主文 1 被告らは,原告Aに対し,連帯して,2567万5250円及びこれに対する平成22年5月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告らは,原告Bに対し,連帯して,2519万2082円及びこれに対する平成22年5月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は,これを5分し,その2を原告らの,その余を被告らの負担とする。 5 この判決は,第1項及び第2項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 被告らは,原告Aに対し,連帯して,4385万3118円及びこれに対する平成22年5月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告らは,原告Bに対し,連帯して,4200万2359円及びこれに対する平成22年5月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の概要本件は,被告延岡市が設立運営し,被告宮崎県が教諭の採用及び給与の負担をしている延岡市立C小学校の4年生に在籍していたD(以下「亡D」という。)が,同校の校外学習として行われた健康施設ヘルストピア延岡内の流水プールにおける遊泳に参加した際に,同プール内で溺水(以下「本件事故」という。)し,その後死亡したため,亡Dの父母である原告らが,引率教諭らが遊泳中の生徒に対する安全確認義務を怠ったなどとして,被告延岡市に対して国家賠償法1条1項に基づき,被告宮崎県に対して国家賠償法3条1項に基づき,それぞれ損害賠償金及びこれに対する本件事故の日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 争いのない事 き,被告宮崎県に対して国家賠償法3条1項に基づき,それぞれ損害賠償金及びこれに対する本件事故の日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 争いのない事実等(以下の事実は,当事者間に争いがないか,掲記の証拠により,容易に認定することができる。) 当事者等ア原告A及び原告B(以下原告Bと原告Aと併せて「原告ら」という。)は,亡D(平成13年3月10日生まれ。平成25年10月30日死亡。)の父母である。 イ亡Dは,本件事故当時,C小学校の4年1組の児童であった。 ウ被告延岡市は,C小学校及び延岡市教育委員会の設置者である。 エ被告宮崎県は,C小学校の教諭を採用し,その給与等を負担している。 オ以下の4名は,本件事故当時,C小学校の教諭であった。 訴外E(以下「E教諭」という。)同F(以下「F教諭」という。)同G(以下「G教諭」という。)同H(以下「H教諭」といい,上記4名を併せて,以下「担当教諭ら」という。)カ E教諭はC小学校4年の学年主任兼4年2組の担任教師,F教諭は同4年1組の担任教師(亡Dの担任教師),G教諭は同4年3組の担任教師,H教諭は新規採用の指導教諭であった。 キ本件事故当時,C小学校の校長は,I(以下「I校長」という。)であり,同人は,学校事務の実施に際し各教職員を指導監督する立場にあった。 本件事故当時,延岡市教育委員会の教育長は,J(以下「J教育長」という。)であり,同人は,教育委員会の学校事務に関する基本方針を受けて,具体的な学校事務の管理執行に関して延岡市内の各学校を指導監督する立場にあった。 本件事故等についてア C小学校は,平成22年5月14日,学校行事の 事務に関する基本方針を受けて,具体的な学校事務の管理執行に関して延岡市内の各学校を指導監督する立場にあった。 本件事故等についてア C小学校は,平成22年5月14日,学校行事の一環として,宮崎県延岡市(以下「延岡市」という。)内の長浜海岸や妙田緑地公園へ遠足をした後,同市内に所在する健康施設ヘルストピア延岡(以下「ヘルストピア」という。)において遊泳をする校外学習(以下「本件校外学習」という。)を行うことを予定し,同年4月頃,E教諭及びF教諭は,本件校外学習の計画を立て,E教諭が事案協議書を作成した。 イ上記事案協議書は,教務主任,教頭,I校長の順序で決裁がされたものであるところ,同書面には,ヘルストピアでの遊泳に関し,具体的な監視体制についての記載はなく,児童の泳力調査や事前の現場調査も予定されていなかった。しかし,I校長を含む上記3名は,上記事項に関する指摘や指導をせず,本件校外学習までの間に,上記泳力調査や事前の現場調査が実施されることはなかった。 ウ本件校外学習は,平成22年5月14日,予定通り実施された。 児童らは,同日,昼食後にヘルストピアへ移動し,午後零時50分頃から児童97名が一斉に同所に設置された流水プールで泳ぎ始めた。この際,E教諭はプールサイドから,F教諭及びG教諭はプール内に入って,H教諭はプール外のガラスを隔てた場所から,それぞれ児童を監視した。その約10分後,新たに,延岡市立K小学校の児童139名がプールに入ってきた。E教諭らは,同日午後1時30分過ぎ,C小学校の児童に対してプールから上がるよう指示し(この際,点呼は取らなかった。),その後に,亡Dは浮輪が外れてE教諭らの前を流されていったが,E教諭らは気付かなかった。亡Dが浮輪が外れて流され始めてから約5分後 してプールから上がるよう指示し(この際,点呼は取らなかった。),その後に,亡Dは浮輪が外れてE教諭らの前を流されていったが,E教諭らは気付かなかった。亡Dが浮輪が外れて流され始めてから約5分後に,ヘルストピアの監視員は,溺水してプールで流されている亡Dを発見してプールサイドに引き上げたが,既に心肺停止状態であった。F教諭が亡Dに対して蘇生措置を採ったが,意識は戻らず,亡Dは,病院に搬送されたものの,低酸素脳症後の植物状態となり,一度も意識が戻ることなく,平成25年10月30日,死亡した。 延岡市立小中学校管理運営規則(以下「本件規則」という。)第5条は,校外における教育活動について下記のとおり規定している。 記校長は,校外における教育活動のうち,宿泊を要するものについては,宿泊を伴う教育活動の実施について(様式第2号)により,あらかじめ教育委員会に届け出なければならない。ただし,登山その他特に危険を伴うもの(宿泊を要しないものを含む。)については,特別な教育活動の実施について(様式第3号)により,あらかじめ教育委員会の承認を得なければならない。 被告らの責任被告らは,担当教諭らがヘルストピアのプールにおける監視体制を万全にし,児童の安全を図るべく十分に注視する義務を怠った過失があること,I校長が本件校外学習について事前対策を十分に検討し,校長として指導監督すべき義務を怠った過失があること,及び被告らに賠償責任があることをいずれも自認するところである。 そうすると,被告らは,本件事故により亡Dに生じた後記損害及び原告らの後記損害について,被告延岡市につき国家賠償法1条1項に基づき,被告宮崎県につき同法3条1項に基づき,責任を負うこととなる。 なお,原告らは,担当教諭ら及びI校長の過失の程度は重過失であると主張 後記損害について,被告延岡市につき国家賠償法1条1項に基づき,被告宮崎県につき同法3条1項に基づき,責任を負うこととなる。 なお,原告らは,担当教諭ら及びI校長の過失の程度は重過失であると主張するが,慰謝料増額事由としての主張であるから,後記慰謝料の考慮要素の中で検討する。 損害損害のうち,次の項目については,当事者間に争いがない。 ア治療関係費 33万8725円イ入院雑費 189万9000円ウ葬儀関係費用 238万2966円(各原告119万1483円)エ既払金(損害の填補) 3849万2414円 3 争点及び争点についての当事者の主張J教育長の過失の有無について(原告らの主張)延岡市教育長は,教育委員会の学校事務に関する基本方針を受けて,教育課程を管理執行する者であるところ,本件のようなプールにおける遊泳を含む校外学習が予定された場合には,水難事故を防止する指導監督のため,各学校に対し,教育委員会の事前承認を得るように指示しこれを徹底させるべき義務がある(本件規則第5条)。しかしながら,J教育長には,上記事前承認を得るよう指示徹底せず,本件校外学習について事前に監視体制を徹底するよう指導監督すべき上記義務を怠った過失がある。 (被告らの主張)本件校外学習での遊泳は,本件規則第5条の事前承認を得るべき案件ではない。同条により事前承認が必要な案件は,同条にいう「登山その他特に危険を伴うもの(宿泊を要しないものを含む。)」などの比較的危険性が高いものをいうのであって,本件校外学習において予定されていたヘルストピアの流水プールにおける遊泳は,監視員が配置され安全設備が整っている屋内プール施設であるから,上記にいう比較的危険性が 危険性が高いものをいうのであって,本件校外学習において予定されていたヘルストピアの流水プールにおける遊泳は,監視員が配置され安全設備が整っている屋内プール施設であるから,上記にいう比較的危険性が高いものとはいえず,結局のところ,前記事前承認の対象とはならないといえる。本件事故当時においても,ヘルストピアの屋内プールを校外学習で利用する小学校は多数存在したが,いずれも前記事前承認の対象とはされていなかった。 損害額について(原告らの主張)ア亡Dに生じた損害について 付添人の交通費 189万9782円a ガソリン代 60万3937円(宮崎大学病院入院中につき5万5387円,延岡病院入院中につき54万8550円。なお,エンジンオイル代945円も含む。)b タクシー代 128万6045円c 高速道路料金 2800円d 有料道路料金 7000円 入院付添費 2532万円亡Dは,小学4年生の児童で,病状の急変も考えられる状況にあり,また,意識障害によって緊急時に医師や看護師を呼ぶことが不可能だったことなどから,原告らの付添いが必要であった。 原告らは,亡Dの入院中,毎日,病院に寝泊まりをしながら亡Dの付添いを行った。 原告Aの本件事故前2か月半分の給与は合計74万3954円であるから,原告Aの一日当たりの入院付添費は1万円とみるべきである(74万3954円÷75日)。 また,原告Bは付添いのため家事労働ができない状態にあった ところ,賃金センサス平成24年女性学歴計50~54歳385万7200円をもとに,その一日当たりの入院付添費は1万円とみるべきである。 そうすると, 添いのため家事労働ができない状態にあった ところ,賃金センサス平成24年女性学歴計50~54歳385万7200円をもとに,その一日当たりの入院付添費は1万円とみるべきである。 そうすると,原告らにつき,1日当たり,各1万円の入院付添費が認められるべきところ,原告らはそれぞれ毎日付添いを行ったのであるから,入院付添費は,1266日(亡Dの入院日数)×2万円=2532万円となる。 亡Dの慰謝料 2800万0000円 逸失利益 4485万6659円(計算式)13.5578(ライプニッツ係数。亡Dは死亡時12歳。)×472万6500円(賃金センサス平成24年男女計学歴計全年齢平均)×(1-0.3) 亡Dの損害額合計 1億0231万4166円イ原告らの固有の損害原告ら固有の慰謝料各500万0000円原告らは,担当教諭らの重過失によって本件事故が発生し,その後,亡Dが重度の障害を有する状態を経て死亡したこと,これに加えて,被告らが,以下a~hのとおり,本件事故後に反省や誠意の全くみられない対応をしたこと等により,多大な精神的損害を被った。これらの事情は慰謝料増額事由である。 a 上記2ウ記載の本件事故態様に照らせば,監視体制は極めてずさんであり,的確な監視体制さえとられていれば,亡Dは溺水しても早期に発見され,重篤な障害を負うに至らなかった可能性が高い。また,I校長は,過去にも児童のプールにおける事故の対応に当たった経験がある人物であり,より一層重い過失がある。 b 亡Dは,本件事故直後,ドクターヘリで病院に搬送されたのに,その際,現場にいた担当教諭らは一人として亡Dに付き添わなかった。このため,搬送先の病院の医師は 物であり,より一層重い過失がある。 b 亡Dは,本件事故直後,ドクターヘリで病院に搬送されたのに,その際,現場にいた担当教諭らは一人として亡Dに付き添わなかった。このため,搬送先の病院の医師は,事故状況を正確に把握できなかった。 c C小学校は,本件事故から4日後,本件事故の保護者説明会を開催したが,学校側は,本件事故の際,実際には点呼を行っていないにもかかわらず,事故発生の時間帯は各児童に声掛けをしており空白の7分間の時間帯があったなどと事実と異なる説明をした。 さらに,同説明会におけるC小学校側の発言内容が新聞に掲載されたことから,これを読んだ原告らが,学校に対し,事実とは異なった発言がある旨指摘すると,同学校側は,新聞記事の内容が誤っているかのような説明をした。 d 原告らが再三要求しても,学校側は詳細な報告をしなかった。 また,原告らに対し,本件事故状況に基づいた謝罪をしなかった。 e 原告Aは,平成26年1月,行政文書の開示請求を行い,本件事故に関する延岡市教育委員会宛の報告書を入手した。同報告書には,担当教諭らが点呼したところ亡Dがいないことに気づいた旨事実と異なる記載がされていた。 f 学校側は,児童及び保護者に対し,原告らが亡Dの見舞いを辞退していると虚偽の説明をし,見舞いに行くことを妨げた。 g 担任であったF教諭は,亡Dを見舞った際も黙ったままであり,やがて見舞いに来なくなった。また,他の教諭らも,平成23年1月以降は,弁護士が交渉の窓口になったとして,亡Dの見舞いを中断し,本件訴訟提起後も,直接の謝罪の言葉が一切なかった。 h 平成27年10月30日の亡Dの3回忌の際,J教育長は,本件事故の責任は専らヘルストピアにあると発言し,原告らの心情を深く傷つけた。 原告Aの退職による逸失利益 言葉が一切なかった。 h 平成27年10月30日の亡Dの3回忌の際,J教育長は,本件事故の責任は専らヘルストピアにあると発言し,原告らの心情を深く傷つけた。 原告Aの退職による逸失利益 185万0759円原告Aは,以下のとおり,本件事故により欠勤した末に退職せざるを得なくなり,合計185万0759円の損害を被った。 すなわち,原告Aは,平成22年5月以降,亡Dへの付添いのため,その勤務先に出勤できず,同年の冬季ボーナスは,48万3168円減額された。 また,原告Aは,平成23年6月,亡Dへの付添いのため,退職せざるを得なくなった。この際の退職は自己都合とされたため,会社都合の退職に比べて,退職金は136万7591円減額となった。 ウ既払額 3849万2414円エ亡Dの損害額1億0231万4166円(上記ア)-既払額3849万2414円(同ウ)=6382万1752円原告らは亡Dの損害残額6382万1752円の2分の1である3191万0876円をそれぞれ相続した。 オ弁護士費用 780万0000円(各原告につき390万円)カまとめ原告Aの損害4385万3118円原告Bの損害4200万2359円(被告らの主張)ア亡Dに生じた損害について 付添人の交通費ガソリン代のうち,宮崎大学病院入院中につき5万4442円(エンジンオイル代945円は相当因果関係のある損害とはいえない。),延岡病院入院中につき10万9710円の限度で認める。 タクシー代は否認する。 入院付添費は,1106万1042円の限度で認める。 入院付添い自体の必要性は認めるが,完全看護の医療体制の下での入院であったため,2人分の入院付添費用を認めること タクシー代は否認する。 入院付添費は,1106万1042円の限度で認める。 入院付添い自体の必要性は認めるが,完全看護の医療体制の下での入院であったため,2人分の入院付添費用を認めることは困難であるし,原告Bが家事を100%できない状態であったとも考え難い。 原告Aについては,以下の計算式のとおり日額を8737円として,入院日数1266日に乗じた1106万1042円とするのが相当である。 (計算式)52万4240円(本件事故前の2か月分の給与総額)÷60日=8737円原告Bについては,家事労働がある程度制限されたことは考えられるが,原告Aの休業損害の中で評価済みであると考えるのが相当である。 逸失利益は,3524万4517円の限度で認める。 女子年少者の逸失利益について全労働者(男女計)の全年齢平均賃金で算定する場合については,男性とのバランスも考慮し,生活費控除率を30%ではなく,45%とするのが妥当である。 (計算式)13.5578(ライプニッツ係数・亡Dは死亡時12歳)×472万6500円(平成24年賃金センサス全労働者全年齢平均)×(1-0.45)イ原告らの固有の損害原告ら固有の慰謝料は,各200万円の限度で認める。 亡Dの父母である原告らの精神的苦痛は重いものであると察するが,原告らの固有の慰謝料としては,裁判例上,各200万円とするのが妥当であり,固有の慰謝料を増額するまでの事由はない。 すなわち,被告らは,事故後の学校側の対応として,見舞いに伺うなどしており,可能な限り誠意を尽くして対応した。学校としては故意に事実と異なる報告や説明をしたことはなく,可能な限り,誠意をもって対応してきた。また,被告代理人は,原告Aに対し,交渉の窓口を一本化するため り,可能な限り誠意を尽くして対応した。学校としては故意に事実と異なる報告や説明をしたことはなく,可能な限り,誠意をもって対応してきた。また,被告代理人は,原告Aに対し,交渉の窓口を一本化するため被告側が原告側に連絡等するのを控えさせていただく旨を直接説明しており,それを前提とした学校関係者の対応が慰謝料増額事由になるものではない。なお,J教育長は,3回忌の際,学校の教師らに責任があるのは当然だがヘルストピアにも責任の一端がある旨述べたのであり,専らヘルストピアに責任があるとは述べていない。 原告Aの退職による逸失利益平成22年の冬季ボーナス減額分48万3168円については損害として認めるが,退職金減額分については,被害者とはいえ損害拡大防止義務があるので,否認する。 ウ弁護士費用及び損害額の合計は争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(J教育長の過失の有無)について原告らは,J教育長には,本件校外学習に類する行事について,本件規則第5条に定められた市の教育委員会の事前承認を得るように,延岡市内の小学校に対して指示徹底すべき義務があったにもかかわらず,これを怠った過失がある旨主張する。 そこで検討するに,本件規則第5条は,前記争いのない事実等記載のとおり,そのただし書において,「登山その他特に危険を伴うもの」につき事前承認を要する旨定めているところ,その文言及び例示として登山が挙げられていることからすれば,上記事前承認を要する活動とは,当該活動自体が一般的に生命・身体への危険を伴うと認識されるものを指すと解するのが相当であり,例えば登山や海水浴等が該当するといえる。 ヘルストピアは,流水プールを備える屋内施設であり,かつ,監視員も配置されているのであって,同所における遊泳が一般的に生 のを指すと解するのが相当であり,例えば登山や海水浴等が該当するといえる。 ヘルストピアは,流水プールを備える屋内施設であり,かつ,監視員も配置されているのであって,同所における遊泳が一般的に生命・身体への危険を伴う活動とまではいえない。そうすると,ヘルストピアにおける遊泳を含む本件校外学習が規則第5条の対象たる活動に該当するとは解せられない。 延岡市立小中学校の実際の運用においても,ヘルストピアでの遊泳を含む校外学習が実施される場合,上記事前承認の対象とはされていなかったことが認められる(弁論の全趣旨)。 そうすると,本件事故当時,市の教育委員会の教育長であったJ教育長に原告ら主張の義務があったとするのは困難といわざるを得ず,この点に関する原告らの主張には理由がない。 2 争点2(損害額)について 亡Dの損害についてア治療関係費(争いがない) 33万8725円イ入院雑費(争いがない) 189万9000円ウ通院費(付添人の交通費) 68万8370円ガソリン代 16万4152円宮崎大学医学部附属病院入院中,ガソリン代5万4442円が生じたことは当事者間に争いがない。エンジンオイル代945円については,本件事故と相当因果関係を有する損害と認めることは困難である。また,県立延岡病院入院中のガソリン代については,1往復分を本件事故と相当因果関係を有する損害と認めるのが相当であり,その額は以下のとおり10万9710円となる。 (計算式)15円/キロ×片道3キロ×2回×1219日=10万9710円タクシー代 51万4418円亡Dの症状の重篤性,原告らの居住地域の交通事情等を考慮す 15円/キロ×片道3キロ×2回×1219日=10万9710円タクシー代 51万4418円亡Dの症状の重篤性,原告らの居住地域の交通事情等を考慮すると,原告Bによるタクシー利用も一定程度やむを得なかったものと認められる。そうすると片道1055円として,県立延岡病院入院期間1219日分のうち,4割に相当する額を相当因果関係のある損害と認めるのが相当である。 (計算式)1055円×1219日×0.4=51万4418円高速道路料金(争いがない) 2800円 有料道路料金(争いがない) 7000円エ入院付添費(付添人看護費) 1172万3000円近親者による入院付添いの必要性は当事者間に争いがないところ,亡Dの年齢及び症状の重篤性に照らせば,宮崎大学医学部附属病院入院中(平成22年5月14日~同年6月29日までの47日間)については原告ら2人分を,県立延岡病院入院中(同年6月30日から平成25年10月30日までの1219日間)については原告らのうち1人分を本件事故と相当因果関係のある損害として認めるのが相当である。この点,原告らは,県立延岡病院入院期間中における夜間の入院付添いが必要であった旨主張するが,重篤な容態の亡Dに一日中付き添いたいという心情は理解できるものの,その必要性についてはこれを認めるに足りない。 日額については,亡Dが児童であったことのほか,証拠(甲16)から認められる原告Aの収入を考慮し,原告Aについて9000円,原告Bについて7000円と認めるのが相当であり,県立延岡病院入院中の付添費は,原告Aの日額で計算するのが相当である。 (計算式)(9000円+7000円) ,原告Aについて9000円,原告Bについて7000円と認めるのが相当であり,県立延岡病院入院中の付添費は,原告Aの日額で計算するのが相当である。 (計算式)(9000円+7000円)×47日=75万2000円9000円×1219日=1097万1000円75万2000円+1097万1000円=1172万3000円オ逸失利益 3524万4517円亡Dは,死亡当時12歳であり,本件事故がなければ,18歳から67歳までの49年間就労が可能であったと認められる。基礎収入を賃金センサス平成24年第1巻第1表男女計の平均収入である472万6500円とし,生活費の控除割合については基礎収入額を男女計の平均収入とすることに鑑みて45%とし,ライプニッツ方式により年5パーセントの割合による中間利息を控除して算定すると,逸失利益は,以下のとおり3524万4517円になる。 (計算式)472万6500円×(1-0.45)×13.5578(12歳のライプニッツ係数)=3524万4517円カ亡Dの慰謝料 2800万0000円 キ小計 7789万3612円原告ら固有の損害ア原告Aの逸失利益 48万3168円原告Aが本件事故後出勤できなかったことによって同人の賞与が48万3168円減額になったこと及びそれが本件事故と相当因果関係を有する損害となることは当事者間に争いがない。他方,原告Aは,本件事故後退職しており,会社都合の退職に比べると退職金が136万7591円減額した事実は認められるが(甲18の1,2),原告Aの退職を予見するのは困難であるといわざるを得ず, 。他方,原告Aは,本件事故後退職しており,会社都合の退職に比べると退職金が136万7591円減額した事実は認められるが(甲18の1,2),原告Aの退職を予見するのは困難であるといわざるを得ず,本件事故との相当因果関係は認められない。 イ原告ら固有の慰謝料各200万0000円争いのない事実,証拠(甲7~10,24,25,原告A本人)及び弁論の全趣旨によれば,①担当教諭らは,引率児童らをプールから上がらせるため声掛けを始めたのであるが,その際,点呼を取るなどしなかったことから,亡Dは,約5分もの間,担当教諭らに気づかれることなく,同人らの付近を溺れたまま流されていたこと,②本件事故は,担当教諭らの監督体制が非常に不十分であったこと(事前協議の杜撰さも含む。)によって発生したことが認められ,これら①及び②の点について,担当教諭ら及びI校長の過失の程度は重い。また,原告らが学校側に事故状況についての報告書を提出するよう再三求めたにもかかわらず,その際の学校側の対応が不適切であったこと,被告らの事故後の対応について,原告らは非常に誠意がないと感じていることが認められる。これらの事情に加えて,最愛の娘を12歳という若さで失った原告らの甚大な精神的苦痛,本件事故発生から亡Dの死亡まで約3年5か月間にわたる原告らによる付添い及び看護の状況,その他本件に表れた一切の事情を考慮すると,上記のとおり,亡Dの慰謝料を2800万円としたうえで,原告らに対する慰謝料としては各200万円を認めるのが相当である。 ウ葬儀関係費用各原告につき119万1483円原告らが亡Dの葬儀費用として238万2966円を支出し,それが本件事故と因果関係を有する損害となることは当事者間に争いがない。 エ小計原告A 各原告につき119万1483円原告らが亡Dの葬儀費用として238万2966円を支出し,それが本件事故と因果関係を有する損害となることは当事者間に争いがない。 エ小計原告A 367万4651円原告B 319万1483円原告らは,亡Dの損害賠償請求権を各2分の1ずつ相続しており(各原告3894万6806円),これに,原告ら固有の損害を加えると,原告Aの損害額は4262万1457円,原告Bの損害額は4213万8289円となる。 既払額 3849万2414円被告らからの既払額は3849万2414円であり(当事者間に争いがない。),原告らの損害額から各1924万6207円を控除すると,原告Aの損害額は2337万5250円,原告Bの損害額は2289万2082円となる。 弁護士費用本件訴訟の内容,経過等に照らすと,本件事故と相当因果関係を有すると認められる弁護士費用は,460万円(各原告につき230万円)とするのが相当である。 小括以上からすると,原告Aの損害額は2567万5250円,原告Bの損害額は2519万2082円となる。 3 結論よって,原告Aの請求は,2567万5250円及びこれに対する平成22年5月14日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を,原告Bの請求は,2519万2082円及びこれに対する平成22年5月14日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を,それぞれ求める限度で理由があるから,その限度で認容し,その余は棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条,64条本文,65条1項ただし書を,仮執行の宣言につき同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。 宮崎地方裁判 の余は棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条,64条本文,65条1項ただし書を,仮執行の宣言につき同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。 宮崎地方裁判所延岡支部裁判長裁判官塚原聡 裁判官吉野俊太郎 裁判官早川伶奈
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