【DRY-RUN】主 文 本件各控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事 実 一、 控訴代理人は、原判決を取消す、被控訴人の請求はこれを棄却する、訴訟
主文 本件各控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実 一、 控訴代理人は、原判決を取消す、被控訴人の請求はこれを棄却する、訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする、との判決を求め、被控訴代理人は、控訴棄却の判決を求めた。 二、 当事者双方の事実上の陳述及び証拠関係は、以下(1)(2)のとおり付加するほか、原判決事実摘示記載のとおりであるから、これを引用する。 (1) 被控訴代理人は、「本件土地は、大正一一年中訴外亡Aから私立山梨盲唖学校設立者訴外亡Bに対し同校の敷地として贈与され、同年一二月一〇日右B死亡による家督相続の結果訴外Cの所有に帰したものである。被控訴人従来の主張中これに反する部分は右の如く訂正する。訴外D、E、Fら三名の本件土地所有権取得登記は、通謀虚偽表示に基づくものではなく、右三名が学校管理者たる地位を利用し、C、Gら学校職員に無断でこれを経由したにすぎない。仮りに虚偽表示であつても、亡Hは、永年宅地建物取引業に従事しており、しかも本件土地から二〇メートルと離れない処に居住していた者であるから、本件土地が真実前記Dら三名の共有に属するものでないことは、右共有持分譲受当時十分知悉していたのであつて、いわゆる善意の第三者にあたらない。また、被控訴人は、訴外Cの特定承継人であつて、包括承継人ではないから、仮りに亡Hが善意の第三者であつてもこれに対し虚偽表示の無効を対抗できるものと解すべきである。控訴人らの贈与、譲渡担保に関する主張は、いずれも否認する。」旨陳述し、控訴人代理人は「訴外亡Aは、大正一一年頃その所有にかかる本件土地を訴外Bに贈与し、その家督相続人訴外Cにおいて家督相続により右土地所有権を取得したものである。而して、同訴外人は大正一三年頃 し、控訴人代理人は「訴外亡Aは、大正一一年頃その所有にかかる本件土地を訴外Bに贈与し、その家督相続人訴外Cにおいて家督相続により右土地所有権を取得したものである。而して、同訴外人は大正一三年頃訴外Iに請負わせて右土地上に校舎を建築し、私立盲唖学校を経営していたが、右建築費等の負債のため校舎につき抵当権実行による競売申立を受ける事態に立到つたので、同一四年七月中校主であつた前記C及び校長であつた訴外Gの両名において、学校顧問であつた訴外D、E、Fの三名から、右負債弁済の資金を借入れると共に右借入金の弁済担保の目的を以て、右三名に本件土地のほか前記校舎、電話加入権等を譲渡したものであつて、譲渡を受けた右三名は担保権者として本件土地を処分してその代金を前記借入金の弁済に充当し得べき約であつた。もつとも、当時本件土地の登記名義人は依然前記Aとなつていたから、右譲渡については前記C承諾のもとに、右謹之助から前記Dら三名に対しいわゆる中間省略による所有権移転登記がなされた次第である。それ故本件土地所有権は譲渡担保の目的で内外とも前記Dら三名に移転したものであつて、以後訴外Cにおいてこれを使用貸借契約に基づき使用していたにすぎない。而して同訴外人が前記借入金債務を弁済しないで推移するうち本件土地の登記簿は戦災により焼失したので、前記D、E、Fの各家督相続人である訴外J、E、Fの三名において、昭和三〇年九月一日改めて保存登記をした上、右J、Fの両名から亡Hに対し共有持分権を譲渡し、同三一年二月一一日その旨移転登記を経由したものである。 被控訴人は昭和一七年中訴外Cから本件土地の贈与を受けたと主張するが、仮りにその事実があつても、そのの登記がないから、これを以て控訴人らに対抗し得ない。 また、仮りに、訴外Aから訴外Dら三名に対する本件土地譲渡が 七年中訴外Cから本件土地の贈与を受けたと主張するが、仮りにその事実があつても、そのの登記がないから、これを以て控訴人らに対抗し得ない。 また、仮りに、訴外Aから訴外Dら三名に対する本件土地譲渡がいわゆる通謀虚偽表示として無効であつても、控訴人K、同L、同Mら三名の先代亡Hは、全く善意で前記持分譲渡を受けたものであるから、その無効はこれを以て右控訴人三名に対抗し得ない。」と述べた。 (2) 被控訴代理人は、甲第四八号証、同第四九、五〇号証の各一、二、同第五一ないし第六〇号証、同第六一号証の一、二を提出し、当審証人C、G(いずれも第一、二回)、N、O、Pの各証言を援用し、乙第三四号証、同第八号証、同第一四号証、同第一五号証の一、二の成立を(乙第一四号証は原本の存在成立をも)認め、同第五号証の一中登記官署作成部分の成立は認めるが、G関係部分は否認、Q部分は不知、同第六号証及び同第一〇号証中いずれも登記官署作成部分の成立を認めるが、その余の部分は否認、同第七号証中C関係部分の成立を認めるが、その余の部分は否認、同第五号証の二の一、二、同第九号証、同第一二号証、同第一三号証の一及び同号証の二の一、二はいずれも不知、同第一一号証中登記官署作成部分の成立を認め、G関係部分は否認、R関係部分は不知と答え、なお、乙第一四号証表示の印鑑届出人Gの住所は、同人の真の住所と異なるのみならず実際上も公簿上も存在しない地番であつて、このことは右印鑑届はGによつてなされたものではなく、印鑑も同人の印章によるものでない旨陳述した。 控訴代理人は、乙第三、四号証、同第五号証の一、二、三、同第六ないし第一二号証、同第一三号証の一及び二の一、二、同第一四号証、同第一五号証の一、二を提出し、乙第二(原審提出)、第六、第七、第一〇号証のG名下の各印影はすべて同一印章によ 証の一、二、三、同第六ないし第一二号証、同第一三号証の一及び二の一、二、同第一四号証、同第一五号証の一、二を提出し、乙第二(原審提出)、第六、第七、第一〇号証のG名下の各印影はすべて同一印章によつて顕出されたものであると述べ、当審証人C、G(いずれも第二回)、F、Sの各証言を援用し、甲第四八ないし第六一号(ただし、同第四九、五〇、六一号証は各一、二)の成立を認めた。 理由 一、本件土地がもと訴外Aの所有であつたこと及び同訴外人が大正一一年頃これを訴外Bに贈与し、訴外Cが同年一二月一〇日(この日時は控訴人らの明らかに争わないところである。)家督相続により右土地所有権を取得したことは、いずれも当事者間に争いがない。 而して、原審証人Cの証言及び弁論の全趣旨によりいずれも真正に成立したと認める甲第三号証、同第四号証の一ないし四、同第五号証、原審証人Tの証言によりいずれも真正に成立したと認める同第一一号証の一、二、同第一三号証の一ないし五、原審証人Uの証言によりいずれも真正に成立したと認める同第一六号証の一、二、原審並びに当審(第一、二回)証人C、同G、原審証人V、同T、同Wの証言の各一部をそう合すると、前記訴外Cは大正一三年頃本件土地上に校舎を建築し、前記Bから継続した私立盲唖学校を経営していたが、昭和六年四月同校は山梨県立代用盲唖学校に指定され、次いで昭和一七年度から山梨県に移管され同県立山梨盲唖学校として運営されることになつたので、同年二月前記Cから被控訴人山梨県に対し学校敷地である本件土地及び校舎を含む学校設備一切の寄附を申入れたこと及び被控訴人山梨県は同年三月一六日県参事会の議決を経て右寄附申入を採納したことを認め得べく、以来本件土地が山梨県立盲唖学校、同県立中央児童相談所一時保護所等の各敷地として使用 の寄附を申入れたこと及び被控訴人山梨県は同年三月一六日県参事会の議決を経て右寄附申入を採納したことを認め得べく、以来本件土地が山梨県立盲唖学校、同県立中央児童相談所一時保護所等の各敷地として使用されて今日に至つたことは当事者間に争いのないところである。 二、ところで控訴人らは、本件土地は右寄附以前である大正一四年七月中訴外Cから訴外D、同E、同Fの三名に対し譲渡担保の目的で譲渡された結果右三名の共有に帰したと抗争するが、この点に関する当裁判所の判断は次のとおりである。 (1) 登記官署作成部分の成立に争いなく、その他の部分も原審並びに当審証人Sの証言の一部により真正に成立したと認める乙第一号証、C関係部分の成立に争いなくその余の部分も乙第一四号証(その成立及び原本の存在成立につき争いがない)に照らし真正に成立したと認める乙第七号証並びに本件弁論の全趣旨<要旨>によると、訴外Cは、本件土地上に前記校舎を建築した後右工事請負報酬金の支払ができないため請負人</要旨>から右校舎につき競売申立を受け窮境に陥ちたので大正一四年七月中、当時の校長Gと共に、訴外D、同E、同Fの三名に対し、同校財産管理を委託し、その管理の方法として、(イ)同校校舎の敷地である本件土地は、右三名において同校財産管理人名義で所有権を取得しておくこと、(ロ)C名義の電話加入権は右三名協議の上処分し、その代金を同校借用金の弁済に充てること、(ハ)同校負債整理のため管理人たる右三名において立替支出した金員又は右三名名義で他から借入れた金員については、宮内省御下賜金年額三〇〇円を、大正一五年度分以降毎年右三名に引渡し、右三名において逐次これら立替金又は借用金の弁済に充当すること、(二)同校に対する寄附金及び同校後援会からの収入金その他臨時収入金は、すべて右三名に引渡し、右三 正一五年度分以降毎年右三名に引渡し、右三名において逐次これら立替金又は借用金の弁済に充当すること、(二)同校に対する寄附金及び同校後援会からの収入金その他臨時収入金は、すべて右三名に引渡し、右三名においてこれを前記負債弁済に充当すること、(ホ)右三名が同校維持のための費用を他から借入れ若しくは公租公課その他立替金支弁のため必要があるときには、右三名名義となつている本件土地その他を処分し、その売上金の内から差引計算をしても異議がないこと、を約定し、右約定に基づき同年同月六日、前記C承諾のもとに、訴外Aから前記Dら三名にいわゆる中間省略による所有権移転登記が行われたことを肯認することができる。 前顕証人C、同Gの各証言中以上の認定に反する部分は、前示各証拠と対比してたやすく信用し難く、成立に争いのない甲第五七ないし第六〇号証、同第六一号証を以てしても右認定を左右するに十分でない。 (2) 而して、控訴人らは、前段認定の約定を以ていわゆる譲渡担保の目的にいでた所有権移転であると主張するのであるが、右約定の内容を仔細に検討すると右約定はいわゆる譲渡担保契約ではなく、むしろ私立山梨盲唖学校を受益者とする信託法上の信託契約の性質を有するものと解するのが相当である。 何故ならば、いわゆる譲渡担保契約が締結されるのは主として債権者の利益のためであるところ、前示約定によれば、前記Dら三名に対し本件土地の所有権を保有させるのは、山梨盲唖学校の財産管理人としてであることが明定されて居るのみならず(前示(イ)参照)、同人らにおいてこれを処分できる場合を、同校維持のため管理人の立場で自ら借入れた金員の弁済公租公課の支出、立替金の回収等のため必要を生じた場合に限定しているのは(前示(木)参照)、信託法三六条一項が定めている受託者の売却権に相当する定めをなし のため管理人の立場で自ら借入れた金員の弁済公租公課の支出、立替金の回収等のため必要を生じた場合に限定しているのは(前示(木)参照)、信託法三六条一項が定めている受託者の売却権に相当する定めをなしたものにほかならないと認められるからである。 それ故、控訴人らの譲渡担保契約成立の主張は到底これを採用し得ない。 (3) もつとも、右約定が信託法上の信託契約にあたるとしても、所有権が受託者たる前記Dら三名に移転すべきことに変りはない。 しかし、弁論の全趣旨から見て、右三名のうち訴外Dは成立に争いない甲第三九号証記載のとおり昭和一五年五月七日、訴外Eは成立に争いない同第四〇号証記載のとおり昭和八年八月一五日、訴外Fは成立に争いない同第三八号証記載のとおり昭和三年四月一八日、それぞれ死亡したこと当事者間に争いないものと認められる本件においては、たとえ控訴人らが右信託契約の成立に基づく所有権取得の主張をしたとしても(信託の登記がなくても、控訴人らからこれを主張することを妨げない。)結局これを採用するに由なきものといわざるを得ない。けだし、右信託関係は、共同受託者三名の内最後の一人である前記訴外Dの死亡により、昭和一五年五月七日限り終了し、信託財産たる本件土地は委託者訴外Cに復帰したものであつて、控訴人ら主張の如く前記Dら三名の各相続人においてそれぞれ本件土地共有持分を相続する余地は存しないからである(信託法二四条、四二条、五〇条、五六条参照。)。 三、 なお、控訴人らは、訴外Aと同Dら三名との間の土地売買が通謀虚偽表示として無効であるとしても、その無効は善意の第三者である訴外亡高橋時次郎の相続人(控訴人K、同L、同M)にはこれを対抗できないと抗弁するけれども、被控訴人は右訴外人間に土地売買があつたことは勿論それが虚偽表示として無効であること 効は善意の第三者である訴外亡高橋時次郎の相続人(控訴人K、同L、同M)にはこれを対抗できないと抗弁するけれども、被控訴人は右訴外人間に土地売買があつたことは勿論それが虚偽表示として無効であることを主張してはいないのみならず、前認定の事実関係によれば、訴外Aと同Dら三名との間においては、前認定の約定(前記二の(1)参照)に伴い、いわゆる中間省略の登記手続が行われたにすぎず、通謀虚偽表示による売買が行われたわけではないこと明らかであるから、右抗弁は採用の限りでない。 四、 また、控訴人らは、被控訴人が仮に訴外Cの寄付を採納して本件土地の所有権を取得したとしても、その旨の登記を経ていないから控訴人らに対抗できない旨抗弁するけれども、訴外Dら三名に対し控訴人ら主張の如き譲渡担保の目的を以てする所有権移転が行われたものとは認め難く、また前認定の約定に基づき山梨盲唖学校財産管理人として右三名らの保有した本件土地所有権は右三名の相続人において相続する余地のないものであること前説示のとおりである以上、控訴人らがその主張の如き経緯により本件土地の共有持分権を有するという控訴人らの主張は、爾余の判断をまつまでもなく失当であることが明らかであつて、控訴人らは被控訴人の登記欠缺を主張し得べき正当な利益を有しないから、右抗弁もまた理由がない。 五、 然るに、前記Dら三名名義の所有権取得登記を登載した登記簿が火災により焼失した後、昭和三〇年九月一日右三名の各家督相続人である訴外J、控訴人E、訴外Fの三名が改めて本件土地につき共有名義の所有権保存登記をなし、次いで右J及びFの両名が訴外亡Hに対し各持分三分の一宛の移転登記手続をしたこと及び右Hは昭和三六年六月二一日死亡したので、妻である控訴人K、子である控訴人L、同Mの三名においてこれを相続したことは、いずれも 及びFの両名が訴外亡Hに対し各持分三分の一宛の移転登記手続をしたこと及び右Hは昭和三六年六月二一日死亡したので、妻である控訴人K、子である控訴人L、同Mの三名においてこれを相続したことは、いずれも当事者間に争いなく、本件各控訴人らいずれも被控訴人の本件土地所有権を争うことは本件弁論の全趣旨により明らかである。 六、然らば、控訴人らに対し、本件土地が被控訴人の所有なることの確認及び被控訴人の本件土地所有権取得後登記手続に協力すべきことを求めるに帰する被控訴人の本訴請求は、いずれも正当として認容すべきであつて、これと同旨にいてた原判決は相当である。 よつて、本件各控訴はこれを棄却すべきものとし、控訴費用につき民訴九五条、九三条、八九条を適用し、主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官菊地庚子三裁判官川添利起裁判官山田忠治)
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