平成13(ワ)11237 損害賠償請求

裁判年月日・裁判所
平成14年2月22日 東京地方裁判所
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判決文本文6,589 文字)

主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告は,原告に対し,3万7800円及びこれに対する平成10年3月26日から支払済みまで年7.3パーセントの割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,原告が,自動車重量税に係る過誤納金の還付を受けるために自動車重量税過誤納証明書の交付を請求したのに対し,関東運輸局埼玉陸運支局長がこれを受理しなかったのは違法であるとして,被告に対し,当該納付した自動車重量税相当額(3万7800円)の損害金及びこれに対する還付加算金相当額の遅延損害金の賠償を請求する事案である。 2 法令の定め(1) 自動車重量税法(平成10年法律第74号による改正前のもの。以下「重量税法」という。)3条は,「検査自動車及び届出軽自動車には,この法律により,自動車重量税を課する。」と規定し,重量税法2条1項2号は,「検査自動車」とは,道路運送車両法(平成10年法律第74号による改正前のもの。以下「車両法」という。)60条1項(新規検査の場合の自動車検査証の交付),62条2項(63条3項,64条3項及び67条4項において準用する場合を含む。)(継続検査,臨時検査,分解整備検査及び構造等変更検査の場合の自動車検査証の返付)又は71条4項(予備検査の場合の自動車検査証の交付)の規定による自動車検査証の交付又は返付(以下「自動車検査証の交付等」という。)を受ける自動車をいう旨規定する。 (2) 自動車検査証の交付等を受ける者は,当該検査自動車につき,自動車重量税を納める義務があり(重量税法4条1項前段),その自動車検査証の交付等を受ける時までに,当該検査自動車につき課されるべき自動車重量税の額に相当する金額の自動車重量税印紙を政令で定める書類にはり付けて,当該自動車検査証の交 税法4条1項前段),その自動車検査証の交付等を受ける時までに,当該検査自動車につき課されるべき自動車重量税の額に相当する金額の自動車重量税印紙を政令で定める書類にはり付けて,当該自動車検査証の交付等を行う運輸大臣若しくはその権限の委任を受けた地方運輸局長若しくは地方運輸局陸運支局長又は軽自動車検査協会に提出することにより,自動車重量税を国に納付しなければならない(重量税法8条)。 (3) 重量税法16条は,自動車重量税について過誤納があった場合の還付の手続について,次のとおり定める。 ア自動車検査証の交付等又は車両番号の指定を受ける者は,次の(ア),(イ)記載の各号のいずれかに該当するときは,その該当することとなった日から1年を経過する日までに,政令で定めるところにより,当該自動車検査証の交付等又は車両番号の指定に係る運輸大臣等(運輸大臣,地方運輸局長,地方運輸局陸運支局長又は軽自動車検査協会)に申し出て,当該各号に掲げる自動車重量税の額その他政令で定める事項について確認を求め,証明書の交付を請求することができる(同条1項)。 (ア) 1号自動車重量税を納付した後自動車検査証の交付等又は車両番号の指定を受けることをやめたとき。 当該納付した自動車重量税の額(イ) 2号過大に自動車重量税を納付して自動車検査証の交付等又は車両番号の指定を受けたとき(国税通則法75条1項5号の規定による審査請求に対する裁決により重量税法12条1項の認定に係る処分の全部又は一部が取り消されたときを除く。)。 当該過大に納付した自動車重量税の額イ運輸大臣等は,重量税法16条1項2号に該当する事実があることを知ったときは,既に同項の請求がされている場合を除き,遅滞なく,同号に掲げる自動車重量税の額その他政令で定める事項を自動車検査証の交付等又は車両 は,重量税法16条1項2号に該当する事実があることを知ったときは,既に同項の請求がされている場合を除き,遅滞なく,同号に掲げる自動車重量税の額その他政令で定める事項を自動車検査証の交付等又は車両番号の指定を受けた者に書面をもって通知するものとする(同条2項)。 ウ自動車重量税に係る過誤納金の還付を受けようとする者は,同条1項の証明書又は同条2項の書面を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない(同条3項)。 (4) 災害被害者に対する租税の減免,徴収猶予等に関する法律(以下「災免法」という。)8条1項は,「自動車の販売業者又は自動車分解整備事業者が自動車の使用者のために自動車検査証の交付等又は車両番号の指定を受ける目的で保管している自動車のうち,当該保管をしている間に自動車重量税が納付され自動車検査証の交付等又は車両番号の指定を受けたもので災害による被害を受けたことにより当該自動車検査証の交付等又は車両番号の指定を受けた後走行の用に供されることなく使用の廃止がされたもの(命令の定めるところにより使用の廃止がされたことが明らかにされる自動車に限る。以下この項において「被災自動車」という。)については,命令の定めるところにより,当該被災自動車につき当該自動車検査証の交付等又は車両番号の指定を受ける際に納付された自動車重量税の額に相当する金額を,当該被災自動車に係る自動車重量税の納税義務者に還付する。」と規定する。 3 前提事実(争いのない事実及び掲記の証拠と弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 原告は,平成9年3月5日当時,自家用小型乗用車(登録番号大宮efg。以下「本件自動車」という。)を所有していたが,その自動車検査証の有効期間は,平成7年3月31日から平成9年3月30日までであった。 (2) 原告は,平成9年3月5日, 型乗用車(登録番号大宮efg。以下「本件自動車」という。)を所有していたが,その自動車検査証の有効期間は,平成7年3月31日から平成9年3月30日までであった。 (2) 原告は,平成9年3月5日,関東運輸局埼玉陸運支局春日部自動車検査登録事務所(以下「本件事務所」という。)において,本件自動車の継続検査を受け,その検査の結果,保安基準に適合していると認められたので,重量税法8条に基づく自動車重量税として3万7800円を印紙により納付し(以下,この納付された自動車重量税を「本件重量税」という。),有効期間を平成9年3月31日から平成11年3月30日までとする自動車検査証の返付を受けた。 (3) ところが,原告は,平成9年3月7日,本件自動車で高速道路を走行中にエンジンの故障を生じ走行不能となったことから,本件自動車を廃車することにした。 (4) そこで,原告は,平成9年3月28日,本件事務所において,本件自動車の抹消登録申請をして受理され,前記(2)の自動車検査証を返納した。 (6) 原告は,平成10年3月25日,本件重量税の還付請求のため,本件事務所に対し,自動車重量税過誤納証明書交付請求書に必要事項を記入して提出した(甲1。以下,これによる原告の自動車重量税過誤納証明書交付請求を「本件交付請求」という。)。 (7) 関東運輸局埼玉陸運支局長は,原告の本件交付請求を審査し,本件交付請求は重量税法16条1項に該当しないとしてこれを拒否する処分(以下「本件処分」という。)をし,同月28日,原告に対し,「自動車重量税過誤納証明書交付請求書の不受理について」と題する書面を送付して本件処分を通知した(甲2)。 3 争点本件処分の違法性(本件は重量税法16条1項1号に該当するか。)(原告の主張)本件は,重量税法16条1項1号に該当する。 したが 」と題する書面を送付して本件処分を通知した(甲2)。 3 争点本件処分の違法性(本件は重量税法16条1項1号に該当するか。)(原告の主張)本件は,重量税法16条1項1号に該当する。 したがって,本件は重量税法16条1項に該当しないとした本件処分は,違法である。 (被告の主張)重量税法16条1項1号の「自動車重量税を納付した後自動車検査証の交付等(中略)を受けることをやめたとき」とは,自動車重量税を自動車重量税印紙を所定の用紙にはり付けて納付等したものの現実に自動車検査証の交付等を受ける前に,自動車検査証の交付等を受けることをやめた場合に限られると解すべきである。 本件では,原告は,平成9年3月5日に現実に自動車検査証の返付を受けており,その後に当該検査証を返納したとしても,同号には該当しない。 したがって,本件は重量税法16条1項に該当しないとした本件処分は,適法である。 (原告の反論)①自動車重量税が現実に自動車の継続検査行程において納付された後に自動車検査証が返付されるまでにわずかな時間しか要しないから,もし反対に解するときは現実の重量税法16条1項1号の適用場面がほとんど想定できなくなること,②昭和46年9月8日付け自管第143号,自車第579号「自動車重量税法等の施行に伴う事務の取扱いについて」(以下「重量税法取扱通達」という。)中の「記」6の「過誤納金の還付」(2)には,自動車検査証の交付等の後にも還付がされる場合が認められていること,③原告の場合のように,自動車検査証の有効期間が満了する日より前に継続検査がされたときは,新たな自動車検査証の有効期間の起算日は従前の有効期間の満了日の翌日となるため,新たな権利の創設よりも前に自動車検査証の返付がされることとなることからみて,重量税法16条1項1号の「自動車重 きは,新たな自動車検査証の有効期間の起算日は従前の有効期間の満了日の翌日となるため,新たな権利の創設よりも前に自動車検査証の返付がされることとなることからみて,重量税法16条1項1号の「自動車重量税を納付した後自動車検査証の交付等(中略)を受けることをやめたとき」とは,現実に自動車検査証の交付等を受ける前に自動車検査証の交付等を受けることをやめた場合に限られないと解すべきである。 (被告の再反論)原告の①の主張については,同号はわずかな時間の間に交付等を受けることをやめた場合に限定して適用されるものではなく,②の主張については,自動車検査証の交付等を受けることをやめるとの申出があったにもかかわらず事務処理上の過誤により交付等がされてしまったような場合が想定されているのであり,③の主張については,権利創設のされる時期は新たな有効期間を記入した自動車検査証が返付された時であることから,いずれも解釈の根拠として理由がない。 第3 争点に対する判断 1 自動車の検査を受けるなどして自動車検査証の交付等を受けた者は,当該検査証の有効期間内に当該自動車を運行の用に供し得る権利ないし法的地位を取得する(車両法58条1項等参照)。自動車重量税は,この権利ないし法的地位に伴う利益に着目し,自動車検査証の交付等を受けることに担税力を見出して,自動車検査証の交付等を受ける者に対し類型的に課税する一種の権利創設税と理解することができる。 そして,現実に自動車検査証の交付等を受けた者は,たとえその交付等を受けたのが当該検査証の有効期間の起算日前であった場合においても,その交付等により直ちに当該検査証の有効期間内に自動車を運行の用に供し得るという権利ないし法的地位を取得するのであるから,その後に生じた事情により当該検査証を返納したとしても,一旦発生した上記権 ,その交付等により直ちに当該検査証の有効期間内に自動車を運行の用に供し得るという権利ないし法的地位を取得するのであるから,その後に生じた事情により当該検査証を返納したとしても,一旦発生した上記権利ないし法的地位を取得した事実は消滅せず,自動車重量税の納付をする実体法上の理由があるというべきである。 したがって,ここでの議論の対象外である過大な金額が納付された場合を除外すれば,自動車重量税に係る過誤納金の還付が認められるのは,現実に自動車検査証の交付等を受ける前に限られ,自動車重量税に係る過誤納金の還付を受けようとする者が納税地の所轄税務署長に提出すべき証明書(重量税法16条3項)の交付要件を定める重量税法16条1項1号の「自動車重量税を納付した後自動車検査証の交付等(中略)を受けることをやめたとき」とは,自動車重量税を納付した後,現実に自動車検査証の交付等を受ける前に,自動車検査証の交付等を受けることをやめた場合をいうと解するのが相当である。 この解釈は,災免法8条1項が災害被害者の負担を軽減するために一定の要件のもとに限って特別に自動車検査証の交付等を受けた後にも自動車重量税額の還付を受けられる場合を定めていることとも符合する。同項は,自動車検査証の交付等を受けた後には,自動車が走行の用に供されることなく使用の廃止がされた場合であっても,重量税法16条1項1号に基づき過誤納証明書の交付を受け自動車重量税額の還付を受けることはできないことを前提として規定されたとみるほかはないからである。 上記解釈に反する原告の主張は,採用することができない。 (なお,原告は,重量税法16条1項1号の「自動車重量税を納付した後自動車検査証の交付等(中略)を受けることをやめたとき」とは,現実に自動車検査証の交付等を受ける前に自動車検査証の交付等をやめ い。 (なお,原告は,重量税法16条1項1号の「自動車重量税を納付した後自動車検査証の交付等(中略)を受けることをやめたとき」とは,現実に自動車検査証の交付等を受ける前に自動車検査証の交付等をやめた場合には限られないとする上記主張の根拠として,現実の自動車継続検査行程において自動車重量税の納付後に自動車検査証が返付されるまでにわずかな時間しか要しないから,上記解釈では現実の同号の適用場面がほとんど想定できなくなると主張している。 しかしながら,原告の主張自体からも同号の適用場面があることは明らかである上に,自動車の継続検査に様々な態様があることは公知であり,上記解釈によっても法律上同号適用の場面が皆無となることはおよそ考えられないから,この点を根拠とする原告の主張は理由がないというべきである。 また,原告は,昭和46年9月8日付け重量税法取扱通達中の「記」6の「過誤納金の還付」(2)において自動車検査証の交付等の後にも還付がされる場合が認められていることをも主張の根拠として指摘している。 しかしながら,同通達の「記」6の「過誤納金の還付」(2)は,重量税法16条1項1号が現実に自動車検査証の交付等を受ける前に自動車検査証の交付等をやめた場合について定めていることを当然の前提として,自動車検査証の交付等をやめるとの申出などがあったにもかかわらず事務処理の過程でそれが知られずに自動車検査証の交付等がされてしまった場合の事務の取扱いを規定したとみるのが相当であり,この原告の指摘も失当である。) 2 本件についてみると,前記前提事実及び弁論の全趣旨によれば,原告は,平成9年3月5日に現実に自動車検査証の返付を受け,その後,同月28日に当該検査証を返納し,平成10年3月25日に本件交付請求をしたことが明らかであり,原告が上記返付を受ける前に自 よれば,原告は,平成9年3月5日に現実に自動車検査証の返付を受け,その後,同月28日に当該検査証を返納し,平成10年3月25日に本件交付請求をしたことが明らかであり,原告が上記返付を受ける前に自動車検査証の返付を受けることをやめた事実は認められない。 したがって,本件は,重量税法16条1項1号に該当するとは認められない。 3 以上のとおり,本件は,重量税法16条1項1号に該当するとは認められず,なおかつ同項2号に該当するとも認められないことは明らかであるから,本件は同項に該当しないとした本件処分について何ら違法性は認められないというべきである。 よって,原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第16部裁判長裁判官成田喜達裁判官髙宮健二裁判官笹本哲朗

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