昭和23(れ)808 恐喝

裁判年月日・裁判所
昭和23年12月7日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 広島高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。          理    由  被告人C弁護人井出甲子太郎の上告趣意は末尾に添附した別紙書面記載の通りで ある。  第一点について。  按ずるに論旨は原

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判決文本文2,059 文字)

主文 本件上告を棄却する。 理由 被告人C弁護人井出甲子太郎の上告趣意は末尾に添附した別紙書面記載の通りである。 第一点について。 按ずるに論旨は原審においては単に公訴事実を読聞けただけで事実の内容を審究しない違法があると主張するのであるが、原審公判調書に徴するに裁判長は公訴事実について詳細に審理をとげたものであることは明白である。ただ被告人は第一審において認めた事実を原審では否認している為め、所論の事実即ち被害者たる判示A、同B両名に対し、若しも被告人等の要求に応じないときは如何なる害悪を加えられるかも知れないと右両名に認識させる様な言語や挙動を示した事実は公判調書に記載されていないだけのことであつて、所論の害悪告知事実について審理をしないものでない事は、記録上明らかである。そして被告人は原審においては判示恐喝事実を否認しているが、原審では適法な証拠調をした原判決挙示の証拠を総合して判示事実を認定したのであつて、所論の如き違法はなく、論旨は理由がない。 第二点について。 論旨は原判決は本件恐喝罪を認定するに欠くべからざる害悪告知の事実を判示しない違法があるというのであるが、原判決は理由第一において、「右A方に行き同人を附近の自動車待合所に呼出し、Dより同人に対し自分の出征中自分の妻と関係したことは不都合だから別れて呉れ、別れるなら別れる印をして貰いたい旨申向けて暗に金銭を要求し要求に応じないときは如何様なことをされるかも分らないと同人を畏怖させた上、即時同所において現金二百円を、次に同年十月九日頃倉敷市a道路上で現金三百円を交付させて同人より合計五百円を喝取し」とあり、同第二に- 1 -おいても「道の傍の飲食店の娘をE旅館に連れ行き無理に部屋につれて入つた覚へがあるだろう、おぢさん 日頃倉敷市a道路上で現金三百円を交付させて同人より合計五百円を喝取し」とあり、同第二に- 1 -おいても「道の傍の飲食店の娘をE旅館に連れ行き無理に部屋につれて入つた覚へがあるだろう、おぢさんも孫が大勢あるのにそんなことをして分らんではすまんだらうが等申向け、暗に出金をせまり右要求に応じないときは如何様のことをされるかも分らないと同人を畏怖させた上即時同所において同人より現金千円を交付させてこれを喝取し」と、記載されているのである。判文はやや簡に失するきらいはあるが、右判文の趣旨はたゞ被害者A、B、両名の主観を示したにすぎないものではなく、被告人が右両名に対して為したる害悪告知事実をも説示したものといわなければならない。即ち右判文中「暗に金銭を要求し右要求に応じないときは如何様なことをされるかもわからないと畏怖させて」とあるのは、右要求に応じなければ如何様なことをされるもわからないと意識させる様な挙動や言葉を示した為め、右A、B、両名は如何なることをされるかも知れないと畏怖心を起したものであるという意味を説示したものと推認されるのであるから、原判決は被告人は右両名に対して如何なる害悪を告知したかの点について説示しないと非難するのは当を得ざるものである。更に論旨は恐喝手段として被害者に告知した害悪は、具体的に其内容を判示しない違法があると主張するが、前段に説明した通り原判決理由は右A、B両名が被告人の要求に応じないときは如何様なことをされるかも知れないと意識される様な言語挙動を示し、其為め右両名は如何様のことをされるかも知れないと畏怖心を起したものである旨を説示したと解されのであつて、如何様なことをされるかも知れないということは、一見漠然としているが、被害者の生命、身体、自由、名誉、財産等の各法益の何れかに対し、何等かの害悪が到来す したものである旨を説示したと解されのであつて、如何様なことをされるかも知れないということは、一見漠然としているが、被害者の生命、身体、自由、名誉、財産等の各法益の何れかに対し、何等かの害悪が到来することを認識せしめた旨を説示したものと認め得るから、恐喝罪の説示として欠くるところはなく、論旨は理由がない。 第三点について。 しかし原判決は挙示の証拠により判示Fと判示Dとは単に情交関係があつた者と- 2 -認定したものであつて、同人等は内縁の夫婦であるとか、正式の婚姻による夫婦であるとかいう事実は認めないものであることは明らかであり、且つ其認定は挙示の証拠に照らし相当であつて何等法則違反は認められない。従つて原審では、右FとD間に夫婦関係があるか否かについて審理をしないという非難は当を得ない。論旨は右FとDとは単なる情交関係ではないと見ることもできると主張するのであるが、独自の見解であつて採用に値しない。論旨は理由がない。 よつて刑事訴訟法第四四六条により主文の通り判決する。 以上は裁判官全員一致の意見である。 検察官宮本増蔵関与昭和二三年一二月七日最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官長谷川太一郎裁判官井上登裁判官河村又介- 3 -

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