平成26年4月17日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成25年(ワ)第18665号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成26年2月18日判決 東京都港区<以下略>原告レアック・ジャパン株式会社 同訴訟代理人弁護士田口育男 同補佐人弁理士八木佳子 広島県東広島市<以下略>被告株式会社大創産業 同訴訟代理人弁護士山田延廣 藤井裕 寺本佳代 工藤勇行 東京都中央区<以下略>被告補助参加人プラスワン株式会社 同訴訟代理人弁護士野末寿一 坂野史子 主文 原告の請求をいずれも棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求被告は,原告に対し,4752万円及びこれに対する平成25年8月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。第2 事案の概要本件は,原告が,別紙被告商品目録記載1~6の各商品(以下「被告商品1」,「被告商品2」などといい,「被告各商品」と総称する。)を販売する被告に対し,① による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,原告が,別紙被告商品目録記載1~6の各商品(以下「被告商品1」,「被告商品2」などといい,「被告各商品」と総称する。)を販売する被告に対し,① 被告各商品の形態は,周知の商品等表示である別紙原告商品目録記載1~6の各商品(以下「原告商品1」,「原告商品2」などといい,「原告各商品」と総称する。)の形態と類似でありその販売は不正競争防止法2条1項1号の不正競争行為に当たり,② 被告各商品は原告各商品の形態を模倣した商品でありその販売は同項3号の不正競争行為に当たり,③ 被告による被告各商品の販売は原告の法的保護に値する営業活動上の利益を侵害するもので一般不法行為に当たるとして,不正競争防止法4条又は民法709条に基づく損害賠償金及びこれに対する不正競争行為ないし不法行為の後の日である平成25年8月23日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 1 争いのない事実等(弁論の全趣旨により容易に認定することができる事実を含む。)(1) 当事者原告は,プラスチック製容器の企画,デザイン,製造,輸入,販売等を目的とする株式会社である。 被告は,日用雑貨等の卸売業及び小売業等を目的とする株式会社である。 被告補助参加人は,物品の製造,販売等を目的とする株式会社である(以下,被告と被告補助参加人を併せて「被告ら」という。)。 (2) 原告各商品原告は,原告各商品及び別紙原告商品目録記載7の商品(以下「原告商品7」という。)を製造販売している。 (3) 被告各商品被告補助参加人は被告各商品及び別紙被告商品目録記載7の商品(以下「被告商品7」という。)を製造して被告に販売し,被告は被告商品1~7を一般消費者に1個 製造販売している。 (3) 被告各商品被告補助参加人は被告各商品及び別紙被告商品目録記載7の商品(以下「被告商品7」という。)を製造して被告に販売し,被告は被告商品1~7を一般消費者に1個当たり100円(税抜価格)で販売している。 2 争点及び争点に関する当事者の主張本件の争点は,(1) 原告各商品の形態が原告の商品等表示として周知といえるか(争点1-1),(2) 原告各商品の形態と被告各商品の形態が類似するか(争点1-2),(3) 被告各商品が原告各商品の形態を模倣した商品といえるか(争点2),(4) 被告各商品の販売が原告の法的保護に値する営業活動上の利益を侵害するか(争点3),(5) 被告の賠償すべき損害額(争点4)である。 (1) 争点1-1(原告各商品の形態の商品等表示性及び周知性)について(原告の主張)ア原告各商品の形態の特徴原告各商品は,同一の機能・用途を有する従来品とは顕著に異なる次のとおりの特徴的形態を備え,その独特な形状から高い自他識別力を発揮している。それぞれの商品の形態は次のとおりである。 (ア) 原告商品1a 割った生卵を収容する略半球体状の収容部と,b 前記収容部の口部の一端に一体的に設けられ,前記収容部の口部を部分的に塞ぐ蓋部材と,を備え,c 前記蓋部材が,前記収容部に対してヒンジ状に取り付けられ,さらに前記蓋部材には,複数の水切り孔が設けられており,d さらに,前記収容部および蓋部材が樹脂製であり,e 前記収容部および蓋部材が橙色であることを特徴とする半熟卵作成具。 (イ) 原告商品2a 切断されたレモンを包含する略半球体状のレモン包含体を備え,前記レモン包含体は,b レモンの入出を可能とする切欠き部と,c 搾ったレモン果汁を排出する孔部と, (イ) 原告商品2a 切断されたレモンを包含する略半球体状のレモン包含体を備え,前記レモン包含体は,b レモンの入出を可能とする切欠き部と,c 搾ったレモン果汁を排出する孔部と,を少なくとも有し,d さらに前記レモン包含体が,可撓性を有する材質からなり,e 前記レモン包含体が黄緑色であることを特徴とするレモン搾り具。 (ウ) 原告商品3a 複数の突起が少なくとも一方側面より立設された略円形・平面状の平面体を備え,前記平面体は,b 水抜き用の複数の貫通した孔部を有し,c さらに前記平面体が,可撓性を有する合成樹脂材質からなり,d さらに前記平面体が濃いピンク色であることを特徴とするベジタブルブラシ。 (エ) 原告商品4a 底面に複数の穴を有する断面略凹状の本体部を備え,前記本体部は,b 前記底面が略円弧状に構成され,c さらに前記複数の穴が網目状に設けられ,d 前記本体部が高強度な合成樹脂製であり,e 前記本体部が赤色であることを特徴とするニンニク圧砕具。 (オ) 原告商品5a オムレツ作成に要する原材料を収容する木の葉形状の容器体を備える略細長楕円形状のオムレツ作成具であって,b 前記容器体の開口端の略中央部分を折り曲げ,前記開口端を,係止手段を介して閉開するようになっており,c さらに前記容器体が黄色であることを特徴とするオムレツ作成具。 (カ) 原告商品6a 上端部に開閉口部を有する有天筒状の本体部と,b 前記本体部の下端部に周設され,前記本体部の下端部との間で,包装袋の一端部を開封して形成された開口部を嵌合して前記包装袋の開口部を閉じるよう構成された嵌合部材とを有し,前記本体部の前記開閉口部が,c 開口具合の異なる少なくとも2種類以上の開 の間で,包装袋の一端部を開封して形成された開口部を嵌合して前記包装袋の開口部を閉じるよう構成された嵌合部材とを有し,前記本体部の前記開閉口部が,c 開口具合の異なる少なくとも2種類以上の開閉口部からなるd 前記本体部が白色,赤色,ピンク色,橙色,緑色,黄色のいずれかであり,e 前記嵌合部材が白色,赤色,ピンク色,橙色,緑色,黄色のいずれかであることを特徴とする乾麺類収容具。 イ原告各商品は,「簡単・便利なキッチンアイテム」の集合体で,ユニークな形態・形状を有するアイデア商品であり,カラフル,コンパクトでデザイン性が高く,値段も手頃であり,このようなアイデア商品及びその品揃えは原告各商品が初めてであり,他に類似品や競合品は存在しなかった。また,原告商品1~5及び原告商品7は,統一されたパッケージで集合展示がされ,売場やカタログを見ればシリーズ商品であることが分かる。原告各商品は,パッケージ方法や販売方法も相まって一連の商品群として自他識別力を有する。 ウ原告各商品の形態の周知性(ア) 原告各商品の販売a 原告は,平成23年3月に原告商品6を発売し,同年7月に原告商品1~5及び原告商品7を「TATSUYAIDEAKITCHEN」のシリーズ名で発売した。原告各商品は,その特徴的形態が需要者間に広く認識され,またたく間にベストセラー商品となった。原告各商品は,イオン,西友等の大型量販店を含む全国約2,800の店舗で販売されている。 (イ) 原告各商品の宣伝広告は次のとおりである。 a 公式ウェブサイト平成23年8月1日から,「TATSUYAIDEAKITCHEN」の公式ウェブサイトにおいて,原告各商品の商品情報及び使用方法を,動画を用いて明快かつ丁寧に紹介している。平成25年10月11日現在 23年8月1日から,「TATSUYAIDEAKITCHEN」の公式ウェブサイトにおいて,原告各商品の商品情報及び使用方法を,動画を用いて明快かつ丁寧に紹介している。平成25年10月11日現在のウェブサイトの総閲覧数は,ユニークユーザー数213,890,訪問数228,966,ページビュー357,288と相当な数に上り,原告各商品の特徴的形態は全国の需要者に広く認識されている。 b 生協のチラシへの掲載(原告商品1)(a) 日本生活協同組合連合会「キャロット」2012年41号 6,000部平成24年12月18日から掲載2012年45号 7,000部平成25年1月15日から掲載2012年52号 5,650部平成24年12月18日から掲載2013年11号 4,000部平成24年12月18日から掲載2013年18号 2,500部平成24年12月18日から掲載(b) コープCSネット981245号981310号 1,000部平成25年5月20日から掲載(c) コープきんき「くらしのパートナー」2012年52号 1,500部平成25年3月6日より掲載2013年21号 1,500部平成25年8月7日より掲載c 各マスメディアで取り上げられた実績簡単・便利に楽しく料理ができるおしゃれなアイデア商品として,別紙「各マスメディアで取り上げられた実績」のとおり,全国的に著名なテレビ番組,日本経済新聞,大手出版社が刊行する著名な雑誌等で頻繁に取り上げられ,その特徴的な形態が広く周知されるに至った。 エ原告各商品の形態は前記ア及びイのとおり高い自他識別力を有するもので,原告各商品は前記ウのとおり幅広く販売され,マスメディア等に取り上げられたから,原告各商品の形態は,遅くとも平成23年9月末日の 原告各商品の形態は前記ア及びイのとおり高い自他識別力を有するもので,原告各商品は前記ウのとおり幅広く販売され,マスメディア等に取り上げられたから,原告各商品の形態は,遅くとも平成23年9月末日の時点で商品等表示として周知性を獲得した。 (被告らの主張)ア原告の主張する原告各商品の形態は,商品の形態を離れた商品のアイデアや,商品の形態に関連していても抽象的な特徴にすぎないから,たとい原告各商品が長期間販売されるなどしても,これらの形態が原告の商品等表示となることはない。 イ原告の主張する形態が原告の商品等表示として周知性を獲得したとはいえない。 (2) 争点1-2(形態の類似性)について(原告の主張)ア被告各商品は,平成24年12月頃から販売されている。 イ被告各商品の形態は,次のとおり,原告各商品の形態と類似している。 (ア) 原告商品1と被告商品1の形態は,前記(1)(原告の主張)ア(ア)a~dの点で一致する。 (イ) 原告商品2と被告商品2の形態は,(1)(原告の主張)ア(イ)a~dの点で一致する。 (ウ) 原告商品3と被告商品3の形態は,(1)(原告の主張)ア(ウ)a~cの点で一致する。 (エ) 原告商品4と被告商品4の形態は,(1)(原告の主張)ア(エ)a~dの点で一致する。 (オ) 被告商品5の特徴的形態は,「a オムレツ作成に要する原材料を収容する二つの容器体を備える略細長楕円形状のオムレツ作成具であって,b 前記二つの容器体同士がヒンジ状に連結され,前記二つの容器体のそれぞれの開口端を向かい合わせて閉じることができるよう構成されていることを特徴とするオムレツ作成具。」というものである。 前記(1)(原告の主張)ア(オ)のとおり,原告商品5は,従来のフライパンに代わる簡単・便利なアイデア 閉じることができるよう構成されていることを特徴とするオムレツ作成具。」というものである。 前記(1)(原告の主張)ア(オ)のとおり,原告商品5は,従来のフライパンに代わる簡単・便利なアイデア商品として独自の形態を有する商品であるところ,略中央部を縦方向に折り畳んで使用する略細長楕円形状の容器であるという大きな特徴点があり,この点は被告商品5と一致する。 (カ) 原告商品6と被告商品6の形態は,(1)(原告の主張)ア(カ)a~cの点で一致する。 ウ混同のおそれ前記イのとおり原告各商品と被告各商品の形態は類似し,さらに,原告商品7と被告商品7の形態も類似している。 原告商品1~7と被告商品1~7は,形態のみならず,商品のラインナップ,カラフルな色彩,パッケージ方法,商品名称,販売方法,使用説明の内容等についても類似しているから,このような点からも,需要者が原告の商品と混同するおそれがある。 エよって,被告による被告各商品の販売は,不正競争防止法2条1項1号の不正競争行為に当たる。 (被告らの主張)原告各商品と被告各商品の形態には,後記(3)(被告らの主張)アのとおりの相違点があり,類似とはいえない。また,形態が類似でない以上,混同のおそれはない。 (3) 争点2(形態模倣の有無)について(原告の主張)ア原告各商品の形態(ア) 原告商品1a 基本的形態前記(1)(原告の主張)ア(ア)a~dのとおりである。 b 具体的形態① 蓋部材は,略半円板状部分と,開口の略中心部に位置するようにこの略半円板状部分と連続的に設けられた小径半円板状部分と,を備え,② 蓋部材の略半円板状部分の円弧状の部分には,収容部の開口縁に嵌合する嵌合溝が設けられ,③ 蓋部材に設けられた水切り孔は,殆どが円形で等 円板状部分と連続的に設けられた小径半円板状部分と,を備え,② 蓋部材の略半円板状部分の円弧状の部分には,収容部の開口縁に嵌合する嵌合溝が設けられ,③ 蓋部材に設けられた水切り孔は,殆どが円形で等間隔に設けられ,部分的に縦長形状のものが蓋部材の上方突端部付近に設けられ,④ 収容部と蓋部材とは一体成形されており,直径は約100mm,深さは約50mmであり,⑤ 収容部と蓋部材との間に連結部が形成され,この連結部で折り返すことにより,蓋部材が収容部に対してヒンジ状に取り付けられた構成とされ,⑥ 樹脂製の収容部と蓋部材の色はオレンジ色である。 (イ) 原告商品2a 基本的形態前記(1)(原告の主張)ア(イ)a~dのとおりである。 b 具体的形態① 切欠き部は縦長の略長方形であり,② 孔部は,略半球体状のレモン包含体の下端から突設された略円錐状の突出部の先端に設けられ,③ シリコンレモン搾り全体のおおよその大きさは,縦100mm,横80mm,奥行50mmであり,④ 可撓性を有する材質はシリコン樹脂で,シリコン樹脂の色は黄緑色である。 (ウ) 原告商品3a 基本的形態前記(1)(原告の主張)ア(ウ)a~cのとおりである。 b 具体的形態① 複数の突起が立設された平面体の背面中央に環状の指サックが設けられ,② 平面体の複数の貫通した孔部は,未使用時にフックなどに掛けるための直径約7mmの一つの孔と,排水用の直径約2mmの9つの孔からなり,③ 平面体より立設された突起は,高さが約5mmであり,等間隔置きに平面体の上面に設けられ,④ベジタブルブラシ全体のおおよその大きさは,直径が100mm,奥行が40mmであり,⑤ 可撓性を有する材質はエラストマーで,エラストマーの色はピンク色である。 (エ) 原告商品4a られ,④ベジタブルブラシ全体のおおよその大きさは,直径が100mm,奥行が40mmであり,⑤ 可撓性を有する材質はエラストマーで,エラストマーの色はピンク色である。 (エ) 原告商品4a 基本的形態前記(1)(原告の主張)ア(エ)a~dのとおりである。 b 具体的形態① 本体部は,平面視において略円形であり,外形の直径が約80mm,略凹状の部分の直径が約45mm,略凹状の部分の上端から下端までの深さ方向の距離が約40mmであり,正面視において略長方形であり,② 本体部の底面の穴は,それぞれが正六角形であり,この穴が底面内にハニカム構造状に配設され,各穴の大きさは,外接円の直径が約4mmであり,③ 本体部を構成する合成樹脂材質はAS樹脂で,AS樹脂の色は赤透明色である。 (オ) 原告商品5a 基本的形態前記(1)(原告の主張)ア(オ)aに加え,前記容器体の開口端の略中央部分を縦長方向に半分に折り曲げ,前記開口端を,係止手段を介して閉じるようになっており,閉じた際に,平面視が略細長楕円形状である。 b 具体的形態① 係止手段は,貫通穴とこの貫通穴に嵌る突起部の一対からなり,容器体の上端部と下端部にそれぞれ一対設けられ,② 容器体と係止手段とは,一体的に樹脂成形にて成形されており材質はシリコン樹脂であり,③ 全体の大きさは,横が約170mm,縦が約85mm,奥行が約35mmであり,④ シリコン樹脂の色は黄色である。 (カ) 原告商品6a 基本的形態前記(1)(原告の主張)ア(カ)a~cのとおりである。 b 具体的形態① 本体部の形状は,平面視において直径80mm程度の略円形であり,高さが40mm程度であり,正面視において略逆テーパー状であり,② 嵌合部材は,幅15mm程度,厚みが4 る。 b 具体的形態① 本体部の形状は,平面視において直径80mm程度の略円形であり,高さが40mm程度であり,正面視において略逆テーパー状であり,② 嵌合部材は,幅15mm程度,厚みが4mm程度の帯状で,本体部の外周縁に嵌合するように設けられ,③ 2種の開閉口部は,口部から取り出される乾麺の分量(100gと150g)に対応した大きさであり,④ それぞれの開閉口部には,開閉口部を封止する封止体がヒンジ状に連結され,⑤ 材質は,ポリプロピレンであり,ポリプロピレンの色は,白色,赤色,ピンク色,橙色,緑色,黄色のいずれかであり,本体部と嵌合部材の色は同色である。 イ実質的同一性及び依拠性(ア) 従来品には見られない原告各商品の特徴的形態は,上記アの形態のうち,需要者の最も目に付きやすい基本的形態に表れているところ,その特徴的形態(基本的形態)について,原告各商品と被告各商品は共通している。被告らが指摘する部分的な相違点は,原告各商品の骨格をなす特徴的形態に影響を与えないささいな改変にすぎず,実質的同一性は否定されない。 (イ) 原告各商品と被告各商品の形態が実質的に同一であるのみならず,原告商品1~5と同じシリーズを構成する原告商品7の形態と被告商品7の形態も実質的に同一であること,商品に添付された説明書まで似通っていることなどに照らせば,被告各商品は原告各商品に依拠して製作されたことが明らかである。 (ウ) 被告らの行為は原告が資金・労力を投下して築いた開発成果にただ乗りするものであり,新商品の開発者やデザイナーを保護するという不正競争防止法2条1項3号の趣旨に照らしても,許容されるべきものではない。 ウよって,被告による被告各商品の販売は,不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為に当たる。 (被告らの主張 という不正競争防止法2条1項3号の趣旨に照らしても,許容されるべきものではない。 ウよって,被告による被告各商品の販売は,不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為に当たる。 (被告らの主張)ア原告商品1と被告商品1は,蓋部の形状,水切り孔の形状及び配置,蓋部材の突部の有無,把持部の有無並びに収容部の底面の形状の点が,原告商品2と被告商品2は,突出部の配置,切り欠き部から観察した形状,側面側から観察した形状及び底面の模様の有無の点が,原告商品3と被告商品3は,平面体の形状,ブラシの設置位置,指サックの有無,孔部の配置及び孔部の大きさと個数の点が,原告商品4と被告商品4は,本体部の形状,把持部の有無,上面側から観察した形状及び側面側から観察した形状の点が,原告商品5と被告商品5は,容器体の素材と構成,係止手段の構成,閉じた際の底部,開口端側から観察した形状及び閉じた際に側面側から観察した形状の点が,原告商品6と被告商品6は,本体部の形状,嵌合部材の形状と構成及び本体部と嵌合部材の色の点がそれぞれ相違する。 これらの相違点に照らせば,原告各商品の形態と被告各商品の形態は実質的に同一であるとはいえない。 イよって,被告による被告各商品の販売は,不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為に当たらない。 (4) 争点3(法的保護に値する営業活動上の利益の侵害の有無)について(原告の主張)被告は,原告各商品及び原告商品7の一連の商品について,形状及び色合い,シリーズ商品としての組合せ,包装及び陳列等の販売方法並びに説明書を模倣している。このように商品開発コストをかけることなく,原告各商品の形態及び販売方法等を模倣し,原告各商品の1個当たりの販売価格の約5分の1である1個100円という極めて低廉な価格で被告各商品を全国 している。このように商品開発コストをかけることなく,原告各商品の形態及び販売方法等を模倣し,原告各商品の1個当たりの販売価格の約5分の1である1個100円という極めて低廉な価格で被告各商品を全国的に販売したため,原告各商品の売上げは大幅に減少した。 被告による被告各商品の販売は,公正かつ自由な競争原理によるべき取引社会において,著しく不公正な手段を用いて原告の法的保護に値する営業活動上の利益を侵害するものであり,一般不法行為が成立する。 (被告らの主張)形態を模倣した商品の販売に対する保護は不正競争防止法2条1項3号により図られており,これに該当しない以上,一般不法行為には当たらない。 (5) 争点4(被告の賠償すべき損害額)について(原告の主張)ア逸失利益 4320万円被告の国内における店舗は約3000店であり,被告各商品の販売開始時である平成24年12月から平成25年6月末日までの間,少なくとも各商品について各店舗で24個販売されたから,被告が販売した商品個数は43万2000個である。 被告の行為がなければ原告は原告各商品を上記期間内に同一個数を販売できた。原告各商品の1個当たりの粗利は100円である。 よって,原告の逸失利益は4320万円であり,原告は,前記(2)若しくは(3)のとおりの不正競争行為又は前記(4)のとおりの不法行為により,同額の損害を被った。 イ弁護士費用 432万円(被告らの主張)争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点1-1(原告各商品の形態の商品等表示性及び周知性)について(1) 原告は,原告各商品の形態は他の同種商品には見られない特徴を有するものであり,平成23年9月末日までに原告の商品等表示として周知性を獲得したと主張する。 ア不正競争防止法2条1 ついて(1) 原告は,原告各商品の形態は他の同種商品には見られない特徴を有するものであり,平成23年9月末日までに原告の商品等表示として周知性を獲得したと主張する。 ア不正競争防止法2条1項1号が,他人の周知な商品等表示と同一又は類似の商品等表示を使用することを不正競争行為と定めた趣旨は,周知な商品等表示の有する出所表示機能を保護するため,周知な商品等表示に化体された他人の営業上の信用を自己のものと誤認混同させて顧客を獲得する行為を防止することにより,事業者間の公正な競争を確保することにある。商品の形態は,本来商品の出所を表示する目的を有するものではないから,このような商品の形態が同号にいう「商品等表示」に該当するためには,商品の形態が外観上他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しており,かつ,その形態が特定の事業者によって長期間独占的に使用され,又は短期間であっても強力な宣伝広告を伴って使用されることなどにより,需要者においてその形態を有する商品が特定の事業者の出所を表示するものとして周知になっていることを要すると解される。 イこれを本件についてみると,後掲各証拠(以下,枝番号のある証拠について枝番号を記載しない場合はすべての枝番号を含む。)及び弁論の全趣旨によれば次の事実が認められる。 (ア) 原告各商品の発売(甲1~6の各1,22,28,29,46~51の各1)原告は,平成23年3月頃に原告商品6を発売した。また,同年7月頃に原告商品1~5及び7を,台所用品のシリーズとして「TATSUYAIDEAKITCHEN」というシリーズ名称で,包装に広く知られたシェフである川越達也の顔写真及び「TATSUYA/IDEA/KITCHEN」の標章を付した上,発売した。 原告各商品は,全国の大手量販店,食品スーパーマ というシリーズ名称で,包装に広く知られたシェフである川越達也の顔写真及び「TATSUYA/IDEA/KITCHEN」の標章を付した上,発売した。 原告各商品は,全国の大手量販店,食品スーパーマーケット及びホームセンターを含む2700を超える店舗で取り扱われている。 原告各商品は,電子レンジを用いて半熟卵を作ること(原告商品1),手でレモンを搾ること(同2),野菜を洗浄すること(同3),ニンニクをみじん切りにすること(同4),電子レンジを用いてオムレツを作ること(同5)及び開封したパスタの袋にかぶせて所定の量のパスタを取り出せるようにすること(同6)を目的とする台所用品であり,それぞれの機能を発揮させるとともに,カラフルかつコンパクトなものとしてデザインされている。 (イ) 原告各商品についての宣伝広告等(甲30~45)a 平成23年8月から,「TATSUYAIDEAKITCHEN」の公式ウェブサイトを開設し,原告商品1~5及び7の紹介,動画による使用方法の説明等を掲載している。 b 平成24年12月18日以降,生協のチラシに原告商品1及び5が掲載され,組合員等に配布された。 c 平成23年12月以降,別紙「各マスメディアに取り上げられた実績」のうち「備考」欄に証拠番号の記載があるものについて,「媒体名」欄記載の媒体に,「掲載日」欄記載の日に,「商品名」記載のとおりの原告各商品に関する記事及び写真が掲載された。 ウ以上を前提に検討すると,原告各商品の発売時から原告が周知の商品等表示性を獲得したと主張する平成23年9月末日までの原告各商品の販売期間は,原告商品6については約半年,その余の商品については約2か月であるにとどまり,原告が長期間独占的に原告各商品の形態を使用していたとはいえない。また,原告の主張するチラシ での原告各商品の販売期間は,原告商品6については約半年,その余の商品については約2か月であるにとどまり,原告が長期間独占的に原告各商品の形態を使用していたとはいえない。また,原告の主張するチラシ掲載や雑誌掲載等の多くは平成23年9月末日より後のものであり,同日までのウェブサイトの閲覧者数等も明らかではないから,これらは同日までに周知の商品等表示性を獲得したとの原告の主張を裏付けるには足りない。さらに,被告が被告各商品の販売を開始したとされる平成24年12月までの宣伝広告等の実績及び原告の主張するウェブサイトの閲覧者数を考慮するとしても,まず,原告各商品のうちマスメディアに取り上げられたのは原告商品1,5及び6のみであるというのであるから(別紙「各マスメディアに取り上げられた実績」参照),原告商品2~4についてはその形態が周知であると認めることはできない。また,原告商品1が雑誌に取り上げられたのは1回のみであり(甲42),周知性を認めることは困難である。さらに,原告商品6は平成23年12月から平成24年11月までの間に7回,原告商品5は同年3月から8月までの間に4回,それぞれ雑誌に取り上げられているが,いすれも他社の商品が同一頁で紹介されていること,パスタの保存やオムレツの作成の簡易化という機能面を重視した記事となっていること(甲33~42)からすれば,読者に対してこれら商品の形態を印象付けるものとは解し難い。これに加え,これらの雑誌の発行部数は明らかにされていないこと,原告が上記ウェブサイト以外に原告各商品の宣伝広告を行ったとの立証がないことを勘案すると,原告各商品の形態が客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しているとしても,平成23年9月末日ないし被告各商品の販売開始までの間に,原告の商品等表示として周知になったと認 いことを勘案すると,原告各商品の形態が客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しているとしても,平成23年9月末日ないし被告各商品の販売開始までの間に,原告の商品等表示として周知になったと認めることはできない。 (2) さらに,原告各商品の形態と被告各商品の形態の類似性について検討しても,後記2(1)イ及びウにおいて認定判断するとおり,原告各商品と被告各商品の形態には明らかな相違点が複数あり,需要者に対し異なる印象を与えるものである。したがって,原告各商品と被告各商品の形態が類似するということはできない。 (3) よって,その余の点を判断するまでもなく,不正競争防止法2条1項1号に基づく原告の請求は理由がない。 2 争点2(形態模倣の有無)について(1) 原告は,被告各商品は原告各商品の形態を模倣した商品であると主張する。 ア商品の形態とは,需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様,色彩,光沢及び質感をいい(不正競争防止法2条4項),模倣とは,他人の商品の形態に依拠して,これと実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいう(同条5項)。そして,同条1項3号が他人の商品の形態を模倣することを不正競争行為と定めたのは,先行者が商品形態の開発のために投下した費用・労力の回収を可能にすることにより,事業者間の公正な競争を確保するためであると解される。このような同号の趣旨に照らし,問題とされている商品の形態と他人の商品の形態との間に需要者に識別可能な相違点がある場合には,その相違点がわずかな改変に基づくもので,商品の全体的形態に与える変化が乏しく,商品全体から見てささいな相違にとどまると評価されるときは格別,そうでない限り模倣に当たらないとい 違点がある場合には,その相違点がわずかな改変に基づくもので,商品の全体的形態に与える変化が乏しく,商品全体から見てささいな相違にとどまると評価されるときは格別,そうでない限り模倣に当たらないというべきである。 イ前記争いのない事実等,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,原告各商品及び被告各商品の形態は別紙商品対比図のとおりであることが認められ,これらを対比すると次のとおりである。 (ア) 原告商品1と被告商品1(甲9,10,乙1)両商品は半熟卵作成具であり,その形態は,① 割った生卵を収容する略半球体状の収容部と,② 収容部の口部の一端に一体的に設けられ,収容部の口部を部分的に塞ぐ蓋部材とを備え,③ 蓋部材が前記収容部に対してヒンジ状に取り付けられ,④ 蓋部材には複数の水切り孔が設けられており,⑤ 収容部及び蓋部材が樹脂製であるという点で共通する。 他方,両商品の形態は,少なくとも,a 蓋部材の形状(略半円板状か略円板状であるか。なお,前者が原告各商品のもの,後者が被告各商品のものである。以下同じ。),b 水切り孔の形状及び配置(ほとんどが円形で略半円板状の蓋部材の周縁部を中心に略U字状に等間隔に配置されているか,ほとんどが面取りされた長方形で蓋部材の略半分に略半円形状に平行に3段に配置されているか),c 蓋部材の突部の有無(湯きりの際に蓋を抑えるための小径の半円板状の突部が開口部の中心部付近に設けられているか否か),d 把持部の有無(収容部の開口部の周縁部に二つの小径の半円板状の把持部が設けられていないか,設けられているか),e 収容部の底面の形状(平面で脚部が設けられていないか,球面状で底面側に略三角板状の5つの脚部が設けられているか)の点で相違する。 (イ) 原告商品2と被告商品2(甲11,12,乙2) ),e 収容部の底面の形状(平面で脚部が設けられていないか,球面状で底面側に略三角板状の5つの脚部が設けられているか)の点で相違する。 (イ) 原告商品2と被告商品2(甲11,12,乙2)両商品はレモン搾り具であり,その形態は,① 切断されたレモンを包含する略半球状のレモン包含体を備え,② レモン包含体はレモンの入出を可能とする切り欠き部と,③ 搾ったレモン果汁を排出する孔部が開口された略円錐状の突出部とを有し,④ レモン包含体が可撓性を有する材質からなるという点で共通する。 他方,両商品の形態は,少なくとも,a 突出部の配置(レモン包含体の側面部に底面に対して水平方向に設けられているか,レモン包含体の底面の中央部に底面に対して垂直方向に設けられているか),b 切り欠き部から観察した形状(切り欠き部の側から観察すると涙形であるか,円形であるか),c 側面側から観察した形状(半円形又は涙形を半分に切断した形状であるか,キノコ形であるか),d底面の模様の有無(レモン包含体の底面にレモンの断面の模様が凹凸で描かれているか否か)の点で相違する。 (ウ) 原告商品3と被告商品3(甲13,14,乙3)両商品はベジタブルブラシであり,その形態は,① 複数の突起が立設された略円形・平面状の平面体を備え,② 平面体は水抜き用の複数の貫通した孔部を有し,③ 平面体が可撓性を有する合成樹脂材質からなる点で共通する。 他方,両商品の形態は,少なくとも,a 平面体の形状(円板状か,ペイズリー形か),b ブラシの設置位置(平面体の片面か,両面か),c 平面体の背面中央の円筒状の指サックの有無(指サックが設けられているか,存在しないか),d 孔部の配置(平面体の周縁付近に複数設けられているか,平面体の全体に略等間隔で配置されているか), ),c 平面体の背面中央の円筒状の指サックの有無(指サックが設けられているか,存在しないか),d 孔部の配置(平面体の周縁付近に複数設けられているか,平面体の全体に略等間隔で配置されているか),e 孔部の大きさと個数(小さい穴9個と大きい穴1個であるか,等しい大きさの穴12個であるか)の点で相違する。 (エ) 原告商品4と被告商品4(甲15,16,乙4)両商品はニンニク圧砕具であり,その形態は,① 底面に複数の穴を有する断面略凹状の本体部を備え,②本体部は底面が略円弧状に構成され,さらに複数の穴が網目状に設けられ,③ 本体部が高強度な合成樹脂製である点で共通する。 他方,両商品の形態は,少なくとも,a 本体部の形状(ドーナツ状か,皿状か),b 把持部の有無(本体部に二つの突出した把持部を備えていないか,備えているか),c 上面側から観察した形状(円形か,舟形か),d 側面側から観察した形状(略長方形状か,皿状か)の点で相違する。 (オ) 原告商品5と被告商品5(甲17,18,乙5)両商品の形態は,① 原材料を収容する容器体を有し,② 容器体の開口端を長手方向に折り曲げ,開口端を係止手段を介して閉じて使用するオムレツ作成具であるという点で共通する。 他方,両商品の形態は,少なくとも,a 容器体の素材と構成(柔らかいシリコンからなる中央に折り目を設けた周縁部を有する木の葉形の部材一つからなるか,容易に変形しないポリプロピレン製のバナナ形の底部材と蓋部材からなり,両部材が略円筒状の連結部によって摺動自在に連結されているか),b 係止手段の構成(容器体の周縁部の四隅に設けられた円形の穴とこれに対応する凸部からなるか,容器体の両部材の中央部に突出して設けられた一組の係合部材からなるか),c 閉じた際の底部(係止手段側が上 係止手段の構成(容器体の周縁部の四隅に設けられた円形の穴とこれに対応する凸部からなるか,容器体の両部材の中央部に突出して設けられた一組の係合部材からなるか),c 閉じた際の底部(係止手段側が上方に折り目が底面に位置する構成となっているか,係止手段が側面に底部材が底面に位置し底部材には略長方形板状の4つの脚部が設けられているか),d 開口端側から観察した形状(木の葉形か,二つのバナナ形の部材が対向して配置されているか),e 閉じた際に側面側から観察した形状(舟形か,上下に二分割された略長方形に脚部が突出した形であるか)の点で相違する。 (カ) 原告商品6と被告商品6(甲19,20,乙6)両商品は乾麺類収容具であり,その形態は,① 上端部に開閉口部を有する有天筒状の本体部と,② 本体部の下端部に周設され,本体部の下端部との間で,乾麺の包装袋の一端部を開封して形成された開口部を固定して包装袋の開口部を閉じるよう構成された嵌合部材とを有し,③ 本体部の開閉口部が開口する面積の異なる2種の開閉口部からなる点で共通する。 他方,両商品の形態は,少なくとも,a 本体部の形状(上端部側に向かって直径が徐々に拡大して広がっていく略スカート形であるか,直径が一定の円筒状であるか),b 嵌合部材の形状と構成(下端部の外面に嵌合するリング状の嵌合部材により乾麺の袋を固定する構成であるか,下端部の内側の外周面に設けられたねじ山に嵌合する本体部と略同径の円筒状の嵌合部材をはめ込むことによって乾麺の袋を固定する構成であるか),c 本体部と嵌合部材の色(両者の色が同色か否か)の点で相違する。 ウ以上によれば,原告各商品と被告各商品の形態は,基本的な部分(上記イに丸付き数字で摘示した部分)に共通点があるものの,これらの点は,電子レンジで半熟卵を 者の色が同色か否か)の点で相違する。 ウ以上によれば,原告各商品と被告各商品の形態は,基本的な部分(上記イに丸付き数字で摘示した部分)に共通点があるものの,これらの点は,電子レンジで半熟卵を作る,レモンを搾るなどの機能を果たすためにそのような形態が選択されたとみることができる。他方,両商品には,例えば,原告商品1と被告商品1であれば蓋部材の形状や底面側の脚部の有無,原告商品2と被告商品2であれば半円形がキノコ形かという側面側から観察した形状,原告商品3と被告商品3であれば平面体の形状及び指サックの有無など,具体的な形態において一見して識別することのできる明らかな相違点が複数ある。そして,これらの相違点は全体的形態に与える変化が乏しいささいな相違にとどまるとは到底いえないものであるから,両者の形態が類似するとはいえないと判断するのが相当である。 したがって,被告各商品が原告各商品の形態を模倣した商品であるということはできない。 エこれに対し,原告は,被告各商品の販売を許容することは新商品の開発者を保護するという不正競争防止法2条1項3号の趣旨に照らし許されないと主張するが,同号は商品の具体的形態を保護するものであって商品の機能やアイデアを保護するものではないから,具体的形態に大きな相違点があると認められる本件において,同号の不正競争行為を認めることはできない。 (2) よって,その余の点を判断するまでもなく,不正競争防止法2条1項3号に基づく原告の請求は理由がない。 3 争点3(法的保護に値する営業活動上の利益の侵害の有無)について(1) 原告は,被告各商品の販売は,原告各商品の形状及び色合いのほか,シリーズ商品の組合せ,シリーズ商品としての包装及び展示等の販売方法並びに説明書を模倣し,開発コストをかけずに安価な価 ついて(1) 原告は,被告各商品の販売は,原告各商品の形状及び色合いのほか,シリーズ商品の組合せ,シリーズ商品としての包装及び展示等の販売方法並びに説明書を模倣し,開発コストをかけずに安価な価格でされたもので,原告の法的保護に値する営業活動上の利益を侵害し,一般不法行為に当たると主張する。 そこで検討すると,先行商品の形態に依拠して後発商品を作り出し,これを先行商品より安価で販売することは,意匠法及び不正競争防止法を含む法令に反しない限り通常は事業者の正当な経済活動の一環であるから,公正な競争として社会的に許容される限度を超えるような事情がない限り,一般不法行為に当たらないというべきである。 これを本件についてみると,被告各商品それぞれの形態につき不正競争防止法所定の周知の商品等表示の使用や形態の模倣が認められないことは前記1及び2のとおりである。そして,シリーズ商品としてみた場合でも,シリーズを構成する商品の種類や機能が共通しているものの,原告が原告商品1~5及び7を「TATSUYAIDEAKITCHEN」と名付け,有名シェフの顔写真を包装に付して販売しているのに対し,被告各商品においてはこれに類する名称や包装を用いてはいないから(甲1~6,22),全体としてみれば,被告らが原告の販売方法を模倣したとみることはできない。また,個別に販売される商品を一連のシリーズ商品として包装し集合的に展示するのはありふれた販売方法であって,本件における被告の展示方法(甲8)に違法性は認められない。さらに,説明書についてみても,原告各商品と被告各商品の各包装の裏面の記載内容を比較すると,商品の取扱方法及び使用上の注意事項として同一ないし類似する記載があるということができるが,これは両製品の用途及び素材が共通することによるものと解さ 被告各商品の各包装の裏面の記載内容を比較すると,商品の取扱方法及び使用上の注意事項として同一ないし類似する記載があるということができるが,これは両製品の用途及び素材が共通することによるものと解される。むしろ,被告各商品には使用方法として原告各商品と異なるイラストが描かれており,説明文の相当部分の表現が異なっていることからすれば,被告らが原告の説明書を模倣したということはできない。以上によれば,原告の主張する点を勘案しても,被告各商品の販売につき,公正な競争として社会的に許容される限度を超える違法性があるとは認められない。(2) よって,その余の点を判断するまでもなく,一般不法行為に基づく原告の請求には理由がない。4 以上のとおり,原告の請求はいずれも理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第46部 裁判長裁判官長谷川浩二 裁判官清野正彦 裁判官髙橋彩 (別紙)被告商品目録 1 半熟卵ボウル 2 柔らかレモン絞り 3 野菜ブラシ 4 ガーリッククラッシャー 5 オムレツパン 6 パスタキャップ 7 おろし付きまな板 (別紙)原告商品目録 1 レンジで半熟卵ボウル 2 シリコンレモン絞り 3 ベジタブルブラシ 4 ガーリッククラッシャー 5 クイックオムレツ 6 パスタキャップ 7 おろし付きカッティングボード パスタキャップ おろし付きカッティングボード
▼ クリックして全文を表示