令和3(わ)1213 殺人、詐欺未遂、詐欺被告事件

裁判年月日・裁判所
令和6年6月28日 福岡地方裁判所
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判決文本文24,534 文字)

1主 文被告人を無期懲役に処する。 未決勾留日数中700日をその刑に算入する。 理 由【罪となるべき事実】被告人は、叔父で、自らが代表取締役会長を務めるA1株式会社(以下「A1社」という。)の従業員でもある被害者(当時64歳。)を殺害した上、同人に掛けられていた保険金をだまし取ろうと考え、第1 令和3年4月1日午後8時20分頃から同日午後8時30分頃までの間に、福岡県うきは市a 町bc 番地d の空き店舗敷地内(以下「本件現場」という。)において、被害者に対し、殺意をもって、普通乗用自動車(以下「本件車両」という。)を運転してその身体を複数回れき過するなどし、よって、その頃、同所において、同人を多発性肋骨骨折、胸椎骨折、腰椎骨折、骨盤骨折等に基づく外傷性ショックにより死亡させて殺害し、第2 A1社を被保険者とし同社従業員の被害者を補償対象者とするA2株式会社(以下「A2社」という。)の事業活動総合保険契約(以下「本件事業活動総合保険」という。)に基づく死亡補償保険金の名目で現金をだまし取ろうと考え、真実は、被告人が被害者を殺害したものであり、A1社に同保険金を請求する権利がないのに、その事実を隠し、同権利があるかのように装い、同月6日、被害者が、誤って後退してきた自車両にひかれて業務中に事故死した旨のうその内容を記載した火災・新種保険事故受付票を大分県日田市ef 丁目g 番h 号の有限会社A3(以下「A3社」という。)の事務所から大分市i 町j 丁目k 番l 号A2社m のA4宛にファクシミリ送信した上、同月28日、A3社の事務所において、A5課長B1に対し、前同様のうその内容を記載した同保険金の請求書を交付し、同人を介して、A4課長B2に前記火災・新種保険事故受付票及び前記請求書を提 信した上、同月28日、A3社の事務所において、A5課長B1に対し、前同様のうその内容を記載した同保険金の請求書を交付し、同人を介して、A4課長B2に前記火災・新種保険事故受付票及び前記請求書を提出して同保険金の支払を請求し、同人らにその旨誤信さ2せてA2社から同保険金の支払を受けようとしたが、同人らが、被告人が被害者の殺害に関与していないことが判明するまでその支払を保留することとしたため、その目的を遂げず、第3 被害者を被保険者とし、被告人を受取人とするA6生命保険株式会社(以下「A6生命」という。)の生命保険契約(以下「本件生命保険」という。)に基づく死亡保険金の名目で現金をだまし取ろうと考え、真実は、死亡保険金の受取人である被告人が被害者を殺害したものであり、被告人に同保険金を請求する権利がないのに、その事実を隠し、同権利があるかのように装い、同月7日、大分県日田市n町o 番p 号の同社A7営業所において、同社従業員B3に対し、被害者が後退中の車両のタイヤに巻き込まれて事故死した旨のうその内容を記載した事故告知書を同保険金の請求書等と共に提出して同保険金の支払を請求し、同月9日、前記B3らを介して前記事故告知書、前記請求書等の画像データを受領した同社B4らにその旨誤信させて同保険金の支払を決定させ、よって、同月12日、同社から福岡県久留米市q町r番地s の株式会社A8銀行A9支店に開設された被告人名義の普通預金口座に1497万820円を振込入金させ、もって人を欺いて財物を交付させた。 【証拠の標目】省略【争点に対する判断】第1 本件の争点本件の争点は、殺人事件(判示第1)の①事件性及び②犯人性であり、これに伴い、詐欺未遂(判示第2)、詐欺事件(判示第3)についても詐欺の実行行為性及び故意にそれぞれ争いがあ 】第1 本件の争点本件の争点は、殺人事件(判示第1)の①事件性及び②犯人性であり、これに伴い、詐欺未遂(判示第2)、詐欺事件(判示第3)についても詐欺の実行行為性及び故意にそれぞれ争いがある。当裁判所は、判示のとおり、①被害者が何者かにより殺害され、かつ②その犯人が被告人であると認められると判断したから、以下その理由を補足して説明する。 第2 事件性3検察官は、事件性が認められることを示す主な証拠として、被害者の司法解剖を行ったB5証人と、被害者の着衣や本件車両の見分を行ったB6証人の両証言を掲げるため、これらの信用性を検討する。 1 B5証人の証言要旨被害者の司法解剖の結果、被害者には多数の肋骨骨折、第12胸椎骨折、8か所の腰椎突起部の骨折、骨盤骨折が認められた。いずれも出血を伴うものであり、被害者が生きている間に受傷したものと考えられ、被害者はこれらの骨折等に基づく外傷性ショックにより死亡したと認められる。 被害者が、本件車両の下敷きになった状態で発見されたことを前提に検討すると、これらの骨折のうち、肋骨骨折は、各骨折部位に直接何かが乗り上げなくとも、介達外力によって生じ得るものであり、1回のれき過によって全て生じたとしても矛盾しない。一方、第12胸椎、腰椎及び骨盤の骨折については、受傷部位の上をタイヤが通過し、直達外力が加わらないと生じにくい。これらの位置関係も踏まえると、肋骨骨折と第12胸椎の骨折については、被害者の身体に対して上下方向にタイヤが通過することで、1回のれき過で生じ得るものである。ただし、肋骨骨折は、被害者発見時の、右前輪が右肩甲部に乗り上がった状態で生じ得るものの、第12胸椎の骨折は、その状態では生じ得るものではない。腰椎及び骨盤の骨折については、左右臀部に筋肉内出血が認められたことも合 、被害者発見時の、右前輪が右肩甲部に乗り上がった状態で生じ得るものの、第12胸椎の骨折は、その状態では生じ得るものではない。腰椎及び骨盤の骨折については、左右臀部に筋肉内出血が認められたことも合わせると、腰部ないし臀部付近を左右方向にタイヤが通過したことにより生じたと考えられる。このようなタイヤの通過方向からすると、被害者は、少なくとも、上下方向と左右方向に1回ずつ、合計2回れき過されたといえる。 2 B6証人の証言要旨被害者が着用していたベスト(以下「本件ベスト」という。)には、①右肩甲部に圧着痕、②右側腹部に圧着痕、③腰部に灰色調物質の付着を伴う擦過痕、④背面中央付近にタイヤ痕(以下順に「痕跡①」ないし「痕跡④」という。)が4認められた。痕跡①、②は、上からタイヤで圧迫されてできたものだと考えられ、1回のれき過によって生じる可能性があり、前記被害者発見時の状態でも生じ得る。痕跡②やその近辺にある生地の破れの形状等を踏まえると、痕跡①、②は、タイヤが本件ベストを上から下に通過する際に生じた可能性が高い。痕跡③は、その形状や、本件車両の右後輪付近のサイドシル(車体底部外側に、前輪と後輪をつなぐように位置する細長い部位)に払拭痕があったことを踏まえると、同サイドシルが、本件ベストを右から左に通過する際に接触してできたものと考えられる。痕跡④は、その形状からして、タイヤが本件ベストを左右方向に通過する際に、そのショルダー部が接触してできたものと考えられる。 これらの痕跡の位置関係や車両の通過方向からすると、痕跡①、②は上記のとおり1回のれき過で生じ得るが、これらと痕跡③、痕跡④はそれぞれ別の機会に生じたと考えられる。以上を合わせると、被害者は、少なくとも、上下方向に1回(右肩甲部から右側腹部にかけて)、左右方向に2回(腰部付近と れき過で生じ得るが、これらと痕跡③、痕跡④はそれぞれ別の機会に生じたと考えられる。以上を合わせると、被害者は、少なくとも、上下方向に1回(右肩甲部から右側腹部にかけて)、左右方向に2回(腰部付近と背面中央付近)の計3回れき過されたといえる。 3 検討⑴ B5証人は、法医学を専門とする大学准教授であり、豊富な専門知識や解剖経験に基づいて、自らが行った解剖結果を踏まえ、被害者の受傷内容やその機序を合理的に説明している。B5証人の説明に特段疑問を差し挟む余地はなく、B5証言は十分に信用することができる。 B6証人も、長年にわたって交通事故解析に携わっており、豊富な専門知識、経験を有する証人である。B6証人は、本件ベスト、本件車両の痕跡や、被害者の発見状況などに関する客観証拠の内容を踏まえ、本件車両によるれき過の方向、回数について、具体的かつ合理的な説明を加えており、B6証言の信用性にも特段疑問は生じない。 さらにいえば、B5証言とB6証言とは、本件車両が被害者をれき過した部位、方向について、それぞれの専門的知見から検討した結果、互いによく5整合する内容となっており、より一層信用性を高め合っていると評価できる。 ⑵ これらの証言によれば、被害者は、本件車両のタイヤによって、少なくとも、上下方向に1回、左右方向に2回の計3回れき過されたと認定できる。 そして、無人の車両が途中で方向を転換し、被害者が別々の方向から3回れき過される事故というのは、常識的に考えておよそ起こり得ないから、何者かが本件車両を意図的に操作し、被害者をれき過して殺害したことが強く推認される。 ⑶ これに対し、弁護人は、本件ベスト前面のチャックが閉じていたかは不明であり、本件ベストがずれる可能性があったため、痕跡③と痕跡④が別々の機会のれき過により生じたというこ とが強く推認される。 ⑶ これに対し、弁護人は、本件ベスト前面のチャックが閉じていたかは不明であり、本件ベストがずれる可能性があったため、痕跡③と痕跡④が別々の機会のれき過により生じたということはできず、また、B6証人が述べる犯行態様は俄かには考え難いものであることから、B6証言の信用性には疑問がある旨主張する。さらに、弁護人は、本件車両がクリープ現象で後退し、被害者が、右後輪で骨盤や腰椎付近を左右方向にれき過された後、身体を動かし、右前輪で肋骨や胸椎付近を上下方向にれき過されたとすれば、B5証言とは矛盾せず、被害者発見時、本件車両左前輪付近の地面上に認められた血痕とも整合するから、被害者がそのような事故で死亡した可能性は否定できないとも主張する。 しかし、本件車両のタイヤ幅が155mmであるのに対し、痕跡③と痕跡④とは、相当程度離れており(甲178添付資料3によれば、○H(痕跡③)と○F(痕跡④)との上下方向の距離は205~335mmの間)、多少本件ベストがずれていたとしても、右後輪のれき過により痕跡④が生じた後、その直近のサイドシルの通過によって痕跡③が生じたとは考えにくい。また、本件ベストの背面が大きくよれた状態で、タイヤが通過した痕跡が残っているわけでもない。さらに、B5証言によれば、本件車両のタイヤが、被害者の腰部ないし臀部付近を左右方向に1回れき過したことが認められるところ、この事実は痕跡③とよく符合するものであり、本件ベストの痕跡③付近が、6被害者の腰部周辺から大きくずれていなかったことの裏付けともいえる。かかる事情も加味すると、痕跡③と痕跡④が1回のれき過により生じたとは考え難く、この点に関するB6証言の信用性に疑問は生じない。 また、B6証人は、具体的な犯行態様について言及する場面もあったが、あくま 事情も加味すると、痕跡③と痕跡④が1回のれき過により生じたとは考え難く、この点に関するB6証言の信用性に疑問は生じない。 また、B6証人は、具体的な犯行態様について言及する場面もあったが、あくまでも、痕跡①ないし④を生じさせるれき過の順番を最も合理的に仮定しただけであるとしており、実際の犯行態様は不明で、他の順番で被害者がれき過された可能性もある旨述べている。このような位置づけも踏まえると、B6証人が言及した犯行態様の当否は、各痕跡から考えられるれき過の態様や回数という、B6証言の根幹部分の信用性に影響するものではない。 さらに、弁護人の主張する事故の態様であるとすると、腰椎及び骨盤の骨折、左右臀部の筋肉内出血、肋骨骨折の受傷機序は説明できるが、本件車両右前輪は被害者の右肩甲部に乗り上げたところで停止しており、第12胸椎の骨折を合理的に説明することはできない。B5証人は、被害者発見時の状態で、第12胸椎骨折が生じる可能性を明確に否定しており、弁護人の主張する事故態様は、B5証言と明らかに矛盾する。また、弁護人は、被害者が、右後輪で腰部付近を横方向にれき過された際に、本件車両の左側にあった頭部等を損傷し、被害者発見時、本件車両左前輪付近に認められた血痕を形成したと説明する。しかし、そうだとすると、被害者の頭部が本件車両の左側にあった時に、被害者は血だまりができるほど出血していたのに、本件車両左側車底部やタイヤ等に血痕等の痕跡が一切残っていないというのは不自然である。また、本件車両右後輪が被害者をひき、後方に移動した後に、出血している頭部等が本件車両右側に移動したことになるが、それでは右後輪複数か所に血痕が付着していたことも合理的に説明することができず、客観的な血痕の付着状況とも矛盾する。以上によれば、弁護人の主張は採用できない。 本件車両右側に移動したことになるが、それでは右後輪複数か所に血痕が付着していたことも合理的に説明することができず、客観的な血痕の付着状況とも矛盾する。以上によれば、弁護人の主張は採用できない。 4 小括7以上によれば、被害者の死亡が事故によるものとは到底いえず、被害者が何者かにより殺害されたことは明らかに認められる。 第3 犯人性1 犯行時刻犯人性を検討する前提として、まず、犯行時刻について検討する(以下、時刻については、特に記載のない限り、令和3年4月1日の時刻を指す。)。 ⑴ 関係証拠によれば、被告人が、午後8時20分頃、被害者に電話をかけて通話したことが認められ、同時点において、被害者が生存していたことは明らかであり、犯行時刻はそれ以降であると認められる。 ⑵ B7警察官は、本件に関し、自らが行った捜査の結果、午後8時37分頃には、本件車両が翌朝の発見時と同じ状態で停止しており、それ以降、停車位置に変化がなかった旨証言する。すなわち、翌朝のドライブレコーダー映像等を基に、本件車両の停車位置を再現し、午後8時37分頃及び午後8時48分頃に本件現場付近を通行した各車両を実際に走行させて、再現した本件現場の状況をドライブレコーダーで撮影する実験を行い、本件現場の空き店舗や看板などの不動物を基準として、再現時の映像と事件当日の映像とを比較した結果、本件車両の停車位置が変わっていないことが確認できたというのである。 B7証人は、再現時の映像と事件当日の映像とを比較する際に、映像をコマ送りにして、本件現場部分を拡大した上、再現時と事件当日とで位置が変わることのない物の位置関係が、縦軸、横軸共に一致している画像を探し出し、その画像内において、本件車両の停車位置が一致しているかを確認したと説明する。B7証言は、本件現場内 時と事件当日とで位置が変わることのない物の位置関係が、縦軸、横軸共に一致している画像を探し出し、その画像内において、本件車両の停車位置が一致しているかを確認したと説明する。B7証言は、本件現場内の不動物と本件車両の相対的な位置関係を把握する手法として合理的な内容となっており、再現状況の撮影や、映像を比較する過程で誤差が生じうることを差し引いても、少なくとも本件車両の停車位置が、再現時と事件当日とで大きく変わっていないという限度で8は十分に信用できる。 これに対し、弁護人は、実験に用いた車両のドライブレコーダーの角度が事件当日とは変わっている可能性や、事件当日と再現時とでは撮影位置が異なること、画像の比較自体も厳密なものではないこと、本件現場内の建物等と本件車両の位置が偶然一致した画像を採用しているにすぎないことなどを指摘し、B7証言の信用性には疑問があると主張する。しかしながら、上記のとおり、各過程に誤差が生じ得ることを念頭においても本件車両の停車位置が大きく変わっていないことは明らかであるし、捜査機関の求める結論に合致する画像を恣意的に選別しているということもできず、弁護人の指摘はいずれも当を得ない。 そして、仮に午後8時37分頃から翌朝の発見時までの間に、本件車両の停車位置が若干でも変わっていたとすると、本件車両が一度移動した後、本件車両が戻ってきて、被害者が、偶然、概ね同じ位置で下敷きになったということになるが、このようなことが起きる可能性は、事件であるにせよ、事故であるにせよ、あまりにも非現実的であるといわざるを得ない。 したがって、B7証言に加え、他の可能性が現実的でないことを併せ考えれば、午後8時37分頃の時点で、翌朝の発見時と変わらない位置に本件車両が停車していた事実、すなわち、被害者がすでに本件車両の下敷き したがって、B7証言に加え、他の可能性が現実的でないことを併せ考えれば、午後8時37分頃の時点で、翌朝の発見時と変わらない位置に本件車両が停車していた事実、すなわち、被害者がすでに本件車両の下敷きにされていた事実を認定することができる。 ⑶ 以上によれば、本件の犯行時刻は、午後8時20分頃から午後8時37分頃までの間であったと認められる。なお、弁護人は、B8証人の証言に基づき、午後8時37分頃以降も被害者が本件車両の下敷きにならずに生存していたと主張するが、同証言が信用できないことについては後述する。 2 事件直前の被告人と被害者の通話状況等⑴ 認定事実関係証拠によれば、次の事実が認められる。 9ア 被害者は、A1社において、夜間の点呼業務に従事しており、駐車場内の見回りも行っていた。事件当日も午後6時25分頃、A1社事務所に出勤した。 イ A1社事務所は、概ね北西(うきは市方面)から南東(日田市方面)に走る国道t 号線沿い(側道に入ったところ)にある。同国道をうきは市方向に進むと本件現場があり、さらに進むとA10店がある。 ウ 午後7時59分8秒、被告人は、被害者に電話をかけたが、応答がなく、その直後の同32秒、折り返しの電話を受けて、被害者と1分54秒通話した(通話①)。 午後8時3分頃、被害者は、懐中電灯を持ってA1社事務所を出て、本件車両に乗って、国道t 号線をうきは市方面に向かった。 エ 午後8時13分16秒、被害者は、A10店駐車場で被告人に電話をかけ、35秒間通話した(通話②)。 同14分06秒、被害者は、同駐車場を出て、国道t 号線を折り返して日田市方面に向かった。 オ 同20分15秒、被告人は、被害者に電話をかけ、被害者と17秒間通話した(通話③)。 同21分、被害者は、A1社事務所手前の交差 駐車場を出て、国道t 号線を折り返して日田市方面に向かった。 オ 同20分15秒、被告人は、被害者に電話をかけ、被害者と17秒間通話した(通話③)。 同21分、被害者は、A1社事務所手前の交差点でUターンし、再びうきは市方面(本件現場方面)に向かい、その後、本件現場に駐車した。 カ 午後7時59分頃から午後10時40分頃までの間、被害者は被告人以外の者と通話していない。 ⑵ 検討上記認定のとおり、事件直前の被害者の行動は、被告人との3度の通話と連動している。 すなわち、被害者は、犯行時刻の時間帯はA1社での勤務時間中であり、特に本件現場方面に向かう理由は見当たらない。それにもかかわらず、被害10者は、被告人との通話①を終えた約2分後には事務所を出て本件現場方面に向かっているのであり、これだけでも被告人の指示で外出したことを疑わせる事情といえる。さらに、被害者は、A10店駐車場に着くと、特に買い物をするわけでもなく、被告人との通話②をし、その約15秒後には同じ道を引き返して再び本件現場方面に向かっている。そして、被害者は、再度被告人との通話③をすると、約1分後にA1社事務所手前の交差点でUターンして、再び本件現場方面に向かっているのである。このように、被害者の外出後の行動を見ても、本件現場に赴くこと以外に外出の目的は窺われない上、被害者は被告人と通話する度に、本件現場に向けてその進行方向を変えており、特に、通話③の直後、A1社事務所付近に帰ってきた被害者が、あえてUターンして本件現場方面に向かったことは、被告人がそのように指示した以外の理由を見出すことは困難である。これらが単なる偶然とは到底思われず、被告人が被害者を本件現場に呼び出したことが強く疑われる。 他方、この間、被害者と通話した人物は被告人しかおらず、被告人以 た以外の理由を見出すことは困難である。これらが単なる偶然とは到底思われず、被告人が被害者を本件現場に呼び出したことが強く疑われる。 他方、この間、被害者と通話した人物は被告人しかおらず、被告人以外の人物が被害者を本件現場に呼び出したのだとは考えにくい。一応、予め真犯人が被害者を呼び出していた可能性も考えられなくはないが、これを具体的に窺わせる事情は見当たらない。 被告人は、通話①では、新車のトラック2台が来たから、特に注意して周辺の道路を見回るよう指示したところ、被害者から、本件車両の調子が悪く、見回りがてら少し走行してみると言われた、通話②では、被害者から見回りに異常はないと報告を受けたが、本件車両の調子がやはり悪いと言われた、通話③では、本件車両の調子が悪いなら、それ以上走行しても仕方がないから、明日の朝検査をしてみて、結果が悪ければ廃車にし、その場合には被害者に車を譲ると伝えたなどと供述する。 しかし、通話①の内容は、被害者の勤務状況を日常的に監督していたB9やB10も把握しておらず、必要性も感じていないような指示であるし、通11話②の内容は、後述するとおり本件車両には客観的に異常が認められない点で疑問が残る。たとえこれらの点を措いたとしても、通話③の後、本件車両の調子を自分で確認する必要がなくなったのに、事務所に帰らずに手前の交差点でUターンし、本件現場方面に向かった理由はやはり見出し難い。上記被告人の供述は、被害者の行動を合理的に説明するものとはいえず、信用性に乏しい。 ⑶ 以上によれば、事件直前の被告人と被害者の通話状況は、被告人が、被害者を本件現場に呼び出して殺害した犯人であることを強く推認させるものということができる。 3 本件現場付近での目撃車両等⑴ 本件現場での目撃車両ア 目撃証言について 況は、被告人が、被害者を本件現場に呼び出して殺害した犯人であることを強く推認させるものということができる。 3 本件現場付近での目撃車両等⑴ 本件現場での目撃車両ア 目撃証言について午後8時15分頃、本件現場付近を通行したB11証人は、自分の車と同じ車種である白のエヌボックスが、本件現場に駐車されていたのを目撃した旨証言する。また、午後8時25分頃に本件現場付近を通行したB12証人は、本件現場に2台の車両が向かい合って停まっていて、うち1台は白のムーヴのような軽自動車、もう1台は青っぽいワゴンRのような軽自動車であった旨証言している。 両証人は、通勤で本件現場付近を通行しており、普段車が停まっていることがない本件現場に駐車車両があったため、注視した旨述べており、駐車車両の台数や、その大まかな特徴等の目撃内容の概要については十分に信用できる。ただし、現場付近に街灯はなく、両名とも運転中に数秒間目撃したに過ぎないことを踏まえると、駐車車両の車種等の目撃内容の詳細については、その信用性を慎重に検討する必要がある。B11証人の目撃車両と、B12証人が目撃した白の軽自動車は、関係証拠にも照らせば、同一の車両であると認められる。ところが、この車両について、B11証12人は、ボディが四角く、自車両と似ていたことから、その車種をエヌボックスと特定する一方、B12証人も普段エヌボックスを使用しているものの、目撃車両の車種について、前照灯の形状からムーヴだと思った旨述べており、両証言には食い違いが生じている。両名の証言を比較しても、一方の証言が他方の証言を排斥できるほど高い信用性を持つとはいえず、結局、いずれかの証言によって目撃した白の軽自動車の車種を特定することはできない。両名が証言する目撃車両の大まかな特徴について信用できるこ 言が他方の証言を排斥できるほど高い信用性を持つとはいえず、結局、いずれかの証言によって目撃した白の軽自動車の車種を特定することはできない。両名が証言する目撃車両の大まかな特徴について信用できることは上記のとおりであり、目撃車両の特徴が白の軽自動車であったという限度では両証言は一致し、むしろ高い信用性が認められるから、この限度で目撃車両の特徴を認定することができる。 イ 小括以上によれば、本件現場には、午後8時15分頃に白の軽自動車1台が、午後8時25分頃に同じ白の軽自動車1台に加え、本件車両が駐車されていたと認められる。 ⑵ 事件後の付近走行車両ア B7証言についてB7証人は、本件現場周辺の防犯カメラを精査したところ、うきは市方面から本件現場に向かう道路の防犯カメラには映っていないのに、本件現場から離れる道路(u 橋)の防犯カメラに突然映り込んだ車両を発見した、その車種推定を刑事総務課犯罪捜査支援室に依頼したところ「白色のホンダ・エヌボックス カスタム(初代)」と推定された、同様に現場を挟んで片側の防犯カメラにしか映っていない車両について使用者等を確認したところ、上記車両と本件車両以外は、全て本件現場に立ち寄っていないという裏付けが取れた旨証言する。 B7証人による防犯カメラの精査手法自体に問題は見当たらず、犯罪捜査支援室による車種推定も複数個所の特徴の一致を指摘する合理的なもの13であるから、基本的に信頼できる。 これに対し、弁護人は、B7証人作成の資料では、防犯カメラの映像上、午後8時30分19秒に、u 橋を渡ったとされているのに、犯罪捜査支援室が車種推定のために作成した資料では、防犯カメラの表示年月日時について「2021-04-01 20:30:5821~」とされており、これらの車両の同一性には疑問がある されているのに、犯罪捜査支援室が車種推定のために作成した資料では、防犯カメラの表示年月日時について「2021-04-01 20:30:5821~」とされており、これらの車両の同一性には疑問がある旨主張する。しかし、防犯カメラの映像上、午後8時30分の1分間にu 橋を通過した車両はこの1台以外にないことや、犯罪捜査支援室が、車種推定のために防犯カメラの映像から切り出した車両の画像の1枚は、B7証人作成資料における車両の画像とほぼ同一のものであり、その前後の通行車両の画像とは異なることからすると、車種推定の対象が取り違えられたとは考えられない。 イ 小括以上によれば、本件現場から進行してきたと考えて矛盾のない白色エヌボックス様の車両が、午後8時30分、u 橋を通過したことが認められる。 なお、検察官は、犯行時刻前にも、エヌボックス様の車両が、日田市方面から本件現場に向かって走行している様子が防犯カメラに映っている旨主張する。しかし、当該車両と後続車両の順番が途中で入れ替わっていること、その間には脇道があり、車両が出入りする可能性が否定できないこと、本件現場に近い方の防犯カメラでは車両の特徴は判然としないことからすれば、防犯カメラ映像から検察官が主張する事実を認めることまではできない。 ⑶ 検討以上のとおり、午後8時15分頃、本件現場には白の軽自動車1台が駐車されていたこと、午後8時25分頃、本件現場には同じ白の軽自動車1台に加え、本件車両が駐車されていたこと、午後8時30分、本件現場から進行してきたと考えて矛盾のない白色エヌボックス様の車両が、u 橋を通過した14ことが認められる。 被告人使用車両(以下「被告人車」という。)も白のエヌボックスであり、これらの車両の特徴と一致する。ナンバーや車種まで一致しているわけでは 様の車両が、u 橋を通過した14ことが認められる。 被告人使用車両(以下「被告人車」という。)も白のエヌボックスであり、これらの車両の特徴と一致する。ナンバーや車種まで一致しているわけではないため、この事実のみで被告人を犯人と推認するには遠いが、被告人が犯人であると考えて矛盾のない事実であるといえる。 4 被告人による犯行可能性⑴ 認定事実関係証拠によれば、以下の事実が認められる。 ア 被告人は、午後7時40分頃、被告人車を運転して、日田市内に所在するガソリンスタンドで給油し、午後7時44分頃、同所を出た。 イ 被告人が、午後8時20分頃、被害者と通話した際(通話③)、被告人の携帯電話機は、本件現場の南東方向にある携帯電話基地局から見て、230°から350°の扇形の範囲内にあり、同範囲の半径2km以内に本件現場も所在する(ただし、携帯電話機の受信距離は判明していない。)。 ウ 被告人は、午後8時39分頃、被告人車を運転し、v 料金所からw 自動車道に入り、A3社取引先関係者らとの会食に向かった。 ⑵ 検討以上のような被告人の行動経路や関係各所の位置関係からすると、犯行時刻の時間帯に、被告人が本件現場に赴いて犯行に及ぶことは十分に可能であったといえる。また、午後8時20分頃の通話時において、被告人の携帯電話機が本件現場を含む範囲内に位置していたことからすれば、被告人が、本件現場で被害者に電話をかけ、犯行に及んだと考えても矛盾はない。 5 被害者に関する保険金の請求状況等⑴ 認定事実関係証拠によれば、以下の事実が認められる。 ア 被害者は、従前からA2社との間で自動車保険契約(以下「本件自動車15保険」という。)を締結していた。被告人の指示を受けたA3社従業員のB13は、令和3年3月21日、人身傷害車外事 れる。 ア 被害者は、従前からA2社との間で自動車保険契約(以下「本件自動車15保険」という。)を締結していた。被告人の指示を受けたA3社従業員のB13は、令和3年3月21日、人身傷害車外事故特約(搭乗中の事故に限らず車外での自動車事故も補償対象とするもの)を追加し、同月22日、人身傷害死亡・後遺障害定額給付金特約の上限額を1000万円から2000万円に増額していた。 被害者が死亡した場合における保険金請求権は、被害者の死亡時の法定相続人が取得し、死亡保険金の見込み額は約4619万円であった。 イ A1社は、本件当時、A2社の本件事業活動総合保険に加入していた。 従業員である被害者が業務上死亡した場合の保険金額は1000万円とされており、A1社が同保険金を受領した場合、その全額を被害者遺族に支払うものとされていた。 ウ 被害者は、本件当時、A6生命の本件生命保険に加入していた。本件生命保険には、被害者が死亡した場合に関する2つの特約が付されており、被害者が不慮の事故により死亡した場合には、受取人である被告人に合計1500万円の死亡保険金が支払われることになっていた。 エ 被害者は、同年4月2日の朝、本件車両右前輪が右肩甲部に乗り上げられた状態で発見された。本件車両はボンネットが開いた状態で、後退灯が点灯しており、右後輪付近には旗立てブロックが置かれていた。また、被害者の傍らには懐中電灯が置かれていた。なお、本件現場付近通行車両のドライブレコーダー映像によれば、事件当日の午後8時19分頃には本件現場と国道t 号線の境界付近にあった旗立てブロックのうち1つが、午後8時37分頃にはその場所からなくなっていることが認められる。 オ 被告人は、同月5日、A2社の担当者B14に対し、事故報告と共に本件自動車保険の保険金請求意思を伝え、 てブロックのうち1つが、午後8時37分頃にはその場所からなくなっていることが認められる。 オ 被告人は、同月5日、A2社の担当者B14に対し、事故報告と共に本件自動車保険の保険金請求意思を伝え、保険金は被告人名義の口座に支払うよう依頼し、同月6日、本件事業活動総合保険についても事故報告をした。被告人は、同月28日、A2社の担当者B1に対し、本件自動車保険16及び本件事業活動総合保険に係る保険金請求書をそれぞれ提出して保険金の請求をした。 カ 被告人は、同月7日、A6生命従業員に対し、事故告知書及び保険金請求書等を提出し、本件生命保険の保険金を請求した。同月12日、A6生命から被告人名義の口座に同保険金約1497万円の振込がなされ、被告人は、同月26日、同口座から現金合計1500万円を引き出した。 キ 被告人は、同年8月12日、元妻のB13及び息子のB9に対し、本件自動車保険の保険料は被告人が支払っており、被害者の相続人もそれを知っている、保険金の支払いがあった場合はB9が窓口になって相続人と金額の割合を決めてほしい、一切遠慮なく決めてほしい、保険料を支払っていた方が一番の権利者である、B9に交渉権利を一任する旨のメッセージを送信した。 ⑵ 検討ア まず、被害者発見時の状況に照らすと、犯人は、被害者が使用している本件車両に乗り込んで被害者をれき過した後、被害者が本件車両を点検中に、誤って後退してきた本件車両にひかれたと見えるような外観を作出したと認められる。旗立てブロックについても、本件車両が同ブロックに当たって自然に停止したことを偽装するために、犯人が移動させてきたものと考えるのが自然である。犯人が、単なる恨みから被害者を殺害し、犯行の発覚を防ぐために偽装工作をした可能性も一応考えられるが、あえてこのような手の込んだ とを偽装するために、犯人が移動させてきたものと考えるのが自然である。犯人が、単なる恨みから被害者を殺害し、犯行の発覚を防ぐために偽装工作をした可能性も一応考えられるが、あえてこのような手の込んだ手口で被害者を殺害し、偽装工作を行っていることに加え、被害者親族が、被害者には殺害される原因となるような大きなトラブルは見当たらない旨述べていることも踏まえると、犯人は、保険金の支払を受けるなど、自動車事故への仮装自体から直接的な利益を得る人物であると考える方が合理的である。 イ そして、被告人は、現に本件生命保険の保険金約1500万円を手に入17れているほか、A2社に対して各種保険金の請求をしている。しかも、本件自動車保険については、本来被告人には保険金請求権が帰属しないが、被告人は、B9に対し、相続人に遠慮することなく、本件自動車保険の保険金の分配割合を決めるよう指示しているのである(なお、被告人は、B9らに送ったメッセージは、保険会社に対する相続人の交渉窓口をB9に一任する趣旨にすぎない旨述べるが、メッセージの内容を素直に解釈すれば、被告人が自分にも保険金の分配を受ける権利があることを前提に、相続人との分配割合をB9に交渉させようとしていたことは明らかであり、上記被告人の供述は信用できない。)。 以上のような一連の保険金請求状況や家族とのやりとりに照らせば、被告人が被害者死亡に係る保険金取得について、強い関心を有していたことは明らかである。 ウ 検察官は、被告人が代表取締役を務めるA3社、A1社のいずれも赤字が続いていたことや、被告人が競艇で多額の損失を被っていたことを指摘し、被告人は、多額の現金を欲する状況にあったため、保険金目的で被害者を殺害する動機があった旨主張する。 しかし、A3社もA1社も、各種経費の支払が滞るよう が競艇で多額の損失を被っていたことを指摘し、被告人は、多額の現金を欲する状況にあったため、保険金目的で被害者を殺害する動機があった旨主張する。 しかし、A3社もA1社も、各種経費の支払が滞るような状況にあったとは認められず、金融機関から新たな融資を受けることができる程度の信用はあったと認められる。また、競艇についても、インターネット上で舟券を購入し、履歴が残っている限りでは多額の損失を被っているが、一方で、事件直前の時期にも、被告人は現金で舟券等を購入した際に、複数回多額の払戻しを受けていた旨述べ、これを否定する証拠はない。したがって、被告人が、経済的に困窮した状態にあって、多額の現金を欲していたとまでは認められない。 もっとも、被害者が死亡した場合に支払われる保険金は、総額7000万円以上あったと認められ、そこから被害者遺族が受け取るべき部分を差18し引いたとしても、被告人が高額の保険金を手にする可能性は高かったといえる。そうすると、被告人の経済状態にかかわらず、被告人が高額の保険金獲得を目的として、被害者を殺害する動機を形成したと考えても不自然な点はない。 エ 以上のとおり、本件の犯行態様や被告人による保険金の請求状況等を踏まえると、被告人は、被害者を自動車事故に見せかけて殺害するという犯人像と合致し、かつ、高額の保険金を得るために被害者を殺害する動機を有していたのだと考えても矛盾はないということができる。 6 事件後の被告人の行動⑴ 認定事実関係証拠によれば、以下の事実が認められる。 ア 被告人は、令和3年4月2日午前5時頃、普段よりも早く起床し、普段は自己の洋服を洗濯することはないのに、前日に着ていた服を洗濯した。 イ 被告人は、同月3日、警察官から、被告人の携帯電話機の位置情報が記録されていると伝えられ 前5時頃、普段よりも早く起床し、普段は自己の洋服を洗濯することはないのに、前日に着ていた服を洗濯した。 イ 被告人は、同月3日、警察官から、被告人の携帯電話機の位置情報が記録されていると伝えられると、その日のうちに携帯電話機取扱店に行って、機種変更を申し込み、同月6日、同携帯電話機を下取りに出して処分した。 (なお、検察官は、被告人が、同月2日の朝、A1社事務所から、被害者が事件当日に購入した弁当を上着の腹部内側に隠匿して持ち出し、事務所裏手の川に捨てた事実も主張する。防犯カメラの映像上、被告人が、事務所休憩室から腹部を押さえながら出てきて、川辺方向に向かった後、川を白色様の物体が流れていったことは認められるが、その内容物等は証拠上明らかでない。被害者が事件当日購入した弁当が事務所のゴミから発見されなかったとしても、被告人がこれを持ち出して投棄したと断定するに足りる根拠はなく、検察官の主張する事実は認められない。)⑵ 検討まず、普段自分で洗濯をすることがない被告人が、事件翌日の朝に限って、19前日の服を洗濯していたというのは、不自然な感が否めず、被告人が犯人で、犯行発覚に繋がりかねない何らかの痕跡を消すために洗濯したのではないかと疑わせる事情ではある。一方で、被告人は、腸の調子が悪く、大便を漏らしてしまったために衣服を洗濯した旨述べており、そのような可能性があり得ないともいい難い。 また、携帯電話機の機種変更についても、被告人が犯人で、位置情報を捜査機関に取得され、犯行が発覚するのを恐れたのではないかと疑わせる事情であるが、今後の位置情報が捜査機関に取得され得ることを嫌ったという被告人の説明もそれ自体がおよそ不自然とは言い切れないし、従前の位置情報についても、これを捜査機関に知られたくない理由には、本件への関与以外に 後の位置情報が捜査機関に取得され得ることを嫌ったという被告人の説明もそれ自体がおよそ不自然とは言い切れないし、従前の位置情報についても、これを捜査機関に知られたくない理由には、本件への関与以外にも様々な可能性があり得ることは否定できない。 もっとも、これらの事実を通じてみると、本件が発生した日に限って、被告人が衣服を汚してしまい、そのような場合でも普段は洗濯を内妻に任せるのに、たまたま自分で早朝から洗濯をし、その翌日、警察官から携帯電話機の位置情報が記録されていると伝えられると、急いでその日のうちに機種変更をしに行ったということになるが、短期間のうちに複数の特異な出来事が重なっていて不自然な印象が拭えない。逆に、被告人が犯人であるとすれば、これらの行動を自然に説明することが可能であり、以上の事実は、被告人が本件の犯人であることとよく整合するものということができる。 7 総合評価まず、被害者は、自動車事故に見せかけて殺害されており、本件現場は人気のない空き店舗駐車場であることからすると、被害者と面識のない第三者が、国道を通行中に、偶然被害者を発見して殺害を企図するとは考え難いし、被害者の使用する本件車両を用いて犯行に及んだ上、さらに自動車事故への仮装までするとは到底考えられない。そもそも、勤務中の被害者が、敷地外の本件現場方面に向かう理由は特に見当たらず、事件当日の被害者の行動からしても、20本件現場に赴くこと以外に外出の目的があったとは思われない。このことも踏まえると、犯人は、偶然本件現場にいる被害者を発見したのではなく、予め被害者を本件現場に呼び出していたのだとしか考えられないが、被害者が本件現場に着く直前の時間帯に通話したのは被告人だけであり、しかも被害者は被告人と通話する度に、本件現場に向けてその進行方向を変えている 者を本件現場に呼び出していたのだとしか考えられないが、被害者が本件現場に着く直前の時間帯に通話したのは被告人だけであり、しかも被害者は被告人と通話する度に、本件現場に向けてその進行方向を変えているのであるから、被告人こそが被害者を呼び出し、殺害した犯人であることが強く推認される。 これに加え、本件現場付近で目撃、撮影された車両の特徴が被告人車の特徴と合致し、犯人が現場にいたと思われる時間に、被告人の携帯電話機が本件現場を含む範囲内に位置していたことも、被告人が犯人であることの裏付けとなる事実である。 また、本件の犯行態様からは、犯人は、単なる怨恨から被害者を殺害したのではなく、保険金の支払を受けるなど、自動車事故への仮装自体から直接的な利益を得る人物であると考えられるところ、被告人が被害者の保険金獲得に強い関心を示し、現に保険金の一部を得ていることも本件の犯人像と合致する。 事件後の被告人の行動を見ても、罪証隠滅行為と考えれば自然に説明がつくものであり、被告人が犯人であることと整合するものといえる。 仮に、被告人以外の第三者が犯人であるとすると、保険金殺人が疑われる本件の犯行態様などからして、犯人像に合致する人物は相当程度絞り込まれる上、その第三者は、被害者が本件現場に向かった時間帯に、被害者と全く連絡をとることなく合流し、まさにその時間帯に、たまたま被告人が被害者と複数回通話した上、それとは関係なく、ちょうど通話を終えたタイミングで被害者が本件現場に向けて進行方向を変えるという偶然が重なったことになるが、これだけでもそのような偶然が重なり得るとは俄かには信じ難い。それにとどまらず、被告人が、その第三者が犯行の際に使用したと思われる車と同様の特徴を有する車に乗って、犯行の時間帯にたまたま現場周辺にいたという偶然まで重なった上、事件と るとは俄かには信じ難い。それにとどまらず、被告人が、その第三者が犯行の際に使用したと思われる車と同様の特徴を有する車に乗って、犯行の時間帯にたまたま現場周辺にいたという偶然まで重なった上、事件とは無関係の被告人が、事件後、罪証隠滅行為と捉えられかねない21不審な行動を重ねてしまったというのは、あまりにも不自然な事実経過といわざるを得ない。常識に照らせば、以上のような偶然が全て重なり合うというのは、およそ現実には起こり得ないことというほかない。 以上のとおり、本件において、被告人の犯人性を示す直接的な証拠はないものの、諸情況を総合すれば、被告人以外の第三者が犯人である可能性はおよそ考えられず、被告人が被害者を殺害した犯人であることは優に認定できる。 第4 その他の弁護人の主張1 B8証言に関する主張⑴ 主張の概要弁護人は、本件現場付近通行車両のドライブレコーダー映像を解析したB8証人の証言に基づき、被害者は、被告人が本件現場にいることが不可能な時間帯にも生存していた旨主張し、本件車両から煙が上がっていたとして、被害者が本件車両を点検中に事故で死亡した可能性も主張する。以下、かかる弁護人の主張について、B8証言の信用性を中心に検討をする。 ⑵ B8証言の要旨事件当日、本件現場付近を通過した車両のドライブレコーダー映像を解析した結果、以下の事実が判明した。 まず、午後8時37分頃及び午後8時48分頃の通行車両の映像を、各フレームごとに明晰化処理し、各画像内に本件車両の3Dモデルを配置すると、①本件車両ボンネット上方付近、②フロント部分付近、③助手席ドア付近、④後退灯付近の4か所に光が確認できた(以下順に「光①」ないし「光④」という。)。光①ないし③は、懐中電灯で照らされてできたものであり、光②、③が分断されていること ント部分付近、③助手席ドア付近、④後退灯付近の4か所に光が確認できた(以下順に「光①」ないし「光④」という。)。光①ないし③は、懐中電灯で照らされてできたものであり、光②、③が分断されていることから、間に被害者がいたのだと考えられる。光①は、本件車両ボンネット付近から上がっている煙が照らされたものとしか考えられない。また、警察が行った再現実験(第3の1⑵記載の再現実験)の映像には、事件当日の映像では確認できなかった光源が認められ、再現実験の正22確性に問題がある。 また、午後9時49分頃の通行車両の映像についても同様の処理を施すと、本件車両の右後方付近に懐中電灯の光源があったことが確認でき、被害者が翌朝発見された際の懐中電灯の位置(本件車両右前輪付近)とは異なっている。また、映像上、後退灯や懐中電灯の光が途中で見えなくなる瞬間があり、被害者が生存していて、光を遮った可能性もある。 ⑶ B8証言の信用性ア B8証言の信用性について検討すると、明晰化した画像から導き出された結論には、以下詳細に述べるとおり、種々の問題点を指摘でき、不合理なものといわざるを得ない。 イ まず、光①について、B8証人は煙にしか見えないと断言するが、映像で確認すると、その外観からして煙であるとは考えにくいものというほかない。すなわち、B8証人が本件車両の3Dモデルを配置した画像の中では、光①はボンネット上方付近に位置しているのであるが、前後の映像も合わせて確認すれば、本件車両よりも奥側が照らされて光っていることは一見して明らかである。光①には緑色に光っている部分もあり、光①の形状や本件現場の状況を踏まえると、本件車両よりも奥側にある倉庫及びその周囲の草が光を反射したものである可能性がまず考えられるのに、その可能性を検討した様子はない。 また、B る部分もあり、光①の形状や本件現場の状況を踏まえると、本件車両よりも奥側にある倉庫及びその周囲の草が光を反射したものである可能性がまず考えられるのに、その可能性を検討した様子はない。 また、B8証人は、煙が発生した原因は、本件車両のオーバーヒートであるとも述べる。しかし、B15証人及びB16証人によれば、事件直前と事件直後にそれぞれ本件車両を点検したが、冷却水の漏れなども含め、本件車両には全く異常が認められず、オーバーヒートが発生した痕跡もなかったというのであり、これらの証言の信用性を疑わせる事情はない。また、被害者発見時の映像等からしても、本件車両がオーバーヒートを起こしていたとはいえない。B8証言は、これらの動かし難い証拠と矛盾する23ものであり、説得力に乏しい。 ウ 次に、本件車両の3Dモデルを配置した位置についても看過できない疑問がある。B8証人は、懐中電灯以外に光源がないため、光③は懐中電灯で照らされた光である旨断言し、それを前提に、光②を本件車両フロント部分、光④を後退灯部分に合わせて3Dモデルを配置したと述べる。 しかし、ドライブレコーダーの映像上、同ドライブレコーダー搭載車の前照灯の光が、本件現場内にも届いていることは明らかであって、光③が同前照灯の光を反射したものである可能性も考えられ得るにもかかわらず、懐中電灯で照らされた光であると断定する根拠は薄弱である。また、B8証人は、光③が、ドライブレコーダー搭載車の前進に伴って、光②と光③の間の人影様のものに向かって動き、それに隠れて消えることを根拠に、光③は懐中電灯で照らされたもので、被害者の影に入って見えなくなったのだとも証言する。しかし、仮にB8証人の述べるとおりであるとすると、ドライブレコーダー搭載車の前進に伴い、光③は、もともと被害者により遮られて で照らされたもので、被害者の影に入って見えなくなったのだとも証言する。しかし、仮にB8証人の述べるとおりであるとすると、ドライブレコーダー搭載車の前進に伴い、光③は、もともと被害者により遮られていた部分が見えるようになって大きくなるはずであるし、その位置自体は変わらないはずである。B8証人は、光③が間違いなく懐中電灯で照らされたものであると考えたことについて、合理的な根拠を示すことができているとはいえない。 また、3Dモデルの配置について、B8証人は、光②及び光④の2点を基準に配置したと述べるが、B8証人自身認めるとおり、2点のみでは、本件車両の向きや、ドライブレコーダー搭載車からの距離なども含めて正確に3Dモデルを配置することは不可能である。 エ B8証人は、警察が行った再現実験の正確性にも疑問を呈しているが、B7証人は、本件車両の下に板を敷くなどして、本件車両の傾きを再現したと述べており、懐中電灯の間近にあった被害者の遺体の状態までは再現していないのであるから、本件現場内の光の見え方が事件当日とは異なっ24たとしても不自然ではない。そもそも、警察が行った再現実験は、本件車両の位置が変化しているかを明らかにするために行われたものであり、本件現場内の光の見え方を再現したものではなく、B8証人の指摘は当を得ない。 オ 午後9時49分頃のドライブレコーダー映像について、B8証人は、本件車両の右後方付近の光の位置に懐中電灯があったと断定するが、本件車両右前輪付近に置かれた懐中電灯の光が本件車両の影から漏れて見えているとしても矛盾するものではなく、そのような断定をするに足りる根拠を示せていない。また、この3Dモデルも2つの後退灯の位置のみを基準として配置されているが、その正確性に疑問があることはすでに述べたとおりである。加えて、 ではなく、そのような断定をするに足りる根拠を示せていない。また、この3Dモデルも2つの後退灯の位置のみを基準として配置されているが、その正確性に疑問があることはすでに述べたとおりである。加えて、被害者がすでに死亡していたことが明らかな翌朝午前6時前後において、通行車両のドライブレコーダー映像上、本件車両の後退灯が看板の支柱で遮られて一時的に見えなくなることが確認でき、午後9時49分頃の映像において、後退灯やその脇の光が途中で遮られたとしても、被害者が生存していた可能性を示すものとはいい難い。 ⑷ 小括以上のとおり、B8証人は、映像解析の結果として様々な指摘をするが、いずれの推論過程にも不合理な点が多々見受けられ、B8証言は信用性に欠けるといわざるを得ない。同証言に依拠して、事件当日、本件車両が故障しており、かつ、被害者が午後8時37分以降も生存していた現実的可能性が生じているとは到底いえず、弁護人の主張は採用できない。 2 保険金殺人としての不自然さに関する主張弁護人は、本件現場付近は車両の往来が多く、保険金殺人を行うには適当でない場所であること、犯行可能時間が5分から7分程度しかないというのは短すぎること、本件車両の後退灯や懐中電灯を点灯させたままにしておくと、被害者の死亡前に第三者に発見されるリスクがあることなどを指摘し、本件が保25険金殺人事件であるとすると不自然である旨主張する。 しかし、本件事業活動総合保険の保険金も得ようとするのであれば、業務中の自動車事故を装って被害者を殺害する必要があるから、自ずからA1社事務所周辺を犯行場所に選ばざるを得ず、その中で普段人が立ち寄ることがない本件現場を選択することは十分に考えられる。車両の往来があったとしても、本件現場には街灯がなく、被害者が本件車両の下敷きになっている 周辺を犯行場所に選ばざるを得ず、その中で普段人が立ち寄ることがない本件現場を選択することは十分に考えられる。車両の往来があったとしても、本件現場には街灯がなく、被害者が本件車両の下敷きになっていることには気づかれない可能性が高いから、本件現場で犯行に及んでも不自然ではない。また、本件の犯行を、結果的に5分から7分程度で完了することも不可能とはいえないし、本件を自動車事故に仮装する必要があるのであるから、後退灯や懐中電灯を点灯させたままにしておくことが不自然ともいえない。 したがって、弁護人の主張を踏まえても、本件が保険金殺人事件だとすると不自然であるとはいえず、事件性及び犯人性の結論に疑問は生じない。 第5 事件当日の行動に関する被告人供述1 供述要旨事件当日、A3社の事務所を出て、午後7時40分頃、ガソリンスタンドで給油した後、A11店に行った。同店において、ATMでお金を下ろそうとしたが、財布を忘れたことに気が付き、一度A3社事務所に戻った。事務所において、午後7時59分頃、被害者と一度通話し、新車のトラック2台が来たから、特に注意して見回りなどをするように伝えたところ、被害者から、本件車両の調子が悪く、見回りがてら少し走行してみると言われた。事務所を出た後は、途中から国道x 号線を通って、v インターに向かった。本件現場のある国道t 号線の方には絶対に行っていない。v インターに向かう道中で、被害者と2回通話した。1つは午後8時13分頃に被害者からかかってきたものであり、見回りに異常はなかったが、本件車両の調子がやはり悪かったということを伝えられた。もう1つは、午後8時20分頃に被告人からかけたものであり、本件車両の調子が悪いなら、それ以上走行しても仕方がないから、明日の朝検査26をしてみて、結果が悪ければ廃車にし いうことを伝えられた。もう1つは、午後8時20分頃に被告人からかけたものであり、本件車両の調子が悪いなら、それ以上走行しても仕方がないから、明日の朝検査26をしてみて、結果が悪ければ廃車にし、その場合には被告人車を被害者にあげると伝えた。 2 信用性被告人の述べる事件当日の行動は、それ自体不自然とはいえない内容であり、また、午後8時20分頃の通話時に被告人の携帯電話機が位置していたと認められる範囲には、v インターに向かう途中の国道x 号線の一部区間も含まれているから、被告人供述はこれと矛盾するものでもない。 しかし、被害者との通話内容は、前述したとおり、本件車両には客観的に異常が認められないなど前提に疑問が残るし、仮に、被害者とのやり取りの内容が被告人の述べるとおりであったとすると、最後の通話の後、被害者が、事務所に帰らずにUターンして、本件現場方面に向かったことの説明がつかない。 したがって、事件当日の行動に関する被告人供述は信用できない。 第6 結論以上のとおり、弁護人の主張や被告人の供述を踏まえても、本件の事件性及び被告人の犯人性に合理的な疑いは生じず、前記結論は揺らがない。したがって、殺人事件について、①被害者が何者かによって殺害され、かつ②その犯人が被告人であることが認められ、詐欺未遂、詐欺事件についても、詐欺の実行行為性及び故意が認められる。 よって、被告人には殺人罪、詐欺未遂罪及び詐欺罪が成立する。 そして、被告人が殺人事件の犯人であると認められることを前提に検討すると、本件現場付近の防犯カメラに、本件現場に向かって走行し、あるいは本件現場から離れる様子が映っていた2台のエヌボックス様の車両(第3の3⑵記載のもの)は、いずれも被告人が運転するエヌボックスであったと認められる。 そのため、殺人事件の犯行時 かって走行し、あるいは本件現場から離れる様子が映っていた2台のエヌボックス様の車両(第3の3⑵記載のもの)は、いずれも被告人が運転するエヌボックスであったと認められる。 そのため、殺人事件の犯行時刻は、被告人車が本件現場から離れる様子が映された午後8時30分頃までと認定できる。 【確定裁判】27省略【法令の適用】省略【量刑の理由】本件は、被告人が、保険代理店業を営む立場にありながら、その知識を悪用し、叔父である被害者を自動車でれき過して、自動車事故に見せかけて殺害した上、保険会社から保険金をだまし取るなどした事案である。 被告人は犯行を否認しており、犯意の発生時期は不明であるが、遅くとも被害者を現場に呼び出す前には、業務中に自動車事故で死亡したように見せかけて被害者を殺害するため、犯行場所、殺害方法、アリバイ工作などの計画を立てていたと認められる。その上で、被告人は、被害者を自動車で複数回れき過するだけでなく、さらに前輪の下敷きにして立ち去っており、これは被害者が逃げられないようにして、確実に自動車で押し潰して殺害しようとしたものと考えられる。被告人は、計画的に犯行を進め、強固な殺意に基づいて被害者を殺害したものであり、被害者の命を一顧だにしない残忍で冷酷な犯行といえる。 被害者は、全身に多数の骨折を負った上、自動車に押し潰されながら亡くなっており、その肉体的、精神的苦痛には想像を絶するものがある。何より、被害者がその生命を奪われたという結果は極めて重大であって、厳しい処罰感情を示す被害者遺族がいるのも当然である。また、保険会社に対する詐欺の被害金額も、約1500万円と相当高額である。 被告人の詳細な動機は不明であるが、何の落ち度もない被害者を犠牲にして高額の保険金を得ようとしたものであり、冷酷非道な動機に酌 、保険会社に対する詐欺の被害金額も、約1500万円と相当高額である。 被告人の詳細な動機は不明であるが、何の落ち度もない被害者を犠牲にして高額の保険金を得ようとしたものであり、冷酷非道な動機に酌むべき点はなく、その意思決定は厳しい非難に値する。 さらに、被告人は、犯行後も犯行発覚を防ぐために罪証隠滅行為に及び、当公判廷でも犯行を否認して不合理な弁解に終始していたものであって、反省の態度はみられない。 28以上によれば、被告人の刑事責任は極めて重大である。被告人には、前記確定裁判を除いて前科がなく、本件以前は会社を経営して親族を支えており、逆に今後は親族が被告人の支えとなり得ることなどの事情もあるが、これらを踏まえても、本件において有期懲役刑を選択すべき事情はなく、被告人を無期懲役に処することはやむを得ないと判断した。 (求刑 無期懲役)令和6年7月5日福岡地方裁判所第4刑事部 裁判長裁判官 鈴 嶋 晋 一 裁判官 田野井 蔵 人 裁判官 中 元 隆 太

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