主文 一原判決を次のとおり変更する。 1 ①事件について(一) 被控訴人は、吉永町に対し、五八七五万七九二〇円及びこれに対する平成五年六月二七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 (二)控訴人らのその余の請求を棄却する。 2 ②事件について(一) 被控訴人は、吉永町に対し、八三一四万九六〇〇円及びこれに対する平成五年六月二七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 (二) 控訴人らのその余の請求を棄却する。 二訴訟費用は、第一、二審を通じてこれを二分し、その一を被控訴人の、その余を控訴人らの各負担とする。 事実 第一当事者の求めた裁判一控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 ①事件被控訴人は、吉永町に対し、一億一二八三万五三二〇円及びこれに対する平成五年六月二七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 3 ②事件被控訴人は、吉永町に対し、三億三七〇〇万円及びこれに対する平成五年六月二七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 4 訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。 二控訴の趣旨に対する答弁 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 第二当事者の主張次の一のとおり訂正し、当審における補充的主張として次の二、三のとおり付加するほか、原判決の事実摘示のとおりであるから、これを引用する。 一原判決の訂正 1 原判決九頁九行目の「必要な処置を講じなければならない」を「必要な処置を講じさせなければならない」と改める。 2 同一一頁四行目の「及び法一一七条」を削除する。 3 同一八頁につき、六行目の「吉永町議会」を「議会」と改め、八行目の「業務に」の次に「直接の」を加える。 4 同二二頁につき、四行目の「法一一七条にいう」から六行目の「 及び法一一七条」を削除する。 3 同一八頁につき、六行目の「吉永町議会」を「議会」と改め、八行目の「業務に」の次に「直接の」を加える。 4 同二二頁につき、四行目の「法一一七条にいう」から六行目の「を指し、」までを「法一一七条にいう」と、八行目から九行目にかけての「○○議員」を「F議員」と各改める。 二当審における控訴人らの補充的主張 1 ①事件について(一) 原判決は、飛び地について、いずれはα地区財産区所有の土地と交換の上、事業用地にすることを予定してあえてこれを除外しなかったとする。しかし、吉永町が本件不動産①を取得した時点において、飛び地とα地区財産区所有の土地との交換の具体的計画はなかったし、現在も右交換は実現されていないのであって、右交換の話は被控訴人が後からとってつけたものである。 (二) また、原判決は、本件契約①がもっぱら日輪舎に協力する目的があったとは認められないとする。しかし、本件不動産①の中に飛び地が含まれていたこと、被控訴人は、日輪舎からの要請で本件不動産①を購入したのであり、その購入により日輪舎が競売を回避して多額の経済的利益を得ることを十分に承知していたことを考慮すると、被控訴人が日輪舎に協力する目的があったことは明らかである。 (三) 原判決は、本件契約①及び本件支出①につき財務規則違反があることを認めながら、本件支出①が財務規則違反であることによって吉永町に損害が生じたと証拠上認めることができないとする。しかし、本件契約①と本件支出①がそれぞれ違法であれば、格別の理由がない限り、被控訴人には違法な本件契約①の執行と本件支出①を回避すべき義務があり、右義務を尽くせば本件支出①をする必要はなかったのであるから、右判示は誤りである。 2 ②事件について(一) 原判決は、「少なくとも競売や転売によって、本件不 行と本件支出①を回避すべき義務があり、右義務を尽くせば本件支出①をする必要はなかったのであるから、右判示は誤りである。 2 ②事件について(一) 原判決は、「少なくとも競売や転売によって、本件不動産がいわば切り売りされたり、吉永町の施策に非協力的な所有者のものとなった場合には、『βふるさと村』を中心としてβ地区の活性化を図るという吉永町の観光施策に大きな影響が生じることは明らかであり、前示認定のとおりの『βふるさと村』及び周辺地区の観光資源としての価値、β地区に対するこれまでの町の施策及び資本投下等に照らせば、その後購入後の土地の利用方法について、概括的とはいえ、前示の基本的な観光施策に沿って、本件不動産②の利用計画を立てていることも勘案すると、右のような経過のもとで、被告が、『βふるさと村』の保全のため、多額の対価を支払っても本件不動産②を購入する必要があると判断したことは、吉永町の町長として不当とはいえない。」とする。 しかし、本件不動産②が取得できなかったとしても、「βふるさと村」の事業用地は十分に確保されている。また、被控訴人の本件不動産②の購入の主たる目的は、「βふるさと村」及び周辺地区の保全にあったわけではなく、本件契約①締結時の調査不足により生じる損害が発生することを避けることにあったのであって、要するに、被控訴人の誤った処置の彌縫策として本件契約②を締結し本件支出②をしたものであり、公共目的があったわけではない。 そうすると、本件不動産②の取得そのものが違法であるから、その購入代金支払のための借入金そのものが損害であり、仮に借入金全額が損害とはいえないとしても右借入金の利息そのものが損害である。 (二) 原判決は、本件契約②に先行する本件議決②が法一一七条に違反していることを認めたにもかかわらず、右違反は右議決の無 に借入金全額が損害とはいえないとしても右借入金の利息そのものが損害である。 (二) 原判決は、本件契約②に先行する本件議決②が法一一七条に違反していることを認めたにもかかわらず、右違反は右議決の無効事由とはなり得ないとする。 しかし、違法な議決があるときは、格別の理由がない限り、町長は、再議に付することが義務づけられ、再議の結論が出ない間は、議決に基づく契約の執行を回避すべき義務があるというべきである。ところが、被控訴人は、右義務に違反して、本件契約②について議会の再議に付することをせず、本件契約②を執行したのであるから、本件支出②は違法である。 3 本件不動産の適正価格について(①事件及び②事件)(一) 原判決は、本件代金①が適正であることの根拠の一つとして、本件契約①に至る経緯を指摘する。しかし、吉永町では、財産評価審議会や価格審査会などを設置したわけではなく、不動産鑑定士の鑑定評価を得たりしたわけでもないのであって、要するに本件不動産①の価格について、吉永町独自にこれを把握しようと格別の努力をした形跡はうかがえず、専ら売主側の主導で交渉がなされ、吉永町が売主側の要求を容認する形で決定されたのである。また、吉永町の方で不動産鑑定等の調査をしないで契約を締結するほどの取得の必要性、緊急性があったとはいえないし、本件不動産①の取得ができなければ吉永町の事業計画にどのような具体的、回復困難な支障が生じるかも不明である。したがって、本件契約①に至る経緯は、本件代金①の適正さを裏付けるものではない。 (二) 本件契約②に至る経緯については、吉永町はAに半ば脅されて本件不動産を購入させられたことがうかがわれるのであって、本件代金②の適正さを裏付ける事情は見受けられない。 (三) ところで、公有財産の処分はもちろんその取得についても、正常な取引価 半ば脅されて本件不動産を購入させられたことがうかがわれるのであって、本件代金②の適正さを裏付ける事情は見受けられない。 (三) ところで、公有財産の処分はもちろんその取得についても、正常な取引価格によることが法律上要求されているというべきであるから、その取得価格が著しく高額であるか否かは正常な取引価格との比較によって行うべきである。鑑定の結果によると、本件不動産①の平成四年七月二四日時点の価格は合計四一五九万八○○○円であり、本件不動産②の平成五年三月一日時点の価格は合計二億一一五四万二〇〇〇円であるから、吉永町は、本件不動産①を鑑定価格の約二・七一倍、本件不動産②を鑑定価格の約一・五九倍で買い受けたことになる。しかも、鑑定の示した価格は、実勢価格の倍くらい高い金額が付けられている。したがって、本件代金①及び②が正常な取引価格と比較して著しく高額であることは明らかである。そして、被控訴人主張の程度の緊急性、必要性では、右のような購入価格の高さを合理化することはできないから、本件支出は違法である。 (四) 被控訴人は、本件不動産の現存価格が取得価格とほぼ同額であるから、損益相殺の観点により、吉永町に損害が生じていない旨の主張をする。しかし、本件契約時の損害がその後の地価の上昇により解消されるとする主張は、そもそも主張自体失当である。また、控訴人主張の本件不動産の現在の価格は、吉永町が本件不動産を取得後数億円の資本を投下した結果であるから、現在価格を基準に吉永町に損害が生じていないとすることはできない。 三当審における被控訴人の補充的主張 1 ①事件について(一) 控訴人らは、吉永町が本件不動産①を取得した時点において、飛び地とα地区財産区所有の土地との交換の具体的計画はなかったし、現在も右交換は実現されていないと主張する。しかし、具 ①事件について(一) 控訴人らは、吉永町が本件不動産①を取得した時点において、飛び地とα地区財産区所有の土地との交換の具体的計画はなかったし、現在も右交換は実現されていないと主張する。しかし、具体的計画がない限り一切の先行的取引をなし得ないというのはあまりに行政の実態を無視した議論であり、失当である。また、吉永町は、飛び地について交換等を実行し、有効利用をしている。 (二) 控訴人らは、被控訴人が日輪舎に協力する目的があったことは明らかであると主張するが、そのような事実はない。仮に日輪舎が結果的に利益を得ていたとしても、それは本件契約①のいわば反射的効果にすぎないのであり、被控訴人が一民間会社である日輪舎に特別の利益を与える理由も必要もない。 (三) 控訴人らは、本件契約①及び本件支出①につき財務規則違反があることを前提に、被控訴人には違法な本件契約①の執行と本件支出①を回避すべき義務があると主張する。しかし、被控訴人の本件支出①が財務規則違反であること自体疑問であるのみならず、被控訴人は、少なくとも主観的には本件契約①が財務規則に違反しているとの認識を持っていたわけではないから、公務員としての法令(法律上の義務も含まれる)遵守義務を遂行したにすぎない。そして、財務規則は町に不測の損害が発生するのを防止しようとするものであるから、吉永町に損害を与えていない本件契約①及び本件支出①の執行を回避すべき義務は成立しない。 2 ②事件について(一) 控訴人らは、被控訴人の誤った処置の彌縫策として本件契約②を締結し本件支出②をしたものであり、公共目的があったわけではないと主張する。しかし、本件契約②は「βふるさと村」及び周辺地区の保全の実現のためになされたものである。 (二) 控訴人らは、「違法な議決があるときは、格別の理由がない限り、町長は あったわけではないと主張する。しかし、本件契約②は「βふるさと村」及び周辺地区の保全の実現のためになされたものである。 (二) 控訴人らは、「違法な議決があるときは、格別の理由がない限り、町長は、再議に付することが義務づけられ、再議の結論が出ない間は、議決に基づく契約の執行を回避すべき義務があるというべきである。ところが、被控訴人は、右義務に違反して、本件契約②について議会の再議に付することをせず、本件契約②を執行したのであるから、本件支出②は違法である。」と主張する。しかし、法一一七条に違反したからといって、議決が無効になるわけではなく、本件契約②及び本件支出②が違法、不当になるわけでもない。 3 本件不動産の適正価格について(①事件及び②事件)(一) 地方公共団体の長の財産購入契約の締結は、対価を含めてその裁量に委ねられた行為であり、その裁量の認められる範囲は相当広範なものである。特に本件不動産の購入は、吉永町が昭和四二、三年以降過疎化対策の根本的解決方法の一環として着想した「βふるさと村」を実現するための切り札ともいうべき行為であって、被控訴人に広範な裁量が認められるべきである。 (二) 吉永町が本件不動産①を鑑定価格の約二・七一倍、本件不動産②を鑑定価格の約一・五九倍で買い受けたことは控訴人らの指摘するとおりである。しかし、必要性の少ない財産を適正価格よりも著しく高額な対価で取得した場合でも、そのことに合理的な理由があれば、許容されるところ、本件不動産の取得について、必要性、緊急性、代替困難性の要件を満たしていることは、原判決の認定事実からも明らかであるし、また、和気農協のβ農場に対する債権額五億六七〇〇万円(平成四年一月当時)の存在を無視してはそもそも本件不動産を購入できる見込みが全くなかったのであって、これらの事情を考慮す からも明らかであるし、また、和気農協のβ農場に対する債権額五億六七〇〇万円(平成四年一月当時)の存在を無視してはそもそも本件不動産を購入できる見込みが全くなかったのであって、これらの事情を考慮すると、本件不動産の取得価格が適正な価格よりも高いからといって、本件契約①、②及び本件支出①、②が違法になるわけではない。 (三) 仮に本件契約①、②及び本件支出①、②が違法であったとしても、売買代金額と鑑定評価額の差額が当然に吉永町の損害となるわけではない。 違法な双務契約により地方公共団体が相手方から一定の給付を受け、それが残存し、かつそれが経済的価値を有するような場合には、損害の有無、額を判断するに当たっては、損益相殺がなされるべきである。これを本件についてみると、吉永町は、本件契約①及び②により代金合計四億四九八三万五三二〇円を支払ったものの本件不動産の所有権を何らの権利制限もなく取得し、その後道路整備、農園・薬草園等の整備を進めた結果、本件不動産は、その価値が上昇し、平成一二年一〇月一日時点における正常価格が合計三億九一八一万六〇〇〇円に達しているのであって、この点は損益相殺として考慮されるべきである。そして、本件と同種類の事案の判決例によれば、諸般の事情を考慮すべきではあるものの、適正価格の二割程度の高い価格による購入は、地方公共団体の長の裁量の範囲内とされているから、本件契約①及び②により吉永町の受けた損害を算定する場合には、現時点に近い平成一二年一〇月一日時点における正常価格に少なくとも一五パーセントの価値を加えた四億五〇五八万八四〇〇円の利益を得たことを考慮すべきである。 加えて、吉永町は、本件契約①及び②の後である平成五年三月三日付けで、日輪舎から、公衆用道路用地の寄附を受けており、その価額は六〇四万六一六五円であるから 円の利益を得たことを考慮すべきである。 加えて、吉永町は、本件契約①及び②の後である平成五年三月三日付けで、日輪舎から、公衆用道路用地の寄附を受けており、その価額は六〇四万六一六五円であるから、この価額は売買代金額から控除すべきである。 そうすると、本件不動産の現存価格は、本件契約①、②の代金額総額とほぼ同額ということになるから、吉永町には損害が発生していない。 理由 第一 ①事件について一請求原因1ないし3の事実は当事者間に争いがない。 二請求原因4について 1 本件紛争の概要については、次のとおり訂正するほか、原判決二四頁三行目から四六頁九行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (一) 原判決二四頁五行目の「原告B」の次に「、調査嘱託の結果」を加える。 (二) 同二六頁につき、一行目の「平安時代」を「奈良時代」と、四行目の「昭和四八年」を「昭和四九年」と各改める。 (三) 同二九頁三行目の「吉永町が」の次に「前記林業構造改善事業により」を加える。 (四) 同三〇頁四行目の「また、」の次に「これに先立つ昭和六三年、」を加える。 (五) 同三一頁九行目の「平成三年一二月二五日、本件不動産を本件根抵当権付きのまま」を「平成三年一二月、即決和解により本件不動産を本件根抵当権等付きのまま」と改める。 (六) 同三三頁三行目の末尾に次のとおり加える。 「しかし、被控訴人が、平成四年七月八日ころ及び同月一八日ころに和気農協の理事らと会って、同理事らに対し、吉永町が本件不動産①を購入したいので和気農協にも協力してもらいたい旨述べたところ、同理事らからは、同月八日ころに会った際には、Aから提示を受けている金額では同不動産について本件根抵当権の抹消に応じることはできないとの意向が示され、同月一八日ころに会った際にも、右 旨述べたところ、同理事らからは、同月八日ころに会った際には、Aから提示を受けている金額では同不動産について本件根抵当権の抹消に応じることはできないとの意向が示され、同月一八日ころに会った際にも、右抹消に応じるとの返事は得られなかった。」(七) 同三四頁につき、七行目の「議案第五四号「財産の取得」について」を「議案第五四号『財産の取得について』」と改め、末行の末尾に次のとおり加える。 「なお、右審議の際、被控訴人、C参事らは、本件根抵当権設定登記が抹消されてから契約を実行するとの趣旨の説明をしていた。」(八) 同三七頁一行目の「本件不動産①」から三行目の「内容証明郵便」までを「本件不動産①等に設定された本件根抵当権設定登記等の抹消登記手続をするのが相当であると思料するが、そのことに了解するか否かを回答してほしいこと、日輪舎の代理人弁護士は和気農協に対する刑事告訴事件の依頼も受けていることなどを記載した内容証明郵便」と改める。 (九) 同四〇頁一行目の「吉永町全員協議会」を「吉永町議会全員協議会」と改める。 (一〇) 同四二頁三行目の末尾に「なお、D議員は、右議案の審議の際賛成の意見は述べておらず、採決の際にも賛成に挙手をせず、反対の側に立った。」を加える。 (一一) 同四三頁一〇行目から末行にかけての「いまだ弁済されていない」を「平成五年四月五日に利息一六〇万六六一一円とともに完済した。」と改める。 (一二) 同四四頁二行目の「吉永町監査委員は、」の次に「同年四月一七日、」を加える。 2 以上の事実を前提に、本件支出①の違法性について検討する。 (一) 地方公共団体の財産取得は、一定の場合に議会の議決を要する旨定められている(法九六条一項八号)ほかには、取得の対象、取得方法、対価等を具体的に規制する法令が存在しないから、地方公共団体の長の (一) 地方公共団体の財産取得は、一定の場合に議会の議決を要する旨定められている(法九六条一項八号)ほかには、取得の対象、取得方法、対価等を具体的に規制する法令が存在しないから、地方公共団体の長の裁量に委ねられた行為であると解される。しかし、地方公共団体は、その事務を処理するに当たって、最小の経費で最大の効果を挙げなければならず(平成一一年法律第八七号による改正前の法二条一三項)、その目的を達成するための必要かつ最小の限度をこえてこれを支出してはならない(地方財政法四条一項)から、右裁量権にも限界があり、裁量権を逸脱又は濫用すれば、その財産の取得及び対価の支払は違法となることがある。 そこで、以下、控訴人らの指摘する本件支出①の問題点について検討する。 (二) 公共事業目的等について控訴人らは、「本件契約①は、本件不動産①を取得する具体的必要性及び緊急性がないにもかかわらず、もっぱら日輪舎の債務の弁済に協力する目的で締結されたものであり、公共事業目的に欠ける」と主張する。 しかし、右主張は採用できない。その理由は、原判決四七頁七行目から四八頁九行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、原判決四八頁三行目の「方針であったのであるから」から五行目の「除外せずに」までを「方針であったのであり、また、飛び地については、売主の側がこれを含めて本件不動産①全体について売却する意向であり、吉永町としてもいずれはα地区財産区所有の土地と交換の上、事業用地にすることを予定したのであるから、」と、六行目の「日輪者」を「日輪舎」と各改める。この点につき当審において控訴人らの指摘する事情を考慮しても、右判断は左右されない。 (三) 売買価格の相当性について(1) 前記認定のとおり、被控訴人は、本件契約①の代金額の算定に際し、近隣の土地の取 につき当審において控訴人らの指摘する事情を考慮しても、右判断は左右されない。 (三) 売買価格の相当性について(1) 前記認定のとおり、被控訴人は、本件契約①の代金額の算定に際し、近隣の土地の取引価格を参考にしたものの、不動産鑑定士による鑑定、日輪舎の購入価格及び公示価格の調査、各筆ごと又は地目別の価格の検討を行わず、一括見積によって一億一二八三万五三二〇円と算定し、売主である日輪舎との間で格別の交渉をするまでもなく同金額で代金額を決定したものである。 なお、本件不動産①又は近隣土地の固定資産税評価額、取引事例、国土利用計画法届出価格等についてみると、次のとおり訂正するほか原判決四九頁二行目の「甲二〇」から五二頁五行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 ① 原判決五〇頁につき、五行目から六行目にかけての「山林、原野とも四〇〇円」を「山林が四〇〇円、原野が七〇〇円」と、八行目の「県が」を「県及び吉永町が」と、一〇行目の「三二三二円」を「三二八六円」と各改める。 ② 同五一頁につき、一行目から二行目にかけての「宅地(現況地目)二九四九七㎡及び山林(同)」を「γ地区内の宅地(現況)二九四八七㎡及び雑種地(同)」と改め、四行目の次に行を改めて次のように加える。 「 甲三五の1、2、三六によれば、α地区財産区は、平成一一年一一月一日、γ地区内の本件不動産に隣接する山林三一四三平方メートルを一五〇万円(一平方メートル当たりの単価四七七・二五円)で売却した。」③ 同五一頁六行目から七行目にかけての「δ地区」を「ε地区」と改める。 ④ 同五二頁五行目の末尾に次のとおり加える。 「しかし、右の価格の算定が合理的な根拠に基づいてされたことを認めるべき証拠はない。」(2) 鑑定人Eの鑑定結果は、平成四年七月二四日時点の本件不動産の標準的な画地の 目の末尾に次のとおり加える。 「しかし、右の価格の算定が合理的な根拠に基づいてされたことを認めるべき証拠はない。」(2) 鑑定人Eの鑑定結果は、平成四年七月二四日時点の本件不動産の標準的な画地の一平方メートル当たりの価格として「宅地及びそれに近い状況にある状況類似地区」につき二五〇〇円ないし五〇〇〇円、「将来ふるさと村の施設用地及び風致林等として存置されることが期待される地区または他用途への転用も考えられる状況類似地区」につき五一〇円ないし一八七〇円、「植林山として使用することが期待される山林のグループ」につき一三〇円ないし二六〇円、「現況が公衆用道路となっている土地のグループ」につき二五〇円と各算定した上、本件不動産①の正常価格を合計四一五九万八○○○円とするものであるところ、右鑑定の内容に不合理な点は認められない。 (3) 不動産の取引価格は、社会的、経済的な要因に由来する複雑多岐な要素に基づき、かつ、当該取引における当事者の個別的、主観的な事情も加わって決定されるから、地方公共団体の長が正常価格よりもある程度高額で不動産を購入し、その代金を支払ったからといって、右支払が直ちに違法になるわけではなく、その適否は、当該売買価格と正常価格との乖離の程度、当該不動産を購入する必要性の程度、交渉経過等の事情を総合して検討する必要がある。 しかしながら、本件代金①の価額は正常価格の二・七一倍であって、あまりに高額である上、被控訴人は、その決定に際し、近隣の土地の取引価格を参考にしたものの、不動産鑑定士による鑑定、日輪舎の購入価格及び公示価格の調査、各筆ごと又は地目別の価格の検討を行っておらず、売主の日輪舎との間で格別の交渉もないまま右の代金額を決定したものである。そうすると、本件不動産①を取得する必要性が認められること等の事情を考慮しても 各筆ごと又は地目別の価格の検討を行っておらず、売主の日輪舎との間で格別の交渉もないまま右の代金額を決定したものである。そうすると、本件不動産①を取得する必要性が認められること等の事情を考慮しても、その取得価額を適正な金額に近づけるべき努力なしに行われた本件代金①による売買契約の締結及び本件支出①は、被控訴人に認められる裁量権を逸脱したものというべきである。 (四)財務規則違反について本件契約①及び本件支出①について、財務規則六九条及び一三六条違反の事実が認められる。その理由は、原判決五三頁九行目から五五頁七行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、原判決五五頁六行目から七行目にかけての括弧書き部分を削除する。 しかし、①事件は、本件支出①により吉永町に与えた損害の賠償を請求する事案であるところ、本件代金①の残金支払と同時に本件根抵当権設定登記が抹消されており、吉永町は根抵当権設定登記等の付着していない本件不動産①を取得できたのであるから、右財務規則違反と本件支出①による損害との間には因果関係が認められない。したがって、右財務規則違反の点は、本件支出①による損害賠償の根拠にはならない。 三請求原因5について 1 右二のとおり、本件契約①の締結及び本件支出①は、その価額が著しく高額である点において、被控訴人に認められている裁量権を逸脱したものであるが、吉永町は、本件契約①により本件不動産①を取得しているから、その点は損害の認定に当たり考慮すべきである。 ところで、前記のとおり、本件不動産①の正常価格は四一五九万八○○○円であるが、仮に被控訴人が本件契約①の締結に当たり不動産鑑定を実施し、その資料をもって日輪舎と交渉していたとしても、右正常価格で交渉が成立したと認めることはできない。すなわち、不動産の取引価格は、 であるが、仮に被控訴人が本件契約①の締結に当たり不動産鑑定を実施し、その資料をもって日輪舎と交渉していたとしても、右正常価格で交渉が成立したと認めることはできない。すなわち、不動産の取引価格は、社会的、経済的な要因に由来する複雑多岐な要素に基づき、かつ、当該取引における当事者の個別的、主観的な事情も加わって決定されるものであるから、当該不動産の正常価格とこれを越える実際の売買価格との差額が、直ちに裁量権の逸脱と相当因果関係の認められる損害となるわけではない。 そして、本件不動産①の必要性の程度、本件契約締結に至る際の交渉の経緯等、本件契約①を巡る諸事情を総合勘案すると、本件においては本件代金①の一億一二八三万五三二〇円と本件不動産①の正常価格の一・三倍の五四〇七万七四〇〇円との差額である五八七五万七九二〇円が被控訴人の裁量権の逸脱と相当因果関係のある損害であると認めるのが相当である。 2 被控訴人は、「吉永町は、本件契約①等により本件不動産①等の所有権を何らの権利制限もなく取得し、その後道路整備、農園・薬草園等の整備を進めた結果、本件不動産①等は、その価値が上昇し、平成一二年一〇月一日時点における正常価格が上昇しているから、この点は損益相殺として考慮すべきである」旨の主張をする。 しかし、吉永町が本件契約①後に道路整備等をした結果本件不動産①の価値が上がったとしても、右整備等には経費がかかっているのであるから、右価値の上昇を損益相殺として考慮するのは相当でなく、この点についての被控訴人の主張は採用できない。 また、被控訴人は、吉永町が、本件契約①の後である平成五年三月三日付けで、日輪舎から、公衆用道路用地の寄附を受けており、その価額は六〇四万六一六五円であるから、この価額は売買代金額から控除すべきであると主張する。そこで検討す 本件契約①の後である平成五年三月三日付けで、日輪舎から、公衆用道路用地の寄附を受けており、その価額は六〇四万六一六五円であるから、この価額は売買代金額から控除すべきであると主張する。そこで検討するに、前記認定の事実及び証拠(甲三〇、乙四五、控訴人B本人)によれば、本件契約①締結の際、本件不動産①のうち公衆用道路については寄附として扱い、本件不動産①のうち公衆用道路以外の土地だけが売買として扱うことで合意されたこと、そのため、右公衆用道路については、平成五年三月三日付けで日輪舎から吉永町に寄附がなされたとの形式が取られたこと、吉永町ではその価額六〇四万六一六五円の歳入があったと認定したこと、したがって、日輪舎から吉永町に対し本件不動産①のほかに右金員の寄附がなされたわけではなく、本件契約①の代金額が減額されたわけでもないことを認めることができ、右事実によれば、本件支出①により吉永町に与えた損害の算定に際し、本件不動産①の正常価格の一・三倍の金額を斟酌すれば足り、そこから更に右寄附の価額を控除するのは相当でない。被控訴人のこの点についての主張も採用しない。 四以上のとおりであるから、控訴人らの①事件に係る請求は、被控訴人に対し、五八七五万七九二〇円及びこれに対する右損害発生の後である平成五年六月二七日から支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金を吉永町に支払うように求める限度で理由があるからこれを認容し、その余は理由がないからこれを棄却すべきである。 第二 ②事件について一請求原因1ないし3の事実は当事者間に争いがない。 二請求原因4について 1 公共事業目的等について控訴人らは、本件不動産②を取得する具体的必要性及び緊急性がないと主張する。 しかし、右主張は採用できない。その理由は、原判決五六頁八行目から五八頁八行目 4について 1 公共事業目的等について控訴人らは、本件不動産②を取得する具体的必要性及び緊急性がないと主張する。 しかし、右主張は採用できない。その理由は、原判決五六頁八行目から五八頁八行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、原判決五六頁八行目の「前記一4(一)の認定事実」は「本判決の前記第一の二1の認定事実」と読み替える。この点につき当審において控訴人らの指摘する事情を考慮しても、右判断は左右されない。 2 売買価格の相当性について鑑定人Eの鑑定の結果によれば、本件不動産②の平成五年三月一日時点における正常価格は二億一一五四万二〇〇〇円と認めることができ、そうすると、本件代金②の価額は、正常価格の約一・五九倍であって、著しく高額というべきである。そして、被控訴人は、本件契約②の代金額の算定に際しても、不動産鑑定士による鑑定、日輪舎の購入価格及び公示価格の調査、各筆ごと又は地目別の価格の検討を行った形跡がないのであって、日輪舎及び和気農協の意向を無視しては契約締結が不可能であったこと、被控訴人が同農協に対して減額を要請し、その結果同農協への支払額が一三〇〇万円減額されたことなどの事情を考慮しても、交渉に当たって鑑定書といった的確な資料を持たないまま漫然と売主らと交渉し、右のような高額の代金額を受け入れるに至った点は、非難を免れない。さらに、本件不動産②を取得する必要性はあったものの、必要性の程度は、前記1で引用した原判決の説示のとおりであり、疑問の残るところであるし、また、本件契約②が成立しなければ、本件不動産①に設定されていた根抵当権も実行に移され、本件事業用地まで第三者の所有となるおそれがあったとはいえ、そのような事態に陥ったそもそもの原因は本件契約①締結時の被控訴人の調査不足にあるのであって、本件不動産 定されていた根抵当権も実行に移され、本件事業用地まで第三者の所有となるおそれがあったとはいえ、そのような事態に陥ったそもそもの原因は本件契約①締結時の被控訴人の調査不足にあるのであって、本件不動産①の競売のおそれの点は重視すべきではない。 そうすると、本件代金②による売買契約の締結及び本件支出②も、被控訴人に認められる裁量権を逸脱したものと認めるのが相当である。 3 法一一七条違反について控訴人らは、「本件議決②には、当時和気農協の理事で同農協の日輪舎に対する債権に関する『債権処理小委員会』の委員を務めていた作本議員及び吉永町が本件不動産②と一体として開発計画を進めている本件不動産②の隣接地で営業するレストランやレジャー施設の管理を目的とする『望ヶ丘管理会』の出資者で委員であるF議員が議事に参与していたが、両議員は除斥の対象となるから、本件議決②は法一一七条に違反してなされたものであつて無効であり、右無効な議決に基づく本件契約②及び本件代金②の支出は違法である」と主張する。 なるほど、前記認定のとおり、本件議決②に係る議事は、吉永町、日輪舎、和気農協及び岡山県農業信用基金協会を当事者とする本件契約②に関するものであるが、作本議員は、和気農協の理事で同農協の日輪舎に対する債権に関する「債権処理小委員会」の委員を務めていたから、右議事は同議員の従事する業務に直接の利害関係があるというべきであって、同議員がその議事に参与することはできない。したがって、議長は、右議事に際し、作本議員を除斥するか、議会に対し、同議員の出席及び発言について同意の有無を確認する(法一一七条ただし書)手続を経なければならないが、本件においては、右手続を経ずに作本議員を議事及び採決に参与させているから、法一一七条に違反する。 しかし、右違法であることから直ちに議 を確認する(法一一七条ただし書)手続を経なければならないが、本件においては、右手続を経ずに作本議員を議事及び採決に参与させているから、法一一七条に違反する。 しかし、右違法であることから直ちに議決が無効であるということができないのみならず、作本議員は、右議事について反対の側に立ったのであるから、法一一七条に違反したことと本件議決②がなされたこととの間には因果関係が認められない。 また、F議員については、その利害関係は間接的なものにすぎないから、除斥の対象とはならない。 以上によれば、法一一七条についての控訴人らの主張は採用できない。 三請求原因5について右二のとおり、本件契約②の締結及び本件支出②は、その価額が著しく高額である点において、被控訴人に認められている裁量権を逸脱したものであるが、吉永町は、本件契約②により本件不動産②を取得しているから、その点は損害の認定に当たり考慮すべきである。 そして、右二2で摘示した事情、特に本件不動産②を取得する必要性の程度には疑問もあること、本件不動産①の競売のおそれを重視するのは相当でないこと等を総合考慮すると、本件代金②の価額三億三七〇〇万円と本件不動産②の正常価格の一・二倍の二億五三八五万〇四〇〇円との差額である八三一四万九六〇〇円を被控訴人の裁量権の逸脱と相当因果関係のある損害と認めるのが相当である。 被控訴人は、「吉永町は、本件契約②等により本件不動産②等の所有権を何らの権利制限もなく取得し、その後道路整備、農園・薬草園等の整備を進めた結果、本件不動産②等は、その価値が上昇し、平成一二年一〇月一日時点における正常価格が上昇しているから、この点は損益相殺として考慮すべきである」旨の主張をする。しかし、前記第一の三2で説示したのと同様の理由で、被控訴人の右主張は採用できない。 四 年一〇月一日時点における正常価格が上昇しているから、この点は損益相殺として考慮すべきである」旨の主張をする。しかし、前記第一の三2で説示したのと同様の理由で、被控訴人の右主張は採用できない。 四以上のとおりであるから、控訴人らの②事件に係る請求は、被控訴人に対し、八三一四万九六〇〇円及びこれに対する右損害発生の後である平成五年六月二七日から支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金を吉永町に支払うように求める限度で理由があるからこれを認容し、その余は理由がないからこれを棄却すべきである。 第三よって、原判決を右のとおり変更することとし、主文のとおり判決する。 広島高等裁判所岡山支部第二部裁判長裁判官前川鉄郎裁判官辻川昭裁判官森一岳
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