平成19(わ)2959 業務上過失傷害,道路交通法違反被告事件

裁判年月日・裁判所
平成21年1月8日 大阪地方裁判所
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判決文本文9,313 文字)

- 1 -主文被告人は無罪。 理由 第1本件公訴事実と弁護人の主張 訴因変更後の本件公訴事実「被告人は,第1平成18年5月8日午前10時23分ころ,業務として普通貨物自動車を運転し,大阪府a市b町c丁目d番e号先の住宅地を通る北行一方通行道路を南から北に向かい時速約20キロメートルで進行するにあたり,同道路の幅員が約2.5メートルと狭あいであったのであるから,減速徐行して,厳に前方左右を注視し,道路上の歩行者の有無及びその安全を確認して進行すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り,前方左右を十分注視せず,進路上の歩行者の有無及びその安全確認不十分のまま,漫然上記速度で進行した過失により,折から,同道路進行方向左側の側溝上を同方向に歩行していたA(当時57年)に気づかず,同人に自車の左側ドアミラーを接触させ,よって,同人に加療約2週間を要する右肘捻挫等の傷害を負わせた。 第2前記日時場所において,前記のとおりAに傷害を負わせる交通事故を起こしたのに,直ちに車両の運転を停止して,同人を救護する等必要な措置を講じず,かつ,その事故発生の日時及び場所等法律の定める事項を,直ちに最寄りの警察署の警察官に報告しなかった」。 弁護人の主張弁護人は(1)本件においてAが当時走行していた自動車と接触したかどうか,,疑問がある(2)仮にAが当時走行していた自動車と接触した事実があったとし,,,,,ても被告人が運転していた自動車がAに接触したものではない(3)被告人はAと接触した認識はなく,被告人に救護,報告義務は生じない旨主張する。 そこで,以下,これらの点について検討する。 - 2 -第2証拠上認められる事実 平成18年5月8日午前10時23分ころ,大阪府a市b町c丁目b番e号先の住宅地を通る 務は生じない旨主張する。 そこで,以下,これらの点について検討する。 - 2 -第2証拠上認められる事実 平成18年5月8日午前10時23分ころ,大阪府a市b町c丁目b番e号先の住宅地を通る北行一方通行道路を,白色の軽四輪自動車が南から北に向かい走行した。その際,Aは,同道路進行方向左側の側溝上付近を同方向に歩行していた(このとき,この自動車がAに接触したかどうかが本件の中心争点である。現場道路は,幅員2.5メートル,側溝0.4メートルであった。 。) 大工のEは,現場道路付近で,タイル屋が来るのを待っており,上記自動車とAの様子を見ていた。 午前10時30分ころ,Aは,自動車に当てられ右肘を打撲した旨110番通報した。その際,Aは,車のナンバ-は「神戸○○○△△△9」であると申告した。f警察署交通捜査係のG巡査は,無線基地局の警察官から連絡を受け,これをメモ用紙に記入し,同係のH巡査に渡した。H巡査らは,現場に赴いた。午前10時55分から午前11時15分ころまで,H巡査により現場付近等の実況見分が行われた。 被告人は,株式会社I住研(従業員10人程度,営業車は,4,5台)に勤務して,木造住宅の安全性の診断等をしていた。被告人は,同日,a市b町g丁目h番i号の顧客のJ方を訪問する予定で,午前10時過ぎころ,I住研の自動車を運転して現場道路を通行したことがあった。被告人の乗車していた車以下被告人車ともいうは白色軽四でナンバ-は神戸○○○い△(「」。),,「△△9」であり,前部ドアには「株式会社I住研」と記載されていた。同車のドアミラーは手動式であった。被告人は,当日,白色カッターシャツ,ネクタイの上に会社の作業衣を着ていた。 被告人は,J宅に行った後,同車でk県l市の顧客宅に向かった。他方 と記載されていた。同車のドアミラーは手動式であった。被告人は,当日,白色カッターシャツ,ネクタイの上に会社の作業衣を着ていた。 被告人は,J宅に行った後,同車でk県l市の顧客宅に向かった。他方,f警察署から上記ナンバーの車の使用者とされていたI住研に連絡があり,同社社長から,被告人にf警察署に連絡するように電話がなされた。そこで,被告人は,f警察署に電話し,その後,同署に赴いた。同日午後7時5分から被告- 3 -人車を警察官が見分したところ,左ドアミラーには払拭痕等は認められなかった。 同日,Aは,F医師の診察を受けた。Aは,軽四に接触したと述べ,右肘の外側と右肩前面の痛みを訴えた。同医師は,Aには外部的な痕跡は見当たらなかったが,衝撃があったときねんざという形で痛みを訴える場所なので,加療約2週間を要する右肘捻挫等の傷害を負ったと診断した。 被告人とAは,同年7月24日,32万円を支払うことで示談した。 本件当時,I住研には,被告人車と同種の神戸○○○い△△△8の白色軽四もあり,同車は,被告人の上司のDが使用していた。同車も同種のドアミラー車であった。Dも,通常,被告人と同じカッターとネクタイ姿で,上に会社の作業衣を着ていた。 ,,。 Dは5月8日の事故当日a市m町n丁目o番p号の顧客のK宅に行ったその後,午前10時30分ころ,a市q町r番s号の同社顧客のL宅に,工事後のアフターメンテナンスのために行った。 本件事故後,本件車両と同一車種の車両で走行し人体の右上腕部と接触した場合の手動式ドアミラーの移動(畳み込み)状態などについて実験を行ったところ,時速9.7キロメートル,20.7キロメートル,29.7キロメートルでそれぞれ衝突した場合,ドアミラーは内側に折り込まれ,人体に衝撃があ,,。 り衝突音は )状態などについて実験を行ったところ,時速9.7キロメートル,20.7キロメートル,29.7キロメートルでそれぞれ衝突した場合,ドアミラーは内側に折り込まれ,人体に衝撃があ,,。 り衝突音は認められたが運転者側に顕著な衝撃・振動は認められなかったまた,窓ガラスを閉めた状態で,本件車両と同一車種の車両を走行させ,A役の警察官の右腕にその左側ドアミラーを衝突させ,その際の発生音,ハンドルを通じて伝わってくる感触,運転席からの視認状況などを見分した結果は,以下のとおりであった。まず,時速10キロメートルで走行してA役に衝突し,,,,「」た場合は左側ドアミラーが内側に折り畳まれ衝突の際運転者にはコンという衝突音が聞こえ,左前方にいるA役が視野に入った。次に,時速約20キロメートルを想定して,実際には時速18.6キロメートルで走行してA役- 4 -に衝突した場合は,時速10キロメートルの時よりも内側に深くドアミラーが折り畳まれ衝突の際運転手には時速10キロメートル時よりも大きなコ,,,「ン」という音が聞こえ,A役が視野に入った。その衝突音を積分騒音計で測定したところ,82デシベルを記録したが,これは,特に意識していなくとも聞こえる音量であった。 第3関係者の供述 A供述後ろから右腕をぶつけられ,目の高さくらいまで右腕がはね上げられた。ドウンという音がした。上体が左側にねじれて,相当な痛みがあった。真横に車が通って行ったので,車に当たったのだと思った。車のどこが当たったのかは分からなかった。運転手の人相は確認できなかったが,後ろから見ると,白いワイシャツを着ていた。 近くにいた大工さんから「当たった。神戸の車だ」と言われた。 。 ブレーキランプが光るのが見えたので止まると思ったが,そのまま行ってしまった。下四 ったが,後ろから見ると,白いワイシャツを着ていた。 近くにいた大工さんから「当たった。神戸の車だ」と言われた。 。 ブレーキランプが光るのが見えたので止まると思ったが,そのまま行ってしまった。下四桁のナンバーを見ることができた。△△△9であった。車は,前方の信号機のあるところを右折した。 私は,110番通報した。警察官が来る1,2分前に,もう一度同じ車が南から北に同じ道路を通ってきた。上の○○○という数字も確認できた。神戸ナンバーで○○○の△△△9だった。私は,止めるために左手を振った。運転手の顔を見た。目があった。白いワイシャツを着ていた。被告人であった。車は止まらず北に行った。車のサイドミラーがどうなっていたか見ていない。車は,真っ直ぐ行った信号機のところを東(右)に行った。その後,警察官が来たので,状況を説明した。 E供述私が現場道路付近に立って,タイル屋の車が来る方向を見ていると,白色の軽のワンボックスカーの左側のサイドミラーとAの右腕,右ひじ辺りが当たったの- 5 -を目撃した。Aの腕はちょっと前に振られる感じで,目線の高さまで跳ね上げられるほどではなかった。プラスチックが当たるような音がした。 ぶつかった後,車のサイドミラーは畳む方に倒れた。半分ぐらいは曲がったと思う車の右手の道路よりも30センチぐらい高くなっていたところから立って。 見ていたので,左斜めで,見える場所でぶつかった。 車は,一度,ブレーキランプがつき,止まるのかと思ったが,ブレーキランプを外して進んで,進行方向の方に走り去った。私の真正面に来て通り過ぎていったときに,運転席側の窓ガラス越しに運転手と目と目が合った記憶がある。通り過ぎてブレーキランプを踏んだ後に,止まるのかと思ったときに走り去って行ったので,ナンバーを見た。神戸ナンバーの車というのをは たときに,運転席側の窓ガラス越しに運転手と目と目が合った記憶がある。通り過ぎてブレーキランプを踏んだ後に,止まるのかと思ったときに走り去って行ったので,ナンバーを見た。神戸ナンバーの車というのをはっきり覚えている。 車が走っていった後に,Aから,今ぶつけられたよなあと声をかけてきた。右腕の方を痛そうに抱えていた。待っていたタイル屋さんが来たので,それぐらい,。 ,しかしゃべらずに現場の中に入っていったAが警察に電話をかけているのは聞いていない。 ,。 。 Aとはこの事件以前には面識は全くなかった運転手の顔は記憶していない被告人かどうかわからない。 ナンバーの下二けたとかいうのは覚えていて,警察官にしゃべったと思う。 私が警察の人に呼ばれたときに,Aが,もう一度同じ車が戻ってきたときにナンバーをもう一回ちゃんと覚えて記憶しているという話は聞いた。 被告人供述会社の顧客のJ宅に向かっていた。午前10時30分に約束していた。J宅に行くのは2回目だった。車のカーナビゲーションにJ方を登録しており,カーナビゲーションの音声と表示の指示に従って行った。しかし,たどり着けなかったので,J宅を捜し,15分から20分ぐらい,付近をぐるぐる回った。本件現場を通り,Mのところを左折した。その後国道t号線に入ったことがあった。午前10時30分ころにJ宅に到着した。 - 6 -私は,J宅を捜すのに必死で,ナビも見ていたので,周りに気を付けて運転していたかと言われたら,集中不足だった点もある。私の車の左ドアミラーとAが接触したということは分からなかった。私の車の左側ドアミラーが折り畳まれるということは,走行している間に1度もなかった。 警察署に行った後,H警察官から,私の車がAと接触したと言われた。記憶はあるかと尋ねられたが,記憶はなかった。その後,警察官 側ドアミラーが折り畳まれるということは,走行している間に1度もなかった。 警察署に行った後,H警察官から,私の車がAと接触したと言われた。記憶はあるかと尋ねられたが,記憶はなかった。その後,警察官から,目撃者もいるので,謝ったらどうかと言われて,Aに会って話をした。私は,私のナンバープレートの車に当たったと言われるし,その場所を当日通っているのは事実なので,自分がぶつけたのだろうと思った。それで,Aに謝って,示談をした。 しかし,その後,裁判になって,目撃者が,公判で,完全に車のミラーが折れていたと言っていたので,それなら,Aに当てたのは私ではないと思うようになった。 私の車には,フロントガラス1枚,サイドガラス左右各3枚,リアガラス1枚があるが,うち,各サイドガラスの2番目と3番目,リアガラスにはスモークが張ってあった。 D供述,,,。 私は5月8日大阪府a市b町同m町及び同q町内を会社の車で走行したまず,顧客のK宅に行き,その後,本件現場を北進し,先のコンビニエンスストアのところの交差点を右折し,午前10時30分ころ,顧客のL宅に行った。 同日午前10時23分ころ,本件現場道路を,私が「神戸○○○い△△△8」のI住研の自動車を運転して通っていた可能性はある。 しかし,運転中,だれかにぶつかったとか,こすったとかいうような記憶はない。ドアミラーが畳まれていたというようなことはなかった。 第4争点についての判断 Aの右腕が当時走行していた自動車と接触したか否かについて前記のとおり,Aは,本件現場で車が右腕に接触した旨供述しているところ,- 7 -当時,本件現場付近にいたEも,これを目撃した旨供述しており,同人はA,被告人と面識のない者で,虚偽供述をなすような事情は何ら窺われず,Eの供述は信用性が高いものと認められる。 ところ,- 7 -当時,本件現場付近にいたEも,これを目撃した旨供述しており,同人はA,被告人と面識のない者で,虚偽供述をなすような事情は何ら窺われず,Eの供述は信用性が高いものと認められる。よって,Aの右腕が当時走行していた自動車と接触したことは合理的疑いを入れることなく認定できる。 そして,当時の自動車の走行速度等に照らすと,Aが公訴事実記載の傷害を負うことは特に不自然ではなく,同傷害を負ったものと認定できる。 Aに接触した自動車が被告人運転の自動車であったか否かについて(1)肯定方向に働く事情①Aが警察に110番通報をした際,Aは,車のナンバ-は「神戸○○○△△△9」であると申告しており,Aが110番通報当時,事故で接触した車のナンバーが「神戸○○○△△△9」と思っていたことは明らかである。 ②被告人が当日運転していた車は「神戸○○○い△△△9」であり,被告人車は,本件事故の直後に本件現場を通行したことは明らかである(2回目の通行車の運転者が被告人であったとのAの供述は信用できる。 。)③Aの右腕と左側サイドミラーが接触した車は,白色の軽のワンボックスカーで,神戸ナンバーの車であったが,被告人が当日運転していた車は神戸ナンバーの白色の軽四輪自動車であった。 ④Aは接触後車の下四桁のナンバーを見ることができた△△△9で,「,。 あったと供述しており当時Aがいた地点から接触した車のナンバー。」,,を見ることは可能であった。 ⑤Eは公判では下二けたとかいうのは覚えていて警察官にしゃべっ,,「,たと思う旨供述しているEはAが述べる2回目に現場を通行したと。」。 ,いう車を見ておらず,Aに接触した車のみ見ていたのであるから,記憶の混同が生じる余地はなく,Eが下二けたのナンバ ,たと思う旨供述しているEはAが述べる2回目に現場を通行したと。」。 ,いう車を見ておらず,Aに接触した車のみ見ていたのであるから,記憶の混同が生じる余地はなく,Eが下二けたのナンバーを認識,記憶していたのであれば,接触車が被告人車である可能性は極めて高いことになる。 - 8 -⑥被告人は,本件当時,J宅を捜し,15分から20分ぐらい,付近をぐるぐる回ったことを認めており,本件現場を2回走行した可能性はある。 ⑦被告人は,捜査段階においては,Aに自車が接触したことは気付かなかったとはするものの,十分注意して運転していたのではないことから,接触した事実自体は争っていなかった。 ⑧被告人は,Aに金銭を支払い,示談を成立させている。 ⑨小括以上の諸点のみに照らすと,被告人車がAに接触したと認定できるものといえる。 (2)否定方向に働く事情①Aは自分に接触した車が神戸ナンバーで下4桁が△△△9である,「「」ことを認識し,110番通報したが,警察官が来る1,2分前に,もう一度同じ車が南から北に同じ道路を通ってきた。その際,上の○○○という。 。」。 数字も確認できた神戸ナンバーで○○○の△△△9だったと供述するしかし,前記認定事実によれば,Aが110番通報した時点で,Aは,車のナンバ-は「神戸○○○△△△9」であると申告したことは明かである。すると,1回目の通行後に110番通報をし,その後,2回目に通行した車を見て「○○○」を確認できたというA供述は,これに符合しない。110番通報したのは,2回目に車が通行した後である疑いが高いものとみられる。 なお,この点について,検察官は,2度目の通行で「○○○」を確認したというAの公判供述は記憶誤りである旨主張する。 しかし,2度目の通行で「○○○」と確認したこ た後である疑いが高いものとみられる。 なお,この点について,検察官は,2度目の通行で「○○○」を確認したというAの公判供述は記憶誤りである旨主張する。 しかし,2度目の通行で「○○○」と確認したことのみが記憶誤りであるとは,断じられず,1回目の通行後,2回目の通行前に110番通報したこと自体が記憶誤りである可能性が高い。 また,このように,車のナンバーに関する事項について,Aの供述には- 9 -明らかに記憶誤りがあることに照らすと,1回目の接触車が「神戸△△△9」であったという点も記憶誤りである可能性も否定できない。すなわち,接触車がD車で下四桁が「△△△8」であった場合でも,2回目に通行した被告人車が「○○○△△△9」であったことから,当初見た車のナンバーを「△△△9」であったと記憶してしまう可能性も否定できない△△△9と△△△8は上3けたの数字は共通しており最後の数(「」「」,字の と も の先端が上に伸びれば になるもので形「」「」,「」「」が近似している。写真撮影報告書によれば,被告人車の「9」の字も先端が真っ直ぐではなく,曲がった形になっている。 。)また1回目で神戸△△△9と認識できたのであれば何故こ,,「」,,の段階でその番号で110番通報しなかったのかも疑問が残る。 ②Eは公判で下二けたとかいうのは覚えていて警察に行ったときも,,「,警察官にしゃべったと思う」旨の供述をしているものの,警察官調書(弁。 11)では,車のナンバーについては「神戸という文字と車のマークが見,」,。 えたとの記載がなされているものの下二けたのナンバーの記載はない車のマークのことまで述べて調書に記載されていることからすると,Eがより具体的な下二け 「神戸という文字と車のマークが見,」,。 えたとの記載がなされているものの下二けたのナンバーの記載はない車のマークのことまで述べて調書に記載されていることからすると,Eがより具体的な下二けたのナンバーを記憶していたのであれば,警察官に話し,記載されるはずである。そのような記載がなされていないということは,本件捜査当時においてもEは,そのような記憶がなかった疑いは高いものである。また,Eのこの点に関する公判供述自体も,断言するものではなくしゃべったと思うというものである以上によればこの点に,「」。 ,関するEの公判供述の信用性は高いものとはいえない。 ③被告人の上司であるDは,I住研の被告人車と同種であり,ナンバーが「神戸○○○い△△△8」と被告人車と一番違いの自動車を運転して,午前10時30分ころより前に,本件現場を北進し,その先のコンビニエンスストアのところの交差点を右折した旨供述している。これは,車種,時- 10 -間帯のみならず,Aが供述する接触車の進行方向とも一致する。また,Dは,被告人とは年齢が3歳しか違わず,服装も被告人と同様で,Aが供述する服装に符合するなおDは運転中だれかにぶつかったとかこ。 ,,「,,すったとかいうような記憶はない。ドアミラーが畳まれていたというようなことはなかったと供述し接触の事実を否認するがこの供述は被。」,,,告人の供述と同様のものである。 これらの事実によれば,本件接触車がD車であった可能性も否定できない。 ④本件当日午後7時5分から被告人車を警察官が見分したところ,左ドアミラーには払拭痕等は認められなかった。そして,その他,被告人車のドアミラーがAに接触したことを裏付ける痕跡はない。 ⑤被告人が,捜査段階において,Aに自車が接触し を警察官が見分したところ,左ドアミラーには払拭痕等は認められなかった。そして,その他,被告人車のドアミラーがAに接触したことを裏付ける痕跡はない。 ⑤被告人が,捜査段階において,Aに自車が接触したことは気付かなかっ,,,たとはするものの接触した事実自体は争っておらずAに金銭を支払い示談を成立させていることは,被告人が当時,カーナビに注意がいき,運転自体には十分注意していなかったのであれば,不自然なものとはいえない。 この点について,検察官は,ドアミラーが折り込まれていたことを公判になって聞いて,供述を変遷したというのは不合理である旨主張する。しかし,被告人は,捜査段階から一貫して,接触の事実自体は認識していなかった旨供述しているところ,捜査段階の供述調書には,ドアミラーは曲がっていなかったとの供述記載はあるものの,これが折り込まれる(曲がっている)ことを目撃されていることに関する記載はなく,この点を示して,捜査官が被告人に尋ねているような状況は証拠上みられない。また,Aは,サイドミラーがどうなっていたか見ていないと供述しており,同人との示談交渉の際等に,Aがこの点を被告人に述べたような事情も証拠上認められない。以上によれば,この点に関する被告人の供述は不自然とは- 11 -いえない。 (3) 結論 以上によれば,被告人車がAに接触した疑いは相当高いものの,Aに接触した車が被告人車とナンバーが一番違いのDが運転していた車であった可能性も否定することはできず,被告人が本件接触をなした犯人であることについて合理的な疑いを否定できない。 そうすると,その余の点について判断するまでもなく,公訴事実第2の事実についても認定できない。 よって,本件各公訴事実については犯罪の証明がないことになるから,刑事訴訟法336条により被告人に対 そうすると,その余の点について判断するまでもなく,公訴事実第2の事実についても認定できない。 よって,本件各公訴事実については犯罪の証明がないことになるから,刑事訴訟法336条により被告人に対し無罪の言渡しをする(求刑懲役8月。 。 )平成21年1月8日大阪地方裁判所第13刑事部裁判官横田信之

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