【DRY-RUN】主 文 本件控訴を棄却する。 理 由 本件控訴の趣意は末尾添附の弁護人谷田部正、同飛鳥田一雄共同作成名義の控訴 趣意書と題する書面及び弁護人西村定雄作成名義の
主文 本件控訴を棄却する。 理由 本件控訴の趣意は末尾添附の弁護人谷田部正、同飛鳥田一雄共同作成名義の控訴趣意書と題する書面及び弁護人西村定雄作成名義の控訴趣意書と題する書面の通りであつてこれに対し当裁判所け次のように判断する。 弁護人谷田部正及び飛鳥田一雄の控訴趣意第二点について。 <要旨第一>起訴状記載の一の事実と原判決認定の第一の(一)の事実とを比較対照するといずれも被告人は昭和二十四年四</要旨第一>月六日頃の午後十時頃A及びBを伴つて横浜市a区b町c丁目d番地C方を訪れ同家に居合せたDに対し靴穿きの侭同人の体を蹴上げ、手拳で同人の顔面を殴打し更に右Bと共に兵児帯、帯止等で同人を縛り上げ且つ殴る蹴る等の暴行を加え、次でD及びCに対し曩にAがDに交付した金三万二千円及び野島方で紛失した衣類等の返還を要求しC所有の右居宅一棟及びその地上権、家財道具を売渡担保に供することを承諾させ右趣旨の書面を作成交付させ、且つD所有の黒革製短靴一足及びC所有の腕時計一個を交付させた事実を記載しておるのであつて検察官はこの事実を強盗罪にあたるとの見解のもとに罰条として刑法第二百三十六条を記載したところ、原判決は右公訴事実の前段を刑法第二百八条の暴行罪後段を同法第二百四十九条第一項の恐喝罪と認定したのであつて、右公訴事実と原判決認定の罪となるべき事実との間にはその基本的事実関係においては何等異つたものがないのであるから原判決には公判事実の同一性を害して事件を審判したということにはならない。論旨は原判決が認定した暴行罪の暴行は強盗罪の手段と見て別に暴行罪は起訴していないから恐喝罪の外に暴行罪を認めた原判決は審判の請求を受けない事件について判決した違法があると非難するのであるが右暴行の事実は検察官が審判の請求 罪の暴行は強盗罪の手段と見て別に暴行罪は起訴していないから恐喝罪の外に暴行罪を認めた原判決は審判の請求を受けない事件について判決した違法があると非難するのであるが右暴行の事実は検察官が審判の請求をした強盗罪の犯罪構成要件たる事実として審判の対象となつているのであつて、たゞ原判決は検察官が右暴行を財物交付の手段と解したのに反しこれを以て財物交付の手段とは認めず別個独立した暴行罪と認めたに過ぎないのであつて右暴行の事実は単なる犯罪の動機又は事情として起訴状に記載された場合とは異るのであるから原<要旨第二>判決の違法を主張する右論難は適切でない。尤も検察官が強盗の一罪として起訴した公訴事実についてこれを</要旨第二>暴行及び恐喝の二罪として認定する場合にはその訴因及び罰条に変更を来すのであるから原審としては刑事訴訟法第三百十二条により検察官に対し訴因及び罰条の変更又はその予備的追加の手続をとるように命ずることが妥当であつたに拘らず訴訟記録に徴すると右手続をとつた形跡は認められない。しかしその変更又は予備的追加をしたことにより被告人の防禦に実質的に不利益を生ずる虞がないときはそれをしなかつたとしてもこれを違法とすべきものでないこともまた刑事訴訟法第三百十二条及び第二百五十六条の規定の精神からも窺われるのである。而して本件においては特に右のような手続は採らなかつたとはいえ原審審理の過程において、この点に関し被告人に充分なる防禦の機会が与えられたことが記録によつて推認しえられるはかりでなく原判決は強盗として起訴された事実をそれよりも軽い暴行及び恐喝を以て認定処断しておるのであつてこれがため、これを併合罪として刑の加重をしてもなお被告人に利益となるとも不利益となることはないのであるから原審が右訴因及び罰条の変更をしなかつたことはこれにより被告人の て認定処断しておるのであつてこれがため、これを併合罪として刑の加重をしてもなお被告人に利益となるとも不利益となることはないのであるから原審が右訴因及び罰条の変更をしなかつたことはこれにより被告人の防禦に実質的に不利益を生ぜしめたものということはできない。従つて原審が右事件につき訴因及び罰条の変更等の手続を経ることなくして審判したことを以て判決に影響を及ぼす程度の違法があつたとすべきでないから結局論旨は採用するに足りない。 (その他の判決理由は省略する。)(裁判長判事小中公毅判事渡辺辰吉判事河原徳治)
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