- 1 -主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1控訴の趣旨 原判決を取り消す。 東京都八王子市α×番地1の土地の西側に接する道を建築基準法42条2項による道に指定した処分を取り消す(甲事件)。 東京都八王子市α×番地1の土地の西側に接する道を建築基準法42条2項による道に指定した処分が存在しないことを確認する(乙事件)。 訴訟費用は,第1,第2審とも被控訴人の負担とする。 第2事案の概要 本件は,現在,八王子市α×番地1の土地に建物を所有する控訴人が,その建物の敷地の西側に接する道(以下「本件道」という。)について建築基準法42条2項に基づく道路の指定処分がされたことから,控訴人が,その処分の取消し(甲事件)及び不存在確認(乙事件)をそれぞれ求めた事案である。 原判決は,甲事件につき本件訴えは適法な審査請求を経ておらず不適法であるとしてこれを却下し,本件道を建築基準法42条2項に基づく道に指定した処分は存在するとして,控訴人のその余の請求を棄却したため,控訴人がこれらを不服として控訴した。 法令及び告示の定め等,争いのない事実等,争点及び争点に対する当事者の主張については,次の3のとおり付け加えるほか,原判決「事実及び理由」の「第2事案の概要」1から4まで記載のとおりであるから,これを引用する。 控訴人の当審における補足的主張(1)被控訴人が個々の道につき2項道路であるかどうかを建築確認申請時に判定していることからすると,本件道を2項道路に指定処分した日は,控訴- 2 -人の共同住宅に係る建築確認申請時に本件道につき被控訴人と協議した最終日の平成18年2月14日である。同月23日付けの本件審査請求は,法定の期間内にされた適法なものである。 (2) 控訴- 2 -人の共同住宅に係る建築確認申請時に本件道につき被控訴人と協議した最終日の平成18年2月14日である。同月23日付けの本件審査請求は,法定の期間内にされた適法なものである。 (2)被控訴人は,本件道を昭和52年12月19日付けの確認通知書のとおり,既に2項道路指定外と判断している。 (3)昭和25年東京都告示の3号ただし書で「その道の一部が鉄道敷地・がけ地・河川に接しているもの及びその道の延長が35メートル以上の袋地状のものを除く。」(乙1)とあり,本件道の当時の現況はそれらに該当し,上記ただし書に抵触する。 また,昭和30年7月30日東京都告示第699号・昭和50年1月22日八王子市告示第11号・平成10年12月14日八王子市告示第240号(甲5の3ないし5,乙2)の3号ただし書で「その道の延長が35メートル以上の袋地状の道で,避難または通行の安全上,その道の周囲の土地の状況等により,終端付近に通り抜け道路の位置指定・自動車回転広場・非常用通路等いずれかの設置を必要と認める状態にある場合で,別に指定した部分を除く。」,4号で「前号ただし書にいう道の部分で,当該ただし書に規定する必要と認める処置を完了したものは,この告示により指定した道路とみなす。」とあるが,本件道は急坂で左右がけ地の危険な道で,指定部の終点まで坂が続いている行止りの道であるにもかかわらず,終端付近に安全上の処置もない道である。 (4)法42条2項にいう立ち並び要件について,原判決は当該道に接する土地を敷地とする建築物が複数存在していればその要件が満たされると解しているが,その解釈には不満である。昭和30年7月30日東京都告示第699号以後の告示に「その道のみに接する建築敷地があるもの」とあり,これは個人の財産権に無償で制約を加えることに配慮した ると解しているが,その解釈には不満である。昭和30年7月30日東京都告示第699号以後の告示に「その道のみに接する建築敷地があるもの」とあり,これは個人の財産権に無償で制約を加えることに配慮した規定であると思われる。 第3当裁判所の判断- 3 - 当裁判所も,本件訴えのうち,甲事件に係る処分の取消しを求める部分は,適法な審査請求を経ておらず不適法な訴えであり,控訴人のその余の請求は,本件道を建築基準法42条2項に基づく道に指定した処分が存在するので理由がないと判断する。その理由(争点についての判断)は,次の2のとおり訂正し,3のとおり付加するほか,原判決「事実及び理由」の「第3当裁判所の判断」記載のとおりであるから,これを引用する。 原判決9頁12行目冒頭から同10頁24行目末尾までを次のとおり改める。 「(ア)法は,建築物の敷地は道路に2メートル以上接しなければならないとし(43条1項本文),かつ法上の道路は幅員4メートル以上のものと規定した(42条1項)ため,法施行時において幅員4メートル未満の道のみに接する敷地に存する建築物は,法施行後において再築等をすることが不可能となるところ,すべて既存の道を拡幅し,法42条各号の道路とすることは実際上著しく困難であった。一方,基準時において,法の前身である市街地建築物法(大正8年法律第37号)は,幅員2.7メートル以上4メートル未満の道を一定の要件のもとに同法上の道路として認めていたため,法の施行時においてこれらの道のみに接する既存建築物の敷地が多数存在していた。法42条2項の規定は,これらの建築物に配慮して同条1項の要件を満たさない一定の道を道路とみなし,他方で,当該道の中心線からの水平距離2メートルの線を道路の境界線とみなして,これらの建築物につき新築等を行う場合に道路 ,これらの建築物に配慮して同条1項の要件を満たさない一定の道を道路とみなし,他方で,当該道の中心線からの水平距離2メートルの線を道路の境界線とみなして,これらの建築物につき新築等を行う場合に道路内の建築を禁止することにより,将来的に4メートルの幅員を確保するとともに上記建築物の関係権利者の救済を可能にする趣旨で設けたものであると解される。 このような規定の立法趣旨に照らすと,法42条2項の規定する立ち並び要件については,当該道のみに接する建築物の敷地が2つ以上あれば,この要件を満たすと解すべきである。 これに対して,控訴人は,立ち並び要件について,当該道を生活道路とし- 4 -て利用している者の建築物が道を中心に建築物が寄り集まり市街の一画を形成するなどして公益上重要な機能を果たしていなければならないと解すべきである旨主張するが,そのように限定して解釈することは法42条2項の立法趣旨に反するものであって,上記主張は採用することができない。 (イ)これを本件について検討するに,前記争いのない事実等のとおり,×番土地(A宅)は本件道のみに接する建築物の敷地であり,また,基準時において,×番土地(B宅)は本件道以外に×番土地(C宅)の南側の道に接し,×番土地は本件道以外に×番土地の南側の道及び×番土地の南側の道に接しているが,いずれの道も,2項道路として指定されていない限り,法43条1項の接道義務を果たすべき道路ではない。そして,×番土地の南側の道が2項道路の指定を受けているものと解すると本件道のみに接する建築物の敷地は×番土地のみとなり,同土地は法42条2項の救済が図られないこととなるから,2項道路の指定の評価に当たっては,本件道は×番土地の南側の道に優先させるのが相当である。そうすると,基準時において,上記のいずれの土地も2項道路 地は法42条2項の救済が図られないこととなるから,2項道路の指定の評価に当たっては,本件道は×番土地の南側の道に優先させるのが相当である。そうすると,基準時において,上記のいずれの土地も2項道路の指定を受けなければ法43条1項の接道義務を果たすことができない建築物の敷地,すなわち本件道のみに接する建築物の敷地に当たり,本件道のみに接する建築物の敷地が2つ以上あることになるから,本件道は,立ち並び要件を満たすというべきである。」 控訴人の当審における補足的主張に対する判断(1)控訴人の主張(1)について控訴人は,本件道を2項道路に指定した処分があった日を,被控訴人と本件道につき協議してきた最終日であると主張するが,本件道を2項道路とする指定処分がいつされたかについては,原判決の説示するとおりであり,昭和25年東京都告示で包括指定されたものであることは明らかである。仮に,同告示により指定されていなかったとしても,後に説示するとおり,昭和30年東京都告示第699号又は昭和50年になされた八王子市の一連の告示- 5 -に基づき,本件道が2項道路として包括指定されたものであることは明らかである。したがって,審査請求の起算日に関する控訴人の上記主張は,独自の見解によるものといわざるを得ず,採用しがたい。 (2)同主張(2)について控訴人は,被控訴人が昭和52年12月19日付け確認通知書において本件道を2項道路外とする判断をしたと主張する。しかし,甲14の1ないし4によれば,上記確認通知書は,路地状敷地として接道義務を果たすとした建築計画の申請に対してなされたものであると認められるから,本件道に対する判断を示したものでないことは明らかであり,上記主張は理由がない。 (3)同主張(3)について確かに,2項道路の指定に関して,昭和25年 請に対してなされたものであると認められるから,本件道に対する判断を示したものでないことは明らかであり,上記主張は理由がない。 (3)同主張(3)について確かに,2項道路の指定に関して,昭和25年東京都告示の3号ただし書には,「その道の一部が鉄道敷地・がけ地・河川に接しているもの及びその道の延長が35メートル以上の袋地状のものを除く。」(乙1)とあるが,基準時当時の本件道の現況については,乙3及び乙4の各地図並びに乙6の1(昭和31年3月9日撮影の航空写真)によれば,本件道が行止り道でないことが明らかであり,また,がけ地に接していたことについては,本件ではこれを認めるに足りる証拠はない。 そして,昭和30年7月30日東京都告示第699号の3号ただし書で「その道の延長が35m以上の袋地状の道で,避難または通行の安全上,その道の周囲の土地の状況等により,終端付近に通り抜け道路の位置指定・自動車回転広場・非常用通路等いずれかの設置を必要と認める状態にある場合で,別に指定した部分を除く。」(乙2)とあり,これによると,上記袋地状の道がすべて2項道路から除かれるのではなく,①35m以上の袋地状の道であること,②避難または通行の安全上…(略)…いずれかの設置を必要と認める状態にあること,③別の指定の3つの要件を具備するものが除かれることになり(すなわち,昭和25年東京都告示の3号ただし書に関し- 6 -て「別に指定した部分を除く」等とし,2項道路から除かれるための要件がさらに付加したことになる。),昭和50年1月22日八王子市告示第11号,昭和50年5月11日八王子市告示第46号,平成10年12月14日八王子市告示第240号(甲5の3ないし5)においても同様の要件を付加しているところ,本件道については,「別に指定した部分」が存在しないか 0年5月11日八王子市告示第46号,平成10年12月14日八王子市告示第240号(甲5の3ないし5)においても同様の要件を付加しているところ,本件道については,「別に指定した部分」が存在しないから,基準時において,本件道が「その道の一部ががけ地等に接しているもの及びその道の延長が35メートル以上の袋地状のもの」に該当するかどうかを検討するまでの必要はなく,上記昭和30年の東京都告示又は昭和50年の八王子市告示に基づき,2項道路から除かれることはなく,2項道路として告示されている道路に該当するものというべきである。 したがって,控訴人の上記各主張も採用しがたい。 (4)同主張(4)について法42条2項の立ち並び要件についての解釈は,引用にかる原判決につき上記訂正したとおりであり,控訴人の法42条2項の文言及び趣旨から離れての解釈は相当ではないから,控訴人の主張は採用しがたい。 第4 結論 よって,原判決は結論において相当であり,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第17民事部裁判長裁判官南敏文裁判官安藤裕子- 7 -裁判官小林宏司
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