【DRY-RUN】○ 主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人らの負担とする。 ○ 事実 控訴人ら代理人は、「原判決を取り消す。被控訴人広島西税務署長が控訴人広島勤 労者演劇協議会に対し、原判決別表1ないし5記載の
○ 主文本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人らの負担とする。 ○ 事実控訴人ら代理人は、「原判決を取り消す。被控訴人広島西税務署長が控訴人広島勤労者演劇協議会に対し、原判決別表1ないし5記載のとおりなした入場税、無申告加算税の賦課処分を取り消す。被控訴人呉税務署長が控訴人呉勤労者演劇協議会に対し、同表6記載のとおりなした入場税、無申告加算税の賦課処分を取り消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。」との判決を求め、被控訴人ら代理人は、主文同旨の判決を求めた。 当事者双方の主張と証拠の関係は、以下の第一、第二、第三に記載するほかは、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。ただし、原判決五枚目裏二行に「根木組識」とあるのを「根本組織」と、同一二行に「興業場等」とあるのを「興行場等」と、同六枚目表一二行(同上一五九九頁一八行目から一九行目に「同表別表主催欄第四」とあるのを「同法別表主催者欄四」と、同裏二行に「同表第一」とあるのを「同表主催者欄一」と、それぞれ訂正する。 第一、控訴代理人は、次のとおり述べた。 一、原判決は、労演の会員が拠出する会費が例会入場の対価、即ち、「入場料金」にあたると判断する根拠として、「会則上、労演の事業目的と定められている事項中、現実に実施されているものは、例会の運営、合評会、研究会、機関紙の発行に限られ、地元の演劇活動の助成、他の文化団体との交流などの活動が行なわれている事実は認められず、また、例会活動以外の現に行なわれている活動も、いわば例会活動に附随したものに過ぎない。」と認定している。 しかしながら、労演運動は、「よい演劇を安く見る」ことを中心として地方文化の向上に資することを目的とするのであるから、労演の種々の活動が必然的に例会に集中することは当然であり、良い演劇の鑑賞の普及によつ しながら、労演運動は、「よい演劇を安く見る」ことを中心として地方文化の向上に資することを目的とするのであるから、労演の種々の活動が必然的に例会に集中することは当然であり、良い演劇の鑑賞の普及によつて、労演に結集する労働者勤労市民の鑑賞能力をたかめることが、地方における演劇活動に有意義的にプラスになつて、「地元の演劇活動の助成」になるのであり、また、いわゆる「新劇」を中心とした作品の持つ思想が労働者勤労市民の資質をたかめ、「他の文化団体との交流」さらには文化団体それ自身の発生の直接の基盤となるものである。 したがつて、労演会員の拠出する会費は、このような広汎な労演活動に要する費用の分担金であつて、例会入場の対価ではない。 二、労演運動における例会運営のためには、多数の会員が無償で大量の労務を提供しており、例会を鑑賞する会員の拠出する所定の入会金と会費のみを資金としては到底開催できない。即ち、右の拠出金額は、入場の対価としては極めて均衡を欠く。 三、もともと、労演の例会運営は、退廃したマスコミ文化の汎濫する現代の日本において、既存の「あるものをみせる」活動ではなくて、勤労市民層がその本来の階級的資質と、それに根ざす要求を充たすために、彼らなりに文化的に高いと解する内容の演劇を、そのようなものの存在しない地方、即ち、「ないところに創り出して皆で見る」ことを主眼としたものである。 もつとも、演劇である以上、観せる者と観る者とを含んでおり、例会運営を例会運営たらしめるものが鑑賞者としての労演会員の参加であるから、例会と言えども、現象的には一般の興行と変らないかも知れないが、控訴人らは、先に述べたごとく、例会の場において、劇団の構成員らと一緒に演劇を創り出し、演劇を演劇たらしめるために鑑賞活動に参加しているものであるから、控訴人らに対する入場税課税 いかも知れないが、控訴人らは、先に述べたごとく、例会の場において、劇団の構成員らと一緒に演劇を創り出し、演劇を演劇たらしめるために鑑賞活動に参加しているものであるから、控訴人らに対する入場税課税は、劇団の構成員である俳優、演出家などに対する課税と同じく、「主催者」でない者に対する課税として違法である。そればかりか、先に述べたとおりの例会の本質からすると、そこには営業主体としての「見せるもの」と「見るもの」との対立関係がないから、「催物」にもあたらない。 四、仮に控訴人らが「催物」の「主催者」であり、控訴人らの会費と例会鑑賞とが何らかの意味で対価関係に立つものとしても、本件課税処分には次の違法がある。 即ち、そもそも演劇その他催物の鑑賞者から、その催物の主催者を通じて一定の税を課するのは、国民の切実な文化的要求としての演劇鑑賞をぜい沢と断定し、かかる機会を持ちうる国民に「担税能力ありと認め」た野蛮な政策の結果にほかならない。右の立法趣旨からすると、労演の会員から徴収されるべき「入場税」は、厳密に例会鑑賞の直接の対価としての部分に限定されるべきであり、その税額は、いわゆる券面方式によらず、例会々場の使用料その他実際に例会運営のためにのみ要した経費をもとに決定すべきものである。そして、控訴人らの会費中における直接例会運営に関しないその他の活動費が占める割合は、五割に近いから、これを含めて労演の会費全額を例会入場の対価として一律に課税の対象とした本件各課税処分は違法である。 第二、被控訴代理人は、次のとおり述べた。 一、控訴人らは、前記第一、一の主張中で、労演の諸活動が必然的に例会に集中するとして、その活動が例会中心に運営されることを自認している。それのみならず、労演運動の実態は、例会を開催してより多くの会員に鑑賞させようとするもので、例会開催 、労演の諸活動が必然的に例会に集中するとして、その活動が例会中心に運営されることを自認している。それのみならず、労演運動の実態は、例会を開催してより多くの会員に鑑賞させようとするもので、例会開催と前後して批評会、研究会、機関紙の発行等を行なうこととしているのは、例会を発展成立させるためであるから、いわば例会活動の附随的活動ということができる。したがつて、労演の会費は、例会入場の対価にすぎない。 二、控訴人ら主張のとおり、労演例会の実施に当つて、会員が例会整理、会場設営を自らの手によつて、無償で行なつているとしても、それは、権利能力のない社団として会員とは別個の主体である労演が、例会開催の費用を低廉にし、より多数の会員の参加を得ようとして会員の協力を得ているだけであつて、社団の構成員の一人として社団による例会開催に参加する立場と開催される例会を観賞する立場とは異なるものであり、混同すべきではない。のみならず、仮に会員のうちに労演例会の企画または実施に参画しているものがいても、それは一部にすぎず、大部分は、決定された例会の上演種目や所要の会費額などを見た上で、望む場合にのみ例会費を支払つて観賞し、また、入会、脱会は自由であるため上演種目がつまらなければすぐに脱会するので、会員数は常に変動しており、その実態は一般の興行となんら変るところはない。 三、控訴人らは、控訴人らに対する課税は券面方式によるべきではないと主張するけれども、例会に入場するためには、会費全額を支払わねばならないから、会費が入場の対価であることは当然である。また、直接例会運営に関しないその他の活動費が会費中に占める割合が五割に近いとの点は否認する。労演が例会鑑賞の反対給付として徴した会費の剰余をもつて他の活動をするかどうかは、会費の入場料金制とは関係のないことである。 第三 いその他の活動費が会費中に占める割合が五割に近いとの点は否認する。労演が例会鑑賞の反対給付として徴した会費の剰余をもつて他の活動をするかどうかは、会費の入場料金制とは関係のないことである。 第三、当審における証拠関係(省略)○ 理由第一、当裁判所は、控訴人らの本件各請求は、いずれも理由がないと判定した。その理由は、次の一ないし四のとおり附加訂正するほかは、原判決理由に記載のとおりであるから、ここに引用する。 一、原判決九枚目表七行に「こと」とある次に「あるいはこれと類似の事項」と、同一〇行に「代表幹事」とある前に「会長、」と、それぞれ挿入し、同行に「会計監査役」とあるのを「会計監査、事務局長」と、同枚目裏五行に「法効果の帰属主体」とあるのを「法律効果の直接的実質的帰属主体」と、同一三枚目表四行に「二」とあるのを「〇」と、同一五枚目裏七行に「第二三号証」とあるのを「第三三号証」と、同一〇行に「第三六」とあるのを「第三八」と、それぞれ訂正する。 二、控訴人らの、前記事実欄第一、一および二の主張について判断する。 控訴人らは、「労演の活動は例会の運営および附随のものに限られる。」との原判決の認定は誤りであると主張する。 しかし、原審および当審を通じ本件処理に表われたすべての証拠によつても、控訴人らが、地元の演劇活動の助成推進、他の文化団体との提携交流に、直接、当つていることを認めることはできない。また、当審において新たに取調べた証拠によつても、「控訴人らの、合評会研究会等の開催、機関紙催物案内等のパンフレツト類の発行などの活動は、例会の運営に附随したものである。」との原判決の認定を動かすことができない。 もつとも、弁論の全趣旨によれば、右の原審認定の諸活動以外に、控訴人らの組織の拡大強化を直接目指す多くの活動がなされている事実を窺うに難くない ものである。」との原判決の認定を動かすことができない。 もつとも、弁論の全趣旨によれば、右の原審認定の諸活動以外に、控訴人らの組織の拡大強化を直接目指す多くの活動がなされている事実を窺うに難くない。しかし、これらの活動と言えども、控訴人らの活動の中心目標が例会の運営、即ち、控訴人らの言葉を借りて言えば、勤労者の演劇要求の充足におかれていることは、原判決の説示するとおりであり、このような要求の充足の機会の増大には、控訴人らの組織の拡大強化が直接役立つことは明らかである。してみれば、これらの活動もまた例会運営の充実を目指しこれに附随する活動であると言うに妨げがない。 これに反し、成立に争いがない乙第六六ないし第六九号証によれば、控訴人らは、例会以外のピクニツク、ハイキング等の催しにはそれぞれ参加者から別途費用を徴していることが認められる。 一方、成立に争いがない甲第二号証、乙第七号証の三、乙第八号証、乙第六二号証、乙第六五号証、原審証人A、当審証人B(ただし、後記の採用しない部分を除く)の各証言、原審における各控訴人代表者本人尋問の結果によれば、たとえ会員であつても、控訴人らの定める期間(特段の事情のない限り前回の例会から当該例会までの期間である)の会費を前納しなければ当該例会に入場を許されないこと、また、当該例会の直前に入会しても、右期間の会費を遡つて支払えば入場を許される取扱いであること、年六回の通常例会以外に特別例会が追加開催されるときには、サークル代表者会議等で、特別会費の徴収を決定し、これを納入しないときには脱会として取扱われ当然その例会には入場を許されないことが、それぞれ認められる。 以上の諸事実からすれば、控訴人らが会員から徴収する会費の大部分は、直接間接に例会の経費として使用され、その余の部分も余剰金として控訴人らの事業目的 には入場を許されないことが、それぞれ認められる。 以上の諸事実からすれば、控訴人らが会員から徴収する会費の大部分は、直接間接に例会の経費として使用され、その余の部分も余剰金として控訴人らの事業目的に反しない範囲で使用されているものであり、また、会員の入場のためには当然会費の支払を要求されるものであるから、会費は例会入場の代償として支払われる経済的利益、即ち、入場の対価であると解するのを相当とする。当審証人Bの証言および同証言により成立の真正が認められる甲第二四号証中、右認定に反する部分は、前記認定のところに比べれば、たやすく採用できず、他に右認定を覆えすに足る証拠はない。 もつともこれに対し、控訴人らは、会費が入場の対価であることを否定する根拠として、例会運営の基礎には会員の無償による多大の労務提供が存在すると主張する。なるほど、弁論の全趣旨によれば、例会会場の設営、入場の整理などに会員の無償の労力提供が数多く存在する事実が認められる。しかし、原判決の説示するとおり、控訴人らがいずれもよい演劇を安く鑑賞することを目的としていることからすると、これは例会の開催費用を低廉化し右の目的を実現する方策としての自発的努力であると推認されるから、前記認定を妨げるものではない。 そうしてみれば、控訴人らの頭書主張は理由がないものと言わねばならない。 三、控訴人らの、前記事実欄第一、三の主張について判断する。 右主張は、要するに、控訴人らは、自ら「演劇のないところにこれを創造し」自ら「演劇を演劇たらしめるためにこれを鑑賞するもの」であつて、そこには「見せるもの」と「見るもの」との対立はないから、たとえ現象的には一般の興行と変りはないとしても、その例会は「催物」ではなく、また、控訴人らはこれを「主催する者」でもないことを前提として、本件各課税処分の違法を言 と「見るもの」との対立はないから、たとえ現象的には一般の興行と変りはないとしても、その例会は「催物」ではなく、また、控訴人らはこれを「主催する者」でもないことを前提として、本件各課税処分の違法を言うにあると解される。 しかしながら、もともと、入場税においては、入場料支出に担税力を認めるものであるが、課税、徴収上の公平と便宜を計るため、租税負担者と納税義務者な別個のものにし、主催者、即ち納税義務者は、入場料金を領収するに際し入場税相当分をあわせて請求しうる地位にあるものをもつて足ると定めたと解される。前記甲第二号証、乙第一号証の一、乙第七号証の三、当審証人Bの証言、原審における控訴人ら各代表者本人尋問の結果によれば、控訴人らは、その会則において、会員の鑑賞に供するため劇を上演する例会を開催することを事業目的の第一に掲げている事実が認められ、また、成立に争いがない乙第五九号証、甲第五号証、原審証人A、当審証人Bの各証言、原審における控訴人呉勤労者演劇協議会代表者本人尋問の結果によれば、控訴人らは、例会の上演種目、上演日の決定にあたり、あらかじめ劇団から上演可能な劇の資料を取り寄せ、これとサークルの希望とを対照して候補作品を選定し、その中から、サークル段階の討議を経て代表者会議で控訴人らの希望作品を選択させること、控訴人らは、このようにして決定された希望作品を尊重するけれども、最終的には上演種目、劇団および上演日を、上部連絡組織の西日本企画会議の決定どおり決定しており、それは前述の手続によつて決定された第一順位の希望作品とは異ることもあることが、それぞれ認められる。 これらの事実に、先に認定したとおりの、会員であつても控訴人らの定める会費を控訴人らに納入しなければ例会入場を拒否されることを総合して判断すれば、控訴人らは、会員とは対立関係にも立 ぞれ認められる。 これらの事実に、先に認定したとおりの、会員であつても控訴人らの定める会費を控訴人らに納入しなければ例会入場を拒否されることを総合して判断すれば、控訴人らは、会員とは対立関係にも立つ別個の社会的存在であつて、会則に定められた事業目的に従い、催物である例会を主催して会員に演劇を見せているものと解するのを相当とする。このように見てくるならば、控訴人らが演劇を創り出しかつその鑑賞活動に参加するとの主張は、税法の分野においてまで、自然人である会員と社会的実在である控訴人らとを理由なく同一体視するものであつて、到底採用できないし、右主張を前提とするその他の頭書主張もまた同様採用できないと言わねばならない。 四、控訴人らの前記事実欄第一、四における、いわゆる券面主義による課税が違法である旨の主張について判断する。 酒税、砂糖消費税等の存在からみると、入場税が控訴人ら主張のとおり野蛮不当とも言い難く、先に説示したとおりの前納会費が入場の対価とされ、かつ、控訴人らが徴収した会費の大部分が直接間接に例会の費用として使用されその余の部分も余剰金と目すべきものであることは先に説示したとおりであるから、本件各課税処分において会費全額を課税対象としたことはなんら違法ではない。 第二、以上のとおりであるから、控訴人らの本件各請求を棄却した原判決は相当であり、これに対する本件控訴は失当として棄却すべきものである。 よつて、訴訟費用の負担について民事訴訟法第九五条第八九条第九三条を適用し、主文のとおり判決する。 (裁判官松本冬樹浜田治野田殷稔)
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