令和6年4月23日判決言渡同日原本受領裁判所書記官令和5年(ワ)第213号損害賠償請求事件口頭弁論終結日令和6年3月12日判決 主文 1 被告は、原告に対し、4億6972万5785円及びうち4億6894万3420円に対する令和5年3月14日から、うち78万2365円に対する同年9月4日から、各支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は、これを100分し、その1を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。 4 この判決は、1項に限り、仮に執行することができる。 事実 及び理由 第1 請求被告は、原告に対し、4億7295万2335円及びうち4億7183万3420円に対する令和5年3月14日から、うち111万8915円に対する同年9月4日から、各支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は、原告が、元経理部従業員に対し、① 平成19年1月頃から令和4年1月27日までの間、自己のほしいままに、㋐原告名義の預金口座から払戻しを受け、㋑原告のレジスターから現金を取得し、㋒被告の実兄(分離前相被告)が代表者を務める運送会社(分離前相被告)への運送料支払名下に原告の預金口座から払い出し、または預り保管中の原告の現金を取得するなどして原告に5億6421万2889円の損害を与えたとして、不法行為に基づき、令和4年6月から令和5年2月までの間の被告及び分離前相被告らによる各一部弁済後の残損害額4億2894万 3420円及び弁護士費用4289万円並びにこれに対する不法行為後の日である令和5年3月14日(上記最終弁済日の翌日)から支払済 告及び分離前相被告らによる各一部弁済後の残損害額4億2894万 3420円及び弁護士費用4289万円並びにこれに対する不法行為後の日である令和5年3月14日(上記最終弁済日の翌日)から支払済みまで、民法所定内の年3分の割合による遅延損害金の支払② 原被告間で、令和5年2月、上記①に関して原告に発生した裁判費用及び弁護士費用等を支払うことを合意したとして、計60万5000円及びこれに対する本件訴状送達日の翌日である令和5年9月4日から支払済みまで、民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払③ 原告において、㋐上記①記載の各不法行為に基づく損害賠償債務の一部に対する被告による代物弁済に係る費用を、原被告間の令和4年3月の合意により立て替えたことにつき、求償金17万7365円及びこれに対する本件訴状送達日の翌日である令和5年9月4日から支払済みまで、民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払、㋑被告とともに上記①記載の各行為に及んだ分離前相被告らの共同不法行為に基づく損害賠償債務の一部に対する分離前相被告らによる代物弁済に係る費用等を、被告において原告に対して令和4年に黙示的に連帯債務を負う旨約したとして、計33万6550円及びこれに対する本件訴状送達日の翌日である令和5年9月4日から支払済みまで、民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 1 前提事実(特に証拠を掲げない事実については当事者間に争いはない。)(1) 当事者等ア原告は、トラック・バス及び特殊車両の販売及び整備等を行う株式会社である。 イ(ア) 被告は、原告の総務・経理部に配属されていた元従業員で、平成13年11月頃から同部課長を務め、原告の金銭の出納、保管及び預金の引出等の業務に従事していた。 会社である。 イ(ア) 被告は、原告の総務・経理部に配属されていた元従業員で、平成13年11月頃から同部課長を務め、原告の金銭の出納、保管及び預金の引出等の業務に従事していた。 被告は、平成24年11月頃から同部次長を、令和2年11月頃から 同部部長を務めていた。 (甲1の6・9、2の2、17)(イ) 分離前相被告A 有限会社(以下「分離前相被告会社」という。)は、一般区域貨物自動車運送事業等を行う特例有限会社であり、分離前相被告B(以下「分離前相被告兄」といい、分離前相被告会社と併せて「分離前相被告ら」という。)は、分離前相被告会社の代表者で、被告の実兄である。 2 請求原因及びこれに対する認否等(1) 不法行為に基づく損害賠償請求等(原告の主張)ア被告は、平成19年1月頃から令和3年11月までの間、原告名義の預金口座から、ほしいままに、少なくとも計142回にわたり計4億2000万円(別表1の1億6200万円を含む。)の預金の払戻しを受け、これを取得した。 イ被告は、平成19年1月頃から令和元年12月までの間、原告のレジスターから、ほしいままに、少なくとも計13回にわたり現金計8015万円(別表2の1115万円を含む。)を取得した。 ウ別の運輸会社(以下「別会社」という。)が行っていた原告の他所宛ての動産類や書類の集荷・配送につき、原告と分離前相被告会社との間の運送契約がないにもかかわらず、所持していた分離前相被告会社のスタンプを使用して、別会社から入手した同社の伝票に書き加えたり、あるいは被告において所持していた同社の伝票に自ら記入したりして、分離前相被告会社が原告から運送依頼を受けたかのようにし、同社から別会社に運送を依頼し 、別会社から入手した同社の伝票に書き加えたり、あるいは被告において所持していた同社の伝票に自ら記入したりして、分離前相被告会社が原告から運送依頼を受けたかのようにし、同社から別会社に運送を依頼している体裁とした上、分離前相被告への運送料支払名下に、被告において業務上預り保管中の原告の預金又は現金から、ほしいままに、少なくとも、当該伝票額記載の請求額と別会社への支払額との差額計6406 万2889円を取得した。 エ原告は、令和5年3月13日までに、被告及び分離前相被告らから、上記アないしウに係る不法行為(損害額合計5億6421万2889円)につき、計1億3526万9469円の弁償を受けた。その残額は4億2894万3420円である。 原告が、上記残額の賠償請求をするためには、4289万円の弁護士費用を要する。 (被告の主張)ア上記(原告の主張)アに関し、その額について不知。 イ上記(原告の主張)イに関し、平成29年12月28日に15万円を取得したとの点について否認する。 その余の額について不知。 ウ上記(原告の主張)ウにつき、否認する。 (2) 合意に基づく費用請求(原告の主張)被告は、令和5年2月10日、原告に対し、平成19年1月頃から令和4年1月27日までの間に、少なくとも5億5000万円の原告の金銭を横領したことに関し、原告に発生した裁判費用及び弁護士費用等を支払うことを約した。 原告は、被告の刑事告訴を弁護士に依頼した費用として33万円、上記⑴(原告の主張)記載の各不法行為に関する弁護士への法律相談費用及び意見書作成費用として27万5000円(以上計60万5000円)を支払った。 (被告の主張)否認ない 3万円、上記⑴(原告の主張)記載の各不法行為に関する弁護士への法律相談費用及び意見書作成費用として27万5000円(以上計60万5000円)を支払った。 (被告の主張)否認ないし争う。 (3) 立替金請求(原告の主張) ア被告は、令和4年3月7日、原告に対し、上記⑴(原告の主張)記載の各不法行為に基づく損害賠償債務の一部に対する代物弁済として、被告所有の不動産の所有権を移転し、これに係る費用を被告において負担することを約するとともに、上記費用の立替払いを原告に依頼した。原告は、これに応じ、上記費用として司法書士に対する報酬等計17万7365円(税務署に対する源泉所得税5309円の支払を含む。)を立て替えて支払った。 イ分離前相被告兄は、令和4年3月7日、原告に対し、被告とともに上記⑴(原告の主張)記載の各行為に及んだことにつき、不法行為に基づく損害賠償債務の一部に対する代物弁済として、分離前相被告兄所有の不動産の所有権を移転し、これに係る費用を分離前相被告兄において負担することを約するとともに、上記費用の立替払いを原告に依頼した。また、分離前相被告会社は、同日、原告に対し、被告とともに上記⑴(原告の主張)記載の各行為に及んだことにつき、不法行為に基づく損害賠償債務の一部に対する代物弁済として、分離前相被告会社所有の自動車の所有権を移転し、これに係る費用を分離前相被告会社において負担することを約するとともに、上記費用の立替払いを原告に依頼した。そして、被告は、同日、原告に対し、原告と分離前相被告らとの間の上記各立替払契約に基づく各求償債務につき、黙示的に連帯債務として引き受ける旨の申込みをした。 原告は、これらに応じ、上記不動産の所有権移転に係る費用として司法書士に対する報 と分離前相被告らとの間の上記各立替払契約に基づく各求償債務につき、黙示的に連帯債務として引き受ける旨の申込みをした。 原告は、これらに応じ、上記不動産の所有権移転に係る費用として司法書士に対する報酬等計20万9550円(税務署に対する源泉所得税9699円の支払を含む。)、上記自動車の所有権移転に係る費用として自動車の査定費用7万7000円を立て替えて支払った。 また、分離前相被告会社は、令和4年8月下旬頃から同年9月上旬頃、分離前相被告会社の事務所の鍵の交換費用の立替払いを原告に依頼し、その頃、被告も原告に対し、原告と分離前相被告会社との間の上記立替払契 約に基づく求償債務につき、黙示的に連帯債務として引き受ける旨の申込みをした。原告は、これらに応じ、上記鍵の交換費用5万円を立て替えて支払った。 (被告の主張)否認ないし争う。 第3 争点に対する判断 1 請求原因⑴について(1) 請求原因⑴アについてア前記第2の1前提事実イ(ア)に、証拠(甲1の1ないし1の6、1の9、17)及び弁論の全趣旨を総合すると、請求原因⑴アの事実が認められる。 イなお、被告は、原告の請求原因⑴アの主張に沿う供述記載のある謝罪文や顛末書、供述書等(甲1の1ないし1の5、1の9)につき、原告側から長時間罵倒等されたため、署名、押印した旨主張するが、原告常務取締役の陳述書(甲17)中に反対趣旨の供述記載があることに照らすと、被告の上記主張は、採用することができない。 (2) 請求原因⑴イについてア証拠(甲1の1ないし1の4、1の6、1の9、17)及び弁論の全趣旨によると、請求原因⑴イの事実が認められる。 イなお、被告は、原告の請求原因⑴イの主張に沿う供述記載のある謝罪文や顛末書、 証拠(甲1の1ないし1の4、1の6、1の9、17)及び弁論の全趣旨によると、請求原因⑴イの事実が認められる。 イなお、被告は、原告の請求原因⑴イの主張に沿う供述記載のある謝罪文や顛末書、供述書(甲1の1ないし1の4、1の9)につき、原告側から長時間罵倒等されたため、署名、押印した旨主張するが、原告常務取締役の陳述書(甲17)中に反対趣旨の供述記載があることに照らすと、被告の上記主張は、採用することができない。 (3) 請求原因⑴ウについて前記第2の1前提事実イ(ア)(イ)に、証拠(甲1の6ないし1の9、3、17)及び弁論の全趣旨を総合すると、請求原因⑴ウの事実が認められる。 なお、被告は、請求原因⑴ウに沿う供述記載のある顛末書や供述書(甲1の8・9)につき、原告側から長時間罵倒等されたため、署名、押印した旨主張するが、原告常務取締役の陳述書(甲17)中に反対趣旨の供述記載があることに照らすと、被告の上記主張は、採用することができない。 (4) 弁護士費用等ア上記⑴ないし⑶に係る不法行為(損害額合計5億6421万2889円)につき、証拠(甲4)及び弁論の全趣旨によると、原告は、令和5年3月13日までに、被告及び分離前相被告らから、計1億3526万9469円の弁償を受けたことが認められるから、その残額は4億2894万3420円となる。 イ事案の内容、審理経過、認容額など本件に表れた一切の事情を考慮すると、上記⑴ないし⑶に係る不法行為と相当因果関係のある弁護士費用は、4000万円が相当である。 2 請求原因⑵について証拠(甲3、4、6の1、9ないし11、17)及び弁論の全趣旨によると、請求原因⑵の事実が認められる。 なお、被告は、請求原因⑵に係る合意書( 相当である。 2 請求原因⑵について証拠(甲3、4、6の1、9ないし11、17)及び弁論の全趣旨によると、請求原因⑵の事実が認められる。 なお、被告は、請求原因⑵に係る合意書(甲6の1)につき、原告側から長時間罵倒等されたため、署名、押印した旨主張するが、証拠(甲17)に反対趣旨の供述記載があることに照らすと、被告の上記主張は、採用することができない。 3 請求原因⑶について(1) 証拠(甲4、5の1、12、17)及び弁論の全趣旨によると、請求原因⑶アの事実が認められる。 なお、被告は、請求原因⑶アに係る代物弁済契約書(甲5の1)につき、原告側から長時間罵倒等されたため、署名、押印した旨主張するが、証拠(甲17)に反対趣旨の供述記載があることに照らすと、被告の上記主張は、採 用することができない。 (2) 原告は、請求原因⑶イにつき、原告と分離前相被告らとの各代物弁済契約書(甲5の2・3)のほか、同主張に沿う供述記載がある原告常務取締役の陳述書(甲17)を援用する。 しかしながら、上記陳述書の供述記載によっても、原告が分離前相被告らとそれぞれ上記各代物弁済に係る契約書を取り交わした際に、被告が同席していたことは認められるけれども、そのような事実だけでは、原告の分離前相被告らとの間の代物弁済に係る立替払いや分離前相被告会社の事務所の鍵の交換費用の立替払いに関し、分離前相被告らの原告に対する求償債務について連帯して同債務を引き受ける旨黙示に申込みをしたことを基礎付ける事実は足りない。 そうすると、原告の請求原因⑶イの主張は、その余を論ずるまでもなく、採用することができない。 4 以上によると、原告の請求は、①不法行為に基づく損害賠償として4億6894万3420円及 そうすると、原告の請求原因⑶イの主張は、その余を論ずるまでもなく、採用することができない。 4 以上によると、原告の請求は、①不法行為に基づく損害賠償として4億6894万3420円及びこれに対する不法行為後の日である令和5年3月14日(上記最終弁済日の翌日)から支払済みまで、民法所定内の年3分の割合による遅延損害金の支払、②原被告間の令和5年2月の合意に基づく支払金として60万5000円及びこれに対する本件訴状送達日の翌日である令和5年9月4日から支払済みまで、民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払、③原被告間の令和4年3月の合意に基づく支払金として17万7365円及びこれに対する本件訴状送達日の翌日である令和5年9月4日から支払済みまで、民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し、その余は理由がないからいずれも棄却することとして、主文のとおり判決する。 徳島地方裁判所第2民事部 裁判官光吉恵子
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