令和7(行コ)22 特別地方交付税の額の決定取消請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和7年10月9日 大阪高等裁判所 棄却 大阪地方裁判所 令和2(行ウ)66
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判決文本文10,551 文字)

令和7年(行コ)第22号特別地方交付税の額の決定取消請求控訴事件令和7年10月9日大阪高等裁判所第12民事部判決 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴申立て以後に生じた訴訟費用(ただし、被控訴人の上告に係る上告費用を除く。)は、全て控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2(1)本件訴えをいずれも却下する(主位的)。 (2)被控訴人の請求をいずれも棄却する(予備的)。 第2 事案の概要 1 事案の要旨と訴訟の経過(1)被控訴人(地方団体)は、処分行政庁から、令和元年12月に同年度の第 1回目の特別交付税の額の決定を受け、令和2年3月に令和元年度の第2回目の特別交付税の額の決定を受けた。本件は、被控訴人が、令和元年度の特別交付税の額の算定方法の特例を定めた、特別交付税に関する省令附則5条21項(令和2年総務省令第111号による改正前のもの。以下同じ。)及び7条15項(同年総務省令第12号による改正前のもの。以下同じ。)の各規 定(本件各特例規定)が、地方交付税法15条1項の委任の範囲を逸脱した違法なもので、無効であるから、本件各特例規定に基づいて処分行政庁によりされた令和元年度の第1回目及び第2回目の特別交付税の額の上記各決定(本件各決定)も違法である旨主張して、控訴人に対し、本件各決定の取消しを求める事案である。 (2)本件の争点は、本件訴えの適法性(本件訴えの法律上の争訟性、本件各決 定の抗告訴訟対象性、本件訴えに係る訴えの利益の存否)及び本件各決定の違法性である。原審は、本件訴えがいずれも適法であるとした上、本件各特例規定が地方交付税法15条1項の委任の範囲を逸脱した違法なもので、無効であるた 本件訴えに係る訴えの利益の存否)及び本件各決定の違法性である。原審は、本件訴えがいずれも適法であるとした上、本件各特例規定が地方交付税法15条1項の委任の範囲を逸脱した違法なもので、無効であるため、本件各特例規定に基づいて処分行政庁によりされた本件各決定も違法である旨判断して、本件各決定をいずれも取り消す判決をした(大 阪地方裁判所令和2年(行ウ)第66号)。 控訴人は、原判決を不服として控訴をした。 (3)差戻し前控訴審は、本件訴えが法律上の争訟に当たらないため、不適法である旨判断して、本件訴えをいずれも却下する判決をした(当裁判所令和4年(行コ)第53号)。 被控訴人は、上記判決を不服として上告及び上告受理申立てをした。 (4)上告審は、被控訴人の上告を棄却する決定をした(最高裁令和5年(行ツ)第264号)が、上告受理申立てに基づき本件を上告審として受理した上、本件訴えがいずれも法律上の争訟に当たる旨判断して、前記(3)の判決を破棄し、更に審理を尽くさせるため、本件を当裁判所に差し戻す判決をした (最高裁令和5年(行ヒ)第297号同7年2月27日第一小法廷判決)。 (5)当審は、前記(4)の最高裁判決による差戻し後の控訴審である。 2 関係法令の定め、前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張関係法令の定め、前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張は、次のとおり補正するほか、原判決の「事実及び理由」の「第2 事案の概要」の1か ら4まで(原判決3頁7行目から28頁11行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 (1)原判決15頁3行目の「26日」を「6日」に、11行目の「原則、に反して」を「原則に反して」にそれぞれ改める。 (2)同17頁20行目から21行目にかけての「競 あるから、これを引用する。 (1)原判決15頁3行目の「26日」を「6日」に、11行目の「原則、に反して」を「原則に反して」にそれぞれ改める。 (2)同17頁20行目から21行目にかけての「競馬」及び同18頁23行目 の冒頭から末尾まで及び19頁4行目冒頭から7行目末尾までをそれぞれ削 る。 (3)同20頁1行目末尾に、改行して次のとおり加える。 「 要するに、特別交付税の交付決定は、地方団体共通の固有財源である税の配分の在り方に関する紛争であり、行政主体間の税の帰属に関する紛争であるから、「公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、その行為に よって、直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているもの」として、抗告訴訟の対象となる私人と国との間の個別的権利利益に関する紛争と同質であるということはできない。」(4)同20頁9行目から10行目にかけての「内部紛争解決の手続規定」を「行政主体間の利害調整を念頭においた所与の手続規定」に改める。 (5)同20頁18行目の冒頭から末尾まで及び末行冒頭から21頁2行目末尾までをそれぞれ削る。 (6)同21頁5行目冒頭から10行目の「得ない。」までを次のとおり改める。 「 特別交付税は、当該年度に決定され、当該会計年度において配分することと定められているのであって、当該会計年度をまたいだ時期になって特定の 算定項目を無効として特別交付税の交付決定を取り消し、過去の年度分の特別交付税の額を計算し直して改めて交付決定をやり直すという事態は想定しておらず、それを行う根拠となる規定は、行政事件訴訟法にも地方交付税法にもないから、総務大臣は、当該年度が経過した後に当該年度の交付決定を改めて行うことはできない。」 すという事態は想定しておらず、それを行う根拠となる規定は、行政事件訴訟法にも地方交付税法にもないから、総務大臣は、当該年度が経過した後に当該年度の交付決定を改めて行うことはできない。」 (7)同21頁18行目の「解釈」を「文理」に改め、22頁2行目末尾に「(委任の趣旨)」を加える。 (8)同24頁4行目冒頭から5行目末尾までを「(ア)地方交付税法15条1項の文理」に改め、14行目冒頭から16行目末尾まで及び17行目の「a」をそれぞれ削り、18行目冒頭に「、地方交付税法14条の表題(基準財政 収入額の算定方法)との同一性」を加え、25行目の「規定するもの」から 25頁13行目末尾までを次のとおり改める。 「規定しており、「基準財政収入額の算定方法の画一性」という文言には、基準財政収入額の算定の対象となる財政収入の種類(算定項目)や種類(算定項目)ごとの算定方法が画一的に法定されているという内容が含まれていると解すべきであるから、「基準財政収入額の算定方法の画一性のため生ずる(中 略)基準財政収入額の算定過少」とは、地方交付税法14条で法定された基準財政収入額の画一的性格のために生じる基準財政収入額の算定過少を意味し、このような算定過少がある場合に特別交付税の算定において減額要因として考慮することを予定しているということができる。そうすると、上記の「基準財政収入額の算定過少」とは、基準財政収入額の算定対象となる各項 目の算定が過少となっている場合に限らず、基準財政収入額が算定対象となる財政収入の種類(算定項目)の限定によって過少算定されている場合も含むと理解するのが自然である。また、地方交付税法15条1項のうち、「なお、普通交付税の額が財政需要に比して過少であると認められる地方団体に対して」と定 目)の限定によって過少算定されている場合も含むと理解するのが自然である。また、地方交付税法15条1項のうち、「なお、普通交付税の額が財政需要に比して過少であると認められる地方団体に対して」と定める部分は、地方団体の財政収入額に普通交付税の額を加えた合計 額によって地方団体の財政需要額を満たすことができない場合に、初めて特別交付税を交付する必要性が生じることを規定したと読み取ることができるから、ここからも、基準財政需要額では捕捉できない財政需要のみならず、基準財政収入額では捕捉できない財政収入も考慮した上で、普通交付税の額と基準財政収入額の合計額と財政需要額とを比較し、財政需要額が超えるこ とを意味すると解される。地方交付税法15条1項の上記各文理からすれば、特別交付税の算定において、基準財政収入額の算定項目に含まれない財政収入額を勘案することは当然であって、基準財政収入額の算定項目とされている財政収入しか減額要因として考慮することが許されないと解することはできない。地方交付税法15条1項を上記のとおりに理解することは、立法者 意思に即するともいえる。」 (9)同25頁25行目の「趣旨のもの」を「規定」に改め、末行冒頭から26頁6行目末尾までを削る。 (10)同26頁15行目の「定められていないから」から21行目末尾までを次のとおり改める。 「定められていないけれども、財源の均衡化等の地方交付税法の趣旨(前記 (ア))や同法における普通交付税と特別交付税の位置づけを踏まえると、財政需要額と財政収入額を比較する際に、基準財政需要額及び基準財政収入額の算定項目に含まれない財政需要額及び財政収入額を勘案することは、地方交付税法において当然予定しているといえるから、同法15条1項の委任の趣旨の解 額を比較する際に、基準財政需要額及び基準財政収入額の算定項目に含まれない財政需要額及び財政収入額を勘案することは、地方交付税法において当然予定しているといえるから、同法15条1項の委任の趣旨の解釈に当たって、上記の点を考慮すべきであって、それゆえ、特別交 付税の額の算定に係る基準策定を総務大臣の専門技術的かつ政策的な裁量に委ねたといえる。」(11)同26頁22行目の「また」を「加えて」に、23行目の「2分の1を考慮するものとし」を「その2分の1のみを考慮するにとどめたほか」にそれぞれ改める。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も、本件訴えがいずれも適法であるとした上、本件各特例規定が地方交付税法15条1項の委任の範囲を逸脱した違法なもので、無効であるため、本件各特例規定に基づいて処分行政庁によりされた本件各決定も違法であるから、本件各決定をいずれも取り消すべきであると判断する。その理由は、後記 2のとおり補正するほか、原判決の「事実及び理由」の「第3 当裁判所の判断」の1から5まで(原判決28頁13行目~43頁14行目)に記載のとおりであるから、これを引用する。 2 原判決の補正(1)原判決28頁15行目冒頭から16行目末尾までを次のとおり改める。 「 裁判所法3条1項にいう「法律上の争訟」とは、当事者間の具体的な権利 義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって、かつ、それが法令の適用により終局的に解決することができるものをいう。 地方団体は、国とは別個の法人格を有し、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担っており、地方交付税は、地方自治の本旨の実現に資するとともに、地方団体の独立性を強化することを目的として、地 方団体がひとしくその行うべき事務を遂行す を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担っており、地方交付税は、地方自治の本旨の実現に資するとともに、地方団体の独立性を強化することを目的として、地 方団体がひとしくその行うべき事務を遂行することができるよう、国が、地方団体に対し、条件を付け又はその使途を制限することなく、交付される。 そのうち、特別交付税は、上記の地方交付税の一種であり、交付されるべき具体的な額は、総務大臣がする決定によって定められる。 そうすると、特別交付税の交付の原因となる国と地方団体との間の法律関 係は、上記決定によって発生する金銭の給付に係る具体的な債権債務関係であるということができるから、地方団体が特別交付税の額の決定の取消しを求める訴えは、国と当該地方団体との間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争に当たるというべきである。 また、特別交付税の額の決定は、地方交付税法及び特別交付税に関する省 令に従ってされるから、上記訴えは、法令の適用により終局的に解決することができるものといえる。 以上によれば、地方団体が特別交付税の額の決定の取消しを求める訴えは、裁判所法3条1項にいう法律上の争訟に当たると解される(最高裁令和5年(行ヒ)第297号令和7年2月27日第一小法廷判決)。 したがって、本件訴えは「法律上の争訟」に当たる。上記見解に反する控訴人の主張は採用できない。」(2)同28頁20行目冒頭から30頁18行目末尾までを次のとおり改める。 「 前記1で説示したとおり、地方交付税は、地方団体がひとしくその行うべき事務を遂行することができるよう、国が、地方団体に対し、条件を付け又 はその使途を制限することなく、交付されるものであり、特別交付税は、上 記の地方交付税の一種であって くその行うべき事務を遂行することができるよう、国が、地方団体に対し、条件を付け又 はその使途を制限することなく、交付されるものであり、特別交付税は、上 記の地方交付税の一種であって、交付されるべき具体的な額は、総務大臣がする決定によって定められることからすると、特別交付税の交付の原因となる国と地方団体との間の法律関係は、上記決定によって発生する金銭の給付に係る具体的な債権債務関係である。 したがって、総務大臣が特別交付税の額を決定することにより、地方団体 は、国に対し、上記の額の債権を取得し、国は、当該地方団体に対し、同額の支払義務を負うことになる。」(3)同30頁24行目冒頭から31頁2行目末尾までを削る。 (4)同31頁17行目から18行目にかけての「国の地方団体に対する支出金としての性質を有するものというべきであって」を「上記決定により、地方 団体は国に対して特別交付税の額に係る債権を取得するのであるから、上記決定は」に、19行目の「そして」から25行目末尾までを「控訴人は、要するに、特別交付税の交付決定が地方団体共通の固有財源である税の配分の在り方に関する紛争であり、行政主体間の税の帰属に関する紛争であるから、「公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、その行為によって、 直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているもの」として、抗告訴訟の対象となる私人と国との間の個別的権利利益に関する紛争と同質であるということはできない旨主張するが、控訴人の上記主張は、前記(1)と見解を異にしており、採用できない。」に、32頁3行目の「内部紛争解決の手続規定」を「行政主体間の利害調整を念頭に おいた所与の手続規定」にそれぞれ改める。 (5)同32頁2 は、前記(1)と見解を異にしており、採用できない。」に、32頁3行目の「内部紛争解決の手続規定」を「行政主体間の利害調整を念頭に おいた所与の手続規定」にそれぞれ改める。 (5)同32頁23行目の「ア」及び33頁5行目冒頭から8行目末尾までをそれぞれ削る。 (6)同33頁10行目の「総務大臣が」から15行目の「行わざるを得ない」までを「特別交付税が、当該年度に決定され、当該会計年度において配分す ることと定められていて、当該会計年度をまたいだ時期に特定の算定項目を 無効として特別交付税の交付決定を取り消し、過去の年度分の特別交付税の額を計算し直して改めて交付決定をやり直すという事態が想定されておらず、それを行う根拠となる規定が、行政事件訴訟法にも地方交付税法にもないため、総務大臣が、当該年度が経過した後に当該年度の交付決定を改めて行うことはできない」に改める。 (7)同33頁18行目冒頭から34頁2行目末尾までを次のとおり改める。 「 しかし、地方交付税法は、普通交付税の額の算定の基礎に用いた数について錯誤があり、基準財政需要額又は基準財政収入額を増加し、又は減少する必要が生じたときに、加算又は減額する規定を設けている(同法19条1項。 関係法令の定め(1)サ(ア))ように、いったん定めた交付税額に誤りがあ ってその違法を是正すべき事態が想定されていないということはできないし、総務大臣が違法を是正すべき事態を放置することは容認し得ないから、控訴人の上記主張は、特別交付税の額の決定の取消しを求める訴えの利益を否定する事情ということはできない。」(8)同34頁24行目の「あるか否かについて、」の次に「同項の文理(後記ア) のほか委任の趣旨(後記イ)の観点から、」を加え、25行目冒頭から末行末 否定する事情ということはできない。」(8)同34頁24行目の「あるか否かについて、」の次に「同項の文理(後記ア) のほか委任の趣旨(後記イ)の観点から、」を加え、25行目冒頭から末行末尾までを「(2)検討」に、37頁9行目冒頭から14行目から15行目にかけての「同項」までを「地方交付税法15条1項」に、38頁1行目の「あるというべきである。」を「あって、ふるさと納税寄附金制度は、総務大臣の下で開催された「ふるさと納税研究会」による検討報告を踏まえて創設され た「ふるさと」に対する納税者の主体的な貢献を可能にする税制上の仕組みであり、そこでは、地方団体が寄附金を受けても当該地方団体の地方交付税が減少することはないという報告結果が提示されている(前記前提事実(2)ア(ア))。」にそれぞれ改め、13行目の「から、」から14行目の「いえない」までを削り、24行目冒頭から39頁1行目の「そもそも」までを「そ の上で」に改め、6行目の「いずれも」の次に「全体として」を加える。 (9)同39頁12行目冒頭から40頁18行目末尾までを次のとおり改める。 「ア地方交付税法15条1項の文理について(前記第2の4(4)の控訴人の主張ア(ア))(ア)控訴人は、地方交付税制度の基本原則、基準財政需要額及び基準財政収入額では捕捉できない財政需要額及び財政収入額を考慮して交付され るという特別交付税の位置付け等を前提に、地方交付税法15条1項の文理からすれば、特別交付税の算定において、基準財政収入額の算定項目に含まれない財政収入額を勘案するのが当然であって、基準財政収入額の算定項目とされている財政収入のみしか減額要因として考慮することが許されないと解することはできず、そのように地方交付税法15条 1項を理解 政収入額を勘案するのが当然であって、基準財政収入額の算定項目とされている財政収入のみしか減額要因として考慮することが許されないと解することはできず、そのように地方交付税法15条 1項を理解するのが立法者意思に即するともいえる旨主張する。控訴人は、上記主張の根拠として、①「基準財政収入額の算定方法の画一性」という文言には、基準財政収入額の算定の対象となる財政収入の種類(算定項目)や種類(算定項目)ごとの算定方法が画一的に法定されているという内容が含まれていると解すべきであるから、「基準財政収入額の算 定方法の画一性のため生ずる(中略)基準財政収入額の算定過少」が、地方交付税法14条で法定された基準財政収入額の画一的性格のために生じる基準財政収入額の算定過少を意味し、このような算定過少がある場合に特別交付税の算定において減額要因として考慮することを予定しているということができるので、上記の「基準財政収入額の算定過少」 とは、基準財政収入額の算定対象となる各項目の算定が過少となっている場合に限らず、基準財政収入額が算定対象となる財政収入の種類(算定項目)の限定によって過少算定されている場合も含むと理解するのが自然である、②地方交付税法15条1項のうち、「なお、普通交付税の額が財政需要に比して過少であると認められる地方団体に対して」と定め る部分は、地方団体の財政収入額に普通交付税の額を加えた合計額によ って地方団体の財政需要額を満たすことができない場合に、初めて特別交付税を交付する必要性が生じることを規定したと読み取ることができるから、ここからも、基準財政需要額では捕捉できない財政需要のみならず、基準財政収入額では捕捉できない財政収入も考慮した上で、普通交付税の額と基準財政収入額の合計額と財政需要額 と読み取ることができるから、ここからも、基準財政需要額では捕捉できない財政需要のみならず、基準財政収入額では捕捉できない財政収入も考慮した上で、普通交付税の額と基準財政収入額の合計額と財政需要額とを比較し、財政需 要額が超えることを意味すると解される旨主張する。 しかし、上記①の意味は、要するに、「基準財政収入額の算定過少」とは、財政収入(算定項目)や種類(算定項目)ごとの算定方法が画一的に法律で規定されているが故に、基準財政収入額の算定過少が生じている場合を、特別交付税の算定における減額要因として考慮できるという のであって、基準財政収入額の算定に当たって財政収入(算定項目)や種類(算定項目)ごとの算定方法が法律であらかじめ限定されていることと相容れるとはいい難い。 また、上記②も、基準財政収入額で捕捉できない財政収入を考慮するという点において、上記①同様採りえない。 したがって、地方交付税法15条の文理から、特別交付税の算定において、基準財政収入額の算定項目に含まれない財政収入額を勘案することが当然である旨の控訴人の上記主張は採用できない。控訴人の主張は、ふるさと納税寄附金制度が、「税の分割」ではなく、「寄附金税制の応用」として検討され、地方団体が寄附金を受けても地方団体の地方交付税が 減少することはないという「ふるさと納税研究会」の検討報告(甲7)からうかがわれるふるさと納税寄附金制度創設時の立法者意思に即しているともいい難い。」(10)同40頁19行目の「被告は、前記第2の4(4)の(被告の主張)欄のア(ア)cのとおり」を「(イ)また、控訴人は」に、41頁10行目の「限 られるものではない。」から14行目末尾までを「限られないから、この点を 第2の4(4)の(被告の主張)欄のア(ア)cのとおり」を「(イ)また、控訴人は」に、41頁10行目の「限 られるものではない。」から14行目末尾までを「限られないから、この点を もって、基準財政収入額の算定項目に含まれない財政収入額を勘案するのが委任の範囲内にあることにはならない。」に、16行目の「地方交付税法」から18行目の「すなわち、」までを「地方交付税法15条1項は、」にそれぞれ改め、21行目の「)」を削り、23行目の「いえない。かえって」を「いえず、むしろ」に、末行の「判断すべき性質の事柄であり」から42頁2行 目末尾までを「判断すべき事柄である。」にそれぞれ改め、42頁11行目の「していることに鑑みると」から13行目末尾までを次のとおり改める。 「している上、競馬・競輪等といった個々の地方団体内で設営されている公営競技に係る収益金と、個人が任意に地方団体に納める寄附金とは、性質を異にしている点や、平成31年1月25日開催の地方財政審議会における資料 には、ふるさと納税寄附金の基準財政収入額への算入に関し、「基準財政収入額は法定普通税を主体とした標準的な地方税収入である。したがって、ふるさと納税を含め、個人が任意に支出する寄附金については、基準財政収入額に算入しないこととしている。」との見解が明示されている点(甲24〔14枚目上〕)からみて、ふるさと納税寄附金について、公営競技に係る収益金と 同様減額要因とすることが委任の範囲内であるということはできない。」(11)同42頁15行目の「ウ」を「イ」に改め、16行目の「とおり、」の次に「地方交付税法が基準財政需要額及び基準財政収入額の算定項目に含まれない財政需要額及び財政収入額を勘案することを当然に予定しており、特別交付税の額の算定に係る基 に改め、16行目の「とおり、」の次に「地方交付税法が基準財政需要額及び基準財政収入額の算定項目に含まれない財政需要額及び財政収入額を勘案することを当然に予定しており、特別交付税の額の算定に係る基準策定を総務大臣の専門技術的かつ政策的な裁量 に委ねたのも上記の趣旨に即してのことであるとか、」を加え、22行目冒頭から末行末尾までを次のとおり改める。 「 しかし、地方交付税法の解釈に関する控訴人の上記主張が採用できないことは、前記アで説示したとおりであるし、本件各特例規定の内容における十分な配慮や本件各特例規定の制定における慎重な手続がされたとしても、本 件各特例規定の内容面及び手続面における合理性の有無は、本件各特例規定 が地方交付税法15条1項の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効かどうかの結論に直接結びつく事情とはいい難い。」(12)同43頁8行目の「以上のとおり」を「上記1から4まで検討したとおり」に、13行目から14行目にかけての「そして、本件各決定はいずれも違法である。」を「そうすると、本件各特例規定に基づいてされた本件各決定 も違法であるから、いずれも取り消されるべきである。」にそれぞれ改める。 第4 結論よって、本件各決定の取消しを求める被控訴人の各請求はいずれも理由があるからこれを認容すべきであり、これと同旨の原判決は相当であって、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第12民事部 裁判長裁判官牧賢二 裁判官高橋綾子 裁判官矢野紀夫 賢二 裁判官 高橋綾子 裁判官 矢野紀夫

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