平成30(ワ)11399 商標権移転登録手続等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和元年9月19日 東京地方裁判所
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令和元年9月19日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成30年(ワ)第11399号商標権移転登録手続等請求事件口頭弁論終結日令和元年6月13日判決 原告ダミアーニ・ジャパン株式会社 同訴訟代理人弁護士長沢幸男同長沢美智子同増田智彦 同木田翔一郎 被告株式会社鈴屋 同訴訟代理人弁護士大武英司 同訴訟復代理人弁護士播摩洋平主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 主位的請求被告は,原告に対し,別紙目録記載1ないし9の各商標権の移転登録手続をせよ。 2 予備的請求 被告は,原告に対し,別紙目録記載1ないし9の各商標権について,同目録 記載1ないし9の各商標登録の抹消登録手続をせよ。 第2 事案の概要 1 原告は,別紙目録記載1ないし9の各登録商標(以下「本件各登録商標」といい,本件各登録商標に係る各商標権を「本件各商標権」という。なお,個別の登録商標をいうときには,別紙目録記載の番号を用いて「本件登録商標1」 などと呼称する。)に係る真の権利者であると主張する者であり,被告は,本件各登録商標に係る商標登録(以下「本件各商標登録」という。)を有する商標権者である。 2 原告は,被告に対し,標章「ROCCA」の使用を許諾していたところ(以下,これを「当初使用許諾契約」という。),被告が本件 商標登録(以下「本件各商標登録」という。)を有する商標権者である。 2 原告は,被告に対し,標章「ROCCA」の使用を許諾していたところ(以下,これを「当初使用許諾契約」という。),被告が本件各商標登録を経由した ことを受けて,被告との間で,次の(1)ないし(3)の内容を含む修正合意(以下「本件修正合意」という。)をしたと主張する(以下,当初使用許諾契約及び本件修正合意を「本件契約」と総称する。)。 (1) 当事者双方は,次の事項をそれぞれ確認する。 ① 本件各登録商標に係る真の権利者は原告であること。 ② 被告の有する本件各商標登録は原告の許諾に基づいてされたものであること。 (2) 原告は,被告との業務提携が終了(本件契約の信頼関係破壊による解約を含む。)していないことを条件に,被告に対し,上記許諾を継続する。 (3) 被告は,原告との業務提携が終了(本件契約の信頼関係破壊による解約 を含む。)したときは,無償で,原告に対し,本件各商標権の移転登録手続をする。 3 そして,本件は,原告が,本件契約を信頼関係破壊により解約したことを理由として,被告に対し,次の(1)及び(2)の請求をする事案である。 (1) 主位的請求 上記2(3)に基づく,本件各商標権の移転登録手続請求。 (2) 予備的請求上記2(1)及び(2)に基づく,原状回復請求としての,本件各商標登録の抹消登録手続請求。 4 前提事実(当事者間に争いがないか,末尾の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる。なお,枝番号の記載を省略したものは,枝番号を含む(以下 同様)。)(1) 当事者等ア原告は,イタリアを本拠に宝飾ブランドを展開するダミアーニ・グループ(以下,原告を除き,ダミアーニ・グループの会社は 載を省略したものは,枝番号を含む(以下 同様)。)(1) 当事者等ア原告は,イタリアを本拠に宝飾ブランドを展開するダミアーニ・グループ(以下,原告を除き,ダミアーニ・グループの会社はいずれも「ダミアーニ社」という。)の日本法人として,宝石類,時計,貴金属製の装身具, 宝飾雑貨等の輸出入及び販売を業とする株式会社である。 ダミアーニ・グループは,主たるブランドである「ダミアーニ」のほかに複数のブランドを抱えており,その一つである「ROCCA(ロッカ)」については,現在,イタリア,韓国,スイスにおいて「ROCCA」という名を使用した店舗を14店運営するとともに,「ROCCA」の名を用い たオンラインショッピングサイトも運営している(甲2,3)。 「ロッカ」は1794年に誕生したジュエリーや時計を扱うブランドであるところ,同ブランドを扱っていたイタリア法人の「RoccaS. P.A.」(以下「ロッカ社」という。)は,平成20年,ダミアーニ社に吸収合併された(甲7)。 イ被告は,(住所は省略)に本店を置く,一般衣料品及び服飾雑貨の販売,宝石・貴金属の加工,製造,販売等を業とする株式会社であり,鹿児島県,福岡県,大阪府及び京都府において,「ROCCA」という名称の店舗を運営している(甲4)。 (2) 被告の商標権 被告は,本件各商標登録を有する者であり,本件各登録商標に係る商標 権者である(甲5,6)。 5 争点本件の争点は,原告と被告との間における,本件契約(当初使用許諾契約及び本件修正合意)の締結の有無である。 第3 争点に対する当事者の主張 【原告の主張】 1 当初使用許諾契約の締結の経緯(1) 被告代表者は,平成15年7月頃,被告が(住所は省略)内に宝飾店を出 合意)の締結の有無である。 第3 争点に対する当事者の主張 【原告の主張】 1 当初使用許諾契約の締結の経緯(1) 被告代表者は,平成15年7月頃,被告が(住所は省略)内に宝飾店を出店する際,同店舗でダミアーニ社の商品を取り扱うことを希望するとともに,ダミアーニ社及び原告の代表者を兼ねていたA(以下「A」という。)に 対し,同店舗の名称としてロッカ社の国際的著名商標である「ROCCA」を使用したいと伝えてきた。ダミアーニ社は,当時ロッカ社の買収を予定しており,既にロッカ社の株式の過半数を有していたことから,Aは,ロッカ社の代表者と交渉して日本における標章「ROCCA」の使用許諾を得た上で,同月頃,被告代表者と面談した結果,原告が,被告に対し,標章「RO CCA」の使用を許諾するに至った(当初使用許諾契約)。 (2) 当初使用許諾契約の内容は,次の①ないし⑥のとおりであった。 ① 対象標章:ROCCA② 対象地域:(住所は省略)内③ 使用目的:被告が(住所は省略)内で出店する店舗名として使用 ④ 期間:期間の定めなし⑤ 対価:無償⑥ 使用態様:ダミアーニ・グループのイメージを毀損しない態様 2 本件修正合意に至る経緯(1) しかし,その後,被告は,原告の承諾を得ることも,また,ダミアーニ 社やロッカ社に知らせることもなく,特許庁に,標章「ROCCA」に関連 する本件各登録商標に係る商標登録出願をし,本件各商標登録を経由して本件各登録商標に係る商標権者となるに至った。 (2) これを受けて,ダミアーニ社は,特許庁に,本件登録商標1に係る商標登録の無効の審判を請求したが,審判手続の結果,同無効審判請求は成立しない旨の審決がされた。 (3) その後,原告の元代表者ら(B を受けて,ダミアーニ社は,特許庁に,本件登録商標1に係る商標登録の無効の審判を請求したが,審判手続の結果,同無効審判請求は成立しない旨の審決がされた。 (3) その後,原告の元代表者ら(BやC)が,被告代表者と何度も面談するなど交渉が継続され,平成26年4月23日に行われたA及びダミアーニ・グループのセールスマネージャーであるD(以下「D」という。)と被告代表者との面談において,原告と被告との間で,当初使用許諾契約の内容を修正する合意(本件修正合意)がされるに至った。 (4) 本件修正合意の内容は,次の①ないし⑦のとおりであった。 ① 対象標章:本件各登録商標② 対象地域:鹿児島県,福岡県,大阪府及び京都府③ 使用目的:被告が対象地域において出店する店舗の名称として使用④ 期間:期間の定めなし ⑤ 対価:無償⑥ 使用態様:ダミアーニ・グループのイメージを毀損しない態様⑦ 特約ア原告と被告は,本件各登録商標に係る真の権利者は原告であること,被告が本件各登録商標に係る商標登録出願をし,本件各商標登録を受け たことが,当初使用許諾契約に違反するものであることを相互に確認する。 イ原告と被告は,本件修正合意が遵守される限りにおいて,被告が本件各登録商標に係る商標登録出願をし,本件各商標登録を受けたことが,原告の許諾に基づくものであったとして取り扱うことに合意し,原告は, 被告に対し,原告と被告との業務提携の継続を条件に,本件各商標権の 使用許諾を継続する。ただし,業務提携が終了(信頼関係破壊による解約を含む。)した場合,被告は,直ちに無償で,原告に対し,本件各商標権の移転登録手続をする。 ウ本特約を含め,本件修正合意による当初使用許諾契約の修正は,被告による当初使用許 頼関係破壊による解約を含む。)した場合,被告は,直ちに無償で,原告に対し,本件各商標権の移転登録手続をする。 ウ本特約を含め,本件修正合意による当初使用許諾契約の修正は,被告による当初使用許諾契約の違反により生じた原告のいかなる権利の放棄 も意味しない。 3 その他の主張本件契約(当初使用許諾契約及び本件修正合意)については,書面が交わされていないが,これは,ダミアーニ・グループがロッカ社の買収を予定していたことや(当初使用許諾契約),当初使用許諾契約を締結した原告の意に反し, 被告が自身を権利者として本件登録商標1の設定登録を受けたこと(本件修正合意)など,本件契約締結に至る各経緯に照らして口頭で合意されたものである。なお,Aは,平成15年7月当時,ダミアーニ・グループはロッカ社を買収すべく株式の過半数を有していたことから,Aがロッカ社の代表者と交渉し,日本において「ROCCA」を使用することの許諾を得ていたものであって, ダミアーニ・グループは,平成15年には「ROCCA\CALDERONI」の商標登録(商標登録第4639648号)を得ていたものである旨を述べているところである(A陳述書(甲16))。 原告は,本件契約が締結されたことを前提に,被告が原告に対し本件各商標権の移転登録手続をすることで合意に至ったにもかかわらず,被告が翻意し, 平成28年以降は上記移転の交渉をすること自体を拒否するようになったことから,原告と被告との間の信頼関係は破壊されたとして,本件訴状により本件契約を解約する旨の意思表示を行い,本件訴状の送達により本件契約は終了したものである。 【被告の主張】 1 原告の上記主張は全て争う。原告と被告との間において,本件契約(当初使 用許諾契約及び本件修正合 行い,本件訴状の送達により本件契約は終了したものである。 【被告の主張】 1 原告の上記主張は全て争う。原告と被告との間において,本件契約(当初使 用許諾契約及び本件修正合意)が締結された事実はない。 2 「ROCCA」を店舗名とした経緯被告代表者は,被告の宝飾店の出店に係る責任者であったところ,Aが出店予定地を見るために(住所は省略)を訪れ,同人との間で店舗名が話題となった際,同人が提案した「カルデローニ」という名称に対して,響きが日本に馴 染まないと指摘したところ,更に「ROCCA」を提案されたことから,これを採用したものである。 3 商標登録出願の経緯被告代表者は,平成16年頃,被告に就職する前に就業していた株式会社サカグチがダミアーニ・グループの看板商品である「ベル・エポック」を自社の 店名に使用し,商標登録を受けてダミアーニ・グループと紛争になっていることを知り,Bに「ROCCA」も同じことになると問題である旨を相談したところ,Bから「なぜまだ登録していないのか」と言われ,防衛策として商標登録出願をするに至ったものである。 第4 当裁判所の判断 1 認定事実(各項の末尾に掲げた証拠等により認定した。)(1) 被告代表者は,平成13年頃,ダミアーニ・グループの商品の卸売業及び小売業を行っていた株式会社サカグチに入社し,平成14年8月末に同社を退社後,同年9月に被告に入社した(乙1)。 (2) 被告代表者は,平成15年に被告が(住所は省略)に宝飾店を出店する こととなった際,責任者として商品とメーカーの選別を行い,同店においてダミアーニ・グループの商品を中心に取り扱うこととした(乙1)。 (3) 被告代表者は,平成15年7月頃,(住所は省略)においてダミアーニ社及び 責任者として商品とメーカーの選別を行い,同店においてダミアーニ・グループの商品を中心に取り扱うこととした(乙1)。 (3) 被告代表者は,平成15年7月頃,(住所は省略)においてダミアーニ社及び原告の代表者であったAと面談し,被告が(住所は省略)に出店する店舗の名称を「ROCCA」とすることに決めた(甲12,乙1)。 (4) 被告は,平成18年2月9日に本件登録商標1の商標登録出願を,平成 19年4月12日に本件登録商標5ないし7の商標登録出願を,平成21年6月12日に本件登録商標2ないし4の商標登録出願を,平成22年5月19日に本件登録商標8及び9の商標登録出願を行い,各登録商標は,別紙目録中の対応する各「登録日」欄記載の日にそれぞれ設定登録を受けた(甲5)。 (5) 被告は,平成20年に原告との取引を終了した。その後の原告と被告と の取引上の関係は,平成27年と平成28年に,原告が被告の年1回の展示会に出展したのみである(乙1)。 (6) ダミアーニ社は,平成21年7月21日,本件登録商標1は商標法4条1項11号,同15号,又は同19号に違反して登録されたものであるとして,本件登録商標1に係る商標登録の無効審判請求(以下「本件審判請求」 という。)を行い,被告は,上記商標登録は上記各号のいずれにも違反していないとして,これを争った(甲5の1,7)。 (7) 特許庁は,平成22年2月25日,本件審判請求につき,同請求は成り立たないとの審決(以下「本件審決」という。)をした(甲5の1,7)。 (8) 原告は,被告に対し,本件訴状をもって,本件契約を解約するとの意思 表示を行い,本件訴状は,平成30年5月23日,被告に送達された(弁論の全趣旨)。 2 判断以上を前提に,以下判断する。 (1 に対し,本件訴状をもって,本件契約を解約するとの意思 表示を行い,本件訴状は,平成30年5月23日,被告に送達された(弁論の全趣旨)。 2 判断以上を前提に,以下判断する。 (1) 争点(本件契約の締結の有無)について ア原告は,被告との間で,本件契約(平成15年7月の当初使用許諾契約及び平成26年4月の本件修正合意)が締結されたと主張し,ダミアーニ社及び原告の代表者であったA(甲12,16),セールスマネージャーであったD(甲13)は,これに沿う陳述をする。 しかし,被告は,本件契約が締結された事実はないと主張し,被告代表 者は,これに沿う陳述をするところ(乙1),原告が主張する本件契約(当 初使用許諾契約及び本件修正合意)の内容は,商標権者である被告が,商標権者でない原告に対し,原告が真の権利者であって,被告の本件各商標登録は原告の条件付き許諾によるものにすぎないことを認め(予備的請求に関係する部分),また,条件成就後には本件各商標権の移転登録手続をすることを約するという(主位的請求に関係する部分),いずれも本件各登録 商標に係る商標権者である被告の立場を覆すような,商標権者でない原告に一方的に有利な内容になっているものといえる。しかして,そのような当事者双方にとって通常の取引とは質的に異なるような重大な内容であるにもかかわらず,これらの内容が当事者間で合意され本件契約が締結されたことを具体的に裏付けるに足りるような,契約書,覚書その他の客観的 な証拠は見当たらない。 イまた,原告が本件各登録商標の真の権利者たる地位にあることを基礎付ける事由や,被告が本件各登録商標に係る商標権者である立場を覆すような合意を原告との間であえて行うことの合理的理由はいずれも見当たらない。 原告が本件各登録商標の真の権利者たる地位にあることを基礎付ける事由や,被告が本件各登録商標に係る商標権者である立場を覆すような合意を原告との間であえて行うことの合理的理由はいずれも見当たらない。 すなわち,原告が主張するような,平成15年7月当時の日本国内において,標章「ROCCA」がダミアーニ・グループやロッカ社のものとして著名あるいは周知であったことや,日本国内及び日本国外において,ダミアーニ・グループが標章「ROCCA」に関して何らかの権利を有していたことを具体的に認めるに足りる客観的証拠はない。そうすると,上記 認定事実にも照らし,平成15年7月頃における被告は,ダミアーニ・グループの商品を中心に取り扱うこととしたことからAに店舗名の相談をしたにすぎず,被告において,原告との間で,Aからの店舗名としての提案を受け入れること以上に,「ROCCA」の使用許諾の契約(当初使用許諾契約)まで締結する必要性は何ら認められないものであって,本件の事実 経過において,被告が,我が国における商標権者でない原告を,あえて「R OCCA」の真の権利者と扱ってその使用許諾を受ける合理的な理由はない。また,原告においても,平成15年7月に当初使用許諾契約が締結されたとする以上,「ROCCA」に係る権利の確保には相当の関心を払っていたとみられるにもかかわらず,それから約2年半が経過して,被告が本件登録商標1の商標登録出願をした平成18年2月までに至っても,我が 国において「ROCCA」に係る商標登録出願をするなど真の権利者としてその権利を確保する行動を何らとっていない。 この点,ダミアーニ社は,平成21年7月に至り,本件登録商標1につき本件審判請求を行っているが,「ROCCA」が国際的著名商標であり本件登録商標 としてその権利を確保する行動を何らとっていない。 この点,ダミアーニ社は,平成21年7月に至り,本件登録商標1につき本件審判請求を行っているが,「ROCCA」が国際的著名商標であり本件登録商標1は商標法4条1項11号,同15号,又は同19号に違反し て登録されたものであるという同社の主張は,平成22年2月の本件審決により否定されているものである。原告は,その後,当事者間で交渉が重ねられた旨をいうが,上記認定事実によれば,原告と被告との間には,平成20年以降,ほぼ取引がない状況が続いていたのであって,平成26年4月の時点で,上記のような,商標権者でない原告が一方的に有利な内容 になっている本件修正合意を被告との間で締結し得るような地位ないし立場にあったことを客観的に示すものは何ら見当たらない。 ウさらに,上記認定事実に照らし,被告の行動は,本件各登録商標に係る商標権者である立場を覆すような本件修正合意とは相容れないものである。 すなわち,前記のように,本件修正合意は,商標権者である被告が,商 標権者でない原告に対し,原告が真の権利者であって,被告の本件各商標登録は原告の条件付き許諾によるものにすぎないことを認め(予備的請求に関係する部分),また,条件成就後には本件各商標権の移転登録手続をすることを約するという(主位的請求に関係する部分)ものであるところ,被告は,「ROCCA」を店舗名として採用した後,本件登録商標1の商標 登録を受けたことを皮切りに,「ROCCA」が国際的著名商標であるなど のダミアーニ社の本件審判請求に対して争い,その前後にも本件登録商標2ないし9の商標登録を受けるなど,「ROCCA」に係る権利を獲得,保持する態度を一貫してとっており,上記のような内容の本件修正合意は,このよ 社の本件審判請求に対して争い,その前後にも本件登録商標2ないし9の商標登録を受けるなど,「ROCCA」に係る権利を獲得,保持する態度を一貫してとっており,上記のような内容の本件修正合意は,このような被告の行動とは全く相容れない。 それにもかかわらず,被告が原告との間で本件修正合意を行ったことが 認められるには,これにより被告において「ROCCA」に係る権利を手放すことに見合う相応の利益があるなど,何らかの相当な理由がなければならないというべきである。しかし,本件修正合意の相手方である原告との関係を見ても,平成20年には原告と被告との取引は終了しており,その後,原告が本件修正合意を締結したと主張する平成26年4月23日を 境に継続的な取引が再開した事実はなく,原告と被告との取引上の関係は,原告が平成27年と平成28年に年に1回の被告の展示会に出展した程度のものであり,被告に何らかの上記のような相応の利益があったとは認められないものであって,その他,本件全証拠に照らしても,被告が従前の態度を翻してまで原告との間で本件修正合意を行う相当な理由は認められ ないところである。 エ以上によれば,原告の上記主張やこれに沿うA(甲12,16),D(甲13)の上記各陳述は採用できず,その他,本件全証拠を精査しても,原告の上記主張を認めるに足りるものはない。 よって,原告と被告との間の本件契約の締結の事実を認めることはでき ず,本件修正合意に係る前記第2の2(3)に基づく,本件各商標権の移転登録手続請求(主位的請求)は理由がなく,また,本件修正合意に係る前記2(1)及び(2)に基づく,原状回復請求としての,本件各商標登録の抹消登録手続請求も理由がないことに帰する。 (2) 原告の主張について なお,原告は, く,また,本件修正合意に係る前記2(1)及び(2)に基づく,原状回復請求としての,本件各商標登録の抹消登録手続請求も理由がないことに帰する。 (2) 原告の主張について なお,原告は,本件契約(当初使用許諾契約及び本件修正合意)につい て契約書,覚書等の書面が交わされていない事情について縷々主張し,Aは,平成15年7月当時,日本国内においてダミアーニ・グループが「ROCCA」に関する何らかの権利を有していたかのように陳述する(甲12,16)ので,以下,これらの点につき補足的に検討を加える。 ア原告は,本件契約(当初使用許諾契約及び本件修正合意)について書面 が交わされていないことにつき,ダミアーニ・グループがロッカ社の買収を予定していたことや(当初使用許諾契約),当初使用許諾契約を締結した原告の意に反し,被告が自身を権利者として本件登録商標1の設定登録を受けたこと(本件修正合意)などの,本件契約締結に至る経緯に照らして口頭で合意されたものである旨主張する。 しかし,原告が主張する契約締結に至る経緯をみても,事柄の性質上,それらをもって,本件契約が口頭で合意された理由を合理的に説明するに足りるまでの事情ということは困難である。かえって,原告が,「ROCCA」はロッカ社の国際的著名商標であり,当初使用許諾契約が締結された当時,ダミアーニ・グループがロッカ社の買収を予定していたというので あれば,ダミアーニ・グループにとって「ROCCA」は重要な標章であったといえるから,当初使用許諾契約について,原告がその契約内容を書面で客観的に残していないことは不自然である。また,原告が,当初使用許諾契約を締結した原告の意に反し,被告が自身を権利者として本件登録商標1の商標登録を受けたことが本件修正合意に至る の契約内容を書面で客観的に残していないことは不自然である。また,原告が,当初使用許諾契約を締結した原告の意に反し,被告が自身を権利者として本件登録商標1の商標登録を受けたことが本件修正合意に至る発端であるというの であれば,その後も,本件修正合意に至るまでの間に,ダミアーニ社と被告との間では,本件登録商標1の商標登録の有効性が争われ,本件審決後も長年にわたり合意に至らず交渉が重ねてられてきたという以上,少なくとも本件修正合意に際しては,再び紛争が起こらないように書面で合意内容を明らかにしておくことが自然であり,口頭で合意したということは考 え難い。 なお,原告は,原告と被告との間の他の取引契約も口頭で合意されている旨もいうが,仮に商品の発注,納品等の取引に係る契約において書面が交わされていないとしても,前記のように,本件契約(当初使用許諾契約及び本件修正合意)は,当事者双方にとって通常の取引とは質的に異なるような重大な内容であるものであって,契約の性質・内容が異なるもので あるから,原告の上記指摘は,上記判断を直ちに左右するものとはいえない。 イ Aは,その陳述書(甲12,16)において,平成15年7月当時,ダミアーニ・グループはロッカ社を買収すべく株式の過半数を有していたことから,Aがロッカ社の代表者と交渉し,日本において「ROCCA」を 使用することの許諾を得ていたものであって,ダミアーニ・グループは,平成15年には「ROCCA\CALDERONI」の商標登録(商標登録第4639648号)を得ていたなど,あたかも,同年7月当時,日本国内においてAが「ROCCA」に関する何らかの権利を有していたかのように述べる。 しかし,ダミアーニ・グループが実際にロッカ社を買収したのは,約5年 たなど,あたかも,同年7月当時,日本国内においてAが「ROCCA」に関する何らかの権利を有していたかのように述べる。 しかし,ダミアーニ・グループが実際にロッカ社を買収したのは,約5年後のことである上,かえって,上記「ROCCA\CALDERONI」の商標については,これと矛盾する別の証拠が存するものである。すなわち,証拠(甲7)によれば,本件審判請求の審判手続において,ダミアーニ社は,平成20年9月にダミアーニ・グループがロッカ社を買収したこ とにより,ロッカ社から上記「ROCCA\CALDERONI」の商標を譲り受け,本件審判請求と同日である平成21年7月21日付けで特許庁に「商標権移転登録申請書」を提出した旨を主張したこと,本件審決において,同商標に係る商標権は,同日付けで「特定承継による本件の移転」によって,ロッカ社からダミアーニ社に移転された旨の認定がなされてい ることがそれぞれ認められる。そうすると,ダミアーニ・グループが平成 15年には「ROCCA\CALDERONI」の商標登録(商標登録第4639648号)を得ていたなどAの上記陳述の該当部分は,このような,客観的な記載といえる本件審決(甲7)の上記部分と明らかに矛盾するものというべきであるから,Aの上記陳述内容は,全体として信用性が乏しいものと評価せざるを得ないものである。 3 結論以上によれば,原告の主位的請求及び予備的請求はいずれも理由がないから,これらをいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47部 裁判長裁判官田中孝一 裁判官奥俊彦 裁判官本井修平 事第47部 裁判長裁判官田中孝一 裁判官奥俊彦 裁判官本井修平 (別紙)目録 1.商標 ROCCA登録番号第5013294号 登録日平成18年12月22日権利者株式会社鈴屋商品及び役務の区分第14類指定商品身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,時計,宝石,宝石の模造品 2.商標 ROCCA登録番号第5489742号登録日平成24年4月27日権利者株式会社鈴屋 商品及び役務の区分第14類指定商品貴金属製宝石箱,指輪,ブレスレット,ネックレス,イヤリング,ブローチ,ペンダント,ネクタイピン,スカーフリング,カフスボタン,時計の部品及び附属品,貴金属製靴飾り 3.商標 登録番号第5489743号 登録日平成24年4月27日権利者株式会社鈴屋商品及び役務の区分第14類指定商品身飾品,貴金属,キーホルダー,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,時計,宝石,宝石の模造品,貴金属製宝石箱,指輪,ブレ スレット,ネックレス,イヤリング,ブローチ,ペンダント,ネクタイピン,スカーフリング,カフスボタン,時計の部品及び附属品,貴金属製靴飾 4.商標 登録番号第5489744号登録日平成24年4月27日 権利者株式会社鈴屋 商品及び役務の区分第14類指定商品身飾品,貴金属,キーホルダー,宝玉及びその原石並びに 9744号登録日平成24年4月27日 権利者株式会社鈴屋 商品及び役務の区分第14類指定商品身飾品,貴金属,キーホルダー,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,時計,宝石,宝石の模造品,貴金属製宝石箱,指輪,ブレスレット,ネックレス,イヤリング,ブローチ,ペンダント,ネクタイピン,スカーフリング,カフスボタン,時計の部品及び附 属品,貴金属製靴飾 5.商標 登録番号第5493984号登録日平成24年5月18日権利者株式会社鈴屋商品及び役務の区分第35類 指定役務時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,宝玉及びその模造品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供 6.商標 登録番号第5493985号 登録日平成24年5月18日権利者株式会社鈴屋商品及び役務の区分第35類指定役務時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,宝玉及びその模造品の小売又は卸売の業務において 行われる顧客に対する便益の提供 7.商標 ROCCA登録番号第5493986号登録日平成24年5月18日 権利者株式会社鈴屋商品及び役務の区分第35類指定役務時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,宝玉及びその模造品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供 8.商標ロッカ登録番号第5 又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,宝玉及びその模造品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供 8.商標ロッカ登録番号第5493991号登録日平成24年5月18日権利者株式会社鈴屋商品及び役務の区分第14類 指定商品貴金属,身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,時計,宝石,宝石の模造品,キーホルダー,宝石箱 9.商標ロッカ登録番号第5493992号 登録日平成24年5月18日権利者株式会社鈴屋商品及び役務の区分第35類指定役務貴金属の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身飾品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対す る便益の提供,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,宝石の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,宝石の模造品の小売又は卸売の業務において行われ る顧客に対する便益の提供,キーホルダーの小売又は卸売の業務 において行われる顧客に対する便益の提供,宝石箱の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供

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