴外A側についた従業員が妨害して、会社の資料を移したり、ほとんど資料開示に応じなかった(甲33。LINE〔1~2頁〕で資料開示を求めている。)。また、訴外Aは、被控訴人が選任した弁護士の調査妨害をする 側についた従業員が妨害して、会社の資料を移したり、ほとんど資料開示に応じなかった(甲33。LINE〔1~2頁〕で資料開示を求めている。)。また、訴外Aは、被控訴人が選任した弁護士の調査妨害をするために、インスタグラムにおいて、被控訴人や、 被控訴人が代表して控訴人空間が選任した弁護士、協力的だった従業員に対する極めて悪質な誹謗中傷を行い続けた(インスタグラムは一旦凍結し、現在のフォロワーは減っている。)。例えば、弁護士Cについては風俗に強い弁護士であるとか、キャバクラの客で既婚者の家に上がった、等である(甲9)。他にも弁護士の家族の写真をアップロードしたり、協力的な従業 員であった、D、Eに対してもインスタグラムで挙げて威圧するなどした(甲9)。その結果、会社側の代理人も離れ、また、協力的な従業員も全員訴外Aを恐れて協力を拒むようになった。 このような経緯から、被控訴人は、訴外Aに逆らわないようにしつつ同人を激高させないように協議をして、控訴人空間の代表を被控訴人から訴 外Aに交代する際に、後任である訴外Aとの間で「エンリケ」等の名称を使用しないことを話して、離婚するとともに、控訴人空間の代表を変更した(甲12、13)。 そして、被控訴人は離婚届を提出したが、訴外Aは、その直後、また激高して延々とLINEで独り言を投稿し続ける、離婚を認めない、インス タグラムで公表するなどの脅迫的言動をとるため、被控訴人は多大な恐怖 感を抱いた(甲34)。 このような経緯でやり取りしたLINEの中で、被控訴人は会話をして「エンリケモールに出店するやつ引き続き協力したくて会社に郵送したち」と返信することはあったが、この投稿の一事をもって同意になどならないことは明らかである。 ⑵ 控訴人らによる、被控訴人 て「エンリケモールに出店するやつ引き続き協力したくて会社に郵送したち」と返信することはあったが、この投稿の一事をもって同意になどならないことは明らかである。 ⑵ 控訴人らによる、被控訴人の同意(使用許諾)の主張(抗弁)は権利の濫用に当たるものとして、以下のとおり主張する。 万一、控訴人らの主張に係る同意の事実が認定された(使用許諾の抗弁が成立した)としても、被控訴人は、これに対し権利濫用の再抗弁を提出する。 控訴人らが、「エンリケ」の名前を使っているのは、詐欺又はこれに準じる ような方法で資金集めをすることが理由であるといわざるを得ない。すなわち、控訴人空間の代表者である訴外Aと思われる人物が、恋占いサイトを作り、サイトの利用料として現金をだまし取ろうとしたという理由で、約10年前、当時32歳で、電子計算機使用詐欺未遂の疑いで逮捕されている(甲25-1・2)。また、控訴人空間の代表者である訴外Aについては、「ロイ ヤル・ビッグスコミック・アヤコン被害」(エステを無料で受けられると謳ってクレジット契約を締結させて金員を詐取する手法の詐欺事件)の首謀者として多数の被害者から被害を訴えられており、同事件は現在刑事捜査中であるとのことである。また、東京地方裁判所において、訴外Aを被告の一人とする民事訴訟が係属しているが、未だに被害弁償がされていないという情報 がある(甲26-1~26-3)。 さらに、訴外Aは控訴人空間等で出資法違反・詐欺疑惑が大きく報道されるようになり(甲7)、訴外Aが控訴人空間で行った行為の実態はポンジスキームであると噂されている(甲27)。 そして被控訴人が代表取締役を辞任した後も、訴外Aは控訴人空間を代表 してインターネットを通じて、一般消費者に対して、「エンリケ」の名前を使 ジスキームであると噂されている(甲27)。 そして被控訴人が代表取締役を辞任した後も、訴外Aは控訴人空間を代表 してインターネットを通じて、一般消費者に対して、「エンリケ」の名前を使 って、高級ブランド品を安価で購入できると大々的に宣伝し、消費者に購入代金を振り込ませておきながら、購入商品を送ることもせず、キャンセルを申し入れられても購入代金の返却をしないなどして、新たなトラブルを生じさせている(甲15)。更に加えて、第一審の判決後も、このような状況が続いている(甲35)。 しかも、訴外A(控訴人ら)は、第一審判決を受けた後に「エンリケの名前使うな裁判されてるから今のうちにエンリケって書いてある在庫処分しないと」など、判決の内容を聞く気がないかのような投稿をしており(甲36)、控訴人らが「エンリケ」の名称等を正当な目的で利用する意図は窺われない。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も、被控訴人の請求(訴えの一部取下げ後のもの)はいずれも理由があるものと判断する。その理由は、当審における当事者の主な補充主張も踏まえ、次のとおり補正するほかは、原判決の「事実及び理由」中、第4(原判決11頁8行目から同14頁10行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑴ 原判決11頁23行目の「突破したこと」を「突破したところ、それら書籍の表紙や帯封等に、被控訴人名称及び被控訴人肖像が大きく目立つように掲載されていること」と、同12頁1行目の「平成21年から令和4年にかけて」を「令和4年までに」とそれぞれ改める。 ⑵ 原判決12頁12行目の「被告らは」から同頁13行目の末尾までを次の とおり改める。 「人の氏名、肖像等は、個人の人格の象徴であるから、当該個人は、人格権に由来するものとして 改める。 ⑵ 原判決12頁12行目の「被告らは」から同頁13行目の末尾までを次の とおり改める。 「人の氏名、肖像等は、個人の人格の象徴であるから、当該個人は、人格権に由来するものとして、これをみだりに利用されない権利を有する。こうした氏名、肖像等は、商品の販売等を促進する顧客吸引力を有する場合があり、このような顧客吸引力を排他的に利用する権利(いわゆるパブリシティ権) は、氏名、肖像等それ自体の商業的価値に基づくものであるから、上記の人 格権に由来する権利の一内容を構成するものということができる(最高裁平成24年2月2日第一小法廷判決・民集66巻2号89頁)。そして、芸能人等がその活動で使用する芸名等の名称についても上述したことが当てはまる。」⑶ 原判決12頁23行目の冒頭から同頁25行目の末尾までを次のとおり 改める。 「そうすると、控訴人らが被控訴人名称及び被控訴人肖像を被控訴人の同意なく使用する行為は、専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするものといえるから、被控訴人のパブリシティ権を侵害するものと認められる。」 2 当審における当事者の主な補充主張に対する判断 ⑴ 被控訴人は、前記第2の3〔被控訴人の主張〕⑴アのとおり、控訴人らの補充主張及び証拠の提出は時機に後れた攻撃防御方法に当たり却下すべきであると主張する。 しかし、控訴人らによる当審における当該証拠と主張の提出は、令和6年2月2日付け控訴理由書及びこれと同時の証拠の提出としてなされたもので あるところ、原審においても、控訴人らは被控訴人による被控訴人名称及び被控訴人肖像の使用の同意について主張しており、控訴人空間が「エンリケ」と関連する商標権を取得していることについては被控訴人も原審でその一部を証拠として提出 控訴人らは被控訴人による被控訴人名称及び被控訴人肖像の使用の同意について主張しており、控訴人空間が「エンリケ」と関連する商標権を取得していることについては被控訴人も原審でその一部を証拠として提出していた(甲19の1ないし3)こと、原判決が、控訴人らが前記第2の3〔控訴人らの主張〕⑵アで指摘する内容の判断をしたのを 踏まえて、当審において、控訴理由書の提出と同時に被控訴人の同意に関する主張と証拠を提出しようとするものであることから、控訴人らのこれらの行為は、時機に後れた攻撃防御方法の提出に当たるものとはいえない。 したがって、被控訴人の、時機に後れた攻撃防御方法の却下の申立てについては、この申立てを却下する。 ⑵ 控訴人らは、前記第2の3〔控訴人らの主張〕⑴、⑵イのとおり、控訴人 らの被控訴人名称及び被控訴人肖像の使用については、被控訴人の同意がある旨を主張する。 しかし、控訴人空間が、被控訴人が控訴人空間の役員であった時期を中心として、被控訴人名称及び被控訴人肖像を使用していた事実はあるとしても、被控訴人のパブリシティ権に係るその使用につき、当事者間において明確な 契約があったものではない。前記1⑵のとおり、パブリシティの権利が人格的な権利として属人的に帰属することや、控訴人らと被控訴人との間に、被控訴人がパブリシティの権利を専有する被控訴人名称及び被控訴人肖像の使用について、明確な契約が存しないことを含めた当事者の関係性等に照らすと、控訴人空間による被控訴人名称及び被控訴人肖像の使用については、被 控訴人が控訴人空間の役員としてその運営に関与し、実質的な経営者である訴外Aとの間の婚姻関係も維持されている間に限り、その使用を許諾するものの、これらの関係の終了により、その使用の許諾については、当然 訴人が控訴人空間の役員としてその運営に関与し、実質的な経営者である訴外Aとの間の婚姻関係も維持されている間に限り、その使用を許諾するものの、これらの関係の終了により、その使用の許諾については、当然に終了するものと解される。そして、被控訴人と訴外Aとの離婚後に、被控訴人名称及び被控訴人肖像の使用について、何らかの合意が成立したことを示す証 拠はない。 控訴人らは、「エンリケ」に関連する一連の商標権を控訴人空間が登録していることや、被控訴人が控訴人空間の代表者であったころの第三者とのフランチャイズ契約の契約期間等から、被控訴人名称及び被控訴人肖像の使用について被控訴人の同意があるとする。しかし、既に述べたとおりの当事者の 関係性等からすれば、これらは、訴外Aと被控訴人との婚姻関係が終了し、被控訴人が控訴人空間の役員を退任した後においても、控訴人空間が被控訴人名称及び被控訴人肖像を引き続き使用することを被控訴人が合意していることを推認させるものとはいえないし(控訴人の主張によっても、その使用に対する適切な代償措置がないのであるから、社会的相当性を欠くものであ る。)、婚姻関係の終了後において、被控訴人のパブリシティ権に係る被控訴 人名称及び被控訴人肖像の使用につき、有効な許諾(合意)があるものと認めるべき証拠もない。前記第2の3〔控訴人らの主張〕⑴ウのように、訴外Aは被控訴人に対して、インスタグラムやLINEで、フランチャイズ契約等が終了するまで被控訴人名称等を使用することに言及していたところ、その文面に照らして、インスタグラムの記載は、その時点で既に離婚後の被控 訴人名称等の使用を許諾する合意が成立していたこととは相いれないものであり、また、これらの記載はいずれも、離婚後は被控訴人名称及び被控訴人肖像 ンスタグラムの記載は、その時点で既に離婚後の被控 訴人名称等の使用を許諾する合意が成立していたこととは相いれないものであり、また、これらの記載はいずれも、離婚後は被控訴人名称及び被控訴人肖像を使用できなくなることから、離婚後も使用できるように許諾契約を申し込む意思表示であったとも、にわかに解しがたいものである。そして、仮にそのような申し込みであったといえるとしても、それに対して、承諾する 旨の被控訴人の意思表示が認定できない以上、合意の成立は認められない。 控訴人らは、被控訴人の送信した令和4年10月29日のLINE(乙26)によれば、被控訴人は被控訴人名称及び被控訴人肖像の使用を合意している旨主張するが、上記LINEは被控訴人と訴外Aとの離婚から3日後になされたものであり、婚姻関係の適切な清算を目指したものとする被控訴人の言 い分には理由があるものと考えられるほか、LINEの「エンリケモールに出店するやつ引き続き協力したくて会社に郵送したち」との内容からして、そもそも被控訴人名称及び被控訴人肖像の使用の許諾に当たるものとは解されないというべきである。 したがって、控訴人らの上記主張は採用することができない。 ⑶ 控訴人らは、前記第2の3〔控訴人らの主張〕⑷のとおり、控訴人らにおいてインスタグラムのアカウントを削除することはできない旨を主張する。 しかし、登録されているメールアドレスが誰の管理に係るものかが不明であることを理由として、その削除に係る義務を免れるものとは解されない。 したがって、控訴人らの上記主張は採用することができない。 3 前記認定及び判断は、控訴人らのその余の補充主張によっても左右されるも のではない。 4 よって、原判決は相当であり、本件各控訴はいずれも理由がないか 用することができない。 主文 前記認定及び判断は、控訴人らのその余の補充主張によっても左右されるものではない。 よって、原判決は相当であり、本件各控訴はいずれも理由がないから棄却することとして(主文第1項)、当審における訴えの一部取下げに伴う原判決主文第1項ないし第7項に係る変更について明示することとして(主文第2項)、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官 中平健 裁判官 今井弘晃 裁判官 水野正則 (別紙)省略

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