平成14(わ)91 危険運転致死,道路交通法違反被告

裁判年月日・裁判所
平成14年7月26日 横浜地方裁判所
ファイル
hanrei-pdf-5985.txt

判決文本文2,820 文字)

主文 被告人を懲役4年6か月に処する。 未決勾留日数中120日をその刑に算入する。 理由 (犯罪事実)第1 被告人は,平成14年1月1日午前5時ころ,横浜市a区b町c番付近道路において,前夜から多量に飲んだ酒の酔いの影響により仮睡状態に陥るなど,前方注視及び運転操作が困難な状態で,普通乗用自動車を時速約60キロメートルで走行させ,もって,アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で普通乗用自動車を走行させたことにより,同日午前5時10分ころ,同市d区e番地付近道路を国道1号方面から環状2号方面に走行中,自分の車両を対向車線上に進出させ,折から対向進行してきたB(当時48歳)が運転する原動機付自転車に気づかないまま,同原動機付自転車全部に自分の車両の右前部を衝突させて同人を車道外にはね飛ばし,よって,同人に脳挫滅等の傷害を負わせ,同日午前9時6分ころ,同市f区g町h番地所在のC病院において,同人を上記傷害により死亡させた。 第2 被告人は,同日午前5時10分ころ,前記第1の同市d区e番地付近道路において,前記第1の普通乗用自動車を運転中,前記第1のとおりBに傷害を負わせる交通事故を起こしたのに,直ちに車両の運転を停止して同人を救護する等必要な措置を講ぜず,かつ,その事故発生の日時及び場所等法律の定める事項を,直ちに最寄りの警察署の警察官に報告しなかった。 (証拠の標目) 略(法令の適用) 略(量刑の事情)本件は,被告人が,アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で普通乗用自動車を走行させ,対向進行していた原動機付自転車と正面衝突し,運転していた被害者を死亡させた上,被害者の救護や事故の報告等をすることなく,そのまま ールの影響により正常な運転が困難な状態で普通乗用自動車を走行させ,対向進行していた原動機付自転車と正面衝突し,運転していた被害者を死亡させた上,被害者の救護や事故の報告等をすることなく,そのまま逃走したという危険運転致死及び道路交通法違反の事案である。 まず,危険運転致死の点については,被告人は,当初から飲酒をすることが予定されていながら,友人宅の忘新年会に乗用車を運転して出かけ,大晦日の午後10時ころから元旦の午前4時30分ころまでの長時間にわたって飲食をし,これまでになく多量の飲酒をしたため,酔いの程度も尋常なものではないことを自覚しながら,帰宅するために運転を開始したというのであって,犯行に至る経緯や動機に酌むべきものはまったくないこと,事故から約7時間あまり経過した後の飲酒検知においても,呼気1リットル当たり約0.15ミリグラムのアルコールが検出されていることなどからすれば,犯行当時の体内のアルコール濃度は相当高いものであったことが容易に推認できる上,運転開始前からすでに飲酒の影響により睡魔に襲われるなど,正常な運転が困難な状態にあったことが明らかであったにもかかわらず運転を開始したばかりか,その後,再三仮睡状態に陥りながら運転を継続したあげく,運転する車両を対向車線に完全にはみ出させ,被害者が運転する原動機付自転車にまったく気づかないまま正面衝突するという事故を引き起こしたものであって,犯行の態様も悪質で危険きわまりないものであること,当時48歳の働き盛りの被害者をほとんど即死の状態で死亡させたもので,犯行の結果はいうまでもなく重大であること,被害者は,病院の委託食堂の副店長として職場を切り盛りし,本件当日は入院患者に正月の特別料理を提供するため早めに出勤しようとしていたもので,落ち度はまったくないにもかかわらず,被告人 重大であること,被害者は,病院の委託食堂の副店長として職場を切り盛りし,本件当日は入院患者に正月の特別料理を提供するため早めに出勤しようとしていたもので,落ち度はまったくないにもかかわらず,被告人の無謀な運転により,突然その生命を奪われるに至った無念の思いには察するに余りがあること,経済的な不運に見舞われながら,これを乗り越えて家族のために一生懸命に働き,家族思いであった被害者を奪われた妻や二人の子どもたちの悲嘆の念には同情を禁じ得ず,被害感情にはきわめて強いものがあり,示談も未だ成立しておらず,被告人に対してはでき得る限りの厳しい処罰を希望していること,さらに,被告人は,これまで常習的に飲酒運転をしていたことを認めており,本件は起こるべくして起きたものであるとの指摘をせざるを得ないことなどの事情を認めることができる。 次に,道路交通法違反の点についても,被告人は,被害者の原動機付自転車と衝突した衝撃により仮睡状態から覚め,重大な人身事故をひき起こしたことを認識しながら,一度も停止することなく逃走を開始し,自分の車両の底部に被害者の原動機付自転車を巻き込んだまま約3キロメートルも走行した後,いったん停止して原動機付自転車を外した上,さらに逃走を続けて自宅に戻り,実母には電柱に衝突する自損事故を起こした旨弁解するなどしていたものであり,被害者の生命身体に対する配慮がみじんも感じられない,自らの保身のみを考えたまことに身勝手かつ悪質な犯行といわざるを得ないことなどの点を指摘することができる。 以上のような事情に照らすと,被告人の刑事責任にはまことに重大であるといわなければならない。 したがって,被告人は,犯行の約7時間後とはいえ,自ら警察に出頭し,犯行に至る経緯,犯行状況等について素直に供述していること,本件による損害については,被告人 大であるといわなければならない。 したがって,被告人は,犯行の約7時間後とはいえ,自ら警察に出頭し,犯行に至る経緯,犯行状況等について素直に供述していること,本件による損害については,被告人が運転していた車両に付せられている対人賠償無制限の任意保険により,被害者の遺族との間に将来適正な解決が図られる見込みがあること,被告人の実母において,身柄を拘束されていた被告人に代わり,遺族のもとを訪れて謝罪し,保険とは別に葬儀費用等として合計210万円を支払うなど慰謝の努力もしていること,被告人は,大学卒業以来,会社員としてまじめに働いており,前科前歴はまったくないこと,被告人は,無謀な運転により取り返しのつかない結果を招いたことや,事故後の身勝手な行動を深く反省し,本件に対する責任の重大性をようやく認識しつつあり,被害者のめい福を祈るとともに,遺族に対する謝罪と慰謝に努めていきたいと供述していることなどの被告人に有利な事情を最大限考慮しても,本件については,被告人を懲役4年6か月に処するのが相当であると判断した次第である。 よって主文のとおり判決する。 (求刑懲役7年)平成14年7月26日横浜地方裁判所第三刑事部裁判長裁判官志田洋裁判官小林康男裁判官佐竹真紀

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る