平成16(行ウ)7 更正の請求拒否通知処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成18年2月13日 大分地方裁判所 租税
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判決文本文22,283 文字)

主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求被告が平成15年6月25日付けでした,原告の平成13年4月1日から平成14年3月31日までの事業年度の法人税の更正の請求に対して更正をすべき理由がない旨の通知処分を取り消す。 第2事案の概要本件は,原告が,被告に対して,平成13年4月1日から平成14年3月31日までの事業年度(以下「本件事業年度」という。)の法人税の確定申告において,外国税額控除制度の適用を受けるに当たり,申告書に記載した税額等の計算が「国税に関する法律の規定に従っていなかったこと又は当該計算に誤りがあったこと」(国税通則法23条1項1号)により納付すべき法人税額が過大となったと主張して,更正の請求をしたところ,被告から更正すべき理由がない旨の通知処分(以下「本件通知処分」という。)を受けたため,原告がその取消しを求めた事案である(なお,以下,平成14年法律第79号による改正前の法人税法を「法」といい,法人税法施行令を「施行令」という。)。 前提事実(当事者間に争いがないか,括弧内の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実)(1)原告は,医療機器の製造・販売等を営む株式会社であり,aは,原告がその発行済株式総数の85.52パーセントを保有する,タイにおける原告の子会社である。また,原告は,アメリカ合衆国にも,bという名称の子会社を設立している(争いがない)。 (2)原告は,平成14年6月26日,本件事業年度に係る法人税について,要旨次のとおり(主として外国法人税控除に関する部分)の確定申告を行っ た(甲1。以下「本件申告」という。)。 ア間接納付した控除対象外国法人税額等の計算に関する明細書(別表六(五)のうちa分,甲1の17枚目)(ア) 国法人税控除に関する部分)の確定申告を行っ た(甲1。以下「本件申告」という。)。 ア間接納付した控除対象外国法人税額等の計算に関する明細書(別表六(五)のうちa分,甲1の17枚目)(ア)受取配当金額48,356,508.3 タイバーツ(以下「THB」と略記する。)(イ)外国法人税額86,492,053.65THB(ウ)間接納付した控除対象外国法人税額14,396,686.49THB円換算額39,015,020円イ間接納付した控除対象外国法人税額等の計算に関する明細書(別表六(五)のうちb分,甲1の18枚目)(ア)受取配当金額215,000(アメリカドル以下「US$」と略記する。)(イ)外国法人税額283,273US$(ウ)間接納付した控除対象外国法人税額129,583.71US$円換算額16,210,922円ウ当期の控除対象外国法人税額に関する明細書(別表六(二の二),甲1の13枚目)(ア)直接納付分に係る控除対象外国法人税額52,091,122円(イ)間接納付分に係る控除対象外国法人税額55,225,942円(ウ)納付した控除対象外国法人税額107,317,064円(エ)納付したとみなされる控除対象外国法人税額63,892,399円(オ)当期の控除対象外国法人税額171,209,463円エ外国税額の控除に関する明細書(別表六(二),甲1の12枚目)(ア)当期の控除対象外国法人税額171,209,463円(イ)当期に控除できる金額171,209,463円オ本件事業年度分の確定申告書(別表一(一),甲1の1枚目) (ア)所得金額1,783,632,630円(イ)法人税額535,089,600円(ウ)控除税額248,021,183円内訳 事業年度分の確定申告書(別表一(一),甲1の1枚目) (ア)所得金額1,783,632,630円(イ)法人税額535,089,600円(ウ)控除税額248,021,183円内訳控除税額の計算に係る所得税額等76,811,720円控除税額の計算に係る外国税額171,209,463円(エ)差引所得に対する法人税額287,068,400円(3)原告は,本件申告の際,資料としてタイ語で記載された配当金明細書の写し(甲2の5の1~3枚目,以下「本件配当金明細書」という。)を添付しているところ,その内容は次のとおりである(甲2)。 ①配当金(非課税対象部分)74,251,661.70THB②配当金(課税対象部分)48,356,508.30THB③源泉税4,835,650.83THB④①+②-③117,772,519.17THB(4)原告の経理担当者は,実際のaからの受取配当金総額が上記(3) ①,②の合計額122,608,170THBであったにもかかわらず,本件配当金明細書にタイ語で記載されていた文言の意味を誤認し,受取配当金総額のうち,課税対象部分である②の48,356,508.3THBのみを「受取配当金額」として,間接納付した控除対象外国法人税額等の計算に関する明細書(別表六(五))に転記したものである。(弁論の全趣旨)(5)原告は,平成15年3月31日付けで,「外国税額控除に関する計算誤りがあった」ことを理由として,被告に対して,要旨次のとおりの更正の請求を行った(甲5。以下「本件更正の請求」という。)。 (更正の内容)請求前の金額更正の請求金額①所得金額1,783,632,630円1,843,540,390円②法人税額535,089,600円553,062,000円 う。)。 (更正の内容)請求前の金額更正の請求金額①所得金額1,783,632,630円1,843,540,390円②法人税額535,089,600円553,062,000円 ③控除税額248,021,183円325,804,938円内訳所得税額等76,811,720円76,811,720円外国税額171,209,463円248,993,218円④差引所得に対する287,068,400円227,257,000円法人税額⑤納付すべき273,364,900円213,553,500円法人税額(更正の請求の理由)「法69条13項では,外国税額控除は確定申告書に記載された金額を限度とすると規定しております。この規定の趣旨は,課された外国法人税について外国税額控除の対象とするか,損金算入処理とするかは納税者の選択であり,当初確定申告書において外国税額控除の対象としなかったものについてまで,後日更正又は修正申告において外国税額控除の対象としないために設けられていると理解しております。 当社がaの所得に対して課された外国法人税の全部について外国税額控除の対象としていたことは当初確定申告書における別表の記載内容で明白であり,税額控除を選択しなかったというよりは,その外国法人税に乗ずる『配当等の額の割合』(施行令147条1項1号)の計算に誤りがあったものと認識しております。その計算過程において法律の規定に従わなかったことにより生じた誤りについては,単に外国法人税額を外国税額控除の対象としなかった場合と区別されるべきであり,正当金額が納税額を増額させるものかに関わらず更正されるべきものと考えます。」(6)被告は,同年6月25日付けで,本件更正の請求に対し,更正すべき理由がない旨の本件通知処分をした(乙 べきであり,正当金額が納税額を増額させるものかに関わらず更正されるべきものと考えます。」(6)被告は,同年6月25日付けで,本件更正の請求に対し,更正すべき理由がない旨の本件通知処分をした(乙1)。 (7)原告は,本件通知処分を不服として,同年8月18日付けで,国税不服審判所長に審査請求を行った(甲6)。 (8)国税不服審判所長は,平成16年6月8日付けで,本件事業年度の外国税額控除の適用に当たり,原告が控除をされるべき外国法人税額の一部を確定申告書に記載しなかったことは,国税通則法23条1項1号の規定に該当しないことを理由として,本件通知処分が適法であると判断し,原告の審査請求を棄却した(乙2)。 原告の主張(1)外国子会社が納付した外国税額は,本来,親会社が実際に納付したものでないから,親会社の法人税の課税所得の計算上その損金に算入されていないものである。したがって,間接外国税額控除の適用に際しては,直接外国税額控除の場合のような,損金算入との選択の余地はない。 (2)法69条13項は,その前段に「第1項の規定は,確定申告書に同項の規定による控除を受けるべき金額及びその計算に関する明細の記載があり,かつ,控除対象外国法人税の額を課されたことを証する書類その他財務省令で定める書類の添付がある場合に限り,適用する。」と定め,その後段に「この場合において,同項の規定による控除をされるべき金額は,当該金額として記載された金額を限度とする。」と定めている。 この前段の趣旨は,外国法人税額控除の適用を受けるか否かについては,納税者に選択の幅があり,その幅の中のどれを選ぶかはその権限が納税者の任意に任され,適用を受ける場合は確定申告書にその金額と明細を記載し,その裏付け資料を添付する義務が納税者にあるという趣旨である。 後段の 選択の幅があり,その幅の中のどれを選ぶかはその権限が納税者の任意に任され,適用を受ける場合は確定申告書にその金額と明細を記載し,その裏付け資料を添付する義務が納税者にあるという趣旨である。 後段の趣旨は,納税者が選択の幅の中から任意にある一定のものをいったん選んだ以上,後になって他の選択肢を選ぶことへ変更する権限を有しないという趣旨である。 (3)そして,外国税額控除についての選択の幅とは次のようなものである。 ア第1に,他の方式との選択の余地については,直接外国税額控除の場合は,損金算入方式との選択の余地があるが,間接外国税額控除の場合は, 損金算入方式,益金不算入方式のいずれとの選択の余地もない。 イ第2に,外国税額控除の適用を選択した上で,複数の外国法人税のうちの一部選択の余地については,施行令149条は,間接納付外国法人税額について「2以上の外国法人税が課され,又は2回以上にわたって外国法人税が課された場合には,法69条7項の内国法人は,それぞれの外国法人税の額につき,同項の規定の適用を受け,又は受けないことを選択することができる。」と定めており,それら複数の課税のいずれかに適用を受けるかは選択の余地がある。 (4)しかしながら,上記(3)イの2以上の外国法人税が課された場合であれ,2回以上にわたって外国法人税が課された場合であれ,いずれもその文言から明らかなとおり,「内国法人が納付する控除対象外国法人税の額とみなされる額」の算式(施行令147条1項1号)の基礎となる各項目の金額について,その一部のみの選択適用の余地を認めたものではない。 このように解することこそ,間接外国税額控除の制度が,あくまで外国法人税額を基準にしてその「配当等の額の割合」反映分を税額控除の対象としているとの立法趣旨に合致するし,また,法69条7項 ではない。 このように解することこそ,間接外国税額控除の制度が,あくまで外国法人税額を基準にしてその「配当等の額の割合」反映分を税額控除の対象としているとの立法趣旨に合致するし,また,法69条7項の文理,すなわち,間接納付外国法人税額独自の控除金額の条文をおかずに,「その内国法人が納付する控除対象外国法人税の額とみなして第1項の規定を適用する」との条文をおいて,直接納付外国税額の控除金額にリンクさせる条文となっていることにも合致する。 (5)よって,この「配当等の額の割合」の計算過程で用いる受取配当等の額や外国子会社の所得金額について,記載誤りがあった場合には,そもそも選択の余地がなく,納税者に選択の権限もない場合であるから,法69条13項を根拠にその是正を禁ずることはできない。 そして,その記載誤りが「税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと又は当該計算に誤りがあったこと」に該当する以上,更正 の請求ができることは当然である。 (6)本件では,間接外国税額控除における「親会社が納付する控除対象外国法人税の額とみなされる額」の算出が,法69条7項,施行令147条1項1号の規定に従っていなかったことにより,「控除対象外国法人税額」「控除限度額」「所得の金額」の全てが法の規定に従って計算される金額より過少に計算され,ひいては納付すべき税額が過大に計算される結果となった。 これは,国税通則法23条1項の更正の請求の事由に明らかに該当する。 本件は,2つの外国子会社に課されたそれぞれの外国法人税の額につき,原告が,施行令149条に従っていずれも法69条7項の適用を受けることを選択した事案である。aに限ってみれば,1回だけ外国法人税が課されたケースであり,「2以上の外国法人税が課され」たケースでもなく,「2回以上にわたって 従っていずれも法69条7項の適用を受けることを選択した事案である。aに限ってみれば,1回だけ外国法人税が課されたケースであり,「2以上の外国法人税が課され」たケースでもなく,「2回以上にわたって外国法人税が課され」たケースでもない。 したがって,本件のaについては,もともと原告に受取配当金の一部だけを選択適用する余地のないものである。納税者に選択の余地がないケースにまで,法69条13項を形式的に適用することは,同条項の立法趣旨に反する。 また,「税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと又は当該計算に誤りがあった」にもかかわらず,法69条13項を根拠に,その納税者の救済を一律に閉ざす解釈は,納税者にとって本来負担させるべきでない負担を強制する結果となる。税法の公平,公正の理念に著しく反する解釈といわざるを得ない。 被告の主張(1)法69条13項の規定は,控除限度額以下の額で法人が確定申告書に記載した金額を限度として,外国税額控除の適用を認める規定であることから,原則として,確定申告後に,記載した金額の税額を求めて更正の請求を行うことはできない。 法69条13項の「確定申告書」とは,法2条31号に規定され,その様式として,法施行規則34条に,確定申告書別表一(一),別表四,別表六(二),別表六(二の二),別表六(五)等,一連の各確定申告書別表が法定されている。特に,「間接納付した控除対象外国法人税額等の計算に関する明細書」である別表六(五)において,所要の金額の記載が必要であることは,法令の規定のとおりである。 したがって,法69条13項後段に規定する「当該金額として記載された金額」とは,別表一(一)の「外国税額43」欄の金額のみならず,各別表に記載した金額をも指すとともに,確定申告書上での計算誤りや転記上の がって,法69条13項後段に規定する「当該金額として記載された金額」とは,別表一(一)の「外国税額43」欄の金額のみならず,各別表に記載した金額をも指すとともに,確定申告書上での計算誤りや転記上の誤りについては,国税通則法23条1項により救済されるのである(なお,ここでいう転記誤りとは,外国子会社の決算書,配当通知書等の資料から内国法人の確定申告書別表への移記をいうのではなく,例えば,別表六(五)「間接納付した控除対象外国法人税額等の計算に関する明細書」の「間接納付した控除対象外国法人税額の円換算額9」欄から別表六(二の二)「当期の控除対象外国法人税額に関する明細書」の「納付控除対象外国法人税額間接納付分6」欄への転記誤り等,確定申告書別表内における転記誤りを指すものである。)。 この点,原告は,本件はあくまで計算過程での誤りであり,国税通則法23条1項1号に基づく更正の請求の適用が認められると主張する。 しかしながら,本件の場合,当該受取配当金額として計上した金額の根拠は,原告が確定申告書の添付資料として,申告書と同時に提出した資料(甲2の5の1枚目)の②欄の数字「48,356,508.30」そのものである。原告は,これを別表六(五)の「受取配当金額6」欄に,原告が間接外国税額控除の計算に用いるべき金額として記載しており,この金額を基礎として「配当金等の額の割合」を誤りなく計算しているのであるから,これは国税通則法23条1項1号の「当該計算に誤りがあったこと」には該当しない。 原告の誤りは,計算過程自体の誤りではなく,原告の担当者が添付資料の意味を正確に理解していなかったために,計算の基礎とすべき受取配当金額を添付資料から確定申告書に転記する過程で生じた誤りに過ぎず,外国税額控除の一部申告漏れによる法人税額の過大納付の場合に該当 料の意味を正確に理解していなかったために,計算の基礎とすべき受取配当金額を添付資料から確定申告書に転記する過程で生じた誤りに過ぎず,外国税額控除の一部申告漏れによる法人税額の過大納付の場合に該当する。これは,計算過程の誤りとは明らかに異なるものである。すなわち,計算過程の誤りであれば,確定申告書の記載内容からその誤りが一見して明らかであるのに対して,添付資料からの転記の誤りは,それが外形からみて,任意に一部を選択したのか,真に誤りであるのかの区別ができない。特に,本件における添付資料は,タイ語で記載され,訳文も付されていないのであるから,被告の担当者には,転記の誤りであることを知り得ない。仮に,転記の誤りであることを知り得たとしても,原告の転記の誤りは平成11年度から3年間連続していたものであるため,外形上はむしろ任意に一部を選択したものと解し得るのである。 このように,原告の誤りとする部分,つまり,受取配当金額の抽出は,確定申告書に記載する以前の,原告内部の意思決定段階のものであることから,原告に受取配当金の全額を控除対象とする意思があったと判断することはできず,結果として,それが納税者の選択誤りであった(受取配当金の全額を対象とする意思があった)としても,更正の請求の要件には該当しない。 (2)ア原告は,法69条13項後段の「限度とする」の文言を無視し,「この後段の趣旨は,納税者が選択の幅の中から任意にある一定のものをいったん選んだ以上,後になって他の選択肢を選ぶことへ変更する権限を有しない趣旨」にすぎない旨主張するが,同項後段について文理解釈を行わず,あたかも選択変更の禁止規定に過ぎず,同条1項の「控除対象外国法人税の額」と13項の「記載された金額」が常に同額であるかのように本来の解釈とは別意の解釈を展開している。課税減免 て文理解釈を行わず,あたかも選択変更の禁止規定に過ぎず,同条1項の「控除対象外国法人税の額」と13項の「記載された金額」が常に同額であるかのように本来の解釈とは別意の解釈を展開している。課税減免規定である外国税額控除制度に関しては,税額の計算の安定を確保し,租税法律関係の明確化を図る 趣旨から,その手続要件は厳格でなければならず,確定申告書に法69条1項の規定による控除を受けるべき金額及びその計算に関する明細の記載があり,かつ,控除対象外国法人税の額を課されたことを証する書類その他財務省令で定める書類の添付があることが必要とされている。更に,この場合において,同項の規定による控除をされるべき金額は,当該金額として記載された金額を限度とするとして,税額控除の対象となるのは,あくまで同条1項で算出される控除対象外国法人税の額のうち,控除すべき外国税額控除の額として確定申告書に記載された金額である旨規定されている。 したがって,同条1項に規定する「控除対象外国法人税の額」と同条13項に規定する「控除をされるべき金額」が必ずしも同義・同額にはならないことは,文理解釈上,疑う余地もないことであり,趣旨解釈の余地はない。 原告の解釈を前提とすると,外国税額控除を選択してさえいれば,常に控除対象外国税額の満額までの変更が許されることとなるのであり,明らかに文理に反する上,こうした解釈を容認した場合,大量回帰的に発生する国家の租税債権を速やかに確定,実現することが不可能に帰することとなり,租税法律関係における法的安定性を著しく損なうこととなる。 イまた,原告は,「間接外国税額控除の場合は,損金算入方式,益金不算入方式のいずれも選択の余地もない。」と主張するが,法28条において,外国子会社からの配当に係る間接納付控除対象外国法人税額は,親会社 また,原告は,「間接外国税額控除の場合は,損金算入方式,益金不算入方式のいずれも選択の余地もない。」と主張するが,法28条において,外国子会社からの配当に係る間接納付控除対象外国法人税額は,親会社である内国法人において直接納付したものとみなされることから,その控除対象法人税額は,その納付したとみなされる事業年度において益金の額に算入し,所得に加算する旨規定されている。これは,直接税額控除の場合の控除対象法人税額の損金不算入規定(法41条)と全く同趣旨のものである。すなわち,間接税額控除を適用した場合,当該控除対象外国法人税 額を益金の額に算入しなければならないが,適用しない場合には,益金の額に算入する必要はないという意味において,内国法人は,間接外国税額控除制度か,益金不算入のどちらかを選択しなければならないのである。 したがって,この面からも選択の余地がないとする原告の主張は失当である。 ウさらに,原告は,施行令149条の「2以上の外国法人税が課され,又は2回以上にわたって外国法人税が課された場合には,法69条7項(外国子会社の配当等に係る外国税額の控除)の内国法人は,それぞれの外国法人税の額につき,同項の規定の適用を受け,又は受けないことを選択することができる。」との規定を掲げ,この規定の趣旨は,外国子会社が実際に納付した外国法人税自体が複数ある場合に,その一部のみの選択適用の余地を認めたものであり,その計算過程で用いる受取配当等の額の一部の選択適用を認めたものではない旨主張する。 しかしながら,受取配当金の一部適用を認めないとする明文規定は存しない。むしろ,施行令149条は,外国税額控除の適用に当たって,配当の原資となった外国子会社の利益に課された外国法人税の一部についてだけ税額控除の適用を受け,他の一部について適用を受 明文規定は存しない。むしろ,施行令149条は,外国税額控除の適用に当たって,配当の原資となった外国子会社の利益に課された外国法人税の一部についてだけ税額控除の適用を受け,他の一部について適用を受けないことができる旨を規定したものと解すべきである。そして,法69条1項が,外国子会社の配当等の額に係る事業年度の外国法人税の額に当該配当等の額の割合を乗じて計算した金額を控除対象外国法人税額とみなして外国税額控除制度の適用を認める旨規定し,さらに同条13項後段は「控除されるべき金額は,当該金額として記載された金額を限度とする。」旨規定していることを勘案すると,受取配当金の額の一部を適用することにより,控除対象外国法人税額の満額以下の金額を控除対象外国法人税額として適用することが,法人の任意として認められていることは,条文上明らかというべきである。 また,施行令149条の規定は,間接外国税額控除制度が創設された昭和37年度の法人税法改正で当時の法施行規則23条の5第4項2号として創設されており,その規定によると,「…配当をなす外国子会社の当該配当に係る事業年度につき,2以上の外国法人税が課され,又は2回以上にわたって外国法人税が課せられた場合において,……外国税額控除の計算については,左に定めるところによる。」とし,その適用範囲及び計算方法については,同号イにおいて,「当該内国法人は,当該外国法人税のうち当該配当に対応する金額につき各別に法第10条の3第2項の規定の適用を受けることを選択することができる。」とし,さらに同号ロにおいて,「当該内国法人の2以上の事業年度にわたって当該外国子会社につき外国法人税が課され,当該内国法人が当該外国法人税につきイの選択をなす場合には,当該外国法人税のうち最初に課せられたものについて,まず,前2 内国法人の2以上の事業年度にわたって当該外国子会社につき外国法人税が課され,当該内国法人が当該外国法人税につきイの選択をなす場合には,当該外国法人税のうち最初に課せられたものについて,まず,前2項の規定による計算を行い,次に2回目以後に課された当該外国法人税を順次先に課された当該外国法人税の額に加算して当該合計額についてこれらの規定により計算した金額から,先にこれらの規定により計算した金額を差し引いて計算し,これらの計算した金額をもって,それぞれ当該内国法人の当該外国法人税が課された事業年度において外国税額控除をなすことができる外国法人税の額とする。」と規定されている。この規定は,配当を受け取る内国法人が,これらの納付時期等が異なる外国法人税額のうち,1つの外国法人税額について間接外国税額控除の適用を受け,他の外国法人税額については適用を受けないことができることを当然の前提としており,現行規定もこの規定を踏襲しているが,その立法趣旨は,一度間接外国税額控除の適用を受けた配当に係る外国法人税について,常に同様の税額控除を受ける必要があるとすることは,計算が煩雑な上に内国法人自体にあまり実益がない場合がある,という点にあり,当該規定が,複数の外国法人税が課され,又は複数回にわたって外国法人税が課されたと きに,外国税額控除の適用を受けるに際し,どのように調整計算を行うかという技術的規定であることは明らかである。そして,創設当初の規定を踏襲している施行令147条3項も,外国子会社からの配当金について,異なる時期等に課された外国法人税がある場合の調整計算が規定されるとともに,最初に課された外国法人税につき間接外国税額控除の適用を受けた場合,後続の外国法人税についても必ず調整計算をするとなると,納税者に煩雑な手続を要するとともに,強制 合の調整計算が規定されるとともに,最初に課された外国法人税につき間接外国税額控除の適用を受けた場合,後続の外国法人税についても必ず調整計算をするとなると,納税者に煩雑な手続を要するとともに,強制するだけの実益もないことから,選択適用も可能としたにすぎないのであって,単独の外国法人税額の一部選択適用の可否を定めたものではない。 なお,直接外国税額控除制度においては,外国法人税額を納付した場合には,その一部のみを外国税額控除制度の対象としたとしても,その適用を受ける限り,その納付した外国法人税額の全部について外国税額控除制度の適用対象にしなければならない。これは,直接外国税額控除制度においては,内国法人が納付した外国法人税額はもともと損金としての性格を有することから,損金としての処理と直接外国税額控除制度による処理との政策的調整として,一部の外国法人税について税額控除を選択し,他の外国法人税について損金算入を選択することはできないとしたものであるが,間接外国税額控除制度の場合には,外国法人税額を納付するのはあくまでも外国子会社であり,同納付額を内国法人の損金として処理する余地はないので,直接外国税額控除制度の場合と異なり,間接外国税額控除制度を選択しない限り,親会社である内国法人にとって法人税申告上処理すべき外国法人税というものはありえないのであって,直接外国税額控除制度の場合のような損金としての処理と直接外国税額控除制度による処理との政策的調整という問題は生じない。施行令149条は,このような間接外国税額控除制度の性格に鑑み,対象として選択した限度においてこの制度を顕在化させようという趣旨に出るものである。 この点,原告主張のように,法令の反対解釈として単独の外国法人税につきその一部を選択適用できないと解すると,単独の外国法人 した限度においてこの制度を顕在化させようという趣旨に出るものである。 この点,原告主張のように,法令の反対解釈として単独の外国法人税につきその一部を選択適用できないと解すると,単独の外国法人税に係る控除限度額以下の任意の金額での申告を禁じることとなり,極論すれば,とりあえず1円でも選択適用して申告し,後日,納税者が更正の請求をすれば,納税者の任意で控除限度額の満額の適用を受けられることとなる。また,原告の主張では,納税者が種々の理由により意図的に控除限度額未満の額で申告した場合,課税庁は,その意思を無視して必ず満額までの更正処分を行わなければならないのか,あるいは,納税者が更正の請求をした場合のみ更正処分を行うのか,判然としないが,仮に前者であれば,任意的調整事項であるにもかかわらず,納税者自身の選択した意思を無視ないしは制限することとなり,後者であれば,納税者の内面の主観的な意思による自由な判断で申告・納税額を変更できることとなる。いずれにしても「記載された金額を限度とする。」規定を空文化する見解であり,不合理かつ不適当である。 エ法69条13項と同様に,①受取配当等の益金不算入制度(法23条5項),②国等に対する寄附金の損金算入制度(法37条8項)においても,確定申告書に記載された金額を限度として,当該制度の適用を認める旨規定されているところ,これらの制度における当該規定は,昭和40年度の法人税法の全文改正(昭和40年法律第34号)時に,従来の規定を全面的に整備し,新たに規定されたものである。そして,これらの制度においても,いずれも文言どおりの解釈が採用されており,原告が主張するような文理に反する解釈は採用されておらず,これらをみても原告の主張が失当であることは明らかである。 第3当裁判所の判断 原告の本件事業年 ずれも文言どおりの解釈が採用されており,原告が主張するような文理に反する解釈は採用されておらず,これらをみても原告の主張が失当であることは明らかである。 第3当裁判所の判断 原告の本件事業年度における外国法人税控除に関する部分の確定申告書及び添付書類の記載の要旨は前提事実のとおりであり,原告の経理担当者は,実際 のaからの受取配当金総額が122,608,170THBであったにもかかわらず,本件配当金明細書にタイ語で記載されていた文言の意味を誤認し,受取配当金総額のうちの一部である課税対象部分48,356,508.3THBのみを「受取配当金額」として,間接納付した控除対象外国法人税額等の計算に関する明細書(別表六(五))に転記したものであって,本件は,外国税額控除の適用を受けるに当たって添付した資料から,確定申告書別表に受取配当金額を転記する際,資料内容の誤認あるいは誤読によりその一部に過ぎない誤った金額を記載し,その金額を基礎として控除税額計算がなされた結果,控除金額が過少になるとともに,納付すべき法人税額が過大となった場合に,更正の請求をなし得るかを争点とする事案である。 そこで,まず,国税通則法23条1項の解釈について検討するに,更正の請求制度は,納税者が自らの申告により確定させた税額が過大であり,あるいは還付金相当税額が過少であることなどを法定申告期限後に気付いた場合に,納税者の側からその変更,是正のため必要な手段を取ることを可能ならしめて,その権利救済に資することを趣旨とするものであり,申告に係る税額が過少である場合に認められる修正申告とは,その適用場面を異にする。もっとも,法律関係の早期安定や,税務行政の能率的な運営の観点から,その請求期限は,原則として法定申告期限から1年以内に限られ,また,その請求事由につい められる修正申告とは,その適用場面を異にする。もっとも,法律関係の早期安定や,税務行政の能率的な運営の観点から,その請求期限は,原則として法定申告期限から1年以内に限られ,また,その請求事由についても,後発的事由を除けば,「納税申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと又は当該計算に誤りがあったこと」(同条1項1号。「以下「1号事由」という。)に限定されており,申告内容に誤りがあればいかなる場合でも認められるというものではない。 そして,更正の請求制度が,事後的に過誤を発見した納税者の救済を目的としていることに鑑みれば,かかる請求事由の制限は,所得計算の特例,免税等の措置で一定事項の申告等を適用条件としているものについてその申告がなか ったため,納付すべき税額がその申告等があった場合に比して過大となっている場合において,更正の請求によって新たな申告をなし,その過大となっている部分を減額することを排除すること,すなわち,更正の請求が当初の申告記載漏れに由来する場合にこれを排除することに主眼があると解するのが相当である。 次に,法人税に関する税務調整(法は,確定した決算による企業利益を基礎とし,それに法人税法独自の修正項目を調整して,最終的な課税所得を求めているが,この課税所得計算上行う企業利益に対する税法上の調整を一般に税務調整と呼んでいる。)について検討し,法人税に関する税務調整と更正の請求との関係を整理すると,以下のとおりとなる。 (1)税務調整の具体的内容としては,確定決算主義(法74条)との関係で,①決算調整事項,②任意的申告調整事項,③必須的申告調整事項の3種類に区分されるところ,まず,決算調整事項は,企業利益算定に際して法人に当該事項の選択を認めていることの反面, 法74条)との関係で,①決算調整事項,②任意的申告調整事項,③必須的申告調整事項の3種類に区分されるところ,まず,決算調整事項は,企業利益算定に際して法人に当該事項の選択を認めていることの反面,企業利益算定に際してその選択をしていない限り,税務申告段階での調整が認められない。これに対して,任意的申告調整事項は,確定決算上の処理は要求されないが,その適用を受ける場合には確定申告書に記載を要求されるものであり,申告段階で申告するかどうかは法人の選択に委ねられている。また,必須的申告調整事項は,法人税法上,決算上の処理も,申告書への記載も要求されていないものであり,これについては,法人の選択は問題とならず,法律上当然に調整されることとなる。 (2)かかる税務調整事項のそれぞれの性質に照らせば,まず,決算調整事項については,そもそも決算上での処理が不可欠の前提となっており,法人には税務申告段階で選択する余地がないのであるから,決算上処理がなされていない場合に,かかる事項を更正の請求によって是正することは許されない。 次に,任意的申告調整事項については,法人がその適用を選択し,申告書に 記載して初めて税務調整の対象となるのであるから,当初から適用を選択していない場合には更正の請求をなし得ないことになるが,当初に適用を選択して申告書に記載していれば,後日申告書の記載の誤りに気付いた場合,当初の選択の範囲内で更正の請求をなし得る余地が生じる。そして,必須的申告調整事項については,その調整が法人の選択の有無とは無関係に行われるものであるから,申告書に誤りがあれば,原則として更正の請求をなし得ることになる。。 (3)上記の税務調整事項に関する理解を前提として,外国税額控除制度についてみると,同制度の適用選択は,決算上要求されているわけではない 誤りがあれば,原則として更正の請求をなし得ることになる。。 (3)上記の税務調整事項に関する理解を前提として,外国税額控除制度についてみると,同制度の適用選択は,決算上要求されているわけではないが,その適用を受けるためには,確定申告書への記載が必要であるから(法69条13項前段),同制度は,任意的申告調整事項ということができる。 直接外国税額控除に関しては,ある事業年度において外国税額控除の適用を受けるか否かのみが選択の対象となっており,複数あるいは複数回にわたる外国法人税の一部を控除対象とし,残部を損金に算入して処理することは許容されていないから,仮に,そのような申告をした場合にも,損金算入部分は否認されて更正又は修正申告の対象となり,更に,その部分は,当初から外国税額控除の対象とされていなかったものであるから,一部申告記載漏れとして,1号事由に該当せず,更正の請求により税額控除の対象として追加することはできないということになり,一部控除対象として適用の選択をしていた部分のみにつき,更正の請求が許されるかを検討することとなる。。 他方,間接外国税額控除に関しては,施行令149条により,複数あるいは複数回の外国法人税が課された場合に,その複数のうちの一部につき適用選択が認められるが,申告により複数のうちの一部の適用を選択した後は,当初適用を除外していた一部については,事後的に控除の対象とすることは許されず,当初からその適用を選択していた外国法人税についてのみ,更正の請求が許されるかを検討することとなる。 ところで,法69条13項後段は,「同項の規定による控除をされるべき金額は,当該金額として記載された金額を限度とする。」と規定されているところ,原告は,かかる規定の趣旨について,法人が外国税額控除に関して,任意にその適用の範 は,「同項の規定による控除をされるべき金額は,当該金額として記載された金額を限度とする。」と規定されているところ,原告は,かかる規定の趣旨について,法人が外国税額控除に関して,任意にその適用の範囲を選択した以上,後にその選択を拡大して控除されるべき外国法人税の額を増加させることを禁ずることにあると解し,かかる規定によって制限される範囲も,当初適用を選択していなかった外国法人税に限られるとして,本件はこのような場合とは異なる旨や,本件のaについて受けた間接外国税額控除の適用については,法69条7項及び施行令147条1項1号により受取配当金の総額を選択するしかなく,その一部のみを選択する余地がないにもかかわらず,原告がaから受領した配当金の一部を「受取配当金額」として,別表六(五)に記載して「配当等の額の割合」の計算に誤りが生じたことは,「税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと又は当該計算に誤りがあったこと」に該当し,更正の請求が認められるべきである旨主張している。しかしながら,上記2,3における解釈を前提として,さらに検討すると,原告が確定申告書別表への「受取配当金額」につき添付資料の金額の一部を誤って記載し,その結果,控除税額が過小となり,納付すべき法人税額が過大となったという本件においては,更正の請求を認めることはできず,本件通知処分は適法というべきである。その理由は,以下のとおりである。 (1)法69条13項後段の規定の文言によれば,法は,外国税額控除に関する申告書記載額の事後的変更に一定の制限を加えていることは明らかである。 そして,租税法律主義の見地からすると,租税法規は,納税者の有利・不利にかかわらず,みだりに拡張解釈したり,縮小解釈することは許されないというべきであるから,原則として,当該文言の通常の かである。 そして,租税法律主義の見地からすると,租税法規は,納税者の有利・不利にかかわらず,みだりに拡張解釈したり,縮小解釈することは許されないというべきであるから,原則として,当該文言の通常の用例に係る意味内容や法令によって定義された内容に即して文理的に解釈されなければならず,例外的にかかる文理解釈によっては明らかに不当な結果となるような場合において,初めて当該文言の通常の用例に係る意味内容や法令によって定義され た内容を拡大若しくは縮小し,又はこれに別意の意義を付与して解釈することができるものと解される。 そうすると,「当該金額として記載された金額」とは,確定申告書に実際に記載された金額をいうものと解さざるを得ず,当該文言の通常の用例からは,それ以外の意味を見出すことができない。もっとも,「当該金額」とは,法69条1項(あるいは同条7項)の規定に従って算出された控除をされるべき金額を指しているから,法69条13項によって拘束力が生じるのは,最終的な計算結果である確定申告書別表一(一)43の「外国税額」欄に記載された金額ではなく,別表六(四)や六(五)等の明細書に記載された,控除限度額を限度とする控除対象外国法人税の額と解するのが相当である。 このような解釈によれば,原告による更正の請求は,別表六(五)8の記載額の限度を超えるものであり,法63条13項後段に反して許されないというべきである。 (2)また,外国税額控除制度は,企業が国外に進出して投資その他の国際的経済活動を行う場合に,自国と外国とがそれぞれ課税することによって生じる国際的二重課税を排除するための制度であり,法は,かかる控除の適用を受けるかどうか,またいかなる範囲でその適用を受けるかについて,内国法人の選択に委ねている。そうすると,法69条13項前段が,外国税額 際的二重課税を排除するための制度であり,法は,かかる控除の適用を受けるかどうか,またいかなる範囲でその適用を受けるかについて,内国法人の選択に委ねている。そうすると,法69条13項前段が,外国税額控除の適用を受けようとする法人に対して,確定申告の段階において,「控除を受けるべき金額及びその計算に関する明細の記載」と控除対象外国法人税の存在を証明する書類の添付を要求し,さらに同条項後段が,控除をされるべき金額を,確定申告書に「記載された金額を限度とする。」と定めた趣旨は,その選択内容及び控除金額の計算過程の透明性と適法性を,確定申告における申告記載を通じて当該内国法人に担保させるとともに,いったん選択して申告した以上は,後日更正の請求を利用して,改めてその選択内容を見直してその範囲を拡大し,追加的な控除が主張されるようなことが生じないよう にすることにより,制度の適正な運用を図ることにあると解される(甲10)。 かかる趣旨に照らせば,別表六(五)に記載された控除限度額を限度とする控除対象外国法人税の額に拘束力を認め,その算出過程における1号事由に起因する更正の請求を許容しないとすることも,合理的な解釈であるというべきである。他方,例えば,別表六(五)の控除対象法人税額を円換算する際に為替レートの数値を誤った場合や,複数存在する控除対象外国法人税額を合算して別表六(二の二)に記載する際の計算誤りや転記誤り等,控除対象外国法人税の額を算出した後の加減乗除の誤りや転記誤りは,法69条13項後段の拘束が及ばず,それによって納付すべき法人税額が過大となる場合には,更正の請求によって申告書記載額を是正し得るのであるから,上記解釈が明らかに不当な結果を招くものであるとまではいえない。 このように,法69条13項後段は,確定申告書別表(明細書)に となる場合には,更正の請求によって申告書記載額を是正し得るのであるから,上記解釈が明らかに不当な結果を招くものであるとまではいえない。 このように,法69条13項後段は,確定申告書別表(明細書)に記載された控除対象外国法人税の額に拘束力を認めて,事後的にこれを増額することを禁じたものと解さざるを得ないから,その限度で,更正の請求をなし得る範囲が制約されたとしてもやむを得ないというべきである。 (3)更に,寄附金の損金不算入制度(法37条)について,損金算入規定の適用を受けるために申告書への記載をする場合,従来規定が簡単であったことから,例えば,一部でも記載があれば適用条件としての記載があったとみるべきであるかなどに関し,実務上の取扱いに問題を生じる余地があったところ,昭和40年の法改正により,他の同種の制度を含めて一般的な申告記載の要件を検討し,確定申告書に記載された金額を限度として損金算入を認めることを明らかにするとともに,税務署長においてやむを得ない事情があると認めた場合には,確定申告書が提出されていれば,その記載又は書類のなかった金額についても損金算入を認めるという規定とすることとして,法整備が行われたという経過(これに伴い,外国税額控除についても,「当該 金額として記載された金額を限度とする。」という規定となっている。)も認められる(乙13)。上記(1)及び(2)に加えて,このようにして実務上の取扱いに問題が生じないように配慮された経緯も併せ考慮すれば,受取配当金額の一部を記載したこと以外には,何ら明細書の計算過程に問題がない本件においては,法がこのような申告について更正の請求の要件である「税額等の計算が国税に関する法律に従っていなかったこと」に該当するものと位置づけているとは解し難い。 (4)以上に関し,原告は,法 件においては,法がこのような申告について更正の請求の要件である「税額等の計算が国税に関する法律に従っていなかったこと」に該当するものと位置づけているとは解し難い。 (4)以上に関し,原告は,法69条13項後段による制約について,法人が間接外国税額控除の適用対象選択を許されるのは,法施行令149条に選択が許容されることが明記された場合に限られることから,外国税額控除の適用対象として当初選択したもの以外の外国法人税を事後的に追加することによって控除対象外国法人税の額を増額することを禁じているにすぎないと主張するが,かかる解釈は,法69条13項後段の文言の通常の用例から乖離しているし,当初適用を選択していなかった外国法人税を事後的に控除対象とすることは,前記のとおり,そもそも更正の請求における1号事由に該当しないのであるから,間接外国法人税控除についてその外国法人税の全額を益金に算入した上で控除を受けるものであるとはいえ,法69条13項後段が,あえてこの場合のみを排除することを企図して規定されたものと解することはできず,法施行令ではなく,法69条13項の中に,何故「当該金額として記載された金額を限度とする」と記載されたのかの説明として十分であるとはいえず,採用し難い。 また,原告は,更正の請求の要件に該当するにもかかわらず,法69条13項後段によって納税者の救済を一律に閉ざすことになり,税法の公平・公正の理念に著しく反すると主張するが,同条項後段の存在を前提としても,更正の請求が完全に排除されるものではないことは上記(2)のとおりであるし,外国税額控除規定が政策的規定としての側面を有していることは否定で きず,かかる側面に基づいてその計算過程の適法性や正確性を法人に担保させるということも不合理とはいえないから,文理解釈の結果が税法 国税額控除規定が政策的規定としての側面を有していることは否定で きず,かかる側面に基づいてその計算過程の適法性や正確性を法人に担保させるということも不合理とはいえないから,文理解釈の結果が税法の公平・公正の理念に著しく反するともいえない。 むしろ,法69条13項後段に関する原告の解釈は,計算過程の透明性や適法性を法人に担保させるという趣旨を軽視するものであり,原告主張の解釈では,法69条13項後段の存在意義が著しく希薄化されることとなる。 また,原告は,法69条13項後段を文理解釈すると,同項には「・・・記載された金額を限度とし,国税通則法23条の規定は適用しない。」などの文言が全くないにもかかわらず,同法23条の規定の特則あるいは特別法であると解することになり,不当であるとするが,法69条13項後段は,そもそも国税通則法23条で税法上の基本的な手続を定めた更正の請求の要件を厳格化するための特則として規定されたものではなく,法人税法の実体を定めたものであって,上記のような,国税通則法23条の規定との関係を直接定める文言がないからといって,その文理解釈が妨げられるものではない。法69条13項後段を文理に従って解釈すれば,結果的に更正の請求も制約される場合があることは明らかであるから,あえてそのことを注意的に規定する必要はない。 (5)なお,原告は,原告の主張と同旨の見解ないし結論を示すcの国際税務研究「外国税額の間接控除の計算誤りと更正の請求の当否」(甲10,以下「c意見」という。)及びdの鑑定意見書(甲15,以下「d意見」という。)を提出する。しかしながら,これらの見解にはいずれも賛同できない。 まず,c意見についてみると,同意見は,法69条13項後段の解釈として,①申告記載された控除金額そのものを絶対額とし,たとえこれに計算誤 出する。しかしながら,これらの見解にはいずれも賛同できない。 まず,c意見についてみると,同意見は,法69条13項後段の解釈として,①申告記載された控除金額そのものを絶対額とし,たとえこれに計算誤りによる過少記載の事実があったとしても,これを超える控除は認められないとする考え方(消極説)と,②申告記載された事項を基礎として正当額を計算し,これをもって申告記載されるべき控除金額としてそこまでの控除を 認めるべきであるとする考え方(積極説)が存在することを前提とし,消極説は厳格に過ぎ実体に適合せず,積極説の方が合目的的で説得力があるとした上で,本件と類似する設例につき,「税法所定の計算による間接納付外国法人税額は,あくまでも正当な受取配当金額に基づいて算出されるべきものであるところ,これを誤って申告しているのであるから,その申告記載された控除金額は,税法所定の計算による正当額ではなく,誤った計算に基づく誤った金額といわざるを得ない」として,更正の請求が認められるとの見解を示している。しかしながら,c意見は,誤認による申告記載であることを前提とする限りは,選択事項を選択しなかった場合とは異なり,法69条13項の記載要件に関しては,正当額による申告記載があったものとして取り扱われることが相当であるとし,申告記載金額の誤りは自動的に治癒されるとするが,そのような解釈は,前記(1)ないし(4)のとおり,法69条13項後段の「当該金額として記載された金額を限度とする」との文理を超えており,何故このような規定がされたかを説明することができないし,このような制約が,誤認による申告記載である限りは自動的に治癒されるとする点については,厳格性を要する租税法規の解釈としても,同条項の文言からも,余りにも恣意的な解釈であるといわざるを得ない。 更に,c意 な制約が,誤認による申告記載である限りは自動的に治癒されるとする点については,厳格性を要する租税法規の解釈としても,同条項の文言からも,余りにも恣意的な解釈であるといわざるを得ない。 更に,c意見は,消極説に対する批判として,控除金額が過大に申告記載された場合に正当額を上限とすることの説明ができない旨批判するが,法69条13項後段は,記載金額の一切の変更を禁じたものではなく,これを上限とするにすぎないから,過大申告された場合に申告額よりも縮小された額をもって正当額とすることは,消極説によっても当然に説明できるところであり,むしろ同条項の文言は,そのように控除額が過大に申告された場合にも対応できるよう配慮されたものとみることができる。 次に,d意見についてみると,同意見では,法69条13項後段の「記載された金額」を申告書記載の具体的金額と解すると,法人が外国税額控除の 適用を選択して申告した場合でも,計算の誤りを救済し得なくなり,任意的申告調整事項としての本質に反するとして,同条項は,「その対象となるものが複数あり,そのうち特定のものだけを法人が選択する可能性を認めるとともに,他方で,申告に際して対象にしなかったものの存在を理由に申告後更正の請求をすることを排除」する趣旨であると説明している。d意見のこの点に関する部分は,原告の主張とほぼ同内容であるため,上記(1)ないし(4)のとおりの理由から採用し難いし,任意的申告調整事項は,決算時での適用は不要としつつ申告時の適用選択を要求する点に主眼があり,適用選択さえしていれば,常に事後的是正をなし得るという趣旨まで含むものではないから,是正をなし得る範囲について別途制限を設けたとしても,任意的申告調整事項たる本質に反するとはいえない。 以上検討したとおり,原告の主張やこれと同旨のc・d なし得るという趣旨まで含むものではないから,是正をなし得る範囲について別途制限を設けたとしても,任意的申告調整事項たる本質に反するとはいえない。 以上検討したとおり,原告の主張やこれと同旨のc・d各意見は,いずれも法69条13項後段の文理を超えた解釈であり,かつ,そのような解釈を採らなければ同条項の趣旨に反して不当な結果となるというものではないから,採用することができない。 以上のとおり,国税通則法23条1項,法69条13項後段についての解釈を前提として本件についてみると,原告は,別表六(五)の「受取配当金額」欄に48,356,508.3THBと記載した上で,「間接納付した控除対象外国法人税額等の計算」の欄において,納付外国法人税額分を「14,396,686.49」THBと算出し,同額を同別表8項「間接納付した控除対象外国法人税額」欄に記載しているから,かかる金額が法69条13項後段の「当該金額として記載された金額」となり,これを事後的に増額することは同条項によって禁じられることとなる。 したがって,本件更正の請求には理由がなく,これと同旨の本件通知処分は相当というべきである。よって,原告の請求を棄却することとし,訴訟費用について行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決 する。 大分地方裁判所民事第2部裁判長裁判官関美都子裁判官瀧岡俊文裁判官矢崎豊

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