令和5年9月29日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和2年(ワ)第18421号特許権侵害差止等請求事件令和2年(ワ)第23231号特許権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日令和5年6月13日判決 原告スリーエムイノベイティブプロパティズカンパニー 原告承継参加人スリーエムジャパン株式会社 (以下「参加人」という。) 上記2名訴訟代理人弁護士根本浩 中野亮介 同訴訟代理人弁理士稲葉良幸 同補佐人弁理士阿部豊隆 伊東有道 脱退原告スリーエムジャパンイノベーション株式会社 被告日本カーバイド工業株式会社 同訴訟代理人弁護士黒田健二 吉村誠 同訴訟代理人弁理士松本孝 主文 1 原告及び参加人の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告及び参加人の負担とする。 3 原告のために、この判決に対する控訴のための付加期間を30日と定める。 事実 及び理由第1 請求 1 被告は、別紙被告製品目録記載の製品を製造し、譲渡し、輸出し、輸入し、又は譲渡の申出(譲渡のための展示を含む。)をしてはならない。 2 被告は、別紙被告製品目録記載の製品を廃棄せよ。 3 被告は、原告に対し、9800万円及びこれに対する令和2年9月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 被告は、参加人に対し、200万円及びこれに対する令和2年9月17日から支払済みまで年3パーセン 9800万円及びこれに対する令和2年9月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 被告は、参加人に対し、200万円及びこれに対する令和2年9月17日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 事案の要旨本件は、発明の名称を「キューブコーナー素子を有する層状体および再帰反射シート」とする特許第5302282号の特許(以下「本件特許」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)を有する原告が、被告による別紙 被告製品目録記載の製品(以下「被告製品」という。)は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1及び4に係る発明(以下、請求項の番号に従って「本件発明1」及び「本件発明4」といい、これらを総称して「本件各発明」という。)の技術的範囲に属し、被告による被告製品の製造販売等は、本件特許権を侵害すると主張して、被告に対し、特許法100条1項及び2項に基づき、被告製品 の製造販売等の差止め及び廃棄を求めるとともに、特許権侵害の不法行為に基 づき、損害金2億6400万円のうち9800万円及びこれに対する令和2年9月17日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求め、原告から本件特許権について独占的通常実施権の許諾を受けた参加人(以下、原告と併せて「原告ら」ということがある。)が、被告に対し、当該独占的通常 実施権侵害の不法行為に基づき、損害金660万円のうち200万円及びこれに対する令和2年9月17日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 当初は、脱退原告が、被告に対し、請求の趣旨第4項に係る請 れに対する令和2年9月17日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 当初は、脱退原告が、被告に対し、請求の趣旨第4項に係る請求をしていたところ、参加人が、会社分割による脱退原告からの承継を原因として、令和2 年9月14日、承継参加の申出をし、被告が、脱退原告の脱退を承諾したことから、脱退原告は、本件訴訟から脱退した。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲各証拠(特記しない限り枝番を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実)(1) 当事者 ア原告は、アメリカ合衆国デラウェア州法に基づいて設立された法人であり(弁論の全趣旨)、本件特許権を保有する者である。 参加人は、令和2年6月24日、脱退原告との間で、脱退原告を吸収分割会社、参加人を吸収分割承継会社、効力発生日を同年8月1日として、本件特許権の独占的通常実施権に関連する事業を脱退原告から参加人に承 継させることを含む吸収分割契約を締結し、当該効力発生日をもって、同事業に関する権利義務を承継した(丙1ないし3)。 イ被告は、再帰反射シートを含む合成樹脂製品等の製造、販売を主な事業内容とする会社である。 (2) 本件特許 ア原告は、平成16年2月26日を出願日(優先日(最先。以下「本件優 先日」という。)は平成15年3月6日、優先権主張国は米国)とする特許出願(特願2006-508834)の一部を分割して、平成22年9月22日に本件特許に係る特許出願(特願2010-211837号。以下「本件出願」という。)をし、平成25年6月28日、本件特許権の設定登録(請求項の数4)を受けた(甲3、4。以下、本件出願の願書に添付し た明細書及び図面を (特願2010-211837号。以下「本件出願」という。)をし、平成25年6月28日、本件特許権の設定登録(請求項の数4)を受けた(甲3、4。以下、本件出願の願書に添付し た明細書及び図面を併せて「本件明細書」という。また、明細書の発明の詳細な説明中の段落番号を【0001】などと、図を【図1】などと、それぞれ記載する。)。 イ脱退原告は、令和2年7月1日、原告から、本件特許権について独占的通常実施権の許諾を受けた(甲1)。 前記(1)アのとおり、参加人は、令和2年8月1日、脱退原告から、本件特許権の独占的通常実施権に関連する事業についての権利義務を承継した。 (3) 本件各発明に係る特許請求の範囲本件特許の特許請求の範囲の請求項1(本件発明1)及び請求項4(本件発明4)の記載は、それぞれ以下のとおりである。 ア本件発明1キューブコーナー素子を有する物品であって、少なくともいくつかの該キューブコーナー素子が、基準平面に対して非平行でありかつ隣接しているキューブコーナー素子の隣接している非二面縁に実質的に平行である、少なくとも1つの非二面縁を有しており、ここで、基準平面とはキューブ コーナー素子が配設されている平面を意味し、少なくとも1つのキューブが1-2二面角誤差および1-3二面角誤差を有し、ここで、二面角誤差とはキューブコーナー素子の二面角の90度から偏差として定義され;かつ該二面角誤差が大きさ及び/又は符号において変化しており、該二面角誤差の大きさが1分~60分である、物品。 イ本件発明4 キューブコーナー素子を有する物品であって、少なくともいくつかの該キューブコーナー素子が、基準平面に対して非平行でありかつ隣接しているキューブコーナー素子の隣接している非二面縁に キューブコーナー素子を有する物品であって、少なくともいくつかの該キューブコーナー素子が、基準平面に対して非平行でありかつ隣接しているキューブコーナー素子の隣接している非二面縁に実質的に平行である、少なくとも1つの非二面縁を有しており、ここで、基準平面とはキューブコーナー素子が配設されている平面を意味し、少なくとも1つのキューブ コーナー素子が1分~60分の範囲の3つの二面角誤差を有し、ここで、二面角誤差とはキューブコーナー素子の二面角の90度から偏差として定義され、該二面角誤差が互いに異なっている、物品。 (4) 本件各発明の構成要件の分説本件各発明は、以下の構成要件に分説することができる(以下、各構成要 件につき、頭書の記号に従って「構成要件1-A」などという。)。 ア本件発明11-A キューブコーナー素子を有する物品であって、1-B 少なくともいくつかの該キューブコーナー素子が、1-B1 基準平面に対して非平行でありかつ 1-B2 隣接しているキューブコーナー素子の隣接している非二面縁に実質的に平行である、少なくとも1つの非二面縁を有しており、1-B3 ここで、基準平面とはキューブコーナー素子が配設されている平面を意味し、 1-C 少なくとも1つのキューブが1-C1 1-2二面角誤差および1-3二面角誤差を有し、1-C2 ここで、二面角誤差とはキューブコーナー素子の二面角の90度から偏差として定義され;1-C3 かつ該二面角誤差が大きさ及び/又は符号において変化して おり、 1-C4 該二面角誤差の大きさが1分~60分である、1-D 物品。 イ本件発明44-A キューブコーナー素子を有する物品であって、4- て変化して おり、 1-C4 該二面角誤差の大きさが1分~60分である、1-D 物品。 イ本件発明44-A キューブコーナー素子を有する物品であって、4-B 少なくともいくつかの該キューブコーナー素子が、 4-B1 基準平面に対して非平行でありかつ4-B2 隣接しているキューブコーナー素子の隣接している非二面縁に実質的に平行である、少なくとも1つの非二面縁を有しており、4-B3 ここで、基準平面とはキューブコーナー素子が配設されてい る平面を意味し、4-C 少なくとも1つのキューブコーナー素子が4-C1 1分~60分の範囲の3つの二面角誤差を有し、4-C2 ここで、二面角誤差とはキューブコーナー素子の二面角の90度から偏差として定義され、 4-C3 該二面角誤差が互いに異なっている、4-D 物品。 (5) 被告による被告製品の製造販売等被告は、遅くとも本件特許権が登録された平成25年6月28日から、現在に至るまで、被告製品を、日本国内において業として製造及び輸入した上 で、日本国内において販売又は販売の申し出を行っている。 (6) 被告製品の構成の概要ア被告製品は、反射面側から見て、順に、トップフィルム層、プリズム層、空気層、合成樹脂層、接着剤及び剥離フィルムから構成されており、プリズム層と合成樹脂層との間には、支柱部が設けられている(別紙被告製品 図面目録記載1の図面参照。甲8)。 上記トップフィルム層にはアクリル樹脂が、上記プリズム層にはポリカーボネート樹脂がそれぞれ用いられている(乙117)。 上記プリズム層には、六角形型の完全キューブコーナーの形状(キューブコーナー素子の三つの反射面がいずれもおおむね正 が、上記プリズム層にはポリカーボネート樹脂がそれぞれ用いられている(乙117)。 上記プリズム層には、六角形型の完全キューブコーナーの形状(キューブコーナー素子の三つの反射面がいずれもおおむね正方形のもの)をしたプリズム素子(以下「被告プリズム」ということがある。)のほかに、非六 角形型のプリズム素子が形成されている(甲15)。 イ被告プリズムの構造(電子顕微鏡で撮影したもの)は、別紙被告製品図面目録記載2のとおりである(乙8)。被告プリズムの1辺の長さは約0. 1mm(100μm)である。 ●(省略)● (8) 被告製品の構成要件充足性被告製品は、構成要件1-B、1-C、4-B及び4-Cをいずれも充足する。 3 争点(1) 被告製品が本件各発明の技術的範囲に属するか(争点1) ア構成要件1-Aの充足性(争点1-1)イ構成要件1-B1の充足性(争点1-2)ウ構成要件1-B2の充足性(争点1-3)エ構成要件1-B3の充足性(争点1-4)オ構成要件1-C1の充足性(争点1-5) カ構成要件1-C2の充足性(争点1-6)キ構成要件1-C3の充足性(争点1-7)ク構成要件1-C4の充足性(争点1-8)ケ構成要件1-Dの充足性(争点1-9)コ構成要件4-Aの充足性(争点1-10) サ構成要件4-B1の充足性(争点1-11) シ構成要件4-B2の充足性(争点1-12)ス構成要件4-B3の充足性(争点1-13)セ構成要件4-C1の充足性(争点1-14)ソ構成要件4-C2の充足性(争点1-15)タ構成要件4-C3の充足性(争点1-16) チ構成要件4-Dの充足性(争点1-17)(2) 無効の抗弁の成否(争点2 (争点1-14)ソ構成要件4-C2の充足性(争点1-15)タ構成要件4-C3の充足性(争点1-16) チ構成要件4-Dの充足性(争点1-17)(2) 無効の抗弁の成否(争点2)ア明確性要件違反(争点2-1)イサポート要件違反(争点2-2)ウ実施可能要件違反(争点2-3) エ吹野正外「反射器のプリズムについての検討」(照明学会雑誌53巻6号(1969))(以下「乙34文献」という。)を主引用例とする新規性及び進歩性欠如(争点2-4)オ特開昭49-106839号公報(以下「乙39文献」という。)を主引用例とする新規性及び進歩性欠如(争点2-5) カ米国特許第3833285号明細書(以下「乙40文献」という。)を主引用例とする新規性及び進歩性欠如(争点2-6)キ特表2002-541504号公報(以下「乙12文献」という。)を主引用例とする新規性及び進歩性欠如(争点2-7)(3) 原告らの損害(争点3) ア原告に生じた損害の有無及びその額(争点3-1)イ参加人に生じた損害の有無及びその額(争点3-2)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1-1(構成要件1-Aの充足性)について(原告らの主張) (1) 構成要件1-Aの「物品」の意義 本件発明1の請求項では、単に「物品」と規定されているにすぎず、何らの限定もない。 (2) 被告製品の構成被告製品のカタログには、「フルキューブ六角錐型プリズムを採用した広角プリズム型超高輝度再帰反射シートです。」と、被告製品のプリズムの形状に ついて「六角錐型」と記載されている。しかし、同カタログに図示されている形状からすると「六角錐型」ではなく、「六角形型」であることから、同カ 再帰反射シートです。」と、被告製品のプリズムの形状に ついて「六角錐型」と記載されている。しかし、同カタログに図示されている形状からすると「六角錐型」ではなく、「六角形型」であることから、同カタログの「六角錐型」との記載は「六角形型」の誤記と考えられる。また、実際に原告が入手した被告製品を顕微鏡で観察したところ、被告製品は、六角形型のフルキューブコーナーの形状をしたプリズムが多数配列された製品 であることが確認された。 したがって、被告製品は、以下の構成を有する。 1-a 六角形型のフルキューブコーナーの形状をしたプリズムを有する再帰反射シート(3) あてはめ 被告製品の構成1-aのうち、「六角形型のフルキューブコーナーの形状をしたプリズム」及び「再帰反射シート」は、それぞれ構成要件1-Aの「キューブコーナー素子」及び「物品」に相当する。 したがって、被告製品は、構成要件1-Aを充足する。 (4) 被告の主張に対する反論 被告が指摘する本件明細書の記載は、本件各発明の実施例の説明としての記載であって、本件各発明の構成が本件明細書に記載された製造方法でのみ製造されることを示しているものではない。 したがって、被告プリズムが請求項1に記載された構成要件を備えてさえいれば、その製造方法がどのようなものであっても、本件発明1の技術的範 囲に含まれる。 (被告の主張)(1) 構成要件1-Aの「物品」の意義本件発明1の「物品」は、本件明細書の【0001】、【0029】及び【0030】に明記されているとおり、「キューブコーナー素子を有する層状体、層状体のアセンブリーを有するツール、およびその複製物(とくに再帰 反射シート)」の物品に限定される。 (2) 被告製品の構成構成 記されているとおり、「キューブコーナー素子を有する層状体、層状体のアセンブリーを有するツール、およびその複製物(とくに再帰 反射シート)」の物品に限定される。 (2) 被告製品の構成構成要件1-Aの「物品」の意義を踏まえ、これと対比することを前提とすると、被告製品の構成1-aは、「六角形型のフルキューブコーナーの形状をしたプリズムを有する、平面状基材の母型の複製物である再帰反射シート」 とすべきである。 (3) あてはめ被告製品は、層状体やその複製物ではなく、平面状基材の母型の複製物であるから、構成要件1-Aの「物品」(「層状体やその複製物である物品」)に当たらない。 したがって、被告製品は、構成要件1-Aを充足しない。 2 争点1-2(構成要件1-B1の充足性)について(原告らの主張)(1) 「基準平面」の意義本件明細書の【0031】の記載によれば、「『基準平面』とは、一群の隣 接しているキューブコーナー素子または他の幾何学的構造体の近傍の平面(この平面に沿ってキューブコーナー素子または幾何学的構造体が配設される)を近似した平面または他の表面を意味する」と理解できる。 (2) 被告製品の構成被告製品のカタログの記載からすれば、被告製品を構成する被告プリズム の外縁は、プリズム層の下層に位置する合成樹脂層と平行な面に対して非平 行の関係にある。また、原告らにおいて、被告製品を構成する被告プリズムの外縁の高さ(被告製品を設置した平面上でのZ軸上の位置)を測定したところ、被告プリズムの外縁は、被告製品の底面(プリズム層の下層に位置する合成樹脂層の面)に対して非平行の状態であることが確認された。 したがって、被告製品は、以下の構成を有する。 1-b1 そのプリズ プリズムの外縁は、被告製品の底面(プリズム層の下層に位置する合成樹脂層の面)に対して非平行の状態であることが確認された。 したがって、被告製品は、以下の構成を有する。 1-b1 そのプリズム層の下層に位置する合成樹脂層の面に対して非平行な関係にある外縁を有し、かつ(3) あてはめ被告製品の構成1-b1のうち、「合成樹脂層の面」は、構成要件1-B1の「基準平面」に相当する。 したがって、被告製品は、構成要件1-B1を充足する。 (4) 被告の主張に対する反論原告らは、構成1-b1として、合成樹脂層が「プリズム層の下層に位置する」という構成を備えることを主張しているところ、プリズム層が合成樹脂層の上部に位置されていることは争いがないのであるから、被告製品がか かる構成を備えていることに議論の余地はない。また、被告製品において、プリズム層と合成樹脂層とは平行であり、被告プリズムの外縁は合成樹脂層に対して非平行であることから、被告プリズムが基準平面に対して非平行な非二面縁を有していることは明らかである。 被告が指摘する本件明細書の【0055】に記載された基準平面24は、 本件発明1の「基準平面」ではない。また、被告製品はシートロールの形状で梱包、送付され、使用時にロール状からシート状にすることは、被告製品のカタログの記載から明らかである。 (被告の主張)(1) 「基準平面」の意義 本件発明1の「基準平面」は、本件明細書の【0031】及び【0036】 の記載のみからは不明確であるが、本件明細書の【0055】の「同一の列内のキューブはすべて同一であり、列は基準平面24に平行である。」という記載からすれば、主面12と14との間の中央に配置される第1の基準平面24(【0036】)を 件明細書の【0055】の「同一の列内のキューブはすべて同一であり、列は基準平面24に平行である。」という記載からすれば、主面12と14との間の中央に配置される第1の基準平面24(【0036】)を意味すると理解できる。 (2) 被告製品の構成 被告製品の構成1-b1は、「そのプリズム層の下層に位置する支柱部の面に対して平行な関係にある外縁を有し」とすべきである。 原告らは、被告プリズムの外縁が合成樹脂層の面に対して非平行であると主張するが、被告は、被告製品を製品ロール状のもので出荷しているため、被告製品は製品ロール芯に巻き取られて湾曲し曲面になっており、合成樹脂 層は「曲面」であって「平面」ではない。また、原告らは、被告製品について、使用時にロール状からシート状にされると主張するが、被告が被告製品を製品ロール状からシート状にして使用することについて、具体的な主張も立証もされていない。 (3) あてはめ プリズム層が配設されている支柱部の面は、被告プリズムの外縁と「平行」である以上、被告製品は、構成要件1-B1を充足しない。 仮に、原告らの主張する被告製品の構成を前提としても、被告製品の構成1-b1の「そのプリズム層の下層に位置する合成樹脂層の面」は、第1の基準平面24に該当しないから、被告製品は、構成要件1-B1を充足しな い。 3 争点1-3(構成要件1-B2の充足性)について(原告らの主張)(1) 「非二面縁」の意義「二面縁」とは、文字どおり、一つのキューブコーナー素子の三つの反射 面のうちの二つの面が交差する部分に対応する縁のことであり、「非二面縁」 とは「二面縁」でない縁のことである。 (2) 「実質的に平行」の意義「実質的に平行」がいわゆる平行を含む概念で うちの二つの面が交差する部分に対応する縁のことであり、「非二面縁」 とは「二面縁」でない縁のことである。 (2) 「実質的に平行」の意義「実質的に平行」がいわゆる平行を含む概念であることは、文言上明らかである。 (3) 被告製品の構成 被告製品のカタログの記載からすれば、被告製品の隣接する被告プリズム同士は、隣接部分の外縁を共有しており、当該共有部分において隣接する被告プリズムの外縁同士は、互いに平行な関係にある。また、被告製品を光学顕微鏡で観察したところ、被告製品においては、隣接する被告プリズム間で外縁が共有されていることが確認された。 したがって、被告製品は、以下の構成を有する。 1-b2 隣接している被告プリズムと外縁を共有しており、当該共有部分においてその外縁は隣接する被告プリズムの外縁と互いに平行な関係にある(4) あてはめ 被告製品の構成1-b2のうち、「外縁」は、構成要件1-B2の「非二面縁」に相当する。また、構成1-b2の「被告プリズム」は、構成要件1-B2の「キューブコーナー素子」に相当する。 したがって、被告製品は、構成要件1-B2を充足する。 (5) 被告の主張に対する反論 隣接する被告プリズムの外縁が同一線で形成されているとしても、二つの外縁が一致することで同一線を成しているのであるから、それらの被告プリズムの外縁同士が「共有」されていること及び「互いに平行な関係」にあることと何ら矛盾するものではない。また、一つの線に共有されている二つの縁は、どこまで延長しても交わらないから、「互いに平行な関係」にあること は明らかである。なお、本件明細書の実施例の記載において「素子の非二面 縁を互いに接触させるように…集成した…」(【0133】 ても交わらないから、「互いに平行な関係」にあること は明らかである。なお、本件明細書の実施例の記載において「素子の非二面 縁を互いに接触させるように…集成した…」(【0133】)とあるように、互いに接触して共有関係にある非二面縁は平行関係にあることを前提とした説明がなされていることからも、少なくとも本件発明1の構成において、共有関係にある非二面縁については平行関係にあるといえる。 (被告の主張) (1) 「非二面縁」の意義本件各発明の「非二面縁」は、特許請求の範囲の記載からは不明であるし、本件明細書の具体的記載からも不明である。 (2) 「実質的に平行」の意義一般的に「平行」とは、「一平面上の二直線、または直線と平面、あるいは 平面と平面とが、どこまで延長しても交わらないこと。」であるから、一般的な字義からしても、構成要件1-B2の「実質的に平行」につき、隣接している部材が一つの線(縁)を共有していることを「平行」と解釈する余地はない。 (3) 被告製品の構成 被告製品の構成1-b2は、「被告プリズムの外縁は、隣接している被告プリズムの外縁と同一線で形成されている」である。 (4) あてはめ被告製品において、「被告プリズムの外縁は、隣接している被告プリズムの外縁と同一線で形成されている」だけであり、平面上の二直線は存在しない から、当該同一直線は「平行」なものに該当しない。 したがって、被告製品は、構成要件1-B2を充足しない。 4 争点1-4(構成要件1-B3の充足性)について(原告らの主張)(1) 「基準平面」の意義 前記2(原告らの主張)(1)における主張と同様である。 (2) 被告製品の構成被告製品のカタログの記載及び被告製 いて(原告らの主張)(1) 「基準平面」の意義 前記2(原告らの主張)(1)における主張と同様である。 (2) 被告製品の構成被告製品のカタログの記載及び被告製品の顕微鏡での観察によれば、被告製品にはプリズム層の下層に合成樹脂層が存在し、支柱部を介してプリズム層が合成樹脂層の上部に配設されている。 したがって、被告製品は、以下の構成を有する。 1-b3 ここで、合成樹脂層の面とは、被告プリズム層が配設されている平面を意味する(3) あてはめ被告製品の構成1-b3のうち、「合成樹脂層の面」及び「被告プリズム層」は、それぞれ構成要件1-B3の「基準平面」及び「キューブコーナー素子」 に相当する。 したがって、被告製品は、構成要件1-B3を充足する。 (4) 被告の主張に対する反論被告製品はシートロールの形状で梱包、送付されているが、使用時には、ロール状からシート状にして使用されることは明らかである。また、被告製 品のカタログの記載の構成図において「プリズム層」と記載されているように、被告プリズムは平面状に広がる層をなし、支柱部を介して合成樹脂層の上部に、合成樹脂層と平行な面を成すように配設されていることも明らかである。 さらに、本件明細書の【0055】の基準平面24は、本件各発明の「基 準平面」ではない。 (被告の主張)(1) 「基準平面」の意義前記2(被告の主張)(1)における主張と同様である。 (2) 被告製品の構成 前記2(被告の主張)(2)における主張と同様である。 (3) あてはめ構成要件1-B3は、「キューブコーナー素子が配設されている平面」であるところ、キューブコーナー素子が何かを「介して 張)(2)における主張と同様である。 (3) あてはめ構成要件1-B3は、「キューブコーナー素子が配設されている平面」であるところ、キューブコーナー素子が何かを「介して」配設されることは、特許請求の範囲にも本件明細書にも記載されていない。したがって、特許請求の範囲の文言に従い、キューブコーナー素子が配設されている面を基準平面 というべきであるから、「支柱部」の面が基準平面に相当する構成であり、合成樹脂層は特許請求の範囲と対比する上で無関係の構成となる。 その余の点については、前記2(被告の主張)(3) における主張と同様である。 5 争点1-5(構成要件1-C1の充足性)について (原告らの主張)(1) 「1-2二面角誤差」及び「1-3二面角誤差」の意義本件明細書の記載から、キューブコーナー素子を形成する三つの二面角は、それぞれ二面角1-2、二面角1-3及び二面角2-3のように、二つの面が成す角度として命名することが可能であり、また、各面は主要溝面(【00 44】)と主要溝面以外の溝表面とで構成され得る。 (2) 被告製品の構成ア原告らが、被告製品を構成する被告プリズム内に形成される二面角について、90度からの偏差を測定したところ、測定した複数の被告プリズムにおいて、三つの二面角が90度からの偏差を有していることが認められ た。三つの二面角がいずれも1分から17.6分の範囲において90度からの偏差を有している被告プリズムは複数存在し、そのような被告プリズムにおいては、三つの二面角の90度からの偏差の値は、絶対値及び/又は符号において、互いに異なっていることが認められた。 イまた、本件明細書の【図22】の記載と原告従業員作成の令和2(20 20)年7 、三つの二面角の90度からの偏差の値は、絶対値及び/又は符号において、互いに異なっていることが認められた。 イまた、本件明細書の【図22】の記載と原告従業員作成の令和2(20 20)年7月21日付け分析報告書(以下「本件分析報告書」という。甲 15)の図10(i)に基づく各二面角の特定を対応させると、被告プリズム内の三つの二面角については、米国の測定機器メーカーであるZygoCorporation(以下「ZYGO社」という。)製の「GPIXP/HR干渉計」(以下「本件干渉計」という。)に付属するソフトウェア(MetroProApplication。以下「本件ソフトウ ェア」という。)によって示された「2-3/5-6二面角」(面aと面cで形成する二面角)、「1-2/4-5二面角」(面aと面bで形成する二面角)及び「3-4/6-1二面角」(面bと面cで形成する二面角)が、本件明細書記載の「1-2二面角」、「1-3二面角」及び「2-3二面角」にそれぞれ対応することになる。 ウしたがって、被告製品は、以下の構成を有する。 1-c1 1-2二面角及び1-3二面角において、90度からの偏差が存在し、(3) あてはめ被告製品の構成1-c1のうち、「1-2二面角及び1-3二面角」におけ る「90度からの偏差」は、構成要件1-C1の「1-2二面角誤差および1-3二面角誤差」に相当する。 したがって、被告製品は、構成要件1-C1を充足する。 (4) 被告の主張に対する反論ア被告製品の特定について 本件分析報告書には被告製品のグレードや製品番号が明記されており、被告製品の特定としては問題がない。 イ被告製品の経時変化の懸念について被告は、屋外での使用に対してすら耐久性を有す 本件分析報告書には被告製品のグレードや製品番号が明記されており、被告製品の特定としては問題がない。 イ被告製品の経時変化の懸念について被告は、屋外での使用に対してすら耐久性を有することを被告製品の特長として強調して説明しており、かかる説明に基づけば、使用前の製品に ついて変形の懸念はない。また、被告製品は、販売時のシートロールの状 態で保管することが予定・推奨されているものであるから、被告製品が湾曲し変形していたことによる経時変化の懸念もない。 ウ被告製品の構成について被告製品には「1-2二面角」及び「1-3二面角」が存在する。 また、被告は、被告プリズムが「スキュー角」又は「インクリネーショ ン角」を有しないと主張するが、本件明細書の【0019】、【0073】等の記載からしても、本件明細書に記載された「スキュー角および/またはインクリネーション角」を有する構成は、本件各発明の実施形態を示す一例にすぎない。 エ本件分析報告書の測定方法及び使用した本件干渉計の測定精度について (ア) 本件分析報告書で使用された本件干渉計を用いた二面角誤差の測定方法は、甲第28号証の論文に記載された基本的な原理を基礎としつつ、これをさらに発展させて位相シフト法を用いることにより、反射光の波面の傾きから、キューブコーナー素子を構成する各面における二面角誤差を求めるというものである。この測定方法は、理論的にも実際上も、 キューブコーナー素子の光学特性に基づく適切な方法であって、適切な測定条件の下で測定した場合には、被告プリズムの二面角誤差を測定することが可能である。 本件干渉計においては、参照平面を取り付けた対物レンズ全体を移動させることで位相シフトを実現している。位相シフトを可能にする部 定した場合には、被告プリズムの二面角誤差を測定することが可能である。 本件干渉計においては、参照平面を取り付けた対物レンズ全体を移動させることで位相シフトを実現している。位相シフトを可能にする部材 であるPMR(“PhaseMeasuringReceptacle”又は“PhaseModulationReceptacle”の略称)は、筐体の内部(対物レンズの基部)に配置されている。また、測定時には、被告製品を、原告が独自に開発・製造した高精度の試料マウント装置に取り付けた。 (イ) 原告らが提出したAAら作成の各陳述書(以下、これらを併せて「A A陳述書等」ということがあり、そのうちのAA作成の陳述書を「AA陳述書」という。甲20ないし甲23)の記載内容は、いずれも本件優先日当時の技術常識を示しており、本件分析報告書で使用した株式会社ミツトヨ(以下「ミツトヨ社」という。)製20倍対物レンズ(製品名GPlanApo 20X。以下「本件対物レンズ」という。)を装 着した本件干渉計を用いた二面角誤差の測定方法は、本件優先日当時において何ら特殊な方法ではなかった。このことは、現在においても同様である。 また、本件干渉計は、原告らが特別に製造した装置ではなく、ZYGO社製のものを購入して使用しているものであり、測定データの解析に 使用した本件ソフトウェアも、本件干渉計に付属しているZYGO社製のデータ解析用ソフトウェアである。本件干渉計に装着されている本件対物レンズについても同様であり、ZYGO社が本件干渉計と共に使えるものとして原告らに販売したものである。なお、本件対物レンズを干渉計に装着して使用することは、ミツトヨ社のウェブサイト上において も紹介されているように、何ら特別な 社が本件干渉計と共に使えるものとして原告らに販売したものである。なお、本件対物レンズを干渉計に装着して使用することは、ミツトヨ社のウェブサイト上において も紹介されているように、何ら特別なことではない。そもそも、このように十分な倍率を得るために対物レンズと干渉計を組み合わせて用いることも、そのような干渉計で被告プリズムのような微細なキューブコーナー素子の二面角を測定することも、従前から広く受け入れられている一般的な方法にすぎず、本件分析報告書の基となった測定は、そのよう な市販されていた測定機器による一般的な測定の結果にすぎない。 (ウ) 本件干渉計について想定される測定精度(分解能)は0.05分程度とされており、本件分析報告書で使用されている測定方法は、被告プリズムにおける二面角誤差を正確に測定するために十分な信頼性を有する。 加えて、第三者機関によって表面の高度の平面性が確認されている参 照平面試料を本件干渉計で測定することにより、本件干渉計の測定精度 の確認を行ったところ、参照平面試料の測定に係る分析報告書(以下「本件参照平面試料分析報告書」という。甲25)のとおり、本件分析報告書で使用されている測定方法における二面角誤差の測定誤差が全て本件干渉計の精度に由来しているとしても、その測定誤差は最大0.1分であることが判明している。このように、本件干渉計は、本件分析報 告書における測定のために十分な精度を有していることが確認されている。 オ本件分析報告書の測定結果について本件分析報告書のとおり、本件干渉計を用いて測定した被告製品の被告プリズムにおける二面角誤差の数値の分散の程度を考慮すれば、被告製品 においては明らかに二面角誤差が意図的に形成されており、いわゆる形成誤差で説明で 、本件干渉計を用いて測定した被告製品の被告プリズムにおける二面角誤差の数値の分散の程度を考慮すれば、被告製品 においては明らかに二面角誤差が意図的に形成されており、いわゆる形成誤差で説明できるものではない。 また、被告製品のトップフィルムの形状が平坦でないとの被告の主張は、500分の1程度の極僅かな高低差しかないことを示しているのであり、このような極微小な事象を、本件分析報告書に示された測定結果への具体 的な影響の程度とは無関係に、あえて抽象的に述べているものにすぎない。 さらに、被告製品において観測されている多数の粒状の斑点については、その大きさがμmスケールのものであり、かつ、ランダム(無秩序)に発生しているものと認められるところ、そのような凹凸は測定面全体において平準化されるため、本件干渉計による二面角誤差の測定結果には実質的 に影響しない。 カ本件分析報告書の測定結果の統計学的な分析結果について統計の専門家に依頼し、本件分析報告書の被告プリズムの二面角誤差の測定データ(BB作成の令和3(2021)年9月29日付け鑑定意見書(以下「本件鑑定意見書」という。甲26)の添付2に記載のものをいい、 以下「本件データ」ということがある。)について、統計学的な分析を行っ たところ、被告製品の被告プリズムの二面角誤差について、三つの二面角誤差がゼロであるとはいえないこと、三つとも同じ値であるとはいえないこと、そして、製造の過程でランダムに生ずるような性質のものではないことが判明した。このことから、被告プリズムの二面角誤差はいずれもゼロであること、被告プリズムの二面角誤差は三つとも同じであること、及 び、仮に二面角誤差がゼロでないとしても製造誤差であることといった被告の主張がいずれも実質的 プリズムの二面角誤差はいずれもゼロであること、被告プリズムの二面角誤差は三つとも同じであること、及 び、仮に二面角誤差がゼロでないとしても製造誤差であることといった被告の主張がいずれも実質的な根拠を欠くものであることが明らかとなった。 また、本件鑑定意見書及びBB作成の令和4(2022)年3月4日付け鑑定意見書2(以下「本件鑑定意見書2」という。甲30)に示された分析結果から、本件データの二面角誤差の測定値が全て-10~20分の 数値範囲に存在していること、三つの二面角誤差の絶対値が有意水準1パーセント(99パーセントの信頼性)で1分以上であるといえる被告プリズムが多数(31.2パーセント)存在しており、被告プリズムについては、その過半数(64.3パーセント)において、有意水準1パーセント(99パーセントの信頼性)で三つの二面角誤差が互いに異なっているこ とが認められた。したがって、本件データに対する統計学的な分析結果からも、被告製品について、本件各発明の構成要件1-C、1-C1ないし1-C4、4-C、4-C1ないし4-C3を充足していることが裏付けられている。 なお、t検定を含む統計的仮説検定は、測定誤差のような不確定要素が ある中でデータから論理的に正しい判断を導き出すために生み出されたものであり、誤差があることを前提として処理を行うものであるから、被告が指摘するように本件データに測定誤差等の誤差が存在していても、統計学的な分析結果の信頼性に問題は生じない。また、本件鑑定意見書で行っているt検定による仮説検定の方法は、様々な分野において本件優先日の 遥か以前から知られており、統計学の教科書にも記載されているような、 ごく一般的な方法であり、本件各発明の技術分野の当業者にとって周知の 方法は、様々な分野において本件優先日の 遥か以前から知られており、統計学の教科書にも記載されているような、 ごく一般的な方法であり、本件各発明の技術分野の当業者にとって周知の内容である。 以上のとおり、被告製品については、本件各発明の構成要件1-C、1-C1ないし1-C4、4-C、4-C1ないし4-C3を充足していることが、本件分析報告書、本件鑑定意見書及び本件鑑定意見書2に基づき 具体的に立証されている。 キ被告製品の性質について●(省略)●被告製品は、その販売用資料において、「夜間にも『広角度に高い視認性を実現』できます。」と記載され、また、様々な観測角(ヘッドライトと運転 者の視線が標示面で作る角度)と入射角(標示面の法線とヘッドライトの作る角度)において、一定の視認性(輝度)が確保されていることがJIS規格に基づいて確認されていることが示されており、再帰反射した光を適切に拡散させることによって、広い角度での視認性が確保されている製品として販売されている。したがって、被告製品において、●(省略)●、 上記のように定められた角度での一定の再帰反射特性を達成するには、被告プリズムの各二面角の「90度からの偏差」を被告がコントロールすることが必要である。 したがって、被告は、所望する再帰反射性能を設定し、それが得られるような被告プリズムを作製できるように、想定される製造誤差等も考慮し た上で、その製造工程や製造条件を管理、把握し、最適化しているはずであるから、その結果として製造される被告プリズムの各二面角を含む構成は、被告の意図によるものに他ならない。仮に被告が主張するような各製造誤差が介在したとしても、本件発明1の技術的範囲の属否に影響を及ぼすものではない。 ( 被告プリズムの各二面角を含む構成は、被告の意図によるものに他ならない。仮に被告が主張するような各製造誤差が介在したとしても、本件発明1の技術的範囲の属否に影響を及ぼすものではない。 (被告の主張) (1) 「1-2二面角誤差」及び「1-3二面角誤差」の意義本件明細書の【0074】及び【0124】の記載によれば、本件発明1の「1-2二面角」は、「溝表面84と主要溝面50との交差により形成され」るものであり、本件発明1の「1-3二面角」は、「溝表面82と主要溝面50との交差により形成され」るものである。 また、本件発明1の「二面角誤差」は、本件明細書の【0073】、【0074】、【0077】、【0081】ないし【0099】の記載及び本件特許の出願経過並びに対応する外国出願経過に照らせば、「スキュー角又はインクリネーション角に起因する二面角誤差」に限定される。 (2) 被告製品の構成 ア被告製品の特定について甲第14号証記載の送付日と甲第15号証記載の受領日に矛盾があることや甲第19号証の記載からすると、本件分析報告書で分析された試料が被告製品であると断ずることはできない。 イ被告製品の経時変化の懸念について 本件分析報告書において測定対象とされた被告製品は、推奨された方法で輸送及び保管がされたものではないため、被告プリズムが湾曲していたことや熱による変形が生じている可能性がある。 ウ 「1-2二面角」及び「1-3二面角」並びに「二面角誤差」の不存在被告製品においては、「主要溝面」又は「作用表面」が存在しないから、 本件発明1でいう「1-2二面角」及び「1-3二面角」は存在しない。 本件分析報告書においても、「反射面aが本特許の図22に示される構成に いては、「主要溝面」又は「作用表面」が存在しないから、 本件発明1でいう「1-2二面角」及び「1-3二面角」は存在しない。 本件分析報告書においても、「反射面aが本特許の図22に示される構成における主要溝面50であると想定した場合」(日本語訳11頁)と記載されているとおり、主要溝面を特定することができないまま、反射面aを主要溝面と想定したにすぎず、そのように想定できる合理的根拠も示されてい ない。 被告製品においては、●(省略)●被告プリズムは「スキュー角又はインクリネーション角」を有しないし、●(省略)●エ本件分析報告書の測定方法及び測定機器の適否について(ア) 本件明細書には、「適切な測定条件」が一切記載されていない。 (イ) 本件各発明の技術分野において、干渉計にサードパーティ製の対物レ ンズを装着して使用することは、本件優先日当時の技術常識ではなかった。AA陳述書等は、いずれも本件優先日前に作成されたものではなく、作成者も本件各発明の当業者ではないから、本件各発明の技術分野における技術常識を立証するものとはいえない。したがって、本件分析報告書で用いられた本件干渉計を用いて被告プリズムの二面角誤差を測定す ることはできない。 (ウ) 甲第28号証の論文は、2秒角以内の精度の二面角誤差についての論文であり、分単位の二面角誤差の測定について適用できるものではないし、当該論文で用いられたキューブコーナー素子の一辺の大きさは、約18mmであるから、0.1mm程度のマイクロキューブコーナー素子 の測定について適用できるものでもない。 したがって、被告プリズムにおける二面角の90度からの偏差を測定することはできないから、被告プリズムの二面角において、「90度からの偏差」が存在するかは の測定について適用できるものでもない。 したがって、被告プリズムにおける二面角の90度からの偏差を測定することはできないから、被告プリズムの二面角において、「90度からの偏差」が存在するかは不明である。 (エ) 本件分析報告書の測定で用いられた光学系に関し、球面波が測定物に 当たっているという被告の指摘に対して、原告らは、平面波が当たっていると回答するのみで、本件干渉計には出射される光束を集束光とする対物レンズが装着されているにもかかわらず、対物レンズからの出射光を具体的にどのように平行光束としたのかについては明らかにしていない。また、ミツトヨ社のウェブサイト上の記載は、本件特許の原出願日 後に公開されたものである上、当該記載から本件対物レンズが二面角誤 差の測定に使用できるといえるのかも不明である。さらに、本件干渉計については、PMRを筐体の内部に配置するという改造や、4インチの口径の干渉計に24mmの径の対物レンズを装着するという改造を行っているが、このような改造により本件干渉計の精度が維持される根拠はない上、当該改造については、本件明細書に記載されていない。しかも、 原告らは、被告製品を測定するに当たり、原告らが独自に開発・製造した高精度の試料マウント装置に取り付けたと主張するが、当該試料マウント装置が「高精度」であることについて全く立証がされておらず、「高精度」であることを担保することの説明も一切ないことからすれば、その信用性はないといえ、また、本件明細書に当該試料マウント装置につ いて一切記載されていない以上、当業者は、被告製品のような微細なキューブコーナー素子の測定をすることができない。 オ本件分析報告書の測定方法及び測定機器の測定精度について(ア) 本件データは、一つの 切記載されていない以上、当業者は、被告製品のような微細なキューブコーナー素子の測定をすることができない。 オ本件分析報告書の測定方法及び測定機器の測定精度について(ア) 本件データは、一つの素子の一つの二面角の偏差の測定においてでさえ、最大8.66分も異なっている上、符号も異なっているなど、大き な数値の差異のみならず、符号(+と-)の差異があるものが多数含まれているのであるから、本件データ自体からも、本件分析報告書の測定精度に問題があることは明らかである。 (イ) 本件参照平面試料分析報告書が示す「測定精度」は、本件干渉計による測定対象の表面の粗さを測定する際の精度にすぎないから、そのよう な測定における測定精度を求めたところで、二面角誤差の測定においても同程度の測定精度があることには全くならない。 (ウ) ①有効な校正が実施されていることが示されていないこと、②サードパーティ製対物レンズを取り付けた状態での測定結果の信頼性は、本件干渉計単体を用いた測定結果の信頼性と同等であるとはいえないこと、 ③二面間角度測定に必要な縦横方向(水平方向)の長さ校正が実施され ていないことから、本件分析報告書における測定の信頼性が確保されているとは到底いえない。 (エ) 本件分析報告書の測定結果について、次の具体的な問題点を指摘することができる。 まず、「キューブコーナー素子の取り付け平面の精度による誤差」につ いて、被告製品のサンプルが、例えば湾曲して取り付けられるなどすれば、正確な測定ができない。 「CCDの画素の大きさによる誤差」について、画素の大きさ(幅)が不明であることから、具体的にどの程度の誤差が生じるかが全く不明であり、干渉縞の周波数が正しく測定できないこととなる。これは、本 CDの画素の大きさによる誤差」について、画素の大きさ(幅)が不明であることから、具体的にどの程度の誤差が生じるかが全く不明であり、干渉縞の周波数が正しく測定できないこととなる。これは、本 件干渉計による測定に大きな誤差があることを示す。 「レーザー光のビーム径や照射位置の誤差」について、「レーザービーム光の中央部分に測定対象のキューブコーナー素子が位置するようにその位置が調整される」ためには、本件干渉計に元々備え付けられていない特殊なマウント装置が必要となる。どのようなマウント装置であれば、 正確に測定され得るのかについて、本件明細書に記載はないし、マウント装置についての技術常識も存在しない。また、レーザービーム光の径が具体的にどの程度の大きさなのか不明である上、レーザービーム光の照射位置による測定誤差への影響はないと結論づける根拠も存在しない。 「対物レンズを使用したことによる誤差」について、本件参照平面試 料分析報告書において検討されている精度は、平面度の精度であって、角度についての精度ではないし、また、対物レンズを使用したことによる誤差は、対物レンズを使用しない場合と対物レンズを使用した場合を比較して具体的に算出されるものであるが、原告らは、具体的な誤差を一切主張していない。 「参照平面の移動量の誤差」について、本件参照平面試料分析報告書 において検討されている精度は、平面度の精度であって、角度についての精度ではない。 「位相計算時の丸め誤差」について、原告らの主張する丸め誤差は、何ら具体的根拠に基づかないものである。また、原告らは、各種の要因による誤差は、本件参照平面試料分析報告書で評価された本件干渉計の 測定系自体に由来する誤差に内包されると主張するが、全く根拠のない主張 的根拠に基づかないものである。また、原告らは、各種の要因による誤差は、本件参照平面試料分析報告書で評価された本件干渉計の 測定系自体に由来する誤差に内包されると主張するが、全く根拠のない主張である。さらに、原告らは、各種の要因による誤差は、累積してもせいぜい20パーセント程度と考えられると主張するが、やはり根拠が全く不明である。 (オ) 原告らは、キューブコーナー素子の二面角誤差について、設計値と測 定値の偏差について調べたことはないと主張するが、測定結果が正確であることは、設計値と測定値が同一であることや偏差がほぼないということなどから判明することであるから、同主張によると、本件干渉計により微小のキューブコーナー素子の二面角誤差を「正確に」測定することができるというAA陳述書の根拠が存在しないこととなる。 カ測定対象の性状の影響について(ア) 被告製品においては、トップフィルム層に窪みがある上、トップフィルム層の断面の厚さが横方向約50μmに対して最大約2μm異なっており、トップフィルム層の表面(以下「トップフィルム表面」という。)と、トップフィルム層とポリカーボネート層の界面(以下「トップフィ ルム界面」という。)とが平行ではない。しかも、被告製品のトップフィルム層には、透明の微粒子が多数存在する(乙80)。そのため、本件干渉計で被告製品の二面角誤差を測定するに当たり、トップフィルム側から測定すると、トップフィルム層の表面の窪みや粒状の斑点、さらには、被告製品のトップフィルム層とポリカーボネート層の積層界面が平行で はないことの影響等により、二面角誤差を精度良く測定できないばかり か、トップフィルム表面とトップフィルム界面とが平行でないことに起因して二面角誤差があるかのように 面が平行で はないことの影響等により、二面角誤差を精度良く測定できないばかり か、トップフィルム表面とトップフィルム界面とが平行でないことに起因して二面角誤差があるかのように測定されてしまう。 (イ) トップフィルム層のトップフィルム表面とトップフィルム界面の平行からのずれが二面角誤差に与える影響について、原告らは、トップフィルム層の厚みの変動の周期が数μm~数十μmのものを検討していない。 また、原告らは、トップフィルム層の厚みの変動の周期が1μm程度の場合について、1箇所の影響のみを検討しているが、被告製品においては、複数の窪みが検出されている以上、これらが総合的にどのように影響するのか検討しなければ意味はない。 (ウ) 再帰反射光の広がりは、二面角誤差(非直交性)以外にも、回折、偏 光などにも起因する。したがって、被告製品において、再帰反射光が広がりを持ち、観測角特性を有するとしても、二面角誤差以外の理由により再帰反射光が広がっているともいえる。また、被告は、被告製品の特性をJIS規格に沿って測定しているにすぎないのであって、被告製品の販売用資料において「JIS規格に基づき一定の性能を保証している」 などということはない。 ●(省略)●ク鑑定意見書について鑑定意見書記載の分析結果は、誤差が正規分布することを前提とするものである。しかし、再帰反射シートの二面角誤差は正規分布に従うもので はない上、当該分析においては、加工及び測定結果の偏差を考慮していないこと、測定サンプル数(測定の母数)が1であったと考えられ、分散を評価するには適当なサンプル数とは到底いい難いこと、母型や金型の作製過程、再帰反射シートの製造工程でやむを得ず発生する要因によって引き起こされる誤差を考慮してい 母数)が1であったと考えられ、分散を評価するには適当なサンプル数とは到底いい難いこと、母型や金型の作製過程、再帰反射シートの製造工程でやむを得ず発生する要因によって引き起こされる誤差を考慮していないことなどからすると、誤差が正規分布す るという前提自体に問題がある。 (3) あてはめ被告製品は、「1-2二面角」及び「1-3二面角」を有しないから、被告製品の被告プリズムの「二面角」は、「1-2二面角誤差」の「1-2二面角」及び「1-3二面角誤差」の「1-3二面角」に当たらない。また、被告製品においては、●(省略)●、構成要件1-C1の「二面角誤差」を有しな い。 仮に、●(省略)●「スキュー角又はインクリネーション角」に起因する二面角誤差は存在しないから、構成要件1-C1の「二面角誤差」に当たらない。 しかも、原告らは、被告製品の被告プリズムの二面角に、「90度からの偏 差」があることを立証できていない。 したがって、被告製品は、構成要件1-C1を充足しない。 6 争点1-6(構成要件1-C2の充足性)について(原告らの主張)(1) 「二面角誤差」の意義 「二面角誤差」は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1において、「キューブコーナー素子の二面角の90度からの偏差」であると明確に定義されている。 (2) 被告製品の構成前記5(原告らの主張)(2)における主張と同様である。 したがって、被告製品は、以下の構成を有する。 1-c2 この「90度からの偏差」とは、被告プリズム内の二面角における90度からの偏差を意味する値であり、(3) あてはめ被告製品の構成1-c2のうち、「90度からの偏差」は、構成要件1-C 2の「二面角誤差」に相当する。また、構成1 内の二面角における90度からの偏差を意味する値であり、(3) あてはめ被告製品の構成1-c2のうち、「90度からの偏差」は、構成要件1-C 2の「二面角誤差」に相当する。また、構成1-c2の「被告プリズム」は、 構成要件1-C2の「キューブコーナー素子」に相当する。 したがって、被告製品は、構成要件1-C2を充足する。 (4) 被告の主張に対する反論前記5(原告らの主張)(4) における主張と同様である。 (被告の主張) (1) 「二面角誤差」の意義前記5(被告の主張)(1) における主張と同様である。 (2) 被告製品の構成前記5(被告の主張)(2) における主張と同様である。 (3) あてはめ 前記5(被告の主張)(3) における主張と同様である。 7 争点1-7(構成要件1-C3の充足性)について(原告らの主張)(1) 「二面角誤差が大きさ及び/又は符号において変化しており」の意義本件明細書の【0090】及び【0077】によれば、構成要件1-C3 の「二面角誤差が大きさ及び/又は符号において変化しており」とは、二つの二面角の有する二面角誤差が大きさ(絶対値)及び/又は符号において異なっていることを意味する。 (2) 被告製品の構成前記5(原告らの主張)(2)アにおける主張と同様である。 したがって、被告製品は、以下の構成を有する。 1-c3 2つの二面角のそれぞれの90度からの偏差の値は、相互に絶対値及び/又は符号において異なっており、(3) あてはめ被告製品の構成1-c3のうち、「90度からの偏差」は、構成要件1-C 3の「二面角誤差」に相当する。 したがって、被告製品は、構成要件1-C3を充足す (3) あてはめ被告製品の構成1-c3のうち、「90度からの偏差」は、構成要件1-C 3の「二面角誤差」に相当する。 したがって、被告製品は、構成要件1-C3を充足する。 (4) 被告の主張に対する反論本件分析報告書の測定結果から明らかなとおり、●(省略)●また、乙第10号証及び乙第11号証に記載の、被告が作製したとする六角形型完全キューブコーナー素子の加工方法に関しては、具体的な製法の開 示がない以上、結局最終的な●(省略)●であるとの被告の主張については到底信用することができない。 このほか、前記5(原告らの主張)(4)における主張と同様である。 (被告の主張)(1) 「二面角誤差が大きさ及び/又は符号において変化しており」の意義 構成要件1-C3の「二面角誤差が大きさ及び/又は符号において変化しており」は、本件明細書の【0077】の記載及び本件特許の出願経過に照らせば、「二面角誤差が大きさ及び/又は符号において『意図的に』変化しており」と限定して解すべきである。 (2) 被告製品の構成 被告製品は、「主要溝面」又は「作用表面」が存在しないから、「1-2二面角」及び「1-3二面角」を有しない。 また、被告製品については、●(省略)●(3) あてはめ被告製品は、「1-2二面角」及び「1-3二面角」を有しないから、被告 製品の被告プリズムの「二面角」は、「1-2二面角誤差」の「1-2二面角」及び「1-3二面角誤差」の「1-3二面角」を有しない。また、被告製品の●(省略)●構成要件1-C3の「該二面角誤差」には該当しない。 また、仮に、●(省略)●から、構成要件1-C3「二面角誤差が大きさ及び/又は符号において変化しており」には該当しない。 さらに、 略)●構成要件1-C3の「該二面角誤差」には該当しない。 また、仮に、●(省略)●から、構成要件1-C3「二面角誤差が大きさ及び/又は符号において変化しており」には該当しない。 さらに、万が一、●(省略)●、当該偏差は、●(省略)●か、測定誤差 であって、「意図的」なものではないから、被告製品は、構成要件1-C3の「二面角誤差が大きさ及び/又は符号において『意図的に』変化しており」には該当しない。 以上のとおり、被告製品は、本件発明1の構成要件1-C3を充足しない。 8 争点1-8(構成要件1-C4の充足性)について (原告らの主張)(1) 「二面角誤差」の意義前記6(原告らの主張)(1)における主張と同様である。 (2) 被告製品の構成前記5(原告らの主張)(2)アにおける主張と同様である。 したがって、被告製品は、以下の構成を有する。 1-c4 その90度からの偏差の値の絶対値は1分~60分の範囲である、(3) あてはめ被告製品の構成1-c4のうち、「90度からの偏差」は、構成要件1-C 4の「二面角誤差」に相当する。 したがって、被告製品は、構成要件1-C4を充足する。 (被告の主張)(1) 「二面角誤差」の意義前記5(被告の主張)(1) における主張と同様である。 (2) 被告製品の構成前記5(被告の主張)(2) における主張と同様である。 (3) あてはめ前記5(被告の主張)(3) における主張と同様である。 9 争点1-9(構成要件1-Dの充足性)について (原告らの主張) (1) 「物品」の意義本件発明1の請求項では単に「物品」と規定されているにすぎず、何らの限定はない。 (2 -9(構成要件1-Dの充足性)について (原告らの主張) (1) 「物品」の意義本件発明1の請求項では単に「物品」と規定されているにすぎず、何らの限定はない。 (2) 被告製品の構成被告製品のカタログには、「広角プリズム型超高輝度再帰反射シートです。」 と記載されている。 したがって、被告製品は、以下の構成を有する。 1-d 再帰反射シート製品(3) あてはめ被告製品の構成1-dの「再帰反射シート製品」は、構成要件1-Dの 「物品」に相当する。 したがって、被告製品は、構成要件1-Dを充足する。 (4) 被告の主張に対する反論本件明細書の記載は、本件各発明の実施例の説明としての記載であって、本件発明1の構成が本件明細書に記載された製造方法でのみ製造されること を示しているものではない。 したがって、被告プリズムが請求項1に記載された構成要件を備えてさえいれば、その製造方法がどのようなものであっても、本件発明1の技術的範囲に含まれる。 (被告の主張) (1)「物品」の意義前記1(被告の主張)(1) における主張と同様である。 (2) 被告製品の構成前記1(被告の主張)(2) における主張と同様である。 (3) あてはめ 前記1(被告の主張)(3) における主張と同様である。 10 争点1-10(構成要件4-Aの充足性)について(原告らの主張)前記1(原告らの主張)における主張と同様である。 (被告の主張)前記1(被告の主張) における主張と同様である。 11 争点1-11(構成要件4-B1の充足性)について(原告らの主張)前記2(原告らの主張)における主張と同様で 前記1(被告の主張) における主張と同様である。 11 争点1-11(構成要件4-B1の充足性)について(原告らの主張)前記2(原告らの主張)における主張と同様である。 (被告の主張)前記2(被告の主張) における主張と同様である。 12 争点1-12(構成要件4-B2の充足性)について(原告らの主張)前記3(原告らの主張)における主張と同様である。 (被告の主張)前記3(被告の主張) における主張と同様である。 13 争点1-13(構成要件4-B3の充足性)について(原告らの主張)前記4(原告らの主張)における主張と同様である。 (被告の主張)前記2(被告の主張) における主張と同様である。 14 争点1-14(構成要件4-C1の充足性)について(原告らの主張)(1) 「二面角誤差」の意義「二面角誤差」は、本件特許の特許請求の範囲の請求項4において、「キューブコーナー素子の二面角の90度からの偏差」(構成要件4-C2)である と明確に定義されている。 (2) 被告製品の構成ア被告製品を構成する被告プリズムについては、複数の被告プリズム内の三つの二面角について90度からの偏差が存在しており、その絶対値の範囲は1分ないし60分である。また、三つの二面角につき、いずれも1分ないし17.6分の範囲において90度からの偏差を有している被告プリ ズムが複数存在し、そのような被告プリズムにおいて、三つの二面角の90度からの偏差の値は、絶対値及び/又は符号において、互いに異なっている。 イしたがって、被告製品は、以下の構成を有する。 4-c1 三つの二面角には90度からの偏差が存在し 、三つの二面角の90度からの偏差の値は、絶対値及び/又は符号において、互いに異なっている。 イしたがって、被告製品は、以下の構成を有する。 4-c1 三つの二面角には90度からの偏差が存在し、その絶対値の 範囲は1分~60分である(3) あてはめ被告製品の構成4-c1のうち、「90度からの偏差」は、構成要件4-C1の「二面角誤差」に相当する。 したがって、被告製品は、構成要件4-C1を充足する。 (被告の主張)(1) 「二面角誤差」の意義本件各発明の「二面角誤差」は、本件明細書の【0073】、【0074】、【0077】、【0081】ないし【0099】の記載及び本件特許の出願経過並びに対応する外国出願経過に照らし、「スキュー角又はインクリネーショ ン角に起因する二面角誤差」に限定される。 (2) 被告製品の構成被告製品は、●(省略)●、被告プリズムは「スキュー角又はインクリネーション角」を有しないし、●(省略)●そもそも、被告プリズムにおける二面角の90度からの偏差を測定するこ とはできないから、被告プリズムの二面角において、「90度からの偏差」が 存在するかは不明である。また、本件分析報告書の基となった測定は杜撰であり、被告プリズムにおける二面角において「90度からの偏差」が存在することは立証できていない。 (3) あてはめ●(省略)●、構成要件4-C1の「二面角誤差」を有しない。仮に、● (省略)●「スキュー角又はインクリネーション角」に起因する二面角誤差は存在しないから、構成要件4-C1の「二面角誤差」に当たらない。 したがって、被告製品は、構成要件4-C1を充足しない。 15 争点1-15(構成要件4-C2の充足性)について(原告らの主張) ないから、構成要件4-C1の「二面角誤差」に当たらない。 したがって、被告製品は、構成要件4-C1を充足しない。 15 争点1-15(構成要件4-C2の充足性)について(原告らの主張) 前記6(原告らの主張)における主張と同様である。 (被告の主張)前記14(被告の主張) における主張と同様である。 16 争点1-16(構成要件4-C3の充足性)について(原告らの主張) (1) 被告製品の構成前記14(原告らの主張)(2)アにおける主張と同様である。 したがって、被告製品は、以下の構成を有する。 4-c3 3つの二面角のそれぞれの90度からの偏差の値は、相互に絶対値及び/又は符号において異なっている (2) あてはめ被告製品の構成4-c3のうち、「90度からの偏差」は、構成要件4-C3の「二面角誤差」に相当する。 したがって、被告製品は、構成要件4-C3を充足する。 (被告の主張) (1) 「該二面角誤差が互いに異なっている」の意義 構成要件4-C3の「該二面角誤差が互いに異なっている」は、本件明細書の【0077】の記載及び本件特許の出願経過に照らせば、「該二面角誤差が『意図的に』互いに異なっている」と限定して解すべきである。 (2) 被告製品の構成仮に、●(省略)● また、万が一、●(省略)●か、測定誤差であって、「意図的に」互いに異なっているものではない。 17 争点1-17(構成要件4-Dの充足性)について(原告らの主張)前記9(原告らの主張)における主張と同様である。 (被告の主張)前記1(被告の主張) における主張と同様である。 18 争点2-1(明確性要件違反)について(被告の主張) 前記9(原告らの主張)における主張と同様である。 (被告の主張)前記1(被告の主張) における主張と同様である。 18 争点2-1(明確性要件違反)について(被告の主張)(1) 「二面角誤差」及び「二面角誤差の大きさが1分~60分」の測定方法及 び測定条件等が不明であることア本件各発明に含まれる微細構造(素子の一辺が約0.1mmないし約0. 2mm程度のもの)のキューブコーナー素子の二面角誤差の測定方法については、標準的な規格で定められた測定方法は存在せず、また、本件明細書においては、再帰反射シートのキューブコーナー素子の二面角誤差の測 定方法が記載されていないこと本件各発明に含まれる微細構造(素子の一辺が約0.1mmないし約0. 2mm程度のもの)のキューブコーナー素子の二面角誤差の測定方法については、標準的な規格で定められた測定方法は存在しない。 また、本件明細書には、再帰反射シートのキューブコーナー素子の二面 角誤差の測定方法が記載されていない。すなわち、本件明細書の【004 3】には、「複製される集成マスター中の個別素子」について、干渉計で「側方溝」の「二面角」を測定することが抽象的に記載されているのみであり、「再帰反射シート」の「キューブコーナー素子」の「二面角誤差」を測定できることは記載されていない。「集成マスター」は金属であるが、「再帰反射シート」は透明な樹脂であるため、「集成マスター中の個別素子」 について測定が可能であるからといって、当然に、「再帰反射シート」の「キューブコーナー素子」の測定が可能とはならないし、「側方溝」の「二面角」が測定可能であるからといって、当然に、「キューブコーナー素子」の「二面角誤差」が測定可能ということにもならない。本件明 の「キューブコーナー素子」の測定が可能とはならないし、「側方溝」の「二面角」が測定可能であるからといって、当然に、「キューブコーナー素子」の「二面角誤差」が測定可能ということにもならない。本件明細書の【0104】には、ダイヤモンドツール機械の位置決めデバイスとして、「ザイ ゴ・コーポレーション(ZygoCorporation)」の顕微干渉計があることが開示されているのみである。そして、本件明細書の【0116】には、「キューブコーナー素子」の「二面角誤差」を測定することはもちろん、その具体的な測定方法や測定機器については一切記載されていない。現に、被告が、日本国内の多数の分析機関に、被告プリズムの二面 角誤差を測定可能かを問い合わせたところ、測定可能な分析機関は存在しなかった。 さらに、本件明細書の記載を基に、再帰反射シートのキューブコーナー素子の二面角誤差の測定方法を検討したとしても、本件明細書においては、顕微干渉計のメーカーのみが特定されているだけで、顕微干渉計の製品名 は特定されていない。この点、干渉計と顕微干渉計は別物であり、顕微干渉計では、当業者が適切に二面角誤差を測定できないから、当業者は、本件明細書を見ても、二面角誤差を適切に測定できない。また、本件明細書の【0043】及び【0116】には「干渉計」という記載があるものの、再帰反射シートのキューブコーナー素子の二面角誤差を測定できることは 記載されていない。しかも、仮に、当該「干渉計」という記載をもとに、 再帰反射シートのキューブコーナー素子の二面角誤差を測定しようとしても、メーカーも品番も全く特定されておらず、具体的な測定方法も記載されていないので、どのメーカーのどの製品を用い、どのように測定するのか不明である。 加えて、 ー素子の二面角誤差を測定しようとしても、メーカーも品番も全く特定されておらず、具体的な測定方法も記載されていないので、どのメーカーのどの製品を用い、どのように測定するのか不明である。 加えて、本件分析報告書に係る測定に用いられた本件干渉計は、本件明 細書の「顕微干渉計」(【0103】及び【0104】参照)ではなく干渉計であること、干渉計については本件明細書においてメーカーすら特定されていないことから、本件明細書の記載から本件干渉計を選択することはできない。しかも、本件分析報告書に係る測定では、本件干渉計に「20倍対物レンズ」を装着しているが、本件干渉計に装着可能な対物レンズは、 本件優先日当時、一般的に発売されていない。したがって、原告らの測定において、本件干渉計に対物レンズを用いているということ自体、特殊な測定方法であることが明らかである。 その一方で、本件干渉計に装着可能な倍率を調整するための部品としては、アパーチャーコンバータが存在するものの、本件干渉計で用いられる アパーチャーコンバータの最大倍率は4倍である。しかし、最大倍率4倍のアパーチャーコンバータを装着した本件干渉計を用いて、キューブコーナー素子の二面角誤差を測定しようとしても、キューブコーナー素子が小さすぎるため、二面角誤差を測定できない。したがって、当業者は、本件干渉計を用いて、本件明細書の「微細構造化」(0.1mmないし0.2m m角。【0046】等参照)されたキューブコーナー素子の二面角誤差を測定できない。 以上のように、仮に原告らの主張を前提としても、微細構造のキューブコーナー素子は、特殊な対物レンズを用いないと測定できない。そのため、本件明細書に本件各発明の二面角誤差の測定方法が開示されているといえ ず、本件各発明の特許 前提としても、微細構造のキューブコーナー素子は、特殊な対物レンズを用いないと測定できない。そのため、本件明細書に本件各発明の二面角誤差の測定方法が開示されているといえ ず、本件各発明の特許請求の範囲の記載は不明確である。 イ仮に、本件干渉計により微細構造化されたキューブコーナー素子の二面角誤差の測定が可能であったとしても、大きな測定誤差が生じる可能性が高いこと仮に、本件干渉計を用いて、微細構造化されたキューブコーナー素子の二面角誤差について、何らかの方法で一定程度測定できたとしても、大き な測定誤差が生じる可能性が高い。すなわち、被告は、長野県工業技術総合センターに対し、令和3(2021)年2月、本件干渉計に3倍のアパーチャーコンバータを装着した上で、キャットアイ社製ホイールリフレクター(品番:RR−316)という、キューブコーナー素子の大きさが約2mm角のキューブコーナーの反射体の二面角の誤差を測定することを依頼 したが、試験成績書(乙7)に記載されているとおり、そもそも、6個のキューブコーナー素子のうち、5個のキューブコーナー素子において、2mm角のキューブコーナー素子の二面角誤差の測定ができなかった上、測定できたキューブコーナー素子1個について、当該キューブコーナー素子の二面角誤差を3回測定したものの、その結果は、各回の測定結果の誤差 が大きく、到底許容できる測定誤差の範囲内ではなかった。2mm角のキューブコーナー素子ですら、このような大きな測定誤差が生じたのであるから、約0.1mm角である被告プリズムにおける二面角の90度からの偏差の測定においては、二面角誤差を測定することは不可能であり、万が一測定できたとしても、測定誤差がさらに大きくなる可能性が極めて高い。 そうすると る被告プリズムにおける二面角の90度からの偏差の測定においては、二面角誤差を測定することは不可能であり、万が一測定できたとしても、測定誤差がさらに大きくなる可能性が極めて高い。 そうすると、客観的には、三つの二面角誤差が同一であったとしても、測定誤差により、三つの二面角誤差について、「二面角誤差が互いに異なっている」測定結果となる可能性が極めて高くなってしまう。 ウ小括以上のとおり、本件明細書の記載及び本件出願時の技術常識を考慮して も、特許請求の範囲に記載された特性等の意味内容(測定方法)を当業者 が理解できない結果、発明が不明確である。 したがって、本件各発明においていかなる測定方法をもって二面角誤差の数値を特定するかが不明であるから、明確性要件を満たしていない。 (2) 「二面角誤差」と製造上生じる可能性のある形成誤差等との区別がつかないこと 本件発明1における「二面角誤差が大きさ及び/又は符号において変化しており」及び本件発明4における「二面角誤差が互いに異なっている」という発明特定事項について、原告らが、「意図的」に変化又は異ならせる場合に限定されないという立場をとるのであれば、キューブコーナー素子の製造上生じる可能性のある形成誤差や測定誤差との区別がつかないこととなってし まう。すなわち、キューブコーナー素子の製造過程においては形成誤差が生じ、また、二面角誤差の測定に当たり測定誤差が生じるのが一般的であるが、かかる形成誤差や測定誤差と、本件各発明の上記の発明特定事項との違いが不明であり、結果、本件各発明の外縁が不明確となる。 したがって、本件各発明における二面角誤差と、製造上生じた形成誤差等 とをどのように区別するのかが不明であるから、明確性要件を満たしていない。 あり、結果、本件各発明の外縁が不明確となる。 したがって、本件各発明における二面角誤差と、製造上生じた形成誤差等 とをどのように区別するのかが不明であるから、明確性要件を満たしていない。 (3) 「実質的に平行」が不明確であること本件明細書において、「実質的に平行」の意義が明らかになっていないため、本件明細書の記載から「実質的に」に関する技術的な意義を確定することは できない。したがって、当業者が「実質的に平行」との記載について理解することができないというべきであるから、「実質的に平行」の意義が不明であり、明確性要件を満たしていない。 原告らは、本件各発明の「実質的に平行」の意義に関し、「隣接するキューブコーナー素子間では、隣接する非二面縁が共有されており、当該共有部分 において、隣接するキューブコーナー素子の非二面縁同士は互いに平行な関 係にある」と主張する。しかし、隣接するキューブコーナー素子間で隣接する非二面縁が共有されていることをもって、「平行」と解釈できる具体的根拠は、本件明細書に一切記載されていない。また、一般的に「平行」とは、「一平面上の二直線、または直線と平面、あるいは平面と平面とが、どこまで延長しても交わらないこと。」であるから、一般的な字義からしても、隣接して いる部材が共有している一つの線(縁)を「平行」と解釈する余地はない。 そうすると、「実質的に平行」の意義について原告らの主張する解釈を前提とするのであれば、「実質的に平行」の意義が不明確であることは明らかである。 (4) 「非二面縁」の意義が不明確であることア 「二面縁」の意義が不明確であること 原告らは、「二面縁」とは、一つのキューブコーナー素子の三つの反射面のうちの二つの面が交差する部分に対応 4) 「非二面縁」の意義が不明確であることア 「二面縁」の意義が不明確であること 原告らは、「二面縁」とは、一つのキューブコーナー素子の三つの反射面のうちの二つの面が交差する部分に対応する縁であると主張する。 しかし、「二面縁」という用語は、一般的な用語ではなく、極めて特殊な用語であるから、直ちに原告らの主張する定義のとおりであると理解することはできない。むしろ、「面」の「縁」という場合には、面の周囲の縁を 指すことは明らかであるから、「二面」の「縁」の場合、二面の「交線」ではなく、二面の周囲の縁であると理解する可能性も十分にある。 本件明細書の【0024】、【0052】及び【0118】において、「二面縁」の用語が用いられているが、【0024】及び【0118】の記載からは「二面縁」が何を意味するのか理解することができない。さらに、【0 052】及び【図10a】ないし【図10c】を参照しても、「11」(二面縁11)として指示されているのはキューブにおいて1箇所のみであること、「平面図中のキューブの面にほぼ直角」であるのは「11」と指示されている箇所のみであることからすると、【0052】及び【図10c】で「二面縁11」と定義されているのは、【図10c】で指示されている箇所 のみであるといえ、その他の原告らが「二面縁」と特定する線が「二面縁」 であるとするべき根拠は、本件明細書に存在しない。 また、「たとえば、二面角2-3」の記載は、文字どおり「角」の説明をしているのであり、「縁」の説明をしているものではないから、「二面縁」の例示であることの根拠とはならない。むしろ、本件明細書の【0074】には、「キューブコーナーは、一般に、3つのキューブ面の交線に帰属され る3つの二面角を有する。」と記 はないから、「二面縁」の例示であることの根拠とはならない。むしろ、本件明細書の【0074】には、「キューブコーナーは、一般に、3つのキューブ面の交線に帰属され る3つの二面角を有する。」と記載されているところ、わざわざ、「二面縁」ではなく「交線」と記載していることからすると、「3つのキューブ面の交線」の全てが「二面縁」であるとは認識していないことに他ならない。 以上のとおり、「二面縁」の意義については、不明確であるし、仮に、本件明細書の記載から理解できるとしても、せいぜい【図10c】の符号1 1の線のみを指すと理解するほかない。 イ本件明細書の記載からは「非二面縁」の意義も明らかではないこと本件明細書の【0031】の記載は、構成要件1-B1及び1-B2と同一であって、「非二面縁」の意義は明らかにされていない。また、【0028】、【0074】及び【図22】には、「非二面縁」についての記載が全 くないため、【図22】を根拠として、「非二面縁」を説明することはできない。その他に、本件明細書において、「非二面縁」の意義を明らかにする記載は存在しない。 字義的にみても、「非二面縁」とは、「非」「二面縁」なのか「非二面」の「縁」なのかも不明である。 さらに、「非二面縁」という用語は極めて特殊な用語であるから、当業者は、「非二面縁」の意義を理解することができない。 ウ他の文献との整合性もないこと原告らは、「二面縁」と「非二面縁」の意義に関する原告らによる解釈は、本件明細書において引用されている米国特許第6015214号明細書 (以下「甲16文献」という。)及び国際公開第00/60385号(以下 「甲17文献」という。)の記載とも整合すると主張するが、甲17文献の対応日本特許出願(乙12) 号明細書 (以下「甲16文献」という。)及び国際公開第00/60385号(以下 「甲17文献」という。)の記載とも整合すると主張するが、甲17文献の対応日本特許出願(乙12)においては、「二面縁」及び「非二面縁」という用語は用いられておらず、それぞれ「二面角縁部」及び「非二面角縁部」と記載されており、本件各発明の用語とは異なる用語となっている。したがって、甲17文献の用語の定義が本件各発明の「二面縁」及び「非二面 縁」と同一の意義であるとは理解できない。 また、甲16文献については、原告らの主張によれば、本件各発明の「二面縁」が甲16文献の「Dihedralface-edge」であり、本件各発明の「非二面縁」が甲16文献の「Non-dihedralface-edge」であるということであるが、本件特許の原出願(特願2006-508834)の基礎と なった国際特許出願PCT/US2004/005672に係る国際公開公報WO2004/081619(乙33)11頁で用いられている用語と、甲16文献の用語は異なっている。 したがって、甲16文献及び甲17文献を根拠として、本件各発明の「二面縁」及び「非二面縁」の意義を理解できるという原告らの主張は成 り立ち得ない。 エ原告らの「非二面縁」に係る主張からも、「非二面縁」の意義が不明確であることが明らかであること原告らが別紙被告主張図面目録1及び2記載の各図面(以下、番号に従って「本件被告主張図面1」などという。)を用いて「非二面縁」と図示す る赤線部分には、主要溝面50であって、隣接するキューブコーナー素子と一体となっている一連の平面を含んでいるため、そもそも「縁」が存在しない箇所(本件被告主張図面1及び2の緑丸部分) 図示す る赤線部分には、主要溝面50であって、隣接するキューブコーナー素子と一体となっている一連の平面を含んでいるため、そもそも「縁」が存在しない箇所(本件被告主張図面1及び2の緑丸部分)を含んでいる。 すなわち、本件被告主張図面1及び2の緑丸部分は、主要溝面50であって、隣接するキューブコーナー素子と一体となっている一連の平面であ る。このことは、本件被告主張図面3及び4において、主要溝面50(緑 色面)が一連の平面となった上で、キューブコーナー素子を形成していることからも明らかである。 このように、一連の平面である主要溝面50が存在するため、「縁」との概念に合致するものは存在しない。原告らが、「縁」の存在しない主要溝面50の箇所も「非二面縁」と主張していること自体、「非二面縁」が不明確 であることの証左である。 また、原告らが「非二面縁」と特定する箇所は、上部の素子の面と下部の素子の面の2面が交わっている線であり、「二面縁」ともいい得る。したがって、原告らが「非二面縁」と特定する箇所が、本件各発明の「非二面縁」であると主張する根拠はない。 オ小括以上のように、当業者は本件各発明の「非二面縁」の意味を理解できず、明確性要件に違反することは明らかである。 (5) 「基準平面」が理解不能であり不明確であることア特許請求の範囲の記載 特許請求の範囲には、本件各発明の「基準平面」の意義について、「基準平面とはキューブコーナー素子が配設されている平面」と記載されているが、「キューブコーナー素子が配設されている平面」が具体的にどこを指すのかは明らかでない。 イ本件明細書の記載 本件明細書の【0031】及び【0036】には、「基準平面」についての記載がある。しかし、【 ナー素子が配設されている平面」が具体的にどこを指すのかは明らかでない。 イ本件明細書の記載 本件明細書の【0031】及び【0036】には、「基準平面」についての記載がある。しかし、【0031】の記載から意味が理解できないことは明らかであるし、【0036】の記載からは、第1の基準平面、第2の基準平面及び第3の基準平面の三つがあることが理解できるものの、特許請求の範囲の記載の基準平面が、第1の基準平面を指しているのか、第2の基 準平面を指しているのか、第3の基準平面を指しているのかは明らかでな い。したがって、本件明細書の記載から、本件各発明の「基準平面」の意味を理解することはできない。 さらに、本件明細書の記載に加え、原告らは、本件特許に係る特許無効審判請求手続において、基準平面には仮想的な平面を含むと説明していることからすると、基準平面がどこを指すのかがより不明確となる。 ウ小括以上のとおり、特許請求の範囲の記載及び本件明細書の記載からは、本件各発明の「基準平面」がどの基準平面を指すのかが全く理解できない。 したがって、当業者は本件各発明の「基準平面」の意味について理解できないから、明確性要件に違反する。 (6) 「1-2二面角」及び「1-3二面角」の意味が不明確であること本件明細書の【0074】において、「二面角1-3は、溝表面82と主要溝面50との交差により形成され」ると定義され、「二面角1-2は、溝表面84と主要溝面50との交差により形成され」ると定義されている。また、本件明細書の【0044】において、主要溝面は、「実質的に層状体の全長に 延在する主要溝面」と定義されている。しかし、完全キューブコーナー素子が層状体に形成されていない場合には、「主要溝面」を定義でき 書の【0044】において、主要溝面は、「実質的に層状体の全長に 延在する主要溝面」と定義されている。しかし、完全キューブコーナー素子が層状体に形成されていない場合には、「主要溝面」を定義できない。その結果、当業者は、層状体以外の構成において、「1-2二面角」、「1-3二面角」及び「2-3二面角」を特定できない。 さらに、本件明細書の記載から、キューブコーナー素子の三つある二面角 について、任意の二つの二面角を「1-2二面角」及び「1-3二面角」と特定することはできない。すなわち、本件明細書の【0087】の【表4】には、「2-3二面角」の二面角誤差は、「1-2二面角」又は「1-3二面角」の二面角誤差と、その値が大きさ及び/又は符号において変化していても、反射光について、不均一なスポット図になってしまうことが記載されて いる。そのため、キューブコーナー素子において三つある二面角のうち、任 意の二つの二面角の二面角誤差が、その値が大きさ及び/又は符号において変化していれば良いということはなく、具体的に、「1-2二面角」及び「1-3二面角」の二面角誤差が大きさ及び/又は符号において変化していることが必要となる。そうすると、層状体ではない場合には、「主要溝面」が定義できず、当業者は、どこが「1-2二面角」、「1-3二面角」及び「2-3 二面角」であると特定できるのかを理解できないから、明確性要件に違反することは明らかである。 (7) 「隣接しているキューブコーナー素子の非二面縁」がどこを指しているのか不明確であること本件各発明の「隣接しているキューブコーナー素子の非二面縁」がどこを 指しているのか全く不明である。そもそも「非二面縁」の意味が不明である以上、「隣接しているキューブコーナー素子の非二 こと本件各発明の「隣接しているキューブコーナー素子の非二面縁」がどこを 指しているのか全く不明である。そもそも「非二面縁」の意味が不明である以上、「隣接しているキューブコーナー素子の非二面縁」も不明である。 原告らは、「隣接するキューブコーナー素子間では、隣接する非二面縁が共有されており、当該共有部分において、隣接するキューブコーナー素子の非二面縁同士は互いに平行な関係にある」と主張するが、隣接しているキュー ブコーナー素子間で、共有されている縁のことを「隣接しているキューブコーナー素子の非二面縁」と解する根拠は本件明細書に存在しない。 したがって、「隣接しているキューブコーナー素子の非二面縁」がどこを指すのか不明であって、明確性要件に違反する。 (原告らの主張) (1) 本件明細書の記載及び出願時の技術常識に基づけば二面角誤差を測定する方法は当業者にとって十分理解可能であること前記5(原告らの主張)(4)エにおいて主張したように、本件明細書の記載及び本件優先日当時の技術常識を踏まえれば、二面角誤差の測定方法の具体的内容は明らかであり、本件各発明は明確性要件を充足している。 (2) 「二面角誤差」と形成誤差等とは区別がつくこと 本件特許の出願経過において提出された意見書(乙17)において出願人が説明しているように、形成誤差では、本件各発明で特定している二面角誤差は生じないから、本件各発明における二面角誤差と製造上生じる形成誤差とは、既に区別されている。 また、前記5(原告らの主張)(4)エにおいて主張したように、本件分析報 告書で使用されている測定方法は、被告プリズムにおける二面角誤差を正確に測定するために十分な信頼性を有する。 さらに、本件分析報告書で測定した被告製品の被 エにおいて主張したように、本件分析報 告書で使用されている測定方法は、被告プリズムにおける二面角誤差を正確に測定するために十分な信頼性を有する。 さらに、本件分析報告書で測定した被告製品の被告プリズムにおける二面角誤差の数値の分散の程度を考慮すれば、被告製品においては、明らかに二面角誤差が意図的に形成されており、いわゆる形成誤差で説明できるもので はない。 このように、本件各発明の二面角誤差は、製造過程において生ずるランダムなばらつきである形成誤差等とは明確に区別されるものである。 (3) 「実質的に平行」の意義は明確であること「実質的に平行」が、いわゆる平行を含む概念であることは文言上明らか である。また、一つの線に共有されている二つの縁は、どこまで延長しても交わらないから、当然に平行である。 (4) 「非二面縁」の意義は明確であること被告製品において、一つのキューブコーナー素子が有する二つの面の交差する部分に対応する縁が「二面縁」に該当し、それ以外の縁が「非二面縁」 に該当することは明らかである。 (5) 「基準平面」の意義は明確であること本件明細書の【0031】には「『基準平面』とは、一群の隣接しているキューブコーナー素子または他の幾何学的構造体の近傍の平面(この平面に沿ってキューブコーナー素子または幾何学的構造体が配設される)を近似した 平面または他の表面を意味する。」と明記されており、当該記載によれば、 「基準平面」の具体的な内容は明確である。 (6) 「1-2二面角」及び「1-3二面角」の意義は明確であること本件明細書の記載から、キューブコーナー素子を形成する三つの二面角は、それぞれ二面角1-2、二面角1-3及び二面角2-3のように、二つの面が成す角度として命名 1-3二面角」の意義は明確であること本件明細書の記載から、キューブコーナー素子を形成する三つの二面角は、それぞれ二面角1-2、二面角1-3及び二面角2-3のように、二つの面が成す角度として命名することが可能である。また、各面は主要溝面(【00 44】)と主要溝面以外の溝表面とで構成され得るものである。 (7) 「隣接しているキューブコーナー素子の非二面縁」の意義は明確であること「隣接するキューブコーナー素子の非二面縁」がどこを指しているかについては、本件明細書の【図21】等で示されるようキューブコーナー素子が 並んでいる図から明らかである。 19 争点2-2(サポート要件違反)について(被告の主張)(1) 「少なくとも1つのキューブ」という発明特定事項について本件各発明の「少なくとも1つのキューブ」という発明特定事項は、当業 者が、本件各発明の課題を解決できると認識できる範囲を超えているものであるから、サポート要件に違反する。 すなわち、本件各発明の課題は、本件明細書の【0072】及び【0073】に記載されている、「光源(典型的には乗物のヘッドライト)に対する再帰反射光の広がりを改善すること」、「スキュー角および/またはインクリネ ーション角は、さまざまな制御された二面角誤差または複数の非直交性(MNO)を有するキューブを提供するので、完成品の発散プロファイルを改善する」こと、並びに【0088】の「反射スポットの比較的均一な広がりが再帰反射シートにきわめて望ましいことは明らかである。反対に変化している二面角1-2および二面角1-3を含めて広範囲の二面角誤差を容易に導 入できる柔軟性のおかげで、スキュー角および/またはインクリネーション 角を利用して比較的均一なスポット反射 る二面角1-2および二面角1-3を含めて広範囲の二面角誤差を容易に導 入できる柔軟性のおかげで、スキュー角および/またはインクリネーション 角を利用して比較的均一なスポット反射図を提供することが可能である」ということにある。しかし、本件明細書の【0008】及び【0133】によれば、再帰反射シートには、キューブコーナー素子が約8万3200個ないし20万8000個存在することになるところ、本件各発明において、約8万個ないし約20万個あるキューブコーナー素子のうち、わずか1個のキュ ーブコーナー素子のみが、上記の発明特定事項を備えていた場合に、完成品の発散プロファイルを改善し、反射スポットが均一に広がるという課題を解決することは、本件明細書に記載も示唆もされていない。 同様に、本件発明4の構成要件4-C「少なくとも1つのキューブコーナー素子が」についても、わずか1個のキューブコーナー素子のみが、上記の 発明特定事項を備えていた場合に、完成品の発散プロファイルを改善し、反射スポットが均一に広がるという課題を解決することは、本件明細書に記載も示唆もされていない。 以上によれば、本件各発明は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識で きる範囲のものであるとはいえないから、サポート要件に違反することは明白である。 (2) 「二面角誤差の大きさが1分~60分である」という発明特定事項について本件各発明は、「二面角誤差の大きさが1分~60分」又は「1分~60分 の範囲の…二面角誤差を有し」という発明特定事項を備えるものである。 しかし、本件明細書の実施例においては、二面角誤差の最大値は「-19. 8」分であるため(【0144】の表12)、 ~60分 の範囲の…二面角誤差を有し」という発明特定事項を備えるものである。 しかし、本件明細書の実施例においては、二面角誤差の最大値は「-19. 8」分であるため(【0144】の表12)、二面角誤差が「-19.8」分を超えた場合にも、「完成品の発散プロファイルを改善」し、反射スポットが均一に広がるという課題を解決できるということは、本件明細書に記載も示 唆もされていない。しかも、反射光が広がった場合に、当然に「均一なスポ ット反射図」となるものではないから、反射光が広がるとしても、「均一なスポット反射図」という課題とは必ずしも関係しない。 そうすると、二面角誤差が「-19.8」分を超えた場合にも、「完成品の発散プロファイルを改善」し、反射スポットが均一に広がるという課題を解決できるということが、本件明細書に記載も示唆もされていない以上、本件 各発明は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲を超えている。 したがって、本件各発明は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるとはいえないから、サポート要件に違反することは明白 である。 (3) 「二面角誤差」という発明特定事項について本件各発明の「二面角誤差」という発明特定事項については、文言上、二面角誤差がスキュー角やインクリネーション角に起因していない場合も含まれている。しかし、本件明細書においては、「二面角誤差」についてスキュー 角及び/又はインクリネーション角がない場合においても、本件各発明の課題が解決できることは、一切開示されていない。すなわち、本件明細書の【0073】、 いては、「二面角誤差」についてスキュー 角及び/又はインクリネーション角がない場合においても、本件各発明の課題が解決できることは、一切開示されていない。すなわち、本件明細書の【0073】、【0074】、【0077】、【0081】ないし【0099】の記載からすれば、本件各発明について、改善された特性を有する再帰反射シートを製造するため、スキュー角及び/又はインクリネーション角を導入す ることにより、所与の層状体上のキューブコーナー素子の二面角誤差を変化させる上で有意な柔軟性が提供され、さまざまな制御された二面角誤差又は複数の非直交性(MNO)を有するキューブを提供されるので、完成品の発散プロファイルを改善することが可能となったことが開示されていると理解できる。他方で、本件明細書においては、スキュー角及びインクリネーショ ン角がゼロの場合(すなわち、形式上は本件明細書の範囲に含まれるが、本 件各発明の課題が解決できない場合)、二面角1-2及び二面角1-3を反対に変化させていないので、反射スポット図は局所化されて不均一であることが開示されている。そのため、本件各発明の特許請求の範囲の記載上は、スキュー角とインクリネーション角がない場合に発生した「二面角における90度からの偏差」がある場合も含まれているが、本件明細書には、「二面角誤 差」について、スキュー角及び/又はインクリネーション角がない場合においても本件各発明の課題が解決できることは、記載も示唆もされていない。 また、製造過程の溝の形成誤差により発明特定事項所定の「二面角誤差」が形成された場合においても本件明細書に記載の課題が解決できることは、本件明細書に記載も示唆もされていない。 したがって、本件各発明は、発明の詳細な説明に記載された発 項所定の「二面角誤差」が形成された場合においても本件明細書に記載の課題が解決できることは、本件明細書に記載も示唆もされていない。 したがって、本件各発明は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるとはいえないから、サポート要件に違反することは明白である。 (4) 「物品」という発明特定事項について 本件明細書の【0001】、【0005】ないし【0009】、【0016】ないし【0023】、【0029】、【0030】、【0035】、【0044】、【0072】ないし【0074】及び【0077】の記載からすると、キューブコーナー型再帰反射シートのマスター成形型の作製方法としては、ピンバンドリング法、直接機械加工法及び層状体を利用する方法がある。しかし、 ピンバンドリング法で作製するのは非現実的である。また、直接機械加工法で作製すると、キューブコーナー素子の形状に係る設計柔軟性が低くなり、結果として全光反射が影響を受けるとともに、PGキューブコーナー素子及びその構成に設計上の制約が顕在化してしまう可能性がある。これに対し、層状体を利用する方法では、二面角誤差を変化させる上で有意な柔軟性が提 供されるという本件各発明の課題が解決される。 ところが、本件各発明では、層状体以外の「物品」も含まれることとなっているにもかかわらず、層状体以外の物品で、本件明細書に記載されている課題が解決可能であることは、本件明細書に記載も示唆もされていない。 したがって、本件各発明は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識でき る範囲のものであるとはいえないから、サ されていない。 したがって、本件各発明は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識でき る範囲のものであるとはいえないから、サポート要件に違反することは明白である。 (5) 「キューブコーナー素子」という発明特定事項について本件各発明の「キューブコーナー素子」には、六角形型完全キューブコーナー素子も含まれるが、本件明細書においては、四角形の完全キューブコー ナー素子しか開示されておらず、六角形型完全キューブコーナー素子が開示されていない。そのため、当業者は、六角形型完全キューブコーナー素子の場合であっても、本件各発明の課題を解決できるのか理解できないから、サポート要件に違反する。 (原告らの主張) (1)「少なくとも1つのキューブ」という発明特定事項について再帰反射シートを構成するキューブコーナー素子の個数は、本件各発明の課題を解決するために、当業者が再帰反射シートの用途に応じて、少なくとも1個以上の範囲で適宜設定し得るものである。少なくとも1個以上の範囲で適宜設定した数のキューブコーナー素子が一定の特性を有していれば、そ れに応じた反射特性が得られることを当業者であれば理解する。 (2) 「二面角誤差の大きさが1分~60分である」という発明特定事項について本件各発明の対象となる再帰反射シートの再帰反射特性について、本件明細書の実施例の結果を踏まえれば、1分ないし60分の二面角誤差を導入す れば、所望の反射特性が得られることを当業者は認識可能である。「1分~6 0分」の間で二面角誤差の値を具体的にいくらに設定するかは、所望の反射特性に合わせて当業者が適宜に設定し得る。 (3) 「二面角誤差」という発明特定事項に 認識可能である。「1分~6 0分」の間で二面角誤差の値を具体的にいくらに設定するかは、所望の反射特性に合わせて当業者が適宜に設定し得る。 (3) 「二面角誤差」という発明特定事項についてア本件明細書に記載された「スキュー角又はインクリネーション角」を有する構成は、本件各発明の実施形態を示す一例として位置づけられている。 また、「スキュー角又はインクリネーション角」がどのように制御、調整されているかはさておき、二面角誤差を導入することにより、本件各発明の課題が解決できることは、当業者は当然に認識できる。 イ本件明細書には、製造過程にかかわらず、発明特定事項所定の「二面角誤差」が形成された場合について、本件各発明の課題が解決できることが 開示されている。 ウ主要溝面に対応する形状は、キューブコーナー素子の配置との関係で説明することができる。具体的には、キューブコーナー素子の並ぶ方向との関係で主要溝面とそれ以外の溝表面に対応する形状を区別することが可能である。そのような形状の特定を踏まえれば「1-2二面角」及び「1- 3二面角」に対応する二面角を定めることは可能である。 エ六角形型完全キューブコーナーの具体例は、本件明細書が引用する欧州特許出願公開第0844056A1号公報に示されており、また、「スキュー角又はインクリネーション角」がどのように制御、調整されているかはさておき、二面角誤差を導入することにより生じる光学特性に変わりはな いと当業者は理解可能である。 (4) 「物品」という発明特定事項について本件明細書中の記載は本件各発明の実施例の説明としての記載であり、本件各発明の構成が、本件明細書中に記載された製造方法でのみ製造されることを示しているものではない。したがって、層状体を 項について本件明細書中の記載は本件各発明の実施例の説明としての記載であり、本件各発明の構成が、本件明細書中に記載された製造方法でのみ製造されることを示しているものではない。したがって、層状体を用いて二面角誤差を導 入することは製造方法例の一つにすぎず、他の方法で本件各発明で特定され た二面角誤差を導入しても、本件各発明の課題を解決できると当業者は認識可能である。 (5) 「キューブコーナー素子」という発明特定事項についてキューブコーナー素子における再帰反射は光の反射の原理に基づくものであることから、再帰反射シートの再帰反射特性について、本件明細書の実施 例における四角形の完全キューブコーナー素子による結果から、六角形型完全キューブコーナー素子の場合についても、実施例の結果と同様な反射特性が得られることについて、当業者は当然に認識することが可能である。 20 争点2-3(実施可能要件違反)について(被告の主張) (1) 「少なくとも1つのキューブ」という発明特定事項について本件各発明は、完成品の発散プロファイルを改善し、反射スポットが均一に広がるという課題の解決手段や発明の技術上の意義を理解するために必要な事項を開示していないため、実施可能要件に違反している。 (2) 「二面角誤差の大きさが1分~60分である」という発明特定事項につい て実施可能要件において、物の発明について実施することができるといえるためには、その物を作ることができ、かつ、その物を使用できることが必要である。 この点、本件各発明は、発明特定事項を「二面角誤差の大きさが1分~6 0分である」又は「1分~60分の範囲の…二面角誤差を有し」とするものであるから、キューブコーナー素子の二面角誤差が60分に近い 点、本件各発明は、発明特定事項を「二面角誤差の大きさが1分~6 0分である」又は「1分~60分の範囲の…二面角誤差を有し」とするものであるから、キューブコーナー素子の二面角誤差が60分に近いものも含まれる。 この場合、自動車から30m離れた距離にある標識等にヘッドライトの光を入射すると、全ての入射光が約3度広がって出射するため、反射光は光源 の約1.5m上に戻ってくることとなる。このような再帰反射シートは、も はや「再帰反射」とすらいえないものであり、当業者は、当該再帰反射シートを、再帰反射するものとして実際に使用することはできない。しかも、このように二面角誤差が大きいキューブコーナー素子については、反射光が反射面の法線から大きくずれるため、干渉計を用いても反射光を観測できず、二面角誤差を測定できないことになる。そのため、当業者は、二面角誤差が 測定できないことから、当該キューブコーナー素子の二面角誤差を確認できない。仮に、当該キューブコーナー素子の二面角誤差を測定できたとしても、二面角誤差が大きいことに起因して、測定値の誤差も大きくなるため、正確な二面角誤差を把握できない。 以上によれば、本件明細書の発明の詳細な説明には、特許請求の範囲に記 載された数値範囲全体についての実施例の開示がなく、かつ、実施例のない部分について実施可能であることが理解できる程度の技術的な説明もないから、実施可能要件に違反することは明らかである。 (3) 「二面角誤差」という発明特定事項について本件各発明の「二面角誤差」という発明特定事項については、文言上、① 主要溝面を有しない素子や、②二面角誤差がスキュー角やインクリネーション角に起因していない場合も含まれている。しかし、①主要溝面を有しない素子や、②二 いう発明特定事項については、文言上、① 主要溝面を有しない素子や、②二面角誤差がスキュー角やインクリネーション角に起因していない場合も含まれている。しかし、①主要溝面を有しない素子や、②二面角誤差がスキュー角やインクリネーション角に起因していない場合に関しては、本件明細書には記載も示唆もされていない。そうすると、本件各発明が包含する上記①又は②の場合において、「1-2二面角誤差及び 1-3二面角誤差」が「1分~60分」の間で、「大きさ及び/又は符号において変化」しているキューブコーナー素子を作製するには、当業者において過度の試行錯誤を要するといえ、本件明細書の発明の詳細な説明は、本件各発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものではないから、実施可能要件に違反するものである。 (4) 「物品」という発明特定事項について 本件各発明の「物品」という発明特定事項については、文言上、層状体を用いず、キューブコーナー素子を有する平面状基材やその複製物を用いた場合も含まれている。しかし、本件明細書の【0007】には、平面状基材について、直接機械加工法で作製されるが、設計の柔軟性が低減されてしまうことが記載されている。そうすると、当業者は、平面状基材を用いた場合に、 どのように、二面角誤差を変化させる上で有意な柔軟性を提供するのか理解できない。また、層状体であれば、対向層状体の素子の非二面縁を互いに接触させることで(【0133】参照)、「実質的に平行」といえる可能性があるものの、平面状基材の場合には、対向する素子の非二面縁を互いに接触させることはできない。そのため、「隣接しているキューブコーナー素子の隣接し ている非二面縁に実質的に平行である、少なくとも1つの非二面縁」の構成を有 には、対向する素子の非二面縁を互いに接触させることはできない。そのため、「隣接しているキューブコーナー素子の隣接し ている非二面縁に実質的に平行である、少なくとも1つの非二面縁」の構成を有する物を生産することができない。 したがって、当業者は、上記記載に基づき、平面状基材を用いた「物品」を生産するに当たり、過度の試行錯誤を要することとなるから、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件に違反するものである。 (5) 「キューブコーナー素子」という発明特定事項について本件各発明の「キューブコーナー素子」については、形状が限定されていない。すなわち、平面視で四角形の完全キューブコーナー素子も含まれれば、六角形型完全キューブコーナー素子も含まれる。しかし、本件明細書においては、特定形状の四角形の完全キューブコーナー素子しか開示されておらず、 他の形状の四角形の完全キューブコーナー素子や六角形型完全キューブコーナー素子が開示されていない。そのため、当業者は、例えば六角形型完全キューブコーナー素子の場合に、どのように「1-2二面角」及び「1-3二面角」を特定し、どのように「二面角誤差」の大きさ及び/又は符号において変化させれば良いのかを理解できず、過度の試行錯誤を要するから、本件 明細書の発明の詳細な説明の記載は、本件各発明を実施するための明確で、 かつ、十分な事項を開示していないといえ、実施可能要件に違反する。 (6) 「二面角誤差」の測定方法が不明であること本件明細書には二面角誤差の測定方法が記載されていないし、微小のキューブコーナー素子の二面角誤差の測定についての技術常識も存在しない。そのため、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、本件各発明を実施するた めの明確で、かつ、十分 記載されていないし、微小のキューブコーナー素子の二面角誤差の測定についての技術常識も存在しない。そのため、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、本件各発明を実施するた めの明確で、かつ、十分な事項を開示していないといえるから、実施可能要件に違反する。 (原告らの主張)(1) 「少なくとも1つのキューブ」という発明特定事項について前記19(原告らの主張)(1)における主張と同様である。 (2)「二面角誤差の大きさが1分~60分である」という発明特定事項について前記19(原告らの主張)(2)における主張と同様である。 (3) 「二面角誤差」という発明特定事項について前記19(原告らの主張)(3)における主張と同様である。 (4) 「物品」という発明特定事項について 前記19(原告らの主張)(4)における主張と同様である。 (5) 「キューブコーナー素子」という発明特定事項について前記19(原告らの主張)(5)における主張と同様である。 (6) 本件明細書の記載及び本件優先日当時の技術常識に基づけば二面角誤差を測定する方法は当業者にとって明確であること 前記18(原告らの主張)(1)において主張したように、本件明細書の記載及び本件優先日当時の技術常識を踏まえれば、二面角誤差の測定方法の具体的内容は明らかであるから、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は実施可能要件を充足している。 21 争点2-4(乙34文献を主引用例とする新規性及び進歩性欠如)につい て (被告の主張)(1) 乙34文献に記載された発明乙34文献には、以下の各発明(以下、順に「乙34発明1」及び「乙34発明4」という。)が記載されている。 ア乙34発明1 1-a 六角形のコ 1) 乙34文献に記載された発明乙34文献には、以下の各発明(以下、順に「乙34発明1」及び「乙34発明4」という。)が記載されている。 ア乙34発明1 1-a 六角形のコーナキューブの形状をしたプリズムを有する反射器1-b いくつかのプリズムにおいて、1-b1 基準平面に対して非平行な関係にある外縁を有し、かつ1-b2 隣接しているプリズムと外縁を共有しており、当該共有部分においてその外縁は隣接するプリズムの外縁と互いに平行な関係に ある1-b3 ここで、基準平面とは、プリズムが配設されている平面を意味する1-c 少なくとも1つのプリズムにおいて1-c1 1-2二面角及び1-3二面角において、90度からの偏差が 存在し、1-c2 この「90度からの偏差」とは、プリズム内の二面角における90度からの偏差を意味する値であり、1-c3 2つの二面角のそれぞれの90度からの偏差の値は、相互に絶対値及び/又は符号において異なっており、 1-c4 その90度からの偏差の値の絶対値は1分~60分の範囲である、1-d 反射器イ乙34発明41-a 六角形のコーナキューブの形状をしたプリズムを有する反射器 1-b いくつかのプリズムにおいて、 1-b1 基準平面に対して非平行な関係にある外縁を有し、かつ1-b2 隣接しているプリズムと外縁を共有しており、当該共有部分においてその外縁は隣接するプリズムの外縁と互いに平行な関係にある1-b3 ここで、基準平面とは、プリズムが配設されている平面を意味 する1-e 少なくとも1つのプリズムにおいて1-e1 3つの二面角には90度からの偏差が存在し、その絶対値の範囲は1分~60 ここで、基準平面とは、プリズムが配設されている平面を意味 する1-e 少なくとも1つのプリズムにおいて1-e1 3つの二面角には90度からの偏差が存在し、その絶対値の範囲は1分~60分である1-e2 この「90度からの偏差」とは、被告プリズム内の二面角にお ける90度からの偏差を意味する値である1-e3 3つの二面角のそれぞれの90度からの偏差の値は、相互に絶対値及び/又は符号において異なっている1-d 反射器ウ原告らの主張に対する反論 (ア) 構成要件1-B3及び4-B3に対応する構成について乙34文献の図1は「反射器の構造の一例」にすぎない。 むしろ、乙34文献の図9に示されている反射器において、プリズムが配設されているのは平面である。すなわち、乙34文献の図1には、「取付け面」が開示されているところ、当該取付け面はドーナッツ状の 平面で、プリズムは当該取付け面に配設されている。 また、本件各発明の「基準平面」には、「仮想的な平面」も含むという原告らの主張を前提とすると、乙34文献にも仮想的な「基準平面」が存在する。 (イ) 構成要件1-Cないし1-C4及び1-Dに対応する構成について 乙34文献に記載された「直交していないプリズム反射面」及び「二 面角が90度より離れ、ある角を有する」は、「二面角誤差」を有するキューブコーナー素子そのものであり、また、「実際の反射光は…ある程度広がり、標識としてつごうがよい」ということは、まさに「発散プロファイルを改善」していることであるから、二面角誤差を変えるという技術的思想を開示している。 また、当業者は、乙34文献では反射器のプリズム反射面側(凹凸側)から法線角偏差と方向角偏差を測定している いることであるから、二面角誤差を変えるという技術的思想を開示している。 また、当業者は、乙34文献では反射器のプリズム反射面側(凹凸側)から法線角偏差と方向角偏差を測定していると理解するから、乙34文献の測定において、反射器の表面の曲率の影響を受けることはない。したがって、当業者は、乙34文献の図4で示されている法線角偏差δ及び方向角偏差εの測定値を正確なものと認識する。 (ウ) 構成要件4-Cないし4-C3及び4-Dに対応する構成について前記(イ)において主張したところと同様である。 (2) 一致点及び相違点ア本件発明1と乙34発明1との対比乙34発明1は本件発明1の構成を全て有するから、本件発明1は乙3 4発明1と同一の発明である。 したがって、本件発明1は新規性を欠く。 イ本件発明4と乙34発明4との対比乙34発明4は本件発明4の構成を全て有するから、本件発明4は乙34発明4と同一の発明である。 したがって、本件発明4は新規性を欠く。 (3) 容易想到性仮に、本件発明1と乙34発明1との間及び本件発明4と乙34発明4との間にそれぞれ何らかの相違点があるとしても、当業者は、当該相違点に係る本件各発明の構成をいずれも容易に想到することができた。 したがって、本件各発明はいずれも進歩性を欠く。 (原告らの主張)(1) 乙34文献に記載された発明ア構成要件1-B3及び4-B3に対応する構成について乙34文献に記載の反射器において、プリズムが配設されているのは「平面」ではなく、大きな曲率を有する「曲面」である。したがって、乙 34発明1及び4は、被告の主張する1-b3の構成を有し いて乙34文献に記載の反射器において、プリズムが配設されているのは「平面」ではなく、大きな曲率を有する「曲面」である。したがって、乙 34発明1及び4は、被告の主張する1-b3の構成を有しない。 イ構成要件1-Cないし1-C4及び1-Dに対応する構成について乙34文献に接した当業者は、特別の思考を経ることなく、容易に、一つのキューブコーナー素子に含まれる三つの二面角誤差のうちの二つ又は三つを互いに異ならせ、かつ二面角誤差の大きさを1分ないし60分とす るという技術的思想を把握し得ないから、乙34文献は、一つのキューブコーナー素子に含まれる三つの二面角誤差のうちの二つまたは三つを互いに異ならせ、かつ二面角誤差の大きさを1分~60分とするという技術的思想を開示しているとはいえない。また、乙34文献で測定された各面における法線角偏差δ及び方向角偏差εの測定値は、反射器の表面の大きな 曲率による影響を受けており、当業者は、乙34文献の図4で示されている法線角偏差δ及び方向角偏差εの測定値を正確なものとは認識し得ない。 したがって、被告が算出した二面角誤差をもって、乙34発明1の構成の一部とすることはできないし、かつ、被告が示した二面角誤差を当業者は正確なものと認識し得ないから、乙34発明1は、被告の主張する1- c1ないし1-c4の構成を有しない。 ウ構成要件4-Cないし4-C3及び4-Dに対応する構成について前記イにおいて主張したところと同様に、乙34発明4は、被告の主張する1-e1ないし1-e3の構成を有しない。 (2) 一致点及び相違点 ア本件発明1と乙34発明1との対比 本件発明1は、構成要件1-B3及び1-C1ないし1-C4を有するのに対し、乙34発明1は、少なくと い。 (2) 一致点及び相違点 ア本件発明1と乙34発明1との対比 本件発明1は、構成要件1-B3及び1-C1ないし1-C4を有するのに対し、乙34発明1は、少なくとも1-b3及び1-c1ないし1-c4の構成を有しない。 したがって、本件発明1は乙34発明1と同一の発明ではないから、新規性を有する。 イ本件発明4と乙34発明4との対比本件発明4は、構成要件4-B3及び4-C1ないし4-C3を有するのに対し、乙34発明4は、少なくとも被告の主張する1-b3及び1-e1から1-e3の構成を実際は有しない。 したがって、本件発明4は乙34発明4と同一の発明ではないから、新 規性を有する。 (3) 相違点に係る構成を容易に想到できないこと乙34文献は、前記(2)ア及びイにおいて主張した各相違点を何ら開示も示唆もしていないから、当業者は、乙34文献の記載に基づき、当該各相違点に係る本件各発明の構成を容易に想到し得ない。 したがって、本件各発明はいずれも進歩性を有する。 22 争点2-5(乙39文献を主引用例とする新規性及び進歩性欠如)について(被告の主張)(1) 乙39文献に記載された発明 乙39文献には、以下の各発明(以下、順に「乙39発明1」、「乙39発明4」、「乙39’発明1」及び「乙39’発明4」という。)が記載されている。 ア乙39発明12-a 六角形のコーナキューブの形状をしたプリズムを有する逆反射 体 2-b いくつかのプリズムにおいて、2-b1 基準平面に対して非平行な関係にある外縁を有し、かつ2-b2 隣接しているプリズムと外縁を共有しており、当該共有部分においてその外縁は隣接するプリズムの外縁と つかのプリズムにおいて、2-b1 基準平面に対して非平行な関係にある外縁を有し、かつ2-b2 隣接しているプリズムと外縁を共有しており、当該共有部分においてその外縁は隣接するプリズムの外縁と互いに平行な関係にある 2-b3 ここで、基準平面とは、プリズムが配設されている平面を意味する2-c 少なくとも1つのプリズムにおいて2-c1 1-2二面角及び1-3二面角において、90度からの偏差が存在し、 2-c2 この「90度からの偏差」とは、プリズム内の二面角における90度からの偏差を意味する値であり、2-c3 2つの二面角のそれぞれの90度からの偏差の値は、相互に符号において異なっており、2-c4 その90度からの偏差の値の大きさは+2.8′と-2.8′ である、2-d 逆反射体イ乙39発明42-a 六角形のコーナキューブの形状をしたプリズムを有する逆反射体 2-b いくつかのプリズムにおいて、2-b1 基準平面に対して非平行な関係にある外縁を有し、かつ2-b2 隣接しているプリズムと外縁を共有しており、当該共有部分においてその外縁は隣接するプリズムの外縁と互いに平行な関係にある 2-b3 ここで、基準平面とは、プリズムが配設されている平面を意味 する2-e 少なくとも1つのプリズムにおいて2-e1 3つの二面角には90度からの偏差が存在し、±2.8′の範囲内である2-e2 この「90度からの偏差」とは、プリズム内の二面角における 90度からの偏差を意味する値である2-e3 3つの二面角のそれぞれの90度からの偏差の値は、相互に絶対値及び/又は符号において異なっている2-d 逆反射体ウ乙39’発明1 90度からの偏差を意味する値である2-e3 3つの二面角のそれぞれの90度からの偏差の値は、相互に絶対値及び/又は符号において異なっている2-d 逆反射体ウ乙39’発明1 2-a 六角形のコーナキューブの形状をしたプリズムを有する逆反射体2-b いくつかのプリズムにおいて、2-b1 基準平面に対して非平行な関係にある外縁を有し、かつ2-b2 隣接しているプリズムと外縁を共有しており、当該共有部分に おいてその外縁は隣接するプリズムの外縁と互いに平行な関係にある2-b3 ここで、基準平面とは、プリズムが配設されている平面を意味する2-c 少なくとも1つのプリズムにおいて 2-c1 1-2二面角及び1-3二面角において、90度からの偏差が存在し、2-c2 この「90度からの偏差」とは、プリズム内の二面角における90度からの偏差を意味する値であり、2-c3 2つの二面角のそれぞれの90度からの偏差の値は、相互に符 号において異なっており、 2-c4’その90度からの偏差の値の大きさは+2°以内と-2°以内である、2-d 逆反射体エ乙39’発明42-a 六角形のコーナキューブの形状をしたプリズムを有する逆反射 体2-b いくつかのプリズムにおいて、2-b1 基準平面に対して非平行な関係にある外縁を有し、かつ2-b2 隣接しているプリズムと外縁を共有しており、当該共有部分においてその外縁は隣接するプリズムの外縁と互いに平行な関係に ある2-b3 ここで、基準平面とは、プリズムが配設されている平面を意味する2-e 少なくとも1つのプリズムにおいて2-e1’3つの二面角には90度からの偏差が存在し、その値 に ある2-b3 ここで、基準平面とは、プリズムが配設されている平面を意味する2-e 少なくとも1つのプリズムにおいて2-e1’3つの二面角には90度からの偏差が存在し、その値の大きさ は±2°の範囲内である2-e2 この「90度からの偏差」とは、プリズム内の二面角における90度からの偏差を意味する値である2-e3 3つの二面角のそれぞれの90度からの偏差の値は、相互に絶対値及び/又は符号において異なっている 2-d 逆反射体オ原告らの主張に対する反論(ア) 構成要件1-A及び1-Bないし1-B3、4-A及び4-Bないし4-B3に対応する構成について乙39文献の「第4図は本発明の種々の型の反射体の図である」とい う記載、「プリズムにして六角の窓を持つもの」という記載及び第4A図 に照らせば、乙39文献には、「六角形のコーナーキューブの形状をしたプリズム」の反射体が開示されている。 (イ) 構成要件1-Cないし1-C4及び1-Dに対応する構成乙39文献の「上に挙げた各種の誤差は90°の面間角に正確に同一の数値誤差を生ずることはない」(10頁右下欄4~5行)という記載に つき、「90°の面間角」が「二面角」を意味しており、かつ、「90°の面間角…の数値誤差」が「二面角誤差」である。そうすると、90度の面間角の数値誤差(二面角誤差)が正確に同一のものではない以上、二面角誤差は大きさが異なっていることを意味する。また、乙39文献には、プリズム(キューブコーナー、立方体)の2面角が90度からず れることが明確に多数記載されている。 (ウ) 構成要件4-Cないし4-C3及び4-Dに対応する構成について乙39文献には、「六角形のコーナーキューブ ナー、立方体)の2面角が90度からず れることが明確に多数記載されている。 (ウ) 構成要件4-Cないし4-C3及び4-Dに対応する構成について乙39文献には、「六角形のコーナーキューブの形状をしたプリズム」の反射体が開示されている。 (2) 一致点及び相違点 ア本件発明1と乙39発明1との対比乙39発明1は本件発明1の構成を全て有するから、本件発明1は乙39発明1と同一の発明である。 イ本件発明4と乙39発明4との対比乙39発明4は本件発明4の構成を全て有するから、本件発明4は乙3 9発明4と同一の発明である。 ウ本件発明1と乙39’発明1との対比(ア) 一致点本件発明1と乙39’発明1は、構成要件1-Aと構成2-a、構成要件1-Bないし1-B3と構成2-bないし2-b3、構成要件1- Cないし1-C3と構成2-cないし2-c3、及び構成要件1-Dと 構成2-dにおいてそれぞれ一致する。 (イ) 相違する可能性がある点乙39’発明1の構成2-c4’(その90度からの偏差の値の大きさは+2°以内と-2°以内である)については、構成要件1-C4(該二面角誤差の大きさが1分~60分である)とは形式的には一致せず、 偏差の値の大きさについて、構成要件1-C4の数値範囲を、構成2-c4’(0度=0分<偏差<2度=120分)が包含する関係にある点で、相違する可能性がある(以下「相違する可能性がある点1」という。)。 しかし、相違する可能性がある点1は、実質的な相違点とはなり得ない。すなわち、本件明細書には、二面角誤差の大きさを1分ないし60 分とすることの技術的意義が記載されていないし、実施例や【図27】ないし【図31】に示されている二面角誤差の最大 とはなり得ない。すなわち、本件明細書には、二面角誤差の大きさを1分ないし60 分とすることの技術的意義が記載されていないし、実施例や【図27】ないし【図31】に示されている二面角誤差の最大の絶対値は19.8分である。しかも、実施例においては、構成要件1-C4の数値範囲(1分~60分)ではないものも多数記載されている。 そうすると、相違する可能性がある点1は実質的には同一である。 (ウ) 小括したがって、本件発明1は乙39’発明1と同一の発明である。 エ本件発明4と乙39’発明4との対比(ア) 一致点本件発明4と乙39’発明4は、構成要件4-C1を除き、明らかに 一致する。 (イ) 相違する可能性がある点乙39’発明4の構成2-e1’(3つの二面角には90度からの偏差が存在し、その値の大きさは±2°の範囲内である)が、本件発明4の構成要件4-C1(1分~60分の範囲の3つの二面角誤差を有し)と 相違する可能性がある(以下「相違する可能性がある点2」という。)が、 実質的な相違点ではない。そうすると、上記の相違する可能性がある点2は実質的には同一である。 (ウ) 小括したがって、本件発明4は乙39’発明4と同一の発明である。 (3) 容易想到性 仮に、本件発明1と乙39発明1又は乙39’発明1との間及び本件発明4と乙34発明4又は乙34’発明4との間にそれぞれ何らかの相違点があるとしても、当業者は、当該相違点に係る本件各発明の構成をいずれも容易に想到することができた。 したがって、本件各発明はいずれも進歩性を欠く。 (原告らの主張)(1) 乙39文献に記載された発明ア構成要件1-Aないし1-B3及び4-Aないし4-B3に対応する構 。 したがって、本件各発明はいずれも進歩性を欠く。 (原告らの主張)(1) 乙39文献に記載された発明ア構成要件1-Aないし1-B3及び4-Aないし4-B3に対応する構成について乙39文献には、被告が主張するような「六角形のキューブコーナーの 形状をしたプリズム」は開示されておらず、開示されているのは本件各発明に含まれない切頭型のキューブコーナー素子である。したがって、乙39発明1は、被告の主張する2-aの構成を有しない。 また、乙39文献にはいわゆるフルキューブ型のキューブコーナー素子は開示されておらず、開示されている切頭型のキューブコーナー素子では、 外縁が基準平面に対して平行になるから、乙39発明1、4及び乙39’発明1、4は、被告の主張する2-bないし2-b3の構成を有しない。 イ構成要件1-Cないし1-C4及び1-Dに対応する構成について乙39文献は、士2.8分以内の二面角誤差が互いに異なることを開示しておらず、ましてや、該二面角誤差の大きさが+2.8分と-2.8分 であることを開示していないから、乙39発明1は、被告の主張する2- c3及び2-c4の構成を有しない。 また、構成要件1-C4が、「該二面角誤差の大きさが1分~60分である」のに対し、乙39’発明1の構成要件2-c4’が「その90度からの偏差の値の大きさは+2°以内と-2°以内である」点で、両者は相違するから、乙39’発明1は、構成要件1-C4に対応する構成を有しな い。 ウ構成要件4-Cないし4-C3及び4-Dに対応する構成について前記イのとおり、乙39文献は、二面角誤差が士2.8分の範囲で互いに異なることを開示も示唆もしておらず、乙39発明4は、被告の主張する2-e1及び2-e し4-C3及び4-Dに対応する構成について前記イのとおり、乙39文献は、二面角誤差が士2.8分の範囲で互いに異なることを開示も示唆もしておらず、乙39発明4は、被告の主張する2-e1及び2-e3の構成を有しない。 また、構成要件4-C1が、「1分~60分の範囲の3つの二面角誤差を有し」ているのに対し、乙39’発明4の構成要件2-e1’が「3つの二面角には90度からの偏差が存在し、その値の大きさは士2°の範囲内である」点で、両者は相違するから、乙39’発明4は、構成要件4-C1に対応する構成を有しない。 (2) 一致点及び相違点ア本件発明1と乙39発明1との対比本件発明1は、構成要件1-Bないし1-B3、1-C3及び1-C4を有するのに対し、乙39発明1は、少なくとも2-bないし2-b3、2-c3及び2-c4の構成を有しない。 したがって、本件発明1は乙39発明1と同一の発明ではないから、新規性を有する。 イ本件発明4と乙39発明4との対比本件発明4は、構成要件4-Bないし4-B3、4-Cl及び4-C3を有するのに対し、乙39発明4は、少なくとも2-bないし2-b3、 2-el及び2-e3の構成を有しない。 したがって、本件発明4は乙39発明4と同一の発明ではないから、新規性を有する。 ウ本件発明1と乙39’発明1との対比本件発明1は、構成要件1-Bないし1-B3、1-C3及び1-C4を有するのに対し、乙39’発明1は、少なくとも2-bないし2-b3 の構成を有しない。また、乙39’発明1は、構成要件1-C4に対応する構成を有しない。 したがって、本件発明1は乙39’発明1と同一の発明ではないから、新規性を有する。 エ本件発明4と乙39’発明4との対比 い。また、乙39’発明1は、構成要件1-C4に対応する構成を有しない。 したがって、本件発明1は乙39’発明1と同一の発明ではないから、新規性を有する。 エ本件発明4と乙39’発明4との対比 本件発明4は、構成要件4-Bないし4-B3、4-Cl及び4-C3を有するのに対し、乙39’発明4は、少なくとも2-bないし2-b3の構成を有しない。また、乙39’発明4は、構成要件4-C1に対応する構成を有しない。 したがって、本件発明4は乙39’発明4と同一の発明ではないから、 新規性を有する。 (3) 相違点に係る構成に容易に想到できないこと乙39文献は、前記(2)アないしエにおいて主張した各相違点を何ら開示も示唆もしていないから、当業者は、乙39文献の記載に基づき、当該各相違点に係る本件各発明の構成を容易に想到し得ない。 したがって、本件各発明はいずれも進歩性を有する。 23 争点2-6(乙40文献を主引用例とする新規性及び進歩性欠如)について(被告の主張)(1) 乙40文献に記載された発明 乙40文献には、以下の各発明(以下、順に「乙40発明A1」、「乙40 発明A4」、「乙40発明B1」及び「乙40発明B4」という。)が記載されている。 ア乙40発明A13-a 正方形の逆反射素子を有する逆反射体3-b いくつかの逆反射素子40において、 3-b1 基準平面に対して非平行な関係にある第2の辺51及び第4の辺53を有し、かつ3-b2 隣接している逆反射素子40と辺を共有しており、当該共有部分においてその辺は隣接する逆反射素子40の辺と互いに平行な関係にある 3-b3 ここで、基準平面とは、逆反射素子40が配設されている本体21の前面22を 0と辺を共有しており、当該共有部分においてその辺は隣接する逆反射素子40の辺と互いに平行な関係にある 3-b3 ここで、基準平面とは、逆反射素子40が配設されている本体21の前面22を意味する3-c 少なくとも1つの逆反射素子40において3-c1 面41と42の二面角及び面41と43の二面角において、90度からの偏差が存在し、 3-c2 この「90度からの偏差」とは、逆反射素子40内の二面角における90度からの偏差を意味する値であり、3-c4 その90度からの偏差の角度は、6′又は7′程度である、3-d 逆反射体イ乙40発明A4 3-a 正方形の逆反射素子を有する逆反射体3-b いくつかの逆反射素子40において、3-b1 基準平面に対して非平行な関係にある第2の辺51及び第4の辺53を有し、かつ3-b2 隣接している逆反射素子40と辺を共有しており、当該共有部 分においてその辺は隣接する逆反射素子40の辺と互いに平行な 関係にある3-b3 ここで、基準平面とは、逆反射素子40が配設されている本体21の前面22を意味する3-e 少なくとも1つの逆反射素子40において3-e1 3つの二面角には90度からの偏差が存在し、6~7′及び3 0′である3-e2 この「90度からの偏差」とは、逆反射素子40内の二面角における90度からの偏差を意味する値である3-e3 面42と43との間に、面41と42との間の角度及び面41と43との間の角度よりも実質的に大きい角度を有する 3-d 逆反射体ウ乙40発明B13-a’ 六角形の逆反射素子を有する逆反射体3-b’ いくつかの逆反射素子40において、3-b1’ 基準平面に対 に大きい角度を有する 3-d 逆反射体ウ乙40発明B13-a’ 六角形の逆反射素子を有する逆反射体3-b’ いくつかの逆反射素子40において、3-b1’ 基準平面に対して非平行な関係にある外縁を有し、かつ 3-b2’ 隣接している逆反射素子40と外縁を共有しており、当該共有部分においてその辺は隣接する逆反射素子40の外縁と互いに平行な関係にある3-b3’ ここで、基準平面とは、逆反射素子40が配設されている本体21の前面22を意味する 3-c’ 少なくとも1つの逆反射素子40において3-c1’ 面41と42の二面角及び面42と43の二面角において、90度からの偏差が存在し、3-c2’ この「90度からの偏差」とは、逆反射素子40内の二面角における90度からの偏差を意味する値であり、 3-c3’ 面42と43との間の角度が、面41と42との間の角度よ りも実質的に大きい角度を有し、3-c4’ その90度からの偏差の角度は、6′又は7′程度及び30′である、3-d’ 逆反射体エ乙40発明B4 3-a’ 六角形の逆反射素子を有する逆反射体3-b’ いくつかの逆反射素子40において、3-b1’ 基準平面に対して非平行な関係にある外縁を有し、かつ3-b2’ 隣接している逆反射素子40と外縁を共有しており、当該共有部分においてその辺は隣接する逆反射素子40の外縁と互い に平行な関係にある3-b3’ ここで、基準平面とは、逆反射素子40が配設されている本体21の前面22を意味する3-e’ 少なくとも1つの逆反射素子40において3-e1’ 3つの二面角には90度からの偏差が存在し、6~7′及び 30′である3- が配設されている本体21の前面22を意味する3-e’ 少なくとも1つの逆反射素子40において3-e1’ 3つの二面角には90度からの偏差が存在し、6~7′及び 30′である3-e2’ この「90度からの偏差」とは、逆反射素子40内の二面角における90度からの偏差を意味する値である3-e3’ 面42と43との間に、面41と42との間の角度及び面41と43との間の角度よりも実質的に大きい角度を有する。 3-d’ 逆反射体オ原告らの主張に対する反論原告らは、構成要件1-C4に対応する構成について、乙40文献には、面41と42の二面角の90度から偏差の値と、面41と43との間の二面角の90度から偏差の値が、符号において互いに異なっている旨の記載 は一切ないと主張する。 しかし、被告が、乙40発明Aとして認定した構成要件1-C4に対応する構成3-c4は、「その90度からの偏差の角度は、6′又は7′程度である」という点であるから、原告らの主張は、被告の認定した構成3-c4に対する反論となっていない。 (2) 一致点及び相違点 ア本件発明1と乙40発明A1との対比乙40発明A1は本件発明1の構成を全て有するから、本件発明1は乙40発明A1と同一の発明である。 したがって、本件発明1は新規性を欠く。 イ本件発明1と乙40発明B1との対比 乙40発明B1は本件発明1の構成を全て有するから、本件発明1は乙40発明B1と同一の発明である。 したがって、本件発明1は新規性を欠く。 ウ本件発明4と乙40発明A4との対比乙40発明A4は本件発明4の構成を全て有するから、本件発明4は乙 40発明A4と同一の発明で したがって、本件発明1は新規性を欠く。 ウ本件発明4と乙40発明A4との対比乙40発明A4は本件発明4の構成を全て有するから、本件発明4は乙 40発明A4と同一の発明である。 したがって、本件発明4は新規性を欠く。 エ本件発明4と乙40発明B4との対比乙40発明B4は本件発明4の構成を全て有するから、本件発明4は乙40発明B4と同一の発明である。 したがって、本件発明4は新規性を欠く。 オ原告らの主張に対する反論(ア) 本件発明1と乙40発明A1との対比乙40文献に接した当業者は、「面41と42との間の角度」と「面41と43との間の角度」が異なることになると理解するのであるから、 本件発明1は乙40発明A1と同一の発明である。 (イ) 本件発明1と乙40発明B1との対比構成要件1-B2に対応する構成について、仮に、原告らの主張を前提とすれば、乙40発明B1においても、隣接する六角形の素子と六角形の素子とは辺(外縁)を共有しており、「互いに平行な関係にある」ことになる。また、六角形のキューブコーナー素子を有する逆反射体は周 知慣用技術であった。そのため、当業者であれば、反射素子が六角形である場合に隣接する反射素子とどのような関係で配置されるかや、隣接する六角形の反射素子同士が辺(外縁)を共有していることも当然に理解できる。 構成要件1-Cないし1-C4及び1-Dに対応する構成について、 プリズムをなす三つの溝面のいずれかを主要溝面とみなし得るという原告らの主張を前提とすると、乙40発明B1においても、六角形の逆反射素子40をなす三つの溝面のいずれかの面を主要溝面とみなすことができるため、例えば、面42を主要溝面とみる 溝面とみなし得るという原告らの主張を前提とすると、乙40発明B1においても、六角形の逆反射素子40をなす三つの溝面のいずれかの面を主要溝面とみなすことができるため、例えば、面42を主要溝面とみることにより、面41と42との間の角度が1-2二面角、面42と43との間の角度が1-3二 面角となる。 したがって、本件発明1は乙40発明A1と同一の発明である。 (ウ) 本件発明4と乙40発明A4との対比乙40文献に接した当業者は、「面41と42との間の角度」と「面41と43との間の角度」が異なることになると理解するのであるから、 面42と43との間の角度の二面角誤差は、例えば30分であることからすれば、本件発明4は乙40発明A4と同一の発明である。 (エ) 本件発明4と乙40発明B4との対比構成要件4-B2に対応する構成について、仮に、原告らの主張を前提とすれば、乙40発明B4においても、隣接する六角形の素子と六角 形の素子とは辺(外縁)を共有しており、「互いに平行な関係にある」こ とになる。また、六角形のキューブコーナー素子を有する逆反射体は周知慣用技術であった。そのため、当業者であれば、反射素子が六角形である場合に隣接する反射素子とどのような関係で配置されるか、隣接する六角形の反射素子同士が辺(外縁)を共有していることも当然に理解できる。 また、乙40文献には、面41と42との間の角度における誤差と、面41と43との間の角度における誤差とが同じであることは一切記載されていない。 (3) 容易想到性仮に、本件発明1と乙40発明A1又は乙40発明B1との間及び本件発 明4と乙40発明A4又は乙40発明B4との間にそれぞれ何らかの相違点があるとしても、当業者は、当該相違点に 到性仮に、本件発明1と乙40発明A1又は乙40発明B1との間及び本件発 明4と乙40発明A4又は乙40発明B4との間にそれぞれ何らかの相違点があるとしても、当業者は、当該相違点に係る本件各発明の構成をいずれも容易に想到することができた。 したがって、本件各発明はいずれも進歩性を欠く。 (原告らの主張) (1) 乙40文献に記載された発明ア構成要件1-Cないし1-C4及び1-Dに対応する構成について乙40文献には、面41と42の二面角の90度から偏差の値と、面41と43との間の二面角の90度から偏差の値が、符号において互いに異なっている旨の記載は一切ない。したがって、乙40発明A1及びB1は、 構成要件1-C3に対応する構成を有しない。 また、乙40文献は、面41と42との間の角度が1-2二面角であり、面42と43との間の角度が1-3二面角であることも開示も示唆もしておらず、乙40発明B1の構成3-cl’(面41と42の二面角及び面42と43の二面角において、90度からの偏差が存在し)は、構成要件1 -Cl(1-2二面角誤差および1-3二面角誤差を有し)に相当しない。 さらに、乙40発明B1の構成3-cl’が構成要件1-C1に相当しない以上、乙40発明B1の構成3-c2’ないし3-c4’も構成要件1-C2ないしl-C4に相当しない。 イ構成要件1-Bないし1-B3及び4-Bないし4-B3に対応する構成について 乙40文献には、反射素子が六角形である場合の詳細な説明はないし図面もない。したがって、乙40文献は、反射素子が六角形である場合に隣接する反射素子とどのような関係で配置されるかを開示も示唆もしておらず、隣接する六角形の反射素子同士が辺(外縁)を共有し はないし図面もない。したがって、乙40文献は、反射素子が六角形である場合に隣接する反射素子とどのような関係で配置されるかを開示も示唆もしておらず、隣接する六角形の反射素子同士が辺(外縁)を共有していることも開示も示唆もしていない。 したがって、乙40発明B1及びB4は、被告が構成要件1-B2に相当すると主張する構成3-b2’を有しない。 ウ構成要件4-Cないし4-C3及び4-Dに対応する構成について乙40文献に記載された反射素子において、面41と42との間の角度における誤差と、面41と43との間の角度における誤差とは同じである から、二つの二面角誤差が同じであり、三つの互いに異なる二面角誤差を有しない。 したがって、乙40発明A4及びB4は、構成要件4-C3に対応する構成を有しない。 (2) 一致点及び相違点 ア本件発明1と乙40発明A1との対比本件発明1は、構成要件1-C3を有するのに対し、乙40発明A1は、少なくとも構成要件1-C3に対応する構成を有しない。 したがって、本件発明1は乙40発明A1と同一の発明ではないから、新規性を有する。 イ本件発明4と乙40発明A4との対比 本件発明4は、構成要件4-C3を有するのに対し、乙40発明A4は、少なくとも構成要件4-C3に対応する構成を有しない。 したがって、本件発明4は乙40発明A4と同一の発明ではないから、新規性を有する。 ウ本件発明1と乙40発明B1との対比 本件発明1は、構成要件1-B2及び1-Clないし1-C4を有するのに対し、乙40発明B1は、少なくとも構成要件1-B2及び1-Clないし1-C4に対応する構成を有しない。 したがって、本件発明1は乙40発明B1と同一の発明ではないから、新規 1-C4を有するのに対し、乙40発明B1は、少なくとも構成要件1-B2及び1-Clないし1-C4に対応する構成を有しない。 したがって、本件発明1は乙40発明B1と同一の発明ではないから、新規性を有する。 エ本件発明4と乙40発明B4との対比本件発明4は、構成要件4-B2及び4-C3を有するのに対し、乙40発明B4は、少なくとも構成要件4-B2及び4-C3に対応する構成を有しない。 したがって、本件発明4は乙40発明B4と同一の発明ではないから、 新規性を有する。 (3) 相違点に係る構成に容易に想到できないこと乙40文献は、前記(2)アないしエにおいて主張した各相違点を何ら開示も示唆もしていないから、当業者は、乙40文献の記載に基づき、当該各相違点に係る本件各発明の構成を容易に想到し得ない。 したがって、本件各発明は進歩性を有する。 24 争点2-7(乙12文献を主引用例とする新規性及び進歩性欠如)について(被告の主張)(1) 乙12文献に記載された発明 乙12文献には、以下の各発明(以下、順に「乙12発明1」及び「乙1 2発明4」という。)が記載されている。 ア乙12発明14-a 四角形のPGキューブコーナ錐体を有するキューブコーナ物品4-b いくつかのPGキューブコーナ錐体において、4-b1 基準平面に対して非平行な関係にある非二面角縁部を有し、か つ4-b2 隣接しているPGキューブコーナ錐体と非二面角縁部を共有しており、当該共有部分においてその非二面角縁部は隣接するPGキューブコーナ錐体の非二面角縁部と互いに平行な関係にある4-b3 ここで、基準平面とは、PGキューブコーナ錐体が配設されて いる構造化表面を意味する4- その非二面角縁部は隣接するPGキューブコーナ錐体の非二面角縁部と互いに平行な関係にある4-b3 ここで、基準平面とは、PGキューブコーナ錐体が配設されて いる構造化表面を意味する4-c 少なくとも1つのPGキューブコーナ錐体において4-c1 表面iと複合面b’eの二面角、表面iと複合面d’gの二面角は、90度からの偏差が存在し、4-c2 この「90度からの偏差」とは、PGキューブコーナ錐体内の 二面角における90度からの偏差を意味する値であり、4-c4 その90度からの偏差の角度は、数分程度である、4-d キューブコーナ物品イ乙12発明44-a 四角形のPGキューブコーナ錐体を有するキューブコーナ物品 4-b いくつかのPGキューブコーナ錐体において、4-b1 基準平面に対して非平行な関係にある非二面角縁部を有し、かつ4-b2 隣接しているPGキューブコーナ錐体と非二面角縁部を共有しており、当該共有部分においてその非二面角縁部は隣接するPG キューブコーナ錐体の非二面角縁部と互いに平行な関係にある 4-b3 ここで、基準平面とは、PGキューブコーナ錐体が配設されている構造化表面を意味する4-e 少なくとも1つのPGキューブコーナ錐体において4-e1 表面iと複合面b’eの二面角、表面iと複合面d’gの二面角には90度からの偏差が存在し、数分程度である 4-e2 この「90度からの偏差」とは、PGキューブコーナ錐体内の二面角における90度からの偏差を意味する値である4-d キューブコーナ物品ウ原告らの主張に対する反論(ア) 構成要件1-C3に対応する構成について 「該二面角誤差が大きさ及び/又は符号において変 意味する値である4-d キューブコーナ物品ウ原告らの主張に対する反論(ア) 構成要件1-C3に対応する構成について 「該二面角誤差が大きさ及び/又は符号において変化しており」という発明特定事項は、乙12文献に実質的に記載されているに等しい事項である。 (イ) 構成要件4-C1及び4-C3に対応する構成について「1分~60分の範囲の3つの二面角誤差を有し」という発明特定事 項及び「該二面角誤差が互いに異なっている」という発明特定事項は、乙12文献に実質的に記載されているに等しい事項である。 (2) 一致点及び相違点ア本件発明1と乙12発明1との対比乙12発明1は本件発明1の構成を全て有するから、本件発明1は乙1 2発明1と同一の発明である。 したがって、本件発明1は新規性を欠く。 イ本件発明4と乙12発明4との対比乙12発明4は本件発明4の構成を全て有するから、本件発明4は乙12発明4と同一の発明である。 したがって、本件発明4は新規性を欠く。 ウ原告らの主張に対する反論乙12文献には、【0051】に記載されているとおり、光を所望のパターンや発散プロファイルに分布するようにするために、個別に、キューブコーナー素子の二面角が90度であるのを(他方の面との相互直交性)数分異ならせることで、調整することが開示されている。そうすると、「個別 に調整」するためには、一つのキューブコーナー素子における三つの二面角の偏差を同一にするということは到底考えられず、当業者であれば、一つのキューブコーナー素子における三つの二面角を全て異ならせることで、「個別に調整」して、光のパターンや発散プロファイルを所望のものにす 偏差を同一にするということは到底考えられず、当業者であれば、一つのキューブコーナー素子における三つの二面角を全て異ならせることで、「個別に調整」して、光のパターンや発散プロファイルを所望のものにすることは明らかである。したがって、当業者であれば、「該二面角誤差が大 きさ及び/又は符号において変化しており」という発明特定事項は、乙12文献に記載されていると認識する。 (3) 容易想到性仮に、本件発明1と乙12発明1及び乙12発明4との間にそれぞれ何らかの相違点があるとしても、当業者は、当該相違点に係る本件各発明の構成 をいずれも容易に想到することができた。すなわち、一つのキューブコーナー素子における三つの二面角誤差が異なることは、乙34文献及び乙39文献などにも記載されているとおり、周知慣用技術であった。また、乙12文献の【0051】には、光を所望のパターンや発散プロファイルに分布するようにするために、個別に、キューブコーナー素子の二面角が90度である のを(他方の面との相互直交性)数分異ならせることで、調整することが示唆されている。そうすると、「個別に調整」するためには、一つのキューブコーナー素子における三つの二面角の偏差を同一にするということは到底考えられず、当業者であれば、乙12発明に、周知慣用技術である「1つのキューブコーナー素子における3つの二面角を全て異ならせる」という技術的事 項を適用することで、「個別に調整」して、光のパターンや発散プロファイル を所望のものにすることは明らかである。 また、乙12文献の図28において、軸194及び196に沿って形成される溝側面e、f、g及びh(以下「本件溝側面」という。)は、一連の連続した平行溝側面である。また、乙12文献の【0051 ある。 また、乙12文献の図28において、軸194及び196に沿って形成される溝側面e、f、g及びh(以下「本件溝側面」という。)は、一連の連続した平行溝側面である。また、乙12文献の【0051】の記載からすれば、本件溝側面についても、「「溝の半角誤差」として知られる値だけ、相互直交 面を生成する角度と異なる角度で、機械加工することによって」、「キューブコーナ要素の他方の面との相互直交性を生成する配向から、円弧の数分のような小さな値だけ異なる配向の繰り返しパターンで配設することができる」ため、「再帰反射される光を所望のパターンまたは発散プロフィルに分布するように個別に調整することができる」といえる。 そうすると、当業者であれば、構成要件1-C3に係る「該二面角誤差が大きさ及び/又は符号において変化しており」という発明特定事項、構成要件4-C1に係る「1分~60分の範囲の3つの二面角誤差を有し」という発明特定事項及び構成要件4-C3に係る「該二面角誤差が互いに異なっている」という発明特定事項については、乙12発明及び周知慣用技術から容 易に推考できる。すなわち、当業者であれば、乙12発明から本件各発明をいずれも容易に発明できる。 したがって、本件各発明はいずれも進歩性を欠く。 (原告らの主張)(1) 乙12文献に記載された発明 ア構成要件1-Cないし1-C4及び1-Dに対応する構成について当業者は、乙12文献の【0051】の「例えば、」で始まる記載は、【0051】全体の記載に基づいて、図29の軸202に沿った対向溝側面iとjを具備する複数の平行溝において、誤差の繰り返しパターンを有することができることを説明していると理解する。 乙12文献の図29の表面iは、複合面b’eとd’gに 02に沿った対向溝側面iとjを具備する複数の平行溝において、誤差の繰り返しパターンを有することができることを説明していると理解する。 乙12文献の図29の表面iは、複合面b’eとd’gに対して実質的 に垂直であるように構成され、仮に誤差を有したとしても、同じ溝においては、表面iと複合面b’eの角度と、表面iとd’gの角度とは同じになる。ある溝における表面iと複合面b’eの角度と、並行する隣の溝における表面iと複合面b’eの角度が異なったとしても、一つのキューブコーナー素子における二つの二面角誤差が大きさ及び/又は符号において 変化することにはならない。 また、溝の半角誤差は二面角誤差とは異なるものであり、当業者が乙12文献の【0051】の「溝の半角誤差の繰り返しパターンを有することができ」との記載や「個別に調整する」との記載に接しても、一つのキューブコーナー素子内における少なくとも二つの1分ないし60分の範囲の 二面角誤差を互いに異ならせることを想起し得ない。 したがって、乙12発明1は、構成要件1-C3に対応する構成を有しない。 イ構成要件4-Cないし4-C4及び4-Dに対応する構成について乙12発明1が構成要件1-C3に対応する構成を有しない理由と同様 の理由から、乙12発明4は、構成要件4-C1及び4-C3に対応する構成を有しない。 (2) 一致点及び相違点ア本件発明1と乙12発明1との対比本件発明1は、構成要件1-C3を有するのに対し、乙12発明1は、 少なくとも構成要件1-C3に対応する構成を有しない。 したがって、本件発明1は乙12発明1と同一の発明ではないから、新規性を有する。 イ本件発明4と乙12発明4との対比本件発明4は、構成要件4-C1及び4 件1-C3に対応する構成を有しない。 したがって、本件発明1は乙12発明1と同一の発明ではないから、新規性を有する。 イ本件発明4と乙12発明4との対比本件発明4は、構成要件4-C1及び4-C3を有するのに対し、乙1 2発明4は、少なくとも構成要件4-C1及び4-C3に対応する構成を 有しない。 したがって、本件発明4は乙12発明4と同一の発明ではないから、新規性を有する。 (3) 相違点に係る構成に容易に想到できないこと乙12文献は、前記(2)ア及びイにおいて主張した各相違点を何ら開示も示 唆もしておらず、当業者は、乙12文献の記載に基づき、当該各相違点に係る本件各発明の構成を容易に想到し得ない。 したがって、本件各発明は進歩性を有する。 (4) 被告の主張は時機に遅れた攻撃防御方法であること被告は、乙12文献に基づく新規性又は進歩性欠如を理由とする無効の抗 弁を主張してから1年8か月も遅れて、新たに、乙12文献の図28の記載を根拠とした新規性又は進歩性欠如の無効主張を追加している。しかし、この追加主張は故意又は重大な過失に基づくものであり、訴訟の完結を遅延させることは明らかであるから、時機に遅れた攻撃防御方法に該当し、当該無効の抗弁に係る主張の追加は却下されるべきである。 25 争点3-1(原告に生じた損害の有無及びその額)について(原告の主張)(1) 損害の発生及びその額被告は、被告製品を遅くとも平成24(2012)年6月から販売を開始しており、本件特許権の登録日である平成25(2013)年6月28日以 降から、脱退原告が原告から独占的通常実施権の許諾を受けた令和2(2020)年7月1日までの間に、被告が販売した被告製品の売上総額は、4億円を下らない。そ 平成25(2013)年6月28日以 降から、脱退原告が原告から独占的通常実施権の許諾を受けた令和2(2020)年7月1日までの間に、被告が販売した被告製品の売上総額は、4億円を下らない。そして、本件各発明を実施した被告製品について被告の得る利益率は、少なくとも売上金額の60パーセントを下らない。したがって、被告が平成25(2013)年6月28日から令和2(2020)年7月1 日までの間において被告製品の販売により得た利益は2億4000万円を下 らず、同額が原告の受けた損害の額と推定される(特許法102条2項)。 また、被告による本件各発明の実施につき支払われるべき本件特許権にかかる実施料は、被告製品の売上金額の10パーセントを下らない。したがって、原告が本件各発明の実施に対して被告から受けるべき金銭の額に相当する額は、4000万円を下らない(特許法102条3項)。 したがって、原告は、被告に対し、少なくとも2億4000万円の損害賠償請求権を有する。 (2) 弁護士費用等弁護士費用及び弁理士費用相当額は、前記(1)の金額の1割に相当する金額であるから、原告については2400万円を下らない。 (3) まとめ以上より、被告の侵害行為によって原告が受けた損害の額は少なくとも2億6400万円を下らないので、原告は、被告に対し、その一部である9800万円の支払を求める。 (被告の主張) 争う。 26 争点3-2(参加人に生じた損害の有無及びその額)について(参加人の主張)(1) 損害の発生及びその額脱退原告が原告から独占的通常実施権の許諾を受けた令和2(2020) 年7月1日から現在に至るまでに被告が販売した被告製品の売上総額は1000万円を下らない。そして、本 損害の発生及びその額脱退原告が原告から独占的通常実施権の許諾を受けた令和2(2020) 年7月1日から現在に至るまでに被告が販売した被告製品の売上総額は1000万円を下らない。そして、本件各発明を実施した被告製品について被告の得る利益率は、少なくとも売上金額の60パーセントを下らない。したがって、被告が令和2(2020)年7月1日から現在に至るまでの間に被告製品の販売により得た利益は600万円を下らず、同額が参加人の受けた損 害の額と推定される(特許法102条2項)。 また、被告による本件各発明の実施につき支払われるべき本件特許権にかかる実施料は、被告製品の売上金額の10パーセントを下らない。したがって、参加人が本件各発明の実施に対して被告から受けるべき金銭の額に相当する額は、100万円を下らない(特許法102条3項)。 したがって、参加人は、被告に対して、少なくとも600万円の損害賠償 請求権を有する。 (2) 弁護士費用弁護士費用及び弁理士費用相当額は、前記(1)の金額の1割に相当する金額であるから、参加人については60万円を下らない。 (3) まとめ 以上より、被告の侵害行為によって参加人が受けた損害の額は少なくとも660万円を下らないので、参加人は、被告に対し、その一部である200万円の支払を求める。 (被告の主張)争う。 第4 当裁判所の判断 1 本件明細書の記載事項本件明細書(甲4)の「発明の詳細な説明」には、以下の記載がある(下記記載中に引用する図面及び表(ただし、図13ないし20及び23ないし31並びに表1及び2、9ないし11、13及び14は省略した。)については、別 紙本件明細書図表目録参照)。 (1) 【技術分野】【0001】 表(ただし、図13ないし20及び23ないし31並びに表1及び2、9ないし11、13及び14は省略した。)については、別 紙本件明細書図表目録参照)。 (1) 【技術分野】【0001】本発明は、キューブコーナー素子を有する層状体、層状体のアセンブリーを有するツール、およびその複製物(とくに再帰反射シート)に関する。 【背景技術】 【0002】再帰反射材料は、材料に入射した光を再方向付けして元の光源の方向に戻す能力により特性付けられる。この特性のおかげで、さまざまな交通安全用途および人的安全用途で再帰反射シートが広く使用されるようになった。再帰反射シートは、乗物や衣類のための再帰反射テープだけでなく、 道路標識、防柵、ライセンスプレート、路面標示、標示テープなどのさまざまな物品で一般に利用される。 【0003】2つの公知のタイプの再帰反射シートは、微細スフェア型シートおよびキューブコーナー型シートである。…微細スフェア型シートは、シートを 表面に配置するときの方位に対して比較的低い感受性を有する。しかしながら、一般的には、そのようなシートは、キューブコーナー型シートよりも低い再帰反射効率を有する。 【0004】キューブコーナー型再帰反射シートは、典型的には、実質的に平面状の フロント表面と、複数の幾何学的構造体を有するリヤー構造化表面(その一部分または全部は、キューブコーナー素子として構成された3つの反射面を有する)と、を有する薄肉透明層を有する。 【0005】キューブコーナー型再帰反射シートは、最初に、構造化表面を有するマ スター成形型を作製することにより一般に製造される。そのような構造化表面は、完成シートがキューブコーナー角錐もしくはキューブコーナーキ ーナー型再帰反射シートは、最初に、構造化表面を有するマ スター成形型を作製することにより一般に製造される。そのような構造化表面は、完成シートがキューブコーナー角錐もしくはキューブコーナーキャビティー(またはその両方)を有するかに応じて、完成シートにおける所望のキューブコーナー素子形状またはそのネガティブ(反転)コピーのいずれかに対応する。次に、エンボス加工、押出、またはキャスト・キュ アリングのような方法によりキューブコーナー型再帰反射シートを形成す るためのツールを作製すべく、従来のニッケル電鋳のような任意の好適な技術を用いて成形型を複製する。米国特許第5,156,863号明細書…には、キューブコーナー型再帰反射シートの製造に使用されるツールを形成するためのプロセスの例示的全体図が提供されている。マスター成形型を作製するための公知の方法としては、ピンバンドリング法、直接機械 加工法、および層状体を利用する方法が挙げられる。 【0006】ピンバンドリング法では、複数のピン(それぞれ一端にキューブコーナー素子のような幾何学的形状を有する)を集成一体化してマスター成形型を形成する。…ピンバンドリングでは、各ピンが個別に機械加工されるの で、単一の成形型で多種多様なキューブコーナー形状を形成する能力が提供される。しかしながら、そのような方法は、小さいキューブコーナー素子(たとえば、約1ミリメートル未満のキューブ高さを有するもの)を作製するには非現実的である。なぜなら、精密機械加工を行ってからバンドル状態に配置することにより成形型を形成するには、多数のピンおよびそ のサイズ減少が必要になるからである。 【0007】直接機械加工法では、平面状基材(たとえば金属プレート)の表面に一連の溝を形 配置することにより成形型を形成するには、多数のピンおよびそ のサイズ減少が必要になるからである。 【0007】直接機械加工法では、平面状基材(たとえば金属プレート)の表面に一連の溝を形成することにより切頭キューブコーナー素子を有するマスター成形型を形成する。周知の一方法では、3組の平行溝を60度の夾角で互 いに交差させてキューブコーナー素子(それぞれ等辺底面三角形を有する)のアレイを形成する…。他の方法では、2組の溝を60度超の角度で互いに交差させかつ第3の組の溝を他の2つの組のそれぞれと60度未満の角度で交差させることによりキャンテッドキューブコーナー素子対応対のアレイを形成する…。直接機械加工では、典型的には、カッティングツール の連続運動により形成される同一の溝に沿って多数の個別の面が形成され る。したがって、そのような個別の面は、成形型製造手順全体にわたりそれらのアライメントを保持する。このため、直接機械加工法は、非常に小さいキューブコーナー素子を精密機械加工する能力を提供する。しかしながら、直接機械加工法の欠点として、製造しうるキューブコーナージオメトリータイプの設計柔軟性が低減されるので、結果として、全光反射が影 響を受ける。 【0008】層状体を利用する方法では、1つの長手縁上に形成された幾何学的形状を有する層状体と呼ばれる複数の薄いシート(すなわちプレート)を集成してマスター成形型を形成する。層状体を利用する方法は、より少数の部 品を別々に機械加工するので、ピンバンドリング法よりも一般に労力がかからない。…しかしながら、ピンバンドリングにより達成しうる設計柔軟性と比較して、層状体を利用する方法は設計柔軟性が低い。…【0009】切頭キューブコーナーアレイの隣接 法よりも一般に労力がかからない。…しかしながら、ピンバンドリングにより達成しうる設計柔軟性と比較して、層状体を利用する方法は設計柔軟性が低い。…【0009】切頭キューブコーナーアレイの隣接しているキューブコーナー素子の底 面縁は、典型的には共面上にある。「完全キューブ」または「好適形状(PG)キューブコーナー素子」として記述される他のキューブコーナー素子構造体は、典型的には、共面上にない少なくとも2つの非二面縁を有する。 そのような構造体は、典型的には、切頭キューブコーナー素子と比較してより高い全光反射を呈する。特定のPGキューブコーナー素子は、国際公 開第00/60385号パンフレットに記載されているように、一連の基材の直接機械加工により作製しうる。しかしながら、この多段階製造プロセスを用いて幾何学的確度を保持するのは困難である。また、得られるPGキューブコーナー素子および/または素子の構成に関して設計上の制約が顕在化する可能性もある。これとは対照的に、ピンバンドリング法およ び層状体を利用する方法では、さまざまな形状および構成のPGキューブ コーナー素子の形成が可能である。しかしながら、ピンバンドリング法とは異なり、層状体を利用する方法は、比較的小さいPGキューブコーナー素子を形成する能力をも有利に提供する。 【0010】キューブコーナーの対称軸は、3つのキューブ面すべてに対して等角度 をなして構造体を三等分するベクトルである。…「前方キャンティング」または「正のキャンティング」という用語は、1つの底面三角形夾角だけを60°よりも増大させるようにキャンティングされた切頭キューブコーナー素子を記述すべく、キューブコーナー技術分野で使用されてきた。逆に、「後方キャンティング」または「負 、1つの底面三角形夾角だけを60°よりも増大させるようにキャンティングされた切頭キューブコーナー素子を記述すべく、キューブコーナー技術分野で使用されてきた。逆に、「後方キャンティング」または「負のキャンティング」という用語は、 底面三角形の夾角の2つを60°よりも増大させるようにキャンティングされたキューブコーナー素子を記述すべく、キューブコーナー技術分野で使用されてきた。…【0012】方位に対する全光反射(TLR)の均一性を改善するための一般的な方 法は、たとえば、米国特許第4,243,618号明細書(ヴァン・アーナム(VanArnam))、米国特許第4,202,600号明細書、および米国特許第5,936,770号明細書(ネステガード(Nestegard)ら)に記載されているように、最終製造時に複数の小さいツール領域を2つ以上の方位でタイリング(すなわち配置)する方法である。 タイリングは、目視上好ましくないこともある。さらに、タイリングは、シートの製造に利用されるツールを作製する際の製造工程数を増大させる。 【0013】…再帰反射シートの性能はまた、シートの観測角特性または発散プロファイルに関連する。これは、光源(すなわち、典型的には乗物のヘッドラ イト)に対する再帰反射光の広がりに関係する。キューブコーナーからの 再帰反射光の広がりは、回折、偏光、非直交性などの効果により支配される。この目的のために、米国特許第5,138,488号明細書…に記載されているような角度誤差を導入することが一般的である。 【0014】同様に、欧州特許出願公開第0844056A1号明細書…の実施例1 には、フライカッティング法が記載されている。…それにより、89. 9°、90.0°、および91 一般的である。 【0014】同様に、欧州特許出願公開第0844056A1号明細書…の実施例1 には、フライカッティング法が記載されている。…それにより、89. 9°、90.0°、および91.0°の3つの異なる頂角を反復パターンで有する一連の逐次的屋根形突起がシートの一方の縁上に形成された。 【発明が解決しようとする課題】【0015】 …新しいキューブコーナー光学設計を有する再帰反射シート、ならびにとくに、改善された性能および/または改善された製造効率に寄与する特徴を有する再帰反射シートの製造方法が有利であろう。 【0024】他の態様において、本発明は、好適形状キューブコーナー素子の隣接し ている列の対を有する再帰反射シートを開示する。ここで、列内の隣接している素子は、名目上平行~1°未満非平行の範囲内である少なくとも1つの二面縁を有し、かつ列の対は、少なくとも2つのタイプの対応対を有する。 (2) 【発明を実施するための形態】 【0029】本発明は、キューブコーナー素子を有する1つまたは複数の層状体、層状体の集成体を有するツール、およびレプリカに関する。本発明はさらに、再帰反射シートに関する。 【0030】 再帰反射シートは、好ましくは、層状体を利用する方法で作製されたマ スター成形型から作製される。したがって、層状体(単数または複数)および再帰反射シートのキューブコーナー素子は、少なくとも一部分、好ましくは実質的にすべてが、切頭型でない完全キューブである。一態様において、平面図中の完全キューブ素子の底面は、三角形でない。他の態様において、完全キューブ素子の非二面縁は、特徴として、すべてが同一平面 内にあるわけではない(すなわち、共面上にあるわけではない)。そ 、平面図中の完全キューブ素子の底面は、三角形でない。他の態様において、完全キューブ素子の非二面縁は、特徴として、すべてが同一平面 内にあるわけではない(すなわち、共面上にあるわけではない)。そのようなキューブコーナー素子は、好ましくは、「好適形状(PG)キューブコーナー素子」である。 【0031】PGキューブコーナー素子は、基準平面に沿って延在するキューブコー ナー素子の構造化表面に関連付けて定義しうる。本出願の目的では、PGキューブコーナー素子とは、(1)基準平面に対して非平行であり;かつ(2)隣接しているキューブコーナー素子の隣接している非二面縁に実質的に平行である;少なくとも1つの非二面縁を有するキューブコーナー素子を意味する。3つの反射面が長方形(正方形を有する)、台形、または五 角形を有するキューブコーナー素子は、PGキューブコーナー素子の例である。PGキューブコーナー素子の定義に関連する「基準平面」とは、一群の隣接しているキューブコーナー素子または他の幾何学的構造体の近傍の平面(この平面に沿ってキューブコーナー素子または幾何学的構造体が配設される)を近似した平面または他の表面を意味する。単一層状体の場 合、一群の隣接しているキューブコーナー素子は、単一の列または列の対よりなる。集成層状体の場合、一群の隣接しているキューブコーナー素子は、単一層状体および隣接している接触層状体のキューブコーナー素子を有する。シートの場合、一群の隣接しているキューブコーナー素子は、一般的には、人間の眼で識別可能な面積(たとえば、好ましくは少なくとも 1mm2)、好ましくはシートの全寸法を覆う。 【0032】「照射角」とは、基準軸(すなわち、再帰反射サンプルへの法線ベクトル)と入射光軸との えば、好ましくは少なくとも 1mm2)、好ましくはシートの全寸法を覆う。 【0032】「照射角」とは、基準軸(すなわち、再帰反射サンプルへの法線ベクトル)と入射光軸との間の角度を意味する。 【0034】層状体(単数または複数)とは、少なくとも2つの層状体を意味する。 「層状体」とは、厚さの少なくとも約10倍(好ましくは、厚さの少なくとも100、200、300、400、500倍)の長さおよび高さを有する薄肉プレートを意味する。本発明は、なんら特定の寸法の層状体(単数または複数)に限定されるものではない。再帰反射シートの製造に使用することが意図される層状体の場合、最適の寸法は、最終設計の光学的要 件(たとえば、キューブコーナーの構造)により拘束されうる。一般的には、層状体は、0.25インチ(6.35mm)未満、好ましくは0.125インチ(3.175mm)未満の厚さを有する。層状体の厚さは、好ましくは約0.020インチ(0.508mm)未満、より好ましくは約0.010インチ(0.254mm)未満である。典型的には、層状体の 厚さは、少なくとも約0.001インチ(0.0254mm)、より好ましくは少なくとも約0.003インチ(0.0762mm)である。層状体の長さは、約1インチ(25.4mm)~約20インチ(50.8cm)の範囲内であり、典型的には6インチ(15.24cm)未満である。層状体の高さは、典型的には約0.5インチ(12.7mm)~約3インチ (7.62cm)の範囲内であり、より典型的には約2インチ(5.08cm)未満である。 【0035】図1~8に関して、層状体10は、第1の主面12および対向する第2の主面14を有する。層状体10はさらに、第1の主面12と第2の主面 には約2インチ(5.08cm)未満である。 【0035】図1~8に関して、層状体10は、第1の主面12および対向する第2の主面14を有する。層状体10はさらに、第1の主面12と第2の主面 14と間に延在する作用表面16および対向下端表面18を有する。層状 体10はさらに、第1の端表面20および対向する第2の端表面22を有する。好ましい実施形態では、層状体10は直方性多面体であり、対向表面は実質的に平行である。しかしながら、層状体10の対向表面は平行である必要がないことは理解されよう。 【0036】 層状体10は、その構造体上にデカルト座標系を重ねることにより三次元空間内で特性付けることができる。第1の基準平面24は、主面12と14との間の中央に配置される。xz平面と呼ばれる第1の基準平面24は、その法線ベクトルとしてy軸を有する。xy平面と呼ばれる第2の基準平面26は、層状体10の作用表面16と実質的に共面上に延在し、そ の法線ベクトルとしてz軸を有する。yz平面と呼ばれる第3の基準平面28は、第1の端表面20と第2の端表面22との間の中央に配置され、その法線ベクトルとしてx軸を有する。明確にするために、本発明に係る種々の幾何学的属性については、本明細書に明示されるデカルト基準平面を基準にして記述する。… 【0037】本発明に係る層状体(単数または複数)は、好ましくは、第1の一連の溝、オプションの第2の一連の溝、および好ましくは第3の主要溝によって形成された面(たとえば主要溝面)を有する(つまり含む)キューブコーナー素子を有する。 【0038】図2~9は、層状体10の作用表面16内に複数のキューブコーナー素子を有する構造化表面を示している。一般的には、少なくとも2つ (つまり含む)キューブコーナー素子を有する。 【0038】図2~9は、層状体10の作用表面16内に複数のキューブコーナー素子を有する構造化表面を示している。一般的には、少なくとも2つ、好ましくは複数の溝30a、30b、30cなど(一括して30として参照される)を含む第1の一連の溝は、層状体10の作用表面16内に形成され る。溝30は、層状体10の第1の主面12および作用表面16と交差す る軸に沿ってそれぞれの溝角頂33およびそれぞれの第1の基準縁36が延在するように形成される。層状体10の作用表面16は不変(すなわち非構造化)状態に保持された部分を含んでいてもよいが、作用表面16は非構造化表面部分を実質的に含まないことが好ましい。 【0040】 本明細書中で使用する場合、「一連の溝」という用語は、一連の溝中の隣接している溝に対して名目上平行~1°以内の角度で非平行の範囲内である層状体10の作用表面16内に形成された溝を意味する。本明細書中で使用する場合、「隣接している溝」とは、名目上平行または1°以内の角度で非平行である最近接溝を意味する。その代わりにまたはそれに加えて、 一連の溝の溝は、後述されるように特定の基準平面に対して名目上平行~1°以内の角度で非平行の範囲内でありうる。したがって、個別の溝および/または一連の溝の溝に関連する各特徴(たとえば、垂直、角度など)は、上述した潜在的偏差度を有することは理解されよう。名目上平行溝とは、意図的変化が溝形成機の精度の範囲内で導入されない溝である。一連 の溝の溝は、さらに詳細に後述されるように、夾角誤差および/またはスキュー角および/またはインクリネーション角のような複数の非直交性(MNO)を導入する目的で小さい意図的変化をも有しう 一連 の溝の溝は、さらに詳細に後述されるように、夾角誤差および/またはスキュー角および/またはインクリネーション角のような複数の非直交性(MNO)を導入する目的で小さい意図的変化をも有しうる。 【0041】図3~9について説明する。第1の一連の溝は、溝角頂33b、33c、 33dなど(一括して33として参照される)で交差する第1の溝表面32a、32b、32cなど(一括して32として参照される)と第2の溝表面34b、34c、34dなど(一括して34として参照される)とを画定している溝30a、30b、30cなど(参照番号30により一括して参照される)を含む。層状体の縁において、溝形成操作により単一溝表 面32aを形成しうる。 【0043】また、これらの第1および第2の一連の溝はいずれも、本明細書中で「側方溝」として参照されることもある。…側方溝とは、溝(単数または複数)が、それらのそれぞれの方向ベクトルについて、一連の側方溝の隣接している側方溝に対して名目上平行~1°以内の角度で非平行の範囲内 である一連の溝を意味する。その代わりにまたはそれに加えて、側方溝とは、基準平面28に対して名目上平行~基準平面28に対して1°以内の角度で非平行の範囲内である溝を意味する。側方溝は、典型的には、平面図中において基準平面24に垂直~上述した偏差度である。側方溝が名目上平行であるかまたは1°以内の角度で非平行であるかに依存して、複製 される集成マスター中の個別素子は、顕微鏡を用いてまたは干渉計で側方溝の二面角もしくは平行度を測定することにより調べた場合、平面図中において典型的には台形、長方形、平行四辺形、および五角形、さらには六角形の形状を有する。好適な干渉計については後述する。 【0044】 二面角もしくは平行度を測定することにより調べた場合、平面図中において典型的には台形、長方形、平行四辺形、および五角形、さらには六角形の形状を有する。好適な干渉計については後述する。 【0044】 素子の第3の面は欧州特許出願公開第0844056A1号明細書…に記載されているように作用表面12または14を有しうるが、層状体は、好ましくは、実質的に層状体の全長に延在する主要溝面50を有する。第3の面が層状体の作用表面(すなわち12もしくは14)であるかまたは主要溝面であるかに関係なく、列内の各素子の第3の面は、好ましくは、 共通平面を共有する。図5~6および8~9について説明する。主要溝面50は、面32、34、40、および42に名目上垂直~1°以内非垂直の範囲内である。主要溝面50の形成の結果として、層状体上に3つの垂直またはほぼ垂直な光学面を有する複数のキューブコーナー素子を有する構造化表面が得られる。単一層状体は、単一主要溝面、両サイドの1対の 溝面、および/または1対の主要溝面を同時に提供する作用表面16と基 準平面24との交線に沿った主要溝を有しうる(たとえば図4)。主要溝は、好ましくは、基準平面26に1°以内で平行である。 【0046】一連の溝の形成後、作用表面16は微細構造化される。…キューブコーナー素子の横方向寸法は、好ましくは0.020インチ(0.508mm) 未満、より好ましくは、0.007インチ(0.1778mm)未満である。…微細構造体は、約0.001インチ(0.0254mm)~0.010インチ(0.254mm)の範囲内の平均高さを有するが、0.004インチ(0.1016mm)未満の高さが最も典型的である。さらに、キューブコーナー微細構造体の横方向寸法は、典型的には、少 0.010インチ(0.254mm)の範囲内の平均高さを有するが、0.004インチ(0.1016mm)未満の高さが最も典型的である。さらに、キューブコーナー微細構造体の横方向寸法は、典型的には、少なくとも0. 0005インチ(0.0127mm)である。…【0052】キャントの方向を特性付けるために、xy平面内への対称軸の投影を他の選択肢として使用することが可能である。対称軸は、3つのキューブコーナー面を三等分してこれらの3つの面のそれぞれと等角度をなすベクト ルとして定義される。図10a~10cは、それぞれ、後方にだけキャンティングされた、側方にだけキャンティングされた、および前方にだけキャンティングされた3つの異なるキューブコーナー形状を平面図で示している。これらの図では、キューブの峰はページ面から飛び出しており、xy平面内への対称軸の投影(キューブの峰からページ面に及ぶ)は、矢印 により示されている。アライメント角は、平面図中のキューブの面にほぼ直角な二面縁11(たとえば二面角2-3)からこの図中で反時計回りに測定される。側方キャンティングの不在下で後方キャンティングする場合、アライメント角は0度であり、一方、側方キャンティングの不在下で前方キャンティングする場合、アライメント角は180度である。前方キャン ティングも後方キャンティングも不在の状態で側方キャンティングされた キューブでは、アライメント角は90°(図10bに示されるとおり)または270°のいずれかである。アライメント角は、対称軸の投影が右方向を指す場合(図10b)には90°であり、対称軸の投影が左方向を指す場合には270°である。 【0055】 図11は、キューブが前方キャンティングされた層状体を示しており、 の投影が右方向を指す場合(図10b)には90°であり、対称軸の投影が左方向を指す場合には270°である。 【0055】 図11は、キューブが前方キャンティングされた層状体を示しており、一方、図12は、キューブが後方キャンティングされた層状体を示している。このようにキャンティングされるキューブ設計の結果として、単一タイプの対応対向キューブ対が得られる。面64aおよび62bを有する図11のキューブ54aは、面64bおよび62cを有するキューブ54b と同一であり、これは、面64cおよび62dを有するキューブ54cと同一であり、以下同様である。したがって、同一の列内のキューブはすべて同一であり、列は基準平面24に平行である。キューブ54aは、面66eおよび68dを有するキューブ56aとの対応対向対である。さらに、キューブ54bは、キューブ56bとの対応対向対である。同様に、キュ ーブ54cは、56cキューブとの対応対向対である。同様に、図12のキューブ57は、キューブ58との対応対向対である。対応対は、構造化表面の平面に垂直な軸を中心に第1のキューブを180°回転させることにより第2のキューブに重ね合わせることのできるキューブを生じる場合に得られる。対応対は、必ずしも一群のキューブコーナー素子内で直接隣 接している必要もなければ接触している必要もない。対応対は、典型的には、反対向きで照射角の正または負の変化に対して対称な再帰反射性能を提供する。 【0073】他の選択肢としてまたは先に記載した特徴に加えて、他の実施形態では、 本発明は、側方溝(側方溝は「スキュー角」および/または「インクリネ ーション角」を有する)を含んでなる、個別層状体と、集成層状体を有するマスターツールと、 の実施形態では、 本発明は、側方溝(側方溝は「スキュー角」および/または「インクリネ ーション角」を有する)を含んでなる、個別層状体と、集成層状体を有するマスターツールと、再帰反射レプリカなどのそのレプリカと、に関する。 スキュー角および/またはインクリネーション角は、さまざまな制御された二面角誤差または複数の非直交性(MNO)を有するキューブを提供するので、完成品の発散プロファイルを改善する。本明細書中で使用する場 合、「スキュー角」とは、基準平面28に対する平行からの偏差を意味する。 【0074】図21は、スキュー角を有する溝を有する1列のキューブコーナー素子を有する単一層状体の誇張された例を平面図で示している。側方溝80aおよび80bは正のスキュー角で、80cおよび80eはスキュー角なし で、そして溝80dは負のスキュー角でカットされている。…キューブコーナーは、一般に、3つのキューブ面の交線に帰属される3つの二面角を有する。90°からのこれらの角度の偏差は、一般に二面角誤差と呼ばれ、二面角1-2、二面角1-3、および二面角2-3により示されうる。1つの命名規約では、図22に示されるように、キューブ二面角1-3は、 溝表面82と主要溝面50との交差により形成され、キューブ二面角1-2は、溝表面84と主要溝面50との交差により形成され、そしてキューブ二面角2-3は、溝表面84と溝表面82との交差により形成される。 他の選択肢として、第3の面が主要溝面ではなく作用表面12または14である場合、同一の命名規約を利用しうる。所与の溝に対して、正のスキ ュー角(80a、80b)では、二面角1-3が減少し、二面角1-2が増加し、一方、負のスキュー角では、二面角1-3が増加し、二面角1-2が減 命名規約を利用しうる。所与の溝に対して、正のスキ ュー角(80a、80b)では、二面角1-3が減少し、二面角1-2が増加し、一方、負のスキュー角では、二面角1-3が増加し、二面角1-2が減少する。 【0076】他の選択肢としてまたは先に記載した特徴に加えて、側方溝は、正のま たは負のインクリネーション角を有しうる。「インクリネーション角」とは、 名目上直交傾き(すなわち、主要溝表面に垂直なベクトルの傾き)からの特定の側方溝の基準平面28内の傾きの偏差を意味する。側方溝の方向は、前記溝の角頂にアライメントされたベクトルにより画定される。直交傾きは、ゼロに等しいスキュー角で溝の角頂90が溝面50の法線ベクトル(溝面50に垂直)に平行であるときの傾きとして定義される。1つの利 用可能な命名規約によれば、正のインクリネーション角92では、所与の側方溝について、二面角1-3および二面角1-2が両方ともを減少し、一方、負のインクリネーション角94では、二面角1-3および二面角1-2が両方とも増大する。 【0077】 機械加工時にスキュー角および/またはインクリネーション角を組み合わせると、所与の層状体上のキューブコーナー素子の二面角誤差を変化させるうえで有意な柔軟性が提供される。…側方溝をカットするために使用されるツール(たとえばダイヤモンド)を変更することなく個別層状体の機械加工時にスキュー角および/またはインクリネーション角を導入する ことができるので、スキュー角および/またはインクリネーション角を使用すれば顕著な利点が得られる。ツール変更後に正確に角度を設定するには典型的には数時間を要する可能性があるので、これにより機械加工時間を著しく削減することができる。さらに、スキュー角および/ 角を使用すれば顕著な利点が得られる。ツール変更後に正確に角度を設定するには典型的には数時間を要する可能性があるので、これにより機械加工時間を著しく削減することができる。さらに、スキュー角および/またはインクリネーション角を用いて、二面角1-2および二面角1-3を反対に変 化させることが可能である。「反対に変化させる」とは、本明細書中で使用する場合、層状体上の所与のキューブコーナー内に大きさおよび/または符号の異なる二面角1-2および1-3誤差(90°との差)を意図的に提供することとして定義される。大きさの差は、典型的には少なくとも1/4分、より好ましくは少なくとも1/2分、最も好ましくは少なくとも 1分の角度である。したがって、溝は、名目上平行超の量だけ非平行であ る。さらに、スキュー角および/またはインクリネーション角は、大きさが約1°(すなわち60分の角度)以下になるようにする。さらに、(たとえばサイド)溝は、単一層状体に沿ってスキュー角および/またはインクリネーション角を有する多種多様な成分を有しうる。 【0081】 5つの逐次的溝の主要溝半角誤差が+2、+4、+6、+8、および+10分の角度である7.47度後方キャンティングされた5つの異なるキューブ(たとえば図12)の反射スポット図を図24に示す。この例では、側方溝の半角誤差はゼロ(二面角2-3=0)であり、スキュー角およびインクリネーション角についても同様である。側方溝夾角はすべて90° である。図24中の鉛直軸および水平軸は、それぞれ、基準平面28および24に対応する。主要溝面の傾きの変化は主に鉛直軸および水平軸に沿って位置する反射スポットを生じることに留意されたい。 【0082】図24の作成に使用したのと同一の誤差で、 、基準平面28および24に対応する。主要溝面の傾きの変化は主に鉛直軸および水平軸に沿って位置する反射スポットを生じることに留意されたい。 【0082】図24の作成に使用したのと同一の誤差で、主要溝半角誤差の関数とし ての二面角誤差を表3に示す。二面角1-2および二面角1-3は、同一の大きさおよび符号を有するので、反対に変化しないことに留意されたい。 【0083】【表3】【0084】 -20、-15、-10、-5、および0分の角度の二面角2-3誤差を有する同一タイプの後方キャンテッドキューブの反射スポット図を図25に示す。この例では、主要溝の半角誤差はゼロ(二面角1-3=二面角1-2=0)であり、スキュー角およびインクリネーション角についても同様である。先に述べたように、側方溝の半角変化を用いて、二面角2- 3誤差を生成することが可能である。二面角2-3誤差により、主に水平 軸に沿って位置する反射スポットが得られる。 【0085】図26は、図24~25に対して記載したのと同一タイプの後方キャンテッドキューブで主要溝半角誤差を側方溝の半角変化と組み合わせることにより得られた反射スポット図を示している。この例では、主要溝半角誤 差は10分の角度であり、一方、二面角2-3誤差は、層状体上の4つの異なる隣接しているキューブに対して、それぞれ、0、2、4、および6分の角度である。+3分の角度の一定夾角誤差を用いて、表4に示されるような対向半角誤差を有するこれらの側方溝を作製することが可能である。 反射スポットは、この場合にも、主に鉛直軸および水平軸に沿って位置し、 二面角2-3に対する値がゼロでないことに基づいて水平平面内にいくらかの広がりを有する。全体的に、反射スポット図は局所化 反射スポットは、この場合にも、主に鉛直軸および水平軸に沿って位置し、 二面角2-3に対する値がゼロでないことに基づいて水平平面内にいくらかの広がりを有する。全体的に、反射スポット図は局所化されて不均一である。 【0086】図26の作成に使用した誤差で、主要溝半角誤差の関数としての二面角 誤差を表4に示す。二面角1-2および二面角1-3は、同一の大きさおよび符号を有するので、反対に変化しない(すなわち、実質的に反対に変化していることはない)ことに留意されたい。所与のキューブコーナーが2つの隣接している側方溝および好ましくは主要溝表面により形成されることに留意されたい。図22中の上側側方溝は二面角1-3を形成し、一 方、下側側方溝は二面角1-2を形成する。上側および下側側方溝の交差は二面角2-3を形成する。側方溝夾角は、隣接しているキューブを形成する溝の上側および下側半角誤差の合計である(たとえば、表4に関して、全夾角は+3分の角度であり、第1のキューブの上側半角に隣接しているキューブの下側半角を加えることにより得られる)。 【0087】 【表4】【0088】以上の例(すなわち、図24~26)は、さまざまな半角誤差を有する後方キャンテッドキューブに対するものであった。同様にして、前方キャンテッドキューブが定性的に類似の反射スポット図(すなわち、とくに水 平軸および鉛直軸に沿って局所化されたスポットを有する実質的に不均一な反射スポット図)を有することを示すことができる。前方キャンテッドキューブの二面角1-2および二面角1-3もまた、同一の大きさおよび符号を有するので、実質的に反対に変化しない。キューブコーナー型再帰反射シートの使用を考慮すると、局在化された不均一なスポット図 ドキューブの二面角1-2および二面角1-3もまた、同一の大きさおよび符号を有するので、実質的に反対に変化しない。キューブコーナー型再帰反射シートの使用を考慮すると、局在化された不均一なスポット図(たと えば、図24~26)は一般的には望ましくないことは明らかである。シートは、背景色としてもさらにはいくつかの場合には切抜き文字としても、多種多様な方位で標識上に配置することが可能である。さらに、標識は、典型的には、道路の右側、左側、または上に位置決めすることが可能である。人目を引くために再帰反射シートで標示された乗物の場合、目視者に 対する乗物の位置は絶えず変化している。乗物の左右両方のヘッドライトにより再帰反射標的が照明され、運転者の位置は、これらのヘッドライトとはかなり異なる(さまざまな観測角および提示角)。運転者がヘッドライトの真上にくるオートバイのような乗物が一般に使用される。最後に、目視形状を画定している関連角度はすべて、運転者/観測者と再帰反射シー トまたは標的との距離と共に変化する。これらの因子をすべて考慮すれば、反射スポットの比較的均一な広がりが再帰反射シートにきわめて望ましいことは明らかである。反対に変化している二面角1-2および二面角1-3を含めて広範囲の二面角誤差を容易に導入できる柔軟性のおかげで、スキュー角および/またはインクリネーション角を利用して比較的均一なス ポット反射図を提供することが可能である。 【0089】図27は、図24~26で使用したのと同一の後方キャンテッドキューブを有する単一層状体でインクリネーション角だけ変化させて得られる反射スポット図を示している。側方溝の半角誤差は、各サイドで+1.5分の角度であり(二面角2-3および側方溝の角度誤差は+3 ドキューブを有する単一層状体でインクリネーション角だけ変化させて得られる反射スポット図を示している。側方溝の半角誤差は、各サイドで+1.5分の角度であり(二面角2-3および側方溝の角度誤差は+3分の角度であ る)、主要溝誤差は、ゼロである。スキュー角は、この例では+7分の角度で一定である。インクリネーション角は、4つの溝ごとに反復パターンで変化している(すなわち、2つの溝で+5分の角度、次に、2つの溝で-1分の角度)。スポットパターンは、図24~26と比較して半径方向(観測方向)にも円周方向(表示方向)にもかなり均一に分布している。 【0090】さまざまなインクリネーション角を有するこの例の二面角誤差を表5に示す。インクリネーション角(分の角度)の機械加工の順序は、反復パターンで、-1、+5、+5、-1である。たとえば、キューブno.1に関して、第1の側方溝は、-1のインクリネーション角を有し、第2の側 方溝は、+5のインクリネーション角を有する。二面角1-2および二面角1-3は、異なる大きさ(二面角誤差の絶対値は等しくない)および符号で反対に変化していることに留意されたい。 【0091】【表5】 【0092】図28は、スキュー角がすべての側方溝に対して+7分の角度の代わりに-7分の角度である以外は図27のときと同一の形状から得られる反射スポット図を示している。スポット図は、この場合にも、図24~26と比較して均一に分布し、さらに図27に示されるスポット図と相補的であ る。さまざまなインクリネーション角を有するこの例の二面角誤差を表6 に示す。この場合にも、二面角1-2および二面角1-3が反対に変化し、大きさおよび/または符号の両方が異なることに留意されたい。スキュー ーション角を有するこの例の二面角誤差を表6 に示す。この場合にも、二面角1-2および二面角1-3が反対に変化し、大きさおよび/または符号の両方が異なることに留意されたい。スキュー角の符号の変化により、表5と比較して、二面角1-2および1-3の大きさおよび符号が切り換った。 【0093】 【表6】【0094】2つの以上の例の正のスキュー角および負のスキュー角を組み合わせることが可能であり、これにより図29のスポット図が得られる。この組合せは、+7分の角度のスキュー角を持たせて層状体の半分を機械加工し、 -7分の角度のスキュー角を持たせて残りの半分を機械加工することにより、達成しうる。他の選択肢として、正のスキュー角および負のスキュー角を各層状体内で組み合わせれば、所与の層状体内でスキュー角とインクリネーション角の両方を同時に変化させることが可能になる。後者の場合、正のスキュー角領域と負のスキュー角領域との境界に位置決めされたキュ ーブから少数の他の反射スポットが得られるであろう。スポット図は、図27および28のスポット図の組合せから得られるので、図24~26と比較してとくに均一に分布する。表5および6に示される二面角誤差の組合せは、このスポット図に関連付けられ、二面角1-2および二面角1-3は、対立して大きさおよび符号が変化している。 【0095】図30は、7.47°前方キャンティングされたキューブであること以外は図29のときと同一の半角誤差、スキュー角、およびインクリネーション角を示す。スポット図は、同様に均一に分布するが、図29の後方キャンテッドスポット図とわずかに異なる。このスポット図に関連付けられ る二面角誤差を表7にまとめる。この場合にも、二面角1-2および二面 す。スポット図は、同様に均一に分布するが、図29の後方キャンテッドスポット図とわずかに異なる。このスポット図に関連付けられ る二面角誤差を表7にまとめる。この場合にも、二面角1-2および二面 角1-3は、反対に変化し、二面角1-2および二面角1-3の大きさおよび/または符号が異なる少なくとも1つのキューブが含まれる。 【0096】【表7】【0097】 均一に分布したスポット図を提供すべく、同一のスキュー角およびインクリネーション角の組合せを側方キャンテッドキューブコーナーと組み合わせて有利に利用することも可能である。側方キャンテッドキューブは、先に論述したように、同一の列内に2つの異なるキューブ方位を有する。 好ましくは、種々の照射角と方位角との組合せで均一な性能を得るために、 所与の列内の両方のタイプのキューブ(たとえば、アルファ(α)およびベータ(β))に等しくスキュー角および/またはインクリネーション角の組合せを適用するように注意すべきである。スキュー角およびインクリネーション角を利用する6.03°側方キャンティングされたキューブの反射スポット図(図6、アライメント角90°または270°)を図31に 示す。+7および-7分の角度のスキュー角と-1および5分の角度のインクリネーション角との同一の組合せを、アルファ(α)およびベータ(β)キューブの両方に等しく適用した。側方溝の半角誤差は、各サイドで+1.5分の角度であり(二面角2-3および側方溝の角度誤差は+3分の角度である)、主要溝誤差は、ゼロである。スポット図は、観測角およ び提示角に関して非常に均一に分布する。このスポット図に関連付けられる二面角誤差を表8にまとめる。この場合にも、二面角1-2および二面角1-3は、反対 、ゼロである。スポット図は、観測角およ び提示角に関して非常に均一に分布する。このスポット図に関連付けられる二面角誤差を表8にまとめる。この場合にも、二面角1-2および二面角1-3は、反対に変化し、二面角1-2および二面角1-3の大きさおよび/または符号が異なる少なくとも1つのキューブが含まれる。 【0098】 【表8】 【0099】表5~8の例示的なキューブコーナー素子の特徴は、3つの二面角誤差(二面角誤差は互いに異なる)を有する少なくとも1つ、典型的には複数のPGキューブコーナー素子が列内に形成されることである。他の特徴は、二面角誤差(したがって、スキュー角および/またはインクリネーション 角)が層状体または隣接しているキューブコーナー素子の列全体にわたり反復パターンで配置されることである。さらに、隣接している層状体または列は、好ましくは、z軸を中心に180°回転させて層状体の対または列の対を形成すること以外は、光学的に同等である。 【0104】 V字形溝は、各溝を高精度で形成することのできるダイヤモンドツール機械を用いて形成される。…そのような機械は、典型的にはレーザー干渉計位置決めデバイスを含む。…好適な顕微干渉計は、ザイゴ・コーポレーション(ZygoCorporation)…から商業的に入手可能である。… 【0116】再帰反射シートの作製方法に関係なく、しかもマスターツールが層状体法または他の方法から誘導されたかに関係なく、本発明に係るシートは、先に記載したように顕微鏡または干渉計を用いてシートを調べることにより検出することのできる特定のユニークな光学的特徴を有する。さらに、 再帰反射シートは、層状体(単数または複数)に対して先に記載した特徴のい に顕微鏡または干渉計を用いてシートを調べることにより検出することのできる特定のユニークな光学的特徴を有する。さらに、 再帰反射シートは、層状体(単数または複数)に対して先に記載した特徴のいずれか1つまたは組合せを含む。 【0118】他の選択肢としてまたはそれと組み合わせて、再帰反射シートは、列内またはアレイ内の素子の少なくとも一部分が優位に側方キャンティングさ れかつ素子が平面図中で素子の列に実質的に垂直な二面縁に対して45° ~135°のアライメント角および/または225°~315°のアライメント角を有する、キューブコーナー素子(たとえばPGキューブコーナー素子)の列またはアレイを有する。好ましい実施形態では、再帰反射シートは、これらの各アライメント角を有してキューブコーナー素子の列またはキューブコーナー素子を有するアレイを有する。そのようなアレイは、 優位に前方キャンティングされたキューブコーナー素子も優位に後方キャンティングされたキューブコーナー素子も実質的に含まない。優位に側方キャンティングされたキューブコーナー素子を有する再帰反射シートは、層状体に関して先に記載した特性のいずれかをさらに有しうる。 【0124】 実施例1Aおよび1B先に引用した2003年3月6日出願の米国特許出願第10/383039号明細書に記載されているように、個別層状体中に溝を形成し、個別層状体を集成し、そして微細構造化表面を複製した。米国特許出願第10/383039号は、本出願が優先権を請求する仮特許出願特許出願第6 0/452464号と同時に出願された。機械加工された層状体はすべて、図6および7に示された形状を有し、側方溝の半角誤差、スキュー角、およびインクリネーション角の変化に基づくわずか 出願第6 0/452464号と同時に出願された。機械加工された層状体はすべて、図6および7に示された形状を有し、側方溝の半角誤差、スキュー角、およびインクリネーション角の変化に基づくわずかな変化を有していた。層状体厚さは0.0075インチ(0.1905mm)であり、側方溝間隔は、直前に記載のわずかな変化を除いて0.005625インチ(0.1 428mm)であった。8つのキューブの反復パターンを各層状体上に逐次的に形成した。以下に記載の表10~14に示されるように、側方溝の半角誤差、スキュー角、およびインクリネーション角を変化させることにより、このキューブ反復パターンを形成した。表中の各列は、個別側方溝の機械加工時に使用したパラメーターを規定している。図22に規定され ているキューブコーナー二面角誤差は、各キューブを形成する主要溝表面 と交差する2つの隣接している側方溝により形成される。したがって、二面角誤差を画定している列は、それらの隣接している側方溝を明確にすべく、表中で位置をずらして配置されている。 【0144】【表12】 2 争点1-1(構成要件1-Aの充足性)及び1-9(構成要件1-Dの充足性)について(1) 構成要件1-A及び1-Dの「物品」の意義についてア被告は、構成要件1-A及び1-Dの「物品」は、「キューブコーナー素子を有する層状体、層状体のアセンブリーを有するツール、およびその複 製物(とくに再帰反射シート)」の物品に限定されると主張する。 イそこで検討すると、本件発明1は、物の発明であるところ、本件発明1に係る特許請求の範囲には、この「物品」が特定の製造方法によるものに限定される旨の記載はない。 そして、本件明細書の【0005】ないし【0008】に 、本件発明1は、物の発明であるところ、本件発明1に係る特許請求の範囲には、この「物品」が特定の製造方法によるものに限定される旨の記載はない。 そして、本件明細書の【0005】ないし【0008】には、キューブ コーナー型再帰反射シートの製造に用いられるマスター成形型を作製する方法として、層状体を利用する方法以外に、ピンバンドリング法、直接機械加工法が存在することが記載されているから、層状体を用いて二面角誤差を有するキューブコーナー型再帰反射シートを製造することは、その方法の一例として挙げられているにすぎないと理解することができる。 ウしたがって、構成要件1-A及び1-Dの「物品」が、「キューブコーナー素子を有する層状体、層状体のアセンブリーを有するツール、およびその複製物(とくに再帰反射シート)」に限定されると解することはできない。 (2) あてはめ被告製品が少なくとも「六角形型のフルキューブコーナーの形状をしたプ リズムを有する」「再帰反射シート」であることは当事者間に争いがないとこ ろ、これは構成要件1-A及び1-Dの「物品」に当たるといえる。 したがって、被告製品は、構成要件1-A及び1-Dをいずれも充足すると認められる。 3 争点1-2(構成要件1-B1の充足性)ないし1-4(構成要件1-B3の充足性)について (1) 「基準平面」の意義について本件発明1に係る特許請求の範囲において、「基準平面とはキューブコーナー素子が配設されている平面を意味」するものであると定義されている(構成要件1-B3)。 また、本件明細書の【0031】には、「PGキューブコーナー素子とは、 (1)基準平面に対して非平行であり;かつ(2)隣接しているキューブコーナー素子の隣接している非二面 成要件1-B3)。 また、本件明細書の【0031】には、「PGキューブコーナー素子とは、 (1)基準平面に対して非平行であり;かつ(2)隣接しているキューブコーナー素子の隣接している非二面縁に実質的に平行である;少なくとも1つの非二面縁を有するキューブコーナー素子を意味する。」と記載されているところ、このキューブコーナー素子が備える特徴は、構成要件1-B1及び1-B2と同一であるから、本件発明1に係るキューブコーナー素子は、当該 段落記載の「PGキューブコーナー素子」に該当するものといえる。そうすると、当該段落の「「基準平面」とは、一群の隣接しているキューブコーナー素子または他の幾何学的構造体の近傍の平面(この平面に沿ってキューブコーナー素子または幾何学的構造体が配設される)を近似した平面または他の表面を意味する」ものであるとの記載も、本件発明1に係るキューブコーナ ー素子について説明したものであると認められる。 本件発明1の特許請求の範囲に加え、本件明細書のこれらの記載に照らせば、キューブコーナー素子が平面状に設けられているような場合には、基準平面とは、当該キューブコーナー素子が並べられている平面を意味すると解するのが相当である。 (2) 「非二面縁」の意義について 本件明細書の【0052】における「アライメント角は、平面図中のキューブの面にほぼ直角な二面縁11(たとえば二面角2-3)からこの図中で反時計回りに測定される。」との記載及び【図10a】ないし【図10c】に照らせば、「二面縁」とは、キューブコーナー素子の反射面である三つのキューブの面がそれぞれ交わる線を意味すると理解できる。 そして、キューブコーナー素子の構造上、反射面の縁には反射面同士が接する縁とそれ以外の縁の2 、キューブコーナー素子の反射面である三つのキューブの面がそれぞれ交わる線を意味すると理解できる。 そして、キューブコーナー素子の構造上、反射面の縁には反射面同士が接する縁とそれ以外の縁の2種類があることは明らかであるから、「非二面縁」とは後者、すなわち、反射面の縁のうち、反射面同士が接する縁以外の縁を意味するものと解するのが相当である。 (3) 「実質的に平行」の意義について 「平行」の一般的な字義は、「一平面上の二直線、または直線と平面、あるいは平面と平面とが、どこまで延長しても交わらないこと。」であると認められる(乙13)。 この点に関し、被告は、隣接している部材が一つの線(縁)を共有していることを「平行」と解釈する余地はないと主張する。しかし、一つの線に共 有されている二つの縁は、どこまで延長しても交わらないから、実質的に互いに平行な関係にあるといえる。 したがって、「実質的に平行」には、隣接している部材が一つの線(縁)を共有している場合も含まれると解するのが相当である。 (4) あてはめ ア前提事実(6)アのとおり、被告製品は、プリズム層の下層に、支柱部及び空気層を介して合成樹脂層を備えることが認められる。 このように、被告製品においては、プリズム層と合成樹脂層が全面にわたって直接接触しているとはいえないものの、プリズム層が合成樹脂層の上部に位置するという関係にあると認められるから、平面である合成樹脂 層の上にキューブコーナー素子が並べられているということができる。 この点に関し、被告は、被告製品がロール状で出荷されている旨を指摘するが、被告製品のカタログにおいて、被告製品を平面状にした拡大図や、平面で構成された標識への使用例が掲載されていることが認められるから 点に関し、被告は、被告製品がロール状で出荷されている旨を指摘するが、被告製品のカタログにおいて、被告製品を平面状にした拡大図や、平面で構成された標識への使用例が掲載されていることが認められるから(甲8)、通常の使用態様としてシート状にすることが予定されているといえる。 したがって、「基準平面」である合成樹脂層の上にキューブコーナー素子が配設されているといえる。 イまた、前提事実(6)ア及びイのとおり、被告プリズムは、完全キューブコーナー素子であって、電子顕微鏡で撮影された構造からしても、隣接している被告プリズム同士が共有している非二面縁は、基準平面である合成樹 脂層に対して非平行であり、かつ、当該非二面縁に実質的に平行であるといえる。 ウしたがって、被告製品は、構成要件1-B1ないし1-B3をいずれも充足すると認められる。 4 争点1-5(構成要件1-C1の充足性)ないし1-8(構成要件1-C4 の充足性)について(1) 「1-2二面角誤差」及び「1-3二面角誤差」の意義についてア本件発明1の特許請求の範囲において、「二面角誤差」は「キューブコーナー素子の二面角の90度から偏差」と定義されている(構成要件1-C2)。 そして、本件明細書の【0074】の「キューブコーナーは、一般に、3つのキューブ面の交線に帰属される3つの二面角を有する。90°からのこれらの角度の偏差は、一般に二面角誤差と呼ばれ」と記載されている。 これらの記載に照らせば、「二面角誤差」とは、キューブコーナー素子を構成する三つの反射面のうち、選択された二つの反射面が成す角における 90度からの偏差を意味するものと理解できる。 イ前記アのとおり、本件明細書の【0074】には、三つの反射面を有するキ 射面のうち、選択された二つの反射面が成す角における 90度からの偏差を意味するものと理解できる。 イ前記アのとおり、本件明細書の【0074】には、三つの反射面を有するキューブコーナー素子を前提とした上で、「90°からのこれらの角度の偏差は、一般に二面角誤差と呼ばれ、二面角1-2、二面角1-3、および二面角2-3により示されうる。」との記載があり、この記載に照らせば、「1-2二面角」及び「1-3二面角」とは、キューブコーナー素子を構 成する三つの反射面を、「1」、「2」及び「3」とそれぞれ特定した場合に、「1」と「2」の反射面が成す角及び「1」と「3」の反射面が成す角を、それぞれ意味するものと理解できる。 また、本件明細書の【0074】には、「1つの命名規約では、図22に示されるように、キューブ二面角1-3は、溝表面82と主要溝面50と の交差により形成され、キューブ二面角1-2は、溝表面84と主要溝面50との交差により形成され、そしてキューブ二面角2-3は、溝表面84と溝表面82との交差により形成される。」と記載されているところ、本件明細書において、他の「命名規約」は何ら示されていないことからすると、本件発明1の「1-2二面角」は、「溝表面84と主要溝面50との交 差により形成され」るものであり、「1-3二面角」は、「溝表面82と主要溝面50との交差により形成され」るものと理解できる。 そして、本件明細書の【0074】が引用する【図22】を参酌すると、溝表面84は、主要溝面50から時計回りの方向の位置でこれと接する反射面、溝表面82は、主要溝面50から反時計回りの方向の位置でこれと 接する反射面をそれぞれ意味するものと解するのが相当である。 ウ被告は、本件発明1の「二面角誤差」は 位置でこれと接する反射面、溝表面82は、主要溝面50から反時計回りの方向の位置でこれと 接する反射面をそれぞれ意味するものと解するのが相当である。 ウ被告は、本件発明1の「二面角誤差」は、本件明細書の【0073】、【0074】、【0077】、【0081】ないし【0099】の記載等に照らせば、「スキュー角又はインクリネーション角に起因する二面角誤差」に限定されると主張する。 しかし、本件発明1に係る特許請求の範囲には、「二面角誤差」が「スキ ュー角又はインクリネーション角に起因する」ものに限定される旨の記載はなく、「スキュー角又はインクリネーション角」を有する構成は、本件発明1の実施形態の一例にすぎないと解するのが相当である。 したがって、被告の上記主張を採用することはできない。 エ以上によれば、「1-2二面角誤差」は、主要溝面と主要溝面から時計回 りの方向の位置でこれと接する反射面との交差により形成される「1-2二面角」における90度からの偏差を意味し、「1-3二面角誤差」は主要溝面と主要溝面から反時計回りの方向の位置でこれと接する反射面との交差により形成される「1-3二面角」における90度からの偏差を意味するものと解される。 (2) 被告プリズムにおける「1-2二面角」及び「1-3二面角」について原告らは、本件データにおける「2-3/5-6二面角」(面aと面cで形成する二面角)、「1-2/4-5二面角」(面aと面bで形成する二面角)、及び「3-4/6-1二面角」(面bと面cで形成する二面角)が、本件明細書記載の「1-2二面角」、「1-3二面角」及び「2-3二面角」にそれぞ れ対応すると主張する。 そこで検討すると、前記(1)のとおり、被告プリズムにおける「1-2二面角」 角)が、本件明細書記載の「1-2二面角」、「1-3二面角」及び「2-3二面角」にそれぞ れ対応すると主張する。 そこで検討すると、前記(1)のとおり、被告プリズムにおける「1-2二面角」及び「1-3二面角」を特定するためには、被告プリズムを構成する三つの反射面のうち、どの反射面が主要溝面に当たるのかを特定する必要がある。しかし、本件分析報告書においても、「反射面aが本特許の図22に示さ れる構成における主要溝面50であると想定した場合」(甲15。日本語訳11頁)と記載されているにとどまり、反射面aを主要溝面と特定した根拠は何ら記載されておらず、本件全証拠によっても、被告プリズムにおけるどの反射面が主要溝面に当たるのかを認定することはできない。 したがって、本件データにおける「2-3/5-6二面角」、「1-2/4 -5二面角」及び「3-4/6-1二面角」のいずれが「1-2二面角」及 び「1-3二面角」に対応するのかについての立証はされていないというべきである。 (3) 被告プリズムにおける二面角誤差の存否及びその具体的な値についてア本件分析報告書記載の分析結果に基づく主張について原告らは、本件分析報告書記載の分析結果に基づき、被告製品を構成す る複数の被告プリズムについて、構成要件1-C1ないし1-C4が規定する二面角誤差を有すると主張するので、以下、当該分析結果の信用性について検討する。 (ア) 本件分析報告書における二面角誤差の測定方法についてa 基礎となる原理(甲28、32) キューブコーナー素子における再帰反射の原理から、キューブコーナー素子を正面視して、各反射面を2分割し、反射面全体を6つのセクタ(領域)に分けたとき、あるセクタに最初に入射して反射された光は、当 キューブコーナー素子における再帰反射の原理から、キューブコーナー素子を正面視して、各反射面を2分割し、反射面全体を6つのセクタ(領域)に分けたとき、あるセクタに最初に入射して反射された光は、当該セクタに二面縁により隣接する他の面で二度目の反射をし、次に、最初に入射したセクタに対面するセクタで三度目の反射をして 出射されるとの規則性を有する。例えば、別紙キューブコーナー素子図面目録記載の図において、セクタ2に入射した光は、セクタ2で反射した後、セクタ3で二度目の反射をし、セクタ5で三度目の反射をして出射される。 また、同一の光源から光を射出し、参照平面に到達して反射する光 とキューブコーナー素子の各セクタに到達して反射する光とを重ね合わせ、これらの二つの反射光の位相のずれにより、重ね合わせた光の振幅が変化し、光の強弱が生じることで形成される縞状の干渉像を利用して、反射面間の二面角誤差(面1と面2、面1と面3及び面2と面3の各二面角誤差)を算出する近似式が知られている。 b 測定装置(甲15、19、21、32) 本件干渉計は、フィゾー型レーザー干渉計であり、HeNeレーザー(波長633nm)が使用されている。フィゾー型干渉計は、レーザーを光源として、①参照平面に到達して反射する光と、②参照平面を透過後、測定物に到達して反射する光との間で生じる干渉を利用して測定物の表面の形状等を測定する機器である。参照平面と測定物と の距離により、①と②の各反射光の光路差が変化し、各反射光の位相に違いが生じるため、①と②の各反射光を重ね合わせると、重ね合わせられた光の振幅は、①と②の各反射光の位相の違いに応じて変化する。測定物表面の2次元的な高さの分布に応じて、光路差の2次元的な分布が生じ、これが干渉像 、①と②の各反射光を重ね合わせると、重ね合わせられた光の振幅は、①と②の各反射光の位相の違いに応じて変化する。測定物表面の2次元的な高さの分布に応じて、光路差の2次元的な分布が生じ、これが干渉像として現れる。 本件干渉計には本件対物レンズが取り付けられており、本件対物レンズの基部にはPMRが配置された上、本件対物レンズの先端部分には参照平面が配置されている。 位相シフト法を用いることにより、高い精度で測定物の表面の形状を測定することができるとされている。参照平面と測定物との間の距 離(光路長)を変化させ、参照平面からの反射光と測定物からの反射光の位相をずらした状態を複数作出する。このようにして撮影された複数の干渉像に基づいて、各座標における位相を算出する。位相は測定物の高さに対応し、また、当該位相と測定物の大きさから、測定物からの反射光の波面の傾きを特定することができる。 c 測定方法(甲15、19、32)(a) まず、被告製品の一部を切り取り、二面角誤差を測定するキューブコーナー素子を特定して、ラベルを付した。 (b) 次に、20倍の対物レンズを装着した測定顕微鏡を使用して、被告プリズムの頂点間の水平方向距離を測定したところ、水平方向の キューブの頂点間の間隔は145.6μmと特定された。 (c) 本件ソフトウェアに入力すべきパラメーターのうち、キューブコーナー素子の横幅として145.6μmが、使用される材料の屈折率としてポリカーボネート樹脂の屈折率に対応する1.586が、それぞれ採用された。その余のパラメーターは、標準手順に従って設定された。 (d) 被告プリズムの二面角誤差は、次の手順で算定された。 ① キューブコーナー素子を本件対物レンズの前方に配置し、キュー 用された。その余のパラメーターは、標準手順に従って設定された。 (d) 被告プリズムの二面角誤差は、次の手順で算定された。 ① キューブコーナー素子を本件対物レンズの前方に配置し、キューブコーナー素子の反射面からの干渉後の反射光の強度を、本件干渉計において、CCDカメラの画素ごとに、位相シフト法により測定する。 ② 測定された各セクタ内の各画素における干渉後の反射光の強度から、各画素における位相を算出し、位相データとキューブコーナー素子の大きさから、各セクタからの出射光の波面の傾きを算出する。 ③ 各セクタからの出射光の波面の傾きから、出射光の波面ベクト ルを算出する。 ④ 同一面に属する二つのセクタ(例えば、別紙キューブコーナー素子図面目録記載の図の面1に属するセクタ3及び4)の出射光の波面ベクトルから、他の二面(上記の例の場合は、同図の面2及び3)の成す二面角の二面角誤差を算出する。 (イ) 本件分析報告書で採用された二面角誤差の測定方法の精度について本件分析報告書記載の分析結果に基づいて、被告プリズムに二面角誤差が存在し、かつ、その大きさが1分ないし60分の範囲にあるというためには、その前提として、本件分析報告書で採用された二面角誤差の測定方法の正確性が担保されていなければならない。 しかし、本件分析報告書で採用された二面角誤差の測定方法の精度に 関し、次の指摘をすることができる。 a 標準試料等による精度の確認がされていると認められないこと本件分析報告書で採用された二面角誤差の測定方法の正確性を担保するためには、客観的中立的に二面角誤差の有無及びその角度が確認されている標準試料等を、本件分析報告書で採用された二面角誤差の 測定方法により測定し、その測定 二面角誤差の測定方法の正確性を担保するためには、客観的中立的に二面角誤差の有無及びその角度が確認されている標準試料等を、本件分析報告書で採用された二面角誤差の 測定方法により測定し、その測定結果を標準試料等が有する二面角誤差と比較対照するなどして、上記測定方法がどの程度の精度で二面角誤差を算出できるのかの確認が必要であると思料されるところ、そのような確認がされていることを認めるに足りる証拠はない。 b 本件参照平面試料分析報告書の結果から、本件分析報告書における 被告プリズムの二面角誤差の測定についての測定誤差が0.1分であるとはいえないこと原告らは、本件干渉計について、第三者機関によって表面の高度の平面性が確認されている参照平面試料を測定することにより、本件干渉計の測定精度の確認を行ったところ、本件参照平面試料分析報告書 のとおり、本件分析報告書で使用されている測定方法における二面角誤差の測定誤差が全て本件干渉計の精度に由来しているとしても、その測定誤差は最大0.1分であると主張する。 しかし、本件参照平面試料分析報告書は、フィゾー型干渉計そのものの機能で参照試料の表面形状の平面度を測定した結果を記載したも のと考えられ(乙26)、本件ソフトウェアは使用されていないと解される。すなわち、本件参照平面試料分析報告書における測定と、本件分析報告書で採用された被告プリズムの二面角誤差の測定とは、いずれも本件干渉計によって測定される干渉像、すなわち干渉後の反射光の強度を利用している点において共通しているものの、本件参照平面 試料分析報告書による測定結果は、干渉計の参照平面と被検面である 参照試料との間の距離(光路差)に起因して干渉像が生じることを利用して、参照試料の表面形状を測定し、平 照平面 試料分析報告書による測定結果は、干渉計の参照平面と被検面である 参照試料との間の距離(光路差)に起因して干渉像が生じることを利用して、参照試料の表面形状を測定し、平面度を算定したものであるのに対し、本件分析報告書で採用された被告プリズムの二面角誤差の測定は、本件ソフトウェアを併用した上で、被告プリズムの各セクタ内のCCDカメラの画素ごとにおける干渉後の反射光の強度から、各 画素における位相、各セクタからの出射光の波面の傾きを順次算出し、同一面に属する二つのセクタの出射光の波面ベクトルから他の二面の成す二面角の二面角誤差を算出するというものである(前記(ア))。そうすると、両者は、具体的な測定方法のみならず、測定原理においても異なっているし、測定する量も、本件参照平面試料分析報告書にお ける測定では表面形状の平面度であるのに対し、本件分析報告書における測定では二面角誤差と、異なっている。 したがって、本件参照平面試料分析報告書による測定結果から、本件分析報告書における被告プリズムの二面角誤差の測定についての測定誤差が0.1分であると直ちに認めることはできない。 c 被告プリズムの大きさに係る測定値の精度が不明であること前記(ア)cのとおり、本件分析報告書においては、被告プリズムの頂点間の水平方向距離を測定して、被告プリズムの横幅を145.6μmと特定したことが認められる。しかし、この値は、20個を超える数の被告プリズムの平均値であるとされているものの、本件分析報告 書には、その測定誤差について何ら記載がなく、有効数字が4桁、すなわちμmの単位で小数第1位の数字までの精度があることの根拠も記載されていない。 したがって、被告プリズムの大きさに係る測定値の精度は不明といわざ 誤差について何ら記載がなく、有効数字が4桁、すなわちμmの単位で小数第1位の数字までの精度があることの根拠も記載されていない。 したがって、被告プリズムの大きさに係る測定値の精度は不明といわざるを得ないから、被告プリズムの横幅が145.6μmであるこ とを前提として算定された本件分析報告書の結果についても正確性が 担保されているとはいえない。 d 被告プリズムの取り付け精度等が不明であること前記(ア)cのとおり、本件分析報告書においては、被告プリズムを本件対物レンズの前方に配置して二面角誤差を測定したことが認められるところ、この測定方法によれば、仮に、被告プリズムが傾いたり、 シートが撓んだ状態で測定すると、被告プリズムの見かけの大きさが変わり、出射光の波面の傾きを算出する際に誤差が生じるおそれがあると考えられる。しかし、被告プリズムの取り付け精度を認めるに足りる証拠はなく、上記の測定方法による場合、算出される二面角誤差の値にどの程度の誤差が生じ得るのかを認めるに足りる証拠もない。 eCCDカメラの画素の大きさが不明であること前記(ア)cによれば、本件分析報告書においては、CCDカメラに用いられているイメージセンサーに投影された干渉像を撮像していると推認されるから、上記カメラのCCDの1画素の幅が実際の干渉像の位置の精度の限界となり、誤差の原因になると考えられる。しかし、 本件分析報告書において用いられたカメラのCCDの1画素の幅について、それが実際にどの程度の長さに相当するのかを認めるに足りる証拠はない。 f トップフィルム層による影響が不明であること前提事実(6)及び前記(ア)cのとおり、被告製品には、プリズム層の 上にトップフィルム層が設けられており、本件分析報告 足りる証拠はない。 f トップフィルム層による影響が不明であること前提事実(6)及び前記(ア)cのとおり、被告製品には、プリズム層の 上にトップフィルム層が設けられており、本件分析報告書における測定の際にも、出射光はトップフィルム層を介して射出されていたことが認められる。 そして、光の屈折の法則から、プリズム層の上に異素材が設けられている場合であっても、当該異素材の面が平行であれば、出射光の方 向に影響を与えないことが知られている(甲32)。 しかし、被告製品のトップフィルム層は完全に平行となっていないことが認められるところ(乙117)、本件分析報告書において測定した被告プリズムにつき、プリズム層の上に設けられているトップフィルム層の平行度を具体的に示す記載はなく、その平行度が出射光の方向に影響を与えない程度のものであることを認めるに足りる証拠もな い。 g 本件ソフトウェアのアルゴリズムが不明であること本件ソフトウェアを用いた二面角誤差の算定に当たって採用されたアルゴリズムがどのようなものであるのかを認めるに足りる証拠はない。 したがって、本件ソフトウェアが採用している二面角誤差を算定するアルゴリズム及びこれに基づく計算式において、何かしらの近似が用いられているのか否か、その近似が被告プリズムの測定に当たって妥当するか否かなども含め、本件ソフトウェアによる二面角誤差算定の精度が明らかであるとはいえない。 h 本件ソフトウェアの丸め誤差の有無及びその程度が不明であることコンピューターで数値計算をする場合には、そのコンピューターの有効桁(表現できる数値の範囲)を超える数値を取り扱うことができないことに起因して、丸め誤差(コンピューターの有効桁を超えた場合に、四捨五 ンピューターで数値計算をする場合には、そのコンピューターの有効桁(表現できる数値の範囲)を超える数値を取り扱うことができないことに起因して、丸め誤差(コンピューターの有効桁を超えた場合に、四捨五入、切捨て又は切上げなどの処理が行われることによる、 実際に計算式で得られる数値との間の差異)が生ずるのが通常である。 しかし、前記gのとおり、本件ソフトウェアにおいて、二面角誤差を算定するに当たり、どのようなアルゴリズムや計算式が採用されているのかを認めるに足りる証拠はなく、どのような演算処理が行われているのかが明らかでない以上、これに伴ってどの程度の丸め誤差が 生じ得るのかは不明といわざるを得ない。 (ウ) 本件分析報告書記載の二面角誤差の分析結果についての検討測定装置やソフトウェアを用いて、ある対象の特性を測定する場合には、その測定方法によって得られる測定値の確からしさや、その装置、測定方法等に内在する誤差を予め評価する必要があると考えられる。 その手法としては、他の方法で当該特性値が測定されている試料を用 いて、実際に用いる測定方法により当該特性値を測定し、当該測定方法によって当該特性値が正確に得られているかどうかを確認することが考えられるところ、実際に、本件参照平面試料分析報告書や甲第28号証においては、同様の手法を採用して、本件干渉計の測定精度や、二面角誤差の理論値の算定方法の妥当性が検討されていることが認められる。 しかし、前記(イ)aにおいて説示したとおり、本件証拠上、他の方法で二面角誤差が測定されている標準試料等を用いて、本件分析報告書で採用された測定方法によりどの程度の精度で二面角誤差が算出できるのかの確認がされていると認めることはできない。 また、本件干渉計を含む全ての測 差が測定されている標準試料等を用いて、本件分析報告書で採用された測定方法によりどの程度の精度で二面角誤差が算出できるのかの確認がされていると認めることはできない。 また、本件干渉計を含む全ての測定装置、本件ソフトウェアなどに内 在する誤差を積算して、本件分析報告書で採用された測定方法に係る測定誤差を見積もる必要があると考えられるが、前記(イ)cないしhにおいて検討したとおり、被告プリズムの大きさに係る測定値の精度、被告プリズムの取り付け精度、トップフィルム層による影響、CCDカメラの画素の大きさ、本件ソフトウェアのアルゴリズム、本件ソフトウェアの 丸め誤差のいずれもが何ら明らかでなく、本件全証拠によっても、本件分析報告書で採用された測定方法における測定誤差を定量的に見積もることはできない。 したがって、本件分析報告書で採用された二面角誤差の測定方法の正確性が担保されていると認めることはできないから、本件分析報告書記 載の分析結果に基づいて、被告プリズムの二面角誤差の具体的な値を認 めることはできない。 イ被告製品の性質に基づく主張について●(省略)●、被告プリズムの二面角誤差の具体的な値を認めることができないことに変わりはない。 ●(省略)●、被告プリズムの二面角誤差が存在すること及びその具体 的な値を認めるに足りる証拠はないといわざるを得ない。 ウまとめ以上によれば、被告プリズムにおいて二面角誤差が存在すること及びその具体的な値についての立証がされているとはいえない。 (4) 小括 前記(2)のとおり、本件データにおける「2-3/5-6二面角」、「1-2/4-5二面角」及び「3-4/6-1二面角」のいずれが「1-2二面角」及び「1-3二面角」にそれぞれ対応するのかに 前記(2)のとおり、本件データにおける「2-3/5-6二面角」、「1-2/4-5二面角」及び「3-4/6-1二面角」のいずれが「1-2二面角」及び「1-3二面角」にそれぞれ対応するのかについての立証がされているとはいえない。 また、前記(3)のとおり、被告プリズムにおいて二面角誤差が存在すること 及びその具体的な値についても立証がされているとはいえない。 したがって、被告製品が構成要件1-C1ないし1-C4を充足すると認めることはできない。 5 争点1-10(構成要件4-Aの充足性)及び1-17(構成要件4-Dの充足性)について 前記2において説示したところと同様に、被告製品は、構成要件4-A及び4-Dをいずれも充足すると認められる。 6 争点1-11(構成要件4-B1の充足性)ないし1-13(構成要件4-B3の充足性)について前記3において説示したところと同様に、被告製品は、構成要件4-B1な いし4-B3をいずれも充足すると認められる。 7 争点1-14(構成要件4-C1の充足性)ないし1-16(構成要件4-C3の充足性)について前記4(3)において説示したとおり、被告プリズムにおいて二面角誤差が存在すること及びその具体的な値についての立証がされているとはいえないから、被告製品が構成要件4-C1ないし4-C3を充足すると認めることはできな い。 8 小括以上によれば、被告製品が本件各発明の技術的範囲に属するとは認められないというべきである。 第5 結論 以上の次第で、その余の点について判断するまでもなく、原告らの請求は、いずれも理由がないから、これらを棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 の次第で、その余の点について判断するまでもなく、原告らの請求は、いずれも理由がないから、これらを棄却することとして、主文のとおり判決する。 主文 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 國分隆文 裁判官 間明宏充 裁判官 木村洋一 別紙被告製品目録 「ニッカライトクリスタルグレード99000シリーズ(CRG-CF)」というシリーズ名で特定される再帰反射シート製品以上 別紙被告製品図面目録 以上 支柱部支柱部 別紙被告主張図面目録 以上 別紙本件明細書図表目録図1 図2 図3 図4 図5 図6 図7 図8 図9 図10a 図10b 図 図7 図8 図9 図10a 図10b 図10c 図11 図12 図21 図22 表3 表4 表5 表6 表7表8 表12 以上 別紙キューブコーナー素子図面目録 以上
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