令和6年9月25日判決言渡 令和5年(行ケ)第10143号審決取消請求事件 口頭弁論終結日令和6年7月10日判決 原告 株式会社大同機械 同訴訟代理人弁護士 中岡起代子 鈴木佑一郎 同訴訟代理人弁理士 小島浩嗣 被告 ジー・オー・ピー株式会社 同訴訟代理人弁護士 小林幸夫 弓削田博 平田慎二 同訴訟代理人弁理士 國分孝悦 栗川典幸 関直方 古野久美子 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由本判決の本文中で用いる略語は、次のとおりである。 本件審決特許庁の無効2022-800006号事件の審決(その抜粋は別紙1参照) 本件特許被告を特許権者とする特許第6783478号 本件各発明本件特許に係る発明の総称各請求項に係る発明は、請求項の番号に対応して「本件発明1」などという。 本件明細書本件訂正後の本件特許に係る明細書及び図面( 6783478号本件各発明本件特許に係る発明の総称各請求項に係る発明は、請求項の番号に対応して「本件発明1」などという。 本件明細書本件訂正後の本件特許に係る明細書及び図面(甲56。その抜粋は別紙2参照)本件訂正被告の令和5年5月19日付け訂正請求書(甲71)による訂正甲8発明長岡産業株式会社製「台車用安全カバー」(おててまもるくん) のパンフレット(甲8の3。別紙3参照)に記載された台車用ハンドルに係る発明(本件審決認定の甲8発明に同じ。)甲8台車発明甲8の3に記載された台車に係る発明(本件審決認定の甲8発明’に同じ。)甲9発明労働新聞社発行の雑誌「安全スタッフ」No.2251号(甲9 の1)、同誌のウェブサイト記事(甲9の2)、同雑誌No.2252号(甲10の1)、同誌のウェブサイト記事(甲10の2)に記載された台車用の長尺状の部材に係る発明(本件審決認定の甲9発明及び甲10発明に同じ。)甲9台車発明甲9の1・2、甲10の1・2に記載された台車に係る発明 (本件審決認定の甲9発明’及び甲10発明’に同じ)甲3発明労働新聞社発行の雑誌「安全スタッフ」No.2253号(甲3の1)、同誌のウェブサイト記事(甲3の2。別紙4参照)に記載された手押部材に係る発明(本件審決認定の甲3発明に同じ。)第1 請求 特許庁が無効2022-800006号事件について令和5年11月1日にし た審決のうち、「本件審判の請求は、成り立たない。」との部分を取り消す。 第2 事案の概要本件は、無効審判請求を不成立とした審決の取消訴訟である。争点は、進歩性欠如の無効理由についての判断の誤りの有無である。 1 特許庁における手続の経緯等(争 を取り消す。 第2 事案の概要本件は、無効審判請求を不成立とした審決の取消訴訟である。争点は、進歩性欠如の無効理由についての判断の誤りの有無である。 1 特許庁における手続の経緯等(争いがない) (1) 被告は、発明の名称を「手押部材および運搬台車」とする発明について、令和元年6月14日、特許出願をし、令和2年10月26日、本件特許に係る特許権の設定登録を受けた。 この出願は、平成28年11月7日を出願日とする特許出願(特願2016-217337号。優先権主張:同年8月31日)の一部を新たな特許出 願としたものである。 (2) 原告は、令和4年2月4日、本件特許につき、無効審判を請求した(無効2022-800006号事件)。 (3) 被告は、 令和5年5月19日、本件特許の特許請求の範囲及び明細書の訂正を求める本件訂正を請求した。 (4) 特許庁は、同年11月1日、「特許第6783478号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3〕、4について訂正することを認める。本件審判の請求は、成り立たない。」との本件審決をし、その謄本は、同月10日、原告に送達された。 (5) 原告は、同年12月8日、本件審決の取消しを求める本件訴えを提起した。 2 本件各発明の内容本件訂正後の特許請求の範囲(請求項の数4)の記載は、次のとおりである(下線部は訂正箇所を示す。)。 【請求項1】 運搬台車の4隅に位置する上下方向に沿った挿入孔に挿入され、前記 運搬台車を走行させるときに使用者が手で押すための前記上下方向に沿った長尺状の手押部材であって、使用者が手で掴むグリップ部と、前記上下方向に対して直 入され、前記 運搬台車を走行させるときに使用者が手で押すための前記上下方向に沿った長尺状の手押部材であって、使用者が手で掴むグリップ部と、前記上下方向に対して直交する方向から見て前記グリップ部と重ならない位置に配置されると共に、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出 させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部と、を有する手押部材であって、前記保護部が設けられた保護部材は一体に形成された部材からなり、前記手押部材の長尺状かつパイプ状の本体部材を挿入して前記本体部材に装着するための取付穴を有する ことを特徴とする手押部材。 【請求項2】前記保護部は、該手押部材の端部から離れた位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の手押部材。 【請求項3】 前記保護部は、使用者が前記グリップ部を掴んだ場合に、前記グリップ部を掴んだ手の小指側の位置に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の手押部材。 【請求項4】運搬物を積載して走行部によって走行する台車本体部と、 前記台車本体部の4隅に位置する上下方向に沿った挿入孔に挿入され、使用者が手で押すための前記上下方向に沿った長尺状の手押部材と、を有する運搬台車であって、前記手押部材は、使用者が手で掴むグリップ部と、 前記上下方向に対して直交する方向から見て前記グリップ部と重ならな い位置に配置されると共に、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部と、を有する運搬台車であって、前記保護部が設けられた保護部材は一体に形成された部材からなり、前記手押部材の長尺 に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部と、を有する運搬台車であって、前記保護部が設けられた保護部材は一体に形成された部材からなり、前記手押部材の長尺状かつパイプ状の本体部材を挿入して前記本体部材 に装着するための取付穴を有することを特徴とする運搬台車。 参考:本件明細書の図1(実施例1) 3 本件審決の理由 本件審決は、本件訂正を認めた上で、原告主張の無効理由1(甲8発明及び甲8台車発明に基づく新規性欠如)、同2(甲8発明及び甲8台車発明に基づく進歩性欠如)、同3(甲9発明及び甲9台車発明に基づく進歩性欠如)、同4(甲1に記載された発明に基づく新規性欠如)及び同5(明確性要件違反)をいずれも認めなかった。 本件審決の理由のうち原告が後記4において審決取消事由として主張する部分(前記無効理由2及び同3に係る部分。これに関連する前記無効理由1に係る部分も含む。)の要旨は、別紙1「本件審決の抜粋」のとおりである。また、本件審決が判断の前提として認定した各相違点は、別紙5「相違点一覧表」の とおりである。 4 原告の主張する審決取消事由(1) 取消事由1甲8発明及び甲8台車発明に基づく進歩性欠如に関する判断の誤り(2) 取消事由2 甲9発明及び甲9台車発明に基づく進歩性欠如に関する判断の誤り第3 当事者の主張 1 取消事由1(甲8発明及び甲8台車発明に基づく進歩性欠如に関する判断の誤り)について(1) 甲8発明、甲8台車発明及び相違点の認定について (原告の主張)ア本件審決が、甲8発明の台車用安全カバーをコ字状のパイプの「カーブ部分の位置に配置される」と認定したことは誤りで (1) 甲8発明、甲8台車発明及び相違点の認定について (原告の主張)ア本件審決が、甲8発明の台車用安全カバーをコ字状のパイプの「カーブ部分の位置に配置される」と認定したことは誤りである。甲8発明の台車用安全カバーは、垂直な長尺状の手押部材(例:甲11~13)にも装着可能である。 イ被告は、人がものを掴んだときの手の甲までの厚みは約42㎜であるから、厚さ40㎜の台車用安全カバーでは手の保護が図れないと主張するが、理由がない。甲8発明の台車用安全カバーと同一の製品を台車の直線状の部分に取り付け、これを握った場合に手を保護することができることは実際に確認されているし(原告準備書面(2)11~13頁の写真)、 本件明細書には、第1、第2の実施例(【0014】、【0017】、【0018】、【0027】、【0030】)の内容として、グリップの外周から保護部の外周までの長さは25~40㎜のものが好適であり、30~35㎜のものがさらに好適である旨が記載されている。 ウしたがって、本件審決の相違点の認定も誤りであり、甲8相違点1、2 を正しく認定すれば、台車用安全カバーをコの字型のハンドルの台車に代 えて、直線の手押部材を有する周知慣用の台車(甲12等)に適用することは、当業者が容易に想到し得たといえる。 (被告の主張)ア本件審決の甲8発明及び相違点の認定に誤りはない。 甲8発明の台車用安全カバーは、コ字状のハンドルのカーブ部分に取 り付けることにより、使用者の手がハンドルの上下方向の直線状の部分に掛からないように規制することができるというものである。 イ甲8発明の台車用安全カバーを直線状の部分に取り付けた場合には、直線状の部分の外周面から台車用安全カバーの外周面までが40㎜となる 部分に掛からないように規制することができるというものである。 イ甲8発明の台車用安全カバーを直線状の部分に取り付けた場合には、直線状の部分の外周面から台車用安全カバーの外周面までが40㎜となるが、人がものを掴んだとき、手のひらから手の甲までの厚みは約42㎜である から、手の保護を図ることができない。 (2) 甲8相違点1の容易想到性について(原告の主張)甲8相違点1を本件審決のとおり認定したとしても、甲8発明の台車用安全カバーの取り付け対象は「コ字状のハンドル」のみに限定されるものでは なく、曲がった部分のない直線の手押部材にも適用可能であった。 そして、台車のハンドルを握った手が挟まれるという課題は、直線の手押部材の台車においても発生するものであることが知られていたから(甲9、10)、解決課題が共通する。 さらに、本件優先日当時、コの字型ハンドルの台車(甲3、8(いずれも 各枝番を含む。以下、特に枝番を表記しない証拠につき同じ。))と、棒状・直線状の手押部材を有する台車(甲1、9~12、44~46等)はいずれも周知であり、当業者はどちらのタイプの台車も現場の状況に応じて適宜選択可能であった。 したがって、当業者は、甲8発明の台車用安全カバーを、上下方向に沿っ た直線の手押部材に取り付け、周知技術の台車に適用することを容易に想到 し得た。 (被告の主張)本件審決の判断に誤りはない。 甲8発明の台車用安全カバーは、ハンドルのカーブ部分に取り付けてカーブ部分における手挟みを防止することを課題とするものであるが、長尺状の 手押部材にはカーブ部分は存在しないから、両者において課題の共通性はない。 また、長尺状の手押部材は、甲8発明のハンドルの水平部分のような、こ を防止することを課題とするものであるが、長尺状の 手押部材にはカーブ部分は存在しないから、両者において課題の共通性はない。 また、長尺状の手押部材は、甲8発明のハンドルの水平部分のような、ここを握っていれば安全との部分がないから、手挟み事故防止の観点から、甲8発明のコ字状のハンドルを長尺状の手押部材に置き換えることに動機付け はなく、むしろ阻害要因がある。 (3) 甲8相違点2の容易想到性について(原告の主張)本件審決は、甲8相違点2の容易想到性の判断において、甲8相違点1と同様に、「台車用安全カバー」の取付対象を「コ字状のハンドル」から「上 下方向に沿った長尺状の手押部材」に変更する動機付けがないことを理由として、甲8相違点2に係る構成とする動機付けを否定した。 しかし、前記のとおり、甲8発明の台車用安全カバーは、曲がった部分のない直線の手押部材にも適用可能であったから、その前提となる事実認定において誤っている。 そして、甲8発明の台車安全カバーの取付対象を「上下方向に沿った長尺状の手押部材」とした場合には、台車安全カバーは、「前記上下方向に対して直交する方向から見て前記グリップ部と重ならない位置に配置されると共に、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する」構成を有することになる。 (被告の主張) 本件審決の判断に誤りはない。 甲8発明の台車用安全カバーは、カーブ部分に斜めに取り付けて角を接触させることにより手の保護を図ることができるものであり、カーブ部分に装着することしか想定されていない。 (4) 本件発明4について (原告の主張)前記主張した甲8発明及び甲8相違点2の とにより手の保護を図ることができるものであり、カーブ部分に装着することしか想定されていない。 (4) 本件発明4について (原告の主張)前記主張した甲8発明及び甲8相違点2の認定、甲8相違点2の容易想到性の判断の誤りと同様の理由から、本件発明4についての本件審決の甲8台車発明及び甲8相違点5の認定、甲8相違点5の容易想到性がないとする判断は、いずれも誤りである。 (被告の主張)争う。 2 取消事由2(甲9発明及び甲9台車発明に基づく進歩性欠如に関する判断の誤り)について(1) 甲8発明との組合せによる甲9相違点2の容易想到性 (原告の主張)本件審決は、「甲8発明は、台車用ハンドルのコ字状のパイプのコーナーのカーブ部分に取り付けるために適した構成上の特徴を有するものである」との認定を前提として、甲9発明の台車の「手で掴むことができる部分」は「コ字状のパイプ」の「カーブ部分」に相当するものではないから、甲9発 明に甲8発明を適用する動機付けがないと判断した。 しかし、この前提とされた認定が誤りであることは既に述べたとおりである。 また、甲9発明と甲8発明は、台車及びこれに使用される手押部材という技術分野及び物品が共通し、さらに、甲9、10には上下方向に沿った長尺 状の手押部材において手挟みの危険があることが開示されており、手押部材 において手挟みの危険を防止するという課題が同一であることからすれば、甲9発明の課題に接した当業者であれば、甲8発明を適用する強い動機付けがあるといえる。 (被告の主張)本件審決の判断に誤りはない。 甲8発明は、ハンドルのカーブ部分における手挟みを防止することを課題とするものであるが、甲9発明の 用する強い動機付けがあるといえる。 (被告の主張)本件審決の判断に誤りはない。 甲8発明は、ハンドルのカーブ部分における手挟みを防止することを課題とするものであるが、甲9発明の長尺状の部材にはカーブ部分は存在しないから、課題の共通性はなく、甲8発明を甲9発明に適用する動機付けがないことは明らかである。 (2) 甲3発明との組合せによる甲9相違点2の容易想到性 (原告の主張)甲3発明との組合せにより甲9相違点2が容易想到であるとの本件審決の判断に誤りはない。 ア甲3、9、10は、同一の執筆者による「侮るなかれ!台車作業11のリスク」と題する一連の雑誌記事であり、甲9、10には台車を掴んだ作 業者の手指が周囲にある物体に接触して挟まれる災害が発生していることが記載されているから、当業者は、甲9、10に記載された課題の解決が甲3に記載されていることを理解する。 そして、甲3発明の鍔状ガードは、手の移動範囲を規制する効果を有するものではあるが、100㎜の外径を備えることにより、握った手よ りも大きく張り出し、取っ手(グリップ)を握った手がはみ出さないような外径を備えたものとなっており、当業者は、使用者の手が物体に接触することを防止する作用を有することを当然に理解する。 イ被告は、甲9発明に鍔状ガードを取り付けても握る位置の特定がなされないため、甲3発明を組み合わせる動機付けがないと主張するが、甲3発 明の鍔状ガードは、台車を持つ手の小指側に対面する形で取り付けられる ものであるから、握る位置の特定は自ずとなされる。 甲3の図3には、(A)台車幅を超えないように取り付けられる赤色エンドストッパ(鍔状ガード)、(B)「持つ位置の表示」、(C)「取っ手の高さは押しやす であるから、握る位置の特定は自ずとなされる。 甲3の図3には、(A)台車幅を超えないように取り付けられる赤色エンドストッパ(鍔状ガード)、(B)「持つ位置の表示」、(C)「取っ手の高さは押しやすさを考慮し、900㎜程度に設置する」、(D)「積荷との干渉を防止するために、支柱と取っ手間の距離を80 ㎜以上確保する。」との説明があるところ、(A)の鍔状のガードは挟まれ防止、(B)は持つ位置の表示の基準化、(C)は押しやすさ、(D)は積荷との干渉防止であって、それぞれ違う機能・作用を有することが説明されており、当業者が、(A)~(D)の全てを採用しない限り手指の挟まれを防止することができないと理解することはない。 被告が指摘する、台車幅を超えないとの記載は、台車の水平部分が台車幅を超えないことを記載しているのであり、鍔状ガードを台車幅を超えて付けてはならないことを記載したものではない。 ウ甲3の図3および写真2において、鍔状ガードは握った手よりも鍔状のガードが大きく張り出し、グリップを握った手がはみ出さないような外径 を備えたものとなっていることが分かるから、技術思想として、鍔状のガードが物体に接触することにより、使用者の手が物体に接触することを防止するという発明が記載されているといえる。 (被告の主張)甲3発明との組合せにより甲9相違点2が容易想到であるとする本件審決 の判断は誤りである。 ア甲9、10には、保護部材を取り付ける示唆が全く存在しない。 イ甲3発明は、台車のコ字状のパイプの水平方向に沿った取っ手において、これ以上左右方向に手が移動すると手挟みの危険がある位置に一対の鍔状ガードを取り付けて手の移動範囲を規制することにより、手が周囲の物体 に接触することを防止するものであ 沿った取っ手において、これ以上左右方向に手が移動すると手挟みの危険がある位置に一対の鍔状ガードを取り付けて手の移動範囲を規制することにより、手が周囲の物体 に接触することを防止するものであり、鍔状ガード自体によって手と周囲 の物体との接触を防止するものではない。したがって、水平な取っ手部分が存在しない甲9発明に、水平な取っ手部分での手の移動範囲を規制する甲3発明の鍔状ガードを適用する動機付けがない。 ウ甲9発明の長尺状の部材は、どこを握っても手挟み事故の可能性があるところ、甲3発明の鍔状ガードを取り付けて手の移動範囲を規制したとし ても、握る位置の特定がなされず、その移動範囲内で手挟みが生じる可能性があるから、その意味においても、甲3発明の鍔状ガードを適用する動機付けがない。 エ取っ手における手の移動範囲を規制することにより手挟みを防止する甲3発明の鍔状ガードと、それ自体で手挟みを防止する本件発明1の保護部 材とは、その作用、機能を全く異にするから、甲3発明の鍔状ガードを甲9発明の長尺状の部材に取り付けても、本件発明1の保護部材のような手挟み防止の機能を発揮することができない。 また、甲3発明のパイプの外周から鍔状ガードの半径方向外端までの寸法は、(100㎜-34㎜)÷2=33㎜であるが、人がものを掴んだ ときの手の甲までの厚みは約42㎜であるから、取っ手を掴んだ手が鍔状ガードの外端からはみ出してしまう。加えて、甲3の図3には「積荷との干渉を防止するために、支柱と取っ手間の距離を80㎜以上確保する。」との記載があるから、甲3発明の鍔状ガードには、積荷と手の接触を防止する機能はない。 オ当業者は甲3・図3の(A)~(D)(前記(原告の主張)イ)がセットとなって手指の挟まれを防止する 」との記載があるから、甲3発明の鍔状ガードには、積荷と手の接触を防止する機能はない。 オ当業者は甲3・図3の(A)~(D)(前記(原告の主張)イ)がセットとなって手指の挟まれを防止するための必須の構成であることを理解する。したがって、(A)のみを抜き出して甲9発明に適用することに動機付けはない。 カ甲9発明に甲3発明の鍔状ガードを適用してしまうと、甲3の図3の 「台車幅を超えない」とする注意書きに反して、台車幅を超えて鍔状ガー ドを取り付けることになりかねないから、阻害要因がある。 (3) 甲3発明との組合せによる甲9相違点3の容易想到性(原告の主張)ア甲9相違点3に係る本件発明1の構成は、保護部材の成形方法の相違にすぎない。台車を掴んだ手を保護する保護部を備えた保護部材が一体形成 された点については本件優先日前から知られており(甲1、8、14、37、41等)、保護部材を分割したものとするか一体化するかは、当業者が適宜選択可能な設計事項にすぎない。 保護部材の取付け方法が簡単かどうかは、「手押部材」ないし「運搬台車」が備える効果ではない。また、本件発明の保護部材を取り付ける ためには手押部材と保護部材に予め穴をあけ、ボルトやリベット等で固定する作業が必要であるから(本件明細書【0035】、【0045】、【0046】、【図8】、【図11】、【図14】、甲75、76)、「甲第3号証の『鍔状ガード』と比べ、本体部材への保護部材の取り付け作業の容易化を図ることができる。」との効果を有するものではない。 イ端部が解放された手押部材及びそのような手押部材を備えた台車は周知であるところ(甲11、12、45、46)、本件審決は、甲9相違点3については、開放された端部が存在しないから はない。 イ端部が解放された手押部材及びそのような手押部材を備えた台車は周知であるところ(甲11、12、45、46)、本件審決は、甲9相違点3については、開放された端部が存在しないから「鍔状ガード」を「一体に形成された部材」とすることができないと判断しており、開放された端部が存在するかのような甲9相違点1についての判断と整合しない。 ウ ①甲9発明の「上下方向に沿った長尺状の部材」を、周知の「上下方向に沿った挿入孔に挿入する長尺状の手押部材」とすることは周知・慣用技術の適用・付加に過ぎず、②周知の「上下方向に沿った挿入孔に挿入する長尺状の手押部材」には、開放された端部が存在するのであるから、当業者は、甲1等において示されているような一体形成された甲3発明の「鍔 状ガード」を適用することができる。 エ本件審決は、本件発明1の「前記手押部材の長尺状かつパイプ状の本体部材を挿入して前記本体部材に装着する」について、動作が規定されていると判断したが、本件発明は、「手押部材」ないし「運搬台車」という「物」の発明であるから、取付動作の違いは、「物」自体の相違とはいえない。 さらに、本件審決は、本件発明1の「前記手押部材の長尺状かつパイプ状の本体部材を挿入して前記本体部材に装着するための取付穴」における「挿入して」との点を、根拠なく、独自に「取付穴の中心方向から挿入して」と限定的に解釈したものであり、誤りである。一体形成された鍔状の部材を、長尺状かつパイプ状の本体部材の「横側から」挿入し て本体部材に装着する構成は、「前記手押部材の長尺状かつパイプ状の本体部材を挿入して前記本体部材に装着する」構成と同じである。 (被告の主張)ア甲9相違点3に係る本件発明の構成は、本体部材への保護 に装着する構成は、「前記手押部材の長尺状かつパイプ状の本体部材を挿入して前記本体部材に装着する」構成と同じである。 (被告の主張)ア甲9相違点3に係る本件発明の構成は、本体部材への保護部材の取付け作業の容易化、保護部材の製造工程の簡素化を図るという特別な技術意 義を有するものである。 甲9相違点3に係る構成は、甲3発明の鍔状ガードのように上下に分割された上下のパーツを結合する作業が必要とならない点において、取付け作業の容易化を図ることができるのであるから、取付部をボルト又はリベットで固定するという作業の有無は関係がない。 イ本件審決は、甲9相違点1の判断において、甲9発明の「枠状フレーム」をそのまま運搬台車の4隅に位置する上下方向に沿った挿入孔に挿入して構成することが容易想到と認定したのであって、「枠状フレーム」を開放された端部が存在する構成に変更することまでが容易想到とは認定していない。 ウ甲9発明の「枠状フレーム」を開放された端部が存在する構成とするこ とは、当業者にとって容易ではなく、甲9発明の「枠状フレーム」の長尺部材に、甲3発明の鍔状ガードを一体に形成された(分割できない)鍔状ガードとした上で装着することは、不可能である。 エ本件発明の「保護部材」は、長尺状かつパイプ状の本体部材を挿入して装着する構成である以上、「取付穴」の中心方向から長尺状かつパイプ状 の本体部材を挿入して装着する構成に限定されることになる。 甲1のような、係止孔1aに切欠部2を設けてこじ開け可能にした鍔状部材は、長尺状かつパイプ状の本体部材が切欠部2に挿入される構成というべきものであり、係止孔1aに挿入される構成ではない。 (4) 本件発明4について (原告の主張)前記 状部材は、長尺状かつパイプ状の本体部材が切欠部2に挿入される構成というべきものであり、係止孔1aに挿入される構成ではない。 (4) 本件発明4について (原告の主張)前記主張した、甲8発明と組み合わせた場合の甲9相違点2の容易想到性の判断の誤り、甲3発明と組み合わせた場合の甲9相違点3の容易想到性の判断の誤りと同様の理由から、本件発明4について、甲8発明と組み合わせた場合の甲9相違点5の容易想到性、甲3発明と組み合わせた場合の甲9相 違点6の容易想到性がないとする判断は、いずれも誤りである。 (被告の主張)争う。 第4 当裁判所の判断 1 本件各発明の技術的意義 本件明細書には、別紙2「本件明細書の抜粋」の記載がある。 これによれば、本件各発明の技術的意義は、次のとおりと認められる。 (1) 技術分野本発明は、手押部材および運搬台車に関し、特に、使用者の手に運搬台車の周辺の物体等に接触しないようにする保護する手押部材等に関する(【0 001】。【 】内の数字は本件明細書の段落番号である。以下同じ。)。 (2) 背景技術と課題建設現場等で使用される運搬台車には、手押し棒として単管を挿入可能なコーナ部材が4隅部に設けられた運搬台車があり、使用者は、運搬台車の移動の際に、運搬台車の本体に差し込んだ単管を手押し棒として用いることができるが、手押し棒を掴んでいる(握っている)使用者の手が壁等といった 周辺に存在する物体に接触するおそれがあるところ、本発明は、使用者の手が運搬台車の周辺の物体等に接触しないようにすることを目的とする(【0002】~【0004】)。 (3) 課題を解決するための手段本件発明1から3までの発明は、運搬台車の4隅に位置する上下方向に沿 運搬台車の周辺の物体等に接触しないようにすることを目的とする(【0002】~【0004】)。 (3) 課題を解決するための手段本件発明1から3までの発明は、運搬台車の4隅に位置する上下方向に沿 った挿入孔に挿入され、前記運搬台車を走行させるときに使用者が手で押すための前記上下方向に沿った長尺状の手押部材であって、使用者が手で掴むグリップ部と、前記上下方向に対して直交する方向から見て前記グリップ部と重ならない位置に配置されると共に、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保 護する保護部と、を有する手押部材であって、前記保護部が設けられた保護部材は一体に形成された部材からなり、前記手押部材の長尺状かつパイプ状の本体部材を挿入して前記本体部材に装着するための取付穴を有することを特徴とする(請求項1、【0005】)。また、本件発明4は、運搬物を積載して走行部によって走行する台車本体部と、前記上下方向に沿った長尺状 の前記手押部材と、を有する運転台車である(請求項4、【0005】)。 (4) 本件各発明の効果本件各発明によれば、使用者の手が運搬台車の周辺の物体等に接触しないようにすることができる(【0006】)。 2 取消事由1(甲8発明及び甲8台車発明に基づく進歩性欠如に関する判断 の誤り)について (1) 甲8発明、甲8台車発明及び相違点の認定についてア甲8発明、甲8台車発明の認定(ア) 甲8の3の内容は別紙3のとおりであり、これによれば、本件審決(別紙1の第6の(3-5))が認定する甲8発明及び甲8台車発明(本件審決では「甲8発明’」)の内容は相当であると認められ、そ の認定に誤りはない。 (イ) り、これによれば、本件審決(別紙1の第6の(3-5))が認定する甲8発明及び甲8台車発明(本件審決では「甲8発明’」)の内容は相当であると認められ、そ の認定に誤りはない。 (イ) これに対し、原告は、甲8発明の台車用安全カバーは垂直な長尺状の手押部材にも装着可能であり、コ字状のハンドルのカーブ部分に対してのみ取り付け可能な製品ではないから、甲8発明の台車用安全カバーをコ字状のパイプの「カーブ部分の位置に配置される」と認定した ことは誤りであると主張する。 しかし、甲8発明の台車用安全カバーを垂直な長尺状の手押部材に装着することが物理的に可能であるとしても、甲8の3の記載及び掲載された写真からすれば(原告指摘の「3.完成」の下に示された写真も、カーブ部分に掛かるように装着されていると認められる。)、甲 8発明の台車用安全カバーは、コ字状のパイプのカーブ部分に取り付けることにより、使用者の手は安全なパイプの水平部分をつかみ、上下方向のパイプ部分に掛からないように規制し、これによって手挟み事故を防止するという技術的意義を有するものであると認められる。 このことは、本件優先日より後に販売された同一の構成の台車用安全 カバーのパンフレット(甲8の2)に、甲8の3と同内容の写真とともに「ハンドルのカーブ部分に挟み込み、テープをはがして包むだけ!」と表記されていることからも裏付けられる。 そして、両パンフレットとも、カーブ部分に装着することが単なる使用例にすぎない等の記載はない。 以上によれば、甲8発明及び甲8台車発明に関する本件審決の認定に 誤りがあったとは認められず、原告の主張は採用することができない。 イ相違点の認定について甲8発明及び 以上によれば、甲8発明及び甲8台車発明に関する本件審決の認定に 誤りがあったとは認められず、原告の主張は採用することができない。 イ相違点の認定について甲8発明及び甲8台車発明は前記アのとおりであると認められ、別紙5のとおり、本件発明1と甲8発明とを対比すると、本件審決の認定する甲8相違点1から3までが、本件発明4と甲8台車発明とを対比する と、本件審決の認定する甲8相違点4から6までが、それぞれ認められる。 (2) 甲8相違点1の容易想到性についてア甲8相違点1は、「本件発明1は『上下方向に沿った長尺状の手押部材』であって、当該部材が有する『グリップ部』も『上下方向に沿った』も のであるのに対して、甲8発明は『コ字状』の『台車用ハンドル』であって、当該ハンドルが有する『グリップ部』は『コ字状のパイプの水平部分』である点」である。 イ前記のとおり、甲8発明は、台車に固定されたコ字状のパイプと、パイプに取り付けられた台車用安全カバーとから構成される台車用ハンドル の発明であって、ハンドルの水平部分をグリップ部とし、ハンドルのカーブ部分に台車用安全カバーを取り付けることで、使用者の手がハンドルの上下方向の直線部分に掛からないように規制して手挟み事故を防止するとともに、使用者に対し、当該ハンドルの水平部分において安全に掴むことができるグリップ部の位置を認識させる作用を奏するという点 に技術的な意味がある発明であると認められる。 そうすると、甲8発明は、コ字状のハンドルの水平部分をグリップ部とすること及び当該ハンドルにはカーブ部分があることを前提にした発明であって、台車用安全カバーの取付対象となるハンドルの形状について、台車用安全カバーを取り付けるためのハンドル 水平部分をグリップ部とすること及び当該ハンドルにはカーブ部分があることを前提にした発明であって、台車用安全カバーの取付対象となるハンドルの形状について、台車用安全カバーを取り付けるためのハンドルのカーブ部分も使用 者が安全に掴むことができるハンドルの水平部分も存在しない形状であ る上下方向に沿った長尺状のハンドルとすることは想定されていない。 また、このような上下方向に沿った長尺状のハンドルの安全に掴むことができるグリップ部の位置を使用者に認識させることも想定されていない。甲8発明のコ字状のパイプを、上下方向に沿った長尺状の手押部材とすることは、甲8発明の技術的意義を失わせるものであるから、この ような動機付けがあったとは認められない。 また、甲8発明は、使用者が周囲の物体との間で手が挟まれることなく安全に掴むことができる水平部分が存在することを前提にハンドルのカーブ部分に安全カバーを取り付けることにより、手挟み事故を防止し、かつ、安全に掴むことができるグリップの位置を認識させる機能を有す るものである。これに対し、運転台車の4隅に位置する上下方向に沿った長尺状の手押部材は、どの位置を掴んだとしても周囲の物体との間で手が挟まれるという危険性を有するから、甲8発明のハンドルをこのような形状に変更することには、むしろ阻害要因があるというべきである。 ウ原告は、当業者は、甲8発明の台車用安全カバーを、コの字型ハンドル の台車に代えて、上下方向に沿った直線の手押部材に取り付け、周知技術の台車に適用することを容易に想到し得たと主張する。 しかし、原告の主張するように、甲8発明の台車用安全カバーが直線の手押部材にも適用可能であり、直線状の手押部材を有する台車は周知であってハンドルを握った手が挟まれるとい 想到し得たと主張する。 しかし、原告の主張するように、甲8発明の台車用安全カバーが直線の手押部材にも適用可能であり、直線状の手押部材を有する台車は周知であってハンドルを握った手が挟まれるという課題が共通するとしても、甲8 発明においては、コ字状のパイプを上下方向に沿った長尺状の手押部材とする動機付けがあったとは認められず、むしろそのような変更に阻害要因があることは、前記イのとおりであるから、原告の主張は採用することができない。 (3) 甲8相違点2の容易想到性について ア甲8相違点2は、「『前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触し ないように保護する保護部』が、本件発明1では、『前記上下方向に対して直交する方向から見て前記グリップ部と重ならない位置に配置されると共に、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する』ものであり、また、『保護部』が、『保護部材』に設けられており、『前記保護部が 設けられた保護部材は一体に形成された部材からなり、前記手押部材の長尺状かつパイプ状の本体部材を挿入して前記本体部材に装着するための取付穴を有する』のに対し、甲8発明では、『グリップ部の両端から延びる』『カーブ部分の位置に配置されるとともに、寸法を外径106㎜、内径26㎜、長さ100㎜及び厚み40㎜とし、グリップ部を掴ん だ手が、ハンドルのカーブ部分にかからないように手の移動を規制するとともに、グリップ部を向く部分とは反対側の部分を先んじて周囲の物体に接触させ、グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないようにする台車用安全カバー』とされている点」である。 イ前記(2)のとおり、甲8発明は、コ字状のハンドルの水平部分をグリッ 囲の物体に接触させ、グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないようにする台車用安全カバー』とされている点」である。 イ前記(2)のとおり、甲8発明は、コ字状のハンドルの水平部分をグリッ プ部とすることを前提とした上で、カーブ部分に台車用安全カバーを取り付けることで、使用者の手がハンドルの上下方向の直線部分に掛からないように規制して、手挟み事故を防止するとともに、使用者に対して、当該ハンドルの水平部分において、安全に掴むことができるグリップ部の位置を認識させる作用を奏するものであるから、甲8発明の台車用安全カバー の取付位置を、コ字状のハンドルのカーブ部分に換えて、ハンドルのカーブ部分がなく、かつ、使用者が安全に掴むことができるハンドルの水平部分が存在しない、上下方向に沿った長尺状の手押部材に変更する動機付けがあったとは認められない。 ウ原告は、甲8発明の台車用安全カバーは曲がった部分のない直線の手押 部材にも適用可能であったから、取り付ける対象を「上下方向に沿った長 尺の手押部材」とした場合、甲8相違点2に係る構成を有することになると主張するが、その前提となる「上下方向に沿った長尺状の手押部材に変更する」動機付けが認められないから、原告の主張は採用することができない。 (4) 本件発明4について 本件発明4と甲8台車発明との相違点である甲8相違点4、5は、甲8相違点1、2と実質的に同じ内容であるから、その容易想到性の判断は、前記(2)、(3)と同様である。 (5) 取消事由1についての結論以上のとおり、本件審決の甲8発明、甲8台車発明及び相違点の認定に誤 りはなく、甲8相違点1、2、4、5の容易想到性の判断にも誤りはないから、本件審決の甲8発明及び甲8台 いての結論以上のとおり、本件審決の甲8発明、甲8台車発明及び相違点の認定に誤 りはなく、甲8相違点1、2、4、5の容易想到性の判断にも誤りはないから、本件審決の甲8発明及び甲8台車発明に基づく進歩性欠如に関する判断に誤りはなく、取消事由1は認められない。 3 取消事由2(甲9発明及び甲9台車発明に基づく進歩性欠如に関する判断の誤り)について 事案に鑑み、甲9相違点2の容易想到性から判断する。 (1) 甲8発明との組合せによる甲9相違点2の容易想到性についてア前記のとおり、甲8発明は、コ字状のハンドルの水平部分をグリップ部とすることを前提とした上で、コ字状のハンドルのカーブ部分に台車用安全カバーを取り付けることで、使用者の手がハンドルの上下方向の直線部 分に掛からないように規制して手挟み事故を防止するとともに、使用者に対し、当該ハンドルの水平部分において安全に掴むことができるグリップ部の位置を認識させる作用を奏するものといえる。 他方、甲9発明の手で掴むことができる部分は、上下方向に沿った長尺状の部材の一部であり、甲8発明のように、台車用安全カバーを取り 付けるためのコ字状のハンドルのカーブ部分や、使用者が安全に掴むこ とができるハンドルの水平部分は存在しないから、甲9発明の上下方向に沿った長尺状の部材に対して、甲8発明の台車用安全カバーを適用する動機付けがあったとは認められない。 イ原告は、甲9、10から、上下方向に沿った長尺状の手押部材において、長尺状の手押部材を掴んだ手が挟まれるという課題を認識することがで きるから、その課題を解決する目的で、甲8発明の台車用安全カバーを取り付ける動機付けがあると主張する。 確かに、甲9、10には、上下方向に沿った長 んだ手が挟まれるという課題を認識することがで きるから、その課題を解決する目的で、甲8発明の台車用安全カバーを取り付ける動機付けがあると主張する。 確かに、甲9、10には、上下方向に沿った長尺状の手押部材を掴んだ手指が、台車同士の隙間で挟まれる災害が発生していることが記載されていると認められるが、甲9、10にはその解決手段について何ら開 示がなく、また、前記のとおり、甲8発明はコ字状のハンドルのカーブ部分に台車用安全カバーを取り付けることで、使用者の手がハンドルの上下方向の直線部分に掛からないように規制するものと認められるから、甲8発明に、ハンドルの形状を異にする上下方向に沿った長尺状の手押部材における課題を解決するための技術思想が開示されているとは認め られない。したがって、原告の主張は採用することができない。 (2) 甲3発明との組合せによる甲9相違点2の容易想到性ア甲3発明の技術的意義甲3の2は、雑誌「安全スタッフ」第2253号の「【特集2】侮るなかれ!台車作業11のリスク運搬作業時のケガを防ぐにはその③- 解決編-」のウェブサイト記事であり、別紙4の記載がある(甲3の1も同内容である。)。 この記載事項(特に「台車の持ち手にはガードを設置」の見出しに続く記載、図3及び写真2とその説明)によれば、甲3発明の技術的意義は、次のとおりであると認められる。 「台車の構造による災害の要因を解決するために運用されている台車で あって、台車取り廻し作業で、設備やパレット等との間で手指の挟まれることを防止するため、取っ手の取り付けと正しい持ち手位置の表示を行い、手指挟まれ防止のために、持つ位置の表示(持つ位置緑表示)を基準化しており、積荷との干渉を防止するために、支柱と取っ手 挟まれることを防止するため、取っ手の取り付けと正しい持ち手位置の表示を行い、手指挟まれ防止のために、持つ位置の表示(持つ位置緑表示)を基準化しており、積荷との干渉を防止するために、支柱と取っ手間の距離を80㎜以上確保し、鍔状のものを取っ手部に装着し、挟 まれ防止対策をしており、鍔状の挟まれ防止ガードは、上下に分割する樹脂製のパーツで構成され、外径寸法を100㎜とする赤色エンドストッパーであり、ガードを運用後は災害防止の効果が上がったもの」以上によれば、甲3発明の鍔状ガードは、台車の積荷から手を保護するための部材ではなく、台車の取り廻し作業中に、手や指が運搬台車の 側方に存在する設備やパレット等に接触する恐れがあることから、正しい持ち手位置の表示に加えて、手を正しい持ち手位置に規制するためのエンドストッパーであると認めるのが相当である。 イ甲9相違点2の容易想到性甲9、10には、台車を掴んだ使用者の手指が、台車同士の隙間で挟 まれる災害が発生していることが記載されていると認められるが、甲9、10にはその解決手段については何ら開示がなく、また、上記アのとおり、甲3発明の鍔状ガードは、台車の積荷から手を保護するための部材ではなく、手を正しい持ち手位置に規制するためのエンドストッパーであると認められるから、甲3発明に、甲9発明の課題を解決するための 技術思想が開示されているとは認めらない。すなわち、甲3発明には、台車のハンドルを持つ位置を表示し、挟まれ防止ガードを取り付けることにより挟まれ事故を防止するという技術思想はあっても、本件発明1のように、グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部を設けると いう技術思想が含まれていると 技術思想はあっても、本件発明1のように、グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部を設けると いう技術思想が含まれているとは認められない。 よって、甲9発明と甲3発明とはその技術分野が共通し、課題が共通するとしても、甲3発明の技術思想を甲9発明に適用してもその課題を解決することができるとは認められないから、これらを組み合わせることにより、甲9相違点2に係る本件発明1の構成を当業者が容易に想到し得たということはできない。 ウ原告の主張に対する判断原告は、甲3発明において、手の移動範囲の規制のためには、握った手と同等若しくはそれより小さな鍔でも足りるところ、甲3発明の鍔状ガードは、100㎜の外径を備えることにより、握った手よりも鍔状のガードが大きく張り出し、取っ手(グリップ)を握った手がはみ出さな いような外径を備えたものとなっており、当業者は、使用者の手が「周囲の物体」の一種である積荷等の物体に接触することを防止する作用を有することを当然に理解すると主張する。 そして、甲3の図3や写真2によれば、甲3発明の鍔状ガードは、握った手よりも鍔状のガードが大きく張り出し、グリップを握った手がは み出さないような外径を備えたものとなっていることが分かると主張する。 しかしながら、甲3の図3には、「積荷との干渉を防止するために、支柱と取っ手間の距離を80㎜以上確保する。」と記載されるとともに、鍔状ガードを、水平方向に沿った取っ手の左右両端の外側に配置するこ とが記載されているから、少なくとも図3に示される形状のハンドルを備えた台車では、ハンドルの支柱間の距離よりも幅の狭い積荷については、積荷は鍔状ガードに当たらない。また 端の外側に配置するこ とが記載されているから、少なくとも図3に示される形状のハンドルを備えた台車では、ハンドルの支柱間の距離よりも幅の狭い積荷については、積荷は鍔状ガードに当たらない。また、鍔状ガードの取付位置は「台車幅を超えない」ことから、ハンドルの支柱間の距離よりも幅の広い積荷については、積荷は支柱の湾曲部等に当たり、鍔状ガードには当 たらないことが想定される(これらは、技術常識から明らかである。)。 いずれにおいても、鍔状ガードが使用者の手と積荷との接触を防止する作用を有するとはいえない。 上記アの甲3の記載事項に照らせば、甲3から導かれる鍔状ガードの技術的意義は、上記アのとおり、手を正しい持ち手位置に規制するためのエンドストッパーであると認めるのが相当であって、甲3発明の鍔状 ガードが外径100㎜を有するとしても、当業者が直ちに径方向(前後方向)に存在する積荷等の物体から手を保護するものであると理解するとは認められない。 したがって、原告の主張は採用することができない。 (3) 本件発明4について 本件発明4と甲9台車発明との相違点である甲9相違点5は、甲9相違点2と実質的に同じ内容であるから、その容易想到性の判断は、前記(1)から(2)までと同様である。 (4) 取消事由2についての結論以上のとおり、甲9発明と甲8発明との組合せによる甲9相違点2、5の 容易想到性の判断に誤りはなく、甲9発明と甲3発明との組合せについて、甲9相違点2、5は容易想到とはいえないから、結論として、本件審決の甲9発明及び甲9台車発明に基づく進歩性欠如に関する判断に誤りはないこととなり、取消事由2は認められない。 4 結論 したがって、原告の請求は理由がないから、 ら、結論として、本件審決の甲9発明及び甲9台車発明に基づく進歩性欠如に関する判断に誤りはないこととなり、取消事由2は認められない。 4 結論 したがって、原告の請求は理由がないから、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第2部 裁判長裁判官 清水響 裁判官菊池絵理 裁判官頼晋一 別紙1本件審決の抜粋第1~第3 〔略〕第4 請求人の主張 1 無効理由 (1)無効理由1本件発明1~4は、甲第8号証の1~3により示された長岡産業株式会社製「台車用安全カバー」に係る発明であるから、特許法第29条第1項第1号又は第2号の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。 (2)無効理由2本件発明1~4は、甲第8号証の1~3により示された長岡産業株式会社製「台車用安全カバー」に係る発明(主たる証拠)と、甲第1、9~12号証に記載された技術的事項(従たる証拠)とに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許は同 法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。 (3)無効理由3本件発明1~4は、甲第9号証に記載された発明又は甲第10号証に記載された発明(主たる証拠)と、甲第8号証 法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。 (3)無効理由3本件発明1~4は、甲第9号証に記載された発明又は甲第10号証に記載された発明(主たる証拠)と、甲第8号証の1~3により示された長岡産業株式会社製「台車用安全カバー」に係る発明又は甲第3号証に記載された発明(従たる証拠)とに基いて、当業者 が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。 (4)無効理由4 〔略〕(5)無効理由5 〔略〕 第5 〔略〕第6 当審の判断 1 提出された証拠に記載された事項及び発明の認定 (2)甲3及び甲3発明 〔中略〕甲3には、次の発明が記載されていると認められる(以下、「甲3発明」と言う。)。 【甲3発明】「手押台車に固定されたコ字状のパイプと、一対の鍔状ガードとを有する、手押部材であって、コ字状のパイプは、水平方向に沿った取っ手と、取っ手の両端から下向きに延び る上下方向に沿った支柱とからなり、一対の鍔状ガードは、上下に分割する樹脂製のパーツで構成され、水平方向に沿った取っ手における、台車幅を超えない位置に装着されるとともに、外径寸法を100mmとし、台車の取っ手を持つ位置を表示し、かつ、取っ手を掴んだ両手が周囲の物体に接触しないようにガードするものである、手押部材。」 (3)甲8の1~3及び甲8発明 (3-5)甲8発明〔中略〕無効理由1ないし3に係る甲8商品2及び3のうち、甲8商品2の構成について、次の2つの発明を認定できる(以下、「甲8発明」及び「甲8発明’」という。)。 (3-5)甲8発明〔中略〕無効理由1ないし3に係る甲8商品2及び3のうち、甲8商品2の構成について、次の2つの発明を認定できる(以下、「甲8発明」及び「甲8発明’」という。)。 【甲8発明】「台車に固定されたコ字状のパイプと、パイプに取り付けられた台車用安全カバーと、から構成される、台車用ハンドルであって、コ字状のパイプの水平部分であるグリップ部と、グリップ部の両端から延びるカーブ部分と、 グリップ部の両端からカーブ部分を介して下向きに延びる、上下方向に沿ったパイプの 部分と、カーブ部分の位置に配置されるとともに、寸法を外径106mm、内径26mm、長さ100mm及び厚み40mmとし、グリップ部を掴んだ手が、ハンドルのカーブ部分にかからないように手の移動を規制するとともに、グリップ部を向く部分とは反対側の部分を先んじて周囲の物体に接触させ、グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように する台車用安全カバーと、を有する台車用ハンドル。」【甲8発明’】「運搬物を積載して走行部によって走行する台車本体部と、台車本体部に固定されたコ字状のパイプとパイプに取り付けられた台車用安全カバーとから構成される台車用ハンドル と、を有する台車であって、台車用ハンドルは、コ字状のパイプの水平部分であるグリップ部と、グリップ部の両端から延びるカーブ部分と、グリップ部の両端からカーブ部分を介して下向きに延びる、上下方向に沿ったパイプの 部分と、カーブ部分の位置に配置されるとともに、寸法を外径106mm、内径26mm、長さ100mm及び厚み40mmとし、グリップ部を掴んだ手が、ハンドルのカーブ部分にかからないように手の移動を規制するとともに、グリ 分の位置に配置されるとともに、寸法を外径106mm、内径26mm、長さ100mm及び厚み40mmとし、グリップ部を掴んだ手が、ハンドルのカーブ部分にかからないように手の移動を規制するとともに、グリップ部を向く部分とは反対側の部分を先んじて周囲の物体に接触させ、グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように する台車用安全カバーと、を有する台車。」 (4)甲9及び甲9発明〔中略〕甲9には、次の2つの発明が記載されていると認められる(以下、「甲9発明」 及び「甲9発明’」という。)。 【甲9発明】「台車の直方体の枠状フレームにおける、台車の四隅に位置する上下方向に沿った長尺状の部材であって、台車を走行させるときに使用者が手で押すことができるように、使用者が手で掴むことができる部分を有する、長尺状の部材。」 【甲9発明’】「運搬物を積載して走行部によって走行する台車本体部と、台車の直方体の枠状フレームにおける、台車の四隅に位置する上下方向に沿った長尺状の部材と、を有する台車であって、長尺状の部材は、台車を走行させるときに使用者が手で押すことができるように、使用 者が手で掴むことができる部分を有する、台車。」 (5)甲10及び甲10発明〔中略〕甲10には、次の発明が記載されていると認められる(以下、「甲10発明」及び「甲10発明’」という。)。 【甲10発明】「台車の直方体の枠状フレームにおける、台車の四隅に位置する上下方向に沿った長尺状の部材であって、台車を走行させるときに使用者が手で押すことができるように、使用者が手で掴むことができる部分を有する、長尺状の部材。」 【甲10発明’】「運搬物を積載して走行部によって走行する台車 台車を走行させるときに使用者が手で押すことができるように、使用者が手で掴むことができる部分を有する、長尺状の部材。」 【甲10発明’】「運搬物を積載して走行部によって走行する台車本体部と、台車の直方体の枠状フレームにおける、台車の四隅に位置する上下方向に沿った長尺状の部材と、を有する台車であって、長尺状の部材は、台車を走行させるときに使用者が手で押すことができるように、使用 者が手で掴むことができる部分を有する、台車。」 3 無効理由1について(1)本件発明1についてア対比本件発明1と甲8発明とを対比する。 甲8発明の「台車」は、本件発明1の「運搬台車」に相当する。 甲8発明の「台車に固定され」ることは、本件発明1の「運搬台車の4隅に位置する上下方向に沿った挿入孔に挿入され」ることとの関係において、「運搬台車に固定され」る限りにおいて一致する。 甲8発明の「コ字状のパイプと、パイプに取り付けられた台車用安全カバーと、から構 成される、台車用ハンドル」は、本件発明1の「前記運搬台車を走行させるときに使用者が手で押すための前記上下方向に沿った長尺状の手押部材」との関係において、「前記運搬台車を走行させるときに使用者が手で押すための手押部材」の限りにおいて一致する。 甲8発明の「パイプ」の「グリップ部」は、本件発明1の「使用者が手で掴むグリップ部」に相当する。 甲8発明の「カーブ部分の位置に配置されるとともに、寸法を外径106mm、内径26mm、長さ100mm及び厚み40mmとし、グリップ部を掴んだ手が、ハンドルのカーブ部分にかからないように手の移動を規制するとともに、グリップ部を向く部分とは反対側の部分を先んじて周囲の物体に接触させ、グリップ部を掴ん 及び厚み40mmとし、グリップ部を掴んだ手が、ハンドルのカーブ部分にかからないように手の移動を規制するとともに、グリップ部を向く部分とは反対側の部分を先んじて周囲の物体に接触させ、グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないようにする台車用安全カバー」は、「グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触し ないようにする」ものであり、手が周囲の物体に接触しなければ、手は周囲の物体から保護されることになるといえるため、本件発明1の「前記上下方向に対して直交する方向から見て前記グリップ部と重ならない位置に配置されると共に、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部」との関係において、「前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないよ うに保護する保護部」の限りにおいて一致する。 してみると、本件発明1と甲8発明とは、「運搬台車に固定され、前記運搬台車を走行させるときに使用者が手で押すための手押部材であって、使用者が手で掴むグリップ部と、前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部と、を有す る手押部材。」である点で一致し、次の3点で相違する。 <甲8相違点1>本件発明1は「上下方向に沿った長尺状の手押部材」であって、当該部材が有する「グリップ部」も「上下方向に沿った」ものであるのに対して、甲8発明は「コ字状」の「台 車用ハンドル」であって、当該ハンドルが有する「グリップ部」は「コ字状のパイプの水平部分」である点。 <甲8相違点2>「前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部」が、本件発明1では、「前記上下方向に対して直交する方向から見て前記グリップ部と重な 分」である点。 <甲8相違点2>「前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部」が、本件発明1では、「前記上下方向に対して直交する方向から見て前記グリップ部と重ならな い位置に配置されると共に、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する」ものであり、また、「保護部」が、「保護部材」に設けられており、「前記保護部が設けられた保護部材は一体に形成された部材からなり、前記手押部材の長尺状かつパイプ状の本体部材を挿入して前記本体部材に装着するための取付穴を有する」のに対し、甲8発明では、「グリップ部の両端から 延びる」「カーブ部分の位置に配置されるとともに、寸法を外径106mm、内径26mm、長さ100mm及び厚み40mmとし、グリップ部を掴んだ手が、ハンドルのカーブ部分にかからないように手の移動を規制するとともに、グリップ部を向く部分とは反対側の部分を先んじて周囲の物体に接触させ、グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないようにする台車用安全カバー」とされている点。 <甲8相違点3> 「運搬台車に固定され、運搬台車を走行させるときに使用者が手で押すための手押部材」が、本件発明1では、「運搬台車の4隅に位置する上下方向に沿った挿入孔に挿入され」るのに対し、甲8発明では、そのように特定されていない点。 イ判断事案に鑑み、甲8相違点1及び2について検討する。 (ア)手押部材の形状及び方向(甲8相違点1関係)甲8相違点1によれば、本件発明1は、「上下方向に沿った長尺状の手押部材」であるのに対して、甲8発明は、「コ字状」の「台車用ハンドル(パイプ)」である。ここで、「長尺」とは「映画フィルム・反物な 甲8相違点1によれば、本件発明1は、「上下方向に沿った長尺状の手押部材」であるのに対して、甲8発明は、「コ字状」の「台車用ハンドル(パイプ)」である。ここで、「長尺」とは「映画フィルム・反物などの長さが普通より長いこと。また、そのもの。」(広辞苑第六版)を意味する用語であり、「上下方向に沿った長尺状の手押部材」の具 体的形状は、本件特許の図1に例示されている。そうすると、「上下方向に沿った長尺状の手押部材」と「コ字状」の「台車用ハンドル」は、形状が異なるといえるし、「コ字状」の「台車用ハンドル」は、その全体形状に照らして、本件発明1の「手押部材」のように「上下方向」に沿うことはないともいえる。 また、甲8発明の「コ字状のパイプの水平部分」の「グリップ部」は、本件発明1の 「上下方向に沿った」「グリップ部」とは、その方向が異なるものである。 したがって、両発明の間に、手押部材の形状及び方向について、実質的な相違点があるといえる。 (イ)保護部の配置(甲8相違点2関係)甲8相違点2によれば、本件発明1の「保護部」は、「上下方向に沿った長尺状の手押 部材」において「前記上下方向に対して直交する方向から見て前記グリップ部と重ならない位置に配置される」のに対して、甲8発明の「台車用安全カバー」は、「コ字状」の「台車用ハンドル」において「グリップ部の端から延びる」「カーブ部分の位置に配置される」ものであり、両発明の間に、保護部の配置について、実質的な相違点があるのは明らかである。 請求人は、甲8の3の写真(「After」の標題の付いた写真。上記1(3-3)摘 記事項ツ。)を示しつつ、「台車用安全カバー」(保護部)が、使用者が手で掴む部分(グリップ部)と重ならない位置に設けられている旨主張する( fter」の標題の付いた写真。上記1(3-3)摘 記事項ツ。)を示しつつ、「台車用安全カバー」(保護部)が、使用者が手で掴む部分(グリップ部)と重ならない位置に設けられている旨主張する(口頭審理陳述要領書第31頁第21~24行)。 しかしながら、保護部の配置について甲8相違点2に係る本件発明1が規定しているのは、「上下方向に沿った長尺状の手押部材」において「前記上下方向に対して直交する方 向から見て前記グリップ部と重ならない位置」であり、単なる「使用者が手で掴む部分(グリップ部)と重ならない位置」ではない。甲8の3に「上下方向に沿った長尺状の手押部材」が開示されていないのは、上記(ア)の検討から明らかであるから、請求人のかかる主張によって、実質的な相違点があるとする上記判断が左右されるものではない。 よって、請求人の上記主張は採用できない。 (ウ)小括以上によれば、甲8相違点1及び2は、実質的な相違点であることから、甲8相違点3について検討するまでもなく、本件発明1は、甲8発明ではない。 (2)本件発明2及び3について 本件発明2及び3は、本件発明1の発明特定事項のすべてをその構成の一部とするものであるから、上記(1)イの理由と同様の理由により、本件発明2及び3は、甲8発明ではない。 (3)本件発明4について ア対比本件発明4と甲8発明’を対比する。 甲8発明’の「運搬物を積載して走行部によって走行する台車本体部」は、本件発明4の「運搬物を積載して走行部によって走行する台車本体部」に相当する。 甲8発明’の「台車本体部に固定され」ることは、本件発明4の「前記台車本体部の4 隅に位置する上下方向に沿った挿入孔に挿入され」ることとの関係において、「前記台車 本体部」に相当する。 甲8発明’の「台車本体部に固定され」ることは、本件発明4の「前記台車本体部の4 隅に位置する上下方向に沿った挿入孔に挿入され」ることとの関係において、「前記台車 本体部に固定され」る限りにおいて一致する。 さらに、上記(1)アに記載した対比を踏まえると、本件発明4と甲8発明’とは、「運搬物を積載して走行部によって走行する台車本体部と、前記台車本体部に固定され、使用者が手で押すための手押部材と、を有する運搬台車であって、前記手押部材は、 使用者が手で掴むグリップ部と、前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部と、を有する運搬台車。」である点で一致し、次の3点で相違する。 <甲8相違点4> 本件発明4は「上下方向に沿った長尺状の手押部材」を有し、当該部材が有する「グリップ部」も「上下方向に沿った」ものであるのに対して、甲8発明’は「コ字状」の「台車用ハンドル」を有し、当該ハンドルが有する「グリップ部」は「コ字状のパイプの水平部分」である点。 <甲8相違点5> 「前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部」が、本件発明4では、「前記上下方向に対して直交する方向から見て前記グリップ部と重ならない位置に配置されると共に、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する」ものであり、また、「保護部」が、「保護部材」に設けられており、「前記保護部が設けられた保護部材は一体に形成さ れた部材からなり、前記手押部材の長尺状かつパイプ状の本体部材を挿入して前記本体部材に装着するための取付穴を有する」のに対し、甲8発明’では、「グリップ部の両端か られた保護部材は一体に形成さ れた部材からなり、前記手押部材の長尺状かつパイプ状の本体部材を挿入して前記本体部材に装着するための取付穴を有する」のに対し、甲8発明’では、「グリップ部の両端から延びる」「カーブ部分の位置に配置されるとともに、寸法を外径106mm、内径26mm、長さ100mm及び厚み40mmとし、グリップ部を掴んだ手が、ハンドルのカーブ部分にかからないように手の移動を規制するとともに、グリップ部を向く部分とは反対 側の部分を先んじて周囲の物体に接触させ、グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触し ないようにする台車用安全カバー」とされている点。 <甲8相違点6>「前記台車本体部に固定され、使用者が手で押すための手押部材」が、本件発明4では、「前記台車本体部の4隅に位置する上下方向に沿った挿入孔に挿入され」るのに対し、甲8発明’では、そのように特定されていない点。 イ判断甲8相違点4~6は、上記(1)アに記載した甲8相違点1~3と実質的に同じものであるため、上記(1)イの理由と同様の理由により、甲8相違点4及び5は、形式的な相違点ではなく、実質的な相違点である。 そうすると、甲8相違点6について検討するまでもなく、本件発明4は、甲8発明’で はない。 (4)無効理由1についてのまとめ以上のとおりであるから、本件発明1~3は、甲8発明ではなく、本件発明4は、甲8発明’ではない。 したがって、本件発明1~4は、特許法第29条第1項第1号又は第2号に該当しないため、その特許は、同法第123条第1項第2号に該当せず、無効理由1によっては、無効とすることはできない。 4 無効理由2について (1)本件発明1についてア対比本件発明1と甲8発 の特許は、同法第123条第1項第2号に該当せず、無効理由1によっては、無効とすることはできない。 4 無効理由2について (1)本件発明1についてア対比本件発明1と甲8発明とは、上記3(1)アに記載した一致点で一致し、少なくとも、甲8相違点1及び2で相違する。 イ判断 事案に鑑み、甲8相違点1及び2について検討する。 (ア)甲号証の開示内容まず、甲9及び甲10には、「台車の直方体の枠状フレームにおける、台車の四隅に位置する上下方向に沿った長尺状の部材」について、台車同士の間で指や手首を挟まれる災害が発生し得ることが記載されている(甲9の摘記事項エ及びキ、甲10の摘記事項エ及びオ)。また、甲9~12には、長尺状の手押部材を有する台車が記載されている(上記 1(4)~(7))。 (イ)甲8相違点1について請求人は、甲8発明はカーブ部分のみでしか装着できないものではなく、周知技術1(「運搬台車の4隅に位置する挿入孔に挿入される長尺状の手押部材を有する台車」・審判請求書第36頁下から5~4行参照)又は甲1、9~12の技術的事項(例えば、甲1 2に記載の長尺状の手押部材)を組み合わせ、曲がった部分のない一直線状の棒状部材の台車に、装着の対象を置き換えることは容易に想到し得たといえる旨主張する(口頭審理陳述要領書第30頁下から2行~第33頁第3行)。 以下検討するに、たとえ、甲9及び甲10に、上記(ア)のとおり、長尺状の手押部材について指や手首を挟む危険性が示されているとしても、甲8発明の「台車用安全カバー」 の取付対象を「コ字状のハンドル」から「長尺の棒状部材」に変更する動機付けはないといえる。具体的には、次のとおりである。 a 甲8の3はコ字状のハンドルの置換を 8発明の「台車用安全カバー」 の取付対象を「コ字状のハンドル」から「長尺の棒状部材」に変更する動機付けはないといえる。具体的には、次のとおりである。 a 甲8の3はコ字状のハンドルの置換を示唆するものでないこと甲8の3(摘記事項ツ及びテ)は、コ字状のハンドルを有した台車を前提として、台車用安全カバーをそのカーブ部分に取り付けることが記載されており、当該ハンドルを「上 下方向に沿った長尺状の手押部材」とすることは何ら示唆されていない。 b 甲8発明の形状と使い方について(形状と使い方が密接に関係していること)まず、形状については、甲8発明の台車用安全カバーは、「略円筒形」(外径106mm×長さ100mm)の形状を呈しており、その中心には、台車用ハンドルの取付穴(内径26mm)が形成されたものである。 次に、使い方については、甲8発明は、台車のハンドルの「グリップ部を掴んだ手が、 ハンドルのカーブ部分にかからないように手の移動を規制するとともに」「台車用安全カバー」の「グリップ部を向く部分とは反対側の部分を先んじて周囲の物体に接触」して、手を保護するものである(甲8の2の「手挟み事故発生!!」の記載が付された写真(摘記事項チ)、及び甲8の3の「Before」との標題が付いた写真(摘記事項ツ)を参照)。このような役割を果たすため、保護部につき一定の長さを確保すべく、その形状を 「略円筒形」として、ハンドルのカーブ部分に挟み込むことを可能にしている。 また、後記(ウ)aに説示したとおり、甲8発明の台車用安全カバーは、「略円筒形」の長さと取付穴の大きさ(内径)を調整することにより、「コ字状のパイプ」のカーブ部分に十分に固定することができるものである。すなわち、甲8発明では、取付穴の大きさ(内径)に 全カバーは、「略円筒形」の長さと取付穴の大きさ(内径)を調整することにより、「コ字状のパイプ」のカーブ部分に十分に固定することができるものである。すなわち、甲8発明では、取付穴の大きさ(内径)につき「コ字状のパイプ」に取り付られる寸法(「26mm」)としつつ、「コ 字状のパイプ」のカーブ分を全体的にカバーする長さ(「100mm」)を確保することにより、取付穴が取り付けられたカーブ部分に沿って十分に干渉するようにして、カバーをカーブ部分にしっかりと固定することができるようにしたものである。 上記の説示を踏まえると、甲8発明の台車用安全カバーの形状(及び寸法)は、その使い方と密接に関係しているものと認められる。 そして、台車用安全カバーの形状(及び寸法)と使い方が密接に関係している点については、甲8発明の構成において、「コ字状のパイプの水平部分であるグリップ部」から延びる「カーブ部分の位置に配置される」、及び、「寸法を外径106mm、内径26mm、長さ100mm及び厚み40mmとし、グリップ部を掴んだ手が、ハンドルのカーブ部分にかからないように手の移動を規制するとともに、グリップ部を向く部分とは反対側の部 分を先んじて周囲の物体に接触させ、グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないようにする」の部分に反映されているところである。 c 甲8発明はコ字状のハンドルに適した構成を採用していること一般的に、コ字状のハンドルは、水平部分がグリップ部を構成するものであるところ、技術常識に照らせば、その特徴は、台車の操作性(グリップ部を把持した姿勢で、台車を 押し易く取り回し易いこと)にあるものと認められる(例えば、甲3の第34頁の図3及 び第35頁の図5を参照)。そして、このようなコ字状のハンドルにおいて プ部を把持した姿勢で、台車を 押し易く取り回し易いこと)にあるものと認められる(例えば、甲3の第34頁の図3及 び第35頁の図5を参照)。そして、このようなコ字状のハンドルにおいて、台車の取り回し中に水平部分のグリップ部の両端に位置するカーブ部分に手がかかると、周囲の物体に手が接触する危険性が生じるという課題があるところ、甲8発明の台車用安全カバーについては、上記bのとおり、かかる課題を解決するため、コ字状のハンドル(水平のグリップ部)に適した構成を採用したものであると認められる。 上述のとおり、甲8発明の「台車用安全カバー」は、台車のコ字状のハンドルのカーブ部分に取り付けられることで機能する形状及び構造を採用していることからみて、たとえ、甲9及び甲10に、上記(ア)のとおり、長尺状の手押部材について指や手首を挟む危険性が示されているとしても、コ字状のハンドルに特有の課題解決手段を有する甲8発明について、長尺状の手押部材に適用する動機付けが示されているとまではいえない。 そうすると、甲8発明の取付対象を「コ字状のハンドル」から「長尺の棒状部材」に変更する動機付けがあるとはいえない。 d 請求人の主張についてこれに対して、請求人は、「運搬台車を移動させる際には、手押し棒を掴んでいる使用者の手が壁等といった周辺に存在する物体に接触する虞がある」との課題が当業者に知ら れた課題であって、「グリップの外周面よりも突出させた円形状の部材を手押部材に取り付ける」という解決手段も当業者に知られていたことから、甲8発明に周知技術1又は甲1、9~12の技術的事項を組み合わせる動機付けがある旨主張している(口頭審理陳述要領書第32頁第7~12行、第7頁第2行~第20頁下から6行)。 しかしながら、請求人が主張 明に周知技術1又は甲1、9~12の技術的事項を組み合わせる動機付けがある旨主張している(口頭審理陳述要領書第32頁第7~12行、第7頁第2行~第20頁下から6行)。 しかしながら、請求人が主張する事情は、上記cのとおり、コ字状のハンドルに適した 構成を採用している甲8発明に対して、周知技術1等を適用する動機付けまで示すものとはいえない。 また、請求人は、甲53(長岡産業株式会社代表取締役長岡利典作成の陳述書)及び甲8の3(「3.完成」との標題の付いた写真)を示して「台車用安全カバーはハンドルのカーブ部分以外にも取り付け可能なものであった」(上申書(2)第17頁第18~1 9行)と主張する。 しかしながら、甲53は、甲8発明の構成を立証する客観的証拠ではなく、甲8の3の当該写真は、ハンドルを正面から撮影したものではないから、いずれも、甲8発明の「台車用安全カバー」がハンドルのカーブ部分以外に取り付け可能であることを客観的に示すものとはいえない。 よって、請求人の上記主張は採用できない。 なお、請求人は、上記周知技術1に関連して、甲44~46、52を追加しているが(口頭審理陳述要領書第20頁下から5行~第25頁最下行及び第30頁第15~18行)、甲8発明の「台車用安全カバー」の取付対象(位置)につき、「コ字状のパイプ」の「カーブ部分」に代えて「上下方向に沿った長尺状の手押部材」に変更する動機付けが無いことについての判断は同様である。 e 小括上記a~dによれば、甲8相違点1に係る本件発明1の構成は、甲8発明及び甲1、9~12に記載の技術的事項に基いて当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 (ウ)甲8相違点2についてa 保護部の取付位置及び寸法 甲8相違点2によ 1の構成は、甲8発明及び甲1、9~12に記載の技術的事項に基いて当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 (ウ)甲8相違点2についてa 保護部の取付位置及び寸法 甲8相違点2によれば、甲8発明の「台車用安全カバー」は、取付部位を「コ字状のパイプ」の「カーブ部分」とし、「寸法を外径106mm、内径26mm、長さ100mm及び厚み40mm」としたものである。 ここで、甲8発明は、「台車用安全カバー」の取付部位を「コ字状のパイプ」の「カーブ部分」とすることにより、「台車用安全カバー」の「グリップ部を掴んだ手が、ハンド ルのカーブ部分にかからないように手の移動を規制するとともに、グリップ部を向く部分とは反対側の部分を先んじて周囲の物体に接触させ、グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないようにする」ものであり、「台車用安全カバー」の形態及び寸法は、そのために適した(台車用安全カバーの取付部位をカーブの部分とし、グリップ部を掴んだ手が、ハンドルのカーブ部分にかからないように手の移動を規制するとともに、グリップ部を向 く部分とは反対側の部分を先んじて周囲の物体に接触させるための)寸法を採用したもの と理解するのが相当である。 すなわち、台車用安全カバーの内径をコ字状のパイプに取り付けられる寸法である「26mm」としつつ、長さを「100mm」とすることにより、コ字状のパイプのカーブ部分と台車用安全カバーの内径が十分干渉し(台車用安全カバーの長さが短いとコ字状パイプのカーブ部分と台車用安全カバーの内径があまり干渉せず、台車用安全カバーがコ字状 のパイプのカーブ部分で容易に動くことができてしまう。)、台車用安全カバーをコ字状のパイプのカーブ部分に十分に固定することができるようにし、また、長さを あまり干渉せず、台車用安全カバーがコ字状 のパイプのカーブ部分で容易に動くことができてしまう。)、台車用安全カバーをコ字状のパイプのカーブ部分に十分に固定することができるようにし、また、長さを「100mm」とすることによって、「ハンドルのカーブ部分」をカバーするとともにグリップ部を向く部分とは反対側の部分」が「ハンドルのカーブ部分」の外側の部分に存在するようにし、その結果、「グリップ部を向く部分とは反対側の部分」を「先んじて周囲の物体に接 触させ」ることができるようにしたと理解するのが相当である。 以上のとおり、甲8発明の「台車用安全カバー」の寸法は、「台車用安全カバー」の取付対象(位置)を「コ字状のパイプ」の「カーブ部分」とし、「台車用安全カバー」の「グリップ部を掴んだ手が、ハンドルのカーブ部分にかからないように手の移動を規制するとともに、グリップ部を向く部分とは反対側の部分を先んじて周囲の物体に接触させ」 るのに適した特定のものが採用されているといえる。 b 動機付けについて甲8相違点2によれば、甲8発明の「台車用安全カバー」は、取付部位を「コ字状のパイプ」の「カーブ部分」とし、「寸法を外径106mm、内径26mm、長さ100mm及び厚み40mm」としたものとし、甲8発明においては、「台車用安全カバー」の取付 部位を「コ字状のパイプ」の「カーブ部分」とすることにより、「台車用安全カバー」の「グリップ部を向く部分とは反対側の部分を周囲の物体に接触させ、グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないようにする」ものであり、「台車用安全カバー」の取付位置及び寸法は、そのために適した(台車用安全カバーの取付部位をカーブの部分とし、グリップ部を向く部分とは反対側の部分を周囲の物体に接触させるための)寸法を採用したも あり、「台車用安全カバー」の取付位置及び寸法は、そのために適した(台車用安全カバーの取付部位をカーブの部分とし、グリップ部を向く部分とは反対側の部分を周囲の物体に接触させるための)寸法を採用したも のと理解することができることは、上記aのとおりである。 そうすると、甲8発明の「台車用安全カバー」の取付位置及び寸法は、「台車用安全カバー」の取付対象を「コ字状のパイプ」の「カーブ部分」とする場合に適した特定のものが採用されているのであるから、甲8発明に甲1、9~12に記載の技術的事項を適用し、甲8発明の当該特定の取付位置及び寸法の「台車用安全カバー」の取付対象を、「コ字状のパイプ」の「カーブ部分」に代えて、「上下方向に沿った長尺状の手押部材」に変更し、 甲8相違点2に係る本件発明1の構成である「保護部」が「上下方向に沿った長尺状の手押部材」において「前記上下方向に対して直交する方向から見て前記グリップ部と重ならない位置に配置されると共に、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する」構成とする動機付けがない。 (エ)小括 したがって、甲8相違点1及び2に係る本件発明1の構成は、たとえ、甲9及び甲10に長尺状の手押部材について指や手首を挟む危険性が示されているとしても、甲8発明及び甲1、9~12に記載の技術的事項に基いて当業者が容易に想到し得たとはいえない。 ウ本件発明1のまとめ本件発明1は、甲8相違点3について検討するまでもなく、甲8発明及び甲1、9~1 2に記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (2)本件発明2及び3について本件発明2及び3は、本件発明1の発明特定事項のすべてをそ 、9~1 2に記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (2)本件発明2及び3について本件発明2及び3は、本件発明1の発明特定事項のすべてをその構成の一部とするものであるから、上記(1)イの理由と同様の理由により、本件発明2及び3は、甲8発明及 び甲1、9~12に記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (3)本件発明4についてア対比 本件発明4と甲8発明’とは、上記3(3)アに記載した一致点で一致し、甲8相違点 4~6で相違する。 イ判断甲8相違点5は、上記3(1)アに記載した甲8相違点2と実質的に同じものであるため、上記3(1)イの理由と同様の理由により、甲8相違点5係る本件発明4の構成は、甲8発明’及び甲1、9~12に記載の技術的事項に基いて当業者が容易に想到し得たと はいえない。 ウ本件発明4のまとめそうすると、本件発明4は、甲8相違点4及び6について検討するまでもなく、甲8発明’及び甲1、9~12に記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (4)無効理由2についてのまとめ以上のとおりであるから、本件発明1~3は、甲8発明及び甲1、9~12に記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、本件発明4は、甲8発明’及び甲1、9~12に記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をするこ とができたものではない。 したがって、本件発明1~4は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明とはいえないから、その特許は、同法第123条第1項第2号に該当せず、無効理由2によっては、無 ない。 したがって、本件発明1~4は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明とはいえないから、その特許は、同法第123条第1項第2号に該当せず、無効理由2によっては、無効とすることはできない。 5 無効理由3について(1)本件発明1についてア対比上記1(4)及び(5)より、甲9発明と甲10発明は実質的に同じ発明であるといえる。 したがって、以下では甲9発明を主たる発明として判断することとし、甲10発明を主 たる発明とする判断は甲9発明を主たる発明として判断することと同様の判断となる。 本件発明1と甲9発明とを対比する。 甲9発明の「台車」は、本件発明1の「運搬台車」に相当する。 甲9発明の「台車の直方体の枠状フレームにおける、台車の四隅に位置する上下方向に沿った長尺状の部材」は、「台車を走行させるときに使用者が手で押すことができるよう に、使用者が手で掴むことができる部分を有する」ため、本件発明1の「運搬台車の4隅に位置する上下方向に沿った挿入孔に挿入され、前記運搬台車を走行させるときに使用者が手で押すための前記上下方向に沿った長尺状の手押部材」との関係において、「運搬台車の4隅に位置する、運搬台車を走行させるときに使用者が手で押すことができる上下方向に沿った長尺状の手押部材」の限りにおいて一致する。 本件発明1の「グリップ部」は、「使用者が手で掴む」部分のことであるから、甲9発明の「使用者が手で掴むことができる部分」は、本件発明1の「使用者が手で掴むことができるグリップ部」に相当する。 してみると、本件発明1と甲9発明とは、「運搬台車の4隅に位置する、運搬台車を走行させるときに使用者が手で押すことがで きる上下方向に沿った長 むことができるグリップ部」に相当する。 してみると、本件発明1と甲9発明とは、「運搬台車の4隅に位置する、運搬台車を走行させるときに使用者が手で押すことがで きる上下方向に沿った長尺状の手押部材であって、使用者が手で掴むことができるグリップ部を有する手押部材。」である点で一致し、次の3点で相違する。 <甲9相違点1>「運搬台車の4隅に位置する」「上下方向に沿った長尺状の手押部材」が、本件発明1 では、「運搬台車の4隅に位置する上下方向に沿った挿入孔に挿入され」るものであるのに対し、甲9発明では、「台車の直方体の枠状フレームにおける、台車の四隅に位置する」ものであり、台車の上下方向に沿った挿入孔に挿入されるものとはされていない点。 <甲9相違点2>本件発明1は、「前記上下方向に対して直交する方向から見て前記グリップ部と重なら ない位置に配置されると共に、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グリ ップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部」を有するのに対し、甲9発明は、「保護部」を有しない点。 <甲9相違点3>本件発明1は、「前記保護部が設けられた保護部材は一体に形成された部材からなり、前記手押部材の長尺状かつパイプ状の本体部材を挿入して前記本体部材に装着するための 取付穴を有する」とされているのに対し、甲9発明は、「保護部」を有しないことから、かかる構成をも有しない点。 イ判断(ア)甲8発明との組み合わせ事案に鑑み、甲9相違点2について検討する。 甲8発明は、台車用ハンドルのコ字状のパイプのコーナーのカーブ部分に取り付けるために適した構成上の特徴を有するものであることは既述のとおりである。 一方、甲9発明の台車の「手で掴 る。 甲8発明は、台車用ハンドルのコ字状のパイプのコーナーのカーブ部分に取り付けるために適した構成上の特徴を有するものであることは既述のとおりである。 一方、甲9発明の台車の「手で掴むことができる部分」は、「上下方向に沿った長尺状の部材」の一部であって「上下方向に沿った」ものであるところ、「コ字状のパイプ」の「カーブ部分」に相当するものではない。 したがって、甲9発明に甲8発明を適用する動機付けがなく、甲9発明に甲8発明を適用し、甲9相違点2に係る本件発明1の構成となすことは当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 よって、甲9相違点1及び3について検討するまでもなく、本件発明1は、甲9発明及び甲8発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (イ)甲3発明との組み合わせa 甲9相違点1について甲12や甲33(上記1(7)及び(9))のように、上下方向に沿った長尺状の部材を、運搬台車の4隅に位置する上下方向に沿った挿入孔に挿入する構成は、台車において周知・慣用であり、甲9発明の「枠状フレーム」を運搬台車の4隅に位置する上下方向に 沿った挿入孔に長尺状部材を挿入して構成することは当業者であれば容易に想到し得たこ とである。 b 甲9相違点2について甲3発明の「一対の鍔状ガード」は、「水平方向に沿った取っ手における、台車幅を超えない位置に装着されるとともに、外径寸法を100mmとし、台車の取っ手を持つ位置を表示し、かつ、取っ手を掴んだ両手が周囲の物体に接触しないようにガードするもので ある」ところ、その外形寸法が100mmであり、鍔状ガードの半径方向外端が取っ手を掴んだ手の甲より半径方向外方に位置していること(甲3の図3及び写真2・摘記事項ク及び いようにガードするもので ある」ところ、その外形寸法が100mmであり、鍔状ガードの半径方向外端が取っ手を掴んだ手の甲より半径方向外方に位置していること(甲3の図3及び写真2・摘記事項ク及びケ)からすれば、例えば、台車の積み荷が振動、慣性などにより取っ手の方向に倒れてきたときに、積み荷が鍔状ガードの外端に先に接触することで手指をガードする作用を奏することは当業者であれば容易に理解することができる(甲3の33頁左欄から右欄 (摘記事項キ)には、「台車を持つ位置の表示」による「手指挟まれ防止」に加えて、鍔状のものを採用したことによって「挟まれ防止対策」をしたことの記載がある。)。 また、この手指をガードする作用は、鍔状ガードの外端が外部の部材に接触することによる作用であるから、水平の手押部材に鍔状のガードを取り付ける場合であっても、垂直の手押部材に鍔状のガードを取り付ける場合であっても、すなわち、鍔状ガードの方向が 横方向であろうと縦方向であろうと、同様の作用を奏するものといえる。 甲9には、台車の手で掴むことができる部分において、作業者が指を挟まれる災害が発生していることが記載され、この災害を防止する課題があることは当業者には明らかである。 そして、台車手押し時において、外部の物体が取っ手の部分を握った手指に接触する可 能性は、グリップ部が縦方向であろうと横方向であろうと、いずれの場合においても変わらず存在することは当業者には周知の事項である(甲9、甲10及び甲3)。 してみれば、甲9発明において、作業者が指を挟まれる災害の発生を防止するという課題を解決するために、手で掴むことができる部分である取っ手を掴んだ両手が、周囲の物体に接触しないようにガードするものである甲3発明の「上下に分割する樹脂製のパーツ れる災害の発生を防止するという課題を解決するために、手で掴むことができる部分である取っ手を掴んだ両手が、周囲の物体に接触しないようにガードするものである甲3発明の「上下に分割する樹脂製のパーツ で構成され」る「鍔状ガード」を、甲9発明の台車の「手で掴むことができる部分」に適 用(取付位置を変更)することは、当業者であれば容易に想到し得たことといえる。 そして、甲9発明の台車の「手で掴むことができる部分」は、「上下方向に沿った長尺状の部材」の一部であるから、甲3発明の「鍔状ガード」を、甲9発明の台車の「手で掴むことができる部分」に適用すると、「上下方向に対して直交する方向から見て」手で掴むことができる部分と「重ならない位置に配置される」こととなる。 この点について、被請求人は、甲3発明の「鍔状ガード」は、手指の挟まれ防止のために台車の取っ手部に取り付け、取っ手を持つ手の位置(移動範囲)を限定するためのものであり、この鍔状ガード自体で手と周囲の物体との接触を防止するものでない、特に、積荷と手の接触については、取っ手の位置を80mm後方に曲げることで対処していることが記載されているから、鍔状ガードに積荷と手の接触を防止する機能はない旨主張する (答弁書第10頁第17行~第22行、口頭審理陳述要領書(1)第4頁第18行~第25行、第8頁第5行~第18行及び上申書第6頁第16行~第22行)。 しかしながら、取っ手を持つ手の位置を限定するためだけであれば、取っ手を掴んだ手を左右方向に制限する程度の外径寸法で足り、水平方向に沿った取っ手を掴んだ手の指及び甲よりも大きい、大径(100mm)の鍔とする必要性がない。 そして、甲3発明においては、鍔状ガードの外径寸法を100mmとすることにより、積み荷が鍔状ガー 沿った取っ手を掴んだ手の指及び甲よりも大きい、大径(100mm)の鍔とする必要性がない。 そして、甲3発明においては、鍔状ガードの外径寸法を100mmとすることにより、積み荷が鍔状ガードの外端に先に接触することで手指をガードする作用を奏することが当業者には明らかであることは上記のとおりである。 この点について、被請求人は、令和5年5月19日提出の上申書第3頁第8行~第6頁末行において、甲3発明における取っ手のパイプの外周から鍔状ガードの半径方向外端ま での寸法(33mm)では周囲の物体との接触から取っ手を握る手の保護を図ることができない旨さらに主張するが、取っ手を握った状態では、取っ手を掴む事による握力の作用で手のひらが圧縮され手のひらから手の甲までの厚みは取っ手を掴まない状態の厚みより小さくなるものといえる。 この点を考慮して、甲第3号証を見れば、甲3発明が、手の甲よりも鍔状ガードの外端 が外側に位置し積み荷が鍔状ガードの外端に先に接触することで手指をガードする作用を 奏することは当業者には明らかである。 以上のとおりであるので、被請求人の上記主張は採用できない。 c 甲9相違点3について(a)甲9発明の「上下方向に沿った長尺状の部材」は、「台車の直方体の枠状フレームにおける、台車の4隅に位置する」ものであるので、開放された端部が存在しない。 ここで、甲3発明の「鍔状ガード」は、「手押台車に固定されたコ字状のパイプ」の「水平方向に沿った取っ手」という、開放された端部が存在しない部位に後から装着するために、「上下に分割する樹脂製のパーツで構成され」るものであると理解できる。 そうすると、甲9発明の「上下方向に沿った長尺状の部材」に甲3発明の「鍔状ガード」を適用する場合、甲9発明の「 着するために、「上下に分割する樹脂製のパーツで構成され」るものであると理解できる。 そうすると、甲9発明の「上下方向に沿った長尺状の部材」に甲3発明の「鍔状ガード」を適用する場合、甲9発明の「上下方向に沿った長尺状の部材」に開放された端部が無い ので甲3発明の「鍔状ガード」が分割されたものであるという構成がそのまま採用されることとなるが、この場合、本件発明1の「保護部が設けられた保護部材は一体に形成された部材からなり」という構成には至らない。 また、本件発明1の「保護部が設けられた保護部材」は、「一体に形成された部材からなり、前記手押部材の長尺状かつパイプ状の本体部材を挿入して前記本体部材に装着する ための取付穴を有する」との構成を有するものであるが、甲9発明において、そのような保護部材を採用すると、後から装着することができなくなるから、そのような構成を採用する動機付けはない。 なお、本件発明1の「一体に形成された部材から」なる「前記保護部が設けられた保護部材」が「有する」「取付穴」は、「前記手押部材の長尺状かつパイプ状の本体部材を挿 入して前記本体部材に装着するため」と特定されており(下線は当審で付したもの。)、かかる本件発明1の発明特定事項からすれば、本件発明1は、「取付穴」に、「取付穴」の中心方向から長尺状かつパイプ状の本体部材を挿入して本体部材に装着する構成まで特定されていると理解でき、甲第1号証に記載されているような、一体形成された鍔状の部材である衝撃緩和用部材の係止孔1aをこじ開けて手押しハンドル4のパイプに取り付け る(挿入して装着するものではない。)構成まで含めるものではないといえる。したがっ て、仮に、甲第1号証に記載された、可撓性材料からなる本体1の中心部に係止孔1aを設け に取り付け る(挿入して装着するものではない。)構成まで含めるものではないといえる。したがっ て、仮に、甲第1号証に記載された、可撓性材料からなる本体1の中心部に係止孔1aを設け、本体1の側部からこの係止孔1aに行き当たる切欠部2を設けたものとすることにより、前記係止孔1aをこじ開け可能にした鍔状の部材の構成を参考にし、甲3発明の「鍔状ガード」を、分割された構成から、こじ開け可能な一体形成された部材とした上で、更に甲9発明の「直方体の枠状フレーム」の「上下方向に沿った長尺状の部材」に適用し たとしても、本件発明1の「前記手押部材の長尺状かつパイプ状の本体部材を挿入して前記本体部材に装着する」という構成に至らない。 したがって、甲9相違点3に係る本件発明1の構成となすことは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 (b)請求人は令和5年7月7日に提出した審判事件弁駁書において、今回新たに導入さ れた「前記保護部が設けられた保護部材は一体に形成された部材からなり、前記手押部材の長尺状かつパイプ状の本体部材を挿入して前記本体部材に装着するための取付穴を有する」との訂正事項の「保護部が設けられた保護部材は一体に形成された部材からなり」との構成は、本件発明の課題とは関係がない付加的な構成に過ぎず、また、一体形成を行うことは当業者における技術常識であることから極めて容易に想到し得たものといえる旨の 主張をしている(第5頁第19行~第7頁第3行)。 しかしながら、上記(a)で述べた理由により、甲9発明に甲3発明の「上下に分割する樹脂製のパーツで構成され」る「鍔状ガード」を適用しても、甲9相違点3に係る本件発明1の構成に至らないし、また、甲第1号証に記載の一体形成された鍔状の衝撃緩和用部材の係止孔1aをこじ開 下に分割する樹脂製のパーツで構成され」る「鍔状ガード」を適用しても、甲9相違点3に係る本件発明1の構成に至らないし、また、甲第1号証に記載の一体形成された鍔状の衝撃緩和用部材の係止孔1aをこじ開けて手押しハンドル4のパイプに取り付ける構成を適用しても、 甲9相違点3に係る本件発明1の構成に至らない。 さらに、上記(a)で指摘したとおり、甲3発明の「鍔状ガード」は、「手押台車に固定されたコ字状のパイプ」の「水平方向に沿った取っ手」という、開放された端部が存在しない部位に後から装着するために、「上下に分割する樹脂製のパーツで構成され」るものであると理解できるから、甲3発明の「鍔状ガード」を、甲9発明の「上下方向に沿っ た長尺状の部材」に適用した上で、さらに、「鍔状ガード」の「上下に分割する樹脂製の パーツ」を後から装着できないような構造である一体形成を行うように変更することが、当業者にとって容易であったということはできない。 そして、「前記保護部が設けられた保護部材は一体に形成された部材からなり、前記手押部材の長尺状かつパイプ状の本体部材を挿入して前記本体部材に装着するための取付穴を有する」との構成は、令和5年5月19日付け上申書に記載された「甲第3号証の「鍔 状ガード」と比べ、本体部材への保護部材の取り付け作業の容易化を図ることができる。」(第8頁第11、12行)という効果を奏することは明らかである。 したがって、甲9発明の「枠状フレーム」に、甲3発明の「上下に分割する樹脂製のパーツで構成され」る「鍔状ガード」適用して、甲9相違点3に係る本件発明1の構成とすることが当業者にとって容易であったということはできず、請求人の上記主張は採用でき ない。 d 小括よって、本件発明1は、甲9発明及び甲3 用して、甲9相違点3に係る本件発明1の構成とすることが当業者にとって容易であったということはできず、請求人の上記主張は採用でき ない。 d 小括よって、本件発明1は、甲9発明及び甲3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (2)本件発明2及び3について本件発明2及び3は、本件発明1の発明特定事項の全てをその構成の一部とするものであるから、上記(1)イの理由と同様の理由により、本件発明2及び3は、甲9発明及び甲8発明に基いて、又は、甲9発明及び甲3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (3)本件発明4についてア対比本件発明4と甲9発明’とを対比する。 甲9発明’の「運搬物を積載して走行部によって走行する台車本体部」は、本件発明4 の「運搬物を積載して走行部によって走行する台車本体部」に相当する。 甲9発明’の「台車の直方体の枠状フレームにおける、台車の四隅に位置する上下方向に沿った長尺状の部材」は、「台車を走行させるときに使用者が手で押すことができるように、使用者が手で掴むことができる部分を有する」ものであるため、本件発明4の「前記台車本体部の4隅に位置する上下方向に沿った挿入孔に挿入され、使用者が手で押すための前記上下方向に沿った長尺状の手押部材」との関係において、「前記台車本体部の4 隅に位置する、使用者が手で押すための前記上下方向に沿った長尺状の手押部材」の限りにおいて一致する。 さらに、上記(1)アに記載した事項を踏まえると、本件発明4と甲9発明’とは、「運搬物を積載して走行部によって走行する台車本体部と、前記台車本体部の4隅に位置する、使用者が手で押すための上下方向に沿った長尺状 アに記載した事項を踏まえると、本件発明4と甲9発明’とは、「運搬物を積載して走行部によって走行する台車本体部と、前記台車本体部の4隅に位置する、使用者が手で押すための上下方向に沿った長尺状の 手押部材と、を有する運搬台車であって、前記手押部材は、使用者が手で掴むことができるグリップ部を有する運搬台車。」である点で一致し、次の3点で相違する。 <甲9相違点4> 「前記台車本体部の4隅に位置する、使用者が手で押すための上下方向に沿った長尺状の手押部材」が、本件発明4では、「前記台車本体部の4隅に位置する上下方向に沿った挿入孔に挿入され」るものであるのに対し、甲9発明’では、「台車の直方体の枠状フレームにおける、台車の四隅に位置する」ものであり、台車本体部の上下方向に沿った挿入孔に挿入されるものとはされていない点。 <甲9相違点5>本件発明4は、「前記上下方向に対して直交する方向から見て前記グリップ部と重ならない位置に配置されると共に、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部」を有するのに対し、甲9発明’は、「保護部」を有しない点。 <甲9相違点6> 本件発明4は、前記保護部が設けられた保護部材は一体に形成された部材からなり、前記手押部材の長尺状かつパイプ状の本体部材を挿入して前記本体部材に装着するための取付穴を有する」とされているのに対し、甲9発明’は、「保護部」を有しないことから、かかる構成をも有しない点。 イ判断 (ア) 甲8発明との組み合わせ上記(1)イ(ア)で述べたように、甲9発明において甲9相違点2に係る本件発明4の構成となすことが当業者にとって容易になし得たこととはい い点。 イ判断 (ア) 甲8発明との組み合わせ上記(1)イ(ア)で述べたように、甲9発明において甲9相違点2に係る本件発明4の構成となすことが当業者にとって容易になし得たこととはいえないことからすれば、甲9相違点6〔注:甲9相違点5の誤記と認められる。〕に係る本件発明4の構成についても、同様の理由により、容易想到とはいえない。 よって、甲9相違点5〔注:甲9相違点6の誤記と認められる。〕について検討するまでもなく、本件発明4は、甲9発明’及び甲8発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (イ)甲3発明との組み合わせa 甲9相違点4について 甲9相違点4は、甲9相違点1と実質的に同じものである。 したがって、上記(1)イ(イ)aの理由と同様の理由により、甲9相違点4に係る本件発明4の構成は、甲9発明’に基いて当業者が容易に想到し得たものである。 b 甲9相違点5について甲9相違点5は、甲9相違点2と実質的に同じものである。 したがって、上記(1)イ(イ)bの理由と同様の理由により、甲9相違点5に係る本件発明4の構成は、甲9発明’及び甲3発明に基いて当業者が容易に想到し得たものである。 c 甲9相違点6について甲9相違点6は、甲9相違点3と実質的に同じものである。 したがって、上記(1)イ(イ)cの理由と同様の理由により、甲9相違点6に係る本 件発明1の構成となすことは、甲9発明’及び甲3発明に基いて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 d 小括よって、本件発明4は、甲9発明’及び甲3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (4)無効理由3についてのまとめ以上のとおりであ ない。 d 小括よって、本件発明4は、甲9発明’及び甲3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (4)無効理由3についてのまとめ以上のとおりであるから、本件発明1~3は、甲9発明及び甲8発明、又は、甲9発明及び甲3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないし、甲10発明及び甲8発明、又は、甲10発明及び甲3発明に基いて当業者が容易に発明をする ことができたものとはいえない。 また、本件発明4は、甲9発明’及び甲8発明、又は、甲9発明’及び甲3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないし、甲10発明’及び甲8発明、又は、甲10発明’甲3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 したがって、本件発明1~4は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明であるとはいえないから、その特許は、同法第123条第1項第2号に該当せず、無効理由3によっては、無効とすることはできない。 第7 〔略〕以上 別紙2本件明細書の抜粋 (注)下線部は訂正箇所を示す【発明の詳細な説明】 【技術分野】【0001】本発明は、手押部材および運搬台車に関する。特に、使用者の手に運搬台車の周辺の物体等に接触しないようにする保護する手押部材等に関する。 【背景技術】 【0002】建設現場等で使用される運搬台車には、運搬台車の本体の四隅部等に単管を挿入可能な構成を有するものがある。例えば、特許文献1 には、手押し棒として単管を挿入可能なコーナ部材が四隅部に設けられた運搬台車が開示されている。このような構成であれば、運搬台車の使用者は、運搬台車 可能な構成を有するものがある。例えば、特許文献1 には、手押し棒として単管を挿入可能なコーナ部材が四隅部に設けられた運搬台車が開示されている。このような構成であれば、運搬台車の使用者は、運搬台車の移動の際に、運搬台車の本体に差し込んだ単管を手押し棒 として用いることができる。 【発明の概要】【発明が解決しようとする課題】【0004】 ところで、手押し棒を用いて運搬台車を移動させる際には、手押し棒を掴んでいる(握っている)使用者の手が壁等といった周辺に存在する物体に接触する虞がある。 本発明は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、使用者の手が運搬台車の周辺の物体等に接触しないようにすることを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0005】 本発明は、運搬台車の4隅に位置する上下方向に沿った挿入孔に挿入され、前記運搬台車を走行させるときに使用者が手で押すための前記上下方向に沿った長尺状の手押部材であって、使用者が手で掴むグリップ部と、前記上下方向に対して直交する方向から見て前記グリップ部と重ならない位置に配置されると共に、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部 と、を有する手押部材であって、前記保護部が設けられた保護部材は一体に形成された部材からなり、前記手押部材の長尺状かつパイプ状の本体部材を挿入して前記本体部材に装着するための取付穴を有することを特徴とする。 本発明は、運搬物を積載して走行部によって走行する台車本体部と、前記台車本体部の4隅に位置する上下方向に沿った挿入孔に挿入され、使用者が手で押すための前記上下方 向に沿った長尺状の手押部材と、を有する運搬台車であって、前記手 によって走行する台車本体部と、前記台車本体部の4隅に位置する上下方向に沿った挿入孔に挿入され、使用者が手で押すための前記上下方 向に沿った長尺状の手押部材と、を有する運搬台車であって、前記手押部材は、使用者が手で掴むグリップ部と、前記上下方向に対して直交する方向から見て前記グリップ部と重ならない位置に配置されると共に、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部と、を有する運搬台車であって、前記保護部が設けられた保護部材は一体に形成された部材からなり、前記 手押部材の長尺状かつパイプ状の本体部材を挿入して前記本体部材に装着するための取付穴を有することを特徴とする。 【発明の効果】【0006】本発明によれば、使用者の手が運搬台車の周辺の物体等に接触しないようにすることが できる。 【発明を実施するための形態】【0008】以下に、実施形態に係る運搬台車および手押部材について図面を参照して説明する。な お、説明の便宜上、以下の各実施形態で示す手押部材および保護部材の上下方向は、手押 部材が台車本体部に装着された状態での方向を基準とする。また、運搬台車の前後方向を運搬台車の長手方向とし、左右方向を運搬台車の短手方向とする。ただし、本実施形態の運搬台車は、前後左右を含め任意の方向に走行することができる。 【0009】<第1の実施形態> 図1は、第1の実施形態に係る運搬台車および手押部材の構成例を示す図である。 運搬台車1は、台車本体部20、走行部30、手押部材40を備えている。 まず、台車本体部20について説明する。 台車本体部20は複数のフレーム部等が連結して構成され、運搬物を積載する。台車本体部20は 車1は、台車本体部20、走行部30、手押部材40を備えている。 まず、台車本体部20について説明する。 台車本体部20は複数のフレーム部等が連結して構成され、運搬物を積載する。台車本体部20は、平面視において前後方向を長手方向とし、左右方向を短手方向とする矩形状 である。台車本体部20は、前側フレーム部21a、後側フレーム部21b、右側フレーム部21c、左側フレーム部21d、コーナ部材22、補強フレーム部(補強部)25、載置板26等を有している。 【図1】 【0010】 前側フレーム部21a、後側フレーム部21b、右側フレーム部21c、左側フレーム部21dは、例えばアルミニウム合金製の角状の中空状パイプ等を用いることができる。 また、コーナ部材22は、例えば押出し成形により形成されるアルミニウム合金製である。 コーナ部材22は、上方に開口する挿入孔23と、下方を閉塞するストッパ部24(図8を参照)とを有する。コーナ部材22の挿入孔23には、手押部材40が挿入される。挿 入孔23に挿入された手押部材40の下端はストッパ部24によって支持される。 【0011】前側フレーム部21a、後側フレーム部21b、右側フレーム部21c、および、左側フレーム部21dは、コーナ部材22により4つの角部で結合されることで、矩形状の四方のフレーム枠を構成する。フレーム枠内は複数の補強フレーム部25が前後左右方向に 付き合わされ、ネジ、リベット、溶接等で接合されることで格子状に構成される。補強フレーム部25は、例えばアルミニウム合金製の角状の中空状パイプや断面凹凸状のプレート等を用いることができる。 載置板26は、運搬物を積載するための平面状の板である。載置板26は、各フレーム部や各補強フレーム部25にリ アルミニウム合金製の角状の中空状パイプや断面凹凸状のプレート等を用いることができる。 載置板26は、運搬物を積載するための平面状の板である。載置板26は、各フレーム部や各補強フレーム部25にリベットやネジを介して結合される。 【0012】走行部30は、台車本体部20および運搬物の荷重を支持しながら走行面を走行する。 走行部30は、複数のキャスター31を有している。本実施形態では、走行部30は、台車本体部20の4隅に配置される4つのキャスター31と、前後方向の中央であって左右に離れて配置される2つのキャスター31との6つのキャスターを有する。キャスター3 1はそれぞれ取付板を介して台車本体部20に取り付けられる。 【0013】手押部材40は、運搬台車1を走行させるときに使用者が手で押すための部材である。 手押部材40は、長さが1000mm 前後の長尺状である。手押部材40は下端をコーナ部材22の挿入孔23に挿入することで、台車本体部20に取り付けられる。本実施形態の 運搬台車1は4つの手押部材40を有し、各コーナ部材22の挿入孔23に挿入される。 4つの手押部材40は、何れも同一の構成である。だだし、4つの手押部材40を取り付ける場合に限られず、1つ、2つまたは3つの手押部材40を取り付けてもよい。 【0014】手押部材40は、本体部としての本体部材41と、保護部材42とを有する。 本体部材41は、長尺状かつパイプ状の部材である。本体部材41は、例えば単管(単 管パイプ)を適用することができる。単管は、JISG 3444に規定されている一般構造用炭素鋼鋼管をいい、外径が486mm の円管である。ただし、本体部材41は、上述した寸法の単管に限定されるものではなく、各種の棒状や管状の部材が 単管は、JISG 3444に規定されている一般構造用炭素鋼鋼管をいい、外径が486mm の円管である。ただし、本体部材41は、上述した寸法の単管に限定されるものではなく、各種の棒状や管状の部材が適用できる。 【0015】保護部材42は、使用者の手を保護する。保護部材42は、本体部材41の上端部に着 脱可能に装着される。使用者(建設作業者等) は、本体部材41に装着された保護部材42を掴んで運搬台車1を移動させることができる。 【0016】図2は、保護部材42の構成例を模式的に示す外観斜視図であり、(a)は斜め上側から見た図、(b)は斜め下側から見た図である。図3は、保護部材42の構成例を模式的 に示す断面図である。 図2と図3に示すように、保護部材42は、グリップ部43と、第1の保護部44と、第2の保護部45とを有しており、これらが一体に形成されている。また、保護部材42には、内部に本体部材41の上端部を挿入可能で下側(上下方向において第1の保護部44とは反対側)に開口する取付穴46が形成されている。保護部材42は、例えばポリエ チレン等の樹脂材料からなり、射出成形によって一体に形成される。 【図2】 【図3】 【0017】グリップ部43は、略円筒状であり、使用者が片手で掴むことができる(握ることができる)寸法を有する。使用者が片手で掴めるように、例えば、長さ(上下方向寸法) は100~200mm の範囲が好適であり、更には120~180mm の範囲が好適である。 また、本体部材41に単管を用いる場合には、例えば、外径は50~60mm の範囲が好適である。ただし、具体的な寸法は特に限定されるものではない。また、グリップ部43の表面に 範囲が好適である。 また、本体部材41に単管を用いる場合には、例えば、外径は50~60mm の範囲が好適である。ただし、具体的な寸法は特に限定されるものではない。また、グリップ部43の表面には、滑り止めのための凹凸パターンが設けられていてもよい。 【0018】第1の保護部44および第2の保護部45は、グリップ部43に近接して設けられてい る。具体的には、第1の保護部44はグリップ部43の上下方向(本体部材41の軸線方向)の一方の端部(上側)に設けられ、第2の保護部45はグリップ部43の上下方向の他方の端部(下側) に設けられる。 第1の保護部44および第2の保護部45は、何れもグリップ部43の外周面よりも外側に突出しており、グリップ部43よりも大きい外径を有する。特に、第1の保護部44 および第2の保護部45の外径は、平面視において、グリップ部43を掴んでいる使用者の手H(指)が第1の保護部44と第2の保護部45に重畳してはみ出さない(平面視に おいて外形線の内側に収まる)寸法に設定される。具体的には例えば、第1の保護部44および第2の保護部45の外径は、100~140mm の範囲が好適であり、更には110~130mm の範囲が好適である。ただし、具体的な寸法は特に限定されるものではない。 【0019】第1の保護部44は、平面視において略円形で、上側(グリップ部43とは反対側)に 向かうにしたがって外径が小さくなる先細り形状を有する。そして、第1の保護部44の側面47(半径方向外側の面) は、側面視において、半径方向外側かつ斜め上側に向かって膨出する曲面に形成されている。第1の保護部44の上面48(グリップ部43とは反対側の面)は、上側に向かって膨出するドーム状の曲面に形成されている。第1の保 おいて、半径方向外側かつ斜め上側に向かって膨出する曲面に形成されている。第1の保護部44の上面48(グリップ部43とは反対側の面)は、上側に向かって膨出するドーム状の曲面に形成されている。第1の保護部44の側面47と上面48とは、曲面によって滑らかにつながっている。なお、第1の 保護部44の下面49は平面でよい。但し、第1の保護部44の側面47と下面49とは、曲面によって滑らかにつながっている構成であることが好ましい。このように、側面視において、第1の保護部44の側面47および上面48の輪郭線は曲線で形成される。 ただし、第1の保護部44の形状は、上述した形状に限定されない。例えば、第1の保護部44の形状は、円板状であってもよく、上側に向かって膨出する略半球形状であって もよい。 【0020】第2の保護部45は、第1の保護部44を上下方向に反転させた形状である。ただし、第2の保護部45の形状は、上述した形状に限定されない。例えば、第2の保護部45の形状は、円板状であってもよく、下側に向かって膨出する略半球形状であってもよい。 取付穴46は、本体部材41を挿入可能な穴(凹部)であり、下側(第2の保護部45の側) が開口する。取付穴46の内径は、本体部材41の外径に応じて設定される。例えば、本体部材41を取付穴46に挿入したときに、保護部材42が本体部材41 に対して容易に離脱しないような寸法に設定される。また、取付穴46の深さは特に限定されないが、少なくとも使用時に横方向に力を掛けた場合に外れないような深さに設定される。 【0021】 したがって、取付穴46に本体部材41の上端部を挿入することにより、保護部材42を本体部材41に装着することができる(図1参照) 。使用者は、保護部材42 る。 【0021】 したがって、取付穴46に本体部材41の上端部を挿入することにより、保護部材42を本体部材41に装着することができる(図1参照) 。使用者は、保護部材42を本体部材41に装着した手押部材40を、各コーナ部材22の挿入孔23に挿入することで、手押部材40を台車本体部20に取り付けることができ、使用者は手で手押部材40のグリップ部43を掴んで運搬台車1を移動させることができる。 【0022】ここで、第1の実施形態に係る手押部材40の効果について、図4と図5を参照して説明する。図4と図5は、手押部材40の効果を説明する図である。具体的には、図4は、運搬台車1の移動中において、手押部材40の上端部が壁等の物体Wに接近した状態を模式的に示す図である。図5は、運搬台車1の運搬物Bである板材が手押部材40の上端部 に寄り掛かった状態を模式的に示す図である。 【図4】 【図5】 【0023】図4に示すように、運搬台車1の移動中において、手押部材40の上端部が壁等の物体 Wに接近することがある。この際、本体部材41の上端部に保護部材42が装着されておらず、使用者が単に本体部材41の上端部を直接的に掴んでいると、使用者の手H(指や手の甲)が物体Wに接触したり、本体部材41と物体Wとに挟まれたりすることがある。 これに対して、図4に示すように、本体部材41の上端部に保護部材42を装着し、保護 部材42のグリップ部43を掴んでいると(握っていると) 、手押部材40の上端部が物体Wに接近した際に、第1の保護部44や第2の保護部45が物体Wに接触するため、グリップ部43を掴んでいる使用者の手Hが物体Wに接触することが防止または抑制される。 【0024 材40の上端部が物体Wに接近した際に、第1の保護部44や第2の保護部45が物体Wに接触するため、グリップ部43を掴んでいる使用者の手Hが物体Wに接触することが防止または抑制される。 【0024】 図5に示すように、板状の資材を運搬台車1で運搬する際には、板状の資材を手押部材40の上端部に寄り掛けておくことがある。この際、運搬物Bである板状の資材を保護部材42の第1の保護部44に寄り掛けることによって、使用者が手押部材40を掴むスペースを確保でき、かつ、使用者の手H(特に指)が運搬物Bに接触することを防止または抑制できる。ここで、第1の保護部44の側面47は斜め上側に向かって膨出する曲面で あり、上面48は上側に向かって膨出する曲面であり、側面47と上面48とは曲面によって滑らかにつながっている。このため、第1の保護部44の斜め上方に運搬物Bが寄り掛かった場合には、曲面で運搬物Bを受けることになる。したがって、運搬物Bに接触痕が形成されることが防止または抑制される。 【0025】 なお、運搬台車1の運搬物Bが運搬の際に移動して、手押部材40の上端部に接近することがある。この場合にも、移動した運搬物Bが第1の保護部44や第2の保護部45に接触することにより、グリップ部43を掴んでいる使用者の手H に運搬物Bが接触することが防止または抑制される。この際、第1の保護部44および第2の保護部45には、半径方向外側に向かって尖った部分が設けられないから、第1の保護部44や第2の保護 部45に接触した運搬物Bに接触痕が形成されることが防止または抑制される。 【0026】このように、第1の実施形態に係る手押部材40によれば、運搬台車1の手押部材40を掴んでいる使用者の手Hに、運搬台車1の周辺の物体Wや運搬台車1 されることが防止または抑制される。 【0026】このように、第1の実施形態に係る手押部材40によれば、運搬台車1の手押部材40を掴んでいる使用者の手Hに、運搬台車1の周辺の物体Wや運搬台車1の運搬物Bが接触することが防止または抑制される。更に、運搬物Bが保護部材42に接触した場合であっ ても、運搬物Bに接触痕が形成されることが防止または抑制される。 【0027】<第2の実施形態>次に、第2の実施形態に係る手押部材の構成について図6を参照して説明する。 図6は、第2の実施形態に係る手押部材のうち保護部材52の構成例を模式的に示す図であり、(a)は上側から見た図、(b)は下側から見た図である。なお、第1の実施形 態と同様の構成は同一符号を付して、その説明を省略する。 【図6】 【0028】図6に示すように、保護部材52は、挿入部53と、保護部54とを有しており、これ らが一体に形成されている。保護部材52は、例えばポリエチレン等の樹脂材料からなり、射出成形によって一体に形成される。 【0029】挿入部53は、円筒状や円柱状の構成を有する部分であり、本体部材41の上端部の内部に挿入される部分である。挿入部53の外径は、適用対象である本体部材41の内径に 応じて設定される。例えば、挿入部53を本体部材41に挿入したときに、保護部材52が本体部材41に対して容易に離脱しないような寸法に設定される。 【0030】保護部54は、挿入部53の上側に設けられる部分である。保護部54は、適用対象である本体部材41の外周面よりも外側に突出している。保護部54は、例えば平面視で略 円形である。保護部54の外径は、平面視において、本体部材41の上端部を掴んでいる使用者の指 象である本体部材41の外周面よりも外側に突出している。保護部54は、例えば平面視で略 円形である。保護部54の外径は、平面視において、本体部材41の上端部を掴んでいる使用者の指が、保護部54 からはみ出さない(平面視において保護部54の外形線の内側に収まる)寸法に設定される。具体的には、保護部54の外径は、100~140mm の範囲が好適であり、更には110~ 130mm の範囲が好適である。ただし、具体的な寸法は特に限定されるものではない。 【0031】保護部54は、第1の実施形態に係る保護部材42の第1の保護部44と同じ形状が適用できる。すなわち、保護部54は、上側(挿入部53とは反対側) に向かうにしたがって外径が小さくなる先細り形状を有する。そして、保護部54の側面57は、側面視において、半径方向外側でかつ斜め上側に向かって膨出する曲面に形成されている。保護部 54の上面58(挿入部53とは反対側の面) は、上側に向かって膨出するドーム状の曲面に形成されている。保護部54の側面57と上面58とは、曲面によって滑らかにつながっている。このように、側面視において、保護部54の側面57および上面58の輪郭線は曲線からなる。また、保護部54の下面59 (挿入部53の側を向く面)は、略平面でよい。そして、保護部54の側面57と下面59とは曲面によって滑らかにつなが っている。 【0032】したがって、本体部材41の上端部に挿入部53を挿入することにより、保護部材52を本体部材41に装着することができる。使用者は、保護部材52を本体部材41に装着した手押部材を、コーナ部材22の挿入孔23に挿入することで、手押部材を台車本体部 20に取り付けることができ、使用者は手で保護部54に近接する きる。使用者は、保護部材52を本体部材41に装着した手押部材を、コーナ部材22の挿入孔23に挿入することで、手押部材を台車本体部 20に取り付けることができ、使用者は手で保護部54に近接する本体部材41をグリップ部として掴んで運搬台車を移動させることができる。第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。 【0033】<第3の実施形態> 次に、第3の実施形態に係る運搬台車および手押部材の構成について説明する。 図7は、第3の実施形態に係る運搬台車および手押部材の構成例を示す図である。なお、第1の実施形態と同様の構成は同一符号を付して、その説明を省略する。 運搬台車2は、台車本体部20、走行部30、手押部材60を備えている。 【図7】 【図8】 【0034】手押部材60は、本体部としての本体部材61と、保護部材63と、補強部材70とを有する。 本体部材61は、長尺状かつパイプ状の部材である。本実施形態の本体部材61は、第1の実施形態と異なり、軽量化を図るためにアルミニウム合金製であって、押し出し成形 により形成されている。また、本実施形態の本体部材61は、視認性を向上させるために台車本体部20、具体的には前側フレーム部21a、後側フレーム部21b、右側フレーム部21c、左側フレーム部21dと異なる色が付されている。例えば、前側フレーム部21a、後側フレーム部21b、右側フレーム部21c、左側フレーム部21dが、シルバー等の金属色の場合には金属色とは異なる色、例えば赤、緑、青等、色の三原色であっ てもよく、オレンジ色等であってもよい。 また、本実施形態の本体部材61は、使用者が掴みやす ルバー等の金属色の場合には金属色とは異なる色、例えば赤、緑、青等、色の三原色であっ てもよく、オレンジ色等であってもよい。 また、本実施形態の本体部材61は、使用者が掴みやすいように、外径が例えば42~45mm(ここでは44mm)であり、第1の実施形態よりも小径の円管である。また、本実施形態の本体部材61は、強度を向上させるために内部が十字状に補強されている。ただし、本体部材61は、上述した寸法に限定されるものではなく、各種の棒状や管状の部材、 上述した単管等が適用できる。 【0035】図8は、手押部材60および保護部材63の構成例を示す図であり、(a)は手押部材60の側面図、(b)はI-I線断面図である。 保護部材63は、使用者の手を保護すると共に、運搬物を積載するときの最大積載高さ を示す指標となる。保護部材63は、本体部材61の上側であって、上端から所定の距離離れた位置にボルトやリベット等で固定される。本実施形態の保護部材63は、本体部材61の上端から100~200mm 離れた位置に固定されるのが好適であり、更には120~180mm 離れた位置に固定されるのが好適である。本体部材61のうち、本体部材61の上端から保護部材63の上端までの範囲がグリップ部62として機能する。 保護部材63は、保護部64と、取付部65とを有しており、これらが一体で形成されている。また、保護部材63は、内部に本体部材61を挿入するために上下に開口する取付穴66を有する。保護部材63は、例えばポリエチレン等の樹脂材料からなり、射出成形によって一体に形成される。保護部材63は視認性を向上させるために台車本体部20、具体的には前側フレーム部21a、後側フレーム部21b、右側フレーム部21c、左側 フレー 料からなり、射出成形によって一体に形成される。保護部材63は視認性を向上させるために台車本体部20、具体的には前側フレーム部21a、後側フレーム部21b、右側フレーム部21c、左側 フレーム部21dと異なる色が付されている。例えば、前側フレーム部21a、後側フレーム部21b、右側フレーム部21c、左側フレーム部21dが、シルバー等の金属色の場合には金属色とは異なる色、例えば赤、緑、青等、色の三原色であってもよく、オレンジ色等であってもよい。なお、保護部材63は、本体部材61と異なる色とするが、同じ色であってもよい。 【0036】 保護部64は、グリップ部62の外周面よりも外側に突出する円板状であり、グリップ部62よりも大きい外径を有する。特に、保護部64の外径は、平面視において、グリップ部62を掴んでいる使用者の手が保護部64に重畳してはみ出さない(平面視において外形線の内側に収まる)寸法に設定される。具体的には、保護部64の外径は、100~140mm の範囲が好適であり、更には110~130mm の範囲が好適である。ただし、 具体的な寸法は特に限定されるものではない。 取付部65は、保護部64の下端から下側に延出する円筒状であり、本体部材61よりも大きく、保護部64よりも小さい外径を有する。取付部65の長さ(上下方向寸法)は、特に限定されないが、取付部65をボルトやリベット等で本体部材61に固定できる長さに設定される。 【0037】取付穴66は、本体部材61を挿入可能な穴である。取付穴66の内径は、本体部材61の外形に応じて設定される。 したがって、取付穴66に本体部材61を挿入して、本体部材61の上端から所定の位置で取付部65をボルトやリベット等で本体部材61に固定することで、 内径は、本体部材61の外形に応じて設定される。 したがって、取付穴66に本体部材61を挿入して、本体部材61の上端から所定の位置で取付部65をボルトやリベット等で本体部材61に固定することで、保護部材63を 本体部材61に固定することができる。 【0038】補強部材70は、本体部材61の下端、具体的には下端の近接した位置にボルトやリベット等で固定される。補強部材70は、本体部材61の強度を補強すると共に、本体部材61をコーナ部材22の挿入孔23に挿入したときに挿入孔23との間でガタ付きを抑制 する。補強部材70は、例えばアルミニウム合金製等である。 図9は、補強部材70の構成例を示す図であり、(a)は図8(a)に示すII-II線断面図であり、(b)はコーナ部材22の挿入孔23を示す図である。 【0039】図9(a)に示すように、補強部材70は、円筒状であって、本体部材61の外径より も大きい外径を有する。補強部材70は、外周面のうち一部が径方向に向かって膨らむ複 数(ここでは2つ) の膨出部71a、71bを有する。膨出部71a、71bは緩やかな傾斜部72を経て径方向に突出する。また、補強部材70の下端は、下側に向かうにしたがって外径が小さくなる先細り形状を有する。補強部材70の長さ(上下方向寸法)は、特に限定されないが、コーナ部材22の挿入孔23の深さと略同程度の長さに設定される。 また、補強部材70は、内部に本体部材61を挿入するために上下に開口する取付穴73 を有する。 したがって、取付穴73に本体部材61を挿入して、本体部材61の下端から所定の位置で補強部材70をボルトやリベット等で本体部材61に固定することで、補強部材70を本体部材61に固定することができる。 【0040】 73に本体部材61を挿入して、本体部材61の下端から所定の位置で補強部材70をボルトやリベット等で本体部材61に固定することで、補強部材70を本体部材61に固定することができる。 【0040】 一方、図9(b)に示すように、補強部材70が挿入される挿入孔23は、平面75a、 75 b、75cと、補強部材70の円形の曲率半径と略同一の円弧面75Dとにより囲まれている。また、挿入孔23には、補強部材70の膨出部71a、71bの挿入を許容する凹部としての空間76a、76bをする。したがって、膨出部71a、71b を空間76a、76bに合わせて、本体部材61に固定された補強部材70を挿入孔23に挿 入することで、手押部材60が所定の位置に位置決めされる。 【0041】使用者は、保護部材63および補強部材70を本体部材61に固定した手押部材60を、コーナ部材22の各挿入孔23に挿入することで、手押部材60を台車本体部20に取り付けることができる。使用者は手で手押部材60のグリップ部62を掴んで運搬台車2を 移動させることができる。第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。 【0042】また、本実施形態では、単管よりも小径な本体部材61を使用しているために、使用者は本体部材61のグリップ部62を容易に掴むことができる。一方、小径にしたことによ る強度の低下を補強するために、本体部材61の下端には補強部材70を固定している。 したがって、手押部材60の強度を向上させることができる。ただし、本体部材61に単管あるいは単管以外の部材を用いる場合であっても本体部材61の下端に補強部材70を固定してもよい。 また、本実施形態では、補強部材70が挿入孔23に挿入された状態では、 。ただし、本体部材61に単管あるいは単管以外の部材を用いる場合であっても本体部材61の下端に補強部材70を固定してもよい。 また、本実施形態では、補強部材70が挿入孔23に挿入された状態では、補強部材70の傾斜部72が平面75b、75cおよび円弧面75Dに接する。したがって、単に円 形の本体部材61を挿入する場合に比べて補強部材70を介在させることで挿入孔23との間の接触面積が増えるために、コーナ部材22の挿入孔23との間でガタ付きをより少なくすることができる。 【0043】また、図8(b)に示す平面視において、保護部64の一部は台車本体部20(二点鎖 線を参照)と重畳する。したがって、台車本体部20に運搬物を積載するときに運搬物と保護部64とが干渉するために、運搬物を保護部64よりも高く積載されることを防止できる。すなわち、保護部64は最大積載高さを示す指標となる。したがって、使用者は運搬物を積載した運搬台車2の重心位置が高くなることが抑制でき、使用者は運搬台車2を安定して走行させることができる。なお、使用者に保護部64が最大積載高さを示す指標 であることを報知するために、保護部64を超えて運搬物を積載してはいけない旨がシール等で手押部材60あるいは台車本体部20等に付されている。 なお、保護部材63は本体部材61の上端から所定の距離離れた位置で、取付穴66の軸線を中心にして本体部材61に対して回動自在に配置してもよい。この場合、保護部材63の保護部64が壁等の物体Wに接触したときに保護部材63が回動して、接触したと きの衝撃を抑制することができる。 【0044】<第4の実施形態>次に、第4の実施形態に係る運搬台車および手押部材の構成について説明する。 図10は、第4の実施形態に係る運搬 と きの衝撃を抑制することができる。 【0044】<第4の実施形態>次に、第4の実施形態に係る運搬台車および手押部材の構成について説明する。 図10は、第4の実施形態に係る運搬台車および手押部材の構成例を示す図である。な お、第3の実施形態と同様の構成は同一符号を付して、その説明を省略する。 運搬台車3は、台車本体部20、走行部30、手押部材80(80a~80d)を備えている。 【0045】手押部材80は、本体部としての本体部材61と、保護部材83と、補強部材70とを有する。なお、本体部材61と補強部材70とは、第3の実施形態と同一の部材を用いる ことができる。 図11は、手押部材80および保護部材83の構成例を示す図であり、(a)は手押部材80の側面図、(b)はIII-III線断面図である。 保護部材83は、使用者の手を保護すると共に、側壁を取り付けるための側壁取付部として機能する。保護部材83は、本体部材61の上下に離れた複数(ここでは、2箇所) の位置にボルトやリベット等で固定される。具体的には、一つ目の保護部材83は、上側であって、上端から所定の距離、離れた位置にボルトやリベット等で固定される。この位置は、グリップ部62に近接した位置である。一方、二つ目の保護部材83は、下側であって、下端から所定の距離、離れた位置にボルトやリベット等で固定される。この位置は、補強部材70に近接した位置である。 【0046】保護部材83は、保護部84と、取付部65とを有しており、これらが一体で形成されている。また、保護部材83は、内部に本体部材61を挿入するために上下に開口する取付穴66を有する。保護部材83は、例えばポリエチレン等の樹脂材料からなり、射出成形によって一 これらが一体で形成されている。また、保護部材83は、内部に本体部材61を挿入するために上下に開口する取付穴66を有する。保護部材83は、例えばポリエチレン等の樹脂材料からなり、射出成形によって一体に形成される。保護部材83は視認性を向上させるために、第3の実施形 態の保護部材63と同様な色が付されている。 【0047】保護部84は、グリップ部62の外周面よりも外側に突出する複数(ここでは4つ)の突出部85a~85dを有する。突出部85a~85dは、取付穴66の上下方向に沿った軸線(中心軸線) を中心として90°の等間隔であって、取付穴66の軸線側から径 方向に放射状に延びている。また、突出部85a~85dは、外側の外形線が略円形(以 下、突出部85a~85dの円形という)の一部をなしている。突出部85a~85dの円形は、グリップ部62 よりも大きい外径を有する。特に、突出部85a~85dの外径は、平面視において、グリップ部62を掴んでいる使用者の手が保護部84に重畳してはみ出さない(平面視において外形線の内側に収まる)寸法に設定される。具体的には、突出部85a~85dの円形の外径は、100~140mm の範囲が好適であり、更には1 10~130mm の範囲が好適である。ただし、具体的な寸法は特に限定されるものではない。 【0048】また、保護部84は、隣接する突出部85a~85dの間に、外側から保護部84の中心側、すなわち内側に向かって凹む溝部86a~86dを有する。溝部86a~86dは、 取付穴66の軸線(中心軸線)を中心として90°の等間隔に形成される。溝部86a~86dは保護部84を上下に貫通する。また、溝部86a~86dの溝幅(図11(b)に示すW)は、後述する側壁を嵌め込むことがで 6の軸線(中心軸線)を中心として90°の等間隔に形成される。溝部86a~86dは保護部84を上下に貫通する。また、溝部86a~86dの溝幅(図11(b)に示すW)は、後述する側壁を嵌め込むことができる寸法に設定される。更に、溝部86a~86dには、外側に向かうほど溝幅が広がるように開拡する傾斜状あるいは円弧状の支持部87a~87dを有する。 【0049】ここで、一つ目の保護部材83および二つ目の保護部材83の各取付穴66に本体部材61を挿入して、本体部材61の上端から所定の位置および下端から所定の位置で各取付部65をボルトやリベット等で本体部材61に固定することで、2つの保護部材83を本体部材61に固定することができる。このとき、手押部材80の平面視において、2つの 保護部材83はそれぞれの溝部86a~86dが重畳する状態で本体部材61に固定される。 【0050】使用者は、保護部材83および補強部材70を本体部材61に固定した手押部材80を、コーナ部材22の各挿入孔23に挿入することで、手押部材80を台車本体部20に取り 付けることができる。このとき、各手押部材80における溝部86a~86dがそれぞれ 運搬台車3の前後方向および左右方向を指向するように、補強部材70によって位置決めされる。また、図11 (b)に示す平面視において、手押部材80bを一例にすると、溝部86a~86dのうち溝部86a、86bが台車本体部20(二点鎖線を参照) と重畳する。 【0051】 図12は、側壁90A~90Dを取り付けた運搬台車3の構成例を示す斜視図である。 側壁90A~90Dは、矩形の板状であって、それぞれ前後左右から運搬台車3の側方を覆う。側壁90A~90Dは、例えばプラスチックダンボールが用い を取り付けた運搬台車3の構成例を示す斜視図である。 側壁90A~90Dは、矩形の板状であって、それぞれ前後左右から運搬台車3の側方を覆う。側壁90A~90Dは、例えばプラスチックダンボールが用いられる。プラスチックダンボールは、プラスチックを素材とし、中空の領域を備える板状の部材であり、軽量であって剛性に優れている。ただし、側壁90A~90Dは、木材の合板や単板等を用 いてもよい。 【0052】ここで、側壁90A~90Dの板厚は、溝部86a~86dに嵌め込むことができる寸法に設定される。また、側壁90A~90Dの高さは、載置板26から上側に位置する保護部材83の保護部84までの距離と略同一である。また、側壁90A,90Bの長さ (左右方向の長さ)は、前側フレーム部21aあるいは後側フレーム部21bの長さと略同一である。また、側壁90C,90Dの長さ(前後方向の長さ) は、右側フレーム部21cあるいは左側フレーム部21dの長さと略同一である。 【0053】次に、側壁90A~90Dを運搬台車3に取り付ける場合について説明する。説明の便 宜上、側壁90A~90Dが運搬台車3に取り付けられた状態において、側壁90A~90Dの矩形の4辺のうち上側に位置する辺を上辺、下側に位置する辺を底辺、鉛直方向の2つの辺を側辺という。 まず、使用者は側壁90A~90Dの面がそれぞれ鉛直になるように維持する。次に、使用者は、手押部材80dと手押部材80aとの間、手押部材80aと手押部材80bと の間、手押部材80bと手押部材80cとの間、および、手押部材80cと手押部材80 dとの間に、上側から各側壁90A~90Dを挿入する。このとき、側壁90A~90Dの両側の側辺を手押部材80a~80dの溝部86a~86dに cとの間、および、手押部材80cと手押部材80 dとの間に、上側から各側壁90A~90Dを挿入する。このとき、側壁90A~90Dの両側の側辺を手押部材80a~80dの溝部86a~86dに嵌め込みながら挿入する。 側壁90A~90Dを挿入することで、側壁90A~90Dの各底辺が載置板26(あるいはフレーム部)の上面によって支持される。 【0054】 側壁90A~90Dが載置板26上に支持された状態では、側壁90A~90Dの各側辺は手押部材80a~80dの上側に位置する保護部材83の溝部86a~86d、および、下側に位置する保護部材83の溝部86a~86dに嵌め込まれる。 図11(b)に示すように手押部材80bを一例にすると、上側および下側の保護部材83の何れについても、保護部84の溝部86aに側壁90Dの一方側の側辺が嵌め込ま れ、保護部84の溝部86dに側壁90Bの一方側の側辺が嵌め込まれる。同様に、手押部材80a、80b、80dについても、上下の位置で側辺がそれぞれ2つの溝部86a~86dに嵌め込まれる。したがって、側壁90A~90Dは、手押部材80a~80dの保護部84によって運搬台車3に取り付けられる。 【0055】 側壁90A~90Dが取り付けられた運搬台車3は、側壁90A~ 90Dによって囲まれた空間内に運搬物を収容することができる。運搬台車3の側方を覆うように側壁90A~90Dを取り付けることで、運搬物を落下させることなく運搬台車3を走行させることができる。すなわち、使用者は手で手押部材80のグリップ部62を掴んで運搬台車3を移動させることができる。このとき、運搬台車3の手押部材40を掴んでいる使用者の 手Hに物体Wに接近した場合であっても、上側の保護部材83の保護部84が物体Wに リップ部62を掴んで運搬台車3を移動させることができる。このとき、運搬台車3の手押部材40を掴んでいる使用者の 手Hに物体Wに接近した場合であっても、上側の保護部材83の保護部84が物体Wに接触するため、グリップ部62を掴んでいる使用者の手Hが物体Wに接触することが防止または抑制される。 【0056】また、本実施形態の手押部材80は、手押部材80を保管したり搬送したりする場合に、 複数の手押部材80を積み重ねた状態に支持することができる。 図13は手押部材80を積み重ねた状態を示す図であり、(a)は側面図、(b)は(a)に示す矢印A方向から見た図である。 図13(a)に示すように、手押部材80を積み重ねるには、各手押部材80の長手方向を水平にした状態で並列になるように複数段に重ねる。このとき、並列で隣り合う手押部材80同士は、保護部材83が鉛直方向に重ならないように手押部材80の長手方向に 互い違いにずらして重ねる。 【0057】図13(b)に示すように、1段目の手押部材80は、保護部材83の保護部84の2つの突出部(ここでは、突出部85b、85c)が床面に接地する。したがって、1段目の手押部材80は床面に安定した状態で接地される。次に、積み重ねた2段目の手押部材 80は、保護部84の2つの突出部(ここでは、突出部85b、85c)の間に形成されている支持部(ここでは、支持部87c)が、1段目の手押部材80の本体部材61の外周面に接する。また、1段目の手押部材80は、保護部84の2つの突出部(ここでは、突出部85a、85d)の間に形成されている支持部(ここでは、支持部87a)が、2段目の手押部材80の本体部材61の外周面、正確には取付部65の外周面に接する。こ のように、複数の手 こでは、突出部85a、85d)の間に形成されている支持部(ここでは、支持部87a)が、2段目の手押部材80の本体部材61の外周面、正確には取付部65の外周面に接する。こ のように、複数の手押部材80を積み重ねるときに、手押部材80の保護部84は、並列で隣り合う手押部材80を支持するための支持部87a~87Dを有する。したがって、複数の手押部材80を安定して積み重ねることができる。 【0058】なお、手押部材80を2段で積み重ねる場合に限られず、図13の二点鎖線で示すよう に3段で積み重ねてもよく、4段以上に積み重ねてもよい。また、支持部87a~87dは、外側に向かうほど溝幅が広がるように開拡する傾斜状あるいは円弧状である場合に限られず、隣り合う手押部材80の本体部材61を支持可能な形状であればよい。 【0059】<第5の実施形態> 次に、第5の実施形態に係る手押部材の構成について説明する。 図14は、第5の実施形態に係る手押部材の構成例を示す図である。本実施形態の手押部材100は、第3の実施形態で説明した手押部材60を改良したものであり、手押部材60と同様の構成は同一符号を付して、その説明を省略する。 【0060】手押部材100は、本体部材110と、保護部材63と、補強部材70とを有し、長手 方向に伸縮可能である。 本体部材110は、第1の本体部111aと、第2の本体部111bとを有する。第1の本体部111aおよび第2の本体部111bは、長尺状かつパイプ状の部材であり、例えばアルミニウム合金製である。第1の本体部111aは本体部材110の上側を構成し、第2の本体部111bは本体部材110の下側を構成する。 【0061】第1の本体部111aは、上端から所定の位置に ウム合金製である。第1の本体部111aは本体部材110の上側を構成し、第2の本体部111bは本体部材110の下側を構成する。 【0061】第1の本体部111aは、上端から所定の位置に保護部材63が固定される。また、第1の本体部111aの上端から保護部材63の上端までの範囲がグリップ部62として機能する。一方、第2の本体部111bは、下端の近接した位置にボルトやリベット等で補強部材70が固定される。 ここで、第1の本体部111aは第2の本体部111bの内径よりも小さい外径を有し、第2の本体部111bは第1の本体部111aの外径よりも大きい内径を有する。すなわち、第1の本体部111aの下端は、第2の本体部111bの上端側から第2の本体部111b内に挿入可能である。したがって、第2の本体部111bに対して第1の本体部111aを挿入する長さ、すなわち重なり合う長さを変えることで本体部材110の長手方 向の長さを伸縮できる。 【0062】また、本体部材110は、第1の本体部111aと第2の本体部111bとが重なり合う位置に、本体部材110を伸縮した長さに保持する保持機構112を有する。保持機構112は、第1の本体部111aの外周面に形成された複数の調整孔113と、第2の本 体部111bの外周面に形成された一つの挿通孔114と、調整孔113および挿通孔1 14に挿通させる挿通ピン115とを有する。本体部材110を所望の長さで保持する場合には、本体部材110を伸縮した上で、挿通ピン115を挿通孔114と調整孔113に挿通させることで、本体部材110を伸縮した長さに保持することができる。 【0063】このように、手押部材100は、本体部材110によって長手方向の長さが伸縮可能で ある。本体 孔113に挿通させることで、本体部材110を伸縮した長さに保持することができる。 【0063】このように、手押部材100は、本体部材110によって長手方向の長さが伸縮可能で ある。本体部材110の長さを伸縮させることで、保護部材63の保護部64の位置を上下方向に調整することができる。したがって、保護部64お最大積載高さの指標として用いる場合には、必要に応じて保護部64の位置を上下に調整することができる。例えば、台車本体部20のサイズに応じて安定して走行できる最大積載高さが異なるために、取り付ける台車本体部20のサイズに応じて、手押部材100を伸縮させて最大積載高さの指 標である保護部64を上下に変更することができる。また、例えば、使用者が属する団体(あるいは建設現場)毎に最大積載高さの基準が異なる場合があることから、製造者は団体(あるいは建設現場)毎に最大積載高さの指標である保護部64を上下に変更して手押部材100を製造することができる。 【0064】 なお、本実施形態では、保持機構112が、挿通ピン115を挿通孔114と調整孔113に挿通させることで、本体部材110を伸縮した長さに保持する場合について説明したが、この場合に限られず、不用意に長さが変更されないように保持できれば、どのような保持機構であってもよい。 また、本実施形態では、第3の実施形態で説明した手押部材60を伸縮可能にした手押 部材100について説明したが、この場合に限られず、他の実施形態の手押部材を伸縮可能にしてもよい。第1の実施形態の手押部材40を伸縮可能にした場合には、グリップ部43の高さを調整することができる。また、第4の実施形態の手押部材80を伸縮可能にした場合には、上述した側壁90A~90Dの高さとは異なる高さの側壁を取り 部材40を伸縮可能にした場合には、グリップ部43の高さを調整することができる。また、第4の実施形態の手押部材80を伸縮可能にした場合には、上述した側壁90A~90Dの高さとは異なる高さの側壁を取り付けることができる。 【0065】 <第6の実施形態>次に、第6の実施形態に係る手押部材の構成について説明する。 本実施形態の手押部材120は、第4の実施形態で説明した手押部材80を改良したものである。ここでは、改良した点を中心に説明し、手押部材80と同様の構成は同一符号を付す等して説明を適宜、省略する。 【0066】手押部材120は、本体部としての本体部材61と、保護部材123と、補強部材70とを有する。なお、本体部材61と補強部材70とは、第3の実施形態と同一の部材を用いることができる。 図15は、保護部材123の構成例を示す斜視図である。 保護部材123は、使用者の手を保護すると共に、側壁を取り付けるための側壁取付部として機能する。保護部材123は、保護部124を有している。 【0067】保護部124は、グリップ部62の外周面よりも外側に突出する複数(ここでは4つ)の突出部85a~85dを有する。 また、保護部124は、隣接する突出部85a~85dの間に、外側から保護部84の中心側、すなわち内側に向かって凹む溝部126a~126dを有する。溝部126a~126dは、取付穴66の軸線(中心軸線)を中心にして略90°の間隔に形成される。 溝部126a~126dは保護部124を上下に貫通する。 【0068】 本実施形態の溝部126a~126dは、板厚の異なる2種類の側壁を取り付けることができるように設定される。具体的には、溝部126a、126bの溝幅は板厚の厚い に貫通する。 【0068】 本実施形態の溝部126a~126dは、板厚の異なる2種類の側壁を取り付けることができるように設定される。具体的には、溝部126a、126bの溝幅は板厚の厚い側壁を嵌め込むことができる寸法W1に設定される。また、溝部126c、126dの溝幅は板厚の薄い側壁を嵌め込むことができる寸法W2に設定される。寸法W1と寸法W2との関係は、W1>W2である。ここで、一つの溝部に注目したとき、注目した溝部の溝幅 は、隣り合う溝部のうち一方の溝部の溝幅と略同一であり、他方の溝部の溝幅とは異なる。 なお、各溝部126a~126dと保護部124の上面との境界には、側壁を上側から容易に嵌め込むことができるように、上側に向かうほど溝幅が広がるように傾斜部127を有する。 【0069】ここで、2つの保護部材123を本体部材61に固定する場合、手押部材120の平面 視において、それぞれの溝部126a~126dが重畳する状態で本体部材61に固定される。 使用者は、保護部材123および補強部材70を本体部材61に固定した手押部材120を、コーナ部材22の各挿入孔23に挿入することで、手押部材120を台車本体部20に取り付けることができる。このとき、運搬台車3に取り付ける側壁の板厚に応じて、 各手押部材120における溝部126a~126dがそれぞれ運搬台車3の前後方向および左右方向を指向するように、補強部材70によって位置決めされる。 【0070】図16は、運搬台車3に板厚が厚い側壁91A~91Dを取り付ける場合に、手押部材120を位置決めする向きを説明するための平面図である。ここで、板厚が厚い側壁91 A~91Dとして、例えばプラスチックダンボール等が用いられる。 板厚が厚い Dを取り付ける場合に、手押部材120を位置決めする向きを説明するための平面図である。ここで、板厚が厚い側壁91 A~91Dとして、例えばプラスチックダンボール等が用いられる。 板厚が厚い側壁91A~91Dを取り付ける場合には、保護部124の溝部126a、126bが台車本体部20と重畳するように手押部材120をそれぞれコーナ部材22に位置決めする。したがって、平面視において4隅に位置する保護部124のうち、隣り合う保護部124同士では、溝幅が寸法W1である溝部126aと溝幅が寸法W1である溝 部126bとが対向する。 使用者は、手押部材120dの溝部126aと手押部材120aの溝部126bとの間、手押部材120aの溝部126aと手押部材120bの溝部126bとの間、手押部材120bの溝部126aと手押部材120cの溝部126bとの間、および、手押部材120cの溝部126aと手押部材120dの溝部126bとの間に、上側から各側壁91A ~91Dを挿入する。したがって、板厚の厚い側壁91A~91Dは、手押部材120a ~120dの保護部123によって運搬台車3に取り付けられる。 【0071】図17は、運搬台車3に板厚が薄い側壁92A~92Dを取り付ける場合に、手押部材120を位置決めする向きを説明するための平面図である。ここで、板厚が薄い側壁92A~92Dとして、例えば木材の合板や単板等が用いられる。 板厚が薄い側壁92A~92Dを取り付ける場合には、保護部124の溝部126c、126dが台車本体部20と重畳するように手押部材120をそれぞれコーナ部材22に位置決めする。したがって、平面視において4隅に位置する保護部124のうち、隣り合う保護部124同士では、溝幅が寸法W2である溝部126cと溝 と重畳するように手押部材120をそれぞれコーナ部材22に位置決めする。したがって、平面視において4隅に位置する保護部124のうち、隣り合う保護部124同士では、溝幅が寸法W2である溝部126cと溝幅が寸法W2である溝部126dとが対向する。 使用者は、手押部材120dの溝部126cと手押部材120aの溝部126dとの間、手押部材120aの溝部126cと手押部材120bの溝部126dとの間、手押部材120bの溝部126cと手押部材120cの溝部126dとの間、および、手押部材120cの溝部126cと手押部材120dの溝部126dとの間に、上側から各側壁92A~92Dを挿入する。したがって、板厚の薄い側壁92A~92Dは、手押部材120a ~120dの保護部123によって運搬台車3に取り付けられる。 【0072】このように、手押部材120の保護部材123の溝部126a~126dは板厚の異なる側壁を取り付けることができるので、側壁の板厚に合った溝部126a~126dに側壁を嵌め込むことで、側壁と溝部126a~126dのガタツキを抑制することができる。 【0073】以上、本発明の各実施形態について図面を参照して詳細に説明したが、前記実施形態は、本発明の実施にあたっての具体例を示したに過ぎない。本発明の技術的範囲は、前記各実施形態に限定されるものではなく、各実施形態を組み合せてもよい。例えば、第3の実施形態の手押部材60や第5の実施形態の手押部材100等の上端に、第2の実施形態の保 護部材52を取り付けて構成してもよい。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において、 種々の変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に含まれる。 【0074】上述した第1の実施形態では、保護部材が第1の保護部 もよい。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において、 種々の変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に含まれる。 【0074】上述した第1の実施形態では、保護部材が第1の保護部44と第2の保護部45とを有する場合について説明したが、第1の保護部44または第2の保護部45が設けられない構成であってもよい。また、第1~第6の実施形態では、保護部が平面視で略円形である 場合について説明したが、保護部の平面視の形状は円形に限定されない。例えば、角部が丸み付けられた多角形であってもよい。 上述した第4および第6の実施形態では、保護部の溝部に側壁を嵌め込む場合について説明したが、溝部と溝部に嵌め込まれる部位の関係を反対にしてもよい。すなわち、例えば、側壁の側辺に沿って板厚の中心に溝部を形成し、側壁の溝に嵌め込まれる突起を保護 部に形成してもよい。 以上(別紙3) 2016.03.03【安全スタッフ】前回の「災害事例編」では、台車作業に関連する災害事例と対策の視点を見ていった。今回は締め括りの「解決編」として、「環境」「基準」「教育」という3つの方向から、11種類のリスクの低減方法を説明してもらう。床面の改善によって転倒リスクを低減させるとともに、安定性や操作性の見方、車輪の選び方、切創防止ガードなど、危険の少ない台車の基準や取扱い方法を示している。 パトロールで路面の問題が発覚前回で示したように、台車に関連する災害事例を分析することで、災害リスクについて具体的な対策が見えてきた(図1)。 環境による要因は、「環境確認」……運行ルート・床面・障害物・視界台車構造による要因は、「台車基準」……安定性・操作性・耐荷重取扱上の要因は、「台車教育」……操作方法・荷の乗せ方・回避方法(図2)【特集 要因は、「環境確認」……運行ルート・床面・障害物・視界台車構造による要因は、「台車基準」……安定性・操作性・耐荷重取扱上の要因は、「台車教育」……操作方法・荷の乗せ方・回避方法(図2)【特集2】侮るなかれ!台車作業11のリスク運搬作業時のケガを防ぐにはその③―解決編―(別紙4) 甲第3号証の2まず、環境要因を解決するための環境確認だが、路面の凹みや柱下部のアンカーボルトなどが原因で災害が発生している。構内の運送経路の安全確認も重要な対策となる。写真1は構内のパトロール風景とパトロールで見つかった問題箇所だ。簡単に追ってみると、①構内のレール、②割れて荒れた路面、③段差、④ペンキ剥がれなどがある。 台車の持ち手にはガードを設置次は台車の構造による要因を解決するためにAグループ内で運用している台車基準を紹介する。図3は台車を持つ位置の表示だ。これは手指挟まれ防止のために、持つ位置の表示を基準化している。また鍔(つば)状のものを取っ手部に装着し、挟まれ防止対策をしている。写真2は手押台車の取っ手部分ガードの実施事例。鍔状の挟まれ防止ガードは、上下に分割する樹脂製のパーツで構成され、取り付けるようになっている。ガードを運用後は災害防止の効果が上がった。 台車の安定性に関する基準は、災害事例で紹介したように、台車構造、特に重心による要因への対応を図る。この基準では以上のような数式で台車の安定性を計算をしている。一言でいえば、18度の傾斜で台車が転倒しないことを基準としている(図4)。 (別紙5)相違点一覧表 1 本件発明1と甲8発明との相違点①甲8相違点1本件発明1は「上下方向に沿った長尺状の手押部材」であって、当該部材が有する「グリッ 相違点一覧表 1 本件発明1と甲8発明との相違点①甲8相違点1本件発明1は「上下方向に沿った長尺状の手押部材」であって、当該部材が有する「グリップ部」も「上下方向に沿った」ものであるのに対して、甲8発明は「コ字状」の「台車用ハンドル」であって、当該ハンドルが有する「グリップ部」は「コ字状のパイプの水平部分」である点●②甲8相違点2「前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部」が、本件発明1では、「前記上下方向に対して直交する方向から見て前記グリップ部と重ならない位置に配置されると共に、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する」ものであり、また、「保護部」が、「保護部材」に設けられており、「前記保護部が設けられた保護部材は一体に形成された部材からなり、前記手押部材の長尺状かつパイプ状の本体部材を挿入して前記本体部材に装着するための取付穴を有する」のに対し、甲8発明では、「グリップ部の両端から延びる」「カーブ部分の位置に配置されるとともに、寸法を外径106mm、内径26mm、長さ100mm及び厚み40mmとし、グリップ部を掴んだ手が、ハンドルのカーブ部分にかからないように手の移動を規制するとともに、グリップ部を向く部分とは反対側の部分を先んじて周囲の物体に接触させ、グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないようにする台車用安全カバー」とされている点●③甲8相違点3「運搬台車に固定され、運搬台車を走行させるときに使用者が手で押すための手押部材」が、本件発明1では、「運搬台車の4隅に位置する上下方向に沿った挿入孔に挿入され」るのに対し、甲8発明では、そのように特定されていない点 2 本件発明4と甲 させるときに使用者が手で押すための手押部材」が、本件発明1では、「運搬台車の4隅に位置する上下方向に沿った挿入孔に挿入され」るのに対し、甲8発明では、そのように特定されていない点 2 本件発明4と甲8台車発明(甲8発明’)との相違点①甲8相違点4本件発明4は「上下方向に沿った長尺状の手押部材」を有し、当該部材が有する「グリップ部」も「上下方向に沿った」ものであるのに対して、甲8発明’は「コ字状」の「台車用ハンドル」を有し、当該ハンドルが有する「グリップ部」は「コ字状のパイプの水平部分」である点②甲8相違点5前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部」が、本件発明4では、「前記上下方向に対して直交する方向から見て前記グリップ部と重ならない位置に配置されると共に、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する」ものであり、また、「保護部」が、「保護部材」に設けられており、「前記保護部が設けられた保護部材は一体に形成された部材からなり、前記手押部材の長尺状かつパイプ状の本体部材を挿入して前記本体部材に装着するための取付穴を有する」のに対し、甲8発明’では、「グリップ部の両端から延びる」「カーブ部分の位置に配置されるとともに、寸法を外径106mm、内径26mm、長さ100mm及び厚み40mmとし、グリップ部を掴んだ手が、ハンドルのカーブ部分にかからないように手の移動を規制するとともに、グリップ部を向く部分とは反対側の部分を先んじて周囲の物体に接触させ、グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないようにする台車用安全カバー」とされている点●③甲8相違点6「前記台車本体部に固定され、使用者が手で押すための手押部材」が、本件発明4では、「前記台車本体部の4隅に位 手が周囲の物体に接触しないようにする台車用安全カバー」とされている点●③甲8相違点6「前記台車本体部に固定され、使用者が手で押すための手押部材」が、本件発明4では、「前記台車本体部の4隅に位置する上下方向に沿った挿入孔に挿入され」るのに対し、甲8発明’では、そのように特定されていない点 3 本件発明1と甲9発明との相違点①甲9相違点1「運搬台車の4隅に位置する」「上下方向に沿った長尺状の手押部材」が、本件発明1では、「運搬台車の4隅に位置する上下方向に沿った挿入孔に挿入され」るものであるのに対し、甲9発明では、「台車の直方体の枠状フレームにおける、台車の四隅に位置する」ものであり、台車の上下方向に沿った挿入孔に挿入されるものとはされていない点○②甲9相違点2本件発明1は、「前記上下方向に対して直交する方向から見て前記グリップ部と重ならない位置に配置されると共に、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部」を有するのに対し、甲9発明は、「保護部」を有しない点○③甲9相違点3本件発明1は、「前記保護部が設けられた保護部材は一体に形成された部材からなり、前記手押部材の長尺状かつパイプ状の本体部材を挿入して前記本体部材に装着するための取付穴を有する」とされているのに対し、甲9発明は、「保護部」を有しないことから、かかる構成をも有しない点● 4 本件発明4と甲9台車発明(甲9発明’)との相違点①甲9相違点4「前記台車本体部の4隅に位置する、使用者が手で押すための上下方向に沿った長尺状の手押部材」が、本件発明4では、「前記台車本体部の4隅に位置する上下方向に沿った挿入孔に挿入され」るものであるのに対し、甲9発明’では、「台車の直方体の枠状フレームにおける、台車 方向に沿った長尺状の手押部材」が、本件発明4では、「前記台車本体部の4隅に位置する上下方向に沿った挿入孔に挿入され」るものであるのに対し、甲9発明’では、「台車の直方体の枠状フレームにおける、台車の四隅に位置する」ものであり、台車本体部の上下方向に沿った挿入孔に挿入されるものとはされていない点○②甲9相違点5本件発明4は、「前記上下方向に対して直交する方向から見て前記グリップ部と重ならない位置に配置されると共に、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部」を有するのに対し、甲9発明’は、「保護部」を有しない点○③甲9相違点6本件発明4は、前記保護部が設けられた保護部材は一体に形成された部材からなり、前記手押部材の長尺状かつパイプ状の本体部材を挿入して前記本体部材に装着するための取付穴を有する」とされているのに対し、甲9発明’は、「保護部」を有しないことから、かかる構成をも有しない点●●は、本件審決が容易想到性を否定したもの○は、本件審決が容易想到性を認めたものは、本件審決において判断されていないもの
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