令和4(ワ)4461等 著作権不存在確認請求事件

裁判年月日・裁判所
令和7年2月21日 東京地方裁判所
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令和7年2月21日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 令和4年(ワ)第4461号著作権不存在確認請求事件(第1事件) 令和6年(ワ)第70413号著作権不存在確認請求事件(第2事件) 口頭弁論終結日令和6年12月11日判決 主文 1 原告、被告東宝及び被告乙の間で、被告東宝が別紙著作物目録記載の作品の著作権を有しないことを確認する。 2 訴訟費用は被告らの負担とする。 事実 及び理由 第1 請求主文第1項と同旨 第2 事案の概要等 1 事案の要旨本件は、原告が、原告、被告東宝及び被告乙の三者で、別紙著作物目録記載の作品(以下「本件原作」という。)の著作権の帰属並びに本件原作及びアニメーション作品「ファンタジスタドール」(以下「本件作品」という。)の管理運用等を定めた契約を締結し、本件原作の著作権を共有する旨等の合意をしていたところ、被告東宝の行為が当該契約所定の権利喪失事由に該当し、被告東宝は本件原作の著作権を喪失したと主張して、原告、被告東宝及び被告乙の間で、被告東宝が本件原作の著作権を有しないことの確認を求める事案である。 2 前提事実 該契約所定の権利喪失事由に該当し、被告東宝は本件原作の著作権を喪失したと主張して、原告、被告東宝及び被告乙の間で、被告東宝が本件原作の著作権を有しないことの確認を求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の各証拠(以下、特記しな い限り枝番を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実)(1) 当事者ア原告は、映画、テレビ番組の企画及び制作等を業とする有限会社である。 イ被告東宝は、映画の企画、製作及び製作請負等を業とする株式会社である。 ウ被告乙は、本件原作の発案者及び本件作品のクリエイティブ・プロデューサーである(弁論の全趣旨)。 (2) 原告及び被告らによる「ファンタジスタドール」原著作契約原告及び被告ら(以下、三者を総称して「メンバー」ということがある。)は、平成25年3月31日、本件原作の著作権の帰属並びに本件原作及びこ れを原作として制作されるアニメーション作品である本件作品の管理運用等についての「ファンタジスタドール」原著作契約(以下「本件契約」という。)を締結した(甲1)。 本件契約には、次の定め(末尾括弧内は、本件契約の条項を示す。)がある。 ア本件契約の目的及び本件作品の展開等(第1条) (ア) 本件契約は、メンバーが共同開発した本件原作の著作権をメンバーが 共同で持つことを確認し、本件作品の事業利用を円滑かつ効率的に管理運用することを目的とする(1項)。 (イ) メンバーは、前項(前記(ア))の目的を達成するために、被告東宝を原作幹事社として本件原作及び本件作品の管理運用に当たるものとする(2項)。 (ウ) 本件作品のメディア展開、ライセンスアウト及びその他本件作品の展開に関する一切の事項並びに に、被告東宝を原作幹事社として本件原作及び本件作品の管理運用に当たるものとする(2項)。 (ウ) 本件作品のメディア展開、ライセンスアウト及びその他本件作品の展開に関する一切の事項並びに広報宣伝活動に関わる全ての事項に関しては、メンバーで協議の上、原作幹事社の被告東宝が決定するものとする(3項)。 (エ) メンバーは、本件契約に規定する比率及び方法に従い、本件作品の利 用から得られる収入の配分を受ける(4項)。 イ本件原作の著作権の持分比率(第2条)本件原作の著作権はメンバーの共有とし、その持分比率は被告東宝が50パーセントとし、原告及び被告乙が各25パーセントとする(1項)。 ウ幹事社の業務(第3条) 被告東宝は、原作者を代表して以下の業務を担当するものとする。 (ア) 本件作品及び本件原作に関する支出及び管理を行う(1号)。 (イ) メンバーを代表して本件作品に関わる各種契約を締結する(2号)。 (ウ) 本件作品を利用した事業について、メンバー間の協議を踏まえた上、メンバーを代表し、交渉・契約及び収入配分作業を行う(3号)。 (エ) メンバーを代表して、本件作品の商標出願を行う(4号)。 (オ) 前各号(前記(ア)ないし(エ))の他、本件作品の利用の全般に関し、幹事社として中心的な役割を果たす(5号)。 エ事業利用及びメンバーへの配分金(第5条)本件作品の事業利用から発生する原作印税等の原作利用収入の集約、計 算及びメンバーへの配分は被告東宝が行うものとする(1項)。 オ契約違反等による権利の消滅(第8条)メンバーのいずれかが次の各号のいずれか一つに該当する場合、当該メンバーは、他のメンバーによる何らの催告なくして、当然に本件契約関係から脱退し、当該メンバ オ契約違反等による権利の消滅(第8条)メンバーのいずれかが次の各号のいずれか一つに該当する場合、当該メンバーは、他のメンバーによる何らの催告なくして、当然に本件契約関係から脱退し、当該メンバーが本件契約に基づき保有する権利を喪失する。 (ア) 本件契約に違反し、他のメンバーから文書による相当な期間を定めた 催告があったにもかかわらず、当該期間内に違反を是正しないとき(1項5号)。 (イ) 本件契約に規定する義務の重大な不履行があったとき(1項6号)。 カ契約期間(第12条)本件契約は、平成25年1月1日に発効し、本件作品の著作権保護期間 が満了する日まで有効とする。 (3) FD製作委員会の組成(乙1)被告東宝は、平成25年9月1日、凸版印刷株式会社、株式会社ドリコム、株式会社グッドスマイルカンパニー、株式会社ブシロード、株式会社ムービック及びソニーピーシーエル株式会社との間で、本件作品の製作、放送及び その二次利用に係る事業を行うことを目的として、アニメ「ファンタジスタドール」共同事業契約を締結し(以下「本件共同事業契約」という。)、被告東宝を幹事会社とするFD製作委員会を組成した。本件共同事業契約において、同契約の当事者は、FD製作委員会を代表する被告東宝が本件作品の制作を原告に委託することに同意した。 なお、本件共同事業契約において、同契約の有効期間は、同年3月1日に遡及して開始するとされていた。 (4) 本件作品の制作及びテレビ放送被告東宝は、FD製作委員会を代表して、原告に対し、本件作品の制作を委託し、当該制作業務は、原告から株式会社十文字(以下「十文字社」とい う。)へ、十文字社からフッズエンタテインメント株式会社(以下「フッズ社」 という。)へと順次再委託 の制作を委託し、当該制作業務は、原告から株式会社十文字(以下「十文字社」とい う。)へ、十文字社からフッズエンタテインメント株式会社(以下「フッズ社」 という。)へと順次再委託された。 本件作品は、平成25年7月から同年9月にかけて、毎日放送、TOKYOMX、BS11、AT-X等において、全12話が放送された(甲39の1)。 (5) 被告東宝による本件作品の事業利用 被告東宝は、本件作品に関し、少なくとも別紙事業利用等目録記載の1ないし5、6(2)ないし(4)及び(6)、7ないし12の各事業利用(以下、同目録の冒頭の数字、括弧付き数字及び丸囲み数字に従って、「本件事業利用1」、「本件事業利用5(2)①」などということがある。)をした。 (6) 原告の被告東宝に対する協議実施の申入れ ア原告は、平成25年10月16日、被告東宝に対し、同年8月以降、本件作品に関連するキャラクターグッズやイベント等について、原告への連絡や監修依頼等がされないまま各企画が進行しているなどとして、本件契約に基づき、事前に原告に連絡し、協議してほしい旨を申し入れた(甲4の2)。 イ被告東宝は、原告に対し、平成25年12月13日付けの書面により、本件作品に関し、本件事業利用7(1)ないし(4)、8(1)及び(2)等を含む事業利用に係る企画が進行中であること、原作幹事社である被告東宝がメンバーを代表してこれらの書籍・商品等の監修をすることなどを通知した(甲3の1)。 これに対し、原告は、被告東宝に対し、同月20日付けの電子メールにより、本件作品の出版化、商品化利用については、必ず原告と相談の上進行してほしい旨を申し入れた(甲4の1)。 3 争点(1) 被告東宝の行為が本件契約所定の権利喪失事由に当 日付けの電子メールにより、本件作品の出版化、商品化利用については、必ず原告と相談の上進行してほしい旨を申し入れた(甲4の1)。 3 争点(1) 被告東宝の行為が本件契約所定の権利喪失事由に当たるか(争点1) (2) 本件契約関係解消にはやむを得ない事由が必要であるか及び当該事由の有 無(争点2)(3) 原告による本件契約関係解消の主張が信義則に反するか(争点3) 4 争点に対する当事者の主張(1) 争点1(被告東宝の行為が本件契約所定の権利喪失事由に当たるか)について (原告の主張)ア被告東宝の行為は本件契約第8条1項6号所定の事由に当たること(ア) 本件契約第1条3項及び第3条3号においては、本件作品のメディア展開、ライセンスアウト及びその他本件作品の展開に関する一切の事項並びに広報宣伝活動に関わる全ての事項に関しては、メンバーで協議を した上で決定されることと定められている。 (イ) アニメーション作品に係るライセンスビジネスにおいては、大要、ライセンサーにおいてライセンシーが作成した企画書等を審査した上で、両者の間で許諾契約を締結し、ライセンシーが制作したデザインやサンプル品をライセンサーが監修、承認した後、ライセンシーによる製造、 販売及び広告宣伝販促活動が行われ、最終的にライセンシーからその報告及びライセンス料の支払がされるとの流れで進められる。そして、許諾契約の締結に当たっては、作品のイメージ等が毀損されたり、ライセンサーが提供した素材が無断で改変されたりすることがないか、作品のイメージや価値が増大するか、許諾契約の内容が権利者にとって有益か つ適切な内容及び条件であるかなどを指針として、許諾の可否が判断される。 本件原作及び本件作品に係る使用許諾にお か、作品のイメージや価値が増大するか、許諾契約の内容が権利者にとって有益か つ適切な内容及び条件であるかなどを指針として、許諾の可否が判断される。 本件原作及び本件作品に係る使用許諾においても、上記の進め方及び許諾に当たって留意すべき事項に変わりはない。実際、平成25年6月頃までは、原告と被告東宝との間で、ライセンス許諾先、ライセンシー から提出された企画書の内容、本件作品のビデオグラムパッケージに使 用するイラストに係るキャラクターの選定及び構図などに関する具体的な協議が行われていた。 したがって、本件契約所定の協議とは、メンバー間において、上記の進め方及び許諾に当たって留意すべき事項について協議をすることを意味する。 (ウ) しかし、被告東宝は、原告との協議を経ることなく、別紙事業利用等目録記載のとおり、本件作品について事業利用をした。この被告東宝の行為は、本件契約第8条1項6号所定の「本件契約に規定する義務の重大な不履行」に該当する。 イ被告東宝の行為は本件契約第8条1項5号所定の事由に当たること 仮に被告東宝の行為が「本件契約に規定する義務の重大な不履行」(本件契約第8条1項6号)に該当しないとしても、前記アのとおり、被告東宝が、原告との協議を経ることなく本件作品について事業利用したことは、本件契約第1条3項及び第3条3号に違反するものである。そして、原告は文書をもって被告東宝に対して協議を申し入れたにもかかわらず、被告 東宝はこれに応じなかったのであるから、この被告東宝の行為は、本件契約第8条1項5号の「本件契約に違反し、他のメンバーから文書による相当な期間を定めた催告があったにもかかわらず、当該期間内に違反を是正しないとき」に該当する。 ウ被告東宝の主張に 行為は、本件契約第8条1項5号の「本件契約に違反し、他のメンバーから文書による相当な期間を定めた催告があったにもかかわらず、当該期間内に違反を是正しないとき」に該当する。 ウ被告東宝の主張について (ア) 本件契約所定の協議の意義について被告東宝は、原告に送付した平成25年11月12日付けの通知をもって、本件契約第1条3項及び第3条3号所定の協議は、被告東宝から原告に対する電子メールによる報告又は意見を求める方法によることとなったと主張する。 しかし、原告は、被告東宝が協議の方法を一方的に変容させたことに ついて、異議を述べていたのであって、メンバー間において、本件契約所定の協議を前記ア記載のものと異なる方法で行うと合意したことはない。 (イ) 協議が不要となる本件作品の事業利用はないこと被告東宝は、演劇化(舞台化)事業、広報宣伝活動及び音楽化(CD 化)事業に関し、メンバーのFD製作委員会に対する本件作品の制作に関わる許諾に内包されるビデオグラム化権及び商品化権に付随するものであるから、原告との協議を要しないと主張する。 しかし、原告が、被告東宝が締結した本件共同事業契約の内容に関し、被告東宝と協議をしたり、被告東宝から報告を受けたりした事実はない。 また、本件共同事業契約においても、メンバーのFD製作委員会に対する本件作品の制作に関わる許諾に関する条項はなく、メンバーがFD製作委員会に映画化(アニメ化)を許諾した別途の契約書も存在しないから、被告東宝が主張するメンバーのFD製作委員会に対する本件作品の制作に関わる許諾に内包されるビデオグラム化権及び商品化権なる概念 はそもそも存在しない。 エまとめしたがって、被告東宝は、本件契約関係から脱退し、本件原作の著作権 に対する本件作品の制作に関わる許諾に内包されるビデオグラム化権及び商品化権なる概念 はそもそも存在しない。 エまとめしたがって、被告東宝は、本件契約関係から脱退し、本件原作の著作権を含む本件契約に基づく権利を喪失した。 (被告東宝の主張) ア本件作品の事業利用についての本件契約所定の協議の意義及びその要否(ア) 本件契約所定の協議の意義被告東宝が原告に送付した平成25年11月12日付けの通知をもって、本件契約第1条3項及び第3条3号所定の協議は、被告東宝から原告に対する電子メールによる報告又は意見を求める方法によることとな ったのであり、このような方法により協議を行うことについて原告から 異見が述べられたことはない。 (イ) 本件作品の事業利用に係る協議の要否本件契約第3条3号が、本件作品を利用した事業について、メンバー間の協議を踏まえた上、被告東宝がメンバーを代表し、交渉・契約及び収入配分作業を行うこととされているのは、このような事業利用にあっ ては、第三者の企画能力や各メンバーとの関係性等を加味した判断が求められるからである。 他方で、本件原作の著作権の50パーセントを保有し、メンバー間でも本件原作及び本件作品の価値向上に最大の利害関係を有するとともに、アニメーション作品の事業利用のノウハウにも長けている被告東宝自ら が、本件作品の事業利用の主体となって実施する場合には、本件作品の適切で円滑かつ効率的な事業利用が担保されており、上記のような判断を要しないから、メンバー間の協議を経ることなく本件作品を事業利用し得るというべきである。また、第三者に対する利用許諾を伴う事業利用であっても、取引総額が少額でかつ急を要する場合には、その現実的 な必要性及び実施可能性 協議を経ることなく本件作品を事業利用し得るというべきである。また、第三者に対する利用許諾を伴う事業利用であっても、取引総額が少額でかつ急を要する場合には、その現実的 な必要性及び実施可能性の観点から、被告東宝は、メンバー間の協議を経ることなく本件作品を事業利用することができる。 イ各事業利用について(ア) 本件事業利用1(国内番組販売)本件契約は、本件原作に基づいて、アニメーション作品である本件作 品を製作することを目的として締結されたものである。 テレビ放送局であるAT-X及びチャンネルNECOに放送権を販売することは、テレビ放送用アニメーションである本件作品の本来的な利用の一態様であって、メンバー間でもこのような態様で事業利用することの認識が共有されていた。 したがって、この事業利用については原告との間で協議が尽くされて いた。 (イ) 本件事業利用2(国内配信許諾)a インターネットの普及や動画配信プラットフォームの台頭により、消費者におけるアニメーションを含む映像鑑賞の在り方が変化しており、アニメーション作品の製作に当たっては、ビデオグラム化のみな らず動画配信プラットフォームでの配信を通じて対価を得ることが前提となっているから、前記(ア)と同様に、メンバー間でもこのような態様で事業利用することの認識が共有されており、原告との間で協議が尽くされていた。 b また、動画配信プラットフォームでの本件作品の配信は、その運営 会社を経由しているものの、FD製作委員会幹事会社である被告東宝が当該プラットフォームを通じて消費者に本件作品を届けるものであるから、実質的に被告東宝自らが主体となって実施するものである。 したがって、被告東宝は、メンバー間の協議を経ることなく、当該 被告東宝が当該プラットフォームを通じて消費者に本件作品を届けるものであるから、実質的に被告東宝自らが主体となって実施するものである。 したがって、被告東宝は、メンバー間の協議を経ることなく、当該態様により本件作品を事業利用することができる。 (ウ) 本件事業利用3(国外販売)本件作品については、企画段階からビデオグラム化が予定されており、スケジュールにも組み込まれているほか、ビデオグラム(DVD又はBD(Blu-rayDisc))の予約者又は購入者向けのイベントも追加で企画されるなどしていることから、メンバー間において、本件作品をビデオグ ラム化して販売することについて認識が共有されていた。 したがって、この事業利用については原告との間で協議が尽くされていた。 (エ) 本件事業利用4(本件作品の音楽配信)「ファンタジスタドール CharacterSong!!vol.1」等と題するCDに 収録された本件作品の音楽(キャラクターソング)の配信については、 原告との間で協議がされていないものの、これは、FD製作委員会幹事会社である被告東宝自らが、メンバーのFD製作委員会に対する本件作品の制作に関わる許諾に内包される商品化権に基づき、その主体となって実施するものであるから、被告東宝は、メンバー間の協議を経ることなく、当該態様により本件作品を事業利用することができる。 (オ) 本件事業利用5(広報宣伝活動)この広報宣伝活動については、原告との間で協議がされていないものの、いずれもFD製作委員会幹事会社である被告東宝自らが主体となって実施するものであるから、被告東宝は、メンバー間の協議を経ることなく、当該態様により本件作品を事業利用することができる。 なお、本件事業利用5(2) 幹事会社である被告東宝自らが主体となって実施するものであるから、被告東宝は、メンバー間の協議を経ることなく、当該態様により本件作品を事業利用することができる。 なお、本件事業利用5(2)③及び⑦(平成25年9月8日開催の「京都国際マンガ・アニメフェア2013」におけるトークショー及びアフレコライブの開催並びに店頭掲示向け冊子「ファンタジスタプレス」の刊行)は、メンバーのFD製作委員会に対する本件作品の制作に関わる許諾に内包されるビデオグラム化権に付随する販売促進活動として、被告 東宝が企画立案したものであるから、この観点からしても、原告との協議を要しない。 (カ) 本件事業利用6(ゲーム化事業)a 「嫁コレささら」及び「嫁コレうずめ」とは、既存のスマートフォン向けゲームある「嫁コレ」(アニメーション作品やグーム作品の様々 なキャラクターのカードを収集するゲーム)に登場した本件作品のキャラクターのカードであって、原告の主張するようなゲームは製作されていない。 なお、当該商品化利用については、原告との間で協議が尽くされていた。 b また、「ルーセントハート×ファンタジスタドール(コラボレーショ ン)」とは、既存のオンラインゲームサービスである「ルーセントハート」をプレイした者に対し、ゲーム内で抽選券を配布し、当選者に対して本件作品の限定グッズをプレゼントするというキャンぺーンであって、原告の主張するようなゲームは製作されていない。 なお、当該商品化利用については、原告との間で協議が尽くされて いた。 c その余の事業利用については、いずれも原告との間で協議が尽くされていた。 (キ) 本件事業利用7(商品化事業)a 被告東宝が、原告との協議を経ないで、本 されて いた。 c その余の事業利用については、いずれも原告との間で協議が尽くされていた。 (キ) 本件事業利用7(商品化事業)a 被告東宝が、原告との協議を経ないで、本件事業利用7(1)ないし(1 0)をしたことは認める。 しかし、本件事業利用7(5)については、当日版権申請(イベント等の日時及び場所を限定しての著作物の利用申請であり、小規模利用かつ開催日に近接して申請がされることが大半である。)によるものであって、取引総額が少額でかつ急を要したため、被告東宝は、メンバー 間の協議を経ることなく、当該態様により本件作品を事業利用することができる。 また、本件事業利用7(6)ないし(8)及び(10)については、FD製作委員会幹事会社である被告東宝自らが主体となって実施するものであるから、被告東宝は、メンバー間の協議を経ることなく、当該態様に より本件作品を事業利用することができる。 b 本件事業利用7(11)ないし(14)については、原告との間で協議が尽くされていた。 (ク) 本件事業利用8(出版化事業)いずれも原告との間で協議が尽くされていた。 (ケ) 本件事業利用9(舞台化事業) 「ファンタジスタドールクリスマスパーティ2013」は、本件作品のDVD又はBDの購入者向けに、FD製作委員会の幹事会社兼国内ビデオグラム化権の窓口業務者たる被告東宝が、メンバーのFD製作委員会に対する本件作品の制作に関わる許諾に内包されるビデオグラム化権に付随する販売促進活動として企画立案して主催したものであるから、 被告東宝は、メンバー間の協議を経ることなく、当該態様により本件作品を事業利用することができる。 なお、被告東宝は、遅くとも平成25年4月3日までに、原告 企画立案して主催したものであるから、 被告東宝は、メンバー間の協議を経ることなく、当該態様により本件作品を事業利用することができる。 なお、被告東宝は、遅くとも平成25年4月3日までに、原告に対し、当該企画を明らかにしている。 (コ) 本件事業利用10(音楽化事業) 「Starlight☆ふぁんたじー」、「EndlessNightmare」等と題する計13点の楽曲は、FD製作委員会幹事会社たる被告東宝が主体となって制作したものであるから、被告東宝は、メンバー間の協議を経ることなく、当該態様により本件作品を事業利用することができる。 (サ) 本件事業利用11(ビデオグラム化事業) 前記(ウ)と同様に、この事業利用については原告との間で協議が尽くされていた。 (シ) 本件事業利用12(音声化事業)サウンドドラマの企画立案、CDへの収録及び特典としての添付は、FD製作委員会幹事会社たる被告東宝が主体となって行ったものである から、被告東宝は、メンバー間の協議を経ることなく、当該態様により本件作品を事業利用することができる。 ウ被告東宝の義務違反は著しく軽微な不履行にすぎないこと(ア) 本件事業利用7(1)ないし(4)について、原告との協議に先立って、各商品の発売が告知されたことは認める。 しかし、アニメーション作品の関連商品は、当該アニメーションの放 送時期並びにCD及びBDの販売時期から間を空けず、ファンの購買意欲が高まっている中で機動的かつ迅速に販売促進活動を実施することが肝要である。また、各商品は、本件作品の価値を損なうようなものではない。 したがって、原告との協議が後れたことは、本件契約第8条1項6号 所定の「義務の重大な不履行」に該当しないし、不履行としても である。また、各商品は、本件作品の価値を損なうようなものではない。 したがって、原告との協議が後れたことは、本件契約第8条1項6号 所定の「義務の重大な不履行」に該当しないし、不履行としても著しく軽微である。 (イ) また、本件事業利用7(9)について原告との協議を経ていないことも、本件契約第8条1項6号所定の「義務の重大な不履行」に該当しないし、著しく軽微な不履行にすぎない。 エまとめ以上のとおり、原告が協羲を経ていないと主張する各事業利用行為は、実際には協議が尽くされているか、協議なくして被告東宝が行い得るものか、協議を経ていないことが義務の著しく軽微な不履行にとどまるもののいずれかであるから、被告東宝には、本件契約第8条1項5号所定の「本 件契約に違反」もしくは、同項6号所定の「本件契約に規定する義務の重大な不履行」はない。 (被告乙の主張)原告主張に係る事実は不知であるが、同主張を積極的に争うものではない。 (2) 争点2(本件契約関係解消にはやむを得ない事由が必要であるか及び当該 事由の有無)について(被告東宝の主張)本件契約の契約期間は、平成25年1月1日から本件作品の著作権保護期間が満了する日までとされており、その間、本件作品の制作及びテレビ放送、様々な事業利用が計画され、多数の第三者との間で多くの取引関係を構築す ることが予定されているものであるから、原告が契約関係の解消を主張する には、やむを得ない事由を要すると解すべきである。 前記(1)(被告東宝の主張)のとおり、被告東宝において本件契約上の義務の不履行があるとしても、いずれも著しく軽微なものにとどまるから、やむを得ない事由があるとはいえない。 (原告の主張) 本件契約には、契約関係の解 のとおり、被告東宝において本件契約上の義務の不履行があるとしても、いずれも著しく軽微なものにとどまるから、やむを得ない事由があるとはいえない。 (原告の主張) 本件契約には、契約関係の解消を主張するに当たり、やむを得ない事由を要するとの明文の規定はない。 被告東宝が主張するとおり、本件契約は、本件作品の事業利用等に関する継続的な契約であるものの、契約関係解消のために明文のない要件が必要ということになれば、契約の法的安定性が損なわれるというべきである。 (3) 争点3(原告による本件契約関係解消の主張が信義則に反するか)について(被告東宝の主張)本件作品の制作は、FD製作委員会を代表する被告東宝から原告へ、原告から十文字社へ、十文字社からフッズ社へと順次委託され、現実の制作業務 はフッズ社が担当した。そうしたところ、フッズ社が滞りなく成果物を納品していたにもかかわらず、平成25年7月16日付けで十文字社からフッズ社に支払われるべき制作費が未払となる事態が生じた。そこで、FD製作委員会を代表する被告東宝が調査したところ、上記の未払は、原告が十文字社へ支払うべき制作費の支払を怠ったことが原因であることが判明した。 被告東宝は、原告に対し、フッズ社による制作業務が円滑に行われるよう、FD製作委員会が平成25年6月末日付けで原告に支払った制作費2500万円をもって、十文字社、ひいてはフッズ社に対する制作費を支払うよう催促するとともに、未払が解消されない限り、FD製作委員会として同年7月末日を期限とする制作費の支払を留保せざるを得ないこと及び原告との間の 制作委託契約の解除も検討していることを通告した。原告は、当初、十文字 社に対する制作費は同社との間で締結した契約書に基づいて行ってい 払を留保せざるを得ないこと及び原告との間の 制作委託契約の解除も検討していることを通告した。原告は、当初、十文字 社に対する制作費は同社との間で締結した契約書に基づいて行っているなどと主張して、被告東宝の上記通告に応じなかったが、その後、代理人を介した協議が行われ、原告と被告東宝との間で、同年8月22日、十文字社及びフッズ社に対する制作費の支払方法等について合意が成立した。 その一方で、原告は、上記の代理人間での協議が行われている最中にも、 被告東宝の取締役及び映像事業部アニメ事業室長に対して問合せをする、メンバーに認められる範囲を超えた要求をする、本件作品のライセンシー複数社に対して金銭の支払を要求するなどしたことから、本件契約における幹事社としての被告東宝の業務のみならず、その関係者の他の業務にまで支障を来していた。そのため、被告東宝は、同年11月12日、本件契約所定の 「協議」の方法については内容等に応じて適宜決めること及び主に電子メールによる報告又は求意見という方法によることを通知した。 以上のとおり、原告と被告東宝との間の協議の実施が困難となったのは、原告の行為に起因する。したがって、本件契約関係の解消事由について帰責性のある原告が本件契約関係の解消を主張することは、信義則に反し許され ない。 (原告の主張)そもそも、何ら正当な理由がないにもかかわらず、原告が十文字社に対して制作費を支払わなかったとの事実はない。 仮に原告が十文字社に対し正当な理由なく制作費を支払わなかったとの事 情があったとしても、そのような事情は、原告と被告東宝との間における本件作品に係る制作委託契約上の紛争ではあるものの、本件契約とは直接関係がないから、そのことによって本件契約に基づく本件作品の事業利 情があったとしても、そのような事情は、原告と被告東宝との間における本件作品に係る制作委託契約上の紛争ではあるものの、本件契約とは直接関係がないから、そのことによって本件契約に基づく本件作品の事業利用等に関する原告との協議が不要となるものではない。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(被告東宝の行為が本件契約所定の権利喪失事由に当たるか)につい て(1) 本件契約所定の協議の意義についてア被告東宝は、本件契約第1条3項及び第3条3号所定の協議には、被告東宝から原告に対する報告又は意見を求める方法によるものも含まれると主張する。 この点についてみると、本件契約においては、第1条3項及び第3条3号所定の協議について、これを具体的にどのような方法で行うべきであるか、どのような内容を協議すべきであるかについては何ら定めがなく、メンバー間において、その方法及び内容についての合意がされていたと認めるに足りる証拠はない。 イ(ア) そこで、本件契約が本件作品の事業利用に際してメンバーで協議を行うことを求めている趣旨について、検討する。 被告東宝以外のメンバーである原告及び被告乙は、本件原作の著作権者であり(本件契約第2条1項。前提事実(2)イ)、かつ、本件作品の事業利用から生じた収入の配分を受けられる地位にある(同第5条1項。 前提事実(2)エ)ところ、事業利用の態様如何によっては、本件原作の有するイメージや評価が毀損されたり、受けられる配分金が少なくなったりするおそれがあるから、原告及び被告乙は、本件作品の事業利用について大きな利害関係を有しているといえる。 他方で、本件契約においては、本件作品の事業利用を円滑かつ効率的 に管理運用することもその目的とされており(同第1条1項。前提 本件作品の事業利用について大きな利害関係を有しているといえる。 他方で、本件契約においては、本件作品の事業利用を円滑かつ効率的 に管理運用することもその目的とされており(同第1条1項。前提事実(2)ア)、円滑化及び効率化の観点から、本件作品の事業利用について、メンバー間の合意までは必要とされておらず(著作権法65条2項参照)、本件作品の事業利用に関わる全ての事項に関し、被告東宝が決定するものとされている(本件契約第1条3項。前提事実(2)ア)といえる。 これらの事情にかんがみれば、本件契約が本件作品について事業利用 をする場合にメンバーで協議を行うことを求めている趣旨は、被告東宝が当該事業利用に係る事項を決定するに当たり、本件原作の著作権者であり、かつ、本件作品の事業利用から生じた収入の配分を受けられる地位にあるメンバーの他の構成員、すなわち原告及び被告乙から、その判断に資する意見を聴取し、参考とすることにあると考えられる。 (イ) 前記(ア)の趣旨からすると、被告東宝からメンバーの他の構成員に対する事業利用に係る報告をし、これに関する意見を求めるという方法も、同趣旨に合致するものであるから、本件契約所定の協議に当たり得ると解される。 もっとも、前記(ア)のとおり、本件契約が本件作品について事業利用を する場合にメンバーで協議を行うことを求めているのは、本件原作の有するイメージや評価が毀損されることを防止する目的に基づくものであることからすると、被告東宝からメンバーの他の構成員に対して事業利用に係る報告をするに当たっては、事業利用の具体的な態様や使用が予定されている図案等も併せて示す必要があると解される。実際に、被告 東宝が平成25年3月1日に原告に送付した電子メールにおいては、商 係る報告をするに当たっては、事業利用の具体的な態様や使用が予定されている図案等も併せて示す必要があると解される。実際に、被告 東宝が平成25年3月1日に原告に送付した電子メールにおいては、商品化に係る監修の流れとして、ライセンシーから提供されたデザインを原告に送付することが記載されており(甲21)、その後、同年4月から6月にかけて原告と被告東宝との間で行われた事業利用に係る協議においては、被告東宝が、原告に対し、本件作品を漫画化する際の描写、ビ デオグラムのパッケージ、店舗特典、フィギュア等について、具体的な態様や図案を直接示し、これを受けて、原告が、被告東宝に対し、特定の描写を入れないように申し入れてほしい旨の意見を述べるといったやり取りがされていたこと(甲23ないし25、29、31)が認められるところ、これは上記の目的を踏まえたものと考えられる。 (ウ) 以上によれば、本件契約所定の協議は、被告東宝からメンバーの他の 構成員に対する事業利用に係る報告をし、これに関する意見を求めるという方法によっても行うことができるものの、被告東宝からメンバーの他の構成員に対して事業利用に係る報告をするに当たっては、事業利用の具体的な態様や使用が予定されている図案等を併せて示す必要があるというべきである。 (2) メンバー間の協議が不要な本件作品の事業利用の有無について被告東宝は、被告東宝自らが本件作品の事業利用の主体となって実施する場合や、第三者に対する利用許諾を伴う事業利用でも、取引総額が少額でかつ急を要する場合には、メンバー間の協議を経ることなく本件作品を事業利用することができると主張する。 しかし、本件契約において、本件作品の事業利用に当たりメンバー間での協議が不要となる場合を定 を要する場合には、メンバー間の協議を経ることなく本件作品を事業利用することができると主張する。 しかし、本件契約において、本件作品の事業利用に当たりメンバー間での協議が不要となる場合を定めた規定はなく、メンバー間においてそのような合意がされていたと認めるに足りる証拠はない。 そして、たとえ被告東宝がアニメーション作品の事業利用についてノウハウを有していたり、取引総額が少額でかつ急を要する場合であったりしても、 本件作品の事業利用に係る事項を決定するに当たり、メンバーの他の構成員から意見を聴取し、参考とすることの意義が当然に失われるとはいえない。 したがって、本件契約上、本件作品の事業利用の全てについてメンバー間の協議が必要と認めるのが相当であるから、この点についての被告東宝の上記主張を採用することはできない。 (3) 被告東宝による本件作品の事業利用が本件契約に違反するかについて前記(1)及び(2)の説示を前提として、被告東宝による事業利用が本件契約に違反するか否かについて検討する。 ア本件事業利用1(国内番組販売)について証拠(甲26)によれば、本件作品は、テレビ放送されることを想定し て制作されたことが認められる。しかし、テレビ放送が企画開始当初から 想定されていた利用の一態様であるとしても、本件作品が放送される時期、局、チャンネル、地域、時間帯等によっては、本件原作の有するイメージや評価が毀損されたり、受けられる配分金が少なくなったりするおそれが否定できないというべきである。 そして、被告東宝と原告との間で、AT-X及びチャンネルNECOに 放送権を販売することについての協議が行われたことを認めるに足りる証拠はない。 したがって、被告東宝による本件事業利用1は、本件契 て、被告東宝と原告との間で、AT-X及びチャンネルNECOに 放送権を販売することについての協議が行われたことを認めるに足りる証拠はない。 したがって、被告東宝による本件事業利用1は、本件契約が規定する義務に違反するものというべきである。 イ本件事業利用2(国内配信許諾)について 被告東宝と原告との間で、動画配信プラットフォームにおいて本件作品を配信することについての協議が行われたことを認めるに足りる証拠はない。 また、前記(2)のとおり、被告東宝自らが本件作品の事業利用の主体となって実施するからといって、原告との協議を経ることなく本件作品を事業 利用することができるとはいえない。 したがって、被告東宝による本件事業利用2は、本件契約が規定する義務に違反するものというべきである。 ウ本件事業利用3(国外販売)について証拠(甲24の1、26)によれば、本件作品は、ビデオグラムの販売 を想定して制作されたことが認められる。 しかし、日本国外でビデオグラムを販売する場合には、文化の違い等から視聴者層や作品の捉え方が日本国内と異なるなどの理由により、日本国内におけるビデオグラムの販売とは別の配慮をしなければならない可能性があるから、日本国内でビデオグラムを販売することを想定した協議が行 われていたとしても、そのことをもって国外でビデオグラムを販売するこ とについての協議が行われたと評価することはできない。 そして、被告東宝と原告との間で、国外においてビデオグラムを販売することについての協議が行われたことを認めるに足りる証拠はない。 したがって、被告東宝による本件事業利用3は、本件契約が規定する義務に違反するものというべきである。 エ本件事業利用4(本件作品の音楽配信)につ が行われたことを認めるに足りる証拠はない。 したがって、被告東宝による本件事業利用3は、本件契約が規定する義務に違反するものというべきである。 エ本件事業利用4(本件作品の音楽配信)について本件事業利用4につき、被告東宝と原告との間で協議がされていないことは当事者間に争いがない。また、前記(2)のとおり、被告東宝自らが本件作品の事業利用の主体となって実施するからといって、原告との協議を経ることなく本件作品を事業利用することができるとはいえない。 したがって、被告東宝による本件事業利用4は、本件契約が規定する義務に違反するものというべきである。 オ本件事業利用5(広報宣伝活動)について被告東宝が原告との協議をすることなく本件事業利用5をしたことは、当事者間に争いがない。 また、アニメーション作品の広報宣伝をする場合には、当該広報宣伝用の多種多様な媒体等に当該作品に登場するキャラクター等が描かれることがあり、当該キャラクター等の図案が、当該作品の複製にとどまらない場合も少なくないところ、本件作品についても同様と考えられる。すなわち、本件作品の広報宣伝に当たっては、本件作品そのものとは別個の著作物と 評価し得るものが、様々な態様で使用される可能性があるといえる。それにもかかわらず、このような広報宣伝活動における事業利用について、FD製作委員会幹事会社である被告東宝自らが主体となって実施するものであるとの理由により当然にメンバー間の協議を不要とすることは、被告東宝が当該事業利用に係る事項を決定するに当たり、メンバーの他の構成員 からその判断に資する意見を聴取し、参考としようとした本件契約の趣旨 に反するものといわざるを得ない。 したがって、被告東宝による本件事業利用5は 当たり、メンバーの他の構成員 からその判断に資する意見を聴取し、参考としようとした本件契約の趣旨 に反するものといわざるを得ない。 したがって、被告東宝による本件事業利用5は、本件契約が規定する義務に違反するものというべきである。 カ本件事業利用6(ゲーム化事業)について(ア) 被告東宝が、ビッグローブ株式会社に対する「嫁コレささら」及び 「嫁コレうずめ」と題するスマートフォン向けゲームの製作(本件事業利用6(1))、株式会社ガマニアデジタルエンターテインメントに対する「ルーセントハート×ファンタジスタドール(コラボレーション)」と題するオンラインゲームの製作(同(5))については、いずれも、被告東宝が許諾したと認めるに足りる証拠はない。 (イ) 被告東宝は、前記(ア)以外の事業利用について、いずれも原告との間で協議が尽くされていたと主張する。 確かに、証拠(甲3の1、3の2、乙7)によれば、被告東宝が原告に送付した平成24年12月24日付けの電子メールには、本件事業利用6(3)に係る許諾先の名称及びこれがソーシャルゲームである旨が、同 平成26年1月31日付けの書面には、本件事業利用6(4)に係る許諾先の名称並びにゲームの内容及び名称が、それぞれ記載されていることが認められる。しかし、上記電子メール及び各書面には、各ゲームにどのような図案等が使用されるのかが示されていなかったから、これらの事業利用について本件契約所定の協議がされたとはいえない。 また、本件事業利用6(6)についても、被告東宝と原告との間で海外での配信を前提とする協議がされたと認めるに足りる証拠はない。 したがって、被告東宝による本件事業利用6(2)ないし(4)及び(6)は、本件契約が規定する義務に違反するも 被告東宝と原告との間で海外での配信を前提とする協議がされたと認めるに足りる証拠はない。 したがって、被告東宝による本件事業利用6(2)ないし(4)及び(6)は、本件契約が規定する義務に違反するものというべきである。 キ本件事業利用7(商品化事業)について 被告東宝が原告との協議を経ないで本件事業利用7(1)ないし(10)をした ことは当事者間に争いがない。 被告東宝は、本件事業利用7(5)について、取引総額が少額でかつ急を要したため、メンバー間の協議を経なかったと主張するが、メンバー間の協議が不可能であるほどまでに急を要するものであったことを認めるに足りる証拠はない。 また、被告東宝は、本件事業利用7(6)ないし(8)及び(10)について、FD製作委員会幹事会社である被告東宝自らが主体となって実施するものであるから、メンバー間の協議を経る必要はないと主張するが、そのような理由によりメンバー間の協議が不要となると解することはできないのは、前記(2)において説示したとおりである。 したがって、本件事業利用7は、本件契約が規定する義務に違反するというべきである。 ク本件事業利用8(出版化事業)について被告東宝は、本件事業利用8について、いずれも原告との間で協議が尽くされていたと主張する。 確かに、証拠(甲3の1、3の2)によれば、被告東宝が原告に送付した平成25年12月13日付け書面には、本件事業利用8(1)及び(2)に係る本の種別、出版社の名称及び予定発売日が、同平成26年1月31日付けの書面には、本件事業利用8(3)に係る発行・発売元の名称、サイズ、ページ数、予定発売日に加え、本件作品のイラストを多数収録すること等が、 それぞれ記載されていたことが認められる。しかし、上 けの書面には、本件事業利用8(3)に係る発行・発売元の名称、サイズ、ページ数、予定発売日に加え、本件作品のイラストを多数収録すること等が、 それぞれ記載されていたことが認められる。しかし、上記各書面には、各書籍にどのような図案等が使用されるのかが示されていないから、これらの事業利用について本件契約所定の協議がされたとはいえない。 また、本件事業利用8(4)ないし(6)については、同(5)のうち、コミックの第4話以前のネームに関するやり取りが原告と被告東宝との間でされた ことを除き、事業利用の具体的な態様や、使用が予定されている図案等に 関するやり取りがされたと認めるに足りる証拠はない。 したがって、被告東宝による本件事業利用8は、本件契約が規定する義務に違反するものというべきである。 ケ本件事業利用9(舞台化事業)について被告東宝は、本件事業利用9について、FD製作委員会幹事会社である 被告自らが主体となって実施するものであるから、メンバー間の協議を経る必要はないと主張するが、そのような理由によりメンバー間の協議が不要となると解することはできないのは、前記(2)において説示したとおりである。 また、被告東宝は、遅くとも平成25年4月3日までに、原告に対して 当該企画を明らかにしていると主張する。確かに、証拠(甲36)によれば、被告東宝は、原告に対し、同日付けの電子メールにより、同年12月上旬ないし中旬に、「クリスマスSPライブイベント」を実施することを検討しているとの内容を送信していることが認められる。しかし、当該電子メールには、当該イベントの内容として「ライブイベント」と記載されて いるにすぎず、被告東宝が舞台用脚本の新規創出することも、本件作品に出演した声優らによる朗読劇の実施 れる。しかし、当該電子メールには、当該イベントの内容として「ライブイベント」と記載されて いるにすぎず、被告東宝が舞台用脚本の新規創出することも、本件作品に出演した声優らによる朗読劇の実施することも記載されていないから、被告東宝が当該事業利用に係る事項を決定するに当たり、メンバーの他の構成員からその判断に資する意見を聴取する前提として十分な情報が提供されていると認めることはできない。そして、このほかに、被告東宝と原告 との間で、当該事業利用について協議がされたと認めるに足りる証拠はない。 したがって、被告東宝による本件事業利用9は、本件契約が規定する義務に違反するものというべきである。 コ本件事業利用10(音楽化事業)について 被告東宝は、本件事業利用10について、FD製作委員会幹事会社であ る被告東宝自らが主体となって実施するものであるから、メンバー間の協議を経る必要はないと主張するが、そのような理由によりメンバー間の協議が不要となると解することはできないのは、前記(2)において説示したとおりである。 そして、このほかに、被告東宝と原告との間で当該事業利用について協 議がされたと認めるに足りる証拠はない。 したがって、被告東宝による本件事業利用10は、本件契約が規定する義務に違反するものというべきである。 サ本件事業利用11(ビデオグラム化事業)について証拠(甲24の1、26)によれば、本件作品は、ビデオグラムの販売 を想定して制作されたこと、被告東宝から、平成25年3月7日、原告に対し、同ビデオグラムのパッケージのラフ案が送付されたことが認められる。 したがって、被告東宝と原告との間で、当該事業利用について協議がされたと認められる。 シ本件事業利用12(音 に対し、同ビデオグラムのパッケージのラフ案が送付されたことが認められる。 したがって、被告東宝と原告との間で、当該事業利用について協議がされたと認められる。 シ本件事業利用12(音声化事業)について被告東宝は、本件事業利用12について、FD製作委員会幹事会社である被告東宝自らが主体となって実施するものであるから、メンバー間の協議を経る必要はないと主張するが、そのような理由によりメンバー間の協議が不要となると解することはできないのは、前記(2)において説示したと おりである。 そして、このほかに、被告東宝と原告との間で、当該事業利用について協議がされたと認めるに足りる証拠はない。 したがって、被告東宝による本件事業利用12は、本件契約が規定する義務に違反するものというべきである。 (4) 被告東宝の行為は本件契約8条1項5号所定の事由に当たるかについて ア前記(3)のとおり、被告東宝は、平成25年10月16日より前の時点において、少なくとも本件事業利用1のうち、AT-X(平成25年7月放送開始)に対する本件作品の販売(番組販売)、本件事業利用2等の複数の事業利用について、本件契約が規定する義務に違反したと認められる。 イそして、前提事実(6)のとおり、原告は、平成25年10月16日及び同 年12月20日、それぞれ本件作品の事業利用については必ず原告と相談の上進行してほしい旨を申し入れた。 本件全証拠によっても、これらの申入れの際に相当の期間を定めていたと認めることはできないものの、少なくともこれらの申入れがされてから1か月の間には、被告東宝において、原告との間で、本件作品の事業利用 につき、どのような内容及び方法により協議を行うかの検討をすることが可能であったというこ なくともこれらの申入れがされてから1か月の間には、被告東宝において、原告との間で、本件作品の事業利用 につき、どのような内容及び方法により協議を行うかの検討をすることが可能であったということができる。 ウしかし、前記(3)のとおり、被告東宝は、平成25年10月16日から起算して1か月後である同年11月16日以降も、原告との協議をすることなく、少なくとも、本件事業利用1のうち、AT-X(平成26年4月1 9日放送開始)及び日活株式会社(チャンネルNECO。平成28年2月12日放送開始)に対する本件作品の販売(番組販売)、本件事業利用5(1)等の複数の事業利用をしたのであるから、この被告東宝の行為は、「本件契約に違反し、他のメンバーから文書による相当な期間を定めた催告があったにもかかわらず、当該期間内に違反を是正しないとき」(本件契約第 8条1項5号)に当たる。 (5) まとめしたがって、その余の点について判断するまでもなく、被告東宝の行為は、本件契約所定の権利喪失事由に当たる。 2 争点2(本件契約関係解消にはやむを得ない事由が必要であるか及び当該事 由の有無)について 前提事実(2)カのとおり、本件契約の契約期間は、平成25年1月1日から本件作品の著作権保護期間が満了する日までと長期間に及ぶ上、テレビ放送用アニメーション作品という本件作品の性格に照らすと、被告東宝が主張するとおり、本件契約においては、本件作品の制作及び初回のテレビ放送が終了した後も、商品化、出版化等の様々な形で本件作品の事業利用がされ、これに伴って、 多数の第三者との間で多くの取引、契約関係が生じることが想定されていたといえる。 しかし、前提事実(2)オ及び証拠(甲1)によれば、本件契約には、メンバーのいずれ 利用がされ、これに伴って、 多数の第三者との間で多くの取引、契約関係が生じることが想定されていたといえる。 しかし、前提事実(2)オ及び証拠(甲1)によれば、本件契約には、メンバーのいずれかが次の各号のいずれか一つに該当する場合、当該メンバーは、他のメンバーによる何らの催告なくして、当然に本件契約関係から脱退し、当該メ ンバーが本件契約に基づき保有する権利を喪失するとして、メンバーが権利を喪失することとなる七つの事由が列挙されている上、メンバーが離脱した場合の債務の取扱いや、離脱したメンバーに対する損害賠償請求の可否といった具体的な規定が設けられている(第8条1項ないし3項)のに対し、本件契約の関係を解消するために、やむを得ない事由を要する旨の明示の定めはない。ま た、本件全証拠によっても、本件契約関係を解消するためにやむを得ない事由を要することが本件契約外で合意されたと認めることもできない。 そうすると、上記のとおり、本件契約は、その契約期間が長期間に及ぶもので、本件作品の事業利用に伴って多数の第三者との間で多くの取引、契約関係が生じることが想定されているものであるとしても、本件契約の関係を解消す るために、やむを得ない事由を要すると認めることはできないというべきである。 3 争点3(原告による本件契約関係解消の主張が信義則に反するか)(1) 前提事実及び後掲各証拠によれば、以下の事実が認められる。 被告東宝は、FD製作委員会を代表して、原告に対し、本件作品の制作を 委託し、当該制作業務は、原告から十文字社へ、十文字社からフッズ社へと 順次再委託されたところ(前提事実(4))、原告が十文字社に対する平成25年7月5日を支払期限とする制作費の支払を延期するなど、原告から十文字社へ、十 社へ、十文字社からフッズ社へと 順次再委託されたところ(前提事実(4))、原告が十文字社に対する平成25年7月5日を支払期限とする制作費の支払を延期するなど、原告から十文字社へ、十文字社からフッズ社への制作費の各支払に関する紛争が生じた(平成25年7月4日付け確認書。甲18・124頁)。 原告と被告東宝は、それぞれ選任した代理人を介して上記紛争に係る対応 を検討し、同年8月22日、十文字社及びフッズ社に対する制作費の支払方法等について合意した(平成25年8月22日付け覚書。甲18・148頁)原告は、同年10月16日、被告東宝映像本部映像事業部長及び映像事業部アニメ事業室長宛の電子メールにより、同年8月以降、本件作品に関連するキャラクターグッズやイベント等について、原告への連絡や監修依頼等が されないまま各企画が進行しているなどとして、本件契約に基づき、事前に原告に連絡し、協議してほしい旨を申し入れた(甲4の2)。 被告東宝は、原告に対し、被告東宝が選任した代理人を通じ、同年11月12日付けの書面により、本件契約第1条3項及び第3条3号所定の協議を、主に電子メールによる報告や意見を求める方法とすることを通知した(乙2)。 (2) 被告東宝は、原告が十文字社に対して支払うべき制作費の支払を怠ったと主張するが、原告と十文字社との間で締結された制作委託契約においては、成果物の納品が遅延したり、検収に合格しない場合には、原告は十文字社へ事前に通知をした上で、支払を停止したりすることができる等と規定されている(平成24年11月1日付け「ファンタジスタドール」制作委託契約書 第7条。甲18・131頁)ところ、原告による支払の延期が原告の責めに帰すべき事由によるものであることを認めるに足りる証拠はない。 4年11月1日付け「ファンタジスタドール」制作委託契約書 第7条。甲18・131頁)ところ、原告による支払の延期が原告の責めに帰すべき事由によるものであることを認めるに足りる証拠はない。 また、上記紛争を機に、原告と被告東宝とが直接口頭で交渉することが難しい状況に陥っていたとしても、前記1(1)のとおり、被告東宝から原告に対し、事業利用に係る報告及びこれに意見を求める方法によっても本件契約所 定の協議をすることができると解されるところ、原告と被告東宝との間にお いて、このような方法による協議をすることが社会的通念上不可能であったと認めるに足りる証拠はない。 このほか、本件全証拠によっても、原告による本件契約関係解消の主張が信義則に反することを基礎付ける事実を認めることはできない。 (3) したがって、原告が本件契約関係の解消を主張することが信義則に反し許 されないということはできない。 第4 結論以上によれば、被告東宝の行為は、本件契約所定の権利喪失事由に該当し、被告東宝は本件原作の著作権を喪失したというべきであって、原告、被告東宝及び被告乙の間で被告東宝が本件原作の著作権を有しないことの確認を求める 原告の請求は理由があるから、これを認容することとし、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判官 間明宏充 裁判官 塚田久美子 裁判長裁判官國分隆文は、差支えにつき署名押印することができない。 塚田久美子 裁判長 裁判官 國分隆文は、差支えにつき署名押印することができない。 裁判官 間明宏充 (別紙著作物目録省略)

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