昭和28(ツ)11 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和30年8月31日 広島高等裁判所 棄却
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【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。      上告費用は上告人の負担とする。          理    由  本件上告の理由は末尾添付の上告代理人提出の上告理由書の通りでこれに対する 当裁

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判決文本文3,014 文字)

主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理由 本件上告の理由は末尾添付の上告代理人提出の上告理由書の通りでこれに対する当裁判所の判断を次に述べる。 第一点について所論の要旨は甲第三十五号証の金員領収証には「仮執行を免れるための担保として提供したもの」との文言なく、被告本人尋問中にも右の如き陳述はないから右三十五号証記載の領収即ち弁済金受領証を排斥して右の如く認定するにはその理由を附さなければ理由に齟齬があることになる。又仮執行を免れるための担保と云うのは民事訴訟法第五百十二条第五百条により上訴裁判所に対し仮執行宣言に基く強制執行の停止を申請し裁判所の停止決定によりその命じた担保を裁判所に提供して始めて云えることで判決給付額をその儘当事者代理人の弁護土間で弁済金として授受せるものを仮執行を免れるための担保と認定したのは明かに法令違背である。即ち第一審判決は被上告人の弁済によりその部分は確定したから原判決が第一審原告勝訴部分を取消したのは民事訴訟法第百九十九条第一項に違反する結果とたると謂うにある。 然しながら原判決挙示の甲第三十五号証、被告人尋問の結果(第二回)と弁論の全趣旨を綜合すれば被上告人において仮執行宣告に基く執行を受けるのを回避するため第一審判決で敗訴した金額を一応支払うこととし控訴審において原判決が取消され被上告人が勝訴した場合には返還を受ける趣旨で訴訟代理人を通じて右金員を提供したものであることが認められ、右の如く仮執行宣言附の判決がある場合敗訴者が控訴して仮執行宣言に基く強制執行の停止を申請しないて敗訴した金額を一応弁済して執行を回避することは屡々行われる事例である。即ち右は控訴人が勝訴した場合その返還を受けることを条件としてたす条件附弁済で 訴して仮執行宣言に基く強制執行の停止を申請しないて敗訴した金額を一応弁済して執行を回避することは屡々行われる事例である。即ち右は控訴人が勝訴した場合その返還を受けることを条件としてたす条件附弁済であつて決して控訴権の消滅をきたすものではたい原判決が仮執行を免れるための担保として原告訴訟代理人に提供したと云うのは用語の妥当を欠き多少言葉の足らない点があるが結局右の趣旨と見られるから所論の甲第三十五号証はこれを排斥したわけではなく論旨は独自の見解で適正にされた原判決を論難するに帰し採用り限りでない。 第二点について所論は要するにその主張の所有権移転登記手続請求事件、占有保持の訴、仮処分決定異議事件において被上告人は何れも敗訴確定し、従て被上告人に何等占有権原のないことが確定しているのに原判決は被上告人に占有権原ありと判断しているから明かに既判力を無視した違法があると謂うのであるが、被上告人が上告人の前主に対する所有権移転登記手続請求の訴で敗訴しても占有権原がないことが確定したわけでなく、原判決挙示の各証拠によれば原判決認定のように被上告人は適法に占有を開始し上告人が本件家屋の所有権を取得した当時迄その占有を継続していたこと(所論の占有保持の訴、仮処分決定異議事件で被上告人が敗訴して確定したのは何れも上告人が本件家屋の所有権を取得してその明渡請求の訴を提起した以後であること記録上明白であるから上告人が所有権を取得する迄占有権を認めた叙上の場合は右既判力は問題にならない。)が認められるから原判決が既判力に反する認定をしたことにはならず論旨の批難は当らない。 第三点について原判決は次のような事実を認定している。即ち本件家屋の前主の父Aと被上告人は義兄弟であり右Aが本件家屋敷地等を訴外Bより買受けた際所有名義を同人の長女である前主の名義 当らない。 第三点について原判決は次のような事実を認定している。即ち本件家屋の前主の父Aと被上告人は義兄弟であり右Aが本件家屋敷地等を訴外Bより買受けた際所有名義を同人の長女である前主の名義としたが従来通り被上告人に対しこれを使用することを許し爾来被上告人は引続き明渡に至る迄農機具修理工揚、物置等に使用し来つたこと、昭和十七年頃被上告人と右Aとの間に不和を生じ同人は右家屋を被上告人に賃貸したものであると主張し賃料を請求したが金額が折合わないまま同人は爾後改めて賃料を請求することなく被上告人に無償で使用させていたこと、昭和二十一年頃前主が本件家屋を転売しようとする様子が見えたので被上告人は前主とその所有権の帰属を争つて所有権移転登記手続請求訴訟を起したが敗訴したものであること、そして上告人が本件家屋敷地の所有権取得登記を経由した翌日である昭和二十三年十一月六日被上告人に対し催告書到着後三日以内に家屋を明渡すべき旨申入れたがこれを拒否したので同月八日家屋明渡の訴を提起し該訴訟では上告人は第一審で勝訴したが被上告人がこれに控訴し第二審では被上告人が控訴後本件家屋の占有を放棄したとの理由で上告人の請求が棄却されたものであること等々である。以上の事実は一部は当事者間に争なく他は原判決挙示の各証拠によつて認定できる。然らば被上告人は前主に対する本件家屋の所有権移転登記手続請求訴訟で敗訴はしてもその起訴の時から悪意の占有者であつたとは言へず又仮に右家屋明渡の訴訟において被上告人が二審で敗訴し不法占拠であることが確定しても右訴訟において上告人が弁護士に支払つた報酬、手数料は被上告人の右不法行為から生じた直接の損害(例へば得べかりし賃料相当の損害金)とは言へずあくまで副次的の損害であつて、これは右不法行為との間に所謂相当因果関係はないものでその損 支払つた報酬、手数料は被上告人の右不法行為から生じた直接の損害(例へば得べかりし賃料相当の損害金)とは言へずあくまで副次的の損害であつて、これは右不法行為との間に所謂相当因果関係はないものでその損害の賠償は求め得ないものと解するのが相当である。そうでないと通常の不法行為や責務不履行に因る賠償請求訴訟において原告勝訴するときは原則として敗訴者に対し別訴で弁護士の報酬手数料を請求し得るわけで該訴訟で相手方が争へば更にその際の弁護士の報酬手数料を別訴で請求し得て尽くるところがない結果となる。従て右両者間に相当因<要旨>果関係があると云う所論は採用できない。又所論は上告人が被上告人に対し三日以内に家屋明渡方の申入をし</要旨>た際これを拒否した方法等が正に挑戦的敵対的であつたと謂うが被上告人が本件家屋を占有するに至つた事情が前顕認定事実の通りであるとすれば被上告人が明渡を拒否し且つ応訴して争うことは自己の権利を擁護するものとしては当然の措置であつて決して不当応訴とは云えず応訴行為自体には何等違法性がないから賠償責任を生ずる余地がない。所論のように該訴訟において被上告人が前判決を無視して再び所有権を主張したとしても右応訴自体が不法行為を構成するような違法性を帯びるとは謂えない。論旨は結局原審の専権に属する事実の認定を攻撃し更に独自の見解を以て適正になされた原判決の判断を論難するもので到底採用できない。以上説示した通り何れの論旨も理由がないから民事訴訟法第四百一条第九十五条第八十九条を適用して主文のように判決した。 (裁判長裁判官植山日二裁判官佐伯欽治裁判官松本冬樹) 欽治裁判官 松本冬樹

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