昭和39(オ)1113 約束手形金請求

裁判年月日・裁判所
昭和40年11月30日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所 昭和37(ネ)1144
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【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。      上告費用は上告人の負担とする。          理    由  上告代理人松井弘行の上告理由について。  民法七一五条にいわゆる「事業ノ執行ニ

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判決文本文2,535 文字)

主    文      本件上告を棄却する。      上告費用は上告人の負担とする。          理    由  上告代理人松井弘行の上告理由について。  民法七一五条にいわゆる「事業ノ執行ニ付キ」とは、被用者の職務執行行為その ものには属しないが、その行為の外形から観察して、あたかも被用者の職務の範囲 内の行為に属するものとみられる場合をも包含するものと解すべきであり、このこ とは、すでに当裁判所の判例とするところである(昭和三二年七月一六日第三小法 廷判決、民集一一巻七号一二五四頁、昭和三六年六月九日第二小法廷判決、民集一 五巻六号一五四六頁)。これを被用者が取引行為のかたちでする加害行為について いえば、使用者の事業の施設、機構および事業運営の実情と被用者の当該行為の内 容、手段等とを相関的に斟酌し、当該行為が、(い)被用者の分掌する職務と相当 の関連性を有し、かつ、(ろ)被用者が使用者の名で権限外にこれを行うことが客 観的に容易である状態に置かれているとみられる場合のごときも、被害者の保護を 目的とする民法七一五条の法意ならびに前示判例の趣旨にかんがみ、外形上の職務 行為に該当するものと解するのが相当である。けだし、(い)にいう本来の職務と の間に相当の関連性を有することは、当該行為が被用者の職務の範囲内に属するも のと思料される契機となりうることは疑いがなく、しかも、被用者の権限外の行為 に対し使用者の支配が及びうるにかかわらず、(ろ)のごとくこれを容易に行いう る客観的状態が事業の施設機構等に存するときは、被用者の行為がその職務の範囲 内に属するものとの外観をもたらすのが通常の事態であると認められるからである。  原判決によれば、訴外Dは、上告会社の会計係に在つて、昭和三一年末頃から、 手形割引等についての銀行との交渉や、会計係のうちの手形係として、上告 をもたらすのが通常の事態であると認められるからである。  原判決によれば、訴外Dは、上告会社の会計係に在つて、昭和三一年末頃から、 手形割引等についての銀行との交渉や、会計係のうちの手形係として、上告会社の - 1 - 手形振出に関し、手形用紙に満期と振出人欄を除いた手形要件を記入し、会社代表 者において満期を決定し、振出人欄に会社および代表者の各記名印および印章を押 捺した後、満期を記入して支払先等に交付する等判示の職務を担当し、昭和三二年 五月、右手形係を免ぜられたものの依然会計係員として各種帳簿の記入や予め会社 代表者が銀行と折衝して割引を決定した手形を銀行に使送する等の職務に従事して いたところ、訴外Eの依頼を受け、同人の父Fの金融を図るため、昭和三二年二月 頃から昭和三三年一月初頃までの間、Eから市販の約束手形用紙の交付を受け、執 務時間中に会社代表者が机を離れているすきを見計つて机上の印箱の中から会社お よび代表者の各記名印および印章を取り出して、勝手に押捺し、合計約六、七〇枚 の上告会社振出名義の約束手形を偽造したものであり、被上告人B1の所持する本 件約束手形は、その振出日である昭和三二年一二月二五日頃、被上告人B2の所持 する本件約束手形は、その振出日である同年同月一一日頃それぞれ作成されたとい うのである。  ところで、Dがした一連の手形偽造行為のうち同人が手形係として前示手形作成 準備事務を担当していた時期にかかる分は、明らかに、外形上同人の職務の範囲内 に属するとみられるが、かかる外観は、同人が手形係を免ぜられたからといつて、 一挙に失われるものと速断すべきではない。むしろ、原審の確定した事実によれば、 (一)Dは、本件約束手形を偽造した当時、すでに手形係を免ぜられていたものの、 同じ会計係員として、割引手形を銀行に使送する職務を現実に担当していたの べきではない。むしろ、原審の確定した事実によれば、 (一)Dは、本件約束手形を偽造した当時、すでに手形係を免ぜられていたものの、 同じ会計係員として、割引手形を銀行に使送する職務を現実に担当していたのであ つて、会計係として手形を取り扱う点において、手形の作成は同人の右職務と相当 の関連性があつたこと、(二)上告会社事務所の構造、机の配置上、同人が手形作 成事務から無関係となつたことにつき、単に事務分配の変更命令があつた以外に、 客観的条件の随伴が甚だ不完全であり、かえつて、執務時間中における印章等の保 管方法が厳重でなかつた事情も加わつて、Dが右印章等を冒用して勝手に会社振出 - 2 - 名義の手形を作成するのが容易な状況にあつたこと、(三)Dが手形作成準備事務 を担当していた当時から始められた一連の偽造行為を遮断してその継続を不能なら しめるのに実効のある的確な処置はとられていなかつたことが明らかであり、叙上 の事実関係に徴すれば、Dの本件手形偽造行為は前段説示の意味において外形上同 人の職務の範囲内に属するとみられるのであるから、民法七一五条にいう「事業ノ 執行ニ付キ」なされたものと解するのが相当である。したがつて、結局これと同趣 旨に出た原審の判断は正当であり、原判決に所論の違法はない。所論は採用できな い(所論引用の判例は、本件と事案を異にし、本件に適切でない)。  よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと おり判決する。      最高裁判所第三小法廷          裁判長裁判官    横   田   正   俊             裁判官    五 鬼 上   堅   磐             裁判官    柏   原   語   六             裁判官    田   中   二   郎               裁判官    五 鬼 上   堅   磐             裁判官    柏   原   語   六             裁判官    田   中   二   郎             裁判官    下   村   三   郎 - 3 -

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