昭和55(オ)1121 損害賠償

裁判年月日・裁判所
昭和57年11月26日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄差戻 東京高等裁判所 昭和54(ネ)197
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【DRY-RUN】主    文      原判決を破棄する。      本件を東京高等裁判所に差し戻す。          理    由  上告代理人江口保夫、同溝呂木商太郎、同草川健、同鈴木諭の上告理由第一点及 び第

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判決文本文2,079 文字)

主文 原判決を破棄する。 本件を東京高等裁判所に差し戻す。 理由 上告代理人江口保夫、同溝呂木商太郎、同草川健、同鈴木諭の上告理由第一点及び第二点について原判決は、(1) Dは、昭和四九年一月一四日午後九時ころその所有の本件自動車に友人数名を乗せてスナツク「E」に行き、同所で右友人らと飲酒したのち翌一五日午前零時ころ右の店を出た、(2) Dは、本件自動車により最寄りの駅であるa駅まで他の者を送つてから帰宅するつもりでいたところ、友人達を自分の下宿に連れて行き飲み直すつもりになつていたFから自分に本件自動車をまかせ運転させて欲しいと求められて渋々これを承諾し、ここに車の使用をFに委ねることとし、車の鍵を同人に渡してみずからは電車で帰宅するつもりでa駅まで行くため本件自動車の後部座席の右端(運転席のFの後ろ)に便乗した、(3) Fの考えていた行先は、ひとまずa駅に至り電車で帰宅する者を下車させたのち残りの友人と飲み直すためにその下宿先にということであつたが、そのうち自己の運転操作の誤りにより本件自動車を左右に大きく蛇行させた挙句、右側ガードレールに車体の右側面を激突させて横転させるという本件事故を起し、Dを死亡させた、(4) Dは、酒を飲んだFに運転を許した過失がある、以上の事実を認定したうえ、右(1)ないし(3)の事実からすると、事故当時の本件自動車の具体的運行において、Fは、運転者であり、危険物たる自動車の運行により生ずべき危険を回避すべく期待され、また、そのことが可能であるのにかかわらず事故を発生せしめた直接的立場にあつた運行供用者であるのに対し、Dは、最寄りの駅につくまでの単なる同乗者であり、運行供用者であるといつても具体的にはFを通じてのみ車による事故発生を防止す- 1 ず事故を発生せしめた直接的立場にあつた運行供用者であるのに対し、Dは、最寄りの駅につくまでの単なる同乗者であり、運行供用者であるといつても具体的にはFを通じてのみ車による事故発生を防止す- 1 -るよう監視することができる立場にしかなかつたという点において、双方の運行支配の程度態様を比較すると、Dは間接的潜在的抽象的に運行を支配しているにすぎないのに対し、Fは直接的顕在的具体的に支配していたものというべきであるとし、DはFに対しては自動車損害賠償保障法三条本文の他人であることを主張することが許されると判断して、Dの両親である被上告人らが上告会社に対し同法一六条に基づいてした損害賠償の請求を認容している。 しかしながら、原判決の認定するところによれば、本件事故当時Dは友人らの帰宅のために本件自動車を提供していたというのであるから、その間にあつてFが友人らの一部の者と下宿先に行き飲み直そうと考えていたとしても、それはDの本件自動車の運行目的と矛盾するものではなく、Dは、Fとともに本件自動車の運行による利益を享受し、これを支配していたものであつて、単に便乗していたものではないと解するのが相当であり、また、Dがある程度F自身の判断で運行することをも許したとしても、Dは事故の防止につき中心的な責任を負う所有者として同乗していたのであつて、同人はいつでもFに対し運転の交替を命じ、あるいは、その運転につき具体的に指示することができる立場にあつたのであるから、FがDの運行支配に服さず同人の指示を守らなかつた等の特段の事情がある場合は格別、そうでない限り、本件自動車の具体的運行に対するDの支配の程度は、運転していたFのそれに比し優るとも劣らなかつたものというべきであつて、かかる運行支配を有するDはその運行支配に服すべき立場にあるFに対する関係におい 本件自動車の具体的運行に対するDの支配の程度は、運転していたFのそれに比し優るとも劣らなかつたものというべきであつて、かかる運行支配を有するDはその運行支配に服すべき立場にあるFに対する関係において同法三条本文の他人にあたるということはできないものといわなければならない。しかるに、原判決は、前記の特段の事情があるか否かについて事実関係を確定しないまま、所有者であるDの運行支配の程度態様を間接的潜在的抽象的なものであると判断し、Dが同法三条本文の他人であると主張することができるとしたものであつて、ひつきよう、原判決の右判断には同法三条本文の他人の意義に関する解釈適用を誤り、その- 2 -結果審理を尽くさない違法があるものといわなければならない。そして、右の違法が原判決に影響を及ぼすことは明らかであつて、この点に関する論旨は理由があり、その余の論旨について判断するまでもなく、原判決は破棄を免れない。そして、本件についてはさらに審理を尽くさせるのが相当であるから、これを原審に差し戻すこととする。 よつて、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官宮崎梧一裁判官木下忠良裁判官鹽野宜慶裁判官大橋進裁判官牧圭次- 3 -

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