昭和25(う)1146 業務上横領臨時物資需給調整法違反被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和25年9月25日 名古屋高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      原判決中無罪の点を除くその余の部分を破棄する。      被告人に対する昭和二十五年二月十八日附臨時物資需給調整法違反の事 実に関する公訴を棄却する。          理  

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判決文本文2,775 文字)

主文 原判決中無罪の点を除くその余の部分を破棄する。 被告人に対する昭和二十五年二月十八日附臨時物資需給調整法違反の事実に関する公訴を棄却する。 理由 弁護人上村千一郎提出に係る控訴趣意は後記の通りであつて、検察官は本件控訴は理由のないものとしてその棄却を求めた。 仍て職権を以つて調査するに、被告人は昭和二十四年十一月九日附起訴状を以て、被告人は愛知県宝飯郡a町A協同組合に事務員として同組合の配給割当綿糸を同組合員えの割当計画を樹て、その全部を同組合員に配分すべき業務を担当していたものであるが、その業務に関し、昭和二十三年九月頃同組合が配給公文書により名古屋市のB株式会社から同年度第一四半期配給分として購入した綿糸十六番手十四梱四俵(一俵十二貫入)を同組合員に割当配分すべきを預かり保管中Cに右綿糸のうち第一、 同年十月頃愛知県宝飯郡a町大字b字cd番地A協同組合事務所においてDに対し同綿糸八俵(二梱)を代金五十八万円にて売却し、第二、 同月頃同所においてEに対し同綿糸一俵を代金七万二千五百円にて売却し、第三、 同月頃同所において、F及びEに対し同綿糸三俵を代金二十一万七千五百円にて売却し、第四、 同月頃同県同郡同町大字e字fg番地G方附近において、Hに売却方を依頼して、前記G外四名に対し同綿糸八俵(二梱)を代金五十八万円にて売却し、第五、 同月頃同県同郡同町大字b字hi番地I方において同人に対し同綿糸十俵(二、五梱)を代金七十二万五千円にて売却し、合計三十俵(七、五梱)の同綿糸を代金二百十七万五千円で売却して横領したとの事実について公訴を提起せられ、更に昭和二十五年二月十八日附起訴状と題する書面を以て被告人は法定の除外事由がないのに拘らず第一、 昭和二十三年十 同綿糸を代金二百十七万五千円で売却して横領したとの事実について公訴を提起せられ、更に昭和二十五年二月十八日附起訴状と題する書面を以て被告人は法定の除外事由がないのに拘らず第一、 昭和二十三年十月頃愛知県宝飯郡a町大字b字cd番地A協同組合事務所において、糸の需要者であるDに対し指定生産資材である綿糸(十六番手単糸で織布用)八俵(二梱分で九十六貫位)を所定の需要者割当証明書と引換うることなく代金五十八万円で譲り渡し、第二、 前同月頃前同所において、前同様のIに対し同綿糸十俵(二梱半で百二十貫位)を所定の需要者割当証明書と引換うることなく代金七十二万五千円で譲り渡し、第三、 前同月頃前同所において前同様のEに対し同綿糸一俵(十二貫位)を所定の需要者割当証明書と引換うることなく代金七万二千五百円で譲り渡し、第四、 前同月頃前同所において前同様のE、Fの両名に対し、同綿系三俵(三十六貫位)を所定の需要者割当証明書と引換うることなく代金二十一万七千五百円で譲り度し、第五、 前同月頃同県同郡同町大字e字fg番地G方においてHに売捌きを委託し、同人を介して、1、 前同様のGに対し同綿糸三俵(三十六貫位)を代金二十一万七千五百円で、2、 前同様のJに対し同綿糸二俵(二十四貫位)を代金十四万五千円で、3、 前同様のKに対し同綿糸一俵(十二貫位)を代金七万二千五百円で、4、 前同様のLに対し同綿糸一俵(十二貫位)を代金七万二千五百円で、5、 前同様のMに対し同綿糸一俵(十二貫位)を代金七万二千五百円で、何れも所定の需要者割当証明書と引換うることなく譲り渡し、たとの事実について審判を求められ、これに対し原審は被告人に対する公訴事実中業務上横領の部分について無罪、臨時物資需給調整法違反の部分について罰金十万円に処する旨の判 と引換うることなく譲り渡し、たとの事実について審判を求められ、これに対し原審は被告人に対する公訴事実中業務上横領の部分について無罪、臨時物資需給調整法違反の部分について罰金十万円に処する旨の判決言渡をしたことが認められるのである。 <要旨>そこで前示二個の訴因を対照すれば、その記載自体によつて明かなように、基礎たる事実を共通とするもの</要旨>即ち、同一公訴事実が別個の訴因によつて表示されているのであり、右の二個の訴因は実体法上所謂一個の行為にして数個の罪名に触れる場合に外ならず、その一の訴因を明示して公訴が提起された以上その効力は当然その他の訴因を含む当該公訴事実の全範囲に及ぶのであつて、或る公訴事実について既に一の訴因を以て公訴の提起がある場合何等かの理由で他の訴因についても審判を受くる必要があるときは、刑事訴訟法第三百十二条によつて訴因追加の手続を採るべきであり、既にある公訴事実について一の訴因を以て公訴の提起がなされているに拘らず、更に他の訴因によつて公訴を提起するのは正に一の公訴事実に対する二重の公訴提起の誤を犯すものといわなければならない。而して本件の昭和二十五年二月十八日附の起訴状と題する書面はその表題を起訴状とし、左記被告事件について公訴を提起する旨を明記し、被告人及び前記の訴因並びに関係罰条を掲記し、尚末尾に追而本件は昭和二十四年十一月九日附で公訴を提起した業務上横領被告事件と併せて審理されたき旨の附記がなされ、その記載自体公訴提起の意思を表示した独立別個の起訴状と見るの外はないのであつて、到底訴因追加の請求書と認め難く、原審においてもこれを訴因追加の請求として取扱うてはいないのであつて、本件は同一公訴事実に対し前後二個の公訴提起があることに帰着し、従つてその後の昭和二十五年二月十八日附の公訴提起はこれを棄却すべ 、原審においてもこれを訴因追加の請求として取扱うてはいないのであつて、本件は同一公訴事実に対し前後二個の公訴提起があることに帰着し、従つてその後の昭和二十五年二月十八日附の公訴提起はこれを棄却すべきであつたのに、原審は敢えて不法にこれを受理した違法があり、更に又原審が同一の公訴事実について有罪と無罪との主文を言渡したのは、併合罪に関する法令の解釈を誤つた違法があり、その違法は判決に影響を及ぼすこと明かであるから、論旨に対する判断を須いず原判決は破棄を免れないのであるが、その無罪の言渡は既に確定しているので、原判決中その点を除きその余の部分は刑事訴訟法第三百七十八条第二号、第三百八十条及び同法第三百九十七条によつてこれを破棄し、且つこれを原審に差し戻す迄もなく、本件昭和二十五年二月十八日附の公訴提起に対しては、同法第三百三十八条によつて棄却の判決をなすべきことが明白であるから、同法第四百条但書を適用して当審において直ちにその旨の判決をなすべきものと認め主文の通り判決する。 (裁判長裁判官薄井大介裁判官山田市平裁判官小澤三朗)(弁護人の控訴趣意は省略する。)

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