平成2(オ)1455 土地持分移転登記抹消登記、土地建物持分移転登記抹消登記等

裁判年月日・裁判所
平成6年3月8日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所 平成1(ネ)3379
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判決文本文2,626 文字)

主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人らの負担とする。 理由 上告代理人斎藤尚志、同浅野晋の上告理由第四について原審の適法に確定したところによれば、上告人両名はD(台湾出身)とEとの間に出生した子であるが、昭和五三年五月三一日Dが死亡したことにより、一審判決別紙物件目録(一)~(八)の土地建物(以下「本件不動産」という。)につき各一六分の一の持分を相続によって取得し、Eは昭和六〇年六月一五日、上告人らの親権者として右相続に係る持分の全部を二〇〇〇万円で被上告人に売り渡し、前記目録(一)~(六)の土地建物につき上告人らから被上告人へ持分移転登記がされたものであるところ、本件は、上告人らが本件売買契約の無効を主張して右持分移転登記の抹消登記手続を請求するものである。 論旨は、本件はDの相続財産の移転に関する問題であるから、その適用法規は、法例(平成元年法律第二七号による改正前のもの。以下、同じ。)二五条により、同人の出身地に施行されている民法であり、原審が、これを法例一〇条により、本件不動産の所在地法である日本法としたのは誤りである、というのである。すなわち、上告人らは、右民法によれば、分割前の遺産は「公同共有」とされ、公同共有物の処分については公同共有者全員の同意を得ることを要するから、これに違反した本件売買契約は無効である、と主張する。 しかしながら、本件においては、Dの相続人である上告人らが、その相続に係る持分について、第三者である被上告人に対してした処分に権利移転(物権変動)の効果が生ずるかどうかということが問題となっているのであるから、右の問題に適用されるべき法律は、法例一〇条二項により、その原因である事実の完成した当時- 1 -における目的物の所在地法、すなわち 効果が生ずるかどうかということが問題となっているのであるから、右の問題に適用されるべき法律は、法例一〇条二項により、その原因である事実の完成した当時- 1 -における目的物の所在地法、すなわち本件不動産の所在地法である日本法というべきである。もっとも、その前提として、上告人らが共同相続した本件不動産に係る法律関係がどうなるか(それが共有になるかどうか)、上告人らが遺産分割前に相続に係る本件不動産の持分の処分をすることができるかどうかなどは、相続の効果に属するものとして、法例二五条により、D(被相続人)の出身地に施行されている民法によるべきである。 これを本件についてみるのに、右民法の一一五一条は、相続人が数人あるときは、遺産の分割前にあっては、遺産の全部は各相続人の公同共有とする旨規定しているところ、右規定にいう「公同共有」とは、いわゆる合有に当たるものと解される。 そして、同法八二八条一項は、公同共有者の権利義務は、その公同関係を規定する法律又は契約によってこれを定めるものとし、同条二項は、前項の法律又は契約に別段の定めがある場合を除く外、公同共有物の処分その他の権利の行使については、公同共有者全員の同意を経ることを要する旨規定している。したがって、本件の場合、相続の準拠法によれば、本件不動産は共同相続人の合有に属し、上告人らは、遺産の分割前においては、共同相続人全員の同意がなければ、相続に係る本件不動産の持分を処分することができないというべきところ、右持分の処分(本件売買)がDの遺産の分割前にされたものであり、かつ、右処分につき共同相続人全員の同意を得ていないことは、原審の確定した事実からうかがうことができる。 そうすると、上告人らが相続準拠法上の規定を遵守しないで相続財産の持分の処分をしたとすれば、その処分(本件売買)に権利 人全員の同意を得ていないことは、原審の確定した事実からうかがうことができる。 そうすると、上告人らが相続準拠法上の規定を遵守しないで相続財産の持分の処分をしたとすれば、その処分(本件売買)に権利移転(物権変動)の効果が生ずるかどうかが次に問題となるが、前示のとおり、この点は日本法によって判断されるべきところ、日本法上は、右のような処分も、処分の相手方である第三者との関係では有効であり、処分の相手方は有効に権利を取得するものと解するのが相当である。けだし、相続の準拠法上、相続財産がいわゆる合有とされ、相続人が遺産分割- 2 -前に個別の財産の相続持分を単独で処分することができないとされているとしても、日本法上、そのような相続財産の合有状態ないし相続人の処分の制限を公示する方法はなく、一方、日本法上、共同相続人が分割前の遺産を共同所有する法律関係は、基本的には民法二四九条以下に規定する共有としての性質を有するものとされ(最高裁昭和二八年(オ)第一六三号同三〇年五月三一日第三小法廷判決・民集九巻六号七九三頁参照)、共同相続人の一人から遺産を構成する特定不動産について同人の有する共有持分権を譲り受けた第三者は、適法にその権利を取得することができるものとされているのであって(最高裁昭和三五年(オ)第一一九七号同三八年二月二二日第二小法廷判決・民集一七巻一号二三五頁参照)、我が国に所在する不動産について、前記のような相続準拠法上の規定を遵守しないでされた処分を無効とするときは、著しく取引の安全を害することとなるからである。 以上によれば、本件売買契約がDの共同相続人全員の同意を得ることなく締結されたとしても、物権の移転に関する準拠法である日本法によれば、右契約による権利移転の効果が認められるものというべきである。そうすると、原審のした準拠法 がDの共同相続人全員の同意を得ることなく締結されたとしても、物権の移転に関する準拠法である日本法によれば、右契約による権利移転の効果が認められるものというべきである。そうすると、原審のした準拠法の選択については誤った点があるが、その結論は是認することができる。論旨は採用することができない。 その余の上告理由について所論は、原判決を正解しないで、又は原審で主張しなかった事由に基づいて原判決を非難するものにすぎず、採用することができない。 よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 裁判長裁判官大野正男裁判官園部逸夫裁判官可部恒雄- 3 -裁判官千種秀夫- 4 -

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