判決 主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告川内村長Aが,個人であるAに対し,100万円を支払えとの請求をすることを怠ることは,違法であることを確認する。 第2 事案の概要原告は,被告が平成12年5月30日から同年12月22日までに行われた川内村が発注する公共土木工事の指名競争入札につき,同年4月16日に実施された川内村長選挙で被告を支持しなかった有限会社B組等を指名せず,入札に参加させなかったことにより,川内村発注の公共土木工事の適正価格が破壊され,その結果川内村に少なくとも100万円の損害が発生した。この損害は川内村村長であるA個人の選挙報復を動機とする不法行為により生じたものであって,川内村は,A個人に対して100万円の損害賠償請求権を有しており,それを行使しないことは違法であるとして,怠る事実の違法の確認を求めている。 1 前提事実(争いがないか掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 原告は,福島県双葉郡川内村の住民である。 被告は,川内村長である。 (2) 川内村では,昭和63年以来,有限会社B組,有限会社C組,有限会社D組,株式会社E組,F株式会社,G株式会社の6社に有限会社H組を加えた7社が村発注の公共工事の大半を受注してきた。 平成12年4月16日に川内村長選挙があり,他に2名が立候補したが,被告が当選した。 (3) 被告は,平成12年5月30日,同年6月8日,同年10月12日,同月30日,同年12月22日に各入札執行された川内村発注の公共土木工事の指 名が立候補したが,被告が当選した。 (3) 被告は,平成12年5月30日,同年6月8日,同年10月12日,同月30日,同年12月22日に各入札執行された川内村発注の公共土木工事の指名入札に際して,村内の建設業者のうち有限会社H組を除く6社を指名から除外した。 すなわち,ア平成12年5月30日から同年12月22日までに行われた25件の入札の全てにつき,有限会社B組,有限会社C組の2社イ上記アの入札のうち,同年11月8日,同年12月8日に入札執行された6件を除く19件の入札につき,有限会社D 組ウ上記アの入札のうち,同年11月8日,同年12月8日,同月22日に入札が実施された10件を除く15件の入札につき,株式会社E組,F株式会社,G株式会社の3社を各々指名せず,入札に参加させることなく受注者を決定し,25件の各公共土木工事につき各々請負契約を締結した。 (4) 川内村における公共工事の競争入札については,地方自治法234条及び同法施行令167条,川内村財務規則122条1項及び同規則に基づく川内村告示第1号,並びに同村財務規則94条1項に規定されている。 これを概観すれば次のとおりである。 地方公共団体においては,売買,賃借,請負その他の契約の契約締結は,一般競争入札,指名競争入札,随意契約又はせり売りのいずれかの方法によるが(地方自治法234条1項), 一般競争入札を原則とし,政令に定める場合に該当するときに限り,指名競争入札,随意契約又はせり売りの方法によることができる(同条2項)。競争入札に加わろうとする者に必要な資格,競争入札における公告,又は指名の方法は政令で定める(同条6項)。 指名競争入札の参加資格は,一 又はせり売りの方法によることができる(同条2項)。競争入札に加わろうとする者に必要な資格,競争入札における公告,又は指名の方法は政令で定める(同条6項)。 指名競争入札の参加資格は,一般競争入札の参加資格が準用されているほか(地方自治法施行令167条の11第1項,167条の4),地方公共団体の長は,必要があれば,上記資格に加え,契約の種類及び金額に応じ,工事,製造又は販売等の実績,従業員の数,資本の額その他の経営の規模及び状況を要件とする資格をあらかじめ定めることができ,別途参加資格を定めた場合はこれを公示しなければならないとされている(地方自治法施行令167条の11第2項,3項,167条の5)。川内村においても,指名競争入札の参加資格は,一般競争入札の参加資格を準用したものに加え,地方自治法施行令167条の11第2項,3項に基づき,川内村長が,川内村財務規則122条1項により,指名競争入札に参加する者の資格とその審査等につき別途定め,公示(昭和63年3月25日川内村告示第1号)したものが加えられている。 これによると,その参加資格は下記のとおりである。 ア川内村告示第1号1条に定める「指名競争入札に参加することができない者」に該当しないこと同告示第1号1条に定める入札に参加できない者は以下のとおりである。 (ア) 地方自治法施行令167条の4の規定に該当する者(イ) 法令の規定により営業に関し許可,認可,登録等を受けていることを必要とされている場合において,これを受けていない者(ウ) 工事又は製造の請負(工事に係る建設資材の販売を含む。以下同じ。)の契約又は物品の購入,その他の契約(工事に係る建設資材の販売を除く。 以下同じ。)に関して,不正の行為を い者(ウ) 工事又は製造の請負(工事に係る建設資材の販売を含む。以下同じ。)の契約又は物品の購入,その他の契約(工事に係る建設資材の販売を除く。 以下同じ。)に関して,不正の行為をし,又は正当な理由なくして不完全な履行をし,若しくは履行をしないため,指名競争入札に係る入札参加資格の取消しの通知を受けた場合において,当該通知の日から2年を経過していない者(エ) 工事,若しくは製造の請負の契約,又は物品の買入れ,その他の契約に関して保証をした者が故意にその義務を逃れた場合において,その事実のあった日から2年を経過していない者(オ) 資格の審査に関する申請書,その他の添付書類について虚偽の事項を記載した者(カ) 川内村告示第1号8条に基づく同告示別表の工事種別欄に掲げる工事の別に応じ,審査基準日(指名競争入札に参加する者に必要な資格の審査の基準となる日をいう。以下同じ。)の直前2年の営業年度において完成工事高のない者イ川内村告示第1号5条に定める入札参加資格を有し,工事等指名競争入札参加者の資格審査及び指名等に関する要綱(川内村訓令第1号)による資格審査を経て,川内村工事等請負有資格業者名簿(以下,単に「有資格者名簿」という。)に登載された業者であることなお,川内村における有資格者名簿(公共工事分のみ)に登載された業者数は558名(社)である。 (5) 平成12年12月25日,原告は川内村監査委員に対して,下記の行為が村長選挙の報復として行われたものであって違法であることを確認する旨の勧告をすることを求めて住民監査請求をした(以下「本件監査請求」という。)。(甲6)記被告は,川内村が発注する公共土木工事の指 違法であることを確認する旨の勧告をすることを求めて住民監査請求をした(以下「本件監査請求」という。)。(甲6)記被告は,川内村が発注する公共土木工事の指名競争入札につき,ア平成12年5月30日以降に行われた21件の入札の全てにつき,有限会社B組,有限会社C組の2社イ上記アの入札のうち,同年12月8日に入札が実施された5件を除く16件の入札につき,株式会社E組,有限会社D組,G株式会社の3社ウ上記イの入札のうち,同年11月8日に入札が実施された1件を除く15件の入札につき,F株式会社をそれぞれ指名せず,入札に参加させることなく受注者を決定し,21件の各公共土木工事につきそれぞれ請負契約を締結した。 (6) 平成13年2月20日,川内村監査委員は,原告が求めていた勧告を行わないことを決定した。 2 主たる争点被告は,本案前の申立てにおいて,本訴における請求の趣旨と監査請求の趣旨が異なることから,本件訴えは監査請求を経ておらず不適法であると主張しているため,本訴における請求と本件監査請求が同一か否か(争点1)が争われている。次に本案の問題として,被告が本件公共土木工事の指名競争入札において有限会社B組らを指名しなかったことが違法であったか否か(争点2)が争われている。そして,違法であったことを前提に,川内村が損害を被ったか否か(争点3)が争われている。 (1) 争点1 本訴における請求と本件監査請求の同一性(原告の主張)ア住民監査請求前置主義を採用していることから,住民監査請求の請求の内容と住民訴訟の請求の内容が同一であることが必要とされる。しかし,あまりに請求の同一性を厳格に要求すると,住民訴訟を提起する機会を不当に制限 請求前置主義を採用していることから,住民監査請求の請求の内容と住民訴訟の請求の内容が同一であることが必要とされる。しかし,あまりに請求の同一性を厳格に要求すると,住民訴訟を提起する機会を不当に制限することになりかねない。住民訴訟は,監査結果の当否を争うための訴訟ではなく,執行機関又は職員等の違法な財務会計行為に対し,訴えを提起することにより,地方公共団体の財産上の損害の防止,是正を目的としている。 また,住民監査請求制度は,裁判よりも,まず内部機関である監査委員の判断により,行政内部における自主的解決を求めることの方が適切であるとして設けられた。したがって,このような制度目的を前提にし,住民の実質的な不服の内容を考慮して請求の同一性を考えれば足りると考えられる。 両請求の同一性は,①物的側面(請求対象)②人的側面(当事者)を考慮して判断することになる。 イ本件においては,住民監査請求の当事者と本訴請求の当事者は同一であり,②人的側面の点では問題はない。①物的側面(請求対象の同一性)についても,「普通地方公共団体の住民が当該普通地方公共団体の長その他の財務会計職員の財務会計上の行為を違法,不当であるとしてその是正措置を求める監査請求をした場合には,特段の事情が認められない限り,右監査請求は当該行為が違法,無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権を当該普通地方公共団体において行使しないことが違法,不当であるという財産の管理を怠る事実についての監査請求をもその対象として含むものと解するのが相当である(最高裁昭和62年2月20日第二小法廷判決・民集41巻1号122頁)ところ, これまでに述べた基準及び判例に照らせば,本訴が監査請求と同一性を有することは明らかであり,問題はない。 (被告の (最高裁昭和62年2月20日第二小法廷判決・民集41巻1号122頁)ところ, これまでに述べた基準及び判例に照らせば,本訴が監査請求と同一性を有することは明らかであり,問題はない。 (被告の主張)ア本件監査請求と本訴請求とは請求を異にしており,本訴請求は,監査請求を経ずに提起されたことになり,地方自治法242条の2第1項本文に定める監査請求前置主義に反しているので却下されるべきである。 イすなわち,本件監査請求における請求対象は,原告主張の土建会社6社を各主張の入札に指名せず,これを参加させないで受注者を決定し,各工事の請負契約を締結したことは選挙の報復としてなされた違法な措置であるから,これが違法であることを確認する旨の勧告をされたいとするものであった。これに対し,本訴における請求対象は,違法な行為により入札契約を実施し,これによりA個人が川内村に100万円の損害を与えているのに,機関としての川内村長が個人としてのAに対しその損害の賠償を請求しない不作為について,「怠る事実」であるとして違法確認を求めるものである。したがって,本件監査請求と本訴請求は,物的側面(請求対象)の点で同一ではない。 ウまた,本件監査請求と本訴における当事者は形式的には同一であるが,実質に着目すれば,人的側面も同一ではない。すなわち,問題(紛争)になっている事項に着目して,実質的にみれば,本件監査請求においては,問題(紛争)は,指名競争入札において,指名はずしを受けた(と称する)6社と機関としての川内村長又は村長個人との間にある。これに対し,本訴においては,川内村の村長個人に対する損害賠償請求権を機関たる村長が怠ったというもので,問題(紛争)は,川内村と村長個人との間にある。したがって,形式的に当事者は同一であっ 間にある。これに対し,本訴においては,川内村の村長個人に対する損害賠償請求権を機関たる村長が怠ったというもので,問題(紛争)は,川内村と村長個人との間にある。したがって,形式的に当事者は同一であっても,実質的に問題(紛争)に着目すれば,本件監査請求と本訴請求は,主観的(主体的)には異なっており,人的側面において,同一であるとはいい難い。 (2) 争点2 指名しなかったことの違法性(原告の主張)ア平成12年4月16日の川内村長選挙においては,前記前提事実1(2)の建設会社7社の代表者のうち,有限会社H組を除く6社の代表者はAの対立候補を,有限会社H組の代表者のみがAを,それぞれ支持して激烈な選挙戦を展開した。 Aが村長に当選した後に行われた前記前提事実1(3)の各入札においては,有限会社H組を除く6社が指名から除外された反面,有限会社H組及びその関連会社が大半を受注した。 これらのことからすれば,入札指名から除外したこと及びその結果としての公共土木工事の請負契約締結が,村長選挙の報復として行われたことは明らかである。 イこのような措置は,信条による差別の禁止(憲法14条),選挙の自由(同15条4項),思想,良心の自由(同19条)に抵触し,民主主義を否定する重大な違法行為であり,村長の裁量権を著しく逸脱していることは明らかである。 (被告の主張)ア指名はずしをされたと主張する6社は,現実には,平成12年度村発注の公共土木工事38件のうち,株式会社E組は15件,有限会社D組は14件,G株式会社は12件,F株式会社は11件,有限会社B組は5件,有限会社C組は2件について,それぞれ川内村発注事業に指名業者として指名されている。まったく指名しなかったという事実はない。 は12件,F株式会社は11件,有限会社B組は5件,有限会社C組は2件について,それぞれ川内村発注事業に指名業者として指名されている。まったく指名しなかったという事実はない。 イ指名された業者が入札に参加して落札受注出来なかった結果について受注率を論じて川内村村長の責任とする議論は,単なる責任の転嫁にすぎない。有限会社H組が受注率で独占した事実はない。 ウこれまで川内村は,公共土木工事につき,特殊な例外を除いて,ほとんど全てについて村内業者にのみ入札参加を認めてきた。 これに対し,村民や村議会で特定路線の道路工事に関して同じ業者が入札に参加して同じ業者が落札するのはおかしいし,談合もあるのではないかとの批判がなされてきた。 そこで,被告は談合防止や入札制度本来の競争原理を高めるため,村内業者に限っていた指名競争入札の指名業者に村外業者を加えて入札を実施した。 本件で問題となっている入札指名は,談合等の批判もあるため,新しい試みとして,旧弊を破って談合しにくい村外業者も加えて競争原理を取戻すためになされた措置であり,それなりの合理性があったものであり,新しい試みにより制約を受けた村内業者が指名選考に洩れたことをもって直ちに違法とし,それらの業者の利益を代弁するために原告が住民訴訟制度を利用するのは趣旨を逸脱するものである。 (3) 争点3 川内村の損害(原告の主張)ア村発注の公共事業の適正価格は破壊され,指名はずしの行われなかった入札結果である平成11年度及び平成13年度の入札結果と比較しても,村の受けた損害は100万円を下まわることはない。 イ Aは,村長選挙において対立候補を応援したことに対する報復のために6業者を平成12年5月30日から同年12月22日までの 結果と比較しても,村の受けた損害は100万円を下まわることはない。 イ Aは,村長選挙において対立候補を応援したことに対する報復のために6業者を平成12年5月30日から同年12月22日までの間になされた5回の公共土木工事の指名業者から除外して指名競争入札に参加させないことにより,川内村の適正な競争入札を妨害し,高価な落札価格を形成し易い状況を作出し,その結果として,川内村をして,適正な価格を上回る落札価格での発注契約を締結させ,適正価格と落札価格の差額の出費を余儀なくさせ,差額分相当額の損害を川内村に被らせた。 ウ適正落札価格は予定価格の80%ないし85%と判断される。 (ア) 平成12年5月30日執行指名入札の予定価格総額は4066万2300円であり,その85%は3456万2955円であるが,現実の落札価格の総額は4016万2500円であり,98.77%になっている。両者の金額の差は559万9545円である。 (イ) 同年6月8日執行指名入札の予定価格は493万5000円であり,その85%は419万4750円であるが,現実の落札価格は462万円であり,93.62%になっている。両者の金額の差は42万5250円である。 (ウ) 同年10月12日執行指名入札の予定価格総額は1億1796万9600円であり,その85%は1億0027万4160円であるが,現実の落札価格は1億1571万円であり,96.66%になっている。両者の金額の差は154万3587円である。 (エ) 同月30日執行指名入札の予定価格総額は742万2450円であり,その85%は630万9082円であるが,現実の落札価格の総額は724万5000円であり,97.60%になっている。両者の金額の差は93万5918円である。 (オ) 42万2450円であり,その85%は630万9082円であるが,現実の落札価格の総額は724万5000円であり,97.60%になっている。両者の金額の差は93万5918円である。 (オ) 同年12月26日執行指名入札の予定価格総額は6942万0750円であり,その85%は5900万7637円であるが,現実の落札価格の総額は6888万円であり,99.22%になっている。両者の金額の差は987万2363円である。 エ上記ウの現実の落札価格と予定価格の85%の差額の合計は,1837万6663円に達する。すなわち仮に適正落札価格を予定価格の85%と想定した場合には,A個人はこれだけの損害を川内村に与えたことになる。 オよって,川内村の受けた損害は100万円を下まわることはない。 (被告の主張)ア村発注の公共事業は,適正な資格のある指名業者間による適正な競争入札により適正な価格で落札されていて,適正価格の破壊の事実が存在しない。したがって,川内村が受けた損害自体が存在しない。 イ原告は,原告主張の6社が指名されるべきことを論証した上で,さらに6社が入札に参加すれば形成されていたであろう適正価格と,実際に指名された業者による最低入札価格との具体的差額を各主張・立証し,その差額は川内村の受けた損害であることを主張・立証すべきであったが,これを全くしていない。平成12年ないし14年の各年間平均の落札率を比較するだけでは,川内村の損害とはなりえない。 ウ原告は損害の発生を立証すれば足りると主張するが,損害額について裁判所が決めなければ内容が全く決まらない損害賠償請求権というのであれば,被告にこの権利を行使しないことをもって直ちに財産の管理を怠った違法があるとすれば,余りに被告に不可能・無理な権利行使を求 て裁判所が決めなければ内容が全く決まらない損害賠償請求権というのであれば,被告にこの権利を行使しないことをもって直ちに財産の管理を怠った違法があるとすれば,余りに被告に不可能・無理な権利行使を求めることになる。 第3 争点に対する判断 1 争点1(本訴における請求と本件監査請求の同一性)について(1) 平成14年法律第4号による改正前の地方自治法242条の2第1項は,監査請求前置主義を規定しており,監査請求と住民訴訟の対象との間に同一性のあることが必要であると解されるが,このことは必ずしも完全に一致することを意味するわけではない。そして,地方公共団体の長その他の財務会計職員の財務会計上の行為を違法,不当であるとしてその是正措置を求める監査請求をした場合には,特段の事情が認められない限り,その監査請求は当該行為が違法,無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権を当該普通地方公共団体において行使しないことが違法,不当であるという財産の管理を怠る事実についての監査請求をもその対象として含むものと解されるから(最高裁昭和62年2月20日第二小法廷判決・民集41巻1号122頁参照),その場合は,財産の管理を怠る事実があるとする住民訴訟と是正措置を求める監査請求の対象事項との間には同一性が認められる。 (2) 前記前提事実によれば,本件監査請求の要旨は,被告が公共土木工事の指名競争入札につき,村内の建設業者の6社を入札に指名せず,これを参加させないで受注者を決定し,各工事の請負契約を締結したことは選挙の報復としてなされた違法な措置であるから,これが違法であることを確認するというものであり, 明示的には村内の建設業者6社を入札業者として指名しなかったことの違法に主眼におくものであるが,6社を除外して行われた指名競争入札において,村長 ら,これが違法であることを確認するというものであり, 明示的には村内の建設業者6社を入札業者として指名しなかったことの違法に主眼におくものであるが,6社を除外して行われた指名競争入札において,村長選挙の際に被告を支持した業者及びその関連会社が大半を受注していることを指摘し,黙示的にその是正を求めていると認められる(甲6)。これは,村長支持派の業者が不当な方法により入札を独占し,これによって利益を得ている旨の主張とみることができ,入札が公平な方法でなされず,不当な入札価格が形成され,これにより川内村に損害が生じることの是正を併せ求めているとみることができる。 本訴における請求は,村内の建設業者の6社を入札に指名せず,これを参加させなかったことにより川内村発注の公共土木工事の適正価格が破壊され川内村に少なくとも100万円の損害が生じ,被告がA個人対する損害賠償請求を怠る事実の違法確認である。これと本件監査請求の対象は,ともに川内村村長が村内業者の6社を入札に指名しなかったことを原因とするものであり,対象事項は同一であるということができる。 したがって,本件訴えは監査請求を経たものであり,適法である。 2 争点3(川内村の損害)について(1) 前記前提事実,証拠(甲1ないし5,乙5ないし7,8の1・2,被告本人の一部,調査嘱託の結果)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア被告は,平成12年5月30日から平成12年12月22日にかけて入札執行された指名競争入札25件の全部ないし一部について,村長選挙の際に自分を支持しなかった村内業者6社を意図的に業者指名からはずし,入札に参加させなかった。同年6月には,このことが問題となり,複数の新聞の取材を受けたが,村長選挙で自分を支 部について,村長選挙の際に自分を支持しなかった村内業者6社を意図的に業者指名からはずし,入札に参加させなかった。同年6月には,このことが問題となり,複数の新聞の取材を受けたが,村長選挙で自分を支持しなかったことに対する報復である旨を明確に述べ,その旨複数の新聞で報道された。 イ落札率(契約(落札)金額総額を予定価格総額で除した数値)の平均は以下のとおりである。 (ア) 川内村の指名競争入札土木工事平成11年度 99.06パーセント平成12年度のうち,村内業者6社を入札に指名しなかった期間(平成12年5月30日から同年12月22日まで)98.19パーセント平成12年度のうち,村内業者6社を入札に指名した期間(平成12年12月26日から平成13年3月末まで)99.33パーセント平成13年度 97.69パーセント(イ) その他予定価格の事前公表を実施してから平成13年3月30日までの福島県における予定価格事前公表実施対象工事全体97.26パーセント土木部のみ 97.21パーセント全国の平成11年度指名競争入札 96.91パーセント東北部局の平成11年度指名競争入札 96.96パーセ 土木部のみ 97.21パーセント全国の平成11年度指名競争入札 96.91パーセント東北部局の平成11年度指名競争入札 96.96パーセント(2) 以上によると,いずれの期間を通じても,落札率は予定価格の96.91パーセントから99.33パーセントで推移している。全ての入札を通じて,このように高い落札率を示していることに照らすと,正常な競争入札がなされていたことにつき疑念を生じないわけではない。ことに本件においては,被告が指名競争入札において,業者の指名を意のままに行っていたことを併せ考慮すれば,高い落札率を生じた背景には,何らかの作為的な措置が執られたからであるとの懸念を払拭できない。 しかし,村内業者6社が排除されていた期間と村内業者6社が参加していた期間における落札率を比較しても,統計的に意味のある差異を見出すことはできない。高い落札率が,どのような具体的な行為によって生じたかまでは不明であるから,高い落札価格と想定される適正な価格との差額が直ちに損害であるとまではいえない。そして,川内村に対する損害賠償義務を発生させるような村長個人の不法行為については,具体的な主張を欠き,また,これを認めるに足りる証拠もなく,原告の主張は採用できない。 (3) 以上によれば,川内村に損害が生じた事実が認められない。 3 よって,争点2については判断するまでもなく,原告の請求は理由がないのでこれを棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 福島地方裁判所第一民事部裁判長裁判官吉田徹裁判官 訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 福島地方裁判所第一民事部裁判長裁判官吉田徹裁判官本間健裕裁判官中原淳一・
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