平成29(ワ)95 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成30年11月26日 鳥取地方裁判所
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判決文本文17,116 文字)

主文 1 被告は,原告に対し,11万4000円及びこれに対する平成29年7月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用はこれを4分し,その1を被告の負担とし,その余を原告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求被告は,原告に対し,42万5300円及びこれに対する平成29年7月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の概要本件は,弁護士である原告が,原告と勾留中の被告人との間の裁判所構内における接見を裁判所が許可したにもかかわらず,被告の設置運営する鳥取刑務所の職員らがこれを実施させないまま同刑務所に被告人を連れ帰ったことなどが違法であり,そのため弁護人としての接見交通権を侵害されたなどと主張して,被告に対し,国家賠償法(以下「国賠法」という。)1条1項に基づき,損害賠償金42万5300円(慰謝料30万円,交通費3700円,逸失利益2万1600円,弁護士費用10万円)及びこれに対する加害行為の後の日である平成29年7月27日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 関係法令等の定め 刑事訴訟規則(以下「刑訴規則」という。)30条裁判所は,身体の拘束を受けている被告人又は被疑者が裁判所の構内にいる場合においてこれらの者の逃亡,罪証の隠滅又は戒護に支障のある物の授受を防ぐため必要があるときは,これらの者と弁護人又は弁護人を選任する ことができる者の依頼により弁護人となろうとする者(以下「弁護人等」という。)との接見については,その日時 支障のある物の授受を防ぐため必要があるときは,これらの者と弁護人又は弁護人を選任する ことができる者の依頼により弁護人となろうとする者(以下「弁護人等」という。)との接見については,その日時,場所及び時間を指定し,又,書類若しくは物の授受については,これを禁止することができる。 刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(以下「刑事収容施設法」という。)77条1項刑務官は,被収容者が自身を傷つけ若しくは他人に危害を加え,逃走し,刑事施設の職員の職務の執行を妨げ,その他刑事施設の規律及び秩序を著しく害する行為をし,又はこれらの行為をしようとする場合には,合理的に必要と判断される限度で,その行為を制止し,その被収容者を拘束し,その他その行為を抑止するため必要な措置を執ることができる。 118条1項未決拘禁者の弁護人等との面会の日及び時間帯は,日曜日その他政令で定める日以外の日の刑事施設の執務時間内とする。 3項刑事施設の長は,弁護人等から前2項の定めによらない面会の申出がある場合においても,刑事施設の管理運営上支障があるときを除き,これを許すものとする。 4項刑事施設の長は,第1項の面会に関し,法務省令で定めるところにより,面会の場所について,刑事施設の規律及び秩序の維持その他管理運営上必要な制限をすることができる。 刑事施設及び被収容者の処遇に関する規則(以下「刑事収容施設規則」という。)70条1項被収容者の面会の場所は,刑事施設の長が指定するものとする。 2項被収容者の面会の場所は,被収容者と面会の相手方との間を仕切る設備を有する室(以下「仕切り室」という。)とする。ただし,次に掲げる場合(受刑者(未決拘禁者としての地位を有するものを除く。)以外の被収容者の面会にあっては,第1号に掲 面会の相手方との間を仕切る設備を有する室(以下「仕切り室」という。)とする。ただし,次に掲げる場合(受刑者(未決拘禁者としての地位を有するものを除く。)以外の被収容者の面会にあっては,第1号に掲げる場合に限る。)において,刑事 施設の規律及び秩序の維持に支障を生ずるおそれがないときは,この限りでない。 1号被収容者が病室に収容されている場合その他の法務大臣が定める場合2号親族と面会する場合その他の仕切り室以外の場所で面会することを適当とする事情がある場合 面会」の文言は,各法令上の用語であるが,弁護人等と被収容者との間で行われるものに関する限り,同義である。 3 前提事実(証拠を掲記しない事実は,当事者間に争いがないか,弁論の全趣旨から容易に認められる。)当事者等ア原告は,鳥取県弁護士会に所属する法テラスの勤務弁護士であり,その勤務先法律事務所は,鳥取県倉吉市(以下「倉吉市」という。)内にある(甲2)。 原告は,平成28年9月4日,覚せい剤取締法違反被疑事件により逮捕・勾留されたA(以下「本件被告人」という。)の国選弁護人に選任され,同被疑事件が鳥取地方裁判所倉吉支部(以下,単に「倉吉支部」という。)に起訴された後も(以下,起訴された被告事件を「本件被告事件」という。),国選弁護人の地位にあった(甲1,2)。 本件被告人は,同年11月4日当時,未決拘禁者として,鳥取刑務所に勾留されていた(争いがない)。 イ被告は,鳥取刑務所を設置・運営し,同所所属の刑務官らをして,同所に勾留されている被収容者の処遇に関する職務に従事させていた(争いがない)。 出廷護送監督矯正処遇官副看守長であるB(以下「B副看守長」という。),統括矯正処遇官(第一担当)看守長甲(以下「第一統括」という。)及び 処遇に関する職務に従事させていた(争いがない)。 出廷護送監督矯正処遇官副看守長であるB(以下「B副看守長」という。),統括矯正処遇官(第一担当)看守長甲(以下「第一統括」という。)及び 首席矯正処遇官(処遇担当)看守長乙(以下「処遇首席」という。)は,いずれも鳥取刑務所に所属する公務員である(弁論の全趣旨)。 勾留質問室の構造等倉吉支部庁舎内には,平成28年11月4日当時,同庁舎内の出廷留置場(以下「本件出廷留置場」という。)及び勾留質問室(以下「本件勾留質問室」という。)を含め,面会の相手方との間を仕切る設備を備えた部屋はなかった(争いがない)。 担当裁判官による接見の許可本件被告事件を担当する裁判官丙(以下「本件裁判官」という。)は,平成28年11月4日午前10時前頃,原告からの申入れに基づき,接見の日時及び時間を同日午前11時からの判決宣告期日終了後に10分間程度,接見場所を本件勾留質問室とすると指定した上で,原告と本件被告人との間の立会人なしでの接見を許可した(以下「本件接見許可」という。)。 本件接見許可における接見場所の指定等は,刑訴規則30条に基づく指定として行われたものであった(争いがない)。 判決宣告期日本件被告人の出廷護送監督を担当するB副看守長及び戒護職員看守C(以下「戒護職員ら」という。)は,本件判決宣告期日に先立ち,別の副看守長1名とともに,同日,倉吉支部に本件被告人を護送した(乙1,9)。 本件裁判官は,同日午前11時,倉吉支部法廷において,本件被告事件について,懲役1年10月の有罪判決を言い渡した(乙1)。 判決宣告期日後の対応等第一統括及び処遇首席は,同日午前11時18分頃から,複数回にわたり,原告及び本件裁判官と電話越しのやり取りを行い,原告に対し 1年10月の有罪判決を言い渡した(乙1)。 判決宣告期日後の対応等第一統括及び処遇首席は,同日午前11時18分頃から,複数回にわたり,原告及び本件裁判官と電話越しのやり取りを行い,原告に対し,本件被告人との面会は鳥取刑務所で行ってほしい,本件勾留質問室で行う場合には刑務官1名の立会を認めてもらいたいなどと述べるとともに,原告及び本件裁判 官からその理由の説明を求められて,戒護上の支障があることなどを回答した。これに対し,原告は,第一統括及び処遇首席の求めに応じず,刑務官の立会を拒否した。(乙9ないし12,弁論の全趣旨)処遇首席は,同日午後0時3分頃からの原告との間の電話越しのやり取りにおいて,原告に対し,改めて本件勾留質問室で面会を行う場合には立会を認めてもらうようお願いし,そうした前例があること,鳥取刑務所であれば面会が実施できること,職責上本件被告人に昼食をとらせる必要があること,立会ありの接見が難しければ,本件被告人を鳥取刑務所に連れ帰ることなどを告げた。これに対し,原告は,刑務官の立会を拒否し,裁判所が許可した内容で接見を実施したい旨答えるにとどまった(甲2,乙13)。 処遇首席による帰庁指示戒護職員らは,処遇首席から面会を行うことなく帰庁するようにとの指示を受け,同日午後0時半頃,本件被告人を倉吉支部から鳥取刑務所まで護送した(乙9。以下,原告と本件被告人とを面会させることなく戒護職員らが鳥取刑務所に本件被告人を連れ帰った措置を「本件措置」という。)。 本件措置後の経過原告は,平成28年11月8日,鳥取刑務所に赴き,本件被告人との間で立会人なしの接見を行った。本件被告人は,本件被告事件について,控訴の申立てをしなかった。(争いがない) 4 争点及び争点に関する当事者の主張 日,鳥取刑務所に赴き,本件被告人との間で立会人なしの接見を行った。本件被告人は,本件被告事件について,控訴の申立てをしなかった。(争いがない) 4 争点及び争点に関する当事者の主張 戒護職員らによる本件措置等が国賠法1条1項の適用上違法であるか。 (原告の主張)ア本件接見許可に基づく原告の接見交通権本件裁判官は,原告からの構内接見の申出を受け,これを認める本件接見許可をした。これは,裁判所の設備状況を加味した上での判断である。 そうである以上,原告は,本件勾留質問室において,立会人なくして秘 密接見を行う権利を有していた。 イ構内接見が許可された場合の刑務所職員の権限裁判所がその責任と権限において,構内接見を認めている場合,刑務所職員は,接見の可否について,刑事収容施設法に基づき,これを許可したり,制限したりする権限を有しない。 同法118条は,構内接見に関する接見制限の根拠法令とはならない。 同法77条1項は,刑事収容施設内での制止等の措置の根拠規定であり,裁判所構内で当然に直接適用されることはないし,被収容者が,同項記載の各行為を現に行っているか,行われようとしている場合の緊急措置として,現場の刑務官に一定の実力行使を行うことを認めた規定にすぎない。 本件において,被収容者は,同項所定の各行為を現に行っておらず,行う兆候すらなかったから,同項を適用して刑務官が実力行使をすることができる場面ではなく,同項により接見妨害を正当化することはできない。 また,同項の目的に資する範囲で接見妨害を行うことができるという解釈は,刑事訴訟法39条2項に規定する「法令」に基づかない接見制限を許容するというもので,許されない。 ウ本件勾留質問室の構造等 目的に資する範囲で接見妨害を行うことができるという解釈は,刑事訴訟法39条2項に規定する「法令」に基づかない接見制限を許容するというもので,許されない。 ウ本件勾留質問室の構造等本件勾留質問室は,施錠がなされ,刑務所職員のみならず,裁判所職員複数名が室外で監視している状況では,到底逃亡はできない。以前から,勾留質問室での秘密接見は長年行われている。 エ立会人を付した面会を実施するよう求めた行為について戒護職員ら,第一統括及び処遇首席が,原告に対し,立会人を付した面会を実施するよう求めた行為は,上記イのとおり,法的根拠がなく,原告の接見交通権を侵害する違法な行為である。 最高裁判所平成17年4月19日第三小法廷判決民集59巻3号563頁(以下「最高裁平成17年判決」という。)を根拠に刑務所職員が行う べき「配慮」として立会接見を求めたという被告の主張は失当である。 オ本件措置について戒護職員らがした本件措置は,上記イのとおり,法的根拠がなく,本件接見許可をした裁判所の権限を侵害し,同時に,弁護人である原告の接見交通権を違法に侵害したもので,違法である。 この点,被告は,本件措置の法的根拠も正当性も一切主張していない。 カ本件における加害公務員本件における加害公務員は,組織としての広島矯正管区及び鳥取刑務所の総体である。仮に,組織としての公務員が加害公務員と認められないとしても,戒護職員ら,第一統括,処遇首席及び同人から相談を受けた広島矯正管区の氏名不詳の職員である。 キ加害公務員の故意・過失本件における加害行為の違法性判断の基準として,被告が主張するいわゆる職務行為基準説を採用することは相当でなく,過失の有無の判断が別途行われるべきである。 る。 キ加害公務員の故意・過失本件における加害行為の違法性判断の基準として,被告が主張するいわゆる職務行為基準説を採用することは相当でなく,過失の有無の判断が別途行われるべきである。 戒護職員らは,原告及び本件裁判官から,本件接見許可がされたことを説明されているにもかかわらず本件措置に及んだもので,原告の接見交通権を侵害する故意があったものである。戒護職員らが,上記接見許可が刑訴規則30条に基づくものであることを知っていたかどうかは,故意・過失の有無の判断に影響しない。 (被告の主張)ア裁判所構内における面会と刑事収容施設法との関係刑事収容施設法第2編第2章(刑事施設における被収容者の処遇)のうちの被収容者の面会に関する規定には刑事施設外の病院又は診療所への通院又は入院(同法62条3項),刑事施設外処遇(同法87条),外部通勤作業(同法96条)など刑事施設外における処遇に関する規定が存在す る。同法上の「被収容者」とは,必ずしも物理的に刑事施設に収容されている者のみを指すのではなく,法令に基づき強制的に収容されている者を意味する。刑事施設外にあっても,法令に基づき,刑事施設職員の実質的支配下に置かれ,その人的な戒護下(実力支配内)にある場合は,「被収容者」としての地位を有するものである。 そうすると,刑訴規則30条に基づく指定がされた場合における裁判所庁舎内における面会も,刑事施設内で行われるものと同様,刑事収容施設法上の面会に当たると考えられる。刑務所職員(刑事施設の長)としては,裁判所庁舎内における被収容者の面会について,その場所等の指定はできないとしても,同法の規定及び趣旨にのっとり,被収容者の収容の確保のため,被収容者の戒護等適切な措置を講じる職務上の法的義務を負うことは当然 内における被収容者の面会について,その場所等の指定はできないとしても,同法の規定及び趣旨にのっとり,被収容者の収容の確保のため,被収容者の戒護等適切な措置を講じる職務上の法的義務を負うことは当然である。 イ鳥取刑務所職員の行為には国賠法1条1項の違法はないこと刑務所職員は,刑事施設の内外を問わず,刑事収容施設法77条1項が定める目的のために合理的に必要とされる限度で,被収容者に対して制止等の措置を取る権限を有しているというべきであるから,鳥取刑務所職員は,倉吉支部庁舎内においても,被収容者である本件被告人に対する自傷他害行為や逃走等を防止するための戒護権を有していることとなる。 しかしながら,本件勾留質問室は,その構造上,逃走防止のための物的戒護力が担保されておらず,逃走事故が発生する危険性が認められることに加えて,仮に鳥取刑務所職員が立ち会わず,本件勾留質問室内で本件被告人が逃走や原告との間でのトラブル,自傷等の行為に及んだとしても,鳥取刑務所職員は対応できず,同法77条1項に基づく制止等の措置の権限を適切に行使することができない。 したがって,鳥取刑務所職員が,本件被告人の収容を確保するために,原告や裁判所に対して,戒護職員による立会を付した面会を実施するよう 求めた行為は,法律上戒護権の適切な行使というべきである。 ウまた,処遇首席及び第一統括は,倉吉支部に相応の施設がなく,戒護上の支障を理由として,戒護職員の立会のない面会は拒んだものの,原告が本件被告人との面会をする利益に配慮して,戒護職員らを立ち会わせることができれば本件勾留質問室内での本件被告人との面会が可能である旨伝えるなどして特別な配慮をしたものである。少なくとも,このような本件における鳥取刑務所職員の行為について,その職務上尽くすべ せることができれば本件勾留質問室内での本件被告人との面会が可能である旨伝えるなどして特別な配慮をしたものである。少なくとも,このような本件における鳥取刑務所職員の行為について,その職務上尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該行為をしたと認め得るような事情は,存在しない(最高裁平成17年判決参照)。 エ以上のとおり,鳥取刑務所職員が戒護上の支障を理由として戒護職員の立会を求めたにもかかわらず,それを拒否されたために,本件被告人を原告と面会させることなく鳥取刑務所に連れ帰った本件措置は,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然とされたものということはできないから,同職員の法的義務違背は認められず,国賠法1条1項の適用上,違法性はないものというべきである。 原告の損害額(原告の主張)ア原告事務所から鳥取刑務所までの交通費 3700円原告は,本件措置により,倉吉支部庁舎内で接見できなくなり,後日本件被告人との接見を鳥取刑務所で行うことを余儀なくされた。倉吉市内の原告の法律事務所から鳥取刑務所までの往復に要した交通費3700円(37円/km×片道距離50km×2)は,原告の損害である。 イ逸失利益 2万1600円原告は,本件措置により鳥取刑務所での接見を余儀なくされ,倉吉市内から同刑務所までの往復に2時間を費やしたもので,原告の逸失利益は2万1600円が相当である(通常30分5400円の法律相談料2時間分)。 ウ接見交通権侵害に対する慰謝料 30万円原告は,本件措置により,判決宣告後の接見の機会を奪われ,また,本件被告人の控訴事件を受任する機会を奪われ,刑務所職員との電話対応,裁判所への相談,後日鳥取刑務所に接見に行くための予定調整などの負担が生じ,原告の業務に支障が生 告後の接見の機会を奪われ,また,本件被告人の控訴事件を受任する機会を奪われ,刑務所職員との電話対応,裁判所への相談,後日鳥取刑務所に接見に行くための予定調整などの負担が生じ,原告の業務に支障が生じ,精神的苦痛を受けた。原告に生じた精神的苦痛に対する慰謝料は30万円を下回ることがない。 エ弁護士費用 10万円弁護士費用としては,旧日弁連報酬等基準の最低着手金として規定される10万円が相当である。 (被告の主張)いずれも争う。 第3 当裁判所の判断 1 前提事実に加え,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 本件勾留質問室の構造等平成28年11月4日当時,倉吉支部庁舎内の本件勾留質問室には,出入口が2か所あった。この扉には,視察窓等はなく,扉を閉めると,被告人用の通路からは同室内を視察することができなかった。同室内には,テーブルと複数の椅子が置かれており,面会の相手方との間を仕切る設備はなかった。 被告人用の通路を挟んだ勾留質問室の反対側に設置されていた窓は,半透明で,ウインドウロックが設置され,容易には開閉できないようになっているが,鉄格子は設置されていなかった。(弁論の全趣旨)同日当時,同支部庁舎内の本件出廷留置場には,南側出入口(二重扉構造)と北側出入口の2か所があり,逃走防止用の鉄格子が設置された窓が2つ設置されていた(弁論の全趣旨)。 平成28年11月4日の事実経過 ア判決宣告期日まで原告は,平成28年11月4日午前9時頃,倉吉支部に電話を掛け,本件被告事件を担当する裁判所書記官丁(以下「担当書記官」という。)を通じて,担当裁判官に対し,本件被告事件の判決宣告期日の終了直後に本件被告人と裁判所構内において立会人なしの接見を行いたい旨申し入れた。本 件を担当する裁判所書記官丁(以下「担当書記官」という。)を通じて,担当裁判官に対し,本件被告事件の判決宣告期日の終了直後に本件被告人と裁判所構内において立会人なしの接見を行いたい旨申し入れた。本件裁判官は,上記申入れを受け,その頃,本件接見許可をした。担当書記官は,同日10時頃,原告に対し,立会人なしの接見を許可する旨電話連絡した。(甲2,弁論の全趣旨)イ本件判決宣告期日後原告と本件被告人は,本件判決宣告期日終了後まもなく,担当書記官ら裁判所職員2名及び戒護職員らとともに,法廷から本件勾留質問室の前まで移動し,全員で同室に入室した(甲2)。 同日午前11時15分頃,B副看守長は,原告がその場で本件被告人との間で話を始めたことから,それ以上話をしないよう制止した上,対応について鳥取刑務所にいた第一統括に確認することとした(乙9,弁論の全趣旨)。 第一統括は,同日午前11時18分頃から原告と電話越しのやり取りを行い,原告に対し,本件勾留質問室での面会には戒護上の問題があると述べた上,本件被告人との面会は鳥取刑務所で行ってほしい,本件勾留質問室で行う場合には刑務官1名の立会を認めてもらいたいなどと述べた。これに対し,原告は,第一統括の求めに応じず,立会人なしの接見を求めた。(乙9,10)その後,戒護職員らは,本件被告人を本件出廷留置場に移した(乙9,弁論の全趣旨)。 本件裁判官は,本件勾留質問室に入室し,同日午前11時33分頃から第一統括ないし処遇首席との間で電話越しのやり取りを行い,裁判所 としては立会なしの接見を許可した旨を告げるとともに,第一統括らから,戒護上の支障があること,物の授受がされるおそれがあること,本件被告人が粗暴行為に及ぶおそれがあることなどの回答がされると,勾留質問室 は立会なしの接見を許可した旨を告げるとともに,第一統括らから,戒護上の支障があること,物の授受がされるおそれがあること,本件被告人が粗暴行為に及ぶおそれがあることなどの回答がされると,勾留質問室は逃走されるような構造ではないこと,本件裁判官から原告に対し物の授受をしないよう申し入れること,授受があったかどうかは後に確認できること,本件被告人の粗暴行為があっても原告の自己責任であることなどを説明した(乙11,12,弁論の全趣旨)。 その間,本件裁判官が,処遇首席から本件接見許可の根拠を尋ねられ,裁判所法上の施設管理権及び刑事訴訟法と回答したことがある(乙12)。 続いて,同じ電話口で,処遇首席と原告との間で電話越しのやり取りがあり,原告は,処遇首席に対し,接見中に本件被告人との間で物の授受をしないことを誓約し,本件被告人から粗暴な行為の被害を受けても原告の自己責任であるとする文書を作成してもよいと申し出た(甲2)。 処遇首席は,同日午後0時3分頃から本件裁判官及び原告との間で電話越しのやり取りを行い,本件裁判官に対し,広島矯正管区に相談した結果,刑務官1名の立会を認めてもらいたいとの意向に変わりがない旨を告げた。 本件裁判官の退席後,処遇首席は,同じ電話口で,原告に対し,改めて本件勾留質問室で面会を行う場合には立会を認めてもらうようお願いし,そうした前例があること,鳥取刑務所であれば面会が実施できること,職責上本件被告人に昼食をとらせる必要があること,立会ありの接見が難しければ,本件被告人を鳥取刑務所に連れ帰ることなどを告げた。 これに対し,原告は,刑務官の立会を拒否し,裁判所が許可した内容で接見を実施したい旨答えるにとどまった。 (甲2,乙13) 戒護職員らは,処遇首席から面会を行うことなく帰庁するようにとの これに対し,原告は,刑務官の立会を拒否し,裁判所が許可した内容で接見を実施したい旨答えるにとどまった。 (甲2,乙13) 戒護職員らは,処遇首席から面会を行うことなく帰庁するようにとの 指示を受け,同日午後0時半頃,本件措置に及んだ(乙9)。 ウ本件判決宣告期日の前後を通じ,同日,本件被告人が,自傷他害行為その他刑事収容施設法77条1項所定の各行為を行ったことはなく,また,これらの行為をしようとしたこともない(弁論の全趣旨)。 本件措置後の経過原告は,平成28年11月8日,鳥取刑務所に赴き,本件被告人との間で立会人なしの接見を行い,同人に対し,本件被告事件における控訴の意思の有無を確認したところ,控訴するつもりがないとの返答を受けた(甲2)。 法テラスの勤務弁護士である原告が行った法律相談の相談料は,法テラスの売上げとなるが,原告の収入とはならない(原告本人16頁)。 倉吉市内にある原告の勤務先法律事務所から鳥取刑務所までの距離は約50km である。上記の移動に要する交通費は,原告が負担した。(甲8,原告本人15頁)。 2 争点1(戒護職員らによる本件措置等が国賠法1条1項の適用上違法であるか。)について 接見交通権とその制限について刑事訴訟法39条1項は,憲法34条前段の趣旨にのっとり,身体の拘束を受けている被告人は,弁護人等と立会人なしに接見することができると規定する。この弁護人等との接見交通権は,身体を拘束された被告人が弁護人等の援助を受けることができるための刑事手続上最も重要な基本的権利に属するものであるとともに,弁護人等からいえばその固有権の最も重要なものの一つである。もっとも,刑事訴訟法39条2項は,弁護人等との立会人なしの接見について,法令(裁判所の規則を含む な基本的権利に属するものであるとともに,弁護人等からいえばその固有権の最も重要なものの一つである。もっとも,刑事訴訟法39条2項は,弁護人等との立会人なしの接見について,法令(裁判所の規則を含む。)で,被告人の逃亡,罪証の隠滅又は戒護に支障のある物の授受を防ぐため必要な措置を規定することができるとし,被告人と弁護人等の接見交通権と刑罰権の発動ないし刑罰権発動のための捜査権の行使との間の合理的な調整を図っている。 刑訴規則30条に基づく指定刑訴規則30条は,裁判所が,身体の拘束を受けている被告人が裁判所の構内にいる場合において,これらの者の逃亡,罪証の隠滅又は戒護に支障のある物の授受を防ぐため必要があるときは,これらの者と弁護人等との接見については,その日時,場所及び時間を指定し,又,書類若しくは物の授受については,これを禁止することができるとする規定である。 これは,接見室等の設備をもたず,戒護の設備の十分でない裁判所の構内において,身体の拘束を受けている被告人と弁護人等との接見交通を自由に行わせるときは,逃亡,罪証の隠滅その他の不都合が生じるおそれがあり,かつ,その接見の際は刑事収容施設法の規定がそのままでは適用されないことから,裁判所の責任と権限において,接見の日時,場所,時間を指定し,又は,書類若しくは物の授受を禁止する方法により,被告人と弁護人等との接見交通権を制限することができるとする趣旨であり,同条は,上記接見交通権と刑罰権の発動との間の合理的な調整を図るものとして,刑事訴訟法39条2項に定める法令(裁判所の規則を含む。)に当たる。 刑事収容施設法77条1項に基づく制止等の措置刑事収容施設法77条1項は,被収容者が自身を傷つけ若しくは他人に危害を加え,逃走し,刑事施設の める法令(裁判所の規則を含む。)に当たる。 刑事収容施設法77条1項に基づく制止等の措置刑事収容施設法77条1項は,被収容者が自身を傷つけ若しくは他人に危害を加え,逃走し,刑事施設の職員の職務の執行を妨げ,その他刑事施設の規律及び秩序を著しく害する行為をし,又はこれらの行為をしようとする場合に,刑務官において,制止等の措置を執ることができるとする規定である。 被収容者の人権保障の観点から,直接,被収容者の身体に有形力を行使し,その自由を拘束する根拠,要件,態様及び限界を明確に規定する趣旨であり,この制止等の措置は,対象となる行為が現に行われているか,行われようとしている場合に執ることができるものである。 一方,同法2条1号に規定する「被収容者」は,刑事施設に収容されている者であるが,被収容者に対する各種処遇のうちに刑事施設外における処遇 が含まれていることから(同法62条3項,87条,96条等),物理的に刑事施設内に現に収容されている者にとどまらず,刑務官に護送されているなど人的な戒護下(実力支配内)にある場合は,同法上の「被収容者」に当たるものと解される。 そうすると,刑務官は,刑事施設外においても,被収容者に対し,同法77条1項に基づく制止等の措置を執ることができるものと解される。 刑事収容施設法118条に基づく面会の制限刑事収容施設法118条は,未決拘禁者とその弁護人等との面会に関し,刑事施設の長が一定の場合に面会の日や場所などを制限することができるとする規定であり,同条4項は,法務省令で定めるところにより,面会の場所について,刑事施設の規律及び秩序の維持その他管理運営上必要な制限をすることができると規定している。 そして,同項にいう法務省令である刑事収容施設規則70条は,被収容者の面会の場所を ,面会の場所について,刑事施設の規律及び秩序の維持その他管理運営上必要な制限をすることができると規定している。 そして,同項にいう法務省令である刑事収容施設規則70条は,被収容者の面会の場所を被収容者が病室に収容されている場合その他の法務大臣が定める場合等を除き仕切り室と定める(同条2項)。 裁判所構内における接見許可がされた場合に刑務所職員が執り得る措置ア裁判所構内における接見の許可 した接見交通権の重要性や刑訴規則30条の趣旨を踏まえれば,裁判所が,未決拘禁者である被告人と弁護人等との間で,裁判所構内において接見することを許可する場合,上記接見は立会人なしの接見を意味するから,同条に基づき,裁判所が,接見の日時,場所,時間を指定し,又は,書類若しくは物の授受を禁止する方法を用いることは許されるものの,接見の場に立会人を置くという方法を用いることは,刑事訴訟法39条2項に定める法令の根拠を欠くものとして,上記被告人と弁護人等の同意がない限り,許されないものと解される。 そうすると,裁判所が,刑訴規則30条に基づく接見の日時,場所,時 間の指定等を行い,裁判所構内における接見の申出を許可した場合,接見室等の設備がなく,刑事施設に比べ戒護の設備の十分でない裁判所の構内において,立会人なしの接見を許した場合でも,被告人の逃亡,罪証の隠滅又は戒護に支障のある物の授受を防ぐことが困難であるなど,戒護上の支障が生じないような設備のある部屋等があるかどうかを検討した上で,これを許可したものとみるべきである。 イ裁判所構内における接見許可がある場合に刑務所職員が執り得る措置 刑事収容施設法118条との関係裁判所構内における接見許可は,上記アのとおり,裁判所の責任と権限に基づき 裁判所構内における接見許可がある場合に刑務所職員が執り得る措置 刑事収容施設法118条との関係裁判所構内における接見許可は,上記アのとおり,裁判所の責任と権限に基づき,接見の日時,場所,時間を指定するなどした上で行うものであるから,刑事収容施設法118条,刑事収容施設規則70条に基づき刑事施設の長が有する面会の場所の指定権限が及ぶ余地はない。 刑事収容施設法77条1項との関係 構内においても,被収容者に対し,刑事収容施設法77条1項に基づく制止等の措置を執る権限を有しており,未決拘禁者である被告人も上記の被収容者に含まれるものと解される。 しかしながら,上記アのとおり,裁判所構内における接見の許可は,裁判所が,その責任と権限に基づき,戒護上の支障が生じないような設備のある部屋かどうかを検討した上でされたものとみるべきであること,上記接見の許可に対する不服申立ての方法がないことなどからすれば,当該接見を許可された被収容者の戒護を担当する刑務所職員は,その被収容者及び弁護人等に対する職務上の法的義務として,上記接見の許可に係る接見が行われるよう配慮すべき義務を負うものと解すべきである。 そうすると,裁判所構内における接見許可がされた場合に,刑務所職員において,面会の場所が戒護上の支障が生じないような設備のある部 屋等かどうかに関し,裁判所と異なる見解を持ったとしても,裁判所の上記許可を前提として,その接見の実施に当たり,刑事収容施設法77条1項に基づく何らかの措置を執る必要があるかどうかを検討するにとどめなければならず,その接見の実施を妨げる措置を執ることは,上記の配慮義務に反し,許されないものといわなければならない。 原告に対し立会人を付した面会を実施するよう求めた行為 討するにとどめなければならず,その接見の実施を妨げる措置を執ることは,上記の配慮義務に反し,許されないものといわなければならない。 原告に対し立会人を付した面会を実施するよう求めた行為についてア本件における配慮義務の内容本件接見許可があったこと,接見開始予定時刻の1時間以上前に鳥取刑務所宛てに裁判所から上記許可があったことを伝えられていたこと,戒護職員ら,第一統括及び処遇首席は,本件裁判官から本件勾留質問室が戒護上の支障が生じないような設備であると判断した上で上記許可をした旨の説明を直接受けたことなどの各事実を踏まえれば,戒護職員ら,第一統括及び処遇首席は,本件接見許可に係る接見が行われるよう配慮すべき義務を負うものと解される。 具体的には,上記戒護職員らにおいて,本件勾留質問室が戒護上の支障が生じないような設備のある部屋等かどうかに関し,本件裁判官と異なる見解を持ったとすれば,同室で本件被告人と原告との立会人なしの面会が行われることを前提に,裁判所職員や戒護職員らの室外での待機位置等の確認,室内でトラブルが発生した場合の原告から室外へのその旨の伝達方法の確認,面会前後における物の授受がないことの確認方法の確認などを行うことを検討すべきことになる。 イ原告に対し立会人を付した面会を実施するよう求めた行為について の認定事実からは,戒護職員ら,第一統括及び処遇首席は,①本件勾留質問室について,その構造上,仕切り室ではなく,出入口が2箇所あるなどのため,逃走防止のための物的戒護力が担保されておらず,同室内において被収容者と原告との間でトラブル等が生じた 場合に対応できないことなどから,戒護上の支障が生じるおそれがある設備であるとの見解を持っていたこと,②原告に対し,上記見 れておらず,同室内において被収容者と原告との間でトラブル等が生じた 場合に対応できないことなどから,戒護上の支障が生じるおそれがある設備であるとの見解を持っていたこと,②原告に対し,上記見解の下,本件勾留質問室での面会には戒護上の問題があるから本件被告人との面会は鳥取刑務所で行ってほしい,本件勾留質問室で行う場合には刑務官1名の立会を認めてもらいたいなどと申し向けたことが認められ,同申向けは,立会人なしの面会が行われることを前提にしたものではない。 しかしながらば,接見の場に立会人を付す方法が許容されること,同方法が戒護上の支障がより少ない内容の提案であると認められること,上記刑務所職員らは,本件勾留質問室が戒護上の支障が生じるおそれがある設備であるとの見解を持っていたこと,戒護職員らが,刑事収容施設法77条1項に基づき裁判所構内においても制止等の措置を行う権限を有していることに照らせば,上記②の交渉経過において,原告に対し本件勾留質問室で面会を行う場合には刑務官の立会を認めてほしい旨求めた行為が,本件被告人の戒護担当者として,本件接見許可に係る接見が行われるよう配慮すべき職務上の法的義務に反する行為であるとまでは認められない。 ウよって,戒護職員らが原告に対し立会人を付した面会を実施するよう求めたことは,国賠法1条1項の適用上違法とは認められない。 本件措置についてア本件措置の違法性 裁判所構内における接見の許可がされた場合,当該接見を許可された被収容者の戒護を担当する刑務所職員は,その被収容者及び弁護人等に対する職務上の法的義務として,上記接見の許可に係る接見が行われるよう配慮すべき義務を負う。 しかるに,本件措置は,本件裁判官による本件接見許可があったにもかかわらず,処遇首席の指示の下 人等に対する職務上の法的義務として,上記接見の許可に係る接見が行われるよう配慮すべき義務を負う。 しかるに,本件措置は,本件裁判官による本件接見許可があったにもかかわらず,処遇首席の指示の下,戒護職員らにおいて,原告と本件被 告人とを面会させることなく,鳥取刑務所に本件被告人を連れ帰り,本件被告人の身柄を裁判所構内から離脱させ,もって本件接見許可に係る接見の実施を妨げたというものである。 本件措置が,処遇首席及び戒護職員らにおいて,被収容者である本件被告人及び弁護人等である原告に対して負う職務上の法的義務に違背したことは明らかであり,本件被告人及び弁護人等である原告の接見交通権を侵害したものとして,国賠法1条1項の適用上違法となると解するのが相当である。 この点に関し,被告は,最高裁平成17年判決を引いて,本件における鳥取刑務所職員の行為について,その職務上尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該行為をしたと認め得るような事情は存在しないと主張する。しかし,上記判決は,既に裁判所構内における接見が許可された後の刑務所職員の行為の違法性が問題となる本件とは関連性がないから,被告の上記主張は理由がない。 イ本件措置が故意に基づくこと上記1のとおり,処遇首席及び戒護職員らは,本件裁判官との口頭でのやり取りを通じ,本件接見許可があったこと,本件裁判官が本件勾留質問室の戒護上の問題点についても検討した上で本件接見許可を行ったとの説明を受けていたことが認められる。 そして,裁判所構内における接見許可があるときに,戒護担当者が戒護上の支障があると考えればこれを実施させないことができるかどうかについて,これを許すとする見解も見当たらない。 以上によれば,処遇首席及び戒護職員らは,本件接見許可に基づく接見を 戒護担当者が戒護上の支障があると考えればこれを実施させないことができるかどうかについて,これを許すとする見解も見当たらない。 以上によれば,処遇首席及び戒護職員らは,本件接見許可に基づく接見を実施させない結果をもたらす行為であることを認識しながら,すなわち,違法性を認識しながら,あえて本件措置に及んだものと認められるから,故意によるものと認められる。 ウ加害公務員に関する原告の主張について上記ア,イで説示したとおり,本件措置を行った加害公務員は,戒護職員らに対して本件措置を指示した処遇首席及びその指示を受けて本件措置に及んだ戒護職員らであると認められる。 これに対し,原告は,以上の違法行為における加害公務員が,組織としての広島矯正管区及び鳥取刑務所の総体であると主張するが,公務員の特定を欠くこととなるから,理由がない。 また,個別の公務員として,第一統括及び「処遇首席から相談を受けた広島矯正管区の氏名不詳の職員」を挙げるが,本件各証拠によっても,同人らが本件措置を指示したと認めるには足りない。 3 争点2(原告の損害額)について 慰謝料について上記2で説示したとおり,原告は,本件措置により,本件被告人との間の判決宣告直後の裁判所構内での接見の機会を違法に制限され,接見交通権を侵害されたものと認められる。そして,接見交通権が弁護人等の重要な権利であること,本件措置により原告が後日鳥取刑務所まで赴いての接見を余儀なくされたこと,本件措置が原告からの正当な抗議を受けていたにもかかわらず強行されたことその他一切の事情を考慮すると,本件措置により原告が被った精神的苦痛に対する慰謝料は10万円が相当であると認める。 その他の請求について原告は,鳥取刑務所までの往復交通費を自己負担したもので(上 一切の事情を考慮すると,本件措置により原告が被った精神的苦痛に対する慰謝料は10万円が相当であると認める。 その他の請求について原告は,鳥取刑務所までの往復交通費を自己負担したもので(上記1),その相当額である3700円は,本件措置と相当因果関係のある損害であると認める。 他方,鳥取刑務所までの往復に要した時間分の逸失利益の請求については,原告が法テラスの勤務弁護士であり,同人に当該時間の労働に相当する分の減収があったとは認められないから(上記1),理由がない。 上記の慰謝料及び交通費相当額の請求が認められることを踏まえ,本件措置と相当因果関係のある弁護士費用は1万0300円と認める。 第4 結論以上によれば,原告の請求は,被告に対し,国賠法1条1項に基づく損害賠償金として,11万4000円及びこれに対する加害行為後の日である平成29年7月27日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があることからこれを認容し,その余は理由がないからこれを棄却し,仮執行宣言については相当でないからこれを付さないことして,主文のとおり判決する。 鳥取地方裁判所民事部 裁判長裁判官藤澤裕介 裁判官姥迫浩司 裁判官木内悠介

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